JP2020035728A - 粒子線加速器および粒子線治療システム - Google Patents

粒子線加速器および粒子線治療システム Download PDF

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知新 堀
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孝道 青木
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Abstract

【課題】ディグレーダを用いないエネルギー可変の小型粒子線加速器およびその粒子線加速器を備えた粒子線治療システムを提供する。【解決手段】静磁場を生成する主磁場磁石1と、周波数が変調可能で、ビームを加速するための高周波電場を印加する高周波加速空洞1037と、高周波加速空洞1037とは異なる周波数の高周波電場を印加する高周波キッカ40と、を備え、主磁場磁石1のうち、上部磁極8,下部磁極9の中間平面2に対向する面には、ビーム周回方向に沿って凹部21a,21b,21c,21dと凸部22a,22b,22c,22dとが交互に配置されており、高周波キッカ40は、前記凹部21aに挟まれた空間に配置されている。【選択図】 図4

Description

本発明は、粒子線加速器および粒子線治療システムに関する。
磁場フラッターを使用したシンクロサイクロトロン粒子加速器の一例として、特許文献1には、空洞内で高周波電圧を掃引して粒子をプラズマ柱である粒子源から加速するための電圧源と、粒子を空洞内で軌道上を移動させる磁石と、再生器と、再生器から空間を隔てて空洞内で配置され、磁石で形成される磁場バンプを解消する強磁性装置で加速器を構成することが記載されている。
特開2016−213198号公報
近年、粒子線治療に用いられる粒子線治療システムの小型化が進行している。特許文献1には、粒子線治療システムに用いられる、シンクロサイクロトロンと呼ばれる粒子線加速器の構成について開示されている。
一般に、シンクロサイクロトロンと呼ばれる粒子線加速器は、イオン源を含む入射装置、ビームを安定に周回させるための主磁場を生成する主磁場磁石、高周波電場を印加してビームを周方向に加速する加速空洞、意図的にビームを平衡軌道から変位させる磁場をビームに作用させる勾配磁石、ならびに平衡軌道から変位させられたビームを加速器外に取り出し下流のビーム輸送系へと誘導する出射チャネルを備えている。
シンクロサイクロトロンからビームが取り出される機序は以下のようになる。
まず、イオン源から入射されたビームが主磁場を感じて周回運動する。周回運動するビームが加速空洞のギャップを通過するタイミングに合うように加速用高周波電場の位相を調整することで、ビームは所定のエネルギーまで加速されていく。シンクロサイクロトロンでは、ビームが周回する振動数がエネルギーにより異なるので、加速用高周波電場の周波数もそれに合わせて変調する必要がある。
所定のエネルギーに到達したビームには、四極磁場や六極磁場を含む勾配磁場を作用させる。シンクロサイクロトロンでは、ビーム周回面内のベータトロン振動数、すなわち水平チューンが1付近(典型的には0.95以上1未満)に設計されるため、勾配磁場を感じたビームの水平方向ベータトロン振動の振幅が増大し、ビームは平衡軌道から大きく変位して出射チャネルに到達する。
出射チャネルは、セプタムと呼ばれる磁石で主磁場と逆向きの磁場をビームに作用させてビームの曲率半径を拡大させ、ビーム軌道を平衡軌道から完全に離脱させる。
平衡軌道から離脱したビームは加速器外に飛び出し、輸送系を経て照射装置へと導かれる。こうして取り出されるビームのエネルギーは固定されているため、照射装置までの何れかの段階でビームをディグレーダと呼ばれる散乱体を通過させて、ビームエネルギーを減少させることでエネルギーが調整される。
しかしながら、ディグレーダによるビームエネルギーの調整は、ビーム電流の低下が避けられない、との課題がある。ビーム電流の低下は、一回当たりのビーム照射による線量率の低下をもたらす。
従って、ビーム電流を低下させずにエネルギー調整ができれば、シンクロサイクロトロンを用いた粒子線治療のスループットが向上する、といえる。
本発明の目的は、ディグレーダを用いないエネルギー可変の小型粒子線加速器およびその粒子線加速器を備えた粒子線治療システムを提供することである。
本発明は、上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、粒子線加速器であって、静磁場を生成する主磁場磁石と、周波数が変調可能で、ビームを加速するための高周波電場を印加する第1高周波電場印加装置と、前記第1高周波電場印加装置とは異なる周波数の高周波電場を印加する第2高周波電場印加装置と、を備え、前記主磁場磁石は、リターンヨークおよび前記リターンヨークに固定された一対の磁極を有し、前記一対の磁極は、前記一対の磁極に挟まれた空間にある中間平面に対して面対称な位置に配置され、前記磁極の前記中間平面に対向する面には、ビーム周回方向に沿って凹部と凸部とが交互に配置されており、前記第2高周波電場印加装置は、前記凹部に挟まれた空間に配置されていることを特徴とする。
本発明によれば、ディグレーダを用いないエネルギー可変の小型粒子線加速器を提供することができる。上記した以外の課題、構成、および効果は、以下の実施例の説明により明らかにされる。
本発明の実施例1における粒子線治療システムの構成図である。 実施例1における粒子線治療システムの加速器内に配置された主磁場磁石の斜視図である。 実施例1における主磁場磁石を垂直平面による断面図である。 実施例1における主磁場磁石を中間平面からみた平面図である。 実施例1における高周波キッカの中間平面による断面図である。 実施例1における高周波キッカの垂直平面による断面図である。 実施例1における主磁場磁石の凸部の一つを拡大した平面図である。 実施例1における主磁場磁石の凸部の一つを拡大した平面図である。 実施例1における主磁場磁石の凸部の一つを拡大した平面図である。 本発明の実施例2における主磁場磁石を中間平面から見た平面図である。 実施例2における主磁場磁石の凸部の一つを拡大した平面図である。 実施例2における主磁場磁石の凸部の一つを拡大した平面図である。 実施例2における主磁場磁石の凸部の一つを拡大した平面図である。 実施例2における主磁場磁石の凸部の一つを拡大した平面図である。 実施例2における高周波キッカの中間平面による断面図である。
最初に、シンクロサイクロトロン型の粒子線加速器において、ディグレーダを用いずに可変エネルギーを実現するために解決すべき主な3つの課題について説明する。
第1の課題は、低エネルギーから高エネルギーまでのビームの出射チャネルを共通化することである。
数種類のエネルギーを取り出すだけならば、複数の出射チャネルを設置することで対応できると考えられる。しかしながら、陽子線治療を例に挙げると、およそ70MeVから230MeVの範囲で連続的にエネルギーを変化させることが望まれる。このため、取り出すビームを連続的にエネルギー可変とする場合には、エネルギーごとに出射チャネルを設置するよりも、出射チャネルを共通化することが望まれる。
第2の課題は、セプタムに要求される磁場を低減することである。
シンクロサイクロトロンの主磁場は時間的に一定であるから、低エネルギービームほど曲率半径が小さいことになる。従って、加速器の外に取り出すために必要となるセプタムの磁場の大きさも、低エネルギーになるほど大きくなる。低エネルギービームを取り出すためにセプタムが生成すべき磁場を低減する最も単純な方法は主磁場を低下させることであるが、これは加速器サイズの増大を意味する。このため、小型であるというシンクロサイクロトロンの長所が失われてしまう。従って、加速器サイズの増大をもたらさずに、セプタムに要求される磁場を低減する必要がある。
第3の課題は、取り出すビームに選択的に勾配磁場を作用させることである。
通常のシンクロサイクロトロンでは、最大エネルギーのビームのみを取り出すため、最大エネルギーのビーム軌道の近傍に、磁性体で静的な勾配磁場を生成させておくことがしばしば行われる。
しかし、低エネルギービームにも勾配磁場を作用させて取り出すためには、低エネルギービームの近傍にも静的な勾配磁場を生成する必要があるが、これを実現することは困難である。これは、低エネルギービームの近傍に低エネルギービームを取り出すための静的な多極磁場を生成しておくと、ビームがそのエネルギーに達したときに静的な勾配磁場の影響を受けて取り出されるためである。すなわち、ビームをより大きいエネルギーまで加速することができなくなってしまうことになる。
従って、低エネルギーから高エネルギーの任意のエネルギーのビーム、例えば陽子線治療システムの場合には、70MeVから230MeVのエネルギーのビームに対して、取り出す必要に応じて選択的に勾配磁場を作用させる構造・方法が必要である。
以下、上述したようなディグレーダを用いずに、これら3つの課題を解決した本発明のエネルギー可変の小型粒子線加速器、およびそれを備えた粒子線治療装置の実施例について図面を用いて説明する。
<実施例1>
図1は本実施例1における粒子線治療システムの構成図である。図2は加速器内に配置された主磁場磁石の斜視図である。図3は主磁場磁石の垂直平面による断面図である。図4は主磁場磁石を中間平面から見た平面図、図5は高周波キッカの中間平面による断面図、図6は高周波キッカの垂直平面による断面図、図7乃至図9は主磁場磁石の凸部の一つを拡大した平面図である。
まず、図1を用いて粒子線治療システムの全体構成を説明する。
図1において、粒子線治療システム1001は、建屋(図示省略)の床面に設置される。この粒子線治療システム1001は、イオンビーム発生装置1002、ビーム輸送系1013、回転ガントリー1006、照射装置1007および制御システム1065を備えている。
イオンビーム発生装置1002は、イオン源1003、このイオン源1003が接続される加速器1004を有している。加速器1004の詳細は後述する。
ビーム輸送系1013は、照射装置1007に達するビーム経路1048を有しており、このビーム経路1048に、加速器1004から照射装置1007に向かって、複数の四極電磁石1046、偏向電磁石1041、複数の四極電磁石1047、偏向電磁石1042、四極電磁石1049,1050、および偏向電磁石1043,1044がこの順に配置されることで構成されている。
ビーム輸送系1013のビーム経路1048の一部は、回転ガントリー1006に設置されており、偏向電磁石1042、四極電磁石1049,1050および偏向電磁石1043,1044も回転ガントリー1006に設置されている。ビーム経路1048は、加速器1004に設けられた出射チャネル1019に接続されている。
回転ガントリー1006は、回転軸1045を中心に回転可能に構成されており、照射装置1007を回転軸1045の周りで旋回させる回転装置である。
照射装置1007は、2台の走査電磁石1051,1052、ビーム位置モニタ1053および線量モニタ1054を備えている。これら走査電磁石1051,1052、ビーム位置モニタ1053および線量モニタ1054は、照射装置1007の中心軸、すなわちビーム軸に沿って配置されている。走査電磁石1051,1052、ビーム位置モニタ1053および線量モニタ1054は照射装置1007のケーシング(図示省略)内に配置されている。
ビーム位置モニタ1053および線量モニタ1054は、走査電磁石1051,1052の下流に配置される。走査電磁石1051および走査電磁石1052は、それぞれイオンビームを偏向し、イオンビームを照射装置1007の中心軸に垂直な平面内において互いに直交する方向に走査する。ビーム位置モニタ1053は照射されるビームの通過位置を計測する。線量モニタ1054は照射されるビームの線量を計測する。
照射装置1007は、回転ガントリー1006に取り付けられており、偏向電磁石1044の下流に配置される。
照射装置1007の下流側には、患者1056が横たわる治療台1055が、照射装置1007に対向するように配置される。
制御システム1065は、中央制御装置1066、加速器・輸送系制御装置1069、走査制御装置1070、回転制御装置1088およびデータベース1072を有する。
中央制御装置1066は、中央演算装置(CPU)1067およびCPU1067に接続されたメモリ1068を有する。加速器・輸送系制御装置1069、走査制御装置1070、回転制御装置1088およびデータベース1072は、中央制御装置1066内のCPU1067に接続されている。
粒子線治療システム1001は更に治療計画装置1073を有しており、治療計画装置1073はデータベース1072に接続されている。粒子線治療システム1001では、粒子線の照射エネルギーや照射角度などが粒子線の照射に先立って治療計画装置1073で治療計画として作成されており、この治療計画に基づいて照射が実行される。
中央制御装置1066のCPU1067は、データベース1072に保存されている治療計画から粒子線治療システム1001を構成する各機器の照射に関係する各種の動作制御プログラムを読み込み、読み込んだプログラムを実行して、加速器・輸送系制御装置1069、走査制御装置1070、回転制御装置1088を介して指令を出力することで、粒子線治療システム1001内の各機器の動作を制御する。
なお、実行される動作の制御処理は、1つのプログラムにまとめられていても、それぞれが複数のプログラムに分かれていても良く、更にはそれらの組み合わせでも良い。
また、プログラムの一部またはすべては専用ハードウェアで実現しても良く、モジュール化されていても良い。更には、各種プログラムは、プログラム配布サーバや外部記憶メディアによって各計算機にインストールされていても良い。
また、各制御装置は、各々が独立した装置で有線あるいは無線のネットワークで接続されたものであっても、2つ以上が一体化していてもよい。
ビーム電流測定装置1098は、移動装置1017および位置検出器1039を含んでいる。
高周波電源1036は、加速器1004内に設置された高周波加速空洞1037に導波管1010を通じて電力を入力し、高周波加速空洞1037に接続された電極と接地電極との間にビームを加速する高周波電場を励起させる。
本実施例の加速器1004では、高周波加速空洞1037の共振周波数をビームのエネルギーに対応して変調させる必要がある。周波数を変調させるためには、インダクタンスか静電容量を調整すればよい。
インダクタンスや静電容量の調整方法は公知の方法を用いることができる。例えば、静電容量を調整する場合であれば、高周波加速空洞1037に可変容量キャパシタを接続して制御する。
次いで、加速器1004を構成する主磁場磁石1の詳細について図2以降を用いて説明する。
主磁場磁石1は、静磁場を生成する磁石であり、主な構成として、図2に示すように鉛直方向から見て略円盤状の形状をなす上リターンヨーク4と下リターンヨーク5とを有している。
上リターンヨーク4と下リターンヨーク5とは、中間平面2に対してほぼ上下対称な形状を有している。この中間平面2は、おおむね主磁場磁石1の鉛直方向中心を通り、加速中のビームが描く軌道面にほぼ一致する。また上リターンヨーク4と下リターンヨーク5は、中間平面2に垂直かつおおむね主磁場磁石1の中間平面2に対する中心を通過する平面である垂直平面3に対して面対称な形状をしている。
なお、図2では、中間平面2の主磁場磁石1に対する交差部分を一点鎖線、垂直平面3の主磁場磁石1に対する交差部分を破線で示している。
上リターンヨーク4にはイオン源1003が配置されている。
図3に示すように、上リターンヨーク4と下リターンヨーク5に囲まれた空間内にはコイル6が中間平面2に対して面対称に配置されている。
なお、実施例1では、外部イオン源を想定して主磁場磁石1の外側にイオン源1003を設置し、これに対応して貫通孔24を設けているが、イオン源1003は主磁場磁石1の内部に設置してもよい。
コイル6は超電導コイルであり、クライオスタット(図示省略)の内部に設置されており、液体ヘリウムなどの冷媒、または冷凍機(図示省略)からの伝熱によって冷却される。このコイル6は、図1に示したコイル引出配線1022によってコイル励磁用電源1057に接続されている。
上リターンヨーク4および下リターンヨーク5に囲まれた空間内のコイル6の内側には真空容器7が設けられている。
真空容器7の内部には、上リターンヨーク4の下リターンヨーク5に対向する面には上部磁極8が配置されている。また、下リターンヨーク5の上リターンヨーク4に対向する面には下部磁極9が配置されている。これら上部磁極8と下部磁極9とは中間平面2に対して面対称に配置されている。
これら上リターンヨーク4や下リターンヨーク5、上部磁極8、下部磁極9は、例えば、不純物濃度を低減させた純鉄や、低炭素鋼等によって構成する。真空容器7は、ステンレスなどによって構成する。コイル6は、ニオブチタン等の超電導体を用いた超電導線材で構成する。
イオンビームを周回させ加速させる空間は、これら上部磁極8と下部磁極9の間に形成される。
出射チャネル1019はセプタムと呼ばれる電磁石を備えており、貫通孔15から図1に示した出射チャネル用電源1082に接続されている。出射チャネル用電源1082から出射チャネル1019に備えられた電磁石に電流を通電することで、出射チャネル1019に到達したイオンビームが整えられ、ビーム輸送系1013へと送られる。
図4は、対向面10を中間平面2からみた平面図である。主磁場磁石1は中間平面2に対して面対称な構造であるため、以下では、図3および図4を用いて、主磁場磁石1の詳細構造について説明する。
上部磁極8および下部磁極9の中間平面2に対向する面には、ぞれぞれ、凹部21a,21b,21c,21d、凸部22a,22b,22c,22dが形成されており、図4に示すように、これら凹部21a,21b,21c,21dと凸部22a,22b,22c,22dはビーム軌道23の周回方向に沿って交互に配置されている。
これら凹部21a,21b,21c,21dおよび凸部22a,22b,22c,22dとは、上部磁極8や下部磁極9と一体で形成されたものとしてもよいし、別部材として製作した後で上部磁極8や下部磁極9の表面に組立の際に溶接やボルト締めなどの公知の方法で係合してもよい。材料については上部磁極8や下部磁極9と同じとすることが望ましい。
また、図4に示すように、出射チャネル1019が近傍に配置されている凹部21aには、勾配磁場磁石31(ピーラー)、勾配磁場磁石32(リジェネレータ)、および高周波キッカ40が設置されている。
勾配磁場磁石31,32はビームの軌道を変位させるための勾配磁場を生成するコイルである。このうち、勾配磁場磁石31は、発生させる勾配磁場の磁場分布が、加速器1004の径方向外側に向かって磁場強度が減少する勾配磁場を生成するコイルであることが望ましい。また、勾配磁場磁石32は、発生させる勾配磁場の磁場分布は、径方向外側に向かって磁場強度が増大する勾配磁場を生成するコイルであることが望ましい。
なお、勾配磁場磁石31,32は、コイルの替わりに、凹部21aと一体で形成された構造物で代用することができる。このような構造物としては、例えば、別部材として製作した後で凹部21aに溶接やボルト止めなどの公知の方法で係合したものが挙げられる。より具体的には、凹部21aの表面に磁性体をさらに付加する、あるいは凹部21aの表面形状を加工することができる。
また、実施例1では、勾配磁場磁石31は凹部21aのうち凸部22dの近くに、勾配磁場磁石32は凹部21aのうち凸部22aの近くに配置されている場合について記載しているが、この位置は逆の場合もありえる。
また、磁極外周面より外側でヨーク内周面にいたるまでの領域における磁場は、径方向外側に向かって減少しているため、径方向外側に向かって磁場強度が減少する勾配磁場を生成する勾配磁場磁石31は省略できることもある。
また、これらの勾配磁場磁石31,32が生成する勾配磁場は、少なくとも4極磁場成分が含まれ、4極以上の多極磁場、あるいは2極磁場が含まれていることが望ましい。
貫通孔18は、ビーム輸送系1013を設置するための貫通孔である。この貫通孔19は、主磁場磁石の対称性を高めて主磁場磁石が生成する磁場を高精度化するために、垂直平面3に対して貫通孔18と面対称になるように設けられている。
図5に、高周波キッカ40の中間平面2による断面図を示す。また、図6に、高周波キッカ40の垂直平面3による断面図を示す。
図2や図5、図6に示す高周波キッカ40は、高周波加速空洞1037とは異なる周波数の高周波電場を印加する装置であり、図4に示すように勾配磁場磁石31や勾配磁場磁石32と同様に凹部21aに挟まれた空間に配置されている。
これら勾配磁場磁石31や勾配磁場磁石32、高周波キッカ40が備えられた凹部21aの磁極外周領域に、所定エネルギーに加速されたビームを加速器1004の外に取り出すための出射チャネル1019が設けられている。
図5や図6に示すように、高周波キッカ40は、接地電極41と高圧電極42とから構成され、内周側に接地電極41、外周側に高圧電極42が対向して設置されている。また、接地電極41と高圧電極42とは、図2や図6に示すように、中間平面内でビーム軌道と直交する方向に高周波電場が作用するように、ビーム軌道のカーブにおおよそ平行な形状に設計されている。
図5や図6に示すように、接地電極41には金属製の突起部43を取り付け、接地電極41と高圧電極42との間に生じる高周波電場の集中を高めることができる。
高圧電極42は高周波電圧が印加されるため、図6に示すように、絶縁支持体45を介して接地電極41に支持される。接地電極41は、非磁性支持体44を介して上部磁極8や下部磁極9に支持される。
接地電極41、および高圧電極42とは、ともにビームが通過する中間平面2を中心にして上下に分割されている。本実施例の高周波キッカ40は、図6に示すように端面が開いた形状であるが、ビーム通過孔を除いて端面を接地電極で閉塞し、共振器構造とすることもできる。
磁極構造の効果を説明するために、主磁場磁石1の設計手順について図7乃至図9を用いて説明する。
まず、主磁場磁石1の大きさを決めるために、磁場強度と最高エネルギーにおけるビーム軌道の半径を定める必要がある。主磁場磁石1が生成する磁場が大きいほど、ビーム軌道の広がりが小さくなり、加速器1004、ひいては粒子線治療システム1001を小型化することができる。
本実施例では、入射地点での磁場を5[T]、最高エネルギーのビーム半径を1[m]とすることにした。なお、本実施例では、加速するビームの入射点と最大ビームエネルギー軌道の中心O1との位置を一致させておく。
次に、ビームが安定に周回する理想磁場分布を求めなければならない。そのため、本実施例では、ビームを安定周回させるために、弱収束の原理に基づいて磁場を設計した。
弱収束の原理を用いた加速器では、一般に、下記式(1)で示すようなnインデックスと呼ばれる量
Figure 2020035728
を0より大きく0.2以下になるように磁場分布が設計される。ここで、Bは中間平面2における磁場、ρはビーム軌道の曲率半径であり、磁場勾配∂B/∂rは、中間平面2の上で、ビーム進行方向と垂直でビームエネルギーが大きくなる方向に対する磁場の微分を示している。
上述のように、本実施例では、磁場強度を5[T]、最高エネルギーのビーム半径(最大軌道半径)を1[m]としたので、∂B/∂rは−1[T/m]以上で0より小さくすべきとなった。ここでは、∂B/∂rは−0.5[T/m]とすることにする。すると、最高エネルギーのビーム半径は1[m]だから、この軌道上における磁場は4.5[T]となる。
一般に、弱収束の原理によってビームを収束させる円形加速器では、軸対称な磁場分布を生成するために、磁極形状も軸対称とすることが多い。そうすると、磁場Bはビーム周回方向に沿って一定値となる。しかし、弱収束の原理は、必ずしもBがビーム周回方向に一定であることを要請せず、Bがビーム周回方向に対する平均磁場である場合でも成立する。すなわち、ビーム周回方向に磁場の強弱が分布していてよい。
そこで、本実施例では、4つの凹部21a,21b,21c,21dと4つの凸部22a,22b,22c,22dとによってビーム周回方向に磁場の強弱が分布するように、かつビーム周回方向の磁場平均がビームエネルギーの増大に従って式(1)に従って減少するように設計した。
また、上下の凸部22a,22b,22c,22dで挟まれた領域では、上部磁極8および下部磁極9との間の距離が短くなることから、上下の凹部21a,21b,21c,21dで挟まれた領域よりも磁場が大きくなる。
そこで、図7に示すように、ビームエネルギーが増大して磁極外周面25に近づくに従って、ビーム周回軌道の中心O1から見たときの凸部22a,22b,22c,22dの角度幅θ,θ,・・・,θが狭まっていく(θ>θ>θ>・・・>θ)ようにした。なお、図7では、代表して凸部22cのみを示す。図8や図9も同様である。
このように凸部22a,22b,22c,22dの角度幅θ,θ,θ,…,θを狭めていくことは、本実施例においては、ビーム周回軌道の中心O1からみたときの凹部21a,21b,21c,21dの角度幅はビームエネルギーの増大に従って広がっていくことを意味する。
第一近似としては、凹部21a,21b,21c,21dに挟まれた領域と凸部22a,22b,22c,22dに挟まれた領域の磁場は、それぞれ一定値と考え、式(1)で定まる平均磁場の減少に合わせて、凸部22a,22b,22c,22dの角度幅が減少していくように調整すればよい。
すなわち、凹部21a,21b,21c,21dに挟まれた領域における磁場をB、凸部22a,22b,22c,22dで挟まれた領域における磁場をBとすると、下記式(2)
Figure 2020035728
の関係からθを決めればよい。ここでθの単位はラジアンであり、B<B(r)<Bである。
このように設計した凸部22a,22b,22c,22dでは、図8に示すように、加速されるビームが1つの凸部22a,22b,22c,22dを通過する距離L,L,…,Lが、ビームエネルギーの増大に伴って増加(L>L>L)した後に減少に転ずる(L>L)関係となる。
さらには、凸部22a,22b,22c,22dでは、図9に示すように、凸部22cと凹部21dとの境界の接線と、その反対側の凸部22cと凹部21cとの境界の接線との間の角度がビームエネルギーの増大に従って小さくなる(θ’>θ’)。その後、2本の接線が平行になり、その後、角度が大きくなる関係となっている。
このようにして得られる磁場は、最高エネルギーのビームに対する平均磁場は、磁極を軸対称形状にした場合と同じ値の4.5[T]とできるから、加速器のサイズは同等である。一方、軸対称の磁極形状では、最高エネルギーのビームに対する磁場は一様に4.5[T]であるが、本実施例では凹部では4.5[T]未満、凸部では4.5[T]を超える磁場となっている。
そこで、所定のエネルギーに加速されたビームを加速器1004の外に取り出す出射チャネル1019の入り口を凹部21aの磁極外周面25近傍に設置することで、出射チャネル1019がビーム取り出しのために生成すべき磁場を軸対称の磁極形状よりも小さくすることができ、ビーム取り出しを容易にすることができる。
次に、高周波キッカ40、勾配磁場磁石31、勾配磁場磁石32の効果を説明する。
通常と同じ構造のシンクロサイクロトロンでは、最大エネルギーまで加速されたビームが勾配磁場磁石31と勾配磁場磁石32が生成する勾配磁場を感じることで、ビームの水平方向運動に共鳴現象が生じて平衡軌道からの変位が増大し、出射チャネル1019に到達したビームが加速器外に取り出される。
このとき、最大エネルギーよりも低いエネルギーのビームが勾配磁場磁石31や勾配磁場磁石32が形成する勾配磁場を感じて周回運動が不安定化することを避けなければならない。
そのため、勾配磁場磁石31と勾配磁場磁石32が生成する勾配磁場の影響が最大エネルギーのビーム軌道の内側では十分小さくなるように、勾配磁場磁石31と勾配磁場磁石32よりも径方向内側に補正用の磁性体やコイルを設置することが望ましい(図示省略)。
更に、低エネルギービームを取り出すためには、取り出しエネルギーに近づいた低エネルギービームについては水平方向に不安定化させること、より加速が必要な低エネルギービームについては安定周回させながら所定の取り出し高エネルギーまで加速すること、との2つを両立させる必要がある。
そのために、低エネルギービームを取り出す場合には、そのタイミングのみ勾配磁場磁石31,32が生成する勾配磁場を作用させるといった、勾配磁場を選択的に作用させる機構が必要となる。そのための機構が高周波キッカ40である。この高周波キッカ40の役割は、この取り出し対象のビームに選択的に勾配磁場磁石31,32の磁場を感じさせることである。
すなわち、イオン源から入射されて加速されるビームは、徐々にその平均軌道半径を拡大していき、ついには高周波キッカ40の内部を通過するようになる。
所望の取り出し対象のエネルギーにビームが到達した段階で、高周波電源1036をオフにして高周波加速空洞1037に接続された電極と接地電極との間に励起させていた高周波電場を遮断し、高周波キッカ40をオンにする。
高周波キッカ40に到達したビームが加速器を周回する周波数をfrev、同ビームの水平方向ベータトロン振動数の小数部をδνとするとき、高周波キッカ40の周波数をfrev×δνと略同一に設定して高周波キッカ40の高周波電場を印加する。
これにより、ビーム軌道は高周波キッカ40の内部を通過するたびに径方向外側向きの力を受け、徐々にビーム軌道は径方向外側にずらされていき、ついには勾配磁場磁石31,32が生成する勾配磁場を感じる位置に到達する。
勾配磁場磁石31,32の勾配磁場を感じ始めたビームは、水平方向ベータトロン運動の振幅が発散し始め、ついには出射チャネル1019に到達し、加速器外に取り出されることになる。
次に、本実施例の効果について説明する。
上述した本発明の実施例1の粒子線治療システム1001のうち加速器1004は、静磁場を生成する主磁場磁石1と、周波数が変調可能で、ビームを加速するための高周波電場を印加する高周波加速空洞1037と、高周波加速空洞1037とは異なる周波数の高周波電場を印加する高周波キッカ40と、を備え、主磁場磁石1は、上リターンヨーク4に固定された上部磁極8と下リターンヨーク5に固定された下部磁極9との一対の磁極を有し、上部磁極8、下部磁極9は、上部磁極8、下部磁極9に挟まれた空間にある中間平面2に対して面対称な位置に配置され、上部磁極8、下部磁極9の中間平面2に対向する面には、ビーム周回方向に沿って凹部21a,21b,21c,21dと凸部22a,22b,22c,22dとが交互に配置されており、高周波キッカ40は、凹部21aに挟まれた空間に配置されている。
このような凹部21aに挟まれた空間に配置されている高周波キッカ40によって、周波数変調が可能な高周波加速空洞1037を備えた加速器において、1つだけ配置された出射チャネル1019に高性能化・大型化等の対策を施したセプタム電磁石を配置することなく、所定エネルギーのビームを取り出すことができる。従って、複数の出射チャネルを用いることなく、またディグレーダを用いることなく、取り出しビームのエネルギーを連続的に可変とした小型の粒子線の加速器1004を提供することができる。
このような構成の加速器1004は、高い照射線量率を実現して患者の治療スループットを向上させることが期待される粒子線治療システムに好適なものである。
また、高周波キッカ40が備えられた凹部21aに挟まれた空間に、ビームの軌道を変位させるための勾配磁場を生成する勾配磁場磁石31,32が配置されているため、高周波キッカ40で変位させた低エネルギービームが確実に勾配磁場を感じる配置関係とすることができる。これにより、水平方向のベータトロン振動振幅を拡大させて、より効率的に出射チャネル1019に到達させることができ、加速器外に取り出すことが可能となる。
更に、高周波キッカ40が備えられた凹部21aの磁極外周領域に、所定エネルギーに加速されたビームを加速器1004の外に取り出すための出射チャネル1019が設けられていることで、高周波キッカ40で変位させられて水平方向のベータトロン振動振幅が拡大したビームをより容易に出射チャネル1019に到達させることができる。
また、凸部22a,22b,22c,22dは、ビーム周回軌道の中心から見たときの凸部22a,22b,22c,22dの角度幅θがビームエネルギーの増大に従って狭まっていくことにより、主磁場を増大させた場合でも、加速器を大型化することなくビームを安定して加速することができる。また、加速されたビームの取り出し口となる出射チャネル1019の入口が配置される磁極の外周領域の磁場強度を弱めることができる。このため、セプタムの高性能化・大型化等の困難な方法を用いることなく、ビーム取り出しが容易な主磁場磁石を備えた小型の加速器を提供することができる。
更に、ビームが所望のエネルギーまで加速されると、高周波加速空洞1037による高周波電場を遮断し、高周波キッカ40による高周波電場の印加を開始することで、取り出すビームのエネルギーを高精度に選択することができる。
また、勾配磁場磁石32によって発生させる多極磁場の成分は、径方向外周側に向かって磁場強度が増大する磁場勾配を有していることや、勾配磁場磁石31によって発生させる多極磁場の成分は、径方向外周側に向かって磁場強度が減少する磁場勾配も有していることで、取り出したい特定エネルギーとなったビームに対して周回軌道面内のベータトロン振動を不安定化させることができるため、任意エネルギーのビームをより容易に取り出すことができる、との効果が得られる。
<実施例2>
本発明の実施例2の粒子線加速器および粒子線治療システムについて、図10乃至図15を用いて説明する。実施例1と同じ構成には同一の符号を示し、説明は省略する。
図10は、実施例2における主磁場磁石を中間平面からみた平面図である。図11乃至図14は、主磁場磁石の凸部の一つを拡大した平面図である。図15は、高周波キッカの中間平面による断面図である。
実施例2の粒子線加速器と、上述した実施例1の粒子線加速器とでは、主磁場磁石内の上部磁極および下部磁極の対向面の形状が異なっている。以下、図10以降を用いて説明する。
粒子線加速器では、ビームの運動エネルギーをK、静止エネルギーをE、光速をc、荷電粒子の電荷数をqとおくと、下記式(3)
Figure 2020035728
の関係が成り立つ。
上記の式(3)と実施例1において説明した式(2)とを組み合わせると、θは径方向距離rの関数から運動エネルギーKの関数に見直すことができる。
特に、ビーム軌道の中心が磁極の中心と一致している場合はr=ρとなるが、実施例2では、ビーム軌道の中心が磁極の中心と一致しておらず、加速するビームの入射点O2と最大ビームエネルギー軌道の中心O4、および加速器のビームの周回軌道の中心O3,O5,O6との位置が異なる場合を示している。
図10は、実施例2における対向面10を中間平面2からみた平面図である。実施例1と同様の構造物等については、同じ番号を流用して指し示している。
図10において、ビーム入射点はO2であり、最高エネルギーのビーム軌道126の軌道中心はO4であり、その中間のエネルギーのビーム軌道127の軌道中心はO3、中間より加速したエネルギーのビーム軌道の中心はO5,O6である。
実施例2では、入射点から最大エネルギーのビーム軌道までの幅128を0.1[m]とすることにした。すると、実施例1と同様に∂B/∂rを−1.0[T/m]とすると、最高エネルギーに対する磁場は4.9[T]ということになる。
この実施例2においても、図11に示すように、ビーム周回軌道の中心O3,O5,O6,O4から見た時の凸部122cの角度幅θ1A,θ2A,θ3A,・・・,θnAは、式(2)および式(3)に従って、ビームエネルギーの増大に従って狭まっている(θ1A>θ2A>θ3A>…>θnA)。
同様に、図12に示すように、ビーム周回軌道の中心O3,O5,O4から見た時の凸部122dの角度幅θ1B,θ2B,…,θnBは、式(2)および式(3)に従って、ビームエネルギーの増大に従って狭まっている(θ1B>θ2B>…>θnB)。
このように設計した凸部122cでは、図13に示すように、加速されるビームが一つの凸部122cを通過する距離L1A,L2A,…,LnAが、ビームエネルギーの増大に伴って増加(L2A>L1A)した後に減少に転ずる(L2A>LxA>LnA)関係となる。
さらには、図14に示すように、凸部122cでは、凸部122cと凹部121dの境界線の接線と、その反対側の凸部122cと凹部121cの境界線の接線との間の角度がビームエネルギーの増大に従って小さくなり、その後、2本の接線が平行になる。その後、角度が大きくなっていく(θ’3A>…>θ’nA)関係となっている。
図示は省略しているが、凸部122cと垂直平面3に対して対称な形状の凸部122bについても、凸部122cと同様である。また、凸部122dと垂直平面3に対して対称な形状の凸部122aについても、凸部122dと同様である。
このようにして得られる磁場は、ビーム周回方向に沿った平均磁場は、磁極を軸対称形状にした場合の4.9[T]と同じ値にできるから、加速器のサイズは軸対称形状の場合と同等である。
一方、軸対称の磁極形状では、最高エネルギーのビームに対する磁場はビーム周回方向に沿って4.9[T]と一定であるが、実施例2では凹部121a,121b,121c,121dでは4.9[T]未満、凸部122a,122b,122c,122dでは4.9[T]を超える磁場となっている。
そこで、実施例2においても、所定エネルギーに加速されたビームを加速器1004の外に取り出す出射チャネル1019の入り口を凹部121aの磁極外周面125の近傍に設置する。これにより、出射チャネル1019がビーム取り出しのために生成すべき磁場を、軸対称形状の磁極形状よりも小さくすることができ、ビーム取り出しを容易にすることができる。
また、最高エネルギーの軌道中心O4と入射点O2が一致せず、入射点O2が出射チャネル1019のビーム入口方向へとずれている。このようにビーム軌道の中心をずらすと、凹部121a側では低エネルギーのビーム軌道を出射チャネル1019の入り口に近づくため、出射チャネル1019側にビーム周回軌道が密になる領域が形成される。
そのため、図15に示したように、高周波キッカ40を通過するビーム軌道のエネルギー帯が増加することになる。すなわち、実施例1と比較したとき、実施例2の方が、より低エネルギーのビーム軌道まで高周波キッカ40を通過することになる。
従って、より低エネルギーのビーム軌道に対して高周波キッカ40による高周波電場を印加することができるので、実施例1よりもより低エネルギーのビーム軌道を、勾配磁場磁石31,32の生成する勾配磁場の近くを通過させることができる。
このとき、低エネルギービームは高エネルギービームよりも曲率半径が小さいため、勾配磁場磁石31と勾配磁場磁石32が生成する勾配磁場を低エネルギービームが感じるためには、勾配磁場磁石31と勾配磁場磁石32は、高周波キッカ40によってビーム軌道がずらされる方向に配置され、かつ、垂直平面3に近い方が好ましい。
すなわち、上述のように、勾配磁場磁石31と勾配磁場磁石32は、高周波キッカ40と同様に、複数の凹部121a,121b,121c,121dに挟まれた空間の中で、体積が最も小さい凹部121aに挟まれた空間に配置することが好適である。
このように勾配磁場磁石31と勾配磁場磁石32を配置することで、高周波キッカ40で変位させられた低エネルギービームが確実に勾配磁場を感じることになり、水平方向のベータトロン振動振幅が拡大し、出射チャネル1019に到達し、加速器外に取り出すことが可能となる。
その他の構成・動作は、前述した実施例1の粒子線加速器および粒子線治療システムと略同じ構成・動作であり、詳細は省略する。
本発明の実施例2の粒子線加速器および粒子線治療システムにおいても、前述した実施例1の粒子線加速器および粒子線治療システムとほぼ同様な効果が得られる。
また、高周波キッカ40および勾配磁場磁石31,32が配置される凹部121aに挟まれた空間は、複数の凹部121a,121b,121c,121dに挟まれた空間の中で最も体積が小さいことにより、出射チャネル1019の入口が設置される磁極外周部に、ビーム周回軌道が密になる領域を設けることができる。また、出射チャネル1019がビーム取り出しのために生成すべき磁場を、軸対象の磁極形状とする場合に比べて小さくすることができる。従って、これらの効果から、より容易に所定エネルギーに加速されたビームの取り出しを行うことができる。
<その他>
なお、本発明は、上記の実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。上記の実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることも可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることも可能である。
例えば、上記の実施例1,2の説明では、加速する粒子を特に指定していない。すなわち、陽子をイオン源1003から供給しても、炭素イオンをイオン源1003から供給しても、高周波加速空洞1037の周波数を加速する粒子それぞれにあわせて調整することによって、安定にビームを加速周回させることができる。また、加速する粒子は、上述した陽子や炭素イオンに限られず、ヘリウムイオン等の炭素イオン以外の重粒子イオンとすることができる。
また、上記の実施例1,2の説明では、上部磁極8や下部磁極9に設ける凹部と凸部の数をそれぞれ4つとしたが、凹部や凸部の数は4つに限るものではなく、3以上の整数であれば、ビームが安定周回するような磁場を生成することが可能である。
また、粒子線治療システム1001がビーム輸送系1013を備えている場合について説明したが、粒子線治療システムはビーム輸送系を設けずにイオンビーム発生装置と回転ガントリーや照射装置とを直接接続することができる。
また、治療に用いる粒子線を照射する装置として回転ガントリー1006を用いる場合について説明したが、固定された照射装置を用いることができる。また、照射装置は一つに限られず、複数設けることができる。
また、照射方法として走査電磁石1051,1052を用いるスキャニング方式の場合について説明したが、ワブラー法や二重散乱体法など粒子線の分布を広げた後、コリメータやボーラスを用いて標的の形状に合わせた線量分布を形成する照射法にも本発明を適用することができる。
また、加速器が粒子線治療に用いられる場合について説明したが、加速器の用途は粒子線治療に限られず、高エネルギー実験やPET(Positron Emission Tomography)薬剤生成等に用いるものとすることができる。
1…主磁場磁石
2…中間平面
3…垂直平面
4…上リターンヨーク
5…下リターンヨーク
6…コイル
7…真空容器
8…上部磁極
9…下部磁極
15,16,17,18,19,24…貫通孔
20…対称軸
21a,21b,21c,21d,121a,121b,121c,121d…凹部
22a,22b,22c,22d,122a,122b,122c,122d…凸部
23,126,127…ビーム軌道
25,125…磁極外周面
31,32…勾配磁場磁石
40…高周波キッカ(第2高周波電場印加装置)
41…接地電極
42…高圧電極
43…突起部
44…非磁性支持体
45…絶縁支持体
128…ビーム軌道の幅
1001…粒子線治療システム
1004…加速器(粒子線加速器)
1019…出射チャネル
1037…高周波加速空洞(第1高周波電場印加装置)

Claims (9)

  1. 粒子線加速器であって、
    静磁場を生成する主磁場磁石と、
    周波数が変調可能で、ビームを加速するための高周波電場を印加する第1高周波電場印加装置と、
    前記第1高周波電場印加装置とは異なる周波数の高周波電場を印加する第2高周波電場印加装置と、を備え、
    前記主磁場磁石は、リターンヨークおよび前記リターンヨークに固定された一対の磁極を有し、
    前記一対の磁極は、前記一対の磁極に挟まれた空間にある中間平面に対して面対称な位置に配置され、
    前記磁極の前記中間平面に対向する面には、ビーム周回方向に沿って凹部と凸部とが交互に配置されており、
    前記第2高周波電場印加装置は、前記凹部に挟まれた空間に配置されている
    ことを特徴とする粒子線加速器。
  2. 請求項1に記載の粒子線加速器において、
    前記第2高周波電場印加装置が備えられた前記凹部に挟まれた空間に、前記ビームの軌道を変位させるための勾配磁場を生成する勾配磁場磁石が配置されている
    ことを特徴とする粒子線加速器。
  3. 請求項1に記載の粒子線加速器において、
    前記第2高周波電場印加装置が備えられた前記凹部の磁極外周領域に、所定エネルギーに加速されたビームを前記粒子線加速器の外に取り出すための出射チャネルが設けられている
    ことを特徴とする粒子線加速器。
  4. 請求項2に記載の粒子線加速器において、
    前記第2高周波電場印加装置および前記勾配磁場磁石が配置される前記凹部に挟まれた空間は、複数の前記凹部に挟まれた空間の中で最も体積が小さい
    ことを特徴とする粒子線加速器。
  5. 請求項1に記載の粒子線加速器において、
    前記凸部は、ビーム周回軌道の中心から見たときの前記凸部の角度幅がビームエネルギーの増大に従って狭まっていく
    ことを特徴とする粒子線加速器。
  6. 請求項1に記載の粒子線加速器において、
    前記ビームが所望のエネルギーまで加速されると、前記第1高周波電場印加装置による高周波電場を遮断し、前記第2高周波電場印加装置による高周波電場の印加を開始する
    ことを特徴とする粒子線加速器。
  7. 請求項2に記載の粒子線加速器において、
    前記勾配磁場磁石によって発生させる多極磁場の成分は、径方向外周側に向かって前記静磁場の強度が増大する磁場勾配を有している
    ことを特徴とする粒子線加速器。
  8. 請求項7に記載の粒子線加速器において、
    前記勾配磁場磁石によって発生させる多極磁場の成分は、径方向外周側に向かって前記静磁場の強度が減少する磁場勾配を有している
    ことを特徴とする粒子線加速器。
  9. 請求項1乃至8のいずれか1項に記載の粒子線加速器を備えた
    ことを特徴とする粒子線治療システム。
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