以下、図示の実施の形態によって本発明を説明する。以下の説明に用いる各図面は模式的に示すものであり、各構成要素を図面上で認識できる程度の大きさで示すために、各部材の寸法関係や縮尺等を構成要素毎に異ならせて示している場合がある。したがって、本発明は、各図面に記載された各構成要素の数量や各構成要素の形状や各構成要素の大きさの比率や各構成要素の相対的な位置関係等に関して、図示の形態のみに限定されるものではない。
[一実施形態]
本発明の一実施形態は、例えば鉄筋コンクリート造の構造物を施工する(建築工事を実施する)際に行われる手順のうち、配筋検査をシステム化して、必要となる計測作業や記録作業などを機械化し自動化し、これによって、配筋検査を効率化し、配筋検査にかかる時間を短縮するための配筋計測システムについて例示するものである。
まず、本実施形態の配筋計測システムの概略構成について、図1,図2を用いて以下に説明する。図1は、本発明の一実施形態の配筋計測システムの外観を示す外観斜視図である。図2は、図1の配筋計測システムの概略構成を示すブロック構成図である。
本実施形態の配筋計測システム1は、図示のように、保持フレーム100(図2では不図示)と、携帯端末装置10と、撮像ユニット20などによって主に構成されている。
なお、本実施形態の配筋計測システム1においては、携帯端末装置10と撮像ユニット20とを別体の機器によって構成した例を示しているが、この形態に限られることはない。例えば、携帯端末装置10と撮像ユニット20とが一体的に一つの筐体で構成されるような形態で構成されていてもよい。
保持フレーム100は、携帯端末装置10と撮像ユニット20とを所定の形態に固定保持するための骨格部材である。当該保持フレーム100は、図1に示すように、携帯端末保持筐体101と、撮像ユニット載置棚102と、撮像ユニット固定腕103と、把持部104などによって主に構成されている。
携帯端末保持筐体101は、携帯端末装置10を、その表示画面を露呈した状態で収納し、固定保持すると共に、表示画面以外の外面を保護する筐体部材である。
撮像ユニット載置棚102は、撮像ユニット20を載置した状態で保持する平板状部材である。この撮像ユニット載置棚102の左右両側部が、後述する2つの把持部104の一部に固定されている。
撮像ユニット固定腕103は、上記撮像ユニット載置棚102上に載置された状態の撮像ユニット20の左右両側面を固定する腕状部材である。撮像ユニット固定腕103は、上記携帯端末保持筐体101の外底面に固定されている。
把持部104は、携帯端末保持筐体101の外底面において左右両端位置のそれぞれから外方に向けて突設し略環形状の握り部を有して形成されている構成部である。つまり、これら2つの把持部104のそれぞれは、一部が携帯端末保持筐体101と一体に固定されていると共に、他の一部には、撮像ユニット載置棚102が一体に固定されている。
このような構成により、2つの把持部104は、携帯端末保持筐体101と撮像ユニット載置棚102とのそれぞれを一体に支持すると共に、当該配筋計測システム1を携帯して使用する際のグリップ部としての機能を有している。
携帯端末装置10は、使用者(ユーザ)による操作を受けて撮像ユニット20の駆動制御を行う制御装置としての機能を有すると共に、撮像ユニット20が取得した画像データ等の各種情報を受けて各種のデータ処理を行うデータ処理装置としての機能をも有する。さらに、携帯端末装置10は、上記データ処理結果などを表示する表示装置としての機能を有するほかに、階層的なメニュー表示などを行って操作指示を受け入れるための操作入力装置としての機能をも有する。
携帯端末装置10は、制御部11と、記録部12と、操作部13と、タッチパネル14と、表示部15と、通信部16などを有して構成されている。
制御部11は、本配筋計測システム1の全体を統括的に制御する複数の制御回路等を含む構成部である。当該制御部11は、例えばCPU(Central Processing Unit)等を用いたプロセッサ(processor;処理装置)などによって構成されている。そして、制御部11は、メモリ(不図示)に記憶されたプログラムにしたがって動作する。これにより、制御部11は、本配筋計測システム1の各構成部の制御を行う。また、これと同時に、制御部11は、通信部16を介して撮像ユニット20との間で通信を行って、撮像ユニット20の駆動制御を行うと共に、撮像ユニット20から出力された画像データを含む各種の情報を受信し、各種のデータ処理を実行する。
制御部11は、例えば、表示制御部11aと、操作判定部11bと、記録制御部11cと、通信制御部11dと、画像処理部11eと、配筋計測部11gなどの制御回路を有して構成されている。
表示制御部11aは、表示部15を駆動制御することにより、入力された各種のデータを視認可能に表示するための電子回路若しくはプログラムソフトウエア等である。
特に、表示制御部11aは、複数の画像データに関連する電子黒板画像データに基づく電子黒板画像(以下、単に黒板画像データ,黒板画像というものとする)を、複数の画像データに基づく複数の画像のいずれか1つに重畳して表示させる表示制御を行う。この場合において、表示制御部11aは、複数の画像データの表示領域のうち、画像弁別部11m(後述する)によって3次元合成画像データの作成に使用しない画像領域と配筋計測処理に使用されない画像領域として弁別された所定の領域上に、黒板画像を重畳させて表示させる表示制御を行う。
また、表示制御部11aは、3次元合成画像データを作成する際に使用された複数の画像データの各画像領域のうち、3次元合成画像データの作成に使用した画像領域(後述する合成画像使用領域)と、3次元合成画像データの作成に使用しない画像領域(後述する合成画像不使用領域)との境界に、所定の形態の境界線を表示する制御を行う。なお、境界線の表示は、この例に限られることはなく、次のような形態であってもよい。即ち、表示制御部11aは、検査報告書として最終的に提出される画像データに基づく検査画像の全画像領域のうち、計測検査結果を表示する表示領域と、それ以外の領域との境界に、所定の形態の境界線を表示する制御を行うようにしてもよい。この場合、業界線は、例えば矩形状の表示画像の縦方向の短辺に平行となる直線とされる。
操作判定部11bは、操作部13,タッチパネル14からの操作指示信号を受けて、操作判定を行うと共に、その判定結果に応じて対応する指示を対応する構成部へと出力するための電子回路若しくはプログラムソフトウエア等である。
記録制御部11cは、記録部12を駆動制御することにより、入力された各種のデータを所定の記録媒体(不図示)の所定の記録領域に記録するための電子回路若しくはプログラムソフトウエア等である。また、操作判定部11bによってデータ読み出し操作指示が検出された場合には、記録制御部11cは、記録媒体に記録された画像データなどの各種データを、一時メモリ領域(不図示)へと読み出す制御も行う。ここで読み出された各種データは、例えば表示制御部11aの制御下において、所定の処理が施された後、表示部15へと送出され、視認可能な形態に表示される。
通信制御部11dは、通信部16を駆動制御することにより、撮像ユニット20などの外部機器との間の通信を確立し、データ通信や制御信号の送受信を行うための電子回路若しくはプログラムソフトウエア等である。
画像処理部11eは、撮像ユニット20によって取得され、当該撮像ユニット20から通信部16を介して入力される画像データを受けて、各種の画像信号処理を施すための電子回路若しくはプログラムソフトウエア等である。ここで、当該画像処理部11eにて行われる画像信号処理としては、例えばRGB画像生成処理,明るさ調整処理,ホワイトバランス調整処理,シャープネス調整処理,コントラスト調整処理等に加え、圧縮処理等を含む各種の信号処理である。なお、これらの信号処理は、その全てを当該画像処理部11eにて行うような構成に限られることはなく、例えば当該画像処理部11eにおいては、一部の処理(例えば圧縮処理)のみを行うようにしてもよい。その場合、その他の処理は、撮像ユニット20側にて行うようにしてもよい。
また、画像処理部11eは、さらに、3次元画像合成部11kと、画像弁別部11mなどを内部に含んで構成されている。
3次元画像合成部11kは、撮像ユニット20の複数(2つ)の撮像部(後述する;22L,22R)によって取得された複数(2つ)の画像データの光学的に重なる領域の中から、さらに3次元合成に使用する領域を対象として3次元合成画像データを作成するための電子回路若しくはプログラムソフトウエア等である。
画像弁別部11mは、3次元画像合成部11kにおいて3次元合成画像データを作成する際に使用された複数(左右2つ)の各画像データにおける画像領域のうち、3次元合成画像データの合成に使用された画像領域と、3次元合成画像データの合成に使用されない画像領域とを弁別して、複数の画像データのそれぞれに画像弁別情報を関連付けるための電子回路若しくはプログラムソフトウエア等である。画像弁別部11mは、さらに、3次元合成画像データの合成に使用された画像領域のうち、配筋計測処理に使用する計測範囲と、配筋計測処理に使用されない非計測範囲とを弁別して、複数の画像データのそれぞれに画像弁別情報として関連付ける機能も有する。
また、制御部11における配筋計測部11gは、撮像ユニット20(の後述する2つの撮像部22L,22R)によって取得された複数(左右2つ)の画像データに基づいて、若しくは上記3次元画像合成部11kによって生成された3次元合成画像データに基づいて、検査対象物(鉄筋,配筋)についての各種の配筋計測処理(鉄筋の種類や鉄筋径,本数,各鉄筋間隔などの各種の計測処理)を行うための電子回路若しくはプログラムソフトウエア等である。
なお、制御部11には、上述した制御回路以外にも、各種の制御回路を含んで構成されているものであるが、上述した以外の制御回路については、本発明に直接関連しない部分であるので、その説明は省略する。
記録部12は、画像データのほか各種の情報(電気信号)を記録するための所定の記録媒体(不図示)と、その駆動回路(不図示)等を有して構成される構成部である。記録部12は、上記記録制御部11cによって駆動制御される。
記録部12に記録される各種の情報としては、上述した複数の画像データと、これら複数の画像データに関連する黒板画像データと、所定の画像弁別情報などをも含む情報である。黒板画像データには、例えば、複数の検査対象物に関する各種の情報が含まれている。ここで、検査対象物に関する各種の情報としては、例えば、配筋検査を行った日付情報や時刻情報,検査場所情報等の基本情報と、配筋検査対象物に関する特定情報(工事名,作業名,対象物名,会社名,その他のメモ等)のほか、配筋検査における計測結果情報などが含まれる。
操作部13は、当該携帯端末装置10における複数の操作部材(不図示)のそれぞれに対応する複数のスイッチ部材などを含んで構成される構成部である。
本携帯端末装置10においては、複数の操作部材のうちの一つが使用者(ユーザ)によって操作されると、操作部13に含まれる複数のスイッチ部材のうち、当該操作された操作部材に対応するスイッチ部材が作用する。当該スイッチ部材によって発生した操作指示信号は、上記操作判定部11bによって判定されて、その判定結果に応じて対応する指示が対応する構成部へと出力される。
タッチパネル14は、表示部15の表示面の全面を覆うように当該表示画に重畳させた形態で配置される操作部材の一種である。タッチパネル14は、表示部15の表示態様に対応して各種の操作指示信号を発生させることができるようにした操作部材の一種である。つまり、タッチパネル14は、使用者(ユーザ)の手指等の操作指示例えばタッチ操作やタップ操作,スワイプ操作,ピンチイン又はピンチアウト操作などを受けて、それぞれ対応する各種の操作指示信号を発生させる。
なお、タッチパネル14は、操作部13に含まれるものであるが、近年においては、さまざまな電子装置において盛んに適用されている操作部材の一つでもあり、特に重要構成部材となるものなので、操作部13とは別に表記している。
表示部15は、表示パネル(不図示)と、その駆動回路等(不図示)を有して構成され、所定の表示機能を実現する構成ユニットである。表示部15の表示パネルには、撮像ユニット20によって取得された複数の画像データに基く画像や、3次元合成画像データに基づく3次元合成画像,黒板画像データに基づく黒板画像などのほか、各種設定プログラム等によって生成されるメニュー画像などが表示される。表示部15は、表示制御部11aによって駆動制御される。
なお、表示部15は、例えば液晶表示ディスプレイ(Liquid Crystal Display;LCD)や有機エレクトロルミネッセンス(有機EL;Organic Electro-Luminescence:OEL)ディスプレイ等が適用される。
通信部16は、撮像ユニット20などの外部機器との間で行われる通信を実現するための回路ユニットである。通信部16は、通信制御部11dによって駆動制御される。通信部16における通信方式としては、例えば無線方式のほか、有線方式を適用することができる。
本実施形態の配筋計測システム1に適用される携帯端末装置10としては、具体的には、例えば従来一般的に普及しているタブレット型やノート型の小型PC(personal computer)を利用することができる。この場合、それらのPCに対しては、本発明の配筋計測システムの作用を実現し得るアプリケーションプログラムを適宜インストールして使用する。これによって、本実施形態の携帯端末装置10を構成することができる。
携帯端末装置10のその他の構成については、従来一般的な構成の携帯端末装置と略同様であるものとして、その他の構成の説明は省略する。
次に、本実施形態の配筋計測システム1における撮像ユニット20の概略構成を説明する。当該撮像ユニット20は、少なくとも2つ若しくは2つ以上の撮像部(光学レンズ及び撮像素子)を備えて構成され、これら複数の撮像部の視差を利用することにより、いわゆる三次元(3D;Three dimensions)画像計測が可能な撮像装置である。なお、本実施形態においては、2つの撮像部を有して構成される形態を例示している。
即ち、撮像ユニット20は、制御部21と、2つの撮像部22L,22Rと、通信部24などによって主に構成されている。
ここで、2つの撮像部22L,22Rは、左画像データ取得用の左用撮像部22Lと、右画像データ取得用の右用撮像部22Rとである。なお、これら左用撮像部22Lと右用撮像部22Rとは、所定の間隔(基線長)をおいて水平方向に並べて配置されている。
左用撮像部22Lは、主に光学レンズ23Lと撮像素子24Lとを有して構成されている。右用撮像部22Rは、主に光学レンズ23Rと撮像素子24Rとを有して構成されている。
ここで、光学レンズ23L,23Rは、被写体の光学像を結像させる複数のレンズと、これら複数のレンズのうちの所定のレンズを光軸方向若しくは光軸に直交する方向に移動させるための駆動機構等や、光量調節のための絞り機構等を備えて構成されている。
また、撮像素子24L,24Rは、光学レンズ23L,23Rによって結像された光学像を受けて順次光電変換し、これにより取得された画像信号を出力するいわゆる光電変換素子である。この撮像素子24L,24Rとしては、例えばCCD(Charge Coupled Device;電荷結合素子)型イメージセンサーやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor;相補性金属酸化膜半導体)型イメージセンサー等が適用される。
なお、各撮像部22L,22R自体の構成については、本発明に直接関連しない部分であるので、その構成は、従来の一般的な形態の撮像装置に適用されているものと略同様であるものとして、その説明及び図示は省略する。
制御部21は、本撮像ユニット20を統括的に制御する複数の制御回路等を含む構成部である。当該制御部21は、例えばCPU(Central Processing Unit)等を用いたプロセッサ(processor;処理装置)などによって構成されている。そして、制御部21は、メモリ(不図示)に記憶されたプログラムにしたがって動作する。これにより、制御部21は、撮像ユニット20の各構成部の制御を行う。
また、制御部21は、通信部24を介して携帯端末装置10との間で通信を行うことで、当該携帯端末装置10の制御部11の制御下において、撮像ユニット20の駆動制御を行うと共に、当該撮像ユニット20で取得された画像データを含む各種の情報を出力する機能を有する。
制御部21は、例えば撮像制御部21aと、通信制御部21bと、信号処理部21cなどの制御回路を有して構成されている。
撮像制御部21aは、2つの撮像部22L,22Rのそれぞれを駆動制御するための電子回路若しくはプログラムソフトウエア等である。上述したように、撮像ユニット20の制御部21は、携帯端末装置10の制御部11の制御下で作用する。したがって、例えば、2つの撮像部22L,22Rを駆動するための制御は、例えば、使用者(ユーザ)による携帯端末装置10のタッチパネル14を含む操作部材に対する所定の操作によって発生する撮影操作指示信号をトリガーとして開始される。
即ち、撮像制御部21aは、携帯端末装置10の制御部11からの撮像制御信号を、通信部16,24を介して受信して、2つの撮像部22L,22Rの駆動制御を行う。ここで、2つの撮像部22L,22Rの駆動制御は、適切な画像データを取得するためになされる各種の制御処理、例えば露出制御処理,焦点調節制御処理等を含む一般的な撮像動作に関する制御である。
通信制御部21bは、通信部24を駆動制御することにより、携帯端末装置10との間の通信を確立し、データ通信や制御信号の送受信を行うための電子回路若しくはプログラムソフトウエア等である。
信号処理部21cは、2つの撮像部22L,22Rの各撮像素子24L,24Rによって取得された画像信号(アナログ信号)を受けて、各種の信号処理を施すための電子回路若しくはプログラムソフトウエア等である。この信号処理部21cにて行われる信号処理は、例えばアナログ-デジタル変換処理のほか、RGB画像生成処理,明るさ調整処理,ホワイトバランス調整処理,シャープネス調整処理,コントラスト調整処理等がある。これらの処理のうちの一部は、上述したように、携帯端末装置10側の画像処理部11eにて実行するような形態としてもよい。
通信部24は、携帯端末装置10との間で行われる通信を実現するための回路ユニットである。通信部24は、通信制御部21bによって駆動制御される。通信部24における通信方式としては、例えば無線方式のほか、有線方式を適用することができる。
撮像ユニット20のその他の構成については、従来一般的な構成の撮像装置と略同様であるものとして、その他の構成の説明は省略する。
このように構成される本実施形態の配筋計測システム1を使用する際のようすは、図3に示すようになる。図3は、本実施形態の配筋計測システムを、例えば工事現場などにおいて使用する際の状況を簡略に示す概念図である。
図3に示す状況は、例えば、現場監督などの検査担当者110が、所定の工事現場において、本実施形態の配筋計測システム1を手に持ち、当該配筋計測システム1の撮像ユニット20を、検査対象物200であって配筋200された鉄筋200aに向けている様子を示している。
このような状況下において、当該配筋計測システム1によって取得される画像データは、図4に示すようなものである。図4は、本実施形態の配筋計測システム1によって取得される画像データに基づく画像の一形態を概念的に示す概念図である。
上述したように、本実施形態の配筋計測システム1における撮像ユニット20は、2つの撮像部22L,22Rを有している。この構成によって、当該撮像ユニット20は、同一の対象物について、左右2つの画像データを同時に取得することができる。
そして、本実施形態の配筋計測システム1は、2つの撮像部22L,22Rによって取得された関連する左右2つの画像データに基づいて3次元合成画像データを生成する。これと同時に、本配筋計測システム1は、取得した2つの画像データ若しくは生成した3次元合成画像データに基づいて検査対象物(配筋)に関する所定の計測処理(配筋計測処理)を行う。
まず、図4において示す符号400L,400Rは、本配筋計測システム1における撮像ユニット20の2つの撮像部22L,22Rによって取得される左右2つの画像データに基づいて表示される2つの画像の表示例を示している。
ここで、符号400Lは取得された2つの画像データのうち左用画像データに基づいて表示される左用画像であり、符号400Rは取得された2つの画像データのうち右用画像データに基づいて表示される右用画像である。
なお、図4に示す表示例では、各画像400L,400Rは、それぞれが矩形状の画像領域を有するものとして例示している。また、図4の表示例においては、所定の配筋200を検査対象物として撮影した場合を示す例示である。
本実施形態の配筋計測システム1においては、撮像ユニット20によって取得されたこれら2つの画像データは、通信部24,16を介して携帯端末装置10の制御部11の画像処理部11eへと送られて各種の信号処理が施される。ここで、3次元画像合成部11kは、入力された2つの画像データを合成して3次元合成画像データを作成する。
3次元画像合成部11kが3次元合成画像データを作成する際には、まず、画像弁別部11mが、左右2つの画像データにおける画像領域のうち、3次元合成画像データの合成に使用される画像領域(図4の符号401L,401Rで示す領域;以下、合成画像使用領域という)と、3次元合成画像データの合成に使用されない画像領域(図4の符号402L,402Rで示す領域;以下、合成画像不使用領域という)とを弁別する。このとき画像弁別部11mは、2つの画像データのそれぞれに対し、各対応する画像弁別情報を関連付ける処理を施す。
なお、図4の2つの画像400L,400Rにおいては、矩形状枠線内の合成画像使用領域401L,401Rと合成画像不使用領域402L,402Rとの境界に、境界線403L,403R(破線)が示されている。この境界線403L,403Rは、上記弁別情報の一部として記録されているものとする。図4における境界線403L,403Rの表示例は、各画像400L,400Rが表示部15に表示されたときの画像弁別情報の表示例である。
図4に示す合成画像不使用領域402L,402Rは、黒板画像を表示するための領域として最低限確保される領域となる。この場合において、合成画像使用領域401L,401Rが、3次元合成画像データの合成に使用される画像領域である。即ち、換言すると当該領域(401L,401R)は、検査対象物(配筋)に関する所定の計測処理(配筋計測処理)を行う際に対象とする最大領域となる。
図4の符号404は、3次元合成画像データに基づいて表示される3次元合成画像の表示例である。ここで、3次元合成画像404は、2つの画像400L,400Rの各合成画像使用領域401L,401Rを合成して生成される合成画像領域401LRと、各合成画像不使用領域402L,402Rとを有する形態となっている。この場合において、合成画像領域401LRは、図4において点線で示す矩形状領域である。配筋計測処理は、この合成画像領域401LRの画像データを用いて行われる。
ここで、図4に示す合成画像領域401LRは、上述したように、配筋計測処理の対象とする最大領域である。即ち、図4に示す合成画像領域401LRを計測範囲として指定することもできるが、当該合成画像領域401LRのうちの一部の範囲を指定して計測範囲とすることもできる。
例えば、配筋計測処理を行うのに際して、図4に示す合成画像領域401LRのうち計測対象物を含む領域を計測範囲として指定して、計測範囲を絞り込む操作を行う。この計測範囲絞り込み操作は、例えば、所望の計測範囲を指定するための四点(又は対角二点)を選択することで計測範囲を設定する。この場合において計測範囲の指定操作は、例えば、タッチパネル14を使用することができる。したがって、この場合において、タッチパネル14は、合成画像領域401LRのうち計測対象とする所望の計測範囲を指定する範囲指定操作部材として機能する。そして、この場合、タッチパネル14による範囲指定指示操作は、操作判定部11bによって判定される。その判定結果は、計測範囲の範囲指定結果に相当する。したがって、このとき、操作判定部11bは、計測範囲を指定するための範囲指定部として機能する。
このようにして、計測範囲の絞り込みを行うと、図4の点線で示す矩形状領域(合成画像領域401LR)の範囲内に、さらに計測範囲を示す矩形状領域が判別し得る形態で表示される(不図示)。
上述のように計測範囲の絞り込みが行われた場合には、上述したように、合成画像領域401LRの範囲内に、計測範囲を示す表示が行われる。この場合、合成画像領域401LRの範囲内であって、当該計測範囲領域以外の領域は、配筋計測処理に使用されない画像領域となる。したがって、合成画像領域401LRの範囲内であっても、配筋計測処理に使用されない画像領域は、黒板画像を表示する領域として利用できることになる。
また、3次元合成画像404において、合成画像領域401LRと各合成画像不使用領域402L,402Rとの境界には、境界線403L,403Rが表示される。
一方、検査画像は、上記2つの画像データのうちの一方の画像に対して、対応する黒板画像が合成された形態で生成される。図5は、本実施形態の配筋計測システム1によって生成される検査画像の表示例である。
図5の表示例は、携帯端末装置10の表示部15に検査画像410が表示されている状況を想定している。この場合において、検査画像410を表示部15に表示する制御は、表示制御部11aが行う。したがって、以下の説明では、表示制御部11aが、検査画像410を表示部15に表示する際の作用を概念的に説明するものである。
図5に示すように、検査画像410は、上記2つの画像データのうちの一方、例えば左用画像データに基づく左用画像400Lと、この左用画像400Lの合成画像不使用領域402Lに表示される黒板画像とを有して形成されている。
この場合において、表示制御部11aは、まず、上記2つの画像データのうちの一方の画像データに基づく画像(図5に示す表示例では左用画像データに基づく左用画像400L)を表示部15に表示する。ここで、左用画像データには、画像弁別情報が関連付けられている。したがって、左用画像400Lには、合成画像領域401Lと合成画像不使用領域402Lとの境界線403Lが、例えば点線によって表示される。
続いて、表示制御部11aは、2つの画像データに関連する黒板画像データに基づく黒板画像302を、左用画像400Lの合成画像不使用領域402Lに重畳して表示させる制御を行う。これにより、図5に示すような検査画像410が表示部15に表示される。
なお、図5の表示例では、左用画像データに基づく左用画像400Lを表示部15に表示し、その左用画像400Lの合成画像不使用領域402Lに、黒板画像302を重畳表示させるようにしている。ここで、例えば、使用者(ユーザ)の要望により、若しくは、画像領域内における対象物の状況などを鑑みて、黒板画像302の表示位置を変更したいといった要望が出る場合もあり得る。
そのような場合には、2つの画像データのうちの他方の右用画像データに基づく右用画像400Rを用いるようにすれば、黒板画像302の表示位置を変更した検査画像410Aを作成することが容易にできる。この場合においても、黒板画像302は、表示制御部11aによって、右用画像400Rの合成画像不使用領域402Rに重畳表示させる制御がなされる。この場合の表示例を図6に示す。
まず、使用者(ユーザ)が黒板画像302の表示位置を変える操作指示を、所定の操作部材若しくはタッチパネル14を用いて行う。すると、所定の指示信号(例えば黒板表示位置変更指示信号)が生じる。
これを受けて、表示制御部11aは、2つの画像データのうち現在既に黒板画像302を重畳させて表示している画像データ(ここでは左画像データとする)とは別の画像データ(ここでは右画像データとする)に基づく画像表示に切り替える。
続いて、表示制御部11aは、当該別の画像データ(右画像データ)に関連付けられた画像弁別情報に基づいて当該別の画像データ(右画像データ)の合成画像不使用領域402Rに対し黒板画像302を重畳させて表示する制御を行う。
このような検査画像410が携帯端末装置10の表示部15に表示される状況は、例えば、当該配筋計測システム1を用いた配筋検査の実施中において、配筋計測処理のための撮影操作を行う場合などがある。
なお、上述の図5,図6に示す表示例は、合成画像不使用領域402L,402Rに黒板画像302を重畳させて表示する例を示している。しかしながら、上述したように、黒板画像302は、合成画像不使用領域402L,402Rのみに限らず、合成画像領域401Lの範囲内であっても、配筋計測処理に使用されない画像領域であれば、黒板画像が重畳表示されることもある。
図7は、本実施形態の配筋計測システム1を用いた配筋検査の実施中において、配筋計測処理のための撮影動作を行う際の撮影画面の表示例である。
図7に示すように、撮影画面が表示されているとき、本配筋計測システム1の携帯端末装置10における表示部15の表示領域には、タイトルバー201と、タスクバー202と、メイン表示領域203とが主に表示されている。
タイトルバー201は、画面上端の横長棒状領域に表示されている。このタイトルバー201には、起動中のアプリケーションソフトウエアの名称(タイトル)が表示されている。図7の表示例では、名称(タイトル)を「配筋計測システム」としている。
また、タイトルバー201には、電源(バッテリ)充電状況を示す充電アプリアイコン201aや、当該アプリケーションソフトウエアを終了するための終了アプリアイコン201bと、ユーザー名201cと、ログアウト操作ボタン201dなどが合わせて表示されている。
タスクバー202は、画面下端の横長棒状領域に表示されている。このタスクバー202は、使用頻度の高い他のアプリケーションソフトウエアを起動させるための複数のアプリアイコン202aや、起動中のアプリケーションソフトウエアを示す複数のアプリアイコン202bなどのほか、日時情報等202cが表示される領域である。
なお、タイトルバー201やタスクバー202の表示形態は、携帯端末装置10の基本ソフトウエア(OS;Operating System)に依存するものである。したがって、その表示形態は、図示の表示例に限られることはない。また、これらの領域(タイトルバー201,タスクバー202)の表示形態は、本発明に直接関連するものではない。
メイン表示領域203は、撮影画面においてタイトルバー201及びタスクバー202以外の表示領域であって主要となる表示領域である。メイン表示領域203には、画面名表示203eと、左右2つの撮影ボタン203gと、画像表示領域203hと、所定の操作指示ボタン203kと、サブ画面領域203tと、タイトル表示203uと、黒板表示指示欄203vと、計測結果表示欄203wと、ナビゲーションバー204とが表示されている。
ここで、画面名表示203eは、当該画面が撮影画面であることを示す表示である。図7の表示例では、当該画面が撮影画面であることを示す表示であり、具体的には「撮影」との表示例を示している。
2つの撮影ボタン203gは、撮像ユニット20の撮像動作を指示する撮像指示信号を発生させるための操作ボタンである。これら2つの撮影ボタン203gは、使用者(ユーザ)の手指によるタッチパネル14へのタップ操作に対応して撮像指示信号を発生させる機能を有する操作ボタンである。
なお、実際に撮影動作を行うには、2つの撮影ボタン203gのうちの一方のみをタップ操作することにより、撮像制御部21a(図2参照)は、2つの撮像部22L,22Rを制御して、同時に2つの撮影画像データを取得する制御を行う。撮影ボタン203gは、利用者の利き手に配慮して2つ設けられている。したがって、2つの撮影ボタン203gは、どちらを操作しても同じ動作が行われる。
この場合において、2つの撮影ボタン203gのメイン表示領域203内における配置は、使用者(ユーザ)が立った状態で、当該配筋計測システム1を手に持って操作するとき、左右両手で当該配筋計測システム1の2つの把持部104を保持しつつ、かつ左右両手の例えば各親指を用いて2つの撮影ボタン203gをタップ操作しやすいような領域としている。
例えば、図7に示すように、当該2つの撮影ボタン203gのうちの一方はメイン表示領域203の右端寄りの所定の領域に、他方は左端寄りの所定の領域に、それぞれ設けられている。さらに、このとき、2つの撮影ボタン203gは、メイン表示領域203内において、上端寄りの位置に配置すればなおよい。
画像表示領域203hは、撮像ユニット20によって取得された画像データに基づく画像を表示する矩形状の表示領域である。この画像表示領域203hは、メイン表示領域203の略中央部分の大部分の領域が相当している。
図7の表示例では、画像表示領域203hの全体を用いて撮影により取得された画像データに基づく2つの撮影画像のうちの一方の撮影画像301(表示例は、図5の左用画像400Lに対応する画像)が表示されている。ここでは、特定の工事現場における鉄筋構造を検査対象物として撮影している場合の表示例を示している。
また、図7においては、当該撮影画像301のうちの一部領域(左端寄りの領域)に、黒板画像302が重畳表示されている。この黒板画像302の表示領域は、上述したように、合成画像不使用領域402Rである。
そして、この黒板画像302の重畳表示は、例えば黒板表示指示欄203vのチェックボックスのチェックを外すことで非表示とすることができる。
即ち、黒板表示指示欄203vは、画像表示領域203h内への黒板画像302の表示又は非表示を指示する設定欄表示である。黒板表示指示欄203vはチェックボックスを有する表示形態となっている。使用者(ユーザ)は、このチェックボックスに対するタップ操作などを行うことによって、チェックボックスに対するチェックマークの挿入若しくは削除を行うことで、黒板画像302を重畳表示するか否かの指示を明示することができる。図7の表示例では、黒板表示指示欄203vのチェックボックスにチェックマークが付与されており、画像表示領域203h内の所定の領域(合成画像不使用領域402R)に黒板画像302が表示されている状態を示している。
所定の操作指示ボタン203kは、撮影の結果取得された画像データを記録媒体に記録するための「保存(計測なし)」ボタンである。なお、図7の撮影画面で実行される保存処理は、この撮影画面に対応する処理よりも後段で行われる計測処理前に、撮影画像データのみを保存する処理としている。このことから、この撮影画面での操作指示ボタン203kの名称は、「保存(計測なし)」の表示例となっている。
サブ画面領域203tは、一つ前の撮影により取得された画像データに基づく画像のサムネイルを表示するサブ表示領域である。サブ画面領域203tを設けることで、一つ前の検査エビデンスが取得できたことを確認することができる。したがって、次の作業に入るために、一つ前の画像を表示して確認するようにしている。
タイトル表示203uは、この撮影画面の処理よりも前段の処理にて取り込まれた検査対象物に関する情報に含まれるタイトル情報の表示である。
計測結果表示欄203wは、撮影画像データに基づいて行われる計測処理結果が表示される表示領域である。図7に示す撮影画面が表示されている時点では、計測結果表示欄203wは計測処理の実施前であるので、空欄状態の表示となっている。
ナビゲーションバー204は、メイン表示領域203の下端寄りの横長棒状領域に表示されている。このナビゲーションバー204には、所定の表示形態のナビゲーションフロー204aと、複数の操作指示ボタン204bなどが表示されている。
ここで、ナビゲーションフロー204aは、配筋検査の一連の作業に関する複数の機能群を表示するための表示形態の一種である。本実施形態で例示するナビゲーションフロー204aは、配筋検査における作業を細分化して機能群として入力する複数の入力部としての複数の機能群アイコンと、この複数の機能群アイコンのそれぞれに各対応する機能群を示すために対応する機能群アイコンの近傍に表示される機能名称表示とを含む表示形態である。
この場合において、配筋検査における作業のそれぞれを、複数の作業工程毎に細分化し、細分化された複数の作業工程に関して一纏めにしたものを所定の機能群という。そして、上記複数の機能群アイコンは、一つの機能群に対応して関連付けられており、機能群指示ボタンとして機能する。
そして、各機能群アイコンは、規定の手順通りに直線上に並べられ、それぞれが連結された形態で表示されている。
したがって、ナビゲーションフロー204aは、実施中の検査機能群の名称を手順に沿って一覧する機能を有している。また、ナビゲーションフロー204aは、現在実施中の作業に対応する機能群アイコンを明示する機能を有している。つまり、使用者(ユーザ)は、現在、どの作業をしているのかを明確に認識することが容易にできる。これと同時に、ナビゲーションフロー204aは、次に行うべき作業を予め知ることも容易にできる。
このように、ナビゲーションフロー204aは、配筋検査自体に不慣れな使用者(ユーザ)が、必要な作業手順を十分に認識(把握)していなくても、配筋検査の決められた手順通りに確実に検査を進めることができるようにナビゲート(誘導)する表示である。
さらに、ナビゲーションフロー204aを用いると、例えば、配筋検査の作業中に、現在実施中の作業よりも以前の作業工程に戻ることを可能としている。この場合においては、後述するように、操作指示ボタン204bの「戻る」ボタンを用いれば、一工程ずつ作業手順を遡ることができる。したがって、一連の作業手順を把握していなくても(不慣れな使用者(ユーザ)でも)、戻るボタンを操作し続ければ、容易に以前の作業工程のうちの所望する作業工程に戻ることができる。
一方、ナビゲーションフロー204aの機能群アイコンは、各機能群が作業手順に従って順に並べて直線上に表示されているものである。したがって、配筋検査に習熟した使用者(ユーザ)であれば、配筋検査の一連の作業手順がわかっている(把握している)ので、数工程前の作業工程に戻りたいときには、直接所望の作業名を指定して、ナビゲーションフロー204aの対応する機能群アイコンへの操作を行えばよい。そうすると、当該所望の作業画面に切り換わり、当該所望の作業を即座に開始することができるようになる。したがって、習熟者にとってのナビゲーションフロー204aは、操作上の煩わしさを感じずに、良好な操作性を得ることができる表示であり操作手段である。
なお、ナビゲーションバー204における複数の操作指示ボタン204bは、例えば、現在実施中の処理画面(撮影画面)から一つ前の処理画面へと移動するための「戻る」ボタンと、現在実施中の処理画面(撮影画面)から一つ次の処理画面へと移動するための「進む」ボタンなどである。
図7の撮影画面において、使用者(ユーザ)は所定の撮影動作のための所定の操作を実行する。この所定の撮像動作は、例えば2つの撮影ボタンのうちの1つをタップ操作することで開始される。そして、撮影動作の結果取得された2つの画像データは、揮発メモリーからなる一時記憶領域(不図示)に一時的に記録される。なお、この一時記憶領域は、図2において図示を省略しているが、撮像ユニット20側に設けられていてもよいし、携帯端末装置10側に設けられていてもよい。
これと同時に、当該2つの画像データは、撮像ユニット20或いは携帯端末装置10において所定の画像処理が施される。その後、2つの画像データのうちの1つ(例えば左用画像データ)が表示部15へと伝送されて画像表示領域203hに表示される。これと同時に、当該表示中の画像データに関連する黒板画像302が所定の領域に重畳表示される。こうして表示される形態の画像が検査画像となる。図7の表示例では、検査画像の例として、図5の符号410に相当する画像を示している。
なお、検査画像における合成画像不使用領域(図5,図6の符号402L,402R)に、黒板画像302を表示する場合には、図5,図6等に示すように、黒板画像302の幅方向の寸法を合成画像不使用領域(402L,402R)の幅方向の寸法に合わせることで、黒板画像302は、その幅方向を最大表示とすることができる。
一方、検査画像410の上下方向(縦方向)においては、多少の余裕があるため、黒板画像302自体は、合成画像不使用領域402R内において、上下方向(縦方向)における表示位置を任意に変更することができる。そのためには、例えば表示中の黒板画像302をスワイプ操作して、所望の位置へと黒板画像302を移動させるなどの操作によって可能である。
そして、表示中の検査画像を保存するには、撮影動作の後、「保存(計測なし)」ボタン(203k)をタップ操作する。これにより、当該撮影動作によって取得された2つの画像データ及び検査画像は、記録部12の記録媒体(不図示の不揮発メモリー)にデータファイルとして記録される。ここでは、さらに、2つの画像データに基づいて生成された3次元合成画像データも合わせて記録される。
以上説明したように上記一実施形態によれば、左右に視差のある2つの画像データを取得するために、所定の間隔(基線長)をおいて水平方向に並べて配置された2つの撮像部22L,22Rを有している。これら2つの撮像部22L,22Rにより取得された2つの画像データに基づいて、3次元合成画像データを作成したり検査対象物(鉄筋,配筋)についての各種の計測処理を行う。
ここで、3次元合成画像データを作成する際には、2つの画像データの各画像領域のうち3次元合成画像データの合成に使用した合成画像使用領域と、3次元合成画像データの合成に使用しない合成画像不使用領域とを、画像弁別部11mにより弁別し、複数の画像データに画像弁別情報を関連付ける。さらに、合成画像使用領域の範囲内で検査対象を絞り込む操作、即ち、所望の計測範囲を指定する操作がなされると、画像弁別部11mは、合成画像領域の範囲内において、計測に使用される計測範囲と、計測に使用されない非計測範囲とを弁別し、画像弁別情報として複数の画像データに関連付ける。
そして、表示制御部11aは、2つの画像データに関連する黒板画像データに基づく黒板画像を、2つの画像データに基づく2つの画像のいずれか1つに重畳して表示させる。その際に、表示制御部11aは、2つの画像データにおいて画像弁別部11mにより合成画像不使用領域として弁別された領域、及び非計測範囲として弁別された範囲に黒板画像を重畳させて表示させる表示制御を行う。
このような構成により、本実施形態の配筋計測システム1においては、2つの画像データに基づく2つの画像の各画像領域には、3次元合成画像データの合成に使用する合成画像使用領域(計測処理に使用される領域でもある)のほかに、3次元合成画像データの合成に使用されない合成画像不使用領域(計測処理に使用されない領域でもある)が生じる。
そこで、本実施形態の配筋計測システム1においては、このうち合成画像不使用領域及び非計測範囲のみに黒板画像を重畳表示するようにしている。
これによれば、黒板画像は合成画像不使用領域及び非計測範囲のみに表示されるので、合成に使用し若しくは計測処理に使用する合成画像使用領域を、黒板画像が干渉することがない。したがって、黒板画像が、3次元画像合成処理や計測処理を阻害してしまうようなことがないので、常に確実に3次元画像合成処理や計測処理を実行することができる。
なお、本実施形態の配筋計測システム1においては、例えばプログラムで構成した部分を適宜、回路に置き換えることも可能である。上述の一実施形態の説明中において、「部」(セクションやユニット)として記載した部分は、専用の回路や、複数の汎用の回路を組み合わせて構成してもよく、必要に応じて、予めプログラムされたソフトウエアに従って動作を行うマイコン、CPUなどのプロセッサ、あるいはFPGAなどシーケンサを組み合わせて構成されてもよい。また、その制御の一部または全部を外部の装置が引き受けるような設計も可能である。この場合、有線や無線の通信回路が介在する通信として、例えばブルートゥース(登録商標)やWiFi(登録商標)、電話回線などで行えばよく、また、USB通信などで行っても良い。
また、専用の回路、汎用の回路や制御部を一体としてASICとして構成してもよい。機械的に位置制御される部位(例えば移動部など)は、様々なアクチュエータと、必要に応じて移動用の連結メカニズムによって構成されており、駆動回路によってアクチュエータが作動する。この駆動回路もまた、特定のプログラムに従ってマイコンやASICなどが制御する。こうした制御は各種センサやその周辺回路が出力する情報によって、詳細な補正、調整などが行われても良い。
また、上述の操作手順を実現する制御や機能は、多くがソフトウエアプログラムにより実現されていることが多くある。そのソフトウエアプログラムは、コンピュータが読み取って実行することにより、上述の各制御や機能を実現することができる。そのソフトウエアプログラムは、コンピュータプログラム製品として、予め製品製造過程において上記記憶媒体や記憶部等、具体的には例えばフレキシブルディスク CD-ROM等 不揮発性メモリ等の可搬媒体やハードディスク 揮発性メモリ等の記憶媒体に、その全体あるいは一部を記憶又は記録されている電子データである。また、これとは別に、製品出荷時に流通や提供ができ、可搬媒体或いは通信回線を介して流通や提供ができるものがある。利用者は、製品出荷後であっても、自ら通信ネットワークやインターネット等を介して、それらのソフトウエアプログラムをダウンロードしてコンピュータにインストールしたり、あるいは記憶媒体から、対応する装置ユニット(撮像ユニット)を備えたコンピュータにインストールすることで動作させるようにすることができ、これによって、容易に本実施形態の配筋検査システムを実現することができる。
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲内において種々の変形や応用を実施することができることは勿論である。さらに、上記実施形態には、種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせによって、種々の発明が抽出され得る。例えば、上記一実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題が解決でき、発明の効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。この発明は、添付のクレームによって限定される以外にはそれの特定の実施態様によって制約されない。