JP7319525B2 - オーステナイト系ステンレス鋼材 - Google Patents
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化学組成が、質量%で、
C:0.100%以下、
Si:1.00%以下、
Mn:5.00%以下、
Cr:15.00~22.00%、
Ni:10.00~21.00%、
Mo:1.20~4.50%、
P:0.050%以下、
S:0.050%以下、
Al:0.100%以下、
N:0.100%以下、及び、
残部がFe及び不純物、からなり、
ASTM E112に準拠したオーステナイト結晶粒度番号が8.0以上であり、
前記オーステナイト系ステンレス鋼材の長手方向に垂直な断面において、転位セル組織率が80%以上である。
転位セル組織率=転位セル組織と認定された視野の個数/視野の総個数×100
化学組成が、質量%で、
C:0.100%以下、
Si:1.00%以下、
Mn:5.00%以下、
Cr:15.00~22.00%、
Ni:10.00~21.00%、
Mo:1.20~4.50%、
P:0.050%以下、
S:0.050%以下、
Al:0.100%以下、
N:0.100%以下、及び、
残部がFe及び不純物、からなり、
ASTM E112に準拠したオーステナイト結晶粒度番号が8.0以上であり、
前記オーステナイト系ステンレス鋼材の長手方向に垂直な断面において、転位セル組織率が80%以上である。
前記オーステナイト結晶粒度番号は8.4以上である。
前記転位セル組織率は83%以上である。
「%」は、特に断りがない限り、質量%を意味する。
本実施形態のオーステナイト系ステンレス鋼材の化学組成は、次の元素を含有する。
炭素(C)は不可避の不純物である。つまり、C含有量は0%超である。Cはオーステナイト結晶粒界に炭化物を生成して、鋼材の耐水素脆性を低下する。C含有量が0.100%を超えれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、鋼材の耐水素脆性が低下する。したがって、C含有量は0.100%以下である。C含有量の好ましい上限は0.080%であり、さらに好ましくは0.060%であり、さらに好ましくは0.040%であり、さらに好ましくは0.030%である。C含有量はなるべく低い方が好ましい。しかしながら、C含有量を過剰に低減すれば、製造コストが高くなる。したがって、通常の工業生産を考慮すれば、C含有量の好ましい下限は0.001%であり、さらに好ましくは0.002%であり、さらに好ましくは0.005%である。
シリコン(Si)は不可避に含有される。つまり、Si含有量は0%超である。Siは、鋼を脱酸する。Siが少しでも含有されれば、この効果がある程度得られる。しかしながら、Si含有量が高すぎれば、SiがNi及びCr等と結合してシグマ(σ)相の形成を助長する。Si含有量が1.00%を超えれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、σ相の生成により、鋼材の熱間加工性及び靭性が低下する。したがって、Si含有量は1.00%以下である。Si含有量の好ましい上限は0.90%であり、さらに好ましくは0.70%であり、さらに好ましくは0.50%である。Si含有量を過剰に低減すれば、製造コストが高くなる。したがって、通常の工業生産を考慮すれば、Si含有量の好ましい下限は0.01%であり、さらに好ましくは0.02%である。鋼の脱酸作用をより有効に高めるためのSi含有量の好ましい下限は0.10%であり、さらに好ましくは0.20%である。
マンガン(Mn)は不可避に含有される。つまり、Mn含有量は0%超である。Mnは、オーステナイトを安定化させる。しかしながら、Mn含有量が高すぎれば、δフェライトの生成が促進される。Mn含有量が5.00%を超えれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、δフェライトが生成して、鋼材の耐水素脆性が低下する。したがって、Mn含有量は5.00%以下である。Mn含有量の好ましい下限は0.30%であり、さらに好ましくは0.50%であり、さらに好ましくは1.00%であり、さらに好ましくは1.50%である。Mn含有量の好ましい上限は4.80%であり、さらに好ましくは4.30%であり、さらに好ましくは3.80%であり、さらに好ましくは3.30%であり、さらに好ましくは2.95%である。
クロム(Cr)は、鋼材の耐水素脆性を高める。Crはさらに、転位セル組織の生成を促進する。Cr含有量が15.00%未満であれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、これらの効果が十分に得られない。一方、Cr含有量が22.00%を超えれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、粗大なM23C6等の炭化物が生成して、鋼材の加工性及び靭性を低下したり、耐水素脆性を低下したりする。したがって、Cr含有量は15.00~22.00%である。Cr含有量の好ましい下限は15.50%であり、さらに好ましくは16.00%であり、さらに好ましくは16.50%である。Cr含有量の好ましい上限は21.50%であり、さらに好ましくは21.00%であり、さらに好ましくは20.50%である。
ニッケル(Ni)は、オーステナイトを安定化させて、加工誘起マルテンサイトの生成を抑制し、鋼材の耐水素脆性を高める。Ni含有量が10.00%未満であれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、上記効果が十分に得られない。一方、Ni含有量が21.00%を超えれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、上記効果が飽和して、製造コストが高くなるだけである。したがって、Ni含有量は10.00~21.00%である。Ni含有量の好ましい下限は10.50%であり、さらに好ましくは11.00%であり、さらに好ましくは11.50%であり、さらに好ましくは12.00%であり、さらに好ましくは13.20%である。Ni含有量の好ましい上限は17.50%であり、さらに好ましくは17.00%であり、さらに好ましくは16.50%である。
モリブデン(Mo)は鋼材の耐水素脆性及び強度を高める。Moはさらに、結晶粒を微細化し、転位セル組織を生成しやすくする。Mo含有量が1.20%未満であれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、この効果が得られない。一方、Mo含有量が4.50%を超えれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、その効果は飽和し、製造コストが高くなるだけである。したがって、Mo含有量は1.20~4.50%である。Mo含有量の好ましい下限は1.30%であり、さらに好ましくは1.40%であり、さらに好ましくは1.60%である。Mo含有量の好ましい上限は3.50%であり、さらに好ましくは3.00%であり、さらに好ましくは2.50%である。
燐(P)は不可避に含有される不純物である。つまり、P含有量は0%超である。P含有量が0.050%を超えれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、鋼材の熱間加工性及び靭性が低下する。したがって、P含有量は0.050%以下である。P含有量の好ましい上限は0.030%であり、さらに好ましくは0.025%である。P含有量はなるべく低い方が好ましい。しかしながら、P含有量の過剰な低減は、製造コストを増大する。したがって、通常の工業生産を考慮すれば、P含有量の好ましい下限は0.001%であり、さらに好ましくは0.005%である。
硫黄(S)は不可避に含有される不純物である。つまり、S含有量は0%超である。S含有量が0.050%を超えれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、鋼材の熱間加工性及び靭性が低下する。したがって、S含有量は0.050%以下である。S含有量の好ましい上限は0.030%であり、さらに好ましくは0.025%である。S含有量はなるべく低い方が好ましい。しかしながら、S含有量の過剰な低減は、製造コストを増大する。したがって、通常の工業生産を考慮すれば、S含有量の好ましい下限は0.001%であり、さらに好ましくは0.002%である。
アルミニウム(Al)は不可避に含有される。つまり、Al含有量は0%超である。Alは鋼を脱酸する。Alが少しでも含有されれば、この効果がある程度得られる。しかしながら、Al含有量が0.100%を超えれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、鋼材中に酸化物及び金属間化合物が生成しやすくなり、鋼材の靱性が低下する。したがって、Al含有量は0.100%以下である。鋼材をより有効に脱酸するためのAl含有量の好ましい下限は0.001%であり、さらに好ましくは0.002%である。Al含有量の好ましい上限は0.050%であり、さらに好ましくは0.040%である。本明細書において、Al含有量はsol.Al(酸可溶Al)の含有量を意味する。
窒素(N)は不可避に含有される。つまり、N含有量は0%超である。Nは鋼材の強度を高める。Nが少しでも含有されれば、上記効果がある程度得られる。しかしながら、N含有量が0.100%を超えれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、粗大な窒化物が生成しやすくなる。したがって、N含有量は0.100%以下である。N含有量の好ましい下限は0.001%であり、さらに好ましくは0.005%であり、さらに好ましくは0.010%である。N含有量の好ましい上限は0.090%であり、さらに好ましくは0.080%であり、さらに好ましくは0.070%である。
本実施形態のオーステナイト系ステンレス鋼材において、ASTM E112に準拠したオーステナイト結晶粒度番号は8.0以上である。ここで、ASTMはアメリカ材料試験協会(American Society for Testing and Material)の略称である。
本実施形態のオーステナイト系ステンレス鋼材はさらに、ミクロ組織において、転位セル組織率が80%以上である。ここで、転位セル組織率は、次の方法で定義される。
本実施形態のオーステナイト系ステンレス鋼材の長手方向に垂直な断面において、各視野のサイズが4.2μm×4.2μmの任意の15視野を選定する。選定された各視野において、TEM画像(明視野像)を生成する。生成したTEM画像において、転位密度が高いセル壁領域101と、転位密度が低い低密度転位領域102とを特定する。各視野において、特定された複数の低密度転位領域102のうち、0.20μm2以上の低密度転位領域102が9個以上存在する視野を、転位セル組織が形成されている視野と認定する。すべての視野数(15視野)に対する、転位セル組織が形成されている視野数の割合を、転位セル組織率(%)と定義する。
オーステナイト系ステンレス鋼材の長手方向に垂直な断面において、上述のサンプル採取位置P1~P3から転位セル組織観察用のサンプルP1~P3を採取する。各サンプルP1~P3の被検面は、オーステナイト系ステンレス鋼材の長手方向に垂直な断面とする。サンプルP1~P3の厚さが30μmになるまで湿式研磨を行う。湿式研磨後、過塩素酸(10vol.%)とエタノール(90vol.%)との混合液を用いて、各サンプルP1~P3に対して電解研磨を実施して、薄膜サンプルP1~P3とする。各薄膜サンプルP1~P3の被検面に対して、透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope:TEM)を用いた組織観察を実施する。具体的には、各サンプルの被検面のうち、任意の5視野でTEM観察を実施する。各視野のサイズは4.2μm×4.2μmの矩形とする。TEM観察時の加速電圧は200kVとする。<110>の入射電子線により観察可能な結晶粒を観察対象とする。各視野において明視野像を生成する。
転位セル組織率=転位セル組織と認定された視野の個数/視野の総個数×100
本実施形態のオーステナイト系ステンレス鋼材の形状は特に限定されない。本実施形態のオーステナイト系ステンレス鋼材は鋼管であってもよい。本実施形態のオーステナイト系ステンレス鋼材は棒鋼であってもよい。本実施形態のオーステナイト系ステンレス鋼材は鋼板であってもよい。本実施形態のオーステナイト系ステンレス鋼材は、鋼管、棒鋼、鋼板以外の他の形状であってもよい。
本実施形態のオーステナイト系ステンレス鋼材は、耐水素脆性及び疲労強度が求められる用途に広く適用可能である。本実施形態のオーステナイト系ステンレス鋼材は特に、高圧水素ガス環境用途の部材に利用可能である。高圧水素ガス環境用途とはたとえば、燃料電池自動車に搭載される高圧水素容器に利用される部材や、燃料電池自動車に水素を供給する水素ステーションに設置される高圧水素容器に利用される部材等である。ただし、本実施形態のオーステナイト系ステンレス鋼材は、高圧水素ガス環境用途に限定されない。上述のとおり、本実施形態のオーステナイト系ステンレス鋼材は、耐水素脆性及び疲労強度が要求される用途に広く適用可能である。
本実施形態のオーステナイト系ステンレス鋼材の製造方法の一例を説明する。本実施形態のオーステナイト系ステンレス鋼材の製造方法の一例は、準備工程と、第1熱処理工程と、第1冷間加工工程と、第2熱処理工程と、第2冷間加工工程とを含む。以下、各工程について詳述する。
準備工程では、上述の化学組成を有する鋼材を準備する。上述の化学組成を有する鋼材は、第三者から購入したものを利用してもよい。また、製造したものを利用してもよい。鋼材を製造する場合、たとえば、次の方法で製造する。
減面率=(1-熱間加工後の鋼材の長手方向に垂直な断面積/熱間加工前の素材の長手方向に垂直な断面積)×100
第1熱処理工程では、上述の化学組成を有する鋼材に対して、950~1200℃の範囲内であって、かつ、式(1)を満たす熱処理温度T1で熱処理を実施する。第1熱処理工程にはたとえば、熱処理炉が利用される。
後述する。
第1冷間加工工程では、第1熱処理工程後の鋼材に対して冷間加工を実施する。冷間加工はたとえば、冷間抽伸、冷間鍛造、冷間圧延等である。たとえば、鋼材が鋼管又は棒鋼である場合、冷間抽伸を実施する。鋼材が鋼板である場合、冷間圧延を実施する。
断面減少率RR1=(1-(第1冷間加工工程での冷間加工完了後の鋼材の断面積/第1冷間加工工程前の鋼材の断面積))×100
ここで、鋼材の断面積とは、鋼材の長手方向(軸方向)に垂直な断面の面積(mm2)
を意味する。
第1冷間加工工程後の鋼材に対して、第2熱処理工程を実施する。第2熱処理工程では、オーステナイト結晶粒を微細化する。これにより、鋼材の強度を高くすることができ、かつ、次工程の第2冷間加工工程で転位セル組織を現出させることができる。
本実施形態ではさらに、第1熱処理工程の熱処理温度T1と、第1冷間加工工程の断面減少率RR1と、第2熱処理工程の熱処理温度T2とが、式(1)を満たすように、熱処理温度T1、断面減少率RR1、及び、熱処理温度T2を設定する。
RR1/(T1+T2)≧1.80×10-2 (1)
第2冷間加工工程では、第2熱処理工程後の鋼材に対して冷間加工を実施する。冷間加工はたとえば、冷間抽伸、冷間鍛造、冷間圧延等である。たとえば、鋼材が鋼管又は棒鋼である場合、冷間抽伸を実施する。鋼材が鋼板である場合、冷間鍛造又は冷間圧延を実施する。
断面減少率RR2=(1-(第2冷間加工工程での冷間加工完了後の鋼材の断面積/第2冷間加工工程前の鋼材の断面積))×100
ここで、鋼材の断面積とは、鋼材の長手方向(軸方向)に垂直な断面の面積(mm2)を意味する。
[結晶粒度番号測定試験]
図8に示すとおり、オーステナイト系ステンレス鋼材の長手方向に垂直な断面(被検面)において板厚をt(mm)として、上面から板厚方向にt/2位置からサンプルP1を採取し、上面から板厚方向にt/4位置からサンプルP2を採取し、下面から板厚方向にt/4位置からサンプルP3を採取した。サンプルP1は、被検面の中心位置がほぼt/2位置に相当するように採取し、サンプルP2は、被検面の中心位置がほぼt/4位置に相当するように採取し、サンプルP3は、被検面の中心位置がほぼt/4位置に相当するように採取した。
図8に示すとおり、オーステナイト系ステンレス鋼材の長手方向に垂直な断面(被検面)において板厚をt(mm)として、上面から板厚方向にt/2位置である採取位置P1、上面から板厚方向にt/4位置である採取位置P2、下面から板厚方向にt/4位置である採取位置P3から、転位セル組織観察用のサンプルP1~P3を採取した。各サンプルP1~P3の被検面は、オーステナイト系ステンレス鋼材の長手方向に垂直な断面とした。サンプルの厚さが30μmになるまで湿式研磨を行った。湿式研磨後、過塩素酸(10vol.%)とエタノール(90vol.%)との混合液を用いて、各サンプルP1~P3に対して電解研磨を実施して、薄膜サンプルP1~P3を作製した。各薄膜サンプルP1~P3の被検面に対して、TEMを用いた組織観察を実施した。具体的には、各薄膜サンプルP1~P3の被検面のうち、任意の5視野(薄膜サンプルP1で5視野、薄膜サンプルP2で5視野、薄膜サンプルP3で5視野)でTEM観察を実施した。各視野のサイズは4.2μm×4.2μmとした。TEM観察時の加速電圧は200kVとした。<110>の入射電子線により観察可能な結晶粒を観察対象とした。各視野において明視野像を生成した。
転位セル組織率=転位セル組織と認定された視野の個数/視野の総個数×100
得られた転位セル組織率を表2に示す。
各試験番号の鋼板に対して、低ひずみ速度引張試験(Slow Strain Rate Test:SSRT)を実施した。具体的には、鋼板の板厚中央位置から、丸棒引張試験片を複数作製した。丸棒引張試験片の平行部の直径は3.0mmであり、平行部は鋼板の長手方向(圧延方向に相当)に平行であった。平行部の中心軸は、鋼板の板厚中央位置とほぼ一致した。丸棒引張試験片の平行部の表面は、♯150、♯400、及び、♯600のエミリー紙の順に研磨した後、アセトンで脱脂した。得られた丸棒試験片を用いて、常温大気中にて、ひずみ速度3.0×10-5/秒で引張試験を実施して、破断絞り(破断伸び、単位は%)を得た。
相対破断絞り=90MPaの水素ガス中での破断絞り/室温大気中での破断絞り×100
各試験番号の鋼板に対して、疲労試験を実施した。具体的には、鋼板の板厚中央位置から丸棒平滑疲労試験片を作製した。丸棒平滑疲労試験片の平行部の直径は8.0mmであり、平行部は鋼板の長手方向(圧延方向に相当)に平行であった。平行部の中心軸は、鋼板の板厚中央位置とほぼ一致した。疲労試験前に、丸棒平滑疲労試験片の表面を電解研磨した。
表2に試験結果を示す。試験番号1、2、9、10、12及び14の化学組成は適切であり、第1熱処理工程での熱処理温度T1、第1冷間加工工程での断面減少率RR1、第2熱処理工程での熱処理温度T2、及び、第2冷間加工工程での断面減少率RR2が適切であり、かつ、F1が式1を満たした。そのため、製造されたオーステナイト系ステンレス鋼材のASTM E112に準拠したオーステナイト結晶粒度番号が8.0以上であり、かつ、転位セル組織率が80%以上であった。その結果、疲労強度が300MPaを超えた。さらに、相対破断絞りが90.0%以上であり、優れた耐水素脆性を示した。
102 低密度転位領域
Claims (3)
- オーステナイト系ステンレス鋼材であって、
化学組成が、質量%で、
C:0.100%以下、
Si:1.00%以下、
Mn:5.00%以下、
Cr:15.00~22.00%、
Ni:10.00~21.00%、
Mo:1.20~4.50%、
P:0.050%以下、
S:0.050%以下、
Al:0.100%以下、
N:0.100%以下、及び、
残部がFe及び不純物、からなり、
ASTM E112に準拠したオーステナイト結晶粒度番号が8.0以上であり、
前記オーステナイト系ステンレス鋼材の長手方向に垂直な断面において、転位セル組織率が80%以上である、
オーステナイト系ステンレス鋼材。 - 請求項1に記載のオーステナイト系ステンレス鋼材であって、
前記オーステナイト結晶粒度番号は8.4以上である、
オーステナイト系ステンレス鋼材。 - 請求項1又は請求項2に記載のオーステナイト系ステンレス鋼材であって、
前記転位セル組織率は83%以上である、
オーステナイト系ステンレス鋼材。
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