JP7318511B2 - 全固体電池 - Google Patents
全固体電池 Download PDFInfo
- Publication number
- JP7318511B2 JP7318511B2 JP2019218469A JP2019218469A JP7318511B2 JP 7318511 B2 JP7318511 B2 JP 7318511B2 JP 2019218469 A JP2019218469 A JP 2019218469A JP 2019218469 A JP2019218469 A JP 2019218469A JP 7318511 B2 JP7318511 B2 JP 7318511B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- layer
- metal
- solid
- positive electrode
- negative electrode
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Images
Classifications
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02E—REDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
- Y02E60/00—Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
- Y02E60/10—Energy storage using batteries
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02P—CLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
- Y02P70/00—Climate change mitigation technologies in the production process for final industrial or consumer products
- Y02P70/50—Manufacturing or production processes characterised by the final manufactured product
Landscapes
- Secondary Cells (AREA)
- Battery Electrode And Active Subsutance (AREA)
Description
電池の中でもリチウム金属二次電池は、金属の中で最大のイオン化傾向を持つリチウムを負極として用いるため、正極との電位差が大きく、高い出力電圧が得られるという点で注目されている。
また、全固体電池は、正極と負極の間に介在する電解質として、有機溶媒を含む電解液に替えて固体電解質を用いるという点で注目されている。
本開示は、上記実情に鑑み、充放電効率が高い全固体電池を提供することを目的とする。
負極集電体、球状炭素材料と樹脂を含むLi吸蔵層、リチウムと合金化が可能な金属Mを含む金属M層、固体電解質層、及び、正極層をこの順に有し、
前記金属M層の厚みが30nm以上5μm以下であることを特徴とする全固体電池を提供する。
負極集電体、球状炭素材料と樹脂を含むLi吸蔵層、リチウムと合金化が可能な金属Mを含む金属M層、固体電解質層、及び、正極層をこの順に有し、
前記金属M層の厚みが30nm以上5μm以下であることを特徴とする全固体電池を提供する。
本開示において、全固体電池の満充電時とは、全固体電池の充電状態値(SOC:State of Charge)が100%の状態の時を意味する。SOCは、電池の満充電容量に対する充電容量の割合を示すものであり、満充電容量がSOC100%である。
SOCは、例えば、全固体電池の開放電圧(OCV:Open Circuit Voltage)から推定してもよい。
図1に示すように、全固体電池100は、負極集電体11と固体電解質層12と正極層13と正極集電体14をこの順に備え、負極集電体11と固体電解質層12との間に負極集電体11側から順にLi吸蔵層15とLiと合金化が可能な金属Mを含む金属M層16を備える。なお、金属M層16は、初回充電後の満充電時はリチウムと金属Mとの合金を含むLi-M合金層となっていてもよい。図1において負極層は図示していないが、本開示においては、負極集電体11と固体電解質層12との間には負極層が存在していてもよい。また、負極層は負極集電体11と固体電解質層12との間であれば、負極集電体11とLi吸蔵層15との間、Li吸蔵層15と金属M層16との間、及び、金属M層16と固体電解質層12との間の少なくともいずれかの位置に存在していてもよい。さらに、負極層が金属リチウムからなる場合、満充電時の全固体電池100は、負極層が存在していてもよく、初回充電前や完全放電後の全固体電池100は、負極層が溶解して消失していてもよい。
負極集電体の材料は、Liと合金化しない材料であってもよく、例えばSUS、銅、及び、ニッケル等を挙げることができる。負極集電体の形態としては、例えば、箔状、及び、板状等を挙げることができる。負極集電体の平面視形状は、特に限定されるものではないが、例えば、円状、楕円状、矩形状、及び、任意の多角形状等を挙げることができる。また、負極集電体の厚さは、形状によって異なるものであるが、例えば1μm~50μmの範囲内であり、5μm~20μmの範囲内であってもよい。
Li吸蔵層は、球状炭素材料と樹脂を含む混合体の層であり、負極集電体と固体電解質層との間に配置される層である。
球状炭素材料としては、例えば、ケッチェンブラック(KB)等が挙げられる。
樹脂としては、例えば、アクリロニトリルブタジエンゴム(ABR)、ブタジエンゴム(BR)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、及び、スチレンブタジエンゴム(SBR)等を例示することができる。
Li吸蔵層中の球状炭素材料と樹脂の質量比率は、特に限定されないが、これら2種類の材料の総質量を100質量%としたときの質量比が、球状炭素材料:樹脂=10:90~90:10であってもよく、球状炭素材料:樹脂=25:75~75:25であってもよい。
球状炭素材料と樹脂から構成される混合体を作製する方法としては、例えば、乳鉢と乳棒を用いた手混ぜ混合や、ホモジナイザー、及びメカニカルミリング等を挙げることができる。メカニカルミリングは、乾式メカニカルミリングであっても良く、湿式メカニカルミリングであっても良い。
メカニカルミリングは、球状炭素材料と樹脂を、機械的エネルギーを付与しながら混合する方法であれば特に限定されるものではないが、例えばボールミル、振動ミル、ターボミル、メカノフュージョン、及びディスクミル等を挙げることができ、中でもボールミルであってもよく、特に遊星型ボールミルであってもよい。
ホモジナイザーを用いて混合体を作製する際に用いられる液体としては、極性の非プロトン性液体、無極性の非プロトン性液体等の非プロトン性液体を挙げることができる。
Li吸蔵層の厚みは、特に限定されないが3~20μmであってもよい。
金属M層は、Liと合金化が可能な金属Mを含み、Li吸蔵層と固体電解質層との間に配置される層である。Liと合金化が可能な金属Mとしては、Mg、Au、Al、及び、Snからなる群より選ばれる少なくとも一種の金属が挙げられ、Mg(金属マグネシウム)であってもよい。金属M層中に金属Mは一種のみ含まれていてもよく、2種以上含まれていてもよく、2種以上の金属Mが合金化して含まれていてもよい。金属M層には金属Mが主成分として含まれていれば、その他の金属が含まれていてもよい。本開示において、主成分とは、層の総質量を100質量%としたとき50質量%以上含まれる成分を意味する。
金属M層の厚みは、30nm~5μmであることにより全固体電池の充放電効率を高くし且つエネルギー密度を高くすることができる。
金属M層は全固体電池の初回充電後は、当該初回充電により金属Mとリチウムイオンが反応してLi-M合金を含むLi-M合金層となっていてもよい。また、Li-M合金層は、電子ビーム蒸着装置を用いて、固体電解質層又はLi吸蔵層の少なくとも一面上にLi-M合金を真空蒸着することにより形成してもよい。
Li-M合金中のリチウム元素の元素比率は、全固体電池の満充電時において、30.0atomic%以上99.8atomic%以下であってもよい。合金中の元素比率は、誘導結合プラズマ(ICP)分析又はX線光電子分光法(XPS)により合金の解析を行うことにより算出することができる。合金の元素比率の算出方法としては、例えば、満充電状態の全固体電池において、全固体電池からLi-M合金層を取り出し、当該Li-M合金層についてICP分析を行い、Li-M合金層に含まれる合金の元素比率を算出する方法等が挙げられる。
本開示においては、例えば組み立て時にLi吸蔵層と負極集電体の間に負極層を設けた全固体電池、または、組み立て時にLi吸蔵層と負極集電体の間に負極層を設けず、その後全固体電池の充電により、負極活物質として金属リチウムを析出させてなる負極層を設けた全固体電池であっても良い。また初回充電後、負極集電体と固体電解質層との間に析出した金属リチウムは、負極活物質として用いられる。さらに、Li-M合金層が負極層として機能してもよい。
負極層は、負極活物質を含む。
負極活物質としては、金属リチウム(Li)及びリチウム合金等が挙げられ、リチウム合金としては、Li-Au、Li-Mg、Li-Sn、Li-Si、Li-Al、Li-B、Li-C、Li-Ca、Li-Ga、Li-Ge、Li-As、Li-Se、Li-Ru、Li-Rh、Li-Pd、Li-Ag、Li-Cd、Li-In、Li-Sb、Li-Ir、Li-Pt、Li-Hg、Li-Pb、Li-Bi、Li-Zn、Li-Tl、Li-Te、及びLi-At等が挙げられる。負極層には負極活物質として金属リチウム又はリチウム合金が主成分として含まれていれば、その他、従来公知の負極活物質が含まれていてもよい。
負極層の厚みは、特に限定されないが、30nm以上5000nm以下であってもよい。
固体電解質層は、少なくとも固体電解質を含む。
固体電解質層に含有させる固体電解質としては、全固体電池に使用可能な公知の固体電解質を適宜用いることができ、酸化物系固体電解質、及び硫化物系固体電解質等が挙げられる。
硫化物系固体電解質としては、例えば、Li2S-P2S5、Li2S-SiS2、LiX-Li2S-SiS2、LiX-Li2S-P2S5、LiX-Li2O-Li2S-P2S5、LiX-Li2S-P2O5、LiX-Li3PO4-P2S5、及びLi3PS4等が挙げられる。なお、上記「Li2S-P2S5」の記載は、Li2SおよびP2S5を含む原料組成物を用いてなる材料を意味し、他の記載についても同様である。また、上記LiXの「X」は、ハロゲン元素を示す。上記LiXを含む原料組成物中にLiXは1種又は2種以上含まれていてもよい。LiXが2種以上含まれる場合、2種以上の混合比率は特に限定されるものではない。
硫化物系固体電解質における各元素のモル比は、原料における各元素の含有量を調整することにより制御できる。また、硫化物系固体電解質における各元素のモル比や組成は、例えば、ICP発光分析法で測定することができる。
硫化物系固体電解質の結晶状態は、例えば、硫化物系固体電解質に対してCuKα線を使用した粉末X線回折測定を行うことにより確認することができる。
熱処理温度は、硫化物ガラスの熱分析測定により観測される結晶化温度(Tc)よりも高い温度であればよく、通常、195℃以上である。一方、熱処理温度の上限は特に限定されない。
硫化物ガラスの結晶化温度(Tc)は、示差熱分析(DTA)により測定することができる。
熱処理時間は、ガラスセラミックスの所望の結晶化度が得られる時間であれば特に限定されるものではないが、例えば1分間~24時間の範囲内であり、中でも、1分間~10時間の範囲内が挙げられる。
熱処理の方法は特に限定されるものではないが、例えば、焼成炉を用いる方法を挙げることができる。
また、固体電解質の粒子の平均粒径(D50)は、特に限定されないが、下限が0.5μm以上であってもよく、上限が2μm以下であってもよい。
固体電解質層中の固体電解質の割合は、特に限定されるものではないが、例えば50質量%以上であり、60質量%以上100質量%以下の範囲内であってもよく、70質量%以上100質量%以下の範囲内であってもよく、100質量%であってもよい。
固体電解質層を形成する方法としては、固体電解質及び必要に応じ他の成分を含む固体電解質材料の粉末を加圧成形する方法等が挙げられる。固体電解質材料の粉末を加圧成形する場合には、通常、1MPa以上600MPa以下程度のプレス圧を負荷する。
加圧方法としては、特に制限されないが、後述する正極層の形成において例示する加圧方法が挙げられる。
正極層は、正極活物質を含み、任意成分として、固体電解質、導電材、及びバインダー等が含まれていてもよい。
正極活物質の形状は特に限定されるものではないが、粒子状であってもよい。
正極活物質の表面には、Liイオン伝導性酸化物を含有するコート層が形成されていても良い。正極活物質と、固体電解質との反応を抑制できるからである。
Liイオン伝導性酸化物としては、例えば、LiNbO3、Li4Ti5O12、及び、Li3PO4等が挙げられる。コート層の厚さは、例えば、0.1nm以上であり、1nm以上であっても良い。一方、コート層の厚さは、例えば、100nm以下であり、20nm以下であっても良い。正極活物質の表面におけるコート層の被覆率は、例えば、70%以上であり、90%以上であっても良い。
正極層における固体電解質の含有量は、特に限定されないが、正極層の総質量を100質量%としたとき、例えば1質量%~80質量%の範囲内であってもよい。
正極層における導電材の含有量は特に限定されるものではない。
例えば、正極活物質、及び、必要に応じ他の成分を溶媒中に投入し、撹拌することにより、正極層用スラリーを作製し、当該正極層用スラリーを正極集電体等の支持体の一面上に塗布して乾燥させることにより、正極層が得られる。
溶媒は、例えば酢酸ブチル、酪酸ブチル、ヘプタン、及びN-メチル-2-ピロリドン等が挙げられる。
正極集電体等の支持体の一面上に正極層用スラリーを塗布する方法は、特に限定されず、ドクターブレード法、メタルマスク印刷法、静電塗布法、ディップコート法、スプレーコート法、ロールコート法、グラビアコート法、及びスクリーン印刷法等が挙げられる。
支持体としては、自己支持性を有するものを適宜選択して用いることができ、特に限定はされず、例えばCu及びAlなどの金属箔等を用いることができる。
加圧方法としては、特に制限されないが、例えば、平板プレス、及びロールプレス等を用いて圧力を付加する方法等が挙げられる。
全固体電池は、通常、正極層の集電を行う正極集電体を有する。
正極集電体としては、全固体電池の集電体として使用可能な公知の金属及びカーボン等を用いることができる。そのような金属としては、Cu、Ni、Al、V、Au、Pt、Mg、Fe、Ti、Co、Cr、Zn、Ge、及びInからなる群から選択される一又は二以上の元素を含む金属材料を例示することができる。
正極集電体の形態は特に限定されるものではなく、箔状、及びメッシュ状等、種々の形態とすることができる。
外装体の材質は、電解質に安定なものであれば特に限定されないが、ポリプロピレン、ポリエチレン、及び、アクリル樹脂等の樹脂等が挙げられる。
全固体電池の形状としては、例えば、コイン型、ラミネート型、円筒型、及び角型等を挙げることができる。
この場合、固体電解質材料の粉末、及び正極合剤の粉末を加圧成形する際のプレス圧は、通常1MPa以上600MPa以下程度である。
加圧方法としては、特に制限されないが、正極層の形成において例示した加圧方法が挙げられる。
[Li吸蔵層の作製]
球状炭素材料としてKBと樹脂としてPVDFを質量比で75:25となるように秤量し、手混ぜ混合後、ヘプタンを加え、ホモジナイザー(株式会社エスエムテー製、UH-50)を用い3分間混合し、Li吸蔵層の材料であるLi吸蔵層材料を得た。
負極集電体としてCu箔を準備し、Li吸蔵層材料をCu箔の一面上に塗工し、乾燥させ、Li吸蔵層をCu箔の一面上に形成した。Li吸蔵層の厚みは20μmとした。
Li吸蔵層の一面上に真空蒸着装置を用いて金属Mとして金属Mgを成膜して、金属Mg層をLi吸蔵層の一面上に形成し、負極集電体-Li吸蔵層-金属Mg層積層体を得た。金属Mg層の厚みは30nmとした。
正極活物質にLiNi1/3Co1/3Mn1/3O2(日亜化学工業社製)の粒子を使用した。この正極活物質の粒子には、予めLiNbO3の表面処理が施されている。この正極活物質、導電材としてVGCF(昭和電工社製)および硫化物系固体電解質(LiBrおよびLiIを含むLi2S-P2S5系材料)を質量比で85.3:1.3:13.4となるように秤量し、混合したものを正極合剤とした。
セラミックス製の型(断面積:1cm2、円筒型の容器を使用)に硫化物系固体電解質(LiBrおよびLiIを含むLi2S-P2S5系材料)の粉末101.7mgを準備し、1ton/cm2の圧力でプレス成型し、固体電解質層を得た。
固体電解質層の片面に対し、上記正極合剤31.3mgを加え、6ton/cm2でプレスすることにより正極層を形成した。
固体電解質層の正極層とは反対側の面上に上記金属Mg層が固体電解質層と接するように負極集電体-Li吸蔵層-金属Mg層積層体を配置し1ton/cm2でプレスすることにより圧粉電池にした。
圧粉電池の正極層側に正極集電体(アルミ箔)を配置し、拘束することによって、実施例1の全固体リチウム金属二次電池が得られた。なお、硫化物系固体電解質を用いる作業は、いずれも、乾燥Ar雰囲気のグローブボックス中で行った。
金属Mg層の厚みを5μmとしたこと以外は実施例1と同様の方法で全固体リチウム金属二次電池を得た。
Li吸蔵層の厚みを3μmとし、金属Mg層の厚みを5μmとしたこと以外は実施例1と同様の方法で全固体リチウム金属二次電池を得た。
Li吸蔵層と金属Mg層を形成しなかったこと以外は実施例1と同様の方法で全固体リチウム金属二次電池を得た。
Li吸蔵層の一面上に金属Mg層を形成しなかったこと以外は実施例1と同様の方法で全固体リチウム金属二次電池を得た。
Li吸蔵層を形成せず、Cu箔の一面上に厚みが100nmの金属Mg層を形成したこと以外は実施例1と同様の方法で全固体リチウム金属二次電池を得た。
(充放電測定)
実施例1で得られた全固体リチウム金属二次電池を用い、予め60℃の恒温槽で3時間放置した後に充放電測定を行った。測定条件として、60℃、電流密度8.7mA/cm2(レート:2C)で定電流(CC)充電し、充電容量が4.35mAh/cm2に到達すると充電を終了し、10分間電池を休止させた。その後、60℃、電流密度0.435mA/cm2(レート:0.1C)でCC放電し、下限電圧が3.0Vに到達すると放電を終了した。
実施例1で得られた全固体リチウム金属二次電池の放電容量と充電容量から下記の式より充放電効率を求めた。
充放電効率(%)=(放電容量/充電容量)×100
実施例2~3と比較例1~3で得られた各全固体リチウム金属二次電池についても実施例1の全固体リチウム金属二次電池と同様に充放電試験を実施し、各充放電効率を求めた。
結果を表1に示す。
充放電効率は、充電容量に対する放電容量の割合であり、短絡が発生したり、Liイオンの移動が阻害されたりすると、充放電効率が低くなる。
KBを含むLi吸蔵層と金属Mg層の両方を有する実施例1~3の全固体リチウム金属二次電池は、Li吸蔵層を有さない比較例1、3の全固体リチウム金属二次電池よりも充放電効率が高かった。これは、Li吸蔵層を有することにより、リチウムデンドライトによる短絡の発生を抑制できたことに起因すると考えられる。
また、実施例1~3の全固体リチウム金属二次電池は、KBを含むLi吸蔵層を有するが、金属Mg層を有さない比較例2の全固体リチウム金属二次電池よりも充放電効率が高かった。このような結果となった理由は以下の通りと推察される。比較例2の全固体リチウム金属二次電池のように、KBを含むLi吸蔵層のみを有すると、Li吸蔵層にクラックが発生した場合に、クラックに金属リチウムの一部が堆積し、クラックに堆積した金属リチウムは、固体電解質と接触できず、全固体電池の放電時に金属リチウムが溶解できない状態になってしまっていると考えられる。これに対し、実施例1~3の全固体リチウム金属二次電池では、金属Mg層が存在することにより、Li吸蔵層にクラックが発生した場合であっても、当該クラックの表面の少なくとも一部を金属Mg層が被覆し、当該クラックに金属リチウムが堆積したとしても当該クラックに堆積した金属リチウムは、金属Mg層との接触が確保され、全固体電池の放電時に、当該クラックに堆積した金属リチウムが溶解してLiイオンとなって金属Mg層に拡散することができ、正極層にLiイオンが移動しやすくなるため、Li吸蔵層を設けたのみの全固体電池の場合よりも全固体電池の充放電効率を向上させることができると考えられる。
Li吸蔵層の厚みは一定で金属Mg層の厚みのみが異なる実施例1~2の全固体リチウム金属二次電池同士を比較すると、金属Mg層が厚い方が、充放電効率が高かった。これは、金属Mg層が厚い方が、Li吸蔵層にクラックが発生した場合に、当該クラックの表面を金属Mg層が被覆する割合が大きくなることで当該クラックの大きさが小さくなるため当該クラックに金属リチウムが堆積し難く、また、当該クラックに金属リチウムが堆積した場合であっても、当該クラックに堆積した金属リチウムと金属Mg層との接触面積が大きくなるため、全固体電池の放電時に、当該クラックに堆積した金属リチウムの溶解が促進され、正極層にLiイオンがより移動しやすくなるためであると考えられる。そのため、金属Mg層の厚みは少なくとも30nm以上であればよく、エネルギー密度に影響が出ない範囲でより厚い方が好ましいと考えられる。
金属Mg層の厚みは一定でLi吸蔵層の厚みのみが異なる実施例2~3の全固体リチウム金属二次電池同士を比較すると、Li吸蔵層の厚みに関わらず、充放電効率が高かった。そのため、Li吸蔵層と30nm以上の厚みの金属Mg層を有していればLi吸蔵層の厚みに関わらず、充放電効率を向上させることができると考えられる。
したがって、本開示によれば、充放電効率が高い全固体電池を提供することができることが実証された。
12 固体電解質層
13 正極層
14 正極集電体
15 Li吸蔵層
16 金属M層
100 全固体電池
Claims (1)
- 負極の反応として金属リチウムの析出-溶解反応を利用した全固体電池であって、
負極集電体、球状炭素材料と樹脂を含むLi吸蔵層、リチウムと合金化が可能な金属Mを含む金属M層、固体電解質層、及び、正極層をこの順に有し、
前記金属M層の厚みが30nm以上5μm以下であり、
前記金属M層が前記金属Mとして金属Mgを含む金属Mg層であることを特徴とする全固体電池。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019218469A JP7318511B2 (ja) | 2019-12-03 | 2019-12-03 | 全固体電池 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019218469A JP7318511B2 (ja) | 2019-12-03 | 2019-12-03 | 全固体電池 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2021089814A JP2021089814A (ja) | 2021-06-10 |
JP7318511B2 true JP7318511B2 (ja) | 2023-08-01 |
Family
ID=76220825
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2019218469A Active JP7318511B2 (ja) | 2019-12-03 | 2019-12-03 | 全固体電池 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP7318511B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2024089460A1 (ja) * | 2022-10-27 | 2024-05-02 | 日産自動車株式会社 | 全固体電池 |
Citations (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013089417A (ja) | 2011-10-17 | 2013-05-13 | Sumitomo Electric Ind Ltd | 非水電解質電池 |
JP2017073205A (ja) | 2015-10-05 | 2017-04-13 | 古河機械金属株式会社 | 全固体型リチウムイオン電池用電極および全固体型リチウムイオン電池 |
WO2018025595A1 (ja) | 2016-08-02 | 2018-02-08 | 日本碍子株式会社 | 全固体リチウム電池の使用方法 |
JP2019033053A (ja) | 2017-08-10 | 2019-02-28 | トヨタ自動車株式会社 | リチウム固体電池、およびリチウム固体電池の製造方法 |
JP2019036537A (ja) | 2017-08-10 | 2019-03-07 | トヨタ自動車株式会社 | リチウム固体電池 |
JP2019036391A (ja) | 2017-08-10 | 2019-03-07 | トヨタ自動車株式会社 | 全固体電池および負極 |
JP2019096610A (ja) | 2017-11-21 | 2019-06-20 | 三星電子株式会社Samsung Electronics Co.,Ltd. | 全固体二次電池およびその充電方法 |
JP2021051866A (ja) | 2019-09-24 | 2021-04-01 | トヨタ自動車株式会社 | 全固体電池 |
-
2019
- 2019-12-03 JP JP2019218469A patent/JP7318511B2/ja active Active
Patent Citations (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013089417A (ja) | 2011-10-17 | 2013-05-13 | Sumitomo Electric Ind Ltd | 非水電解質電池 |
JP2017073205A (ja) | 2015-10-05 | 2017-04-13 | 古河機械金属株式会社 | 全固体型リチウムイオン電池用電極および全固体型リチウムイオン電池 |
WO2018025595A1 (ja) | 2016-08-02 | 2018-02-08 | 日本碍子株式会社 | 全固体リチウム電池の使用方法 |
JP2019033053A (ja) | 2017-08-10 | 2019-02-28 | トヨタ自動車株式会社 | リチウム固体電池、およびリチウム固体電池の製造方法 |
JP2019036537A (ja) | 2017-08-10 | 2019-03-07 | トヨタ自動車株式会社 | リチウム固体電池 |
JP2019036391A (ja) | 2017-08-10 | 2019-03-07 | トヨタ自動車株式会社 | 全固体電池および負極 |
JP2019096610A (ja) | 2017-11-21 | 2019-06-20 | 三星電子株式会社Samsung Electronics Co.,Ltd. | 全固体二次電池およびその充電方法 |
JP2021051866A (ja) | 2019-09-24 | 2021-04-01 | トヨタ自動車株式会社 | 全固体電池 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2021089814A (ja) | 2021-06-10 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP7327005B2 (ja) | 全固体電池及びその製造方法 | |
JP7331443B2 (ja) | 全固体電池 | |
JP7207248B2 (ja) | 全固体電池 | |
JP2020035607A (ja) | ニオブ酸リチウム、及びそれの製造方法 | |
US20220393231A1 (en) | All-solid-state battery and method for producing the same | |
US20230420735A1 (en) | Solid-state battery and method for producing the same | |
JP7167752B2 (ja) | 全固体電池 | |
JP7010177B2 (ja) | 正極層の製造方法 | |
JP7318511B2 (ja) | 全固体電池 | |
JP6954250B2 (ja) | 複合活物質粒子の製造方法 | |
JP7263977B2 (ja) | 全固体電池 | |
JP7259703B2 (ja) | 非水電解質電池 | |
JP7259677B2 (ja) | 全固体電池 | |
JP2021197302A (ja) | 固体電池 | |
US12027662B2 (en) | All-solid-state battery | |
JP7259639B2 (ja) | 全固体電池 | |
JP7424261B2 (ja) | 負極材料及び固体電池 | |
JP7218734B2 (ja) | 全固体電池 | |
JP2022010554A (ja) | 固体電池 | |
JP2023031440A (ja) | 固体電池 | |
JP2023008184A (ja) | 全固体電池 | |
JP2022134849A (ja) | 固体電池の製造方法 | |
JP2022093889A (ja) | 固体電池 | |
JP2023121871A (ja) | 電極合材 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20220414 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20230127 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20230131 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20230308 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20230620 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20230703 |
|
R151 | Written notification of patent or utility model registration |
Ref document number: 7318511 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151 |