以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
また、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素を、同一の符号の後に異なる数字を付して区別する場合がある。ただし、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素等の各々を特に区別する必要がない場合、同一符号のみを付する。また、異なる実施形態の類似する構成要素については、同一の符号の後に異なるアルファベットを付して区別する場合がある。ただし、異なる実施形態の類似する構成要素等の各々を特に区別する必要がない場合、同一符号のみを付する。
(1.第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態について説明する。
(1-1.自動取引装置の構成)
まず、本発明の第1の実施形態に係る自動取引装置の構成について説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る自動取引装置の外観例を示す図である。例えば、自動取引装置1は、金融機関の店舗内などに設置され、顧客との間で現金に関する取引(例えば、入金取引および出金取引など)を行う。自動取引装置1は筐体2を含んで構成されている。筐体2の前側には、顧客が自動取引装置1に対峙した状態において顧客が紙幣の投入または操作などをしやすい箇所に接客部3が設けられている。
接客部3は、カード入出口4、入出金口5、操作表示部6、テンキー7および明細票排出口8を有しており、顧客との間で現金および通帳などを直接やり取りすると共に、取引に関する情報の通知および操作指示の受付を行う。
カード入出口4は、キャッシュカードなどの各種カードが挿入または排出される部分である。カード入出口4の奥側には、各種カードに磁気記録された口座番号などの読み取りを行うカード処理部(図示せず)が設けられている。
入出金口5は、顧客が入金する紙幣が投入されると共に、顧客へ出金する紙幣が排出される部分である。また、入出金口5は、シャッタを駆動することにより開放または閉塞する。
操作表示部6は、取引に際して操作画面を表示するLCD(Liquid Crystal Display)と、取引の種類の選択、暗証番号および取引金額などを入力するタッチパネルとが一体化されている。
テンキー7は、「0」~「9」の数字などの入力を受け付ける物理的なキーであり、暗証番号および取引金額などの入力操作時に用いられる。
明細票排出口8は、取引処理の終了時に取引内容などを媒体に印字した明細票を排出する部分である。明細票排出口8の奥側には、媒体(例えば、印刷用紙など)に取引内容などを印字する明細票発行装置40A(図2)が設けられている。以下では、明細票発行装置40Aおよび明細票排出口8をまとめて明細票発行部31とも呼ぶ。また、明細票発行装置40A(図2)は、媒体を取り扱う媒体取扱装置の一例に相当し得る。さらに、本明細書において用いられる「印字」という文言は、必ずしも文字の印刷だけでなく、文字以外のあらゆる形状の印刷をも含み得る。
筐体2の内部には、所定の長さの媒体(例えば、印刷用紙など)が設けられており、明細票発行部31は、当該媒体に取引内容などを印字し明細票として発行する。この媒体が使用し終わると、保守員などにより媒体が補充される。
筐体2は、所定の鍵により施錠されて前面を覆う前扉2Aおよび後面を覆う後扉2Bがそれぞれ開閉可能に構成されている。すなわち、筐体2は、顧客との間で現金に関する取引を行う取引動作時には、前扉2Aおよび後扉2Bを閉塞する。これによって、筐体2は、内部に保有している紙幣および硬貨などを保護する。一方、筐体2は、金融機関の係員または保守員などが、媒体を補充したりジャムが発生した媒体を除去したりする保守作業、紙幣の補充・回収作業などを行う場合には、必要に応じて前扉2Aおよび後扉2Bを開放する。これによって、筐体2は、内部の各部に対する作業を係員または保守員などに容易に行わせ得る。
筐体2の内部には、自動取引装置1の全体を制御する主制御部9が設けられている。また、筐体2の内部には、紙幣に関する種々の処理を行う紙幣入出金機10が設けられている。主制御部9は、図示しないCPU(Central Processing Unit)を中心に構成されており、ROM(Read
Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスクドライブまたはフラッシュメモリなどによって構成される記憶部30から所定のプログラムを読み出して実行することにより、各部を制御して入金取引および出金取引などの種々の処理を行う。
以下では、自動取引装置1のうち利用者が対峙する側を前側とし、その反対を後側とし、当該前側に対峙した利用者から見て左を左側とし、当該前面に対峙した利用者から見て右を右側とし、さらに上側および下側を定義して説明する。
(1-2.自動取引装置の内部構成)
図2は、自動取引装置1の内部構成の例を示す図である。図2に示されるように、自動取引装置1には、紙幣入出金機10が含まれており、紙幣入出金機10は、制御部12を有している。制御部12は、各部(紙幣入出金部16、搬送部24、鑑別部18、一時保留部20、リサイクル庫26、リジェクト庫28および取忘れ庫22)を制御する。
制御部12は、図示しないCPUを中心に構成されており、ROM、RAM、ハードディスクドライブまたはフラッシュメモリなどによって構成される記憶部14から所定のプログラムを読み出して実行することにより、各部を制御して入金取引および出金取引などの種々の処理を行う。
紙幣入出金機10の内部には、上側に紙幣入出金部16が設けられる他、紙幣の金種および真偽を判定する鑑別部18が設けられ、入金紙幣などを一時的に保留する一時保留部20などが設けられている。
紙幣入出金部16は、顧客から投入された紙幣を1枚ずつ分離し搬送部24へ繰り出す。また、紙幣入出金部16は、搬送部24へ繰り出す紙幣と、入金リジェクト紙幣として紙幣入出金部16へ戻された紙幣とを分別して保持する。また、紙幣入出金部16には、当該紙幣入出金部16の内部において、搬送部24へ繰り出す紙幣が存在するか否かを検出する紙幣検知センサ(図示せず)が設けられている。
搬送部24は、ローラまたはベルト(いずれも図示せず)などにより、図中太線で示す搬送路に沿って長方形の紙幣を短手方向に搬送する。搬送部24は、鑑別部18を前後方向に挿通させるように紙幣を搬送し、当該鑑別部18の後側と一時保留部20および紙幣入出金部16とをそれぞれ接続している。また、搬送部24は、鑑別部18の前側と紙幣入出金部16、リサイクル庫26、リジェクト庫28および取忘れ庫22とを接続している。搬送部24の分岐点には、セレクタ(図示せず)が設けられており、セレクタ(図示せず)が制御部12の制御に基づき回動することにより、紙幣の搬送先を切り替える。
鑑別部18は、その内部で紙幣を搬送しながら、光学素子または磁気検出素子などを用いて当該紙幣の金種および真偽、ならびに損傷の程度など(正損)を鑑別し、その鑑別結果を制御部12へ通知する。鑑別結果は、制御部12による制御に従って、顧客情報と合わせて取引情報として記憶部14に記憶される。そして、鑑別結果に応じて紙幣の搬送先が変更される。
一時保留部20は、入金時に顧客から紙幣入出金部16へ投入されて鑑別部18によって入金可能と鑑別された入金可能紙幣を、入金が確定するまで一時的に保留する。一方、鑑別部18によって入金不可と鑑別された入金リジェクト紙幣は、一時保留部20によって保留されずに紙幣入出金部16へと排出される。また、一時保留部20は、出金時において鑑別部18によって出金不可能と鑑別された出金リジェクト紙幣を、出金可能な紙幣が出金されるまで一時的に保留し、その後当該出金リジェクト紙幣をリジェクト庫28へ排出する。
紙幣入出金機10の内部には、下側に金種別のリサイクル庫26と、鑑別部18によって破損した紙幣(いわゆる損券)と鑑別された紙幣、偽造券と判別された紙幣および5千券や2千券などの還流されない金種の紙幣を格納するリジェクト庫28と、取引時に顧客が紙幣入出金部16から取り忘れた紙幣を回収して格納する取忘れ庫22とが設けられている。リサイクル庫26は、収納排出機構により、搬送部24から搬送されてきた紙幣を取り込んで収納すると共に、収納されている紙幣を排出して搬送部24へ供給する。
かかる構成において、自動取引装置1は、鑑別部18による紙幣の鑑別結果などに基づいて、主制御部9および制御部12が各部を制御して、紙幣の入金処理および出金処理などを行う。すなわち、自動取引装置1は、入金取引時、顧客により操作表示部6を介して入金取引が選択され、さらに入出金口5に紙幣が投入されると、投入された紙幣を紙幣入出金部16から1枚ずつ鑑別部18に搬送する。
ここで、自動取引装置1は、鑑別部18によって入金可能と判定された入金可能紙幣を一時保留部20に搬送して一時的に収納する。一方で、自動取引装置1は、入金に適さないと判定された入金リジェクト紙幣を紙幣入出金部16へ戻し、シャッタを開くことで顧客に返却する。その後顧客により入金金額が確定されると、自動取引装置1は、一時保留部20に収納されている紙幣を鑑別部18に搬送して鑑別結果を得る。ここで、自動取引装置1は、鑑別部18の鑑別結果に基づき収納可能と判定された紙幣を、その金種に応じて各リサイクル庫26へ搬送して保管する。一方で、自動取引装置1は、収納に適さないと判定された紙幣を、リジェクト庫28へ搬送する。
(1-3.明細票発行装置の構成)
図3は、明細票発行装置40Aの機能構成の例を示す図である。図3に示されるように、明細票発行装置40Aは、制御部100A、搬送部42、サーマルヘッド43、カッタ部44、および、センサ45-1~45-5を有する。本発明の第1の実施形態においては、明細票発行装置40Aが、5個のセンサ45を有する場合を主に想定する。しかし、明細票発行装置40Aが有するセンサ45の数は5個に限定されず、4個以下であってもよいし、6個以上であってもよい。
制御部100Aは、図示しないCPU(Central Processing Unit)を中心に構成されており、ROM(Read
Only Memory)などのメモリから所定のプログラムを読み出して実行することにより、明細票発行装置40Aの各部を制御する。制御部100Aは、データ取得部120A、判断部130Aおよび処理実行部140を有する。データ取得部120A、判断部130Aおよび処理実行部140それぞれが有する機能については、後に詳細に説明する。その他、搬送部42、サーマルヘッド43、カッタ部44、および、センサ45-1~45-5それぞれが有する機能については、図4を参照しながら説明する。
図4は、明細票発行装置40Aの各部の取り付け例を示す図である。図4を参照すると、図3に示された例と同様に、明細票発行装置40Aは、搬送部42、サーマルヘッド43、カッタ部44、および、センサ45(センサ45-1~45-5)を有する。その他、明細票発行装置40Aの内部には、媒体41、蓄積部47および搬送路48が設けられている。また、図4を参照すると、明細票発行装置40Aによって発行された明細票が排出される明細票排出口8が示されている。
媒体41は、印刷用紙として機能し得る。図4に示されたように、媒体41は、ロール状に巻かれた状態で明細票発行装置40Aの内部に設けられており、明細票の発行時に搬送部42によって取り出される。本発明の実施形態では、媒体41が感熱紙である場合を主に想定する。かかる場合には、サーマルヘッド43によって発せられた熱を感熱紙が感知すると感熱紙の色が変化することによって印字が行われる。しかし、後にも説明するように、印字方式として他の方式が用いられる場合には、媒体41は、感熱紙でなくてもよい。
なお、以下の説明において、自動取引装置1の起動時に用いられる媒体41は、第2の媒体に相当し得る。また、自動取引装置1の取引時に用いられる媒体41は、第1の媒体に相当し得る。
搬送部42は、媒体41を搬送する機能を有する。例えば、搬送部42は、駆動モータを含む他、ローラ対などを含んで構成されている。そして、制御部100Aによる駆動制御に従って駆動モータが駆動されると、駆動モータによる駆動によってローラ対が回転することによって、ローラ対によって把持された媒体41が搬送路48の上を搬送される。本発明の実施形態では、図4に示されたように、搬送部42が二対のローラを有する場合を主に想定するが、搬送部42が有するローラ対の数は限定されない。
サーマルヘッド43は、媒体41への印字を行う印字ヘッドの一例に相当する。上記したように、本発明の実施形態では、サーマルヘッド43が、発熱によって感熱紙の色を変化させることによって印字が行われる場合を想定する。しかし、印字方式は、かかる例に限定されない。例えば、サーマルヘッド43によって発せられた熱によって融解する熱転写インクリボンが印字に用いられてもよい。あるいは、印字ヘッドから液状のインクを吹き付ける印字方式が用いられてもよい。
カッタ部44は、媒体41を切断する。より詳細に、カッタ部44は、ロール状に巻かれた状態の媒体41が搬送部42によって取り出され、サーマルヘッド43によって媒体41の明細票排出口8側の端部領域内に印字が行われると、媒体41から当該端部領域が分離されるように媒体41を切断する。例えば、当該端部領域に取引内容が印字されて媒体41から分離された場合には、当該端部領域は、明細票(媒体)として明細票排出口8から排出され、利用者によって受け取られる。
センサ45は、検出範囲(検出可能な範囲)に対してセンシングを行ってデータ(センシングデータ)を検出する。センサ45の種類は限定されないが、本発明の実施形態では、センサ45が反射センサを含んで構成される場合を想定する。かかる構成によれば、センサ45としてカメラが用いられる場合と比較して、センサ45を安価に設けることが可能になる(すなわち、明細票発行装置40Aおよび自動取引装置1の価格を抑えることが可能になる)。
反射センサは、光を発する発光部と、発光部によって発せられた光の反射光を受け取る受光部とを有する。このとき、センサ45は、受光部によって受け取られた反射光に基づいてデータを検出する。本発明の実施形態では、発光部が青色LED(Light Emitting Diode)によって構成される場合を想定する。しかし、発光部は、青色LEDによって構成される場合に限定されない。例えば、発光部は、青色以外の色の可視光を発するLEDによって構成されてもよい。あるいは、発光部は、可視光以外の光(例えば、赤外光など)を発するように構成されていてもよい。
蓄積部47は、媒体を蓄積する所定の領域の一例として機能する。なお、本発明の実施形態では、明細票排出口8とセンサ45との間の搬送路48から分岐した位置に蓄積部47が設けられる場合を主に想定する。しかし、蓄積部47が設けられる位置は限定されない。蓄積部47の詳細については、後に説明する。
搬送路48は、媒体が搬送される路面に相当する。
以上、本発明の第1の実施形態に係る自動取引装置1の構成について説明した。
(1-4.起動時の動作)
続いて、自動取引装置1の明細票発行装置40Aの動作について説明する。まず、自動取引装置1の起動時における明細票発行装置40Aの動作について説明する。図5は、自動取引装置1の起動時における搬送路48の例を示す平面図である。図5を参照すると、搬送路48が示されている。より詳細に、搬送路48は、明細票排出口8が紙面の上方に位置し、サーマルヘッド43が紙面の下方に位置するような向きに示されている。また、図5には、自動取引装置1の起動時に搬送路48の上を搬送される媒体41が示されている。
センサ45-1~45-5は、搬送路48における媒体41の搬送方向に対して垂直な方向に配列するように設けられている。これによって、センサ45-1~45-5は、媒体41に対して効率よくセンシングを行うことができる。しかし、センサ45-1~45-5の配列方向は限定されない。また、媒体41に対するセンシング位置の偏りが低減されるよう、図5に示されるように、センサ45-1~45-5が略等間隔で配列されているのが望ましい。なお、図5には、センサ45-1~45-5が直接視認されるように示されているが、実際には(図4に示されるように)、センサ45-1~45-5は、搬送路48の上側に存在するガイドの下面に配置されているため、直接視認されない(図7、図10、図12についても同様である)。
図6は、自動取引装置1の起動時における明細票発行装置40Aの動作例を示すフローチャートである。図5および図6を参照しながら(適宜他の図も参照)、自動取引装置1の起動時における明細票発行装置40Aの動作についてさらに説明する。
明細票発行装置40Aの制御部100Aは、自動取引装置1が起動したことを示す通知を主制御部9から受け取るまでは(S11において「No」)、S11に動作を移行させる。一方、明細票発行装置40Aの制御部100Aは、自動取引装置1が起動したことを示す通知を主制御部9から受け取った場合には(S11において「Yes」)、搬送部42によって媒体41が明細票排出口8に向けて搬送されるように搬送部42を制御する。
そして、制御部100Aは、マーク領域61を印字するようにサーマルヘッド43を制御する(S12)。より詳細に、制御部100Aは、媒体41におけるマーク領域61が印字されるべき位置がサーマルヘッド43による印字可能な位置に達したことが媒体検出センサ(図示せず)によって検出されると、媒体41にマーク領域61の印字が行われるようにサーマルヘッド43を制御する。図5には、このようにして既にマーク領域61が印字された状態が示されている。
なお、マーク領域61は、媒体41のうちセンサ45-1~45-5それぞれの検出範囲を通過する印字領域である。マーク領域61のサイズ、形状、位置などは限定されない。しかし、センサ45-1~45-5それぞれの検出範囲に、マーク領域61の少なくとも一部が収まるように、マーク領域61のサイズ、形状、位置などが決められる必要がある。例えば、図5に示されるように、マーク領域61は、センサ45-1~45-5の配列方向に長い矩形領域となるように媒体41に印字されるとよい。
また、本発明の実施形態では、媒体の表裏判定用のマークの印字パターンがマーク領域61の印字パターンにも使用される場合を主に想定する。これによって、印字パターンが効率よく使用され得る。しかし、マーク領域61の印字パターンは、専用に用意された印字パターンであってもよい。なお、媒体の表裏判定においては、センサ45-1~45-5によって、表裏判定用のマークが検出されるべきタイミングであるにも関わらず、表裏判定用のマークが検出されない場合に、媒体が表裏逆に取り付けられたと判定される。
続いて、図5に示された状態から媒体41がさらに搬送され、センサ45-1~45-5それぞれの検出範囲に媒体41のマーク領域61の少なくとも一部が収まる位置に媒体41が達した状態になったとする。かかる状態が媒体検出センサ(図示せず)によって検出されると、制御部100Aは、各検出範囲からデータ(センサデータ)が検出されるように、センサ45-1~45-5それぞれを制御する。データ取得部120Aは、各センサデータに基づいて、マーク領域61の各検出範囲の濃淡値A1(第4の濃淡値)を測定する(S13)。これによって、データ取得部120Aは、マーク領域61の各検出範囲の濃淡値A1を得る。
なお、センサデータから濃淡値を測定する手法は限定されない。例えば、データ取得部120Aは、センサデータの電圧レベルに基づいて濃淡値を測定してもよい。このとき、電圧レベルと濃淡値との対応関係も限定されない。一例として、データ取得部120Aは、センサデータの電圧レベルが高いほど、低い濃さ(強い白さ)を示す値を濃淡値として得てもよいし、センサデータの電圧レベルが低いほど、高い濃さ(強い黒さ)を示す値を濃淡値として得てもよい。
媒体41がさらに搬送され、センサ45-1~45-5それぞれの検出範囲に媒体41の余白領域67(すなわち、印字されていない領域)の少なくとも一部が収まる位置に媒体41が達した状態になったとする。かかる状態が媒体検出センサ(図示せず)によって検出されると、制御部100Aは、各検出範囲からデータ(センサデータ)が検出されるように、センサ45-1~45-5それぞれを制御する。データ取得部120Aは、各センサデータに基づいて、余白領域67の各検出範囲の濃淡値B1(第3の濃淡値)を測定する(S14)。これによって、データ取得部120Aは、余白領域67の各検出範囲の濃淡値B1を得る。
なお、余白領域67から得られる濃淡値B1は、そのときに用いられる媒体またはセンサによって変化し得ることが想定される。したがって、本発明の実施形態では、余白領域67から得られた濃淡値B1が、キャリブレーションにも用いられる場合を想定する。かかるキャリブレーションによって、濃淡値が適切に補正され得る。しかし、余白領域67は、キャリブレーションに用いられる領域でなくてもよい。
判断部130Aは、余白領域67から得られた濃淡値B1がある条件を満たすか否かを判断する。かかる判断によって、起動時の媒体41が正常であるか否かが確認され得る。
ここでは、判断部130Aによって判断される条件が、センサ45-1~45-5それぞれについて、マーク領域61から得られた濃淡値A1と余白領域67から得られた濃淡値B1との差分に相当する|A1-B1|がある範囲(第3の範囲)に属するという条件を含む場合を想定する。これによって、起動時の媒体41および媒体41への印字が正常であるか否かが確認され得る。例えば、媒体41への印字が正常ではない場合には、マーク領域61の印字が行われていない場合の他、マーク領域61の印字が薄い場合などが含まれ得る。しかし、判断部130Aによって判断される条件は、かかる例に限定されない。
ここでは、|A1-B1|が収まるべき範囲(第3の範囲)が、下限値Th1よりも大きく、上限値Th2よりも小さい範囲である場合を想定する。しかし、|A1-B1|が収まるべき範囲(第3の範囲)は、単に下限値Th1より大きい範囲であってもよいし、単に上限値Th2より小さい範囲であってもよい。ただし、A1がマーク領域61から得られる濃淡値であり、B1が余白領域67から得られる濃淡値であることを考慮すると、|A1-B1|は、ある程度以上の大きさを有する必要があるため、上限値Th2と比較して下限値Th1のほうがより重要であると考えられる。
判断部130Aは、センサ45-1~45-5それぞれについて、|A1-B1|が下限値Th1より大きく、上限値Th2より小さいという条件を満たすか否かを判断する(S15)。処理実行部140は、センサ45-1~45-5の少なくとも一部について、|A1-B1|が下限値Th1以下、または、上限値Th2以上であると判断された場合(S15において「No」)、異常を示す判定結果を出力する(S16)。一方、処理実行部140は、センサ45-1~45-5それぞれについて、|A1-B1|が下限値Th1より大きく、上限値Th2より小さいと判断された場合(S15において「Yes」)、正常を示す判定結果を出力する(S17)。
例えば、処理実行部140によって出力された判定結果は、主制御部9に入力されてよい。かかる場合には、主制御部9は、判定結果が表示されるように操作表示部6を制御すればよい。これによって、係員または保守員などは、操作表示部6によって表示された判定結果を見ることによって、起動時の媒体41および媒体41への印字が正常であるか否かを確認することができる。例えば、係員または保守員などは、判定結果が異常であれば、判定結果を正常にするための所定の処置(例えば、媒体41の交換など)を行うことができる。
切断位置62は、カッタ部44によって媒体41が切断される位置である。媒体41が切断位置62においてカッタ部44によって切断されると、媒体41のうち切断位置62よりも先端側の領域(端部領域)が1枚の明細票と同じサイズの媒体63として分離される。切断位置62には、カッタ部44によって媒体41が容易に切断されるように、連続したスリット(ミシン目)が設けられているのが望ましい。
このようにして分離された媒体63は、搬送部42によって搬送されて明細票排出口8から排出される(S18)。そして、係員または保守員などは、明細票排出口8から排出された媒体63を受け取る。これによって、係員または保守員などは、起動時の媒体41および媒体41への印字が正常であるか否かを、媒体63を直接見ることによって確認することが可能である。
(1-5.取引時の動作)
続いて、自動取引装置1の取引時における明細票発行装置40Aの動作について説明する。図7は、自動取引装置1の取引時における搬送路48の例を示す平面図である。図7を参照すると、図5と同様に、搬送路48が示されている。また、図7には、図5に示された例と同様に、自動取引装置1の取引時に搬送路48の上を搬送される媒体41が示されている。さらに、図5に示された例と同様に、センサ45-1~45-5が設けられている。
図8は、自動取引装置1の取引時における明細票発行装置40Aの動作例を示すフローチャートである。図7および図8を参照しながら(適宜他の図も参照)、自動取引装置1の取引時における明細票発行装置40Aの動作についてさらに説明する。
明細票発行装置40Aの制御部100Aは、自動取引装置1が取引を実行したことを示す通知を主制御部9から受け取るまでは(S21において「No」)、S21に動作を移行させる。一方、明細票発行装置40Aの制御部100Aは、自動取引装置1が取引を実行したことを示す通知を主制御部9から受け取った場合には(S21において「Yes」)、搬送部42によって媒体41が明細票排出口8に向けて搬送されるように搬送部42を制御する。
そして、制御部100Aは、マーク領域64を印字するようにサーマルヘッド43を制御する(S22)。より詳細に、制御部100Aは、媒体41におけるマーク領域64が印字されるべき位置がサーマルヘッド43による印字可能な位置に達したことが媒体検出センサ(図示せず)によって検出されると、媒体41にマーク領域64の印字が行われるようにサーマルヘッド43を制御する。図7には、このようにして既にマーク領域64が印字された状態が示されている。
なお、マーク領域64は、媒体41のうちセンサ45-1~45-5それぞれの検出範囲を通過する印字領域である。マーク領域64のサイズ、形状、位置などは限定されない。例えば、起動時に印字されるマーク領域61(図5)と同様に、マーク領域64は、センサ45-1~45-5の配列方向に長い矩形領域となるように媒体41に印字されるとよい。しかし、取引時には、取引内容が印字される領域(取引印字領域65)が確保される必要があるため、図7に示されるように、マーク領域64は、起動時に印字されるマーク領域61(図5)よりもさらに細長い矩形領域であるのが望ましい。
その後、制御部100Aは、取引印字領域65の内部に取引内容を印字するようにサーマルヘッド43を制御する(S23)。より詳細に、制御部100Aは、取引印字領域65がサーマルヘッド43による印字可能な位置に達したことが媒体検出センサ(図示せず)によって検出されると、取引印字領域65の内部に取引内容の印字が行われるようにサーマルヘッド43を制御する。図7には、このようにして既に取引内容が印字された状態が示されている。
続いて、図7に示された状態から媒体41がさらに搬送され、センサ45-1~45-5それぞれの検出範囲に媒体41のマーク領域64の少なくとも一部が収まる位置に媒体41が達した状態になったとする。かかる状態が媒体検出センサ(図示せず)によって検出されると、制御部100Aは、各検出範囲からデータ(センサデータ)が検出されるように、センサ45-1~45-5それぞれを制御する。データ取得部120Aは、各センサデータに基づいて、マーク領域64の各検出範囲の濃淡値A2(第2の濃淡値)を測定する(S24)。これによって、データ取得部120Aは、マーク領域64の各検出範囲の濃淡値A2を得る。
媒体41がさらに搬送され、センサ45-1~45-5それぞれの検出範囲に媒体41の余白領域68の少なくとも一部が収まる位置に媒体41が達した状態になったとする。かかる状態が媒体検出センサ(図示せず)によって検出されると、制御部100Aは、各検出範囲からデータ(センサデータ)が検出されるように、センサ45-1~45-5それぞれを制御する。データ取得部120Aは、各センサデータに基づいて、余白領域68の各検出範囲の濃淡値B2(第1の濃淡値)を測定する(S25)。これによって、データ取得部120Aは、余白領域68の各検出範囲の濃淡値B2を得る。
判断部130Aは、センサ45-1~45-5それぞれについて、マーク領域64から得られた濃淡値A2と余白領域68から得られた濃淡値B2との差分に相当する|A2-B2|がある範囲(第1の範囲)に属するか否かを判断する。これによって、取引時の媒体41および媒体41への印字が正常であるか否かが確認され得る。例えば、媒体41への印字が正常ではない場合には、マーク領域64の印字が行われていない場合の他、マーク領域64の印字が薄い場合などが含まれ得る。
ここでは、|A2-B2|が収まるべき範囲(第1の範囲)が、下限値Th3よりも大きく、上限値Th4よりも小さい範囲である場合を想定する。しかし、|A2-B2|が収まるべき範囲(第1の範囲)は、単に下限値Th3より大きい範囲であってもよいし、単に上限値Th4より小さい範囲であってもよい。ただし、A2がマーク領域64から得られる濃淡値であり、B2が余白領域68から得られる濃淡値であることを考慮すると、|A2-B2|は、ある程度以上の大きさを有する必要があるため、上限値Th4と比較して下限値Th3のほうがより重要であると考えられる。
判断部130Aは、センサ45-1~45-5それぞれについて、|A2-B2|が下限値Th3より大きく、上限値Th4より小さいという条件を満たすか否かを判断する(S26)。処理実行部140は、センサ45-1~45-5の少なくとも一部について、|A2-B2|が下限値Th3以下、または、上限値Th4以上であると判断された場合(S26において「No」)、S27に動作を移行させる。一方、処理実行部140は、センサ45-1~45-5それぞれについて、|A2-B2|が下限値Th3より大きく、上限値Th4より小さいと判断された場合(S26において「Yes」)、S29に動作を移行させる。
さらに、判断部130Aは、起動時に余白領域67(図5)から得られた濃淡値B1とS25において余白領域68から得られた濃淡値B2との差分に相当する|B1-B2|がある範囲(第2の範囲)に属するか否かを判断する。これによって、起動時の媒体41と取引時の媒体41とのいずれか一方に異常があるか否かが確認され得る。例えば、起動時と取引時との間で媒体41が別のセットに交換された場合などには、起動時の媒体41と取引時の媒体41とのいずれか一方に異常があり得る。なお、媒体41の異常の原因としては、経年劣化などによる媒体41の汚れなどが想定される。
ここでは、|B1-B2|が収まるべき範囲(第2の範囲)が、下限値Th5よりも大きく、上限値Th6よりも小さい範囲である場合を想定する。しかし、|B1-B2|が収まるべき範囲(第2の範囲)は、単に下限値Th5より大きい範囲であってもよいし、単に上限値Th6より小さい範囲であってもよい。ただし、B1が余白領域67から得られる濃淡値であり、B2が余白領域68から得られる濃淡値であることを考慮すると、|B1-B2|は、ある程度より小さい必要があるため、下限値Th5と比較して上限値Th6のほうがより重要であると考えられる。
判断部130Aは、センサ45-1~45-5それぞれについて、|B1-B2|が下限値Th5より大きく、上限値Th6より小さいという条件を満たすか否かを判断する(S28)。処理実行部140は、センサ45-1~45-5の少なくとも一部について、|B1-B2|が下限値Th5以下、または、上限値Th6以上であると判断された場合(S29において「No」)、S27に動作を移行させる。一方、処理実行部140は、センサ45-1~45-5それぞれについて、|B1-B2|が下限値Th5より大きく、上限値Th6より小さいと判断された場合(S29において「Yes」)、S30に動作を移行させる。
S27に動作が移行された場合には、媒体41が切断位置62においてカッタ部44によって切断されると、媒体41のうち切断位置62よりも先端側の領域(端部領域)が1枚の明細票と同じサイズの媒体66として分離される。そして、処理実行部140は、所定の異常時動作を実行する。
本発明の実施形態では、異常時動作が、このようにして分離された媒体66が搬送部42によって蓄積部47に搬送されるように搬送部42を制御する動作を含む場合を想定する。これによって、利用者には異常のある媒体66が提供されなくなる。しかし、異常時動作は特に限定されない。搬送部42によって蓄積部47に搬送された媒体66は、蓄積部47に蓄積される。なお、蓄積部47は、異常時動作における媒体66の搬送先の領域(所定の領域)の一例に過ぎず、媒体66の搬送先は限定されない。
そして、処理実行部140は、異常を示す判定結果を出力する(S28)。例えば、処理実行部140によって出力された異常を示す判定結果は、主制御部9に入力されてよい。かかる場合には、主制御部9は、明細票が排出されないことが表示されるように操作表示部6を制御すればよい。これによって、利用者は、明細票が排出されないことを把握することができる。
一方、S30に動作が移行された場合には、媒体41が切断位置62においてカッタ部44によって切断されると、媒体41のうち切断位置62よりも先端側の領域(端部領域)が1枚の明細票と同じサイズの媒体66として分離される。このようにして分離された媒体66は、明細票として明細票排出口8から排出される(S30)。そして、利用者は、明細票排出口8から排出された明細票を受け取る。これによって、利用者は、明細票を見ることによって取引内容を確認することが可能である。
(1-6.効果)
以上に説明したように、本発明の第1の実施形態によれば、判断部130Aは、マーク領域64から得られた濃淡値A2と余白領域68から得られた濃淡値B2との差分に相当する|A2-B2|がある範囲(第1の範囲)に属するか否かを判断する。これによって、取引時の媒体41および媒体41への印字が正常であるか否かが確認され得る。したがって、媒体41への印字品位の低下をより精度良く検出することが可能となる。
さらに、上記したように、濃淡値A2および濃淡値B2を得るためのセンサ45が反射センサを含んで構成されてもよい。かかる構成によれば、センサ45としてカメラが用いられる場合と比較して、センサ45を安価に設けることが可能になる(すなわち、明細票発行装置40Aおよび自動取引装置1の価格を抑えることが可能になる)。
(2.第2の実施形態)
続いて、本発明の第2の実施形態について説明する。本発明の第2の実施形態は、本発明の第1の実施形態と比較して、明細票発行装置40A(図3)が明細票発行装置40B(図9)に置換される。したがって、本発明の第2の実施形態においては、自動取引装置1のうち、明細票発行装置40Bについて主に説明し、他の構成については説明を省略する。
(2-1.明細票発行装置の構成)
図9は、明細票発行装置40Bの機能構成の例を示す図である。図9に示されるように、明細票発行装置40Bは、制御部100B、搬送部42、サーマルヘッド43、カッタ部44およびセンサ45-1を有する。明細票発行装置40Bは、本発明の第1の実施形態に係る明細票発行装置40Aと比較して、少ない数のセンサ45しか有していない。本発明の第2の実施形態では、特に明細票発行装置40Bが1個のセンサ45しか有していない場合を主に想定する。しかし、明細票発行装置40Bが有するセンサ45の数は特に限定されない。
制御部100Bは、データ取得部120B、判断部130Bおよび処理実行部140を有する。すなわち、制御部100Bは、本発明の第1の実施形態に係る制御部100Aと比較して、データ取得部120Aがデータ取得部120Bに置換され、判断部130Aが判断部130Bに置換されている。したがって、本発明の第2の実施形態においては、制御部100Bのうち、データ取得部120Bおよび判断部130Bについて主に説明し、処理実行部140についての詳細な説明を省略する。
(2-2.起動時の動作)
続いて、明細票発行装置40Bの動作について説明する。まず、自動取引装置1の起動時における明細票発行装置40Bの動作について説明する。図10は、自動取引装置1の起動時における搬送路48の例を示す平面図である。図10を参照すると、搬送路48が示されている。また、図10には、自動取引装置1の起動時に搬送路48の上を搬送される媒体41が示されている。
さらに、図10を参照すると、センサ45(センサ45-1)が1個しか設けられていない。すなわち、本発明の第2の実施形態では、本発明の第1の実施形態に係る明細票発行装置40Aと比較して、(センサ45の価格を抑えるなどの理由から)少ない数のセンサ45しか設けられていない。かかる場合には、媒体41の僅かな部分に対してしかセンサ45によってセンシングがされないため、媒体41の濃淡値が部分的にしか得られない。そこで、本発明の第2の実施形態では、センサ45によって検出されたデータの他に、サーマルヘッド43が有する発熱体群の電流値が使用される。
なお、本発明の第2の実施形態では、図10に示されるように、搬送路48を搬送される媒体41の中央部分に対してセンシングを行うことが可能な位置に1個のセンサ45(センサ45-1)が設けられる場合を主に想定する。しかし、センサ45(センサ45-1)が設けられる位置は特に限定されない。
図11は、自動取引装置1の起動時における明細票発行装置40Bの動作例を示すフローチャートである。図10および図11を参照しながら(適宜他の図も参照)、自動取引装置1の起動時における明細票発行装置40Bの動作についてさらに説明する。
まず、S11~S12は、本発明の第1の実施形態において説明したS11~S12(図6)と同様に実行される。
続いて、図10に示された状態から媒体41がさらに搬送され、センサ45-1の検出範囲に媒体41のマーク領域61の少なくとも一部が収まる位置に媒体41が達した状態になったとする。かかる状態が媒体検出センサ(図示せず)によって検出されると、制御部100Bは、センサ45-1の検出範囲からデータ(センサデータ)が検出されるように、センサ45-1を制御する。データ取得部120Bは、センサデータに基づいて、マーク領域61の検出範囲の濃淡値A1(第4の濃淡値)を測定する(S43)。これによって、データ取得部120Bは、マーク領域61の検出範囲の濃淡値A1を得る。
媒体41がさらに搬送され、センサ45-1の検出範囲に媒体41の余白領域67の少なくとも一部が収まる位置に媒体41が達した状態になったとする。かかる状態が媒体検出センサ(図示せず)によって検出されると、制御部100Bは、センサ45-1の検出範囲からデータ(センサデータ)が検出されるように、センサ45-1を制御する。データ取得部120Bは、センサデータに基づいて、余白領域67の検出範囲の濃淡値B1(第3の濃淡値)を測定する(S44)。これによって、データ取得部120Bは、余白領域67の検出範囲の濃淡値B1を得る。
判断部130Bは、|A1-B1|が下限値Th1より大きく、上限値Th2より小さいという条件を満たすか否かを判断する(S45)。処理実行部140は、|A1-B1|が下限値Th1以下、または、上限値Th2以上であると判断された場合(S45において「No」)、S16に動作を移行させる。一方、処理実行部140は、|A1-B1|が下限値Th1より大きく、上限値Th2より小さいと判断された場合(S45において「Yes」)、S46に動作を移行させる。
S46に動作が移行された場合には、データ取得部120Bは、サーマルヘッド43が有する複数の発熱体それぞれの電流値を取得する。ここでは、データ取得部120Bが、サーマルヘッド43が有する発熱体群の全部の電流値を当該複数の発熱体それぞれの電流値として取得する場合を主に想定する。しかし、データ取得部120Bは、サーマルヘッド43が有する発熱体群の一部の電流値のみを当該複数の発熱体それぞれの電流値として取得してもよい。
判断部130Bは、サーマルヘッド43が有する複数の発熱体の電流値が異常条件を満たすか否かを判断する(S46)。処理実行部140は、サーマルヘッド43が有する複数の発熱体の電流値が異常条件を満たす場合には(S46において「Yes」)、S16に動作を移行させる。一方、処理実行部140は、サーマルヘッド43が有する複数の発熱体の電流値が異常条件を満たさない場合には(S46において「No」)、S17に動作を移行させる。
なお、異常条件は、サーマルヘッド43が有する複数の発熱体のうち、いずれか一つの電流値が正常範囲に属さないという条件を含んでもよい。あるいは、たった1つの発熱体による印字の異常は許容されるべき場合もあり得る。かかる場合には、異常条件は、サーマルヘッド43が有する複数の発熱体のうち、連続する2以上の発熱体それぞれの電流値が、正常範囲に属さないという条件を含んでもよい。
ここで、正常範囲は、特に限定されない。しかし、上記したように、発熱体を構成する抵抗素子の抵抗値が大きくなると(すなわち、電流値が小さくなると)印字が正常に行われなくなることに鑑みれば、正常範囲は、閾値よりも大きい範囲であってよい(すなわち、電流値が閾値以下になると印字が正常に行われない)。なお、S46における判断には、電流値が直接用いられるが、判断部130Bは、電圧一定の下に電流値から抵抗値を算出し、算出した抵抗値を直接判断に用いてもよい。かかる場合には、抵抗値の正常範囲は、抵抗値の閾値よりも小さい範囲であってよい(すなわち、抵抗値が閾値以上になると印字が正常に行われない)。
まず、S16~S18は、本発明の第1の実施形態において説明したS16~S18(図6)と同様に実行される。
(2-3.取引時の動作)
続いて、自動取引装置1の取引時における明細票発行装置40Bの動作について説明する。図12は、自動取引装置1の取引時における搬送路48の例を示す平面図である。図12を参照すると、図10と同様に、搬送路48が示されている。また、図12には、図10に示された例と同様に、自動取引装置1の取引時に搬送路48の上を搬送される媒体41が示されている。さらに、図10に示された例と同様に、センサ45-1が設けられている。
図13は、自動取引装置1の取引時における明細票発行装置40Bの動作例を示すフローチャートである。図12および図13を参照しながら(適宜他の図も参照)、自動取引装置1の取引時における明細票発行装置40Bの動作についてさらに説明する。
まず、S21~S23は、本発明の第1の実施形態において説明したS21~S23(図8)と同様に実行される。
続いて、図12に示された状態から媒体41がさらに搬送され、センサ45-1の検出範囲に媒体41のマーク領域64の少なくとも一部が収まる位置に媒体41が達した状態になったとする。かかる状態が媒体検出センサ(図示せず)によって検出されると、制御部100Bは、検出範囲からデータ(センサデータ)が検出されるように、センサ45-1を制御する。データ取得部120Bは、センサデータに基づいて、マーク領域64の検出範囲の濃淡値A2(第2の濃淡値)を測定する(S53)。これによって、データ取得部120Bは、マーク領域64の検出範囲の濃淡値A2を得る。
媒体41がさらに搬送され、センサ45-1の検出範囲に媒体41の余白領域68の少なくとも一部が収まる位置に媒体41が達した状態になったとする。かかる状態が媒体検出センサ(図示せず)によって検出されると、制御部100Bは、検出範囲からデータ(センサデータ)が検出されるように、センサ45-1を制御する。データ取得部120Bは、センサデータに基づいて、余白領域68の検出範囲の濃淡値B2(第1の濃淡値)を測定する(S54)。これによって、データ取得部120Bは、余白領域68の検出範囲の濃淡値B2を得る。
判断部130Bは、|A2-B2|が下限値Th3より大きく、上限値Th4より小さいという条件を満たすか否かを判断する(S55)。処理実行部140は、|A2-B2|が下限値Th3以下、または、上限値Th4以上であると判断された場合(S55において「No」)、S27に動作を移行させる。一方、処理実行部140は、|A2-B2|が下限値Th3より大きく、上限値Th4より小さいと判断された場合(S55において「Yes」)、S56に動作を移行させる。
判断部130Bは、|B1-B2|が下限値Th5より大きく、上限値Th6より小さいという条件を満たすか否かを判断する(S56)。処理実行部140は、|B1-B2|が下限値Th5以下、または、上限値Th6以上であると判断された場合(S56において「No」)、S27に動作を移行させる。一方、処理実行部140は、|B1-B2|が下限値Th5より大きく、上限値Th6より小さいと判断された場合(S56において「Yes」)、S46に動作を移行させる。
S46は、自動取引装置1の起動時における明細票発行装置40Bの動作において説明したS46(図11)と同様に実行される。また、S27、S28、S30は、本発明の第1の実施形態において説明したS27、S28、S30(図8)と同様に実行される。
(2-4.効果)
以上に説明したように、本発明の第2の実施形態によれば、処理実行部140は、マーク領域64から得られた濃淡値A2と余白領域68から得られた濃淡値B2との差分に相当する|A2-B2|がある範囲(第1の範囲)に属さない場合、または、サーマルヘッド43が有する複数の発熱体の少なくとも一部の電流値が異常条件を満たす場合に、所定の異常時動作を実行する。これによって、センサ45の価格を抑えつつ、媒体41への印字品位の低下をより精度良く検出することが可能となる。
(3.変形例)
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、本発明の第1の実施形態では、データ取得部120Aが、自ら濃淡値を測定する場合を主に想定した。しかし、制御部100Aの外部に測定器が設けられている場合、濃淡値は、制御部100Aの外部に設けられた測定器によって測定されてもよい。かかる場合には、データ取得部120Aは、制御部100Aの外部の測定器によって測定された濃淡値を当該測定器から取得してもよい。本発明の第2の実施形態においても同様に、データ取得部120Bは、制御部100Bの外部の測定器によって測定された濃淡値を当該測定器から取得してもよい。