JP7318302B2 - パラ置換ピリジル基を有することを特徴とするトリアジン化合物、その用途、及びその前駆体 - Google Patents

パラ置換ピリジル基を有することを特徴とするトリアジン化合物、その用途、及びその前駆体 Download PDF

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Description

本発明は、有機電界発光素子の構成成分として有用なトリアジン化合物及びそれを含有する有機電界発光素子に関するものである。更に詳しくは、分子内にパラ置換ピリジル基を有することを特徴とするトリアジン化合物に関するものである。
有機電界発光素子は、発光材料を含有する発光層を、正孔輸送層と電子輸送層で挟み、さらにその外側に陽極と陰極を取付け、発光層に注入された正孔及び電子の再結合により生ずる励起子が失活する際の光の放出(蛍光又はりん光)を利用する素子であり、小型のディスプレイだけでなく大型テレビや照明等へ応用されている。なお、正孔輸送層は正孔輸送層と正孔注入層に、発光層は、電子ブロック層と発光層と正孔ブロック層に、電子輸送層は電子輸送層と電子注入層に分割して構成される場合もある。また、有機電界発光素子のキャリア輸送層(電子輸送層又は正孔輸送層)として、金属、有機金属化合物又はその他有機化合物をドープした共蒸着膜を用いる場合もある。
従来の有機電界発光素子は、無機発光ダイオードに比べて駆動電圧が高く、発光輝度や発光効率も低く、素子寿命も著しく低く、幅広い分野での実用化には至っていなかった。また、最近の有機電界発光素子は前記欠点が徐々に改良されているものの、発光効率特性、駆動電圧特性、長寿命特性の更なる改善を目的として、優れた材料が求められている。
有機電界発光素子用の発光効率に優れる電子輸送材料として、特許文献1で開示されたトリアジン化合物が挙げられる。
国際公開第2010/076986号 国際公開第2007/023840号
特許文献1および特許文献2で開示されたトリアジン化合物については、有機電界発光素子の寿命特性の更なる向上が求められている。
本発明は、従来公知のトリアジン化合物に比べて、有機電界発光素子の寿命特性、又は発光効率を顕著に向上させる特定のトリアジン化合物を提供することをその目的とする。また、本発明は、当該特定のトリアジン化合物を用いてなる寿命特性に優れた有機電界発光素子を提供することをその目的とする。
本発明者らは、先の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、下記一般式(1)で表される、パラ置換ピリジル基を有することを特徴とするトリアジン化合物を電子輸送材料として用いた有機電界発光素子が、従来公知の材料を用いたときに比べて、顕著に寿命特性、又は発光効率が向上することを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、下記一般式(1)で表されるトリアジン化合物(以下、トリアジン化合物(1)と称する)及びそれを含有する有機電界発光素子に関するものである。
(一般式(1)中、Ar及びArは、各々独立して、C、H、O、Si、及びSからなる原子群より選ばれる原子で構成される炭素数6~18の単環、連結、若しくは縮環の芳香族基(該基は、炭素数1~4のアルキル基、フッ素原子又はフェニル基で置換されていてもよい)を表す。
Xは、各々独立して、C、H、O、Si、及びSからなる原子群より選ばれる原子で構成される炭素数6~18の単環、連結、若しくは縮環の芳香族基(該基は、フッ素原子で置換されていてもよい)を表す。
Yは、各々独立して、CH、又は窒素原子を表し、少なくとも1つは窒素原子である。
は、1~3の整数を表し、nは、0~2の整数を表す。)
本発明によれば、寿命特性、又は発光効率に優れる有機電界発光素子を提供することができる。
また、本発明のトリアジン化合物は、ガラス転移温度が高い為、耐熱性に優れる有機電界発光素子を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、前記一般式(1)で示されるトリアジン化合物に関するものである。
一般式(1)で示されるトリアジン化合物において、
(一般式(1)中、Ar及びArは、各々独立して、C、H、O、Si、及びSからなる原子群より選ばれる原子で構成される炭素数6~18の単環、連結、若しくは縮環の芳香族基(該基は、炭素数1~4のアルキル基、フッ素原子又はフェニル基で置換されていてもよい)を表す。
Xは、各々独立して、C、H、O、Si、及びSからなる原子群より選ばれる原子で構成される炭素数6~18の単環、連結、若しくは縮環の芳香族基(該基は、フッ素原子で置換されていてもよい)を表す。
Yは、各々独立して、CH、又は窒素原子を表し、少なくとも1つは窒素原子である。
は、1~3の整数を表し、nは、0~2の整数を表す。)
一般式(1)において、炭素数1~4のアルキル基としては、特に限定するものではないが、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基、又はtert-ブチル基等が挙げられる。
一般式(1)において、C、H、O、Si、及びSからなる原子群より選ばれる原子で構成される炭素数6~18の単環、連結、若しくは縮環の芳香族基としては、特に限定するものではないが、炭素数6~18の単環、連結、若しくは縮環の芳香族炭化水素基(C、及びHのみで構成される)、又はC、H、O、Si、及びSからなる原子群より選ばれる原子で構成される炭素数6~18の単環、連結、若しくは縮環のヘテロ芳香族基が挙げられる。
一般式(1)において、C、H、O、Si、及びSからなる原子群より選ばれる原子で構成される炭素数6~18の単環、連結、若しくは縮環の芳香族基としては、特に限定するものではないが、例えば、フェニル基、ビフェニリル基(2-ビフェニリル基、3-ビフェニリル基、又は4-ビフェニリル基)、ターフェニリル基(4,1’:4’,1’’-ターフェニリル基、4,1’:3’,1’’-ターフェニリル基、4,1’:2’,1’’-ターフェニリル基、3,1’:4’,1’’-ターフェニリル基、3,1’:3’,1’’-ターフェニリル基、3,1’:2’,1’’-ターフェニリル基、2,1’:4’,1’’-ターフェニリル基、2,1’:3’,1’’-ターフェニリル基、又は2,1’:2’,1’’-ターフェニリル基)、ナフチル基(1-ナフチル基、2-ナフチル基)、フルオレニル基、アントラセニル基、フェナントリル基、ピレニル基、フルオランテニル基、トリフェニレニル基、クリセニル基、ベンゾチオフェニル基(1-ジベンゾチオフェニル基、2-ジベンゾチオフェニル基、3-ジベンゾチオフェニル基、4-ジベンゾチオフェニル基、5-ジベンゾチオフェニル基、6-ジベンゾチオフェニル基、7-ジベンゾチオフェニル基)、ベンゾフラニル基(1-ジベンゾフラニル基、2-ジベンゾフラニル基、3-ジベンゾフラニル基、4-ジベンゾフラニル基、5-ジベンゾフラニル基、6-ジベンゾフラニル基、7-ジベンゾフラニル基)、ジベンゾチオフェニル基(1-ジベンゾチオフェニル基、2-ジベンゾチオフェニル基、3-ジベンゾチオフェニル基、4-ジベンゾチオフェニル基)、又はジベンゾフラニル基(1-ジベンゾフラニル基、2-ジベンゾフラニル基、3-ジベンゾフラニル基、4-ジベンゾフラニル基)等が挙げられる。
一般式(1)のArについては、有機電界発光素子の寿命特性に優れる点で、各々独立して、炭素数6~17の単環、連結、若しくは縮環の芳香族炭化水素基、ジベンゾフラニル基、又はジベンゾチオフェニル基(これらの基は、炭素数1~4のアルキル基又はフッ素原子で置換されていてもよい)であることが好ましく、各々独立して、フェニル基、ビフェニリル基、ターフェニリル基、ナフチル基、フルオレニル基、アントラセニル基、フェナントリル基、ジベンゾフラニル基、又はジベンゾチオフェニル基(これらの基は、炭素数1~4のアルキル基又はフッ素原子で置換されていてもよい)であることがより好ましく、各々独立して、フェニル基、ビフェニリル基、又はナフチル基(これらの基は、炭素数1~4のアルキル基又はフッ素原子で置換されていてもよい)であることがより好ましく、各々独立して、フェニル基、2-ビフェニル基、3-ビフェニル基、4-ビフェニル基、1-ナフチル基、又は2-ナフチル基であることが更に好ましい。
一般式(1)のArについては、有機電界発光素子の寿命特性に優れる点で、各々独立して、炭素数6~17の単環、連結、若しくは縮環の芳香族炭化水素基、ベンゾフラニル基、ベンゾチオフェニル基、ジベンゾフラニル基、又はジベンゾチオフェニル基(これらの基は、炭素数1~4のアルキル基、フッ素原子又はフェニル基で置換されていてもよい)であることが好ましく、炭素数7~17の単環、連結、若しくは縮環の芳香族炭化水素基、ベンゾフラニル基、ベンゾチオフェニル基、ジベンゾフラニル基、又はジベンゾチオフェニル基(これらの基は、炭素数1~4のアルキル基、フッ素原子又はフェニル基で置換されていてもよい)であることが好ましく、フェニル基、ビフェニリル基、ターフェニリル基、ナフチル基、フルオレニル基、アントラセニル基、フェナントリル基、ピレニル基、フルオランテニル基、ジベンゾフラニル基、又はジベンゾチオフェニル基(これらの基は、炭素数1~4のアルキル基又はフッ素原子で置換されていてもよい)であることがより好ましく、フェニル基、トリル基、2,4,6-トリメチルフェニル基、ビフェニリル基、2’,4’,6’-トリメチルビフェニリル基、ターフェニリル基、ナフチル基、フルオレニル基、アントラセニル基、フェナントリル基、ピレニル基、フルオランテニル基、ベンゾチオフェニル基、ベンゾフラニル基、ジベンゾチオフェニル基、又はジベンゾフラニル基であることがより好ましく、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントリル基、ピレニル基、フルオランテニル基、ジベンゾフラニル基、又はジベンゾチオフェニル基であることが更に好ましい。
一般式(1)のXについては、有機電界発光素子の寿命特性に優れる点で、各々独立して、炭素数6~18の単環、連結、若しくは縮環の芳香族炭化水素基(該基は、フッ素原子で置換されていてもよい)であることが好ましく、各々独立して、フェニレン基、ビフェニレン基、ターフェニレン基、ナフチレン基、フルオレニレン基、アントラセニレン基、フェナントリレン基、ピレニレン基、又はフルオランテニレン基(これらの基は、炭素数1~4のアルキル基又はフッ素原子で置換されていてもよい)であることがより好ましく、各々独立して、フェニレン基であることがより好ましく、各々独立して、1,2-フェニレン基、1,3-フェニレン基、又は1,4-フェニレン基であることがより好ましいい。
一般式(1)のnについては、有機電界発光素子の寿命特性に優れる点で、1又は2であることが好ましく、合成が容易な点で1であることがより好ましい。
なお、nが1のとき、当該箇所は1,4-フェニレン基となり、nが2のとき、当該箇所は4,4’-ビフェニリレン基となり、nが3のとき、当該箇所は4,4’’-p-ターフェニリレン基となる。
一般式(1)のnについては、有機電界発光素子の寿命特性に優れる点で、0又は1であることが好ましい。
が0のとき、当該箇所は単結合を表す。
が2のとき、Xが連結することを表し、当該箇所は-X-X-で表される基となる。当該Xの定義及び好ましい範囲については、上記の通りである。
一般式(1)で表されるトリアジン化合物は、下記一般式(2)、又は一般式(3)で表されるトリアジン化合物であることが好ましい。
(一般式(2)中、Ar、Ar、X、n、及びnの定義及び好ましい範囲は、一般式(1)におけるAr、Ar、X、n、及びnの定義及び好ましい範囲と同じである。
Zは、各々独立して、CH、又は窒素原子を表し、1つが窒素原子であり、残り3つがCHである。)
(一般式(3)中、Ar、X、n、及びnの定義及び好ましい範囲は、一般式(1)におけるAr、X、n、及びnの定義及び好ましい範囲と同じである。
Arは、C、H、O、Si、及びSからなる原子群より選ばれる原子で構成される炭素数7~18の単環、連結、若しくは縮環の芳香族基(該基は、炭素数1~4のアルキル基、フッ素原子又はフェニル基で置換されていてもよい)を表す。
Vは、各々独立して、CH、又は窒素原子を表し、2つが窒素原子であり、残り2つがCHである。)
一般式(3)において、C、H、O、Si、及びSからなる原子群より選ばれる原子で構成される炭素数7~18の単環、連結、若しくは縮環の芳香族基としては、特に限定するものではないが、炭素数7~18の単環、連結、若しくは縮環の芳香族炭化水素基(C、及びHのみで構成される)、又はC、H、O、Si、及びSからなる原子群より選ばれる原子で構成される炭素数7~18の単環、連結、若しくは縮環のヘテロ芳香族基が挙げられる。
一般式(1)において、C、H、O、Si、及びSからなる原子群より選ばれる原子で構成される炭素数7~18の単環、連結、若しくは縮環の芳香族基としては、特に限定するものではないが、例えば、ビフェニリル基(2-ビフェニリル基、3-ビフェニリル基、又は4-ビフェニリル基)、ターフェニリル基(4,1’:4’,1’’-ターフェニリル基、4,1’:3’,1’’-ターフェニリル基、4,1’:2’,1’’-ターフェニリル基、3,1’:4’,1’’-ターフェニリル基、3,1’:3’,1’’-ターフェニリル基、3,1’:2’,1’’-ターフェニリル基、2,1’:4’,1’’-ターフェニリル基、2,1’:3’,1’’-ターフェニリル基、又は2,1’:2’,1’’-ターフェニリル基)、ナフチル基(1-ナフチル基、2-ナフチル基)、フルオレニル基、アントラセニル基、フェナントリル基、ピレニル基、フルオランテニル基、トリフェニレニル基、クリセニル基、ベンゾチオフェニル基(1-ジベンゾチオフェニル基、2-ジベンゾチオフェニル基、3-ジベンゾチオフェニル基、4-ジベンゾチオフェニル基、5-ジベンゾチオフェニル基、6-ジベンゾチオフェニル基、7-ジベンゾチオフェニル基)、ベンゾフラニル基(1-ジベンゾフラニル基、2-ジベンゾフラニル基、3-ジベンゾフラニル基、4-ジベンゾフラニル基、5-ジベンゾフラニル基、6-ジベンゾフラニル基、7-ジベンゾフラニル基)、ジベンゾチオフェニル基(1-ジベンゾチオフェニル基、2-ジベンゾチオフェニル基、3-ジベンゾチオフェニル基、4-ジベンゾチオフェニル基)、又はジベンゾフラニル基(1-ジベンゾフラニル基、2-ジベンゾフラニル基、3-ジベンゾフラニル基、4-ジベンゾフラニル基)等が挙げられる。
一般式(3)のArについては、有機電界発光素子の寿命特性に優れる点で、各々独立して、炭素数7~17の単環、連結、若しくは縮環の芳香族炭化水素基、ベンゾフラニル基、ベンゾチエニル基、ジベンゾフラニル基、又はジベンゾチエニル基(これらの基は、炭素数1~4のアルキル基又はフッ素原子で置換されていてもよい)であることが好ましく、各々独立して、ビフェニリル基、ターフェニリル基、ナフチル基、フルオレニル基、アントラセニル基、フェナントリル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチオフェニル基、ジベンゾフラニル基、又はジベンゾチオフェニル基(これらの基は、炭素数1~4のアルキル基又はフッ素原子で置換されていてもよい)であることがより好ましく、フェニル基、ビフェニリル基、ターフェニリル基、ナフチル基、フルオレニル基、アントラセニル基、フェナントリル基、ピレニル基、フルオランテニル基、ジベンゾフラニル基、又はジベンゾチオフェニル基(これらの基は、炭素数1~4のアルキル基又はフッ素原子で置換されていてもよい)であることがより好ましく、フェニル基、トリル基、2,4,6-トリメチルフェニル基、ビフェニリル基、2’,4’,6’-トリメチルビフェニリル基、ターフェニリル基、ナフチル基、フルオレニル基、アントラセニル基、フェナントリル基、ピレニル基、フルオランテニル基、ベンゾチオフェニル基、ベンゾフラニル基、ジベンゾチオフェニル基、又はジベンゾフラニル基であることがより好ましく、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントリル基、ピレニル基、フルオランテニル基、ジベンゾフラニル基、又はジベンゾチオフェニル基であることが更に好ましい。
一般式(1)で表されるトリアジン化合物は、下記一般式(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、(F)、(G)、及び(H)で表されるトリアジン化合物であることが更に好ましい。
(一般式(A)~(H)中、Ar、Ar、X、n、及びnの定義及び好ましい範囲については、一般式(1)におけるAr、Ar、X、n、及びnの定義及び好ましい範囲と同じであり、Arの定義及び好ましい範囲については、一般式(3)におけるArの定義及び好ましい範囲と同じである。)
一般式(1)で示されるトリアジン化合物の具体例としては、以下の(A-1)から(H-3)を例示できるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明のトリアジン化合物(1)は、次の反応式(1)に従って製造することができる。すなわち、下記一般式(4)で表される化合物と下記一般式(5)で表される化合物とを反応させることによって、トリアジン化合物(1)を製造することができる。
(式中、Ar、Ar、X、Y、n、及びnの定義及び好ましい範囲については、一般式(1)におけるAr、Ar、X、Y、n、及びnの定義及び好ましい範囲と同じである。
Zは、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、フッ素原子、トリフルオロメチルスルホニルオキシ基、又はボロン酸を表す。
Z’は、ボロン酸、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、フッ素原子、及びトリフルオロメチルスルホニルオキシ基を表し、ZとZ’は互いに異なる。
は、1~3の整数を表す。)
一般式(4)中、Ar、及びnの定義及び好ましい範囲については、一般式(1)におけるAr、及びnの定義及び好ましい範囲と同じである。
一般式(4)中、Zで表される置換基としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、B(OR、B(OR、ZnR、Si(R等が例示でき、ZnRとしては、ZnCl、ZnBr、ZnI等が例示できる。また、これらの金属含有基には、エーテル類やアミン類などの配位子が配位していても良く、配位子の種類としては制限はない。
また、前記Si(RとしてはSiMe、SiPh、SiMePh、SiCl、SiF、Si(OMe)、Si(OEt)、Si(OMe)OH等を例示できる。
また、前記B(ORとしては、B(OH)、B(OMe)、B(OPr)、B(OBu)、B(OPh)等が例示できる。
また、2つのRが一体となって酸素原子及びホウ素原子を含んで環を形成した場合のB(ORとしては、次の(I)から(VII)で示されるものが例示でき、収率がよい点で(II)で示されるものが好ましい。
前記B(ORとしては次の(I)から(III)で示されるものが例示できる。
また、本発明は、上記の一般式(4)で表されるトリアジン化合物に係る。
一般式(4)で示されるトリアジン化合物としては、特に限定するものではないが、有機電界発光素子の発光効率に優れる点で、下記一般式(I)、(J)、(K)、(L)、(M)、(N)、(O)、及び(P)で表されるトリアジン化合物であることが更に好ましい。
(一般式(I)~(P)中、Ar、Z、及びnの定義及び好ましい範囲については、一般式(4)におけるAr、Z、及びnの定義及び好ましい範囲と同じである。)
一般式(4)で示されるトリアジン化合物の具体例としては、以下の例示化合物(1)から(56)を例示できるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
一般式(5)中、Z’の定義及び好ましい範囲については、一般式(4)におけるZの定義及び好ましい範囲と同じである。
一般式(5)で示される化合物の具体例としては、以下の例示化合物(101)から(140)を例示できるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
次いで、反応式(1)による一般式(1)で表されるトリアジン化合物の製造方法について説明する。
反応式(1)で用いられる金属触媒としては、特に限定するものではないが、具体的には、塩化パラジウム、酢酸パラジウム、トリフルオロ酢酸パラジウム、硝酸パラジウム等のパラジウム塩を例示することができる。さらに、π-アリルパラジウムクロリドダイマ-、パラジウムアセチルアセトナト、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム、ジクロロビス(アセトニトリル)パラジウム、ジクロロビス(ベンゾニトリル)パラジウム等の錯化合物、及びジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ジクロロ(1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン)パラジウム、ビス(トリ-tert-ブチルホスフィン)パラジウム、ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)パラジウム、ジクロロビス(トリシクロヘキシルホスフィン)パラジウム等の第三級ホスフィンを配位子として有するパラジウム錯体を例示することができ、これらはパラジウム塩又は錯化合物に第三級ホスフィンを添加し、反応系中で調製することもできる。この際用いることのできる第三級ホスフィンとしては、トリフェニルホスフィン、トリメチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリ(tert-ブチル)ホスフィン、トリシクロへキシルホスフィン、tert-ブチルジフェニルホスフィン、9,9-ジメチル-4,5-ビス(ジフェニルホスフィノ)キサンテン、2-(ジフェニルホスフィノ)-2’-(N,N-ジメチルアミノ)ビフェニル、2-(ジ-tert-ブチルホスフィノ)ビフェニル、2-(ジシクロへキシルホスフィノ)ビフェニル、ビス(ジフェニルホスフィノ)メタン、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、1,3-ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,4-ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン、トリ(2-フリル)ホスフィン、トリ(o-トリル)ホスフィン、トリ(2,5-キシリル)ホスフィン、2,2’-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1’-ビナフチル、2-ジシクロへキシルホスフィノ-2’,4’,6’-トリイソプロピルビフェニル等が例示できる。
中でも、第三級ホスフィンを配位子として有するパラジウム錯体が収率がよい点で好ましく、2-ジシクロへキシルホスフィノ-2’,4’,6’-トリイソプロピルビフェニルを配位子として有するパラジウム錯体がさらに好ましい。第三級ホスフィンとパラジウム塩又は錯化合物とのモル比は1:10~10:1の範囲にあることが好ましく、収率がよい点で1:2~3:1の範囲にあることがさらに好ましい。反応式(1)で用いる金属触媒の量に制限はないが、収率がよい点で、金属触媒のモル当量は化合物(4)に対して0.001~0.5モル当量の範囲にあることが好ましい。
反応式(1)で用いられる化合物(4)は、例えば、特開2016-121120等に開示されている方法に従い製造することができる。
反応式(1)の反応については、さらに塩基を用いることができる。反応式(1)に用いる塩基としては、特に限定するものではないが、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等の金属水酸化物塩、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸セシウム等の金属炭酸塩、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム等の金属酢酸塩、リン酸カリウム、リン酸ナトリウム等の金属リン酸塩、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化セシウム等の金属フッ化物塩、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムイソプロピルオキシド、カリウムtert-ブトキシド等の金属アルコキシド等を挙げることができる。中でも反応収率がよい点で、金属炭酸塩及び金属リン酸塩が好ましく、炭酸カリウムがさらに好ましい。用いる塩基の量に特に制限は無いが、反応収率がよい点で、塩基と化合物(4)とのモル比は、1:2~10:1の範囲にあることが好ましく、1:1~4:1の範囲にあることがさらに好ましい。
反応式(1)の反応については、溶媒中で実施することができる。反応式(1)で用いることのできる溶媒としては、水、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル(CPME)、テトラヒドロフラン(THF)、2-メチルテトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、ジメトキシエタン等のエーテル、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、テトラリン等の芳香族炭化水素、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、4-フルオロエチレンカーボネート等の炭酸エステル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、酪酸メチル、γ-ラクトン等のエステル、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、N-メチルピロリドン(NMP)等のアミド、N,N,N’,N’-テトラメチルウレア(TMU)、N,N’-ジメチルプロピレンウレア(DMPU)等のウレア又はジメチルスルホキシド(DMSO)、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、オクタノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、2,2,2-トリフルオロエタノール等のアルコール等を例示することができ、これらを任意の比で混合して用いてもよい。溶媒の使用量に特に制限はない。これらのうち、反応収率がよい点で水、エーテル、アミド、アルコール、及びこれらの混合溶媒が好ましく、THF、1,4-ジオキサン及びこれらと水の混合溶媒がさらに好ましい。
反応式(1)の反応については、0℃~200℃から適宜選択された温度にて実施することができ、反応収率がよい点で50℃~150℃から適宜選択された温度にて実施することが好ましい。
以上のような反応によって本発明の一態様であるトリアジン化合物(1)が得られるが、反応式(1)の終了後に、通常の処理をすることで単離・精製することができる。必要に応じて、再結晶、カラムクロマトグラフィー、昇華又は分取HPLC等で精製してもよい。
本発明のトリアジン化合物については、有機EL素子用材料として用いることができ、特に限定するものではないが、例えば、有機EL素子用電子注入層用材料又は電子輸送層材料として用いることができる。
以下、本発明の有機電界発光素子について説明する。
有機電界発光素子における発光層は、広義の意味では、陰極と陽極からなる電極に電流を流した際に発光する層のことを指す。具体的には、陰極と陽極からなる電極に電流を流した際に発光する蛍光性化合物を含有する層のことを指す。通常、有機電界発光素子は一対の電極の間に発光層を挟持した構造をとる。
本発明の有機電界発光素子は、必要に応じ発光層の他に、正孔輸送層、電子輸送層、陽極バッファー層及び陰極バッファー層等を有し、陰極と陽極で挟持された構造をとる。具体的には以下に示される積層構造が挙げられる。
(i)陽極/発光層/陰極
(ii)陽極/正孔輸送層/発光層/陰極
(iii)陽極/発光層/電子輸送層/陰極
(iv)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
(v)陽極/陽極バッファー層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極バッファー層/陰極
本発明の有機電界発光素子における各層には、従来公知の材料を用いることができる。当該各層を形成する方法としては、例えば蒸着法、スピンコート法、キャスト法、LB法などの公知の方法により薄膜を形成する方法がある。
又、当該各層は、樹脂などの結着材と共に発光材料を溶剤に溶かして溶液とした後、これをスピンコート法などにより塗布して薄膜形成することにより得ることができる。
このようにして形成された当該各層の膜厚については特に制限はなく、状況に応じて適宜選択することができるが、通常は5nm~5μmの範囲である。
次に正孔注入層、正孔輸送層、電子注入層、電子輸送層等、発光層と組み合わせて有機電界発光素子を構成するその他の層について説明する。
正孔注入層、正孔輸送層は、陽極より注入された正孔を発光層に伝達する機能を有し、この正孔注入層、正孔輸送層を陽極と発光層の間に介在させることにより、より低い電界で多くの正孔が発光層に注入される。
また、陰極から注入され、電子注入層及び/又は電子輸送層より発光層に輸送された電子は、発光層と正孔注入層もしくは正孔輸送層の界面に存在する電子の障壁により、正孔注入層もしくは正孔輸送層に漏れることなく発光層内の界面に累積され、発光効率が向上するなど発光性能の優れた素子となる。
上記正孔注入材料、正孔輸送材料は、正孔の注入もしくは輸送、電子の障壁性の何れかを有するものであり、有機物、無機物の何れであってもよい。この正孔注入材料、正孔輸送材料としては、例えばトリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体及びピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、アニリン系共重合体、又、導電性高分子オリゴマー、特にチオフェンオリゴマーなどが挙げられる。正孔注入材料、正孔輸送材料としては、上記のものを使用することができるが、ポルフィリン化合物、芳香族第三級アミン化合物及びスチリルアミン化合物、特に芳香族第三級アミン化合物を用いることが好ましい。
上記芳香族第三級アミン化合物及びスチリルアミン化合物の代表例としては、N,N,N’,N’-テトラフェニル-4,4’-ジアミノフェニル、N,N’-ジフェニル-N,N’-ビス(3-メチルフェニル)-〔1,1’-ビフェニル〕-4,4’-ジアミン(TPD)、2,2-ビス(4-ジ-p-トリルアミノフェニル)プロパン、1,1-ビス(4-ジ-p-トリルアミノフェニル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’-テトラ-p-トリル-4,4’-ジアミノビフェニル、1,1-ビス(4-ジ-p-トリルアミノフェニル)-4-フェニルシクロヘキサン、ビス(4-ジメチルアミノ-2-メチルフェニル)フェニルメタン、ビス(4-ジ-p-トリルアミノフェニル)フェニルメタン、N,N’-ジフェニル-N,N’-ジ(4-メトキシフェニル)-4,4’-ジアミノビフェニル、N,N,N’,N’-テトラフェニル-4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ビス(ジフェニルアミノ)クオードリフェニル、N,N,N-トリ(p-トリル)アミン、4-(ジ-p-トリルアミノ)-4’-〔4-(ジ-p-トリルアミノ)スチリル〕スチルベン、4-N,N-ジフェニルアミノ-(2-ジフェニルビニル)ベンゼン、3-メトキシ-4’-N,N-ジフェニルアミノスチルベンゼン、N-フェニルカルバゾール、4,4’-ビス〔N-(1-ナフチル)-N-フェニルアミノ〕ビフェニル(NPD)、4,4’,4’’-トリス〔N-(3-メチルフェニル)-N-フェニルアミノ〕トリフェニルアミン(MTDATA)などがあげられる。
又、p型-Si、p型-SiCなどの無機化合物も正孔注入材料、正孔輸送材料として使用することができる。この正孔注入層、正孔輸送層は、上記正孔注入材料、正孔輸送材料を、例えば真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、LB法などの公知の方法により、薄膜化することにより形成することができる。正孔注入層、正孔輸送層の膜厚については特に制限はないが、通常は5nm~5μm程度である。この正孔注入層、正孔輸送層は、上記材料の一種又は二種以上からなる一層構造であってもよく、同一組成又は異種組成の複数層からなる積層構造であってもよい。
本発明の有機電界発光素子において、電子輸送層は、従来公知の電子輸送材料を用いることができるが、上記一般式(1)で表されるトリアジン化合物を含むことが好ましい。
当該電子輸送層は、上記一般式(1)で表されるトリアジン化合物を、例えば真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、LB法などの公知の薄膜形成法により製膜して形成することができる。電子輸送層の膜厚は特に制限はないが、通常は5nm~5μmの範囲で選ばれる。また、この電子輸送層は、一般式(1)で表されるトリアジン化合物を含み、かつ従来公知の電子輸送材料を含んでいてもよく、一種又は二種以上からなる一層構造であってもよいし、或いは、同一組成又は異種組成の複数層からなる積層構造であってもよい。
又、本発明においては、発光材料は発光層のみに限定することはなく、発光層に隣接した正孔輸送層、又は電子輸送層に1種含有させてもよく、それにより更に有機電界発光素子の発光効率を高めることができる。
本発明の有機電界発光素子に好ましく用いられる基板は、ガラス、プラスチックなどの種類には特に限定はなく、又、透明のものであれば特に制限はない。本発明の有機電界発光素子に好ましく用いられる基板としては例えばガラス、石英、光透過性プラスチックフィルムを挙げることができる。
光透過性プラスチックフィルムとしては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリイミド、ポリカーボネート(PC)、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)等からなるフィルム等が挙げられる。
本発明の有機電界発光素子を作製する好適な例を説明する。例として、前記の陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極からなる有機電界発光素子の作製法について説明する。
まず適当な基板上に、所望の電極用物質、例えば陽極用物質からなる薄膜を、1μm以下、好ましくは10~200nmの範囲の膜厚になるように、蒸着やスパッタリングなどの方法により形成させて陽極を作製する。次に、この上に素子材料である正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層/電子注入層からなる薄膜を形成させる。
なお、陽極と発光層又は正孔注入層の間、及び、陰極と発光層又は電子注入層との間にはバッファー層(電極界面層)を存在させてもよい。
更に上記基本構成層の他に必要に応じてその他の機能を有する層を積層してもよく、例えば正孔ブロック層、電子ブロック層などのような機能層を有していてもよい。
次に、本発明の有機電界発光素子の電極について説明する。有機電界発光素子における陽極としては、仕事関数の大きい(4eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが好ましく用いられる。このような電極物質の具体例としてはAuなどの金属、CuI、酸化インジウム-スズ(ITO)、SnO、ZnOなどの導電性透明材料が挙げられる。
上記陽極は蒸着やスパッタリングなどの方法によりこれらの電極物質の薄膜を形成させ、フォトリソグラフィー法で所望の形状のパターンを形成してもよく、或いは蒸着やスパッタリング時に所望の形状のマスクを介してパターンを形成してもよい。
一方、陰極としては、仕事関数の小さい(4eV以下)金属(電子注入性金属と称する)、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが好ましく用いられる。このような電極物質の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム-カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属などが挙げられる。これらの中で、電子注入性及び酸化などに対する耐久性の点から、電子注入性金属とこれより仕事関数の値が大きく安定な金属である第二金属との混合物、例えばマグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、リチウム/アルミニウム混合物などが好適である。上記陰極は、これらの電極物質を蒸着やスパッタリングなどの方法で薄膜を形成させることにより作製することができる。
前記の様に、適当な基板上に所望の電極用物質、例えば陽極用物質からなる薄膜を1μm以下、好ましくは10~200nmの範囲の膜厚になるように、蒸着やスパッタリングなどの方法により形成させて陽極を作製した後、該陽極上に前記の通り正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層/電子注入層からなる各層薄膜を形成させた後、その上に陰極用物質からなる薄膜を1μm以下、好ましくは50~200nmの範囲の膜厚になるように、例えば蒸着やスパッタリングなどの方法により形成させて陰極を設け、所望の有機電界発光素子が得られる。
本発明の有機電界発光素子の素子構造としては、ボトムエミッション方式、又はトップエミッション方式でもよい。
本発明の有機電界発光素子は、照明用や露光光源のような一種のランプとして使用してもよいし、画像を投影するタイプのプロジェクション装置や、静止画像や動画像を直接視認するタイプの表示装置(ディスプレイ)として使用してもよい。動画再生用の表示装置として使用する場合の駆動方式は単純マトリクス(パッシブマトリクス)方式でもアクティブマトリクス方式でもどちらでもよい。又、異なる発光色を有する本発明の有機電界発光素子を2種以上使用することにより、フルカラー表示装置を作製することが可能である。
実施例で作製する単層素子の断面模式図である。
100 有機電界発光素子模式図
101 基板
102 陽極
103 正孔注入層
105 正孔輸送層
106 発光層
107 電子輸送層
108 陰極
1051 第一正孔輸送層
1052 第二正孔輸送層
1071 第一電子輸送層
1072 第二電子輸送層
以下、本発明を実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定して解釈されるものではない。
H-NMR測定は、Gemini200(バリアン社製)を用いて行った。
有機電界発光素子の発光特性は、室温下、作製した素子に直流電流を印加し、LUMINANCEMETER(BM-9)(TOPCON社製)の輝度計を用いて評価した。
ガラス転移温度の測定は、DSC7020(日立ハイテクサイエンス社製、製品名)を用いて行った。
上記DSCの測定条件は以下のとおりである。なお、測定は、窒素雰囲気下(流量50ml/min)にて行った。また、ファーストヒーティング、ファーストクーリング、セカンドヒーティングの順に行い、セカンドヒーティングの際のガラス転移温度を、試料のガラス転移温度とした。
試料量 :5~10mg
測定条件:
<ファーストヒーティング>
昇温速度:15℃/min
測定温度範囲:30℃~360℃
<ファーストクーリング>
ドライアイスによる急冷
<セカンドヒーティング>
昇温速度:5℃/min
測定温度範囲:30℃~360℃
合成実施例-1
アルゴン気流下、4,6-ジフェニル-2-[4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル]-1,3,5-トリアジン(18.9g,43.4mmol)、4-ブロモ-2-クロロピリジン(10.0g,52.0mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(1.51g,1.31mmol)、及び2.0M-リン酸三カリウム水溶液(65mL)を、テトラヒドロフラン(200mL)に懸濁し、70℃で16.5時間撹拌した。放冷後、水、及びメタノールを加え、析出した固体を濾別し、水、及びメタノールで固体を洗浄した。さらに再結晶(トルエン)で精製することで目的の4,6-ジフェニル-2-[4-(2-クロロピリジン-4-イル)フェニル]-1,3,5-トリアジン(化合物2)の黄白色固体(収量13.9g,収率76%)を得た。
H-NMR(CDCl)δ(ppm):8.90(d,J=8.4Hz,2H),8.80(d,J=7.2Hz,4H),8.50(d,J=5.1Hz,1H),7.82(d,J=8.4Hz,2H),7.68-7.51(m,8H)。
合成実施例-2
アルゴン気流下、合成実施例-1で得られた4,6-ジフェニル-2-[4-(2-クロロピリジン-4-イル)フェニル]-1,3,5-トリアジン(0.50g,1.19mmol)、9-フェナントレンボロン酸(0.317g,1.43mmol)、酢酸パラジウム(8.00mg,35.6μmol)、及び2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,4’,6’-トリイソプロピルビフェニル(33.9mg,71.2μmol)を、テトラヒドロフラン(12mL)に懸濁し、2.0M-リン酸三カリウム水溶液(2.4mL)を滴下し、70℃で6時間撹拌した。放冷後、固体を濾別し、水、及びメタノールで固体を洗浄した。さらに再結晶(トルエン)で精製することで目的の4,6-ジフェニル-2-{4-[2-(9-フェナントリル)ピリジン-4-イル]フェニル}-1,3,5-トリアジン(化合物A-1)の白色固体(収量0.647g,収率97%)を得た。
H-NMR(CDCl)δ(ppm):8.95(s,1H),8.92(d,J=8.7Hz,2H),8.83-8.75(m,6H),8.18(d,J=7.5Hz,1H),7.99-7.93(m,5H),7.74-7.58(m,11H)
合成実施例-3
アルゴン気流下、合成実施例-1で得られた2-[4-(2-クロロピリジン-4-イル)フェニル]-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン(7.00g,16.6mmol)、1-ナフタレンボロン酸(3.44g,20.0mmol)、酢酸パラジウム(0.112g,0.499mmol)、及び2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,4’,6’-トリイソプロピルビフェニル(0.476g,0.988mol)を、テトラヒドロフラン(170mL)に懸濁し、2.0M-リン酸三カリウム水溶液(33mL)を滴下し、70℃で終夜撹拌した。放冷後、反応液に水(100mL)を加え固体を濾別し、水、及びメタノールで固体を洗浄した。さらに再結晶(トルエン)で精製することで目的の4,6-ジフェニル-2-{4-[2-(1-ナフチル)ピリジン-4-イル]フェニル}-1,3,5-トリアジン(化合物A-2)の白色固体(収量6.58g,収率77%)を得た。
H-NMR(CDCl)δ(ppm):8.91(d,J=8.0Hz,3H),8.80(d,J=8.1Hz,4H),8.17(bs,1H),7.98-7.91(m,5H),7.72-7.52(m,11H)
合成実施例-4
合成実施例-3において、1-ナフタレンボロン酸(3.44g,20.0mmol)の代わりに2-ナフタレンボロン酸(3.44g,20.0mmol)を用いた以外は、合成実施例-3と同じ方法で合成し、目的の2-{4-[2-(2-ナフチル)ピリジン-4-イル]フェニル}-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン(化合物A-3)の白色固体(収量6.79g,収率80%)を得た。
H-NMR(CDCl)δ(ppm):8.94(d,J=8.4Hz,2H),8.86(d,J=5.1Hz,1H),8.81(dd,J=7.9,1.4Hz,4H)8.59(s,1H),8.24(dd,J=8.6,1.8Hz,1H),8.18(s,1H),8.18-7.99(m,2H),7.95-7.90(m,3H),7.67-7.52(m,9H)
合成実施例-5
合成実施例-3において、1-ナフタレンボロン酸(3.44g,20.0mmol)の代わりに3-ビフェニルボロン酸(3.96g,20.0mmol)を用いた以外は、合成実施例-3と同じ方法で合成し、目的の2-{4-[2-(3-ビフェニル)ピリジン-4-イル]フェニル}-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン(化合物A-8)の白色固体(収量6.26g,収率70%)を得た。
H-NMR(CDCl)δ(ppm):8.92(d,J=8.0Hz,2H),8.84-8.80(m,5H),8.32(bs,1H),8.07(m,2H),7.91(d,J=8.4Hz,2H),7.73-7.57(m,11H),7.49(t,J=7.2Hz,2H),7.39(t,J=7.2Hz,1H)
合成実施例-6
合成実施例-3において、1-ナフタレンボロン酸(3.44g,20.0mmol)の代わりにジベンゾチオフェン-2-ボロン酸(4.56g,20.0mmol)を用いた以外は、合成実施例-3と同じ方法で合成し、目的の2-{4-[2-(ジベンゾチオフェン-2-イル)ピリジン-4-イル]フェニル}-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン(化合物A-10)の白色固体(収量7.69g,収率81%)を得た。
H-NMR(CDCl)δ(ppm):9.17(s,1H),9.00(d,J=8.8Hz,2H),8.86-8.81(m,5H),8.47-8.43(m,3H),8.13(d,J=8.8Hz,2H),8.03(d,J=8.0Hz,1H),7.93(d,J=9.2Hz,1H),7.71-7.40(m,9H)。
化合物A-10のガラス転移温度は、104℃であった。
合成実施例-7
合成実施例-3において、1-ナフタレンボロン酸(3.44g,20.0mmol)の代わりに10-フェニル-9-アントラセンボロン酸(5.96g,20.0mmol)を用いた以外は、合成実施例-3と同じ方法で合成し、目的の4,6-ジフェニル-2-{4-[2-(10-フェニル-9-アントラセニル)ピリジン-4-イル]フェニル}-1,3,5-トリアジン(化合物A-70)の黄白色固体(収量3.92g,収率37%)を得た。
H-NMR(CDCl)δ(ppm):9.05(d,J=8.4Hz,1H),8.91(d,J=8.4Hz,2H),8.79(dd,J=6.4,1.6Hz,4H),7.96(d,J=8.4Hz,3H),7.83(d,J=5.2Hz,1H),7.74-7.34(m,19H)。
化合物A-70のガラス転移温度は、149℃であった。
合成実施例-8
合成実施例-3において、1-ナフタレンボロン酸(3.44g,20.0mmol)の代わりに4-(1-ナフチル)フェニルボロン酸(4.96g,20.0mmol)を用いた以外は、合成実施例-3と同じ方法で合成し、目的の2-(4-{2-[4-(1-ナフチル)フェニル]ピリジン-4-イル}フェニル)-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン(化合物A-21)の白色固体(収量5.76g,収率59%)を得た。
H-NMR(CDCl)δ(ppm):8.92(d,J=8.4Hz,2H),8.85(d,J=8.8Hz,1H),8.80(dd,J=7.6,1.2Hz,4H),8.22(d,J=8.0Hz,2H),8.12(s,1H),8.00-7.89(m,5H),7.69-7.46(m,13H)
合成実施例-9
合成実施例-3において、1-ナフタレンボロン酸(3.44g,20.0mmol)の代わりに3-(9-フェナントリル)フェニルボロン酸(9.99g,20.0mmol)を用いた以外は、合成実施例-3と同じ方法で合成し、目的の4,6-ジフェニル-2-(4-{2-[3-(9-フェナントリル)フェニル]ピリジン-4-イル}フェニル)-1,3,5-トリアジン(化合物A-17)の白色固体(収量8.84g,収率83%)を得た。
H-NMR(CDCl)δ(ppm): 8.89(d,J=8.0Hz,2H),8.83-8.74(m,7H),8.27(s,1H),8.22(dd,J=3.2,1.6Hz,1H),8.09(s,1H),8.00-7.91(m,4H),7.88(s,1H),7.81-7.61(m,13H)。
化合物A-17のガラス転移温度は、119℃であった。
合成実施例-10
アルゴン気流下、4,6-ジフェニル-2-[4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル]-1,3,5-トリアジン(25.0g,57.4mmol)、2-ブロモ-6-クロロピリジン(12.2g,63.1mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(1.33g,1.15mmol)、及び2.0M-リン酸三カリウム水溶液(86mL)を、テトラヒドロフラン(574mL)に懸濁し、70℃で19.0時間撹拌した。放冷後、析出した固体を濾別し、水、及びエタノールで固体を洗浄した。さらに再結晶(トルエン)で精製することで目的の4,6-ジフェニル-2-[4-(6-クロロピリジン-2-イル)フェニル]-1,3,5-トリアジン(化合物3)の白色固体(収量19.4g,収率80%)を得た。
1H―NMR(CDCl3)δ(ppm):7.33-7.35(m,1H),7.58-7.64(m,6H), 7.75-7.79(m,2H),8.21-8.23(dd,J=8.4Hz,2H),8.79-8.81(d,J=7.5Hz,4H),8.86-8.89(d,J=8.4Hz,2H).
合成実施例-11
アルゴン気流下、合成実施例-10で得られた4,6-ジフェニル-2-[4-(6-クロロピリジン-2-イル)フェニル]-1,3,5-トリアジン(6.0g,14.3mmol)、9-フェナントレンボロン酸ネオペンチルグリコールエステル(4.98g,17.2mmol)、酢酸パラジウム(64.2mg,0.29mmol)、及び2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,4’,6’-トリイソプロピルビフェニル(273mg,0.57mmol)を、テトラヒドロフラン(143mL)に懸濁し、次いで、得られた懸濁液に2.0M-リン酸三カリウム水溶液(21.5mL)を滴下し、70℃で6時間撹拌した。放冷後、固体を濾別し、水、及びメタノールで固体を洗浄した。さらに再結晶(トルエン)で精製することで目的の4,6-ジフェニル-2-{4-[6-(9-フェナントリル)ピリジン-2-イル]フェニル}-1,3,5-トリアジン(化合物D-1)の白色固体(収量6.43g,収率80%)を得た。
H―NMR(CDCl)δ(ppm):7.57-7.63(m,7H),7.65-7.68(m,2H), 7.70-7.75(m,2H),7.96-8.02(m,4H),8.30(d,J=7.2Hz,1H),8.36(d,J=8.7Hz,2H),8.76-8.84(m,6H),8.90(d,J=8.7Hz,2H).
化合物D-1のガラス転移温度は、111℃であった。
次に素子評価について記載する。
素子実施例-1(図1参照)
(基板101、陽極102の用意)
陽極をその表面に備えた基板として、2mm幅の酸化インジウム-スズ(ITO)膜(膜厚110nm)がストライプ状にパターンされたITO透明電極付きガラス基板を用意した。ついで、この基板をイソプロピルアルコールで洗浄した後、オゾン紫外線洗浄にて表面処理を行った。
(真空蒸着の準備)
洗浄後の表面処理が施された基板上に、真空蒸着法で各層の真空蒸着を行い、各層を積層形成した。
まず、真空蒸着槽内に前記ガラス基板を導入し、1.0×10-4Paまで減圧した。そして、以下の順で、各層の成膜条件に従ってそれぞれ作製した。
(正孔注入層103の作製)
昇華精製したN-[1,1’-ビフェニル]-4-イル-9,9-ジメチル-N-[4-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)フェニル]-9H-フルオレン-2-アミンと1,2,3-トリス[(4-シアノ-2,3,5,6-テトラフルオロフェニル)メチレン]シクロプロパンを0.15nm/秒の速度で55nm成膜し、正孔注入層を作製した。
(第一正孔輸送層1051の作製)
N-[1,1’-ビフェニル]-4-イル-9,9-ジメチル-N-[4-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)フェニル]-9H-フルオレン-2-アミンを0.15nm/秒の速度で10nm成膜し、第一正孔輸送層を作製した。
(第二正孔輸送層1052の作製)
N-フェニル-N-(9,9-ジフェニルフルオレン-2-イル)-N-(1,1’-ビフェニル-4-イル)アミンを0.15nm/秒の速度で10nm成膜し、第二正孔輸送層を作製した。
(発光層106の作製)
3-(10-フェニル-9-アントリル)-ジベンゾフランと2,7-ビス[N,N-ジ-(4-tertブチルフェニル)]アミノ-ビスベンゾフラノ-9,9’-スピロフルオレンを95:5(質量比)の割合で25nm成膜し、発光層を作製した。成膜速度は0.18nm/秒であった。
(第一電子輸送層1071の作製)
合成実施例-5で合成した2-{4-[2-(3-ビフェニル)ピリジン-4-イル]フェニル}-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン(化合物A-8)を0.15nm/秒の速度で5nm成膜し、第一電子輸送層1071を作製した。
(第二電子輸送層1072の作製)
昇華精製した2-{3-(2,6-ジメチルピリジン-3-イル)-5-(9-フェナントリル)フェニル}-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジンおよび8-ヒドロキシキノリノラートリチウム(以下、Liq)を50:50(質量比)の割合で25nm成膜し、第二電子輸送層1072を作製した。成膜速度は0.15nm/秒であった。
(陰極108の作製)
最後に、基板上のITOストライプと直交するようにメタルマスクを配し、陰極8を成膜した。陰極は、銀/マグネシウム(質量比1/10)と銀とを、この順番で、それぞれ80nmと20nmとで成膜し、2層構造とした。銀/マグネシウムの成膜速度は0.5nm/秒、銀の成膜速度は成膜速度0.2nm/秒であった。
以上により、図1に示すような発光面積4mm有機電界発光素子100を作製した。なお、それぞれの膜厚は、触針式膜厚測定計(DEKTAK、Bruker社製)で測定した。
さらに、この素子を酸素および水分濃度1ppm以下の窒素雰囲気グローブボックス内で封止した。封止は、ガラス製の封止キャップと成膜基板(素子)とを、ビスフェノールF型エポキシ樹脂(ナガセケムテックス社製)を用いて行った。
上記のようにして作製した有機電界発光素子に直流電流を印加し、輝度計(製品名:BM-9、トプコンテクノハウス社製)を用いて発光特性を評価した。発光特性として、電流密度10mA/cmを流した時の発光効率(cd/A)を測定した。また、上記のようにして作製した素子を初期輝度1000cd/mで駆動したときの連続点灯時の輝度減衰時間を測定し、輝度(cd/m)が5%減じるまでに要した時間、すなわち素子寿命(h)、を測定した。得られた測定結果を相対値として表1に示す。なお、表1の発光効率及び素子寿命は、後述の素子参考例1における結果を基準値(100)とした相対値である。
素子実施例-2
素子実施例-1において、化合物A-8の代わりに、合成実施例-6で合成した2-{4-[2-(ジベンゾチオフェン-2-イル)ピリジン-4-イル]フェニル}-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン(化合物A-10)を用いた以外は、素子実施例-1と同じ方法で有機電界発光素子を作製し、評価した。得られた測定結果を表1に示す。
素子実施例-3
素子実施例-1において、化合物A-8の代わりに、合成実施例-9で合成した4,6-ジフェニル-2-(4-{2-[3-(9-フェナントリル)フェニル]ピリジン-4-イル}フェニル)-1,3,5-トリアジン(化合物A-17)を用いた以外は、素子実施例-1と同じ方法で有機電界発光素子を作製し、評価した。得られた測定結果を表1に示す。
素子実施例-4
素子実施例-1において、化合物A-8の代わりに、合成実施例-7で合成した4,6-ジフェニル-2-{4-[2-(10-フェニル-9-アントラセニル)ピリジン-4-イル]フェニル}-1,3,5-トリアジン(化合物A-70)を用いた以外は、素子実施例-1と同じ方法で有機電界発光素子を作製し、評価した。得られた測定結果を表1に示す。
素子実施例-5
素子実施例-1において、化合物A-8の代わりに、合成実施例-11で合成した4,6-ジフェニル-2-{4-[2-(9-フェナントリル)ピリジン-2-イル]フェニル}-1,3,5-トリアジン(化合物D-1)を用いた以外は、素子実施例-1と同じ方法で有機電界発光素子を作製し、評価した。得られた測定結果を表1に示す。
素子参考例-1
素子実施例-1において、化合物A-8の代わりに特許文献1に記載されている2,4-ビス(4-ビフェニリル)-6-[4’-(4-ピリジル)ビフェニル-4-イル]1,3,5-トリアジン(ETL-1(下記参照))を用いた以外は、素子実施例-1と同じ方法で有機電界発光素子を作製し、評価した。
素子実施例-1~5によれば、素子参考例-1と比較して極めて優れた発光効率の有機電界発光素子が得られた。
また、素子実施例-1~5によれば、素子参考例-1と比較して極めて優れた素子寿命の有機電界発光素子が得られた。
したがって、本発明の一態様にかかる環状アミン化合物は、発光効率および素子寿命に優れた有機電界発光素子の作製に資する有機電界発光素子用材料および有機電界発光素子用電子輸送材料に利用できる。さらに、本発明の一態様にかかる環状アジン化合物によれば、発光効率および長寿命性に優れる有機電界発光素子を提供することができる。
本発明は、有機電界発光素子の電子輸送層として用いることで素子の長寿命化、又は高効率化を可能にする新規構造を有するトリアジン化合物を提供するものである。

Claims (10)

  1. 一般式()で表されるトリアジン化合物。
    (一般式(A)中、Ar及びArは、各々独立して、C、H、O、Si、及びSからなる原子群より選ばれる原子で構成される炭素数6~18の単環、連結、若しくは縮環の芳香族基(該基は、炭素数1~4のアルキル基、フッ素原子又はフェニル基で置換されていてもよい)を表す。
    Xは、各々独立して、C、H、O、Si、及びSからなる原子群より選ばれる原子で構成される炭素数6~18の単環、連結、若しくは縮環の芳香族基(該基は、フッ素原子で置換されていてもよい)を表す
    は、1~3の整数を表し、nは、0~2の整数を表す。)
  2. Xが、各々独立して、炭素数6~18の単環、連結、若しくは縮環の芳香族炭化水素基(該基は、フッ素原子で置換されていてもよい)であることを特徴とする請求項1に記載のトリアジン化合物。
  3. Xが、各々独立して、1,2-フェニレン基、1,3-フェニレン基、又は1,4-フェニレン基であることを特徴とする請求項1に記載のトリアジン化合物。
  4. Arが、各々独立して、炭素数6~17の単環、連結、若しくは縮環の芳香族炭化水素基、ジベンゾフラニル基、又はジベンゾチオフェニル基(これらの基は、炭素数1~4のアルキル基又はフッ素原子で置換されていてもよい)であることを特徴とする請求項1に記載のトリアジン化合物。
  5. Arが、各々独立して、フェニル基、2-ビフェニル基、3-ビフェニル基、4-ビフェニル基、1-ナフチル基、又は2-ナフチル基で表される請求項1に記載のトリアジン化合物。
  6. Arが、炭素数6~17の単環、連結、若しくは縮環の芳香族炭化水素基、ベンゾフラニル基、ベンゾチオフェニル基、ジベンゾフラニル基、又はジベンゾチオフェニル基(これらの基は、炭素数1~4のアルキル基、フッ素原子又はフェニル基で置換されていてもよい)であることを特徴とする請求項1に記載のトリアジン化合物
  7. Arが、フェニル基、ビフェニリル基、ターフェニリル基、ナフチル基、フルオレニル基、アントラセニル基、フェナントリル基、ピレニル基、フルオランテニル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチオフェニル基、ジベンゾフラニル基、又はジベンゾチオフェニル基(これらの基は、炭素数1~4のアルキル基、フッ素原子又はフェニル基で置換されていてもよい)であることを特徴とする請求項1に記載のトリアジン化合物。
  8. 下記式(A-1)、(A-2)、(A-3)、(A-8)、(A-10)、(A-17)、(A-21)、(A-28)、又は(A-70)で表される、請求項1に記載のトリアジン化合物。
  9. 請求項1に記載のトリアジン化合物を含有することを特徴とする、有機電界発光素子用材料。
  10. 請求項1に記載のトリアジン化合物を含有することを特徴とする、有機電界発光素子用電子輸送材料。
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