(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態に係る固定装置1、及び、固定装置1が用いられる太陽光発電ユニット600について説明する。
図1は、固定装置1、太陽光モジュール100及びラック部材200の構成として、太陽光モジュール100を建物の屋根500に固定する状態を示した分解斜視図である。図2は、固定装置1、太陽光モジュール100及びラック部材200の構成を、図1中のII-II線断面で示す断面図である。図3は、固定装置1、太陽光モジュール100及びラック部材200の構成を、図2中のIII-III線断面で示す部分断面図である。なお、図3中、太陽光モジュール100Aについて省略して示す。図4は、固定装置1の構成を示す分解斜視図である。図5は、固定装置1に用いられる固定具20の構成を示す平面図である。なお、本実施形態において、上方及び下方は、屋根500に取り付けられる状態で規定する。
固定装置1は、太陽光発電ユニット600を屋根500に設置するときに、ラック部材200に太陽光モジュール100(パネル)を固定可能に構成される。ここで、太陽光発電ユニット600は、図1に示すように、複数の太陽光モジュール100と、複数のラック部材200と、複数の固定装置1と、複数の化粧板300と、複数の固定金具400と、を備えている。本実施形態においては、複数の太陽光モジュール100を屋根500の傾斜に沿って、屋根500の棟及び軒の間に設置する太陽光発電ユニット600を用いて説明する。屋根500の軒は、例えば、図1中で屋根500の化粧板300が設けられる側である。
なお、太陽光モジュール100は、パネル状の形状を有している。また、ラック部材200に最初に固定する太陽光モジュール100を第1の太陽光モジュール100Aと称し、次にラック部材200に配置される太陽光モジュール100を第2の太陽光モジュール100Bと称する。あるいは、これら2枚の第1の太陽光モジュール100A及び第2の太陽光モジュール100Bを総称して太陽光モジュール100と称する。なお、太陽光モジュール100には、太陽光発電用のいわゆるソーラパネルや、太陽の熱を利用して給湯を行う太陽熱温水器用のモジュールを含む。
太陽光モジュール100は、図1に示すように、矩形枠状のフレーム130と、複数の太陽電池セル150と、を備えている。太陽光モジュール100は、平板状の外観を有している。フレーム130は、図2に示すように、複数並べられた太陽電池セル150の周縁部と表裏面の一部を覆う。フレーム130は、太陽光モジュール100の周縁部の一部を構成する。太陽電池セル150は、複数並べられてパネル状に固定され、フレーム130に支持される。太陽光モジュール100は、フレーム130の内側であって、太陽電池セル150の裏面側には空間140を有する。また、フレーム130には、メッキ加工が施されている。
図1に示すように、ラック部材200は、太陽光モジュール100が配置される屋根500の棟から軒に沿わせて屋根500に固定される金属性の棒状部材である。ラック部材200は、一列に太陽光モジュール100を並べる場合に、例えば2本用いられる。換言すると、例えば、図1に示すように、太陽光モジュール100は、略並行に屋根500に固定された2本のラック部材200で支持される。複数のラック部材200は、屋根500上に略並行に配置される。ラック部材200は、複数の太陽光モジュール100を取り付け可能な長さ、本実施形態においては、例えば、長手方向に沿って2枚の太陽光モジュール100を取付け可能な長さに構成される。ラック部材200の長さ、取り付ける太陽光モジュール100の数等は、屋根500の大きさや、求められる太陽光モジュール100の機能によって適宜設定される。
ラック部材200は、上面部に太陽光モジュール100のフレーム130の裏面120と接し、太陽光モジュール100の並び方向に沿って延びる一対の支持板部210(上面部)を有している。ラック部材200は、長手方向に沿って延びる一対の支持板部210の間にスリット状の開口部230を備えている。ラック部材200は、支持板部210が開口部230と反対側で連続する形状の中空棒状である。即ち、ラック部材200は、ラック部材200の長手方向に沿って延びるスリット状の開口部230を上面部に有する矩形筒状に構成される。
具体的には、図3に示すように、ラック部材200は、帯状の一対の支持板部210と、支持板部210と離間して略平行に設けられる底板部270と、一対の支持板部210及び底板部270を一体に接続する一対の側板部である第1側板部290及び第2側板部291と、を備える。換言すると、ラック部材200は、図3に示すように、底板部270の互いに対向する2辺から略垂直に延び一対の支持板部210とそれぞれ繋がる第1側板部290及び第2側板部291を有している。ラック部材200の材料としては、例えば、アルミニウム、ステンレス、鉄等の金属材料又は樹脂材料を用いることができる。なお、本実施形態においては、ラック部材200は、一方向に長い金属性の矩形の板を長手方向に沿った複数個所で折り曲げて作製されている。
図1及び図2に示すように、固定装置1は、例えば、ラック部材200の第1の太陽光モジュール100A及び第2の太陽光モジュール100Bの間に配置され、ラック部材200に第1の太陽光モジュール100Aを固定する。また、固定装置1は、図1及び図2に示すように、ラック部材200の第2の太陽光モジュール100Bの棟側に配置され、ラック部材200に第2の太陽光モジュール100Bを固定する。
図2に示すように、固定装置1は、押さえ具10と、固定具20と、ボルト30(締結部材)と、を備えている。
押さえ具10は、図2に示すように、第1延出部11と、押圧部12と、第2延出部13と、第1突起部17と、第2突起部18と、を備える。押さえ具10は、例えば、第1延出部11、押圧部12、第2延出部13、第1突起部17及び第2突起部18が一体に成形される。
第1延出部11は、矩形板状に構成される。第1延出部11は、押さえ具10をラック部材200に配置したときに太陽光モジュール100のフレーム130の厚み方向に沿って、換言すると、屋根500の上面に直交する方向に沿って延びる矩形板状の押さえ具10の部位である。具体的には、第1延出部11は、長手方向の長さが太陽光モジュール100の裏面120側のフレーム130の端部から表面110側のフレーム130の端部までの高さよりも長く構成される。具体的には、第1延出部11の長手方向の長さは、太陽光モジュール100の厚さよりも長く、その一部がラック部材200の開口部230から、ラック部材200の内側に挿通されている。なお、第1延出部11の長さについては、本実施形態に示したものに限られない。すなわち、第1延出部11の長さは、太陽光モジュール100の厚さ、並びに、第2延出部13及び第1突起部17の形状に合わせて設定される。
第1延出部11は、フレーム130の側面と対向する面の、第1延出部11の長手方向と直交する幅方向の長さがラック部材200の長手方向と直交する開口部230の幅方向の長さよりも短く形成されている。また、第1延出部11は、長手方向及び幅方向に直交する厚さが、押さえ具10の材料や形状に応じて、太陽光モジュール100を支持可能な強度に設定される。
図2に示すように、押圧部12は、第1延出部11の一端であって、且つ、第1延出部11の厚さ方向に沿って延設される。図2に示すように、押圧部12は、第1延出部11の上端に第1延出部11と一体に設けられ、第1延出部11の長手方向と直交又は略直交する面に沿って配置される部位である。
押圧部12は、第1押圧部14及び第2押圧部15を含む。第1押圧部14は、第1の太陽光モジュール100Aの周縁部の一部と当接する。具体的には、第1押圧部14は、第1の太陽光モジュール100Aの表面110側のフレーム130の上面に当接する。第2押圧部15は、第2の太陽光モジュール100Bの周縁部の一部と当接する。具体的には、第2押圧部15は、第2の太陽光モジュール100Bの表面110側のフレーム130の上面に対向し、第2の太陽光モジュール100Bが固定装置1から外れることを防ぐ。
第1押圧部14は、第2押圧部15よりも若干厚く作られている。言い換えれば、押さえ具10の第2押圧部15の接触面15aから支持板部210の表面(外面)210aまでの距離は、第1押圧部14の接触面14aから支持板部210の表面210aまでの距離よりも若干長く構成されている。換言すると、第2押圧部15の接触面15aから第2延出部13の表面13aまでの間の距離は、第1押圧部14の接触面14aから第2延出部13の表面13aまでの間の距離よりも長く構成されている。
これにより、軒側に位置する第1の太陽光モジュール100Aは、第1押圧部14により強固に固定される。一方、棟側に配置される第2の太陽光モジュール100Bを第2押圧部15の下へ挿入し易くなる。
すなわち、固定装置1を用いて第1の太陽光モジュール100Aを固定後に第2の太陽光モジュール100Bを第2押圧部15の接触面15aと支持板部210の間にはめ込むときに、第2の太陽光モジュール100Bを斜め上方から固定装置1に嵌め込むことが可能である。このため、第2の太陽光モジュール100Bを支持板部210に沿ってスライドさせる必要がなく作業性が良い。
第2延出部13は、第1延出部11の押圧部12が設けられた端部と反対側の端部に設けられ、第1延出部11の厚さ方向に延びる。第2延出部13の幅は、例えば、第1延出部11と同じ幅に構成される。第2延出部13は、第1延出部11の押圧部12と反対側の端部から、ラック部材200の支持板部210と略並行に一体に延びる板状の部分である。言い換えれば、第2延出部13は、第1延出部11とほぼ直交し、第1延出部11の他方の端部から第2押圧部15と略並行に延出される部分である。
第2延出部13は、例えば、図2及び図3に示すように、第2押圧部15と重ならない位置に第1ボルト孔16を有する。第1ボルト孔16は、第2延出部13を貫通する。第1ボルト孔16の軸心方向は、第2延出部13と直交する。第1ボルト孔16は、押さえ具10及び固定具20を接続するボルト30を挿入できる内径を有する。
第2延出部13は、端部13cに一体に形成され、第2延出部13の裏面13b側から第1延出部11の長手方向に沿って延びる脚部13dを有する。具体的には、図2に示すように、第2延出部13の第1延出部11と繋がる側と反対側の端部13cには、ラック部材200の底板部270へ向かって延びる脚部13dが一体に設けられている。
第1突起部17は、第2延出部13と一体に形成される。第1突起部17は、図2に示すように、第2延出部13の第1延出部11側の裏面13bからラック部材200の底板部270へ向かって延びる矩形の板状部分である。第1突起部17は、後述する固定具20の連結孔27に挿通されている。本実施形態においては、第1突起部17の形状は、板状とし、スリット状の連結孔27に挿通される。第1突起部17は、連結孔27に挿通することにより、例えば、図11の矢印Y2方向へ押さえ具10が回転したときに、押さえ具10と固定具20との連結が外れることがない。すなわち、押さえ具10の第1突起部17及び連結孔27は、固定具20の押さえ具10に対する矢印Y2方向の移動を規制する。言い換えれば、第1突起部17の突出方向に沿った軸を中心に押さえ具10を回転させたときに、固定具20が押さえ具10とともに回転する。
なお、本実施形態においては、第1突起部17の形状は、板状としているが、第1突起部17の形状はこれに限られず、押さえ具10の移動に伴わずに固定具20が押さえ具10に対して矢印Y2方向に移動することを規制することが可能であれば、他の形状を用いることも可能である。
また、第1突起部17は、例えば、棟側から軒側へ向かって太陽光モジュール100に力が掛かったときにラック部材200と当接し、太陽光モジュール100を支持する支持部材としても機能してもよい。
第2突起部18は、第2延出部13の表面13aから上方に延びる矩形板状に形成される。図2に示すように、第2突起部18は、上端がラック部材200の支持板部210の上面よりも上方に若干突出する。換言すると、第2突起部18は、第2押圧部15に太陽光モジュール100Bを挿入した状態において、上端が太陽光モジュール100Bのフレーム130(周縁部)の裏面(下面)120に当接可能に形成される。即ち、第2突起部18の高さは、上端が太陽光モジュール100の下面に当接する高さであって、尚且つ第2押圧部15への太陽光モジュール100の挿入時に挿入の動作が妨げられない高さに設定される。第2突起部18は、例えば、第2延出部13と一体に形成される。第2突起部18は、例えば、第2延出部13の幅と同等の幅を有する。ここで、第2突起部18及び第2延出部13の幅方向とは、第1延出部11の厚さ方向と直交し、且つ、延設方向と直交する方向である。
また、第2突起部18は、第2延出部13及び第2押圧部15の対向方向で、換言すると、第1延出部11の延設方向で、さらに換言すると、上下方向で、第2延出部13の第2押圧部15と対向しない位置に設けられる。
即ち、第2突起部18は、第2延出部13の長手方向で、第2延出部13の端部13cから第2押圧部15の先端直下までの間のいずれかの位置に設けられる。換言すると、第2突起部18は、第1延出部11から第2押圧部15の先端よりも、第1延出部11から離れた第2延出部13の部位に設けられる。本実施形態では、第2突起部18は、第2延出部13の端部13c近傍に設けられている。
なお、第2突起部18は、第1ボルト孔16の近傍に設けられていてもよい。この場合において、第2突起部18の形状は、第1ボルト孔16に挿通したボルト30にナット34を装着することができればよく、例えば、工具のソケットを挿入可能なスペースを確保できる位置又は形状に適宜設定される。また、本実施形態においては、第2突起部18の形状は、矩形板状としているが、第2突起部の形状はこれに限られず、上端が太陽光モジュール100の下面に当接する形状であって、尚且つ太陽光モジュール100Bの挿入の動作を妨げない形状であれば、他の形状を用いることもできる。
脚部13dは、第2延出部13の端部13cから第2延出部13の長手方向と直交する方向に延びる。脚部13dは、第2押圧部15から離間する方向に延びて形成される。言い換えれば、脚部13dは、第2延出部13の端部13cにおいて、第1突起部17と同じ方向に延設される。脚部13dは、第1突起部17の突出方向の長さよりも長く形成される。脚部13dは、固定装置1が太陽光モジュール100をラック部材200に固定した際に、ラック部材200の底板部270に当接する長さに構成されている。
本実施形態において、脚部13dは、第1突起部17と略平行に設けられ、第2延出部13と略直交する板状部分である。脚部13dは、例えば、第1突起部17と離間する側の面に凸部13eを有している。言い換えれば、脚部13dは、第2延出部13の表面13aと連続する面に単数又は複数の凸部13eを備える。
このような脚部13dを備えることにより、押さえ具10は、ラック部材200の底板部270と脚部13dの先端が当接する。よって、固定装置1は、軒側から棟側へ向かう力が太陽光モジュール100に作用したときに、脚部13dにより軒側から棟側へ向かう力に対抗することができる。
例えば、軒側から棟側へ強風が吹いたときに、図2に示す第1の太陽光モジュール100Aは、第2の太陽光モジュール100Bへ向かって押圧される。このときに、脚部13dは、ラック部材200の底板部270と当接していることにより、固定装置1の破損を防ぐとともに、第1の太陽光モジュール100Aを支持する。
また、押さえ具10は、脚部13dと第1突起部17を備えることにより、自立可能に構成されている。このため、作業者は、固定装置1をラック部材200の内側に立てて仮置きすることができるため作業性がよい。
また、脚部13dに設けられた凸部13eは、識別マークとして機能する。凸部13eは、単数又は複数設けられる。例えば、凸部13eは、第1延出部11の長さの異なる複数の種類の押さえ具10を製造した場合、凸部13eの数を第1延出部11の長さにより変えることで、第1延出部11の長さが異なるそれぞれの押さえ具10の区別を容易にすることができる。なお、複数種類の押さえ具10を取り扱わない場合などにおいては、押さえ具10は、脚部13dに凸部13eを設けなくても良い。
本実施形態において、押さえ具10を構成する押圧部12、第1延出部11、第2延出部13、第1突起部17、第2突起部18及び脚部13dは、押し出し成形により一体に形成されている。
次に、固定具20について図2乃至図5を用いて説明する。固定具20は、押さえ具10と締結したときに、第1圧接部25a及び第2圧接部25bにより、太陽光モジュール100のフレーム130の裏面120を押圧する。具体的には、図2乃至図5に示すように、固定具20は、ベース部26と、第1圧接部25aと、第2圧接部25bと、アース部22と、を備えている。また、固定具20は、固定装置1により太陽光モジュール100を取り付けるときの姿勢に対して傾斜する姿勢においてラック部材200の開口部230からラック部材200内へ挿入できる形状である。
ベース部26は、図3乃至図5に示すように、例えば、略4角形の板状の部位である。具体例として、ベース部26は、第1辺26a、第2辺26b、第3辺26c及び第4辺26dを有する略台形の部分である。ベース部26は、第1辺26a及び第3辺26cにおいて、それぞれ第1圧接部25a及び第2圧接部25bと一体に接続される。ベース部26は、第2辺26bにおいてアース部22と一体に接続される。
図5に示すように、ベース部26は、第1圧接部25aが設けられる第1辺26aと第2圧接部25bが設けられる第3辺26cの少なくとも二辺が平行に構成される。また、ベース部26は、第1辺26a及び第3辺26cが、第2辺26b及び第4辺26dに対して鋭角或いは鈍角に傾斜する。また、ベース部26は、第1辺26aの外面及び第4辺26dの外面の稜部に平面の面取り部を有する。
ベース部26は、上述した連結孔27と第2ボルト孔28とを備えている。連結孔27は、例えば、押さえ具10の第1突起部17が挿通可能に形成されるスリット状の貫通孔である。連結孔27の形状は、第1突起部17の形状に合わせて適宜設定される。第2ボルト孔28は、押さえ具10の第1ボルト孔16と同軸に配置される貫通孔である。第2ボルト孔28は、ボルト30を挿通又は固定可能に構成される。
第1圧接部25aは、図3乃至図5に示すように、ベース部26の第1辺26aに沿って設けられ、ベース部26の第1辺26aから支持板部210へ向かってベース部26と略直交する方向に一体に延びる壁部分である。また、第1圧接部25aは、例えば、ベース部26の第2辺26b側に設けられる。第1圧接部25aは、先端に支持板部210の裏面と当接可能に形成された第1端面24aを有する。また、図4及び図5に示すように、第1圧接部25aの先端には、第1角C1及び第2角C2を備えている。ここで、第1角C1及び第2角C2は、第1圧接部25aの外側に構成される2つの稜部である。例えば、第1角C1及び第2角C2は、曲面で面取りされている。
第2圧接部25bは、図3および図4に示すように、ベース部26の第3辺26cに沿って設けられ、ベース部26の第3辺26cから支持板部210へ向かってベース部26と略直交する方向に一体に延びる壁部分である。また、第2圧接部25bは、例えば、ベース部26の第4辺26d側に設けられる。第2圧接部25bは、先端に支持板部210の裏面と当接可能に形成された第2端面24bを有する。第2圧接部25bは、第1圧接部25aと対向して平行に設けられる。また、図4及び図5に示すように、第2圧接部25bの先端には、第3角C3及び第4角C4を備えている。ここで、第3角C3及び第4角C4は、第2圧接部25bの外側に構成される2つの稜部である。例えば、第3角C3及び第4角C4は、曲面で面取りされている。
第1圧接部25a及び第2圧接部25bは、押さえ具10と固定具20をボルト30により締め付けるにつれて、ラック部材200の支持板部210に向けて上方へ移動される。これにより第1圧接部25a及び第2圧接部25bの先端が支持板部210の裏面と当接する。具体的には、第1圧接部25aの第1端面24a及び第2圧接部25bの第2端面24bが支持板部210の裏面と当接する。
第1圧接部25aと第2圧接部25bは、所定の距離だけ離間してベース部26に設けられている。具体的には、図3に示すように、固定具20の第1圧接部25aの第1角C1と第2圧接部25bの第3角C3との間の距離K1は、ラック部材200の開口部230の短手方向の距離K2よりも長い。また、距離K1は、ラック部材200の第1側板部290の内面と第2側板部291の内面との間の距離L3よりも短い。このため、ラック部材200の内側に配置された固定具20は、第1圧接部25a及び第2圧接部25bが支持板部210の裏面と当接可能な位置にあるときは、開口部230から固定具20がラック部材200の外側に外れることがない。また、距離K1は、第2側板部291の内面と第1側板部290側の支持板部210の端部(開口部230の縁)との間の距離L4よりも長い。このため、固定具20の位置が図示左右にずれた場合であっても、固定具20がラック部材200から外れることがない。なお、距離L4は、第1側板部290の内面と第2側板部291側の支持板部210の端部との間の距離と同じ距離である。
また、第1圧接部25aの外面と第2圧接部25bの外面との間の距離K3は、ラック部材200の開口部230の短手方向の距離K2よりも若干長い。具体的には、第1圧接部25aの外面と第2圧接部25bの外面との間の距離K3は、固定具20をラック部材200に対して傾斜させた姿勢で、第1圧接部25aまたは第2圧接部25bのいずれか一方をラック部材200の支持板部210の裏面と当接可能に位置させた際に、第1圧接部25aまたは第2圧接部25bの他方が開口部230を通過可能な距離に設定される。
また、図4に示すように、固定具20の第1圧接部25aと第2圧接部25bとは、固定具20をラック部材200に取り付けた状態でラック部材200の長手方向に沿って延びる。また、第1圧接部25aと第2圧接部25bは、長手方向にずれた位置で平行に配置されている。言い換えれば、第1圧接部25aの第4辺26d側の一部は切り欠かれ、同様に、第2圧接部25bの第2辺26b側の一部も、切り欠かれている。
このような構成を有する固定具20は、図6及び図7に示す状態からラック部材200に挿入された後、ラック部材200の内側で図6及び図7に示す状態から図8及び図9に示す状態まで図7の矢印Y2に示す方向に回転することができる。すなわち、距離L2は、距離L3よりも短い。このため、固定具20の第2角C2は、第1側板部290に当たることなく矢印Y2方向に回転することができる。固定具20の第4角C4は、第2側板部291に当たることなく矢印Y2方向に回転することができる。また、固定具20は、図8及び図9に示す状態から、矢印Y2と逆方向に回転し、図6及び図7に示す状態に戻すことも可能である。一方、矢印Y2方向に所定の角度以上回そうとすると第1角C1及び第3角C3がそれぞれ、第1側板部290及び第2側板部291に当接し回すことができなくなる。
アース部22は、図4に示すように、ベース部26の第2辺26bを有する端部からベース部26と略直交するとともに、第1圧接部25a及び第2圧接部25bと交差する向きでラック部材200の開口部230に向かって一体に延びる板状部分である。さらに言えば、アース部22は、ベース部26の面方向と直交する方向に、ベース部26から第1押圧部14へ向かって延びる。また、アース部22は、第1圧接部25aの延設方向に対して交差する方向に延びる。例えば、アース部22は、ベース部26の端部の第2辺26bに沿って設けられている。即ち、アース部22は、主面が第1圧接部25aの主面に対して、第1辺26aに対する第2辺26bの傾斜角と同等に傾斜する。また、アース部22は、例えば、第2辺26bに沿う幅が、第1延出部11の幅よりも小さく形成されている。
アース部22は、先端側に2つの突起23を有している。突起23は、第1端面24a及び第2端面24bよりも押圧部12に向かって突出して形成されている。突起23は、固定具20がラック部材200に固定されたときに図2に示すように、太陽光モジュール100のフレーム130の裏面120に突き当てられる。
第2突起部の突起23は、フレーム130に施されているメッキ加工による薄膜層を貫通し、フレーム130の金属部分と接触する。これにより、アース部22は、太陽光モジュール100をアースする。
本実施形態において、第1辺26aと第3辺26cを繋ぐ第2辺26bは、第1辺26a及び第3辺26cと斜めに交差する。第2辺26bに沿って設けられるアース部22は、例えば、第4辺26dに対して平行に配置される。
アース部22は、図4に示すように、ラック部材200に固定装置1が取り付けられた状態において、第1延出部11の幅方向に対して平行となる。また、アース部22は、第1延出部11の幅よりも小さい幅に形成されている。太陽光モジュール100は、例えば、ラック部材200に固定され、屋根500の傾斜に沿って屋根500上に傾斜して配置されている。このため、棟側からアース部22の方へ流れた水は、アース部22の両端のいずれかに向かう流れを形成し、軒側に向かって排出される。これにより、アース部22は、排水機能を高め、ベース部26が錆びることを防止することができる。なお、アース部22は、ベース部26と連続する部位の一部に、水抜き孔を有していても良い。
なお、固定具20の材料としては、例えば、アルミニウム、ステンレス、鉄等の金属材料又は樹脂材料が用いることができる。本実施形態においては、固定具20は、金属性の板をプレス加工により複数個所で折り曲げて一体に作製されている。
ボルト30は、図4に示すように、固定具20の図示下側から第2ボルト孔28に固定されるか、又は、挿入される。なお、ボルト30は、第2ボルト孔28に固定される場合には、第2ボルト孔28に圧入されて固定される構成であってもよく、溶接によって固定される構成であってもよい。また、ボルト30は、第2ボルト孔28に挿入される場合には、ボルトヘッドを有する。ボルト30は、第2ボルト孔28と同軸の押さえ具10の第1ボルト孔16を通り、ワッシャ31、33を介してナット34で螺合される。これにより、ボルト30は、押さえ具10と固定具20とを締め付け、第1の太陽光モジュール100A及びラック部材200にそれぞれ当接した押さえ具10及び固定具20を一体に固定する。ボルト30は、締結部材である。なお、ボルト30は、ナット34とともに締結部材を構成してもよく、例えば、固定具20の第2ボルト孔28に雌ねじを設け、この雌ねじとともに、締結部材を構成してもよい。
ボルト30は、図2に示すように、ワッシャ31、33を介してナット34と締結する。ボルト30は、ナット34と締結することで、押圧部12と第1圧接部25a及び第2圧接部25bとの間でラック部材200の支持板部210と太陽光モジュール100を挟み込んだ状態の押さえ具10と固定具20とを固定する。すなわち、図4の例においては、図4の図示下方に固定具20を設け、この固定具20のベース部26の上に押さえ具10の第2延出部13を積み重ねるように配置する。この状態で押さえ具10及び固定具20は、ボルト30により締め付けられる。
また、図2に示すように、第1の太陽光モジュール100Aが第1押圧部14と第1圧接部25a及び第2圧接部25bとによりラック部材200に固定された状態において、第2延出部13とベース部26との間に空間Tが設けられている。すなわち、図2及び図3に示すように、ベース部26の表面と固定具20の第1端面24a及び固定具20の第2端面24bとの間の距離T1は、第2延出部13の裏面13bと支持板部210の裏面との間の距離T2よりも空間Tの厚み分長く設けられている。
図2示すように、ボルト30及びナット34を締めると、押さえ具10の押圧部12は、下方へ、即ち、ラック部材200側へ下がり、太陽光モジュール100を下方向へ押圧する。一方、固定具20の第1圧接部25a及び第2圧接部25bは、上方へ、即ち、太陽光モジュール100側へ上がり、支持板部210を介して太陽光モジュール100を上方へ押圧する。
このとき、距離T1と、距離T2が同じ長さで設計されている場合、ボルト30及びナット34を完全に締めた状態でも、太陽光モジュール100を固定するために必要な力が作用しにくい。これに対して、いわゆる締め代として、空間Tを設けることにより、固定装置1は、押さえ具10と固定具20を用いて強固に太陽光モジュール100を固定することができる。
言い換えれば、固定装置1は、押圧部12の第1押圧部14が太陽光モジュール100に接触し、且つ、支持板部210の裏面と第1圧接部25a及び第2圧接部25bとが当接した状態からさらに空間T分だけボルト30及びナット34を締めることができる。空間Tの大きさは、特に定められていないが、例えば、1ミリ~5ミリの範囲で設定することができる。なお、空間Tの大きさがこれより狭いと、固定装置1の寸法誤差により、締め代としての機能を発揮することができない虞がある。一方、空間Tを広く設けるためには、スペースの問題や、押さえ具10と固定具20との組み付け強度の問題が生じる虞がある。このため、空間Tの大きさは、固定装置1の大きさや、ラック部材200のサイズを考慮して適宜決定される。
図2に示すように、化粧板300は、第1の太陽光モジュール100Aの軒側の端面、ラック部材200の軒側の端部、固定金具400の軒側を覆う。例えば、化粧板300は、その一部を固定金具400にはめ込み可能に構成される。
図2に示すように、固定金具400は、ラック部材200の軒先の先端部に設けられ、第1の太陽光モジュール100Aの軒側の端縁を固定する。固定金具400は、例えば、押さえ具410と、固定具420と、ボルト430(締結部材)と、を備える。
図2に示すように、押さえ具410は、第1延出部411と、押圧部415と、第2延出部413と、第1突起部417と、第2突起部418と、を備える。押さえ具410は、例えば、第1延出部411、押圧部415、第2延出部413、第1突起部417及び第2突起部418が一体に成形される。なお、押さえ具410の第1延出部411、第2延出部413、第1突起部417及び第2突起部418の構成は、押さえ具10の第1延出部11、第2延出部13、第1突起部17及び第2突起部18の構成と同等であり、その詳細な説明は省略する。
図2に示すように、押圧部415は、第1延出部411の一端に設けられ、第1延出部411の厚さ方向に沿って延設される。押圧部415は、図2に示すように、第1延出部411の図示上端に第1延出部411と一体に設けられ、第1延出部411の長手方向と略直交する面に沿って配置される部位である。押圧部415は、軒側で化粧板300と係合する。
押圧部415は、押さえ具10の第2押圧部15と同等の構成である。具体的には、押圧部415は、第1の太陽光モジュール100Aの表面110側のフレーム130の上面に対向し、第1の太陽光モジュール100Aが固定装置1から外れることを防ぐ。
固定具420は、例えば、ボルト430及びナット34によって、底板部270に固定される。ボルト430は、例えば、二つのナット34によって、固定具420及び底板部270、並びに、底板部270及び押さえ具410を固定する。
次に、本実施形態に係る固定装置1を用いた、第1の太陽光モジュール100A及び第2の太陽光モジュール100Bの設置工程について説明する。
(第1の太陽光モジュールの設置)
まず、作業者は、図1に示すように、太陽光モジュール100を載置するためのラック部材200を屋根500に固定する。そして、作業者は、ラック部材200の軒側の先端部に固定金具400を取り付ける。ここで、作業者は、固定金具400を取り付けるときに化粧板300を固定金具400の軒側にはめ込み固定する。化粧板300を固定金具400の軒側に設けることにより、固定金具400が直接視認されることを防ぎ美観を保持する。なお、固定金具400は、ラック部材200の底板部270にボルト430及び二つのナット34を用いて固定される。
次に、作業者は、第1の太陽光モジュール100Aをラック部材200の上に載置する。本実施形態において、第1の太陽光モジュール100Aは、2本の略平行に配置されたラック部材200の間に架け渡されるように配置される。第1の太陽光モジュール100Aは、固定金具400の押圧部12とラック部材200の支持板部210との間に軒側のフレーム130を挟み込むことで支持される。
(第1の太陽光モジュールの固定)
先ず、作業者は、固定装置1の押さえ具10と固定具20をボルト30及びナット34で連結し、2つの部材10、20を仮留めする。仮留めとは、押さえ具10の第1突起部17が固定具20の連結孔27に挿通され、押さえ具10と固定具20とが別々に分離しない程度にボルト30及びナット34で締結されている状態のことをいう。なお、作業者は、予め必要な個数の仮留めされた固定装置1を準備しておくことにより、太陽光モジュール100の設置作業を効率的に進めることができる。
次に、第1の太陽光モジュール100Aを固定する固定装置1をラック部材200に取り付ける工程について図6乃至図8を用いて説明する。
図6は、固定装置1をラック部材200に挿入する工程の一例を示す平面図である。図7は、固定装置1をラック部材200に挿入する固定の一例を図6中のVII-VII線断面で示す断面図である。図8は、固定装置1がラック部材200の空間内へ挿入された状態を示す平面図である。図9は、固定装置1がラック部材200の空間内へ挿入された状態を図8中のIX-IX線断面で示す図である。
固定装置1は、図1に示すように、第1の太陽光モジュール100Aを間に挟んで、ラック部材200に沿った方向で、固定金具400と反対側に設けられる。図5及び図6に示すように、作業者は、仮留めされている固定装置1を第1圧接部25a及び第2圧接部25bの主面がラック部材200の長手方向に対して平行となる向きに向ける。換言すると、作業者は、第1圧接部25aの外面及び第2圧接部25bの外面が、ラック部材200の開口部230の延設方向に沿う姿勢とする。
この理由は、開口部230の短手方向の幅(距離K2)を通過することができる向きに固定装置1の向きを合わせるためである。言い換えれば、固定装置1の固定具20を開口部230からラック部材200の内側に挿入するためである。すなわち、開口部230の短手方向の幅(距離K2)は、固定具20の第1角C1と第3角C3との間の距離K1よりも狭く形成されている。このため、第1圧接部25a及び第2圧接部25bの主面が支持板部210の長手方向に対して傾斜する姿勢では、開口部230に固定具20を挿入することができない。言い換えれば、第1端面24aの長手方向が支持板部210の長手方向に対して傾斜する姿勢の固定具20は、開口部230から挿入することができない。
そこで、作業者は、第1圧接部25aの外側の面と第2圧接部25bの外側の面との間の距離K3が、距離K1よりも短いことを利用する。すなわち、作業者は、第1圧接部25a又は第2圧接部25bの一方が下方に、第1圧接部25a又は第2圧接部25bの他方が上方に位置するように固定装置1を傾ける。具体例として、図6及び図7に示すように、固定装置1を、例えば、第2圧接部25bが第1圧接部25aよりも開口部230に近接する方向に傾斜した姿勢とする。作業者は、まず、開口部230を介して、ラック部材200の内側に第2圧接部25bを挿入する。
続いて、図6及び図7に示すように、第2圧接部25bが支持板部210の下に位置するよう固定装置1を移動させる。そして、図6中の矢印Y1に示すように、第1圧接部25aを底板部270に向かって下ろし、開口部230に介してラック部材200の内側に第1圧接部25aを挿入する。ここで、固定装置1の脚部13dは、同時にラック部材200の内側に挿入され、底板部270に当接する。
次に、固定装置1の固定具20がラック部材200の内側の空間へ挿入されると、作業者は、固定装置1を矢印Y2の方向へ回転させる。固定装置1が矢印Y2の方向に回転すると、図7及び図8に示すように、固定装置1の第1圧接部25a及び第2圧接部25bは、ラック部材200の長手方向に沿って支持板部210に重なる位置に配置される。
言い換えれば、支持板部210の長手方向に、第1圧接部25aの第1端面24aの長手方向が沿う向きで、一方の支持板部210と対向して配置される。同様に、支持板部210の長手方向に、第2圧接部25bの第2端面24bの長手方向が沿う向きで、他方の支持板部210と対向して配置される。
作業者は、図7及び図8に示すように、第1圧接部25a及び第2圧接部25bが支持板部210と重なる位置まで来ていることを確認し、固定装置1の回転を止める。
固定装置1の位置が決定したら、作業者は、ボルト30及びナット34の締め付けを開始する。ボルト30及びナット34を締めることにより、固定具20の第1圧接部25a及び第2圧接部25bがラック部材200の支持板部210へ向かって引き上げられ、支持板部210の裏側から支持板部210を介して第1の太陽光モジュール100Aを押圧する。同時に、図2に示すように、押さえ具10の第1押圧部14がフレーム130から支持板部210へ向かって第1の太陽光モジュール100Aを押圧する。これにより、第1の太陽光モジュール100Aの棟側の端縁が、第1押圧部14及び支持板部210の間に挟み込まれて固定される。また、押さえ具410の第2突起部418の上端が、太陽光モジュール100Aのフレーム130の裏面120に当接する。
このとき、固定具20のアース部22は、第1の太陽光モジュール100Aのフレーム130を押圧する。アース部22の突起23は、フレーム130に施されているメッキ加工の薄膜を破ってフレーム130の裏面120と電気的に導通される。なお、本実施形態において、突起23は、2つ形成されているが、この中の一つでも導通が得られればよい。
(第2の太陽光モジュールの固定)
まず、第1の太陽光モジュール100Aの棟側を固定している固定装置1の第2押圧部15とラック部材200の支持板部210の間に第2の太陽光モジュール100Bの軒側の端縁を挟み込むように配置する。
次に、第2の太陽光モジュール100Bがラック部材200の上に配置される。第1の太陽光モジュール100Aの棟側を固定している固定装置1との間に第2の太陽光モジュール100Bを挟んで対向する位置に次の固定装置1をセットする。すなわち、太陽光モジュール100は、固定装置1と交互に配置される。なお、第2の太陽光モジュール100Bの棟側の端縁を固定する固定装置1の取り付け方法は、第1の太陽光モジュール100Aの棟側の端縁を固定している固定装置1の取り付け方法と同様のため、その詳細な説明は省略する。また、3枚目以降の太陽光モジュール100においても、同様の方法を繰り返すことで屋根に取り付けることができる。
このように構成された本実施形態に係る固定装置1によれば、第2突起部18がラック部材200の支持板部210の上方に若干突出する。このような固定装置1は、押圧部12及びラック部材200に加え、第2突起部18が太陽光モジュール100のフレーム130の一部に当接することから、太陽光モジュール100の保持力を向上することができる。これにより、固定装置1は、一対のラック部材200の対向方向における太陽光モジュール100のずれ(横ずれ)を防止することができる。
また、固定装置1は、第2突起部18が第2延出部13の延出方向で第2延出部13の先端から第2押圧部15の先端直下の間に設けられる。よって、固定装置1は、第2突起部18と押圧部12との間に、太陽光モジュール100が通過可能なスペースを確保することができる。これにより、固定装置1は、第2突起部18が設けられる構成であっても、押圧部12への太陽光モジュール100の挿入の操作が妨げられない。
また、固定装置1は、第1圧接部25a及び第2圧接部25bが押圧部12の延設方向に対して傾斜して設けられた固定具20を備える。これにより、固定装置1は、仮止めした押さえ具10及び固定具20を開口部230に対して傾斜した姿勢で挿入した後、ラック部材200の内側で若干回転する作業者による操作により、ラック部材200に取り付けることができる。即ち、固定装置1は、第2突起部18がラック部材200の支持板部210に干渉しない範囲の微小な回転角で回転する作業者による操作により、ラック部材200に取り付けることができる。
よって、固定装置1は、ラック部材200に挿入される姿勢から、太陽光モジュール100を固定する姿勢に回転させるときに、第2突起部18がラック部材200に干渉することを防止できる。即ち、固定装置1は、第2突起部18が設けられる構成であっても、ラック部材200への取り付けの操作が妨げられない。加えて、固定装置1は、ラック部材200への取り付けの操作を、上述した簡易なものとすることができる。
また、ラック部材200のどの位置からも固定装置1の固定具20を開口部230からラック部材200の内側に挿入することができる。このため、ラック部材200の長手方向の長さが数メータある場合や、ラック部材200の両端が閉塞している構成であっても、ラック部材200の端部から固定具20を挿入する必要がない。よって、太陽光モジュール100の固定位置の近傍の開口部230から固定装置1を挿入することができる。もちろん当然のことであるが、固定装置1は、ラック部材200のどの位置からも、取り外すことができる。
また、一対の圧接部25a、25b間の距離K1は、距離K2及び距離L4よりも長く、且つ、L3よりも短く構成されている。このため、固定装置1は、図5乃至図11の一連の動作により、固定装置1の第1圧接部25a及び第2圧接部25bをラック部材200の支持板部210の長手方向に沿って配置することができる。
すなわち、図3に示す状態から、固定具20の設置位置がラック部材200の長手方向と直交する方向である左右方向のどちらかに、ラック部材200内で片寄った場合であっても、第1圧接部25a又は第2圧接部25bが支持板部210から外れて固定装置1がラック部材200から外れることがない。
また、本実施形態の固定装置1によれば、押さえ具10と固定具20とが第1突起部17と連結孔27により組み付けられている。これにより、図11に示す固定装置1の回転操作において、押さえ具10と固定具20が常に一体となって回転する。このため、固定具20のみが回転せずに図9に示す挿入位置で止まることがない。
また、本実施形態の固定装置1によれば、図2に示すように第1突起部17を備えている。第1突起部17は、例えば、屋根に堆積した雪等により棟側から軒側に向かって太陽光モジュール100に力が作用したときにラック部材200と当接し、太陽光モジュール100を支持する支持部材としても機能する。これにより、太陽光モジュール100に係る圧力による太陽光モジュール100の変形や破損を防ぐことができる。このため、固定装置1は、雪が多い地域においても太陽光モジュール100を設置することができる。
また、本実施形態の固定装置1によれば、脚部13dは、太陽光モジュール100の軒側から棟側に向かって力が作用した場合に、ラック部材200の底板部270と脚部13dの先端とが当接する。これにより、脚部13dは、作用する力に抗して太陽光モジュール100を支持することができる。
また、本実施形態の固定装置1は、脚部13dと第1突起部17とを有することにより自立可能な構造を備えている。このため、固定装置1をラック部材200の開口部230から挿入後、ラック部材200の底板部270に沿って固定装置1を太陽光モジュール100に向かって自立した状態でスライドさせるだけで太陽光モジュール100と嵌め合わせることができ作業性がよい。
また、脚部13dに設けられた複数の凸部13eは、識別マークとして機能する。例えば、太陽光モジュール100の厚みに合わせて、複数種の押さえ具10を製造した場合、第1延出部11の長さによって凸部13eの数を変えることにより、必要な押さえ具10をすぐに識別することができる。
また、本実施形態の固定装置1によれば、固定具20には、アース部22が一体に設けられているため、ラック部材200に沿って別途アース部を取り付ける必要が無い。また、アース部22は、鋭利に尖った少なくとも1つの突起23を有している。突起23は、押さえ具10の押圧部12と太陽光モジュール100の厚み方向に重なる位置に設けられている。突起23は、ボルト30及びナット34が締められることによりフレーム130の裏面120のメッキを貫通可能である。このため、予めアース部22を接地する位置のフレーム130の裏面120のメッキを剥離してフレーム本体の金属面を露出させる必要が無く作業性に優れている。
また、押さえ具10の第2押圧部15の接触面14aから支持板部210の表面までの距離は、第1押圧部14の接触面14aから支持板部210の表面までの距離よりも若干広く構成されている。このため、第1の太陽光モジュール100Aを固定後に第2の太陽光モジュール100Bを第2押圧部15の接触面14aと支持板部210の間にはめ込むときに、第2の太陽光モジュール100Bを斜め上から嵌め込むことが可能であるため、作業性が良い。
また、押さえ具10の第2延出部13は、後から配置される第2の太陽光モジュール100B側に延出されている。つまり、第2延出部13は、第2押圧部15側に設けられている。このため、第1の太陽光モジュール100Aを固定するときに、第2延出部13が第1の太陽光モジュール100Aにより覆われることがない。また、常に作業者は、固定作業を実施している太陽光モジュール100よりも棟側でボルト30及びナット34の締結作業を行うことができるため、ボルト30及びナット34の締め付け作業中に作業者が太陽光モジュール100の太陽電池セル150に誤って乗ることがない。
また、本実施形態の固定装置1は、ラック部材200への挿入動作においても、押さえ具10と固定具20が分離されない。このため、屋根の上等の不安定な場所においても、仮留めされた固定装置1を用いて簡易な動作によりラック部材200に太陽光モジュール100を取り付けるとともに、アースをすることができるため作業性がよい。
上述したように、本発明の一実施形態に係る固定装置1によれば、太陽光モジュール100を固定可能、且つ、太陽光モジュール100の横ずれを防止することができる。
(第2の実施形態)
以下、本発明の第2の実施形態に係る固定装置1Aについて説明する。なお、第2の実施形態に係る固定装置1Aの構成のうち、上述した第1の実施形態に係る固定装置1と同等の構成には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
また、固定装置1Aは、例えば、固定装置1と同様に、太陽光発電ユニット600に用いられ、ラック部材200に固定金具400又は固定装置1Aとともに太陽光モジュール100を固定するために用いられる。このため、ラック部材200、化粧板300、固定金具400、屋根500の説明は省略する。
図10は、固定装置1Aの構成を示す分解斜視図である。図11は、固定装置1Aをラック部材200に取り付ける工程の一例を示す平面図であり、図12は、同固定装置を同ラック部材に取り付けた状態を示す平面図である。
固定装置1Aは、太陽光発電ユニット600を屋根500に設置するときに、ラック部材200に太陽光モジュール100(パネル)を固定可能に構成される。ここで、太陽光発電ユニット600は、図1に示すように、複数の太陽光モジュール100と、複数のラック部材200と、複数の固定装置1Aと、複数の化粧板300と、複数の固定金具400と、を備える。
固定装置1Aは、押さえ具10Aと、固定具20Aと、ボルト30(締結部材)と、を備えている。
図10に示すように、押さえ具10Aは、第1延出部11と、押圧部12と、第2延出部13と、第1突起部17と、第2突起部18Aと、を備える。即ち、押さえ具10Aは、第2突起部18Aの構成が上述した第1の実施形態の押さえ具10の第2突起部18と異なる。
第2突起部18Aは、第2延出部13の表面13aから上方に延びる矩形板状に形成される。図10に示すように、第2突起部18Aは、上端がラック部材200の支持板部210の上面よりも上方に若干突出する。換言すると、第2突起部18Aは、第2押圧部15に太陽光モジュール100Bを挿入した状態において、上端が太陽光モジュール100Bのフレーム130の裏面120に当接可能に形成される。即ち、第2突起部18Aの高さは、上端が太陽光モジュール100の下面に当接する高さであって、尚且つ第2押圧部15への太陽光モジュール100の挿入時に挿入の動作が妨げられない高さに設定される。第2突起部18Aは、例えば、第2延出部13と一体に形成される。第2突起部18Aは、例えば、第2延出部13の幅よりも小さい幅であって、且つ、固定装置1Aをラック部材200に挿入するときに、ラック部材200と干渉しない幅及び位置に配置される。本実施形態において、第2突起部18Aは、第2延出部13の幅方向で一端から中央側に配置される。
また、第2突起部18Aは、第2延出部13及び第2押圧部15の対向方向、換言すると、第1延出部11の延設方向、さらに換言すると、上下方向で、第2延出部13の第2押圧部15と対向しない位置に設けられる。
即ち、第2突起部18Aは、第2延出部13の長手方向で、第2延出部13の端部13cから第2押圧部15の先端直下までの間のいずれかの位置に設けられる。換言すると、第2突起部18Aは、第1延出部11から第2押圧部15の先端よりも、第1延出部11から離れた第2延出部13の部位に設けられる。本実施形態では、第2突起部18Aは、第2延出部13の端部13c近傍に設けられている。
なお、第2突起部18Aは、第1ボルト孔16の近傍に設けられていてもよい。この場合において、第2突起部18の形状は、第1ボルト孔16に挿通したボルト30にナット34を装着することができればよく、例えば、工具のソケットを挿入可能なスペースを確保できる位置又は形状に適宜設定される。また、本実施形態においては、第2突起部18の形状は、矩形板状としているが、第2突起部の形状はこれに限られず、上端が太陽光モジュール100の下面に当接する形状であって、尚且つ太陽光モジュール100Bの挿入の動作を妨げない形状であれば、他の形状を用いることもできる。
固定具20Aは、上述した第1の実施形態の固定具20と同様の構成であるが、ベース部26の形状及び他の構成に対する配置構成が異なる。なお、固定装置1Aの固定具20Aは、日本国特許第6167251号公報に開示される固定具である。
具体的に説明すると、固定具20Aは、図10乃至図12に示すように、ベース部26と、第1圧接部25aと、第2圧接部25bと、アース部22と、を備えている。また、固定具20Aは、固定装置1により太陽光モジュール100を取り付けるときの姿勢に対して傾斜する姿勢においてラック部材200の開口部230からラック部材200内に挿入できる形状である
ベース部26は、図10乃至図12に示すように、例えば、4角形の板状の部分であり、第1辺26a、第2辺26b、第3辺26c及び第4辺26dを有する略台形の部分である。ベース部26は、第1辺26a及び第3辺26cにおいて、それぞれ第1圧接部25a及び第2圧接部25bと一体に接続される。ベース部26は、第2辺26bにおいてアース部22と一体に接続される。
ベース部26は、上述した連結孔27と第2ボルト孔28とを備えている。連結孔27は、例えば、押さえ具10Aの第1突起部17と嵌合するスリット状の貫通孔である。連結孔27の形状は、第1突起部17の形状に合わせて適宜変更される。第2ボルト孔28は、押さえ具10Aの第1ボルト孔16と同軸に配置される貫通孔である。第2ボルト孔28は、ボルト30を挿通可能に構成される。
第1圧接部25aは、図10乃至図12に示すように、ベース部26の第1辺26aから支持板部210へ向かってベース部26と略直交する方向に一体に延びる壁部分である。言い換えれば、第1圧接部25aは、ベース部26の第1辺26aからラック部材200の第1側板部290に沿って設けられる壁部分である。第1圧接部25aは、先端に支持板部210の裏面と当接可能に形成された第1端面24aを有する。また、図11に示すように、第1圧接部25aの先端には、第1角C1及び第2角C2を備えている。ここで、第1角C1及び第2角C2は、第1圧接部25aの外側に構成される2つの稜部である。
第2圧接部25bは、図10乃至図12に示すように、ベース部26の第3辺26cから支持板部210へ向かってベース部26と略直交する方向に一体に延びる壁部分である。言い換えれば、第2圧接部25bは、ベース部26の第3辺26cを有する端部からラック部材200の第2側板部291に沿って設けられる壁部分である。第2圧接部25bは、先端に支持板部210の裏面と当接可能に形成された第2端面24bを有する。第2圧接部25bは、第1圧接部25aと対向して平行に設けられる。また、図11に示すように、第2圧接部25bの先端には、第3角C3及び第4角C4を備えている。ここで、第3角C3及び第4角C4は、第2圧接部25bの外側に構成される2つの稜部である。
第1圧接部25a及び第2圧接部25bは、押さえ具10Aと固定具20Aをボルト30及びナット34により締め付けるにつれて、ラック部材200の支持板部210に向けて上方へ移動される。これにより第1圧接部25a及び第2圧接部25bの先端が支持板部210の裏面と当接する。具体的には、第1圧接部25aの第1端面24a及び第2圧接部25bの第2端面24bが支持板部210の裏面と当接する。
第1圧接部25aと第2圧接部25bは、所定の距離だけ離間してベース部26に設けられている。具体的には、図11に示すように、固定具20Aの第1圧接部25aの外面と第2圧接部25bの外面との間の距離K1は、ラック部材200の開口部230の短手方向の距離K2よりも長い。また、距離K1は、ラック部材200の第1側板部290の内面と第2側板部291の内面との間の距離L3よりも短い。このため、ラック部材200の内側に配置された固定具20Aは、第1圧接部25a及び第2圧接部25bが支持板部210の裏面と当接可能な位置にあるときは、開口部230から固定具20Aがラック部材200の外側に外れることがない。このため、一対の支持板部210と第1圧接部25a及び第2圧接部25bとが接触可能な部位の幅を大きくとれる。すなわち、固定具20Aとラック部材200との接触面積を大きくすることにより、摩擦を増大させより強く固定することができる。
また、距離K1は、第2側板部291の内面と第1側板部290側の支持板部210の端部(開口部230の縁)との間の距離L4よりも長い。このため、固定具20Aの位置がラック部材200の幅方向(左右)にずれた場合であっても、固定具20Aがラック部材200から外れることがない。なお、距離L4は、第1側板部290の内面と第2側板部291側の支持板部210の端部との間の距離と同じ距離である。
また、図12に示すように、固定具20Aの第1圧接部25aと第2圧接部25bとは、固定具20Aをラック部材200に取り付けた状態でラック部材200の長手方向に沿って延びる。また、第1圧接部25aと第2圧接部25bは、長手方向にずれた位置で平行に配置されている。言い換えれば、第1圧接部25aの第4辺26d側の一部は切り欠かれ、同様に、第2圧接部25bの第2辺26b側の一部も、切り欠かれている。
本実施形態において、図11に示すように、第1角C1と第3角C3との間の距離L1は、第2角C2と第4角C4との間の距離L2よりも長い。ここで、距離L1は、第1角C1及び第3角C3を結ぶ対角線である。距離L2は、第2角C2及び第4角C4を結ぶ対角線である。そして、距離L1は、第1側板部290の内面と第2側板部291の内面との間の距離L3よりも長い。一方、距離L2は、距離L3よりも短い。
このような構成を有する固定具20Aは、ラック部材200の内側で図11に示す状態から図12に示す状態まで図11の矢印Y2に示す方向に90度回転することができる。すなわち、距離L2は、距離L3よりも短い。このため、第2角C2は、第1側板部290に当たることなく矢印Y2方向に回転することができる。第4角C4は、第2側板部291に当たることなく矢印Y2方向に度回転することができる。また、固定具20Aは、図12に示す状態から、矢印Y2と逆方向に回転し、図11に示す状態に戻すことも可能である。一方、矢印Y2方向に所定の角度だけ回そうとすると第1角C1及び第3角C3がそれぞれ、第1側板部290及び第2側板部291に当接し回すことができなくなる。
アース部22は、図10に示すように、ベース部26の第2辺26bを有する端部からベース部26と略直交するとともに、第1圧接部25a及び第2圧接部25bと交差する向きでラック部材200の開口部230に向かって一体に延びる板状部分である。さらに言えば、アース部22は、ベース部26の面方向と直交する方向に、ベース部26から第1押圧部14へ向かって延びる。また、アース部22は、第1圧接部25aの延設方向に対して交差する方向に延びる。例えば、アース部22は、第1圧接部25aに対して直交方向よりも、第1延出部11側を向くように斜めにベース部26の端部の第2辺26bに沿って設けられている。アース部22は、先端側に2つの突起23を有している。突起23は、第1端面24a及び第2端面24bよりも押圧部12に向かって突出して形成されている。突起23は、固定具20Aがラック部材200に固定されたときに、太陽光モジュール100のフレーム130の裏面120に突き当てられる。突起23は、フレーム130に施されているメッキ加工による薄膜層を貫通し、フレーム130の金属部分と接触する。これにより、アース部22は、太陽光モジュール100をアースする。
本実施形態において、ベース部26の第1辺26aと第3辺26cは、第4辺26dに対して略直交している。第1辺26aと第3辺26cの長さは異なる。第1辺26aと第3辺26cを繋ぐ第2辺26bは、第1辺26a及び第3辺26cと斜めに交差する。このため、第2辺26bに沿って設けられるアース部22は、第4辺26dに対して傾斜して配置される。
アース部22は、図10乃至図12に示すように、第1延出部11の幅方向に対して傾斜して構成されている。太陽光モジュール100は、例えば、ラック部材200に固定され、屋根500の傾斜に沿って屋根500上に傾斜して配置されている。このため、アース部22の方へ流れた水は、軒側に設けられているアース部22の傾斜に沿ってベース部26の外側へ排出される。すなわち、第4辺26dに沿って、水の流れができ、ベース部26に水だまりが出来ることを防ぐ。さらに、アース部22は、ベース部26との接続部分において、水抜き孔21を備えている。換言すると、固定具20Aは、アース部22及びベース部26の接続部分である角部に、アース部22の厚さ方向、ベース部26の厚さ方向、又は、ラック部材200に固定具20Aを固定したときの重力方向に貫通する水抜き孔を有する。これにより、さらにアース部22は、排水機能を高め、ベース部26が錆びることを防止することができる。
なお、固定具20Aの材料としては、例えば、アルミニウム、ステンレス、鉄等の金属材料又は樹脂材料を用いることができる。本実施形態においては、固定具20Aは、金属性の板をプレス加工により複数個所で折り曲げて一体に作製されている。
このように構成された固定装置1Aは、上述した第1の実施形態に係る固定装置1の固定具20と同等の効果を奏する。また、第2突起部18Aを第2延出部13の幅よりも小さい幅であって、第2突起部18Aは、第2延出部13の幅方向で一端から中央側に配置した。このため、固定装置1Aは、固定装置1Aをラック部材200に挿入するときに、ラック部材200と干渉することがない。
なお、本発明は上記の二つの実施形態に限定されるものではない。例えば、図13に示す第3の実施形態に係る固定装置1Bのように、押さえ具10Bは第2突起部18を有さない構成とし、押さえ具10Bと別体の突起部である第2突起部材18Bを有する構成としてもよい。このような固定装置1Bは、第2突起部18を有さない押さえ具10Bと、固定具20と、第2突起部材18Bと、を備える。例えば、このような第2突起部材18Bは、板状部材が90°ベントするL字状の部材である。第2突起部材18Bは、ベース18B1と、突起18B2と、ベース18B1に設けられたボルト30が挿通する第3ボルト孔18B3と、を備える。そして、突起18B2が上述した第2突起部18、18Aと同じ効果を奏する。突起18B2の幅は、例えば、第2延出部13の幅と同じ幅に設定される。
このような固定装置1Bは、上述した第1実施形態の固定装置1及び第2実施形態の固定装置1Aと同様の効果を奏する。加えて、突起18B2を有する第2突起部材18Bは、押さえ具10Bと別体でよいことから、押さえ具10Bの製造が容易となる。また、第2突起部材18Bが変形や破損した場合に、固定装置1Bは、第2突起部材18Bのみを交換すればよい。
同様に、例えば、図14に示す第4の実施形態に係る固定装置1Cのように、固定装置1Cは、第2突起部18Aを有さない押さえ具10Bと、固定具20Aと、第2突起部材18Bとする構成であってもよい。このような構成の固定装置1Cは、第2突起部材18Bが押さえ具10Bと別体であることから、固定装置1Cをラック部材200に挿入するときに、第2突起部材18Bがラック部材200と干渉しない姿勢とすることができる。よって、固定装置1Cは、第2突起部材18Bの突起18B2の幅を、上述した第2の実施形態に係る固定装置1Aの第2突起部18Aの幅よりも大きく設定することができる。
さらに、本発明は、上記の複数の実施形態に限定されるものではい。例えば、押さえ具10、10A、10Bを押し出し成形により形成する構成したが、製造方法はこれに限定されない。例えば、押さえ具10、10A、10Bは、第1延出部11、第2延出部13、押圧部12、脚部13d及び第1突起部17を溶接により一体に構成することも、また、プレス加工により成形することもできる。
また、同様に、固定具20、20Aについても、本実施形態においては、第1圧接部25a、第2圧接部25b及びアース部22を曲げ加工により一体に製造しているが、これに限られない。すなわち、それぞれの部材を別体に形成し、溶接等によって一体にすることもできる。
また、押さえ具10、10A、10Bの第1突起部17と固定具20、20Aの連結孔27とは、反対に設けることも可能である。すなわち、押さえ具10、10A、10Bの第2延出部13に連結孔27を設け、固定具20、20Aのベース部26に第1突起部17を設けることも可能である。
また、本実施形態において、太陽光モジュール100をラック部材200に固定する固定装置を説明しているが、ラック部材200に固定されるものは、太陽光モジュール100に限定されない。固定装置で挟み固定することができるパネルであれば、他の部材にも利用することができる。
また、上述した例では、固定具20、20Aは、ラック部材200の開口部230から挿入できる構成を説明したがこれに限定されない。即ち、固定具は、押さえ具とともにパネルをラック部材200に固定可能であって、押さえ具に一体に又は別体に突起部(突起部材)18、18A、18Bを有する構成であればよい。このため、固定具は、押さえ具と仮止めした状態で又は固定具のみで、ラック部材200の開口部230からラック部材200内に挿入できず、ラック部材200の棟側の端部から挿入できる構成であってもよい。但し、固定装置は、上述した各実施形態の固定具20、20Aを用いることが好ましい。
この他、固定装置1は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能であるのは勿論である。
即ち、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明と同等の記載を付記する。
[1] 長手方向に沿って延びるスリット状の開口部を上面部に有する中空棒状のラック部材の前記上面部に配置されるパネルの周縁部の一部の上面と当接する押圧部及び前記パネルの周縁部の一部の下面と対向する延出部を有する押さえ具と、
前記開口部の長手方向と直交する方向の幅よりも大きい幅を一方向に有する、前記上面部の裏面に当接する固定具と、
前記延出部に設けられ、前記上面部よりも上方に突出し、前記パネルの前記周縁部の一部の下面と当接する突起部と、
前記パネルの前記周縁部の一部及び前記ラック部材の前記上面部の裏面にそれぞれ当接した前記押さえ具の前記延出部及び前記固定具を一体に固定する締結部材と、
を備える固定装置。
[2] 前突起部は、前記延出部に一体に形成された突起である、[1]に記載の固定装置。
[3] 前記突起部は、前記延出部に別体に形成され、前記締結部材によって、前記押さえ具の前記延出部上に固定されるベース、及び、前記ベースに一体に設けられ、前記パネルの前記周縁部の一部の下面と当接する突起を備える[1]に記載の固定装置。
[4] 前記突起部の幅は、前記延出部の幅と同じ幅である、[1]乃至[3]のいずれか一項に記載の固定装置。
[5] 前記突起部の幅は、前記延出部の幅よりも小さく設定され、前記延出部の幅方向で一方側に配置される、[1]乃至[3]のいずれか一項に記載の固定装置。
[6] 前記固定具は、傾斜する姿勢において前記ラック部材の前記開口部から前記ラック部材内に挿入できる形状である、[1]乃至[5]のいずれか一項に記載の固定装置。