JP7317741B2 - スパッタリングターゲット、磁性膜、及びスパッタリングターゲット作製用の原料混合粉末 - Google Patents

スパッタリングターゲット、磁性膜、及びスパッタリングターゲット作製用の原料混合粉末 Download PDF

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Description

この明細書は、スパッタリングターゲット、磁性膜、及びスパッタリングターゲット作製用の原料混合粉末に関する技術について開示するものである。
たとえば、磁気記録媒体を製造するに当り、当該磁気記録媒体を構成する記録層及びその他の所定の複数の層はそれぞれ、それらの各層に応じた複数のスパッタリングターゲットを用いて、基板上にスパッタリングすることにより順次に成膜されて形成される。そのなかで、Coを主成分としCr及びPtを含有する金属相に所定の酸化物粒子を分散させてなるスパッタリングターゲットが用いられることがある(たとえば特許文献1~10参照)。
ところで、スパッタリングによる成膜時には、異常放電、いわゆるアーキングが生じることがあり、それにより基板上への付着物としてのパーティクルが発生し、これが成膜の歩留まりを低下させるという問題がある。
特に、上述したような磁性材料用のスパッタリングターゲットでは、Co-Cr-Pt系合金に添加する酸化物が、アーキングの際にスパッタリングターゲットから脱落し、これがパーティクル発生の原因になると考えられている。
このような問題に関し、特許文献1には、「ボールミル等により原料粉末を混合、粉砕する際に、予め原料粉末を混合、焼結、粉砕して得た一次焼結体粉末を混合することで、ターゲット組織がより微細化されることを見出した。」とし、この知見を用いた磁気記録膜形成用スパッタリングターゲットの製造方法が記載されている。具体的には、「非磁性酸化物、CrおよびPtを含有し、残部がCoおよび不可避不純物からなる磁気記録膜形成用スパッタリングターゲットの製造方法であって、Co、CrおよびPtの各元素を単体として又はこれらのうち2種以上の元素を含む合金として粉末にした原料粉末と非磁性酸化物の原料粉末との各原料粉末が混合された一次混合粉末を焼結させて一次焼結体を得る一次焼結工程と、前記一次焼結体を粉砕して一次焼結体粉末を得る粉砕工程と、前記各原料粉末が混合された二次混合粉末と前記一次焼結体粉末とを混合および粉砕後、焼結させる二次焼結工程と、を有し、前記二次混合粉末の平均粒径が0.05~30μmであり、前記一次焼結体粉末の最大粒径が200μm未満であることを特徴とする磁気記録膜形成用スパッタリングターゲットの製造方法」が提案されている。そして、これによれば、「高品質な膜を均一に得ることができると共にパーティクルの発生を低減することができ、特に高密度の垂直磁気記録方式の媒体を作製可能である。」とされている。
また特許文献11には、「金属相と酸化物相が均一分散した組織を有する焼結体スパッタリングターゲットであって、該金属相が成分としてCoとPtとMnを含有し、該酸化物相が少なくともMnを構成成分とする酸化物を含有することを特徴とするスパッタリングターゲット」が開示されている。特許文献11のスパッタリングターゲットによると、「スパッタ時に発生するパーティクル量を低減することができ、成膜時における歩留まりを向上することができるという優れた効果を有する。」とされている。
また特許文献12には、Y、Mg、Alを含有することにより、それらが酸化物相の粒成長を抑制して、酸化物相の粒子を一律に微細化した高密度の強磁性材スパッタリングターゲットが得られることが記載されている。そして、Y、Mg、Alはそれぞれ、Y23粉末、MgO粉末、Al23粉末が原料として用いられることが記載されている。
特開2011-208169号公報 特開2011-174174号公報 特開2011-175725号公報 特開2012-117147号公報 特許第4885333号公報 米国特許出願公開第2013/0134038号明細書 国際公開第2012/086388号 米国特許出願公開第2013/0213802号明細書 国際公開第2015/064761号 米国特許出願公開第2016/0276143号明細書 国際公開第2014/141737号 国際公開第2013/125296号
特許文献1のように、スパッタリングターゲットの組織を微細化することはパーティクル発生の低減に有効であるが、スパッタリングターゲット中の酸化物相の組織が十分に微細化されていても、金属相によってはスパッタリング時に放電が不安定になる場合がある。特許文献1の先行技術では、このような問題には対応できない。なお、放電が不安定になると、たとえばアーキングが発生しやすくなってパーティクルが増大する等といった懸念がある。また、ある一定以上の更なる組織の微細化は実現性及び生産性の観点から容易ではない。
特許文献11には、スパッタリングターゲットの金属相及び酸化物相にMnを含ませることが記載されているが、用途等によっては、比較的多い量でMnを含ませることが好ましくない場合がある。
この明細書は、上述したような問題を解決するため、スパッタリング時の放電の安定性を向上させることができるスパッタリングターゲット、磁性膜及びスパッタリングターゲット作製用の原料混合粉末を提案するものである。
この明細書で開示するスパッタリングターゲットは一実施形態において、金属Mgを0.001mol%~0.5mol%、金属Crを0mol%~45mol%、金属Ptを0mol%~45mol%、金属Ruを0mol%~60mol%、金属酸化物を合計1mol%~40mol%で含有し、残部に金属Co及び不可避的不純物を含んでなるものである。
また、この明細書で開示する磁性膜は一実施形態において、金属Mgを0.001mol%~0.5mol%、金属Crを0mol%~45mol%、金属Ptを0mol%~45mol%、金属Ruを0mol%~60mol%、金属酸化物を合計1mol%~40mol%で含有し、残部に金属Co及び不可避的不純物を含んでなるものである。
また、この明細書で開示する原料混合粉末は一実施形態において、金属Mg粉末を0.001mol%~0.5mol%、金属Cr粉末を0mol%~45mol%、金属Pt粉末を0mol%~45mol%、金属Ru粉末を0mol%~60mol%、金属酸化物粉末を合計1mol%~40mol%含有し、残部が金属Co粉末であるスパッタリングターゲット作製用の原料混合粉末である。
上述したスパッタリングターゲットによれば、金属Mgを0.001mol%~0.5mol%で含有することにより、スパッタリング時の放電の安定性を向上させることができる。
一の実施形態のスパッタリングターゲットは、金属Mgを0.001mol%~0.5mol%、金属Crを0mol%~45mol%、金属Ptを0mol%~45mol%、金属Ruを0mol%~60mol%、金属酸化物を合計1mol%~40mol%で含有し、残部が金属Co及び不可避的不純物からなるものである。
特に、金属Mgを所定の量で含有することにより、スパッタリングターゲットに仕事関数の低い金属相が存在することになって、陽イオンの衝突による二次電子の放出率が上がる。このため、より電子密度の少ない条件、つまり低いガス圧、低いスパッタ電力などでも放電状態を安定させることができる。その結果として、アーキングの発生及び、それによるパーティクルの発生を有効に低減することができる。
(スパッタリングターゲットの組成)
スパッタリングターゲットの金属成分は、主として金属Coからなり、それに加えて金属Pt、金属Cr及び金属Ruから選択される少なくとも一種を含むことがある。特に金属成分は、Pt、Cr及びRuから選択される少なくとも一種を含有するCo合金である場合がある。たとえば、Co-Pt合金、Co-Cr-Pt合金またはCo-Cr-Pt-Ru合金等である。あるいは、金属Co以外の金属Ru等が主成分となるものもある。金属Pt、金属Cr及び金属Ruのうちの一種以上、なかでも金属Cr及び金属Ruは含まれないこともある。
金属Ptは含まなくてもよいが、金属Ptを含む場合、金属Ptの含有量は45mol%以下とする。なお実施形態によっては、金属Ptの含有量が0mol%、つまり金属Ptを含まないスパッタリングターゲットもある。金属Crは含まなくてもよいが、金属Crを含む場合、金属Crの含有量は45mol%以下とする。金属Ruは含まなくてもよいが、金属Ruを含む場合、金属Ruの含有量は60mol%以下とする。これらの金属Pt、金属Cr、及び金属Ruの含有量は、メディアの使用する層その他の用途やメディアの設計等に応じて変えることがあるが、この実施形態では、上述した上限値以下とする。
この実施形態のスパッタリングターゲットは、上述した金属の他、金属Mgを0.001mol%~0.5mol%で含有することを特徴とするものである。
理論によって本発明が限定されることを意図するものではないが、Mgは、金属の中でも比較的軽い元素であるため、添加することにより主成分の金属元素の拡散速度が向上し、ターゲット製造中に合金化が促進されることでターゲットを構成する金属相の面内分布が均一化し、スパッタリング時の放電状態が安定化するので、金属側の組成によるアーキングの発生を有効に防止することができると考えられる。それ故に、パーティクルの発生が効果的に抑制されることになる。なお、MgがMgOに代表される酸化物の形態で添加されても、酸化物相に取り込まれるため、ターゲット中における金属相の均一化効果を得ることは困難である。このため、Mgは金属Mgの形態で存在することが重要である。
先に述べた先行技術のような酸化物相の組織の微細化では、金属相の組成のいかんによっては、スパッタリング時に放電が不安定になってアーキングが発生しやすくなることから、それに起因して発生し得るパーティクルには対応することができなかった。これに対し、この実施形態のスパッタリングターゲットでは、金属Mgを含むことにより、金属相の組成によるアーキング及び、それに伴うパーティクルの発生を有効に抑制することが可能になる。また金属Mgは、軽金属のなかでも、取り扱いが比較的容易である。
金属Mgの含有量は、0.001mol%~0.5mol%とする。金属Mgを0.001mol%未満とした場合は、含有量が少なすぎることから、放電状態安定化の作用を十分に得ることができない。
ところで、Co-Pt合金では、金属Crや金属Ruなどの非磁性金属を加えることで飽和磁化の低減、磁気異方性の低減などの磁気特性の調整を行えることが広く知られている。当該金属Mgについても0.5mol%より多くした場合、膜の飽和磁化、磁気異方性が小さくなる方向に磁気特性が変化する。このような観点から、上記の金属Mgの含有量は、0.005mol%~0.5mol%とすることが好適であり、さらに0.01mol%~0.5mol%とすることがより一層好適であり、0.1mol%~0.4mol%とすることがより一層好適である。
この実施形態のスパッタリングターゲットは、必要に応じて、金属成分としてさらに、Au、Ag、B、Cu、Ge、Ir、Mn、Mo、Nb、Ni、Pd、Re、Rh、Ta、W及びVから選択される少なくとも一種を含有することができる。Au、Ag、B、Cu、Ge、Ir、Mn、Mo、Nb、Ni、Pd、Re、Rh、Ta、W及びVから選択される少なくとも一種の含有量は合計で、好ましくは1mol%~30mol%とする。
スパッタリングターゲットは、上述した金属に金属酸化物が分散したグラニュラ構造になるため、金属酸化物を含有する。金属酸化物にはMgの酸化物が含まれないことが好ましい。金属酸化物の合計含有量は1mol%~40mol%とすることが好ましく、2mol%~35mol%とすることがより好ましく、5mol%~30mol%とすることが更により好ましい。
上記の金属酸化物として具体的には、Co、Cr、Si、Ti、Bの酸化物を挙げることができる。したがって、この実施形態のスパッタリングターゲットでは、Co、Cr、Si、Ti及びBから選択される少なくとも一種の元素の酸化物を含んでもよい。
不可避的不純物は、原料中に存在したり、製造工程において不可避的に混入したりするもので、本来は不要なものであるが、微量であり、スパッタリングターゲットの特性に影響を及ぼさないため、許容されている不純物である。不可避的不純物の合計含有量としては、0.5質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以下であることがより好ましく、0.05質量%以下であることが更により好ましい。
(スパッタリングターゲットの製造方法)
以上に述べたスパッタリングターゲットは、たとえば粉末焼結法により製造することができ、その具体的な製造方法の例を次に述べる。
はじめに、金属粉末として、金属Co粉末と、金属Mg粉末と、金属Pt粉末、金属Cr粉末及び金属Ru粉末から選択される少なくとも一種の金属粉末とを用意する。必要に応じて、さらに上述したようなAu、Ag、B、Cu、Ge、Ir、Mn、Mo、Nb、Ni、Pd、Re、Rh、Ta、W及びVから選択される少なくとも一種の金属の粉末を用意することもできる。金属Mg粉末中の酸素濃度は2質量%以下であることが好ましく、1質量%以下であることがより好ましく、0.5質量%以下であることが更により好ましい。MgO等のMg酸化物はターゲット中における金属相の面内分布の均一化に寄与しないために、放電安定性が得られないからである。
金属粉末は、単元素のみならず合金の粉末であってもよく、その粒径が1μm~150μmの範囲内のものであることが、均一な混合を可能にして偏析と粗大結晶化を防止できる点で好ましい。金属粉末の粒径が150μmより大きい場合は、後述の酸化物粒子が均一に分散しないことがあり、また、1μmより小さい場合は、金属粉末の酸化の影響でスパッタリングターゲットが所望の組成から外れたものになるおそれがある。
また、酸化物粉末として、たとえば、TiO2粉末、SiO2粉末及び/又はB23粉末等を用意する。酸化物粉末は粒径が1μm~30μmの範囲のものとすることが好ましい。それにより、上記の金属粉末と混合して加圧焼結した際に、金属相中に酸化物粒子をより均一に分散させることができる。酸化物粉末の粒径が30μmより大きい場合は、加圧焼結後に粗大な酸化物粒子が生じることがあり、この一方で、1μmより小さい場合は、酸化物粉末同士の凝集が生じることがある。
次いで、上記の金属粉末及び酸化物粉末を、所望の組成になるように秤量し、ボールミル等の公知の手法を用いて混合するとともに粉砕する。このとき、混合・粉砕に用いる容器の内部を不活性ガスで充満させて、原料粉末の酸化をできる限り抑制することが望ましい。これにより、所定の金属粉末と酸化物粉末とが均一に混合した原料混合粉末を得ることができる。
従って、本発明の一実施形態においては、金属Mg粉末を0.001mol%~0.5mol%、金属Cr粉末を0mol%~45mol%、金属Pt粉末を0mol%~45mol%、金属Ru粉末を0mol%~60mol%、金属酸化物粉末を合計1mol%~40mol%含有し、残部が金属Co粉末であるスパッタリングターゲット作製用の原料混合粉末が提供される。
原料混合粉末は、金属Mg粉末を0.005mol%~0.5mol%で含有することが好ましく、0.01mol%~0.5mol%で含有することがより好ましい。
金属酸化物粉末は一実施形態において、Co、Cr、Si、Ti及びBから選択される少なくとも一種の元素の酸化物粉末を含む。
原料混合粉末は一実施形態において、さらに、金属成分として、Au、Ag、B、Cu、Ge、Ir、Mn、Mo、Nb、Ni、Pd、Re、Rh、Ta、W及びVから選択される少なくとも一種の金属粉末を、合計で1mol%~30mol%含有することができる。
なお、原料混合粉末中には、各原料粉末に含まれる不可避的不純物が含有し得る。
その後、このようにして得られた原料混合粉末を、真空雰囲気又は不活性ガス雰囲気下で加圧して焼結させ、円盤状等の所定の形状に成型する。ここでは、ホットプレス焼結法、熱間静水圧焼結法、プラズマ放電焼結法等の様々な加圧焼結方法を使用することができる。なかでも、熱間静水圧焼結法は焼結体の密度向上の観点から有効である。
焼結時の保持温度は、好ましくは600~1500℃の温度範囲とし、より好ましくは700℃~1400℃とする。そして、この範囲の温度に保持する時間は、1時間以上とすることが好適である。また焼結時の加圧力は、好ましくは10MPa以上、より好ましくは20MPa以上とする。
それにより、安定してスパッタリングを行うのに十分に高い密度の焼結体を得ることができる。
上記の加圧焼結により得られた焼結体に対し、旋盤等を用いて所望の形状にする切削その他の機械加工を施すことにより、円盤状、円筒状等のスパッタリングターゲットを製造することができる。
(磁性膜)
先に述べたようなスパッタリングターゲットを用いて、スパッタリング装置、一般にはマグネトロンスパッタリング装置にてスパッタリングを行うことにより、磁性膜を成膜することができる。
このような磁性膜は、上述のスパッタリングターゲットと実質的に同様の組成を有するものとなる。
より詳細には、磁性膜は、金属Mgを0.001mol%~0.5mol%、好ましくは0.005mol%~0.5mol%、より好ましくは0.01mol%~0.5mol%で含有するとともに、金属Crを0mol%~45mol%、金属Ptを0mol%~45mol%、金属Ruを0mol%~60mol%、金属酸化物を合計1mol%~40mol%で含有し、残部に金属Co及び不可避的不純物を含むものである。磁性膜は金属Ptを45mol%以下で含有することがあるが、実施形態によっては、金属Ptの含有量が0mol%、つまり金属Ptを含まない磁性膜もある。
また、磁性膜中の金属酸化物には、Co、Cr、Si、Ti及びBから選択される少なくとも一種の元素の酸化物が含まれる場合がある。
磁性膜は、さらに、Au、Ag、B、Cu、Ge、Ir、Mn、Mo、Nb、Ni、Pd、Re、Rh、Ta、W及びVから選択される少なくとも一種を、合計で1mol%~30mol%含有するものとすることができる。
かかる磁性膜は、種々の用途に用いることができるが、たとえば、垂直磁気記録方式の磁気記録媒体を構成する基板上の密着層、軟磁性層、Seed層、Ru層などの下地層、中間層、記録層および保護層のうち、特に記録層として用いることが好適である。
なお、上記の垂直磁気記録方式の磁気記録媒体は、これまでの記録面に対して水平方向に磁気を記録する水平磁気記録方式とは異なり、記録面に対して垂直方向に磁気を記録することから、より高密度の記録が可能であるとして、ハードディスクドライブ等で広く採用されている。垂直磁気記録方式の磁気記録媒体は具体的には、たとえば、アルミニウムやガラス等の基板上に密着層、軟磁性層、Seed層、Ru層などの下地層、中間層、記録層および保護層等を順次に積層して構成される。
上述したスパッタリングターゲットは、このうちの記録層の成膜に特に適している。
次に、スパッタリングターゲットを試作し、その性能を評価したので以下に説明する。但し、ここでの説明は単なる例示を目的としたものであり、それに限定されることを意図するものではない。
表1に記載するそれぞれの組成比となるように金属粉末、金属酸化物粉末を秤量した。何れも高純度品を用いた。使用した金属Mg粉末について、赤外線吸収法により酸素濃度を測定したところ、1.4質量%であった。金属粉末は何れも粒径が1μm~150μmの範囲内となるように篩別してから用いた。酸化物粉末は何れも粒径が1μm~30μmの範囲内となるように篩別してから用いた。
次に、それぞれの粉末を秤量した後、粉砕媒体のジルコニアボールとともに容量10リットルのボールミルポットに封入し、Arガス中で、24時間回転させて混合した。そして、ボールミルから取り出した混合粉末を直径190mmのカーボン製の円柱状の型に充填し、ホットプレスで焼結させた。ホットプレスの条件は、真空雰囲気、昇温速度300℃/時間、保持温度1000℃、保持時間2時間とし、昇温開始時から保持終了まで30MPaで加圧した。保持終了後はチャンバー内でそのまま自然冷却させた。これにより得られた焼結体を切削し、直径180mmの円板形状のスパッタリングターゲットとした。
上述した方法で製造した各スパッタリングターゲットを用いてスパッタリングを行った。ここで、スパッタ装置はキャノンアネルバ製C-3010を用いた。ターゲット背面に設置されたマグネットの位置を、ターゲット表面の磁束の最大値が300ガウスとなるように調整した。アルゴンガスを4sccmでフローすることで圧力を約0.3Paとし、設定電力200Wで放電を10回行った。放電開始時に記録された、開始直後の最大電圧と、放電開始から1秒間までの平均電圧との差が300V以上あった場合を放電電圧が不安定になったとみなし、その発生確率によって放電の安定性を評価した。結果を表1に示す。表1中、放電不安定発生確率の『〇』とは、0~30%の確率のことを指す。放電不安定発生確率の『×』とは、70~100%の確率のことを指す。
比較例1は、スパッタリングターゲットが金属Mgを含有しなかったことから、放電不安定の発生確率が高かった。これに対し、実施例1では比較例1のターゲット組成をベースに僅かに金属Mgを添加しただけで、放電不安定性の発生確率が有意に減少した。これは先述した通り、金属Mgを添加したことで、ターゲットを構成する金属相の面内分布が均一化したことによると推察される。
なお、実施例1及び比較例1を含む本発明者の検討結果によれば、金属Mgを添加することによる放電安定性の向上効果は、金属Mgを0.001mol%~0.5mol%含んでなるスパッタリングターゲットであれば得られる。この場合のその他組成は、金属Crを0~45mol%、金属Ptを0~45mol%、金属Ruを0~60mol%、金属酸化物を合計1mol%~40mol%で含有し、残部に金属Co及び不可避的不純物を含んでなる組成から適宜選択される。また、金属Mgの代わりにMgOを添加しても、放電不安定の向上効果は得られない。

Claims (17)

  1. 金属Mgを0.001mol%~0.5mol%(ただし、0.5mol%を除く)、金属Crを0mol%~45mol%、金属Ptを0mol%~45mol%、金属Ruを0mol%~60mol%、金属酸化物を合計1mol%~40mol%で含有し、残部に金属Co及び不可避的不純物を含んでなるスパッタリングターゲット。
  2. 金属Mgを0.005mol%~0.5mol%(ただし、0.5mol%を除く)で含有してなる請求項1に記載のスパッタリングターゲット。
  3. 金属Mgを0.01mol%~0.5mol%(ただし、0.5mol%を除く)で含有してなる請求項2に記載のスパッタリングターゲット。
  4. 前記金属酸化物にはMgの酸化物が含まれない請求項1~3の何れか一項に記載のスパッタリングターゲット。
  5. 前記金属酸化物には、Co、Cr、Si、Ti及びBから選択される少なくとも一種の元素の酸化物が含まれる請求項1~4のいずれか一項に記載のスパッタリングターゲット。
  6. さらに、金属成分として、Au、Ag、B、Cu、Ge、Ir、Mn、Mo、Nb、Ni、Pd、Re、Rh、Ta、W及びVから選択される少なくとも一種を、合計で1mol%~30mol%含有してなる請求項1~5のいずれか一項に記載のスパッタリングターゲット。
  7. 金属Mgを0.001mol%~0.5mol%(ただし、0.5mol%を除く)、金属Crを0mol%~45mol%、金属Ptを0mol%~45mol%、金属Ruを0mol%~60mol%、金属酸化物を合計1mol%~40mol%で含有し、残部に金属Co及び不可避的不純物を含んでなる磁性膜。
  8. 金属Mgを0.005mol%~0.5mol%(ただし、0.5mol%を除く)で含有してなる請求項7に記載の磁性膜。
  9. 金属Mgを0.01mol%~0.5mol%(ただし、0.5mol%を除く)で含有してなる請求項8に記載の磁性膜。
  10. 前記金属酸化物には、Co、Cr、Si、Ti及びBから選択される少なくとも一種の元素の酸化物が含まれる請求項7~9のいずれか一項に記載の磁性膜。
  11. さらに、金属成分として、Au、Ag、B、Cu、Ge、Ir、Mn、Mo、Nb、Ni、Pd、Re、Rh、Ta、W及びVから選択される少なくとも一種を、合計で1mol%~30mol%含有してなる請求項7~10のいずれか一項に記載の磁性膜。
  12. 金属Mg粉末を0.001mol%~0.5mol%(ただし、0.5mol%を除く)、金属Cr粉末を0mol%~45mol%、金属Pt粉末を0mol%~45mol%、金属Ru粉末を0mol%~60mol%、金属酸化物粉末を合計1mol%~40mol%含有し、残部が金属Co粉末であるスパッタリングターゲット作製用の原料混合粉末。
  13. 金属Mg粉末を0.001mol%~0.5mol%、金属Cr粉末を0mol%~45mol%、金属Pt粉末を0mol%~45mol%、金属Ru粉末を0mol%~60mol%、金属酸化物粉末を合計1mol%~40mol%含有し、残部が金属Co粉末であるスパッタリングターゲット作製用の原料混合粉末であって、金属Mg粉末中に含まれる酸素濃度が2質量%以下である原料混合粉末。
  14. 金属Mg粉末を0.005mol%~0.5mol%(ただし、0.5mol%を除く)で含有する請求項12又は13に記載の原料混合粉末。
  15. 金属Mg粉末を0.01mol%~0.5mol%(ただし、0.5mol%を除く)で含有する請求項14に記載の原料混合粉末。
  16. 前記金属酸化物粉末には、Co、Cr、Si、Ti及びBから選択される少なくとも一種の元素の酸化物粉末が含まれる請求項12~15のいずれか一項に記載の原料混合粉末。
  17. さらに、金属成分として、Au、Ag、B、Cu、Ge、Ir、Mn、Mo、Nb、Ni、Pd、Re、Rh、Ta、W及びVから選択される少なくとも一種の金属粉末を、合計で1mol%~30mol%含有する請求項12~16のいずれか一項に記載の原料混合粉末。
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WO2013125469A1 (ja) 2012-02-22 2013-08-29 Jx日鉱日石金属株式会社 磁性材スパッタリングターゲット及びその製造方法
WO2013125296A1 (ja) 2012-02-23 2013-08-29 Jx日鉱日石金属株式会社 クロム酸化物を含有する強磁性材スパッタリングターゲット
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