JP7317373B2 - ウッド型ゴルフクラブ - Google Patents

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特許法第30条第2項適用 令和2年12月1日に刊行物「2021 SPRING & SUMMER KASCO GOLF CATALOG」第5頁にて公開
本発明は、クラブヘッドと、該クラブヘッドに設けられたホーゼルに取り付けられるシャフトとを備えるウッド型ゴルフクラブに関する。
例えば、特許文献1には、重心を可及的に後方に位置させたクラブヘッドが提案されている。具体的には、中空状の本体部の背面に中実状のウェイトを一体的に設けている。なお、ウェイトの重量が所定の範囲内に設定されるとともに、本体部の前後方向長さと、ウェイトの前後方向長さとの比が所定の範囲内に設定される。特許文献1の技術では、この構成により重心角を大きくして打撃時のゴルフボールのつかまりを良好なものとすることで、飛距離性能の向上を図っている。
特開2020-62189号公報
本発明は、特許文献1記載の技術に関連してなされたものであり、飛距離性能に優れ、さらに、クラブヘッドの小型化を図り得るとともに、プレイヤが容易にスイングすることが可能なウッド型ゴルフクラブを提供することを目的とする。
前記の目的を達成するために、本発明の一実施形態によれば、ウッド型のクラブヘッドと、前記クラブヘッドに設けられたホーゼルに取り付けられるシャフトとを備えるウッド型ゴルフクラブにおいて、
前記シャフトの中心線と前記クラブヘッドのソール部との交点から、前記シャフトのグリップキャップラインに至るクラブ長さが111.8cm以下に設定され、
前記クラブヘッドは、フェース面を有する中空状の本体部と、前記本体部の前記フェース面よりも後側の背面に一体化された中実状のウェイトとを有し、且つ体積が400ml以下であり、
前記ウェイトの重量が50.0~80.0gであり、
前記クラブヘッドを平面視したとき、前記フェース面の前後方向に沿って延在し且つフェースセンタを通る水平線上で、リーディングエッジから前記背面までの長さをL1、前記背面から前記ウェイトの後端部までの長さをL2とするとき、L1が80.0mm以上であり、且つL2がL1の20.0~35.0%であるウッド型ゴルフクラブが提供される。
本発明によれば、中空状の本体部の背面に中実状のウェイトを設けるとともに、クラブヘッドの体積、ウェイトの重量、クラブヘッドの本体部とウェイトの寸法比等が上記のように設定されている。この構成により、クラブヘッドの重心の後方化を図り、重心角を大きくすることができる。このため、打撃時のゴルフボールのつかまりが良好となるとともに、打撃されたゴルフボールの飛行方向が安定する(方向安定性に優れる)。しかも、ゴルフボールの弾道高さが良好である。以上の点が相俟って、飛距離性能に優れたウッド型ゴルフクラブとなる。
加えて、111.8cm(44インチ)以下に設定したクラブ長さに応じてクラブヘッドの本体部を小型化することにより、クラブヘッドの重量が増大することを回避することができる。このため、ウッド型のゴルフクラブとしてプレイヤが構え易くなる。また、プレイヤが該ゴルフクラブをスイングすることも容易となる。
本発明の実施の形態に係るウッド型ゴルフクラブの概略正面図である。 グリップキャップラインの位置の定義を示す要部拡大説明図である。 図3Aはクラブヘッドの部分断面平面図であり、図3Bはクラブヘッドのヒール側の側面図である。 図3のクラブヘッドの底面図である。 実施例及び比較例のウッド型ゴルフクラブにおけるクラブヘッドの諸物性値を示す図表である。
以下、本発明に係るウッド型ゴルフクラブについて好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下における「前」はゴルフボールを打撃する側、「後」はその反対側を指称する。
図1は、本実施の形態に係るウッド型ゴルフクラブ(以下、単に「ゴルフクラブ」とも表記する)50の概略正面図である。このゴルフクラブ50は、クラブヘッド10と、該クラブヘッド10に設けられたホーゼル30に取り付けられるシャフト52とを備える。シャフト52の上端、すなわち、プレイヤによって握持される部位には、グリップ54が装着される。
図1における参照符号Mは、クラブ長さを示す。本実施の形態では、クラブ長さMは111.8cm(44インチ)以下に設定される。
ここで、クラブ長さMは、日本ゴルフ用品協会(JGGA)が示したクラブ長さ測定基準に従って測定される。具体的には、シャフト52の中心線CLと、クラブヘッド10のソール部24との交点Pから、シャフト52のグリップキャップラインGLに至るまでの距離をクラブ長さMとする。なお、ソール部24にランナやレイラ等の突起部が設けられている場合には、突起部の基端(本体部16の底面)とシャフト52の中心線CLとの交点が交点Pである。
また、図2に示すように、グリップキャップラインGLは、グリップ54の円錐形状部56(ないし円筒形状部)の上底部に平行な線である。
次に、クラブヘッド10につき、図3A、図3B及び図4を参照して詳述する。このクラブヘッド10は、ドライバ(1番ウッド)やスプーン(3番ウッド)等のフェアウェイクラブを構成するウッド型のものであり、主には金属材から形成される。金属材の好適な具体例としては、いわゆる6-4チタン等のチタン合金や、SUS630等のステンレス鋼が挙げられる。
クラブヘッド10は、前方にフェース面14を有する中空状の本体部16と、該本体部16の後方である背面18に設けられた中実状のウェイト20とを有する。本体部16とウェイト20は、精密鋳造等により一体成形されてもよいし、別部材としてそれぞれ個別に形成された後に一体化されてもよい。
本体部16は、フェース部22、ソール部24(図3B、図4)、クラウン部26(図3A、図3B)、リアサイド部28、ホーゼル30(図3A、図3B)を有する。
フェース部22は、ゴルフボールを打撃する面としてフェース面14を有する。図3Bに示すように、ソール部24は本体部16の底面を構成し、クラウン部26は本体部16の上面を構成する。図3Aに示すように、リアサイド部28は、トウ側から後側を経てヒール側まで延在し、そのトウ側とヒール側との間に背面18を有する。クラウン部26のヒール側の端部には、ホーゼル30が設けられる。ホーゼル30は、取付孔30aが形成された中空の筒形状部である。取付孔30aには、前記シャフト52が取り付けられる。取付孔30aの軸線とシャフト52の中心線CLが一致することは勿論である。
図3Aに示すように、ウェイト20は、クラブヘッド10の平面視で、トウ側とヒール側との間が後側に向かって膨出する、いわゆる三日月状をなす。ウェイト20と本体部16とを合わせたクラブヘッド10の全体を平面視した輪郭が、一般的なウッド型クラブヘッドを平面視した輪郭と略同様に設定されている。また、例えば、ウェイト20及び本体部16の少なくとも上面が互いに異なる色に着色されること等によって、ゴルフクラブ50の平面視におけるウェイト20の輪郭は、本体部16の輪郭と視覚により識別可能に構成されている。
図3Bに示すように、ウェイト20は、本体部16と段差32a、32bを形成するように、背面18から突出する。具体的には、ウェイト20の内側(突出方向の基端側)の下端は、本体部16の背面18とソール部24との境界より僅かに上側に配置され、ウェイト20の内側の上端は、本体部16の背面18とクラウン部26との境界より僅かに下側に配置される。これらによって、クラウン部26とウェイト20の上面との間に段差32aが形成される。また、ソール部24とウェイト20の底面との間に段差32bが形成される。なお、ウェイト20の上下方向に沿った縦断面形状では、その外側の端部(突出端部)側が上方に向かって延伸してもよい。この場合、ウェイト20の内側の端部(基端部)よりも、外側の端部が上方に配置される。
ウェイト20の重量は、50.0~80.0gに設定される。なお、ウェイト20の重量は、ウェイト20及び本体部16を合わせたクラブヘッド10全体の重量の20.0~35.0%の範囲内であることが好ましい。
ここで、図3Aには水平線Xを併せて示している。この水平線Xは、クラブヘッド10を平面視したときに、フェース面14の前後方向に沿って延在し且つフェースセンタCを通る水平な線である。この水平線X上で、フェース面14とソール部24との境界であるリーディングエッジ34から背面18までの長さをL1、背面18からウェイト20の後端部までの長さをL2とすると、L1は80.0mm以上に設定され、且つL2はL1の20.0~35.0%に設定される。すなわち、0.200≦L2/L1≦0.350の関係が成り立つ。
なお、フェースセンタCはフェース面14の中央であり、フェース面14のトウ側端とヒール側端との中心線と、フェース面14のクラウン部26側端とソール部24側端との中心線との交点である。また、水平線Xにおける前後方向及び水平方向は、クラブヘッド10が基準状態にあるときの前後方向及び水平方向を基準とする。ここで、クラブヘッド10の基準状態とは、クラブヘッド10を水平面に対して予め定められたライ角及びロフト角(取付孔30aの軸線を含む鉛直平面とフェース面14のなす角度)通りに設置した状態として定義され、図3Aに示される状態である。
上記のように、ウェイト20の重量を50.0g以上とすること、L1を80.0mm以上とすること、及びL2をL1の20.0%以上とすることにより、図4に示すように、クラブヘッド10の重心深度を十分に深くして、重心角θを効果的に大きくすることができる。なお、重心深度とは、クラブヘッド10の重心点Gからソール部24に向かって引いた垂線VLとリーディングエッジ34との最短距離L3の長さである。重心角θは、ホーゼル30にシャフト52を取り付けて構成したゴルフクラブ50のうち、シャフト52のみを机上等の水平な場所に載置したときに、フェース面14の面方向と鉛直方向とがなす交差角である。
クラブヘッド10の体積、すなわち、本体部16の体積とウェイト20の体積の合計は400ml以下である。このように、クラブヘッド10の体積は、ウッド型のものとしては小さく設定されている。
本実施の形態に係るゴルフクラブ50は、基本的には以上のように構成されるものであり、次に、その作用効果につき説明する。
先ず、クラブヘッド10において、ウェイト20は、少なくとも上面が本体部16との間に段差32aを形成するように、背面18から突出している。このため、ウェイト20の輪郭と本体部16の輪郭とを視覚的に識別することが容易となる。従って、クラブヘッド10を作製する際、ウェイト20と本体部16とを異なる色に着色する作業が簡便となる。
なお、本体部16とウェイト20との間に段差32a、32bを設ける必要は特にない。また、クラウン部26とウェイト20の上面との間の段差32aのみを形成するようにしてもよい。この場合においても、プレイヤがゴルフボールを打撃するべくゴルフクラブ50を構えた際に、ウェイト20の輪郭と、本体部16の輪郭とを視覚的に容易に識別することが可能である。
プレイヤがゴルフボールを打撃する前には、プレイヤは、クラブケース内から適切なクラブを選定して取り出すためにクラブケース内を目視する、ここで、クラブヘッド10は、平面視でウェイト20が三日月状であるとともに、本体部16とウェイト20が別色に着色されている。このため、プレイヤがゴルフクラブ50を発見することが容易となる。
プレイヤがゴルフボールを打撃するべくゴルフクラブ50を構えた直後では、プレイヤは、ゴルフクラブ50を平面視する。この際、一般的なウッド型ゴルフクラブを使用することに慣れたプレイヤは、ウェイト20の輪郭を含んだクラブヘッド10全体の輪郭を基準とすることで、クラブヘッド10を一般的なウッド型クラブヘッドと同様の外寸であると認識することができる。従って、プレイヤが違和感を覚えることが回避される。しかも、本体部16とウェイト20が別色であるので、ウェイト20の輪郭を意識することも容易である。結局、この場合、プレイヤは、ゴルフクラブ50をウッド型のクラブとして違和感なく用いることができる。
さらに、クラブ長さM(図1参照)が111.8cm(44インチ)以下に設定されている。このクラブ長さMに応じてクラブヘッド10の本体部16の小型化を図ることができるので、クラブヘッド10の重量が増加することを回避することができる。このため、プレイヤがゴルフクラブ50をウッド型のクラブとして構えることが容易となり、また、ゴルフクラブ50をスイングすることも容易となる。
プレイヤがゴルフボールを打撃することにより、ゴルフボールが飛行する。ここで、本実施の形態では、上記したように、クラブヘッド10の体積が400ml以下、ウェイト20の重量が50.0~80.0g、L1が80.0mm以上、L2がL1の20.0~35.0%となるように、中空状の本体部16の背面18に中実状のウェイト20を設けるようにしている。しかも、クラブ長さMが111.8cm以下である。このような構成のゴルフクラブ50においては、クラブヘッド10の重心が後方に寄るとともに重心角θが大きくなる。
従って、該ゴルフクラブ50でゴルフボールを打撃したとき、ゴルフボールのつかまりが良好となる。また、打撃されたゴルフボールがプレイヤの意図した方向に飛行し易く、しかも、その飛行方向を保ち易い。さらに、ゴルフボールの弾道高さも良好である。以上のような理由から、ゴルフボールの飛距離を大きくすることができる。すなわち、ゴルフクラブ50を、飛距離性能に優れたものとすることができる。
一方、ウェイト20の重量を80.0g以下とすること、及びL2をL1の35.0%以下とすることにより、クラブヘッド10の重心深度及び重心角θが適切な範囲を超えて大きくなることを回避できる。すなわち、重心深度や重心角θが過度に大きくなることを回避できる。
本発明は、上記した実施の形態に特に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
例えば、ウェイト20及び本体部16の少なくとも上面に、互いに異なる模様を付すようにしてもよい。この場合においても、ウェイト20及び本体部16を視覚的に識別することが容易となる。
図5に示すように、重量を207g、体積を330ml、ロフト角を10.5°、L1を87.5mm、L2を22.0mm、ウェイト20の重量を58.3gとして、ドライバのクラブヘッドに相当するウッド型のクラブヘッド10を作製した。この構成において、L2はL1の25.1%(L2/L1×100=25.1)であり、ウェイト20の重量はクラブヘッド10の重量の28.2%であった。そして、クラブ長さMが43.5インチとになるようにクラブヘッド10のホーゼル30にシャフト52を取り付け、ウッド型ゴルフクラブ50を組み立てた。これを実施例とする。
その一方で、ウェイトが設けられていないクラブヘッドを備えるドライバを組み立てた。これを比較例とする。なお、この比較例では、図5に示すように、クラブヘッドの重量は210.5g、体積は460ml、ロフト角は10.5°、L1は112.5mm、クラブ長さは43.5インチである。
[重心深度、重心角]
実施例及び比較例について、クラブヘッドの重心深度及び重心角θをそれぞれ測定した結果を図5に併せて示す。この図5から、実施例では、比較例に比して重心深度が約1.3倍深くなり、且つ重心角θが約1.3倍大きくなっていることが分かる。
[弾道高さ、飛距離性能の評価]
実施例及び比較例のゴルフクラブを用いた5人のプレイヤにより、10球ずつ実打試験を行った。この際に得られた弾道高さの総平均を比較することで、弾道高さを評価した。また、得られた飛距離の総平均を比較することで、飛距離性能を評価した。その結果、実施例では、比較例に比して大きな弾道高さ及び飛距離を示した。すなわち、実施例は、比較例よりも良好な飛距離性能を示した。
[ゴルフボールのつかまり易さの評価]
上記の実打試験の際、実施例及び比較例について、目標飛球線に対する打球のずれ量を併せて求めた。そして、各々の平均ずれ量を比較することで、ゴルフボールのつかまり易さを評価した。その結果、実施例では、比較例に比して平均ずれ量が小さかった。このことは、実施例においてゴルフボールがつかまり易く、ゴルフクラブ50の操作性が向上していることを意味する。
[構え易さ、振り易さの評価]
実施例について、上記の実打試験のプレイヤにより、アドレス時における構え易さを評価した。また、スイング時の振り易さを評価した。その結果、いずれのプレイヤによっても、実施例のゴルフクラブ50は、違和感が生じることなく構え易く、スイングし易いとの評価が得られた。
10…クラブヘッド 14…フェース面
16…本体部 18…背面
20…ウェイト 22…フェース部
24…ソール部 30…ホーゼル
30a…取付孔 32a、32b…段差
34…リーディングエッジ 50…ウッド型ゴルフクラブ
52…シャフト 54…グリップ

Claims (3)

  1. ウッド型のクラブヘッドと、前記クラブヘッドに設けられたホーゼルに取り付けられるシャフトとを備えるウッド型ゴルフクラブにおいて、
    前記シャフトの中心線と前記クラブヘッドのソール部との交点から、前記シャフトのグリップキャップラインに至るクラブ長さが111.8cm以下に設定され、
    前記クラブヘッドはドライバ用であり、フェース面を有する中空状の本体部と、前記本体部の前記フェース面よりも後側の背面に一体化された中実状のウェイトとを有し、且つ体積が400ml以下であり、
    前記ウェイトの重量が50.0~80.0gであり、
    前記ウェイトは、少なくともその上面と前記本体部との間に段差が形成されるように、前記背面及び前記ソール部よりも後側に突出し、
    前記クラブヘッドを平面視したとき、前記フェース面の前後方向に沿って延在し且つフェースセンタを通る水平線上で、リーディングエッジから前記背面までの長さをL1、前記背面から前記ウェイトの後端部までの長さをL2とするとき、L1が80.0mm以上であり、且つL2がL1の20.0~35.0%であるウッド型ゴルフクラブ。
  2. 請求項1記載のウッド型ゴルフクラブにおいて、前記ウェイトの重量が前記クラブヘッドの重量の20.0~35.0%であるウッド型ゴルフクラブ。
  3. 請求項1又は2記載のウッド型ゴルフクラブにおいて、前記クラブヘッドの平面視で、前記ウェイトは、トウ側とヒール側との間が後側に向かって膨出する三日月状であり、前記本体部の輪郭と前記ウェイトの輪郭とが視覚により識別可能に構成されているウッド型ゴルフクラブ。
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