次に、添付図面を参照して、本発明の一実施形態による水洗便器装置を説明する。
図1は、本発明の一実施形態による洗浄水タンク装置を備えた水洗便器装置全体を示す斜視図である。図2は、本発明の一実施形態による洗浄水タンク装置の概略構成を示す断面図である。図3は、本発明の一実施形態による洗浄水タンク装置に備えられた給水制御弁を示す断面図である。
図1に示すように、本発明の一実施形態による水洗便器装置1は、水洗便器である水洗便器本体2と、この水洗便器本体2の後部に載置された、本発明の一実施形態による洗浄水タンク装置4とを有する。本実施形態の水洗便器装置1は、使用後に、壁面に取り付けられたリモコン装置6を操作するか、便座に設けられた人感センサ8が使用者の離座を検知した後、所定時間経過することにより、水洗便器本体2のボウル部2aの洗浄が行われるように構成されている。よって、水洗便器本体2は洗浄水タンク装置4から供給される洗浄水により洗浄される。本実施形態による洗浄水タンク装置4は、リモコン装置6又は人感センサ8からの指示信号に基づいて、内部に貯留されている洗浄水を水洗便器本体2に排出し、この洗浄水によりボウル部2aを洗浄するように構成されている。
図2に示すように、洗浄水タンク装置4は、水洗便器本体2に供給すべき洗浄水を貯留する貯水タンク10と、この貯水タンク10に設けられた排水口10eを開閉するための排水弁12と、この排水弁12を駆動する排水弁水圧駆動部14と、を有する。さらに、洗浄水タンク装置4は、供給された水道水の水流により電力を生成する発電機16と、排水弁水圧駆動部14及び貯水タンク10内への給水を制御する給水制御装置18と、給水制御装置18に取り付けられ、発電機16によって生成された電力により作動する電磁弁20と、を内部に有する。
貯水タンク10は、水洗便器本体2に供給すべき洗浄水を貯留するように構成されたタンクであり、その底部には貯留した洗浄水を水洗便器本体2へ排出するための排水口10eが形成されている。また、貯水タンク10内において、排水口10eの下流側にはオーバーフロー管10fが接続されている。このオーバーフロー管10fは、排水口10eの近傍から垂直に立ち上がり、貯水タンク10内に貯留されている洗浄水の止水水位L1の水面よりも上方まで延びている。従って、オーバーフロー管10fは、オーバーフロー管10fの上端のオーバーフロー口10gから流入した洗浄水を、排水弁12をバイパスして、水洗便器本体2へ直接排出させる。
貯水タンク10は、外側の陶器製のアウタータンク10aと、アウタータンク10a内に収容される樹脂製のインナータンク10bとを備えている。アウタータンク10aは上部に外ふた10cを備えている。また、インナータンク10bは、上部に内ふた10dを備えている。アウタータンク10aは樹脂により形成されていてもよい。
排水弁12は、排水口10eを開閉するように配置された弁体であり、排水弁12が上方に引き上げられることにより開弁され、貯水タンク10内の洗浄水が水洗便器本体2に排出されて、ボウル部2aが洗浄される。よって、排水弁12は、水洗便器本体2への洗浄水の供給、停止を行う。
排水弁水圧駆動部14は、水道から供給された洗浄水の給水圧を利用して、排水弁12を駆動するように構成されている。具体的には、排水弁水圧駆動部14は、給水制御装置18から供給された水が流入するシリンダ14aと、このシリンダ14a内に摺動可能に配置されたピストン14bと、シリンダ14aの下端から突出して排水弁12を駆動するロッド15と、を有する。さらに、シリンダ14aの内部にはスプリング14cが配置されており、ピストン14bを下方に向けて付勢していると共に、ピストン14bにはパッキン14eが取り付けられ、シリンダ14aの内壁面とピストン14bの間の水密性が確保されている。また、ロッド15の途中には、クラッチ機構22が設けられており、このクラッチ22により、ロッド15は上部ロッド15aと下部ロッド15bに切り離される。
シリンダ14aは円筒形の部材であり、その軸線を鉛直方向に向けて配置されると共に、内部にピストン14bを摺動可能に受け入れている。また、シリンダ14aの下端部には、駆動部給水路である流入管24aが接続されており、給水制御装置18から流出した水がシリンダ14a内に流入するようになっている。このため、シリンダ14a内のピストン14bは、シリンダ14aに流入した水により、スプリング14cの付勢力に抗して押し上げられる。
一方、シリンダ14aの上端部には流出孔が設けられ、発電機16に接続される通水管25は、この流出孔を介してシリンダ14aの内部と連通している。従って、シリンダ14a下部に接続された流入管24aからシリンダ14a内に水が流入すると、ピストン14bは、第1の位置であるシリンダ14aの下部から上方へ押し上げられる。そして、ピストン14bが、流出孔よりも上方の第2の位置まで押し上げられると、シリンダ14aに流入した水は流出孔から通水管25を通って流出する。即ち、流入管24aと通水管25は、ピストン14bが第2の位置まで移動されると、シリンダ14aの内部を介して連通される。
ロッド15は、ピストン14bの下面に接続された棒状の部材であり、シリンダ14aの底面に形成された貫通孔14fを通って、シリンダ14aの中から下方に突出するように延びている。また、ロッド15の下端には排水弁12が接続されており、ロッド15は、ピストン14bと排水弁12を連結している。このため、シリンダ14aに水が流入してピストン14bが押し上げられると、ピストン14bに接続されたロッド15が排水弁12を上方に吊り上げ、排水弁12が開弁される。
また、シリンダ14aの下方から突出するロッド15と、シリンダ14aの貫通孔14fの内壁との間には、隙間14dが設けられ、シリンダ14aに流入した水の一部は、この隙間14dから流出する。隙間14dから流出した水は、貯水タンク10内に流入する。なお、この隙間14dは比較的狭く、流路抵抗が大きいため、隙間14dから水が流出する状態であっても、流入管24aからシリンダ14aに流入する水によりシリンダ14a内の圧力が上昇し、スプリング14cの付勢力に抗してピストン14bが押し上げられる。
さらに、ロッド15の途中には、クラッチ機構22が設けられている。クラッチ機構22は、ロッド15(排水弁12)が所定距離吊り上げられると、ロッド15を上部ロッド15aと下部ロッド15bに切り離すように構成されている。クラッチ機構22が切り離された状態では、下部ロッド15bは、ピストン14b及び上部ロッド15aの上部の動きに連動しなくなり、下部ロッド15bは排水弁12と共に、浮力に抵抗しながら重力により降下する。
また、排水弁12の近傍には、排水弁フロート機構26が設けられている。この排水弁フロート機構26は、ロッド15が所定距離吊り上げられ、クラッチ機構22により下部ロッド15bが切り離された後、下部ロッド15b及び排水弁12が降下して、排水口10eを閉弁させるのを遅延させるように構成されている。具体的には、排水弁フロート機構26は、フロート部26aと、このフロート部26aと連動した係合部26bと、を有する。
係合部26bは、クラッチ機構22により切り離されて降下してきた下部ロッド15bと係合し、下部ロッド15b及び排水弁12が降下して、排水口10eに着座するのを阻止するように構成されている。次いで、貯水タンク10内の水位低下と共にフロート部26aが下降し、貯水タンク10内の水位が所定水位まで低下すると、フロート部26aが係合部26bを回動させて、係合部26bと下部ロッド15bの係合が解除される。係合が解除されることにより、下部ロッド15b及び排水弁12は降下して、排水口10eに着座する。これにより、排水弁12の閉弁が遅延され、適正量の洗浄水が、排水口10eから排出されるようになっている。
一方、発電機16は、排水弁水圧駆動部14の下流側の通水管25と接続されている。発電機16は、給水制御装置18から流出し、供給された水道水の水流により電力を生成するように構成されている。具体的には、発電機16は水車17を備えており、通水管25内の水流により、この水車17が回転駆動されることにより電力が生成される。発電機16によって生成された電力は、発電機16に接続されたコントローラ28に送られ、コントローラ28に内蔵されたキャパシタ(図示せず)に充電される。なお、水洗便器本体2の1回の洗浄により生成され、蓄積される電力は、1回の洗浄で電磁弁20を作動させるために消費される電力よりも多く、洗浄で使用する電力を発電機16の発電電力で賄うことができる。従って、本実施形態の洗浄水タンク装置4は、自己の発電した電力を使用して、水洗便器本体2への洗浄水の供給を行っている。
発電機16は、その外側にケーシング16aを備えている。発電機16の構造は、ケーシング16aにより内側に固定されている。発電機16のケーシング16aは、タンク取付部材55を介してインナータンク10bに取り付けられる。よって、発電機16は、インナータンク10bに取り付けられる。より具体的には、タンク取付部材55の一端は、インナータンク10bの上端に係合され且つ固定されている。インナータンク10bには、比較的容易にタンク取付部材55を取り付けることができる。タンク取付部材55の他端はケーシング16aに固定される。なお、タンク取付部材55の一端は、内ふた10dに固定されてもよく、また、内ふた10dの一部を下方まで窪ませることにより凹状の形状を形成しこの凹状部分の下部にケーシング16aを固定してもよい。なお、タンク取付部材55の一端は、インナータンク10bの内壁面から内側に延びる支持部に係合されると共に固定されてもよい。
通水管25は、発電機16の入口と接続される入水管路25aと、発電機16の出口と接続される出水管路25bとを備えている。出水管路25bは、発電機16の出口から下流側に延びている。通水管25は、通水管25の少なくとも一部が貯水タンク10の止水水位L1以下の位置となるように、配置される。よって、通水管25は、貯水タンク10の水位が止水水位L1である状態において通水管25の少なくとも一部が水没するように配置される。より具体的には、通水管25の出水管路25bは、出水管路25bの少なくとも一部が止水水位L1以下の位置となるように、出水管路25bが発電機16の出口から一旦下方に延び、止水水位L1以下の位置を通過し、再び上方に延びた後、下向きに開口されて配置される。通水管25は、可撓性の配管である。通水管25の少なくとも一部が止水水位L1以下の位置となる場合には、例えば、通水管25の一部の下面が止水水位L1の水面と接している場合も含まれる。
また、流入管24aには、バキュームブレーカ30が設けられている。仮に給水制御装置18側が負圧になった場合には、このバキュームブレーカ30により、流入管24aに外気が吸引され、排水弁水圧駆動部14側から給水制御装置18への水の逆流が防止される。
次に、給水制御装置18は、電磁弁20の作動に基づいて排水弁水圧駆動部14への給水を制御すると共に、貯水タンク10への給水、停止を制御するように構成されている。即ち、給水制御装置18は、水道に接続された給水管32と、排水弁水圧駆動部14に接続された流入管24aとの間に接続されており、コントローラ28からの指示信号に基づいて、給水管32から供給された水の、排水弁水圧駆動部14への供給、停止を制御する。本実施形態においては、給水制御装置18から流出した水は、流入管24aを通って排水弁水圧駆動部14に供給される。排水弁水圧駆動部14に供給された水の一部は、シリンダ14aの貫通孔14fの内壁とロッド15の間の隙間14dから流出して貯水タンク10へ流入する。また、排水弁水圧駆動部14に供給された水の多くは、シリンダ14aから通水管25を通って流出し、貯水タンク10に流入する。
なお、本実施形態においては、コントローラ28には、回路基板及びキャパシタ(以上、図示せず)が内蔵されている。この回路基板には、発電機16からの交流電力を直流に変換する整流回路が設けられ、整流回路からの直流電流によってキャパシタが充電され、キャパシタからの電力によって、回路基板上に設けられた電磁弁制御回路が作動する。
また、水道から供給された水は、貯水タンク10の外側に配置された止水栓32a、この止水栓32aの下流側の、貯水タンク10の中に配置された定流量弁32bを介して給水制御装置18に供給される。
また、給水制御装置18には電磁弁20が取り付けられており、この電磁弁20の作動に基づいて、給水制御装置18から排水弁水圧駆動部14への給水が制御される。具体的には、リモコン装置6や人感センサ8からの信号をコントローラ28が受信し、コントローラ28は電磁弁20に電気信号を送り、これを作動させる。電磁弁20は、発電機16によって生成され、コントローラ28に内蔵されたキャパシタ(図示せず)に充電されていた電力によって作動される。
一方、給水制御装置18には、給水弁フロート34(図3参照)も接続されており、貯水タンク10内の貯水水位を所定水位である止水水位L1に設定するように構成されている。給水弁フロート34は貯水タンク10内に配置されており、貯水タンク10の水位上昇と共に上昇して、水位が止水水位L1まで上昇すると、給水制御装置18から排水弁水圧駆動部14への給水を停止させるように構成されている。
次に、図3を参照して、給水制御装置18の構成を説明する。
図3に示すように、給水制御装置18は、給水管32及び流入管24aが接続された本体部36と、この本体部36の中に配置された主弁体38と、この主弁体38が着座する弁座40と、給水弁フロート34によって回動されるアーム部42と、このアーム部42の回動によって移動されるフロート側パイロット弁44と、を有する。
また、給水制御装置18に取り付けられた電磁弁20は、駆動力を発生させるためのソレノイドコイル46と、このソレノイドコイル46によって駆動されるプランジャー48と、このプランジャー48に取り付けられた電磁弁側パイロット弁50と、閉弁時において電磁弁側パイロット弁50を主弁体38に押しつけるコイルスプリング52と、を有する。
本体部36は、下部に給水管32の接続部、一方側に流入管24aの接続部が設けられた部材であり、流入管24aの反対側の側面には、電磁弁20が取り付けられるように構成されている。また、本体部36の内部には、弁座40が形成されており、この弁座40は、接続部に接続された流入管24aに連通するようになっている。さらに、本体部36の内部には、弁座40を開閉するように主弁体38が配置されており、開弁時においては、給水管32から流入した水道水が、弁座40と主弁体38との間を通って、流入管24aに流出するように構成されている。
主弁体38は、概ね円板状のダイヤフラム式の弁体であり、弁座40に対して着座、離座できるように、本体部36の中に取り付けられている。また、主弁体38の中央には、電磁弁20の電磁弁側パイロット弁50によって開閉されるパイロット弁口38aが設けられ、主弁体38の周縁部にはブリード穴38bが設けられている。また、本体部36内には、主弁体38に対して、弁座40の反対側(図3において左側)に、圧力室36aが形成されている。即ち、圧力室36aは、本体部36の内壁面と主弁体38によって画定され、この圧力室36a内の圧力が高くなると、この圧力によって主弁体38が弁座40に押しつけられて、弁座40に着座する。
一方、電磁弁20は、弁座40に対向するように、本体部36に取り付けられており、電磁弁側パイロット弁50を、本体部36の圧力室36a内に進退させることができるように構成されている。即ち、電磁弁20中央部には、プランジャー48が摺動可能に配置され、このプランジャー48の周囲には、ソレノイドコイル46が設けられている。また、プランジャー48の先端には電磁弁側パイロット弁50が取り付けられ、この電磁弁側パイロット弁50はコイルスプリング52の付勢力によって主弁体38のパイロット弁口38aに押しつけられ、これを閉弁している。従って、通常時においては、電磁弁側パイロット弁50は、コイルスプリング52の付勢力によりパイロット弁口38aを閉弁させている。一方、ソレノイドコイル46に通電されると、ソレノイドコイル46とプランジャー48の間に作用する電磁力により、電磁弁側パイロット弁50がパイロット弁口38aから引き離され、パイロット弁口38aが開弁される。
さらに、本体部36内に設けられた圧力室36aには、これに連通するように、圧力通路36bが上方に向けて延びており、この圧力通路36bの上端には、フロート側パイロット弁口44aが設けられている。このフロート側パイロット弁口44aは、上方に向けて開口しており、フロート側パイロット弁44によって開閉されるように構成されている。
一方、給水弁フロート34はアーム部42によって支持されており、このアーム部42は、支持軸42aにより回動可能に支持されている。さらに、アーム部42にはフロート側パイロット弁44が連結されており、アーム部42の回動と共にフロート側パイロット弁44が上下方向に移動されるように構成されている。これにより、貯水タンク10内の水位が止水水位L1まで上昇している状態では給水弁フロート34が上方に押し上げられ、これに伴いフロート側パイロット弁44が下方に移動され、フロート側パイロット弁口44aに着座して、これを閉弁させている。一方、貯水タンク10内の洗浄水が排水され、貯水タンク10内の水位が低下すると、給水弁フロート34が下方に下がり、フロート側パイロット弁44が上方に移動して、フロート側パイロット弁口44aが開弁される。
この構成により、貯水タンク10内の水位が止水水位L1にあり、電磁弁20のソレノイドコイル46に通電されていない、便器洗浄の待機時においては、主弁体38のパイロット弁口38a、及び本体部36のフロート側パイロット弁口44aは、共に閉弁状態となっている。
また、給水管32から本体部36内に流入した水道水は、弁座40の周囲の環状の空間に流入し、ここから主弁体38のブリード穴38bを通って圧力室36a内に流入する。ここで、主弁体38のパイロット弁口38aが電磁弁側パイロット弁50によって閉弁され、且つフロート側パイロット弁口44aがフロート側パイロット弁44によって閉弁されている状態では、ブリード穴38bから圧力室36aに流入した水道水が流出する経路がなく、圧力室36a内の圧力が上昇する。このように圧力室36a内の圧力が上昇すると、この圧力により主弁体38が弁座40に向けて(図3における右側に)押圧され、主弁体38により弁座40が閉弁される。なお、便器洗浄の待機中の、弁座40が閉弁された状態では、主弁体38のパイロット弁口38aはコイルスプリング52の付勢力によって閉弁され、フロート側パイロット弁口44aは給水弁フロート34の浮力によって閉弁されているので、電磁弁20によって電力が消費されることはない。
一方、電磁弁20のソレノイドコイル46に通電が行われると、プランジャー48に作用する電磁力により、電磁弁側パイロット弁50がパイロット弁口38aから引き離され、圧力室36a内の水がパイロット弁口38aから流出して、圧力室36a内の圧力が低下する。これにより、主弁体38が弁座40から引き離されるように(図3における左側に)移動され、弁座40が開弁される。また、貯水タンク10内の水位が止水水位L1よりも低下している状態においては、給水弁フロート34が下がって、フロート側パイロット弁44が上方に移動して、フロート側パイロット弁口44aが開弁される。このように、主弁体38のパイロット弁口38a又はフロート側パイロット弁口44aの何れか一方でも開弁されている状態では、圧力室36a内の圧力が上昇することはないため、弁座40は開弁される。
次に、本発明の一実施形態による洗浄水タンク装置4、及びそれを備えた水洗便器装置1の作用を説明する。
まず、上記のように便器洗浄の待機状態においては、貯水タンク10内の水位が止水水位L1にあり、電磁弁20のソレノイドコイル46への通電は行われていない。この状態では、主弁体38のパイロット弁口38a、及び本体部36のフロート側パイロット弁口44aは、共に閉弁状態となり、弁座40は主弁体38によって閉弁されている。次に、使用者がリモコン装置6(図1)の洗浄ボタンを押すと、リモコン装置6は、便器洗浄の指示信号をコントローラ28(図2)に送信する。
便器洗浄の指示信号を受信すると、コントローラ28は、電磁弁20のソレノイドコイル46(図3)に通電を行い、電磁弁側パイロット弁50を主弁体38のパイロット弁口38aから離座させる。これにより、圧力室36a内の圧力が低下し、主弁体38が弁座40から離座して、弁座40が開弁される。
さらに、流入管24a内を流れた水は、排水弁水圧駆動部14のシリンダ14a内に流入する。シリンダ14a内に流入した水は、スプリング14cの付勢力に抗してピストン14bを押し上げる。これにより、ピストン14bに連結されたロッド15、このロッド15に連結された排水弁12も引き上げられ、排水弁12が排水口10eから離間する。即ち、排水弁12は、給水管32を介して給水された水道水の給水圧により駆動され、開弁される。
排水弁12が開弁されると、貯水タンク10内に貯留されていた洗浄水(水道水)が、排水口10eを通って水洗便器本体2のボウル部2aに排出され、ボウル部2aが洗浄される。また、貯水タンク10内の洗浄水が排出されると、貯水タンク10内の水位が止水水位L1よりも低下するので、給水弁フロート34が下がる。これにより、アーム部42(図3)が回動し、フロート側パイロット弁44がフロート側パイロット弁口44aから離座し、フロート側パイロット弁口44aが開弁される。
なお、フロート側パイロット弁口44aが開弁した状態では、主弁体38のパイロット弁口38aが閉弁されても、圧力室36a内の圧力が上昇することはないため、弁座40から主弁体38が離座した状態(開弁状態)を維持することができる。このため、コントローラ28はソレノイドコイル46に通電して主弁体38を開弁させた後、所定時間経過して、貯水タンク10内の水位が低下すると、ソレノイドコイル46への通電を停止させる。これにより、電磁弁側パイロット弁50は、コイルスプリング52の付勢力によりパイロット弁口38aに押しつけられるが、貯水タンク10内の水位が低下した状態では、フロート側パイロット弁口44aが開弁されているため、主弁体38は弁座40から離座したままになる。即ち、コントローラ28は、ソレノイドコイル46に短時間通電するだけで、長時間にわたり主弁体38を開弁させることができ、僅かな電力消費で1回の便器洗浄を実行することができる。
一方、流入管24aから排水弁水圧駆動部14のシリンダ14aに水が流入し、ピストン14bがシリンダ14aの上部まで押し上げられると、シリンダ14a内の水は、入水管路25aを通って流出する。この結果、入水管路25aに供給された水道水は、矢印fに示すように、発電機16内を流れ、発電機16の水車17を回転させて電力を生成する。生成された電力は、コントローラ28に内蔵されたキャパシタ(図示せず)に充電される。出水管路25bを通って流出した水は、貯水タンク10内に流入する。発電機16において電力を生成する際に、発電機16は振動を生じさせる。発電機により生じる振動は、通水管25に伝達され、通水管25から通水管25に接している水(水中)に伝達される。これにより発電機により生じる振動は、タンク取付部材55を介してインナータンク10bにも伝達されるが、タンク取付部材55を介して伝達される振動が減少される。貯水タンク10が振動により異音を発生することを抑制できる。
また、ピストン14bが押し上げられ、これに伴いロッド15及び排水弁12が所定位置まで引き上げられると、クラッチ機構22が、下部ロッド15b及び排水弁12を、上部ロッド15aから切り離す。これにより、上部ロッド15aはピストン14bと共に上方に押し上げられたままになる一方、下部ロッド15b及び排水弁12は、自重により降下する。しかしながら、切り離された下部ロッド15bは、排水弁フロート機構26の係合部26bと係合し、下部ロッド15b及び排水弁12の降下が阻止される。これにより、貯水タンク10の排水口10eは開弁されたままとなり、貯水タンク10からの排水が継続される。
ここで、貯水タンク10内の水位が、止水水位L1よりも低い所定水位L2まで低下すると、排水弁フロート機構26のフロート部26aが下降し、これが係合部26bを移動させる。これにより、下部ロッド15bと係合部26bとの係合が解除され、下部ロッド15b及び排水弁12は再び降下し始める。その後、排水弁12が貯水タンク10の排水口10eを閉弁させ、水洗便器本体2への洗浄水の排出が停止される。排水口10eが閉弁された後も、給水制御装置18内の弁座40は開弁された状態にあるため、給水管32から供給された水が排水弁水圧駆動部14内に流入し、排水弁水圧駆動部14から流出した水は、入水管路25aを通って貯水タンク10内に流入するので、貯水タンク10内の水位が上昇する。
貯水タンク10内の水位が止水水位L1まで上昇すると、給水弁フロート34が上昇し、アーム部42を介してフロート側パイロット弁44が下降され、フロート側パイロット弁口44aが閉弁される。これにより、フロート側パイロット弁口44a及び主弁体38のパイロット弁口38aが閉弁されるので、圧力室36a内の圧力が上昇し、主弁体38が弁座40に着座する。この結果、給水制御装置18から排水弁水圧駆動部14への給水が停止され、発電機16による電力の生成が終了する。また、排水弁水圧駆動部14のピストン14bは、スプリング14cの付勢力により押し下げられる。ピストン14bと共に上部ロッド15aが押し下げられると、クラッチ機構22により切り離されていた上部ロッド15aと下部ロッド15bが再び連結される。このため、次回、便器洗浄が実行された時は、上部ロッド15a及び下部ロッド15bは、ピストン14bにより共に引き上げられる。以上により、一回の便器洗浄が終了し、水洗便器装置1は、便器洗浄の待機状態に復帰する。
本発明の一実施形態の洗浄水タンク装置4によれば、通水管25は、貯水タンク10の水位が止水水位L1である状態において通水管25の少なくとも一部が貯水タンク10の止水水位L1以下の位置となるように、配置される。これにより、発電機16により生じる振動が通水管25を介して水中に分散されやすくでき、発電機16から貯水タンク10に伝わる振動が減少されやすくでき、貯水タンク10が異音を発生することを抑制できる。
また、本実施形態の洗浄水タンク装置4によれば、通水管25の出水管路25bの比較的簡易な構成により、発電機16により生じる振動が通水管25の出水管路25bを介して水中に分散されやすくでき、発電機16から貯水タンク10に伝わる振動が減少されやすくでき、貯水タンク10が異音を発生することを抑制できる。
さらに、本実施形態の洗浄水タンク装置4によれば、発電機16がインナータンク10bに取り付けられる比較的簡易な構成が採用されたとしても、発電機16により生じる振動が通水管25を介して水中に分散されやすくでき、発電機16から貯水タンク10に伝わる振動が減少されやすくでき、貯水タンク10が異音を発生することを抑制できる。
また、本発明は、水洗便器装置1であって、本発明の洗浄水タンク装置4と、この洗浄水タンク装置4から供給される洗浄水により洗浄される水洗便器本体2と、を有する。このように構成された本発明においては、洗浄水タンク装置4の貯水タンク10が異音を発生することを抑制できる水洗便器装置1を提供することができる。
また、上述した本発明の一実施形態の洗浄水タンク装置4に種々の変更を加えることができる。発電機16は、排水弁水圧駆動部14の下流側以外の他の場所に配置されてもよい。よって、発電機16を配置する通水管25は、排水弁水圧駆動部14の下流側の配管として設けられるのみならず、排水弁水圧駆動部14の上流側、又は排水弁水圧駆動部14とは別の流路の配管として設けられてもよい。また、出水管路25bに限られず、入水管路25aの少なくとも一部が貯水タンク10の止水水位L1以下の位置となるように配置されてもよい。