次に、添付図面を参照して、本発明の第1実施形態による水洗便器装置を説明する。
図1は、本発明の第1実施形態による洗浄水タンク装置を備えた水洗便器装置全体を示す斜視図である。図2は、本発明の第1実施形態による洗浄水タンク装置の概略構成を示す断面図である。図3は、本発明の第1実施形態による洗浄水タンク装置に備えられた給水制御弁を示す断面図である。
図1に示すように、本発明の実施形態による水洗便器装置1は、水洗便器である水洗便器本体2と、この水洗便器本体2の後部に載置された、本発明の第1実施形態による洗浄水タンク装置4から構成されている。本実施形態の水洗便器装置1は、使用後に、壁面に取り付けられたリモコン装置6を操作するか、便座に設けられた人感センサ8が使用者の離座を検知した後、所定時間経過することにより、水洗便器本体2のボウル部2aの洗浄が行われるように構成されている。本実施形態による洗浄水タンク装置4は、リモコン装置6又は人感センサ8からの指示信号に基づいて、内部に貯留されている洗浄水を水洗便器本体2に排出し、この洗浄水によりボウル部2aを洗浄するように構成されている。なお、本実施形態では人感センサ8は便座に設けられているが、本発明はこの形態に限るものではなく、使用者の着座、離座や接近、離脱、手をかざす動作を検知できる位置に設けられていればよく、例えば、水洗便器本体2や洗浄水タンク装置4に設けることもできる。また、人感センサ8は、使用者の着座、離座や接近、離脱、手をかざす動作を検知できるものであればよく、例えば、赤外線センサやマイクロ波センサを人感センサ8として使用することができる。
図2に示すように、洗浄水タンク装置4は、水洗便器本体2に供給すべき洗浄水を貯留する貯水タンク10と、この貯水タンク10に設けられた排水口10aを開閉するための排水弁12と、この排水弁12を駆動する排水弁水圧駆動部14と、を有する。さらに、洗浄水タンク装置4は、排水弁水圧駆動部14に水を供給する水路に設けられた発電機16と、排水弁水圧駆動部14及び貯水タンク10内への給水を制御する給水制御装置18と、給水制御装置18に取り付けられ、発電機16によって生成された電力により作動する電磁弁20と、を内部に有する。
貯水タンク10は、水洗便器本体2に供給すべき洗浄水を貯留するように構成されたタンクであり、その底部には貯留した洗浄水を水洗便器本体2へ排出するための排水口10aが形成されている。また、貯水タンク10内において、排水口10aの下流側にはオーバーフロー管10bが接続されている。このオーバーフロー管10bは、排水口10aの近傍から垂直に立ち上がり、貯水タンク10内に貯留されている洗浄水の水面よりも上方まで延びている。従って、オーバーフロー管10bの上端から流入した洗浄水は、排水口10aをバイパスして、水洗便器本体2へ直接流出する。
排水弁12は、排水口10aを開閉するように配置された弁体であり、排水弁12が上方に引き上げられることにより開弁され、貯水タンク10内の洗浄水が水洗便器本体2に排出されて、ボウル部2aが洗浄される。
排水弁水圧駆動部14は、水道から供給された洗浄水の給水圧を利用して、排水弁12を駆動するように構成されている。具体的には、排水弁水圧駆動部14は、給水制御装置18から供給された水が流入するシリンダ14aと、このシリンダ14a内に摺動可能に配置されたピストン14bと、シリンダ14aの下端から突出して排水弁12を駆動するロッド15と、を有する。さらに、シリンダ14aの内部にはスプリング14cが配置されており、ピストン14bを下方に向けて付勢していると共に、ピストン14bにはパッキン14eが取り付けられ、シリンダ14aの内壁面とピストン14bの間の水密性が確保されている。また、ロッド15の途中には、クラッチ機構22が設けられており、このクラッチ22により、ロッド15は上部ロッド15aと下部ロッド15bに切り離される。
シリンダ14aは円筒形の部材であり、その軸線を鉛直方向に向けて配置されると共に、内部にピストン14bを摺動可能に受け入れている。また、シリンダ14aの下端部には、駆動部給水路である流入管24aが接続されており、給水制御装置18から流出した水がシリンダ14a内に流入するようになっている。このため、シリンダ14a内のピストン14bは、シリンダ14aに流入した水により、スプリング14cの付勢力に抗して押し上げられる。
一方、シリンダ14aの上端部には流出孔が設けられ、駆動部排水路である流出管24bは、この流出孔を介してシリンダ14aの内部と連通している。従って、シリンダ14a下部に接続された流入管24aからシリンダ14a内に水が流入すると、ピストン14bは、第1の位置であるシリンダ14aの下部から上方へ押し上げられる。そして、ピストン14bが、流出孔よりも上方の第2の位置まで押し上げられると、シリンダ14aに流入した水は流出孔から流出管24bを通って流出する。即ち、流入管24aと流出管24bは、ピストン14bが第2の位置まで移動されると、シリンダ14aの内部を介して連通される。また、シリンダ14aから延びる流出管24bの先端部には流出管分岐部24cが設けられている。流出管分岐部24cにおいて分岐した流出管24bは、その一方が貯水タンク10内に水を流出させ、他方がオーバーフロー管10bの中に水を流出させるように構成されている。従って、シリンダ14aから流出した水の一部は、オーバーフロー管10bを通って水洗便器本体2に排出され、残りは貯水タンク10内に貯留される。
ロッド15は、ピストン14bの下面に接続された棒状の部材であり、シリンダ14aの底面に形成された貫通孔14fを通って、シリンダ14aの中から下方に突出するように延びている。また、ロッド15の下端には排水弁12が接続されており、ロッド15は、ピストン14bと排水弁12を連結している。このため、シリンダ14aに水が流入してピストン14bが押し上げられると、ピストン14bに接続されたロッド15が排水弁12を上方に吊り上げ、排水弁12が開弁される。
また、シリンダ14aの下方から突出するロッド15と、シリンダ14aの貫通孔14fの内壁との間には、隙間14dが設けられ、シリンダ14aに流入した水の一部は、この隙間14dから流出する。隙間14dから流出した水は、貯水タンク10内に流入する。なお、この隙間14dは比較的狭く、流路抵抗が大きいため、隙間14dから水が流出する状態であっても、流入管24aからシリンダ14aに流入する水によりシリンダ14a内の圧力が上昇し、スプリング14cの付勢力に抗してピストン14bが押し上げられる。
さらに、ロッド15の途中には、クラッチ機構22が設けられている。クラッチ機構22は、ロッド15(排水弁12)が所定距離吊り上げられると、ロッド15を上部ロッド15aと下部ロッド15bに切り離すように構成されている。クラッチ機構22が切り離された状態では、下部ロッド15bは、ピストン14b及び上部ロッド15aの上部の動きに連動しなくなり、下部ロッド15bは排水弁12と共に、浮力に抵抗しながら重力により降下する。
また、排水弁12の近傍には、排水弁フロート機構26が設けられている。この排水弁フロート機構26は、ロッド15が所定距離吊り上げられ、クラッチ機構22により下部ロッド15bが切り離された後、下部ロッド15b及び排水弁12が降下して、排水口10aを閉弁させるのを遅延させるように構成されている。具体的には、排水弁フロート機構26は、フロート部26aと、このフロート部26aと連動した係合部26bと、を有する。
係合部26bは、クラッチ機構22により切り離されて降下してきた下部ロッド15bと係合し、下部ロッド15b及び排水弁12が降下して、排水口10aに着座するのを阻止するように構成されている。次いで、貯水タンク10内の水位低下と共にフロート部26aが下降し、貯水タンク10内の水位が所定水位まで低下すると、フロート部26aが係合部26bを回動させて、係合部26bと下部ロッド15bの係合が解除される。係合が解除されることにより、下部ロッド15b及び排水弁12は降下して、排水口10aに着座する。これにより、排水弁12の閉弁が遅延され、適正量の洗浄水が、排水口10aから排出されるようになっている。
一方、発電機16は、給水制御装置18と排水弁水圧駆動部14を接続する流入管24aの途中に設けられており、給水制御装置18から流出し、排水弁水圧駆動部14に流入する水の流れに基づいて、電力を生成するように構成されている。具体的には、発電機16は水車(図示せず)を備えており、流入管24a内の水流により、この水車が回転駆動されることにより電力が生成される。発電機16によって生成された電力は、発電機16に接続されたコントローラ28に送られ、コントローラ28に内蔵されたキャパシタ(図示せず)に充電される。なお、水洗便器本体2の1回の洗浄により生成され、蓄積される電力は、1回の洗浄で電磁弁20を作動させるために消費される電力よりも多く、洗浄で使用する電力を発電機16の発電電力で賄うことができる。従って、本実施形態の洗浄水タンク装置4は、自己の発電した電力を使用して、水洗便器本体2への洗浄水の供給を行っている。
また、給水制御装置18と発電機16の間の流入管24aには、バキュームブレーカ30が設けられている。このバキュームブレーカ30により、給水制御装置18側が負圧になった場合には、流入管24aに外気が吸引され、排水弁水圧駆動部14側からの水の逆流が防止される。
次に、給水制御装置18は、電磁弁20の作動に基づいて排水弁水圧駆動部14への給水を制御すると共に、貯水タンク10への給水、停止を制御するように構成されている。即ち、給水制御装置18は、水道に接続された給水管32と、排水弁水圧駆動部14に接続された流入管24aとの間に接続されており、コントローラ28からの指示信号に基づいて、給水管32から供給された水の、排水弁水圧駆動部14への供給、停止を制御する。本実施形態においては、給水制御装置18から流出した水は、全量が流入管24aを通って排水弁水圧駆動部14に供給される。排水弁水圧駆動部14に供給された水の一部は、シリンダ14a貫通孔14fの内壁とロッド15の間の隙間14dから流出して貯水タンク10へ流入する。また、排水弁水圧駆動部14に供給された水の多くは、流出管24bを通ってシリンダ14aから流出し、流出管分岐部24cにおいて貯水タンク10に流入する部分と、オーバーフロー管10bを介して水洗便器本体2に流入する部分に分岐される。
なお、本実施形態においては、コントローラ28には、回路基板及びキャパシタ(以上、図示せず)が内蔵されている。この回路基板には、発電機16からの交流電力を直流に変換する整流回路が設けられ、整流回路からの直流電流によってキャパシタが充電され、キャパシタからの電力によって、回路基板上に設けられた電磁弁制御回路が作動する。
また、水道から供給された水は、貯水タンク10の外側に配置された止水栓32a、この止水栓32aの下流側の、貯水タンク10の中に配置された定流量弁32bを介して給水制御装置18に供給される。止水栓32aは、メンテナンス時等に洗浄水タンク装置4への水の供給を停止させるために設けられており、通常は開栓された状態で使用される。定流量弁32bは、水道から供給された水を、所定流量で給水制御装置18に流入させるために設けられており、水洗便器装置1の設置環境に関わらず一定流量の水が給水制御装置18に供給されるように構成されている。
また、給水制御装置18には電磁弁20が取り付けられており、この電磁弁20の作動に基づいて、給水制御装置18から排水弁水圧駆動部14への給水が制御される。具体的には、リモコン装置6や人感センサ8からの信号をコントローラ28が受信し、コントローラ28は電磁弁20に電気信号を送り、これを作動させる。電磁弁20は、発電機16によって生成され、コントローラ28に内蔵されたキャパシタ(図示せず)に充電されていた電力によって作動される。
一方、給水制御装置18には、給水弁フロート34も接続されており、貯水タンク10内の貯水水位を所定水位L1に設定するように構成されている。給水弁フロート34は貯水タンク10内に配置されており、貯水タンク10の水位上昇と共に上昇して、水位が所定水位L1まで上昇すると、給水制御装置18から排水弁水圧駆動部14への給水を停止させるように構成されている。
次に、図3を参照して、給水制御装置18の構成を説明する。
図3に示すように、給水制御装置18は、給水管32及び流入管24aが接続された本体部36と、この本体部36の中に配置された主弁体38と、この主弁体38が着座する弁座40と、給水弁フロート34によって回動されるアーム部42と、このアーム部42の回動によって移動されるフロート側パイロット弁44と、を有する。
また、給水制御装置18に取り付けられた電磁弁20は、駆動力を発生させるためのソレノイドコイル46と、このソレノイドコイル46によって駆動されるプランジャー48と、このプランジャー48に取り付けられた電磁弁側パイロット弁50と、閉弁時において電磁弁側パイロット弁50を主弁体38に押しつけるコイルスプリング52と、を有する。
本体部36は、下部に給水管32の接続部、一側に流入管24aの接続部が設けられた部材であり、流入管24aの反対側の側面には、電磁弁20が取り付けられるように構成されている。また、本体部36の内部には、弁座40が形成されており、この弁座40は、接続部に接続された流入管24aに連通するようになっている。さらに、本体部36の内部には、弁座40を開閉するように主弁体38が配置されており、開弁時においては、給水管32から流入した水道水が、弁座40を通って、流入管24aに流出するように構成されている。
主弁体38は、概ね円板状のダイヤフラム式の弁体であり、弁座40に対して着座、離座できるように、本体部36の中に取り付けられている。また、主弁体38の中央には、電磁弁20の電磁弁側パイロット弁50によって開閉されるパイロット弁口38aが設けられ、主弁体38の周縁部にはブリード穴38bが設けられている。また、本体部36内には、主弁体38に対して、弁座40の反対側(図3において左側)に、圧力室36aが形成されている。即ち、圧力室36aは、本体部36の内壁面と主弁体38によって画定され、この圧力室36a内の圧力が高くなると、この圧力によって主弁体38が弁座40に押しつけられて、弁座40に着座する。
一方、電磁弁20は、弁座40に対向するように、本体部36に取り付けられており、電磁弁側パイロット弁50を、本体部36の圧力室36a内に進退させることができるように構成されている。即ち、電磁弁20中央部には、プランジャー48が摺動可能に配置され、このプランジャー48の周囲には、ソレノイドコイル46が設けられている。また、プランジャー48の先端には電磁弁側パイロット弁50が取り付けられ、この電磁弁側パイロット弁50はコイルスプリング52の付勢力によって主弁体38のパイロット弁口38aに押しつけられ、これを閉弁している。従って、通常時においては、電磁弁側パイロット弁50は、コイルスプリング52の付勢力によりパイロット弁口38aを閉弁させている。一方、ソレノイドコイル46に通電されると、ソレノイドコイル46とプランジャー48の間に作用する電磁力により、電磁弁側パイロット弁50がパイロット弁口38aから引き離され、パイロット弁口38aが開弁される。
さらに、本体部36内に設けられた圧力室36aには、これに連通するように、圧力通路36bが上方に向けて延びており、この圧力通路36bの上端には、フロート側パイロット弁口44aが設けられている。このフロート側パイロット弁口44aは、上方に向けて開口しており、フロート側パイロット弁44によって開閉されるように構成されている。
一方、給水弁フロート34はアーム部42によって支持されており、このアーム部42は、支持軸42aにより回動可能に支持されている。さらに、アーム部42にはフロート側パイロット弁44が連結されており、アーム部42の回動と共にフロート側パイロット弁44が上下方向に移動されるように構成されている。これにより、貯水タンク10内の水位が所定水位L1まで上昇している状態では給水弁フロート34が上方に押し上げられ、これに伴いフロート側パイロット弁44が下方に移動され、フロート側パイロット弁口44aに着座して、これを閉弁させている。一方、貯水タンク10内の洗浄水が排水され、貯水タンク10内の水位が低下すると、給水弁フロート34が下方に下がり、フロート側パイロット弁44が上方に移動して、フロート側パイロット弁口44aが開弁される。
この構成により、貯水タンク10内の水位が所定水位L1にあり、電磁弁20のソレノイドコイル46に通電されていない、便器洗浄の待機時においては、主弁体38のパイロット弁口38a、及び本体部36のフロート側パイロット弁口44aは、共に閉弁状態となっている。
また、給水管32から本体部36内に流入した水道水は、弁座40の周囲の環状の空間に流入し、ここから主弁体38のブリード穴38bを通って圧力室36a内に流入する。ここで、主弁体38のパイロット弁口38aが電磁弁側パイロット弁50によって閉弁され、且つフロート側パイロット弁口44aがフロート側パイロット弁44によって閉弁されている状態では、ブリード穴38bから圧力室36aに流入した水道水が流出する経路がなく、圧力室36a内の圧力が上昇する。このように圧力室36a内の圧力が上昇すると、この圧力により主弁体38が弁座40に向けて(図3における右側に)押圧され、主弁体38により弁座40が閉弁される。なお、便器洗浄の待機中の、弁座40が閉弁された状態では、主弁体38のパイロット弁口38aはコイルスプリング52の付勢力によって閉弁され、フロート側パイロット弁口44aは給水弁フロート34の浮力によって閉弁されているので、電磁弁20によって電力が消費されることはない。
一方、電磁弁20のソレノイドコイル46に通電が行われると、プランジャー48に作用する電磁力により、電磁弁側パイロット弁50がパイロット弁口38aから引き離され、圧力室36a内の水がパイロット弁口38aから流出して、圧力室36a内の圧力が低下する。これにより、主弁体38が弁座40から引き離されるように(図3における左側に)移動され、弁座40が開弁される。また、貯水タンク10内の水位が所定水位L1よりも低下している状態においては、給水弁フロート34が下がって、フロート側パイロット弁44が上方に移動して、フロート側パイロット弁口44aが開弁される。このように、主弁体38のパイロット弁口38a又はフロート側パイロット弁口44aの何れか一方でも開弁されている状態では、圧力室36a内の圧力が上昇することはないため、弁座40は開弁される。
次に、本発明の第1実施形態による洗浄水タンク装置4、及びそれを備えた水洗便器装置1の作用を説明する。
まず、上記のように便器洗浄の待機状態においては、貯水タンク10内の水位が所定水位L1にあり、電磁弁20のソレノイドコイル46への通電は行われていない。この状態では、主弁体38のパイロット弁口38a、及び本体部36のフロート側パイロット弁口44aは、共に閉弁状態となり、弁座40は主弁体38によって閉弁されている。次に、使用者がリモコン装置6(図1)の洗浄ボタンを押すと、リモコン装置6は、便器洗浄の指示信号をコントローラ28(図2)に送信する。なお、本実施形態の水洗便器装置1においては、人感センサ8(図1)によって使用者の離座が検知された後、リモコン装置6の洗浄ボタンが押されることなく、所定時間経過した場合にも、便器洗浄の指示信号がコントローラ28に送信される。
便器洗浄の指示信号を受信すると、コントローラ28は、電磁弁20のソレノイドコイル46(図3)に通電を行い、電磁弁側パイロット弁50を主弁体38のパイロット弁口38aから離座させる。これにより、圧力室36a内の圧力が低下し、主弁体38が弁座40から離座して、弁座40が開弁される。この結果、給水管32から給水制御装置18(図2)に供給された水道水は、給水制御装置18から流出して流入管24a内を流れ、発電機16の水車(図示せず)を回転させて電力を生成する。生成された電力は、コントローラ28に内蔵されたキャパシタ(図示せず)に充電される。
さらに、流入管24a内を流れた水は、排水弁水圧駆動部14のシリンダ14a内に流入する。シリンダ14a内に流入した水は、スプリング14cの付勢力に抗してピストン14bを押し上げる。これにより、ピストン14bに連結されたロッド15、このロッド15に連結された排水弁12も引き上げられ、排水弁12が排水口10aから離間する。即ち、排水弁12は、給水管32を介して給水された水道水の給水圧により駆動され、開弁される。
排水弁12が開弁されると、貯水タンク10内に貯留されていた洗浄水(水道水)が、排水口10aを通って水洗便器本体2のボウル部2aに排出され、ボウル部2aが洗浄される。また、貯水タンク10内の洗浄水が排出されると、貯水タンク10内の水位が所定水位L1よりも低下するので、給水弁フロート34が下がる。これにより、アーム部42(図3)が回動し、フロート側パイロット弁44がフロート側パイロット弁口44aから離座し、フロート側パイロット弁口44aが開弁される。
なお、フロート側パイロット弁口44aが開弁した状態では、主弁体38のパイロット弁口38aが閉弁されても、圧力室36a内の圧力が上昇することはないため、弁座40から主弁体38が離座した状態(開弁状態)を維持することができる。このため、コントローラ28はソレノイドコイル46に通電して主弁体38を開弁させた後、所定時間経過して、貯水タンク10内の水位が低下すると、ソレノイドコイル46への通電を停止させる。これにより、電磁弁側パイロット弁50は、コイルスプリング52の付勢力によりパイロット弁口38aに押しつけられるが、貯水タンク10内の水位が低下した状態では、フロート側パイロット弁口44aが開弁されているため、主弁体38は弁座40から離座したままになる。即ち、コントローラ28は、ソレノイドコイル46に短時間通電するだけで、長時間主弁体38を開弁させることができ、僅かな電力消費で1回の便器洗浄を実行することができる。
一方、流入管24aから排水弁水圧駆動部14のシリンダ14aに水が流入し、ピストン14bがシリンダ14aの上部まで押し上げられると、シリンダ14a内の水は、流出管24bを通って流出するようになる。流出管24bを通って流出した水は、流出管分岐部24cにおいて分岐され、貯水タンク10内、及びオーバーフロー管10b内に夫々流入する。また、流入管24aからシリンダ14aに流入した水の一部は、シリンダ14aの貫通孔14fの内壁とロッド15の間の隙間14dから流出し、この水は、貯水タンク10に流入する。
また、ピストン14bが押し上げられ、これに伴いロッド15及び排水弁12が所定位置まで引き上げられると、クラッチ機構22が、下部ロッド15b及び排水弁12を、上部ロッド15aから切り離す。これにより、上部ロッド15aはピストン14bと共に上方に押し上げられたままになる一方、下部ロッド15b及び排水弁12は、自重により降下する。しかしながら、切り離された下部ロッド15bは、排水弁フロート機構26の係合部26bと係合し、下部ロッド15b及び排水弁12の降下が阻止される。これにより、貯水タンク10の排水口10aは開弁されたままとなり、貯水タンク10からの排水が継続される。
ここで、貯水タンク10内の水位が、所定水位L1よりも低い第2の所定水位L2まで低下すると、排水弁フロート機構26のフロート部26aが下降し、これが係合部26bを移動させる。これにより、下部ロッド15bと係合部26bとの係合が解除され、下部ロッド15b及び排水弁12は再び降下し始める。その後、排水弁12が貯水タンク10の排水口10aを閉弁させ、水洗便器本体2への洗浄水の排出が停止される。排水口10aが閉弁された後も、給水制御装置18内の弁座40は開弁された状態にあるため、給水管32から供給された水が排水弁水圧駆動部14内に流入し、排水弁水圧駆動部14から流出した水は、流出管24bを通って貯水タンク10内に流入するので、貯水タンク10内の水位が上昇する。
貯水タンク10内の水位が所定水位L1まで上昇すると、給水弁フロート34が上昇し、アーム部42を介してフロート側パイロット弁44が下降され、フロート側パイロット弁口44aが閉弁される。これにより、フロート側パイロット弁口44a及び主弁体38のパイロット弁口38aが閉弁されるので、圧力室36a内の圧力が上昇し、主弁体38が弁座40に着座する。この結果、給水制御装置18から排水弁水圧駆動部14への給水が停止され、発電機16による電力の生成が終了する。また、排水弁水圧駆動部14のピストン14bは、スプリング14cの付勢力により押し下げられる。ピストン14bと共に上部ロッド15aが押し下げられると、クラッチ機構22により切り離されていた上部ロッド15aと下部ロッド15bが再び連結される。このため、次回、便器洗浄が実行された時は、上部ロッド15a及び下部ロッド15bは、ピストン14bにより共に引き上げられる。以上により、一回の便器洗浄が終了し、水洗便器装置1は、便器洗浄の待機状態に復帰する。
本発明の第1実施形態の洗浄水タンク装置4によれば、電磁弁20の作動に基づいて、給水制御装置18により排水弁水圧駆動部14に給水が行われ、排水弁水圧駆動部14は、供給された水道水の給水圧を利用して排水弁を駆動する。このため、電磁弁20を小さな電力で作動させるだけで、排水弁12を駆動することができ、貯水タンク10内の洗浄水を水洗便器本体2に排出することができる。また、本実施形態においては、発電機16が生成した電力は電磁弁20の作動に利用され、これに基づいて排水弁12が駆動されるので、発電機16の生成する電力で所要電力を賄うことができ、排水を制御することができる。このため、外部電源が確保できない環境にも、洗浄水タンク装置4を設置することができると共に、電池交換等のメンテナンスが生じることを抑制することができる。
また、本実施形態の洗浄水タンク装置4によれば、流入管24aに発電機16が設けられ、この水路を流れる水流により発電が行われる。このため、電磁弁20が作動され、流入管24aに水が流れたタイミングで発電を行うことができる。この結果、電磁弁20の作動により電力が消費される毎に発電を行い、消費された電力を補充することができ、電磁弁20を作動させる電力を不足無く、確実に確保することができる。
さらに、本実施形態の洗浄水タンク装置4によれば、流入管24aに発電機16が設けられているため、電磁弁20の作動により電力が消費される毎に発電を行い、消費された電力をより早く補充することができ、電磁弁20を作動させる電力を不足無く、確実に確保することができる。
また、本実施形態の洗浄水タンク装置4によれば、給水制御装置18から排水弁水圧駆動部14に水を導く流入管24aに発電機16が設けられ、給水制御装置18から排水弁水圧駆動部14に導かれた水が貯水タンク10に供給される。このため、貯水タンク10に供給される水を全て発電に寄与させることができ、発電機16によって、より多くの電力を生成することができる。
さらに、本実施形態の洗浄水タンク装置4によれば、シリンダ14aから突出するロッド15と、シリンダ14aの貫通孔14fの内壁との間に隙間14dが設けられているので、シリンダ14aとロッド15の間のゴミ噛みを防止することができ、ロッド15をスムースに動かすことができる。また、発電機16が、給水制御装置18から排水弁水圧駆動部14に水を導く流入管24aに設けられているので、排水弁水圧駆動部14においてシリンダ14aの貫通孔14fの内壁とロッド15の隙間から水が流出しても、発電に寄与する水量が減少することはなく、十分な発電量を確保することができる。
また、上述した本発明の第1実施形態の洗浄水タンク装置4に種々の変更を加えることができる。例えば、本実施形態の洗浄水タンク装置4には、ピストン14bと排水弁12の間にクラッチ機構22が設けられていたが、クラッチ機構22を省略することもできる。この場合には、シリンダ14aに接続された流出管24bをシリンダ14aの下方に接続しておき、流出管24bの入口を開閉する開閉機構を設けるのが良い。また、本実施形態の洗浄水タンク装置4においては、フロート側パイロット弁44がフロート34の動きに基づいて駆動されていた。これに対し、変形例として、フロート34に代えて水位検知センサを設けておき、この水位検知センサの検出信号に基づいて電磁弁によりパイロット弁を制御するように本発明を構成することもできる。この場合において、コントローラ28からの制御信号によって制御される電磁弁20とは別に、水位検知センサの検出信号に基づいて制御される電磁弁を設けることができる。或いは、単一の電磁弁20が、コントローラ28からの制御信号、及び水位検知センサの検出信号に基づいて制御されるように本発明を構成することもできる。
次に、図4を参照して、本発明の第2実施形態による洗浄水タンク装置、及びそれを備えた水洗便器装置を説明する。
本実施形態の洗浄水タンク装置は、給水制御装置が2つの主弁体を有し、排水弁水圧駆動部への水の供給と、貯水タンク内への水の供給が別系統で行われる点が、上述した第1実施形態とは異なる。従って、ここでは、本発明の第2実施形態の、第1実施形態とは異なる部分のみを説明し、同様の構成、作用、効果については説明を省略する。図4は、本発明の第2実施形態による洗浄水タンク装置の概略構成を示す断面図である。
図4に示すように、本発明の第2実施形態による洗浄水タンク装置104は、水洗便器である水洗便器本体2に供給すべき洗浄水を貯留する貯水タンク110と、この貯水タンク110に設けられた排水口110aを開閉するための排水弁112と、この排水弁112を駆動する排水弁水圧駆動部114と、を有する。さらに、洗浄水タンク装置104は、排水弁水圧駆動部114に水を供給する水路に設けられた発電機116と、主として排水弁水圧駆動部114への給水を制御する排水制御弁118と、排水制御弁118に取り付けられ、発電機116によって生成された電力により作動する電磁弁120と、を有する。また、洗浄水タンク装置104は、主として貯水タンク110への給水を制御する給水制御弁119を有する。
貯水タンク110は、水洗便器本体2に供給すべき洗浄水を貯留するように構成され、底部には排水口110aが形成されている。また、排水口110aの下流側にはオーバーフロー管110bが接続され、貯水タンク110内に貯留されている洗浄水の水面よりも上方まで延びている。排水弁112は、排水口110aを開閉するように配置された弁体であり、上方に引き上げられることにより洗浄水が水洗便器本体2に排出されて、ボウル部2aが洗浄される。
排水弁水圧駆動部114は、水道から供給された洗浄水の給水圧を利用して、排水弁112を駆動するように構成されている。具体的には、排水弁水圧駆動部114は、排水制御弁118を介して供給された水が流入するシリンダ114aと、ピストン114bと、排水弁112を駆動するロッド115と、を有する。さらに、シリンダ114aの内部にはスプリング114cが配置されており、ピストン114bを下方に向けて付勢していると共に、ピストン114bにはパッキン114eが取り付けられ、シリンダ114aの内壁面とピストン114bの間の水密性が確保されている。また、ロッド115の途中には、クラッチ機構122が設けられており、このクラッチ122により、ロッド115は上部ロッド115aと下部ロッド115bに切り離される。
シリンダ114aは円筒形の部材で、ピストン114bを摺動可能に受け入れており、その下端部には、駆動部給水路である流入管124aが接続されている。排水制御弁118から流出した水はシリンダ114a内に流入し、ピストン114bは、シリンダ114aに流入した水により、スプリング114cの付勢力に抗して押し上げられる。
一方、シリンダ114aの上端部には、駆動部排水路である流出管124bが接続されている。ピストン114bが流出管124bの接続部よりも上方まで押し上げられた状態では、シリンダ114aに流入した水は流出管124bを通って流出する。流出管124bは、シリンダ114aから下方に向けて延び、貯水タンク110内に水を流出させる。従って、シリンダ114aから流出した水は、全量が貯水タンク110内に貯留される。
ロッド115は、ピストン114bの下面に接続され、シリンダ114aの底面に形成された貫通孔114fを通って、シリンダ14aの中から下方に突出するように延びて、下端が排水弁112に接続されている。このため、ピストン114bが押し上げられると、ロッド115が排水弁112を上方に吊り上げ、排水弁112が開弁される。
また、シリンダ114aの下方から突出するロッド115と、シリンダ114aの貫通孔114fの内壁との間には、隙間114dが設けられ、シリンダ114aに流入した水の一部は、この隙間114dから流出する。隙間114dから流出した水は、貯水タンク110内に流入する。
さらに、ロッド115の途中には、クラッチ機構122が設けられており、これにより、ロッド115(排水弁112)が所定距離吊り上げられると、ロッド115が上部ロッド115aと下部ロッド115bに切り離される。
また、排水弁112の近傍には、排水弁フロート機構126が設けられている。この排水弁フロート機構126は、ロッド115が所定距離吊り上げられ、クラッチ機構122により下部ロッド115bが切り離された後、下部ロッド115bの及び排水弁112が降下して、排水口110aを閉弁させるのを遅延させるように構成されている。具体的には、排水弁フロート機構126は、フロート部126aと、このフロート部126aと連動した係合部126bと、を有する。
係合部126bは、クラッチ機構122により切り離されて降下してきた下部ロッド115bと係合し、下部ロッド115b及び排水弁112が降下して、排水口110aに着座するのを阻止するように構成されている。次いで、貯水タンク110内の水位が所定水位まで下降すると、フロート部126aが係合部126bを回動させて、係合が解除される。係合が解除されることにより、下部ロッド115b及び排水弁112は降下して、排水口110aに着座する。これにより、排水弁112の閉弁が遅延され、適正量の洗浄水が、排水口110aから排出されるようになっている。
一方、発電機116は、排水制御弁118と排水弁水圧駆動部114を接続する流入管124aの途中に設けられており、水の流れに基づいて、電力を生成するように構成されている。発電機116によって生成された電力は、発電機116に接続されたコントローラ128に送られ、コントローラ128に内蔵されたキャパシタ(図示せず)に充電される。また、排水制御弁118と発電機116の間の流入管124aには、バキュームブレーカ130が設けられている。さらに、コントローラ128にはフロートスイッチ129が接続されており、このフロートスイッチ129は、貯水タンク110内に配置されて貯水タンク110内の水位が所定水位L1に到達したことを検知する。
次に、排水制御弁118は、電磁弁120の作動に基づいて排水弁水圧駆動部114への給水を制御するように構成されている。即ち、排水制御弁118は、水道に接続された給水管132から、給水管分岐部133において分岐された第1分岐管133aに接続されている。排水制御弁118は、第1分岐管133aの下流側に接続されており、コントローラ128からの指示信号に基づいて、第1分岐管133aから流入した水の、排水弁水圧駆動部114への供給、停止を制御する。本実施形態においては、排水弁水圧駆動部114に供給された水の一部は、シリンダ114aの貫通孔114fの内壁とロッド115の間の隙間114dから流出して貯水タンク110へ流入する。また、排水弁水圧駆動部114に供給された水の多くは、流出管124bを通ってシリンダ114aから流出し、貯水タンク110に流入する。
また、水道から供給された水は、貯水タンク110の外側に配置された止水栓132a、この止水栓132aの下流側の定流量弁132bを介して給水管分岐部133に到達し、給水管分岐部133において分岐された第1分岐管133aから排水制御弁118に供給される。
また、排水制御弁118には電磁弁120が取り付けられており、この電磁弁120の作動に基づいて、排水制御弁118から排水弁水圧駆動部114への給水が制御される。具体的には、リモコン装置6や人感センサ8からの信号をコントローラ128が受信し、コントローラ128は電磁弁120に電気信号を送り、これを作動させる。電磁弁120は、発電機116によって生成され、コントローラ128に内蔵されたキャパシタ(図示せず)に充電されていた電力によって作動される。
即ち、電磁弁120は、コントローラ128から送られた信号に基づいて、排水制御弁118に内蔵された電磁弁側パイロット弁118aを移動させ、排水制御弁118の主弁体118bのパイロット弁口を開閉するように構成されている。これにより、電磁弁120の作動に基づいて、排水制御弁118の主弁体118bが開閉され、排水弁水圧駆動部114への給水、停止が制御される。なお、本実施形態においては電磁弁120として、一旦通電を行うことにより、電磁弁側パイロット弁118aが移動され、通電を停止してもその状態が維持される双安定型のラッチング型ソレノイドが使用されている。このタイプの電磁弁120では、反対方向にもう一度通電を行うと、電磁弁側パイロット弁118aを元の位置に復帰させることができる。
一方、給水管分岐部133において分岐された第2分岐管133bは、給水制御弁119に接続されている。
給水制御弁119は、第2分岐管133bから供給された水を、タンク給水管125aに流出させるように構成されている。タンク給水管125aに流入した水は、タンク給水管分岐部125bにおいて2つに分岐され、一方が貯水タンク110内に、他方がオーバーフロー管110b内に流出する。従って、本実施形態においては、排水制御弁118及び給水制御弁119が、電磁弁120の作動に基づいて排水弁水圧駆動部114への給水を制御すると共に、貯水タンク110への給水、停止を制御する給水制御装置として機能する。また、給水制御弁119とタンク給水管分岐部125bの間には、バキュームブレーカ131が設けられている。これにより、第2分岐管133b側が負圧になった際、タンク給水管125a側から給水管132に水が逆流するのを防止することができる。
給水制御弁119は、給水弁本体部119aと、この給水弁本体部119aの中に配置された主弁体119bと、フロート側パイロット弁119cと、を備えている。また、給水制御弁119には、給水弁フロート134が接続されており、この給水弁フロート134の動きに応じてフロート側パイロット弁119cが移動されるように構成されている。即ち、フロート側パイロット弁119cは、給水弁本体部119aに設けられたパイロット弁口(図示せず)を開閉することにより、給水弁本体部119a内に設けられた圧力室内の圧力を制御するように構成されている。
給水弁フロート134は貯水タンク110内に配置されており、貯水タンク110の水位上昇と共に上昇して、アーム部134aを介してフロート側パイロット弁119cを移動させる。貯水タンク110内の水位が所定水位L1まで上昇すると、フロート側パイロット弁119cが給水弁本体部119aのパイロット弁口(図示せず)が閉弁される。パイロット弁口が閉弁されると、給水弁本体部119a内の圧力室の圧力が上昇して主弁体119bが移動され、給水制御弁119が閉弁される。
次に、本発明の第2実施形態による洗浄水タンク装置104、及びそれを備えた水洗便器装置の作用を説明する。
まず、便器洗浄の待機状態においては、貯水タンク110内の水位が所定水位L1にあり、電磁弁120への通電は行われていない。この状態では、排水制御弁118の主弁体118bのパイロット弁口は閉弁状態となり、排水制御弁118は閉弁されている。また、給水制御弁119の主弁体119bのパイロット弁口も閉弁状態となり、給水制御弁119も閉弁されている。次に、使用者がリモコン装置6(図1)の洗浄ボタンを押すと、リモコン装置6は、便器洗浄の指示信号をコントローラ128(図4)に送信する。
便器洗浄の指示信号を受信すると、コントローラ128は、電磁弁120に通電を行い、電磁弁側パイロット弁118aを主弁体118bのパイロット弁口から離座させる。これにより、排水制御弁118の圧力室内の圧力が低下し、主弁体118bが弁座から離座して、開弁される。なお、本実施形態においては、電磁弁120として、双安定型のラッチング型ソレノイドが使用されているので、電磁弁側パイロット弁118aを一旦開弁させた後は、通電を停止しても、開弁状態が維持される。排水制御弁118が開弁されると、給水管132から給水管分岐部133、第1分岐管133aを介して排水制御弁118に供給された水道水は、排水制御弁118を通って流入管124a内を流れ、発電機116の水車(図示せず)を回転させて電力を生成する。生成された電力は、コントローラ128に内蔵されたキャパシタ(図示せず)に充電される。
さらに、流入管124a内を流れた水は、排水弁水圧駆動部114のシリンダ114a内に流入し、ピストン114bを押し上げる。これにより、ピストン114bに連結されたロッド115及び排水弁112も引き上げられ、排水口110aが開弁されて、水洗便器本体2のボウル部2aが洗浄される。
また、貯水タンク110内の洗浄水が排出されると、貯水タンク110内の水位が所定水位L1よりも低下するので、給水弁フロート134が下がる。これにより、アーム部134aが回動し、フロート側パイロット弁119cが主弁体119bのパイロット弁口から離座し、パイロット弁口が開弁される。この結果、給水制御弁119の給水弁本体部119aの中の圧力室内の圧力が低下し、主弁体119bが弁座から離座する。給水制御弁119が開弁されると、給水管132から給水管分岐部133、第2分岐管133bを介して給水制御弁119に供給された水道水は、給水制御弁119を通ってタンク給水管125a内に流入する。タンク給水管125aに流入した水は、タンク給水管分岐部125bで分岐され、一部がオーバーフロー管110bに流入し、残りが貯水タンク110に流入する。
一方、流入管124aから排水弁水圧駆動部114のシリンダ114aに水が流入し、ピストン114bがシリンダ114aの上部まで押し上げられると、シリンダ114a内の水は、流出管124bを通って流出するようになる。流出管124bを通って流出した水は、貯水タンク110内に夫々流入する。また、流入管124aからシリンダ114aに流入した水の一部は、シリンダ114aの貫通孔114fの内壁とロッド115の間の隙間114dから流出し、この水は、貯水タンク110に流入する。
また、ピストン114bが押し上げられ、これに伴いロッド115及び排水弁112が所定位置まで引き上げられると、クラッチ機構122が、下部ロッド115b及び排水弁112を、上部ロッド115aから切り離す。これにより、上部ロッド115aはピストン114bと共に上方に押し上げられたままになる一方、下部ロッド115b及び排水弁112は、自重により降下する。しかしながら、切り離された下部ロッド115bは、排水弁フロート機構126の係合部126bと係合し、下部ロッド115b及び排水弁112の降下が阻止される。これにより、貯水タンク110の排水口110aは開弁されたままとなり、貯水タンク110からの排水が継続される。
ここで、貯水タンク110内の水位が、所定水位L1よりも低い第2の所定水位L2まで低下すると、排水弁フロート機構126のフロート部126aが低下し、これが係合部126bを移動させる。これにより、下部ロッド115bと係合部126bとの係合が解除され、下部ロッド115b及び排水弁112は再び降下し始める。その後、排水弁112が貯水タンク110の排水口110aを閉弁させ、水洗便器本体2への洗浄水の排出が停止される。排水口110aが閉弁された後も、排水制御弁118及び給水制御弁119は開弁された状態にあるため、給水管132から供給された水が排水弁水圧駆動部114に流入し、排水弁水圧駆動部114から流出した水は、流出管124bを通って貯水タンク110内に流入し、給水制御弁119を通った水はタンク給水管125aを通って貯水タンク110内に流入するので、貯水タンク110内に流入し、貯水タンク110内の水位が上昇する。
貯水タンク110内の水位が所定水位L1まで上昇すると、給水弁フロート134が上昇し、アーム部134aを介してフロート側パイロット弁119cが移動され、パイロット弁口が閉弁される。これにより、給水弁本体部119a内の圧力室の圧力が上昇して主弁体119bを閉弁させ、給水制御弁119が閉弁状態となる。一方、貯水タンク110内の水位が所定水位L1まで上昇すると、フロートスイッチ129がこれを検出し、コントローラ128に送信する。コントローラ128は、フロートスイッチ129によって貯水タンク110内の水位が所定水位L1に到達したことが検知されると、電磁弁120に再び通電を行う。これにより、電磁弁120は、電磁弁側パイロット弁118aを排水制御弁118の主弁体118bに向けて移動させ、主弁体118bのパイロット弁口を閉弁させる。この結果、排水制御弁118内の圧力室の圧力が上昇して主弁体118bを移動させ、排水制御弁118は閉弁状態にされる。以上により、貯水タンク110への給水が停止される。
排水制御弁118が閉弁されると、排水制御弁118から排水弁水圧駆動部114への給水が停止され、発電機116による電力の生成が終了する。また、排水弁水圧駆動部114のピストン114bは、スプリング114cの付勢力により押し下げられる。ピストン114bと共に上部ロッド115aが押し下げられると、クラッチ機構122により切り離されていた上部ロッド115aと下部ロッド115bが再び連結される。このため、次回、便器洗浄が実行された時は、上部ロッド115a及び下部ロッド115bは、ピストン114bにより共に引き上げられる。以上により、一回の便器洗浄が終了し、水洗便器装置は、便器洗浄の待機状態に復帰する。
本発明の第2実施形態の洗浄水タンク装置によれば、給水制御装置として機能する排水制御弁及び給水制御弁が、夫々別個の主弁体を備えている。このため、フロートによって制御される従来の給水制御弁を備えた洗浄水タンク装置に、排水制御弁118、発電機116、及び排水弁水圧駆動部114を付加するだけで、自己の発電した電力を使用して、水洗便器への洗浄水の供給を行う洗浄水タンク装置を構成することができる。
次に、図5を参照して、本発明の第3実施形態による洗浄水タンク装置、及びそれを備えた水洗便器装置を説明する。
本実施形態の洗浄水タンク装置は、発電機が、流入管ではなく流出管に設けられている点が、上述した第2実施形態とは異なる。従って、ここでは、本発明の第3実施形態の、第2実施形態とは異なる部分のみを説明し、同様の構成、作用、効果については説明を省略する。
図5に示すように、本発明の第3実施形態による洗浄水タンク装置204は、水洗便器である水洗便器本体2に供給すべき洗浄水を貯留する貯水タンク210と、この貯水タンク210に設けられた排水口210aを開閉するための排水弁212と、この排水弁212を駆動する排水弁水圧駆動部214と、を有する。さらに、洗浄水タンク装置204は、排水弁水圧駆動部214から水を排出する駆動部排水路である流出管224bに設けられた発電機216と、排水弁水圧駆動部214への給水を制御する排水制御弁218と、排水制御弁218に取り付けられ、発電機216によって生成された電力により作動する電磁弁220と、を有する。排水制御弁218から流出した水は、駆動部給水路である流入管224aを通って排水弁水圧駆動部214に供給される。また、洗浄水タンク装置204は、主として貯水タンク210への給水を制御する給水制御弁219を有する。従って、本実施形態においては、排水制御弁218及び給水制御弁219が、給水制御装置として機能する。
本発明の第3実施形態の洗浄水タンク装置によれば、発電機216が、排水弁水圧駆動部214から水を排出する流出管224bに設けられているので、発電機216による圧損が無い状態で、排水弁水圧駆動部214が排水弁212を駆動することができる。このため、排水弁212を強力に駆動することができ、比較的大きな瞬間流量を必要とする水洗便器本へ適用する場合等で排水口径が比較的大きくなり、開弁に大きな力を要する排水弁212も本発明を適用することができる。
以上、本発明の実施形態を説明したが、上述した実施形態に、種々の変更を加えることができる。例えば、上述した第1実施形態においては、発電機16が流入管24aに設けられていたが、発電機16を流出管24bに設けることもできる。また、上述した第2、第3実施形態の構成において、発電機を給水制御弁の下流側に設けることもできる。或いは、発電機は、排水制御弁、及び/又は給水制御弁の上流側に設けることもできる。
また、上述した実施形態においては、発電機によって生成された電力がコントローラに内蔵されたキャパシタに蓄積されていたが、キャパシタに代えて蓄電池に電力が蓄積されるように本発明を構成することもできる。さらに、上述した実施形態においては、ピストンと排水弁の間にクラッチ機構が設けられていたが、クラッチ機構を省略することもできる。また、上述した実施形態においては、排水弁水圧駆動部に設けられたピストンは鉛直方向に駆動されていたが、例えば、ピストンが水平方向に駆動されるように本発明を構成することもできる。この場合には、ピストンが移動する方向を、排水弁を駆動する方向の動きに変換する機構を設けるのが良い。さらに、上述した実施形態においては、シリンダ底面の貫通孔とロッドとの間に隙間が設けられていたが、貫通孔とロッドの間は水密にされていても良い。また、排水弁水圧駆動部のピストンに代えて、給水圧で回転される機構により排水弁が駆動されるように本発明を構成することもできる。さらに、上述した実施形態においては、給水制御装置は、電磁弁によって駆動されるパイロット弁により主弁体が開閉されていたが、電磁弁により主弁体が直接開閉されるように本発明を構成することもできる。