以下、本発明の障子の開放制限装置の第一の実施形態について、図1~図7に基づいて説明する。この実施形態の障子の開放制限装置10は、例えば、互いに近接対向する2つの障子12(1),12(1)を備えた引き違い戸の形式の障子装置12に取り付けて使用される。
開放制限装置10は装置本体16とブロック体18とで構成され、図1(a)、(b)に示すように、装置本体16は、障子12(1)の障子枠の、開閉方向に対して直角な側面12a(1)に外付けされ、ブロック体18は、障子12(2)の障子枠の、開閉方向に対して平行な側面12a(2)に外付けされる。
装置本体16は、図2(a)、(b)に示すように、中空のハウジング20を有し、ハウジング20の一側面に第1の側面開口部20aが形成され、この側面と交差する一側面に、横方向に長い第2の側面開口部20bが形成され、側面開口部20bに対向する一側面に、略円形の第3の側面開口部20cが形成されている。そして、ハウジング20の、側面開口部20aの周縁部に、上下方向に突出する取り付け部22が一体に延設されている。取り付け部22は、装置本体16を側面12a(1)にビス止めするための穴を有し、ビス止めした後、化粧用のカバー24でビスを覆う構造になっている。
ハウジング20の内部には、ストッパ部材26、保持部材28、一対のボール30、一対の復帰バネ32及び退避用シリンダ34が収容される。ストッパ部材26の形状は平面視で略三角形であり、三角形の第1の角部がブロック体係止部26a、第2の角部がブロック体接触部26bとなる。そして、第3の角部の位置に、上下方向に突出する低背円柱状の回動軸部36が一体に延設されている。また、2つの回動軸部36に挟まれた位置に、所定の凹凸部26cが形成されている。
ストッパ部材26は、ハウジング20の内部に収容され、ハウジング20の内壁と保持部材28によって回動軸部36が軸支され、ブロック体係止部26aが開放制限位置と開放可能位置との間を変位可能に保持される。詳しくは後で説明するが、開放制限位置とは、図5(a)等に示すように、ブロック体係止部26aが側面開口部20bから突出する位置であり、ブロック体係止部26aが開放制限位置にある時、ブロック体接触部26bは側面開口部20bの内側に没入する。また、開放可能位置とは、図6(a)等に示すように、ブロック体係止部26aが側面開口部20bの内側に没入する位置であり、ブロック体係止部26aが開放可能位置にある時、ブロック体接触部26bは側面開口部20bから突出する。
回動軸部36の側面には、3つの凹部が周方向に並設されている。3つの凹部の中の第1及び第2の凹部38(1),38(2)は、ボール30が転がり可能な内面を有した窪みであり、凹部38(1),38(2)の間が仕切り壁40で仕切られている。もう1つの凹部は、いわゆる肉盗みであり、回動軸部36を樹脂成型する時の仕上がり形状を良好にするために設けられている。この肉盗みはこの発明の動作には寄与せず、適宜設定可能であり、省略してもよい。
復帰バネ32は、基端部が保持部材28に位置決めされ、先端部に配置されたボール30を介してストッパ部材26を付勢する。ボール30は、回動軸部36の凹部38(1)又は38(2)の内側に位置し、復帰バネ32がボール30を付勢することによって、ストッパ部材26が回動する。詳しくは後で説明するが、復帰バネ32の付勢方向は、ボール30が凹部38(1)に入っている時にブロック体係止部26aを開放制限位置まで変位させ、ボール30が凹部38(2)に入っている時にブロック体係止部26aを開放可能位置まで変位させるように設定されている。
退避用シリンダ34は、使用者によって操作される部材であり、図3(a)に示すように、形状が略円柱状で、頭部に操作部材受け部34aが設けられ、反対側の端面に突起34bが設けられている。退避用シリンダ34は、ハウジング20の内部に収容され、頭部がハウジング20の側面開口部20cの内周面に回動可能に保持され、突起34bがストッパ部材26の凹凸部26cに係合する。
操作部材受け部34aは、頭部の周縁部の2箇所(回転中心を挟んだ2箇所)に段差を形成することによって設けられ、ハウジング20の外側に露出し、図3(b)に示すように、使用者は、操作部材42の先端部を操作部材受け部34aに差し込んで回転させる操作を行うことによって、退避用シリンダ34を回動させることができる。
使用者が退避用シリンダ34を回動させると、突起34bに押されて凹凸部26cの位置が移動し、ストッパ部材26が回動する。詳しくは後で説明するが、使用者がこの操作を行うことにより、ブロック体係止部26aを、復帰バネ32の付勢に抗して開放可能位置まで変位させることができる。
装置本体16は、上記の各部材によって、ストッパ部材復帰機構とストッパ部材退避機構とが形成される。ストッパ部材復帰機構は、ストッパ部材26の特定部位を付勢してブロック体係止部26aを開放制限位置まで変位させる機構であり、回動軸部36と凹部38(1)、ボール30、復帰バネ32等により形成される。ストッパ部材退避機構は、使用者の操作によりストッパ部材26を移動させ、ブロック体係止部26aを開放可能位置まで変位させる機構であり、退避用シリンダ34(操作部材受け部34a、突起34b)、ストッパ部材26の凹凸部26c、回動軸部36等により形成される。
また、装置本体16は、上記の各部材によって、ストッパ部材仮保持機構と仮保持解除機構とが形成される。ストッパ部材仮保持機構は、ストッパ部材26を開放可能モードの位置に仮保持する機構であり、回動軸部36の凹部38(2)と仕切り壁40、ボール30、復帰バネ32等により形成される。仮保持解除機構は、ストッパ部材26の仮保持を解除する機構であり、回動軸部36、ストッパ部材26(可動部材)のブロック体接触部26b等により形成される。
ブロック体18は、図4(a)、(b)に示すように、所定の厚みを有した略四角形の構造物であり、障子12(2)の側面12a(2)にビス止めするための穴を有した本体18aと、ビス止めした後でビスを覆うカバー18bとで構成されている。
次に、障子の開放制限装置10の使用方法と動作を説明する。まず、図1(a)に示すように、装置本体16を障子12(1)の側面12a(1)に取り付け、ブロック体18を障子12(2)の側面12a(2)に取り付ける。
障子閉鎖状態では、図5(a)に示すように、装置本体16は、ボール30が回動軸部36の凹部38(1)の中にあり、復帰バネ32が凹部38(1)の内面を付勢する。この付勢により、ストッパ部材26のブロック体係止部26aがハウジング20の側面開口部20bから突出し、ブロック体接触部26bは側面開口部20b内に没入した状態に保持される。この状態に保持されると、図5(b)に示すように、障子12(2)を開く操作を行ったとしても、障子12(2)が少し移動したところでブロック体18がブロック体係止部26aに係止され、障子12(2)の移動が制限される。
このように、障子閉鎖状態では、装置本体16は、ストッパ部材復帰機構の動作により、ブロック体係止部26aが開放制限位置に配置された開放制限モードになっている。開放制限モードは、障子12(1),12(2)を少しだけ開いて部屋の換気等を行うためのモードであり、障子12(1),12(2)を広く開放することができないので、防犯性及び安全性が確保される。
使用者は、障子12(1),12(2)を開放したい時、操作部材42を用いて操作退避用シリンダ34を回動させる操作を行う。この操作を行うと、図6(a)に示すように、突起34bに押されて凹凸部26cの位置が移動し、ストッパ部材26が回動し、ストッパ部材26のブロック体係止部26aがハウジング20の側面開口部20b内に退避し、ブロック体接触部26bが側面開口部20bから突出した状態になる。この状態になると、障子12(2)を開く操作を行った時にブロック体18がブロック体係止部26aに係止されなくなり、障子12(2)を開くことが可能になる。このように、使用者が操作部材42を用いて退避用シリンダ34を回動させる操作を行うと、装置本体16は、ストッパ部材退避機構の動作により、ブロック体係止部26aが開放可能位置に配置された開放可能モードになる。
また、使用者が上記の操作を行うと、回動軸部36の凹部38(1),38(2)が軸回りに移動し、ボール30が復帰バネ32の付勢に抗して凹部38(1)から押し出され、仕切り壁40を乗り越えて凹部38(2)の中に少し入った状態になり、復帰バネ32が凹部38(2)の内面(又は仕切り壁40の角部)を付勢する。つまり、復帰バネ32の付勢方向が、ストッパ部材26を開放制限位置に戻そうとする方向ではなくなるので、ストッパ部材26が開放可能モードの位置に保持される。このように、ストッパ部材26が開放可能モードの位置に配置されると、ストッパ部材仮保持機構の動作により、この位置に仮保持される。
その後、使用者が障子12(2)を開く操作を行うと、ブロック体18が装置本体16の横を通過する時、図6(b)に示すように、ブロック体18がストッパ部材26のブロック体接触部26bに接触し、ストッパ部材26が開放可能モードから開放制限モードに戻る向きに回動する。すると、回動軸部36の凹部38(1),38(2)が軸回りに移動し、ボール30が復帰バネ32の付勢に抗して凹部38(2)から押し出され、仕切り壁40を乗り越えて凹部38(1)の中に少し入った状態になり、復帰バネ32が凹部38(1)の内面(又は仕切り壁40の角部)を付勢する。つまり、復帰バネ32の付勢方向が、ストッパ部材26を開放可能位置に保持しようとする方向ではなくなり、ストッパ部材26の仮保持が解除される。このように、障子12(2)を開く操作を行うと、ブロック体18が装置本体16の横を通過する時、仮保持解除機構の動作により、ストッパ部材26の仮保持が自動的に解除される。
そして、障子開放状態になると、図6(c)に示すように、装置本体16は、ストッパ部材復帰機構の動作により、ブロック体係止部26aが開放制限位置に配置された開放制限モードに復帰する。図6(c)に示す装置本体16の状態は、図5(a)に示す装置本体16の状態と同じである。
その後、使用者が開放状態の障子12(2)を閉じる操作を行うと、ブロック体18が装置本体16の横を通過する時、図7(a)に示すように、ブロック体18がブロック体係止部26aに接触する。そして、互いの接触する部分が傾斜面になっているので、図7(b)に示すように、ストッパ部材26がブロック体18に押圧され、開放制限モードから開放可能モードに戻る向きに回動し、ブロック体係止部26aが側面開口部20bに向かって退避する。このとき、ブロック体接触部26bも少し移動するが、側面開口部20bの外に突出しない。したがって、ブロック体18がブロック体係止部26aに係止されず、障子12(2)を閉じることができる。
ブロック体係止部26aが退避する時、回動軸部36の凹部38(1)が軸回りに移動するので、ボール30が凹部38(1)から押し出されそうになるが、ボール30が凹部38(1)の中に留まり、仕切り壁40を乗り越えて凹部38(2)の中に入ることはない。つまり、ブロック体係止部26aが退避した時にはストッパ部材仮保持機構は動作しない。したがって、障子閉鎖状態になると、図7(c)に示すように、ストッパ部材復帰機構の動作により、ブロック体係止部26aが開放制限位置に配置された開放制限モードに復帰する。
以上説明したように、第一の実施形態の障子の開放制限装置10によれば、障子開放状態から障子閉鎖状態に戻すと、装置本体16が開放可能モードから開放制限モードに自動的に復帰するので、使用者が特別な注意を払わなくても、高い防犯性及び安全性が確保される。
また、装置本体16を開放制限モードから開放可能モードに切り替える時、使用者が行う操作は簡単である。しかも、退避用シリンダ34に操作部材受け部34aを設け、使用者が操作する時に専用の操作部材42を使用しなければならない構成なので、幼児等がいたずらにモードを切り替えてしまうのを確実に防止することができる。
次に、障子の開放制限装置10の変形例である障子の開放制限装置10xについて、図8~図10に基づいて説明する。ここで、障子の開放制限装置10と同様の構成は同一の符号を付して説明を省略し、構成が異なる部分を中心に説明する。
障子の開放制限装置10xは、装置本体16xとブロック体18xとで構成され、図8(a)、(b)に示すように、装置本体16xは、障子12(1)の側面12a(1)に外付けされ、ブロック体18は、障子12(2)の側面12a(2)に外付けされる。取り付け場所は、障子の開放制限装置10とほぼ同じである。
装置本体16xは、図9(a)、(b)に示すように、中空のハウジング20xを有している。ハウジング20xは、上記のハウジング20と類似した構造であるが、異なるのは、上面に上面開口部44が形成されている点と、側面開口部20cが省略されている点である。その他、ハウジング20xは、取り付け部22のビスを覆うカバー24が省略されているという点も相違している。
ハウジング20xの内部には、ストッパ部材26x、保持部材28、一対のボール30、一対の復帰バネ32が収容される。つまり、装置本体16xでは、退避用シリンダ34が省略され、一方の回動軸部36が退避用シリンダとして兼用される。
ストッパ部材26xは、上記のストッパ部材26と類似した構造であるが、異なるのは、2つの回動軸部36に挟まれた位置の凹凸部26cが省略されている点と、上側の回動軸部36の頭部の頂面に、略六角形に掘り込んだ操作部材受け部46が設けられている点である。回動軸部36の頭部は、ハウジング20xの上面開口部44の内側に回動可能に配置され、操作部材受け部46がハウジング20xの外側に露出する。
図10に示すように、使用者は、操作部材48の先端部を操作部材受け部46に差し込んで回転させる操作を行うことによって、回動軸部36を回動させることができる。使用者が回動軸部36を回動させると、回動軸部36と一体のストッパ部材26xが回動し、ブロック体係止部26aを、復帰バネ32の付勢に抗して開放可能位置まで変位させることができる。
装置本体16xのストッパ部材退避機構は、回動軸部36と操作部材受け部46等により形成される。上記の装置本体16のストッパ部材退避機構と比較すると、ほぼ同じ機能を少ない部品点数(退避用シリンダ34を省略)で実現しているという特徴がある。
ブロック体18xは、本体だけで構成され、障子12(2)にビス止めしたビスを覆うカバーは省略されている。ブロック体18xの機能は、上記のブロック体18と同じである。
障子の開放制限装置10xの使用方法と動作は、上記の障子の開放制限装置10と同様である(図5~図7)。障子の開放制限装置10xによれば、障子の開放制限装置10と同様の作用効果を得ることができ、さらに部品点数を削減してシンプルな構造にすることができる。なお、使用者が操作部材でストッパ部材退避機構を操作する時、障子の開放制限装置10x場合は装置本体の上面から操作し、障子の開放制限装置10の場合は装置本体の側面から操作することになる。どちらが操作しやすいかは、使用者の要望に合わせて使い分けるとよい。
次に、本発明の障子の開放制限装置の第二の実施形態について、図11~図15に基づいて説明する。ここで、上記実施形態と同様の構成は、同一の符号を付して説明する。
この実施形態の障子の開放制限装置50は、装置本体52とブロック体54とで構成され、図11(a)、(b)に示すように、装置本体52は、障子12(1)の障子枠の、開閉方向に対して直角な側面12a(1)に外付けされ、ブロック体54は、障子12(2)の障子枠の、開閉方向に対して平行な側面12a(2)に外付けされる。
装置本体52は、図12(a)、(b)に示すように、ハウジングとしての箱形の筐体56を有し、筐体56の一側面に略円形の側面開口部56aが形成され、この側面と交差する一側面の角部に切り欠き56bが形成されている。そして、筐体56の、側面開口部56aがある側面の端部に、側方に突出する取り付け部58が一体に延設されている。取り付け部58は、装置本体52を障子12(1)の側面12a(1)にビス止めするための穴を有している。
筐体56の内側には、ストッパ部材60、保持部材62、退避用シリンダ64、ボール66及び復帰バネ68が収容される。
ストッパ部材60の形状は側方から見て略平行四辺形であり、鋭角な角部の中の1つがブロック体係止部60aになっている。そして、中央部に四角形の軸孔60bが形成されている。ストッパ部材60は、筐体56の内側に配置され、保持部材62及び退避用シリンダ64によって軸孔60bが軸支され、ブロック体係止部60aが開放制限位置と開放可能位置との間を変位可能に保持される。詳しくは後で説明するが、開放制限位置とは、図14(a)等に示すように、ブロック体係止部60aが下向きに移動した位置である。また、開放可能位置とは、図15(a)等に示すように、ブロック体係止部60aが上向きに移動した位置である。
退避用シリンダ64は、使用者によって操作される部材であり、図13(a)に示すように、形状が略円柱状で、頭部の少し細くなった部分の頂面に、略六角形に掘り込んだ操作部材受け部64aが設けられている。反対側の端面の中央部には、四角形の軸部64bが突設されている。また、頭部の少し太くなった部分の周面には、凹部64cが形成されている。凹部64cは、後述するボール66が転がり可能な内面を有した窪みである。
退避用シリンダ64は、筐体56の内側に収容されて保持され、頭部の細くなった部分が筐体56の側面開口部56aの内側に回動可能に配置され、軸部64bがストッパ部材64bの軸孔60bに差し込まれて嵌合する。操作部材受け部64aは、筐体56の外側に露出し、図13(b)に示すように、使用者は、操作部材70の先端部を操作部材受け部64aに差し込んで回転させる操作を行うことによって、退避用シリンダ64を回動させることができる。使用者が退避用シリンダ64を回動させると、軸部64bと一体になっているストッパ部材60が回動し、ブロック体係止部60aを開放可能位置まで変位させることができる。
復帰バネ68は、基端部が筐体56の内壁に位置決めされ、先端部に配置されたボール66を介して退避用シリンダ64を付勢する。ボール66は、退避用シリンダ64の凹部64cの内側に位置し、復帰バネ68がボール66を付勢することによって、退避用シリンダ64が回動し、ストッパ部材60が回動する。復帰バネ68の付勢方向は、ストッパ部材60のブロック体係止部60aを開放可能位置まで変位させる向きに設定されている。
装置本体52は、上記の各部材によって、ストッパ部材復帰機構とストッパ部材退避機構が形成される。ストッパ部材復帰機構は、ストッパ部材60の特定部位を付勢してブロック体係止部60aを開放制限位置まで変位させる機構であり、退避用シリンダ64(軸部64b、凹部64c)、ボール66、復帰バネ68等により形成される。ストッパ部材退避機構は、使用者の操作によりストッパ部材60を移動させ、ブロック体係止部60aを開放可能位置まで変位させる機構であり、退避用シリンダ64(操作部材受け部64a、軸部64b)等により形成される。なお、装置本体52は、上記の装置本体16と異なり、ストッパ部材仮保持機構及び仮保持解除機構を有していない。
次に、障子の開放制限装置50の使用方法と動作を説明する。まず、図11(a)に示すように、装置本体52を障子12(1)の側面12a(1)に取り付け、ブロック体54を障子12(2)の側面12a(2)に取り付ける。
障子閉鎖状態では、図14(a)に示すように、装置本体52は、ボール66が退避用シリンダ64の凹部64cの中にあり、復帰バネ68が凹部64cの内面を付勢する。この付勢により、ストッパ部材60のブロック体係止部60aが下向きに突出した状態に保持される。この状態に保持されると、図14(b)に示すように、障子12(2)を開く操作を行ったとしても、障子12(2)が少し移動したところでブロック体54がブロック体係止部60aに係止され、障子12(2)の移動が制限される。
このように、障子閉鎖状態では、装置本体52は、ストッパ部材復帰機構の動作により、ブロック体係止部60aが開放制限位置に配置された開放制限モードになっている。したがって、障子12(1),12(2)を少しだけ開いて部屋の換気等を行う時、障子12(1),12(2)を広く開放することができず、防犯性及び安全性が確保される。
使用者は、障子12(1),12(2)を開放したい時、操作部材70を用いて退避用シリンダ64を回動させる操作を行う。この操作を行うと、図15(a)に示すように、ストッパ部材60が回動し、ブロック体係止部60aが上向きに退避した状態になる。そして、操作部材70による操作を行いながら障子12(2)を開く操作を行うと、図15(b)に示すように、ブロック体54がブロック体係止部60aに係止されなくなり、障子12(2)を開くことが可能になる。このように、使用者が操作部材70を用いて退避用シリンダ64を回動させる操作を行うと、装置本体52は、ストッパ部材退避機構の動作により、ブロック体係止部60aが開放可能位置に配置された開放可能モードになる。
そして、障子開放状態にした後、操作部材70による操作を止めると、図15(c)に示すように、装置本体52は、ストッパ部材復帰機構の動作により、ブロック体係止部60aが開放制限位置に配置された開放制限モードに復帰する。図15(c)に示す装置本体52の状態は、図14(a)に示す装置本体52の状態と同じである。
その後、使用者が開放状態の障子12(2)を閉じる操作を行うと、ブロック体54が装置本体52の横を通過する時、図15(d)に示すように、ブロック体54がブロック体係止部60aに接触する。そして、ブロック体係止部60aの、ブロック体54が接触する部分が傾斜面になっているので、図15(e)に示すように、ストッパ部材60がブロック体54に押圧され、開放制限モードから開放可能モードに戻る向きに回動し、ブロック体係止部60aが上向きに退避する。したがって、ブロック体54がブロック体係止部60aに係止されず、障子12(2)を閉じることができる。そして、障子閉鎖状態になると、図15(f)に示すように、装置本体52は、ストッパ部材復帰機構の動作により、ブロック体係止部60aが開放制限位置に配置された開放制限モードに復帰する。
以上説明したように、第二の実施形態の障子の開放制限装置50は、上記の障子の開放制限装置10と比較すると、ストッパ部材仮保持機構及び仮保持解除機構が省略されたシンプルな構造であるが、障子の開放制限装置10とほぼ同様の優れた効果を得ることができる。
次に、障子の開放制限装置50の変形例である障子の開放制限装置50xについて、図16~図19に基づいて説明する。ここで、障子の開放制限装置50と同様の構成は同一の符号を付して説明を省略し、構成が異なる部分を中心に説明する。
障子の開放制限装置50xは、装置本体50x、ブロック体54及び補助ブロック体72で構成され、図16(a)、(b)に示すように、装置本体50xは、障子12(1)の側面12a(1)に外付けされ、ブロック体54及び補助ブロック体72は、障子12(2)の側面12a(2)に外付けされる。
装置本体52xは、図17(a)、(b)に示すように、上記と同様の筐体56を有し、筐体56の内側に、ストッパ部材60、保持部材62、退避用シリンダ64x及びスプリングワッシャ74が収容される。つまり、装置本体52xでは、ボール66及び復帰バネ68が省略され、スプリングワッシャ74が新たに設けられる。
退避用シリンダ64xは、上記の退避用シリンダ64と類似した構造であるが、異なるのは、凹部64c(ボール66及び復帰バネ68で付勢される部分)が省略されている点である。使用者は、操作部材70の先端部を操作部材受け部64aに差し込んで回転させる操作を行うことによって、退避用シリンダ64xを回動させ、ストッパ部材60を回動することができる。これは、退避用シリンダ64と同様である(図13(b))。
スプリングワッシャ74は、取り付け状態で、退避用シリンダ64xの軸部64bが内側に挿通され、両面が保持部材62と退避用シリンダ64xの間に挟持される。そして、ストッパ部材60と保持部材62との間に適度な摺動摩擦を生じさせ、ストッパ部材60が自然回動しないようにする働きをする。
補助ブロック体72は、ブロック体54と同じ物を使用することができる。その他、この変形例では、ストッパ部材60の、ブロック体係止部60aの対角に位置する角部がブロック体接触部60cとなる。詳しくは後で説明するが、補助ブロック体72は、障子閉鎖状態で、ブロック体接触部60cを押圧して係止する動作を行う。
装置本体52xは、上記の部材を組み合わせることによって、ストッパ部材復帰機構とストッパ部材退避機構が形成される。ストッパ部材復帰機構は、ストッパ部材60の特定部位を押圧してブロック体係止部60aを開放制限位置まで変位させる機構であり、ストッパ部材60のブロック体接触部60c等で形成される。ストッパ部材退避機構は、使用者の操作によりストッパ部材60を移動させ、ブロック体係止部60aを開放可能位置まで変位させる機構であり、退避用シリンダ64x(操作部材受け部64a、軸部64b)等により形成される。
次に、障子の開放制限装置50xの使用方法と動作を説明する。まず、図16(a)、(b)に示すように、装置本体50xを障子12(1)の側面12a(1)に取り付け、ブロック体54及び補助ブロック体72を障子12(2)の側面12a(2)に取り付ける。
障子閉鎖状態では、図18(a)に示すように、装置本体52xは、ストッパ部材60のブロック体接触部60cが補助ブロック体72に係止され、ブロック体係止部60aが下向きに突出した状態になり、スプリングワッシャ74の働きでこの状態に保持される。この状態に保持されると、図18(b)に示すように、障子12(2)を開く操作を行ったとしても、障子12(2)が少し移動したところでブロック体54がブロック体係止部60aに係止され、障子12(2)の移動が制限される。
このように、障子閉鎖状態では、装置本体52は、ストッパ部材復帰機構の動作により、ブロック体係止部60aが開放制限位置に配置された開放制限モードになっている。したがって、障子12(1),12(2)を少しだけ開いて部屋の換気等を行う時、障子12(1),12(2)を広く開放することができず、防犯性及び安全性が確保される。
使用者は、障子12(1),12(2)を開放したい時、障子12(2)を僅かに開いて補助ブロック体72をブロック体接触部60bから離間させた後、操作部材70を用いて操作退避用シリンダ64xを回動させる操作を行う。この操作を行うと、図19(a)に示すように、ストッパ部材60が回動し、ブロック体係止部60aが上向きに退避した状態になり、操作を止めた後も、スプリングワッシャ74の働きでこの状態に保持される。
そして、障子12(2)を開く操作を行うと、図19(b)に示すように、ブロック体54がブロック体係止部60aに係止されなくなり、障子12(2)を開くことができる。このように、使用者が操作部材70を用いて退避用シリンダ64xを回動させる操作を行うと、装置本体52xは、ストッパ部材退避機構の動作により、ブロック体係止部60aが開放可能位置に配置された開放可能モードになり、操作部材70による操作を止めても開放可能モードに保持される。したがって、図19(c)に示す障子開放状態で、装置本体52xは開放可能モードになる。
その後、使用者が開放状態の障子12(2)を閉じる操作を行うと、装置本体52xが開放可能モードなので、図19(d)に示すように、ブロック体54がブロック体係止部60aに接触せず、障子12(2)を閉じることができる。また、閉じる途中でブロック体接触部60cが補助ブロック体72に押圧され、障子閉鎖状態になると、図19(e)に示すように、ブロック体係止部60aが下向きに突出した状態になり、スプリングワッシャ74の働きでこの状態に保持される。
障子の開放制限装置50xは、障子の開放制限装置50のボール66及び復帰バネ68を補助ブロック体72に置き換えたものであり、障子の開放制限装置50と同様の作用効果を得ることができる。
次に、本発明の障子の開放制限装置の第三の実施形態について、図20~図24に基づいて説明する。ここで、上記実施形態と同様の構成は、同一の符号を付して説明する。
この実施形態の障子の開放制限装置76は、装置本体78とブロック体80とで構成され、図20(a)、(b)に示すように、装置本体78は、障子12(1)の障子枠の、開閉方向に対して直角な側面12a(1)に外付けされ、ブロック体80は、障子12(2)の障子枠の、開閉方向に対して平行な側面12a(2)に外付けされる。
装置本体78は、図21(a)、(b)に示すように、中空のハウジング82を有し、ハウジング82の一側面に、略四角形の第1の側面開口部82aが形成され、この側面と交差する一側面に、略四角形の第2の側面開口部82bが形成され、上面に略円形の上面開口部82cが形成されている。そして、ハウジング82の2つの角部に取り付け部84(上面と平行な向きに形成された貫通孔)が設けられている。
ハウジング82の内部には、ストッパ部材86、保持部材88、復帰バネ90及び退避用シリンダ92が収容される。
ストッパ部材86の先端部は略四角形のブロック体係止部86aになっており、平面視で、2つの先端角部の片方が面取りされている。ブロック体係止部86aはブロック体接触部の働きもする。ストッパ部材86の基端部には、復帰バネ90が外側に装着される突起部86bが延設されている。そして、ストッパ部材86は、ブロック体係止部86aと突起部86bの間の中央部の側面に、所定の凹凸部86cが形成されている。
ストッパ部材86は、ハウジング82の内部に収容され、ハウジング82の内壁と保持部材88によって保持され、ブロック体係止部86aが開放制限位置と開放可能位置との間を変位可能に保持される。詳しくは後で説明するが、開放制限位置は、図23(a)等に示すように、ブロック体係止部86aが側面開口部82bから大きく突出する位置である。また、開放可能位置とは、図24(a)等に示すように、ブロック体係止部86aが側面開口部82bから少しだけ突出する位置である。
復帰バネ90は、基端部がハウジング82の内壁に位置決めされ、先端側にストッパ部材86の突起部86bが差し込まれてストッパ部材86を付勢する。復帰バネ90は、ブロック体係止部86aを開放可能位置まで変位させることができる。
退避用シリンダ92は、使用者によって操作される部材であり、図22(a)に示すように、形状が略円柱状で、頭部の少し細くなった部分の頂面に、略六角形に掘り込んだ操作部材受け部92aが設けられ、反対側の端面に2つの突起92bが設けられている。退避用シリンダ92は、ハウジング82の内部に収容され、頭部がハウジング82の上面開口部82cの内周面及び保持部材88により回動可能に保持され、突起92bがストッパ部材86の凹凸部86cに係合する。操作部材受け部92aはハウジング82の外側に露出し、図22(b)に示すように、使用者は、操作部材94の先端部を操作部材受け部92aに差し込んで回転させる操作を行うことによって、退避用シリンダ92を回動させることができる。
使用者が退避用シリンダ92を回動させると、突起92bに押されて凹凸部86cの位置が移動し、ストッパ部材86が移動する。詳しくは後で説明するが、使用者がこの操作を行うことにより、ブロック体係止部86aを、復帰バネ90の付勢に抗して開放可能位置まで変位させることができる。
装置本体78は、上記の各部材によって、ストッパ部材復帰機構とストッパ部材退避機構とが形成される。ストッパ部材復帰機構は、ストッパ部材86の特定部位を付勢してブロック体係止部86aを開放制限位置まで変位させる機構であり、ストッパ部材86の突起部86b、復帰バネ90等により形成される。ストッパ部材退避機構は、使用者の操作によりストッパ部材86を移動させ、ブロック体係止部86aを開放可能位置まで変位させる機構であり、退避用シリンダ92(操作部材受け部92a、突起92b)、ストッパ部材86の凹凸部86c等により形成される。
また、装置本体78は、上記の各部材によって、ストッパ部材仮保持機構と仮保持解除機構とが形成される。ストッパ部材仮保持機構は、ストッパ部材86を開放可能モードの位置に仮保持する機構であり、退避用シリンダ92の突起92b、ストッパ部材86の凹凸部86c等により形成される。仮保持解除機構は、ストッパ部材86の仮保持を解除する機構であり、ストッパ部材86(可動部材)のブロック体係止部86a(ブロック体接触部)等により形成される。
次に、障子の開放制限装置76の使用方法と動作を説明する。まず、図20(a)に示すように、装置本体78を障子12(1)の側面12a(1)に取り付け、ブロック体80を障子12(2)の側面12a(2)に取り付ける。
障子閉鎖状態では、図23(a)に示すように、装置本体78は、ストッパ部材86が復帰バネ90により突出方向に付勢される。この付勢力は、凹凸部86cを介して退避用シリンダ92の2つの突起92bに均等に作用し、突起92bが凹凸部86cの内壁を係止することによって、ストッパ部材86のブロック体係止部86aがハウジング82の側面開口部82bから大きく突出した状態に保持される。この状態に保持されると、図23(b)に示すように、障子12(2)を開く操作を行ったとしても、障子12(2)が少し移動したところでブロック体80がブロック体係止部86aに係止され、障子12(2)の移動が制限される。
このように、障子閉鎖状態では、装置本体78は、ストッパ部材復帰機構の動作により、ブロック体係止部86aが開放制限位置に配置された開放制限モードになっている。したがって、障子12(1),12(2)を少しだけ開いて部屋の換気等を行う時、障子12(1),12(2)を広く開放することができず、防犯性及び安全性が確保される。
使用者は、障子12(1),12(2)を開放したい時、操作部材94を用いて退避用シリンダ92を回動させる操作を行う。この操作を行うと、図24(a)に示すように、2つの突起92bに押されて凹凸部86cの位置が移動し、ストッパ部材86が復帰バネ90の付勢に抗して移動し、ブロック体係止部86aがハウジング82の方向に退避し、側面開口部82bから少しだけ突出した状態になる。この状態になると、障子12(2)を開く操作を行った時、障子12(2)を開くことが可能になる。このように、使用者が操作部材94を用いて退避用シリンダ92を回動させる操作を行うと、装置本体78は、ストッパ部材退避機構の動作により、ブロック体係止部86aが開放可能位置に配置された開放可能モードになる。
また、使用者が上記の操作を行うと、2つの突起92bが復帰バネ90の付勢方向にほぼ一列に並び、復帰バネ90の付勢を受けても退避用シリンダ92が回動しなくなるので、ストッパ部材86の凹凸部86cの位置は移動できなくなる。つまり、ストッパ部材86は、復帰バネ90の付勢に抗してして開放可能モードの位置に保持される。このように、ストッパ部材86は、開放可能モードの位置に配置されると、ストッパ部材仮保持機構の動作により、この位置に仮保持される。
その後、使用者が障子12(2)を開く操作を行うと、ブロック体80が装置本体78の横を通過する時、図24(b)に示すように、ブロック体80がストッパ部材86のブロック体接触部86aに接触して少しだけ押し込まれ、凹凸部86cが突起92bを押圧し、2つの突起92bが少し移動する。すると、復帰バネ90の付勢を受けて退避用シリンダ92がさらに回動し、ストッパ部材86の凹凸部86cの位置が移動可能になる。このように、障子12(2)を開く操作を行うと、ブロック体80が装置本体78の横を通過する時、仮保持解除機構の動作により、ストッパ部材86の仮保持が自動的に解除される。
そして、障子開放状態になると、図24(c)に示すように、装置本体78は、ストッパ部材復帰機構の動作により、ブロック体係止部86aが開放制限位置に配置された開放制限モードに復帰する。図24(c)に示す装置本体78の状態は、図23(a)に示す装置本体78の状態と同じである。
その後、使用者が開放状態の障子12(2)を閉じる操作を行うと、ブロック体80が装置本体78の横を通過する時、ブロック体80がブロック体係止部86aの反対側の部位に接触する。そして、互いの接触する部分が傾斜面になっているので、図24(d)に示すように、ストッパ部材86がブロック体80に押圧され、ストッパ部材86が復帰バネ90の付勢に抗して退避する。したがって、ブロック体80がブロック体係止部86aに係止されず、障子12(2)を閉じることができる。
図24(d)に示す動作でストッパ部材86が退避する時は、凹凸部86cは2つの突起92bを押圧せず、退避用シリンダ92が回動しないので、図24(a)に示すような仮保持された状態にはならない。したがって、障子閉鎖状態になると、図24(e)に示すように、ストッパ部材復帰機構の動作により、ブロック体係止部86aが開放制限位置に配置された開放制限モードに自動的に復帰する。
以上説明したように、第三の実施形態の障子の開放制限装置76によれば、上記の障子の開放制限装置10と同様の優れた効果を得ることができる。
次に、障子の開放制限装置76の変形例である障子の開放制限装置76xについて、図25~図30に基づいて説明する。ここで、障子の開放制限装置76と同様の構成は同一の符号を付して説明を省略し、構成が異なる部分を中心に説明する。
障子の開放制限装置76xは、装置本体78x及びブロック体80で構成され、図25(a)、(b)に示すように、装置本体78xは、障子12(1)の側面12a(1)に外付けされ、ブロック体80は、障子12(2)の側面12a(2)に外付けされる。取り付け場所は、障子の開放制限装置76とほぼ同じである。
装置本体78xは、図26(a)、(b)に示すように、中空のハウジング82xを有している。ハウジング82xは、上記のハウジング82と少し異なり、第1の側面開口部82a及び上面開口部82cが省略され、第2の側面開口部82bに対向する側面及びこの側面と交差する側面に跨る第3の側面開口部82dが設けられている。その他、ハウジング82xの取り付け部84xは、上記ハウジング82の取り付け部84と形態が異なるが、機能は同じである。ハウジング82xの内部には、ストッパ部材86x、保持部材88x、復帰バネ90及び退避用シリンダ96が収容される。
ストッパ部材86xは、図27(a)に示すように、上記のストッパ部材86とブロック体係止部86aの部分がほぼ同じであるが、その根元に円筒状の筒部86dが延設され、筒部86dの側面にスリットを設けて一対の突起部86eが形成されているという違いがある。
退避用シリンダ96は、図27(b)に示すように、有底円筒状の本体を有し、底面の外側に、略六角形に掘り込んだ操作部材受け部96aが設けられている。また、円筒状の側面に、独特な形状のガイド孔96bが一対に設けられている。復帰バネ90は、基端部が退避用シリンダ96の底面の内側中央部に位置決めされている。
ストッパ部材86x、復帰バネ90及び退避用シリンダ96は、図27(c)のように組み付けられる。ストッパ部材86xは、筒部86dが退避用シリンダ96の内側に差し込まれて軸方向に移動可能であり、復帰バネ90により上向きに付勢される。そして、一対の突起部86eが一対のガイド孔96bに係合し、ストッパ部材86xが軸方向に位置決めされる。
そして、この状態でハウジング82x内に設置され、退避用シリンダ96がハウジング82xの内壁及び保持部材88xにより回動可能に保持される。そして、退避等シリンダ96の頭部がハウジング82xの側面開口部82dの内側に回動可能に配置され、操作部材受け部96aがハウジング82xの外側に露出する。
図28に示すように、使用者は、操作部材98の先端部を操作部材受け部96aに差し込んで回転させる操作を行うことによって、退避用シリンダ96を回動させることができる。使用者が退避用シリンダ96を回動させると、ガイド孔96bが周方向に移動し、ストッパ部材86xは回動せずに突起部86eの位置が軸方向に変位し、ブロック体係止部86aを、復帰バネ90の付勢に抗して開放可能位置まで変位させることができる。
装置本体78xは、上記の各部材によって、ストッパ部材復帰機構とストッパ部材退避機構とが形成される。ストッパ部材復帰機構は、ストッパ部材86xの特定部位を付勢してブロック体係止部86aを開放制限位置まで変位させる機構のことであり、ストッパ部材86xの筒部86d、復帰バネ90等により形成される。ストッパ部材退避機構は、ストッパ部材86xの特定部位を押圧してブロック体係止部86aを開放制限位置まで変位させる機構であり、ストッパ部材86xの突起部86e、退避用シリンダ96(操作部材受け部96a、ガイド孔96b)等により形成される。
また、装置本体78xは、上記の各部材によって、ストッパ部材仮保持機構と仮保持解除機構とが形成される。ストッパ部材仮保持機構は、ストッパ部材86xを開放可能モードの位置に仮保持する機構であり、ストッパ部材86xの突起部86e、退避用シリンダ96(ガイド孔96b)等により形成される。仮保持解除機構は、ストッパ部材86xの仮保持を解除する機構であり、ストッパ部材86x(可動部材)のブロック体係止部86a(ブロック体接触部)等により形成される。
次に、障子の開放制限装置76xの使用方法と動作を簡単に説明する。まず、図25(a)に示すように、装置本体78xを障子12(1)の側面12a(1)に取り付け、ブロック体80を障子12(2)の側面12a(2)に取り付ける。
障子閉鎖状態では、図29(a)に示すように、装置本体78xは、ストッパ部材86xの突起部86eが、退避用シリンダ96のガイド孔96bの中の、底面から最も離れた位置にあり、復帰バネ90の付勢により、ストッパ部材86xのブロック体係止部86aがハウジング82xの側面開口部82bから大きく突出した状態に保持される。この状態になると、図29(b)に示すように、障子12(1)を開く操作を行ったとしても、障子12(1)が少し移動したところでブロック体80がブロック体係止部86aに係止され、障子12(1)の移動が制限される。
このように、障子閉鎖状態では、装置本体78xは、ストッパ部材復帰機構の動作により、ブロック体係止部86aが開放制限位置に配置された開放制限モードになっている。したがって、障子12(1),12(2)を少しだけ開いて部屋の換気等を行う時、障子12(1),12(2)を広く開放することができず、防犯性及び安全性が確保される。
使用者が、障子12(1),12(2)を開放したい時は、操作部材98を用いて退避用シリンダ96を回動させる操作を行う。この操作を行うと、図30(a)に示すように、退避用シリンダ96のガイド孔96bが移動し、ガイド孔96bに沿ってストッパ部材86xの突起部86eが移動して所定の位置に係止され、ブロック体係止部86aがハウジング82xの方向に退避し、側面開口部82bから少しだけ突出した状態になる。この状態になると、障子12(2)を開く操作を行った時、障子12(2)を開くことが可能になる。
このように、使用者が操作部材98を用いて退避用シリンダ96を回動させる操作を行うと、装置本体78xは、ストッパ部材退避機構の動作により、ブロック体係止部86aが開放可能位置に配置された開放可能モードになる。そして、ストッパ部材86xが開放可能モードの位置に配置されると、ストッパ部材仮保持機構の動作により、この位置に仮保持される。
その後、使用者が障子12(2)を開き、再び閉じた時の動作は、図30(b)~(e)に順に示す通りである。装置本体78xの場合、障子12(2)を開く操作の途中、ブロック体80がブロック体係止部86aを少し押し込む時、退避用シリンダ96が回動して仮保持が解除され、障子開放状態になると、開放制限モードに復帰する。そして、障子12(2)を閉じる操作の途中、ブロック体80がブロック体係止部86aを押し込む時、退避用シリンダ96が僅かに回動するが、ストッパ部材仮保持機構は動作しない。したがって、障子閉鎖状態になると、開放制限モードに自動的に復帰する。図30(e)に示す装置本体78xの状態は、図29(a)に示す装置本体78xの状態と同じである。
障子の開放制限装置76xによれば、上記の障子の開放制限装置76と同様の作用効果を得ることができる。なお、使用者が操作部材でストッパ部材退避機構の操作する時、障子の開放制限装置76xの場合は装置本体の側面から操作し、障子の開放制限装置76の場合は装置本体の上面から操作することになる。どちらが操作しやすいかは一概に言えないので、使用者の要望に合わせて使い分けるとよい。
次に、障子の開放制限装置の他の実施形態について、図31~図37に基づいて説明する。ここで、上記実施形態と同様の構成は、同一の符号を付して説明する。
この実施形態の障子の開放制限装置100は、装置本体102とブロック体104とで構成され、図31(a)、(b)に示すように、装置本体102は、障子12(1)の障子枠の、開閉方向に対して平行な側面12a(1)の凹部内に取り付けて使用される。ここでは、ブロック体104は、障子12(2)の障子枠の角部で代用されている。
装置本体102は、図32(a)、(b)に示すように、ハウジングとしての箱形の筐体106を有し、横に長い長方形の側面開口部106aが設けられている。そして、筐体106の、側面開口部106aの周縁部の一辺に、側方に突出する取り付け部107が一体に延設されている。取り付け部107は、装置本体102を側面12a(1)にビス止めするための穴を有している。
筐体106の内側には、ストッパ部材108、軸ピン110、可動部材112、退避用シリンダ114、復帰バネ116及び補助バネ118が収容される。
ストッパ部材108は、外形が略直方体状で、一端部がブロック体係止部108aになっている。中央部には、中央部を横向きに貫通する可動部材設置室108bが設けられている。ストッパ部材108は、筐体106の内部に収容され、中央部と他端部(ブロック体係止部108aと反対側の端部)との間の位置で、上下方向に配した軸ピン110によってシーソー式に軸着され、ブロック体係止部108aが開放制限位置と開放可能位置との間を変位可能に保持される。詳しくは後で説明するが、開放制限位置とは、図35(a)等に示すように、ブロック体係止部108aが側面開口部106aから突出する位置である。また、開放可能位置とは、図36(a)等に示すように、ブロック体係止部108aが側面開口部106aの内側に没入する位置である。
可動部材112は、使用者によって操作される部材であり、図33(a)に示すように、先端部が、2つの傾斜面120a,120bを有したブロック体接触部120になっており、その根元に円筒状の筒部122が延設され、筒部122の側面にスリットを設けて一対の突起部124が形成されている。また、ブロック体接触部120と筒部122との境界部の側面に、周方向に長い突条126が設けられている。さらに、先端面(ブロック体接触部120の表面)の、中央部と周縁部の1箇所とを掘り込んだ操作部材受け部128が設けられている。傾斜面120a,120bの働きについては、後の動作説明の中で述べる。
退避用シリンダ114は、図33(b)に示すように、円筒状の筒部114aとその一端部を閉鎖する底部114bとを有している。底部114bの外面は、ドーム状に膨出している。また、筒部114aの側面に、独特な形状のガイド孔114cが一対に設けられている。そして、底部114bの内側中央部に、復帰バネ116の基端部が位置決めされている。
可動部材112、退避用シリンダ114及び復帰バネ116は、図33(c)のように組み付けられる。可動部材112は、筒部122が退避用シリンダ114の筒部114aの内側に差し込まれて軸方向に移動可能であり、復帰バネ116により外向きに付勢される。そして、一対の突起部124が一対のガイド孔114cに係合し、可動部材112が軸方向に位置決めされる。そして、この状態で、ストッパ部材108の可動部材設置室108bの中に設置される。
退避用シリンダ114は、可動部材設置室108bの中で、軸方向に変位可能であるが回動しないように保持され、可動部材112は、退避用シリンダ114により回動可能に保持される。そして、可動部材112の先端部が可動部材設置室108bの開口部の内側に回動可能に配置され、突条126がこの開口部の内周縁に係止され、操作部材受け部128がストッパ部材108の外側に露出する。
使用者は、図34に示すように、操作部材130の先端部を操作部材受け部128に差し込んで回転させる操作を行うことによって、可動部材112を回動させることができる。使用者が可動部材112を回動させると、突起部124がガイド孔114cに沿って移動し、可動部材112が回動しながら突起部124の位置が軸方向に変位し、可動部材112の突出長さ(退避用シリンダ114からの突出長さ)が変化する。
補助バネ118は、基端部が筐体106の内壁に位置決めされ、ストッパ部材108の他端部(ブロック体係止部108aと反対側の端部)を付勢する。
装置本体102は、上記の各部材によって、ストッパ部材復帰機構とストッパ部材退避機構とが形成される。ストッパ部材復帰機構は、ストッパ部材108の特定部位を付勢してブロック体係止部108aを開放制限位置まで変位させる機構であり、軸ピン110、可動部材112、退避用シリンダ114及び復帰バネ116等により形成される。ストッパ部材退避機構は、使用者の操作によりストッパ部材108を移動させ、ブロック体係止部108aを開放可能位置まで変位させる機構であり、軸ピン110、可動部材112(突起部124、操作部材受け部128)、退避用シリンダ114(ガイド孔114c)及び補助バネ116等により形成される。
また、装置本体102は、上記の各部材によって、ストッパ部材仮保持機構と仮保持解除機構とが形成される。ストッパ部材仮保持機構は、ストッパ部材108を開放可能モードの位置に仮保持する機構であり、可動部材112(突起部124)、退避用シリンダ114(ガイド孔114c)等により形成される。仮保持解除機構は、ストッパ部材108の仮保持を解除する機構であり、可動部材112のブロック体接触部120(傾斜面120b)等により形成される。
次に、障子の開放制限装置100の使用方法と動作を簡単に説明する。まず、図31(a)に示すように、装置本体120を障子12(1)の側面12a(1)の凹部に取り付ける。
障子閉鎖状態では、図35(a)に示すように、装置本体102は、可動部材112の突起部124が、退避用シリンダ114のガイド孔114cの中の、底部114bから最も離れた位置にあり、復帰バネ116の付勢により、可動部材112の突条126と退避用シリンダの底部114bとが互いに離れようとする。底部114bは常に筐体106の内壁に係止されているので、可動部材112の突条126がストッパ部材108の中央部を押圧し、ストッパ部材108が軸ピン110を軸にして回動する。そしてストッパ部材係止部108aが、補助バネ118の付勢に抗して、側面開口部106aの外に突出した状態に保持される。この状態になると、図35(b)に示すように、障子12(1)を開く操作を行ったとしても、障子12(1)が少し移動したところでブロック体104がブロック体係止部108aに係止され、障子12(1)の移動が制限される。
このように、障子閉鎖状態では、装置本体102は、ストッパ部材復帰機構の動作により、ブロック体係止部108aが開放制限位置に配置された開放制限モードになっている。したがって、障子12(1),12(2)を少しだけ開いて部屋の換気等を行う時、障子12(1),12(2)を広く開放することができず、防犯性及び安全性が確保される。
使用者が、障子12(1),12(2)を開放したい時は、操作部材130を用いて可動部材112を回動させる操作を行う。この操作を行うと、図36(a)に示すように、可動部材112の突起部124が、退避用シリンダ114のガイド孔114cに沿って移動し、所定の位置に係止され、可動部材112の突条126と退避用シリンダ114の底部114bが互いに近づいた位置に保持される。その結果、補助バネ118の付勢により、ストッパ部材108が軸ピン110を軸にして回動し、ブロック体係止部108aが筐体106の側面開口部106aの中に退避して保持される。この状態になると、障子12(1)を開く操作を行った時にブロック体104がブロック体係止部108aに係止されなくなり、障子12(1)を開くことが可能になる。
このように、使用者が操作部材130を用いて可動部材112を回動させる操作を行うと、装置本体102は、ストッパ部材退避機構の動作により、ブロック体係止部108aが開放可能位置に配置された開放可能モードになる。そして、ストッパ部材108が開放可能モードの位置に配置されると、ストッパ部材仮保持機構の動作により、ストッパ部材108がこの位置に仮保持される。
その後、使用者が障子12(1)を開き、再び閉じた時の動作は、図36(b)~(c)、図37(a)~(c)に順に示す通りである。装置本体102の場合、障子12(1)を開く操作の途中、ブロック体104がブロック体接触部120を少し押し込むが、ブロック体104の角部がブロック体接触部120の傾斜面120aを平行に接触するため、可動部材112が回動せず、障子開放状態になっても仮保持が解除されず、開放可能モードに保持される。そして、障子12(1)を閉じる操作の途中、ブロック体104がブロック体接触部120を少し押し込む時、ブロック体104の角部がブロック体接触部120の傾斜面120bに斜めに接触するため、可動部材112が回動して仮保持が解除され、障子閉鎖状態になると、開放制限モードに自動的に復帰する。図37(c)に示す装置本体102の状態は、図35(a)に示す装置本体102の状態と同じである。
以上説明したように、この実施形態の障子の開放制限装置100によれば、上記の障子の開放制限装置10と類似した効果を得ることができる。
なお、本発明の障子の開放制限装置は、上記の各実施形態の構成に限定されるものではく、ストッパ部材復帰機構、ストッパ部材退避機構、ストッパ部材仮保持機構及び仮保持解除機構は、上記と異なる構成に変更することができる。例えば、上記の各実施形態等には、可動部材がストッパ部材と別に設けられているもの(障子の開放制限装置100)と、可動部材がストッパ部材と兼用されているもの(障子の開放制限装置10,10x,50x,76,76x)とがある。さらに、後者の中には、ブロック体接触部がブロック体係止部と別に設けられているもの(障子の開放制限装置10,10x,50x)と、ブロック体接触部がブロック体係止部と兼用されているもの(障子の開放制限装置76,76x)とがある。このように、各機構は、本発明が意図する動作が可能であれば、様々な形態を選択することができる。
また、障子の開放制限装置50のように、ストッパ部材仮保持機構及び仮保持解除機構を省略することも可能である。
その他、上記実施形態の説明では、本発明の障子の開放制限装置を、「引き違い戸を構成する2つの障子」に取り付けて使用するケースを示したが、条件が合えば、「引き戸を構成する障子と部屋壁(相手方構造物)」に取り付けて使用することも可能である。また、上記の各実施形態が有する装置本体は、ハウジングに設けた取り付け部を障子枠の側面にネジ止めする構造であるが、取り付け場所に合わせてネジ止め以外の方法で取り付ける構造に変更してもよい。