JP7313519B1 - IgA産生促進剤及びIgA産生促進用の飼料組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】哺乳期においても有効なIgA産生促進物質の提供。【解決手段】ダイフラクトースアンハイドライドIIIを含む、免疫グロブリンA(IgA)産生促進剤、及びIgA産生促進用の飼料組成物、並びにそれらを用いた非ヒト動物のIgA産生を促進する方法。【選択図】なし

Description

本発明は、IgA産生促進剤及びIgA産生促進用の飼料組成物に関する。
哺乳期子畜の健康状態は飼養管理や衛生管理の不備、病原体による感染など、様々な要因に影響される。特に哺乳期子畜は下痢、肺炎などによる致死率が高いため、哺乳期子畜の管理では下痢などの疾病予防が欠かせない。
哺乳動物は高度な免疫システムを有するが、出生直後は免疫機能が未熟であり、抗体産生能をはじめとする特異的免疫防御機構(獲得免疫)が機能しておらず、感染症などに対する防御能が劣っている。そこで哺乳動物の新生子は、分娩後数日間程度にわたり母から分泌される乳汁(初乳)の摂取により、タンパク質、脂質、糖質、ビタミン等の栄養素だけでなく、初乳に含まれる免疫グロブリンなどの免疫成分を取得して、十分な免疫機能を自ら獲得するまでの間の健康維持に利用している。
哺乳期子畜の免疫には、子畜が母畜から受動的に得る移行抗体などによる受動免疫と、子畜自身が抗体産生などの免疫応答を生じることによる能動免疫がある。母畜が初乳に分泌する免疫グロブリン(抗体)は、典型的には、初乳を摂取した新生子畜の腸管の上皮細胞に達し、そこで吸収され、血液中に取り込まれ、一定期間、感染防御抗体として働く。しかし、移行抗体(受動抗体)は次第に減少して消失し、代わりに、子畜自身が産生した抗体(能動抗体)が増加してくる。例えば、子牛は、生後しばらくしてから徐々に抗体を産生し始め、血中抗体濃度は生後3ヶ月齢で成牛レベルに達すると言われている。子牛の生後2~4週齢の時期は、受動抗体の下降期と能動抗体の上昇期の谷間となって免疫防御能が低下しやすく、病原体の感染を受けやすい。
免疫グロブリンの母から子への移行経路は動物種によって異なることが知られている。ヒトを含む霊長類では、出生後の初乳を通じた移行も起こるが、胎内での胎盤を通じた移行が大きな割合を占める。一方、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギなどでは、免疫グロブリンのほとんどは、胎盤ではなく、初乳を通じて子に移行することから、初乳の摂取はそれらの新生子の免疫防御にとって非常に重要である。哺乳動物の新生子が初乳中の免疫グロブリンを吸収できる能力は出生後の時間経過に伴って急激に減少するため、新生子には出生後ごく早期に初乳を摂取させることが望ましいとされている。新生子牛において免疫グロブリン吸収力が特に高いのは出生後6時間以内であり、出生後24時間~48時間を過ぎると免疫グロブリンは腸管から吸収されにくくなる。
動物が産生する免疫グロブリンとして、免疫グロブリンG(IgG)、免疫グロブリンA(IgA)、免疫グロブリンE(IgE)、免疫グロブリンM(IgM)、免疫グロブリンD(IgD)の5種類が知られている。免疫グロブリンのうち多くの割合を占めるのはIgGであるが、近年注目されている腸管免疫などの粘膜免疫において主要な機能を担っているのはIgAである。IgAは二量体をはじめとする多量体を形成し、分泌型IgAの形態となって分泌されて、粘膜上で病原体や異物を捕捉し、体内への侵入を防止する。分泌型IgAは消化酵素による分解を受けにくく、腸管内で腸粘膜を保護して病原体の腸管壁からの侵入を防ぐことから、哺乳期子畜の下痢予防においても重要な働きをしている(非特許文献1)。しかし、ウシ等の初乳中に含まれる免疫グロブリンの大半がIgGであり、初乳中のIgAの含有量はわずかである。哺乳期子畜における感染性の下痢の予防のために、早期のIgA産生促進は有効と考えられる。
IgA産生促進物質として、米麹(特許文献1)、乳酸菌(特許文献2)、ガラクトオリゴ糖(特許文献3)、フラクトオリゴ糖(非特許文献2)、ホエータンパク質(非特許文献1及び3)、β-カロテン(非特許文献4)などの報告がある。しかし、哺乳期において早期から腸管免疫賦活をもたらすことができるIgA産生促進物質は報告されていない。
特許文献4は、ダイフラクトースアンハイドライドIII及びダイフラクトースアンハイドライドIVが、哺乳動物の新生子において初乳からの免疫グロブリン(特にIgG)の吸収を促進させることを開示している。しかし新生子の免疫グロブリン吸収能は出生後の時間経過に伴って急激に減少し、同時に、母乳中の免疫グロブリン濃度も分娩後の時間経過とともに大きく減少するため、新生子において免疫グロブリン吸収促進が有効である期間は短い。新生子の感染防御をより効果的に強化するためには、新生子自身の免疫機能の早期賦活が望まれる。
特開2018-118967号公報 特開2007-308419号公報 特開2006-298783号公報 特開2008-231066号公報
安松谷ら、日本畜産学会報84(3)、389-393、2013 中村ら、消化器と免疫、No.40、38-40、2003 Yasumatsuya K, et. al.,Livest. Sci.,(2012) 143:210-213. 乙丸ら、日獣会誌、72、344-347、2019
本発明は、哺乳期においても有効なIgA産生促進物質を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、ダイフラクトースアンハイドライトIIIは、出生後の早期からIgA産生を促進できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の態様を包含する。
[1]ダイフラクトースアンハイドライドIIIを有効成分として含む、免疫グロブリンA(IgA)産生促進剤。
[2]哺乳期動物用の、上記[1]に記載のIgA産生促進剤。
[3]哺乳期動物が哺乳期有蹄類である、上記[2]に記載のIgA産生促進剤。
[4]有蹄類がウシである、上記[3]に記載のIgA産生促進剤。
[5]腸管免疫賦活のための、上記[1]~[4]のいずれかに記載のIgA産生促進剤。
[6]ダイフラクトースアンハイドライドIIIを有効成分として含む、IgA産生促進用の飼料組成物。
[7]哺乳期非ヒト動物用である、上記[6]に記載の飼料組成物。
[8]前記非ヒト動物が有蹄類である、上記[7]に記載の飼料組成物。
[9]有蹄類がウシである、上記[8]に記載の飼料組成物。
[10]ダイフラクトースアンハイドライドIIIを0.1~10重量%の量で含有する、上記[6]~[9]のいずれかに記載の飼料組成物。
[11]腸管免疫賦活のための、上記[6]~[10]のいずれかに記載の飼料組成物。
[12]非ヒト動物に、上記[1]~[5]のいずれかに記載のIgA産生促進剤を投与するか、又は上記[6]~[11]のいずれかに記載の飼料組成物を給与することを含む、非ヒト動物においてIgA産生を促進する方法。
[13]非ヒト動物が、哺乳期非ヒト動物である、上記[12]に記載の方法。
[14]哺乳期非ヒト動物が、哺乳期有蹄類である、上記[13]に記載の方法。
[15]有蹄類がウシである、上記[14]に記載の方法。
[16]腸管免疫賦活をもたらす、上記[12]~[15]のいずれかに記載の方法。
[17]非ヒト動物におけるIgA産生促進のための、ダイフラクトースアンハイドライドIIIの使用。
本発明によれば、動物におけるIgA産生を効果的に促進することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、腸管免疫系の活性化(腸管免疫賦活)に基づく免疫賦活技術に関する。本発明は、特に、免疫グロブリンA(IgA)の産生促進技術に関する。本発明は、哺乳期動物におけるIgA産生促進技術にも関する。より具体的には、本発明は、ダイフラクトースアンハイドライドIIIの、動物における腸管免疫賦活用途、特に、IgA産生促進用途に関する。
ダイフラクトースアンハイドライド(difructose anhydride;DFA)は、2個のフラクトースの還元末端が互いに他方のフラクトースの還元末端以外の水酸基に結合した還元二糖化合物の総称である。ダイフラクトースアンハイドライドの一種であるダイフラクトースアンハイドライドIII(DFAIII)は、フラクトース2分子が1,2及び2,3’で結合している2糖であり、ジ-D-フラクトフラノース1,2:2,3’ジアンハイドライドとも表記される。DFAIIIは、カラメル、蜂蜜などに含まれることが知られているが、工業的には、チコリー等に由来するイヌリンを、アルスロバクター属種(Arthrobacter sp.)H65-7株由来のフルクトトランスフェラーゼ(EC 2.4.1.93)で酵素処理することによって生産されている。但し、本発明において使用可能なDFAIIIは、特定の製造方法によって得られるものに限定されない。
本発明は、DFAIIIを含む免疫グロブリンA(IgA)産生促進剤を提供する。本発明はまた、DFAIIIを含む飼料組成物、とりわけ、IgA産生促進用の飼料組成物を提供する。本発明に係るIgA産生促進剤及び飼料組成物は、DFAIIIを有効成分として含むことができる。本発明において、「DFAIIIを有効成分として含む」とは、DFAIIIを、その目的とする効果(例えば、IgA産生促進効果)をもたらすことができる量(有効量)及び組成で含むことを意味する。本発明に係るIgA産生促進剤及び飼料組成物は、有効量のDFAIIIを含むものであり得る。
本発明においてIgA産生促進の対象となる動物は、ヒトであってもよいし、非ヒト動物であってもよい。本発明に係るIgA産生促進剤は、ヒト用又は非ヒト動物用であってよい。本発明に係る飼料組成物は、非ヒト動物用であってよい。本発明において、DFAIII、又はそれを含むIgA産生促進剤若しくは飼料組成物による、IgA産生促進の対象となる非ヒト動物は、ウシ、スイギュウ、ブタ、ヤギ、ヒツジ、ラクダ、リャマ、ウマ、ロバ等の家畜、イヌ、ネコ、ウサギ、フェレット、ハムスター等のペット動物、サル、マウス、ラット、モルモット等の実験動物、ライオン、キリン、カバ等の動物園等で飼育されている動物、保護された野生動物などの、任意の非ヒト哺乳動物であってよい。本発明で対象となる哺乳動物は、以下に限定されないが、有蹄類、霊長類、食肉類、げっ歯類などであってよい。有蹄類は、ウシ、ヤギ、ヒツジ、シカ、キリンなどのウシ亜目、ブタ、イノシシ等のイノシシ亜目、ラクダ、リャマ等のラクダ亜目、カバなどのカバ亜目を含む偶蹄類(旧・偶蹄目に相当し、鯨偶蹄目から鯨類(旧・鯨目)を除く)であってもよいし、ウマ、ロバ等の奇蹄類(奇蹄目)であってもよい。一実施形態では、本発明で対象となる哺乳動物は、有蹄類であってよく、偶蹄類であることがより好ましく、ウシ亜目であることがさらに好ましく、ウシ科であることが特に好ましく、例えば、ウシ、スイギュウ、ヤギ、ヒツジ等であってよい。一実施形態では、本発明で対象となる哺乳動物は、霊長類であってよく、ヒトであってもよいし、チンパンジー、二ホンザル、ゴリラ、ヒヒ、オランウータン、テナガザル、カニクイザル、オマキザル、キツネザル、リスザル等の非ヒト霊長類(サル)であってもよい。一実施形態では、本発明で対象となる哺乳動物は、イヌ科、ネコ科、クマ科、又はイタチ科等の食肉類(食肉目)であってもよく、例えば、イヌ、ネコ、クマ、フェレット、カワウソ等であってもよい。一実施形態では、本発明で対象となる哺乳動物は、ウサギ等のウサギ科であってもよい。一実施形態では、本発明で対象となる哺乳動物は、マウス、ラット、リス、ビーバー、カピバラ、ムササビ等の任意のげっ歯類(げっ歯目)であってもよい。あるいは、本発明で対象となる動物は鳥類であってもよい。鳥類、例えばニワトリの消化器官や腸内細菌叢、IgAに基づく免疫防御機構はヒトとも類似点が多いことが知られている。
一実施形態では、本発明に係るIgA産生促進剤及び飼料組成物は、哺乳期動物用であってもよい。本発明において、「哺乳期動物」とは、哺乳期の哺乳動物を意味する。本発明において、「哺乳期」とは、出生直後から離乳までの期間を意味し、具体的には、乳(例えば、母乳及び/又は代用乳)を栄養源として1日1回以上摂取させる期間を指す。例えば、ウシの離乳の時期は、品種や飼育方法、各個体の発育状態等にもよるが、乳用牛では一般的に生後6週齢~2ヶ月齢程度(場合によっては3ヶ月齢前後)である。一実施形態では、本発明で対象となる哺乳期動物は、哺乳期の、ヒト又は非ヒト動物(哺乳期非ヒト動物)であってよく、例えば、哺乳期の、有蹄類(哺乳期有蹄類)、非ヒト霊長類(哺乳期非ヒト霊長類)、食肉類(哺乳期、食肉類)、げっ歯類(哺乳期げっ歯類)などであってよい。但し本発明に係るIgA産生促進剤及び飼料組成物は、哺乳期動物用に限定されるものではなく、非哺乳期(離乳後)の哺乳動物や、哺乳動物以外の動物(鳥類等)に供されてもよい。
哺乳動物の新生子は、消化器官が未成熟であり、固形物をうまく消化吸収することができない。畜産業では、生後数日間~10日間程度にわたり初乳を給与した後は、生産性向上を目的として早期離乳を実現するため、子牛などの子畜に母乳の代わりに代用乳を給与することが一般的である。「初乳」とは、分娩直後から数日間程度(長くて10日間程度)の間に母から分泌される乳汁を指す。初乳は、栄養素に加えて、免疫グロブリンや生理活性物質などの多様な成分を含んでおり、特に分娩直後の初乳は免疫グロブリンを高濃度に含んでいる。「代用乳」とは、母乳の代用として液状で給与する飼料を指し、子畜の発育等に必要とされる栄養素や添加物等を含む。代用乳は、一般的には、粉末状で提供される代用乳(代用乳粉末)をお湯や水に溶かして給与するが、そのような形態に限定されるものではない。
なお本発明に関して、「母乳」とは、分娩後の授乳期にある動物個体から分泌される乳汁を意味し、文脈上明らかに異なる意味である場合を除き、給与される子との間に遺伝的な親子関係がある母個体に由来する乳汁に限定されない。同様に、「初乳」も、文脈上明らかに異なる意味である場合を除き、給与される子との間に遺伝的な親子関係がある母個体に由来する初乳に限定されない。
本発明に係るIgA産生促進剤は、DFAIIIのみを含むものであってもよいし、DFAIIIを水などの溶媒に溶解又は混合等したものであってもよいし、DFAIIIを含む組成物であってもよいが、これらに限定されない。一実施形態では、本発明に係るIgA産生促進剤は、(ヒト用)医薬組成物又は非ヒト動物用医薬組成物であってもよい。一実施形態では、本発明に係るIgA産生促進剤は、栄養補助剤(サプリメント等)又は飼料添加物であってもよい。
本発明に係るIgA産生促進剤は、DFAIIIに加えて、製薬上で許容される任意の添加物、例えば、不活性担体(固体担体や液体担体)、賦形剤、希釈剤、安定剤、界面活性剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、溶解補助剤、懸濁化剤、コーティング剤、着色剤、着香剤、矯味矯臭剤、乳化剤、保存剤、緩衝剤、pH調整剤、及び/又は抗酸化剤等を含んでもよい。本発明に係るIgA産生促進剤は、別の免疫賦活物質や薬理物質をはじめとする他の物質をさらに含んでもよい。
本発明に係るIgA産生促進剤は、錠剤、顆粒剤、散剤、丸剤、カプセル剤、ペレット剤等の固形製剤、液剤、懸濁剤、シロップ剤等の液体製剤、ペースト剤、ジェル剤、エアロゾル剤等の任意の剤形に製剤化されていてもよい。IgA産生促進剤は、使用直前に液状媒体に溶解又は混合して液体製剤に再構成するための乾燥物などの、用時調製型製剤として製剤化されていてもよい。
本発明に係るIgA産生促進剤は、任意の投与経路のためのものであってよく、例えば、経口用であってもよいし、経腸用又は静脈内などの任意の非経口用であってもよいが、好ましくは経口用又は経腸用である。経腸用の投与・給与経路としては、経鼻栄養や胃ろうなどの経管栄養、経直腸投与(座薬)等が挙げられるが、それらに限定されない。
本発明に係る飼料組成物は、穀類、油粕類、糟糠類、及び/若しくは粗飼料などの任意の飼料原料、又は飼料製品に加えて、DFAIIIを含む。本発明に係る飼料組成物は、飼料製造上で許容される任意の飼料添加物、例えば、不活性担体(固体担体や液体担体)、賦形剤、希釈剤、安定剤、界面活性剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、溶解補助剤、懸濁化剤、コーティング剤、着色剤、着香剤、矯味矯臭剤、乳化剤、保存剤、緩衝剤、pH調整剤、抗酸化剤、アミノ酸、ビタミン、ミネラル、抗菌剤、抗生物質、呈味料、酵素、有機酸、及び/又は生菌剤等をさらに含んでもよい。本発明に係る飼料組成物はまた、別の免疫賦活物質や薬理物質をはじめとする他の物質をさらに含んでもよい。一実施形態では、本発明に係る飼料組成物は、既存の又は市販の飼料、例えば、哺乳期動物用配合飼料(スターターとも呼ばれる)、乳粉末製剤(例えば、初乳粉末製剤又は母乳粉末製剤)等を含んでもよい。一実施形態では、本発明に係る飼料組成物は、初乳又は母乳を含んでもよく、例えば、初乳粉末又は母乳粉末を含んでもよい。別の実施形態では、本発明に係る飼料組成物は、母乳を含まないものであってもよく、特に、初乳を含まないものであってもよい。
本発明に係る飼料組成物は、原料を混合しただけのものであってもよいし、固形(粉末状/マッシュ状、顆粒状、ペレット状、クランブル状、フレーク状、バルキー状等)、半固形、液状などの任意の形状に成形又は調製されたものであってもよい。一実施形態では、本発明に係る飼料組成物は、スターター、粗飼料等の飼料の原料にDFAIIIを添加し、スターター、粗飼料等の飼料製品として成形又は調製されたものであってもよい。
本発明に係る飼料組成物は、飼料組成物の総重量(原料混合時の湿重量)に対して、DFAIIIを0.1重量%以上の量で含有することが好ましく、0.1~10重量%の量で含有することがより好ましく、0.5~5重量%の量で含有することがさらに好ましく、例えば1~4重量%の量で含有してもよいが、それらに限定されない。なお飼料組成物中のDFAIIIの含有量に関して、重量%はw/w%[重量/重量%]と互換的に使用することができる。
本発明に係るIgA産生促進剤及び飼料組成物は、DFAIIIの作用により、動物において腸管免疫賦活をもたらし、IgA産生を促進することができる。本発明に係るIgA産生促進剤及び飼料組成物は、腸管免疫賦活のために用いることができる。
好ましい実施形態では、本発明に係るIgA産生促進剤及び飼料組成物は、DFAIIIの作用により、免疫機能が未熟とされる哺乳期においても、腸管免疫賦活をもたらし、IgA産生を促進することができる。哺乳期の中でも哺乳期前期の、初乳由来の受動抗体の下降期と能動抗体の上昇期の谷間となる時期(免疫レベル低下期間)又はそれよりも前の時期の動物が、本発明に係るIgA産生促進剤及び飼料組成物の投与又は給与対象として特に好ましい。例えば、ウシであれば、初乳由来の受動抗体の下降期と能動抗体の上昇期の谷間となる時期は、典型的には、生後2~4週齢(生後14~28日齢)までに相当する。動物、例えばウシ等の有蹄類において、本発明に係るIgA産生促進剤及び飼料組成物を投与又は給与するのに特に好ましい、初乳由来の受動抗体の下降期と能動抗体の上昇期の谷間となる時期又はそれよりも前の時期は、例えば、出生直後から生後28日齢までの間、あるいは、生後5日齢~28日齢であり得るが、それらの時期に限定されない。なお、初乳由来の受動抗体の下降期と能動抗体の上昇期の谷間となる時期又はそれよりも前の時期は投与又は給与時期として特に好ましいが、本発明に係るIgA産生促進剤及び飼料組成物は、その時期に加えて又はその時期に代えて、それ以外の時期(哺乳期後期又は非哺乳期など)に投与又は給与することもできる。なお本発明において、「生後“X”日齢」などで表記した動物の齢数は、出生日を0日とし、出生の翌日を生後1日齢として算出した齢数で表している。
本発明は、対象となる上記の動物、例えば非ヒト動物に、本発明に係るIgA産生促進剤を投与することを含む、当該動物においてIgA産生を促進する方法を提供する。本発明はまた、対象となる上記の非ヒト動物に、本発明に係る飼料組成物を給与することを含む、当該動物においてIgA産生を促進する方法を提供する。本発明では、DFAIIIの投与又は給与により、動物、例えば非ヒト動物において腸管免疫賦活をもたらし、IgA産生を促進することができる。
本発明において、IgA産生促進剤の「投与」は、上記のとおり、任意の投与経路による投与であってよく、経口投与であってもよいし、経腸投与又は静脈内投与などの任意の非経口投与であってもよいが、好ましくは経口投与又は経腸投与である。IgA産生促進剤は、例えば、口内に、又は経管栄養のためのチューブ等に、直接導入することにより投与してもよい。あるいは、IgA産生促進剤を添加した、飲用水、初乳、母乳、水に溶かした乳粉末製剤、又は飼料等を非ヒト動物に摂取させることにより投与してもよい。ヒトが対象の場合は、IgA産生促進剤を添加した水、液剤、初乳、母乳、飲料(一般的な飲料の他、粉ミルク、液体ミルク等を包含する)又は食品(一般的な食品の他、離乳食等を包含する)等を摂取させることにより投与してもよい。ヒト用又は非ヒト動物用医薬品に製剤化されたIgA産生促進剤を対象に投与してもよい。IgA産生促進剤は、液体製剤等に用時調製した後に投与してもよい。
本発明において、飼料組成物の「給与」とは、非ヒト動物に飼料組成物を飼料として摂取させることを意味する。飼料組成物は、自由採食によって給与してもよいし、給与量や給与時間等を設定して給与してもよいし、強制給与してもよい。本発明に係る飼料組成物の給与は、哺乳動物の場合、初乳給与の完了後に行ってもよい。本発明に係る飼料組成物の給与は、例えば、生後0日齢、生後1日齢、生後2日齢、生後3日齢、生後4日齢、生後5日齢、生後6日齢、生後7日齢、生後8日齢、又はそれ以降に開始してもよい。
哺乳期子牛には、出生後数日間程度にわたり初乳を給与した後は、一般的に、母乳に代えて、代用乳を給与する。代用乳は、典型的には、生後1週齢~2ヶ月齢程度の子牛に対し1日2回程度与えられる。しかし、代用乳の給与だけでは子牛の反芻胃を十分に発達させることができないため、代用乳に加えて、スターターである哺乳期子牛用配合飼料などの固形飼料を子牛に摂取させることにより、反芻胃の発達を促す飼養管理が行われている。また哺乳期子牛を母乳で育てる場合にも、発育を促すために、スターターなどの固形飼料や粗飼料等を母乳と併せて給与することは一般的に行われている。本発明においても、本発明に係るIgA産生促進剤の投与又は飼料組成物の給与の対象となる哺乳期非ヒト動物には、代用乳及び/又は母乳の給与に加えて、スターターなどの固形飼料を摂取させてもよく、また、乾草、発酵繊維(サイレージ)等の粗飼料をはじめとする他の飼料を摂取させてもよい。哺乳期非ヒト動物に対する本発明に係るIgA産生促進剤の投与は、代用乳、スターター、及び/又は粗飼料等の哺乳期非ヒト動物に与える飼料に本発明に係るIgA産生促進剤を添加して与えることにより行ってもよい。哺乳期非ヒト動物に対する本発明に係る飼料組成物の給与は、代用乳、スターター、及び/又は粗飼料等の飼料に本発明に係る飼料組成物を配合して与えることにより行ってもよい。
IgA産生促進のための、本発明に係るIgA産生促進剤の投与又は飼料組成物の給与は、任意の時期、頻度、及び回数等で行えばよいが、複数回にわたり投与又は給与することが好ましく、継続的に(例えば、毎日若しくは隔日で、また、1日1回以上、又は自由採食で)投与又は給与することが好ましく、毎日投与又は給与することがより好ましい。好ましい実施形態では、本発明に係るIgA産生促進剤の投与又は飼料組成物の給与は、出生後早期に行うか又は開始することができる。本発明では、出生後早期にDFAIIIを投与又は給与することにより、腸管免疫賦活及びIgA産生促進を早期に達成することができる。本発明に係るIgA産生促進剤の投与又は飼料組成物の給与は、哺乳動物であれば哺乳期に行うか又は開始することが好ましく、特に哺乳期前期の、初乳由来の受動抗体の下降期と能動抗体の上昇期の谷間となる時期若しくはそれよりも前に行うか又は開始することがより好ましい。ウシの場合、初乳由来の受動抗体の下降期と能動抗体の上昇期の谷間となる時期は、おおむね生後2週齢~4週齢に相当する。本発明に係るIgA産生促進剤の投与又は飼料組成物の給与は、少なくとも、初乳由来の受動抗体の下降期と能動抗体の上昇期の谷間となる時期又はそれよりも前に行うことが好ましい。
一実施形態では、本発明に係るIgA産生促進剤の投与又は飼料組成物の給与は、動物、好ましくは哺乳動物、より好ましくは哺乳期有蹄類(例えば、ウシなどのウシ亜目)である非ヒト動物に対し、少なくとも、出生直後(生後0又は1日齢;以下同様)~28日齢(4週齢)、生後5日齢~28日齢、又は生後7日齢~28日齢の間に行うことが好ましく、例えば、少なくとも、出生直後~21日齢(3週齢)、生後5日齢~21日齢、生後7日齢~21日齢、出生直後~14日齢(2週齢)、生後5日齢~14日齢、又は生後7日齢~14日齢の間に行うことが好ましい。一実施形態では、本発明に係るIgA産生促進剤の投与又は飼料組成物の給与は、動物、好ましくは哺乳動物、より好ましくは有蹄類(例えば、ウシなどのウシ亜目)である非ヒト動物において、出生直後~28日齢、生後5日齢~28日齢、又は生後7日齢(1週齢)~28日齢の間に、1回若しくは複数回、又は継続的に(例えば、毎日又は隔日で)行うものであってよい。本発明に係るIgA産生促進剤の投与又は飼料組成物の給与は、初乳由来の受動抗体の下降期と能動抗体の上昇期の谷間となる時期又はそれよりも前に開始することが好ましい。
一実施形態では、本発明に係るIgA産生促進剤の投与又は飼料組成物の給与は、動物、好ましくは哺乳動物、より好ましくは有蹄類(例えば、ウシ)である非ヒト動物、特に哺乳期非ヒト動物に対し、出生直後~生後4日齢の間(例えば、出生直後)に開始してもよく、生後5日齢~28日齢の間(例えば、生後5日齢、又は生後7日齢)に開始してもよく、例えば、出生直後、生後5日齢、若しくは生後7日齢、又は出生直後~21日齢の間、生後5日齢~21日齢の間、出生直後~14日齢の間、生後5日齢~14日齢の間、出生直後~7日齢の間、若しくは生後5日齢~7日齢の間に開始してもよい。
一実施形態では、本発明に係るIgA産生促進剤の投与又は飼料組成物の給与は、継続的に行う場合、動物、好ましくは哺乳動物、より好ましくは哺乳期有蹄類(例えば、ウシなどのウシ亜目)である非ヒト動物に対し、当該投与又は給与開始後、初乳由来の受動抗体の下降期と能動抗体の上昇期の谷間となる時期以降の任意の終了時期(DFAIII投与又は給与終了時期)まで行うことが好ましく、少なくとも生後21日齢(3週齢)まで行うことがより好ましく、少なくとも生後28日齢(4週齢/1ヶ月齢)まで、少なくとも生後8週齢(56日齢/2ヶ月齢)まで、又は、少なくとも生後12週齢(84日齢/3ヶ月齢)まで行うことがさらに好ましい。
一実施形態では、本発明に係るIgA産生促進剤の投与又は飼料組成物の給与は、能動抗体レベルが成体レベルに達する時期まで継続的に行ってもよい。
一実施形態では、本発明に係るIgA産生促進剤の投与又は飼料組成物の給与は、動物、好ましくは哺乳動物、より好ましくは有蹄類(例えば、ウシなどのウシ亜目)である非ヒト動物において、出生直後~生後4日齢(例えば、出生直後)に行った後、生後5日齢又は生後7日齢以降にさらに行ってもよい。
一実施形態では、本発明に係るIgA産生促進剤の投与又は飼料組成物の給与を、動物、好ましくは哺乳動物、より好ましくは有蹄類(例えば、ウシ)である非ヒト動物、特に哺乳期非ヒト動物に対し、出生直後~生後4日齢(例えば、出生直後)に開始し、その後、少なくとも生後28日齢まで継続的に行ってもよい。本発明では、本発明に係るIgA産生促進剤の投与と本発明に係る飼料組成物の給与の両方を行ってもよい。
一実施形態では、例えば、哺乳動物の場合、出生直後から数日間~10日間程度(例えば生後6日齢まで)の初乳給与期間はIgA産生促進剤を添加した初乳を給与し、初乳給与の完了後は本発明に係る飼料組成物を給与することもできる。なお本発明に関して、初乳給与の「完了」とは、哺乳動物の新生子に出生後の一定期間にわたり初乳を給与した後、新生子へのその後の初乳の給与を終了することを意味する。本発明に係るIgA産生促進剤の投与又は飼料組成物の給与について「継続的に行う」とは、その投与又は給与によってDFAIIIを一定期間にわたり定期的に、断続的に、又は持続して与えることを意味する。例えば、本発明に係るIgA産生促進剤を投与(例えば、出生直後~生後4日齢に複数回投与)した後に本発明に係る飼料組成物を給与(例えば、生後5~7日齢以降に連日給与)する場合も、本発明に係るIgA産生促進剤の投与又は飼料組成物の給与を「継続的に行う」ことに該当し得る。
免疫システムには、ウイルスや細菌などの病原体や異物の体内への侵入を防ぐ「粘膜免疫」と、それらが体内に侵入した際に排除するように機能する「全身免疫」が存在する。粘膜免疫では、粘液や細胞同士の強固なタイトジャンクションなどにより病原体や異物の侵入を物理的に防止する物理的バリアが形成されている他、粘膜面に分泌された分泌型IgAが病原体や異物に結合して体内への侵入を阻止し体外への排出を促進したり、抗菌ペプチドやリゾチームなどを分泌して病原体を排除したりする化学的バリアも形成されている。とりわけ分泌型IgAは、粘膜免疫において感染防御の重要な役割を担っている。粘膜免疫は全身の粘膜面で機能しているが、中でも腸管における粘膜免疫、すなわち腸管免疫は、粘膜免疫の中心として働いている。腸管などにある粘膜関連リンパ組織において抗原刺激を受けたB細胞は分泌型IgA抗体を産生するIgA産生細胞に分化し、そのIgA産生細胞は他の遠隔の粘膜組織にもホーミングして分泌型IgA抗体を産生することから、抗原刺激を受けた粘膜組織だけでなく、遠隔の粘膜組織でも、同じ抗原特異的免疫応答が誘導される。本発明では、DFAIIIの作用により、腸管免疫を効果的に賦活することができ、腸管粘膜を含む粘膜組織でIgA産生を促進することができる。
糞便中のIgA濃度は、腸管免疫機能の指標として、一般的に使用されている。したがって、本発明における腸管免疫賦活及びIgA産生の促進は、糞便中のIgA濃度を指標として判断することができる。糞便中のIgA濃度は、糞便の湿重量(g)あたりのIgA量(ミリグラム)で表すことができる。被験試料(本発明では、DFAIII、又はそれを含むIgA産生促進剤若しくは飼料組成物)を、動物に投与又は給与し、その動物の糞便中のIgA濃度を測定し、そのIgA濃度が、被験試料を投与又は給与していない対照動物の糞便中のIgA濃度と比較して増加した場合、その結果は、その被験試料がIgA産生を促進することを示す。例えば、被験試料を投与又は給与した動物における糞便中のIgA濃度の、被験試料を投与又は給与していない対照動物の糞便中のIgA濃度と比較した増加についてP<0.05で統計学的に有意な差があるか、又は、被験試料を投与又は給与していない対照動物の糞便中のIgA濃度と比較して被験試料を投与又は給与した動物における糞便中のIgA濃度が50%以上の増加を示す場合、その被験試料により、被験試料を投与又は給与した動物における糞便中のIgA濃度が、被験試料を投与又は給与していない対照動物の糞便中のIgA濃度と比較して「増加した」と判断してもよい。また糞便中のIgA濃度を指標としてIgA産生の促進が示された場合、腸管免疫の賦活がもたらされたと判断できる。
さらに本発明は、上記の動物、例えば非ヒト動物、好ましくは哺乳期動物における、腸管免疫賦活、又はIgA産生促進(例えば、腸管粘膜でのIgA産生促進)のための、DFAIIIの使用も提供する。本発明はまた、上記の動物、例えば非ヒト動物、好ましくは哺乳期動物における、IgA産生促進による、感染性の下痢などの感染症の予防、又は感染防御能の強化のための、DFAIIIの使用も提供する。
以下、実施例を用いて本発明をさらに具体的に説明する。但し、本発明の技術的範囲はこれら実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
被験対象のホルスタイン種の哺乳期子牛12頭を対照区(7頭)とDFAIII給与区(5頭)に振り分けた。子牛には生後6日齢まで初乳を給与した。DFAIII給与区では生後初回及び2回目の初乳給与時(生後0~1日齢)にダイフラクトースアンハイドライトIII(DFAIII)(日本甜菜製糖製; 商品名:コウシのミカタ)を6gずつ初乳に混合して給与した。生後7日齢から、対照区の7頭の哺乳期子牛には、スターターである哺乳期子牛用配合飼料(日本甜菜製糖製; 商品名:スタート; 成分値:タンパク質22%、可消化養分総量74%)を、DFAIII給与区の5頭の哺乳期子牛には、上記スターターにDFAIII(日本甜菜製糖製)を2.0重量%となる量で添加し混合した飼料(DFAIII含有飼料)を、乾草及び水とともに、自由採食させることにより給与した。なおDFAIII含有飼料中のDFAIIIの2.0重量%という量は、スターターとDFAIIIの合計重量に対するDFAIIIの重量の割合(w/w%)として算出した値である。生後7日齢以降は、さらに、代用乳15%溶液(DFAIIIは含まない)2Lを1日あたり2回、哺乳期子牛に給与した。
各試験区の子牛から、生後7日齢、14日齢、21日齢、及び28日齢の時点で新鮮な糞便を採取した。糞便中のIgA濃度を、IgA ELISA Quantitation Kit(BETHYL社製)を使用して、ELISA法により測定した。糞便中のIgA濃度は、糞便の湿質量当たりのIgAのミリグラム量で表した。結果を表1に示す。
Figure 0007313519000001
表1に示すとおり、DFAIII給与区では、対照区と比較して、糞便中のIgA濃度が統計学的に有意に高く、腸管でのIgA産生が促進されたこと、すなわち、腸管免疫の亢進が、示された。
なお、いずれの試験区でも生後28日齢において生後21日齢と比較して糞便中IgA濃度が減少しているが、初乳由来のIgAが生後1ヶ月程度で徐々に減少することや、採食量の増加に伴い糞便量が増加することによる相対的な濃度低下などがその要因になっていると考えられる。
上記試験結果は、DFAIIIが、未熟な腸管免疫系を有する哺乳期動物においてもIgA産生を促進することができ、腸管免疫を含む粘膜免疫の賦活をもたらすことができることを示している。
本発明は、腸管免疫賦活やIgA産生促進をもたらすのに有用な免疫賦活剤又は飼料を提供するために用いることができる。本発明は、例えば、哺乳期子畜をはじめとする哺乳期動物の未熟な腸管免疫系の活性化、ひいては全身の粘膜免疫系の活性化のために特に有用である。本発明は、粘膜でのIgA産生を促進し、哺乳期動物の免疫レベル低下期間における免疫力を早期に高め、免疫レベル低下期間を短縮することにより、哺乳期動物が罹りやすい感染性の下痢や肺炎などを予防し感染防御能を高める目的で利用することができる。本発明は、幼少子畜の損耗を防止し、健康な発育を促進することにより、畜産経営の潜在的損失の低減を期待できる点で、畜産業にとって有益である。

Claims (17)

  1. ダイフラクトースアンハイドライドIIIを有効成分として含む、免疫グロブリンA(IgA)産生促進剤。
  2. 哺乳期動物用の、請求項1に記載のIgA産生促進剤。
  3. 哺乳期動物が哺乳期有蹄類である、請求項2に記載のIgA産生促進剤。
  4. 有蹄類がウシである、請求項3に記載のIgA産生促進剤。
  5. 腸管免疫賦活のための、請求項1に記載のIgA産生促進剤。
  6. ダイフラクトースアンハイドライドIIIを有効成分として含む、IgA産生促進用の飼料組成物。
  7. 哺乳期非ヒト動物用である、請求項6に記載の飼料組成物。
  8. 前記非ヒト動物が有蹄類である、請求項7に記載の飼料組成物。
  9. 有蹄類がウシである、請求項8に記載の飼料組成物。
  10. ダイフラクトースアンハイドライドIIIを0.1~10重量%の量で含有する、請求項6に記載の飼料組成物。
  11. 腸管免疫賦活のための、請求項6に記載の飼料組成物。
  12. 非ヒト動物に、請求項1に記載のIgA産生促進剤を投与するか、又は請求項6に記載の飼料組成物を給与することを含む、非ヒト動物においてIgA産生を促進する方法。
  13. 非ヒト動物が、哺乳期非ヒト動物である、請求項12に記載の方法。
  14. 哺乳期非ヒト動物が、哺乳期有蹄類である、請求項13に記載の方法。
  15. 有蹄類がウシである、請求項14に記載の方法。
  16. 腸管免疫賦活をもたらす、請求項12に記載の方法。
  17. 非ヒト動物におけるIgA産生促進のための、ダイフラクトースアンハイドライドIIIの使用。
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