JP7312654B2 - セメント用強度向上剤、セメント用添加剤、セメント組成物、セメント強度向上方法 - Google Patents

セメント用強度向上剤、セメント用添加剤、セメント組成物、セメント強度向上方法 Download PDF

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Description

本発明は、セメント用強度向上剤、セメント用添加剤、セメント組成物、および、セメント強度向上方法に関する。
モルタルやコンクリートなどのセメント組成物は、一般に、セメントと骨材と水を含んでおり、流動性を高めて減水させるために、好ましくはセメント混和剤がさらに含まれる。
最近、セメント組成物に対し、減水性能の向上に加えて、硬化物の強度性能の向上の要求が多くなってきている。例えば、セメント組成物の用途によっては、早期の強度発現が望まれており、各種検討がなされている(例えば、特許文献1)。
他方、セメント組成物の用途によっては、セメント組成物の硬化物の長期にわたっての強度向上(例えば4週間レベルでの強度向上など)が求められるようになっている。
特開2011-84459号公報
本発明の課題は、セメント組成物の硬化物の強度を長期にわたって顕著に向上させ得るセメント用強度向上剤を提供することにある。また、セメント組成物の硬化物の強度を長期にわたって顕著に向上させ得るセメント用添加剤を提供することにある。さらに、そのようなセメント用添加剤を含むセメント組成物を提供することにある。さらに、セメント組成物の硬化物の強度を長期にわたって顕著に向上させ得るセメント強度向上方法を提供することにある。
本発明の実施形態によるセメント用強度向上剤は、
一般式(1)で表される環状イミノエーテル基を有する環状イミノエーテル基含有化合物(A)を含む。
Figure 0007312654000001
(一般式(1)中、Xは独立して水素原子または炭素原子数1~18の炭化水素基を表し、nは1~5の整数を表す。)
一つの実施形態においては、上記環状イミノエーテル基がオキサゾリン基である。
本発明の実施形態によるセメント用添加剤は、
一般式(1)で表される環状イミノエーテル基を有する環状イミノエーテル基含有化合物(A)と、アルカノールアミン化合物(B)および化合物(C)からなる群から選ばれる少なくとも1種とを含み、
該化合物(C)が、オキシカルボン酸もしくはその塩、ケト酸もしくはその塩、糖、糖アルコールからなる群から選ばれる少なくとも1種である。
Figure 0007312654000002
(一般式(1)中、Xは独立して水素原子または炭素原子数1~18の炭化水素基を表し、nは1~5の整数を表す。)
一つの実施形態においては、上記環状イミノエーテル基がオキサゾリン基である。
一つの実施形態においては、上記アルカノールアミン化合物(B)が、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、メチルエタノールアミン、メチルイソプロパノールアミン、メチルジエタノールアミン、メチルジイソプロパノールアミン、ジエタノールイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールエタノールアミン、テトラヒドロキシエチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラキス(2-ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、トリス(2-ヒドロキシブチル)アミンからなる群から選ばれる少なくとも1種である。
本発明の実施形態によるセメント組成物は、本発明の実施形態によるセメント用添加剤を含む。
本発明の実施形態によるセメント強度向上方法は、
一般式(1)で表される環状イミノエーテル基を有する環状イミノエーテル基含有化合物(A)を用いる。
Figure 0007312654000003
(一般式(1)中、Xは独立して水素原子または炭素原子数1~18の炭化水素基を表し、nは1~5の整数を表す。)
本発明によれば、セメント組成物の硬化物の強度を長期にわたって顕著に向上させ得るセメント用強度向上剤を提供することができる。また、セメント組成物の硬化物の強度を長期にわたって顕著に向上させ得るセメント用添加剤を提供することができる。さらに、そのようなセメント用添加剤を含むセメント組成物を提供することができる。さらに、セメント組成物の硬化物の強度を長期にわたって顕著に向上させ得るセメント強度向上方法を提供することができる。
本明細書中で「(メタ)アクリル」との表現がある場合は、「アクリルおよび/またはメタクリル」を意味し、「(メタ)アクリレート」との表現がある場合は、「アクリレートおよび/またはメタクリレート」を意味し、「(メタ)アリル」との表現がある場合は、「アリルおよび/またはメタリル」を意味し、「(メタ)アクロレイン」との表現がある場合は、「アクロレインおよび/またはメタクロレイン」を意味する。また、本明細書中で「酸(塩)」との表現がある場合は、「酸および/またはその塩」を意味する。塩としては、例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩が挙げられ、具体的には、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩などが挙げられる。
≪セメント用強度向上剤≫
本発明の実施形態によるセメント用強度向上剤は、一般式(1)で表される環状イミノエーテル基を有する環状イミノエーテル基含有化合物(A)を含む。
Figure 0007312654000004
(一般式(1)中、Xは独立して水素原子または炭素原子数1~18の炭化水素基を表し、nは1~5の整数を表す。)
本発明の実施形態によるセメント用強度向上剤に含まれる環状イミノエーテル基含有化合物(A)は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
本発明の実施形態によるセメント用強度向上剤に含まれる環状イミノエーテル基含有化合物(A)が有する一般式(1)で表される環状イミノエーテル基は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
本発明の実施形態によるセメント用強度向上剤中の、環状イミノエーテル基含有化合物(A)の含有割合は、本発明の効果をより発現させ得る点で、好ましくは50質量%~100質量%であり、より好ましくは70質量%~100質量%であり、さらに好ましくは90質量%~100質量%であり、特に好ましくは95質量%~100質量%であり、最も好ましくは実質的に100質量%である。なお、ここでいう「実質的に100質量%」とは、本発明の実施形態によるセメント用強度向上剤に、本発明の効果を損なわない範囲で任意のその他の成分が微量含まれていてもよい意味である。
一般式(1)で表される環状イミノエーテル基を有する環状イミノエーテル基含有化合物(A)において、環状イミノエーテル基は、本発明の効果をより発現させ得る点で、好ましくは、オキサゾリン基(一般式(1)においてn=2の場合)である。すなわち、環状イミノエーテル基含有化合物(A)としては、好ましくは、オキサゾリン基を有する化合物である。
オキサゾリン基を有する化合物としては、1分子中に少なくとも1個以上のオキサゾリン基を有する化合物であれば、本発明の効果を損なわない範囲で任意の適切な化合物を採用し得る。このような化合物としては、例えば、2-オキサゾリン、2,2’-ビス(2-オキサゾリン)、2,2’-メチレン-ビス(2-オキサゾリン)、2,2’-エチレン-ビス(2-オキサゾリン)、2,2’-トリメチレン-ビス(2-オキサゾリン)、2,2’-テトラメチレン-ビス(2-オキサゾリン)、2,2’-ヘキサメチレン-ビス(2-オキサゾリン)、2,2’-オクタメチレン-ビス(2-オキサゾリン)、2,2’-エチレン-ビス(4,4’-ジメチル-2-オキサゾリン)、2,2’-p-フェニレン-ビス(2-オキサゾリン)、2,2’-m-フェニレン-ビス(2-オキサゾリン)、2,2’-m-フェニレン-ビス(4,4’-ジメチル-2-オキサゾリン)、ビス(2-オキサゾリニルシクロヘキサン)スルフィド、ビス(2-オキサゾリニルノルボルナン)スルフィド、オキサゾリン基含有重合体などが挙げられる。
オキサゾリン基を有する化合物は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
オキサゾリン基を有する化合物は、セメント用強度向上剤としての使用上の観点から、水溶性のオキサゾリン基含有化合物が好ましく、水溶性のオキサゾリン基含有重合体がより好ましい。
オキサゾリン基含有重合体は、オキサゾリン基含有単量体を必須成分として含み、必要に応じてオキサゾリン基含有単量体と共重合可能な単量体を含む単量体成分を重合させることにより、調製することができる。
オキサゾリン基含有単量体としては、本発明の効果を損なわない範囲で任意の適切なオキサゾリン基含有単量体を採用し得る。このようなオキサゾリン基含有単量体としては、例えば、2-ビニル-2-オキサゾリン、2-ビニル-4-メチル-2-オキサゾリン、2-ビニル-5-メチル-2-オキサゾリン、2-イソプロペニル-2-オキサゾリン、2-イソプロペニル-4-メチル-2-オキサゾリン、2-イソプロペニル-5-メチル-2-オキサゾリン、2-イソプロペニル-5-エチル-2-オキサゾリン、4,4-ジメチル-2-ビニル-2-オキサゾリン、4,4-ジメチル-2-ビニル-5,5-ジヒドロ-4H-1,3-オキサゾリン、2-イソプロペニル-2-オキサゾリン、4,4-ジメチル-2-イソプロペニル-2-オキサゾリンなどが挙げられる。これらのオキサゾリン基含有単量体の中では、入手が容易であること等から、2-イソプロペニル-2-オキサゾリンが好ましい。
オキサゾリン基含有単量体は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
オキサゾリン基含有単量体と共重合可能な単量体としては、本発明の効果を損なわない範囲で任意の適切な単量体を採用し得る。このような単量体としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、シクロへキシル(メタ)アクリレート、2-エチルへキシル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸とポリエチレングリコールとのモノエステル化物、2-アミノエチル(メタ)アクリレートおよびその塩、(メタ)アクリル酸のカプロラクトン変性物、(メタ)アクリル酸-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、(メタ)アクリル酸-1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジンなどの(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸ナトリウム、(メタ)アクリル酸カリウム、(メタ)アクリル酸アンモニウムなどの(メタ)アクリル酸塩;(メタ)アクリロニトリルなどの不飽和ニトリル;(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-(2-ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミドなどの不飽和アミド;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテルなどのビニルエーテル;エチレン、プロピレンなどのα-オレフィン;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニルなどのハロゲン含有α,β-不飽和脂肪族炭化水素化合物;スチレン、α-メチルスチレン、スチレンスルホン酸ナトリウムなどのα,β-不飽和芳香族炭化水素化合物;などが挙げられる。
オキサゾリン基含有単量体と共重合可能な単量体は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
水溶性のオキサゾリン基含有重合体は、オキサゾリン基含有単量体と共重合可能な単量体として、親水性の単量体を用いることによって調製することができる。親水性の単量体としては、本発明の効果を損なわない範囲で任意の適切な親水性の単量体を採用し得る。このような親水性の単量体としては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸とポリエチレングリコールとのモノエステル化物、2-アミノエチル(メタ)アクリレートおよびその塩、(メタ)アクリル酸ナトリウム、(メタ)アクリル酸アンモニウム、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-(2-ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、スチレンスルホン酸ナトリウムなどが挙げられる。これらの親水性単量体の中では、水溶性を向上させる等の観点から、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸とポリエチレングリコールとのモノエステル化物などのポリエチレングリコール鎖を有する単量体が好ましい。
上記の単量体成分を重合させる方法としては、本発明の効果を損なわない範囲で任意の適切な重合方法を採用し得る。このような重合方法としては、例えば、水性媒体を用いた溶液重合法、乳化重合法、懸濁重合法、塊状重合法などが挙げられる。重合条件としては、例えば、重合温度は、好ましくは20℃~150℃であり、重合時間は、好ましくは1時間~24時間である。単量体成分は、例えば、反応容器に一括して仕込んでもよく、滴下しながら連続的または逐次的に仕込んでもよい。単量体成分の重合は、例えば、窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気中で行なうことが好ましい。
水性媒体としては、例えば、水または水と均一に混合する有機溶媒との混合溶媒が挙げられる。有機溶媒としては、本発明の効果を損なわない範囲で任意の適切な有機溶媒を採用し得る。このような有機溶媒としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール、tert-ブチルアルコールなどの低級アルコール;エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールなどのグリコール;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトンなどが挙げられる。水性媒体の中では、水が好ましい。
水性媒体は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
水性媒体の量は、本発明の効果を損なわない範囲で、例えば、単量体成分の組成などに応じて、任意の適切な量に適宜調整し得る。
単量体成分を重合させる際には、必要により、重合開始剤を用いてもよい。重合開始剤としては、本発明の効果を損なわない範囲で任意の適切な重合開始剤を採用し得る。このような重合開始剤としては、例えば、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2-アミジノプロパン)二塩酸塩などのアゾ化合物;過硫酸カリウムなどの過硫酸塩;ベンゾイルパーオキサイド、ジ-tert-ブチルパーオキサイドなどの過酸化物;などが挙げられる。
重合開始剤の量は、本発明の効果を損なわない範囲で、例えば、単量体成分の組成などに応じて、任意の適切な量に適宜調整し得る。
重合開始剤は、単量体成分とともに反応容器に一括して添加してもよく、滴下などによって連続的または逐次的に添加してもよい。
単量体成分を重合させる際には、必要により、界面活性剤を用いてもよい。
オキサゾリン基含有重合体は、重合体を後変性させることによってオキサゾリン環を導入することにより、調製することもできる。重合体を後変性させることによってオキサゾリン環を導入する方法としては、例えば、ニトリル基を有する重合体とモノアミノアルコールとを反応させる方法(例えば、特開平9-235320号公報参照)、ポリメタクリル酸エステルのエステル部分をモノエタノールアミンと反応させ、さらに脱水環化させてオキサゾリン環を導入する方法(例えば、米国特許第5705573号明細書参照)などが挙げられる。
オキサゾリン基含有化合物に含まれる不揮発分量(固形分量)は、本発明の効果を損なわない範囲で任意の適切な量に調整し得る。このような不揮発分量(固形分量)としては、好ましくは1質量%~70質量%であり、より好ましくは10質量~50質量である。また、オキサゾリン基含有化合物の不揮発分(固形分)におけるオキサゾリン当量は、好ましくは120~2200であり、より好ましくは130~1100である。
オキサゾリン基含有化合物としては、例えば、(株)日本触媒製、商品名:エポクロスWS-300、エポクロスWS-500、エポクロスWS-700、エポクロスK-2010、エポクロスK-2020、エポクロスK-2030などとして商業的に容易に入手することができる。これらの中では、(株)日本触媒製、商品名:エポクロスWS-300、エポクロスWS-500、エポクロスWS-700などの水溶性を有するオキサゾリン基含有化合物が好ましい。
≪セメント用添加剤≫
本発明の実施形態によるセメント用添加剤は、一般式(1)で表される環状イミノエーテル基を有する環状イミノエーテル基含有化合物(A)と、アルカノールアミン化合物(B)および化合物(C)からなる群から選ばれる少なくとも1種とを含む。
環状イミノエーテル基含有化合物(A)は、1種であってもよいし、2種以上であってもよい。
本発明の実施形態によるセメント用添加剤は、アルカノールアミン化合物(B)および化合物(C)からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む。すなわち、本発明の実施形態によるセメント用添加剤は、アルカノールアミン化合物(B)を含んで化合物(C)を含まない形態でもよいし、アルカノールアミン化合物(B)を含まずに化合物(C)を含む形態でもよいし、アルカノールアミン化合物(B)と化合物(C)の両方を含む形態でもよい。
アルカノールアミン化合物(B)は、1種であってもよいし、2種以上であってもよい。
化合物(C)は、1種であってもよいし、2種以上であってもよい。
本発明の実施形態によるセメント用添加剤は、環状イミノエーテル基含有化合物(A)と、アルカノールアミン化合物(B)および化合物(C)からなる群から選ばれる少なくとも1種とを含むことにより、セメント組成物の硬化物の強度を長期にわたって顕著に向上させ得るという効果を発現する。具体的には、本発明が発現し得るセメント組成物の硬化物の長期強度向上効果は、環状イミノエーテル基含有化合物(A)のみに起因するセメント組成物の硬化物の長期強度向上効果と、アルカノールアミン化合物(B)および化合物(C)からなる群から選ばれる少なくとも1種のみに起因するセメント組成物の硬化物の長期強度向上効果との単純和から予想される効果に比べて、顕著に高い相乗効果を示す。
上記の相乗効果をより具体的に説明すると、セメント組成物の硬化物の長期強度を測定する場合、本発明の実施形態によるセメント用添加剤は、
(i)環状イミノエーテル基含有化合物(A)を含み、アルカノールアミン化合物(B)と化合物(C)のいずれも含まないセメント用添加剤を用いて測定される長期強度をaとし、
(ii)環状イミノエーテル基含有化合物(A)を含まず、アルカノールアミン化合物(B)および化合物(C)からなる群から選ばれる少なくとも1種を含むセメント用添加剤を用いて測定される長期強度をbとし、
(iii)環状イミノエーテル基含有化合物(A)と、アルカノールアミン化合物(B)および化合物(C)からなる群から選ばれる少なくとも1種とを含むセメント用添加剤を用いて測定される長期強度をcとし、
(iv)環状イミノエーテル基含有化合物(A)を含まず、アルカノールアミン化合物(B)も化合物(C)も含まないセメント用添加剤を用いて測定される長期強度をdとすると、
c-d>(a-d)+(b-d)
の関係となる効果を発現し得る。
本発明の実施形態によるセメント用添加剤中の、環状イミノエーテル基含有化合物(A)と、アルカノールアミン化合物(B)および化合物(C)からなる群から選ばれる少なくとも1種との合計量の含有割合は、好ましくは50質量%~100質量%であり、より好ましくは70質量%~100質量%であり、さらに好ましくは90質量%~100質量%であり、特に好ましくは95質量%~100質量%であり、最も好ましくは実質的に100質量%である。すなわち、最も好ましくは、本発明のセメント用添加剤は、実質的に、環状イミノエーテル基含有化合物(A)と、アルカノールアミン化合物(B)および化合物(C)からなる群から選ばれる少なくとも1種からなる。なお、ここでいう「実質的に、環状イミノエーテル基含有化合物(A)と、アルカノールアミン化合物(B)および化合物(C)からなる群から選ばれる少なくとも1種からなる」とは、本発明の実施形態によるセメント用添加剤に、本発明の効果を損なわない範囲で任意のその他の成分が微量含まれていてもよい意味である。
本発明の実施形態によるセメント用添加剤中の、環状イミノエーテル基含有化合物(A)の不揮発分(固形分)の含有割合は、セメントに対して、好ましくは0.00001質量%~5質量%であり、より好ましくは0.00005質量%~3質量%であり、さらに好ましくは0.0001質量%~1質量%であり、特に好ましくは0.0005質量%~0.5質量%であり、最も好ましくは0.001質量%~0.1質量%である。本発明の実施形態によるセメント用添加剤中の、環状イミノエーテル基含有化合物(A)の不揮発分(固形分)の含有割合を、上記範囲内に調整することによって、本発明の実施形態によるセメント用添加剤は、セメント組成物の硬化物の強度を長期にわたってより顕著に向上させ得る。環状イミノエーテル基含有化合物(A)の不揮発分(固形分)の含有割合が、セメントに対して、上記範囲から外れて少な過ぎたり多過ぎたりすると、セメント用添加剤は、セメント組成物の硬化物の強度を長期にわたって向上させ難いおそれがある。
本発明の実施形態によるセメント用添加剤中の、アルカノールアミン化合物(B)および化合物(C)からなる群から選ばれる少なくとも1種の含有割合は、セメントに対して、好ましくは0.00001質量%~5質量%であり、より好ましくは0.00005質量%~3質量%であり、さらに好ましくは0.0001質量%~1質量%であり、特に好ましくは0.0005質量%~0.5質量%であり、最も好ましくは0.001質量%~0.1質量%である。本発明の実施形態によるセメント用添加剤中の、アルカノールアミン化合物(B)および化合物(C)からなる群から選ばれる少なくとも1種の含有割合を、上記範囲内に調整することによって、本発明の実施形態によるセメント用添加剤は、セメント組成物の硬化物の強度を長期にわたってより顕著に向上させ得る。アルカノールアミン化合物(B)および化合物(C)からなる群から選ばれる少なくとも1種の含有割合が、セメントに対して、上記範囲から外れて少な過ぎたり多過ぎたりすると、セメント組成物の硬化物の強度を長期にわたって向上させ難いおそれがある。
本発明の実施形態によるセメント用添加剤中の、環状イミノエーテル基含有化合物(A)の不揮発分(固形分)に対する、アルカノールアミン化合物(B)および化合物(C)からなる群から選ばれる少なくとも1種の含有比は、[{(B)+(C)}/(A)]として、好ましくは0.01~10000であり、より好ましくは0.05~5000であり、さらに好ましくは0.1~1000であり、特に好ましくは0.5~800であり、最も好ましくは1~500である。本発明の実施形態によるセメント用添加剤中の、環状イミノエーテル基含有化合物(A)の不揮発分(固形分)に対する、アルカノールアミン化合物(B)および化合物(C)からなる群から選ばれる少なくとも1種の含有比を、上記範囲内に調整することによって、本発明の実施形態によるセメント用添加剤は、セメント組成物の硬化物の強度を長期にわたってより顕著に向上させ得る。環状イミノエーテル基含有化合物(A)の不揮発分(固形分)に対する、アルカノールアミン化合物(B)および化合物(C)からなる群から選ばれる少なくとも1種の含有比が、上記範囲から外れて少な過ぎたり多過ぎたりすると、セメント組成物の硬化物の強度を長期にわたって向上させ難いおそれがある。
<環状イミノエーテル基含有化合物(A)>
本発明の実施形態によるセメント用添加剤中の環状イミノエーテル基含有化合物(A)については、≪セメント用強度向上剤≫の項目における説明を援用し得る。
<アルカノールアミン化合物(B)>
アルカノールアミン化合物(B)としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切なアルカノールアミン化合物を採用し得る。このようなアルカノールアミン化合物としては、例えば、低分子型のアルカノールアミン化合物、高分子型のアルカノールアミン化合物などが挙げられる。
低分子型のアルカノールアミン化合物としては、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、メチルエタノールアミン、メチルイソプロパノールアミン、メチルジエタノールアミン、メチルジイソプロパノールアミン、ジエタノールイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールエタノールアミン、テトラヒドロキシエチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラキス(2-ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、トリス(2-ヒドロキシブチル)アミンなどが挙げられる。これらの中でも、低分子型のアルカノールアミン化合物としては、好ましくは、トリイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールエタノールアミン、N,N,N’,N’-テトラキス(2-ヒドロキシプロピル)エチレンジアミンが挙げられる。他の低分子型のアルカノールアミン化合物としては、例えば、トリイソプロパノールアミンの骨格を有するモノマーなども挙げられる。
高分子型のアルカノールアミン化合物としては、例えば、アルカノールアミンの一部がポリマーと結合している構造のアルカノールアミンが挙げられる。このような高分子型のアルカノールアミン化合物としては、例えば、トリイソプロパノールアミンの骨格を有するポリマーが挙げられる。
<化合物(C)>
化合物(C)は、オキシカルボン酸もしくはその塩、ケト酸もしくはその塩、糖、糖アルコールから選ばれる少なくとも1種である。
化合物(C)が、オキシカルボン酸もしくはその塩、ケト酸もしくはその塩、糖、糖アルコールから選ばれる2種以上である場合、その好ましい組み合わせは、オキシカルボン酸もしくはその塩を必須に含む組み合わせである。例えば、オキシカルボン酸もしくはその塩、ケト酸もしくはその塩、糖、糖アルコールから選ばれる2種である場合には、好ましい組み合わせは、オキシカルボン酸もしくはその塩の2種、オキシカルボン酸もしくはその塩の1種とケト酸もしくはその塩の1種、オキシカルボン酸もしくはその塩の1種と糖の1種、オキシカルボン酸もしくはその塩の1種と糖アルコールの1種である。
オキシカルボン酸としては、任意の適切なオキシカルボン酸を採用し得る。このようなオキシカルボン酸としては、例えば、グリコール酸、グルコン酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、グルコヘプトン酸、アラボン酸などが挙げられる。本発明の効果がより発現し得る点で、好ましくは、グリコール酸、グルコン酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸から選ばれる少なくとも1種である。
オキシカルボン酸の塩として採用し得る塩としては、例えば、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、トリエタノールアミン等の、無機塩または有機塩が挙げられる。
オキシカルボン酸塩としては、好ましくは、グルコン酸ナトリウムが挙げられる。
ケト酸としては、任意の適切なケト酸を採用し得る。このようなケト酸としては、例えば、ピルビン酸、オキソグルタル酸などが挙げられる。本発明の効果がより発現し得る点で、好ましくは、ピルビン酸である。
ケト酸の塩として採用し得る塩としては、例えば、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、トリエタノールアミン等の、無機塩または有機塩が挙げられる。
糖としては、任意の適切な糖を採用し得る。このような糖としては、例えば、グルコース、フラクトース、ガラクトース、マンノース、キシロース、アラビノース、リボース、異性化糖などの単糖類;マルトース、スクロース(シュークロースともいう)、ラクトースなどの二糖類;ラフィノースなどの三糖類;デキストリンなどのオリゴ糖;などが挙げられる。本発明の効果がより発現し得る点で、好ましくは、グルコース、スクロースである。
糖アルコールとしては、任意の適切な糖アルコールを採用し得る。このような糖アルコールとしては、例えば、ソルビトール、グリセリン、キシリトール、D-アラビニトール、L-アラビニトール、リビトール、ボレミトール、ペルセイトール、エリスリトール、マンニトール、ガラクチトール、D-トレイトール、L-トレイトール、D-イジトール、D-グリシドール、D-エリトローD-ガラクト-オクチトールなどが挙げられる。本発明の効果がより発現し得る点で、好ましくは、ソルビトールである。
本発明の実施形態によるセメント用添加剤は、環状イミノエーテル基含有化合物(A)とアルカノールアミン化合物(B)および化合物(C)からなる群から選ばれる少なくとも1種以外に、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切なその他の成分を含んでいてもよい。
≪セメント組成物≫
本発明の実施形態によるセメント組成物は、本発明の実施形態によるセメント用添加剤を含む。
本発明の実施形態によるセメント組成物は、本発明の実施形態によるセメント用添加剤の他に、好ましくは、セメントと水と骨材を含み、より好ましくは、セメントと水と骨材とセメント混和剤を含む。
骨材としては、細骨材(砂等)や粗骨材(砕石等)などの任意の適切な骨材を採用し得る。このような骨材としては、例えば、砂利、砕石、水砕スラグ、再生骨材が挙げられる。また、このような骨材として、珪石質、粘土質、ジルコン質、ハイアルミナ質、炭化珪素質、黒鉛質、クロム質、クロマグ質、マグネシア質等の耐火骨材も挙げられる。
セメント混和剤は、本発明の効果をより効果的に発現し得る点で、好ましくは、セメント混和剤用ポリマーを含む。
セメント混和剤用ポリマーとしては、例えば、セメント分散剤が挙げられる。セメント分散剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
セメント分散剤としては、例えば、分子中にスルホン酸基を有するスルホン酸系分散剤、ポリカルボン酸系分散剤などが挙げられる。
スルホン酸系分散剤としては、例えば、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、メチルナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、アントラセンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物等の、ポリアルキルアリールスルホン酸塩系スルホン酸系分散剤;メラミンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物等の、メラミンホルマリン樹脂スルホン酸塩系スルホン酸系分散剤;アミノアリールスルホン酸-フェノール-ホルムアルデヒド縮合物等の、芳香族アミノスルホン酸塩系スルホン酸系分散剤;リグニンスルホン酸塩、変性リグニンスルホン酸塩等のリグニンスルホン酸塩系スルホン酸系分散剤;ポリスチレンスルホン酸塩系スルホン酸系分散剤;などが挙げられる。
セメント混和剤は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な他のセメント添加剤(材)を含有することができる。このような他のセメント添加剤(材)としては、例えば、以下の(1)~(13)に例示するような他のセメント添加剤(材)が挙げられる。セメント混和剤に含まれ得るセメント混和剤用ポリマーとこのような他のセメント添加剤(材)との配合比は、用いる他のセメント添加剤(材)の種類や目的に応じて、任意の適切な配合比を採用し得る。
(1)水溶性高分子物質:メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等の非イオン性セルロースエーテル類;酵母グルカンやキサンタンガム、β-1.3グルカン類等の微生物醗酵によって製造される多糖類;ポリアクリルアミド等。
(2)高分子エマルジョン:(メタ)アクリル酸アルキル等の各種ビニル単量体の共重合物等。
(3)硬化化合物:グルコン酸、グルコヘプトン酸、アラボン酸、リンゴ酸、クエン酸等のオキシカルボン酸もしくはその塩;糖及び糖アルコール;グリセリン等の多価アルコール;アミノトリ(メチレンホスホン酸)等のホスホン酸及びその誘導体等。
なお、環状イミノエーテル基含有化合物(A)の不揮発分(固形分)に対する硬化化合物の割合としては、好ましくは0.1質量%~1000質量%であり、より好ましくは0.5質量%~700質量%であり、さらに好ましくは0.5質量%~500質量%であり、特に好ましくは1質量%~300質量%である。
(4)早強剤・促進剤:塩化カルシウム、亜硝酸カルシウム、硝酸カルシウム、臭化カルシウム、ヨウ化カルシウム等の可溶性カルシウム塩;塩化鉄、塩化マグネシウム等の塩化物;硫酸塩;水酸化カリウム;水酸化ナトリウム;炭酸塩;チオ硫酸塩;ギ酸及びギ酸カルシウム等のギ酸塩;アルカノールアミン;アルミナセメント;カルシウムアルミネートシリケート等。
(5)オキシアルキレン系消泡剤:ジエチレングリコールヘプチルエーテル等のポリオキシアルキレンアルキルエーテル類;ポリオキシアルキレンアセチレンエーテル類;(ポリ)オキシアルキレン脂肪酸エステル類;ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル類;ポリオキシアルキレンアルキル(アリール)エーテル硫酸エステル塩類;ポリオキシアルキレンアルキルリン酸エステル類;ポリオキシプロピレンポリオキシエチレンラウリルアミン(プロピレンオキシド1~20モル付加、エチレンオキシド1~20モル付加物等)、アルキレンオキシドを付加させた硬化牛脂から得られる脂肪酸由来のアミン(プロピレンオキシド1~20モル付加、エチレンオキシド1~20モル付加物等)等のポリオキシアルキレンアルキルアミン類;ポリオキシアルキレンアミド等。
(6)オキシアルキレン系以外の消泡剤:鉱油系、油脂系、脂肪酸系、脂肪酸エステル系、アルコール系、アミド系、リン酸エステル系、金属石鹸系、シリコーン系等の消泡剤。
(7)AE剤:樹脂石鹸、飽和又は不飽和脂肪酸、ヒドロキシステアリン酸ナトリウム、ラウリルサルフェート、ABS(アルキルベンゼンスルホン酸)、アルカンスルホネート、ポリオキシエチレンアルキル(フェニル)エーテル、ポリオキシエチレンアルキル(フェニル)エーテル硫酸エステル又はその塩、ポリオキシエチレンアルキル(フェニル)エーテルリン酸エステル又はその塩、タンパク質材料、アルケニルスルホコハク酸、α-オレフィンスルホネート等。
(8)その他界面活性剤:各種アニオン性界面活性剤;アルキルトリメチルアンモニウムクロライド等の各種カチオン性界面活性剤;各種ノニオン性界面活性剤;各種両性界面活性剤等。
(9)防水剤:脂肪酸(塩)、脂肪酸エステル、油脂、シリコン、パラフィン、アスファルト、ワックス等。
(10)防錆剤:亜硝酸塩、リン酸塩、酸化亜鉛等。
(11)ひび割れ低減剤:ポリオキシアルキルエーテル等。
(12)膨張材;エトリンガイト系、石炭系等。
(13)キレート剤;エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、3-ヒドロキシ-2,2’-イミノジコハク酸4ナトリウム等。
その他の公知のセメント添加剤(材)としては、セメント湿潤剤、増粘剤、分離低減剤、凝集剤、乾燥収縮低減剤、強度増進剤、セルフレベリング剤、防錆剤、着色剤、防カビ剤等を挙げることができる。これら公知のセメント添加剤(材)は1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
本発明の実施形態によるセメント組成物に含まれるセメントとしては、任意の適切なセメントを採用し得る。このようなセメントとしては、例えば、ポルトランドセメント(普通、早強、超早強、中庸熱、耐硫酸塩及びそれぞれの低アルカリ形)、各種混合セメント(高炉セメント、シリカセメント、フライアッシュセメント)、白色ポルトランドセメント、アルミナセメント、超速硬セメント(1クリンカー速硬性セメント、2クリンカー速硬性セメント、リン酸マグネシウムセメント)、グラウト用セメント、油井セメント、低発熱セメント(低発熱型高炉セメント、フライアッシュ混合低発熱型高炉セメント、ビーライト高含有セメント)、超高強度セメント、セメント系固化材、エコセメント(都市ごみ焼却灰、下水汚泥焼却灰の一種以上を原料として製造されたセメント)などが挙げられる。さらに、本発明のセメント組成物には、高炉スラグ、フライアッシュ、シンダーアッシュ、クリンカーアッシュ、ハスクアッシュ、シリカ粉末、石灰石粉末等の微粉体や石膏が添加されていても良い。本発明の実施形態によるセメント組成物に含まれるセメントは、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
本発明の実施形態によるセメント組成物においては、その1mあたりの単位水量、セメント使用量、および水/セメント比としては任意の適切な値を設定し得る。このような値としては、好ましくは、単位水量が100kg/m~185kg/mであり、使用セメント量が250kg/m~800kg/mであり、水/セメント比(質量比)=0.1~0.7であり、より好ましくは、単位水量が120kg/m~175kg/mであり、使用セメント量が270kg/m~800kg/mであり、水/セメント比(質量比)=0.12~0.65である。このように、本発明の実施形態によるセメント組成物は、貧配合~富配合まで幅広く使用可能であり、単位セメント量の多い高強度コンクリート、単位セメント量が300kg/m以下の貧配合コンクリートのいずれにも有効である。
本発明の実施形態によるセメント組成物がセメント混和剤用ポリマーを含む場合、本発明の実施形態によるセメント組成物中の、セメント混和剤用ポリマーの含有割合としては、目的に応じて、任意の適切な含有割合を採用し得る。このような含有割合としては、水硬セメントを用いるモルタルやコンクリート等に使用する場合には、セメント100質量部に対するセメント混和剤用ポリマーの含有割合として、好ましくは0.01質量部~10質量部であり、より好ましくは0.02質量部~5質量部であり、さらに好ましくは0.05質量部~3質量部である。このような含有割合とすることにより、単位水量の低減、強度の増大、耐久性の向上等の各種の好ましい諸効果がもたらされる。上記含有割合が0.01質量部未満の場合、十分な性能を発現できないおそれがあり、上記含有割合が10質量部を超える場合、発現できる効果が実質上頭打ちとなって経済性の面からも不利となるおそれがある。
本発明の実施形態によるセメント組成物中のセメント混和剤の含有割合としては、目的に応じて、任意の適切な含有割合を採用し得る。このような含有割合としては、セメント100質量部に対するセメント混和剤の含有割合として、好ましくは0.01質量部~10質量部であり、より好ましくは0.05質量部~8質量部であり、さらに好ましくは0.1質量部~5質量部である。上記含有割合が0.01質量部未満の場合、十分な性能を発現できないおそれがあり、上記含有割合が10質量部を超える場合、発現できる効果が実質上頭打ちとなって経済性の面からも不利となるおそれがある。
本発明の実施形態によるセメント組成物は、レディーミクストコンクリート、コンクリート2次製品用のコンクリート、遠心成形用コンクリート、振動締め固め用コンクリート、蒸気養生コンクリート、吹付けコンクリート等に有効であり得る。本発明のセメント組成物は、中流動コンクリート(スランプ値が22~25cmのコンクリート)、高流動コンクリート(スランプ値が25cm以上で、スランプフロー値が50~70cmのコンクリート)、自己充填性コンクリート、セルフレベリング材等の高い流動性を要求されるモルタルやコンクリートにも有効であり得る。
本発明の実施形態によるセメント組成物は、構成成分を任意の適切な方法で配合して調整すれば良い。例えば、構成成分をミキサー中で混練する方法などが挙げられる。
≪セメント強度向上方法≫
本発明の実施形態によるセメント強度向上方法は、一般式(1)で表される環状イミノエーテル基を有する環状イミノエーテル基含有化合物(A)を用いる。
環状イミノエーテル基含有化合物(A)については、上述の≪セメント用添加剤≫の項目における説明を援用し得る。
本発明の実施形態によるセメント強度向上方法は、好ましくは、セメントを含むセメント配合物に、環状イミノエーテル基含有化合物(A)を添加する。
セメント配合物は、好ましくは、セメントと水と骨材を含み、より好ましくは、セメントと水と骨材とセメント混和剤を含む。
セメント配合物に含まれ得るセメント、水、骨材、セメント混和剤については、上述の≪セメント組成物≫の項における説明を援用し得る。
本発明の実施形態によるセメント強度向上方法における、環状イミノエーテル基含有化合物(A)の不揮発分(固形分)の、セメントに対する添加量は、好ましくは0.00001質量%~5質量%であり、より好ましくは0.00005質量%~3質量%であり、さらに好ましくは0.0001質量%~1質量%であり、特に好ましくは0.0005質量%~0.5質量%であり、最も好ましくは0.001質量%~0.1質量%である。本発明の実施形態によるセメント強度向上方法における、環状イミノエーテル基含有化合物(A)の不揮発分(固形分)の、セメントに対する添加量を、上記範囲内に調整することによって、本発明の実施形態によるセメント強度向上方法は、セメント組成物の硬化物の強度を長期にわたって顕著に向上させ得るという効果を発現する。本発明の実施形態によるセメント強度向上方法における、環状イミノエーテル基含有化合物(A)の不揮発分(固形分)の、セメントに対する添加量が、上記範囲から外れて少な過ぎたり多過ぎたりすると、セメント組成物の硬化物の強度を長期にわたって向上させ難いおそれがある。
本発明の実施形態によるセメント強度向上方法においては、アルカノールアミン化合物(B)および化合物(C)からなる群から選ばれる少なくとも1種を、セメントを含むセメント配合物に添加してもよい。アルカノールアミン化合物(B)および化合物(C)からなる群から選ばれる少なくとも1種は、アルカノールアミン化合物(B)を含んで化合物(C)を含まない形態でもよいし、アルカノールアミン化合物(B)を含まずに化合物(C)を含む形態でもよいし、アルカノールアミン化合物(B)と化合物(C)の両方を含む形態でもよい。
アルカノールアミン化合物(B)および化合物(C)からなる群から選ばれる少なくとも1種は、化合物(A)と一緒に添加してもよいし、別々に添加してもよい。また、アルカノールアミン化合物(B)および化合物(C)からなる群から選ばれる少なくとも1種は、化合物(A)と、同時に添加してもよいし、時間を少なくとも一部ずらして添加してもよい。
アルカノールアミン化合物(B)は、1種であってもよいし、2種以上であってもよい。
化合物(C)は、1種であってもよいし、2種以上であってもよい。
本発明の実施形態によるセメント強度向上方法においては、好ましくは、環状イミノエーテル基含有化合物(A)と、アルカノールアミン化合物(B)および化合物(C)からなる群から選ばれる少なくとも1種とを、セメントを含むセメント配合物に添加する。このように、環状イミノエーテル基含有化合物(A)と、アルカノールアミン化合物(B)および化合物(C)からなる群から選ばれる少なくとも1種とを併用することにより、セメント組成物の硬化物の強度を長期にわたって顕著に向上させ得るという効果を発現し得る。具体的には、本発明が発現し得るセメント組成物の硬化物の長期強度向上効果は、環状イミノエーテル基含有化合物(A)のみに起因するセメント組成物の硬化物の長期強度向上効果と、アルカノールアミン化合物(B)および化合物(C)からなる群から選ばれる少なくとも1種に起因するセメント組成物の硬化物の長期強度向上効果との単純和から予想される効果に比べて、顕著に高い相乗効果を示す。
上記の相乗効果をより具体的に説明すると、セメント組成物の硬化物の長期強度を測定する場合、本発明の実施形態によるセメント強度向上方法においては、
(i)環状イミノエーテル基含有化合物(A)を添加し、アルカノールアミン化合物(B)と化合物(C)のいずれも添加しない場合に測定される長期強度をaとし、
(ii)環状イミノエーテル基含有化合物(A)を添加せず、アルカノールアミン化合物(B)および化合物(C)からなる群から選ばれる少なくとも1種を添加した場合に測定される長期強度をbとし、
(iii)環状イミノエーテル基含有化合物(A)と、アルカノールアミン化合物(B)および化合物(C)からなる群から選ばれる少なくとも1種とを添加した場合に測定される長期強度をcとすると、
(iv)環状イミノエーテル基含有化合物(A)を添加せず、アルカノールアミン化合物(B)も化合物(C)も添加しない場合に測定される長期強度をdとすると、
c-d>(a-d)+(b-d)
の関係となる効果を発現し得る。
本発明の実施形態によるセメント強度向上方法における、アルカノールアミン化合物(B)および化合物(C)からなる群から選ばれる少なくとも1種の、セメントに対する添加量は、好ましくは0.00001質量%~5質量%であり、より好ましくは0.00005質量%~3質量%であり、さらに好ましくは0.0001質量%~1質量%であり、特に好ましくは0.0005質量%~0.5質量%であり、最も好ましくは0.001質量%~0.1質量%である。本発明の実施形態によるセメント強度向上方法における、アルカノールアミン化合物(B)および化合物(C)からなる群から選ばれる少なくとも1種の、セメントに対する添加量を、上記範囲内に調整することによって、本発明の実施形態によるセメント強度向上方法は、セメント組成物の硬化物の強度を長期にわたって顕著に向上させ得るという効果を発現し得る。本発明の実施形態によるセメント強度向上方法における、アルカノールアミン化合物(B)および化合物(C)からなる群から選ばれる少なくとも1種の、セメントに対する添加量が、上記範囲から外れて少な過ぎたり多過ぎたりすると、セメント組成物の硬化物の強度を長期にわたって向上させ難いおそれがある。
本発明の実施形態によるセメント強度向上方法において、環状イミノエーテル基含有化合物(A)の不揮発分(固形分)に対する、アルカノールアミン化合物(B)および化合物(C)からなる群から選ばれる少なくとも1種の含有比は、[{(B)+(C)}/(A)]として、好ましくは0.01~10000であり、より好ましくは0.05~5000であり、さらに好ましくは0.1~1000であり、特に好ましくは0.5~800であり、最も好ましくは1~500である。本発明の実施形態によるセメント強度向上方法において、環状イミノエーテル基含有化合物(A)の不揮発分(固形分)に対する、アルカノールアミン化合物(B)および化合物(C)からなる群から選ばれる少なくとも1種の含有比を、上記範囲内に調整することによって、本発明の実施形態によるセメント強度向上方法において、セメント組成物の硬化物の強度を長期にわたってより顕著に向上させ得る。環状イミノエーテル基含有化合物(A)の不揮発分(固形分)に対する、アルカノールアミン化合物(B)および化合物(C)からなる群から選ばれる少なくとも1種の含有比が、上記範囲から外れて少な過ぎたり多過ぎたりすると、セメント組成物の硬化物の強度を長期にわたって向上させ難いおそれがある。
アルカノールアミン化合物(B)および化合物(C)については、上述の≪セメント用添加剤≫の項における説明を援用し得る。
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例には限定されない。なお、特に明記しない限り、部とある場合は質量部を意味し、%とある場合は質量%を意味する。なお、実施例1、2、27~32を参考例1~8と読み替えるものとする。
<平均粒子径>
ポリマー粒子の平均粒子径は、動的光散乱法による粒度分布測定器(大塚電子株式会社FPAR-1000)を用いて測定した。
<固形分(N.V.)>
固形分含量は、以下のようにして測定した。
1.アルミ皿を精秤する。
2.1で精秤したアルミ皿に固形分測定物を精秤する。
3.窒素雰囲気下130℃に調温した乾燥機に2で精秤した固形分測定物を1.5時間入れる。
4.1時間後、乾燥機から取り出し、室温のデシケーター内で15分間放冷する。
5.15分後、デシケーターから取り出し、アルミ皿+測定物を精秤する。
6.5で得られた質量から1で得られたアルミ皿の質量を差し引き、2で得られた固形分測定物の質量で除することで固形分を測定する。
<質量平均分子量分析条件>
・使用カラム:東ソー株式会社製、TSKguardcolumnα+TSKgelα-5000+TSKgelα-4000+TSKgelα-3000を各1本ずつ連結して使用した。
・溶離液:リン酸二水素ナトリウム・2HO:62.4g、リン酸水素二ナトリウム・12HO:143.3gを、イオン交換水:7794.3gに溶解させた溶液に、アセトニトリル:2000gを混合した溶液を用いた。
・検出器:Viscotek社製のトリプル検出器「Model302光散乱検出器」、直角光散乱として90°散乱角度、低角度光散乱として7°散乱角度、セル容量として18μL、波長として670nm。
・標準試料:東ソー株式会社製、ポリエチレングリコールSE-8(Mw=l07000)を用い、そのdn/dCを0.135ml/g、溶離液の屈折率を1.333として装置定数を決定した。
・打ち込み量
標準試料:ポリマー濃度が0.2vol%になるように上記溶離液で溶解させた溶液を100μL注入した。
サンプル:ポリマー濃度が1.0vol%になるように上記溶離液で溶解させた溶液を100μL注入した。
・流速:0.8ml/min
・カラム温度:40℃
<コンクリート試験>
セメントとして普通ポルトランドセメント(太平洋セメント社製)、細骨材として大井川水系産陸砂、粗骨材として青海産砕石、混練水として水道水を用い、セメント:382kg/m、水:172kg/m、細骨材:796kg/m、粗骨材:930kg/m、細骨材率(細骨材/細粗骨材+粗骨材)(容積比):47%、水/セメント比(質量比)=0.45の配合にてコンクリート組成物を調製した。なお、コンクリート組成物の温度が20℃の試験温度になるように、試験に使用する材料、強制練りミキサー、測定器具類を上記の試験温度雰囲気下で調温し、混練および各測定は上記の試験温度雰囲気下で行った。また、コンクリート組成物中の気泡がコンクリート組成物の流動性に及ぼす影響を避けるために、必要に応じてオキシアルキレン系消泡剤を用い、空気量が1.0±0.5%となるように調整した。
上記条件下に強制練りミキサーを用いて混練時間90秒間でコンクリートを製造し、スランプ値、フロー値及び空気量を測定した。なお、スランプ値、フロー値、および空気量の測定は、日本工業規格(JIS-A-1101、1128)に準拠して行った。また、セメント混和剤の添加量は、フロー値が37.5~42.5cmになる添加量とした。このように、フロー値を一定の範囲に収まるように揃えることにより、セメントの分散状態を一定の範囲に揃えることができる。特に、後述の28日圧縮強度の測定にあたっては、セメントの分散状態を一定の範囲に揃えないと、セメント用強度向上剤やセメント用添加剤の強度向上効果を比較することができない。すなわち、後述の表2、表3においては、セメント混和剤の添加量が少し変動しているが、これは上述のように、後述の28日圧縮強度の測定を正確に行うためにフロー値を一定の範囲に収まるように揃えるために、セメント混和剤の添加量を調整しているからである。
<28日後の圧縮強度の測定>
混練後、フロー値と空気量を測定し、圧縮強度試験用試料を作成し、以下の条件にて、28日後の圧縮強度を測定した。
供試体作成:100mm×200mm
供試体養生(28日):温度約20℃、湿度60%、恒温恒湿空気養生を24時間行った後、27日間水中で養生
供試体研磨:供試体面研磨(供試体研磨仕上げ機使用)
圧縮強度測定:自動圧縮強度測定器(前川製作所)
〔製造例1〕:セメント混和剤としての重合体(1)の製造
ジムロート冷却管、テフロン(登録商標)製の撹拌翼と撹拌シール付の撹拌器、窒素導入管、温度センサーを備えたガラス製反応容器にイオン交換水80.0部を仕込み、250rpmで撹拌下、窒素を200mL/分で導入しながら70℃まで加温した。次に、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリル酸エステル(エチレンオキシドの平均付加モル数9個)133.4部、メタクリル酸26.6部、メルカプトプロピオン酸1.53部およびイオン交換水106.7部の混合溶液を4時間かけて滴下し、それと同時に過硫酸アンモニウム1.19部とイオン交換水50.6部の混合溶液を5時間かけて滴下した。滴下完了後1時間、70℃に保って重合反応を完結させた。そして、水酸化ナトリウム水溶液で中和して、重量平均分子量100000の重合体(1)の水溶液を得た。
〔製造例2〕:セメント混和剤としての重合体(2)の製造
ジムロート冷却管、テフロン(登録商標)製の撹拌翼と撹拌シール付の撹拌器、窒素導入管、温度センサーを備えたガラス製反応容器に、3-メチル-3-ブテン-1-オール(イソプレノール)の水酸基にエチレンオキシドを付加(エチレンオキシドの平均付加モル数50)させたもの(以下、IPN-50と称す)(80%水溶液)198.2部、アクリル酸0.32部、過酸化水素水(2%水溶液)12.47部、イオン交換水44.75部を仕込み、250rpmで撹拌下、窒素を200mL/分で導入しながら58℃まで加温した。次に、アクリル酸27.12部、イオン交換水108.5部からなる混合溶液を3時間かけ滴下し、それと同時にL-アスコルビン酸0.74部、3-メルカプトプロピオン酸1.61部、イオン交換水86.31部からなる混合溶液を3時間30分かけて滴下した。滴下完了後1時間、58℃に保って重合反応を完結させた。そして、水酸化ナトリウム水溶液で中和して、重量平均分子量140000の重合体(2)の水溶液を得た。
〔製造例3〕:セメント混和剤としての重合体(3)の製造
特表2008-517080号公報記載の方法に準じて縮合反応を行い、ポリエチレングリコール(エチレンオキシドの平均付加モル数:20モル)モノフェニルエーテルとフェノキシエタノールホスフェートのホルムアルデヒドによる縮合によって、ポリエチレングリコール(エチレンオキシドの平均付加モル数:20モル)モノフェニルエーテルとフェノキシエタノールホスフェートの比率が30/70(モル%)、質量平均分子量(Mw)が25000の縮合体を含有するリン酸系分散剤である重合体(3)の水溶液を得た。
〔製造例4〕:セメント混和剤としての重合体(4)の製造
特表2004-519406号公報記載の方法に準じて共重合反応を行い、メタリルアルコールにエチレンオキシドを平均50モル付加した不飽和ポリアルキレングリコールエーテルとアクリル酸ナトリウムの共重合組成比が85/15(質量%)、19/81(モル%)、重量平均分子量(Mw)が32000の重合体(4)の水溶液を得た。
〔製造例5〕:セメント混和剤としての分散剤(5)の準備
マイティ150(花王社製)を分散剤(5)とした。
〔製造例6〕:セメント混和剤としての分散剤(6)の準備
マスターポゾリスNo.8(BASFジャパン社製)を分散剤(6)とした。
〔実施例1〕
環状イミノエーテル基含有化合物(A)として、水溶性オキサゾリン基含有化合物((株)日本触媒製、商品名:エポクロスWS-300、不揮発分(固形分)=10質量%)を採用し、これをセメント用強度向上剤(1)とした。
〔実施例2〕
環状イミノエーテル基含有化合物(A)として、水溶性オキサゾリン基含有化合物((株)日本触媒製、商品名:エポクロスWS-700、不揮発分(固形分)=25質量%)を採用し、これをセメント用強度向上剤(2)とした。
〔実施例3〕
環状イミノエーテル基含有化合物(A)としての水溶性オキサゾリン基含有化合物((株)日本触媒製、商品名:エポクロスWS-300、不揮発分(固形分)=10質量%)と、TIPA(トリイソプロパノールアミン、富士フイルム和光純薬工業社製)とを、表1の条件で配合して、セメント用添加剤(1)を調製した。
〔実施例4〕
環状イミノエーテル基含有化合物(A))としての水溶性オキサゾリン基含有化合物((株)日本触媒製、商品名:エポクロスWS-300、不揮発分(固形分)=10質量%)と、TIPA(トリイソプロパノールアミン、富士フイルム和光純薬工業社製)とを、表1の条件で配合して、セメント用添加剤(2)を調製した。
〔実施例5〕
環状イミノエーテル基含有化合物(A)としての水溶性オキサゾリン基含有化合物((株)日本触媒製、商品名:エポクロスWS-300、不揮発分(固形分)=10質量%)と、TIPA(トリイソプロパノールアミン、富士フイルム和光純薬工業社製)とを、表1の条件で配合して、セメント用添加剤(3)を調製した。
〔実施例6〕
環状イミノエーテル基含有化合物(A)としての水溶性オキサゾリン基含有化合物((株)日本触媒製、商品名:エポクロスWS-300、不揮発分(固形分)=10質量%)と、EDIPA(ヒドロキシエチルジイソプロパノールアミン、アルドリッチ社製)とを、表1の条件で配合して、セメント用添加剤(4)を調製した。
〔実施例7〕
環状イミノエーテル基含有化合物(A)としての水溶性オキサゾリン基含有化合物((株)日本触媒製、商品名:エポクロスWS-300、不揮発分(固形分)=10質量%)と、EDIPA(ヒドロキシエチルジイソプロパノールアミン、アルドリッチ社製)とを、表1の条件で配合して、セメント用添加剤(5)を調製した。
〔実施例8〕
環状イミノエーテル基含有化合物(A)としての水溶性オキサゾリン基含有化合物((株)日本触媒製、商品名:エポクロスWS-300、不揮発分(固形分)=10質量%)と、EDIPA(ヒドロキシエチルジイソプロパノールアミン、アルドリッチ社製)とを、表1の条件で配合して、セメント用添加剤(6)を調製した。
〔実施例9〕
環状イミノエーテル基含有化合物(A)としての水溶性オキサゾリン基含有化合物((株)日本触媒製、商品名:エポクロスWS-700、不揮発分(固形分)=25質量%)と、TIPA(トリイソプロパノールアミン、富士フイルム和光純薬工業社製)とを、表1の条件で配合して、セメント用添加剤(7)を調製した。
〔実施例10〕
環状イミノエーテル基含有化合物(A)としての水溶性オキサゾリン基含有化合物((株)日本触媒製、商品名:エポクロスWS-700、不揮発分(固形分)=25質量%)と、TIPA(トリイソプロパノールアミン、富士フイルム和光純薬工業社製)とを、表1の条件で配合して、セメント用添加剤(8)を調製した。
〔実施例11〕
環状イミノエーテル基含有化合物(A)としての水溶性オキサゾリン基含有化合物((株)日本触媒製、商品名:エポクロスWS-700、不揮発分(固形分)=25質量%)と、TIPA(トリイソプロパノールアミン、富士フイルム和光純薬工業社製)とを、表1の条件で配合して、セメント用添加剤(9)を調製した。
〔実施例12〕
環状イミノエーテル基含有化合物(A)としての水溶性オキサゾリン基含有化合物((株)日本触媒製、商品名:エポクロスWS-700、不揮発分(固形分)=25質量%)と、EDIPA(ヒドロキシエチルジイソプロパノールアミン、アルドリッチ社製)とを、表1の条件で配合して、セメント用添加剤(10)を調製した。
〔実施例13〕
環状イミノエーテル基含有化合物(A)としての水溶性オキサゾリン基含有化合物((株)日本触媒製、商品名:エポクロスWS-700、不揮発分(固形分)=25質量%)と、EDIPA(ヒドロキシエチルジイソプロパノールアミン、アルドリッチ社製)とを、表1の条件で配合して、セメント用添加剤(11)を調製した。
〔実施例14〕
環状イミノエーテル基含有化合物(A)としての水溶性オキサゾリン基含有化合物((株)日本触媒製、商品名:エポクロスWS-700、不揮発分(固形分)=25質量%)と、EDIPA(ヒドロキシエチルジイソプロパノールアミン、アルドリッチ社製)とを、表1の条件で配合して、セメント用添加剤(12)を調製した。
〔実施例15〕
環状イミノエーテル基含有化合物(A)としての水溶性オキサゾリン基含有化合物((株)日本触媒製、商品名:エポクロスWS-300、不揮発分(固形分)=10質量%)と、グルコン酸ナトリウム(富士フイルム和光純薬工業社製)とを、表1の条件で配合して、セメント用添加剤(13)を調製した。
〔実施例16〕
環状イミノエーテル基含有化合物(A)としての水溶性オキサゾリン基含有化合物((株)日本触媒製、商品名:エポクロスWS-300、不揮発分(固形分)=10質量%)と、グルコン酸ナトリウム(富士フイルム和光純薬工業社製)とを、表1の条件で配合して、セメント用添加剤(14)を調製した。
〔実施例17〕
環状イミノエーテル基含有化合物(A)としての水溶性オキサゾリン基含有化合物((株)日本触媒製、商品名:エポクロスWS-300、不揮発分(固形分)=10質量%)と、グルコン酸ナトリウム(富士フイルム和光純薬工業社製)とを、表1の条件で配合して、セメント用添加剤(15)を調製した。
〔実施例18〕
環状イミノエーテル基含有化合物(A)としての水溶性オキサゾリン基含有化合物((株)日本触媒製、商品名:エポクロスWS-300、不揮発分(固形分)=10質量%)と、ソルビトール(富士フイルム和光純薬工業社製)とを、表1の条件で配合して、セメント用添加剤(16)を調製した。
〔実施例19〕
環状イミノエーテル基含有化合物(A)としての水溶性オキサゾリン基含有化合物((株)日本触媒製、商品名:エポクロスWS-300、不揮発分(固形分)=10質量%)と、ソルビトール(富士フイルム和光純薬工業社製)とを、表1の条件で配合して、セメント用添加剤(17)を調製した。
〔実施例20〕
環状イミノエーテル基含有化合物(A)としての水溶性オキサゾリン基含有化合物((株)日本触媒製、商品名:エポクロスWS-300、不揮発分(固形分)=10質量%)と、ソルビトール(富士フイルム和光純薬工業社製)とを、表1の条件で配合して、セメント用添加剤(18)を調製した。
〔実施例21〕
環状イミノエーテル基含有化合物(A)としての水溶性オキサゾリン基含有化合物((株)日本触媒製、商品名:エポクロスWS-700、不揮発分(固形分)=25質量%)と、グルコン酸ナトリウム(富士フイルム和光純薬工業社製)とを、表1の条件で配合して、セメント用添加剤(19)を調製した。
〔実施例22〕
環状イミノエーテル基含有化合物(A)としての水溶性オキサゾリン基含有化合物((株)日本触媒製、商品名:エポクロスWS-700、不揮発分(固形分)=25質量%)と、グルコン酸ナトリウム(富士フイルム和光純薬工業社製)とを、表1の条件で配合して、セメント用添加剤(20)を調製した。
〔実施例23〕
環状イミノエーテル基含有化合物(A)としての水溶性オキサゾリン基含有化合物((株)日本触媒製、商品名:エポクロスWS-700、不揮発分(固形分)=25質量%)と、グルコン酸ナトリウム(富士フイルム和光純薬工業社製)とを、表1の条件で配合して、セメント用添加剤(21)を調製した。
〔実施例24〕
環状イミノエーテル基含有化合物(A)としての水溶性オキサゾリン基含有化合物((株)日本触媒製、商品名:エポクロスWS-700、不揮発分(固形分)=25質量%)と、ソルビトール(富士フイルム和光純薬工業社製)とを、表1の条件で配合して、セメント用添加剤(22)を調製した。
〔実施例25〕
環状イミノエーテル基含有化合物(A)としての水溶性オキサゾリン基含有化合物((株)日本触媒製、商品名:エポクロスWS-700、不揮発分(固形分)=25質量%)と、ソルビトール(富士フイルム和光純薬工業社製)とを、表1の条件で配合して、セメント用添加剤(23)を調製した。
〔実施例26〕
環状イミノエーテル基含有化合物(A)としての水溶性オキサゾリン基含有化合物((株)日本触媒製、商品名:エポクロスWS-700、不揮発分(固形分)=25質量%)と、ソルビトール(富士フイルム和光純薬工業社製)とを、表1の条件で配合して、セメント用添加剤(24)を調製した。
〔比較例1〕
表1のように、TIPA(トリイソプロパノールアミン、富士フイルム和光純薬工業社製)をセメント用添加剤(C1)とした。
〔比較例2〕
表1のように、EDIPA(ヒドロキシエチルジイソプロパノールアミン、アルドリッチ社製)をセメント用添加剤(C2)とした。
〔比較例3〕
表1のように、グルコン酸ナトリウム(富士フイルム和光純薬工業社製)をセメント用添加剤(C3)とした。
〔比較例4〕
表3のように、ソルビトール(富士フイルム和光純薬工業社製)をセメント用添加剤(C4)とした。
Figure 0007312654000005
〔実施例27~61〕
表2に示す条件にて、セメント混和剤と、セメント用強度向上剤またはセメント用添加剤を用いて、28日後の圧縮強度を測定した。結果を表2に示した。
〔比較例5〕
表2に示す条件にて、セメント混和剤を用いて、28日後の圧縮強度を測定した。結果を表2、表3に示した。
〔比較例6~9〕
表3に示す条件にて、セメント混和剤とセメント用添加剤を用いて、28日後の圧縮強度を測定した。比較例5の結果とともに、結果を表3に示した。
Figure 0007312654000006
Figure 0007312654000007
表2、表3に示すように、環状イミノエーテル基含有化合物(A)を含む、セメント用強度向上剤(1)~(2)は、セメント組成物の硬化物の長期強度向上効果を発現することが判り、また、環状イミノエーテル基含有化合物(A)と、アルカノールアミン化合物(B)および化合物(C)からなる群から選ばれる少なくとも1種とを含む、セメント用添加剤(1)~(24)は、セメント組成物の硬化物の強度を長期にわたって顕著に向上させ得るという効果を発現することが判る。
まず、本発明のセメント用強度向上剤は、セメント組成物の硬化物の長期強度向上効果を発現することが判る。
例えば、実施例27においては、セメント混和剤としての重合体(1)と、セメント用強度向上剤(1)を用いており、この実施例27において発現される28日後圧縮強度は58.5N/mmである。したがって、セメント用強度向上剤を用いていない比較例5において発現される28日後圧縮強度(55.9N/mm)を100%とすると、セメント用強度向上剤(1)によって発現される28日後圧縮強度の強度比は、(58.5/55.9)×100=105%である。すなわち、5%の強度向上効果が見られる。実施例28~32においても同様に、5%~8%の強度向上効果が見られる。
次に、本発明のセメント用添加剤が発現し得るセメント組成物の硬化物の長期強度向上効果は、環状イミノエーテル基含有化合物(A)のみに起因するセメント組成物の硬化物の長期強度向上効果と、アルカノールアミン化合物(B)および化合物(C)からなる群から選ばれる少なくとも1種のみに起因するセメント組成物の硬化物の長期強度向上効果との単純和から予想される効果に比べて、顕著に高い相乗効果を示す。この相乗効果について、下記に、より具体的に説明する。
例えば、実施例33においては、セメント用添加剤として、実施例3で得られたセメント用添加剤(1)を用いており、このセメント用添加剤(1)は、環状イミノエーテル基含有化合物(A)としてのエポクロスWS-300をセメントに対して0.1質量%と、アルカノールアミン化合物(B)としてのTIPAをセメントに対して0.02質量%とを含み、このセメント用添加剤(1)によって発現される28日後圧縮強度は64.0N/mmである。したがって、セメント用添加剤を用いていない比較例5において発現される28日後圧縮強度(55.9N/mm)を100%とすると、セメント用添加剤(1)によって発現される28日後圧縮強度の強度比は、(64.0/55.9)×100=114%である。すなわち、14%の強度向上効果が見られる。
他方、環状イミノエーテル基含有化合物(A)としてのエポクロスWS-300をセメントに対して0.1質量%添加したときの28日後圧縮強度は、実施例27に示すように、58.5N/mmであり、セメント用添加剤を用いていない比較例5において発現される28日後圧縮強度(55.9N/mm)を100%とすると、環状イミノエーテル基含有化合物(A)としてのエポクロスWS-300をセメントに対して0.1質量%添加したときに発現される28日後圧縮強度の強度比は、(58.5/55.9)×100=105%である。すなわち、5%の強度向上効果が見られる。
また、アルカノールアミン化合物(B)としてのTIPAをセメントに対して0.02質量%添加したときの28日後圧縮強度は、比較例6に示すように、58.3N/mmであり、セメント用添加剤を用いていない比較例5において発現される28日後圧縮強度(55.9N/mm)を100%とすると、アルカノールアミン化合物(B)としてのTIPAをセメントに対して0.02質量%添加したときに発現される28日後圧縮強度の強度比は、(58.3/55.9)×100=104%である。すなわち、4%の強度向上効果が見られる。
そうすると、環状イミノエーテル基含有化合物(A)としてのエポクロスWS-300をセメントに対して0.1質量%添加したときに発現される28日後圧縮強度の強度向上効果(5%)と、アルカノールアミン化合物(B)としてのTIPAをセメントに対して0.02質量%添加したときに発現される28日後圧縮強度の強度向上効果(4%)の単純和は、5%+4%=9%となる。
しかし、実施例33で示されるように、環状イミノエーテル基含有化合物(A)としてのエポクロスWS-300をセメントに対して0.1質量%とアルカノールアミン化合物(B)としてのTIPAをセメントに対して0.02質量%とを併用したセメント用添加剤(1)によって発現される28日後圧縮強度の強度向上効果は14%であり、上記の単純和(9%)に比べて、さらに5%の相乗効果が見られる。
実施例34~61においても、同様に、28日後圧縮強度の相乗効果が見られる。
本発明のセメント用強度向上剤およびセメント用添加剤は、モルタルやコンクリートなどのセメント組成物に好適に用いられる。また、本発明のセメント強度向上方法は、モルタルやコンクリートなどのセメント組成物の強度向上のために好適に用いられる。

Claims (4)

  1. 一般式(1)で表される環状イミノエーテル基を有する環状イミノエーテル基含有化合物(A)と、アルカノールアミン化合物(B)および化合物(C)からなる群から選ばれる少なくとも1種とを含む、
    該化合物(C)は、オキシカルボン酸もしくはその塩、ケト酸もしくはその塩、糖、および糖アルコールからなる群から選ばれる少なくとも1種である、
    セメント用添加剤。
    Figure 0007312654000008
    (一般式(1)中、Xは独立して水素原子または炭素原子数1~18の炭化水素基を表し、nは1~5の整数を表す。)
  2. 前記環状イミノエーテル基がオキサゾリン基である、請求項に記載のセメント用添加剤。
  3. 前記アルカノールアミン化合物(B)が、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、メチルエタノールアミン、メチルイソプロパノールアミン、メチルジエタノールアミン、メチルジイソプロパノールアミン、ジエタノールイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールエタノールアミン、テトラヒドロキシエチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラキス(2-ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、およびトリス(2-ヒドロキシブチル)アミンからなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項またはに記載のセメント用添加剤。
  4. 請求項からまでのいずれか1項に記載のセメント用添加剤を含む、セメント組成物。
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