図1乃至図24を参照して、本発明の実施の形態について説明する。なお、本件明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから適宜変更し誇張してある。
また、本明細書において用いる、形状や幾何学的条件並びにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」、「直交」、「同一」等の用語や長さや角度の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。
袋
図1は、本実施の形態による袋10を示す正面図である。また、図2は、図1に示す袋を構成するフィルムを示す分解図である。袋10は、内容物を収容する収容部17を備える。なお、図1においては、内容物が収容されていない状態の袋10が示されている。以下、袋10の構成について説明する。
図1に示すように、袋10は、上部11、下部12及び一対の側部13を含み、正面図において略矩形状の輪郭を有する。なお、「上部」、「下部」及び「側部」などの名称、並びに、「上方」、「下方」などの用語は、袋10の輪郭の4辺のうち内容物を袋10に充填するための開口部11bが形成されている辺を上部と定義した場合の、袋10やその構成要素の位置や方向を相対的に表したものに過ぎない。袋10の輸送時や使用時の姿勢などは、本明細書における名称や用語によっては限定されない。
袋10は、表面を構成する表面フィルム14、及び裏面を構成する裏面フィルム15を備える。各フィルムはいずれも、少なくとも1つの二軸延伸プラスチックフィルムを含む基材と、ポリエチレンを主成分として含むシーラント層と、を備える包装材料によって構成されている。また、各フィルムのうち少なくとも表面フィルム14は、基材とシーラント層との間に部分的に位置するラミネート強度調整層35を有する後述する包装材料30によって構成されている。
なお、上述の「表面フィルム」及び「裏面フィルム」という用語は、位置関係に応じて各フィルムを区画したものに過ぎず、袋10を製造する際のフィルムの提供方法が、上述の用語によって限定されることはない。例えば、袋10は、表面フィルム14と裏面フィルム15が連設された1枚のフィルムを用いて製造されてもよく、1枚の表面フィルム14と1枚の裏面フィルム15の計2枚のフィルムを用いて製造されてもよい。
表面フィルム14及び裏面フィルム15は、内面同士がシール部によって接合されている。図1などの袋10の正面図においは、シール部にハッチングが施されている。
図1に示すように、シール部は、袋10の外縁に沿って延びる外縁シール部を有する。外縁シール部は、下部12に広がる下部シール部12a、及び、一対の側部13に沿って延びる一対の側部シール部13aを含む。なお、内容物が充填される前の状態(内容物が収容されていない状態)の袋10においては、図1に示すように、袋10の上部11は開口部11bになっている。
図3は、内容物19が収容され、上部11が封止された状態の袋10を示す図である。袋10に内容物19を収容した後、表面フィルム14の内面と裏面フィルム15の内面とを上部11において接合することにより、上部シール部11aが形成されて袋10が封止される。
上部シール部11a、下部シール部12a及び側部シール部13aは、表面フィルム14の内面と裏面フィルム15の内面とを接合することによって構成されるシール部である。対向するフィルム同士を接合して袋10を封止することができる限りにおいて、シール部を形成するための方法が特に限られることはない。例えば、加熱などによってフィルムの内面を溶融させ、内面同士を溶着させることによって、すなわちヒートシールによって、シール部を形成してもよい。若しくは、接着剤などを用いて対向するフィルムの内面同士を接着することによって、シール部を形成してもよい。
以下の説明において、一対の側部13が対向する方向のことを第1方向D1とも称し、第1方向D1に直交する方向のことを第2方向D2とも称する。第1方向D1は、各フィルム14,15から袋10を作製する際の包装材料30の搬送方向であり、いわゆるMD(Machine Direction)である。また、第2方向D2は、いわゆるTD(Transverse Direction)である。図1及び図3に示す例において、上部11及び下部12は第1方向D1に沿って延びており、側部13は第2方向D2に沿って延びている。
内容物19は、例えば調理済み又は半調理済みの食品である。食品の例としては、冷凍食品、惣菜やスナック菓子等が挙げられる。ただし、内容物19は、これらのものに限定されない。
冷凍食品としては、冷凍麺類(冷凍パスタ、冷凍焼きそば、冷凍うどん、冷凍ラーメン、冷凍春雨等)、例えば、冷凍惣菜類(例えば、冷凍ヒジキ煮、冷凍切り干し大根煮、冷凍肉ジャガ、冷凍フキ煮、冷凍筑前煮、冷凍お浸し、冷凍野菜のゴマ和え等)、冷凍米飯(冷凍炒飯、冷凍ピラフ、冷凍チキンライス、冷凍ドライカレー、冷凍餡かけ御飯、冷凍餡かけ焼き飯、冷凍粥等)等が挙げられる。
惣菜としては、例えば、たこ焼き、フライドポテト、フライドチキン、中華まん、ハンバーグ、ミートボール、メンチカツ、コロッケ、チキンナゲット、シュウマイ、ギョウザ、ソーセージ、トンカツ、カラアゲ、肉団子、天ぷら、枝豆等が挙げられる。
スナック菓子としては、煎餅やあられ等の米菓類、ダイレクトパフスナック、ポテトチップス、コーンチップ、ナッツ類、プレッツェル、ポップコーン等の、主原料として、馬鈴薯、小麦粉、とうもろこし、米などの澱粉質農産物からなる菓子が挙げられる。なお、これらの原料から成型されるスナック菓子は、油揚げする場合と、油揚げしない場合がある。
袋10の使用形態としては、電子レンジなどによって加熱されるという形態が想定されている。袋10は、加熱によって内容物から発生する蒸気を外部に逃がすための蒸気抜き機構を備えている。蒸気抜き機構は、加熱に伴って内容物19に含まれる水分が蒸発して収容部の圧力が所定値以上になったときに袋10の内部と外部とを連通させて蒸気を逃がすよう構成されている。
なお、蒸気抜き機構を備える袋10を、電子レンジなどを用いて加熱する場合、収容部の圧力が、蒸気抜き機構から外部へ蒸気が抜ける程度にまで上昇しないこともある。すなわち、袋10の使用方法によっては、蒸気抜き機構は、蒸気を外部に逃がすという機能を発現させる確率が低い場合がある。この場合であっても、袋10に蒸気抜き機構を設けることにより、蒸気抜き機構以外の箇所から蒸気が抜けたり、袋10が破裂したりする確率をより低くすることができる。
本実施の形態において、蒸気抜き機構は、表面フィルム14の包装材料30を構成する複数の層の間に部分的に配置されたラミネート強度調整層35を備える。ラミネート強度調整層35は、上部11、下部12、側部13などの袋10の外縁の一部に沿って広がるように配置されている。本実施の形態において、ラミネート強度調整層35は、袋10の上部11に沿って広がるよう配置されている。具体的には、ラミネート強度調整層35は、図2に示すように、表面フィルム14の上端の中央部に配置されている。また、ラミネート強度調整層35は、図3に示すように、袋10の上部11に形成される上部シール部11aに少なくとも部分的に重なるように配置されている。なお、「中央部に配置されている」とは、表面フィルム14などのフィルムの端部を構成する4つの辺のうちの1つの辺の少なくとも中点にラミネート強度調整層35が位置していることを意味する。
ラミネート強度調整層35は、高温の環境温度下で強度が低下する性質を有する層である。ラミネート強度調整層35は、室温以下の環境温度下では所定の強度を有していてもよい。室温以下の環境温度下とは、通常、内容物を包装する包装工程の環境温度や、内容物を包装した袋を冷蔵や冷凍にする工程の環境温度や、冷蔵や冷凍した状態で輸送や保管する流通段階での環境温度などである。このようなラミネート強度調整層35を構成する材料については後に説明する。
図4は、図3の袋10の線IV-IVに沿った断面図である。図3及び図4に示すように、ラミネート強度調整層35は、表面フィルム14の包装材料30において、上部シール部11a及び収容部17に跨るように広がっている。ラミネート強度調整層35は、上部シール部11aの内縁(収容部側の縁部)から外縁(外部環境側の縁部)に至るように広がっていてもよい。これにより、加熱によってラミネート強度調整層35の剥離が生じた場合に、上部シール部11aの内縁(収容部側の縁部)から外縁(外部環境側の縁部)に至る蒸気の流路を形成することができる。ラミネート強度調整層35は、側部シール部13aには至らないように上部11に沿って第1方向D1に広がっていてもよい。
図1及び図4に示すように、上部11及び下部12が延びる方向である第1方向D1におけるラミネート強度調整層35の寸法は、第2方向D2におけるラミネート強度調整層35の寸法よりも大きくなっていてもよい。若しくは、図示はしないが、第1方向D1におけるラミネート強度調整層35の寸法は、第2方向D2におけるラミネート強度調整層35の寸法よりも小さくなっていてもよい。
以下の説明において、包装材料30のうちラミネート強度調整層35を備える領域を第1領域33とも称する。また、包装材料30のうちラミネート強度調整層35を備えない領域を第2領域34とも称する。
易開封性手段
袋10は、袋10を構成する包装材料を引き裂いて袋10を開封するための易開封性手段25を備えていてもよい。例えば図1及び図3に示すように、易開封性手段25は、側部シール部13aに形成された、引き裂きの起点となるノッチ26を含んでいてもよい。また、袋10を引き裂く際の経路となる部分には、易開封性手段25として、レーザー加工やカッターなどで形成されたハーフカット線が設けられていてもよい。
易開封性手段25は、一対の側部シール部13aのうちの一方にのみ形成されていてもよく、一対の側部シール部13aの両方に形成されていてもよい。
また、図示はしないが、易開封性手段25は、側部シール部13aに形成された切り込みや傷痕群を含んでいてもよい。傷痕群は例えば、表面フィルム14及び/又は裏面フィルム15を貫通するように形成された複数の貫通孔を含んでいてもよい。若しくは、傷痕群は、表面フィルム14及び/又は裏面フィルム15を貫通しないように表面フィルム14及び/又は裏面フィルム15の外面に形成された複数の孔を含んでいてもよい。
包装材料
(表面フィルムの包装材料)
次に、表面フィルム14を構成する、上述のラミネート強度調整層35を備える包装材料30の層構成について説明する。図5は、包装材料30の層構成の一例を示す断面図である。
包装材料30は、外面31及び内面32を有する。内面32は、収容部側に位置する面であり、外面31は、内面32の反対側に位置する面である。包装材料30は、図5に示すように、外面31側に位置する基材40と、内面32側に位置するシーラント層50と、基材40とシーラント層50との間に位置するラミネート強度調整層35と、を少なくとも備える。なお本願においては、包装材料30の面だけでなく各層の面についても、袋10などの容器の収容部側に位置する面を内面と称し、内面の反対側に位置する面を外面と称する。
基材40は、少なくとも1つの二軸延伸プラスチックフィルムを有する。図5に示す例において、基材40は、第1の二軸延伸プラスチックフィルム41と、第1の二軸延伸プラスチックフィルム41よりもシーラント層50側に位置する第2の二軸延伸プラスチックフィルム42と、第1の二軸延伸プラスチックフィルム41と第2の二軸延伸プラスチックフィルム42との間に位置する接着層43と、を有する。図5に示す例において、包装材料30に含まれる二軸延伸プラスチックフィルムは、第1の二軸延伸プラスチックフィルム41及び第2の二軸延伸プラスチックフィルム42の2つのみである。
図5に示すように、包装材料30は、第1の二軸延伸プラスチックフィルム41と接着層43との間に位置する絵柄層45を更に備えていてもよい。
図5に示す例において、シーラント層50は、インフレーションなどの方法を用いて予め製膜されたシーラントフィルム51を、ドライラミネート法を用いて、基材40の第2の二軸延伸プラスチックフィルム42上のラミネート強度調整層上に接着剤を介して貼り合わせることによって積層されている。この場合、基材40とシーラント層50との間には、接着剤からなる接着剤層61が存在している。
図6は、包装材料30の層構成のその他の一例を示す断面図である。図6に示す包装材料30は、シーラント層50の積層方法が異なる点以外は、図5に示す包装材料30と同一である。
図6に示す例において、シーラント層50は、基材40の第2の二軸延伸プラスチックフィルム42上及びラミネート強度調整層35上にアンカーコート剤を塗布した後、シーラント層50を構成する材料を、押出コーティング法を用いてコーティングすることによって積層されている。この場合、基材40とシーラント層50との間には、アンカーコート剤からなるアンカーコート層62が存在している。
図7は、包装材料30の層構成のその他の一例を示す断面図である。図7に示す包装材料30は、シーラント層50の積層方法が異なる点以外は、図5に示す包装材料30と同一である。
図7に示す例において、シーラント層50は、基材40の第2の二軸延伸プラスチックフィルム42上及びラミネート強度調整層35上に、シーラント層50を構成する材料を、押出コーティング法を用いてコーティングすることによって積層されている。この場合、シーラント層50は、基材40の第2の二軸延伸プラスチックフィルム42の内面及びラミネート強度調整層35の内面に接している。
図8は、包装材料30の層構成のその他の一例を示す断面図である。図8に示す包装材料30は、絵柄層45の位置が異なる点以外は、図5に示す包装材料30と同一である。
図8に示すように、絵柄層45は、第2の二軸延伸プラスチックフィルム42と接着層43との間に位置していてもよい。図示はしないが、図6に示す包装材料30及び図7に示す包装材料30においても同様に、絵柄層45は、第2の二軸延伸プラスチックフィルム42と接着層43との間に位置していてもよい。
図9は、包装材料30の層構成のその他の一例を示す断面図である。図9に示す包装材料30は、絵柄層45の位置が異なる点以外は、図5に示す包装材料30と同一である。
図9に示すように、絵柄層45は、第2の二軸延伸プラスチックフィルム42とシーラント層50との間に位置していてもよい。図示はしないが、図6に示す包装材料30及び図7に示す包装材料30においても同様に、絵柄層45は、第2の二軸延伸プラスチックフィルム42とシーラント層50との間に位置していてもよい。
図5乃至図9に示すように、包装材料30に含まれる二軸延伸プラスチックフィルムが2つのみである場合、包装材料30の厚みは、例えば80μm以上であり、90μm以上であってもよく、100μm以上であってもよく、105μm以上であってもよい。また、包装材料30の厚みは、140μm以下であってもよく、130μm以下であってもよく、120μm以下であってもよく、115μm以下であってもよく、110μm以下であってもよい。
包装材料30に含まれる二軸延伸プラスチックフィルムは、1つのみであってもよい。以下、図10乃至図12を参照して、二軸延伸プラスチックフィルムを1つのみ備える包装材料30について説明する。
図10は、包装材料30の層構成の一例を示す断面図である。包装材料30は、外面31側に位置し、二軸延伸プラスチックフィルム44を含む基材40と、内面32側に位置するシーラント層50と、基材40とシーラント層50との間に位置するラミネート強度調整層35と、を少なくとも備える。包装材料30に含まれる二軸延伸プラスチックフィルムは1つのみである。
図10に示すように、包装材料30は、二軸延伸プラスチックフィルム44と接着層43との間に位置する絵柄層45を更に備えていてもよい。
図10に示す例において、シーラント層50は、インフレーションなどの方法を用いて予め製膜されたシーラントフィルム51を、ドライラミネート法を用いて、基材40の二軸延伸プラスチックフィルム44上のラミネート強度調整層上に接着剤を介して貼り合わせることによって積層されている。この場合、基材40とシーラント層50との間には、接着剤からなる接着剤層61が存在している。
図11は、包装材料30の層構成のその他の一例を示す断面図である。図11に示す包装材料30は、シーラント層50の積層方法が異なる点以外は、図10に示す包装材料30と同一である。
図11に示す例において、シーラント層50は、基材40の二軸延伸プラスチックフィルム44上及びラミネート強度調整層35上にアンカーコート剤を塗布した後、シーラント層50を構成する材料を、押出コーティング法を用いてコーティングすることによって積層されている。この場合、基材40とシーラント層50との間には、アンカーコート剤からなるアンカーコート層62が存在している。
図12は、包装材料30の層構成のその他の一例を示す断面図である。図12に示す包装材料30は、シーラント層50の積層方法が異なる点以外は、図10に示す包装材料30と同一である。
図12に示す例において、シーラント層50は、基材40の二軸延伸プラスチックフィルム44上及びラミネート強度調整層35上に、シーラント層50を構成する材料を、押出コーティング法を用いてコーティングすることによって積層されている。この場合、シーラント層50は、基材40の二軸延伸プラスチックフィルム44の内面及びラミネート強度調整層35の内面に接している。
図10乃至図12に示すように、包装材料30に含まれる二軸延伸プラスチックフィルムが1つのみである場合、包装材料30の厚みは、例えば60μm以上であり、70μm以上であってもよく、80μm以上であってもよく、90μm以上であってもよい。また、包装材料30の厚みは、120μm以下であってもよく、110μm以下であってもよく、100μm以下であってもよい。
以下、包装材料30を構成する各層について説明する。
(基材)
基材40を構成する、第1の二軸延伸プラスチックフィルム41、第2の二軸延伸プラスチックフィルム42、二軸延伸プラスチックフィルム44などの二軸延伸プラスチックフィルムは、所定の二方向において延伸されているプラスチックフィルムである。二軸延伸プラスチックフィルムには、プラスチックフィルムの機械強度を向上させるために、意図的に延伸加工が施されている。各二軸延伸プラスチックフィルム41,42,44の延伸方向は特には限定されない。例えば、二軸延伸プラスチックフィルム41,42,44は、上述の第1方向D1及び第2方向D2において延伸されていてもよい。また、各二軸延伸プラスチックフィルム41,42,44の延伸方向は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。各二軸延伸プラスチックフィルム41,42,44の延伸倍率は、例えば1.05倍以上である。
図5乃至図9に示す包装材料30の第1の二軸延伸プラスチックフィルム41及び第2の二軸延伸プラスチックフィルム42について詳細に説明する。第1の二軸延伸プラスチックフィルム41及び第2の二軸延伸プラスチックフィルム42はいずれも、主成分としてポリエステルを含むポリエステルフィルムであってもよい。以下の説明において、主成分としてポリエステルを含む二軸延伸プラスチックフィルムのことを、二軸延伸ポリエステルフィルムとも称する。なお、本願において、「主成分」とは、51質量%を占める成分のことである。
二軸延伸ポリエステルフィルムは、例えば51質量%以上のポリエステルを含む。ポリエステルとしては、テレフタル酸、イソフタル酸および2,6-ナフタレンジカルボン酸から選ばれる少なくとも1種の芳香族ジカルボン酸と、エチレグリコール、1,3-プロパンジオールおよび1,4-ブタンジオールから選ばれる少なくとも1種の脂肪族アルコールとからなる芳香族ポリエステルを主体とするポリエステルが好ましい。例えば、ポリエステルは、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETとも記す)、ポリブチレンテレフタレート(以下、PBTとも記す)などである。以下の説明において、51質量%以上のPETを含む二軸延伸ポリエステルフィルムのことを、二軸延伸PETフィルムとも称する。また、51質量%以上のPBTを含む二軸延伸ポリエステルフィルムのことを、二軸延伸PBTフィルムとも称する。なお、二軸延伸ポリエステルフィルムにおける、51質量%以上のポリエステルは、一種類のポリエステルによって構成されていてもよく、二種類以上のポリエステルによって構成されていてもよい。
二軸延伸ポリエステルフィルムの厚みは、好ましくは9μm以上であり、より好ましくは12μm以上である。また、二軸延伸ポリエステルフィルムの厚みは、好ましくは25μm以下であり、より好ましくは20μm以下である。二軸延伸ポリエステルフィルムの厚みを9μm以上にすることにより、二軸延伸ポリエステルフィルムが十分な強度を有するようになる。また、二軸延伸ポリエステルフィルムの厚みを25μm以下にすることにより、二軸延伸ポリエステルフィルムが優れた成形性を示すようになる。このため、包装材料30を加工して袋10を製造する工程を効率的に実施することができる。
二軸延伸ポリエステルフィルムの厚みは、光学顕微鏡を用いて撮影された二軸延伸ポリエステルフィルムの断面写真からランダムに10箇所厚みを測定し、測定された厚みの算術平均値として求めることによって算出される。他のフィルムや層の厚み、及び包装材料30全体の厚みも同様の方法で算出される。
二軸延伸ポリエステルフィルムは、少なくとも1つの方向において0.0017N以上のループスティフネスを有していてもよい。以下の説明において、少なくとも1つの方向において0.0017N以上のループスティフネスを有し、且つポリエステルを主成分として含む二軸延伸ポリエステルフィルムのことを、高スティフネスポリエステルフィルムとも称する。高スティフネスポリエステルフィルムは、例えば流れ方向(MD)又は垂直方向(TD)の少なくとも一方において0.0017N以上のループスティフネスを有する。高スティフネスポリエステルフィルムは、例えば流れ方向(MD)及び垂直方向(TD)の両方において0.0017N以上のループスティフネスを有していてもよい。包装材料30が高スティフネスポリエステルフィルムを含むことにより、包装材料30が優れた突き刺し強度を有することができる。高スティフネスポリエステルフィルムは、ポリアミドを含んでいない。
高スティフネスポリエステルフィルムの厚みは、好ましくは5μm以上であり、より好ましくは7μm以上である。また、高スティフネスポリエステルフィルムの厚みは、好ましくは25μm以下であり、より好ましくは20μm以下である。
ループスティフネスとは、二軸延伸プラスチックフィルムなどのフィルムのこしの強さを表すパラメータである。以下、図13乃至図18を参照して、ループスティフネスの測定方法を説明する。なお、以下に説明する測定方法は、二軸延伸プラスチックフィルムなどの単層のフィルムだけでなく、蒸着フィルム、積層フィルムなどの、複数の層をフィルムに関しても使用可能である。蒸着フィルムとは、二軸延伸プラスチックフィルムなどの単層のフィルムと、単層のフィルム上に形成されている蒸着層と、を含むフィルムである。積層フィルムとは、包装材料30のような、積層された複数のフィルムを含むフィルムである。
図13は、試験片80及びループスティフネス測定器85を示す平面図であり、図14は、図13の試験片80及びループスティフネス測定器85の線XIV-XIVに沿った断面図である。試験片80は、長辺及び短辺を有する矩形状のフィルムである。本願においては、試験片80の長辺の長さL1を150mmとし、短辺の長さL2を15mmとした。ループスティフネス測定器85としては、例えば、東洋精機社製のNo.581ループステフネステスタ(登録商標)LOOP STIFFNESS TESTER DA型を用いることができる。なお、試験片80の長辺の長さL1は、後述する一対のチャック部86によって試験片80を把持することができる限りにおいて、調整可能である。
ループスティフネス測定器85は、試験片80の長辺方向の一対の端部を把持するための一対のチャック部86と、チャック部86を支持する支持部材87と、を有する。チャック部86は、第1チャック861及び第2チャック862を含む。図13及び図14に示す状態において、試験片80は、一対の第1チャック861の上に配置されており、第2チャック862は、第1チャック861との間で試験片80を未だ把持していない。後述するように、測定時、試験片80は、チャック部86の第1チャック861と第2チャック862との間に把持される。第2チャック862は、ヒンジ機構を介して第1チャック861に連結されていてもよい。
二軸延伸プラスチックフィルム、蒸着フィルム、積層フィルムなどの測定対象のフィルムを、フィルムが包装製品に加工される前の状態で入手可能な場合、試験片80は、測定対象のフィルムを切断することによって作製されてもよい。また、試験片80は、袋などの、包装材料30から作製された包装製品を切断し、対象となるフィルムを取得することによって作製されてもよい。図3は、袋10を構成する包装材料30を切断することによって得たサンプルS1A~S2Bから試験片80を準備する方法の一例を示す図である。流れ方向におけるループスティフネスを測定する場合、図3において符号S1A又はS2Aで示すように、サンプルの長辺方向が流れ方向に一致するよう、袋10の包装材料30を切断し、その後、二軸延伸プラスチックフィルムなどの対象フィルムをサンプルから取得する。垂直方向におけるループスティフネスを測定する場合、図3において符号S1B又はS2Bで示すように、サンプルの長辺方向が垂直方向に一致するよう、袋10の包装材料30を切断し、その後、二軸延伸プラスチックフィルムなどの対象フィルムをサンプルから取得する。
ループスティフネス測定器85を用いて試験片80のループスティフネスを測定する方法について説明する。まず、図13及び図14に示すように、間隔L3を空けて配置されている一対のチャック部86の第1チャック861上に試験片80を載置する。本願においては、後述するループ部81の長さ(以下、ループ長とも称する)が60mmになるよう、間隔L3を設定する。試験片80は、第1チャック861側に位置する内面80xと、内面80xの反対側に位置する外面80yと、を含む。試験片80が包装材料30からなる場合、試験片80の内面80x及び外面80yは、包装材料30の内面32及び外面31に一致する。後述するループ部81を試験片80に形成する際、内面80xがループ部81の内側に位置し、外面80yがループ部81の外側に位置する。続いて、図15に示すように、第1チャック861との間で試験片80の長辺方向の端部を把持するよう、第2チャック862を試験片80の上に配置する。
続いて、図16に示すように、一対のチャック部86の間の間隔が縮まる方向において、一対のチャック部86の少なくとも一方を支持部材87上でスライドさせる。これにより、試験片80にループ部81を形成することができる。図16に示す試験片80は、ループ部81と、一対の中間部82及び一対の固定部83とを有する。一対の固定部83は、試験片80のうち一対のチャック部86によって把持されている部分である。一対の中間部82は、試験片80のうちループ部81と一対の中間部82との間に位置している部分である。図16に示すように、チャック部86は、一対の中間部82の内面80x同士が接触するまで支持部材87上でスライドされる。これにより、60mmのループ長を有するループ部81を形成することができる。ループ部81のループ長は、一方の第2チャック862のループ部81側の面と試験片80とが交わる位置P1と、他方の第2チャック862のループ部81側の面と試験片80とが交わる位置P2との間における、試験片80の長さである。上述の間隔L3は、試験片80の厚みを無視する場合、ループ部81の長さに2×tを加えた値になる。tは、チャック部86の第2チャック862の厚みである。
その後、図17に示すように、チャック部86に対するループ部81の突出方向Yが水平方向になるよう、チャック部86の姿勢を調整する。例えば、支持部材87の法線方向が水平方向を向くように支持部材87を動かすことにより、支持部材87によって支持されているチャック部86の姿勢を調整する。図17に示す例において、ループ部81の突出方向Yは、チャック部の厚み方向に一致している。また、ループ部81の突出方向Yにおいて第2チャック862から距離Z1だけ離れた位置にロードセル88を準備する。本願においては、距離Z1を50mmとした。続いて、ロードセル88を、試験片80のループ部81に向けて、図17に示す距離Z2だけ速度Vで移動させる。距離Z2は、図17及び図18に示すように、ロードセル88がループ部81に接触し、その後、ロードセル88がループ部81をチャック部86側に押し込むよう、設定される。本願においては、距離Z2を40mmとした。この場合、ロードセル88がループ部81をチャック部86側に押し込んでいる状態におけるロードセル88とチャック部86の第2チャック862との間の距離Z3は、10mmになる。ロードセル88を移動させる速度Vは、3.3mm/秒とした。
続いて、図18に示す、ロードセル88をチャック部86側に距離Z2だけ移動させ、ロードセル88が試験片80のループ部81を押し込んでいる状態において、ループ部81からロードセル88に加えられている荷重の値が安定した後、荷重の値を記録する。このようにして得られた荷重の値を、試験片80を構成するフィルムのループスティフネスとして採用する。本願において、特に断らない限り、ループスティフネスの測定時の環境は、温度23℃、相対湿度50%である。
高スティフネスポリエステルフィルムの好ましい機械特性について更に説明する。
高スティフネスポリエステルフィルムの突き刺し強度は、好ましくは10N以上であり、より好ましくは11N以上である。
少なくとも1つの方向における高スティフネスポリエステルフィルムの破断強度は、好ましくは250MPa以上であり、より好ましくは280MPa以上である。例えば、流れ方向における高スティフネスポリエステルフィルムの破断強度は、好ましくは250MPa以上であり、より好ましくは280MPa以上である。また、垂直方向における高スティフネスポリエステルフィルムの破断強度は、好ましくは250MPa以上であり、より好ましくは280MPa以上である。
少なくとも1つの方向における高スティフネスポリエステルフィルムの破断伸度は、好ましくは130%以下であり、より好ましくは120%以下である。例えば、流れ方向における高スティフネスポリエステルフィルムの破断伸度は、好ましくは130%以下であり、より好ましくは120%以下である。また、垂直方向における高スティフネスポリエステルフィルムの破断伸度は、好ましくは120%以下であり、より好ましくは110%以下である。
好ましくは、少なくとも1つの方向において、高スティフネスポリエステルフィルムの破断強度を破断伸度で割った値が2.0〔MPa/%〕以上である。例えば、垂直方向(TD)における高スティフネスポリエステルフィルムの破断強度を破断伸度で割った値は、好ましくは2.0〔MPa/%〕以上であり、より好ましくは2.2〔MPa/%〕以上である。流れ方向(MD)における高スティフネスポリエステルフィルムの破断強度を破断伸度で割った値は、好ましくは1.8〔MPa/%〕以上であり、より好ましくは2.0〔MPa/%〕以上である。
高スティフネスポリエステルフィルムの破断強度及び破断伸度は、JIS K7127に準拠して測定され得る。測定器としては、オリエンテック社製の引張試験機 STA-1150を用いることができる。試験片としては、高スティフネスポリエステルフィルムを幅15mm、長さ150mmの矩形状のフィルムに切り出したものを用いることができる。試験片を保持する一対のチャックの間の、測定開始時の間隔は100mmであり、引張速度は300mm/分である。なお、試験片の長さは、一対のチャックによって試験片を把持することができる限りにおいて、調整可能である。本願において、特に断らない限り、破断強度及び破断伸度の測定時の環境は、温度23℃、相対湿度50%である。
少なくとも1つの方向における高スティフネスポリエステルフィルムの熱収縮率は、0.7%以下であることが好ましく、0.5%以下であることがより好ましい。例えば、流れ方向における高スティフネスポリエステルフィルムの熱収縮率は、0.7%以下であることが好ましく、0.5%以下であることがより好ましい。垂直方向における高スティフネスポリエステルフィルムの熱収縮率は、0.7%以下であることが好ましく、0.5%以下であることがより好ましい。熱収縮率を測定する際の加熱温度は100℃であり、加熱時間は40分である。
少なくとも1つの方向における高スティフネスポリエステルフィルムのヤング率は、好ましくは4.0GPa以上であり、より好ましくは4.5MPa以上である。例えば、流れ方向における高スティフネスポリエステルフィルムのヤング率は、好ましくは4.0GPa以上であり、より好ましくは4.5MPa以上である。垂直方向における高スティフネスポリエステルフィルムのヤング率は、好ましくは4.0GPa以上であり、より好ましくは4.5GPa以上である。
高スティフネスポリエステルフィルムのヤング率は、破断強度及び破断伸度と同様に、JIS K7127に準拠して測定され得る。測定器としては、オリエンテック社製の引張試験機 STA-1150を用いることができる。試験片としては、高スティフネスポリエステルフィルムを幅15mm、長さ150mmの矩形状のフィルムに切り出したものを用いることができる。試験片を保持する一対のチャックの間の、測定開始時の間隔は100mmであり、引張速度は300mm/分である。なお、試験片の長さは、一対のチャックによって試験片を把持することができる限りにおいて、調整可能である。本願において、特に断らない限り、ヤング率の測定時の環境は、温度23℃、相対湿度50%である。
高スティフネスポリエステルフィルムを備える包装材料30において、高スティフネスポリエステルフィルムには、蒸着層が設けられていてもよい。この場合、蒸着層が設けられている高スティフネスポリエステルフィルムは、単体の高スティフネスポリエステルフィルムと同等の機械特性を有していてもよい。例えば、蒸着層が設けられている高スティフネスポリエステルフィルムは、少なくとも1つの方向において0.0017N以上のループスティフネスを有していてもよい。
高スティフネスポリエステルフィルムの製造工程においては、例えば、まず、ポリエステルを溶融及び成形することによって得られたプラスチックフィルムを、流れ方向及び垂直方向において、それぞれ90℃~145℃で3倍~4.5倍に延伸する第1延伸工程を実施する。続いて、プラスチックフィルムを、流れ方向及び垂直方向において、それぞれ100℃~145℃で1.1倍~3.0倍に延伸する第2延伸工程を実施する。その後、190℃~220℃の温度で熱固定を行う。続いて、流れ方向及び垂直方向において、100℃~190℃の温度で0.2%~2.5%程度の弛緩処理(フィルム幅を縮める処理)を実施する。これらの工程において、延伸倍率、延伸温度、熱固定温度、弛緩処理率を調整することにより、上述の機械特性を備える高スティフネスポリエステルフィルムを得ることができる。
第1の二軸延伸プラスチックフィルム41及び第2の二軸延伸プラスチックフィルム42のうちの少なくともいずれか一方は、ポリアミドを主成分として含む延伸プラスチックフィルムであってもよい。以下の説明において、主成分としてポリアミドを含む二軸延伸プラスチックフィルムのことを、二軸延伸ポリアミドフィルムとも称する。例えば、第1の二軸延伸プラスチックフィルム41及び第2の二軸延伸プラスチックフィルム42の一方が、二軸延伸ポリアミドフィルムであり、他方が二軸延伸ポリエステルフィルムであってもよい。
二軸延伸ポリアミドフィルムは、例えば51質量%以上のポリアミドを含む。ポリアミド系の例としては、脂肪族ポリアミドまたは芳香族ポリアミドが挙げられる。脂肪族ポリアミドとてしてはナイロン-6、ナイロン-6,6、ナイロン6とナイロン6,6との共重合体などのナイロンが挙げられ、芳香族ポリアミドとしては、ポリメタキシレンアジパミド(MXD6)などが挙げられる。包装材料30が、二軸延伸ポリアミドフィルムを備えることにより、包装材料30の突き刺し強度を高めることができる。
二軸延伸ポリアミドフィルムは、単一の層によって構成されていてもよく、複数の層によって構成されていてもよい。二軸延伸ポリアミドフィルムが複数の層を含む場合、二軸延伸ポリアミドフィルムは、例えば、共押し出しによって作製された共押しフィルムである。共押しフィルムは、例えば、順に積層された、PETなどのポリエステルからなる第1層、ナイロンなどのポリアミドからなる第2層、およびPETなどのポリエステルからなる第3層を含む。なお、ナイロンなどのポリアミドからなる第2層の質量が、共押しフィルム全体の質量の51%以上である場合、共押しフィルムの主成分はポリアミドであると言える。
二軸延伸ポリアミドフィルムの厚みは、好ましくは12μm以上であり、より好ましくは15μm以上である。また、二軸延伸ポリアミドフィルムの厚みは、好ましくは25μm以下であり、より好ましくは20μm以下である。
本実施の形態における、第1の二軸延伸プラスチックフィルム41と第2の二軸延伸プラスチックフィルム42の組み合わせの例は以下の通りである。
二軸延伸ポリエステルフィルムの例としては、上述の二軸延伸PETフィルム、二軸延伸PBTフィルム、高スティフネスポリエステルフィルムなどを挙げることができる。表1に示す例1、例2及び例3の組み合わせの詳細な具体例を、表2、表3及び表4にそれぞれ示す。
二軸延伸プラスチックフィルム41,42がPETを含む場合、PETは、バイオマス由来のPETを含んでいてもよい。この場合、二軸延伸プラスチックフィルム41,42は、バイオマス由来のPETのみで構成されていてもよい。若しくは、二軸延伸プラスチックフィルム41,42は、バイオマス由来のPETと、化石燃料由来のPETと、で構成されていてもよい。二軸延伸プラスチックフィルム41,42がバイオマス由来のPETを含むことにより、従来に比べて化石燃料由来のPETの量を削減することができるため、二酸化炭素の排出量を減らすことができ、環境負荷を減らすことができる。なお、バイオマス由来のPETは、バイオマス由来のエチレングリコールをジオール単位とし、化石燃料由来のテレフタル酸をジカルボン酸単位とするものである。化石燃料由来のPETは、化石燃料由来のエチレングリコールをジオール単位とし、化石燃料由来のテレフタル酸をジカルボン酸単位とするものである。
大気中の二酸化炭素には、C14が一定割合(105.5pMC)で含まれているため、大気中の二酸化炭素を取り入れて成長する植物、例えばとうもろこし中のC14含有量も105.5pMC程度であることが知られている。また、化石燃料中にはC14が殆ど含まれていないことも知られている。したがって、PET中の全炭素原子中に含まれるC14の割合を測定することにより、バイオマス由来の炭素の割合を算出することができる。本発明において、「バイオマス度」とは、バイオマス由来成分の重量比率を示すものである。PETを例にとると、PETは、2炭素原子を含むエチレングリコールと8炭素原子を含むテレフタル酸とがモル比1:1で重合したものである。PETのエチレングリコールとしてバイオマス由来のもののみを使用した場合、PET中のバイオマス由来成分の重量比率は31.25%であるため、PETのバイオマス度の理論値は31.25%となる。具体的には、PETの質量は192であり、そのうちバイオマス由来のエチレングリコールに由来する質量は60であるため、60÷192×100=31.25となる。また、化石燃料由来のPETにおけるバイオマス由来成分の重量比率は0%であり、化石燃料由来のPETのバイオマス度は0%となる。本発明において、二軸延伸プラスチックフィルム41,42のバイオマス度は、5.0%以上であることが好ましく、10.0%以上であることがより好ましい。また、二軸延伸プラスチックフィルム41,42のバイオマス度は、30.0%以下であることが好ましい。
バイオマス由来のエチレングリコールは、バイオマスを原料として製造されたエタノール(バイオマスエタノール)を原料としたものである。例えば、バイオマスエタノールを、従来公知の方法により、エチレンオキサイドを経由してエチレングリコールを生成する方法等により、バイオマス由来のエチレングリコールを得ることができる。バイオマスエタノールの原料として、とうもろこし、さとうきび、ビート、マニオクなどを挙げることができる。また、市販のバイオマスエチレングリコールを使用してもよく、例えば、インディアグライコール社から市販されているバイオマスエチレングリコールを好適に使用することができる。なお、インディアグライコール社のバイオマスエチレングリコールは、さとうきびの廃糖蜜を原料としたものである。
次に、図5乃至図9に示す包装材料30において第1の二軸延伸プラスチックフィルム41と第2の二軸延伸プラスチックフィルム42との間に位置する接着層43について説明する。接着層43は、接着剤層又は接着樹脂層である。以下、接着剤層及び接着樹脂層についてそれぞれ説明する。
接着剤層は、従来公知の方法、例えばドライラミネート法により形成することができる。ドライラミネート法により2層を接着する場合、接着剤層は、積層される側の層の表面に、接着剤を塗布して乾燥させることにより形成される。塗布される接着剤としては、例えば、1液型あるいは2液型の硬化ないし非硬化タイプのビニル系、(メタ)アクリル系、ポリアミド系、ポリエステル系、ポリエーテル系、ポリウレタン系、エポキシ系、ゴム系、その他などの溶剤型、水性型、あるいは、エマルジョン型などの接着剤を用いることができる。2液硬化型の接着剤としては、ポリオールとイソシアネート化合物との硬化物を用いることができる。上記のラミネート用接着剤のコーティング方法としては、例えば、ダイレクトグラビアロールコート法、グラビアロールコート法、キスコート法、リバースロールコート法、フォンテン法、トランスファーロールコート法、その他の方法で塗布することができる。乾燥後の接着剤層は、例えば1μm以上10μm以下、好ましくは2μm以上5μm以下の厚さを有する。
接着剤層は、バイオマス由来成分を含んでいてもよい。例えば、接着剤層がポリオールとイソシアネート化合物との硬化物を含む場合、ポリオールまたはイソシアネート化合物の少なくともいずれかがバイオマス由来成分を含んでいてもよい。これにより、包装材料30のバイオマス度をさらに向上させることができる。
接着樹脂層は、熱可塑性樹脂を含む。接着樹脂層は、従来公知の方法、例えば溶融押出しラミネート法やサンドラミネート法により形成することができる。接着樹脂層に使用できる熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、または環状ポリオレフィン系樹脂、またはこれら樹脂を主成分とする共重合樹脂、変性樹脂、または、混合体を用いることができる。ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン(LLDPE)、ポリプロピレン(PP)、メタロセン触媒を利用して重合したエチレン-α・オレフィン共重合体、エチレン・ポリプロピレンのランダムもしくはブロック共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン-アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン・アクリル酸エチル共重合体(EEA)、エチレン-メタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン-メタクリル酸メチル共重合体(EMMA)、エチレン・マレイン酸共重合体、アイオノマー樹脂、また、層間の密着性を向上させるために、上記したポリオレフィン系樹脂を、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などの不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフィン系樹脂などを用いることができる。また、ポリオレフィン樹脂に、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸無水物、エステル単量体をグラフト重合、または、共重合した樹脂などを用いることができる。これらの材料は、一種単独または二種以上を組み合わせて使用することができる。環状ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、エチレン-プロピレン共重合体、ポリメチルペンテン、ポリブテン、ポリノルボネンなどの環状ポリオレフィンなどを用いることができる。これらの樹脂は、単独または複数を組み合せて使用できる。接着樹脂層は、例えば5μm以上50μm以下、好ましくは10μm以上30μm以下の厚さを有する。
なお、上記したポリエチレン系樹脂としては、バイオマス由来のエチレンをモノマー単位として用いたものを使用してもよい。これにより、包装材料30のバイオマス度をさらに向上させることができる。
次に、図10乃至図12に示す包装材料30の二軸延伸プラスチックフィルム44について詳細に説明する。二軸延伸プラスチックフィルム44としては、上述の第1の二軸延伸プラスチックフィルム41又は第2の二軸延伸プラスチックフィルム42として例示した二軸延伸プラスチックフィルムのいずれかを用いることができる。例えば、二軸延伸プラスチックフィルム44は、ポリエステルを主成分として含む上述の二軸延伸ポリエステルフィルムであってもよい。二軸延伸ポリエステルフィルムの例としては、上述の二軸延伸PETフィルム、二軸延伸PBTフィルム、高スティフネスポリエステルフィルムなどを挙げることができる。また、二軸延伸プラスチックフィルム44は、ポリアミドを主成分として含む二軸延伸ポリアミドフィルムであってもよい。
二軸延伸プラスチックフィルム44がPETを含む場合、PETは、第1の二軸延伸プラスチックフィルム41又は第2の二軸延伸プラスチックフィルム42の場合と同様に、バイオマス由来のPETを含んでいてもよい。
次に、図5乃至図12に示す包装材料30の絵柄層45について説明する。絵柄層45は、袋10などの容器に、内容物や容器の情報を示したり、美感を付与したりするために包装材料30に設けられる層である。絵柄層45は、文字、数字、記号、図形、絵柄などを表現する。絵柄層45を構成する材料としては、グラビア印刷用のインキやフレキソ印刷用のインキを用いることができる。グラビア印刷用のインキの具体例としては、DICグラフィックス株式会社製のフィナートを挙げることができる。
(シーラント層)
次に、シーラント層50について説明する。シーラント層50は、ヒートシール性を有し、包装材料30の内面32を構成する層である。シーラント層50は、熱可塑性樹脂を含む。熱可塑性樹脂としては、α-オレフィン共重合体、ポリエチレンなどを挙げることができる。α-オレフィン共重合体は、例えば直鎖状低密度ポリエチレンである。ポリエチレンの例としては、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンを挙げることができる。
低密度ポリエチレンとは、密度が0.910g/cm3以上且つ0.925g/cm3以下のポリエチレンである。中密度ポリエチレンは、密度が0.926g/cm3以上且つ0.940g/cm3以下のポリエチレンである。高密度ポリエチレンとは、密度が0.941g/cm3以上且つ0.965g/cm3以下のポリエチレンである。低密度ポリエチレンは、例えば、1000気圧以上且つ2000気圧未満の高圧でエチレンを重合することにより得られる。中密度ポリエチレン及び高密度ポリエチレンは、例えば、1気圧以上且つ1000気圧未満の中圧又は低圧でエチレンを重合することにより得られる。
なお、中密度ポリエチレン及び高密度ポリエチレンは、エチレンとα-オレフィンとの共重合体を部分的に含んでいてもよい。また、中圧又は低圧でエチレンを重合する場合であっても、エチレンとα-オレフィンとの共重合体を含む場合は、中密度又は低密度のポリエチレンが生成され得る。このようなポリエチレンが、上述の直鎖状低密度ポリエチレンと称される。直鎖状低密度ポリエチレンは、中圧又は低圧でエチレンを重合することにより得られる直鎖状ポリマーにα-オレフィンを共重合させて短鎖分岐を導入することによって得られる。α-オレフィンの例としては、1-ブテン(C4)、1-ヘキセン(C6)、4-メチルペンテン(C6)、1-オクテン(C8)などを挙げることができ、特に1-ブテン(C4)を好ましく用いることができる。直鎖状低密度ポリエチレンの密度は、例えば0.915g/cm3以上且つ0.945g/cm3以下である。
シーラント層50の厚みは、好ましくは10μm以上である。また、シーラント層50の厚みは、例えば200μm以下であり、150μm以下であってもよく、100μm以下であってもよい。
シーラント層50は、図5、図8、図9及び図10に示すように、インフレーションなどの方法を用いて予め製膜されたシーラントフィルム51を、接着剤層61などを介して基材40に貼り合わせることによって得られる層であってもよい。また、シーラント層50は、図6、図7、図11及び図12に示すように、シーラント層50を構成する材料を、押出コーティング法を用いて基材40などにコーティングすることによって得られる層であってもよい。
好ましくは、シーラント層50は、電子レンジの加熱温度において低い破断伸度又は低い破断強度を有する。これにより、ラミネート強度調整層35がシーラント層50から剥離した後に、シーラント層50のうち第1領域33に位置する部分に破断が生じ易くなる。このため、シーラント層50の破断箇所を介して蒸気を袋10の外部に逃がし易くすることができる。
以下、シーラント層50がシーラントフィルム51からなる場合の、シーラントフィルム51の好ましい特性について説明する。
シーラントフィルム51は、好ましくは、一方向において、例えば流れ方向において、80℃で60%以上100%以下の破断伸度を有する。80℃におけるシーラントフィルム51の破断伸度が100%以下であることにより、電子レンジの加熱温度で包装材料30の第1領域33の少なくとも一部において適切にシーラント層50を破断させることができる。また、80℃におけるシーラントフィルム51の破断伸度が60%以上であることにより、シール部におけるシール強度を確保することができる。また、第2領域34においてシーラント層50に破断が生じることを抑制することができる。
また、シーラントフィルム51は、好ましくは、一方向において、例えば流れ方向において、90℃で40%以上70%以下の破断伸度を有する。
また、シーラントフィルム51は、一方向において、例えば流れ方向において、80℃で5N以上10N以下の破断強度を有する。80℃におけるシーラントフィルム51の破断強度が10N以下であることにより、電子レンジの加熱温度で包装材料30の第1領域33の少なくとも一部において適切にシーラント層50を破断させることができる。また、80℃におけるシーラントフィルム51の破断強度が5N以上であることにより、第2領域34においてシーラント層50に破断が生じることを抑制することができる。
シーラントフィルム51の破断伸度及び破断強度は、JIS K7127に準拠して測定され得る。測定器としては、東洋精機社製のNo.260ストログラフVG1Fを用いることができる。試験片としては、シーラントフィルム51を幅15mm、長さ150mmの矩形状のフィルムに切り出したものを用いることができる。試験片を保持する一対のチャックの間の、測定開始時の間隔は50mmであり、引張速度は200mm/分である。なお、試験片の長さは、一対のチャックによって試験片を把持することができる限りにおいて、調整可能である。
本願において、特に断らない限り、高温におけるシーラントフィルム51の破断強度及び破断伸度は、試験片を温度80℃、相対湿度5%の環境に1分間保持した後に、温度80℃、相対湿度5%の環境で測定する。また、常温におけるシーラントフィルム51の破断強度及び破断伸度は、試験片を温度25℃、相対湿度50%の環境に1分間保持した後に、温度25℃、相対湿度50%の環境で測定する。
発明者らの研究開発による新規知見によれば、同一の材料を含み、同等の密度、MFR、融点などを有する複数の種類のシーラントフィルムにおいて、シーラントフィルムの材料が製造された工場が相違している場合に、80℃などの電子レンジの加熱温度におけるシーラントフィルムの破断点伸度が相違する、という現象が見られた。発明者らの考察によれば、シーラントフィルムの製造条件の相違によって、材料の特性の一つとしてのシーラントフィルムの融解熱量の割合が、電子レンジの加熱温度において相違しているためと考えられる。シーラントフィルムの融解熱量の割合は、示差走査熱量測定(DSC)を行い、材料の融解熱量全体(50℃~120℃)に対する電子レンジの加熱温度(例えば80℃、90℃、100℃の各温度)における融解熱量の割合で表すことができる。電子レンジの加熱温度における、シーラントフィルムの融解熱量の割合が多いことは、電子レンジの加熱温度において、シーラントフィルム中で融解している量が相対的に多いことを意味している。本件発明者らは、電子レンジの加熱温度において特に流れ方向の破断点伸度が低いシーラントフィルムは、シーラントフィルムの融解熱量の割合が多いことを確認している。
シーラント層50は、バイオマス由来成分を含んでいてもよく、バイオマス由来成分を含んでいなくてもよい。バイオマス由来成分を含む材料によりシーラント層50を形成する場合、シーラント層50は、下記のバイオマスポリオレフィンを用いて形成することができる。また、バイオマス由来成分を含まない材料によりシーラント層50を形成する場合、シーラント層50は、従来公知の化石燃料由来の熱可塑性樹脂を用いて形成することができる。
バイオマスポリオレフィンは、バイオマス由来のエチレン等のオレフィンを含むモノマーの重合体である。原料であるモノマーとしてバイオマス由来のオレフィンを用いているため、重合されてなるポリオレフィンはバイオマス由来となる。なお、ポリオレフィンの原料モノマーは、バイオマス由来のオレフィンを100質量%含むものでなくてもよい。
例えば、バイオマス由来のエチレンは、バイオマス由来のエタノールを原料として製造することができる。特に、植物原料から得られるバイオマス由来の発酵エタノールを用いることが好ましい。植物原料は、特に限定されず、従来公知の植物を用いることができる。例えば、トウモロコシ、サトウキビ、ビート、およびマニオクを挙げることができる。
バイオマス由来の発酵エタノールとは、植物原料より得られる炭素源を含む培養液にエタノールを生産する微生物またはその破砕物由来産物を接触させ、生産した後、精製されたエタノールを指す。培養液からのエタノールの精製は、蒸留、膜分離、および抽出等の従来公知の方法が適用可能である。例えば、ベンゼン、シクロヘキサン等を添加し、共沸させるか、または膜分離等により水分を除去する等の方法が挙げられる。
バイオマスポリオレフィンの原料であるモノマーは、化石燃料由来のエチレンのモノマーおよび/または化石燃料由来のα-オレフィンのモノマーをさらに含んでもよいし、バイオマス由来のα-オレフィンのモノマーをさらに含んでもよい。
上記のα-オレフィンは、炭素数は特に限定されないが、通常、炭素数3~20のものを用いることができ、ブチレン、ヘキセン、またはオクテンであることが好ましい。ブチレン、ヘキセン、またはオクテンであれば、バイオマス由来の原料であるエチレンの重合により製造することが可能となるからである。また、このようなα-オレフィンを含むことで、重合されてなるポリオレフィンはアルキル基を分岐構造として有するため、単純な直鎖状のものよりも柔軟性に富むものとすることができる。
バイオマスポリオレフィンとしては、ポリエチレンや、エチレンとα-オレフィンの共重合体を単独で用いてもよいし、二種以上混合して用いてもよい。特に、バイオマスポリオレフィンはポリエチレンであることが好ましい。バイオマス由来の原料であるエチレンを用いることで、理論上100%バイオマス由来成分により製造することが可能となるからである。
バイオマスポリオレフィンは、異なるバイオマス度のバイオマスポリオレフィンを2種以上含むものであってもよく、ポリオレフィン樹脂層全体として、バイオマス度が、後述する範囲内であればよい。
バイオマスポリオレフィンは、好ましくは0.91g/cm3以上0.93g/cm3以下、より好ましくは0.912g/cm3以上0.928g/cm3以下、さらに好ましくは0.915g/cm3以上0.925g/cm3以下の密度を有するものである。バイオマスポリオレフィンの密度は、JIS K6760-1995に記載のアニーリングを行った後、JIS K7112-1980のうち、A法に規定された方法に従って測定される値である。バイオマスポリオレフィンの密度が0.91g/cm3以上あれば、バイオマスポリオレフィンを含むポリオレフィン樹脂層の剛性を高めることができ、包装製品の内層として好適に用いることができる。また、バイオマスポリオレフィンの密度が0.93g/cm3以下であれば、バイオマスポリオレフィンを含むポリオレフィン樹脂層の透明性や機械的強度を高めることができ、包装製品の内層として好適に用いることができる。
バイオマスポリオレフィンは、0.1g/10分以上10g/10分以下、好ましくは0.2g/10分以上9g/10分以下、より好ましくは1g/10分以上8.5g/10分以下のメルトフローレート(MFR)を有するものである。メルトフローレートとは、JIS K7210-1995に規定された方法において、温度190℃、荷重21.18Nの条件で、A法により測定される値である。バイオマスポリオレフィンのMFRが0.1g/10分以上であれば、成形加工時の押出負荷を低減することができる。また、バイオマスポリオレフィンのMFRが10g/10分以下であれば、バイオマスポリオレフィンを含むポリオレフィン樹脂層の機械的強度を高めることができる。
好適に使用されるバイオマスポリオレフィンとしては、Braskem社製のバイオマス由来の低密度ポリエチレン(商品名:SBC818、密度:0.918g/cm3、MFR:8.1g/10分、バイオマス度95%)、Braskem社製のバイオマス由来の低密度ポリエチレン(商品名:SPB681、密度:0.922g/cm3、MFR:3.8g/10分、バイオマス度95%)、Braskem社製のバイオマス由来の直鎖状低密度ポリエチレン(商品名:SLL118、密度:0.916g/cm3、MFR:1.0g/10分、バイオマス度87%)等が挙げられる。
次に、シーラント層50を積層するために用いられる層である、上述の接着剤層61及びアンカーコート層62について説明する。
接着剤層61は、上述の接着層43の接着剤層と同様に、従来公知の方法、例えばドライラミネート法により形成することができる。接着剤層61の接着剤としては、上述の接着層43の接着剤層で例示したものを用いることができる。
アンカーコート層62は、基材40とシーラント層50との間の密着性を高めるための層である。アンカーコート層62を構成する樹脂としては、ビニル変性樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂等を用いることができる。
(ラミネート強度調整層)
次に、ラミネート強度調整層35について説明する。ラミネート強度調整層35は、樹脂を含み、かつ加熱により軟化する層である。ラミネート強度調整層35は、60~110℃の融点を有する樹脂材料を用いて形成することができる。
以下、ラミネート強度調整層35を構成する樹脂材料について説明する。ラミネート強度調整層35は、例えば、ポリアミドと、セルロースと、エチレン-酢酸ビニル系共重合体樹脂とを含有する樹脂を用いて形成することができる。また、ラミネート強度調整層35は、例えば、ポリアミドと、セルロースと、ポリオレフィンワックスとを含有する樹脂を用いて形成することもできる。セルロースは、例えば硝化綿である。ポリオレフィンワックスは、例えばポリエチレンワックスである。ポリアミドと硝化綿とポリエチレンワックスを含有する樹脂としては、DICグラフィックス株式会社製のMWOPニス(軟化点:105℃)などを用いることができる。
ラミネート強度調整層35の厚みは、1μm以上5μm以下であることが好ましい。ラミネート強度調整層35の厚みが1μm以上であれば、電子レンジで加熱したときに、ラミネート強度調整層35とシーラント層50の間で破壊を起こすことができる。またラミネート強度調整層35の厚みが大きすぎると、ラミネート強度調整層のパターンによっては、フィルム状の包装材料30をロール状に巻回したときに、一部が盛り上がり、その部分の包装材料が伸びてしまうおそれがあるが、ラミネート強度調整層35の厚みが5μm以下であれば、そのような包装材料30の伸びを抑制できる。
(その他の層)
包装材料30は、第1の二軸延伸プラスチックフィルム41又は第2の二軸延伸プラスチックフィルム42の面上に位置する蒸着層を備えていてもよい。また、包装材料30は、蒸着層の面上に位置し、透明性を有するガスバリア性塗布膜を更に備えていてもよい。
蒸着層は、包装材料30のガスバリア性を高めるために包装材料30に設けられる層である。蒸着層は、例えば、アルミニウム酸化物(酸化アルミニウム)、珪素酸化物などの、透明性を有する無機物で形成された透明蒸着層である。なお、蒸着層37は二層以上設けられてもよい。蒸着層37を二層以上有する場合、それぞれが、同一の組成であってもよいし、異なる組成であってもよい。
蒸着層の形成方法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、およびイオンプレ-ティング法等の物理気相成長法(Physical Vapor Deposition法、PVD法)、あるいは、プラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長法、および光化学気相成長法等の化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition法、CVD法)等を挙げることができる。具体的には、ローラー式蒸着膜成膜装置を用いて、成膜ローラー上において蒸着層を形成することができる。蒸着層の厚みは、例えば20Å以上且つ200Åであり、好ましくは30Å以上且つ150Åであり、より好ましくは、50Å以上且つ120Å以下である。なお、蒸着層の厚みは、例えば、蛍光X線分析装置(商品名:RIX2000型、株式会社理学製)を用いて、ファンダメンタルパラメーター法で測定することができる。
ガスバリア性塗布膜は、酸素ガスおよび水蒸気などの透過を抑制する層として機能する層である。ガスバリア性塗布膜は、一般式R1
nM(OR2)m(ただし、式中、R1、R2は、炭素数1~8の有機基を表し、Mは、金属原子を表し、nは、0以上の整数を表し、mは、1以上の整数を表し、n+mは、Mの原子価を表す。)で表される少なくとも一種以上のアルコキシドと、上記のようなポリビニルアルコ-ル系樹脂および/またはエチレン・ビニルアルコ-ル共重合体とを含有し、さらに、ゾルゲル法触媒、酸、水、および、有機溶剤の存在下に、ゾルゲル法によって重縮合する透明ガスバリア性組成物により得られる。
(裏面フィルムの包装材料の層構成)
次に、裏面フィルム15を構成する包装材料について説明する。
裏面フィルム15を構成する包装材料としては、表面フィルム14と同様に、ラミネート強度調整層35を部分的に備える包装材料30を用いてもよい。この場合、裏面フィルム15のラミネート強度調整層35は、表面フィルム14のラミネート強度調整層35と重なるように配置されていてもよい。
若しくは、裏面フィルム15を構成する包装材料として、ラミネート強度調整層35を備えない点以外は上述の包装材料30と同一のものを用いてもよい。言い換えれば、全域が上述の第2領域34によって構成されている包装材料30を裏面フィルム15として用いてもよい。
包装材料の製造方法
次に、包装材料30の製造方法の一例について説明する。
まず、上述の基材40を準備する。
図5乃至図9に示す例においては、ドライラミネート法やサンドラミネート法などのラミネート法を用いることにより、接着層43を介して第1の二軸延伸プラスチックフィルム41と第2の二軸延伸プラスチックフィルム42とを積層する。これによって、基材40を得ることができる。なお、第1の二軸延伸プラスチックフィルム41と第2の二軸延伸プラスチックフィルム42との間に絵柄層45が位置する場合、ラミネート工程の前に第1の二軸延伸プラスチックフィルム41又は第2の二軸延伸プラスチックフィルム42に絵柄層45を設けておく。
図10乃至図12に示す例においては、基材40として機能する二軸延伸プラスチックフィルム44を準備する。
続いて、必要に応じて基材40の内面に絵柄層45を形成した後、基材40の内面又は絵柄層45の内面にラミネート強度調整層35を部分的に形成する。例えば、基材40を流れ方向に搬送しながら、基材40のうち、表面フィルム14の上端の中央部に位置するようになる部分に、ラミネート強度調整層35を構成する材料を塗布する。基材40の流れ方向は、図4に示す第1方向D1に対応している。
続いて、ラミネート強度調整層35が部分的に設けられた基材40にシーラント層50を積層させる。例えば、ドライラミネート法により、基材40とシーラントフィルム51とを、接着剤層61を介して積層する。若しくは、押出コーティング法により、シーラント層50を構成する材料を基材40にコーティングする。コーティングに先行して上述のアンカーコート層62を基材40に形成してもよい。このようにして、外面31側から内面32側へ順に基材40、ラミネート強度調整層35及びシーラント層50を少なくとも備える包装材料30を得ることができる。
包装材料の特性
次に、包装材料30の特性について説明する。具体的には、包装材料30の破断伸度、破断強度及びラミネート強度について説明する。まず、破断伸度、破断強度及びラミネート強度を測定する際の環境、及び測定方法について説明する。
以下の説明において、包装材料30の第1領域33における破断伸度を第1破断伸度とも称し、包装材料30の第2領域34における破断伸度を第2破断伸度とも称する。また、第1破断伸度及び第2破断伸度のうち、包装材料30の試験片を温度80℃、相対湿度5%の環境に1分間保持した後に、温度80℃、相対湿度5%の環境で測定することによって得られた破断伸度のことをそれぞれ、高温第1破断伸度及び高温第2破断伸度とも称する。また、第1破断伸度及び第2破断伸度のうち、包装材料30の試験片を温度25℃、相対湿度50%の環境に1分間保持した後に、温度25℃、相対湿度50%の環境で測定することによって得られた破断伸度のことをそれぞれ、常温第1破断伸度及び常温第2破断伸度とも称する。
また、以下の説明において、包装材料30の第1領域33における破断強度を第1破断強度とも称し、包装材料30の第2領域34における破断強度を第2破断強度とも称する。また、第1破断強度及び第2破断強度のうち、包装材料30の試験片を温度80℃、相対湿度5%の環境に1分間保持した後に、温度80℃、相対湿度5%の環境で測定することによって得られた破断強度のことをそれぞれ、高温第1破断強度及び高温第2破断強度とも称する。また、第1破断強度及び第2破断強度のうち、包装材料30の試験片を温度25℃、相対湿度50%の環境に1分間保持した後に、温度25℃、相対湿度50%の環境で測定することによって得られた破断強度のことをそれぞれ、常温第1破断強度及び常温第2破断強度とも称する。
包装材料30の破断伸度及び破断強度は、JIS K7127に準拠して測定され得る。測定器としては、東洋精機社製のNo.260ストログラフVG1Fを用いることができる。試験片としては、包装材料30を幅15mm、長さ150mmの矩形状のフィルムに切り出したものを用いることができる。試験片を保持する一対のチャックの間の、測定開始時の間隔は50mmであり、引張速度は200mm/分である。なお、試験片の長さは、一対のチャックによって試験片を把持することができる限りにおいて、調整可能である。
袋10などの容器に加工される前の状態の包装材料30を入手可能な場合、包装材料30の試験片は、加工される前の包装材料30を切断することによって作製される。また、包装材料30の試験片は、袋10などの、包装材料30から作製された容器を切断することによって作製されてもよい。
例えば、包装材料30の流れ方向における破断伸度及び破断強度を測定する場合、図3において符号S1A又はS2Aで示すように、試験片の長辺方向が包装材料30の流れ方向に一致するよう、袋10の包装材料30を切断してもよい。試験片S1Aは、包装材料30の第1領域33の、流れ方向におけるにおける破断伸度及び破断強度を測定するためのものであり、少なくとも部分的にラミネート強度調整層35を含んでいる。試験片S2Aは、包装材料30の第2領域34の、流れ方向におけるにおける破断伸度及び破断強度を測定するためのものであり、ラミネート強度調整層35を含んでいない。
また、例えば、包装材料30の垂直方向における破断伸度及び破断強度を測定する場合、図3において符号S1B又はS2Bで示すように、試験片の長辺方向が包装材料30の垂直方向に一致するよう、袋10の包装材料30を切断してもよい。試験片S1Bは、包装材料30の第1領域33の、垂直方向におけるにおける破断伸度及び破断強度を測定するためのものであり、少なくとも部分的にラミネート強度調整層35を含んでいる。試験片S2Bは、包装材料30の第2領域34の、垂直方向におけるにおける破断伸度及び破断強度を測定するためのものであり、ラミネート強度調整層35を含んでいない。
また、以下の説明において、包装材料30の第1領域33におけるラミネート強度を第1ラミネート強度とも称し、包装材料30の第2領域34におけるラミネート強度を第2ラミネート強度とも称する。また、第1ラミネート強度及び第2ラミネート強度のうち、包装材料30の試験片を温度80℃、相対湿度5%の環境に1分間保持した後に、温度80℃、相対湿度5%の環境で測定することによって得られたラミネート強度のことをそれぞれ、高温第1ラミネート強度及び高温第2ラミネート強度とも称する。また、第1ラミネート強度及び第2ラミネート強度のうち、包装材料30の試験片を温度25℃、相対湿度50%の環境に1分間保持した後に、温度25℃、相対湿度50%の環境で測定することによって得られたラミネート強度のことをそれぞれ、常温第1ラミネート強度及び常温第2ラミネート強度とも称する。
包装材料30のラミネート強度は、JIS K7127に準拠して測定され得る。測定器としては、東洋精機社製のNo.260ストログラフVG1Fを用いることができる。試験片としては、破断伸度及び破断強度の場合と同様に、包装材料30を幅15mm、長さ150mmの矩形状のフィルムに切り出したものを用いることができる。なお、試験片の長さは、後述する間隔Sを確保することができる限りにおいて、調整可能である。試験片は、破断伸度及び破断強度の場合と同様に、袋10などの、包装材料30から作製された容器を切断することによって作製されてもよい。なお、包装材料30の第1領域33の試験片においては、試験片の少なくとも一部においてラミネート強度調整層35が試験片の幅方向の全域に広がっていることが好ましい。
以下、図19乃至図24を参照して、包装材料30のラミネート強度の測定方法について説明する。まず、包装材料30のラミネート強度を測定するための試験片について説明する。
図19は、包装材料30の第1領域33のラミネート強度を測定するための試験片91の一例を示す断面図である。図19に示す試験片91は、試験片91の長手方向の全域にわたって広がるラミネート強度調整層35を含んでいる。まず、図19に示すように、試験片91の基材40とシーラント層50とを長辺方向において試験片91の先端から部分的に、例えば15mmにわたって剥離させる。この際、ラミネート強度調整層35は、図19に示すように基材40側に位置していてもよい。
図20は、包装材料30の第1領域33のラミネート強度を測定するための試験片91のその他の例を示す断面図である。図20に示すように、試験片91は、試験片91の長手方向の一部分にわたって広がるラミネート強度調整層35を含んでいてもよい。
図21は、包装材料30の第2領域34のラミネート強度を測定するための試験片92を示す断面図である。試験片92は、ラミネート強度調整層35を含んでいない。
続いて、試験片91,92を用いて包装材料30のラミネート強度を測定する工程について説明する。ここでは、図20に示す試験片91を用いる例について説明する。
図22に示すように、基材40及びシーラント層50のうちの一方を、測定器の支持台93側に配置し、基材40及びシーラント層50のうちの他方の、既に剥離されている部分を、測定器のつかみ具94で把持する。また、基材40及びシーラント層50のうち支持台93側に配置されている方を、図22に示すように固定具95で支持台93に対して固定する。例えば、基材40側をつかみ具94で把持し、シーラント層50側を支持台93に固定する。また、つかみ具94によって把持されている基材40の面が、支持台93に固定されているシーラント層50の面に対して180°を成す方向において、つかみ具94を50mm/分の速度で引っ張り、つかみ具94が試験片に加える引張力Tを測定する。引っ張りを開始する際の、つかみ具94と固定具95との間の、つかみ具94の移動方向における間隔Sは30mmとし、引っ張りを終了する際の間隔Sは60mmとする。
図23は、図20に示す試験片91を用いる場合の、つかみ具93,94間の間隔Sに対する引張力の変化を示す図である。引張力の値は、図23に示すように、遷移領域を経た後、第2剥離領域において第2引張力を示し、第1剥離領域において第1引張力を示し、その後、第2剥離領域において第2引張力を示す。第2剥離領域とは、図20に示す試験片のうちラミネート強度調整層35が存在しない領域において基材40とシーラント層50とを剥離する際に観測される領域である。また、第1剥離領域とは、図20に示す試験片のうちラミネート強度調整層35が存在する領域において基材40とシーラント層50とを剥離する際に観測される領域である。本願においては、5個の試験片91について、第1剥離領域における引張力の平均値をそれぞれ算出し、その平均値を、包装材料30の第1領域33におけるラミネート強度(第1ラミネート強度)とした。
図24は、図21に示す試験片92を用いる場合の、つかみ具93,94間の間隔Sに対する引張力の変化を示す図である。引張力の値は、図24に示すように、遷移領域を経た後、第2剥離領域において第2引張力を示す。本願においては、5個の試験片92について、第2剥離領域における引張力の平均値をそれぞれ算出し、その平均値を、包装材料30の第2領域34におけるラミネート強度(第2ラミネート強度)とした。
続いて、包装材料30の破断伸度及び破断強度の好ましい範囲について説明する。
〔第1のタイプの包装材料の破断伸度及び破断強度〕
まず、包装材料30の基材40が第1の二軸延伸プラスチックフィルム41及び第2の二軸延伸プラスチックフィルム42を含み、第1の二軸延伸プラスチックフィルム41及び第2の二軸延伸プラスチックフィルム42のいずれもがポリエステルを主成分として含む場合について説明する。以下の説明において、このような包装材料30のことを、第1のタイプの包装材料30とも称する。
第1のタイプの包装材料30において、好ましくは、少なくとも一方向において、高温第2破断伸度が180%以下である。なお、包装材料30の破断伸度は、特に流れ方向においては、主に基材40及びシーラント層50の機械特性によって決定される特性であり、ラミネート強度調整層35はあまり破断伸度に寄与しないと考えられる。従って、包装材料30の高温第2破断伸度が180%以下である場合、包装材料30の高温第1破断伸度も同様に180%以下であると予想される。
包装材料30の高温第1破断伸度が180%以下であることにより、電子レンジの加熱温度で包装材料30の第1領域33においてラミネート強度調整層35の剥離が生じた後、包装材料30のうちラミネート強度調整層35に重なる部分の一部を、例えばシーラント層50を破断させることができる。これにより、シーラント層50の破断箇所を介して蒸気を袋10の外部に逃がし易くすることができる。高温第2破断伸度は、170%以下であってもよく、160%以下であってもよい。
また、第1のタイプの包装材料30において、好ましくは、少なくとも一方向において、高温第2破断強度が60N以下である。なお、包装材料30の破断強度は、特に流れ方向においては、破断伸度と同様に、主に基材40及びシーラント層50の機械特性によって決定される特性であり、ラミネート強度調整層35はあまり破断強度に寄与しないと考えられる。従って、包装材料30の高温第2破断強度が60N以下である場合、包装材料30の高温第1破断強度も同様に60N以下であると予想される。
包装材料30の高温第1破断強度が60N以下であることにより、電子レンジの加熱温度で包装材料30の第1領域33においてラミネート強度調整層35の剥離が生じた後、包装材料30のうちラミネート強度調整層35に重なる部分の一部を、例えばシーラント層50を破断させることができる。これにより、シーラント層50の破断箇所を介して蒸気を袋10の外部に逃がし易くすることができる。
また、第1のタイプの包装材料30において、好ましくは、少なくとも一方向において、高温第2破断伸度が常温第2破断伸度よりも低くなっている。また、第1のタイプの包装材料30において、好ましくは、高温第2破断強度が常温第2破断強度よりも低くなっている。すなわち、包装材料30は、好ましくは、高温において常温に比べて伸びにくい、又は破断し易い特性を有している。これにより、常温においては所定の強度を維持しながら、電子レンジの加熱温度で、包装材料30のうちラミネート強度調整層35に重なる部分の一部を、例えばシーラント層50を破断させることができる。第1のタイプの包装材料30において、常温第2破断伸度は、例えば160%超である。また、第1のタイプの包装材料30において、常温第2破断強度は、例えば60N超である。
〔第2のタイプの包装材料の破断伸度及び破断強度〕
次に、包装材料30の基材40が第1の二軸延伸プラスチックフィルム41及び第2の二軸延伸プラスチックフィルム42を含み、第1の二軸延伸プラスチックフィルム41及び第2の二軸延伸プラスチックフィルム42の一方がポリエステルを主成分として含み、第1の二軸延伸プラスチックフィルム41及び第2の二軸延伸プラスチックフィルム42の他方がポリアミドを主成分として含む場合について説明する。以下の説明において、このような包装材料30のことを、第2のタイプの包装材料30とも称する。
第2のタイプの包装材料30において、好ましくは、少なくとも一方向において、高温第2破断伸度が135%以下である。包装材料30の高温第2破断伸度が135%以下である場合、包装材料30の高温第1破断伸度も同様に135%以下であると予想される。高温第2破断伸度は、130%以下であってもよく、120%以下であってもよく、110%以下であってもよく、100%以下であってもよい。
また、第2のタイプの包装材料30において、好ましくは、少なくとも一方向において、高温第2破断強度が60N以下である。包装材料30の高温第2破断強度が60N以下である場合、包装材料30の高温第1破断強度も同様に60N以下であると予想される。
また、第2のタイプの包装材料30において、好ましくは、少なくとも一方向において、高温第2破断伸度が常温第2破断伸度よりも低くなっている。また、第2のタイプの包装材料30において、好ましくは、高温第2破断強度が常温第2破断強度よりも低くなっている。第2のタイプの包装材料30において、常温第2破断伸度は、例えば100%超である。また、第2のタイプの包装材料30において、常温第2破断強度は、例えば60N超であり、65N超であってもよい。
〔第3のタイプの包装材料の破断伸度及び破断強度〕
次に、包装材料30の基材40が、二軸延伸プラスチックフィルム44を含み、二軸延伸プラスチックフィルム44がポリエステルを主成分として含む場合について説明する。以下の説明において、このような包装材料30のことを、第3のタイプの包装材料30とも称する。
第3のタイプの包装材料30において、好ましくは、少なくとも一方向において、高温第2破断伸度が125%以下である。高温第2破断伸度は、120%以下であってもよく、110%以下であってもよく、100%以下であってもよく、95%以下であってもよい。
また、第3のタイプの包装材料30において、好ましくは、少なくとも一方向において、高温第2破断強度が30N以下である。
また、第3のタイプの包装材料30において、好ましくは、少なくとも一方向において、高温第2破断伸度が常温第2破断伸度よりも低くなっている。また、第3のタイプの包装材料30において、好ましくは、高温第2破断強度が常温第2破断強度よりも低くなっている。第3のタイプの包装材料30において、常温第2破断伸度は、例えば100%超である。また、第3のタイプの包装材料30において、常温第2破断強度は、例えば30N超であり、35N超であってもよく、40N超であってもよく、45N超であってもよい。
〔第4のタイプの包装材料の破断伸度及び破断強度〕
次に、包装材料30の基材40が、二軸延伸プラスチックフィルム44を含み、二軸延伸プラスチックフィルム44がポリアミドを主成分として含む場合について説明する。以下の説明において、このような包装材料30のことを、第4のタイプの包装材料30とも称する。
第4のタイプの包装材料30において、好ましくは、一方向及び一方向と直交する方向において、例えば流れ方向及び垂直方向において、高温第2破断伸度が155%以下である。高温第2破断伸度は、150%以下であってもよく、145%以下であってもよく、140%以下であってもよく、135%以下であってもよい。
また、第4のタイプの包装材料30において、好ましくは、少なくとも一方向において、例えば流れ方向又は垂直方向の少なくともいずれかにおいて、高温第2破断強度が60N以下である。また、第4のタイプの包装材料30において、好ましくは、一方向及び一方向と直交する方向において、例えば流れ方向及び垂直方向において、高温第2破断強度が60N以下である。
また、第4のタイプの包装材料30において、好ましくは、高温第2破断強度が常温第2破断強度よりも低くなっている。第4のタイプの包装材料30において、常温第2破断伸度は、例えば130%超である。また、第4のタイプの包装材料30において、常温第2破断強度は、例えば60N超であり、65N超であってもよく、70N超であってもよい。
〔包装材料のラミネート強度〕
続いて、包装材料30のラミネート強度の好ましい範囲について説明する。なお、以下に説明する、包装材料30のラミネート強度の好ましい範囲は、上述の第1~第4のタイプの包装材料30のいずれにも適用され得る。
包装材料30において、好ましくは、高温第2ラミネート強度が、高温第1ラミネート強度の2倍以上である。言い換えると、好ましくは、ラミネート強度調整層35が存在する領域における高温でのラミネート強度は、ラミネート強度調整層35がしない領域における高温でのラミネート強度の1/2以下である。これにより、電子レンジの加熱温度で包装材料30の第1領域33において適切にラミネート強度調整層35の剥離を生じさせることができる。包装材料30の高温第2ラミネート強度は、例えば0.5N以下である。また、包装材料30の高温第1ラミネート強度は、例えば1.0N超である。
また、包装材料30において、常温第2ラミネート強度が、常温第1ラミネート強度の2倍以上であってもよく、3倍以上であってもよい。包装材料30の常温第2ラミネート強度は、例えば2.0N以下である。また、包装材料30の常温第1ラミネート強度は、例えば4.0N超であり、5.0N超であってもよく、6.0N超であってもよい。
内容物の加熱方法
次に、袋10に収容された内容物19の加熱方法の一例について説明する。
まず、裏面フィルム15を下にした状態で、袋10を電子レンジの内部に載置する。この際、好ましくは、袋10の上部11が下部12よりも上方に位置するように袋10を傾けた状態で、袋10を電子レンジの内部に載置する。例えば、袋10の販売時に袋10を収容している外箱を利用して、袋10を傾けた状態で袋10を支持することができる。一例として、外箱の上部の蓋部を外箱の本体部の裏面側に折り返すことによって、外箱の本体部を電子レンジの載置面に対して傾けることができ、また、傾いた状態の外箱の本体部に袋10を入れることにより、袋10の上部11が下部12よりも上方に位置するように袋10を傾けることができる。
次に、電子レンジを利用して内容物を加熱する。これによって、内容物19の温度が高くなり、これに伴って、内容物19に含まれる水分が蒸発して収容部17の圧力が高まる。
本実施の形態によれば、袋10のフィルムの少なくとも一部を構成する包装材料30がラミネート強度調整層35を備えることにより、袋10のうちラミネート強度調整層35が位置している部分を蒸気抜き機構として機能させることができる。これにより、蒸気抜き機構以外の箇所から蒸気が抜けたり、袋10が破裂したりする確率を低くすることができる。この際、ラミネート強度調整層35が配置されている袋10の上部11が下部12よりも上方に位置するように袋10を傾けることにより、袋10のうちラミネート強度調整層35が位置している部分から内容物19が漏れ出てしまうことを抑制することができる。
本実施の形態において、好ましくは、包装材料30の高温第2ラミネート強度が高温第1ラミネート強度の2倍以上である。これにより、電子レンジの加熱温度で包装材料30の第1領域33において適切にラミネート強度調整層35の剥離を生じさせることができる。
また、本実施の形態において、好ましくは、包装材料30は、低い高温第2破断伸度又は高温第2破断強度を有する。例えば、高温第2破断伸度が常温第2破断伸度よりも低くなっている。また、高温第2破断強度が常温第2破断強度よりも低くなっていてもよい。このため、ラミネート強度調整層35の剥離が生じた後、包装材料30のうちラミネート強度調整層35に重なる部分の一部を、例えばシーラント層50を破断させることができる。これにより、シーラント層50の破断箇所を介して蒸気を袋10の外部に逃がし易くすることができる。
変形例
なお、上述した各実施の形態に対して様々な変更を加えることが可能である。以下、必要に応じて図面を参照しながら、変形例について説明する。以下の説明および以下の説明で用いる図面では、上述した実施の形態と同様に構成され得る部分について、上述の実施の形態における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いることとし、重複する説明を省略する。また、上述した実施の形態において得られる作用効果が変形例においても得られることが明らかである場合、その説明を省略することもある。
(第1の変形例)
図25は、第1の変形例に係る袋10を示す正面図である。本変形例において、ラミネート強度調整層35は、袋10の下部12に沿って広がるよう配置されている。表面フィルム14を構成する包装材料30は、表面フィルム14の下端の中央部に配置されたラミネート強度調整層35を備える。
ラミネート強度調整層35は、袋10の下部12に形成される下部シール部12aに少なくとも部分的に重なるように配置されている。具体的には、ラミネート強度調整層35は、表面フィルム14の包装材料30において、下部シール部12a及び収容部17側の非シール部に跨るように広がっている。ラミネート強度調整層35は、下部シール部12aの内縁(収容部側の縁部)から外縁(外部環境側の縁部)に至るように広がっていてもよい。これにより、加熱によってラミネート強度調整層35の剥離が生じた場合に、下部シール部12aの内縁(収容部側の縁部)から外縁(外部環境側の縁部)に至る蒸気の流路を形成することができる。ラミネート強度調整層35は、側部シール部13aには至らないように下部12に沿って第1方向D1に広がっていてもよい。
図25に示すように、上部11及び下部12が延びる方向である第1方向D1におけるラミネート強度調整層35の寸法は、第2方向D2におけるラミネート強度調整層35の寸法よりも大きくなっていてもよい。若しくは、図示はしないが、第1方向D1におけるラミネート強度調整層35の寸法は、第2方向D2におけるラミネート強度調整層35の寸法よりも小さくなっていてもよい。
本変形例においても、袋10のうちラミネート強度調整層35が位置している部分を蒸気抜き機構として機能させることができるので、蒸気抜き機構以外の箇所から蒸気が抜けたり、容器が破裂したりする確率を低くすることができる。
(第2の変形例)
図26は、第2の変形例に係る袋10を示す正面図である。本変形例において、ラミネート強度調整層35は、袋10の側部13に沿って広がるよう配置されている。この場合、ラミネート強度調整層35は、図26に示すように一対の側部13のいずれにも配置されていてもよく、図示はしないが、一対の側部13のうちの一方にのみ配置されていてもよい。表面フィルム14を構成する包装材料30は、表面フィルム14の側端の中央部に配置されたラミネート強度調整層35を備える。
各フィルム14,15を搬送しながら各フィルム14,15の内面同士を接合して下部シール部12a及び側部シール部13aを形成し、その後、側部シール部13aの位置で各フィルム14,15を第2方向D2に切断することによって袋10を作製する場合、各フィルム14,15の切断箇所が各フィルム14,15の側端を構成する。また、各フィルム14,15の切断箇所が、表面フィルム14に配置されているラミネート強度調整層35を横切る場合、図26に示すように一対の側部13のいずれにもラミネート強度調整層35が位置するようになる。
ラミネート強度調整層35は、袋10の側部13に形成される側部シール部13aに少なくとも部分的に重なるように配置されている。具体的には、ラミネート強度調整層35は、表面フィルム14の包装材料30において、側部シール部13a及び収容部17側の非シール部に跨るように広がっている。ラミネート強度調整層35は、側部シール部13aの内縁(収容部側の縁部)から外縁(外部環境側の縁部)に至るように広がっていてもよい。これにより、加熱によってラミネート強度調整層35の剥離が生じた場合に、側部シール部13aの内縁(収容部側の縁部)から外縁(外部環境側の縁部)に至る蒸気の流路を形成することができる。ラミネート強度調整層35は、上部シール部11a及び下部シール部12aには至らないように側部13に沿って第2方向D2に広がっていてもよい。
図26に示すように、側部13が延びる方向である第2方向D2におけるラミネート強度調整層35の寸法は、第1方向D1におけるラミネート強度調整層35の寸法よりも大きくなっていてもよい。若しくは、図示はしないが、第2方向D2におけるラミネート強度調整層35の寸法は、第1方向D1におけるラミネート強度調整層35の寸法よりも小さくなっていてもよい。
本変形例においても、袋10のうちラミネート強度調整層35が位置している部分を蒸気抜き機構として機能させることができるので、蒸気抜き機構以外の箇所から蒸気が抜けたり、容器が破裂したりする確率を低くすることができる。
(第3の変形例)
図27は、第3の変形例に係る袋10を示す正面図である。
本変形例による袋10は、一対の側部シール部13aの少なくとも一方から内側に突出する蒸気抜きシール部20aと、蒸気抜きシール部20aによって袋10の収容部17から隔離されている非シール部20bと、を有する。「内側」とは、収容部17の中心に近づく側である。蒸気抜きシール部20aは、側部シール部13aと同様に、表面フィルム14の内面と裏面フィルム15の内面とを接合することによって構成されるシール部である。非シール部20bは、袋10の外部に連通している。蒸気抜きシール部20aは側部シール部13aよりも袋10の内側に位置しているので、収容部17の圧力が増加した際に蒸気抜けシール部20aに加わる力は、側部シール部13aに加わる力よりも大きい。好ましくは、蒸気抜きシール部20aの幅は、側部シール部13aの幅よりも小さくなっている。本変形例においては、このような蒸気抜きシール部20a及び非シール部20bが蒸気抜き機構20として機能する。
蒸気抜き機構20は、上述の実施の形態及び変形例と同様に、表面フィルム14に部分的に配置されているラミネート強度調整層35を更に有する。変形例において、ラミネート強度調整層35は、袋10の側部13に配置されている。
図28は、図27の袋10の線XXVIII-XXVIIIに沿った断面図である。ラミネート強度調整層35は、蒸気抜きシール部20aに少なくとも部分的に重なるように配置されている。具体的には、ラミネート強度調整層35は、表面フィルム14の包装材料30において、蒸気抜きシール部20a及び収容部17側の非シール部に跨るように広がっている。ラミネート強度調整層35は、蒸気抜きシール部20aの内縁(収容部17側の縁部)から外縁(非シール部20b側の縁部)に至るように広がっていてもよい。これにより、加熱によってラミネート強度調整層35の剥離が生じた場合に、蒸気抜きシール部20aの内縁(収容部17側の縁部)から外縁(非シール部20b側の縁部)に至る蒸気の流路を形成することができる。また、ラミネート強度調整層35は、表面フィルム14の包装材料30において、蒸気抜きシール部20a及び非シール部20bに跨るように広がっていてもよい。
図28に示すように、袋10は、袋10の側縁において側部シール部13aに形成されている易開封性手段25を備えていてもよい。これにより、袋10を加熱した後、袋10を第1方向D1に引き裂き易くなる。易開封性手段25は、一対の側部シール部13aのうちの一方にのみ形成されていてもよく、一対の側部シール部13aの両方に形成されていてもよい。易開封性手段25は、図28に示すように、蒸気抜きシール部20aよりも上方において側部シール部13aに形成されていてもよい。若しくは、図示はしないが、易開封性手段25は、蒸気抜きシール部20aよりも下方において側部シール部13aに形成されていてもよい。
本変形例においても、袋10のうちラミネート強度調整層35が位置している部分を蒸気抜き機構として機能させることができるので、蒸気抜き機構以外の箇所から蒸気が抜けたり、容器が破裂したりする確率を低くすることができる。
なお、上述した実施の形態に対するいくつかの変形例を説明してきたが、当然に、複数の変形例を適宜組み合わせて適用することも可能である。
次に、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例の記載に限定されるものではない。
(実施例A1)
低密度ポリエチレン(密度0.924g/cm3、MFR4.0g/10min)のペレットを押し出し機に投入し、温度150℃でインフレーション成形を行い、厚み40μmのシーラントフィルム51を作製した。
続いて、流れ方向及び垂直方向におけるシーラントフィルム51の破断伸度及び破断強度を、JIS K7127に準拠して測定した。測定器としては、東洋精機社製のNo.260ストログラフVG1Fを用いた。試験片としては、シーラントフィルム51を幅15mm、長さ150mmの矩形状のフィルムに切り出したものを用いた。試験片を保持する一対のチャックの間の、測定開始時の間隔は50mmであり、引張速度は200mm/分である。測定は、温度25℃、相対湿度50%の環境(以下、常温環境とも称する)、及び、温度80℃、相対湿度5%の環境(以下、高温環境とも称する)でそれぞれ行った。結果、常温環境において、流れ方向及び垂直方向におけるシーラントフィルム51の破断伸度はそれぞれ182.5%及び282.5%であった。また、常温環境において、流れ方向及び垂直方向におけるシーラントフィルム51の破断強度はそれぞれ12.1N及び7.3Nであった。また、高温環境において、流れ方向及び垂直方向におけるシーラントフィルム51の破断伸度はそれぞれ90.1%及び150.1%であった。また、高温環境において、流れ方向及び垂直方向におけるシーラントフィルム51の破断強度はそれぞれ6.7N及び4.4Nであった。
(実施例B1)
第1の二軸延伸プラスチックフィルム41及び第2の二軸延伸プラスチックフィルム42としてそれぞれ、厚みが12μmの二軸延伸PETフィルムを準備した。二軸延伸PETフィルムとしては、流れ方向(MD)における引張強度と垂直方向(TD)における引張強度とが略同一のものを用いた。また、第1の二軸延伸プラスチックフィルム41の内面に絵柄層45を形成した。また、第2の二軸延伸プラスチックフィルム42の内面に部分的にラミネート強度調整層35を形成した。ラミネート強度調整層35としては、ポリアミドと硝化綿とポリエチレンワックスを含む樹脂を有するものを用いた。ラミネート強度調整層35の厚みは0.5μmであった。また、シーラント層50として、上述の実施例A1で説明したシーラントフィルム51を準備した。
続いて、ドライラミネート法により、絵柄層45が設けられた第1の二軸延伸プラスチックフィルム41、ラミネート強度調整層35が設けられた第2の二軸延伸プラスチックフィルム42及びシーラントフィルム51を積層し、図5に示す包装材料30を作製した。接着層43及び接着剤層61としては、ロックペイント株式会社製の2液型ポリウレタン系接着剤(主剤:RU-40、硬化剤:H-4)を用いた。接着層43の厚みは3μmであり、接着剤層61の厚みは3μmであった。包装材料30全体の厚みは72μmであった。
続いて、流れ方向及び垂直方向における包装材料30の第1領域33及び第2領域34において、破断伸度及び破断強度を測定した。破断伸度及び破断強度の測定方法は、試験片を構成するフィルムが包装材料30である点を除いて、上述の実施例A1の場合と同様である。
常温環境において、流れ方向及び垂直方向における包装材料30の、第1領域33における破断伸度はそれぞれ175.1%及び81.2%であり、第2領域34における破断伸度はそれぞれ164.6%及び131.9%であった。また、常温環境において、流れ方向及び垂直方向における包装材料30の、第1領域33における破断強度はそれぞれ66.5N及び83.0Nであり、第2領域34における破断強度はそれぞれ65.7N及び100.1Nであった。また、高温環境において、流れ方向及び垂直方向における包装材料30の、第1領域33における破断伸度はそれぞれ158.8%及び70.8%であり、第2領域34における破断伸度はそれぞれ155.2%及び140.6%であった。また、高温環境において、流れ方向及び垂直方向における包装材料30の、第1領域33における破断強度はそれぞれ58.7N及び69.6Nであり、第2領域34における破断強度はそれぞれ57.6N及び79.2Nであった。
このように、実施例B1においては、流れ方向において、高温第1破断伸度及び高温第2破断伸度がいずれも180%以下であり、具体的には160%以下であった。また、流れ方向において、高温第1破断強度及び高温第2破断強度がいずれも60N以下であった。また、流れ方向において、高温第2破断伸度が常温第2破断伸度よりも低くなっており、また、高温第2破断強度が常温第2破断強度よりも低くなっていた。
また、流れ方向における包装材料30のラミネート強度を、JIS K7127に準拠して測定した。測定器としては、東洋精機社製のNo.260ストログラフVG1Fを用いた。試験片としては、包装材料30の第1領域33及び第2領域34をそれぞれ幅15mm、長さ150mmの矩形状のフィルムに切り出したものを用いた。測定においては、まず、試験片の基材40とシーラント層50とを長辺方向において試験片の先端から15mmにわたって剥離させた。続いて、図22に示すように、試験片のうちのシーラント層50の側を固定具95で支持台93に固定し、基材40のうち既に剥離されている部分を、測定器のつかみ具94で把持した。続いて、つかみ具94によって把持されている基材40の面が、支持台93に固定されているシーラント層50の面に対して180°を成す方向において、つかみ具94を50mm/分の速度で引っ張った。引っ張りを開始する際の、つかみ具94と固定具95との間の、つかみ具94の移動方向における間隔Sは30mmとし、引っ張りを終了する際の間隔Sは60mmとした。
常温環境において、包装材料30の第1領域33及び第2領域34におけるラミネート強度はそれぞれ1.5N及び6.3Nであった。また、高温環境において、包装材料30の第1領域33及び第2領域34におけるラミネート強度はそれぞれ0.5N及び1.2Nであった。
このように、実施例B1においては、流れ方向において、包装材料30の高温第2ラミネート強度が高温第1ラミネート強度の2倍以上であった。また、流れ方向において、包装材料30の常温第2ラミネート強度が常温第1ラミネート強度の2倍以上であり、具体的には4倍以上であった。
(比較例B1)
シーラント層50を構成するシーラントフィルム51として、三井化学東セロ製のTUX HC(厚み40μm)を用いたこと以外は、実施例B1の場合と同様にして、包装材料30を作製した。包装材料30全体の厚みは72μmであった。
続いて、実施例B1の場合と同様にして、流れ方向及び垂直方向における包装材料30の第2領域34において、破断伸度及び破断強度を測定した。結果、常温環境において、流れ方向及び垂直方向における包装材料30の、第2領域34における破断伸度はそれぞれ164.6%及び150.1%であった。また、常温環境において、流れ方向及び垂直方向における包装材料30の、第2領域34における破断強度はそれぞれ65.7N及び63.2Nであった。また、高温環境において、流れ方向及び垂直方向における包装材料30の、第2領域34における破断伸度はそれぞれ183.2%及び170.1%であった。また、高温環境において、流れ方向及び垂直方向における包装材料30の、第2領域34における破断強度はそれぞれ61.1N及び58.4Nであった。
また、実施例B1の場合と同様にして、流れ方向において、包装材料30の第2領域34におけるラミネート強度を測定した。結果、常温環境において、包装材料30の第2領域34におけるラミネート強度は5.7Nであった。また、高温環境において、包装材料30の第2領域34におけるラミネート強度は1.1Nであった。
(実施例B2)
第1の二軸延伸プラスチックフィルム41として、二軸延伸されたナイロンフィルム(厚さ15μm)を用いたこと以外は、実施例B1の場合と同様にして、図5に示す層構成を有する包装材料30を作製した。包装材料30全体の厚みは75μmであった。
続いて、実施例B1の場合と同様にして、流れ方向及び垂直方向における包装材料30の第1領域33及び第2領域34において、破断伸度及び破断強度を測定した。結果、常温環境において、流れ方向及び垂直方向における包装材料30の、第1領域33における破断伸度はそれぞれ115.0%及び106.7%であり、第2領域34における破断伸度はそれぞれ100.2%及び118.4%であった。また、常温環境において、流れ方向及び垂直方向における包装材料30の、第1領域33における破断強度はそれぞれ66.7N及び90.1Nであり、第2領域34における破断強度はそれぞれ67.0N及び97.3Nであった。また、高温環境において、流れ方向及び垂直方向における包装材料30の、第1領域33における破断伸度はそれぞれ97.8%及び125.2%であり、第2領域34における破断伸度はそれぞれ93.0%及び110.2%であった。また、高温環境において、流れ方向及び垂直方向における包装材料30の、第1領域33における破断強度はそれぞれ56.4N及び75.6Nであり、第2領域34における破断強度はそれぞれ55.7N及び76.5Nであった。
このように、実施例B2においては、流れ方向において、高温第1破断伸度及び高温第2破断伸度がいずれも135%以下であり、具体的には100%以下であった。また、流れ方向において、高温第1破断強度及び高温第2破断強度がいずれも60N以下であった。また、流れ方向において、高温第2破断伸度が常温第2破断伸度よりも低くなっており、また、高温第2破断強度が常温第2破断強度よりも低くなっていた。
(比較例B2)
シーラント層50として、三井化学東セロ製のTUX HC(厚み40μm)を用いたこと以外は、実施例B2の場合と同様にして、包装材料30を作製した。包装材料30全体の厚みは75μmであった。
続いて、実施例B1の場合と同様にして、流れ方向及び垂直方向における包装材料30の第2領域34において、破断伸度及び破断強度を測定した。結果、常温環境において、流れ方向及び垂直方向における包装材料30の、第2領域34における破断伸度はそれぞれ102.3%及び110.1%であった。また、常温環境において、流れ方向及び垂直方向における包装材料30の、第2領域34における破断強度はそれぞれ66.2N及び95.1Nであった。また、高温環境において、流れ方向及び垂直方向における包装材料30の、第2領域34における破断伸度はそれぞれ138.1%及び143.2%であった。また、高温環境において、流れ方向及び垂直方向における包装材料30の、第2領域34における破断強度はそれぞれ60.1N及び74.2Nであった。
(実施例B3)
二軸延伸プラスチックフィルム44としてそれぞれ、厚みが12μmの二軸延伸PETフィルムを準備した。二軸延伸PETフィルムとしては、実施例B1の場合と同様に、流れ方向(MD)における引張強度と垂直方向(TD)における引張強度とが略同一のものを用いた。また、二軸延伸プラスチックフィルム44の内面に絵柄層45を形成し絵柄層45の内面に部分的にラミネート強度調整層35を形成した。ラミネート強度調整層35としては、実施例B1の場合と同様に、ポリアミドと硝化綿とポリエチレンワックスを含む樹脂を有するものを用いた。ラミネート強度調整層35の厚みは0.5μmであった。また、シーラント層50として、上述の実施例A1で説明したシーラントフィルム51を準備した。
続いて、ドライラミネート法により、絵柄層45及びラミネート強度調整層35が設けられた二軸延伸プラスチックフィルム44及びシーラントフィルム51を積層し、図10に示す包装材料30を作製した。接着剤層61としては、ロックペイント株式会社製の2液型ポリウレタン系接着剤(主剤:RU-40、硬化剤:H-4)を用いた。接着剤層61の厚みは3μmであった。包装材料30全体の厚みは56μmであった。
続いて、実施例B1の場合と同様にして、流れ方向及び垂直方向における包装材料30の第1領域33及び第2領域34において、破断伸度及び破断強度を測定した。結果、常温環境において、流れ方向及び垂直方向における包装材料30の、第1領域33における破断伸度はそれぞれ132.7%及び78.0%であり、第2領域34における破断伸度はそれぞれ102.5%及び96.2%であった。また、常温環境において、流れ方向及び垂直方向における包装材料30の、第1領域33における破断強度はそれぞれ49.6N及び43.7Nであり、第2領域34における破断強度はそれぞれ47.0N及び45.0Nであった。また、高温環境において、流れ方向及び垂直方向における包装材料30の、第1領域33における破断伸度はそれぞれ120.5%及び56.6%であり、第2領域34における破断伸度はそれぞれ91.3%及び49.8%であった。また、高温環境において、流れ方向及び垂直方向における包装材料30の、第1領域33における破断強度はそれぞれ29.9N及び27.6Nであり、第2領域34における破断強度はそれぞれ25.9N及び28.5Nであった。
このように、実施例B3においては、流れ方向において、高温第1破断伸度及び高温第2破断伸度がいずれも125%以下であった。また、流れ方向において、高温第2破断伸度は95%以下であった。また、流れ方向において、高温第1破断強度及び高温第2破断強度がいずれも30N以下であった。また、流れ方向において、高温第2破断伸度が常温第2破断伸度よりも低くなっており、また、高温第2破断強度が常温第2破断強度よりも低くなっていた。
また、実施例B1の場合と同様にして、流れ方向において、包装材料30の第1領域33及び第2領域34におけるラミネート強度を測定した。結果、常温環境において、包装材料30の第1領域33及び第2領域34におけるラミネート強度はそれぞれ1.7N及び6.1Nであった。また、高温環境において、包装材料30の第1領域33及び第2領域34におけるラミネート強度はそれぞれ0.4N及び1.4Nであった。
このように、実施例B3においては、流れ方向において、包装材料30の高温第2ラミネート強度が高温第1ラミネート強度の2倍以上であり、具体的には3倍以上であった。また、流れ方向において、包装材料30の常温第2ラミネート強度が常温第1ラミネート強度の2倍以上であり、具体的には3倍以上であった。
(比較例B3-1)
シーラント層50として、三井化学東セロ製のTUX HC(厚み40μm)を用いたこと以外は、実施例B3の場合と同様にして、包装材料30を作製した。包装材料30全体の厚みは56μmであった。
続いて、実施例B1の場合と同様にして、流れ方向及び垂直方向における包装材料30の第2領域34において、破断伸度及び破断強度を測定した。結果、常温環境において、流れ方向及び垂直方向における包装材料30の、第2領域34における破断伸度はそれぞれ102.5%及び95.1%であった。また、常温環境において、流れ方向及び垂直方向における包装材料30の、第2領域34における破断強度はそれぞれ47.9N及び44.3Nであった。また、高温環境において、流れ方向及び垂直方向における包装材料30の、第2領域34における破断伸度はそれぞれ142.1%及び113.1%であった。また、高温環境において、流れ方向及び垂直方向における包装材料30の、第2領域34における破断強度はそれぞれ34.9N及び34.2Nであった。
また、実施例B1の場合と同様にして、流れ方向において、包装材料30の第2領域34におけるラミネート強度を測定した。結果、常温環境において、包装材料30の第2領域34におけるラミネート強度は5.4Nであった。また、高温環境において、包装材料30の第2領域34におけるラミネート強度は1.2Nであった。
(比較例B3-2)
シーラント層50として、東洋紡製のリックス L6102(厚み40μm)を用いたこと以外は、実施例B3の場合と同様にして、包装材料30を作製した。包装材料30全体の厚みは56μmであった。
続いて、実施例B1の場合と同様にして、流れ方向及び垂直方向における包装材料30の第2領域34において、破断伸度及び破断強度を測定した。結果、常温環境において、流れ方向及び垂直方向における包装材料30の、第2領域34における破断伸度はそれぞれ104.3%及び94.2%であった。また、常温環境において、流れ方向及び垂直方向における包装材料30の、第2領域34における破断強度はそれぞれ40.1N及び38.7Nであった。また、高温環境において、流れ方向及び垂直方向における包装材料30の、第2領域34における破断伸度はそれぞれ126.2%及び110.2%であった。また、高温環境において、流れ方向及び垂直方向における包装材料30の、第2領域34における破断強度はそれぞれ32.4N及び30.3Nであった。
(実施例B4)
二軸延伸プラスチックフィルム44として、二軸延伸されたナイロンフィルム(厚さ15μm)を用いたこと以外は、実施例B3の場合と同様にして、図10に示す層構成を有する包装材料30を作製した。包装材料30全体の厚みは59μmであった。
続いて、実施例B1の場合と同様にして、流れ方向及び垂直方向における包装材料30の第2領域34において、破断伸度及び破断強度を測定した。結果、常温環境において、流れ方向及び垂直方向における包装材料30の第2領域34における破断伸度はそれぞれ110.3%及び90.3%であった。また、常温環境において、流れ方向及び垂直方向における包装材料30の第2領域34における破断強度はそれぞれ65.4N及び63.2Nであった。また、高温環境において、流れ方向及び垂直方向における包装材料30の第2領域34における破断伸度はそれぞれ133.0%及び135.0%であった。また、高温環境において、流れ方向及び垂直方向における包装材料30の第2領域34における破断強度はそれぞれ57.6N及び55.4Nであった。
このように、実施例B4においては、流れ方向及び垂直方向の両方において、高温第2破断伸度が155%以下であり、具体的には135%以下であった。また、流れ方向及び垂直方向の両方において、高温第2破断強度がいずれも60N以下であった。
(比較例B4)
シーラント層50として、上述の比較例A1で説明したシーラントフィルム51を用いたこと以外は、実施例B4の場合と同様にして、包装材料30を作製した。包装材料30全体の厚みは54μmであった。
続いて、実施例B1の場合と同様にして、流れ方向及び垂直方向における包装材料30の第2領域34において、破断伸度及び破断強度を測定した。結果、常温環境において、流れ方向及び垂直方向における包装材料30の、第2領域34における破断伸度はそれぞれ119.0%及び130.2%であった。また、常温環境において、流れ方向及び垂直方向における包装材料30の、第2領域34における破断強度はそれぞれ70.9N及び68.6Nであった。また、高温環境において、流れ方向及び垂直方向における包装材料30の、第2領域34における破断伸度はそれぞれ158.2%及び130.4%であった。また、高温環境において、流れ方向及び垂直方向における包装材料30の、第2領域34における破断強度はそれぞれ48.2N及び50.4Nであった。
実施例B1及びB2並びに比較例B1及びB2における破断伸度及び破断強度の測定結果を、包装材料30の層構成とまとめて図32に示す。また、実施例B3及びB4並びに比較例B3-1、B3-2及びB4における破断伸度及び破断強度の測定結果を、包装材料30の層構成とまとめて図33に示す。「層構成」の欄において、「低密度ポリエチレン1」は、実施例A1に示すシーラントフィルム(厚み40μm)を意味する。また、「低密度ポリエチレン2」は、三井化学東セロ製のTUX HC(厚み40μm)を意味する。また、「低密度ポリエチレン3」は、東洋紡製のリックス L6102(厚み40μm)を意味する。