<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係る電圧監視回路の構成を示す図である。図1に示す電圧監視回路1は、1チップの半導体集積回路装置に搭載される。電圧監視回路1は、基準電圧生成回路2と、リニア電源回路3と、帰還抵抗4及び5と、コンパレータ6と、入力端子T1と、出力端子T2と、を備える。
抵抗R1及びR2は、電圧監視回路1を搭載する1チップの半導体集積回路装置に外付け接続される。より具体的には、監視対象電圧MVが抵抗R1の一端に印加され、抵抗R1の他端及び抵抗R2の一端が入力端子T1に接続され、抵抗R2の他端がグランド電位に接続される。
抵抗R1及びR2によって構成される分圧回路は、監視対象電圧MVを分圧VDIV1に変換し、分圧VDIV1を入力端子T1に供給する。入力端子T1は分圧VDIV1をコンパレータ6の非反転入力端子に供給する。
基準電圧生成回路2は、所定の第1基準電圧VREF1を生成し、その第1基準電圧VREF1をリニア電源回路3に供給する。
基準電圧生成回路2の一構成例を図2に示す。図2に示す構成例の基準電圧生成回路2は、Nチャネル型のデプレション型MOSFET(metal-oxide-semiconductor field-effect transistor)2Aと、Nチャネル型のエンハンスメント型MOSFET2Bと、を備える。デプレション型MOSFET2Aのドレインに電源電圧VDDが印加され、エンハンスメント型MOSFET2Bのソースがグランド電位に接続される。デプレション型MOSFET2Aのソース及びゲートとエンハンスメント型MOSFET2Bのドレイン及びゲートとが共通接続され、その共通接続ノードから第1基準電圧VREF1が出力される。
第1基準電圧VREF1は下記式(3)で表される。ただし、Vthnはエンハンスメント型MOSFET2Bのしきい値電圧であり、WDEPはデプレション型MOSFET2Aのゲート幅であり、LDEPはデプレション型MOSFET2Aのゲート長であり、WNはエンハンスメント型MOSFET2Bのゲート幅であり、LNはエンハンスメント型MOSFET2Bのゲート長である。
VREF1=Vthn-√{(WDEP×LN)/(WN×LDEP)} …(3)
基準電圧生成回路2は、図2に示す構成例に限定されることはなく、例えば一般的なバンドギャップ型基準電圧生成回路であってもよい。しかしながら、図2に示す構成例の基準電圧生成回路2は、一般的なバンドギャップ型基準電圧生成回路に比べて大幅に回路面積を小さくすることができる。
また、図2に示す構成例の基準電圧生成回路2は、温度特性が良好であるという特徴も有する。図2に示す構成例の基準電圧生成回路2における第1基準電圧VREF1の温度に対する変化率dVREF1/dTは下記式(4)で表される。ただし、VthDEPはデプレション型MOSFET2Aのしきい値電圧であり、dVthDEP/dTはデプレション型MOSFET2Aのしきい値電圧の温度に対する変化率であり、dVthn/dTはエンハンスメント型MOSFET2Bのしきい値電圧の温度に対する変化率である。
dVREF1/dT
=dVthn/dT-dVthDEP/dT×√{(WDEP×LN)/(WN×LDEP)}
…(4)
デプレション型MOSFET2Aのしきい値電圧の温度に対する変化率dVthDEP/dT、エンハンスメント型MOSFET2Bのしきい値電圧の温度に対する変化率dVthn/dTはともに正であるため、デプレション型MOSFET2Aのゲート幅WDEP、デプレション型MOSFET2Aのゲート長LDEP、エンハンスメント型MOSFET2Bのゲート幅WN、及びエンハンスメント型MOSFET2Bのゲート長LNを調整することで、第1基準電圧VREF1の温度に対する変化率dVREF1/dTを略零にすることができる。
図1に戻って、電圧監視回路1の詳細説明を続ける。リニア電源回路3は、第1基準電圧VREF1に応じた第2基準電圧VREF2を生成する。リニア電源回路3は、帰還電圧VFB1が第1基準電圧VREF1に近づくように第2基準電圧VREF2を調整する。帰還電圧VFB1の詳細については後述する。
リニア電源回路3としては、例えばLDO[low drop out]を用いることができる。リニア電源回路3にLDOを用いた場合、リニア電源回路3における損失を低くすることができる。
帰還抵抗4及び5は、第2基準電圧VREF2の分圧である帰還電圧VFB1を生成し、帰還電圧VFB1をリニア電源回路3に負帰還する。
コンパレータ6は、分圧VDIV1と第2基準電圧VREF2との比較結果を示す比較信号S1を生成し、出力端子T2を介して電圧監視回路1の外部に出力する。分圧VDIV1が第2基準電圧VREF2より大きい場合、比較信号S1はハイレベルの信号になる。一方、分圧VDIV1が第2基準電圧VREF2より小さい場合、比較信号S1はローレベルの信号になる。分圧VDIV1と第2基準電圧VREF2とが等しい場合、比較信号S1はハイレベルの信号、ローレベルの信号のいずれであってもよい。
ここで、抵抗R1の抵抗値をr1とし、抵抗R2の抵抗値をr2とし、帰還抵抗4の抵抗値をr4とし、帰還抵抗5の抵抗値をr5とすると、分圧VDIV1と第2基準電圧VREF2とが等しければ、下記式(5)が成立する。
VDIV1=VREF2
MV×r2/(r1+r2)=VREF1×(r4+r5)/r5
MV=VREF1×(r1+r2)×(r4+r5)/(r2×r5) …(5)
電圧監視回路1は、監視対象電圧MVと判定電圧(VREF1×(r1+r2)×(r4+r5)/(r2×r5))との大小関係を監視し、監視結果を出力端子T2から出力する回路である。具体的には、電圧監視回路1は、監視対象電圧MVの減電圧を検知すると、ローレベルの信号を出力端子T2から出力する。
抵抗R1及びR2がいわゆる外付け抵抗であるので、電圧監視回路1では抵抗R1の抵抗値r1及びR2の抵抗値r2の選定により判定電圧を調整することができる。さらに、電圧監視回路1では、第1基準電圧VREF1のばらつきが判定電圧に影響を及ぼすことを抑制するために、帰還抵抗4及び5それぞれをトリミングによって抵抗値を調整することができる抵抗素子としている。したがって、電圧監視回路1によると、第1基準電圧REF1のばらつきが判定電圧に影響を及ぼすことを抑制でき且つ判定電圧を任意に設定できる。なお、帰還抵抗4及び5の面積を小さくする観点から、帰還抵抗4及び5をそれぞれ多結晶シリコン膜によって構成することが好ましい。
電圧監視回路1に設けられるリニア電源回路3並びに帰還抵抗4及び5の合計面積は図21に示す電圧監視回路11に設けられる抵抗12及び13の合計面積と同程度にできるので、電圧監視回路1の総面積は図21に示す電圧監視回路11の総面積と同程度にできる。
上記の説明では、監視対象電圧MVの分圧VDIV1が入力端子T1に印加されるが、図3に示すように監視対象電圧MVが入力端子T1に印加されてもよい。監視対象電圧MVが入力端子T1に印加される状態は、抵抗R2の抵抗値r2に対する抵抗R1の抵抗値r1の比を非常に小さくした設定において監視対象電圧MVの分圧VDIV1が入力端子T1に印加される状態と略同一である。
また、上記の説明では、電圧監視回路1は、監視対象電圧MVの減電圧を検知すると、ローレベルの信号を出力端子T2から出力するが、図4に示すようにコンパレータ6の非反転入力端子と反転入力端子とを入れ替えることで、監視対象電圧MVの過電圧を検知すると、ローレベルの信号を出力端子T2から出力する仕様に変更することができる。
<第2実施形態>
図5は、第2実施形態に係る電圧監視回路の構成を示す図である。図5に示す電圧監視回路1’は、1チップの半導体集積回路装置に搭載される。電圧監視回路1’は、基準電圧生成回路2と、リニア電源回路3と、帰還抵抗4及び5と、コンパレータ6及び7と、入力端子T1及びT3と、出力端子T2及びT4と、を備える。なお、図5において図1と同一の部分には同一の符号を付し詳細な説明を省略する。図5中の抵抗R2A及び抵抗R2Bの合成抵抗が図1中の抵抗R2に相当する。
電圧監視回路1’は、監視対象電圧MVの減電圧を検知すると、ローレベルの信号を出力端子T2から出力し、監視対象電圧MVの過電圧を検知すると、ローレベルの信号を出力端子T4から出力する。監視対象電圧MVの減電圧に関する検知は第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。以下、監視対象電圧MVの過電圧に関する検知について説明する。
監視対象電圧MVの分圧VDIV2が入力端子T3に印加される。監視対象電圧MVの分圧VDIV2は監視対象電圧MVの分圧VDIV1より小さい。入力端子T3は分圧VDIV2をコンパレータ7の反転入力端子に供給する。
コンパレータ7は、分圧VDIV2と第2基準電圧VREF2との比較結果を示す比較信号S2を生成し、出力端子T4を介して電圧監視回路1’の外部に出力する。分圧VDIV2が第2基準電圧VREF2より小さい場合、比較信号S2はハイレベルの信号になる。一方、分圧VDIV2が第2基準電圧VREF2より大きい場合、比較信号S2はローレベルの信号になる。分圧VDIV2と第2基準電圧VREF2とが等しい場合、比較信号S2はハイレベルの信号、ローレベルの信号のいずれであってもよい。
ここで、抵抗R1の抵抗値をr1とし、抵抗R2A及びR2Bの合成抵抗の抵抗値をr2とし、抵抗R2Bの抵抗値をr2bとし、帰還抵抗4の抵抗値をr4とし、帰還抵抗5の抵抗値をr5とすると、分圧VDIV2と第2基準電圧VREF2とが等しければ、下記式(6)が成立する。
VDIV2=VREF2
MV×r2b/(r1+r2)=VREF1×(r4+r5)/r5
MV=VREF1×(r1+r2)×(r4+r5)/(r2b×r5) …(6)
電圧監視回路1’は、監視対象電圧MVと過電圧検知用の判定電圧(VREF1×(r1+r2)×(r4+r5)/(r2b×r5))との大小関係を監視し、監視結果を出力端子T4から出力する回路である。具体的には、電圧監視回路1’は、監視対象電圧MVの過電圧を検知すると、ローレベルの信号を出力端子T4から出力する。
抵抗R1、R2A、及びR2Bがいわゆる外付け抵抗であるので、電圧監視回路1’では抵抗R1の抵抗値r1、抵抗R2A及びR2Bの合成抵抗の抵抗値r2、並びに抵抗R2Bの抵抗値r2bの選定により過電圧検知用の判定電圧を調整することができる。したがって、電圧監視回路1’によると、減電圧検知用の判定電圧及び過電圧検知用の判定電圧の両方に関して、第1基準電圧VREF1のばらつきが判定電圧に影響を及ぼすことを抑制でき且つ判定電圧を任意に設定できる。
ここで、電圧監視回路1’との比較のために、図23に示す従来の電圧監視回路11’について説明する。図23に示す従来の電圧監視回路11’は、図21に示す従来の電圧監視回路11に抵抗16及び17と、コンパレータ18と、入力端子T13と、出力端子T14と、を追加した構成である。
電圧監視回路11’は、監視対象電圧MVの減電圧を検知すると、ローレベルの信号を出力端子T12から出力し、監視対象電圧MVの過電圧を検知すると、ローレベルの信号を出力端子T14から出力する。監視対象電圧MVの減電圧に関する検知は図21に示す従来の電圧監視回路11と同様であるため、説明を省略する。以下、監視対象電圧MVの過電圧に関する検知について説明する。
監視対象電圧MVが入力端子T13に印加される。抵抗16及び17によって構成される分圧回路は、監視対象電圧MVを分圧VDIV12に変換し、分圧VDIV12をコンパレータ18の反転入力端子に供給する。抵抗16及び17によって構成される分圧回路は、抵抗12及び13によって構成される分圧回路と同じ構成であるが、トリミングの実施状況が抵抗12及び13によって構成される分圧回路とは異なっている。その結果、分圧VDIV12は分圧VDIV11より小さい。
ここで、抵抗16の抵抗値をr16とし、抵抗17の抵抗値をr17とすると、分圧VDIV12と基準電圧VREF11とが等しければ、下記式(7)が成立する。
VDIV12=VREF11
MV×r16/(r16+r17)=VREF11
MV=VREF11×(r16+r17)/r17 …(7)
電圧監視回路11’は、監視対象電圧MVと過電圧検知用の判定電圧(VREF11×(r16+r17)/r17)との大小関係を監視し、監視結果を出力端子T14から出力する回路である。具体的には、電圧監視回路11’は、監視対象電圧MVの過電圧を検知すると、ローレベルの信号を出力端子T14から出力する。
電圧監視回路11’において、例えば、抵抗12及び13によって構成される分圧回路の面積が電圧監視回路11’の総面積の30%であり、抵抗16及び17によって構成される分圧回路の面積が電圧監視回路11’の総面積の30%であり、分圧回路以外の部分の面積が電圧監視回路11’の総面積の40%である場合、図5に示す電圧監視回路1’の総面積は、図23に示す電圧監視回路11’ の総面積に対して30%減少する。すなわち、第2実施形態は、第1実施形態では得られなかった従来の電圧監視回路に対する面積削減効果も得ることができる。
図6は、電圧監視回路1’を搭載する1チップの半導体集積回路装置の上面模式図である。なお、図6において図5と同一の部分には同一の符号を付す。
電圧監視回路1’を搭載する1チップの半導体集積回路装置は、矩形形状のチップ100を備える。チップ100は、第1辺101、第2辺102、第3辺103、及び第4辺104を備える。第1辺101と第3辺103とは互いに対向する辺であり、第2辺102と第4辺104とは互いに対向する辺である。
帰還抵抗4及び5は、チップ100の端部を避けて配置される。換言すると、帰還抵抗4及び5は、トリミングで調整した帰還電圧VFB1の値が応力によって設計値からずれることを抑制するために、チップ100の中央部に配置される。帰還抵抗4及び5にかかる応力を極力小さくする観点から、図6に示すようにチップ100の矩形形状の中心C1が帰還抵抗4及び5の配置位置に含まれることが好ましい。
帰還抵抗4及び5をチップ100の中央部に配置するために、図6に示す配置例では、コンパレータ6及び7並びに出力端子T2及びT4が帰還抵抗4及び5よりも第1辺101に近い位置に配置される。
帰還抵抗4及び5をチップ100の中央部に配置するために、図6に示す配置例では、入力端子T3及び出力端子T4が帰還抵抗4及び5よりも第2辺102に近い位置に配置される。
帰還抵抗4及び5をチップ100の中央部に配置するために、図6に示す配置例では、基準電圧生成回路2、リニア電源回路3、並びに入力端子T1及びT3が帰還抵抗4及び5よりも第3辺103に近い位置に配置される。
帰還抵抗4及び5をチップ100の中央部に配置するために、図6に示す配置例では、入力端子T1及び出力端子T2が帰還抵抗4及び5よりも第4辺104に近い位置に配置される。
また、図6に示す配置例では、基準電圧生成回路2及びリニア電源回路3が入力端子T1及びT3よりも帰還抵抗4及び5に近い位置に配置される。これにより、基準電圧生成回路2、リニア電源回路3、並びに帰還抵抗4及び5によって構成される回路ブロック内の配線を短くすることができる。
また、図6に示す配置例では、第2辺102及び第4辺104に平行な方向において、入力端子T1及びT3と出力端子T2及びT4との間に、基準電圧生成回路2、リニア電源回路3、帰還抵抗4及び5、並びにコンパレータ6及び7が配置される。これにより、入力端子T1及びT3と基準電圧生成回路2、リニア電源回路3、帰還抵抗4及び5、並びにコンパレータ6及び7によって構成される回路ブロックとの間の配線を短くでき、基準電圧生成回路2、リニア電源回路3、帰還抵抗4及び5、並びにコンパレータ6及び7によって構成される回路ブロックと出力端子T2及びT4との配線を短くできる。
また、図6に示す配置例では、第2辺102及び第4辺104に平行な方向において、基準電圧生成回路2、リニア電源回路3、並び帰還抵抗4及び5と出力端子T2及びT4との間に、コンパレータ6及び7が配置される。これにより、コンパレータ6の出力端と出力端子T2とを近づけて配置することができ、コンパレータ7の出力端と出力端子T4とを近づけて配置することができるので、コンパレータ6の出力端と出力端子T2との間の配線及びコンパレータ7の出力端と出力端子T4との間の配線を短くすることができる。
<ヒステリシスに関する考察>
図7は、判定電圧にヒステリシスが付与されていない場合の出力挙動を示す図である。なお、本図上段には監視対象電圧MVが描写されており、本図下段には電圧監視回路1の出力信号OUT(先出の比較信号S1がこれに相当)が描写されている。
本図で示すように、判定電圧Vth(例えば、図1に即して述べれば、Vth={(r1+r2)/r2}・{(r4+r5)/r5}・VREF1)にヒステリシスが付与されていない場合、監視対象電圧MVが判定電圧Vth付近で上下すると、出力信号OUTにチャタリングが生じてしまい、出力信号OUTの入力を受け付ける後段回路の動作(例えばリセット動作)に支障を生じるおそれがある。
以下では、出力信号OUTのチャタリングを解消することのできる種々の実施形態を提案する。
<第3実施形態>
図8は、第3実施形態に係る電圧監視回路の構成を示す図である。なお、本実施形態に係る電圧監視回路1aは、先出の第1実施形態(図1)を基本としつつ、比較信号S1のチャタリングを解消するための手段として、帰還抵抗8と、NMOSFET9と、インバータ10と、をさらに有する。
帰還抵抗8は、帰還抵抗5と基準電位端(GND)との間に接続されている。
NMOSFET9は、帰還抵抗8に対して並列に接続されている。より具体的に述べると、NMOSFET9のドレインは、帰還抵抗5及び8相互間の接続ノードに接続されている。NMOSFET9のソースは、基準電位端(GND)に接続されている。NMOSFET9のゲートは、インバータ10の出力端(=反転比較信号S1Bの印加端)に接続されている。NMOSFET9は、反転比較信号S1Bがハイレベルであるときにオンして、反転比較信号S1Bがローレベルであるときにオフする。
インバータ10は、比較信号S1の論理レベルを反転させて反転比較信号S1Bを生成する。すなわち、反転比較信号S1Bは、比較信号S1がハイレベルであるときにローレベルとなり、比較信号S1がローレベルであるときにハイレベルとなる。
まず、比較信号S1がハイレベルである場合(=減電圧が検出されていない場合)を考える。この場合、S1B=Lとなるので、NMOSFET9がオフする。その結果、第2基準電圧VREF2を分圧して帰還電圧VFB1を生成する抵抗ラダーに帰還抵抗8が組み込まれる。従って、帰還抵抗8の抵抗値をr8とすると、第2基準電圧VREF2は、VREF2={(r4+r5+r8)/(r5+r8)}・VREF1となる。また、このとき、電圧監視回路1aの判定電圧Vth(=減電圧検出用の下側判定電圧VthL)は、VthL={(r1+r2)/r2}・{(r4+r5+r8)/(r5+r8)}・VREF1となる。
次に、比較信号S1がローレベルの場合(=減電圧が検出されている場合)を考える。この場合、S1B=Hとなるので、NMOSFET9がオンする。その結果、上記の抵抗ラダーから帰還抵抗8が切り離される。従って、第2基準電圧VREF2は、VREF2={(r4+r5)/r5}・VREF1となる。また、このとき、電圧監視回路1aの判定電圧Vth(=減電圧解除用の上側判定電圧VthH)は、VthH={(r1+r2)/r2}・{(r4+r5)/r5}・VREF1となる。
このように、電圧監視回路1aの判定電圧Vthは、比較信号S1の論理レベルに応じて下側判定電圧VthLと上側判定電圧VthH(ただしVthL<VthH)のいずれかに切り替わる。すなわち、電圧監視回路1aの判定電圧Vthには、ヒステリシスVhys(=VthH-VthL)が付与されている。
図9は、判定電圧にヒステリシスが付与されている場合の出力挙動を示す図である。なお、本図上段には監視対象電圧MV(実線)及び判定電圧Vth(破線)が描写されており、本図下段には電圧監視回路1aの出力信号OUT(先の比較信号S1がこれに相当)が描写されている。
時刻t1以前には、出力信号OUTがハイレベル(=減電圧未検出時の論理レベル)である。このとき、判定電圧Vthは、下側判定電圧VthLとなっている。
時刻t1において、監視対象電圧MVが下側判定電圧VthLを下回ると、出力信号OUTがハイレベルからローレベル(=減電圧検出時の論理レベル)に切り替わる。このとき、判定電圧Vthは、下側判定電圧VthLから上側判定電圧VthHに切り替わる。従って、本図で示したように、時刻t1以降、監視対象電圧MVが下側判定電圧VthL付近で上下しても、出力信号OUTにチャタリングが生じるおそれはない(出力信号OUTの細破線枠を参照)。
一方、時刻t2において、監視対象電圧MVが上側判定電圧VthHを上回ると、出力信号OUTがローレベルからハイレベルに切り替わる。このとき、判定電圧Vthは、上側判定電圧VthHから下側判定電圧VthLに切り替わる。従って、本図では明示していないが、仮に、時刻t2以降、監視対象電圧MVが上側判定電圧VthH付近で上下しても、出力信号OUTにチャタリングが生じるおそれはない。
このように、本実施形態に係る電圧監視回路1aであれば、第2基準電圧VREF2を分圧して帰還電圧VFB1を生成する帰還抵抗(抵抗ラダー)の分圧比が比較信号S1に応じて切り替えられる。その結果、電圧監視回路1aの判定電圧Vthに任意のヒステリシスVhysを付与することができるので、出力信号OUT(=比較信号S1)のチャタリングを解消することが可能となる。
なお、改めて図示はしないが、先出の図3及び図4で示した変形例を基本としつつ、本実施形態と同様の構成を採用することにより、電圧監視回路1の判定電圧にヒステリシスを付与しても構わない。
<第4実施形態>
図10は、第4実施形態に係る電圧監視回路の構成を示す図である。なお、本実施形態に係る電圧監視回路1bは、先出の第2実施形態(図5)を基本としつつ、比較信号S1及びS2のチャタリングを解消するための手段として、帰還抵抗8a及び8bと、NMOSFET9a及び9bと、インバータ10と、をさらに有する。
帰還抵抗8a及び8bは、先出の帰還抵抗5と基準電位端(GND)との間に挿入される形で互いに直列接続されている。
NMOSFET9aは、帰還抵抗8a及び8bに対して並列に接続されている。具体的に述べると、NMOSFET9aのドレインは、帰還抵抗5及び8a相互間の接続ノードに接続されている。NMOSFET9aのソースは、基準電位端(GND)に接続されている。NMOSFET9aのゲートは、インバータ10の出力端(=反転比較信号S1Bの印加端)に接続されている。NMOSFET9aは、反転比較信号S1Bがハイレベルであるときにオンして、反転比較信号S1Bがローレベルであるときにオフする。
NMOSFET9bは、帰還抵抗8bに対して並列に接続されている。具体的に述べると、NMOSFET9bのドレインは、帰還抵抗8a及び8b相互間の接続ノードに接続されている。NMOSFET9bのソースは、基準電位端(GND)に接続されている。NMOSFET9bのゲートは、コンパレータ7の出力端(=比較信号S2の印加端)に接続されている。NMOSFET9aは、比較信号S2がハイレベルであるときにオンして、比較信号S2がローレベルであるときにオフする。
インバータ10は、比較信号S1の論理レベルを反転させて反転比較信号S1Bを生成する。すなわち、反転比較信号S1Bは、比較信号S1がハイレベルであるときにローレベルとなり、比較信号S1がローレベルであるときにハイレベルとなる。
まず、比較信号S1及びS2双方がハイレベルである場合(=減電圧も過電圧も検出されていない場合)を考える。この場合、S1B=L、S2=Hとなるので、NMOSFET9aがオフしてNMOSFET9bがオンする。その結果、第2基準電圧VREF2を分圧して帰還電圧VFB1を生成する抵抗ラダーには、帰還抵抗8a及び8bのうち、帰還抵抗8aだけが組み込まれる。従って、帰還抵抗8aの抵抗値をr8aとすると、第2基準電圧VREF2は、中間値VREF2M(={(r4+r5+r8a)/(r5+r8a)}・VREF1)となる。
次に、比較信号S1がローレベルであり、比較信号S2がハイレベルである場合(=減電圧が検出されている場合)を考える。この場合、S1B=S2=Hとなるので、NMOSFET9a及び9bがいずれもオンする。その結果、上記の抵抗ラダーから帰還抵抗8a及び8bの双方が切り離される。従って、第2基準電圧VREF2は、上側値VREF2H(={(r4+r5)/r5}・VREF1)となる。
次に、比較信号S1がハイレベルであり、比較信号S2がローレベルである場合(=過電圧が検出されている場合)を考える。この場合、S1B=S2=Lとなるので、NMOSFET9a及び9bがいずれもオフする。その結果、上記の抵抗ラダーに帰還抵抗8a及び8bの双方が組み込まれる。従って、帰還抵抗8a及び8bの抵抗値をそれぞれr8a及びr8bとすると、第2基準電圧VREF2は、下側値VREF2L(={(r4+r5+r8a+r8b)/(r5+r8a+r8b)}・VREF1)となる。
このように、第2基準電圧VREF2は、比較信号S1及びS2それぞれの論理レベルに応じて、下側値VREF2L、中間値VREF2M、及び、上側値VREF2H(ただし、VREF2L<VREF2M<VREF2H)のいずれかに切り替わる。言い換えると、第2基準電圧VREF2には、減電圧検出/解除用のヒステリシスVhys1(=VREF2H-VREF2M)、及び、過電圧検出/解除用のヒステリシスVhys2(=VREF2M-VREF2L)がそれぞれ付与されている。
図11は、第4実施形態における減電検出及び過電検出の正常動作を示す図である。なお、本図上段には、監視対象電圧MVの分圧VDIV1(実線)及び分圧VDIV2(小破線)、並びに、第2基準電圧VREF2(大破線)が描写されている。一方、本図下段には、比較信号S1及びS2が描写されている。
時刻t11以前には、監視対象電圧MVに減電圧も過電圧も生じておらず、比較信号S1及びS2がいずれもハイレベルとなっている。このとき、第2基準電圧VREF2は、中間値VREF2Mとなる。なお、このような定常状態では、本図で示すように、VDIV2<VREF2M<VDIV1が成立する。
時刻t11において、監視対象電圧MVが減電圧状態となり、分圧VDIV1が第2基準電圧VREF2(=VREF2M)を下回ると、比較信号S1がハイレベルからローレベル(=減電圧検出時の論理レベル)に切り替わる。このとき、第2基準電圧VREF2は、中間値VREF2Mから上側値VREF2Hに切り替わる。従って、分圧VDIV1が中間値VREF2M付近で上下しても、比較信号S1にチャタリングが生じるおそれはない。なお、監視対象電圧MVが減電圧状態になると、分圧VDIV2も低下する。ただし、分圧VDIV2は、時刻t11以前から、第2基準電圧VREF2よりも低いので、比較信号S2はハイレベルに維持されたままとなる。
時刻t12において、監視対象電圧MVが減電圧状態から復帰し、分圧VDIV1が第2基準電圧VREF2(=VREF2H)を上回ると、比較信号S1がローレベルからハイレベルに切り替わる。このとき、第2基準電圧VREF2は、上側値VREF2Hから中間値VREF2Mに切り替わる。従って、分圧VDIV1が上側値VREF2H付近で上下しても、比較信号S1にチャタリングが生じるおそれはない。なお、監視対象電圧MVが減電圧状態から復帰すると、分圧VDIV2も上昇する。ただし、分圧VDIV2が第2基準電圧VREF2(=VREF2M)を上回らない限り、比較信号S2はハイレベルに維持されたままとなる。
時刻t13において、監視対象電圧MVが過電圧状態となり、分圧VDIV2が第2基準電圧VREF2(=VREF2M)を上回ると、比較信号S2がハイレベルからローレベル(=過電圧検出時の論理レベル)に切り替わる。このとき、第2基準電圧VREF2は、中間値VREF2Mから下側値VREF2Lに切り替わる。従って、分圧VDIV2が中間値VREF2M付近で上下しても、比較信号S2にチャタリングが生じるおそれはない。なお、監視対象電圧MVが過電圧状態になると、分圧VDIV1も上昇する。ただし、分圧VDIV1は、時刻t13以前から、第2基準電圧VREF2よりも高いので、比較信号S1はハイレベルに維持されたままとなる。
時刻t14において、監視対象電圧MVが過電圧状態から復帰し、分圧VDIV2が第2基準電圧VREF2(=VREF2L)を下回ると、比較信号S2がローレベルからハイレベルに切り替わる。このとき、第2基準電圧VREF2は、下側値VREF2Lから中間値VREF2Mに切り替わる。従って、分圧VDIV2が下側値VREF2L付近で上下しても、比較信号S2にチャタリングが生じるおそれはない。なお、監視対象電圧MVが過電圧状態から復帰すると、分圧VDIV1も低下する。ただし、分圧VDIV1が第2基準電圧VREF2(=VREF2M)を下回らない限り、比較信号S1はハイレベルに維持されたままとなる。
このように、本実施形態に係る電圧監視回路1bであれば、第2基準電圧VREF2を分圧して帰還電圧VFB1を生成する帰還抵抗(抵抗ラダー)の分圧比が比較信号S1及びS2に応じて切り替えられる。その結果、第2基準電圧VREF2(延いては、電圧監視回路1bの判定電圧)に任意のヒステリシスを付与することができるので、比較信号S1及びS2それぞれのチャタリングを解消することが可能となる。
<第4実施形態の問題点>
図12は、第4実施形態の変形例を説明するための図である。本図では、入力端子T1及びT3に監視対象電圧MVの分圧VDIV1及びVDIV2ではなく、それぞれ独立したセンス電圧SENSE1及びSENSE2が個別に入力されている。すなわち、本変形例の電圧監視回路1bでは、センス電圧SENSE1の減電圧検出処理と、センス電圧SENSE2の過電圧検出処理が実施される。
なお、先出の分圧VDIV1及びVDIV2は、いずれも監視対象電圧MVの分圧である。従って、監視対象電圧MVが上昇するときには、分圧VDIV1及びVDIV2がいずれも上昇し、逆に、監視対象電圧MVが低下するときには、分圧VDIV1及びVDIV2がいずれも低下する。
一方、センス電圧SENSE1及びSENSE2は、それぞれが互いに独立した監視対象電圧に相当する。そのため、センス電圧SENSE1及びSENSE2の一方が低下しているときに、他方が上昇することもあり得る。
このように、センス電圧SENSE1及びSENSE2の個別入力を受け付ける場合、第4実施形態に係る電圧監視回路1bでは、比較信号S1及びS2の誤検出を生じるおそれがある。以下、図面を参照しながら詳細に説明する。
図13は、第4実施形態の変形例(図12)において、比較信号S1及びS2の誤検出が生じる様子を示す図である。なお、本図上段には、センス電圧SENSE1(実線)及びセンス電圧SENSE2(小破線)、並びに、第2基準電圧VREF2(大破線)が描写されている。一方、本図下段には、比較信号S1及びS2が描写されている。
時刻t21以前には、センス電圧SENSE1の減電圧もセンス電圧SENSE2の過電圧も検出されておらず、比較信号S1及びS2がいずれもハイレベルとなっている。このとき、第2基準電圧VREF2は、中間値VREF2Mとなる。なお、このような定常状態では、本図で示すように、SENSE2<VREF2M<SENSE1が成立する。
時刻t21において、センス電圧SENSE1が減電圧状態となり、センス電圧SENSE1が第2基準電圧VREF2(=VREF2M)を下回ると、比較信号S1がハイレベルからローレベル(=減電圧検出時の論理レベル)に切り替わる。このとき、第2基準電圧VREF2は、中間値VREF2Mから上側値VREF2Hに切り替わる。従って、センス電圧SENSE1が中間値VREF2M付近で上下しても、比較信号S1にチャタリングが生じるおそれはない。ただし、第2基準電圧VREF2が中間値VREF2Mから上側値VREF2Hに引き上げられている状態では、センス電圧SENSE2の過電圧検出に支障を生じるおそれがある。
本図に即して具体的に述べると、センス電圧SENSE2は、センス電圧SENSE1の減電圧と無関係に上昇し、時刻t22において、中間値VREF2Mを上回っている。本来ならばこの時点で比較信号S2がハイレベルからローレベルに切り替わるべきであるが、第2基準電圧VREF2が上側値VREF2Hに引き上げられていることから、比較信号S2はローレベルに切り替わることなく、ハイレベルに維持されている(比較信号S2の破線挙動を参照)。
なお、本図では、センス電圧SENSE1の減電圧検出時における第2基準電圧VREF2のヒステリシス付与(VREF2M→VREF2H)により、センス電圧SENSE2の過電圧検出に支障を生じる例を挙げたが、これとは逆に、センス電圧SENSE2の過電圧検出における第2基準電圧VREF2のヒステリシス付与(VREF2M→VREF2L)により、センス電圧SENSE1の減電圧検出に支障を生じる場合もあり得る。
以下では、センス電圧SENSE1及びSENSE2の個別入力を受け付ける場合であっても、比較信号S1及びS2の誤検出を生じることのない第5実施形態を提案する。
<第5実施形態>
図14は、第5実施形態に係る電圧監視回路の構成を示す図である。なお、本実施形態に係る電圧監視回路1cは、先出の第2実施形態(図5)を基本としつつ、比較信号S1及びS2のチャタリングを解消するための手段として、帰還抵抗8c及び8dと、インバータ10a及び10bと、スイッチSW1~SW4と、をさらに有する。
帰還抵抗8c及び8dは、先出の帰還抵抗4と第2基準電圧VREF2の印加端との間に挿入される形で互いに直列接続されている。
なお、帰還抵抗4、5、8c及び8dから成る抵抗ラダーにより、第2基準電圧VREF2から複数の分圧(VREF2a、VREF2b、VFB1)が生成され、その一つが帰還電圧VFB1としてリニア電源回路3に負帰還される。また、上記の各電圧間には、VFB1<VREF2b<VREF2a<VREF2という関係が成立している。
インバータ10aは、比較信号S1の論理レベルを反転させて反転比較信号S1Bを生成する。すなわち、反転比較信号S1Bは、比較信号S1がハイレベルであるときにローレベルとなり、比較信号S1がローレベルであるときにハイレベルとなる。
インバータ10bは、比較信号S2の論理レベルを反転させて反転比較信号S2Bを生成する。すなわち、反転比較信号S2Bは、比較信号S2がハイレベルであるときにローレベルとなり、比較信号S2がローレベルであるときにハイレベルとなる。
スイッチSW1は、リニア電源回路3の出力端(=第2基準電圧VREF2の印加端)とコンパレータ6の反転入力端(=第3基準電圧VREF3の印加端)との間に接続されている。スイッチSW1は、S1B=H(S1=L)であるときにオンして、S1B=L(S1=H)であるときにオフする。
スイッチSW2は、帰還抵抗8c及び8d相互間の接続ノード(=分圧VREF2aの印加端)とコンパレータ6の反転入力端(=第3基準電圧VREF3の印加端)との間に接続されている。スイッチSW2は、S1=Hであるときにオンして、S1=Lであるときにオフする。
スイッチSW3は、帰還抵抗8c及び8d相互間の接続ノード(=分圧VREF2aの印加端)とコンパレータ7の非反転入力端(=第4基準電圧VREF4の印加端)との間に接続されている。スイッチSW3は、S2=Hであるときにオンして、S2=Lであるときにオフする。
スイッチSW4は、帰還抵抗8d及び4相互間の接続ノード(=分圧VREF2bの印加端)とコンパレータ7の非反転入力端(=第4基準電圧VREF4の印加端)との間に接続されている。スイッチSW4は、S2B=H(S2=L)であるときにオンして、S2B=L(S2=H)であるときにオフする。
コンパレータ6は、非反転入力端(+)に入力される入力電圧V1(=分圧VDIV1またはセンス電圧SENSE1)と、反転入力端(-)に入力される第3基準電圧VREF3(=第2基準電圧VREF2または分圧VREF2a)とを比較して、比較信号S1を生成する。比較信号S1は、V1>VREF3であるときにハイレベルとなり、V1<VREF3であるときにローレベルとなる。
コンパレータ7は、反転入力端(-)に入力される入力電圧V2(=分圧VDIV2またはセンス電圧SENSE2)と、非反転入力端(+)に入力される第4基準電圧VREF4(=分圧VREF2aまたは分圧VREF2b)とを比較して、比較信号S2を生成する。比較信号S2は、V2>VREF4であるときにローレベルとなり、V2<VREF4であるときにハイレベルとなる。
図15は、スイッチSW1及びSW2による第3基準電圧VREF3の切替制御を説明するための図である。
比較信号S1がローレベルであるときには、スイッチSW1がオンしてスイッチSW2がオフする。この場合には、第3基準電圧VREF3として、第2基準電圧VREF2が選択された状態となる。
一方、比較信号S1がハイレベルであるときには、スイッチSW1がオフしてスイッチSW2がオンする。この場合には、第3基準電圧VREF3として、分圧VREF2aが選択された状態となる。
このように、スイッチSW1及びSW2は、第2基準電圧VREF2及びその分圧VREF2aを第3基準電圧VREF3の切替候補とし、比較信号S1に応じて第3基準電圧VREF3を切り替える第1選択部として機能する。
なお、第3基準電圧VREF3の切替候補は、上記に限定されるものではなく、必要なヒステリシスが付くように、第2基準電圧VREF2及び複数の分圧のうち、いずれか2つを任意に選べばよい。
図16は、スイッチSW3及びSW4による第4基準電圧VREF4の切替制御を説明するための図である。
比較信号S2がローレベルであるときには、スイッチSW3がオフしてスイッチSW4がオンする。この場合には、第4基準電圧VREF4として、分圧VREF2bが選択された状態となる。
一方、比較信号S2がハイレベルであるときには、スイッチSW3がオンしてスイッチSW4がオフする。この場合には、第4基準電圧VREF4として、分圧VREF2aが選択された状態となる。
このように、スイッチSW3及びSW4は、分圧VREF2a及びVREF2bを第4基準電圧VREF4の切替候補とし、比較信号S2に応じて第4基準電圧VREF4を切り替える第2選択部として機能する。
なお、第4基準電圧VREF4の切替候補は、上記に限定されるものではなく、必要なヒステリシスが付くように、第2基準電圧VREF2及び複数の分圧のうち、いずれか2つを任意に選べばよい。
図17は、第5実施形態における減電検出及び過電検出の正常動作を示す図であり、上から順に、センス電圧SENSE1(実線)及び第3基準電圧VREF3(破線)並びに比較信号S1と、センス電圧SENSE2(実線)及び第4基準電圧VREF4(破線)並びに比較信号S2が描写されている。
時刻t31以前には、センス電圧SENSE1の減電圧もセンス電圧SENSE2の過電圧も検出されておらず、比較信号S1及びS2がいずれもハイレベルとなっている。従って、VREF3=VREF4=VREF2aとなる。なお、このような定常状態では、本図で示すように、SENSE2<VREF3=VREF4<SENSE1が成立する。
時刻t31において、センス電圧SENSE1が減電圧状態となり、SENSE1<VREF3(=VREF2a)になると、比較信号S1がハイレベルからローレベル(=減電圧検出時の論理レベル)に切り替わる。このとき、第3基準電圧VREF3は、分圧VREF2aから第2基準電圧VREF2に切り替わる。従って、センス電圧SENSE1が分圧VREF2a付近で上下しても、比較信号S1にチャタリングが生じるおそれはない。これに対して、第4基準電圧VREF4は、比較信号S2がハイレベルである限り、分圧VREF2aに維持されたままとなる。従って、センス電圧SENSE2の過電圧検出に支障が生じることはない。
時刻t32において、センス電圧SENSE2が過電圧状態となり、SENSE2>VREF4(=VREF2a)になると、比較信号S2がハイレベルからローレベル(=過電圧検出時の論理レベル)に切り替わる。このとき、第4基準電圧VREF4は、分圧VREF2aから分圧VREF2bに切り替わる。従って、センス電圧SENSE2が分圧VREF2a付近で上下しても、比較信号S2にチャタリングが生じるおそれはない。これに対して、第3基準電圧VREF3は、比較信号S1がローレベルである限り、第2基準電圧VREF2に維持されたままとなる。従って、センス電圧SENSE1の減電圧復帰に支障が生じることはない。
時刻t33において、センス電圧SENSE1が減電圧状態から復帰し、SENSE1>VREF3(=VREF2)になると、比較信号S1がローレベルからハイレベルに切り替わる。このとき、第3基準電圧VREF3は、第2基準電圧VREF2から分圧VREF2aに切り替わる。従って、センス電圧SENSE1が第2基準電圧VREF2付近で上下しても、比較信号S1にチャタリングが生じるおそれはない。一方、第4基準電圧VREF4は、比較信号S2がローレベルである限り、分圧VREF2bに維持されたままとなる。従って、センス電圧SENSE2の過電圧復帰に支障が生じることはない。
時刻t34において、センス電圧SENSE2が過電圧状態から復帰し、SENSE2<VREF4(=VREF2b)になると、比較信号S2がローレベルからハイレベルに切り替わる。このとき、第4基準電圧VREF4は、分圧VREF2bから分圧VREF2aに切り替わる。従って、センス電圧SENSE2が分圧VREF2b付近で上下しても、比較信号S2にチャタリングが生じるおそれはない。一方、第3基準電圧VREF3は、比較信号S1がハイレベルである限り、分圧VREF2aに維持されたままとなる。従って、センス電圧SENSE1の減電圧検出に支障が生じることはない。
このように、本実施形態に係る電圧監視回路1cであれば、減電監視用の第3基準電圧VREF3と過電監視用の第4基準電圧VREF4が互いに独立しており、かつ、それぞれに任意のヒステリシスが付与されている。従って、センス電圧SENSE1及びSENSE2の個別入力を受け付ける場合であっても、比較信号S1及びS2の誤検出を生じるおそれがなくなる。
なお、本図では、センス電圧SENSE1及びSENSE2の個別入力を受け付ける場合を例示したが、監視対象電圧MVに応じた分圧VDIV1及びVDIV2の入力を受け付ける場合においても、比較信号S1及びS2の誤検出を生じるおそれがないことは言うまでもない。
<第6実施形態>
図18は、第6実施形態に係る電圧監視回路の構成を示す図である。なお、本実施形態に係る電圧監視回路1dは、先出の第5実施形態(図14)を基本としつつ、基準電圧生成回路2及びリニア電源回路3が持つ負の温度特性をキャンセルするための創意工夫が凝らされている。
本図に即して述べると、第2基準電圧VREF2の印加端と帰還電圧VFB1の印加端との間に直列接続された帰還抵抗4、8c及び8d(=第1帰還抵抗に相当)のうち、スイッチSW1~SW4いずれの接続ノード(=第1選択部及び第2選択部それぞれの選択ノードに相当)よりも低電位側に設けられた帰還抵抗4は、これを除く帰還抵抗8c及び8d、並びに、帰還電圧VFB1の印加端と基準電位端(GND)との間に接続された帰還抵抗5(=第2帰還抵抗に相当)と傾きの異なる温度特性を持つ。
より具体的に述べると、帰還抵抗4だけが正の温度特性を持つ第1抵抗素子(例えば、拡散抵抗(Pウェル抵抗))とされており、これを除く帰還抵抗5、8c及び8dがいずれも負の温度特性を持つ第2抵抗素子(例えばポリ抵抗)とされている。
帰還抵抗4、8c及び8dの合成抵抗値をR11とし、帰還抵抗5の抵抗値をR12とすると、第2基準電圧VREF2は、VREF2=VREF1×{(R11/R12)+1}という数式で表される。
ここで、第1基準電圧VREF1は、負の温度特性を持つ。従って、正の温度特性を持つ帰還抵抗4と、負の温度特性を持つ帰還抵抗5、8c及び8dを組み合わせて使用し、抵抗比(R11/R12)の温度特性を適宜調整することにより、基準電圧生成回路2及びリニア電源回路3が持つ負の温度特性をキャンセルして、第2基準電圧VREF2の温度特性をフラットに近付けることが可能となる。
<用途>
上記した電圧監視回路1及び1’並びに電圧監視回路1a~1dは、例えばリセット回路として好適に用いることができる。例えば、図19に示す制御装置は、制御対象を制御する制御回路CNT1と、監視対象電圧に基づき制御回路CNT1をリセットする電圧監視回路1’と、を備える。電圧監視回路1’の出力端子T2及びT4は制御回路CNT1のリセット端子T5に接続される。抵抗R3の一端が制御回路CNT1のリセット端子T5に接続され、抵抗R3の他端が制御回路CNT1の電源端子T6に接続される。そして、電源電圧VDDが電源端子T6に印加される。電圧監視回路1’は監視対象電圧MVが減電圧又は過電圧であることを検知すると、制御回路CNT1のリセット端子T5にローレベルの信号(リセット信号)を出力する。制御回路CNT1は、リセット端子T5にローレベルの信号(リセット信号)が供給されている間、リセット状態を維持する。制御回路CNT1としては、例えば、組み込みコンピューティング・モジュール、DSP(digital signal processor)、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、FPGA(field-programmable gate array)、ASIC(application specific integrated circuit)等を用いることができる。
また、上記した電圧監視回路1及び1’並びに電圧監視回路1a~1dは、例えば、図20で示す車両X10に搭載され、車両X10の電気系統の各電圧のいずれかを監視する回路として好適に用いることができる。
<総括>
以下では、本明細書中に開示されている種々の実施形態について、総括的に述べる。
例えば、本明細書中に開示されている電圧監視回路は、監視対象電圧又は前記監視対象電圧の分圧が印加される入力端子と、第1基準電圧を生成する基準電圧生成回路と、前記第1基準電圧に応じた第2基準電圧を生成するリニア電源回路と、前記第2基準電圧の分圧を生成し、前記第2基準電圧の分圧を前記リニア電源回路に負帰還する帰還抵抗と、前記第2基準電圧と前記入力端子に印加される前記監視対象電圧又は前記監視対象電圧の分圧とを比較する比較部と、を備える構成(第1の構成)である。
上記第1の構成の電圧監視回路において、前記入力端子が第1入力端子であり、前記比較部が第1比較部であり、前記第1入力端子に印加される前記監視対象電圧又は前記監視対象電圧の分圧と値が異なる前記監視対象電圧の分圧が印加される第2入力端子と、前記第2基準電圧と前記第2入力端子に印加される前記監視対象電圧の分圧とを比較する第2比較部と、を備える構成(第2の構成)にしてもよい。
上記第1または第2の構成の電圧監視回路において、前記基準電圧生成回路は、デプレション型電界効果トランジスタと、エンハンスメント型電界効果トランジスタと、を備える構成(第3の構成)にしてもよい。
上記第1~第3いずれかの構成の電圧監視回路において、前記帰還抵抗は、多結晶シリコン膜によって構成される構成(第4の構成)にしてもよい。
上記第1~第4いずれかの構成の電圧監視回路において、前記電圧監視回路は1チップの半導体集積回路装置に搭載され、前記電圧監視回路は前記比較部での比較結果を出力する出力端子を備え、前記チップは、第1辺、第2辺、第3辺、及び第4辺を有する矩形形状であり、前記入力端子、前記基準電圧生成回路、前記リニア電源回路、前記比較部、及び前記出力端子の少なくとも一つが前記帰還抵抗よりも前記第1辺に近い位置に配置され、前記入力端子、前記基準電圧生成回路、前記リニア電源回路、前記比較部、及び前記出力端子の少なくとも一つが前記帰還抵抗よりも前記第2辺に近い位置に配置され、前記入力端子、前記基準電圧生成回路、前記リニア電源回路、前記比較部、及び前記出力端子の少なくとも一つが前記帰還抵抗よりも前記第3辺に近い位置に配置され、前記入力端子、前記基準電圧生成回路、前記リニア電源回路、前記比較部、及び前記出力端子の少なくとも一つが前記帰還抵抗よりも前記第4辺に近い位置に配置される構成(第5の構成)にしてもよい。
上記第5の構成の電圧監視回路において、前記矩形形状の中心が前記帰還抵抗の配置位置に含まれる構成(第6の構成)にしてもよい。
上記第1~第6いずれかの構成の電圧監視回路において、前記基準電圧生成回路及び前記リニア電源回路は前記入力端子よりも前記帰還抵抗に近い位置に配置される構成(第7の構成)にしてもよい。
本明細書中に開示されている制御装置は、制御対象を制御する制御回路と、前記監視対象電圧に基づき前記制御回路をリセットする上記第1~第7いずれかの構成の電圧監視回路と、を備える構成(第8の構成)である。
本明細書中に開示されている車両は、上記第1~第7いずれかの構成の電圧監視回路を備える構成(第9の構成)である。
また、例えば、本明細書中に開示されている電圧監視回路は、第1入力電圧が印加される第1入力端子と、第2入力電圧が印加される第2入力端子と、第1基準電圧を生成する基準電圧生成回路と、前記第1基準電圧に応じた第2基準電圧を生成するリニア電源回路と、前記第2基準電圧から複数の分圧を生成していずれかを帰還電圧として前記リニア電源回路に負帰還する帰還抵抗と、前記第1入力電圧と第3基準電圧とを比較して第1比較信号を生成する第1比較部と、前記第2入力電圧と第4基準電圧とを比較して第2比較信号を生成する第2比較部と、前記第2基準電圧及び前記複数の分圧のうち、いずれか2つを前記第3基準電圧の切替候補とし、前記第1比較信号に応じて前記第3基準電圧を切り替える第1選択部と、前記第2基準電圧及び前記複数の分圧のうち、いずれか2つを前記第4基準電圧の切替候補とし、前記第2比較信号に応じて前記第4基準電圧を切り替える第2選択部と、を備える構成(第10の構成)とされている。
上記第10の構成から成る電圧監視回路において、前記帰還抵抗は、トリミングにより抵抗値を調整することのできる抵抗素子を含む構成(第11の構成)にするとよい。
上記第10または第11の構成から成る電圧監視回路において、前記帰還抵抗は、前記第2基準電圧の印加端と前記帰還電圧の印加端との間に直列接続された複数の第1帰還抵抗と、前記帰還電圧の印加端と基準電位端との間に接続された第2帰還抵抗と、を含む構成(第12の構成)にするとよい。
上記第12の構成から成る電圧監視回路において、前記複数の第1帰還抵抗のうち、前記第1選択部及び前記第2選択部いずれの選択ノードよりも低電位側に設けられた第1抵抗素子は、これを除く前記複数の第1帰還抵抗及び前記第2帰還抵抗としてそれぞれ用いられる第2抵抗素子と異なる温度特性を持つ構成(第13の構成)にするとよい。
上記した第13の構成から成る電圧監視回路において、前記基準電圧生成回路及び前記リニア電源回路は、負の温度特性を持ち、前記第1抵抗素子は、正の温度特性を持つ拡散抵抗であり、前記第2抵抗素子は、負の温度特性を持つポリ抵抗である構成(第14の構成)にするとよい。
上記第10~第14いずれかの構成から成る電圧監視回路において、前記第1入力電圧は、監視対象電圧またはその第1分圧であり、前記第2入力電圧は、前記第1入力電圧と異なる値を持つ前記監視対象電圧の第2分圧である構成(第15の構成)にするとよい。
また、例えば、本明細書中に開示されている電圧監視回路は、入力電圧として監視対象電圧またはその分圧が印加される入力端子と、第1基準電圧を生成する基準電圧生成回路と、前記第1基準電圧に応じた第2基準電圧を生成するリニア電源回路と、前記第2基準電圧の分圧を生成して前記リニア電源回路に負帰還する帰還抵抗と、前記入力電圧と前記第2基準電圧とを比較する比較部と、を備え、前記帰還抵抗の分圧比が前記比較部の出力に応じて切り替えられる構成(第16の構成)とされている。
また、例えば、本明細書中に開示されている電圧監視回路は、第1入力電圧として監視対象電圧またはその第1分圧が印加される第1入力端子と、第2入力電圧として前記第1入力電圧と値が異なる前記監視対象電圧の第2分圧が印加される第2入力端子と、第1基準電圧を生成する基準電圧生成回路と、前記第1基準電圧に応じた第2基準電圧を生成するリニア電源回路と、前記第2基準電圧の分圧を生成して前記リニア電源回路に負帰還する帰還抵抗と、前記第1入力電圧と前記第2基準電圧とを比較する第1比較部と、前記第2入力電圧と前記第2基準電圧とを比較する第2比較部と、を備え、前記帰還抵抗の分圧比が前記第1比較部及び前記第2比較部それぞれの出力に応じて切り替えられる構成(第17の構成)とされている。
また、例えば、本明細書中に開示されている制御装置は、制御対象を制御する制御回路と、上記第15~第17いずれかの構成から成り前記監視対象電圧に基づき前記制御回路をリセットする電圧監視回路と、を備える構成(第18の構成)とされている。
また、例えば、本明細書中に開示されている車両は、上記第10~第17いずれかの構成から成る電圧監視回路を備える構成(第19の構成)とされている。
<留意点>
本明細書中に開示されている種々の技術的特徴は、上記実施形態のほか、その技術的創作の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。すなわち、上記実施形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきであり、本発明の技術的範囲は、上記実施形態の説明ではなく、特許請求の範囲によって示されるものであり、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内に属する全ての変更が含まれると理解されるべきである。