以下、図面を用いて本実施形態に係る無線通信システムについて詳細に説明する。なお、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率と異なることがある。
(無線通信システムの概要)
本実施形態に係る複数の無線端末で構成された無線ネットワークでは、それぞれの無線端末が2つ以上の通信チャネル(周波数帯)を規則的に切り替えて通信を行うことで、干渉を受けている周波数帯を自立的に避けて通信することができる。各無線端末は予め設定したビーコン送信順番で伝送フレームの最初と最後にビーコンを送信し、他の無線端末との同期を取る。チャネル切り替え周期は予め決まっており、切り替え時間になり次第、それぞれの無線端末が自立的に周波数を切り替える。仮にビーコンによる同期信号を受信できなかったとしても、前述の通りそれぞれの無線端末が自立的に周波数を切り替えることができるため、全無線端末が同じ通信チャネル上で通信ができる。
しかし、それぞれの無線端末は、電波干渉等によりビーコンを受信できない場合や、無線端末のクロック周波数のずれ等により、無線端末の間で同期が完全にはずれてしまった場合には、チャネル切り替え周期を制御し、無線端末の間での再同期を実現する。
なお、無線端末の基本動作として、データ送信やAck(Acknowledgement)送信やビーコン送信動作以外の時は、常に受信状態で待機し、受信強度を検出する。また、検出した受信強度からデータ、ビーコン、Ack等であるのか、干渉であるのかを判定する。
図1に本実施例の無線通信システムを構成する無線通信ネットワークの構成例を示す。図1では、無線端末11~20が無線通信ネットワーク1000を構築している。無線通信方式としてはCSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access/Collision Avoidance)方式を想定する。なお、無線端末11~20を総称して、図2に示す無線端末200と称する場合がある。
図2は本実施例の無線端末200のハードウェアのブロック図の一例を示す。請求項に記載のビーコン送信端末およびビーコン受信端末は無線端末200として実現される。無線端末200は、通信部210、判定部220、制御部230、I/F部240(I/F:インターフェース)、情報記録部250を含む一般的なコンピュータである。一般的なコンピュータが通信プログラムを実行することにより、図2に示す機能を実現する。また、制御部230はCPU(Central Processing Unit)である。制御部230は、情報記録部250に記憶されたデータを読み書きしたり、通信部210とデータを入出力したりして、無線端末200における処理を実行する。
通信部210は、送受信切り替え部211、無線送信部212、無線受信部213を含み、無線端末200が送信モードの場合には送受信切り替え部211がアンテナと無線送信部212を接続する。無線端末200が受信モードの場合には送受信切り替え部211がアンテナと無線受信部213を接続する。
送受信切り替え部211は、データやビーコンを送信する時に無線端末200を送信モードに切り替え、それ以外の時には無線端末200を受信モードに切り替える。
無線送信部212は、データ、開始ビーコンおよび終了ビーコン等の無線信号の送信処理を行う機能を有する。
無線受信部213は、他の無線端末200からアンテナで受信したデータ、開始ビーコンおよび終了ビーコン等の無線信号の受信処理を行う機能を有する。
判定部220は、受信強度判定部221および干渉判定部222を含む。
受信強度判定部221は、受信信号の電力が閾値レベルを超えたか否かを判定する機能を有する。
干渉判定部222は、閾値レベルを超えた受信信号が自無線通信システム内のものであるか、他無線通信システムによるものであるかを判定する機能を有する。他無線通信システムによる受信信号であれば、現在の通信チャネルに干渉が発生していると判定する。
制御部230は、ビーコン生成部231、データ生成部232、ビーコン解析部233、チャネル切り替え部234、データ処理部235、タイマー部236を含む。そして、制御部230は、I/F部240とのデータの送受信、情報記録部250との情報の送受信、無線送信部212へのデータやビーコン情報の送信、無線受信部213からのデータやビーコン情報の受信を行う。
ビーコン生成部231は、情報記録部250に記憶されているビーコン送信順番情報、チャネル切り替え周期情報およびタイマー情報から、ビーコンを送信するタイミングになった時に、開始ビーコンまたは終了ビーコンを生成し、送信する機能を有する。
終了ビーコンには、次の通信チャネルでの無線端末200の送信順番情報と当該無線端末200の識別情報とを対応付けた送信要求情報、および、チャネル切り替えタイミングを示すチャネル切り替え情報(CH切り替え情報)が含まれる。また、終了ビーコンの先頭には、終了ビーコンを送信したビーコン送信端末のアドレス情報が付加される。アドレス情報はビーコン送信端末の識別情報である。
また、開始ビーコンには、当該開始ビーコンが送受信された通信チャネルでの無線端末200の送信順番情報と当該無線端末200の識別情報とを対応付けた送信要求情報、および、無線端末200間で同期を取るための時間同期情報が含まれる。また、開始ビーコンの先頭には、開始ビーコンを送信したビーコン送信端末のアドレス情報が付加される。アドレス情報はビーコン送信端末の識別情報である。
ここで、開始ビーコンに含まれる時間同期情報は、開始ビーコンを送信したビーコン送信端末のタイマー情報であってもよい。開始ビーコンを受信した無線端末200は、開始ビーコンに含まれる時間同期情報を自無線端末のタイマー部236に書き込む。その結果、開始ビーコンを送信したビーコン送信端末と、開始ビーコンを受信した無線端末200との間で同期を取ることが可能になる。
データ生成部232は、I/F部240から送信要求があった時に、送信するべきデータを生成する機能を有する。
ビーコン解析部233は、受信した開始ビーコンまたは終了ビーコンから、開始ビーコンまたは終了ビーコンに含まれる上述した各種のビーコン情報を抽出し、抽出した情報を情報記録部250に記録する機能を有する。また、上述したように、ビーコン受信端末のビーコン解析部233は、開始ビーコンから抽出した時間同期情報をタイマー部236に書き込んで、ビーコン送信端末と同期を取る。
チャネル切り替え部234は、終了ビーコンに含まれるチャネル切り替え情報の受信を終了してから、所定の時間が経過した後に通信チャネルを切り替える。所定の時間は、ビーコン送信端末のチャネル切り替え周期が終了するまでの時間である。したがって、ビーコン送信端末は終了ビーコンの送信完了タイミングから所定の時間が経過した後にチャネル切り替え周期が終了するように、終了ビーコンの送信を開始する。所定の時間はチャネル切り替え猶予期間とも称することができる。
また、ビーコン受信端末が終了ビーコンを受信できなかった場合には、情報記録部250に記憶されているタイマー情報を読み出し、チャネル切り替え周期情報によって特定されるチャネル切り替え周期になったら通信チャネルの切り替えを行う。通信チャネルの切り替えを行う場合には、情報記録部250に記憶されているチャネル切り替え順番情報によって、チャネル切り替え部234は次に変更する通信チャネルを特定し、通信チャネルの切り替えを行う。
さらに、ビーコン受信端末が開始ビーコンおよび終了ビーコンを所定の回数または所定の期間、連続して受信できなかった場合には、ビーコン受信端末は同期が完全にはずれたと判断し、通信チャネルの延長処理を実行する。通信チャネルの延長処理の詳細については後述する。所定の回数または所定の期間は無線通信システムが任意の回数または期間に設定することが可能である。また、通信チャネルの延長処理を行った後に、開始ビーコンまたは終了ビーコンを受信した場合には、延長処理を終了し、当初の通信チャネル長で通信チャネルを切り替える処理に戻る。
データ処理部235は、受信したデータをデータ処理し、I/F部240に送信する機能を有する。
タイマー部236は、通信チャネルが切り替わってタイマーがリセットしてから、終了ビーコンに含まれるチャネル切り替え情報の送受信が終了し、チャネル切り替え猶予期間が経過した後に通信チャネルが切り替わるタイミングまでを計時する。タイマーがリセットしてから、通信チャネルが切り替わるタイミングまでをチャネル切り替え周期と称する場合もある。ここで、チャネル切り替え周期は伝送フレーム長(Tms)でもある。タイマー部236が計時した時間は、タイマー情報として情報記録部250に記録される。
したがって、終了ビーコンの送受信が完了するタイミングは、チャネル切り替え周期からチャネル切り替え猶予期間だけ前になる。ビーコン送信端末は、終了ビーコン長を認識しているので、終了ビーコンの送信が完了するタイミングが、チャネル切り替え周期からチャネル切り替え猶予期間だけ前になるように終了ビーコンの送信を開始する。また、前記チャネル切り替え猶予期間は、無線通信システムであらかじめ定められており、無線通信システムに含まれる全無線端末が情報記録部250に記録している。
I/F部240は、外部装置とのインターフェース機能を有する。外部装置は任意の電子機器であることができる。
情報記録部250は、タイマー情報、送信要求情報、チャネル切り替え周期情報、チャネル切り替え順番情報、ビーコン送信順番情報を含むさまざまな情報を記憶しており、それぞれの情報を制御部230と送受信している。
タイマー情報は、タイマー部236の計時時間に基づいて、予め規定されたチャネル切り替え周期を単位として、チャネル切り替え周期の先頭からの経過時間をリアルタイムに時間情報として記録している。また、無線端末200が、受信した開始ビーコンから時間同期情報を抽出した場合には、タイマー部236に時間同期情報を設定して開始ビーコンを送信した無線端末200と開始ビーコンを受信した無線端末200とで同期を取る。すなわち、タイマー部236は時間同期情報で示された時刻から計時を再開し、計時した時間情報をタイマー情報として情報記録部250に記録する。
さらに、無線端末200は通信チャネルを切り替えた後にタイマー部236をリセットし、初期化する(図9参照)。全ての無線端末200が前記予め規定されたチャネル切り替え周期を単位として時刻を刻んでおり、開始ビーコンおよび終了ビーコンを受信できなかった場合には、前記チャネル切り替え周期で、自動的に通信チャネルを変更する。しかし、上述したように、無線端末200間の同期が完全にはずれたと無線端末200が判断した場合には、チャネル切り替え周期を延長し、開始ビーコンまたは終了ビーコンの受信を待機する場合もある。
また、情報記録部250の送信要求情報には、無線端末200の識別情報と、無線端末200の識別情報に関連付けられた送信順番情報が含まれる。情報記録部250の送信要求情報は、終了ビーコンまたは開始ビーコンに含まれる送信要求情報と同じである。
チャネル切り替え周期情報には、予め規定された通信チャネルの切り替え周期を示す情報が記録されている。すなわち、通信チャネルの切り替えが完了するタイミングから、終了ビーコンの最後に含まれるチャネル切り替え情報の送受信が完了し、チャネル切り替え猶予期間が経過した後にチャネルが切り替わるタイミングまでの伝送フレーム長(Tms)が記録されている。また、無線端末200間の同期が完全にはずれたと無線端末200が判断した場合には、チャネル切り替え周期は((T×(無線通信システムで使用される通信チャネルの総数-1)+2X)ms)に書き換えられる(図14参照)。無線端末200は、書き換えられたチャネル切り替え周期の間に開始ビーコンまたは終了ビーコンの受信を待機する。
すなわち、一例として、伝送フレーム長(Tms)および((T×(無線通信システムで使用される通信チャネルの総数-1)+2X)ms)がチャネル切り替え周期情報として、情報記録部250に記録されている。なお、チャネル切り替え周期情報として、(T×(変更される通信チャネルの1周期の通信チャネルの総数-1)+α×(開始ビーコン送信完了期間))が記録されてもよい。開始ビーコン送信完了期間は通信チャネルの始まりから通信チャネルの開始ビーコンの送信が完了するまでの期間であり、αは(α×(開始ビーコン送信完了期間))が1通信チャネル長未満となる実数である。
チャネル切り替え順番情報は、予め規定された通信チャネルの切り替え順番が記録されている。すなわち、通信チャネルに干渉が発生しているか否かにかかわらず、無線端末200はチャネル切り替え順番通りに、通信チャネルを切り替える。例えば、図12で示されるように、1周期で用意されたすべての通信チャネルを一回ずつ使用するようにチャネル切り替え順番が設定されている。チャネル切り替え順番の1周期が終了すると、無線端末200はチャネル切り替え順番の先頭から再び通信チャネルを選択する。
ビーコン送信順番情報には、無線端末200がビーコン送信端末になる順番が記録されている。例えば、ビーコン送信順番情報に無線端末200の識別情報が順番に記録されていれば、無線端末200は通信チャネルを切り替える毎にどの無線端末200がビーコン送信端末となるかを認識することができる。ビーコン送信順番の1周期が終了すると、ビーコン送信順番の先頭から再びビーコン送信端末となる無線端末200が決定される。なお、チャネル切り替え周期が延長された場合にも、ビーコン送信順番情報に基づいて切り替えられた通信チャネルで、チャネル切り替え周期が延長される(図14参照)。
無線通信システムに含まれるすべての無線端末200が順番にビーコン送信端末となる場合と、無線通信システムに含まれる一部の無線端末200が順番にビーコン送信端末となる場合と、ビーコン送信端末となる無線端末200が固定されている場合とがある。
例えば、通信チャネルが切り替わるたびに複数の無線端末200の1つをあらかじめ定められた順番でビーコン送信端末とするビーコン送信端末は以下のように決定される場合もある。すなわち、無線通信システムに含まれる無線端末200の中で、無線端末200間の距離が最も長い線上の中点からあらかじめ定められた範囲にある無線端末200の中からビーコン送信端末が選択される場合がある。
したがって、通信環境が悪くなる可能性がある無線端末200をビーコン送信端末としないことによって、本方式の無線通信システムを円滑に動作させることが可能になる。
一例として、無線通信システムが車両等に搭載されている場合に、車両の中央部に配置された無線端末をビーコン送信端末とすることで、車両の前後部に配置された無線端末との通信の成功率を高めて無線通信システムを円滑に動作させることが可能になる。すなわち、無線通信システムの通信可能範囲の周縁にある無線端末200をビーコン送信端末としないことによって、無線通信システムをより安定して動作させることが可能になる。
図3は、開始ビーコンおよび終了ビーコンの送信周期とチャネル切り替え周期を模式的に示した図である。
最初に無線端末11がビーコン送信端末として、チャネル切り替え順番情報の先頭に配置された初期通信チャネルであるCH(チャネル:CHannel)1上で、開始ビーコンを送信し、データの送受信を行い、終了ビーコンを送信する。チャネル切り替え周期であるTms以内に、開始ビーコンの送信から、終了ビーコンの送信までが実行される。この時、無線端末12~20はビーコン受信端末としてCH1上で開始ビーコンおよび終了ビーコンを受信する。Tmsはデータの送受信期間である伝送フレーム期間でもある。また、Tmsは無線通信システムが動作中はビーコン送信端末にとっては固定の期間である。
なお、開始ビーコンは通信チャネルの開始からXms以内に送信が完了するように、ビーコン送信端末から送信されるので、通信チャネルの開始から直ちに送信される無線信号ではない。通信チャネルの開始から開始ビーコンの送信が開始されるまでの期間は、開始ビーコン送信猶予期間と称する場合がある(図7参照)。
さらに、終了ビーコンは通信チャネルの切り替えタイミングからXms先行してビーコン送信端末から送信が開始されるので、通信チャネルの切り替えタイミングと終了ビーコンの送信完了タイミングとは異なる。通信チャネルの切り替えタイミングから終了ビーコンの送信完了タイミングまでの期間は、チャネル切り替え猶予期間と称する場合がある(図7参照)。
無線端末11が終了ビーコンを送信した後に、全無線端末がCH2に切り替わり、無線端末11の次の無線端末である無線端末12がビーコン送信端末となって開始ビーコンを送信する。以下同様に開始ビーコンおよび終了ビーコンの送受信と通信チャネルの切り替えを繰り返す。
図3では、Tms周期で開始ビーコンと終了ビーコンが送信されている。終了ビーコンの送受信が完了し、チャネル切り替え猶予期間が経過した後に通信チャネルが変更され、通信チャネルが切り替わってから開始ビーコンが送信される。上述したように、このTmsは伝送フレーム期間であり、あらかじめ無線通信システムで規定されている。また、無線通信システムは無線端末が動作中に規定されたTmsを変更することはできない。
さらに、図3では、無線端末11から無線端末20までの10台の無線端末を使用しており、無線端末の動作中はこの無線端末の数に変動は生じない。つまり、基本的に無線端末は固定局であり、移動局は考慮していない。したがって、無線通信ネットワーク内での無線端末の増減は考慮されておらず、無線端末11から無線端末20として割り当てられるべき無線端末は最初に規定されなければならない。また、上述したように、無線通信システム内のすべてまたは一部の無線端末が順番にビーコン送信端末となる場合と、ビーコン送信端末が固定される場合がある。
無線端末が動作していない場合には、無線通信システムが無線端末を新たに追加したり、削減したりすることは可能である。例えば、無線通信システムが無線端末を新たに1台追加する場合には、無線通信システムが新たに追加された無線端末を無線端末21として無線端末20の次の順番に割り当て、全無線端末のビーコン送信順番情報等の情報も更新する。
図3は基本的な通信チャネルの切り替え周期を表しており、初期チャネルをCH1として、Tms間隔で全無線端末がCH1→CH2→CH3といった順に同時に切り替わる。また、ビーコンを送信するビーコン送信端末も、Tms周期で、無線端末11から順番に無線端末20まで切り替わる場合がある。
この場合に、全ての無線端末がビーコンによって同期が取れることが望ましい。しかし、ビーコンを受信できなかった場合でも、Tms間隔で自動的に通信チャネルが切り替わるため、無線端末間で同期を取ることが可能である。
すなわち、ビーコン受信端末が終了ビーコンを受信できれば、終了ビーコンのチャネル切り替え情報の受信が完了し、チャネル切り替え猶予期間が経過した後にビーコン受信端末は通信チャネルを切り替える。また、ビーコン受信端末が終了ビーコンを受信できなかった場合には、情報記録部250のタイマー情報に基づいて通信チャネルを切り替える。
図4は、開始ビーコンの構成図を示す。開始ビーコンには、送信元アドレス、送信要求情報、時間同期情報が含まれる。開始ビーコンは、ビーコンを送信するビーコン送信端末としての無線端末200が、データを送受信する期間である伝送フレーム期間の先頭の一部の期間に送信する。
送信元アドレスは、開始ビーコンを送信した無線端末200のアドレスである。
送信要求情報には、無線端末200の識別情報と、無線端末200の識別情報に関連付けられた送信順番情報が含まれる。
また、開始ビーコンを送信する無線端末200が直前の終了ビーコンを受信できた場合には、終了ビーコンに含まれる送信要求情報を、開始ビーコンに含まれる送信要求情報として送信する。
開始ビーコンを送信する無線端末200は、送信要求が発生した時刻が早い無線端末から順番に、現在の通信チャネルでどの無線端末が何番目に送信する権利を有するかという情報を決定する。言い換えれば、開始ビーコンを送信した無線端末200は、開始ビーコンを送信した通信チャネルでの無線端末の送信順番を決定する。また、開始ビーコンを送信する無線端末200は、無線端末の識別情報と送信順番情報を送信要求情報として開始ビーコンに含ませ、当該開始ビーコンをブロードキャストする。
一例として、送信要求情報は無線端末200の識別情報が送信順番にしたがって配置されるだけでもよい。
また、他の例として、送信元アドレス情報の最後にデリミタが配置され、デリミタの次に無線端末の識別情報と送信順番情報としての数字が配置され、数字の次にデリミタが配置される。そして、デリミタの次に他の無線端末200の識別情報が配置され、他の無線端末200の識別情報の次に他の無線端末200の送信順番情報としての数字が配置され、数字の次にデリミタが配置される構成が繰り返されても良い。デリミタ間の数字が、デリミタ間の無線端末200の識別情報で特定される無線端末200の送信順番を示す。さらに、デリミタ間に送信要求が発生した時刻情報が含まれてもよい。
時間同期情報は、開始ビーコンを送信する無線端末200の情報記録部250に記録されているタイマー情報である。開始ビーコンを受信した無線端末200が、タイマー部236を開始ビーコンに含まれる時間同期情報で示される時刻に設定することで、無線端末200間で同期を取ることができる。無線端末200間の同期にずれが有った場合には、この時間同期情報により、開始ビーコンを送信した無線端末200と開始ビーコンを受信した無線端末200との間で再同期が可能になる。
図5は、終了ビーコンの構成図を示す。終了ビーコンは、送信元アドレス、送信要求情報、チャネル(CH)切り替え情報を含む。終了ビーコンは、ビーコン送信端末が伝送フレームの最後の一部の期間に送信する。
送信元アドレスは、終了ビーコンを送信したビーコン送信端末としての無線端末200のアドレスである。
送信要求情報には、無線端末200の識別情報と、無線端末200の識別情報に関連付けられた送信順番情報が含まれる。また、終了ビーコンを受信した無線端末200は、終了ビーコンに含まれる送信要求情報を情報記録部250に記録する。
ただし、無線端末200が次の通信チャネルで開始ビーコンを受信した場合には、開始ビーコンの送信要求情報の送信順番情報に基づいて送信動作を実行する。
チャネル(CH)切り替え情報は、次の通信チャネルに切り替えるためのタイミング情報であり、チャネル(CH)切り替え情報の送受信が完了し、チャネル切り替え猶予期間が経過した後に全無線端末は通信チャネルを次の通信チャネルに切り替える。
無線端末200間の同期にTms以内でずれが有った場合、このチャネル(CH)切り替え情報により、無線端末200間で再同期が可能になる。すなわち、ビーコン受信端末は、終了ビーコンを受信できれば終了ビーコンのチャネル(CH)切り替え情報の受信完了タイミングで通信チャネルを切り替えるので、通信チャネルの開始タイミングが同期する。また、ビーコン受信端末は通信チャネルを切り替えたタイミングで、タイマー部236をリセットさせる。
図6は、データフレームの構成例を示す。データフレームの先頭には、ビット単位で同期を取るためのビット同期信号があり、その次に、フレーム単位で同期を取るためのフレーム同期信号があり、その次に、無線通信システム固有のIDを含むヘッダがある。そして、ヘッダの次にデータの本体であるペイロードがあり、最後にデータの誤りの検出および訂正をするための誤り検出訂正符号がある。無線通信システムは、データフレーム長を任意の長さに設定することが可能である。
図6に示すように、データフレームには無線通信システム固有のIDが含まれるので、無線端末200が受信した無線信号が自無線通信システムの無線信号であるかどうかの判別は、その固有IDを受信できたか否かによって判定できる。
図7は、ビーコン送信端末としての無線端末Xの伝送フレームを示している。ビーコン送信端末は、伝送フレームの最初に開始ビーコン、伝送フレームの最後に終了ビーコンを送信する。それ以外のデータ送信領域で送信要求の有る無線端末が送信動作を行う。
ここで、伝送フレーム長(Tms)はチャネル切り替え周期を示す。また、伝送フレームにおける、開始ビーコンおよび終了ビーコンの送信タイミングはあらかじめ無線通信システムで決定されている。
例えば、開始ビーコンは、伝送フレームの先頭からあらかじめ定められた規則時間だけ遅れて送信される。これは、無線端末200間で同期がずれている場合に、通信チャネルが切り替わるタイミングにばらつきが発生していることがあるからである。あらかじめ定められた規則時間は開始ビーコン送信猶予期間とも称する。開始ビーコン送信無線端末が、通信チャネルが切り替わってから開始ビーコン送信猶予期間だけ遅れて開始ビーコンを送信することによって、同期がずれている無線端末200でも開始ビーコンを受信できる確率が高まる。そして、開始ビーコンを受信した無線端末200は、開始ビーコンに含まれる時間同期情報によって、開始ビーコンを送信した無線端末200と再同期することが可能になる。
例えば、開始ビーコンの直前の終了ビーコンを受信できなかった無線端末200の通信チャネルの切り替わりタイミングが少し遅れている場合に、開始ビーコンが開始ビーコン送信猶予期間だけ遅れて送信されれば、開始ビーコンが受信される確率が高まる。
また、終了ビーコンは、終了ビーコンの送受信完了タイミングが伝送フレームの最後からチャネル切り替え猶予期間だけ前になるように送信される。これは、無線端末200間で同期がずれている場合に、通信チャネルが切り替わるタイミングにばらつきが発生している場合があるからである。例えば、タイマー情報の経過時間が早くなっている無線端末200は、通信チャネルの切り替えが早いために、終了ビーコンを受信できない場合が発生し得る。しかし、終了ビーコンの送受信完了タイミングが伝送フレームの最後からチャネル切り替え猶予期間だけ前になるように送信されれば、同期がずれている無線端末200でも終了ビーコンを受信できる確率が高まる。そして、終了ビーコンを受信した無線端末200は、終了ビーコンに含まれるチャネル切り替え情報によって、終了ビーコンを送信した無線端末200と再同期することが可能になる。
なお、伝送フレームの先頭から開始ビーコンが送信されるまでの開始ビーコン送信猶予期間と、伝送フレームの最後から終了ビーコンの送受信が完了するまでのチャネル切り替え猶予期間とは同じでも、異なっていてもよく、任意の時間が設定され得る。
図8に無線端末200の起動時の初期動作を示したフローチャートを示す。
ステップS801において、無線端末200が起動したら、それぞれの無線端末200は通信チャネルを無線通信システムで予め決められた初期チャネルに設定する。これは、それぞれの無線端末200が情報記録部250のチャネル切り替え順番情報を参照し、チャネル切り替え順番情報の先頭の通信チャネルを初期チャネルに設定することによって実行される。次に、無線端末200はステップS802に進む。
ステップS802において、無線端末200が、予め設定されたビーコン送信順番の初期無線端末か否かを判断する。ビーコン送信順番情報が情報記録部250に記憶されているので、ビーコン送信順番情報の先頭の無線端末200の識別情報を無線端末200が認識することで、無線端末200が初期無線端末であるか否かを判定できる。無線端末200が初期無線端末である場合(ステップS802:YES)には、無線端末200はステップS803に進み、初期無線端末ではない場合(ステップS802:NO)には、ステップS809に進む。
ステップS803において、初期無線端末であるビーコン送信端末が開始ビーコンを送信する前に、開始ビーコン送信猶予期間が経過するまで待機する。次に、初期無線端末はステップS804に進む。
ステップS804において、初期無線端末であるビーコン送信端末が開始ビーコンを送信する前に、受信強度判定部221で受信強度が検出されるか否かを判定する。受信強度が検出される場合(ステップS804:YES)には、初期無線端末はステップS804を繰り返し、受信強度が検出されない場合(ステップS804:NO)には、ステップS805に進む。
ステップS804において、受信強度が検出されれば初期無線端末は開始ビーコンを送信できないので、初期無線端末はステップS804を繰り返し、開始ビーコンを送信できるまで待機する。初期無線端末が通信する期間では、他の無線端末200は通信を行わない取り決めになっている。したがって、受信強度が検出されれば、受信信号は他の無線通信システムからの無線信号であって、通信チャネルに干渉が発生していると初期無線端末は判定できる。
ステップS805において、受信強度が検出されない状態なので、初期無線端末は開始ビーコンを送信し、ステップS806に進む。
ステップS806において、初期無線端末はあらかじめ設定された伝送フレームの規定期間が経過するまで待機してから、ステップS807に進む。
ステップS807において、初期無線端末が終了ビーコンを送信する前に、受信強度判定部221で受信強度が検出されるか否かを判定する。受信強度が検出されない場合(ステップS807:NO)には、初期無線端末はステップS808に進む。受信強度が検出される場合(ステップS807:YES)には、初期無線端末は終了ビーコンを送信しない。しかし、情報記録部250に記録されているタイマー情報がチャネル切り替え周期になった時点で、チャネル切り替え部234が、チャネル切り替え順番情報に基づいて通信チャネルを切り替える。
ステップS808において、受信強度が検出されていない状態なので、初期無線端末は必要情報を終了ビーコンに含め、終了ビーコンを送信する。そして、終了ビーコンの送信完了後にチャネル切り替え猶予期間が経過した時点でチャネル切り替え部234がチャネル切り替え順番情報に基づいて通信チャネルを次のチャネルに切り替える処理を実行する。
ステップS809において、初期無線端末はビーコン受信端末であるので、受信状態で待機し、ビーコンを受信したか否かを判定する。初期無線端末がビーコンを受信した場合(ステップS809:YES)には、初期無線端末はステップS812に進み、ビーコンを受信しない場合(ステップS809:NO)には、ステップS810に進む。
ステップS810において、ビーコン受信端末である初期無線端末は初期チャネルを維持し、ステップS809を繰り返し、開始ビーコンまたは終了ビーコンを受信するまで待機する。
ステップS811において、ビーコンを受信した初期無線端末は、受信したビーコンが開始ビーコンであるかどうかを解析する。受信したビーコンが開始ビーコンである場合(ステップS811:YES)には、初期無線端末はステップS812に進む。受信したビーコンが開始ビーコンではない場合(ステップS811:NO)には、受信したビーコンは終了ビーコンであるので、初期無線端末のチャネル切り替え部234が通信チャネルを次のチャネルに切り替えて処理を終了する。開始ビーコンおよび終了ビーコンにはビーコンの識別情報が含まれる。
ステップS812において、受信したビーコンが開始ビーコンであるので、初期無線端末は開始ビーコンに含まれる時間同期情報に基づいてタイマー部236を設定し、伝送フレーム期間が終了するまで受信状態で待機する。次に、初期無線端末はステップS813に進む。
ステップS813において、初期無線端末は終了ビーコンを受信したか否かを判定する。初期無線端末が終了ビーコンを受信した場合(ステップS813:YES)には、チャネル切り替え猶予期間が経過した後に通信チャネルを次のチャネルに切り替えて処理を終了する。すなわち、終了ビーコンのチャネル切り替え情報の受信が完了すると、チャネル切り替え猶予期間が経過した後にチャネル切り替え部234がチャネル切り替え順番情報に基づいて通信チャネルを次のチャネルに切り替えて処理を終了する。
初期無線端末が終了ビーコンを受信しない場合(ステップS813:NO)には、通信チャネルの切り替え周期の終了時点で、チャネル切り替え部234が、チャネル切り替え順番情報に基づいて通信チャネルを切り替える。
以上の動作が無線端末200の起動時の初期動作であり、初期動作が完了すると伝送フレーム期間が経過している。なお、初期動作時には、ビーコン以外の送信動作は行わない。
図9は、通信チャネルを切り替えた後の処理を示したフローチャートである。なお、無線端末200がどの通信チャネルへ切り替えるかは、情報記録部250のチャネル切り替え順番情報を参照することによって判定できる。
ステップS901において、無線端末200はタイマー部236をリセットし、情報記録部250のタイマー情報を初期値にし、ステップS902に進む。一例として、初期値は「0」である。
ステップS902において、無線端末200がビーコンを送信する順番になったか否かを判断する。無線端末200がビーコンを送信する順番になった場合(ステップS902:YES)には、処理Aに進み、ビーコンを送信する順番になっていない場合(ステップS902:NO)には、処理Bに進む。なお、無線端末200がビーコンを送信する順番になったか否かは、情報記録部250のビーコン送信順番情報を参照することによって判定できる。
図10Aおよび図10Bは、処理Aのフローチャートを示す。処理Aは、無線端末200がビーコンを送信する順番になり、ビーコン送信端末として機能する場合の処理フローである。
ステップS1001において、ビーコン送信端末である無線端末200は所定時間が経過したか否かを判定する。所定時間が経過した場合(ステップS1001:YES)には、ビーコン送信端末である無線端末200はステップS1002に進む。所定時間が経過していない場合(ステップS1001:NO)には、ビーコン送信端末である無線端末200は所定時間の経過まで待機するためにステップS1001を繰り返す。当該所定時間は開始ビーコン送信猶予期間である場合がある。
ステップS1002において、無線端末200が開始ビーコン送信する前に、受信強度判定部221で受信強度が検出されるか否かを判定する。受信強度が検出されない場合(ステップS1002:NO)には、無線端末200はステップS1003に進み、受信強度が検出される場合(ステップS1002:YES)には、ステップS1004に進み、受信待機する。
ステップS1003において、受信強度が検出されていない状態なので無線端末200は開始ビーコンを送信し、ステップS1004に進み、受信モードになる。この場合に、情報記録部250に記録されている送信要求情報が、開始ビーコンに含まれる送信要求情報として送信される。また、情報記録部250に記録されているタイマー情報が、開始ビーコンに含まれる時間同期情報として送信される。
ステップS1004において、無線端末200は受信モードであるので受信強度判定部221で受信強度が検出されるか否かを判定する。受信強度が検出される場合(ステップS1004:YES)には、無線端末200はステップS1005に進み、受信強度が検出されない場合(ステップS1004:NO)には、ステップS1008に進む。
ステップS1005において、受信強度が検出されている状態なので、無線端末200は受信信号から無線通信システムに固有のIDが検出されるか否かを判定する。固有のIDが検出される場合(ステップS1005:YES)には、無線端末200はステップS1006に進み、固有のIDが検出されない場合(ステップS1005:NO)には、ステップS1011に進む。
ステップS1006において、無線端末200は受信信号からデータ情報を正常に受信できたか否かを判定する。無線端末200がデータ情報を正常に受信できた場合(ステップS1006:YES)には、無線端末200はステップS1007に進み、データ情報を正常に受信できない場合(ステップS1006:NO)には、ステップS1011に進む。
ステップS1007は、無線端末200がデータ情報を正常に受信できた場合なので、無線端末200はAck信号を、データ情報を送信した無線端末200に送信し、ステップS1011に進む。
ステップS1008は、受信信号による受信強度が検出されなかった場合であるので、無線端末200は自無線端末にデータ情報の送信要求があるか否かを判定する。データ情報の送信要求がない場合、または、開始ビーコンで送信した送信要求情報において自無線端末が送信順番ではない場合(ステップS1008:NO)には、無線端末200はステップS1011に進む。また、データ情報の送信要求がある場合であって、開始ビーコンで送信した送信要求情報において自無線端末が送信順番である場合(ステップS1008:YES)には、無線端末200はステップS1009に進む。さらに、データ情報の送信要求がある場合であって、開始ビーコンで送信した送信要求情報に含まれる無線端末200の送信がすべて完了している場合(ステップS1008:YES)にも、無線端末200はステップS1009に進む。
ステップS1009は、無線端末200に送信するべきデータ情報がある状態なので、無線端末200はデータ情報を送信し、ステップS1010に進む。この場合、開始ビーコンで送信した送信要求情報において自無線端末の送信順番が1番である場合には、コンテンションウィンドウ等に関する動作をスキップしてデータ情報を送信する。例えば、自無線端末の送信順番が1番である場合には、無線端末200は開始ビーコンの送信直後にデータ情報を送信する。
ステップS1010において、無線端末200は送信したデータ情報に対するAck信号を受信したか否かを判定する。無線端末200がAck信号を受信しない場合には、無線端末200は再送フラグをセットしてステップS1011に進み、Ack信号を受信した場合には再送フラグをクリアしてステップS1011に進む。一例として、再送フラグは1ビットで表現され、再送フラグを「1」にすることを、再送フラグをセットすると称し、再送フラグを「0」にすることを、再送フラグをクリアすると称する。再送フラグがセットされていると、ステップS1008で送信要求が発生する。
ステップS1011において、無線端末200は経過時間の確認を行う。すなわち、無線端末200は残りのデータフレーム期間内でデータ情報を送信し、送信したデータ情報に対するAckを受信できるか否かを確認する。データ情報を送信し、Ackを受信できる送信可能時間がない場合(ステップS1011:NO)には、無線端末200はステップS1012に進む。送信可能時間がある場合(ステップS1011:YES)には、無線端末200はデータ情報の送受信を行うためにステップS1004に進む。
ステップS1012において、無線端末200は経過時間の確認を行う。すなわち、無線端末200は所定時間が経過したか否かを確認する。所定時間が経過すると終了ビーコンを送信するべき時間になる。所定時間が経過した場合(ステップS1012:YES)には、無線端末200はステップS1013に進み、所定時間が経過していない場合(ステップS1012:NO)には、ステップS1012を繰り返す。
ステップS1013において、無線端末200は受信強度判定部221で受信強度が検出されるか否かを判定する。受信強度が検出されない場合(ステップS1013:NO)には、無線端末200はステップS1014に進む。受信強度が検出される場合(ステップS1013:YES)には、無線端末200は終了ビーコンを送信せずにチャネル変更処理を行う。この場合に、通信チャネルの切り替え周期の終了時点で、チャネル切り替え部234が、チャネル切り替え順番情報に基づいて通信チャネルを切り替える。
ステップS1014は、通信チャネルに干渉がない状態なので、無線端末200は終了ビーコンを送信し、チャネル切り替え猶予期間の経過後にチャネル切り替え処理を行う。以上が処理Aの処理フローである。
図11Aおよび図11Bは、処理Bのフローチャートを示す。処理Bは、無線端末200がビーコン受信端末として機能する場合の処理フローである。
ステップS1101は、無線端末200はビーコン送信端末から開始ビーコンを受信したか否かを判定する。無線端末200が開始ビーコンを受信した場合(ステップS1101:YES)には、無線端末200はステップS1102に進み、開始ビーコンを受信しない場合(ステップS1101:NO)には、ステップS1103に進む。なお、ステップS1101の動作は開始ビーコン送信猶予期間の経過後に実行されてもよい。あるいは、図7に示される開始ビーコンの送信が完了するXmsの間、繰り返し実行されてもよい。
ステップS1102において、無線端末200のビーコン解析部233は開始ビーコンに含まれる情報を解析する。すなわち、無線端末200は情報記録部250の送信要求情報を開始ビーコンに含まれる送信要求情報に書き換え、タイマー部236を開始ビーコンに含まれる時間同期情報に設定する。
ステップS1103において、無線端末200は受信モードであるので受信強度判定部221で受信強度が検出されるか否かを判定する。受信強度が検出される場合(ステップS1103:YES)には、無線端末200はステップS1104に進み、受信強度が検出されない場合(ステップS1103:NO)には、ステップS1107に進む。
ステップS1104において、受信強度が検出されている状態なので、無線端末200は受信信号から無線通信システムに固有のIDが検出されるか否かを判定する。固有のIDが検出される場合(ステップS1104:YES)には、無線端末200はステップS1105に進み、固有のIDが検出されない場合(ステップS1104:NO)には、ステップS1110に進む。
ステップS1105において、無線端末200は受信信号からデータ情報を正常に受信できたか否かを判定する。無線端末200がデータ情報を正常に受信できた場合(ステップS1105:YES)には、無線端末200はステップS1106に進み、データ情報を正常に受信できない場合(ステップS1105:NO)には、ステップS1110に進む。
ステップS1106は、無線端末200がデータ情報を正常に受信できた場合なので、無線端末200はAck信号を、データ情報を送信した無線端末200に送信し、ステップS1110に進む。
ステップS1107は、受信信号による受信強度が検出されなかった場合であるので、無線端末200は自無線端末にデータ情報の送信要求があるか否かを判定する。データ情報の送信要求がない場合、または、開始ビーコンで受信した送信要求情報において自無線端末が送信順番ではない場合(ステップS1107:NO)には、無線端末200はステップS1110に進む。また、データ情報の送信要求がある場合であって、開始ビーコンで受信した送信要求情報において自無線端末が送信順番である場合(ステップS1107:YES)には、無線端末200はステップS1108に進む。さらに、データ情報の送信要求がある場合であって、開始ビーコンで受信した送信要求情報に含まれる無線端末200の送信がすべて完了している場合(ステップS1107:YES)にも、無線端末200はステップS1108に進む。
ステップS1108は、無線端末200に送信するべきデータ情報がある状態なので、無線端末200はデータ情報を送信し、ステップS1109に進む。この場合、開始ビーコンで受信した送信要求情報において自無線端末の送信順番が1番である場合には、コンテンションウィンドウ等に関する動作をスキップしてデータ情報を送信する。例えば、自無線端末の送信順番が1番である場合には、無線端末200は開始ビーコンの受信直後にデータ情報を送信する。
ステップS1109において、無線端末200は送信したデータ情報に対するAck信号を受信したか否かを判定する。無線端末200がAck信号を受信しない場合には、無線端末200は再送フラグをセットしてステップS1110に進み、Ack信号を受信した場合には再送フラグをクリアしてステップS1110に進む。一例として、再送フラグは1ビットで表現され、再送フラグを「1」にすることを、再送フラグをセットすると称し、再送フラグを「0」にすることを、再送フラグをクリアすると称する。再送フラグがセットされていると、ステップS1107で送信要求が発生する。
ステップS1110において、無線端末200は経過時間の確認を行う。すなわち、無線端末200は残りのデータフレーム期間内でデータ情報を送信し、送信したデータ情報に対するAckを受信できるか否かを確認する。データ情報を送信し、Ackを受信できる送信可能時間がない場合(ステップS1110:NO)には、無線端末200はステップS1111に進む。送信可能時間がある場合(ステップS1110:YES)には、無線端末200はデータ情報の送受信を行うためにステップS1103に進む。
ステップS1111において、無線端末200は経過時間の確認を行う。すなわち、無線端末200は所定時間が経過したか否かを確認する。所定時間が経過すると終了ビーコンを受信するべき時間になる。所定時間が経過した場合(ステップS1111:YES)には、無線端末200はステップS1112に進み、所定時間が経過していない場合(ステップS1111:NO)には、ステップS1111を繰り返す。
ステップS1112において、無線端末200は終了ビーコンが受信されるか否かを判定する。終了ビーコンが受信される場合(ステップS1112:YES)には、無線端末200はステップS1113に進む。終了ビーコンが受信されない場合(ステップS1112:NO)には、ステップS1114に進む。
ステップS1113において、無線端末200は終了ビーコンに含まれる送信要求情報を情報記録部250に記録する。次に無線端末200はステップS1114に進む。
ステップS1114において、無線端末200は次のチャネルでビーコンの送信端末となるか否かを判定する。無線端末200が次のチャネルでビーコンの送信端末となる場合(ステップS1114:YES)には、無線端末200はチャネル変更処理を実行する。無線端末200が次のチャネルでビーコンの送信端末とならない場合(ステップS1114:NO)には、無線端末200はステップS1115に進む。
ステップS1115において、無線端末200は開始ビーコンおよび終了ビーコンを所定の期間、受信できていないかを判定する。無線端末200が開始ビーコンおよび終了ビーコンを所定の期間以上、受信できていない場合(ステップS1115:YES)には、無線端末200はステップS1116に進む。無線端末200が開始ビーコンおよび終了ビーコンを受信できていない期間が所定の期間未満の場合(ステップS1115:NO)には、無線端末200はチャネル変更処理を実行する。
ステップS1116において、無線端末200は現在維持しているチャネルの変更処理を実行せずに、チャネルの延長処理を実行する。チャネルの延長処理の詳細は図14を用いて説明する。次に、無線端末200はステップS1101に進む。以上が処理Bの処理フローである。
(チャネル切り替え順序の概要)
次に図12を参照してチャネル切り替え順序の概要について説明する。
図12は情報記録部250に記録されたチャネル切り替え順番情報で示される切り替え順序を示す図であり、CH1→CH2→CH3といった順序で通信チャネルが切り替わる。通信チャネル数は、2チャネル以上であればいくつであっても良い。また、チャネル切り替え順序は、全無線端末で統一して規定されていればよく、チャネル切り替え順序は無線通信システムが任意に設定することができる。同様に、初期チャネルも全無線端末で統一して規定されていればよく、どの通信チャネルが初期チャネルになってもよい。チャネル切り替え順序は、チャネル切り替え順番情報として情報記録部250に記録されている。
なお、無線端末200は、規定された期間、連続して開始ビーコンおよび終了ビーコンを受信できなかった場合には、通信チャネルの切り替えを止めて、現在の通信チャネルを延長して、開始ビーコンまたは終了ビーコンの受信を待機する。規定された期間は無線通信システムによって任意の値に設定されることができる。また、通信チャネルの延長期間も無線通信システムによって任意の値に設定されることができる。
例えば、無線端末200がCH3、CH1、CH2の順番で、いずれの通信チャネルでも開始ビーコンおよび終了ビーコンを受信できなかった場合には、CH2の通信チャネル期間を延長し、開始ビーコンおよび終了ビーコンの受信を待機する。
(同期ずれが1通信チャネル以内の場合の同期補正方法)
次に、同期ずれが1通信チャネル以内の場合の同期補正方法について説明する。
各無線端末200は、タイマー部236を有しているので、開始ビーコンの送受信期間および終了ビーコンの送受信期間を含むあらかじめ規定されたチャネル切り替え周期である伝送フレーム長(Tms)で規則的に周波数チャネルを切り替えることができる。しかし、基本的には開始ビーコンおよび終了ビーコンを受信することで同期を取っている。
一方、干渉等により、無線端末200がビーコンを受信できない場合に加え、タイマー部236のクロック周波数のずれ等により、チャネル切り替えタイミングが早過ぎたり遅過ぎたりする場合が発生する可能性がある。
そこで、図13に、ビーコン受信による再同期の手順を示す。
図13のビーコン受信端末1301は、CH1からCH2へのチャネル切り替えタイミングが早過ぎた場合を示す図である。この場合には、ビーコン受信端末1301はチャネル切り替え先のCH2で正常なタイミングで開始ビーコンを受信し、ビーコン受信端末1301のタイマー部236を開始ビーコンの時間同期情報に設定することで他の無線端末200と再同期することできる。すなわち、開始ビーコンの最後に時間同期情報が含まれるので、ビーコン受信端末1301は開始ビーコンの受信完了とともにタイマー部236を開始ビーコンの時間同期情報に書き換える。その結果、開始ビーコンを送信した無線端末200と、開始ビーコンを受信した無線端末200との間で同期が取れる。
図13のビーコン受信端末1302は、CH1からCH2へのチャネル切り替えタイミングが遅すぎる場合を示す図である。この場合には、ビーコン受信端末1302は、チャネル切り替え先のCH2で正常なタイミングで終了ビーコンを受信できる。したがって、ビーコン受信端末1302は、終了ビーコンの最後に含まれるCH切り替え情報に基づいて、終了ビーコンの受信完了からチャネル切り替え猶予期間の経過後にCH3に切り替えて他の無線端末と再同期することができる。
図13に示すように、あらかじめ定められた規定の伝送フレームの長さであるチャネル切り替え周期である伝送フレーム長(Tms)以内のずれが発生した場合には、無線端末200は切り替わった先のチャネルで開始ビーコンまたは終了ビーコンを受信する。開始ビーコンまたは終了ビーコンを受信することで、無線端末200は、他の無線端末200と再同期することが可能である。
(同期ずれが1通信チャネル以上の場合の同期補正方法)
Tms以上の時間で同期がずれた場合には、無線端末200はビーコンが受信できるまで初期チャネルで待機することが考えられる。また、前述したように特定の通信チャネルでビーコンが受信できるまで待機することが考えられる。しかし、初期チャネルまたは特定の通信チャネルが電波干渉等によって使用できない場合には、同期が完全にはずれてしまい、通信遅延時間が増大してしまう。また、無線端末の誤動作やクロック周波数のずれ等が発生した場合にも、同期が完全にはずれてしまい、通信遅延時間が増大してしまう場合がある。
そこで、図11BのステップS1115において説明したように、所定の期間、開始ビーコンおよび終了ビーコンを受信できない無線端末200は、チャネル切り替え周期を延長して、再同期を図ることによって、通信遅延時間の増大を抑制することが可能になる。
本実施形態では、所定の期間、開始ビーコンおよび終了ビーコンを受信できない無線端末200は、同期が完全にはずれたと規定される。
なお、所定の期間の一例には、通信チャネルの切り替え周期である伝送フレーム長(Tms)×(1周期分の通信チャネルの総数)が挙げられる。図3および図12の場合には、所定の期間は(Tms)×3となる。すなわち、所定の期間は(CH1の期間+CH2の期間+CH3の期間)となる。例えば、CH1およびCH2が電波干渉を受けていても、同期ずれの発生量が(Tms)未満であれば、電波干渉を受けていないCH3の期間で開始ビーコンまたは終了ビーコンを受信し、再同期が可能となる。しかし、同期ずれの発生量が(Tms)以上であれば、CH3の期間まで待機しても、開始ビーコンまたは終了ビーコンを受信することができない。このような想定事情から、所定の期間の一例として、通信チャネルの切り替え周期である伝送フレーム長(Tms)×(1周期分の通信チャネルの総数)を設定することが可能である。
図14に、チャネル切り替え周期を延長する一例の模式図を示す。
図14(a)は、チャネル切り替え周期が延長されていない状態が示されている。すなわち、Tms間隔でチャネル切り替え順番情報にしたがって、通信チャネルがCH1→CH2→CH3と切り替わっている。
図14(b)は、チャネル切り替え周期が延長されている状態が示されている。(伝送フレーム長(Tms)×(1周期分の通信チャネルの総数-1)+2Xms)間隔で、チャネル切り替え順番情報にしたがって、通信チャネルがCH1→CH2→CH3と切り替わっている。
図14(c)は、延長されたチャネル切り替え周期に、延長されていないチャネル切り替え周期を有する通信チャネルが含まれる状態を模式的に示した図である。通信チャネルが1通信チャネルずれてしまった場合でも、2Xmsの期間内にCH1の開始ビーコンを受信できる状態が示されている。
図14(d)は、延長されたチャネル切り替え周期に、延長されていないチャネル切り替え周期を有する通信チャネルが含まれる状態を模式的に示した図の他の一例である。図14(d)によれば、2Xmsの期間が付加されていることによって、CH1の延長されたチャネル切り替え周期の間に、CH1からCH3の開始ビーコンまたは終了ビーコンを受信することが可能であることが分かる。
以上、説明したように、本実施例によれば.制御局を設置しなくても、各無線端末が自立して動作することができる。
また、全ての無線端末が規則的に周波数チャネルを変更して通信するため、同じ周波数チャネルで長い時間待機する必要がなく、通信開始前に全周波数帯域をキャリアセンスする必要もない。
さらに、使用する周波数帯が全無線端末で統一されているため、送信に使用した周波数帯域を相関によって推定する必要が無い。
さらに、特定の無線端末だけ干渉を受けた場合でも、自動的にチャネルを切り替えるため、チャネル切り替え先のビーコン受信により、他の無線端末と同期を取ることができる。
さらに、伝送フレームの最初と最後の2回のビーコンで同期を取るため、伝送フレーム長さ内のずれであれば、ビーコンで再同期できる。また、完全に同期が取れなくなった場合でも、チャネル切り替え周期を延長するので、他の無線端末との再同期が可能になる。
(変形例1)
図1では、無線通信ネットワーク内に全ての無線端末が入っているが、図15のように、直接通信できない無線端末が存在する場合がある。この場合には中継伝送を用いることで、無線通信ネットワークを組むことができる。
例えば、無線通信ネットワーク1501に属する無線端末11がビーコン送信端末の場合について説明する。無線端末11が送信した開始ビーコンおよび/または終了ビーコンを受信した無線端末14が、無線通信ネットワーク1501に属していない無線端末15~20に対して、開始ビーコンおよび/または終了ビーコン中継送信する。または、無線端末11が送信した開始ビーコンおよび/または終了ビーコンを受信した無線端末12または13が、無線端末15~17に中継送信し、無線端末17が無線端末18~20に開始ビーコンおよび/または終了ビーコンを中継送信する。
このようにして、中継送信を利用することで、無線通信ネットワーク1501、無線通信ネットワーク1502および無線通信ネットワーク1503で、1つの無線通信ネットワークを組むことができる。
(変形例2)
車内で無線通信ネットワークを組む場合に、車内の全ての無線端末に上述した通信制御方式を採用することができる。その結果、車外の他の無線通信システムからの干渉や、同一の車内に持ち込まれた他の無線端末および無線機器からの干渉に対応した無線通信ネットワークを構築することができる。また、車内に関わらず、工場等の無線機器にも同様に上述した通信制御方式を採用することができる。なお、無線通信方式は、CSMA/CA方式以外の方式を採用することもできる。
(変形例3)
実施例では、図3で示すように、無線通信システムに含まれるすべての無線端末200がビーコン送信順番情報に基づいて順番にビーコン送信端末になる例を主に説明した。しかし、無線通信システムに含まれる一部の無線端末200だけがビーコン送信端末になる場合もある。
例えば、車両の前部または後部にある無線端末200の電波は、車両の後部または前部にある無線端末200に届きにくい場合がある。このような場合に、開始ビーコンおよび終了ビーコンを受信できない状態が続くと、同期ずれが発生しやすくなり、通信遅延が発生する場合がある。
そこで、無線通信システムに含まれる無線端末200の中で、無線端末200間の距離が最も長い線上の中点からあらかじめ定められた範囲にある無線端末200だけをビーコン送信端末とすることができる。
無線通信システムは、前記あらかじめ定められた範囲を任意の値とすることができる。一例として、無線通信システムは前記あらかじめ定められた範囲を車両長の1/n(nは3以上の自然数)とすることができる。このように、車両の中央部にある無線端末200だけをビーコン送信端末にすることによって、ビーコン受信端末が開始ビーコンおよび終了ビーコンを受信しやすくし、通信遅延の発生を抑制する。また、車両の中央部にある無線端末200の中で最も通信状態が良好な無線端末200だけをビーコン送信端末にすることもできる。例えば、無線通信システムの中でCNR(Carrier to Noise Ratio)が最も大きい無線端末200だけをビーコン送信端末にすることもできる。
(変形例4)
図3における説明では、無線端末が動作していない場合には、無線通信システムが無線端末を新たに追加したり、削減したりすることは可能であると記述した。しかし、ビーコンを送信しない無線端末は、いつでも無線通信システムの無線ネットワーク内に追加することも可能である。無線ネットワークに新たな無線端末が追加される場合には、新たな無線端末のチャネル切り替え周期は((T×(無線通信システムで使用される通信チャネルの総数-1)+2X)ms)がチャネル切り替え周期情報として、情報記録部250に記録されている。したがって、初期チャネルを特定の通信チャネルに設定しなくとも、いずれかの通信チャネルが使用できる状態であれば、チャネル切り替え周期の間にビーコンを受信し、ビーコン送信端末と追加された無線端末とで同期を取ることが可能となる。ただし、チャネル切り替え順番情報は各無線端末で共有されていることが好ましい。
(変形例5)
開始ビーコンおよび終了ビーコンの送信タイミングは図3および図7等の説明によって特定されるタイミングに限定されるわけではない。また、無線端末間で同期をとるための時間同期情報を含むビーコンは、開始ビーコンおよび終了ビーコンの他にも送信することが可能である。例えば、開始ビーコンと終了ビーコンとの間に時間同期情報を含むビーコンを送信することが可能である。さらに、開始ビーコンの送信数はTmsの間に1本に限定されるわけではなく、任意の本数を送信することも可能である。同様に、終了ビーコンの送信数はTmsの間に1本に限定されるわけではなく、任意の本数を送信することも可能である。したがって、開始ビーコン送信猶予期間およびチャネル切り替え猶予期間は各ビーコンに対応してさまざまな値を取ることも可能である。
(変形例6)
延長された通信チャネルの切り替え周期は、前述した長さに限定されるわけではなく、前述した延長された通信チャネルの切り替え周期より短くとも長くとも可能である。例えば、1周期の間に切り替わる通信チャネルの数が非常に多い場合には、再同期を取るまでに無線端末200の間の通信が長期間にわたって中断される可能性がある。このような場合には、通信中断時間が所定の時間になったら前述した延長された通信チャネルの切り替え周期を中断し、次のチャネルを延長することも可能である。
以下に、本実施形態のビーコン受信端末および無線通信システムの特徴について記載する。
本発明の第1の態様に係るビーコン受信端末は、通信チャネルが切り替わるたびに複数の無線端末200の1つをあらかじめ定められた順番でビーコン送信端末とし、残りの無線端末200をビーコン受信端末とする無線通信システムのビーコン受信端末である。当該ビーコン受信端末は、開始ビーコンおよび終了ビーコンを受信し、データ情報を送受信する通信部210と、通信部210の通信チャネルの切り替え周期を計時するタイマー部236とを含む。さらに、当該ビーコン受信端末は、通信チャネルの切り替え周期に対応して通信部210の通信チャネルをあらかじめ定められた規則で切り替えるチャネル切り替え部234と、を含む。タイマー部236は、通信部210が開始ビーコンを受信すると、開始ビーコンに含まれる時間同期情報をタイマー部236に設定する。チャネル切り替え部234は、通信部210が終了ビーコンを受信し、通信チャネルを切り替えるタイミングを示すチャネル切り替え情報を受信すると、あらかじめ定められた期間の後に通信チャネルを切り替え、タイマー部236をリセットさせる。チャネル切り替え部234は、開始ビーコンおよび終了ビーコンを連続して所定の期間受信できない場合には、通信チャネルの切り替え周期を延長する。
上記構成によれば、ビーコンによる同期が完全にはずれた場合に、チャネル切り替え時間を制御することによって、電波干渉が長期間発生した場合等における通信遅延時間の増大を回避することが可能になる。
本発明の第2の態様に係るビーコン受信端末のチャネル切り替え部234は、延長された通信チャネルの切り替え周期の間に、開始ビーコンおよび終了ビーコンをさらに受信できない場合がある。この場合には、あらかじめ定められた規則にしたがった次の順番の通信チャネルの切り替え周期を延長することが好ましい。
上記構成によれば、延長された通信チャネルの切り替え周期の間に、ビーコンを受信できない場合であっても、通信チャネルを切り替えて通信チャネルの切り替え周期を延長するので、ビーコンを受信できる可能性を高めることが可能になる。
本発明の第3の態様に係るビーコン受信端末は、延長された通信チャネルの切り替え周期の間に、開始ビーコンまたは終了ビーコンを受信できた場合には、延長された通信チャネルの切り替え周期を中断する。そして、チャネル切り替え部234は通信チャネルの切り替え周期を用いて通信チャネルの切り替えを開始することが好ましい。
上記構成によれば、延長された通信チャネルの切り替え周期の間に、ビーコンを受信できた場合には、通信チャネルの切り替え周期を当初の切り替え周期に戻すので、ビーコン送信端末とビーコン受信端末との間で再同期を取ることが可能になる。
本発明の第4の態様に係るビーコン受信端末のあらかじめ定められた規則は、通信チャネルを周期的に変更する順番を定めた規則であって、所定の期間は、変更される通信チャネルの1周期に相当する期間であることが好ましい。
上記構成によれば、変更される通信チャネルの1周期に相当する期間の間に開始ビーコンおよび終了ビーコンを受信できなければ、同期が完全にはずれたと判断することが可能となる。すなわち、当初の通信チャネルの切り替え周期で通信チャネルを切り替えても再同期する可能性が小さく、通信遅延時間が増大することを検知することが可能となる。
本発明の第5の態様に係るビーコン受信端末において、あらかじめ定められた規則にしたがって、変更される通信チャネルの1周期には、同一の通信チャネルが含まれないことが好ましい。
上記構成によれば、電波干渉等により通信ができない通信チャネルを繰り返して使用することを避けることが可能になるので、通信遅延時間の増大を抑制することが可能になる。
本発明の第6の態様に係るビーコン受信端末の通信チャネルの切り替え周期は、あらかじめ定められた規則によって指定されるそれぞれの通信チャネルにおいて同一の時間長であることが好ましい。
上記構成によれば、簡易な構成で各通信チャネルの切り替え周期を決定することが可能になるので、ビーコン受信端末で複雑な処理を実行する必要がなくなり、同期が完全にはずれた場合にも、切り替え周期の延長期間を容易に決定することが可能になる。
本発明の第7の態様に係るビーコン受信端末の延長された通信チャネルの切り替え周期の時間長は、(通信チャネルの切り替え周期)×(変更される通信チャネルの1周期の通信チャネルの総数-1)+α×(開始ビーコン送信完了期間))であることが好ましい。開始ビーコン送信完了期間は通信チャネルの始まりから通信チャネルの開始ビーコンの送信が完了するまでの期間であり、αは(α×(開始ビーコン送信完了期間))が1通信チャネル長未満となる実数であることが好ましい。
上記構成によれば、同期が完全にはずれた場合にも、通信チャネルが1周期変化する間、特定の通信チャネルでビーコンを受信する機会を待機することが可能になるので、すべての通信チャネルが送受信不可能でない場合には、迅速に再同期を取ることが可能になる。
本発明の第8の態様に係るビーコン受信端末において、終了ビーコンの送信が開始されるタイミングから、終了ビーコンの送信が完了し、終了ビーコンを送信した通信チャネルの切り替えが完了するタイミングまでの時間長は、開始ビーコン送信完了期間に等しい。
上記構成によれば、延長された通信チャネルの切り替え周期において、開始ビーコン送信完了期間の2倍前後の期間を付加した場合には、最後の通信チャネルにおける開始ビーコンまたは終了ビーコンを受信するために延長する期間を低減することが可能になる。
本発明の第9の態様に係る無線通信システムは、第1の態様から第8の態様のいずれか一態様に記載のビーコン受信端末を含む。さらに、当該無線通信システムは、通信チャネルが切り替わるたびに複数の無線端末200の1つをあらかじめ定められた順番でビーコン送信端末とし、残りの無線端末200をビーコン受信端末とする無線通信システムのビーコン送信端末を含む。当該ビーコン送信端末は、開始ビーコンおよび終了ビーコンを生成するビーコン生成部231と、開始ビーコン、データ情報、および、終了ビーコンを送受信する通信部210と、通信部210の通信チャネルの切り替え周期を計時するタイマー部236とを含む。当該ビーコン送信端末は、通信チャネルの切り替え周期に対応して通信部の通信チャネルをあらかじめ定められた規則で切り替えるチャネル切り替え部234をさらに含む。ビーコン生成部231は、開始ビーコンに、タイマー部236が計時するタイマー情報を時間同期情報として含ませ、終了ビーコンに、通信チャネルを切り替えるタイミングを示すチャネル切り替え情報を含ませる。通信部210は、データ情報の送受信の開始前に開始ビーコンを送信し、データ情報の送受信の終了後に終了ビーコンを送信する。チャネル切り替え部234は、通信チャネルの切り替え周期の終了時点で、あらかじめ定められた規則に基づいて通信チャネルを切り替えるとともに、タイマー部をリセットする。
上記構成によれば、ビーコンによる同期が完全にはずれた場合に、チャネル切り替え時間を制御することによって、電波干渉が長期間発生した場合等における通信遅延時間の増大を回避することが可能になる。
本発明の第10の態様に係る無線通信システムのビーコン送信端末は、無線通信システムに含まれる無線端末200の中で、無線端末200の間の距離が最も長い線上の中点からあらかじめ定められた範囲にある無線端末200を対象に決定される。
上記構成によれば、通信環境が悪くなる可能性がある無線端末をビーコン送信端末としないことによって、本方式の無線通信システムを円滑に動作させることが可能になる。一例として、無線通信システムが車両等に搭載されている場合に、車両の中央部に配置された無線端末をビーコン送信端末とすることで、車両の前後部に配置された無線端末との通信の成功率を高めて無線通信システムを円滑に動作させることが可能になる。
以上、さまざまな実施例を説明したが、それらの実施例の一部または全部を組み合わせて新たな実施例とすることもできる。