本発明は、親機と複数の子機との間で無線によりデータの収集を行うデータ収集システムに係り、特に通信所要時間の短縮と混信の防止を両立するデータ収集システムに関する。
1台の親機と複数の子機との間でデータの収集を行うデータ収集システムでは、従来から親機によるポーリング制御によってデータの収集が行われており、子機には固有のアドレスが割り当てられ、親機からの制御データを受信すると、宛先アドレスが自らのアドレスと一致した場合にのみ、その制御データに基づいて処理を実行し、宛先アドレスが一致しなければ何の処理も実行しないように構成されていた。
このようなデータ収集システムを既存の設備に設置する場合に、機器間の通信を無線化すれば電源工事だけで通信線の工事が不要となるのでコストをかけずに設置することが可能である。
このような無線通信ネットワークシステムの従来例として、例えば特開2003−8626号公報(特許文献4)が知られている。
特開2003−8626号公報
しかしながら、親機の電波到達範囲内に全ての子機が存在する場合に、各子機が勝手に送信すると、各子機がキャリアをセンスして送信していても親機側では電波が混信して受信できないという隠れ端末問題が発生する。これを避けるために、親機が各子機に問い合わせて指定された子機だけが応答する方法もあるが、親機の電波到達範囲内に全ての子機を設置しなければならないので、通信範囲に制限ができてしまう。
また、少なくとも隣り合う子機とは無線通信ができるように設置して順番に隣の子機と通信していくことにより情報を伝達する方式もあるが、混信(隠れ端末問題)を避けるためには、ある瞬間に電波を送信できるのは1台に限られるので、システムとしての通信所要時間が大幅に増えてしまう。
さらに、無線で1:Nのマルチホップ通信を使うと、時間的に効率よく親機からの命令を子機に伝達することはできるが、子機の設置位置によって通信可能な子機の数が異なり、隠れ端末問題も残るので、子機のデータを収集する制御システムには適当ではなかった。
また、マルチホップを1:1に限定して図28に示すようなシステム構成及び図29に示すようなシーケンスで親機が主導権を持って制御すると、データの衝突はなくなるが、図29のシーケンス図から分かるように、何れかの子機にデータ要求をすると、それがデータ応答として戻ってくるまで、他の子機に対して通信することができず、通信時間が増大してしまう。
本発明の目的は、親機が複数の子機からデータを収集するデータ収集システムにおいて、通信所要時間の短縮と混信(隠れ端末問題)の防止とを両立させることにある。
上述した課題を解決するために、本発明のデータ収集システムは、親機が複数の子機から無線によりデータの収集を行うデータ収集システムであって、前記複数の子機は、第1の子機から終端の子機まで送信順序が予め設定されており、各子機は各子機は予め設定された複数のチャネルのうち転送方向によって予め設定されたチャネルを用いて前記送信順序が前後する子機とだけデータの送受信を行い、前記親機は、予め設定されたチャネルを用いて前記第1の子機とだけデータの送受信を行うことを特徴とする。
本発明に係るデータ収集システムでは、複数の子機に第1の子機から終端の子機まで送信順序を予め設定し、各子機は転送方向によって予め設定されたチャネルを用いて送信順序が前後する子機とだけデータの送受信を行い、親機は予め設定されたチャネルを用いて第1の子機とだけデータの送受信を行うようにしたので、混信(隠れ端末問題)を防止できるとともに、通信所要時間も大幅に短縮することができる。
以下、本発明に係わるデータ収集システムの実施例を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施例に係るデータ収集システムの構成を示すブロック図である。図1に示すように、本実施例のデータ収集システム1は、親機Pと複数の子機C1〜CMとから構成されている。
ここで、複数の子機C1〜CMは、第1の子機C1から終端の子機CMまで送信順序が予め設定されており、送信順序が前後する子機とだけデータの送受信を行う。例えば、第1の子機C1は親機Pと第2の子機C2とだけ通信し、中間に位置する子機Cnは送信順序が前後する子機Cn−1と子機Cn+1とだけ通信し、終端の子機CMは子機CM−1とだけ通信する。
親機Pは、第1の子機C1とだけデータの送受信を行っており、各子機C1〜CMで入手した情報を収集するために、親機Pが「データ要求」を子機C1に送信すると、この「データ要求」を各子機C1〜CMが転送する。そして「データ要求」を受信した各子機C1〜CMは「データ応答」を返信し、各子機の転送によって、この「データ応答」を親機Pが受信して各子機C1〜CMの情報を収集している。
このような構成の本実施例のデータ収集システム1では、システム起動時の手続きによって、使用するチャネルとその順序が決まり、親機Pと各子機C1〜CMはその内容を認識している。
また、上述した親機Pと子機C1〜CMとの間の通信で使用される通信方式としては、無線チャネルが複数あり、無線チャネルの切り替えが可能で、尚且つその時間が短いものであればよい。例えば、IEEE802.15.4である。さらに、無線通信は1:1に限定して行うようにする。
次に、本発明の実施例1を図面に基づいて説明する。図2は本実施例に係るデータ収集システムの構成を示すブロック図である。
図2に示すように、本実施例のデータ収集システム21は、親機Pと複数の子機、ここでは10台の子機C1〜C10とから構成され、親機Pが10台の子機C1〜C10で発生あるいは入手した情報を所定の時間T以内で定期的に収集するシステムである。
このシステムでは、無線通信として例えば、PHY層とMAC層にはIEEE802.15.4で規格化されたものを用いる。すなわち2.4GHZ帯で、5MHZ間隔で16チャネル、最大データ転送レート250kbps、電波到達範囲10m〜30mである。無線チャネルの切り替え時間は30ms以下とする。
また、Peer―to−Peerトポロジー(1対1接続)を用い、ビーコン機能は使用しない。受信確認のACK(Acknowledgement)は、本実施例では使用しない場合について説明するが、使用してもよい。
ここで、本実施例のデータ収集システム21で使用するパケットのフレームフォーマットを図3に示す。図3に示すように、本実施例のデータ収集システム21で使用されるパケットは、PHY層にMAC層が加えられた構成をしており、送信先アドレスDAと送信元アドレスSAにはそのパケットの送信先アドレスと送信元アドレスが記録されている。そして、データを最初に送信した送信元アドレスはDATA部のSAOに記録されている。DATA部には、コマンドである「データ要求」や「データ応答」などを記録するためのコマンドタイプ領域COMや、データを最初に送信(作成)した送信元アドレスを記録するためのSAOなどの領域が含まれている。
パケットの転送時間(送信後の待機時間、受信後の待機時間を含む)は、親機と子機で同一とし、各無線チャネルともにノイズ減がなく、再送なしに通信できるものとする。
親機Pと各子機C1〜C10は、それぞれ固有のアドレスを保持しており、それぞれに備えられた5ビットのディップスイッチにより手動で設定されている。例えば、親機のアドレスは10000(2進)、子機C1のアドレスは00001(2進)、子機C2は00010(2進)、親機から一番遠い終端の子機C10のアドレスは01010(2進)と設定されている。
したがって、各子機C1〜C10は、ディップスイッチの値から自分が親機から見て何番目の子機であるかを認識することができ、また自分の両隣の子機のアドレスについても認識することができる。
また、使用されるチャネルとしては、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20の10種類とし、次の順序で使用される。
CH(0)=11
CH(i)=CH(1)、CH(2)、CH(3)、CH(4)、CH(5)、CH(6)、CH(7)、CH(8)、CH(9) (i=1〜9)
=12、13、14、15、16、17、18、19、20
各子機C1〜C10は、それぞれ通信する相手とその通信に使用する無線チャネルとが予め決められており、同じ無線チャネルは使用しない。例えば、親機Pと子機C1はチャネルCH(0)すなわちチャネル11で送受信し、子機C1と子機C2はCH(1)すなわちチャネル12で送受信する。要するに、子機Cnは子機Cn−1とはチャネルCH(n−1)で送受信し、子機Cn+1とはチャネルCH(n)で送受信する。
次に、本実施例のデータ収集システム21によるデータ収集処理を図4のシーケンス図、及び図5、図6のフローチャートに基づいて説明する。図4は親機Pと子機C1〜C10との間で行われるデータ収集処理のシーケンス図、図5は親機Pにおけるデータ収集処理のフローチャート、図6は子機C1〜C10におけるデータ収集処理のフローチャートである。
まず、親機Pはデータ収集処理を実施するための起動処理を実施してiを0に設定し(S501)、データ収集処理を実施するために必要となるその他の処理を実施する(S502)。
一方、各子機C1〜C10も起動処理を実施してiを予め設定されている自からの番号Nに設定し(S601)、チャネルCH(n−1)で受信待ちをする(S602)。
次に、親機Pは各子機C1〜C10で発生あるいは入手した情報、すなわちデータを集めることを目的として、各子機C1〜C10に対してデータを親機Pに送るように「データ要求」を1番目の子機C1に予め設定されたチャネルCH(0)で送信する(S100−1、S503)。
子機C1はチャネルCH(0)で受信待ちをしているので、自アドレス宛の「データ要求」を受信すると(S603)、そのパケットを取り込んで受信したデータ要求が全子機へのデータ要求であるか否かを判断し(S604)、全子機に対するデータ要求でない場合には別処理を行なって(S605)、ステップS602に戻って上述した処理を繰り返し行う。
また、全子機へのデータ要求である場合には、自らが終端の子機C10でなければ(S606)、送信元アドレスSAを自アドレスに書き換え(S607)、送信先アドレスDAを終端側の子機Cn+1、すなわち子機C2のアドレスに書き換えて(S608)、子機2へデータ要求をチャネルCH(n)、すなわちCH(1)で転送する(S100−2、S609)。
データ要求を転送した子機C1は、センサなどで検知した情報、すなわち自からのデータを用意し(S610)、「データ応答」としてチャネルCH(n−1)、子機C1ではCH(0)で親機Pへ送信する(S101−1、S611)。
一方、親機Pはデータ要求を送信した後、ウエイトしてから(S504)、iをi+1に設定して(S505)、チャネルCH(0)で受信待ちをする(S506)。
そして、子機C1からチャネルCH(0)でパケットを受信すると、宛先が自アドレスであるか否かを判定し(S507)、自アドレスでない場合にはステップS506に戻って受信待ちを続け、宛先が自アドレスである場合には受信した信号のコマンドタイプCOMが「データ応答」であるか否かを判断する(S508)。
そして、コマンドタイプCOMが「データ応答」でない場合には別処理を行なって(S509)、ステップS502に戻り、「データ応答」である場合には受信データの処理を行ない(S510)、受信した「データ応答」が終端の子機C10からのデータ応答であるか否かを判断する(S511)。
そして、終端の子機C10からのデータ応答でない場合にはステップS504に戻って他の子機からの「データ応答」の受信を引き続き行う。
一方、ステップS611でデータ応答を親機Pに送信した子機C1は、iをi+1に設定して(S612)、チャネルCH(1)で受信待ちをする(S613)。
そして、子機C2から「データ応答」のパケットを受信すると(S102−1)、宛先が自アドレスであるか否かを判断し(S614)、自アドレス宛の信号でない場合にはステップS613に戻って引き続きチャネルCH(1)で受信待ちの状態となり、自アドレス宛の「データ応答」である場合には受信した「データ応答」のパケットを親機PへチャネルCH(0)で送信する(S102−2、S615)。
このとき、子機C1では送信元アドレスSAを自アドレスに書き換え、送信先アドレスDAを親機Pのアドレスに書き換えて送信している。ただし、データの中身については書き換えないので、データの中身は子機C2のデータが記録されている。
こうして子機C2から送られてきた「データ応答」を親機Pへ送信すると、子機C1はiが最大の子機数M、ここでは10になったか否かを判断し(S616)、iが10になっていない場合にはステップS612に戻って受信待ちを行ない、iが10になっている場合にはステップS602に戻る。
このように上述した子機C1で行なわれた処理と同様の処理が、各子機C2〜C9で実行されて終端の子機C10へデータ要求が送信されると(S100−10、S606)、子機C10はウエイトしてから(S617)、センサなどで検知した情報、すなわち自からのデータを用意する(S618)。そして、用意したデータを「データ応答」としてチャネルCH(9)で子機C9へ送信したら(S110−1、S619)、ステップS602に戻って上述した処理を繰り返し行う。
こうして子機C10で「データ応答」のパケットが送信されると、上述した子機C1で行なわれた処理と同様の処理が、各子機C2〜C9で実行されて終端の子機C10の「データ応答」のパケットが親機Pへと転送される。
そして、親機Pでは、ステップS511において受信した「データ応答」のパケットが終端の子機C10からのパケット(S110−10)であると判断すると、今回のデータ収集処理を終了してステップS502に戻って新たなデータの収集を行うために上述した処理を繰り返し行う。
このように、本実施例のデータ収集システム21では、複数の子機C1〜C10に第1の子機C1から終端の子機C10まで送信順序を予め設定し、各子機はそれぞれ転送方向によって予め設定されたチャネルを用いて送信順序が前後する子機とだけデータの送受信を行い、親機Pは予め設定されたチャネルを用いて第1の子機C1とだけデータの送受信を行うようにしたので、データ要求の転送後、子機CnはチャネルCH(n−1)での送信と、チャネルCH(n)での受信を繰り返すだけのシンプルな手順を実行すればよく、子機の数だけチャネルを使えば確実に混信(隠れ端末問題)を防止できるとともに、通信所要時間を大幅に短縮することができる。
次に、本発明の実施例2を図面に基づいて説明する。ただし、本実施例に係るデータ収集システムの構成は図2で示した実施例1と同一なので説明は省略する。
本実施例のシステムでは、実施例1と同様にして、無線通信として例えば、PHY層とMAC層にはIEEE802.15.4で規格化されたものを用いる。この規格は前述の通り2.4GHZ帯を用いるものであり、無線LANと帯域が重なっている。しかし、本実施例の通信は、間欠的なデータ伝送であり、またPHY層のパケット長が最大114Byteと短いので混信するおそれは非常に少ない。
また、実施例1と同様にして、Peer―to−Peerトポロジー(1対1接続)を用い、ビーコン機能は使用しないが、データ受信後には受信確認のACKを返信する。
さらに、本実施例のデータ収集システムで使用するパケットのフレームフォーマットは図3で示す実施例1と同一である。使用されるチャネルとしては、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21の11種類とし、次の順序で使用される。
CH(0)=11
CH(i)=CH(1)、CH(2)、CH(3)、CH(4)、CH(5)、CH(6)、CH(7)、CH(8)、CH(9)、CH(10)、(i=1〜10)
=12、13、14、15、16、17、18、19、20、21
次に、本実施例のデータ収集システムによるデータ収集処理を図7のシーケンス図、及び図8、図9のフローチャートに基づいて説明する。図7は親機Pと子機C1〜C10との間で行われるデータ収集処理のシーケンス図、図8は親機Pにおけるデータ収集処理のフローチャート、図9は子機C1〜C10におけるデータ収集処理のフローチャートである。
まず、親機はデータ収集処理を実施するための起動処理を実施してiを0に設定し(S801)、データ収集処理を実施するために必要となるその他の処理を実施する(S802)。
一方、各子機C1〜C10も起動処理を実施してiを予め設定されている自からの番号Nに設定し(S901)、チャネルCH(0)で受信待ちをする(S902)。
次に、親機Pは各子機で発生あるいは入手した情報、すなわちデータを集めることを目的として、各子機に対してデータを親機Pに送るように「データ要求」を1番目の子機C1に予め設定されたチャネルCH(0)で送信する(S100−1、S803)。
子機C1はチャネルCH(0)で受信待ちをしているので、自アドレス宛の「データ要求」を受信すると(S903)、そのパケットを取り込んで受信確認ACKを親機Pに送信する(S904)。
親機Pでは受信確認ACKを受信したか否かを判定し(S804)、受信できなかった場合には再送するか否かを判定し(S805)、再送しない場合にはステップS802に戻って上述した処理を繰り返し行い、再送する場合にはウエイトしてから(S806)、ステップS803に戻ってデータ要求を再送する。
一方、子機C1では受信したデータ要求が全子機へのデータ要求であるか否かを判断し(S905)、全子機に対するデータ要求でない場合には別処理を行なって(S906)、ステップS902に戻って上述した処理を繰り返し行う。
また、全子機へのデータ要求である場合には、自らが終端の子機C10でなければ(S907)、送信元アドレスSAを自アドレスに書き換え(S908)、送信先アドレスDAを終端側の子機、すなわち子機C2のアドレスに書き換えて(S909)、子機C2へデータ要求をチャネルCH(0)で転送する(S100−2、図9:S910)。
データ要求を転送した子機C1は、子機C2からの受信確認ACKを受信したか否かを判定し(S911)、受信したときには子機C1はセンサなどで検知した情報、すなわち自からのデータを用意し(S912)、予め設定されているチャネルCH(1)で「データ応答」として親機Pへ送信する(S101−1、S913)。
一方、親機PはステップS804で子機C1からの受信確認ACKを受信すると、ウエイトしてから(S807)、iをi+1に設定し(S808)、チャネルをチャネルCH(0)からチャネルCH(1)に切り替えて受信待ちをしている(S809)。
そして、子機C1からチャネルCH(1)で信号を受信すると、宛先が自アドレスであるか否かを判定し(S810)、自アドレスでない場合にはステップS809に戻って受信待ちを続け、宛先が自アドレスである場合には受信確認ACKを子機C1に送信し(S811)、受信したパケットのコマンドタイプCOMが「データ応答」であるか否かを判断する(S812)。
そして、コマンドタイプCOMが「データ応答」でない場合には別処理を行なって(S813)ステップS802に戻り、「データ応答」である場合には受信データの処理を行ない(S814)、受信した「データ応答」が終端の子機C10からの「データ応答」であるか否かを判断する(S815)。
そして、終端の子機C10からのデータ応答でない場合にはステップS807に戻って他の子機からのデータ応答の受信を引き続き行う。
一方、ステップS913で「データ応答」を親機Pに送信した子機C1は、親機Pからの受信確認ACKを受信したか否かを判断し(S914)、受信していないときには再送するか否かを判断する(S915)。そして、再送する場合にはウエイトしてから(S916)、ステップS913に戻って「データ応答」を再送する。
また、ステップS914で親機Pからの受信確認ACKを受信した場合と、ステップS915で「データ応答」を再送しない場合にはiをi+1に設定して(S917)、チャネルをチャネルCH(2)に切り替えて受信待ちをする(S918)。
そして、子機C2から「データ応答」のパケットを受信すると(S102−1)、宛先が自アドレスであるか否かを判断し(S919)、自アドレス宛のパケットでない場合にはステップS918に戻って引き続きチャネルCH(2)で受信待ちの状態となり、自アドレス宛の「データ応答」である場合には受信確認ACKを子機C2に送信し(S920)、受信した「データ応答」のパケットを親機PへチャネルCH(2)で送信する(S102−2、S921)。
このとき、子機C1では送信元アドレスSAを自アドレスに書き換え、送信先アドレスDAを親機Pのアドレスに書き換えて送信している。ただし、データの中身については書き換えないので、データの中身は子機C2のデータが記録されている。
こうして子機C2から送られてきた「データ応答」を親機Pへ送信すると、子機C1は親機Pからの受信確認ACKを受信したか否かを判断し(S922)、受信していない場合には再送するか否かを判断する(S923)。
そして、再送する場合にはウエイトしてから(S924)、ステップS921に戻って再送する。例えば、図7の領域Aの子機C2では、チャネルCH(5)で「データ応答」のパケットを送信したが(S105−4−1)、子機C1で受信されずに子機C1からの受信確認ACKを受信することができなかったので、再送している(S105−4−2)。同様に領域Aでは子機C3〜C7も再送している(S106−4−2〜S110−4−2)。
こうしてステップS922で受信確認ACKを受信するか、ステップS923で再送しない場合には、iが最大の子機数M、ここでは10になったか否かを判断し(S925)、iが10になっていない場合にはステップS917に戻って次のチャネルでの受信待ちを行ない、iが10になっている場合にはステップS902に戻って上述した処理を繰り返し行う。
また、ステップS911において送信した「データ要求」の受信確認ACKを受信しなかったときには再送するか否かを判断して(S926)、再送する場合にはウエイトしてから(S927)、ステップS910に戻って「データ要求」を再送する。
また、再送しない場合には子機C2がチャネルCH(0)で「無応答」であるというデータを用意し(S928)、子機C1は親機PへチャネルCH(1)で「無応答応答」のパケットを送信する(S929)。
そして、子機C1は受信確認ACKを受信したか否かを判断し(S930)、受信しなかったときには再送するか否かを判断して(S931)、再送する場合にはウエイトしてから(S932)、ステップS929に戻って「無応答応答」のパケットを再送する。
また、ステップS930で受信確認ACKを受信した場合とステップS931で再送しないと判断した場合には、ステップS902に戻って上述した処理を繰り返し行う。
このように上述した子機C1で行なわれた処理と同様の処理が、各子機C2〜C9で実行されて終端の子機C10へ「データ要求」が送信されると(S100−10、S907)、子機C10はウエイトしてから(S933)、センサなどで検知した情報、すなわち自からのデータを用意し(S934)、予め設定されたチャネルCH(10)で「データ応答」のパケットを子機C9へ送信する(S110−1、S935)。
そして、子機C10は受信確認ACKを受信したか否かを判断し(S936)、受信しなかったときには再送するか否かを判断して(S937)、再送する場合にはウエイトしてから(S938)、ステップS935に戻って「データ応答」のパケットを再送する。
また、ステップS936で受信確認を受信した場合とステップS937で再送しないと判断した場合には、ステップS902に戻って上述した処理を繰り返し行う。
こうして子機C10で「データ応答」のパケットが送信されると、上述した子機C1で行なわれた処理と同様の処理が、各子機C2〜C9で実行されて終端の子機C10の「データ応答」のパケットが親機Pへと転送される。
そして、親機Pでは、ステップS815において受信した「データ応答」のパケットが終端の子機C10からのパケット(S110−10)であると判断すると、今回のデータ収集処理を終了してステップS802に戻って新たなデータの収集を行うために上述した処理を繰り返し行う。
このように、本実施例のデータ収集システムでは、各子機C1〜C10が「データ要求」の受信を基点に無線チャネルを時分割に切り替えるので、ある時間で使用する無線チャネルを多重化することができ、システムとしての単位時間あたりのデータ量を増やすことができる。これにより、システムとしての通信所要時間の短縮も可能となる。
さらに、無線通信を1:1に限定し、予め決められた相手と、予め決められたチャネルで通信することにより、ある時間にあるチャネルで送信する子機は1台に限定することができるので、混信(隠れ端末問題)を防止することができる。
また、受信確認としてACKを送受信することにより、通信の信頼性を向上させることができる。また、ACKの受信後に次の動作(送信または受信待ち)に移るようにすれば、システム全体としてのデータ収集時間を短縮することができる。
以下、本発明の実施例3を図面に基づいて説明する。ただし、本実施例に係るデータ収集システムの構成は図2で示した実施例1と同一なので説明は省略する。
本実施例のシステムでは、無線として例えば、2.4GHz帯で、直接拡散のoffset−QPSK変調(2Mchips/sec)、5MHz間隔で16チャネル、最大データ転送レート250kbps、電波到達範囲10m〜30mを使用するものとする。無線チャネルの切り替え時間は30ms以下とする。また、ネットワーク構成としては、親機Pは子機C1とだけ、子機C1以外の子機は子機同士で1対1の通信を行うものとする。IEEE802.15.4と類似しているが、パケットのフレームフォーマットやシーケンス(通信手順)を単純化して考える。ビーコンやハンドシェーク、データを受信したことを知らせる受信確認ACKもここでは使用しない。
ここで、本実施例のデータ収集システムで使用するパケットのフレームフォーマットを図10に示す。図10に示すように、本実施例のデータ収集システムで使用されるパケットのフォーマットでは、PHY層にMAC層を加え、DATA部にコマンドとしての「データ要求」や「データ応答」などを区別するためのコマンドタイプ領域COMが含まれている。また、本実施例では送信元アドレスSAは、各子機で書き換えない手順で通信し、そのデータを最初に送信した送信元アドレスが最後まで残るようにする。これは、無線マルチホップを1:1に限定している、つまり送受信できる子機を1台ずつに限定しているので、転送の際に送信元アドレスSAを書き換える必要がないからである。これにより、そのデータを最初に送信した送信元アドレスを記載するSAOを省略することが可能となっている。
次に、本実施例のデータ収集システムで使用するチャネルは、11、12、
15、18、21、24の6種類とし、次の順序で使う。
CH(0)=11
CH(i)=CH(1)、CH(2)、CH(3)、CH(4)、CH(5)、CH(6)、CH(7)、CH(8)、CH(9)、CH(10) (i=1〜10)
=12、15、18、21、24、12、15、18、21、24
次に、本実施例のデータ収集システムによるデータ収集処理を図11のシーケンス図、及び図12、図13のフローチャートに基づいて説明する。図11は親機Pと子機C1〜C10との間で行われるデータ収集処理のシーケンス図、図12は親機Pにおけるデータ収集処理のフローチャート、図13は子機におけるデータ収集処理のフローチャートである。
まず、親機Pはデータ収集処理を実施するための起動処理を実施してiを0に設定し、jを0に設定して(S1201)データ収集処理を実施するために必要となるその他の処理を実施する(S1202)。
一方、各子機C1〜C10も起動処理を実施してiを予め設定されている自からの番号Nに設定してjを1に設定し(S1301)、チャネルCH(0)で受信待ちをする(S1302)。
次に、親機Pは各子機で発生あるいは入手した情報、すなわちデータを集めることを目的として、各子機に対してデータを親機Pに送るように「データ要求」を1番目の子機C1に予め設定されているチャネルCH(0)で送信する(S100−1、S1203)。このとき送信される「データ要求」のパケットのフレームフォーマットを図14に示す。
子機C1はチャネルCH(0)で受信待ちをしているので、自アドレス宛の「データ要求」を受信すると(S1303)、そのパケットを取り込んで受信した「データ要求」が全子機へのデータ要求であるか否かを判断し(S1304)、全子機に対するデータ要求でない場合には別処理を行なって(S1305)、ステップS1302に戻って上述した処理を繰り返し行う。
また、全子機への「データ要求」である場合には、タイマを初期化してt=0として(S1306)自らが終端の子機C10でなければ(S1307)、送信先アドレスDAを終端側の子機、すなわち子機C2のアドレスに書き換えて(S1308)タイマが時間t=tr1+tcd+ts0(tr1:受信後の待機時間、tcd:チャネル切り替えダミー時間、ts0:送信準備時間)になったら(S1309)、子機C2へ図15に示すようなデータ要求のパケットをチャネルCH(0)で転送する(S100−2、S1310)。ただし、チャネル切り替えダミー時間tcdとは、実際のチャネルは変更しないものの、他の子機とのタイミングを合わせることを目的として設けた時間であり、この時間内に受信と送信を切り替えている。送受信の切り替え時間が短い場合には、tcdの時間内でtr1を延長してもよい。
そして、子機C2へ「データ要求」を送信したら送信後の待機時間ts1が経過するまで、すなわちタイマが時間T1=tr1+tcd+ts0+ts1になるまでの間だけチャネルCH(0)で待機し(S1311)、その後にチャネル切り替え時間tc後にチャネルをチャネルCH(i)、子機C1ではチャネルCH(1)に切り替えて(S1312)センサなどで検知した情報、すなわち自からのデータを用意する(S1313)。
そして、送信準備時間ts0が経過したら、すなわちタイマが時間t=T1+tc+ts0を経過したら(S1314)、予め設定されたチャネルCH(1)で「データ応答」として親機Pへ送信する(S101−1、S1315)。このとき送信される「データ応答」のパケットのフレームフォーマットを図16に示す。
一方、親機PはステップS1203で「データ要求」を送信したら、タイマを始動させ(S1204)、タイマが時間T1を経過したら(S1205)、iをi+1に設定して(S1206)チャネルをチャネルCH(0)からチャネルCH(1)に切り替えて受信待ちをする(S1207)。
そして、子機C1からチャネルCH(1)で信号を受信すると、宛先が自アドレスであるか否かを判定し(S1208)、自アドレスでない場合にはステップS1207に戻って受信待ちを続け、自アドレスの場合には受信した信号のコマンドタイプCOMが「データ応答」であるか否かを判断する(S1209)。
そして、コマンドタイプCOMが「データ応答」でない場合には別処理を行なって(S1210)ステップS1202に戻り、「データ応答」である場合には受信データの処理を行なう(S1211)。
一方、ステップS1315で「データ応答」を親機Pに送信した子機C1は、タイマがT2=T1+tc+ts0+ts1(ts1:送信後の待機時間)を経過したら(S1316)、iをi+1に設定し、jをj+1に設定して(S1317)チャネルをチャネルCH(2)に切り替えて受信待ちをする(S1318)。
そして、子機C2から図17に示すような「データ応答」のパケットを受信すると(S102−1)、宛先が自アドレスであるか否かを判断し(S1319)、自アドレス宛の信号でない場合にはステップS1318に戻って引き続きチャネルCH(2)で受信待ちの状態となる。一方、自アドレス宛の「データ応答」である場合には、タイマが時間t=T1+tc+ts0+j×(ts1+tc+tr0+tr1+tcd+ts0)、(tr0:受信準備時間)を経過したら(S1320)、受信した「データ応答」のパケットを親機PへチャネルCH(2)で送信する(S102−2、S1321)。
このとき、子機C1では図18に示すようにパケットの送信先アドレスDAを親機Pのアドレスに書き換えて送信している。ただし、データの中身については書き換えないので、データの中身は子機C2のデータが記録されている。
こうして子機C2から送られてきた「データ応答」を親機Pへ送信すると、今度はタイマが時間t=T2+j×(tc+tr0+tr1+tcd+ts0+ts1)を経過したら(S1322)、iが最大の子機数M、ここでは10になったか否かを判断し(S1323)、iが10になっていない場合にはステップS1317に戻って次のチャネルでの受信待ちを行ない、iが10になっている場合にはステップS1302に戻って上述した処理を繰り返し行う。
一方、ステップS1211で受信した「データ応答」のデータ処理を行なった親機Pは、受信した「データ応答」が終端の子機C10からのデータ応答であるか否かを判断し(S1212)、終端の子機C10からのデータ応答でない場合にはタイマが時間t=T1+tc+ts0+ts1+j×(tc+ts0+ts1+tcd+tr0+tr1)を経過してから(S1213)、jをj+1に設定して(S1214)ステップS1206に戻って他の子機からの「データ応答」の受信を引き続き行う。
このように上述した子機C1で行なわれた処理と同様の処理が、各子機C2〜C9で実行されて終端の子機C10へ「データ要求」が送信されると(S100−10、図13:S1307)、子機C10はセンサなどで検知した情報、すなわち自からのデータを用意し(S1324)、送信準備時間ts0が経過したら、すなわちタイマが時間t=T1+tc+ts0を経過したら(S1325)、予め設定されたチャネルCH(10)で「データ応答」のパケットを子機C9へ送信して(S110−1、S1326)ステップS1302に戻り、上述した処理を繰り返し行う。
こうして子機C10で「データ応答」のパケットが送信されると、上述した子機C1で行なわれた処理と同様の処理が、各子機C2〜C9で実行されて終端の子機C10の「データ応答」のパケットが親機Pへと転送される。
そして、親機Pでは、ステップS1212において受信した「データ応答」のパケットが終端の子機C10からのパケット(S110−10)であると判断すると、今回のデータ収集処理を終了してステップS1202に戻って新たなデータの収集を行うために上述した処理を繰り返し行う。
ただし、上述した図11に示すシーケンス図では、送信準備時間ts0と受信準備時間tr0とは等しくなっており、また送信後の待機時間ts1と受信後の待機時間tr1も等しく、さらにチャネル切り替え時間tcとチャネル切り替えダミー時間tcdも等しくなっている。データが長くて複数のパケットになる場合や、受信確認のためのACKを用いる場合には、送信後の待機時間ts1や受信後の待機時間tr1内において処理する。また、再送を行う場合にも送信後の待機時間ts1内で終了させる。
ここで、上述した本実施例のデータ収集システムによる通信時間の具体例を説明する。1秒間に10台のデータ(平均100Byte、最大500Byte)を、図10のフレームフォーマットでDATA部以外が11Byte、チャネル切り替え時間が30msの場合を考える。
まず、1つの送信または受信に費やすことのできる時間を計算すると、1s÷(10台+予備1)=90.9msと計算することができる。ここからチャネル切り替え時間30msを引けば、90.9ms−30ms=60.9msが、あるチャネルでの固定時間(tr0+tr1+tcd+ts0+ts1)となる。
「データ要求」が11Byte+1Byte=12Byteのパケットになる場合、「データ要求」の送信にかかる時間は、12Byte×8Bit÷250kbps=0.38msとなる。
また、「データ応答」のパケットのDATA部が3Byte+100Byteで、全体では11Byte+3Byte+100Byte=114Byteのパケットになる場合、「データ応答」の送信にかかる時間は、114Byte×8Bit÷250kbps=3.65msとなる。さらに、この時間に加えて受信してからパケットを解析して次の動作準備をするのに要する時間が5msかかるので、転送するのに要する時間は3.65ms+5ms+3.65ms=12.3msとなり、あるチャネルでの固定時間60.9msに比べて十分に小さい。
したがって、本実施例ではシステム的には非同期通信であるが、各子機のタイマを起動する「データ要求」の転送時間は、それ以外の時間に比べると十分に小さい。さらに、一定時間ごとに予め決められた動作をすること、受信しない場合(応答なしの場合)は一定時間(tr0+tr1+tcd+ts0)後にそれを無視して次の動作をすることなどを考慮すると、図11に示したシーケンスで処理を実行することが可能となる。
次に、データが1回分の送信パケットに入らない場合について説明する。このような場合にはデータを分割し、分割したデータを連続して送信する。例えば、パケットが連続することを示すビットフィールドをパケットのフレームフォーマット内に用意しておくことで可能となる。
子機Cnのデータが最大500Byteの場合に、5回に分けて連続して送信する。「データ応答」の1回あたりのパケット長は11Byte+3Byte+500Byte/5=114Byteとなる。この送信時間は、114Byte×8Bit÷250kbps=3.65msとなり、「データ応答」を5回連続して送信したとしても3.65ms×5回=18.25msであり、あるチャネルでの固定時間(tr0+tr1+tcd+ts0+ts1)=60.9msの中に十分に収めることができる。
上述したように、本実施例のデータ収集システムでは、親機Pが「データ要求」の送信を基点にタイマを起動し、各子機C1〜C10が「データ要求」の受信を基点にタイマをそれぞれ起動させ、あるチャネルでの固定時間ごとに動作をすることにより、受信確認ACKなしでも通信することができる。
また、子機Cnは、「データ要求」を受信するとタイマを起動し、ここを基点に予め決められた時間に予め決められた動作をするように設定されている。また、「データ要求」の転送を先に実行してから自からの「データ応答」を送信するように設定されており、さらにタイマを起動する「データ要求」の転送時間はシステム全体からすると十分に短い。これらのことを考慮すると、各子機Cnでのタイミングの差は「データ要求」の転送時間だけであり、親機Pと各子機Cnをほぼ同期させて動作させることができる。
さらに、親機Pと各子機Cnがほぼ同期して、時分割でチャネルを切り替えながら動作しているので、必要な無線のチャネル数は、M(子機の台数)/2+1だけでよい。IEEE802.15.4ではチャネルを16個使用できるので、子機の台数は応答時間が許せば30台まで接続可能である。
逆に、子機が10台の場合には、必要なチャネル数は6でよいので、予め不具合のあるチャネルを使用しないで通信することも可能となる。
また、1回の通信を1ステップとすると、本実施例では、「2×M(子機の台数)+1」のステップ数が必要となり、これにチャネルの変更時間(tc)×Mが本実施例では30ms×10台=300msだけ加わる。
ところが、無線で1:1の通信を行って時分割多重通信をしない従来の図28の構成図及び図29のシーケンス図で示すシステムの場合には、子機が10台あると110ステップ必要であった。これに対して、本実施例では2×10+1=21ステップなので大幅に短縮することができる。また、無線チャネルの変更時間tc×台数(本実施例では300ms)の時間増は、ステップ数の増加分に比べれば僅かなものである。
また、本実施例のデータ収集システムでは、転送の際に送信元アドレスSAを書き換えないので、そのデータを最初に送信した送信元アドレスが最後まで残り、実際の送信元アドレスを記載するSAOを省略することができる。これによって、パケット長をその分だけ短くすることができ、システムとしてのデータ収集時間を短縮することができる。
次に、本発明の実施例4を説明する。ただし、本実施例に係るデータ収集システムの構成及び親機と子機で実施されるデータ収集処理は実施例3と同様なので詳しい説明は省略する。
本実施例のデータ収集システムでは、チャネルの固定時間を、送信順序が後の子機になるにしたがって、及びチャネルの順序が後になるにしたがって長くなるように設定している。
上述した実施例3では、各子機C1〜C10は「データ要求」の受信を基点にタイマを起動し、決められた時間に決められた動作を行うことによって、各子機C1〜C10が同期を取るようにしていた。ところが、各子機が送受信するパケットの通信時間分だけは同期がずれていた。また、子機の状態によっては受信処理動作が遅れる場合もあった。
したがって、実施例3では終端側の子機になるにしたがって、親機との同期のずれは大きくなり、送受信できなくなる可能性が高くなっていた。また、タイマが起動してから時間が経った場合にも起動してから時間が経つにしたがって、親機との同期のずれは大きくなり、送受信できなくなる可能性が高くなっていた。
そこで、本実施例では、各チャネルの固定時間の間隔を終端側の子機になるにしたがって大きくなるようにし、さらにタイマが起動してから時間が経った場合も時間が経つにしたがって大きくなるようにしている。
上述した実施例3では、図11に示すようにT3−T2、T4−T3、・・・、T11−T10の間隔はすべて等しいが、本実施例では図19に示すように受信後の待機時間tr1と送信後の待機時間ts1を、終端側の子機になるにしたがって、さらにタイマが起動してから時間が経つにしたがって、時間taずつ長くなるようにしている。これにより、本実施例ではT3'−T2<T4'−T3'<・・・<T10'−T9'<T11'−T10'となっている。
このように本実施例のデータ収集システムでは、各子機の間でのタイミングの差であった「データ要求」の転送時間を考慮することができるようになり、チャネルでの固定時間を、終端側の子機になるにしたがって、及びタイマが起動してから時間が経つにしたがって長くすることができる。これによって、タイマが起動してから時間が経った場合や、終端側の子機において送受信できなくなる可能性を減らすことができ、親機と各子機との間の同期の精度を向上させて受信確認ACKなしでも通信の信頼性を保つことが可能となる。
次に、本発明の実施例5を説明する。ただし、本実施例に係るデータ収集システムの構成及び親機と子機で実施されるデータ収集処理は実施例3と同様なので詳しい説明は省略する。
本実施例のデータ収集システムでは、親機によって子機を限定してデータの収集を行なえるようにしている。
ここで、本実施例のデータ収集システムで使用されるパケットのフレームフォーマットを図20に示す。図20に示すように、本実施例で使用されるパケットのフレームフォーマットでは、子機を限定してデータ要求をする場合にはコマンドタイプCOMが「限定データ要求」と記録され、DATA部には対象となる子機を限定するためのOJ部が設定されている。DATA部の中のOJ部のビットにそれぞれ各子機が割り当てられており、「1」は返信を要求、「0」は返信を要求しないものとする。例えば、図20のビット列の場合では、子機1、子機5、子機7のみ「データ応答」を返信するように要求されている。
次に、本実施例のデータ収集システムによるデータ収集処理のシーケンス図を図21に示す。図21に示すように、各子機は「限定データ要求」を受信すると、タイマを起動し、この「限定データ要求」を基準として予め設定された順序でチャネルを切り替えていく。
親機と各子機は、どの子機から「データ応答」があるかは、最初に受信した「限定データ要求」のOJビットを解析すれば認識することができるので、一定時間受信がない場合や受信確認ACKが返信されない場合に、「無応答応答」を送信する必要はない。さらに、親機はどのタイミングで「データ応答」を受信するか認識しているので、該当するタイミングで受信待ちを行なうようにする。
また、「限定データ要求」に対する子機からの応答を、通常の「データ応答」ではなく、別のコマンドタイプである「限定データ応答」として、データ応答のパケットからOJ部をなくすようにしてもよい。
このように、本実施例のデータ収集システムでは、パケットのフレームフォーマットにデータ要求の対象とする子機を限定できるようにしたので、全ての子機ではなく、任意の子機からだけデータを収集することが可能になる。
さらに、各子機が「限定データ要求」を受信して転送していくので、どの子機から応答があるか、すなわちどのタイミングで応答があるかを各子機が認識することができ、それに対する動作をシステムとして決めておくことができる。特に、転送の必要がない場合には、図21に示すようにチャネルは切り替えても送信をしなければ、電波が混信する確率を下げることもできる。
また、終端の子機に問い合わせる場合を除けば、返信時間は全ての子機に返信を求める場合よりも短い時間で応答を得ることができる。
次に、本発明の実施例6を説明する。ただし、本実施例に係るデータ収集システムの構成及び親機と子機で実施されるデータ収集処理は実施例3と同様なので詳しい説明は省略する。
本実施例のデータ収集システムでは、一定時間受信がない場合や受信確認ACKが返信されない場合に無応答応答を送信するようにしている。
ここで、本実施例のデータ収集システムによるデータ収集処理のシーケンス図を図22に示す。図22に示すように、各子機Cnは受信するまでの間、予め設定されたチャネルCH(i)で受信待ちをしている。このとき、あるチャネルでの受信固定時間(tr0+tr1)内で受信しない場合には(S220)、受信しなかったことを「無応答応答」として次のタイミングとチャネルで親機側の子機Cn−1へ送信する(S221)。
この「無応答応答」のパケットでは、送信元アドレスSAは、この「無応答応答」を生成した子機Cnであるから、子機Cn+1からの応答がなかったことを、親機Pと子機Cn及び子機Cnよりも親機側の各子機で認識することができる。
また、親機Pは「無応答応答」を受信及び解析することによって、どの子機がどのチャネルで通信できなかったのかを検出することが可能である。
このとき、少なくとも1周期分の時間T後には、全ての子機はCH(0)での受信待ちとなっているので、親機Pは個別に子機に対して原因を問い合わせる処理をしたり、新たに再起動コマンドを送信したりして、応答なしの原因を取り除くことができる。
さらに、CH(0)での受信待ちのときに、各子機に対して例えば時間2Tという制限時間を設けておけば、時間2TまでチャネルCH(0)で何も受信しなかった場合には、使用チャネルや使用順序を再決定する処理(起動処理に含む)に戻るようにしておけば、親機Pからの制御が何も効かなくなる状態を避けることができる。
このように、本実施例のデータ収集システムでは、一定時間受信がない場合や受信確認ACKが返信されない場合には、子機Cnが正常なデータを送信すべきタイミングで親機側の子機Cn−1へ「無応答応答」を送信するので、親機Pは「無応答応答」を受信及び解析することによって、どの子機がどのチャネルで通信できなかったのか検出することができる。また、親機Pが新たな使用チャネルと順序を決定し、各子機に通知することによって、データ収集を実行中であっても不具合のあるチャネルを使用せずに通信することができ、無線の通信不具合を減らすことができる。
次に、本発明の実施例7を説明する。ただし、本実施例に係るデータ収集システムの構成及び親機と子機で実施されるデータ収集処理は実施例3と同様なので詳しい説明は省略する。
本実施例のデータ収集システムでは、データを送信した後に予め設定されたチャネルでの固定時間内に受信確認ACKを受信できずに、送信できたのか確認のできないデータをメモリに貯めておいて、次のチャネルで送信するようにしたものである。
ここで、本実施例のデータ収集システムによるデータ収集処理のシーケンス図を図23に示す。図23では、子機C3から送信されたデータである「データ応答」(S103−1)を、子機C2から子機C1へ転送する際に(S103−2)失敗した場合を示している。この実施例では、固定時間ごとにチャネル変更するとともに、受信確認ACKを返信するように設定されている場合について説明する。
まず、子機C1は一定時間tr0(受信準備時間)+tr1(受信後の待機時間)の間に子機C2からのパケットをチャネルCH(3)、すなわちチャネル18で受信できない場合には、さらに時間tcd(チャネル切り替えダミー時間)+ts0(送信準備時間)だけ経過した後に「無応答応答」を親機PへチャネルCH(3)で送信する(S113−1)。
このとき、子機C2は子機C1からの受信確認ACKを受信できないことによって、送信が失敗したことを認識し、図24に示す失敗したパケット(S103−2)を子機C2内のメモリに蓄積する。
そして、子機C1は、時間tc(チャネルの切り替え時間)後にチャネルをCH(4)すなわちチャネル21に変更し、受信待ちとなる(t=T4)。そして、子機C1は子機C2から子機C4のデータである「データ応答」(S104−3)を受信し、受信確認ACKを子機C2へ返信する。
このとき、子機C2は、チャネルCH(3)では子機C1と通信できなかったが、次のチャネルCH(4)では通信できたので、子機C2内のメモリに蓄積しておいた送信を失敗したデータを、新たなコマンドタイプである「蓄積データ応答」で、図25に示すフレームフォーマットを利用して子機C1へチャネルCH(4)で送信する。
ここで、コマンドタイプを「蓄積データ応答」とした場合のみ、DATA部にそのデータを最初に送信した子機のアドレスSAOを含めるように設定しておけば、送信に失敗したパケット(S103−2)の送信元アドレスSA、すなわち子機C3を「蓄積データ応答」のSAOとすることができ、「蓄積データ応答」の送信元アドレスSAは子機C2にすることができる(S123−1、図25)。
そして、子機C1が「蓄積データ応答」に対しても受信確認ACKを返信することによって、子機C2は送信に失敗したパケット(S103−2)を別のチャネルで送信が成功したことを認識し、そのデータをメモリから削除する。
子機C1は、次のステップで親機Pに対して、子機C4のデータである「データ応答」(S104−4)を送信するとともに、子機C2が生成したデータの中身は子機C3のデータである「蓄積データ応答」(S123−2)を図26のフレームフォーマットで送信する。
一方、親機Pは図26に示す「蓄積データ応答」のパケットを受信して解析することにより、子機C2と子機C1との間のチャネルCH(3)で通信ができなかったことを検出することができる。
このように、本実施例のデータ収集システムでは、「データ応答」を送信できなかった場合に、そのデータをメモリに貯めておいて、別のチャネルで送信するようにしたので、データ収集処理を実施している途中から通信状況が悪くなったチャネルがあったとしても、データを収集することが可能となる。さらに、親機Pがその状況を蓄積し分析することによって、そのチャネルを使わないようにシステム全体を制御することができる。
次に、本発明の実施例8を説明する。ただし、本実施例に係るデータ収集システムの構成及び親機と子機で実施されるデータ収集処理は実施例3と同様なので詳しい説明は省略する。
本実施例のデータ収集システムでは、子機側でセンサが異常データを検知した場合などに、子機から緊急情報を発信できるようにしたものである。
ここで、本実施例のデータ収集システムによるデータ収集処理のシーケンス図を図27に示す。図27では、子機C6が緊急情報として「緊急応答」を親機Pへ発信したい場合について説明する。子機C6は、次に「データ応答」を転送すべきタイミングで、送信データを「データ応答」から「緊急応答」に代えて子機C5へ転送する(S116−1)。子機C6はその後は通常の動作を行い、子機C7から「データ応答」を受信し、子機C5へ転送する。また、「緊急応答」に代えられたパケットも通常のパケットと同じように、親機Pまで転送されていく。
このように、本実施例のデータ収集システムでは、本来親機Pが各子機に問い合わせて各子機のデータを収集する(ポーリングを基本とした)システムでは、各子機は自発的に発信することはできないが、子機が「データ応答」を必要に応じて「緊急応答」に代えることによって、データ収集の1周期T内に、親機Pは「緊急応答」を受信し、緊急事態を認知することが可能となる。
また、子機が勝手なタイミングで発信することがないので、混信することを防ぐことができる。
さらに、親機は受信した「緊急応答」に基づいた処理を実施した後に、好きなタイミングで通常のシーケンスに戻ることができる。
以上、本発明のデータ収集システムについて、図示した実施例に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は同様の機能を有する任意の構成のものに置き換えることができる。
本発明の実施例に係るデータ収集システムの構成を示すブロック図である。
本発明の実施例1に係るデータ収集システムの構成を示すブロック図である。
本発明の実施例1に係るデータ収集システムで使用されるパケットのフレームフォーマットを示す図である。
本発明の実施例1に係るデータ収集システムによるデータ収集処理を示すシーケンス図である。
本発明の実施例1に係るデータ収集システムの親機によるデータ収集処理を示すフローチャートである。
本発明の実施例1に係るデータ収集システムの子機によるデータ収集処理を示すフローチャートである。
本発明の実施例2に係るデータ収集システムによるデータ収集処理を示すシーケンス図である。
本発明の実施例2に係るデータ収集システムの親機によるデータ収集処理を示すフローチャートである。
本発明の実施例2に係るデータ収集システムの子機によるデータ収集処理を示すフローチャートである。
本発明の実施例3に係るデータ収集システムで使用されるパケットのフレームフォーマットを示す図である。
本発明の実施例3に係るデータ収集システムによるデータ収集処理を示すシーケンス図である。
本発明の実施例3に係るデータ収集システムの親機によるデータ収集処理を示すフローチャートである。
本発明の実施例3に係るデータ収集システムの子機によるデータ収集処理を示すフローチャートである。
本発明の実施例3に係るデータ収集システムで使用されるパケットのフレームフォーマットの一例を示す図である。
本発明の実施例3に係るデータ収集システムで使用されるパケットのフレームフォーマットの一例を示す図である。
本発明の実施例3に係るデータ収集システムで使用されるパケットのフレームフォーマットの一例を示す図である。
本発明の実施例3に係るデータ収集システムで使用されるパケットのフレームフォーマットの一例を示す図である。
本発明の実施例3に係るデータ収集システムで使用されるパケットのフレームフォーマットの一例を示す図である。
本発明の実施例4に係るデータ収集システムによるデータ収集処理を示すシーケンス図である。
本発明の実施例5に係るデータ収集システムで使用されるパケットのフレームフォーマットを示す図である。
本発明の実施例5に係るデータ収集システムによるデータ収集処理を示すシーケンス図である。
本発明の実施例6に係るデータ収集システムによるデータ収集処理を示すシーケンス図である。
本発明の実施例7に係るデータ収集システムによるデータ収集処理を示すシーケンス図である。
本発明の実施例7に係るデータ収集システムで使用されるパケットのフレームフォーマットの一例を示す図である。
本発明の実施例7に係るデータ収集システムで使用されるパケットのフレームフォーマットの一例を示す図である。
本発明の実施例7に係るデータ収集システムで使用されるパケットのフレームフォーマットの一例を示す図である。
本発明の実施例8に係るデータ収集システムによるデータ収集処理を示すシーケンス図である。
従来の無線接続のポーリングシステムの構成を示すブロック図である。
従来の無線接続のポーリングシステムによるデータ収集処理を示すシーケンス図である。
符号の説明
1、21 データ収集システム
P 親機
C1〜C10、Cn 子機