以下、本発明に係るいくつかの実施形態について図面に基づいて詳細に説明する。尚、後述の実施形態に係るクレーンは、本発明に係る作業機の一例であり、本発明は後述の実施形態により限定されない。
[実施形態1]
図1は、実施形態1に係る移動式クレーン1(図示の場合、ラフテレーンクレーン)の作業状態における側面図である。
移動式クレーンとして、例えば、オールテレーンクレーン、トラッククレーン、又は、積載形トラッククレーン(カーゴクレーンともいう。)が挙げられる。但し、本発明に係るクレーンは、移動式クレーンに限定されず、例えば、タワークレーン等であってもよい。
<移動式クレーン>
図1及び図5に示すように、移動式クレーン1は、走行体1aと、アウトリガ1bと、旋回台1cと、伸縮式ブーム1dと、伸縮装置1eと、起伏装置1fと、ジブ1gと、ワイヤロープ1hと、フック装置1mと、運転室1jと、GNSSアンテナ1pと、出来形管理データ生成システム2と、を有する。
走行体1aは、複数個の車輪10aを有する。アウトリガ1bは、走行体1aの四隅に設けられている。旋回台1cは、走行体1aの上部に旋回可能に設けられている。
伸縮式ブーム1dは、基端部が旋回台1cに固定されている。伸縮式ブーム1dは、複数のブーム要素からなる。複数のブーム要素はそれぞれ、筒状である。複数のブーム要素は、互いに、テレスコピック状に組み合わされている。
具体的には、収縮状態において、複数のブーム要素は、内側から順に先端ブーム要素10d、中間ブーム要素11d、及び、基端ブーム要素12dである。本実施形態の場合、中間ブーム要素11dは、2本の中間ブーム要素からなる。尚、中間ブーム要素11dは、1本でもよいし、3本以上でもよい。
伸縮装置1eは、油圧源(不図示)、油圧ポンプ(不図示)、制御弁(不図示)、及び、伸縮シリンダ装置10e等を有する。伸縮装置1eを構成する各エレメント同士は、配管により接続されている。このような伸縮装置1eは、伸縮シリンダ装置10eの伸縮に基づいて、伸縮式ブーム1dを伸縮させる。
起伏装置1fは、油圧源(不図示)、油圧ポンプ(不図示)、制御弁(不図示)、及び、伸縮シリンダ装置10f等を有する。このような起伏装置1fは、伸縮シリンダ装置10fの伸縮に基づいて、伸縮式ブーム1dを起伏させる。
ジブ1gは、伸縮式ブーム1dの先端部に接続されている。ワイヤロープ1hは、ジブ1gの先端部から垂れ下がっている。
フック装置1mは、ワイヤロープ1hにより吊られている。具体的には、フック装置1mは、フックブロック10mと、フック11mと、を有する。フックブロック10mは、シーブ100m(図4参照)を有する。シーブ100mには、ワイヤロープ1hが掛け回されている。本実施形態の場合、ワイヤロープ1hの掛け数は2本である。
フックブロック10mは、第一側面12mと、第一側面12mと反対側の側面である第二側面13mと、を有する。第一側面12m及び第二側面13mが、伸縮式ブーム1d及びジブ1gの伸縮方向(軸方向とも称する。)を含む平面と平行になる状態を、フックブロック10mの基準位置と定義する。フックブロック10mの捩じれ角度と言った場合には、フックブロック10mの基準位置からの捩じれ角度を意味する。
尚、本実施形態において、伸縮式ブーム1d及びジブ1gは、被操作機能部の一例に該当する。ジブ1gは、作業状態に応じて、使用されない場合もある。ジブ1gが使用されない場合、伸縮式ブーム1dが、被操作機能部の一例に該当する。
GNSSアンテナ1pは、GPS(Global Positioning System)等の衛星測位システムから情報を受信するためのアンテナである。GNSSアンテナ1pは、衛星測位システムから、移動式クレーン1の位置に関する情報(座標)を取得してよい。GNSSアンテナ1pは、移動式クレーン1の旋回台1cの周囲に設けられていると好ましい。
<出来形管理データ生成システム>
図4及び図5を参照して、出来形管理データ生成システム2について説明する。図5は、出来形管理データ生成システム2を含む移動式クレーン1の機能ブロック図である。
出来形管理データ生成システム2は、第一撮像部21と、第二撮像部22と、通信部23と、記憶部24と、表示部25と、操作入力部26と、制御部27と、を有する。
<第一撮像部>
第一撮像部21は、例えば、デジタルカメラ装置である。第一撮像部21は、第二撮像部22よりも小型のデジタルカメラであってよい。第一撮像部21は、フック装置1m(具体的には、フックブロック10m)に設けられている。
第一撮像部21は、フックブロック10mの第一側面12m及び第二側面13mのうちの何れか一方の側面に設けられてよい。本実施形態の場合、第一撮像部21は、フックブロック10mの第一側面12mに設けられている。
第一撮像部21は、制御部27に接続されている。第一撮像部21と制御部27との接続方式は、有線接続方式であってもよいし、無線接続方式であってもよい。第一撮像部21と制御部27との接続方式は、公知の接続方式であってよい。
第一撮像部21は、制御部27の制御下で、フック装置1mから周囲を撮像する。第一撮像部21は、所定の画角θ21(図3参照)で、フック装置1mから斜め上方を撮像する。第一撮像部21の撮像範囲には、フック装置1mから水平方向を見た範囲が含まれてもよい。
第一撮像部21の画角θ21は、フック装置1mから水平方向の所定範囲を撮像可能は画角であればよい。第一撮像部21の画角θ21は、作業現場の状況(例えば、建築物の構造)に応じて、適宜設定されてよい。
第一撮像部21は、画像データを生成し、生成した画像データを制御部27に送出してよい。第一撮像部21が生成する画像データは、第一画像データの一例に該当する。以下、第一撮像部21が生成する画像データを、第一画像データと称する。
第一撮像部21は、吊り上げる荷物(建築部材)を識別する際、及び/又は、建築部材の設置位置の周囲を認識する際、制御部27の制御下で撮像してよい。つまり、第一撮像部21が生成する第一画像データは、吊り上げる荷物(建築部材)の認識、及び/又は、建築部材の設置位置の周囲の認識のために行われる画像解析に使用されてよい。尚、第一撮像部21は、制御部27の制御下で撮像を開始してから、常時連続的に撮像してよい。又、第一撮像部21は、制御部27の制御下で、所定条件に該当した場合のみ撮像してもよい。
所定条件に該当したか否かは、後述の第二画像データに基づいて、制御部27により、判断されてよい。一例として、第二撮像部22がフック装置1mの周囲の建築物を撮像しにくい状況の場合に、制御部27は、第一撮像部21による撮像を開始してよい。
第一撮像部21の撮像方向は、制御部27により制御されてよい。第一撮像部21の撮像方向は、第一撮像部21(第一撮像部21の光学素子)の光軸方向における第一方向と捉えてよい。光軸方向における第一方向は、第一撮像部21の結像面(例えば、イメージセンサ)からレンズに向かう方向を意味する。
第一撮像部21の撮像方向は、作業者からの操作入力に基づいて、制御部27により制御されてよい。或いは、第一撮像部21の撮像方向は、制御部27の判断に基づいて、制御部27により自動的に制御されてよい。制御部27は、例示的に、建築部材Wの設置位置に関する情報に基づいて、第一撮像部21の撮像方向(撮像する位置)を制御してよい。制御部27は、建築部材Wの設置位置に関する情報を、移動式クレーン1にネットワークを介して接続されたBIM端末BT(図12参照)から取得してよい。BIM端末BTには、BIM(Building Information Modeling)等のアプリケーションが組み込まれていてよい。
第一撮像部21の撮像方向を調節するための機構として、移動式クレーン1は、第一調節部28を有していてよい。
第一調節部28は、第一撮像部21をフック装置1mに支持するための支持装置と捉えてよい。このような第一調節部28は、第一撮像部21の撮像方向を任意の方向に設定可能な機能を有してよい。第一調節部28は、例示的に、ジンバルであってよい。第一調節部28は、制御部27により制御されてよい。
第一撮像部21は、平面視において、撮像方向を判定できる構成を有すると好ましい。この理由は、第二撮像部22の第二画像データ(後述)に含まれる第一撮像部21に関する画像データに基づいて、制御部27が、第一撮像部21の撮像方向を認識できるからである。
尚、第一撮像部21は、複数のカメラ装置により構成されてもよい。一例として、4個のカメラ装置をフック装置1mの外周面に90°間隔で設けてもよい。複数のカメラ装置により、フック装置1mの水平方向における全周(360°)を撮像できると、より好ましい。複数のカメラ装置は、総て同時に撮像してよい。又、複数のカメラ装置は、制御部27により選択されたカメラ装置のみ撮像してもよい。
<第二撮像部>
第二撮像部22は、例えば、デジタルカメラ装置である。第二撮像部22は、ジブ1gの先端部に設けられている。
第二撮像部22は、制御部27に接続されている。第二撮像部22と制御部27との接続方式は、有線接続方式であってもよいし、無線接続方式であってもよい。第二撮像部22と制御部27との接続方式は、公知の接続方式であってよい。
第二撮像部22は、制御部27の制御下で、ジブ1gの先端部から鉛直方向における下方を撮像する。第二撮像部22は、ジブ1gの先端部から、フック11m及び第一撮像部21を撮像する。第二撮像部22の画角θ22(図3参照)は、ジブ1gの先端部からフック装置1m及び第一撮像部21を撮像可能な画角であればよい。第二撮像部22は、制御部27の制御下で、撮像方向を変更可能であってよい。
第二撮像部22は、画像データを生成し、生成した画像データを制御部27に送出してよい。第二撮像部22が生成する画像データは、第二画像データの一例に該当する。以下、第二撮像部22が生成する画像データを、第二画像データと称する。
第二撮像部22は、制御部27の制御下で撮像を開始してから、常時撮像してよい。又、第二撮像部22は、制御部27の制御下で、所定の条件に該当した場合に、撮像してもよい。
第二撮像部22の撮像方向は、鉛直方向における下方に固定されてよい。但し、第二撮像部22の撮像方向は、変更可能であってもよい。第二撮像部22の撮像方向は、作業者からの操作入力に基づいて、制御部27により制御されてよい。或いは、第二撮像部22の撮像方向は、制御部27の判断に基づいて、制御部27により自動的に制御されてよい。
第二撮像部22の撮像方向を調節するための機構として、移動式クレーン1は、第二調節部29を有してよい。
尚、第二撮像部22の撮像方向は、第二撮像部22(光学素子)の光軸方向における第一方向と捉えてよい。光軸方向における第一方向は、第二撮像部22の結像面(例えば、イメージセンサ)からレンズに向かう方向を意味する。
第二撮像部22は、第二撮像部22の撮像方向を任意の方向に設定可能な第二調節部29を有してよい。第二調節部29は、例示的に、ジンバルであってよい。第二調節部29は、制御部27により制御されてよい。
<通信部>
通信部23は、ネットワークNを介して、移動式クレーン1と遠隔地の端末T(図2及び図5参照)とを通信接続するための装置である。このような通信部23は、情報の送信部及び受信部(不図示)を有してよい。移動式クレーン1と端末Tとの通信は、例えば、制御部27によって制御されてよい。
移動式クレーン1と端末Tとの通信プロトコルは、特に限定されない。移動式クレーン1と端末Tとの通信プロトコルは、種々のプロトコルから適宜選択されてよい。
通信部23は、制御部27の制御下で、第一画像データを端末Tに送信してよい。通信部23は、制御部27の制御下で、第二画像データを端末Tに送信してもよい。通信部23は、制御部27の制御下で、第一画像データと第二画像データとが合成された三次元の合成画像データを端末Tに送信してもよい。以下、通信部23が端末Tに送信する画像データ(第一画像データ、第二画像データ、及び/又は、合成画像データ)を、送信用画像データと称する。
通信部23は、制御部27の制御下で、送信用画像データとともに、送信用画像データと対応付けられたフック装置1mの位置に関する情報を端末Tに送信してよい。フック装置1mの位置に関する情報は、フック装置1mの座標情報であってよい。尚、フック装置1mの位置に関する情報は、制御部27により算出されてよい。
通信部23は、制御部27の制御下で、第一画像データとともに、建築部材W(図8参照)の移動ログを、端末Tに送信してよい。建築部材Wの移動ログは、制御部27により算出されてよい。
<記憶部>
記憶部24は、制御部27に接続されている。記憶部24は、第一画像データ及び/又は第二画像データを記憶してよい。又、記憶部24は、合成画像データを記憶してよい。
記憶部24は、制御部27から取得したフック装置1mの位置に関する情報を、第一画像データ及び/又は第二画像データと対応付けて記憶してよい。記憶部24は、制御部27から取得したフック装置1mの位置に関する情報を、合成画像データと対応付けて記憶してよい。
記憶部24は、制御部27から取得した建築部材Wの移動ログを、第一画像データ及び/又は第二画像データと対応付けて記憶してよい。記憶部24は、制御部27から取得した建築部材Wの移動ログを、合成画像データと対応付けて記憶してよい。
<表示部>
表示部25は、情報を表示するモニタであってよい。表示部25は、移動式クレーン1の運転室1jに設けられている。
表示部25は、制御部27の制御下で、第一画像データに基づく第一画像及び/又は第二画像データに基づく第二画像を表示する。表示部25は、制御部27の制御下で、合成画像データに基づく合成画像を表示してよい。
<操作入力部>
操作入力部26は、出来形管理データ生成システム2を操作するための操作入力を受け付ける。例示的に、操作入力部26は、第一撮像部21の撮像方向を変更するための操作入力を受け付けてよい。
本実施形態の場合、操作入力部26は、第一撮像部21の撮像方向を変更するために、第一調節部28を操作するための操作入力を受け付けてよい。又、操作入力部26は、第二撮像部22の撮像方向を変更するために、第二調節部29を操作するための操作入力を受け付けてよい。
作業者は、表示部25に表示された第一画像、第二画像、又は、合成画像を確認しつつ、第一撮像部21の撮像方向を変更するための操作を、操作入力部26を介して入力できる。操作入力部26は、受け付けた操作を操作信号に変換し、制御部27に送出してよい。
<制御部>
制御部27は、上述したエレメントの動作を制御して、出来形管理データ生成システム2の全体的な動作を制御する。制御部27は、演算能力を備えた回路又はデバイスであってよい。制御部27には、例えば、CPU(central processing unit)、MPU(micro processing unit)、及び、GPU(graphics processing unit)の少なくとも1つが用いられてよい。
制御部27は、出来形管理データ生成システム2専用の制御部であってよい。又、制御部27は、移動式クレーン1に設けられた安全装置(例えば、過負荷防止装置)等の制御装置であってもよい。以下に説明する制御部27の機能は、一つの制御部により実現されてもよいし、複数の制御部の協働により実現されてもよい。
制御部27は、第一撮像部21に接続されている。制御部27は、第一撮像部21から第一画像データを取得してよい。
制御部27は、表示部25の表示制御を行う表示制御部の機能を有してよい。制御部27は、取得した第一画像データを、表示部25に送出してよい。制御部27は、第一画像データを表示部25に対応する表示信号に変換して出力し、表示部25に第一画像データに基づく第一画像を表示させてよい。
制御部27は、第二撮像部22に接続されている。制御部27は、第二撮像部22から第二画像データを取得してよい。制御部27は、取得した第二画像データを、表示部25に送出してよい。制御部27は、第二画像データを表示部25に対応する表示信号に変換して出力し、表示部25に第二画像データに基づく第二画像を表示させてよい。
制御部27は、第一画像データと第二画像データとを合成して三次元の合成画像データを生成してよい。制御部27は、同時刻に撮像された第一画像データと第二画像データとを合成して合成画像データを生成してよい。合成画像データは、移動式クレーン1により搬送された建築部材W(建築部材)の画像データを含んでよい。
制御部27は、操作入力部26に接続されている。制御部27は、操作入力部26から、出来形管理データ生成システム2を操作するための操作信号を取得してよい。例示的に、制御部27は、操作入力部26から、第一撮像部21の撮像方向を変更するための操作信号を取得してよい。又、制御部27は、操作入力部26から、第二撮像部22の撮像方向を変更するための操作信号を取得してよい。
制御部27は、第一調節部28に接続されている。制御部27は、操作入力部26から取得した第一撮像部21の撮像方向を変更するための操作信号に基づいて、第一調節部28の動作を制御してよい。
制御部27は、取得した第二画像データに基づいて(画像解析して)、第一調節部28の動作を制御して、第一撮像部21の撮像方向を調節してもよい。制御部27は、取得した第二画像データ、及び、建築部材Wの設置位置に関する情報に基づいて、第一調節部28の動作を制御して、第一撮像部21の撮像方向を調節してもよい。
制御部27は、第二調節部29に接続されている。制御部27は、操作入力部26から取得した第二撮像部22の撮像方向を変更するための操作信号に基づいて、第二調節部29の動作を制御してよい。
制御部27は、記憶部24に接続されている。制御部27は、記憶部24に記憶された第一画像データ、第二画像データ、及び/又は、合成画像データを取得してよい。
制御部27は、移動式クレーン1の過負荷防止装置1kに接続されている。制御部27は、過負荷防止装置1kから、移動式クレーン1の作業状態に関する情報を取得してよい。
作業状態に関する情報は、例示的に、伸縮式ブーム1dの起伏角、伸縮式ブーム1dの長さ、伸縮式ブーム1dの旋回角、ジブ1gの起伏角、ジブ1gの長さ、及び、ワイヤロープ1hの吊り下げ長さL、及び、フック装置1mの諸元に関する情報等を含んでよい。
ワイヤロープ1hの吊り下げ長さL1h(図1参照)は、被操作機能部であるジブ1gの先端部からフック装置1mの上端部までの距離に等しい、ワイヤロープ1hの長さであってよい。フック装置1mの諸元に関する情報は、使用状態(図1に示す状態)におけるフック装置1mの上端からフック装置1mの重心位置までの長さL1mに関する情報等を含んでよい。
制御部27は、GNSSアンテナ1pを介して、GNSS(Global NavigationSatellite System、全地球航法衛星システム)から移動式クレーン1の座標に関する情報を取得してよい。
制御部27は、フック装置1mの位置に関する情報(座標情報)を算出してよい。具体的は、制御部27は、取得した移動式クレーン1の座標に関する情報、及び、移動式クレーン1の作業状態に関する情報に基づいて、フック装置1mの位置に関する情報(座標情報)を算出してよい。制御部27は、位置情報算出部の一例に該当すると捉えてよい。
制御部27は、移動式クレーン1が建築部材Wを搬送している間、フック装置1mの位置に関する情報(座標情報)を、逐次算出してよい。
制御部27は、移動式クレーン1が建築部材Wを搬送している間、フック装置1mの位置に関する情報(座標情報)に基づいて、建築部材Wの位置に関する情報を算出してよい。
制御部27は、建築部材Wの位置に関する情報を記憶部24に記憶させてよい。記憶部24は、建築部材Wの位置に関する情報を時系列順に記憶してよい。時系列順に記憶された建築部材Wの位置に関する情報は、建築部材Wの移動ログとも称される。
制御部27は、通信部23に接続されている。制御部27は、通信部23の通信制御を行う通信制御部の機能を有してよい。
制御部27は、送信用画像データ(第一画像データ、第二画像データ、及び/又は、合成画像データ)を端末Tに送信するように、通信部23を制御してよい。
制御部27は、通信部23が端末Tに送信用画像データを送信するタイミングを制御してよい。例示的に、制御部27は、第一撮像部21から第一画像データを取得した場合、第一画像データからなる送信用画像データを逐次端末Tに送信するように、通信部23を制御してよい。
例示的に、制御部27は、第一画像データ及び/又は第二画像データに基づいて建築部材が目的の位置に設置されたと判定した場合に、送信用画像データを端末Tに送信するように、通信部23を制御してよい。
制御部27が送信用画像データを端末Tに送信するタイミングは、作業者の操作に基づいて決定さてもよいし、制御部27が、自動的に決定してもよい。
制御部27は、送信用画像データとともに、算出した移動経路に関する情報を、端末Tに送信してよい。
<端末>
移動式クレーン1に接続される端末Tは、例えば、デスクトップ型コンピュータ(パーソナルコンピュータ、ワークステーションなど)、ラップトップ型コンピュータ(パーソナルコンピュータ、ワークステーションなど)、タブレット端末、又は、スマートフォンなどのモバイル装置などであってよい。又、移動式クレーン1に接続される端末Tは、サーバであってよい。移動式クレーン1に接続される端末Tは、出来高管理装置の一例に該当すると捉えてよい。
<移動式クレーンの動作について>
以下、図6を参照して、移動式クレーン1の動作の一例について説明する。図6は、搬送作業において行われる作業者の作業及び移動式クレーン1の動作の一例を示すフローチャートである。例示的に、移動式クレーン1は、建築部材Wを、図8及び図9に示す位置まで搬送する。
具体的には、図6のフローチャートは、移動式クレーン1の搬送作業において作業者が実施する動作及び制御部27が実施する制御処理を示している。
尚、移動式クレーン1の動作は、図6のフローチャートに示す動作に限定されない。図6のフローチャートに示す処理は、技術的に矛盾しない範囲において適宜省略されてもよい。又、図6のフローチャートに示す処理の順序は、技術的に矛盾しない範囲において適宜入れ替えられてもよい。
図6のステップS101において、作業者は、フック11m及び搬送前の位置に置かれた建築部材Wに玉掛け用ワイヤロープ1n等を掛ける玉掛け作業を行う。
次に、図6のステップS102において、作業者又は移動式クレーン1の制御装置は、建築部材Wの設置位置に関する情報を取得する。作業者は、例えば、作業計画書から建築部材Wの設置位置に関する情報を取得してよい。又、作業者は、例えば、建築部材Wに設けられた情報記憶部(ICタグ、バーコード、又は、QRコード(登録商標)等)から取得した情報に基づいて、建築部材Wの設置位置に関する情報を取得してよい。
制御装置は、例えば、建築部材Wに設けられた情報記憶部(ICタグ、バーコード、又は、QRコード(登録商標)等)から取得した情報に基づいて、建築部材Wの設置位置に関する情報を取得してよい。
上記情報記憶部は、建築部材Wの搬送先の座標を記憶していてもよい。この場合、制御装置は、取得した座標を、建築部材Wの設置位置に関する情報としてよい。
又、上記情報記憶部は、建築部材Wの識別情報(例えば、型番等)を記憶していてもよい。又、移動式クレーン1は、記憶部(不図示)に、建築部材Wの識別情報に対応付けられた設置位置に関する情報を予め記憶してよい。
制御装置は、上記情報記憶部から取得した建築部材Wの識別情報に対応する設置位置に関する情報を、上記記憶部から取得してよい。尚、ステップS102の処理は、ステップS101と同時又はステップS101の前に行ってもよい。
次に、図6のステップS103において、作業者は、運転室1jに設けられた操作具を操作して、移動式クレーン1に建築部材Wの搬送に関する搬送指令を入力する。制御装置は、搬送指令を受け付けると、搬送指令に基づいて、伸縮式ブーム1d及びフック装置1m等の被操作機能部を操作して、建築部材Wを搬送する。
次に、図6のステップS104において、作業者は、建築部材Wから玉掛け用ワイヤロープ1nを外す。そして、作業者は、移動式クレーン1の搬送作業を終了する。その後、作業者は、フック装置1mを所定位置(搬送前の位置)まで戻し、図6に示す移動式クレーン1の搬送作業を繰り返してよい。
<出来形管理データ生成システムの動作の一例>
以下、図7を参照して、移動式クレーン1の搬送作業(図6参照)における出来形管理データ生成システム2の動作の一例について説明する。図7は、移動式クレーン1の搬送作業における出来形管理データ生成システム2の動作の一例を示すフローチャートである。
出来形管理データ生成システム2は、移動式クレーン1の搬送作業中、建築部材Wの位置に関する情報を算出する。又、出来形管理データ生成システム2は、移動式クレーン1の搬送後、第一撮像部21により、フック装置1mの周囲を撮像する。
又、出来形管理データ生成システム2は、移動式クレーン1の搬送後、第二撮像部22により、第一撮像部21を含む第一撮像部21の周囲を撮像する。以下、出来形管理データ生成システム2の動作について具体的に説明する。
図7のステップS201において、制御部27は、搬送する建築部材Wを撮像するように第一撮像部21を制御する。第一撮像部21は、建築部材Wの画像データを含む第一画像データを生成する。制御部27は、第一撮像部21により生成された第一画像データを、端末T(図2参照)に送信するように通信部23を制御してよい。制御部27は、ステップS201において取得した第一画像データを、図7のステップS205(後述)において、端末Tに送信してもよい。
尚、ステップS201において、制御部27は、搬送する建築部材Wを撮像するように第二撮像部22を制御してもよい。第二撮像部22は、建築部材Wの画像データを含む第二画像データを生成する。制御部27は、第二撮像部22により生成された第二画像データを、端末T(図2参照)に送信するように通信部23を制御してもよい。制御部27は、ステップS201において取得した第二画像データを、図7のステップS205(後述)において、端末Tに送信してもよい。このようなステップS201は、図6のステップS101~S102において実施されてよい。ステップS201は、省略されてもよい。
図7のステップS202において、建築部材Wの位置に関する情報を算出する。建築部材Wの位置に関する情報の算出方法については、既述の通りである。図6のステップS202~ステップS204は、移動式クレーン1による建築部材Wの搬送中(つまり、図6のステップS103の処理が実行されている状況)において実施される。
次に、図7のステップS203において、制御部27は、建築部材Wの位置に関する情報を、記憶部24に記憶させる。建築部材Wの位置に関する情報は、建築部材Wの移動ログとして、記憶部24に記憶される。
次に、図7のステップS204において、制御部27は、建築部材Wの搬送が終了したか否かを判定する。つまり、図7のステップS204において、制御部27は、図6のステップS103が終了したか否かを判定する。
制御部27は、ワイヤロープ1hに作用する荷重に関する情報に基づいて、建築部材Wの搬送が終了したか否かを判定してよい。ワイヤロープ1hに作用する荷重に関する情報は、移動式クレーン1に設けられた荷重センサ(不図示)から取得してよい。
或いは、制御部27は、第二撮像部22の第二画像データ及び/又は建築部材Wの位置に関する情報に基づいて、建築部材Wの搬送が終了したか否かを判定してよい。
制御部27は、建築部材Wの位置に関する情報に基づいて建築部材Wが設置位置に搬送されたか否かを判定し、且つ、第二画像データを画像解析することにより、フック11mに建築部材Wが吊られているか否かを判定することにより、建築部材Wの搬送が終了したか否かを判定してよい。
図7のステップS204において、建築部材Wの搬送が終了している場合(ステップS204において“YES”)、制御部27は、制御処理をステップS205に移行する。図7のステップS204において、建築部材Wの搬送が終了していない場合(ステップS204において“NO”)、制御部27は、制御処理をステップS202に移行する。
以上のように、制御部27により建築部材Wの位置に関する情報を算出する処理(つまり、ステップS202)、及び、記憶部24により建築部材Wの位置に関する情報を記憶する処理(つまり、ステップS203)は、移動式クレーン1による建築部材Wの搬送中、連続的又は所定間隔で間欠的に実施される。従って、建築部材Wの位置に関する情報は、時系列に沿って記憶部24に記憶される。
図7のステップS205において、制御部27は、フック装置1mの周囲を撮像するように第一撮像部21を制御する。又、図7のステップS205において、制御部27は、第一撮像部21を含む第一撮像部21の周囲を撮像するように第二撮像部22を制御する。尚、本実施形態の場合、第二撮像部22は、搬送作業(図6のステップS101~S104)において常時撮像している。
ステップS205における制御部27の動作は、操作入力部26を介する作業者の入力に基づいて実施されてよい。或いは、ステップS205における制御部27の動作は、制御部27により自動的に実施されてもよい。
ステップS205において、制御部27は、操作入力部26を介する作業者の入力に基づいて、第一撮像部21の撮像方向を調節してよい。作業者は、表示部25に表示された第一撮像部21の画像を視認しつつ、第一撮像部21の撮像方向を調節するための指令を、操作入力部26に入力してよい。作業者は、操作入力部26を介して既述の第一調節部28を操作することにより、第一撮像部21の撮像方向を調整してよい。
又、ステップS205において、制御部27は、制御部27により自動的に、第一撮像部21の撮像方向を調節してよい。制御部27は、第二撮像部22の第二画像データを画像解析することにより、所望の方向を撮像するように、第一撮像部21の撮像方向を調節してよい。
ステップS205において、制御部27は、第一撮像部21により撮像可能な全範囲を撮像するように、第一撮像部21を制御してよい。この場合、第一撮像部21は、フック装置1mの周囲360°の第一画像データを生成する。
ステップS205において、制御部27は、第二撮像部22により撮像可能な全範囲を撮像するように、第二撮像部22を制御してよい。
図7のステップS206において、制御部27は、送信画像データ(第一画像データ及び/又は第二画像データ)を、ネットワークNを介して、端末T(図2参照)に送信する。図7のステップS206において、制御部27は、送信画像データとともに、建築部材Wの移動ログを、端末Tに送信してよい。
<変形例1>
以下、出来形管理データ生成システム2の動作の変形例1について、図7を参照して説明する。変形例1に関しては、図7を参照して説明した出来形管理データ生成システム2の動作の一例と異なる部分を中心に説明する。
図7のステップS205において、制御部27は、第一撮像部21の第一画像データと、第二撮像部22の第二画像データとを合成した三次元の合成画像データを生成してよい。
図7のステップS206において、制御部27は、送信画像データ(合成画像データ)を、ネットワークNを介して、端末Tに送信してよい。図7のステップS206において、制御部27は、送信画像データとともに、建築部材Wの移動ログを、端末Tに送信してよい。
<出来形管理データ生成システムの動作に関する付記>
出来形管理データ生成システム2は、図7のステップS201(図6のステップS101)及び/又は図7のステップS205のみ、第一撮像部21による撮像を実施してよい。つまり、出来形管理データ生成システム2は、所定のタイミングでのみ、第一撮像部21による撮像を実施してよい。
或いは、出来形管理データ生成システム2は、常時、第一撮像部21による撮像、及び、第二撮像部22による撮像を実施してよい。この場合、出来形管理データ生成システム2は、総ての第一画像データ及び/又は第二画像データを、端末Tに送信してよい。或いは、出来形管理データ生成システム2は、端末Tで実施される出来高管理処理に必要な画像データのみ、端末Tに送信してもよい。
<端末の動作>
端末Tは、移動式クレーン1から受信した情報に基づいて、建築物の出来形を算出する機能を有する。このような端末Tは、図5に示すように、取得部T1と、出来高算出部T2と、を有する。以下、端末Tが実施する出来高算出方法について、図10を参照して説明する。
図10は、建築中の建築物の出来形を示す模式図である。図10の建築部材W1~W4は、既に組立てられた建築部材である。
端末Tは、図10に実線で示される建築部材W1~W4に関する情報を、現状の出来形データとして記憶している。そして、次に移動式クレーン1により搬送され、組み立てられる建築部材を、建築部材W5とする。
移動式クレーン1は、建築部材W5が、建築物に組み付けられると、送信用画像データ及び建築部材Wの位置に関する情報を端末Tに送信する。端末Tの取得部T1は、移動式クレーン1から送信用画像データ及び建築部材Wの位置に関する情報を取得(受信)してよい。取得部T1は、取得した情報を、出来形算出部T2に送出してよい。
出来高算出部T2は、受け取った情報に基づいて、建築物の出来高を算出してよい。具体的には、出来高算出部T2は、受け取った情報を解析する。端末Tは、解析の結果、建築部材W5が建築物に組み付けられていることを認識した場合、記憶されている出来高データに建築部材W5に関する情報を加える。つまり、更新された出来高データは、図10に実線で示される建築部材W1~W4に関する情報と、二点鎖線で示される建築部材W5に関する情報と、を含む。
尚、端末Tに画像データを送信する作業機は、移動式クレーン1に限定されない。例示的に、端末Tに画像データを送信する作業機は、図11に示すような高所作業車5であってもよい。高所作業車5は、伸縮式ブーム51と、伸縮式ブーム51の先端に設けられたバスケット52と、を有する。又、高所作業車5は、バスケット52に設けられた撮像部22Aを有する。
高所作業車5は、撮像部22Aにより撮像した画像データを、端末TにネットワークNを介して端末Tに送信してよい。端末Tは、受信した画像データに基づいて、建築物の出来高を算出してよい。このような高所作業車5は、例えば、建築物の内装工事において使用される。端末Tは、高所作業車5から受信した画像データに基づいて、内装工事の出来高を算出できる。
<本実施形態の作用・効果>
以上のような構成を有する本実施形態の移動式クレーン1によれば、フック装置1mに第一撮像部21が設けられているため、フック装置1mが構造物の内部に侵入した状態において、フック装置1mの周囲の建築物を撮像できる。即ち、第一撮像部21は、第二撮像部22から撮像できない建築物を撮像することができる。そして、移動式クレーン1は、第一撮像部21が生成する第一画像データ及び第二撮像部22が生成する第二画像データ、又は、第一画像データと第二画像データとを合成した三次元の合成画像データを送信用画像データとして、ネットワークNを介して、端末Tに送信する。又、移動式クレーン1は、送信用画像データとともに、建築部材Wの位置に関する情報を端末Tに送信する。端末Tは、移動式クレーン1から受信した情報に基づいて、建築物の出来形を算出することができる。
[実施形態2]
図12及び図13を参照して、本発明の実施形態2に係る移動式クレーン1Bについて説明する。図12は、移動式クレーン1Bを含む出来高データ生成システムのブロック図である。又、図13は、移動式クレーン1の搬送作業の工程を説明するためのフローチャートである。
図12に示すように、移動式クレーン1Bは、ネットワークNを介して端末T及びBIM端末BTに接続されている。端末Tについては、実施形態1と同様である。
<BIM端末>
BIM端末BTは、例示的に、デスクトップ型コンピュータ(パーソナルコンピュータ、ワークステーションなど)、ラップトップ型コンピュータ(パーソナルコンピュータ、ワークステーションなど)、タブレット端末、又は、スマートフォンなどのモバイル装置などであってよい。
BIM端末BTには、BIMアプリケーション(建築設計支援アプリケーションともいう。)がインストールされている。尚、BIMアプリケーションは、ビルディング・インフォメーション・モデリング(BIM)に特化したソフトウェアである。BIMアプリケーションは、建設物(建物又はインフラなど)の計画、設計、構築、及び/又は、管理等を行うことができる、BIMのための種々のソフトウェアであってよい。尚、建築設計支援アプリケーションは、BIMに特化したソフトウェアに限定されず、例示的に、コンストラクション・インフォメーション・モデリング(CIM)、建築物の設計のための2D-CAD、及び3D-CADであってもよい。
BIM端末BTは、クレーンの搬送作業に関する情報(以下、単に「搬送作業に関する情報」と称する。)を記憶していてよい。BIM端末BTは、移動式クレーン1Bからの要求に応じて、移動式クレーン1Bに搬送作業に関する情報を送信してよい。
搬送作業に関する情報は、例示的に、建築部材Wの仮置き位置に関する情報、建築部材Wの諸元に関する情報、及び、建築部材Wの設置位置に関する情報を含んでよい。建築部材Wの諸元に関する情報は、例示的に、製造番号、型番、サイズ、及び、形状等を含んでよい。
BIM端末BTは、建築現場の出来高に関する情報(以下、単に「出来高に関する情報」と称する。)を記憶していてよい。BIM端末BTは、移動式クレーン1Bからの要求に応じて、移動式クレーン1Bに出来高に関する情報を送信してよい。出来高に関する情報は、建築現場において、既に設置されている建築部材に関するデータであってよい。出来高に関する情報は、3Dデータであってもよい。
以下、図13を参照して、本実施形態に係る移動式クレーン1Bの動作について説明する。又、移動式クレーン1Bの構成については、図12を参照して説明する。以下の説明において、既述の実施形態1に係る移動式クレーン1と同様の構成については、説明を省略する。
先ず、図13のステップS301において、移送式クレーン1Bの制御部27Aは、BIM端末BTから、搬送する建築部材Wの諸元に関する情報(以下、単に「諸元に関する情報」と称する。)を取得する。
次に、ステップS302において、移動式クレーン1Bの制御部27Aは、BIM端末BTから、搬送する建築部材Wの仮置き位置に関する情報(以下、単に「仮置き位置に関する情報」と称する。)を取得する。仮置き位置に関する情報は、例示的に、建築部材Wが仮置きされている位置の座標であってよい。
次に、ステップS303において、制御部27Aは、BIM端末BTから、搬送する建築部材Wの設置位置に関する情報(以下、単に「設置位置に関する情報」と称する。)を取得する。設置位置に関する情報は、例示的に、建築部材Wを設置する位置の座標であってよい。尚、ステップS302の制御処理と、ステップS303の制御処理とは、逆の順番で実施されてもよい。
次に、ステップS304において、制御部27Aは、仮置き位置に関する情報が示す位置まで、フック装置1mを自動的に移動させる。
次に、ステップS305において、制御部27Aは、建築部材Wを検知する。具体的には、ステップS305において、制御部27Aは、仮置き位置に関する情報が示す位置(以下、「仮置き位置」と称する。)に置かれている建築部材Wを撮影するように、第一撮像部21及び/又は第二撮像部22を制御する。制御部27Aは、第一撮像部21の第一画像データ及び/又は第二撮像部22の第二画像データと、ステップS301において取得した諸元に関する情報に基づいて、搬送する建築部材Wを検知する。制御部27Aは、第一画像データ及び/又は第二画像データを画像解析することにより、搬送する建築部材Wを検知してよい。
仮置き位置に複数の荷物が置かれている場合には、第一画像データ及び/又は第二画像データに含まれる複数の荷物に関する画像データに基づいて、搬送する荷物を検知してよい。制御部27Aは、搬送する荷物を検知できない場合、検知できないことを示すメッセージを作業者に報知してよい。
次に、ステップS306において、制御部27Aは、フック装置1mを下げるように、ウインチ装置(不図示)を制御する。
次に、ステップS307において、作業者は、フック11m及び搬送前の位置に置かれた建築部材Wに玉掛け用ワイヤロープ1n等を掛ける玉掛け作業を行う。
次に、ステップS308において、制御部27Aは、ステップS303において取得した設置位置に関する情報に基づいて、建築部材Wを設置位置まで自動で搬送する。尚、設置位置に関する情報は、建築部材Wの仮置き位置から設置位置までの移動経路に関する情報であってもよい。
次に、ステップS309において、制御部27Aは、建築部材Wの位置に関する情報を算出する。建築部材Wの位置に関する情報の算出方法については、既述の通りである。制御部27Aは、算出した建築部材Wの位置に関する情報を、順次記憶部24に記憶させてよい。
尚、本実施形態の場合、建築部材Wの位置に関する情報を、以下の方法で算出してもよい。以下、説明の便宜のため、建築現場において、既に設置されている一つの建築部材を、基準部材と定義する。尚、基準部材は、一つの建築部材に限らず、複数の建築部材が組み合された複合部材でもよい。
制御部27Aは、所定のタイミングで、BIM端末BTから、基準部材の諸元(例えば、寸法)に関する情報を取得する。制御部27Aは、搬送中、所定のタイミングで、基準部材を撮影するように、第一撮像部21及び/又は第二撮像部22を制御する。そして、制御部27Aは、第一撮像部21の第一画像データ及び/又は第二撮像部22の第二画像データを画像解析することにより、基準部材の寸法、及び、フック装置1mと基準部材との距離を算出する。以下、画像解析により算出された基準部材の寸法を、算出された基準部材の寸法と称する。
上述の画像解析は、公知の解析方法であってよい。このような画像解析において、種々のパラメータが使用される。これら各パラメータが正確であれば、算出された基準部材の寸法は、BIM端末BTから取得された基準部材の寸法と一致する。ただし、上記各パラメータが不正確であると、算出された基準部材の寸法は、BIM端末BTから取得された基準部材の寸法に対してずれる。又、上記各パラメータが不正確であると、算出したフック装置1mと基準部材との距離も不正確である。
そこで、制御部27Aは、算出された基準部材の寸法がBIM端末BTから取得された基準部材の寸法に対してずれた場合に、このずれに基づいて上記各パラメータを調整する機能を有する。調整後の各パラメータを用いることにより、フック装置1mと基準部材との距離を正確に算出できる。制御部27Aは、算出したフック装置1mと基準部材との距離、及び、基準部材の設置位置に関する情報に基づいて、フック装置1mの位置に関する情報(建築部材Wの位置に関する情報)を算出してよい。尚、制御部27Aは、基準部材の設置位置に関する情報を、BIM端末BTから取得してよい。
次に、ステップS310において、制御部27Aは、設置位置に関する情報が示す位置(以下、単に、「設置位置」と称する。)の周辺環境を撮影するように、第一撮像部21及び/又は第二撮像部22を制御する。制御部27Aは、搬送中の建築部材Wと設置位置との距離が、所定距離以内である場合に、周辺環境の撮影を開始してよい。制御部27Aは、第一撮像部21の第一画像データ及び/又は第二撮像部22の第二画像データを、時系列に沿って記憶部24に記憶してよい。
次に、ステップS311において、制御部27Aは、建築部材Wの搬送が終了したか否かを判定する。制御部27Aは、ステップS309で算出した建築部材Wの位置に関する情報と、ステップS303で取得した設置位置に関する情報とに基づいて、建築部材Wの搬送が終了したか否かを判定してよい。
建築部材Wの搬送が終了している場合(ステップS311において“YES”)、制御部27Aは、制御処理をステップS312に移行する。建築部材Wの搬送が終了していない場合(ステップS311において“NO”)、制御部27Aは、制御処理をステップS309に移行する。
以上のように、制御部27Aにより建築部材Wの位置に関する情報を算出する処理(つまり、ステップS309)は、移動式クレーン1Bによる建築部材Wの搬送中、連続的又は所定間隔で間欠的に実施されてよい。従って、建築部材Wの位置に関する情報(移動ログともいう。)は、記憶部24に時系列に沿って記憶されてよい。又、周辺環境を撮影する処理は、搬送中の建築部材Wと設置位置との距離が所定距離以内である場合に、連続的又は所定間隔で間欠的に実施されてよい。
次に、ステップS312において、作業者は、建築部材Wから玉掛け用ワイヤロープ1nを外す。
次に、ステップS313において、作業者は、搬送された建築部材の設置作業を行う。
そして、ステップS314において、制御部27Aは、送信画像データ(第一画像データ及び/又は第二画像データ)を、ネットワークNを介して、端末T(図2参照)に送信する。ステップS314において、制御部27Aは、送信画像データとともに、建築部材Wの移動ログを、端末Tに送信してよい。端末Tにおいて実施される建築物の出来高を算出する方法については、実施形態1と同様である。
<本実施形態の作用・効果>
以上のような構成を有する本実施形態の移動式クレーン1Bによれば、搬送作業に関する種々の情報を、BIM端末BTから取得することにより、移動式クレーン1Bの自動化を実現できる。