〔1 第1実施形態の構成〕
以下、図面を参照して、本発明の第1実施形態を説明する。この実施形態では、本発明に係るメンテナンス管理装置を適用した水処理システムについて説明する。図1は、本実施形態の水処理システム1を示す概略構成図である。図2は、薬剤供給装置300の概略構成図である。図3は、水処理システム1の制御に係る機能ブロック図である。
〔1.1 第1実施形態の全体構成〕
図1に示すように、本実施形態の水処理システム1は、空調機や冷凍機に組み込まれた熱交換器等の被冷却装置131を冷却するために、循環水W2(冷却水)を循環させるシステムである。水処理システム1の運転中、循環水W2は、冷却塔120で冷却されながら循環して用いられる。循環水W2は、蒸発、飛散及びブローダウン処理(後述)等により減少した分が外部から補給される。本実施形態において、産業用設備としての冷却塔120は、いわゆる開放式冷却塔である。
本実施形態の水処理システム1は、主な構成として、冷却塔120と、被冷却装置131と、薬品濃度センサ133と、電気伝導率センサ(以下、「ECセンサ」ともいう)134と、流量センサ135と、薬剤供給装置300と、システム制御ユニット100と、メンテナンス管理ユニット200とを備える。また、水処理システム1は、主なラインとして、循環水ラインL110と、補給水ラインL120と、排水ラインL130と、を備える。「ライン」とは、流路、経路、管路等の流体の流通が可能なラインの総称である。
冷却塔120は、補給水W1が供給されると共に、この補給水W1を循環水W2として被冷却装置131へ供給し、被冷却装置131から回収(返送)される循環水W2を冷却する設備である。冷却塔120は、塔本体121と、貯留部122と、を備える。冷却塔120及び循環水ラインL110は、循環水系を構成する。すなわち、本実施形態において循環水W2とは、冷却塔120に貯留される水及び循環水ラインL110を流通する水を含み、被冷却装置131を冷却する冷却水として用いられる水を示す。
塔本体121は、冷却塔120の外郭を形成する筐体である。塔本体121は、散水部、ファン、開口部、ルーバー、充填材等からなる循環水冷却部(不図示)を有する。循環水W2は、循環水冷却部により冷却され、貯留部122に落下する。
貯留部122は、循環水冷却部で冷却された循環水W2を貯留する部位である。貯留部122は、塔本体121の下部に設けられている。貯留部122の底部には、循環水ラインL110の循環水供給ラインL111(後述)が接続されている。貯留部122に貯留された循環水W2は、電気伝導率センサ134が浸漬されていると共に、給水栓137及びブローダウン処理において使用されるオーバーフロー口138が設けられている。
電気伝導率センサ134は、貯留部122に貯留された循環水W2の水質を測定して、検出電気伝導率値として出力する装置である。電気伝導率センサ134は、システム制御ユニット100と電気的に接続されている。電気伝導率センサ134で測定された検出電気伝導率値は、システム制御ユニット100へ送信される。電気伝導率センサ134は、リアルタイムで循環水W2の電気伝導率を測定し、システム制御ユニット100へ電気伝導率を送信する。なお、電気伝導率センサ134で測定された電気伝導率は、システム制御ユニット100を介して薬剤供給装置300にも送信される。
循環水ラインL110は、冷却塔120と被冷却装置131との間で循環水W2を循環させるラインである。循環水ラインL110は、循環水供給ラインL111と、循環水回収ラインL112と、循環水検出ラインL113とを有する。
循環水供給ラインL111の途中には、循環水ポンプ132が設けられている。循環水ポンプ132は、循環水ラインL110(循環水供給ラインL111、循環水回収ラインL112、循環水検出ラインL113)の上流側から下流側へ向けて、循環水W2を送り出すことができる。循環水ポンプ132の運転は、冷却塔120及び後述の被冷却装置131の運転制御内で実行される。循環水ポンプ132は、システム制御ユニット100と電気的に接続されている。このため、循環水ポンプ132の運転信号は、システム制御ユニット100によって取得可能である。
循環水回収ラインL112は、被冷却装置131と塔本体121との間を接続するラインである。被冷却装置131において熱交換により加温された循環水W2は、循環水回収ラインL112を介して塔本体121の循環水冷却部(不図示)に回収される。
被冷却装置131は、循環水W2による冷却が必要な熱交換器等の各種装置である。被冷却装置131は、冷却塔120で冷却された循環水W2を使用して冷却される。被冷却装置131は、例えば、各種の化学プラントのターボ冷凍機や吸収冷凍機、建築物の空調用冷却機、食品工場の冷水製造機や真空冷却機等である。
被冷却装置131において、循環水流路の一方の端部には、循環水供給ラインL111の下流側の端部が接続されている。また、被冷却装置131において、循環水流路の他方の端部には、循環水回収ラインL112の上流側の端部が接続されている。
また、循環水供給ラインL111の分岐部J1からは、循環水検出ラインL113が分岐する。循環水検出ラインL113は、循環水W2の薬品濃度を検出するためのラインであり、薬品濃度が検出された後の循環水W2は、冷却塔120の貯留部122に流入する。循環水検出ラインL113には、薬品濃度センサ133が設けられている。
薬品濃度センサ133は、後述のように、薬剤供給装置300によって供給される薬剤の、循環水W2中の濃度を検出するセンサである。薬品濃度センサ133は、システム制御ユニット100と電気的に接続されている。薬品濃度センサ133で検出された薬品濃度値は、システム制御ユニット100へ送信される。本実施形態においては、薬品濃度センサ133は、所定の時間間隔で、薬品濃度値を検出すると共に、システム制御ユニット100へ薬品濃度値を送信する。薬剤の詳細については、後述する。
薬剤供給装置300は、貯留部122内の循環水W2に、スケール防止剤、防食剤、殺菌剤等の薬剤を供給する薬注処理を実行可能な装置である。薬剤供給装置300は、薬剤供給ラインL140を介して貯留部122に接続されている。薬剤供給装置300は、システム制御ユニット100と電気的に接続されている。薬剤供給装置300の構成については、後に詳細に説明する。
スケール防止剤は、水中でのスケールの成長、或いは配管表面等へのスケールの堆積を防止するために用いられる化合物である。防食剤は、主に配管系等における全面腐食、或いはピッチング等の部分腐食の発生を抑制するために用いられる化合物である。殺菌剤は、水中における微生物の繁殖を抑制するために用いられる化合物であり、スライムコントロール剤とも呼ばれる。本実施形態では、スケール防止剤、防食剤、及び殺菌剤を総称して「薬剤」又は「薬剤W3」という。
スケール防止剤、防食剤、及び殺菌剤は、例えば一液型のマルチ薬剤として提供され、薬剤タンク330、薬剤供給ポンプ350及び薬剤供給ラインL140(いずれも後述)から貯留部122に供給される。
薬剤供給ラインL140は、薬剤W3を貯留部122へ供給するラインである。薬剤供給ラインL140の上流側の端部は、薬剤供給ポンプ350(後述)の吐出口に接続されている。薬剤供給ラインL140の下流側の端部は、貯留部122に接続されている。
また、冷却塔120には、補給水ラインL120が接続されている。補給水ラインL120は、補給水W1を貯留部122(循環水系)へ補給するラインである。補給水ラインL120は、上流側に第1補給水ラインL121を備え、下流側に第2補給水ラインL122及び第3補給水ラインL123を備える。第1補給水ラインL121は、水道水や工業用水等の補給水W1の供給源(不図示)に接続されている。補給水ラインL120は、分岐部J2において、第2補給水ラインL122及び第3補給水ラインL123に分岐している。
第1補給水ラインL121には、流量検出手段としての流量センサ135が接続されている。流量センサ135は、第1補給水ラインL121を流通する補給水W1の単位時間当たりの流量を検出する機器である。流量センサ135として、例えば、流路ハウジング内に軸流羽根車又は接線羽根車(不図示)を配置したパルス発信式の流量センサを用いることができる。
本実施形態で用いられるパルス発信式の流量センサは、偶数枚の羽根の先端部分がN極とS極とに交互に着磁された羽根車を備える。パルス発信式の流量センサは、この羽根車の回転をホールICで検出することにより、補給水W1の流速に比例した時間幅のパルス信号を出力する。ホールICは、電圧レギュレータ、ホール素子、増幅回路、シュミットトリガ回路、出力トランジスタ等がパッケージ化された電子回路である。この電子回路は、羽根車の回転運動に伴う磁束変化に応答して、羽根車が1回転する毎に矩形波のパルス信号を検出水量値として出力する。羽根車が1回転するときの流量[L/パルス]は、流量センサの設計仕様により決まる。そのため、薬剤供給装置300の薬注制御部311(後述)は、流量センサ135から出力されるパルス信号に基づいて、補給水W1の補給水量[L]を算出することができる。
例えば、流量センサ135において、羽根車が1回転するときの流量を1[L]としたときに、流量センサ135から出力されたパルス信号の数が3パルスであれば、補給水W1の補給水量は3[L]となる。
流量センサ135は、薬剤供給装置300を構成する機器の一つである。流量センサ135は、薬剤供給装置300と電気的に接続されている。流量センサ135から出力されたパルス信号は、薬剤供給装置300へ送信される。
第2補給水ラインL122の下流側の端部は、塔本体121に接続されている。第2補給水ラインL122において、分岐部J2と冷却塔120との間には、補給水弁としての補給水バルブ136が設けられている。補給水バルブ136の種類としては、例えば、ソレノイド駆動の電磁弁、モータ駆動の電動弁、圧縮エア駆動の弁等を挙げることができる。
補給水バルブ136は、第2補給水ラインL122を開閉することができる。第2補給水ラインL122を開くことにより、補給水W1を貯留部122に強制的に供給することができる。補給水バルブ136は、システム制御ユニット100と電気的に接続されている。補給水バルブ136の開閉状態は、システム制御ユニット100から出力されるバルブ駆動信号により制御される。補給水バルブ136を開状態とすることにより、第2補給水ラインL122を開くことができる。補給水バルブ136を閉状態とすることにより、第2補給水ラインL122を閉じることができる。
第3補給水ラインL123の下流側の端部は、塔本体121に接続されている。第3補給水ラインL123の下流側の端部には、給水栓137が設けられている。給水栓137は、貯留部122内の循環水W2の水位(すなわち、水量)を管理するボールタップ式の給水設備である。循環水W2の蒸発及び飛散により貯留部122の水位が低下すると、給水栓137のボールタップが作動し、第3補給水ラインL123を流通する補給水W1が貯留部122に補給される。
排水ラインL130は、貯留部122の内部に略垂直に取り付けられている。排水ラインL130は、貯留部122から更に下方に延びている。排水ラインL130の上流側の端部は、循環水W2のオーバーフロー口138を形成する。オーバーフロー口138は、給水栓137の管理水位よりも上方に開口する。一方、排水ラインL130の下流側の端部は、貯留部122の外部に通じている。排水ラインL130は、ブローダウン処理において、補給水バルブ136が開状態となり、補給水W1を強制的に供給した場合に、貯留部122から溢れた循環水W2を系外に排出するラインである。
上記構成において、補給水バルブ136を開状態とすることにより、補給水W1を冷却塔120に補給しながら、循環水W2の一部を冷却塔120から外部に排出するブローダウン処理を実行することができる。補給水バルブ136は、循環水W2の水質が悪化した場合に開状態に制御され、第2補給水ラインL122を通じて新鮮な補給水W1を貯留部122に強制的に補給しながら、貯留部122に貯留された循環水W2の一部を排水ラインL130から外部に排出するブロー手段として機能する。
また、上記構成において、薬品濃度センサ133は、循環水検出ラインL113に設置されており、電気伝導率センサ134は、冷却塔120の貯留部122に浸漬されているが、これは一例であって、これには限定されない。例えば、薬品濃度センサ133と電気伝導率センサ134の双方が、循環水検出ラインL113に設置されていてもよく、冷却塔120の貯留部122に浸漬されていてもよい。
すなわち、薬品濃度センサ133は、被冷却装置131へ供給されると共に被冷却装置131から返送される、循環水ラインL110を流通する循環水W2、及び/又は、冷却塔120の貯留部121に貯留される循環水W2中の薬剤の濃度を検出する。同様に、電気伝導率センサ134は、被冷却装置131へ供給されると共に被冷却装置131から返送される、循環水ラインL110を流通する循環水W2、及び/又は、冷却塔120の貯留部121に貯留される循環水W2の水質を測定して、検出電気伝導率値として出力する。
〔1.2 薬剤供給装置300の構成〕
次に、図2を参照して、薬剤供給装置300の構成について詳細に説明する。
図2に示すように、薬剤供給装置300は、主な構成として、薬注制御ユニット310と、流量センサ135と、薬剤タンク330と、薬剤供給ポンプ350と、を備える。このうち、薬剤タンク330及び薬剤供給ポンプ350は、本発明における薬剤供給手段を構成する。
まず、薬剤供給装置300の制御系の構成について説明する。薬注制御ユニット310は、流量センサ135と電気的に接続される。薬注制御ユニット310において、各測定装置から受信した最新の測定情報は、適宜、メモリ320に記憶される。
薬注制御ユニット310は、薬剤供給システム制御ユニットとしての薬注制御部311と、計時部312と、メモリ320と、を備える。薬注制御ユニット310における薬注制御部311及び計時部312の各機能は、CPU及び内部メモリ含むマイクロプロセッサ(不図示)により実現される。なお、本実施形態において、システム制御ユニット100は、薬剤供給装置300に搭載されており、システム制御ユニット100と薬注制御ユニット310の間で各種の測定値や制御状態等の情報を共有する。
薬注制御部311は、流量センサ135から出力されたパルス信号に基づいて補給水W1の補給水量を算出する。そして、薬注制御部311は、算出した補給水W1の補給水量に比例した投入量の薬剤W3が循環水W2に供給されるように、薬剤供給ポンプ350において薬注処理(以下、「流量比例薬注処理」ともいう)を実行させる。
具体的には、薬注制御部311は、流量センサ135から出力されるパルス信号の数をカウントする。そして、薬注制御部311は、カウントしたパルス信号の数(以下、「パルス信号数」ともいう)が所定のパルス信号数に達する毎に、そのパルス信号数(補給水量)に比例した投入量の薬剤W3が循環水W2に供給されるように、薬剤供給ポンプ350(後述)にポンプ駆動信号を出力する(分周制御)。これにより、薬剤供給装置300において、薬注処理が実行される。
なお、薬注制御部311において、流量センサ135からパルス信号が一つ出力される毎に、所定量の薬剤が循環水W2に供給されるように、薬注処理を複数回繰り返し実行してもよい(カウンタ制御)。
薬注制御部311は、算出した薬剤の投入量に対応したパルス幅を有するポンプ駆動信号を薬剤供給ポンプ350に出力する。これにより、薬剤供給ポンプ350では、薬注制御部311から出力されたポンプ駆動信号のパルス幅の期間(運転時間)に亘って、指定されたストローク数で薬剤の投入が実行される。この動作により、薬剤タンク330から必要量の薬剤W3が循環水W2に供給される。
薬注制御部311は、ブローダウン処理が実行中であれば、ブローダウン処理が終了するまで薬注処理の実行を待機する。そして、薬注制御部311は、ブローダウン処理の終了後に、ブローダウン処理の実行期間中に検出された補給水量に比例した投入量の薬剤W3が循環水W2に供給されるように、薬注処理を実行する。
計時部312は、薬注処理における予め設定された薬剤投入時間及び薬剤投入間隔を交互に計時する。計時部312は、薬剤投入時間とは、循環水W2に薬剤を供給する時間、すなわち薬剤供給ポンプ350の運転時間である。薬剤投入間隔とは、循環水W2に薬剤を供給しない期間、すなわち薬剤供給ポンプ350の運転を停止している期間である。
計時部312は、ポンプ駆動信号が出力されたことを薬注制御部311から通知されると、薬剤投入時間の計時をスタートする。また、計時部312は、ポンプ駆動信号の出力が停止したことを薬注制御部311から通知されると、薬剤投入時間の計時をストップする。計時部312は、計時した薬剤投入時間をメモリ320に記憶させる。
計時部312は、ポンプ駆動信号の出力が停止したことを薬注制御部311から通知されると、薬剤投入間隔の計時をスタートする。また、計時部312は、ポンプ駆動信号が出力されたことを薬注制御部311から通知されると、薬剤投入時間の計時をストップする。計時部312は、計時した薬剤投入間隔をメモリ320に記憶させる。
メモリ320は、薬注処理に関する各種のデータを記憶する記憶装置である。例えば、メモリ320には、薬剤投入時間、薬剤投入間隔、薬注処理を実行させるための制御プログラム等が記憶される。
薬剤タンク330は、内部に薬剤を貯留可能な容器である。薬剤タンク330の内部には、レベルセンサ340が設けられている。また、薬剤タンク330には、薬剤供給ポンプ350が接続されている。薬剤タンク330及び薬剤供給ポンプ350は、貯留部122に薬剤を供給する薬剤供給処理を実行可能である。
レベルセンサ340は、薬剤タンク330内の薬剤の液位(すなわち、液量)を検出する機器である。レベルセンサ340は、薬注制御ユニット310と電気的に接続されている。レベルセンサ340は、薬剤タンク330内の薬剤の液位に応じたレベル信号を出力する。レベルセンサ340から出力されたレベル信号は、薬注制御ユニット310に送信される。薬注制御ユニット310は、レベル信号が満水液位Aから減少して、設定液位Bに満たなくなると、例えば、警報器に警報を一定時間発生させて、管理者に薬剤の補充を促す。
薬剤供給ポンプ350は、薬剤タンク330内の薬剤W3を、薬剤供給ラインL140を介して貯留部122に向けて送出する装置である。本実施形態の薬剤供給ポンプ350は、電磁駆動ダイアフラム式の定量ポンプである。薬剤供給ポンプ350として、電磁駆動ダイアフラム式の定量ポンプを用いた場合、ダイアフラム弁(不図示)が往復運動することにより、薬剤W3が断続的に薬剤供給ラインL140へ押し込まれる。その結果、薬剤供給ラインL140の上流側では圧力が上昇するため、薬剤W3は、薬剤供給ラインL140の下流側から貯留部122に吐出される。
薬剤供給ポンプ350は、ダイアフラム弁の1ストローク当たりの吐出流量[mL/ストローク]を所定値に設定し、かつストローク数[ストローク/分]を増減することにより、薬剤の吐出流量[mL/分]を調節できる。ストローク数とは、単位時間当たりにダイアフラム弁が往復運動する回数をいい、1往復が1ストロークに相当する。薬剤供給ポンプ350は、薬注制御部311(薬注制御ユニット310)と電気的に接続されている。薬剤供給ポンプ350は、薬注制御部311からポンプ駆動信号(パルス信号)が出力されると、そのパルス幅の期間(以下、「運転時間」ともいう)に亘って、指定されたストローク数での薬剤の投入を実行する。
なお、本実施形態では、スケール防止剤、防食剤、及び殺菌剤を配合した一液型のマルチ薬剤を、一つの薬剤供給装置300から貯留部122に供給する例について説明する。化合物の特性により一液に配合することが困難な場合には、スケール防止剤、防食剤、及び殺菌剤を、それぞれ個別の薬剤供給装置から貯留部122に供給してもよい。
薬剤供給ラインL140には、フローチェッカ141及びチェックバルブ142が設けられている。
フローチェッカ141は、薬剤供給ラインL140における薬剤W3の流通状態を検出する機器である。フローチェッカ141は、薬注制御ユニット310と電気的に接続されている。フローチェッカ141は、薬剤供給ラインL140を薬剤W3が適正に流通していないことを検出した場合、薬注制御ユニット310に検出信号を送信する。例えば、薬剤供給ラインL140に気泡や固形物が混入し、一時的に薬剤W3の流通が滞った場合には、フローチェッカ141から薬注制御ユニット310に閉塞検出信号が送信される。フローチェッカ141は、薬剤供給ラインL140において、薬剤タンク330とチェックバルブ142との間に設けられている。
チェックバルブ142は、薬剤の流通方向を規制する弁である。チェックバルブ142は、薬剤タンク330から貯留部122に向けて薬剤W3が圧送されるときには、弁体が開き、貯留部122から逆流が起こったときには、弁体が閉じる。チェックバルブ142は、薬剤供給ラインL140と貯留部122との接続部分に設けられている。
〔1.3 水処理システム1の制御〕
次に、図3を参照して、水処理システム1の制御に係る機能について説明する。
システム制御ユニット100は、水処理システム1における各部の動作を制御する。図3に示すように、システム制御ユニット100は、例えば、薬剤供給装置300、補給水バルブ136と電気的に接続される。
また、システム制御ユニット100は、水処理システム1の各測定装置と電気的に接続され、これら測定装置から測定情報を受信する。例えば、システム制御ユニット100は、測定装置としての薬品濃度センサ133、電気伝導率センサ134、流量センサ135、及びレベルセンサ340と電気的に接続される。システム制御ユニット100において、各測定装置から受信した最新の測定情報は、適宜、後述のメンテナンス管理ユニット200が備えるメモリ250に記憶される。
システム制御ユニット100は、ブロー制御部110を備える。システム制御ユニット100におけるブロー制御部110の機能は、CPU及び内部メモリを含むマイクロプロセッサ(不図示)により実現される。
ブロー制御部110は、電気伝導率センサ134によって検出される電気伝導率が予め設定された上限閾値となった場合に、補給水バルブ136を開としてブローダウン処理を実行し、予め設定された下限閾値となった場合に、補給水バルブ136を閉としてブローダウン処理を終了する。
メンテナンス管理ユニット200は、水処理システム1におけるメンテナンスを管理する。なお、メンテナンス管理ユニット200は、システム制御ユニット100と互いに通信可能であり、これにより、システム制御ユニット100を介して、薬品濃度センサ133、電気伝導率センサ134、流量センサ135、及びレベルセンサ340による検出値を取得することが可能である。なお、メンテナンス管理ユニット200は、クラウド上に備わってもよい。また、システム制御ユニット100とメンテナンス管理ユニット200とは、別体として構成されてもよく、同一の筐体内に備わる構成としてもよい。
メンテナンス管理ユニット200は、異常検知部210と、対処方法取得部220と、対処方法分類部230と、対応方針決定部240と、メモリ250と、を備える。メンテナンス管理ユニット200における異常検知部210と、対処方法取得部220と、対処方法分類部230と、対応方針決定部240の機能は、CPU及び内部メモリを含むマイクロプロセッサ(不図示)により実現される。
異常検知部210は、薬品濃度センサ133、電気伝導率センサ134、流量センサ135、及びレベルセンサ340による検出値に基づいて、水処理システム1で発生している事象を判定する。より詳細には、異常検知部210は、後述のように、メモリ250に記憶されている、各検出値と閾値との比較結果の組み合わせと、水処理システム1で発生している事象との対応関係情報(以降では、これを「第一対応関係情報」と呼称する)を参照することにより、各事象の発生を判定する。
対処方法取得部220は、異常検知部210によって異常が検知された際に、検知された異常と、異常が発生した冷却塔120の付帯情報とに基づいて、後述のように、メモリ250に記憶されている、異常と異常への対処方法と付帯情報と対処方法の要求度との対応関係情報(以降では、これを「第二対応関係情報」と呼称する)を参照することにより、対処方法を要求度と共に取得する。
ここで、付帯情報は、冷却塔120の位置情報、冷却塔120の稼働時間情報、冷却塔120で使用される薬品情報及び薬注システム情報、冷却塔120に設置される負荷設備情報のうち少なくとも一つを含む。
「稼働時間情報」は、冷却塔120が稼働している時間に関する情報を含む。「薬品情報」は、冷却塔120で使用される薬品の種類、及び薬品濃度基準値に係る情報を含む。「薬注システム情報」は、薬注装置の台数、目標濃縮倍率、目標電気伝導率に係る情報を含む。「負荷設備情報」は、被冷却装置131の種類(例:冷凍機、コンプレッサ等)、被冷却装置131の運転時間に係る情報を含む。
また、対処方法の要求度は、対処方法の困難度と対処方法の緊急度とによって定まる。
対処方法の困難度は、対処方法の危険性、冷却塔120と負荷設備との関連性の有無、対処方法を実行可能な人員の熟練度のうち少なくとも一つ以上によって分類される。
更に、対処方法の危険性は、冷却塔120が屋上設置か否か、及び使用薬品の特性等によって定まる。また、負荷設備との関連性は、負荷設備と冷却塔120との対応関係、負荷設備運転制御との同期の有無等によって定まる。また、熟練度は、指示通りの作業のみで対応可能か否か、状況判断を必要とするか否か、及び専門的な知識が必要とされるか否かによって定まる。
対処方法の緊急度は、水処理システム1におけるスケール及び/又はスライムの発生予測時期によって定まる。
対処方法分類部230は、対処方法取得部220によって取得された対処方法を要求度に応じてクラス分けする。例えば、対処方法分類部230は、後述のように要求度を用いて、同じ数値の要求度を有する複数の対処方法が同じクラスとなるように、クラス分けする。
対応方針決定部240は、対処方法分類部230によって分類されたクラスに応じて、一つ以上の対処方法の優先順位を算出し、算出された優先順位に基づいて、一つ以上の対処方法を実行する対応方針を決定する。例えば、対応方針決定部240は、一つ以上の対処方法について、優先順位の高い対処方法から順に実行する対処方針を決定する。
メモリ250は、冷却塔120の付帯情報、各検出値と閾値との比較結果の組み合わせと、水処理システム1で発生している事象との第一対応関係情報、及び、異常と異常への対処方法と付帯情報と対処方法の要求度との第二対応関係情報を記憶する。
冷却塔120の付帯情報は、上記の繰り返しとなるが、冷却塔120の位置情報、冷却塔120の稼働時間情報、冷却塔120で使用される薬品情報及び薬注システム情報、冷却塔120に設置される負荷設備情報のうち少なくとも一つを含む。
図4は、第一対応関係情報の例を示す。なお、後述のように複数の水処理システム1が連携することにより、まとめてメンテナンス管理を実行する場合には、各水処理システム1のメモリ250は、共通の第一対応関係情報を記憶してもよい。
図4の(a)列に示すように、薬品濃度センサ133によって検出される薬品濃度が閾値よりも低いと共に、流量センサ135によって検出される補給水W1の積算流量が正常範囲にあり、電気伝導率センサ134によって検出される循環水W2の電気伝導率が正常範囲にあり、レベルセンサ340によって検出される薬剤タンク330内の薬剤の液位が正常範囲内にあるために、以下の数式(1)によって算出される計算薬品濃度が正常範囲にある場合、とりわけ、薬剤の液位が正常範囲にあると共に、計算薬品濃度が正常範囲にある場合には、薬品濃度センサに汚れが付着している可能性が高いとする。
計算薬品濃度(g/m3)=薬品液位差から算出される薬品使用量(g)/補給水量(m3)×電気伝導率から算出される濃縮倍率 (1)
図4の(b)列に示すように、薬品濃度センサ133によって検出される薬品濃度が閾値よりも高いと共に、流量センサ135によって検出される補給水W1の積算流量が正常範囲にあり、電気伝導率センサ134によって検出される循環水W2の電気伝導率が正常範囲にあり、レベルセンサ340によって検出される薬剤タンク330内の薬剤の液位が正常範囲内にあるために、上記の数式(1)によって算出される計算薬品濃度が正常範囲にある場合には、電気伝導率センサ134に汚れが付着している可能性が高いとする。
図4の(c)列に示すように、薬品濃度センサ133によって検出される薬品濃度が閾値よりも低いと共に、流量センサ135によって検出される補給水W1の積算流量が正常範囲にあり、電気伝導率センサ134によって検出される循環水W2の電気伝導率が正常範囲にあり、レベルセンサ340によって検出される薬剤タンク330内の薬剤の液位が正常範囲内にあるものの、上記の数式(1)によって算出される計算薬品濃度が閾値よりも低い場合には、薬剤供給装置300からの薬剤の吐出に不良が発生しているとする。
異常検知部210は、薬品濃度センサ133、電気伝導率センサ134、流量センサ135、及びレベルセンサ340からの検出値が入力されると、メモリ250に記憶された上記の対応関係を参照することにより、水処理システム1において発生している事象を判定する。
図5は、第二対応関係情報の例を示す。なお、後述のように複数の水処理システム1が連携することにより、まとめてメンテナンス管理を実行する場合には、各水処理システム1のメモリ250は、共通の第二対応関係情報を記憶してもよい。
図5に示す第二対応関係情報を示す表の例においては、異常検知部210によって検知された異常の種類、及び、各異常の種類に対応する対処方法、更には、各対処方法が、付帯情報に応じて、どの要求度となるかが示される。
付帯情報の欄は、冷却塔120の位置情報、冷却塔120で使用される薬品情報及び薬注システム情報、冷却塔120に設置される負荷設備情報から構成される。
また、図5の例において、要求度の欄は、困難度から構成される。
対処方法取得部220は、異常検知部210によって異常が検知された際に、図5の表を参照し、検知された異常と、異常が発生した冷却塔120の付帯情報とを、図5の表内でマッチングすることにより、対応する対処方法を要求度と共に取得する。
なお、図5の困難度に加えて、更に緊急度を考慮することにより、対処すべき訪問順や訪問時期等の要素を要求度に反映させてもよい。
また、上記の構成において、少なくとも、薬品濃度センサ133と、電気伝導率センサ134と、流量センサ135と、レベルセンサ340と、メンテナンス管理ユニット200とを、まとめて、「メンテナンス管理装置20」と呼称する。
図6は、メンテナンス管理装置20を複数備える、メンテナンス管理システム10の全体構成例を示す。図6に示すように、メンテナンス管理システム10は、複数台のメンテナンス管理装置20A~20Nと、収集サーバ30と、計画生成装置35と、ネットワーク40と備える。
ここで、収集サーバ30と計画生成装置35とは1対1の組とされて、通信可能に接続されている。また、メンテナンス管理装置20A~20Nと収集サーバ30とは、それぞれネットワーク40に接続されており、ネットワーク40を介して相互に通信を行うことが可能である。ネットワーク40は、例えば、LAN(Local Area Network)や、インターネット、公衆電話網、或いは、これらの組み合わせである。ネットワーク40における具体的な通信方式や、有線接続及び無線接続のいずれであるか等については、特に限定されない。なお、メンテナンス管理装置20A~20Nと収集サーバ30とは、ネットワーク40を用いた通信ではなく、接続部を介して直接接続してもよい。
収集サーバ30は、メンテナンス管理装置20A~20Nの各々から、各メンテナンス管理装置20A~20Nによって決定された対応方針を収集する。
計画生成装置35は、収集サーバ30によって収集された一つ以上の対応方針に基づいて、メンテナンス計画を生成する。より詳細には、計画生成装置35は、メンテナンス管理装置20A~20Nの各々が含まれる水処理システム1A~1Nのメンテナンス方法を、包括的に一つにまとめたメンテナンス計画を生成する。
〔1.4 第1実施形態が奏する効果〕
上述した本実施形態に係る水処理システム1のメンテナンス管理装置によれば、例えば、以下のような効果が得られる。
本実施形態に係る水処理システム1のメンテナンス管理装置は、冷却塔120の属性値と水処理システム1で発生する異常との第一対応関係情報、冷却塔120の付帯情報、及び、異常と異常への対処方法と付帯情報と対処方法の要求度との第二対応関係情報を記憶するメモリ250と、属性値を測定する複数のセンサと、測定された属性値に基づいて、第一対応関係情報を参照することにより、異常を検知する異常検知部210と、異常が検知された際に、検知された異常と、異常が発生した冷却塔120の付帯情報とに基づいて、第二対応関係情報を参照することにより、対処方法を要求度と共に取得する対処方法取得部220と、対処方法を要求度に応じてクラス分けする対処方法分類部230と、クラスに基づいて対処方法の優先順位を算出し、算出された優先順位に基づいて、一つ以上の対処方法を実行する対応方針を決定する対応方針決定部240を備える。
これにより、現場に赴くことなく、適切なメンテナンスのクラス分けをし、指示書において適切なメンテナンス人員を選定することで、経済的でかつ効果的な冷却塔の水処理を実現可能とする。
また、本実施形態に係る水処理システム1のメンテナンス管理装置において、付帯情報は、冷却塔120の位置情報、冷却塔120の稼働時間情報、冷却塔120で使用される薬品情報及び薬注システム情報、冷却塔120に設置される負荷設備情報のうち少なくとも一つを含む。
これにより、対処方法を決定する際に参照される付帯情報に、冷却塔の使用状況が含まれることにより、冷却塔の使用状況に応じて、対処方法を変更することが可能となる。
また、本実施形態に係る水処理システム1のメンテナンス管理装置において、要求度は、少なくとも対処方法の困難度によって定まり、困難度は、対処方法の危険性、冷却塔120と負荷設備との関連性の有無、及び対処方法を実行可能な人員の熟練度のうち少なくとも一つ以上によって分類される。
これにより、メンテナンスの要求度として困難度を用いると共に、この要求度に基づいてメンテナンスをクラス分けすることで、限られたメンテナンス資源を効率的に配置活用できる。
また、本実施形態に係る水処理システム1のメンテナンス管理装置において、熟練度は、指示通りの作業のみで対応可能か否か、状況判断を必要とするか否か、及び専門的な知識が必要とされるか否かによって分類される。
これにより、水処理システムで発生した異常の種類に応じて、適切な熟練度の人員で、水処理システムのメンテナンスを実行することが可能となる。
また、本実施形態に係る水処理システム1のメンテナンス管理装置において、要求度は、更に対処方法を実行する緊急度によって定まる。
これにより、メンテナンスの要求度として緊急度を用いると共に、この要求度に基づいてメンテナンスをクラス分けすることで、限られたメンテナンス資源を効率的に配置活用できる。その結果、メンテナンス実施までの待ち時間が短縮でき、迅速な対応ができる。
また、本実施形態に係る水処理システム1のメンテナンス管理装置において、緊急度は、前記水処理システムにおけるスケール及び/又はスライムの発生予測時期によって定まる。
これにより、スケール及び/又はスライムの発生予測時期が迫っている場合には、異常への対処の緊急性を高めることにより、スケール及び/又はスライムの発生を未然に防ぐことが可能となる。
また、本実施形態に係るメンテナンス管理システム10は、上記のメンテナンス管理装置20と、メンテナンス管理装置20から対応方針を収集する収集サーバ30と、複数の対応方針に基づいて、メンテナンス計画を生成する計画生成装置35と、を備える。
これにより、広範囲にわたって分散する冷却塔施設を、まとめて効率的にメンテナンスすることが可能となる。また、メンテナンス計画に、要求度の低い段階における予防措置を含めておくことにより、結果として効率化が図れる。
〔2 変形例〕
以下、図面を参照して、変形例を説明する。なお、変形例に係る水処理システム1Aの全体構成は、変形例に係る水処理システム1と基本的に同一であるため、その図示と説明を省略する。
第1実施形態に係る水処理システム1では、流量センサ135によって検出される補給水W1の検出水量値に応じて、流量センサ135から出力されるパルス信号に応じて、薬剤供給装置300による薬注を制御する、「流量比例薬注」を実行していた。
一方、変形例に係る水処理システム1Aでは、薬品濃度センサ133によって検出される、循環水W2中の薬剤W3の濃度が下限値となると薬注を実行し、上限値となると薬注を停止する、「薬品濃度比例薬注」を実行する。
水処理システム1Aは、水処理システム1が備える薬剤供給装置300の代わりに薬剤供給装置300Aを備える。図7は、薬剤供給装置300Aの概略構成図である。以下では、説明の簡略化のため、主として、薬剤供給装置300Aが、薬剤供給装置300と相違する点について説明する。
〔2.1 薬剤供給装置300Aの構成〕
薬注制御部311は、薬品濃度センサ133から出力された薬剤W3の濃度に基づく投入量の薬剤W3が循環水W2に供給されるように、薬剤供給ポンプ350において薬注処理(「薬品濃度比例薬注処理」)を実行させる。
具体的には、薬注制御部311は、薬品濃度センサ133から出力された薬剤W3の濃度に比例した投入量の薬剤W3が循環水W2に供給されるように、薬剤供給ポンプ350にポンプ駆動信号を出力する。これにより、薬剤供給装置300において、薬注処理が実行される。
薬注制御部311は、算出した薬剤の投入量に対応したパルス幅を有するポンプ駆動信号を薬剤供給ポンプ350に出力する。これにより、薬剤供給ポンプ350では、薬注制御部311から出力されたポンプ駆動信号のパルス幅の期間(運転時間)に亘って、指定されたストローク数で薬剤の投入が実行される。この動作により、薬剤タンク330から必要量の薬剤W3が循環水W2に供給される。
〔2.2 水処理システム1Aの制御〕
水処理システム1Aでは、水処理システム1が実行する流量比例薬注の代わりに、薬品濃度比例薬注処理を実行する。このため、メモリ250に記憶される、各検出値と閾値との比較結果の組み合わせと、水処理システム1で発生している事象との対応関係も、水処理システム1とは異なる。
図8は、水処理システム1Aのメモリ250に記憶されている、各検出値と閾値との比較結果と、水処理システム1で発生している事象との対応関係の例を示す。
図8の(d)列に示すように、薬品濃度センサ133によって検出される薬品濃度が閾値よりも低いと共に、流量センサ135によって検出される補給水W1の積算流量が正常範囲にあり、電気伝導率センサ134によって検出される循環水W2の電気伝導率が正常範囲にあり、レベルセンサ340によって検出される薬剤タンク330内の薬剤の液位が正常範囲内にあるものの、上記の数式(1)によって算出される計算薬品濃度が閾値を超えている場合には、薬品濃度センサに汚れが付着している可能性が高いとする。
図8の(e)列に示すように、薬品濃度センサ133によって検出される薬品濃度が正常範囲にあると共に、流量センサ135によって検出される補給水W1の積算流量が正常範囲にあり、電気伝導率センサ134によって検出される循環水W2の電気伝導率が正常範囲にあり、レベルセンサ340によって検出される薬剤タンク330内の薬剤の液位が正常範囲内にあるものの、上記の数式(1)によって算出される計算薬品濃度が閾値よりも低い場合には、電気伝導率センサ134に汚れが付着している可能性が高いとする。
図8の(f)列に示すように、薬品濃度センサ133によって検出される薬品濃度が閾値よりも低いと共に、流量センサ135によって検出される補給水W1の積算流量が正常範囲にあり、電気伝導率センサ134によって検出される循環水W2の電気伝導率が正常範囲にあり、レベルセンサ340によって検出される薬剤タンク330内の薬剤の液位が正常範囲内にあるものの、上記の数式(1)によって算出される計算薬品濃度が閾値よりも低い場合には、薬剤供給装置300からの薬剤の吐出に不良が発生しているとする。