先ず、本発明の第1の実施形態に係るインクジェット式の画像形成装置としてのプリンター1の全体の構成について図1及び図2を参照しながら説明する。以下、説明の便宜上、図1における紙面手前側をプリンター1の前側とする。各図に適宜付される矢印Fr、Rr、L、R、U、Loは、それぞれプリンター1の前側、後側、左側、右側、上側、下側を示す。
図1及び図2に示すように、プリンター1は、箱型形状のプリンター本体2を備える。プリンター本体2の下部には、用紙を収納する給紙カセット3が引出可能に収容される。
プリンター本体2の前面には、上側カバー4及び左下側カバー5が開閉可能に設けられる。上側カバー4を開放することで、下記の用紙搬送ユニット7や、キャップユニット15、ワイパーユニット16をメンテナンス可能となる。また、図3に示すように、左下側カバー5を開放することで、下記のインクコンテナ14や廃インクタンク17を交換可能となる。
プリンター本体2内の右部には、用紙の搬送経路6が設けられ、プリンター本体2内の中央部には、昇降可能な用紙搬送ユニット7が給紙カセット3の上方に設けられる。搬送経路6は、給紙カセット3から用紙搬送ユニット7まで設けられ、搬送経路6の用紙の搬送方向に沿って、上流側から順に、給紙ローラー、搬送ローラー及びレジストローラーが設けられる。
用紙搬送ユニット7は、搬送フレームと、無端状の搬送ベルトとを備え、印字動作時に下記の記録ヘッド13に近接した印字位置と、非印字動作時に記録ヘッド13から離間した退避位置との間で、上下方向に昇降可能に構成される。搬送フレームに対して、駆動ローラー、従動ローラー及びテンションローラーが回転可能に設けられ、搬送ベルトは、右側から左側へと用紙の搬送を行うように、駆動ローラー、従動ローラー及びテンションローラーに巻き掛けられる。搬送ベルトの内側には吸気部が設けられる。搬送ベルトには多数の吸気孔が設けられ、吸気部は、搬送ベルトの上方から内側へ吸気する。
プリンター本体2内の左部には、印字位置の用紙搬送ユニット7の左側に連続して用紙搬送部8が設けられ、用紙搬送部8の上方に乾燥装置9が設けられる。用紙搬送部8の左側には排出ローラー10が設けられ、排出ローラー10の近傍でプリンター本体2の左側面には排出口11が設けられる、また、プリンター本体2の左側面には、排出口11の下方から左側に突出する排紙トレイ12が設けられる。
また、プリンター本体2内の中央部には、用紙搬送ユニット7の上方に4つの記録ヘッド13(13K、13C、13M、13Y)が並設される。4つの記録ヘッド13K、13C、13M、13Yは、印字動作時に用紙搬送ユニット7の搬送ベルトの上面と対向して、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローのインクをそれぞれ吐出する。例えば、4つの記録ヘッド13K、13C、13M、13Yは、用紙の搬送方向における上流側(右側)から順に配置される。
プリンター本体2内の左下部には、4つのインクコンテナ14(14K、14C、14M、14Y)が並設される。4つのインクコンテナ14K、14C、14M、14Yは、それぞれブラック、シアン、マゼンタ、イエローのインクを収容する。例えば、4つのインクコンテナ14K、14C、14M、14Yは、図2に示すように下側から順に配置される。左下側カバー5を開放することで、プリンター本体2内の左下部に設けられた各インクコンテナ14のコンテナ収納部(図3参照)が露出し、各インクコンテナ14は、各コンテナ収納部に対して前後方向に着脱可能となる。
なお、同色のインクの記録ヘッド13とインクコンテナ14とは、サブインクタンク等を介して接続されて、各インクコンテナ14に収容されたインクは、サブインクタンクに一旦貯留された後、ポンプによって各記録ヘッド13に供給される。
プリンター本体2の左上部には、キャップユニット15及びワイパーユニット16が備えられる。キャップユニット15及びワイパーユニット16は、印字動作時には、用紙搬送ユニット7の左方の待機位置に配置される。また、非印字動作時に用紙搬送ユニット7が退避位置にある場合には、キャップユニット15及びワイパーユニット16は、それぞれ左右方向に移動可能となり、何れかを用紙搬送ユニット7の上方且つ記録ヘッド13の下方の処理位置へ移動することができる。
キャップユニット15は、キャップ部材15aを備え、処理位置へ移動したときに、キャップ部材15aによって記録ヘッド13を覆う。ワイパーユニット16は、ワイパー部材16aと廃インクトレイ16bとを備え、処理位置へ移動したときに、ワイパー部材16a及び廃インクトレイ16bが記録ヘッド13の下方に配置される。このとき、記録ヘッド13のパージ処理や、ワイパー部材16aによる記録ヘッド13の清掃処理が行われ、パージ処理や清掃処理で生じた廃インクが廃インクトレイ16bに回収される。
また、プリンター本体2内の左下部には、廃インクタンク17がインクコンテナ14の下方に備えられる。廃インクタンク17は、パージ処理や清掃処理で生じた廃インクを収容する。
プリンター本体2には、図2、図3、図4等に示すように、廃インクタンク17を覆うタンクカバー22が開閉可能に設けられる。タンクカバー22は、左下側カバー5の内側に設けられ、左下側カバー5を開放することで露出する。タンクカバー22を開放することで、図5、図6、図7等に示すように、プリンター本体2内に設けられた廃インクタンク17のタンク収納部23が露出し、廃インクタンク17は、タンク収納部23に対して前後方向に着脱可能となる。タンク収納部23の右前縁部は、図5~図8に示すように、プリンター本体2に設けられた支持板24で構成され、支持板24には、下記のカバーロック部50のロック部材52を係合するロック穴25が設けられる。
廃インクタンク17は、例えば、図9、図10、図11、図12等に示すように、前後方向に長い略直方体状に形成され、廃インクタンク17の前面には、廃インクの流入口18が形成される。流入口18は、廃インクタンク17の交換時には、キャップ19を取り付けて閉塞される一方、廃インクタンク17をタンク収納部23に収納してタンクカバー22を閉塞する際には、キャップ19を取り外して開放される。
なお、ワイパーユニット16の廃インクトレイ16bと廃インクタンク17の流入口18とは、チューブ20(図2参照)及びノズル21(図15等参照)を介して接続されて、廃インクトレイ16bに回収された廃インクは、ポンプによってチューブ20を介して廃インクタンク17に排出される。
次に、このような構成を備えたプリンター1の印字動作(画像形成動作)について説明する。プリンター1が外部コンピューター等から画像データを受信すると、給紙カセット3内に収納された用紙が、給紙ローラーによって搬送経路6へ送り出される。搬送経路6に送り出された用紙は、搬送ローラーによって搬送経路6の下流側へ搬送され、レジストローラーによって搬送経路6から印字位置の用紙搬送ユニット7の搬送ベルトの上面へ送り出される。この用紙は、吸気部の吸引力によって搬送ベルトの上面に吸着される。
一方、各記録ヘッド13には、各インクコンテナ14からインクが供給される。各記録ヘッド13は、搬送ベルトに吸着された用紙に対して、外部コンピューター等から受信した画像データの情報に基づいてインクを吐出する。これにより、カラーインク画像が用紙の表面に形成される。カラーインク画像を形成された用紙は、用紙搬送部8によって搬送されながら乾燥装置9によって表面のインクを乾燥された後、排出ローラー10によって排出口11から排紙トレイ12上に排出される。
第1の実施形態では、プリンター1は、記録ヘッド13で生じた廃インクを廃インクタンク17へ搬送する廃インク搬送装置1aを備え、廃インク搬送装置1aは、廃インクトレイ16b、チューブ20、タンク収納部23(支持板24を含む)、タンクカバー22、廃インクタンク17等で構成される。
次に、タンクカバー22について説明する。タンクカバー22の説明において、前、後、左、右は、閉塞した状態(閉状態)のタンクカバー22を基準とした位置を示す。また、時計回り方向及び反時計回り方向は、前方から見た方向を示す。タンクカバー22は、図3、図4、図13、図14、図15等に示すように、カバー本体30と、ノズル21と、ノズル操作部40と、カバーロック部50とを備える。なお、ノズル21、ノズル操作部40及びカバーロック部50は、主に、カバー本体30の後側に設けられ、カバー本体30の後側に取り付けられる内側カバー(図示せず)によって覆われて保護される。
カバー本体30は、略板状の部材で形成される。カバー本体30は、左端に備えた回動軸によってプリンター本体2に取り付けられ、プリンター本体2に対して回動することで開閉される。カバー本体30が閉塞することでタンクカバー22が閉状態となり、タンク収納部23及び廃インクタンク17がカバー本体30によって覆われる。一方、カバー本体30が開放することでタンクカバー22が開状態となり、タンク収納部23及び廃インクタンク17が露出され、廃インクタンク17を交換可能となる。
カバー本体30には、円形のノズル操作穴31及び円形のロック操作穴32が開口している。ロック操作穴32は、ノズル操作穴31の下側に設けられる。カバー本体30の後面には、図14、図15等に示すように、ノズル操作穴31の縁部に沿って円筒壁33が後方に向かって立設され、円筒壁33は、ノズル操作穴31と同じ内径を有する。
円筒壁33の後端には、前方に延びる4つのスリット34が上側、下側、左側及び右側に等間隔に形成され、各スリット34は、ノズル操作穴31の縁部の直前まで切り欠かれる。また、円筒壁33の後端には、隣り合う2つのスリット34間に係合溝35が形成され、係合溝35は、反時計回り方向且つ前方に傾斜した第1傾斜面36と略垂直面とで構成される。また、反時計回り方向において係合溝35よりも下流側には、反時計回り方向且つ前方に傾斜した第2傾斜面37が形成される。なお、第1傾斜面36は第2傾斜面37よりも長い。
ノズル21は、L字状に屈曲されて形成され、基端でチューブ20に連結される。ノズル21の先端には、かえし等の抜け止めが形成され、ノズル21は、廃インクタンク17の流入口18に進入したとき、この抜け止めによって流入口18から抜け難くなる。
図15、図16等に示すように、ノズル操作部40は、プッシュ部材41と、ノズルカム42と、カム押圧バネ43と、操作部カバー44とを備える。カバーロック部50は、ロックレバー51と、ロック部材52と、ロックカム53とを備える。
ノズル操作部40の各部(プッシュ部材41、ノズルカム42、カム押圧バネ43、操作部カバー44)について説明する。
プッシュ部材41は、前後方向において円筒壁33よりも短い円筒状に形成される。プッシュ部材41は、カバー本体30のノズル操作穴31及び円筒壁33の内径よりも僅かに小さい外径を有する。プッシュ部材41は、ノズル21を支持するノズル支持部であり、プッシュ部材41の左側面には、ノズル21を挿通可能なノズル穴41aが形成される。プッシュ部材41の前端は押圧面45で塞がれ、プッシュ部材41の後端には、対称的な斜面が連続する鋸歯状の摺動面46が形成される。プッシュ部材41の外周面の後端には、外径方向に突出した一対の第1突起47(突起)が上側及び下側に形成される。
第1突起47は、円筒壁33のスリット34に嵌合可能な大きさを有する。プッシュ部材41は、各第1突起47を上側及び下側のスリット34に嵌合させた状態で、ノズル操作穴31及び円筒壁33に嵌合され、円筒壁33に沿って前後方向に移動可能となる。なお、第1突起47は、外径方向において円筒壁33の外周面よりも外側に突出していて、第1突起47がノズル操作穴31の縁部に係止されることで、プッシュ部材41の前方への移動が抑止される。
ノズルカム42は、円盤状に形成され、カバー本体30のノズル操作穴31及び円筒壁33の内径よりも僅かに小さい外径、即ち、プッシュ部材41と同等の外径を有する。ノズルカム42の中央には、ノズル21を挿通可能なノズル穴42aが形成され、ノズルカム42の後面には、カム押圧バネ43の前端を支持する支持溝がノズル穴42aの周囲に形成される。ノズルカム42の外周面には、外径方向に突出した4つの第2突起48が等間隔に形成される。
なお、タンクカバー22が閉状態の場合に、ノズルカム42のノズル穴42aの位置が、タンク収納部23に収納された廃インクタンク17の流入口18の位置に対応するように、カバー本体30のノズル操作穴31及び円筒壁33は構成される。
第2突起48は、円筒壁33のスリット34に嵌合可能な大きさを有する。ノズルカム42は、プッシュ部材41よりも後側で円筒壁33に嵌合され、各第2突起48を各スリット34に嵌合させた場合に、円筒壁33に沿って前後方向に移動可能となる。なお、第2突起48は、外径方向において円筒壁33の内周面よりも外側で且つ外周面よりも内側まで突出している。また、ノズルカム42は、第2突起48を円筒壁33の係合溝35に係合させた場合に、ノズルカム42の前方への移動が抑止される。
プッシュ部材41及びノズルカム42は、円筒壁33に嵌合された状態で、円筒壁33と共に操作部カバー44によって後側から覆われる。ノズルカム42と操作部カバー44との間にはカム押圧バネ43が設けられ、ノズルカム42は、カム押圧バネ43によって前方に付勢される。この状態のノズルカム42は、プッシュ部材41によって後方に押圧されると、プッシュ部材41の摺動面46に沿って、反時計回り方向に回転するように摺動する。そして、ノズルカム42がプッシュ部材41によって押圧される度に、第2突起48のスリット34への嵌合と係合溝35への係合が切り換わる。
なお、ノズル21は、そのL字形状を利用して、プッシュ部材41のノズル穴41aと、ノズルカム42のノズル穴42aとに挿通される。ノズル21は、前後方向においてプッシュ部材41のノズル穴41aに位置決めされているので、プッシュ部材41の前後方向の移動に伴って、前後方向に移動する。
上記のようなカバー本体30及びノズル操作部40による、ノズル21のノッチ機構について説明する。ここでは、タンクカバー22は閉状態であることを前提とする。
ノズルカム42の第2突起48がスリット34に嵌合しているとき、図17Aや図18Aに示すように、プッシュ部材41及びノズルカム42はカム押圧バネ43によって前方に押圧され、ノズル21は前側の退避位置に位置する。また、プッシュ部材41は、カバー本体30の前面から前方に突出して、ノズル21の退避状態を示す。このようにプッシュ部材41がノズル退避状態である場合、図22に示すように、プッシュ部材41の第1突起47は、下記のカバーロック部50のロックカム53よりも前側に配置される。
ノズル退避状態のプッシュ部材41を押圧すると、図19Aに示すように、プッシュ部材41及びノズルカム42が後方に移動することで、ノズル21は後側の突出位置まで移動する。このとき、ノズル21は、タンク収納部23に収納された廃インクタンク17の流入口18に進入する。また、ノズルカム42が回転して第2突起48が係合溝35に係合するので、カム押圧バネ43の押圧に拘らず、ノズルカム42の前方への移動が抑止される。プッシュ部材41は、前方に移動する力を受けずに円筒壁33内に押し込まれて、ノズル21の突出状態を示す。このようにプッシュ部材41がノズル突出状態である場合、図23に示すように、プッシュ部材41の第1突起47は、下記のカバーロック部50のロックカム53よりも後側に配置される。
ノズル突出状態のプッシュ部材41を押圧すると、ノズルカム42が回転して第2突起48が再びスリット34に嵌合するので、図17Aや図18Aに示すように、プッシュ部材41及びノズルカム42がカム押圧バネ43によって押圧されて前方に移動して、プッシュ部材41はノズル退避状態になる。このとき、ノズル21は、前方に移動して、タンク収納部23に収納された廃インクタンク17の流入口18から退出して、退避位置まで移動する。
カバーロック部50の各部(ロックレバー51、ロック部材52、ロックカム53)について以下に説明する。なお、ロックカム53は、ノズル操作部40の各部と共に操作部カバー44によって後方から覆われる。また、ロックレバー51及びロック部材52も操作部カバー44によって覆われてもよい。
ロックレバー51は、図13~図16に示すように、円盤状の支持部54と、棒状の取っ手55と、フランジ56とを有して形成され、カバー本体30のロック操作穴32に対して回転可能に設けられる。
支持部54は、ロック操作穴32の内径よりも僅かに小さい外径を有し、ロック操作穴32内に回転可能に取り付けられる。支持部54の後面には、ロック部材52と連結される円柱状の連結突起57が後方に突出して形成される。連結突起57は、支持部54の円盤形状の中心よりも下方に設けられる。
取っ手55は、支持部54の前面において支持部54の円盤形状の中心線に沿って形成される。フランジ56は、支持部54の外周面の後端に設けられる。フランジ56の外周面の一部(例えば、上部)には、ロックカム53と噛合するギア58が形成される。
ロック部材52は、左右方向に長い板状に形成され、ロックレバー51の下側に配置される。ロック部材52は、カバー本体30の後面に沿って右側のロック位置と左側のアンロック位置との間を移動可能に、カバー本体30に取り付けられる。ロック部材52の上部には、上下方向に長い楕円形の連結穴59が設けられ、連結穴59に対してロックレバー51の支持部54の連結突起57が連結される。ロックレバー51が回転すると連結突起57が左右方向に移動するので、これに応じて連結突起57と連結した連結穴59を有するロック部材52が左右方向に移動する。
例えば、タンクカバー22が閉状態の場合に、ロックレバー51を反時計回り方向に回転させることで、図17Bや図19Bに示すように、連結突起57はロックレバー51の中心よりも右側へ移動する。これに応じて、ロック部材52は右側のロック位置へ移動してタンク収納部23の支持板24のロック穴25に進入する。これにより、カバーロック部50がロック状態になり、閉状態のタンクカバー22がプリンター本体2に対してロックされる。
一方、ロックレバー51を時計回り方向に回転させることで、図18Bに示すように、連結突起57はロックレバー51の中心よりも左側へ移動する。これに応じて、ロック部材52は左側のアンロック位置へ移動してロック穴25から退出する。これにより、カバーロック部50がアンロック状態になり、タンクカバー22のプリンター本体2に対するロックが解除される。
なお、ロックレバー51の取っ手55は、カバーロック部50がロック状態の場合に左右方向に平行になり、カバーロック部50がアンロック状態の場合に上下方向に平行になるように、設けられるとよい。
また、ロック部材52の移動がロック位置とアンロック位置との間に制限されるように、カバー本体30に対するロック部材52の取付機構、ロックレバー51の回転機構及び連結突起57と連結穴59との連結機構の少なくとも一つが構成されるとよい。
ロックカム53は、図14~16、図20、図21、図22、図23に示すように、周方向の一部に切り欠き60を有する円環状、即ち、C字状に形成される。ロックカム53は、カバー本体30の円筒壁33の外径よりも僅かに大きい内径を有し、円筒壁33の外周に沿って回転可能に嵌合される。
ロックカム53の外周面には、ロックレバー51のフランジ56のギア58と噛合するギア61が形成される。これにより、ロックカム53は、ロックレバー51の回転に応じて、ロックレバー51とは逆方向に回転する。例えば、ロックレバー51を反時計回り方向に回転させてカバーロック部50をロック状態にする場合(図17B、図19B参照)には、ロックカム53は時計回り方向に回転する。一方、ロックレバー51を時計回り方向に回転させてカバーロック部50をアンロック状態にする場合(図18B参照)には、ロックカム53は反時計回り方向に回転する。
ロックカム53の内周面には、周方向の一部(下側)に凹部62が形成され、切り欠き60及び凹部62は、ロックカム53の中心線上に設けられる。切り欠き60及び凹部62は、ノズル操作部40のプッシュ部材41の押圧操作を許容する押圧許容部である。カバーロック部50をロック状態にしたとき(図17B、図19B参照)、時計回り方向に回転したロックカム53の切り欠き60及び凹部62は、図23に示すように、周方向においてカバー本体30の円筒壁33の上側及び下側のスリット34と同じ位置に配置される。そのため、プッシュ部材41の第1突起47がスリット34並びに切り欠き60及び凹部62を通って前後方向に移動可能になるので、プッシュ部材41の前後方向の移動が許容され、即ち、プッシュ部材41の押圧操作が許容される。
ロックカム53の後面には、反時計回り方向において凹部62の直前の上流側に、後側に突出した回転規制部63が下側に設けられる。上記したように、カバーロック部50をロック状態にしたとき、ロックカム53の切り欠き60及び凹部62の押圧許容部によってプッシュ部材41の押圧操作が許容されるので、プッシュ部材41を円筒壁33内に押し込んでノズル突出状態にすることができる。このとき、図23に示すように、プッシュ部材41の第1突起47はロックカム53よりも後側に配置され、特に、下側の第1突起47は、反時計回り方向において回転規制部63の直後の下流側に配置される。そのため、ロックカム53の反時計回り方向の回転は、回転規制部63の第1突起47への当接によって規制される。即ち、ロックレバー51を時計回り方向に回転させてカバーロック部50をアンロック状態にすることが規制される。
なお、プッシュ部材41をカバー本体30の前面から前方に突出したノズル退避状態にしたとき、プッシュ部材41の第1突起47はロックカム53よりも前側に配置される。そのため、ロックカム53を回転させても、回転規制部63は第1突起47に当接しないので、ロックカム53を反時計回り方向に回転させることができる。即ち、ロックレバー51を時計回り方向に回転させてカバーロック部50をアンロック状態にすることができる。
換言すれば、カバーロック部50がロック状態であるとき、プッシュ部材41がノズル突出状態の場合には、カバーロック部50をアンロック状態にすることができないが、プッシュ部材41がノズル退避状態の場合には、カバーロック部50をアンロック状態にすることができる。
また、ロックカム53の前面には、反時計回り方向において凹部62の直前の上流側に、押圧規制部64がカバー本体30の円筒壁33の外周面に沿って下側に設けられる。上記したように、プッシュ部材41をノズル退避状態にしなければ、カバーロック部50をアンロック状態にすることができない。カバーロック部50をアンロック状態にしたとき(図18B参照)、反時計回り方向に回転したロックカム53の押圧規制部64は、図22に示すように、周方向においてプッシュ部材41の下側の第1突起47と同じ位置に配置される。このとき、第1突起47がロックカム53の押圧規制部64よりも前側に位置しているので、プッシュ部材41の後方への移動は、第1突起47の押圧規制部64への当接によって規制され、即ち、プッシュ部材41の押圧操作が規制される。換言すれば、カバーロック部50がアンロック状態であるとき、プッシュ部材41をノズル退避状態からノズル突出状態にすることができない。
第1の実施形態では上述のように、プリンター1の廃インク搬送装置1aは、タンク収納部23に収納され、廃インクを収容する廃インクタンク17と、タンク収納部23を開閉するタンクカバー22とを備える。廃インクタンク17は、閉状態のタンクカバー22側から廃インクを流入する流入口18を有する。タンクカバー22は、閉状態において、流入口18に進入して廃インクを廃インクタンク17へ流入するノズル21と、ノズル21を流入口18に対して進入及び退出させるためにノズル21の突出及び退避を切り換えるノズル操作部40と、タンクカバー22の閉状態のロック及びアンロックを切り換えるカバーロック部50とを備える。そして、廃インク搬送装置1aは、カバーロック部50がロック状態で且つノズル21が退避状態である場合、カバーロック部50のアンロック状態への切り換えを可能にする一方、カバーロック部50がロック状態で且つノズル21が突出状態である場合、カバーロック部50のアンロック状態への切り換えを不能にする。
具体的には、ノズル操作部40は、ノズル21を退避状態にする一方側(前側)と、ノズル21を突出状態にする他方側(後側)との間を移動するノズル支持部として、プッシュ部材41を備える。カバーロック部50は、プッシュ部材41の周りを回転するロックカム53を備える。プッシュ部材41は、一方側に配置される場合にロックカム53よりも一方側に位置し、他方側に配置される場合にロックカム53よりも他方側に位置する第1突起47(突起)を備える。ロックカム53は、ロック状態へ切り換えられる場合に一方向(前側から見て時計回り方向)に回転し、アンロック状態に切り換えられる場合に他方向(前側から見て反時計回り方向)に回転する。ロックカム53は、他方向において第1突起47よりも下流側で他方側に突出した回転規制部63を備える。
これにより、ノズル21が廃インクタンク17に進入した突出状態である場合には、タンクカバー22を開放することができないので、ノズル21や廃インクタンク17の流入口18からの廃インクの飛び散りを抑制することができる。ロックカム53を備えることで、ノズル操作部40とカバーロック部50とを連動させることができる。また、ノズル21と流入口18とを接合しないので、タンクカバー22の開閉によってノズル21や流入口18を破損することがなく、このような破損に起因する廃インク漏れ、ノズル21及び流入口18の装着の不具合、ノズル21やチューブ20での廃インク詰まりを抑制することができる。なお、ノズル21の進入や退出のために、キャップ19を取り付けた状態にする必要がないので、キャップ19を破損することがなく、廃インクタンク17の交換時には、キャップ19によって確実に流入口18を封じることができる。従って、廃インクタンク17の交換に起因する廃インク汚れや故障を抑制することが可能となる。
また、第1の実施形態では、上記のような構成のプリンター1の廃インク搬送装置1aは、カバーロック部50がアンロック状態で且つノズル21が退避状態である場合、ノズル21の突出状態への切り換えを不能にする。
具体的には、カバーロック部50のロックカム53は、一方向に回転した場合に周方向において第1突起47と同じ位置に配置される凹部62と、他方向に回転した場合に周方向において第1突起47と同じ位置に配置される押圧規制部64とを備える。
これにより、タンクカバー22が開放された状態では、ノズル21を突出状態にすることができないので、ノズル21の誤操作が抑制され、また、突出したノズル21との接触に起因する廃インク汚れを抑制することができる。
なお、本発明のノズル操作部40の構成は、上記の第1の実施形態の廃インク搬送装置1aのタンクカバー22について記載した例に限定されない。次に、第2の実施形態の廃インク搬送装置1aのタンクカバー22について図24~図34を参照して説明する。
図24は、タンクカバー22の前方視斜視図であり、図25は、タンクカバー22の後方視斜視図である。図26は、カバー本体30を外した状態のタンクカバー22の前方視斜視図であり、図27及び図28は、ノズル操作部40の操作部カバー44及びカバー本体30の内側カバー30aを外した状態のタンクカバー22の背面図及び後方視斜視図である。図29は、カバー本体30を外した状態のタンクカバー22の後方視の分解斜視図である。図30は、カバー本体30の円筒壁70及びその周辺の後方視斜視図であり、図31は、ノズル操作部40のプッシュ部材80及びノズルカム90の前方視斜視図である。図32は、プッシュ部材80を円筒壁70内に押し込んでノズル21を突出状態にする場合の、円筒壁70に対するプッシュ部材80の背面図であり、図33は、プッシュ部材80を円筒壁70から前方に突出させてノズル21を退避状態にする場合の、円筒壁70に対するプッシュ部材80の背面図である。図34は、円筒壁70から前方に突出させたプッシュ部材80及びその周辺の前方視斜視図である。
第2の実施形態のタンクカバー22は、第1の実施形態と略同様の構成を有するので、以下では、第1の実施形態と異なる構成について主に説明し、第1の実施形態と同様の構成については説明を省略する。第2の実施形態のタンクカバー22は、第1の実施形態と同じように、図24、図25、図26、図27、図28、図29等に示すように、カバー本体30と、ノズル21と、ノズル操作部40と、カバーロック部50とを備えているが、カバー本体30及びノズル操作部40は、第1の実施形態と異なる構成を有する。
例えば、第2の実施形態において、カバー本体30は、第1の実施形態の円筒壁33に対応する円筒壁70を備え、ノズル操作部40は、第1の実施形態のプッシュ部材41及びノズルカム42に対応するプッシュ部材80及びノズルカム90を備える。なお、ノズル21、ノズル操作部40及びカバーロック部50は、主に、カバー本体30の後側に設けられ、図25、図26に示すように、カバー本体30の後側に取り付けられる内側カバー30aによって覆われて保護される。
カバー本体30の円筒壁70は、図27、図28、図29、図30等に示すように、ノズル操作穴31より大きい内径を有し、ノズル操作穴31の周囲から後方に向かって立設される。なお、図24、図34では、円筒壁70が、カバー本体30を前後方向に貫通するように形成され、ノズル操作穴31を有する円環状の底面が円筒壁70の前端に形成される例を示しているが、円筒壁70は、この例に限定されない。他の例として、円筒壁70は、ノズル操作穴31を有するカバー本体30の後面から後方に延在して形成されてもよく、この場合、カバー本体30の一部(ノズル操作穴31の周囲の部分)が円筒壁70の前端の底面を構成する。
円筒壁70の後部には、後端から前方に延びた2つのスリット71が上側及び下側に設けられ、各スリット71は、カバー本体30の後端の直前まで切り欠かれている。円筒壁70の左側には、ノズル21の基端が配置される開口部72が設けられ、ノズル21の基端は、開口部72内で前後方向に移動可能となる。なお、図25、図27、図28では、ノズル21の先端に抜け止め21aが図示されているが、図29では、ノズル21から抜け止め21aが省略されている。
円筒壁70の内周面には、図30、図32、図33に示すように、複数のリブ73が、周方向に間隔を空けて設けられる。各リブ73は、径方向において、円筒壁70の内周面からノズル操作穴31の縁部まで形成され、換言すれば、複数のリブ73が構成する内径は、ノズル操作穴31の内径と同じである。また、各リブ73は、前後方向において、円筒壁70の前面から後方に向かって円筒壁70の中央付近まで延びて形成される。
ノズル操作部40のプッシュ部材80は、図29、図31、図34に示すように、前後方向において円筒壁70よりも短い円筒状に形成される。プッシュ部材80は、カバー本体30のノズル操作穴31の内径及び円筒壁70の複数のリブ73が構成する内径よりも僅かに小さい外径を有し、ノズル操作穴31及び円筒壁70に嵌合し、複数のリブ73に沿って前後方向に移動可能となる。なお、プッシュ部材80は、後述するように、カム押圧バネ43によって前方に付勢されるノズルカム90によって前方に押圧されている。
また、プッシュ部材80は、ノズル操作穴31及び円筒壁70の内側で、前後方向を回転軸方向として正面視時計回り方向及び反時計回り方向に回転可能となる。プッシュ部材80は、ユーザーの操作に応じて回転し、例えば、プリンター1の動作状態では、図24、図26、図32に示すように、反時計回り方向側の所定の動作位置まで回転されていて、また、プリンター1の非動作状態では、図33、図34に示すように、時計回り方向側の所定の非動作位置まで回転されている。
円筒状のプッシュ部材80の前端には、前方に突出した操作レバー81を有する底面(前面)が設けられ、操作レバー81は、プッシュ部材80の底面の円形の中心線に沿って形成される。なお、操作レバー81は、プッシュ部材80が動作位置の場合に上下方向に平行になり、プッシュ部材80が非動作位置の場合に左右方向に平行になるように設けられるとよい。
プッシュ部材80の後部の外周面には、フランジ82が設けられ、フランジ82は、円筒壁70の複数のリブ73が構成する内径よりも大きく、円筒壁70の内径よりも僅かに小さい外径を有して形成される。フランジ82は、複数のフランジ溝83と、複数の係止凹部84とを有する。また、プッシュ部材80の後端の外周面には、被規制リブ85がフランジ82より後側に設けられる。
複数のフランジ溝83は、周方向において、円筒壁70の複数のリブ73と同じ間隔で設けられる。プッシュ部材80が円筒壁70の内部に配置された状態で、フランジ82が複数のリブ73より後側に位置しているとき、各リブ73が各フランジ溝83に干渉しないので、プッシュ部材80は回転可能となる。
プッシュ部材80が非動作位置に配置されているとき、複数のフランジ溝83の全てが複数のリブ73のそれぞれに対応して配置され(周方向において同じ位置に配置され)、プッシュ部材80は、前方に移動可能となる。このとき、プッシュ部材80は、カム押圧バネ43の付勢力を受けて前方に移動して各リブ73が各フランジ溝83に嵌合し、フランジ82が円筒壁70の底面に当接するまで、ノズル操作穴31及び複数のリブ73に沿って前方に移動する。
なお、非動作位置のプッシュ部材80は、各リブ73と各フランジ溝83との嵌合によって、回転が規制される。非動作位置のプッシュ部材80をカム押圧バネ43の付勢力に抗して後方へ押し込むと、フランジ82が複数のリブ73より後側に位置して、各リブ73と各フランジ溝83との嵌合が解除されるので、プッシュ部材80は回転可能となる。
複数の係止凹部84は、周方向に間隔を空けて設けられ、フランジ82の前面に凹設される。プッシュ部材80が動作位置に配置されているとき、各係止凹部84は複数のリブ73の何れかに対応して配置される(周方向において同じ位置に配置される)。このとき、プッシュ部材80は、カム押圧バネ43の付勢力を受けるが、何れかのリブ73が各係止凹部84に嵌合して係止されることで、プッシュ部材80の前方への移動が規制される。
なお、動作位置のプッシュ部材80は、何れかのリブ73が各係止凹部84に嵌合し、他のリブ73はフランジ溝83に嵌合するので、回転が規制される。動作位置のプッシュ部材80をカム押圧バネ43の付勢力に抗して後方に押し込むと、フランジ82が複数のリブ73より後側に位置して、リブ73と係止凹部84及びフランジ溝83との嵌合が解除されるので、プッシュ部材80は回転可能となる。
被規制リブ85は、プッシュ部材80を反時計回り方向に動作位置まで回転させたとき、後述するノズルカム90の第1規制リブ94に係止されて、動作位置を超えるプッシュ部材80の回転を規制する。また、被規制リブ85は、プッシュ部材80を時計回り方向に非動作位置まで回転させたとき、後述するノズルカム90の第2規制リブ95に係止されて、非動作位置を超えるプッシュ部材80の回転を規制する。
ノズル操作部40のノズルカム90は、第1の実施形態のプッシュ部材41に代えて、ノズル21を退避状態にする一方側(前側)と、ノズル21を突出状態にする他方側(後側)との間を移動するノズル支持部である。ノズルカム90は、一方側に配置される場合にロックカム53よりも一方側に位置し、他方側に配置される場合にロックカム53よりも他方側に位置する下側突起93(突起)を備える。
ノズルカム90は、図29、図31に示すように、前後方向において円筒壁70よりも短い円筒状に形成される。ノズルカム90は、プッシュ部材80よりも後側で円筒壁70内に嵌合し、前後方向に移動可能に設けられる。ノズルカム90は、外周面にリブを有して、円筒壁70の内周面との摺動抵抗を低下させたり、回転を抑制したりするとよい。ノズルカム90の後端の外周面には、フランジ91が設けられ、フランジ91は、円筒壁70の複数のリブ73が構成する内径よりも大きく、円筒壁70の内径よりも僅かに小さい外径を有して形成される。フランジ91が複数のリブ73の後端に係止されることで、ノズルカム90の前方への移動が抑止される。
ノズルカム90の前端は、プッシュ部材80の内径よりも僅かに小さい外径を有し、プッシュ部材80の後端に嵌合する。これにより、プッシュ部材80は、ノズルカム90に対して連結されると共に、ノズルカム90に対して回転可能となる。プッシュ部材80及びノズルカム90は、相互に連結した状態で、円筒壁70内に嵌合する。
第2の実施形態において、ノズルカム90は、ノズル21を支持するノズル支持部であり、ノズルカム90の左側面には、ノズル21の基端を挿通可能なノズル穴90aが形成され、ノズルカム90の後面中央には、ノズル21の先端を挿通可能なノズル穴90bが形成される。また、ノズルカム90の後面には、カム押圧バネ43の前端を支持する支持溝がノズル穴90bの周囲に形成されていて、ノズルカム90は、後述するように、カム押圧バネ43によって前方へ付勢されている。
なお、ノズル21は、そのL字形状を利用して、ノズルカム90のノズル穴90a及び90bに挿通されてノズルカム90に支持される。ノズル21は、ノズル穴90aによって前後方向に位置決めされているので、ノズルカム90の前後方向の移動に伴って、前後方向に移動する。
第2の実施形態でも、タンクカバー22が閉状態の場合に、ノズルカム90のノズル穴90bの位置が、タンク収納部23に収納された廃インクタンク17の流入口18の位置に対応するように、カバー本体30のノズル操作穴31及び円筒壁70が構成される。
ノズルカム90は、図28に示すように、上側突起92及び下側突起93(突起)を備える。上側突起92は、ノズルカム90の外周面の後端上側から外径方向に突出して形成され、下側突起93は、ノズルカム90のフランジ91の下側から外径方向に突出して形成される。また、ノズルカム90の外周面には、外径方向に突出した第1規制リブ94及び第2規制リブ95が設けられる。
上側突起92及び下側突起93は、円筒壁70の上側及び下側のスリット71にそれぞれ嵌合可能な大きさを有する。ノズルカム90は、上側突起92及び下側突起93が上側及び下側のスリット71に嵌合した状態で、円筒壁70に嵌合し、円筒壁70に沿って前後方向に移動可能となる。上側突起92及び下側突起93と各スリット71との嵌合によって、ノズルカム90の回転が規制される。なお、上側突起92及び下側突起93は、外径方向において円筒壁33の外周面よりも外側に突出してもよい。
第1規制リブ94及び第2規制リブ95は、周方向に間隔(例えば、90度間隔)を空けて設けられ、上記したように、プッシュ部材80の被規制リブ85を係止してプッシュ部材80の回転を規制する。
プッシュ部材80及びノズルカム90は、円筒壁70に嵌合された状態で、円筒壁70と共に操作部カバー44によって後側から覆われる。ノズルカム90と操作部カバー44との間にはカム押圧バネ43が設けられ、ノズルカム90は、カム押圧バネ43によって前方に付勢される。これにより、円筒壁70より後側へのノズルカム90の飛び出しが規制されている。
第2の実施形態のカバー本体30及びノズル操作部40による、廃インクタンク17に対するノズル21の進入及び退出の動作について説明する。ここでは、タンクカバー22は閉状態であることを前提とする。
例えば、図33に示すように、プッシュ部材80が、非動作位置まで回転されているとき、プッシュ部材80の複数のフランジ溝83の全てが、円筒壁70の複数のリブ73のそれぞれに対応して配置され、プッシュ部材80の前方への移動が許容される。なお、複数のリブ73が複数のフランジ溝83に嵌合することによって、プッシュ部材80の回転が規制される。
そして、プッシュ部材80及びノズルカム90は、カム押圧バネ43の付勢力を受けて前方に移動する。ノズルカム90の移動に伴って、ノズルカム90に支持されるノズル21は、前方へ移動して、タンク収納部23に収納された廃インクタンク17の流入口18から退出し、前側の退避位置に位置する。ノズル21を廃インクタンク17から退出させると、プリンター1の電源をオフにして非動作状態にすることができる。
上記のように、ノズルカム90がノズル21を退避状態にするとき、図34に示すように、プッシュ部材80がノズル操作穴31(カバー本体30)の前側に突出すると共に、操作レバー81が左右方向に平行になって、ノズル21の退避状態を示す。このとき、ノズルカム90は、カム押圧バネ43の付勢力によって、前側のノズル退避状態で支持されている。
プッシュ部材80及びノズルカム90がノズル退避状態である場合、ノズルカム90の下側突起93は、カバーロック部50のロックカム53よりも前側に配置される。ここで、ロックカム53を回転させても、ロックカム53の回転規制部63は下側突起93に当接しないので、ロックカム53を反時計回り方向に回転させることができる。即ち、ロックレバー51を時計回り方向に回転させてカバーロック部50をアンロック状態にすることができる。
次に、ノズル退避状態のプッシュ部材80をカム押圧バネ43の付勢力に抗して後方へ押圧すると、ノズルカム90が後方に移動する。ノズルカム90の移動に伴って、ノズルカム90に支持されるノズル21は、後方へ移動して、タンク収納部23に収納された廃インクタンク17の流入口18に進入し、後側の突出位置に位置する。ノズル21を廃インクタンク17に進入させると、プリンター1の電源をオンにして動作状態にすることができる。
このとき、プッシュ部材80の複数のフランジ溝83が、円筒壁70の複数のリブ73より後側に移動して、プッシュ部材80の回転が許容される。ここで、図32に示すように、プッシュ部材80を動作位置まで回転させると、プッシュ部材80の複数の係止凹部84が、円筒壁70のリブ73に対応して配置され、カム押圧バネ43の付勢力に拘らず、プッシュ部材80の前方への移動が規制される。
上記のように、ノズルカム90がノズル21を突出状態にするとき、図24に示すように、プッシュ部材80が円筒壁70内に収容されてノズル操作穴31(カバー本体30)の後側に退避すると共に、操作レバー81が上下方向に平行になって、ノズル21の突出状態を示す。このとき、ノズルカム90は、前方移動を規制されたプッシュ部材80によって、後側のノズル突出状態で支持されている。
プッシュ部材80及びノズルカム90がノズル突出状態である場合、ノズルカム90の下側突起93は、カバーロック部50のロックカム53よりも後側に配置される。ここで、下側突起93は、反時計回り方向においてロックカム53の回転規制部63の直後の下流側に配置され、ロックカム53の反時計回り方向の回転は、回転規制部63の下側突起93への当接によって規制される。即ち、ロックレバー51を時計回り方向に回転させてカバーロック部50をアンロック状態にすることが規制される。
なお、第2の実施形態において、カバーロック部50は、第1の実施形態と同様に構成され、カバーロック部50のロックカム53は、円筒壁70の外径よりも僅かに大きい内径を有し、円筒壁70の外周に沿って回転可能に嵌合される。そのため、ロックカム53の切り欠き60及び凹部62は、ノズル操作部40のプッシュ部材80の押圧操作を許容する押圧許容部となる。
即ち、カバーロック部50をロック状態にして、ロックカム53を時計回り方向に回転すると、切り欠き60及び凹部62は、カバー本体30の円筒壁70の上側及び下側のスリット71と同じ位置に配置される。そして、ノズルカム90の上側突起92及び下側突起93がスリット71並びに切り欠き60及び凹部62を通って前後方向に移動可能になるので、プッシュ部材80及びノズルカム90の前後方向の移動が許容され、即ち、プッシュ部材80の押圧操作が許容される。
換言すれば、カバーロック部50がロック状態であるとき、プッシュ部材80がノズル突出状態の場合には、カバーロック部50をアンロック状態にすることができないが、プッシュ部材80がノズル退避状態の場合には、カバーロック部50をアンロック状態にすることができる。
また、カバーロック部50をアンロック状態にしたとき、ロックカム53の押圧規制部64は、ノズルカム90の下側突起93と同じ位置に配置される。このとき、下側突起93がロックカム53の押圧規制部64よりも前側に位置しているので、プッシュ部材80及びノズルカム90の後方への移動は、下側突起93の押圧規制部64への当接によって規制され、即ち、プッシュ部材80の押圧操作が規制される。換言すれば、カバーロック部50がアンロック状態であるとき、プッシュ部材80をノズル退避状態からノズル突出状態にすることができない。
本実施形態では、プリンター1に本発明の構成を適用する場合について説明したが、他の異なる実施形態では、複写機、ファクシミリ、複合機等の他の異なる画像形成装置に本発明の構成を適用することも可能である。