以下、一実施形態の構成を図1ないし図7を参照して説明する。
図7において、11はいわゆるキャニスタ型の電気掃除機を示し、この電気掃除機11は、吸込風路体(風路形成体)である管部12と、この管部12が着脱可能に接続される掃除機本体13とを有している。
管部12は、掃除機本体13に接続される接続管部15と、この接続管部15の先端側に連通する可撓性を有するホース体16と、このホース体16の先端側に設けられた手元操作部17と、この手元操作部17の先端側に着脱可能に接続される延長管18と、この延長管18の先端側などに着脱可能に接続される吸込口体としての床ブラシ19とを備えている。
手元操作部17には、ループ状の把持部21がホース体16側へと突出し、この把持部21の上部には、操作用の設定ボタン22が複数設けられている。
また、掃除機本体13は、大径の走行輪23を両側に有し図示しない旋回輪を下部に有する本体ケース26を備え、この本体ケース26の外部である上部には、集塵カップである集塵装置27が着脱可能となっている。そして、掃除機本体13は、走行輪23および旋回輪によって被掃除面である床面上を少なくとも前後方向に沿って走行又は移動可能に構成されている。なお、以下、前後方向および左右方向は、掃除機本体13又は本体ケース26の走行方向又は移動方向を基準とする。
本体ケース26は、例えば合成樹脂などにより形成されており、集塵装置27の後方に位置する本体部31と、この本体部31の前部下側に突設されて集塵装置27の下部を支持する集塵装置支持部としての突出受部32とを一体的に有している。また、この本体ケース26には、管部12の接続管部15が接続される本体吸込口34と、集塵装置27の上流側および下流側とそれぞれ連通する図示しない連通開口部および吸気開口部とが開口されている。本体吸込口34は、突出受部32の前端部に開口されており、連通開口部および吸気開口部は、それぞれ本体部31の前部に開口されている。
そして、本体部31の内部には、電動送風機39、図示しないコードリール装置などの電源部、および、図示しない制御手段(制御部)などがそれぞれ収容されている。また、本体部31の内部には、本体吸込口34と連通開口部、すなわち集塵装置27の上流側とを連通する連通風路部が形成されている。さらに、この本体部31の内部には、吸気開口部、すなわち集塵装置27の下流側と電動送風機39の吸込側とを連通する吸気風路部が形成されている。また、この本体部31の後部には、電動送風機39の排気側と本体ケース26の外部とを連通する複数の排気孔が形成されているとともに、これら排気孔の上方の一側に、電源部の電源コードを本体ケース26に対して出し入れするための図示しないコード導出口が形成されている。なお、電源部としては、(二次)電池などを用いることもできる。
電動送風機39は、設定ボタン22の操作に応じて、制御手段により動作が制御されるものである。この電動送風機39は、吸込側を上側として配置されている。
制御手段は、設定ボタン22と電気的に接続されており、この設定ボタン22の操作により設定された動作モード、例えば強モード、中モード、弱モード、自動モード、停止モードなどに電動送風機39の動作を設定するように構成されている。
一方、集塵装置27は、図1に示すように、構造として、下側に位置して塵埃を内部に溜める第1本体部としてのカップ部41と、このカップ部41の上側に着脱可能に位置し、含塵空気が内部を通過する第2本体部としての着脱部42とを備えている。カップ部41に対して着脱部42を取り付けた状態で、含塵空気から塵埃を分離する分離部が構成される。集塵装置27は、カップ部41と着脱部42とが係止手段(係止部)43と係止受部44との係合により互いに着脱可能に固定されるとともに、着脱部42が着脱部本体53と蓋部54とに分割され、着脱部本体53に対して蓋部54が固定手段(固定部)としての固定レバー55により着脱可能に固定される。また、この集塵装置27は、図6に示すように、風路構成として、含塵空気が導入される導入口57と、この導入口57と連通し分離部の一部をなす第1分離部である第1遠心分離部58と、この第1遠心分離部58の下流側に連通する中継風路59と、この中継風路59を介して第1遠心分離部58に対して連通し分離部の他部をなす第2分離部である例えば複数の第2遠心分離部60と、これら第2遠心分離部60の下流側に共通して連通する排気風路61と、この排気風路61を介して第2遠心分離部60からの排気を外部に排出する排出口62とを備えている。そして、この集塵装置27は、電動送風機39(図7)の駆動により導入口57から内部に吸い込んだ含塵空気中の比較的大きい塵埃である粗塵を第1遠心分離部58で主として遠心分離するとともに、第1遠心分離部58で分離できなかった微細な塵埃、つまり第1遠心分離部58で遠心分離する粗塵よりも小さい塵埃である細塵を各第2遠心分離部60で主として遠心分離するように構成されている。なお、この集塵装置27は、図7に示すように、本体ケース26に対して着脱部42側である上側が後方に傾斜するように装着されるものの、説明をより明確にするために、水平方向に沿う平坦な平面上に直立させて配置した状態を基準として説明する。
図1に示すカップ部41は、例えば透光性を有する又は透明な合成樹脂などの部材により形成されている。このカップ部41は、下部を構成する小径部63と、この小径部63の上方に位置して上部を構成する大径部64と、これら小径部63と大径部64とを連続する傾斜部65とを一体的に備えている。また、このカップ部41には、このカップ部41および集塵装置27を持ち運ぶ際に把持されるハンドル部67が突設されている。さらに、このカップ部41の後部、すなわち本体部31(図7)の前部と対向する位置には、導入口57が開口されている。この導入口57は、カップ部41の内面、すなわち第1遠心分離部58(図6)に対して接線方向に含塵空気を導入するようになっている。そして、この導入口57は、集塵装置27を本体ケース26(図7)に装着した状態で、連通開口部と連通される。したがって、この導入口57には、図7に示す管部12および本体吸込口34を通過した含塵空気が導入されるようになっている。
図6に示すように、小径部63は、第1遠心分離部58の外郭を構成するもので、有底円筒状に形成されている。この小径部63の内部の底部は、第1遠心分離部58により遠心分離された粗塵が溜められる第1塵埃溜め部68となっている。
大径部64は、カップ部41の開放端である上端を構成するもので、小径部63と同軸状の円筒状に形成され、傾斜部65とともに第2遠心分離部60により遠心分離された細塵が溜められる第2塵埃溜め部69を着脱部42との間に区画するようになっている。この第2塵埃溜め部69は、集塵装置27内を通過する空気の流路の外方に位置している。この第2塵埃溜め部69には、電動送風機39の駆動により生じる負圧が実質的に作用せず、空気が流れない。
傾斜部65は、大径部64の下端部の全周から小径部63の上端部の全周へと、徐々に縮径するように傾斜している。
図1に示すハンドル部67は、カップ部41の前後方向の中心位置よりも後側寄りで、かつ、図7に示すように集塵装置27を本体ケース26に装着した状態で本体ケース26側に近接するカップ部41の一側部に設けられている。すなわち、このハンドル部67は、カップ部41を軸方向から見てこのカップ部41の後部斜め方向に位置している。このハンドル部67は、カップ部41の軸方向に略平行な鉛直上下方向に沿って設けられている。また、このハンドル部67は、図1に示すように、使用者が指を挿入する挿入開口部71が小径部63の側部に位置しているとともに、この挿入開口部71よりも上方の大径部64の側部の位置に、上記係止手段43が設けられている。さらに、このハンドル部67の上端部には、カップ部41に対して着脱部42を取り付けた状態で着脱部42の側方に位置する区画壁部73が延設されている。この区画壁部73は、上方から見てコ字状の壁となっており、係止受部44が内部に挿入されることでカップ部41と着脱部42とを周方向に位置合わせするための位置合わせ部となっている。
係止手段43は、カップ部41に対して着脱部42を着脱可能に係止するクランプであり、ハンドル部67を把持した手の指で押し操作することで着脱部42の係止を解除可能となっている。この係止手段43は、ハンドル部67の側部にて挿入開口部71の上方に露出する被操作部43aと、ハンドル部67の上端部から上方に突出して区画壁部73の内方に位置する図示しない引っ掛け部としての係止爪部とを一体的に備えている。また、この係止手段43は、図示しない係止手段付勢体であるコイルばねによって付勢されている。
被操作部43aは、コイルばねの付勢に抗して係止爪部の係止受部44に対する係合を解除するように係止手段43を押し操作するためのものである。この被操作部43aは、カップ部41に対して着脱部42を取り付けた状態であってもハンドル部67を把持した手の指で操作可能となっている。また、この被操作部43aは、例えば下端側がハンドル部67(カップ部41)に対して回動可能に軸支されている。
係止爪部は、被操作部43aの上端部に突設されており、カップ部41の上端部よりも上方に突出して位置している。
コイルばねは、ハンドル部67の上端部の内部に位置しており、係止爪部が係止受部44に対して係止される方向、又は、係止手段43が係止受部44を係止する方向に係止手段43を付勢している。
一方、図6に示す着脱部42の着脱部本体53は、カップ部41の内部に挿入される挿入部としての内筒77および区画部としての壁部78と、カップ部41の外部に位置する分離体部79とを一体的に備えている。
内筒77は、カップ部41又は小径部63に対して同軸状に中央部に配置され、カップ部41又は小径部63とともに第1遠心分離部58を構成し、第1遠心分離部58の旋回中心となって、外周とカップ部41の内周面との間に、含塵空気を旋回させる旋回風路を形成するとともに、内部に中継風路59の上流側を区画するものである。また、この内筒77は、略円筒状の挿入部本体である排気筒部81と、この排気筒部81の下端側に同軸状に設けられた圧縮部であるシェード部82とを備えている。
排気筒部81は、旋回風路を旋回する含塵空気が内部へと通過する開口84を周方向に複数備えており、これら開口84全体が分離フィルタ85によって覆われている。すなわち、これら開口84により、第1遠心分離部58の下流側が分離フィルタ85を介して中継風路59と連通している。そして、この排気筒部81又は内筒77は、分離体部79に対して着脱可能となっている。
また、シェード部82は、第1遠心分離部58において分離した粗塵を、電動送風機39の駆動により生じる負圧を利用して圧縮して第1塵埃溜め部68に溜めるものであり、排気筒部81に対して拡径され、下方に向けて開口されている。このシェード部82には、排気筒部81の下端部の周囲に複数の圧縮用開口87が周方向に略等間隔に離間されて開口されており、これら圧縮用開口87は、圧縮フィルタ88によって覆われている。そして、このシェード部82は、排気筒部81に対して着脱可能となっている。
壁部78は、内筒77の周囲にて分離体部79から下方へと拡開状に傾斜して突出しており、先端側に可撓性および弾性を有するエラストマ、あるいはゴムなどのシール部材であるパッキン89が取り付けられている。また、この壁部78は、分離体部79の全周に亘って設けられており、各第2遠心分離部60の下方に対向している。そして、この壁部78は、着脱部42をカップ部41の上方に取り付けた状態で、カップ部41の傾斜部65に対してパッキン89が圧接されることにより、カップ部41の大径部64および傾斜部65との間に第2塵埃溜め部69を区画している。
分離体部79は、着脱部本体53の側部の外郭を構成する外側面部である周面部91と、この周面部91の内方に組み込まれた複数の円筒部92、通気部93およびダクト部94と、係止手段43(図1)が係合される上記係止受部44(図1)とを備えている。また、この分離体部79には、排出口62が形成されているとともに、集塵装置27を本体ケース26(図7)に対して係止する係止爪部(係止部)96が設けられている。
周面部91は、例えばカップ部41の大径部64と略等しい径寸法を有する略円筒状に形成されており、着脱部42をカップ部41に取り付けた状態で、カップ部41の上端部(大径部64の上部)に隣接するように構成されている。この周面部91の後部には、排出口62が開口されている。この排出口62は、着脱部42の後部、すなわち本体部31と対向する位置に開口されている。また、この排出口62は、後部に位置する第2遠心分離部60,60間の位置に開口されている。この排出口62は、集塵装置27を本体ケース26に装着した状態で吸気開口部と気密に接続される。したがって、この排出口62は、吸気開口部を介して電動送風機39の吸込側と気密に接続される。
各円筒部92は、下方に向けて徐々に縮径する第2遠心分離部本体であるコーン部98と、このコーン部98の上部に設けられ中継風路59と連通する導風部99と、この導風部99の中央部に設けられ排気風路61と連通する円筒状の排出部100とを備えている。これら円筒部92は、集塵装置27又は第1遠心分離部58の中心軸の周囲の後部を除く位置に、互いに略等間隔に離間されて円弧状、例えば同一円周上に配置されている。そして、これら円筒部92のコーン部98と導風部99とにより、各第2遠心分離部60が着脱部42内に区画されている。したがって、これら第2遠心分離部60は、集塵装置27又は第1遠心分離部58の中心軸の周囲の後部を除く位置に円弧状、例えば同一円周上に配置され、鉛直上下方向から見てC字状に位置している。
コーン部98は、導風部99を介して導入された含塵空気を内部で旋回させるもので、上下方向に沿って軸方向を有している。また、これらコーン部98の下端部は、各第2遠心分離部60で遠心分離された細塵を第2塵埃溜め部69へと排出する塵埃排出口102となっている。これら塵埃排出口102は、分離体部79の下部に露出してこの分離体部79の外部、本実施形態では第2塵埃溜め部69と連通し、壁部78の上方に対向している。
導風部99は、中継風路59を介して各第2遠心分離部60を第1遠心分離部58に対して並列に接続するとともに、含塵空気を各第2遠心分離部60又は各コーン部98の内部へと接線方向に沿って導入するものである。これら導風部99は、各コーン部98の上部を覆って設けられ、それぞれ螺旋状に形成されている。
排出部100は、第2遠心分離部60と排気風路61とを連通することで、第2遠心分離部60で細塵が遠心分離された空気を第2遠心分離部60の中心軸の位置から排気風路61へと排出するものである。これら排出部100は、上下方向に沿って軸方向を有し、導風部99から上方に突出するとともに、上端部が蓋部54の下端部に圧接されるようになっている。
通気部93は、中継風路59の下流側を区画するもので、着脱部42、本実施形態では分離体部79の各第2遠心分離部60の配置の内方で、かつ、排気風路61の周囲の位置に配置され、下方から上方へと徐々に縮径する略円筒状となっている。したがって、中継風路59は、カップ部41の中央部から、着脱部42又は分離体部79の中央部の上端近傍に亘って排気風路61の周囲に形成されており、この中継風路59の後部を除く周囲が複数の第2遠心分離部60によって囲まれている。
ダクト部94は、各第2遠心分離部60を通過した空気を排出口62へと導く排気風路61を区画するもので、通気部93の内方に一部が区画されるとともに、後部の位置で通気部93の内周と連続し、後方に向けて延び、排出口62と連通している。したがって、排気風路61は、各第2遠心分離部60の上方から、これら第2遠心分離部60の側方、本実施形態では、円弧状又は略円形状に配列された第2遠心分離部60の中心へと連続するとともに、後方へと屈曲している。また、このダクト部94は、上端部が蓋部54の下端部に圧接されるようになっている。
図1に示す係止受部44は、分離体部79又は周面部91の一側部の下端近傍にて径方向に突設され、下部が開口されている。すなわち、この係止受部44は、着脱部42をカップ部41に取り付けた状態で、係止手段43に対して上方から被せられるように配置されている。そして、この係止受部44の内部には、図示しないが、この係止受部44に挿入された係止手段43の係止爪部がコイルばねの付勢により係止される受け部が設けられている。
図6に戻って、係止爪部96は、集塵装置27を本体ケース26(図7)に装着する際に、この本体ケース26(図7)に係合されることで集塵装置27を本体ケース26(図7)に係止するもので、分離体部79又は周面部91の後部に例えば上下方向に回動可能に軸支されている。この係止爪部96は、係止部付勢手段としての図示しないコイルばねにより、後方へと進出する方向に向けて付勢されている。
着脱部42の蓋部54は、着脱部本体53の上部の外郭を構成する蓋部本体105と、この蓋部本体105に設けられた支持部としての操作部106、区画部107、接触部108および受け部109(図1)とを備えている。
蓋部本体105は、着脱部本体53又は分離体部79の周面部91と略等しい外径寸法を有する円形状に形成されている。この蓋部本体105は、周辺部から中央部へと下方に向けて湾曲しており、この蓋部本体105の中央部の上部が凹部111となっている。そして、この蓋部本体105は、蓋部54を固定レバー55(図1)によって着脱部本体53に固定した状態で、図示しない閉塞部材などを介して着脱部本体53、本実施形態では分離体部79の上部を気密に覆うようになっている。
操作部106は、操作により係止爪部96をコイルばねの付勢に抗して回動させるもので、蓋部本体105の凹部111の上側後部を覆って位置しており、後端側が蓋部本体105に対して上下方向に回動可能に軸支されている。すなわち、図2に示すように、この操作部106の回動軸106aは、左右方向に沿って延びており、ハンドル部67に対して交差又は直交する方向となっている。したがって、この操作部106は、蓋部54に対する接続位置が所定方向に並んでいる。すなわち、この操作部106は、所定方向に沿って配置されている。本実施形態において、操作部106は、蓋部54に対する接続位置が左右方向に並んでいる。そして、この操作部106は、凹部111に挿入した手指によって使用者が上方へと持ち上げ操作することで係止爪部96を連動させてこの係止爪部96(図6)による集塵装置27の本体ケース26(図7)への係止を解除可能となっている。つまり、この操作部106は、蓋部54に対する接続位置とは反対側の端部である前端部が蓋部54から離れる方向に回動させることで集塵装置27の本体ケース26(図7)への係止を解除可能である。したがって、この操作部106は、本体ケース26(図7)から取り外した集塵装置27を支持しつつ持ち運ぶための支持部となっている。
図6に戻って、区画部107は、蓋部54を固定レバー55(図1)によって着脱部本体53に固定した状態で排気風路61の上部を区画するもので、蓋部本体105の下部に沿って形成されている。すなわち、この区画部107は、蓋部本体105と同様に、周辺部から中央部へと下方に向けて湾曲しており、蓋部54を固定レバー55(図1)によって着脱部本体53に固定した状態で、排出部100により各第2遠心分離部60から排気風路61へと排出された空気を円滑に下方へと導くように整流している。
接触部108は、円筒状に形成されており、区画部107の下部に対して離間されて設けられ、蓋部54を固定レバー55(図1)によって着脱部本体53に固定した状態で、各排出部100およびダクト部94の上端部に圧接されるようになっている。このため、この接触部108のダクト部94への圧接により、中継風路59と排気風路61とが気密に区画されるとともに、各第2遠心分離部60が排気風路61に対して気密に接続される。したがって、蓋部54を着脱部本体53から取り外すことで、接触部108が各排出部100およびダクト部94から離間されることにより、少なくとも各第2遠心分離部60の一部、本実施形態では各第2遠心分離部60、中継風路59および排気風路61のそれぞれの上部が開放されるようになっている。
図1に示す受け部109は、固定レバー55に係合されることで蓋部54を着脱部本体53に対して係止する部分であり、蓋部本体105の一側部に突設されている。この受け部109は、蓋部本体105から径方向に沿って延びている。この受け部109は、例えば円柱状の軸部109aと、この軸部109aの先端部に一体に設けられこの軸部109aより径寸法が大きい扁平な円柱状の係止部109bとを備えている。また、この受け部109は、カップ部41に着脱部42を取り付けた状態でハンドル部67又は区画壁部73の直上近傍に配置される。
そして、固定レバー55は、図5(b)に示すように、固定手段本体(固定部本体)としてのレバー本体114と、このレバー本体114に設けられた円筒状の軸受部115と、このレバー本体114に設けられ受け部109(図5(c))が挿入される溝部116とを備えている。固定レバー55は、操作部106の蓋部54に対する接続位置を結ぶ仮想線である回動軸106aと交差する方向に沿って移動可能に設けられている。本実施形態において、この固定レバー55は、軸受部115が、図5(a)に示すように、着脱部本体53、本実施形態では分離体部79の周面部91に突設されたボス状の保持部118に対してねじ119を介して軸支されている。したがって、固定レバー55は、着脱部本体53に対して軸受部115又は保持部118の軸方向に沿って回動軸55aを有して回動可能に設けられている。また、この固定レバー55は、着脱本体部53(分離体部79)の側部で、かつ、着脱部42をカップ部41に取り付けた状態でハンドル部67(区画壁部73)、係止手段43および係止受部44の上方又は直上に位置している。このため、図2に示すように着脱部42をカップ部41に取り付けた状態で、ハンドル部67又は区画壁部73、係止手段43および固定レバー55が鉛直上下方向に沿って一直線上に並ぶように配置されている。そして、この固定レバー55は、回動軸55aを中心として、着脱部本体53又は分離体部79の周面部91に沿って上下方向に位置する固定位置と、この固定位置から図4に示すように上端側が前側、下端側が後側となるように前後方向に90°程度回動してハンドル部67および係止手段43に対して交差する方向に沿う解除位置との間で回動するようになっている。
レバー本体114は、固定位置とした状態で蓋部54の側方まで延びるように長手状に形成されている。
軸受部115は、例えばレバー本体114の長手方向の略中央部に円筒状又はボス状に設けられている。
溝部116は、レバー本体114の着脱部本体53に対向する側部にて軸受部115に対して離間された位置に凹設されている。この溝部116は、保持部118(図5(a))を中心とする円弧に沿って形成されており、一端部がレバー本体114又は固定レバー55の前部と連通して開口しているとともに、他端部がレバー本体114又は固定レバー55の後部と連通せずに閉塞されている。また、この溝部116は、受け部109(図5(c))の軸部109aが挿入される軸部挿入部116aと、係止部109bが挿入される係止部挿入部116bとが段差状に連続して形成されている。すなわち、この溝部116は、挿入された受け部109(図5(c))の鉛直上下方向、左右水平方向および前後水平方向への移動を規制する。また、この溝部116により、固定レバー55又はレバー本体114は、受け部109(図5(c))に対して前方の位置で回動可能となっており、受け部109(図5(c))から後方には回動しないようになっている。
保持部118は、着脱部42の着脱部本体53の径方向に沿って左右方向に延び、軸受部115内に同軸状に挿入されている。したがって、固定レバー55の回動軸55aは、操作部106の回動軸106aに沿って、すなわち回動軸106aと略平行な方向又は同方向に形成されている。固定レバー55の回動軸55aは、操作部106の蓋部54に対する接続位置を結ぶ仮想線に沿っている。すなわち、この固定レバー55の回動軸55aは、操作部106を把持する手の指を操作部106又は凹部111に挿入する方向に対して交差又は略直交する方向、つまり操作部106を把持する手の幅方向、すなわち親指-小指方向に沿っている。
次に、上記一実施形態による掃除動作を図1ないし図7を参照して説明する。
掃除を開始する際には、まず、カップ部41に対して着脱部42を取り付けて一体的に組み立てる。このとき、着脱部42は、係止受部44をカップ部41のハンドル部67の上部に位置する係止手段43に位置合わせした状態でカップ部41に対して押し込むことで、係止手段43の係止爪部がコイルばねの付勢に抗して係止受部44により押し込まれた後、受け部の位置でコイルばねの付勢により復帰して受け部に挿入されることで、係止手段43が係止受部44を係止し、ハンドル部67と、係止手段43および固定レバー55とが上下方向に一直線上に位置する。また、カップ部41の内部では、内筒77が小径部63と同軸に挿入されて第1遠心分離部58が構成されるとともに、壁部78の先端側である下端側がカップ部41の傾斜部65にパッキン89を介して密着することで第1塵埃溜め部68と別個に第2塵埃溜め部69が区画される。
そして、この組み立てた集塵装置27を本体ケース26に装着する。すなわち、集塵装置27を、本体ケース26の突出受部32に載置して支持し、かつ、係止爪部96を本体ケース26に係止することにより本体ケース26に対して集塵装置27を係止することで、集塵装置27の導入口57および排出口62が本体ケース26の連通開口部および吸気開口部とそれぞれ気密に接続される。したがって、集塵装置27が電動送風機39の吸込側と本体吸込口34との間に気密に接続された状態で本体ケース26に装着される。この状態で、集塵装置27は、ハンドル部67、係止手段43および固定レバー55が、この集塵装置27の前後方向の中心位置よりも後側で、かつ、左右方向の一側に位置する、すなわち本体ケース26寄りの後方斜めに位置し、集塵装置27の左右両側部よりも左右外方に突出しないようになる。このため、集塵装置27の前側の外側部には、突起物が生じない状態となる。
なお、集塵装置27が本体ケース26に既に装着された状態である場合には、これらの操作は不要である。
この状態で、掃除機本体13の本体吸込口34に管部12を接続する。具体的に、管部12は、接続管部15を本体吸込口34に挿入接続するとともに、必要に応じて、手元操作部17の先端側に延長管18および床ブラシ19を順次接続する。この状態で、手元操作部17の設定ボタン22が掃除機本体13内の制御手段などと電気的に接続される。なお、管部12が掃除機本体13に既に接続された状態である場合には、これらの操作は不要である。
そして、使用者は、コード導出口から電源コードを引き出して壁面などのコンセントに接続した後、把持部21を把持し、所望の設定ボタン22を操作することにより、電動送風機39の動作モードを設定する。制御手段は、この設定された動作モードに対応して電動送風機39の入力を制御し、電動送風機39を設定された動作モードで起動する。
この電動送風機39の起動により生じた負圧は、吸気風路部、吸気開口部、排出口62、排気風路61、第2遠心分離部60、中継風路59、第1遠心分離部58、導入口57、連通開口部、連通風路部および本体吸込口34を介して、管部12へと作用する。
そして、使用者は、この負圧の作用により、床ブラシ19、延長管18、あるいは手元操作部17の先端側から空気とともに塵埃を吸い込む。
この塵埃を含む空気、すなわち含塵空気は、管部12から本体吸込口34、連通風路部および連通開口部を経由して導入口57へと導かれ、この導入口57から集塵装置27内、すなわち第1遠心分離部58内へと吸い込まれる。
この第1遠心分離部58では、含塵空気が旋回風路を旋回することで、この含塵空気中の特に粗塵が遠心分離され、カップ部41の小径部63の内周面に沿って落下して第1塵埃溜め部68に溜められる。なお、この粗塵は、旋回風路から内筒77のシェード部82へと、含塵空気の流れの一部によって運ばれ、シェード部82の圧縮用開口87を含塵空気が通過することにより圧縮フィルタ88によってシェード部82内で圧縮される。
粗塵が分離された含塵空気は、内筒77の排気筒部81の開口84を通過する際に分離フィルタ85により濾過される。さらに、この分離フィルタ85を通過した含塵空気は、中継風路59を介して導風部99により各第2遠心分離部60内、本実施形態ではコーン部98内へとそれぞれ分岐されて流入する。
これら第2遠心分離部60では、含塵空気がコーン部98を旋回することで、この含塵空気中の細塵が遠心分離され、塵埃排出口102から壁部78へと落下し、この壁部78の傾斜に沿って各第2遠心分離部60の下方又は直下、すなわち、これら第2遠心分離部60の中心軸位置に対して、側方へとずれた位置に導かれて第2塵埃溜め部69に溜められる。
そして、細塵が遠心分離された実質的に塵埃を含まない空気は、各排出部100を介して各第2遠心分離部60から排気風路61へと排気されて合流し、この排気風路61によって流量が絞られつつ後方へと導かれて、排出口62から集塵装置27の外部へと排気される。
この後、この空気は、吸気開口部から吸気風路部を通過した後、電動送風機39へと吸い込まれ、この電動送風機39の内部を冷却しつつ通過して排気風となり、電動送風機39から排気孔を介して本体ケース26の外部へと排気される。
掃除が終了すると、使用者が所定の設定ボタン22を操作することで、制御手段が電動送風機39の入力を低下させて電動送風機39を停止させる。
集塵装置27内に一定量の塵埃が溜まった場合には、使用者が操作部106を持ち上げることでコイルばねの付勢に抗して係止爪部96を退避させ、集塵装置27を本体ケース26から取り外す。
そして、ハンドル部67を把持して係止手段43の被操作部43aをコイルばねの付勢に抗して押し操作することで、係止爪部が係止受部44の受け部に対して退避して係止手段43による係止受部44の係止、すなわちカップ部41に対する着脱部42の係止が解除されるので、着脱部42をカップ部41から上方へ引き抜くことで着脱部42がカップ部41から取り外される。この取り外しにより、カップ部41から内筒77が引き抜かれるとともに、壁部78又はパッキン89の傾斜部65への密着が解除され、第2塵埃溜め部69に溜められた細塵が、傾斜部65の傾斜に沿ってカップ部41の内部へと落下し、このカップ部41内に溜められた粗塵の上側に降りかかってこの粗塵と混ざる。
この状態で、使用者は、カップ部41をごみ箱などの廃棄位置へと集塵装置27を運んだ後、上側を下方へと傾けるようにひっくり返すことで、カップ部41に圧縮された状態で溜まった粗塵およびこの粗塵と混ざった細塵が一緒に廃棄される。
集塵装置27のメンテナンスの際には、蓋部54を着脱部本体53から取り外すことで、各第2遠心分離部60、中継風路59および排気風路61の上部をそれぞれ開放するとともに、分離体部79から内筒77を取り外し、この内筒77を排気筒部81とシェード部82とに分解した後、カップ部41、分離体部79および蓋部54とともに、排気筒部81およびシェード部82をそれぞれ水洗いすることで、内部に付着した粗塵および細塵を洗い流すことができる。
ここで、例えば本体ケース26から操作部106の操作によって取り外した集塵装置27は、操作部106に対して着脱部本体53、蓋部54、および、カップ部41が自重により回動し、操作部106が相対的に蓋部54から離れて持ち上がった位置となる(図3の実線に示す)。この状態で、固定レバー55を矢印D方向に回動させて固定レバー55による着脱部本体53に対する蓋部54の固定を解除しようとすると、操作部106の回動軸106aと固定レバー55の回動軸55aとが略等しい方向に沿い、かつ、固定レバー55の回動方向が、蓋部54が操作部106に接近する方向と同方向であるため、着脱部本体53、蓋部54、および、カップ部41が固定レバー55の回動方向と同じ方向に容易に追従回動可能であることにより、固定レバー55を着脱部本体53や蓋部54に対して回動させようとする力によって、図3の想像線に示すように、固定レバー55と一体的に着脱部本体53、蓋部54、および、カップ部41が操作部106に対して回動するように姿勢が変化し、固定レバー55を着脱部本体53および蓋部54に対して回動させにくい。そこで、蓋部54を着脱部本体53から取り外す際には、例えば机の上などの設置面上に集塵装置27を配置するなど、固定レバー55の回動に対して着脱部本体53、蓋部54、および、カップ部41が安定する姿勢とした状態で、集塵装置27を押さえつつ固定レバー55を、上側を前方に倒すように回動させる(図4)ことにより、固定レバー55が着脱部本体53、蓋部54、および、カップ部41に対して容易に回動し、溝部116から受け部109が外れて、蓋部54の固定が解除されるので、この蓋部54を着脱部本体53から取り外し可能となる。
このように、着脱部本体53の一部を開閉可能な蓋部54に、集塵装置27を持ち運ぶための操作部106を設けるとともに、この操作部106の蓋部54に対する接続位置を結ぶ仮想線と交差する方向に沿って移動可能に固定レバー55を設けることで、固定レバー55の係止解除操作の方向が、操作部106を把持することで支持している集塵装置27の支持力の弱い方向に設定されるため、操作部106を把持した空中に吊り下げるように支持した状態で固定レバー55を誤って係止解除操作することで蓋部54を意図せずに取り外すことを、集塵装置27の姿勢変化(逃げ動作)で防止できる。したがって、使用者を、集塵装置27を机の上などの安定した設置面上に設置してから固定レバー55の操作に自然に入るように促すことができ、操作部106で集塵装置27を吊り下げるように支持した状態から誤って固定レバー55を操作することで蓋部54が外れてカップ部41や着脱部本体53などが落下することを防止できる。
本実施形態において、固定レバー55は、操作部106の蓋部54に対する接続位置を結ぶ仮想線と同方向に沿って回動軸55aを有して回動可能に設けられているため、着脱部本体53に対する蓋部54の固定を固定レバー55の回動操作により解除しようとする際に、操作部106を把持した空中に吊り下げるように支持した状態で固定レバー55を誤って回動操作することで蓋部54を意図せずに取り外すことを、集塵装置27の姿勢変化で防止できる。
特に、操作部106が、蓋部54に対して回動可能であり、固定レバー55の蓋部54の着脱部本体53に対する固定を解除する移動方向が、操作部106により集塵装置27を持ち運ぶときの操作部106の蓋部54に対する回動方向に沿う方向となっているため、操作部106により集塵装置27を空中に吊り下げるように支持したまま固定レバー55を移動させて蓋部54の着脱部本体53に対する固定を解除しようとしたときに、着脱部本体53、蓋部54、および、カップ部41が固定レバー55の回動に追従して回動しやすい。そのため、操作部106を把持した空中に吊り下げるように支持した状態では、固定レバー55を誤って操作しても蓋部54が外れにくい。
なお、塵埃を洗い流したカップ部41、分離体部79、蓋部54、排気筒部81およびシェード部82は充分に乾燥した上で、上記の分解のときと逆順で組み立てることができる。
また、固定レバー55は、集塵装置27の1箇所に設定するだけでよいため、複数箇所に設定する場合と比較して、構成をより簡略化できるとともに、デザインの自由度を向上できる。
しかも、固定レバー55は、ハンドル部67および係止手段43と上下に並ぶ位置に配置されているので、外観が単純化され、見栄えが良好となる。
なお、上記一実施形態において、固定レバー55は、回動可能なものに限定されず、操作部106の蓋部54に対する接続位置を結ぶ仮想線と交差する方向にスライドなどにより移動可能とすることで、上記一実施形態と同様の作用効果を奏することが可能である。
さらに、支持部は、蓋部54に対して回動可能とする必要はなく、蓋部54に対する接続位置を結ぶ仮想線が固定手段の回動軸と同方向となるように配置されていれば、同様の作用効果を奏することができる。すなわち、支持部は、左右方向に延びて両端部が蓋部54に固定された、あるいは両端部が蓋部54と一体に接続されたハンドルなどでもよい。
また、蓋部54は、着脱部42の一部又は着脱部42内の風路の一部を開閉して内部をメンテナンスできるようにするものであれば、着脱部本体53の上部を開閉するものに限定されない。
さらに、集塵装置27は、第1遠心分離部58と複数の第2遠心分離部60とを備える構成としたが、カップ部41内に塵埃の少なくとも一部を溜めるように含塵空気から塵埃を分離する構成であれば、このような構成に限定されない。例えば、第2遠心分離部60に代えて、塵埃をろ過捕集するフィルタを備える構成などとすることもできる。
そして、電気掃除機11はキャニスタ型に限らず、掃除機本体13に延長管18および床ブラシ19などからなる管部12を直接接続したスティック型、上下方向に長手状の掃除機本体13の下部に床ブラシ19を接続したアップライト型、あるいは被掃除面上を自律走行可能なロボット型などでも対応して用いることができる。
本発明の一実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲をこの実施形態に限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。