JP7309315B2 - 樹脂組成物、およびこれを用いた立体造形物の製造方法、ならびに立体造形物 - Google Patents

樹脂組成物、およびこれを用いた立体造形物の製造方法、ならびに立体造形物 Download PDF

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本発明は、樹脂組成物、およびこれを用いた立体造形物の製造方法、ならびに立体造形物に関する。
近年、複雑な形状の立体造形物を比較的容易に製造できる様々な方法が開発されている。立体造形物を製造する方法の一つとして、活性エネルギー線硬化性化合物を含む液体状の樹脂組成物に活性エネルギー線を選択的に照射して、所望の形状に樹脂組成物を硬化させる方法が知られている(例えば特許文献1)。特許文献1に記載の方法では、まず、立体造形物を厚さ方向に微分割した硬化物を形成する。その後、当該硬化物上に、液体状の樹脂組成物からなる層をさらに形成し、所望の形状に硬化させる。そして、液体状の樹脂組成物からなる層の形成、およびその硬化を繰り返すことにより、所望の形状の立体造形物を形成する。このような特許文献1の方法では、層状の硬化物を積み重ねて立体造形物を形成するため、層間の結着力が不十分となりやすく、立体造形物の積層方向での強度が弱くなりやすい、との欠点があった。
一方、上述の方法で作製される立体造形物の強度向上のために、液状の樹脂組成物にガラス繊維や炭素繊維等のフィラーを添加することが提案されている(例えば特許文献2や特許文献3)。樹脂組成物にフィラーを添加すると、立体造形物の各層の強度や寸法精度は向上する。しかしながら、当該フィラーによって層間の結着力を高めることは難しく、さらに強度の高い立体造形物の製造方法が求められていた。
上記課題を解決するため、継ぎ目なく連続的に立体造形物を製造する方法が提案されている(特許文献4および5)。当該方法では、活性エネルギー線を照射しても樹脂組成物が硬化しないバッファ領域と、活性エネルギー線の照射によって樹脂組成物が硬化する硬化用領域とを、造形槽内に設ける。このとき、バッファ領域が造形槽底部側、硬化用領域が造形槽上部側に位置するよう、それぞれの領域を形成する。そして、硬化用領域に立体造形の基点となるキャリアを配置し、バッファ領域(造形槽底部)側から硬化用領域に活性エネルギー線を照射する。これにより、キャリア表面に樹脂組成物の硬化物が形成される。その後、当該キャリアを造形槽上部側に引き上げながら、連続的に活性エネルギー線を照射する。これにより、キャリア下方に、樹脂組成物の硬化物が連続的に形成され、継ぎ目のない立体造形物が得られる。
なお、上記バッファ領域は、造形槽と樹脂組成物の硬化物とが接触しないように設けられる領域であり、バッファ領域には、活性エネルギー線による樹脂組成物の硬化を阻害するための酸素が、連続的に供給される。
特開平8-174680号公報 特開2001-26609号公報 特開2015-089943号公報 特表2016-509962号公報 特表2016-509964号公報
ここで近年、さらに強度の高い立体造形物の提供が望まれている。そこで、上述の特許文献4や特許文献5に記載の方法に用いる樹脂組成物にも、フィラーを添加することが検討されている。しかしながら一般的なフィラー(例えば無機フィラー等)は酸素との親和性が高い。そのため、フィラーを含む樹脂組成物に酸素を供給してバッファ領域を形成すると、フィラーが酸素を吸着してしまう。そして、硬化用領域でこのようなフィラーを含む樹脂組成物を硬化しようとすると、フィラーと樹脂との界面で樹脂が硬化し難くなる。したがって、フィラーを添加しても、得られる立体造形物の強度が十分に高まらなかったり、フィラーの添加によって、却って立体造形物の強度が低下してしまう、との課題があった。
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものである。すなわち本発明は、樹脂とフィラーとの界面での硬化阻害が生じ難く、フィラー添加による強度向上効果が十分に発現しやすい樹脂組成物の提供を目的とする。
本発明の第1は、以下の樹脂組成物にある。
[1]樹脂組成物および酸素を含み、酸素により前記樹脂組成物の硬化が阻害されるバッファ領域と、前記樹脂組成物を少なくとも含み、前記バッファ領域より酸素濃度が低く、前記樹脂組成物の硬化が可能な硬化用領域と、が隣接して配置された造形物槽に、前記バッファ領域側から活性エネルギー線を照射して、前記硬化用領域で前記樹脂組成物を硬化させる方法に使用される樹脂組成物であって、ラジカル重合性化合物と、非酸素吸着性フィラーおよび/または酸素吸着抑制剤により処理された酸素吸着性フィラーと、を含む、樹脂組成物。
[2]前記酸素吸着抑制剤が、炭素数が3以上の脂肪族炭化水素基および/または芳香族炭化水素基を有する、[1]に記載の樹脂組成物。
[3]前記酸素吸着抑制剤が、シラン系化合物またはカルボン酸系化合物である、[1]または[2]に記載の樹脂組成物。
[4]前記酸素吸着性フィラーが、有機高分子繊維、ウィスカー状無機化合物、粘土化合物、ガラス、セラミック、金属、およびカーボンからなる群から選ばれる少なくとも一種である、[1]~[3]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[5]前記酸素吸着性フィラーが繊維状である、[4]に記載の樹脂組成物。
[6]前記有機高分子繊維が多糖類ナノファイバーである、[4]に記載の樹脂組成物。
[7]前記ラジカル重合性化合物が、不飽和カルボン酸エステル化合物、および/または不飽和カルボン酸アミド化合物である、[1]~[6]のいずれかに記載の樹脂組成物。
本発明の第2は、以下の立体造形物の製造方法、および立体造形物にある。
[8]上記[1]~[7]のいずれかに記載の樹脂組成物および酸素を含み、酸素により樹脂組成物の硬化が阻害されるバッファ領域、ならびに前記樹脂組成物を少なくとも含み、前記バッファ領域より酸素濃度が低く、前記樹脂組成物の硬化が可能な硬化用領域を、造形物槽内に隣接して形成する工程と、前記バッファ領域側から活性エネルギー線を選択的に照射して、前記硬化用領域で前記樹脂組成物の硬化物を形成する工程と、を含み、前記硬化物の形成工程が、形成された前記硬化物を連続的に前記バッファ領域とは反対側に移動させながら、前記硬化用領域に連続的に活性エネルギー線を照射する工程である、立体造形物の製造方法。
[9]上記[1]~[7]の樹脂組成物の硬化物であって、積層構造を有さない、立体造形物。
本発明の樹脂組成物を用いた立体造形物の製造方法によれば、樹脂組成物の硬化時に樹脂とフィラーとの間で硬化阻害が生じ難い。したがって、当該樹脂組成物によれば、強度の高い立体造形物が得られる。
図1Aおよび図1Bは、本発明の一実施形態における立体造形物を製造する装置を示す模式図である。
前述のように、重合阻害剤として酸素を供給しながら樹脂組成物を硬化させる立体造形物の製造方法において、樹脂組成物に無機フィラー等を含めると、フィラーが酸素を吸着してしまい、フィラーと樹脂との界面で、樹脂の硬化が不十分になりやすかった。そのため、フィラーを添加しても、立体造形物の強度が十分に高まらなかったり、却って強度が低下する等の課題があった。
これに対し、本発明の樹脂組成物には、ラジカル重合性化合物と共に、非酸素吸着性フィラーおよび/または酸素吸着抑制剤で処理された酸素吸着性フィラーが含まれる。つまり、当該樹脂組成物には、フィラーとして酸素吸着し難い成分が含まれる。そのため、硬化用領域で樹脂組成物を硬化させる際、樹脂の硬化阻害が引き起こされ難く、ひいては樹脂とフィラーとの密着性が高くなる。したがって、本発明の樹脂組成物から得られる立体造形物は、その強度が非常に高くなる。
以下、樹脂組成物について先に説明し、その後、当該樹脂組成物を用いた立体造形物の製造方法を説明する。
1.樹脂組成物
本発明の一実施形態に係る樹脂組成物には、ラジカル重合性化合物と、非酸素吸着性フィラーおよび/または酸素吸着抑制剤で処理された酸素吸着性フィラーと、が少なくとも含まれる。樹脂組成物には通常、ラジカル重合開始剤がさらに含まれる。また、樹脂組成物には、例えば熱硬化性樹脂等のラジカル重合性化合物以外の樹脂や、各種添加剤等がさらに含まれていてもよい。
1-1.ラジカル重合性化合物
樹脂組成物に含まれるラジカル重合性化合物は、活性エネルギー線の照射によって、重合すること等により、硬化可能な化合物であればよく、モノマーであってもよく、オリゴマーであってもよく、プレポリマーであってもよく、これらの混合物であってもよい。樹脂組成物には、ラジカル重合性化合物が1種のみ含まれていてもよく、2種以上含まれていてもよい。ラジカル重合性化合物を硬化させる活性エネルギー線の例には、紫外線、X線、電子線、γ線、可視光線等が含まれる。
ラジカル重合性化合物は、活性エネルギー線の照射によって重合可能な基を有していればその種類は特に制限されず、例えば、エチレン基、プロペニル基、ブテニル基、ビニルフェニル基、アリルエーテル基、ビニルエーテル基、マレイル基、マレイミド基、(メタ)アクリルアミド基、アセチルビニル基、ビニルアミド基、(メタ)アクリロイル基、等を分子内に1つ以上有する化合物とすることができる。これらの中でも、分子内に不飽和カルボン酸エステル構造を1つ以上含む後述の不飽和カルボン酸エステル化合物、または分子内に不飽和カルボン酸アミド構造を1つ以上含む後述の不飽和カルボン酸アミド化合物であることが好ましい。より具体的には、後述の、(メタ)アクリロイル基を含む(メタ)アクリレート系化合物および/または(メタ)アクリルアミド系化合物であることが特に好ましい。なお、本明細書において、「(メタ)アクリル」との記載は、メタクリルおよび/またはアクリルを表し、「(メタ)アクリロイル」との記載は、メタクリロイルおよび/またはアクリロイルを表し、「(メタ)アクリレート」との記載は、メタクリレートおよび/またはアクリレートを表す。
上記ラジカル重合性化合物の一つである「アリルエーテル基を有する化合物」の例には、フェニルアリルエーテル、o-,m-,p-クレゾールモノアリルエーテル、ビフェニル-2-オールモノアリルエーテル、ビフェニル-4-オールモノアリルエーテル、ブチルアリルエーテル、シクロヘキシルアリルエーテル、シクロヘキサンメタノールモノアリルエーテル、フタル酸ジアリルエーテル、イソフタル酸ジアリルエーテル、ジメタノールトリシクロデカンジアリルエーテル、1,4-シクロヘキサンジメタノールジアリルエーテル、アルキレン(炭素数2~5)グリコールジアリルエーテル、ポリエチレングリコールジアリルエーテル、グリセリンジアリルエーテル、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、ペンタエリスリトールジアリルエーテル、ポリグリセリン(重合度2~5)ジアリルエーテル、トリメチロールプロパントリアリルエーテル、グリセリントリアリルエーテル、ペンタエリスリトールテトラアリルエーテル及びテトラアリルオキシエタン、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、ジグリセリントリアリルエーテル、ソルビトールトリアリルエーテルおよびポリグリセリン(重合度3~13)ポリアリルエーテル等が含まれる。
また、上記「ビニルエーテル基を有する化合物」の例には、ブチルビニルエーテル、ブチルプロペニルエーテル、ブチルブテニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル、1,4-ブタンジオールジビニルエーテル、エチルヘキシルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、エチルエトキシビニルエーテル、アセチルエトキシエトキシビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、トリシクロデカンビニルエーテル、アダマンチルビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、トリシクロデカンジメタノールジビニルエーテル、ビスフェノールAのEO付加物ジビニルエーテル、シクロヘキサンジオールジビニルエーテル、シクロペンタジエンビニルエーテル、ノルボルニルジメタノールジビニルエーテル、ジビニルレゾルシン、ジビニルハイドロキノン、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、ジプロピレングリコールビニルエーテル、ブチレンジビニルエーテル、ジブチレングリコールジビニルエーテル、4-シクロヘキサンジビニルエーテル、オキサノルボナンジビニルエーテル、ネオペンチルグリコールジビニルエーテル、グリセリントリビニルエーテル、オキセタンジビニルエーテル、グリセリンエチレンオキシド付加物トリビニルエーテル(エチレンオキシドの付加モル数6)、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、トリビニルエーテルエチレンオキシド付加物トリビニルエーテル(エチレンオキシドの付加モル数3)、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、ジトリメチロールプロパンヘキサビニルエーテルおよびそれらのオキシエチレン付加物等が含まれる。
上記「マレイミド基を有する化合物」の例には、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド、n-ヘキシルマレイミド等が含まれる。
上記「(メタ)アクリルアミド系化合物」の例には、(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N-エチル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N-ブチル(メタ)アクリルアミド、イソブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、ビスメチレンアクリルアミド、ジ(エチレンオキシ)ビスプロピルアクリルアミド、およびトリ(エチレンオキシ)ビスプロピルアクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン等が含まれる。
一方、上述の「(メタ)アクリレート系化合物」の例には、イソアミル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、イソミルスチル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル-ジグリコール(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、メトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ペンタクロロフェニル(メタ)アクリレート、ペンタブロモフェニル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、グリセリン(メタ)アクリレート、7-アミノ-3,7-ジメチルオクチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2-(2-エトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシルカルビトール(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸、2-(メタ)アクリロイロキシエチルフタル酸、2-(メタ)アクリロイロキシエチル-2-ヒドロキシエチル-フタル酸、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、およびt-ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート等を含む単官能の(メタ)アクリレートモノマー;
トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジイルジメチレンジ(メタ)アクリレート、ジメチロール-トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ポリエステルジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのPO付加物ジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、およびトリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート等を含む2官能の(メタ)アクリレートモノマー;
トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、グリセリンプロポキシトリ(メタ)アクリレート、およびペンタエリスリトールエトキシテトラ(メタ)アクリレート等を含む3官能以上の(メタ)アクリレートモノマー;
およびこれらのオリゴマー等が含まれる。
また、「(メタ)アクリレート系化合物」は、各種(メタ)アクリレートモノマーやそのオリゴマーをさらに変性したもの(変性物)であってもよい。変性物の例には、トリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールテトラアクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ノニルフェノール(メタ)アクリレート等のエチレンオキサイド変性(メタ)アクリレートモノマー;トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、プロピレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性ペンタエリスリトールテトラアクリレート、プロピレンオキサイド変性グリセリントリ(メタ)アクリレート等のプロピレンオキサイド変性(メタ)アクリレートモノマー;カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等のカプロラクトン変性(メタ)アクリレートモノマー;カプロラクタム変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等のカプロラクタム変性(メタ)アクリレートモノマー;等が含まれる。
「(メタ)アクリレート系化合物」はさらに、各種オリゴマーを(メタ)アクリレート化した化合物(以下、「変性(メタ)アクリレート系化合物」とも称する)であってもよい。このような変性(メタ)アクリレート系化合物の例には、ポリブタジエン(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリイソプレン(メタ)アクリレートオリゴマー、エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー、ウレタン(メタ)アクリレート系化合物、シリコーン(メタ)アクリレート系化合物、ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマー、および直鎖(メタ)アクリルオリゴマー等が含まれる。これらの中でも特に、ウレタン(メタ)アクリレート系化合物、およびシリコーン(メタ)アクリレート系化合物を好適に用いることができる。樹脂組成物にウレタン(メタ)アクリレート系化合物やシリコーン(メタ)アクリレート系化合物が含まれると、得られる立体造形物に靱性が付与される点で好ましい。
ウレタン(メタ)アクリレート系化合物は、2つのイソシアネート基を有する脂肪族ポリイソシアネート化合物または2つのイソシアネート基を有する芳香族ポリイソシアネート化合物と、水酸基を有する(メタ)アクリル酸誘導体等とを反応させて得られる、ウレタン結合および(メタ)アクリロイル基を有する化合物とすることができる。
上記ウレタン(メタ)アクリレート系化合物の原料となるイソシアネート化合物の例には、イソホロンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート(MDI)、水添MDI、ポリメリックMDI、1,5-ナフタレンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、水添XDI、リジンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニル)チオフォスフェート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,6,11-ウンデカントリイソシアネート等が含まれる。
また、上記ウレタン(メタ)アクリレート系化合物の原料となるイソシアネート化合物の例には、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ソルビトール、トリメチロールプロパン、カーボネートジオール、ポリエーテルジオール、ポリエステルジオール、ポリカプロラクトンジオール等のポリオールと過剰のイソシアネート化合物との反応により得られる鎖延長されたイソシアネート化合物も含まれる。
一方、上記ウレタン(メタ)アクリレート系化合物の原料となる、水酸基を有する(メタ)アクリル酸誘導体の例には、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、ポリエチレングリコール等の二価のアルコールのモノ(メタ)アクリレート;トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン等の三価のアルコールのモノ(メタ)アクリレートやジ(メタ)アクリレート;ビスフェノールA型エポキシアクリレート等のエポキシ(メタ)アクリレート等が含まれる。
上記構造のウレタン(メタ)アクリレート系化合物は、市販されているものであってもよく、その例には、M-1100、M-1200、M-1210、M-1600(いずれも東亞合成社製)、EBECRYL210、EBECRYL220、EBECRYL230、EBECRYL270、EBECRYL1290、EBECRYL2220、EBECRYL4827、EBECRYL4842、EBECRYL4858、EBECRYL5129、EBECRYL6700、EBECRYL8402、EBECRYL8803、EBECRYL8804、EBECRYL8807、EBECRYL9260(いずれもダイセル・オルネクス社製)、アートレジンUN-330、アートレジンSH-500B、アートレジンUN-1200TPK、アートレジンUN-1255、アートレジンUN-3320HB、アートレジンUN-7100、アートレジンUN-9000A、アートレジンUN-9000H(いずれも根上工業社製)、U-2HA、U-2PHA、U-3HA、U-4HA、U-6H、U-6HA、U-6LPA、U-10H、U-15HA、U-108、U-108A、U-122A、U-122P、U-324A、U-340A、U-340P、U-1084A、U-2061BA、UA-340P、UA-4000、UA-4100、UA-4200、UA-4400、UA-5201P、UA-7100、UA-7200、UA-W2A(いずれも新中村化学工業社製)、AH-600、AI-600、AT-600、UA-101I、UA-101T、UA-306H、UA-306I、UA-306T(いずれも共栄社化学社製)等が含まれる。
一方、ウレタン(メタ)アクリレート系化合物は、ポリイソシアネートのイソシアネート基を(メタ)アクリレート基を有するブロック剤によりブロック化して得られるブロックイソシアネートであってもよい。
ブロックイソシアネートを得るために用いられるポリイソシアネートは、前述の「イソシアネート化合物」であってもよく、これらの化合物とポリオールやポリアミンとを反応させた化合物であってもよい。ポリオールの例には、従来公知のポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリマーポリオール、植物油ポリオール、さらには含リンポリオールやハロゲン含有ポリオール等の難燃ポリオール等が含まれる。これらのポリオールは、ブロックイソシアネート中に1種のみ含まれていてもよく、2種以上が含まれていてもよい。
イソシアネート等と反応させる上記ポリエーテルポリオールの例には、少なくとも2個以上の活性水素基を有する化合物(具体的には、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の多価アルコール類;エチレンジアミン等のアミン類;エタノールアミン、ジエタノールアミン等のアルカノールアミン類;等)とアルキレンオキサイド(具体的には、エチレンオキシド、プロピレンオキシド等)との付加反応により調製される化合物が含まれる。ポリエーテルポリオールの調製方法は、例えば、Gunter Oertel,“Polyurethane Handbook”(1985) Hanser Publishers社(ドイツ),p.42-53に記載の方法とすることができる。
上記ポリエステルポリオールの例には、アジピン酸、フタル酸等の多価カルボン酸と、エチレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール等の多価アルコールとの縮合反応物や、ナイロン製造時の廃物、トリメチロールプロパン、ペンタエリストールの廃物、フタル酸系ポリエステルの廃物、廃品を処理し誘導したポリエステルポリオール等が含まれる(例えば、岩田敬治「ポリウレタン樹脂ハンドブック」(1987)日刊工業新聞社 p.117の記載参照)。
上記ポリマーポリオールの例には、上記ポリエーテルポリオールとエチレン性不飽和単量体(例えば、ブタジエン、アクリロニトリル、スチレン等)とをラジカル重合触媒の存在下に反応させた重合体ポリオールが含まれる。ポリマーポリオールは、分子量が5000~12000程度であることがより好ましい。
植物油ポリオールの例には、ひまし油、やし油等のヒドロキシル基含有植物油等が含まれる。また、ひまし油又は水添ひまし油を原料として得られるひまし油誘導体ポリオールも好適に用いることができる。ひまし油誘導体ポリオールとしては、ひまし油、多価カルボン酸及び短鎖ジオールの反応で得られるひまし油ポリエステル、ひまし油やひまし油ポリエステルのアルキレンオキシド付加物等が含まれる。
難燃ポリオールの例には、リン酸化合物にアルキレンオキシドを付加して得られるリン含有ポリオール;エピクロルヒドリンやトリクロロブチレンオキシドを開環重合して得られるハロゲン含有ポリオール;芳香環を有する活性水素化合物にアルキレンオキシドを付加して得られる芳香族系エーテルポリオール;芳香環を有する多価カルボン酸と多価アルコールの縮合反応で得られる芳香族系エステルポリオール;等が含まれる。
イソシアネート等と反応させるポリオールの水酸基価としては、5~300mgKOH/gであることが好ましく、10~250mgKOH/gであることがより好ましい。水酸基価は、JIS-K0070に規定された方法で測定できる。
また、イソシアネート等と反応させるポリアミンの例には、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン、ヘキサメチレンペンタアミン、ビスアミノプロピルピペラジン、トリス(2-アミノエチル)アミン、イソホロンジアミン、ポリオキシアルキレンポリアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等が含まれる。
一方、ポリイソシアネートのイソシアネート基をブロックするためのブロック剤としては、(メタ)アクリロイル基を有し、かつ、イソシアネート基と反応し、加熱により脱離できるものであればよい。
このようなブロック剤の具体的例には、t-ブチルアミノエチルメタクリレート(TBAEMA)、t-ペンチルアミノエチルメタクリレート(TPAEMA)、t-ヘキシルアミノエチルメタクリレート(THAEMA)、t-ブチルアミノプロピルメタクリレート(TPAEMA)、t-ヘキシルアミノエチルメタクリレート(THAEMA)、t-ブチルアミノプロピルメタクリレート(TBAPMA)等が含まれる。
ポリイソシアネートのブロック化反応は、一般に-20~150℃で行うことができるが、好ましくは0~100℃である。150℃以下であれば副反応を防止することができ、他方、-20℃以上であれば反応速度を適度な範囲とすることができる。ポリイソシアネート化合物とブロック剤のブロック化反応は、溶剤の存在の有無に関わらず、行うことができる。溶剤を用いる場合は、イソシアネート基に対して不活性な溶剤を用いるのが好ましい。ブロック化反応においては、反応触媒を使用することができる。具体的な反応触媒の例には、錫、亜鉛、鉛等の有機金属塩、金属アルコラート、及び3級アミン等が含まれる。
上述のように調製されるブロックイソシアネートをラジカル重合性化合物として用いる場合、まず、光照射によりアクリロイル基部分を重合させる。その後、加熱によってブロック剤を外すことで、生成したイソシアネート化合物を新たにポリオールやポリアミン等と重合させることができ、ポリウレタンやポリウレアまたはこれらの混合物を含む立体造形物を得ることができる。
一方、シリコーン(メタ)アクリレート系化合物は、主鎖にポリシロキサン結合を有するシリコーンの末端および/または側鎖に(メタ)アクリル酸を付加した化合物とすることができる。シリコーン(メタ)アクリレート系化合物の原料となるシリコーンは、公知の1官能、2官能、3官能、または4可能のシラン化合物(例えばアルコキシシラン等)が任意の組み合わせで重合したオルガノポリシロキサンとすることができる。シリコーンアクリレートの具体例には、市販のTEGORad2500(商品名:テゴケミーサービスGmbH社製)の他、X-22-4015(商品名:信越化学工業株式会社製)の様な-OH基を有する有機変性シリコーンとアクリル酸とを酸触媒下でエステル化させたもの;KBM402、KBM403(商品名:いずれも信越化学工業株式会社製)の様なエポキシシラン等の有機変性シラン化合物とアクリル酸を反応させたもの;等が含まれる。
樹脂組成物に含まれるラジカル重合性化合物の総量は、樹脂組成物の全質量に対して5~95質量%であることが好ましく、20~90質量%であることがより好ましく、30~90質量%であることがさらに好ましい。ラジカル重合性化合物の量が当該範囲であると、強度の高い立体造形物が得られやすくなる。
1-2.フィラー
樹脂組成物に含まれるフィラーは、非酸素吸着性フィラーおよび/または酸素吸着抑制処理材で処理された酸素吸着性フィラー(以下、これらをまとめて「フィラー」とも称する)である。樹脂組成物には、フィラーが一種のみ含まれていてもよく、二種以上含まれていてもよい。
ここで、本明細書において「非酸素吸着性フィラー」とは、分子構造中に酸素原子を含まない樹脂製のフィラーを表す。非酸素吸着性フィラーの具体例には、ポリオレフィンやフッ素樹脂からなる粒子状や繊維状のフィラーが含まれる。ポリオレフィンの例には、ポリエチレンやポリプロピレン等が含まれる。また、フッ素樹脂の例には、FEP(四フッ化エチレン-六フッ化プロピレン共重合体)、ETFE(四フッ化エチレン-エチレン共重合体)等が含まれる。
一方、本明細書において「酸素吸着性フィラー」とは、無機化合物からなるフィラー、または分子構造中に酸素原子を含む樹脂製のフィラーを表す。酸素吸着性フィラーの例には、ガラス、セラミック、金属、カーボン、有機高分子、ウィスカー状無機化合物、粘土鉱物等からなるフィラーが含まれる。
酸素吸着性フィラーを構成するガラスの例には、ソーダ石灰ガラス、珪酸ガラス、硼珪酸ガラス、アルミノ珪酸ガラス、石英ガラス等が含まれる。また、セラミックの例には、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化鉄、チタン酸ジルコン酸鉛、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、酸化スズ等が含まれる。金属の例には、鉄、チタン、金、銀、銅、スズ、鉛、ビスマス、コバルト、アンチモン、カドミウム等の金属単体、あるいはこれらの合金が含まれる。カーボンの例には、グラファイト、グラフェン、カーボンナノチューブ、が含まれる。上記ガラス、セラミック、金属、カーボンはいずれも、球状であっても繊維状であってもよい。
有機高分子の例には、ポリエステル、ポリアミド、ポリアラミド、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール、アクリル、多糖類等が含まれ、これらは球状であってもよく、繊維状であってもよいが、好ましくは繊維状であるポリエステル繊維の例には、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリエチレンナフタレート繊維、ポリトリメチレンテレフタレート繊維、ポリブチレンテレフタレート繊維等が含まれる。ポリアミド繊維の例には、ポリアミド6繊維(東レ社製アミラン等)、ポリアミド6,6繊維(東レ社製プロミラン等)が含まれる。ポリアラミド繊維の例には、パラ型アラミド繊維(帝人社製テクノーラ、トワロン等)や、メタ型アラミド繊維(帝人社製コーネックス等)等が含まれる。ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維の例には、東洋紡社製ザイロン等が含まれる。アクリル繊維の例には、三菱化学社製ボンネル等が含まれる。多糖類からなる繊維の例には、セルロース、ヘミセルロース、リグノセルロース、キチンおよびキトサン等が含まれる。これらのうち、得られる立体造形物の強度をより高める観点からは、セルロースおよびキチンが好ましく、セルロースがより好ましい。
セルロースからなる繊維状のフィラー、すなわちセルロースナノファイバー(以下、単に「ナノセルロース」ともいう。)は、植物由来の繊維質もしくは植物の細胞壁の機械的な解繊、酢酸菌による生合成、2,2,6,6-tetramethylpiperidine-1-oxyl radical(TEMPO)等のN-オキシル化合物による酸化または電解紡糸法等によって得られる、繊維状のナノフィブリルを主成分とするセルロースナノファイバーであってもよい。また、ナノセルロースは、植物由来の繊維質もしくは植物の細胞壁を機械的に解繊した後に酸処理等をして得られる、ウィスカー状(針状)に結晶化したナノフィブリルを主成分とするセルロースナノクリスタルであってもよく、その他の形状であってもよい。ナノセルロースは、セルロースを主成分とすればよく、リグニンおよびヘミセルロース等を含んでいてもよい。
また、「ウィスカー」とは、針状の単結晶を意味し、ウィスカー状無機化合物の例には、上記セラミックの針状の単結晶等も含まれる。具体例には、チタン酸カリウムウィスカー、シリコーンカーバイトウィスカー、シリコンナイトライドウィスカー、α-アルミナウィスカー、酸化亜鉛ウィスカー、ホウ酸アルミニウムウィスカー、炭酸カルシウムウィスカー、水酸化マグネシウムウィスカー、塩基性硫酸マグネシウムウィスカー、ケイ酸カルシウムウィスカー等が含まれる。
さらに、粘土鉱物の例には、タルク、マイカ、クレイ、ワラストナイト、ヘクトライト、サポナイト、スチブンサイト、ハイデライト、モンモリロナイト、ノントライト、ベントナイト、Na型テトラシリシックフッ素雲母、Li型テトラシリシックフッ素雲母、Na型フッ素テニオライト、Li型フッ素テニオライト等の膨潤性雲母、バーミキュラライト等が含まれる。
ここで、上記酸素吸着性フィラーは、酸素吸着抑制剤によって処理されている。酸素吸着抑制剤は、例えば酸素吸着性フィラーの構成成分として含まれる酸素原子や表面に存在する水酸基等と結合、もしくはこれらの基に吸着し、酸素吸着性フィラーに酸素が吸着することを抑制する機能を有するものであればよく、その種類は特に制限されない。
酸素吸着抑制剤は、酸素吸着性フィラー(特に酸素原子や水酸基等)に結合、もしくは吸着するための基と、炭素数3以上の脂肪族炭化水素基や芳香族炭化水素基と、を有する化合物であることが好ましい。酸素吸着抑制剤が脂肪族炭化水素基や芳香族炭化水素基を有すると、酸素吸着性フィラーを酸素吸着抑制剤で処理した後、フィラー表面にこれらの基が配置されることとなり、フィラーに対して酸素が非常に吸着し難くなる。
炭素数3以上の脂肪族炭化水素基は、飽和脂肪族炭化水素基であってもよく、不飽和脂肪族炭化水素基であってもよい。飽和脂肪族炭化水素基の例には、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、2-メチルブチル基、n-ペンチル基、2-ペンチル基、3-ペンチル基、2,2-ジメチルプロピル基、n-ヘキシル基、ヘプチル基、n-オクチル基、1,1,3,3-テトラメチルブチル基、2-エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、シクロプロピル基、シクロプロピルメチル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、トリメチルシクロヘキシル基、ツジル基、ノルボルニル基、ボルニル基、ノルカリル基、カリル基、メンチル基、ノルピニル基、ピニル基、1-アダマンチル基、2-アダマンチル基等のアルキル基が含まれる。
また、不飽和脂肪族炭化水素基の例には、アリル基、2-プロペン-2-イル基、2-ブテン-1-イル基、3-ブテン-1-イル基、1,3-ブタジエン-2-イル基、2-ペンテン-1-イル基、3-ペンテン-2-イル基、2-メンチル-1-ブテン-3-イル基、2-メチル-3-ブテン-2-イル基、3-メチル-2-ブテン-1-イル基、1,4-ペンタジエン-3-イル基、ヘキセニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ドデセニル基、2-シクロブテン-1-イル基、2-シクロペンテン-1-イル基、2-シクロヘキセン-1-イル基、3-シクロヘキセン-1-イル基、2,4-シクロヘキサジエン-1-イル基、1-p-メンテン-8-イル基、4(10)-ツジェン-10-イル基、2-ノルボルネン-1-イル基、2,5-ノルボルナジエン-1-イル基、7,7-ジメチル-2,4-ノルカラジエン-3-イル基、カンフェニル基等のアルケニル基;1-プロピン-3-イル基、1-ブチン-4-イル基、1-ペンチン-5-イル基、2-メチル-3-ブチン-2-イル基、1,4-ペンタジイン-3-イル基、1,3-ペンタジイン-5-イル基、1-ヘキシン-6-イル基、シス-3-メチル-2-ペンテン-4-イン-1-イル基、トランス-3-メチル-2-ペンテン-4-イン-1-イル基、1,3-ヘキサジイン-5-イル基、1-オクチン-8-イル基、1-ノニン-9-イル基、1-デシン-10-イル基、1-ドデシン-12-イル基等のアルキニル基が含まれる。
さらに、芳香族炭化水素基の例には、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、ビフェニル基等が含まれる。なお、芳香族炭化水素基の一部の水素基は、アルキル基やアルケニル基等で置換されていてもよい。
炭素数3以上の脂肪族炭化水素基や芳香族炭化水素基は、上記の中でも、フィラーと樹脂の密着性を確保する観点から、炭素数が3~20であることが好ましく、3~12であることがさらに好ましい。
一方、酸素吸着抑制剤の、酸素吸着性フィラー(特に酸素原子や水酸基等)に結合するための基、もしくは酸素吸着性フィラーに吸着するための基は特に制限されず、その例にはSi原子や、Ti原子、Zr原子、カルボキシル基、アミノ基、イミノ基、シアノ基、アゾ基、アジ基、チオール基、スルホ基、(メタ)アクリロイル基、エポキシ基、イソシアネート基等が含まれる。これらの中でも、酸素吸着性フィラーに対する反応性等の観点から、酸素吸着抑制剤は、Si原子、Ti原子、もしくはカルボキシル基を有することが好ましい。すなわち、酸素吸着抑制剤は、シラン系化合物、チタン系化合物、または、カルボン酸系化合物であることが特に好ましい。
シラン系化合物は、例えば、Si原子に、上述の脂肪族炭化水素基または芳香族炭化水素基と、Si原子が酸素吸着性フィラーに結合する際に一部もしくは全部が脱離する脱離基(例えばアルコキシ基、アセトキシ基、ハロゲン原子等)と、が結合した化合物とすることができる。
シラン系化合物の具体例には、n-プロピルトリメトキシシラン、n-プロピルトリエトキシシラン、n-プロピルトリブトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ジヘキシルジメトキシシラン、トリヘキシルメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ヘキサデシルトリメトキシシラン、n-プロピルトリアセトキシシラン、n-プロピルトリクロロシラン、1-プロピン-3-イルトリメトキシシラン、1-プロピン-3-イルトリエトキシシラン、1-プロピン-3-イルトリブトキシシラン、2-シクロヘキセン-1-イルトリエトキシシラン、1,3-ヘキサジイン-5-イルトリエトキシシラン等の脂肪族炭化水素基を有する化合物;
フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ナフチルトリメトキシシラン、ナフチルトリエトキシシラン、アンスリルトリメトキシシラン、フェナンスリルトリメトキシシラン、ビフェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、トリフェニルメトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、2-メチルベンジルトリメトキシシラン、3-メチルベンジルトリメトキシシラン、4-メチルベンジルトリメトキシシラン等の芳香族炭化水素基を有する化合物が含まれる。
なお、酸素吸着抑制剤としては、上記以外に、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシランや、ヘキサメチルジシラザン等の炭素数が3未満の脂肪族炭化水素基を含む化合物も用いることができる。この場合、Si原子に結合する脂肪族炭化水素基の合計の炭素数が3以上であることが好ましい。
また、チタン系化合物の具体例には、n-プロピルトリメトキシチタン、i-プロピルトリエトキシチタン、n-ヘキシルトリメトキシチタン、シクロヘキシルトリエトキシチタン、フェニルトリメトキシチタン等が含まれる。
一方、カルボン酸系化合物は、上述の脂肪族炭化水素基または芳香族炭化水素基と、飽和または不飽和のカルボキシル基を有する化合物とすることができる。カルボン酸系化合物が含む、飽和または不飽和のカルボキシル基の数は1つであってもよく、2つ以上であってもよい。このようなカルボン酸系化合物の例には、酪酸、吉草酸、ピバル酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ノナデシル酸、アラキジン酸等の飽和脂肪酸;メタクリル酸等の不飽和カルボン酸;クロトン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、リシノール酸等の不飽和脂肪酸;ソルビン酸、リノール酸、エイコサジエン酸等のジ不飽和脂肪酸;リノレン酸、ピノレン酸、エレオステアリン酸等のトリ不飽和脂肪酸;ステアリドン酸やアラキドン酸等のテトラ不飽和脂肪酸;ボセオペンタエン酸、エイコサペンタエン酸等のペンタ不飽和脂肪酸;ドコサヘキサエン酸、ニシン酸等のヘキサ不飽和脂肪酸;安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、サリチル酸、没食子酸(3,4,5-トリヒドロキシベンゼンカルボン酸)、ケイ皮酸(3-フェニル-2-プロペン酸)等の芳香族カルボン酸;、グルタル酸、アジピン酸等のジカルボン酸;ε-アミノカプロン酸(6-アミノヘキサン酸)等のアミノ酸;等が含まれる。
さらに、脂環式炭化水素を有するカルボン酸の例には、シクロプロパンカルボン酸、シクロブタンカルボン酸、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロヘプタンカルボン酸、シクロオクタンカルボン酸、シクロドデカンカルボン酸、1-メチルシクロヘキサンカルボン酸、2-メチルシクロヘキサンカルボン酸、3-メチルシクロヘキサンカルボン酸、4-メチルシクロヘキサンカルボン酸、2-エチルシクロヘキサンカルボン酸、3-エチルシクロヘキサンカルボン酸、4-エチルシクロヘキサンカルボン酸、4-tert-ブチルシクロヘキサンカルボン酸等が含まれる。
なお、酸素吸着抑制剤として、炭素数が3以上の脂肪族炭化水素基を含まないカルボン酸系化合物を一部に用いてもよい。このようなカルボン酸系化合物の例には、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グリシン、β-アラニン等が含まれる。
また、酸素吸着性フィラーに対する酸素吸着抑制剤の処理量、すなわち酸素吸着性フィラーに付着している酸素吸着抑制剤の量は、酸素吸着性フィラーの総量に対して、0.1~5質量%であることが好ましく、0.5~3質量%であることがより好ましく、1~2質量%であることがさらに好ましい。酸素吸着抑制剤の処理量が上記範囲であると、酸素吸着性フィラーに酸素が吸着し難くなる。なお、酸素吸着抑制剤の種類や処理量は、TEM-EDXによる局所的な元素分析や、TG-DTA測定による熱分解挙動解析あるいは、GC-MSにより熱分解で発生するフラグメントの質量分析等の組合せによって、特定することが可能である。
酸素吸着性フィラーを酸素吸着抑制剤で処理する方法は特に制限されず、例えば任意の溶媒にフィラーを分散させ、当該分散液内に酸素吸着抑制剤を添加して、攪拌した後に濾過等で溶媒を除去し、加熱乾燥する方法等とすることができる。
ここで、上述のフィラーの形状は特に制限されず、例えば繊維状(ウィスカー状を含む)であってもよく、粒子状であってもよいが、立体造形物の強度向上との観点から、繊維状であることが好ましい。一般的に、繊維状の酸素吸着性フィラーでは、枝分かれしたりすることで表面積が増えると、酸素がより吸着されやすくなる。これに対し、本実施形態の樹脂組成物では、上述したように、酸素吸着性フィラーが酸素吸着抑制剤によって処理されているため、いずれの形状であっても、酸素を吸着し難い。
なお、フィラーが粒子状である場合、その平均粒子径は0.005~200μmであることが好ましく、0.01~100μmであることがより好ましく、0.1~50μmであることがさらに好ましい。粒子状のフィラーの平均粒子径が0.1μm以上であると、立体造形物の強度が高まりやすくなる。一方、平均粒子径が50μm以下であると、立体造形物を高精細に形成しやすくなる。なお、平均粒子径は、樹脂組成物を透過型電子顕微鏡(TEM)で撮像して得られた画像を解析して、測定することができる。
一方、フィラーが繊維状である場合、その平均繊維径は、0.002μm以上20μm以下であることが好ましい。上記平均繊維径が0.002μm以上であると、立体造形物の強度が高まりやすくなる。平均繊維径が20μm以下であると、フィラーが樹脂組成物の粘度を高めすぎず、立体造形物の精度が良好になりやすい。フィラーの平均繊維径は、0.005μm以上10μm以下であることがより好ましく、0.01μm以上8μm以下であることがさらに好ましく、0.02μm以上5μm以下であることが特に好ましい。
フィラーの平均繊維長は、0.2μm以上200μm以下であることが好ましい。上記平均繊維長が0.2μm以上であると、立体造形物の強度が高まりやすくなる。上記平均繊維長が200μm以下であると、フィラー同士が絡み合うことによって生じるフィラーの沈降が生じにくい。フィラーの平均繊維長は、0.5μm以上100μm以下であることがより好ましく、1μm以上60μm以下であることがさらに好ましく、1μm以上40μm以下であることが特に好ましい。
フィラーのアスペクト比は、10以上10000以下であることが好ましい。アスペクト比が10以上であると、立体造形物の強度がより高くなりやすい。アスペクト比が10000以下であると、フィラー同士が絡み合って生じるフィラーの沈降が生じにくい。フィラーのアスペクト比は、12以上8000以下であることがより好ましく、15以上2000以下であることがさらに好ましく、18以上800以下であることが特に好ましい。
フィラーの平均繊維径、平均繊維長およびアスペクト比は、樹脂組成物を透過型電子顕微鏡(TEM)で撮像して得られた画像を解析して、測定することができる。
ここで、樹脂組成物に含まれるフィラーの平均粒子径または平均繊維径が1μm以下である場合、フィラーは、樹脂組成物の全質量に対して1~20質量%含まれることが好ましく、3~15質量%含まれることがより好ましい。フィラーの量が当該範囲であると、樹脂組成物の粘度が高くなりすぎず、比較的短い造形時間で強度の高い立体造形物が得られやすくなる。一方、樹脂組成物に含まれるフィラーの平均粒子径または平均繊維径が1μmを超える場合は、フィラーは、樹脂組成物の全質量に対して1~50質量%含まれることが好ましく、5~40質量%含まれることがより好ましく、10~30質量%含まれることがさらに好ましい。フィラーの総量が当該範囲であると、強度の高い立体造形物が得られやすくなる。
1-3.ラジカル重合開始剤
樹脂組成物に含まれるラジカル重合開始剤は、活性エネルギー線の照射によってラジカルを発生させることが可能な化合物であれば特に制限されず、公知のラジカル重合開始剤とすることができる。
ラジカル重合開始剤の例には、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン(BASF社製、IRGACURE 1173(「IRGACURE」は同社の登録商標)等)、2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチループロピオニル)-ベンジル]フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オン(BASF社製、IRGACURE 127等)、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン(BASF社製、IRGACURE 2959等)、2,2-ジメトキシー1,2-ジフェニルエタンー1-オン(BASF社製、IRGACURE 651等)、ベンジルジメチルケタール、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル-(2-ヒドロキシ-2-プロピル)ケトン、1-ヒドロキシシクロヘキシル-フェニルケトン、2-メチル-2-モルホリノ(4-チオメチルフェニル)プロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタノン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド、ベンジル、メチルフェニルグリオキシエステル、ベンゾフェノン、o-ベンゾイル安息香酸メチル-4-フェニルベンゾフェノン、4,4’-ジクロロベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4’-メチル-ジフェニルサルファイド、アクリル化ベンゾフェノン、3,3’,4,4’-テトラ(t-ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’-ジメチル-4-メトキシベンゾフェノン、2-イソプロピルチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2,4-ジクロロチオキサントン、ミヒラ-ケトン、4,4’-ジエチルアミノベンゾフェノン、10-ブチル-2-クロロアクリドン、2-エチルアンスラキノン、9,10-フェナンスレンキノン、カンファーキノンおよび2,4-ジエチルオキサンテン-9-オン等が含まれる。
ラジカル重合開始剤は、樹脂組成物の総量に対して0.01~10質量%含まれることが好ましく、0.1~5質量%含まれることがより好ましく、0.5~3質量%含まれることがさらに好ましい。ラジカル重合開始剤が当該範囲含まれると、上述のラジカル重合性化合物を十分に効率よく重合させることが可能となる。
1-4.その他の化合物
樹脂組成物には、上記以外の樹脂や、各種添加剤が含まれていてもよい。上記以外の樹脂としては、例えばシアネートエステル系樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂等の熱硬化性樹脂が含まれる。
シアネートエステル樹脂の例には、1,3-または1,4-ジシアナトベンゼン;1,3,5-トリシアナトベンゼン;1,3-、1,4-、1,6-、1,8-、2,6-、または2,7-ジシアナトナフタレン;1,3,6-トリシアナトナフタレン;2,2’-または4,4’-ジシアナトビフェニル;ビス(4-シアナトフェニル)メタン;2,2-ビス(4-シアナトフェニル)プロパン;2,2-ビス(3,5-ジクロロ-4-シアナトフェニル)プロパン;2,2-ビス(3-ジブロモ-4-ジシアナトフェニル)プロパン;ビス(4-シアナトフェニル)エーテル;ビス(4-シアナトフェニル)チオエーテル;ビス(4-シアナトフェニル)スルホン;トリス(4-シアナトフェニル)フォスファイト;トリス(4-シアナトフェニル)フォスフェート;ビス(3-クロロ-4-シアナトフェニル)メタン:4-シアナトビフェニル;4-クミルシアナトベンゼン;2-t-ブチル-1,4-ジシアナトベンゼン;2,4-ジメチル-1,3-ジシアナトベンゼン;2,5-ジ-t-ブチル-l,4-ジシアナトベンゼン;テトラメチル-1,4-ジシアナトベンゼン;4-クロロ-1,3-ジシアナトベンゼン;3,3’,5,5’-テトラメチル-4,4’ジシアナトジフェニルビス(3-クロロ-4-シアナトフェニル)メタン:1,1,1-トリス(4-シアナトフェニル)エタン;1,1-ビス(4-シアナトフェニル)エタン;2,2-ビス(3,5-ジクロロ-4-シアナトフェニル)プロパン;2,2-ビス(3,5-ジブロモ-4-シアナトフェニル)プロパン;ビス(p-シアノフェノキシフェノキシ)ベンゼン;ジ(4-シアナトフェニル)ケトン;シアン酸化ノボラック;シアン酸化ビスフェノールポリカーボネートオリゴマー等が含まれる。
また、エポキシ系樹脂は、分子内に1つまたは2つ以上のエポキシ基を有する樹脂であればよく、公知のエポキシ樹脂とすることができる。その例には、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、ハイドロキノン型エポキシ樹脂等の結晶性エポキシ樹脂;クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂;フェニレン骨格含有フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニレン骨格含有フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、フェニレン骨格含有ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂等のフェノールアラルキル型エポキシ樹脂;トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、アルキル変性トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、グリシジルアミン、4官能ナフタレン型エポキシ樹脂等の多官能型エポキシ樹脂;ジシクロペンタジエン変性フェノール型エポキシ樹脂、テルペン変性フェノール型エポキシ樹脂、シリコーン変性エポキシ樹脂等の変性フェノール型エポキシ樹脂;トリアジン核含有エポキシ樹脂等の複素環含有エポキシ樹脂;ナフチレンエーテル型エポキシ等が含まれる。
また、シリコーン樹脂は、オルガノポリシロキサン構造を有する樹脂であればよく、その例には、以下のような付加硬化型のシリコーン樹脂が含まれる。
典型的な付加硬化型の液状シリコーン樹脂は、ビニルシリル基を含有するシリコーンと、ヒドロシリル基を含有するシリコーンと、付加反応触媒とを必須成分として含有しており、加熱するとビニルシリル基とヒドロシリル基との間で生じる付加反応により架橋構造が形成されて硬化する。
ビニル基を有するシリコーンの例には、各末端ケイ素原子にビニル基が置換されたポリジメチルシロキサン、各末端ケイ素原子にビニル基が置換されたジメチルシロキサン-ジフェニルシロキサンコポリマー、各末端ケイ素原子にビニル基が置換されたポリフェニルメチルシロキサン、各末端にトリメチルシリル基を有するビニルメチルシロキサン-ジメチルシロキサンコポリマーなどが用いられる。
ヒドロシリル基を含有するシリコーンの例には、各末端にトリメチルシリル基を有するメチルヒドロシロキサン-ジメチルシロキサンコポリマーが含まれる。また、各末端に水素原子が結合したポリジメチルシロキサンを併用することができる。
付加反応触媒としては、白金黒、塩化第2白金、塩化白金酸、塩化白金酸と一価アルコールとの反応物、塩化白金酸とオレフィン類との錯体、白金ビスアセトアセテート等の白金系触媒、パラジウム系触媒、ロジウム系触媒などの白金族金属触媒が主に使用される。
上記熱硬化性樹脂は、樹脂組成物の総量に対して10~90質量%含まれることが好ましく、30~70質量%含まれることがより好ましく、40~60質量%含まれることがさらに好ましい。熱硬化性樹脂が当該範囲含まれると、ラジカル重合性化合物を十分に効率よく重合させることが可能となり、かつ熱硬化性樹脂が持つ耐熱性等の物性を十分に発揮することができる。
また、樹脂組成物には、熱硬化性樹脂と共に硬化剤や硬化促進剤等が含まれていてもよい。硬化剤や硬化促進剤の例には、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等の炭素数2~20の直鎖脂肪族ジアミン、メタフェニレンジアミン、パラフェニレンジアミン、パラキシレンジアミン、4,4'-ジアミノジフェニルメタン、4,4'-ジアミノジフェニルプロパン、4,4'-ジアミノジフェニルエーテル、4,4'-ジアミノジフェニルスルホン、4,4'-ジアミノジシクロヘキサン、ビス(4-アミノフェニル)フェニルメタン、1,5-ジアミノナフタレン、メタキシレンジアミン、パラキシレンジアミン、1,1-ビス(4-アミノフェニル)シクロヘキサン、N,N-ジメチル-n-オクチルアミン、ジシアノジアミド等のアミノ類;アニリン変性レゾール樹脂やジメチルエーテルレゾール樹脂等のレゾール型フェノール樹脂;フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、tert-ブチルフェノールノボラック樹脂、ノニルフェノールノボラック樹脂等のノボラック型フェノール樹脂;フェニレン骨格含有フェノールアラルキル樹脂、ビフェニレン骨格含有フェノールアラルキル樹脂等のフェノールアラルキル樹脂;ナフタレン骨格やアントラセン骨格のような縮合多環構造を有するフェノール樹脂;ポリパラオキシスチレン等のポリオキシスチレン;ヘキサヒドロ無水フタル酸(HHPA)、メチルテトラヒドロ無水フタル酸(MTHPA)等の脂環族酸無水物、無水トリメリット酸(TMA)、無水ピロメリット酸(PMDA)、ベンゾフェノンテトラカルボン酸(BTDA)等の芳香族酸無水物を含む酸無水物等;ポリサルファイド、チオエステル、チオエーテル等のポリメルカプタン化合物;イソシアネートプレポリマー、ブロック化イソシアネート等のイソシアネート化合物;カルボン酸含有ポリエステル樹脂等の有機酸類等;ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、オクチル酸スズ、オクチル酸コバルト、ビスアセチルアセトナートコバルト(II)、トリスアセチルアセトナートコバルト(III)、アセチルアセトナート亜鉛等の有機金属塩が含まれる。樹脂組成物には1種が単独で含まれていてもよく、2種以上含まれていてもよい。当該硬化剤や硬化促進剤の量は、熱硬化性樹脂の種類や量に合わせて適宜選択される。
樹脂組成物には、活性エネルギー線の照射による立体造形物の形成を可能にし、かつ得られる立体造形物に強度のムラを顕著に生じさせない限りにおいて、光増感剤、重合阻害剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、染料および顔料等の色材、消泡剤ならびに界面活性剤等の任意の添加剤がさらに含まれていてもよい。
1-5.樹脂組成物の物性
本発明の樹脂組成物は、JIS K-7117-1に準拠する方法で、回転式粘度計を用いて測定される、25℃の粘度が0.2~100Pa・sであることが好ましく、1~10Pa・sであることがより好ましい。樹脂組成物の粘度が当該範囲であると、造形槽内のバッファ領域および硬化用領域において適度な流動性が得られることから、造形速度を向上させることができるとともに、樹脂組成物内でフィラーが沈降し難くなり、ひいては立体造形物の強度が高まりやすくなる。
1-6.樹脂組成物の調製方法
上記樹脂組成物の調製方法は特に制限されず、例えばラジカル重合性モノマーとフィラー等、一部の成分を先に混合してから調製してもよく、一度に全ての成分を混合してもよい。混合は、公知の方法で行うことができる。
樹脂組成物の混合に用いられる装置としては公知のものを使用できる。例えば、ウルトラタラックス(IKAジャパン社製)、TKホモミクサー(プライミクス社製)、TKパイプラインホモミクサー(プライミクス社製)、TKフィルミックス(プライミクス社製)、クレアミックス(エム・テクニック社製)、クレアSS5(エム・テクニック社製)、キャビトロン(ユーロテック社製)、ファインフローミル(太平洋機工社製)のようなメディアレス撹拌機、ビスコミル(アイメックス製)、アペックスミル(寿工業社製)、スターミル(アシザワ、ファインテック社製)、DCPスーパーフロー(日本アイリッヒ社製)、エムピーミル(井上製作所社製)、スパイクミル(井上製作所社製)、マイティーミル(井上製作所社製)、SCミル(三井鉱山社製)などのメディア攪拌機等やアルティマイザー(スギノマシン社製)、スターバースト(スギノマシン社製)、ナノマイザー(吉田機械社製)、NANO3000(美粒社製)などの高圧衝撃式分散装置が含まれる。
また、あわとり練太郎(シンキー社製)やカクハンター(写真化学社製)等の自転公転ミキサーや、ハイビスミックス(プライミクス社製)、ハイビスディスパー(プライミクス社製)等の遊星式混合機、Nanoruptor(ソニック・バイオ社製)等の超音波分散装置も好適に用いることが可能である。
2.立体造形物の製造方法
上述した液体状の樹脂組成物は、樹脂組成物および酸素を含み、酸素により樹脂組成物の硬化が阻害されるバッファ領域と、樹脂組成物を少なくとも含み、バッファ領域より酸素濃度が低く、樹脂組成物の硬化が可能な硬化用領域と、が隣接して配置された造形物槽に、バッファ領域側から活性エネルギー線を照射して、硬化用領域で樹脂組成物を硬化させる方法(立体造形物の製造方法)に使用することができる。
当該立体造形物の製造方法では、まず、樹脂組成物および酸素を含み、酸素により樹脂組成物の硬化が阻害されるバッファ領域、ならびに前記樹脂組成物を少なくとも含み、前記バッファ領域より酸素濃度が低く、前記樹脂組成物の硬化が可能な硬化用領域を、造形物槽内に隣接して形成する工程を行う。
図1Aおよび図1Bは、当該方法を行うための装置(立体造形物の製造装置)の一例を示す模式図である。図1Aに示すように、製造装置600は、液体状の樹脂組成物を貯留可能な造形槽610と、上下方向(深さ方向)に往復移動可能なステージ620と、活性エネルギー線を照射するための光源630等と、を有する。造形槽610は、その底部に、樹脂組成物を透過させず、活性光線および酸素は透過させる窓部615を有する。なお、造形槽610は、製造しようとする立体造形物よりも広い幅を有し、かつ樹脂組成物と相互作用しないものであれば、その材質等は特に制限されない。また、窓部615の材質も、本発明の目的および硬化を損なわない範囲であれば特に制限されない。
当該方法では、まず、造形槽610に上述の樹脂組成物650を投入する。そして、造形槽610の底部に設けられた窓部615から、造形槽610の底部側に酸素を導入する。酸素の導入方法は特に制限されず、例えば造形槽610の外部を酸素濃度が高い雰囲気とし、当該雰囲気に圧力をかける方法等とすることができる。
このように窓部615から造形槽610内に酸素を供給することにより、窓部615側の領域では、酸素濃度が上昇し、活性エネルギー線を照射されても樹脂組成物が硬化しないバッファ領域642が形成される。一方で、バッファ領域642より上側の領域では、酸素の濃度がバッファ領域642より十分に低くなり、活性エネルギー線の照射によって、樹脂組成物が硬化可能な硬化用領域644となる。
続いて、前記バッファ領域側642から活性エネルギー線を選択的に照射して、硬化用領域644で樹脂組成物の硬化物を形成する工程を行う。具体的には、まず、図1Aに示すように、立体造形物作製の基点となるステージ620を、硬化用領域644とバッファ領域642との界面近傍に配置する。そして、バッファ領域642側に配置された光源630からステージ620の底面側に、選択的に活性エネルギー線を照射する。これにより、ステージ620の底面近傍(硬化用領域644)の樹脂組成物が硬化して、立体造形物の最上部が形成される。
なお、本工程で照射する活性エネルギー線は、上記樹脂組成物に含まれるラジカル重合性化合物を重合させて、上記樹脂組成物を硬化させることが可能であればよく、前述のように、紫外線、X線、電子線、γ線および可視光線等とすることができる。
活性エネルギー線を照射するための光源630は公知のものを使用することができ紫外線を照射する光源630の例には、半導体レーザー、メタルハライドランプ、水銀アークランプ、キセノンアークランプ、蛍光ランプ、炭素アークランプ、タングステン-ハロゲン複写ランプ、および太陽光等が含まれる。また、光源630に液晶パネルやデジタルミラーデバイス(DMD)等の空間光変調器(Spatial Light Modulator:SLM)を有するSLM投影光学系を用いることで、活性エネルギー線を所望の領域に面照射することができる。
その後、図1Bに示すように、ステージ620を上昇(バッファ領域642から離れる方向に移動)させる。これにより、硬化物651より造形槽610底部側の硬化用領域644に、未硬化の樹脂組成物650が新たに供給される。そして、ステージ620および硬化物651を連続的に上昇させながら、光源630から活性エネルギー線を連続的、かつ選択的(硬化させる領域)に照射する。これにより、ステージ620底面から造形槽610の底部側にかけて硬化物が連続して形成され、継ぎ目がなく、強度の高い立体造形物が製造される。
以下において、本発明の具体的な実施例を説明する。なお、これらの実施例によって、本発明の範囲は限定して解釈されない。
1.非酸素吸着性フィラーおよび酸素吸着性フィラーの準備
実施例および比較例では、以下に示すフィラーを用いた。
(非酸素吸着性フィラー)
・ポリエチレン繊維1
東洋紡社製イザナスSK60(直径12μm)を長さ300μmに切断加工したものをポリエチレン繊維1とした。
(酸素吸着性フィラー)
・硫酸マグネシウムウィスカーウィスカー1(未処理)
塩基性硫酸マグネシウムウィスカーである、宇部マテリアルズ社製モスハイジ(平均繊維径0.5μ、平均繊維長20μm)を硫酸マグネシウムウィスカー1とした。
・硫酸マグネシウムウィスカーウィスカー2(酸素吸着抑制剤による処理有り)
900gの水に硫酸マグネシウムウィスカー1を100g加え、スターラーで撹拌した。その後、当該分散液にオクチルトリエトキシシラン(信越化学工業社製KBE-3083)を1.5g添加し、20分間撹拌を続け、濾過した。そして、120℃で1時間乾燥させたものを硫酸マグネシウムウィスカー2とした。
・硫酸マグネシウムウィスカーウィスカー3(酸素吸着抑制剤による処理有り)
900gの水に硫酸マグネシウムウィスカー1を100g加え、スターラーで撹拌した。その後、当該分散液にメチルトリメトキシシラン(信越化学工業社製KBE-3083)を1.5g添加し、20分間撹拌を続け、濾過した。そして、120℃で1時間乾燥させたものを硫酸マグネシウムウィスカー3とした。
・硫酸マグネシウムウィスカーウィスカー4(酸素吸着抑制剤による処理有り)
900gの水に硫酸マグネシウムウィスカー1を100g加え、スターラーで撹拌した。その後、当該分散液に3-グリシドキシルプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製KBM-403)を1.5g添加し、20分間撹拌を続け、濾過した。そして、120℃で1時間乾燥させたものを硫酸マグネシウムウィスカー4とした。
・ガラス粒子1(未処理)
ガラス粒子として、ポッターズ・バロティーニ社製マイクロガラスビーズ EMB-10(平均粒径5μm)を、ガラス粒子1とした。
・ガラス粒子2(酸素吸着抑制剤による処理有り)
900gの水にガラス粒子1を100g加え、スターラーで撹拌した。その後、当該分散液にn-プロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製KBM-3033)1.5gを添加した、20分間撹拌を続け、濾過した。そして、120℃で1時間乾燥させたものをガラス粒子2とした。
・ガラス繊維1(未処理)
日本無機社製のガラス繊維であるフィラトミクタFM350-9KSをRetsch社製ボールミルPM100CMにより粉砕し、平均繊維径1μm、平均繊維長20μmとしたものをガラス繊維1とした。
・ガラス繊維2(酸素吸着抑制剤による処理有り)
900gの水にガラス繊維1を100g加え、スターラーで撹拌した。その後、当該分散液にプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製KBM-3033)1.5gを添加し、20分間撹拌を続け、濾過した。そして、120℃で1時間乾燥させたものをガラス繊維2とした。
・カーボン粒子1(酸素吸着抑制剤による処理有り)
900gの水に、SECカーボン社製人造黒鉛SGP(平均粒径10μm)を100g加え、スターラーで撹拌した。その後、当該分散液にn-プロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製KBM-3033)を1.5g添加し、20分間撹拌を続け、濾過した。そして、120℃で1時間乾燥させたものをカーボン粒子1とした。
・カーボン繊維1(酸素吸着抑制剤による処理有り)
900gの水に、東レ社製トレカ ミルドファイバーMLD-30(平均繊維径7μm、平均繊維長30μm)を100g加え、スターラーで撹拌した。その後、当該分散液に、n-プロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製KBM-3033)を1.5g添加し、20分間撹拌を続け、濾過した。そして、120℃で1時間乾燥させたものをカーボン繊維1とした。
・多糖類ナノファイバー1(未処理)
スギノマシン社製のセルロースナノファイバー2質量%分散液であるBiNFi-sをエタノールで溶媒置換した後に、乾燥を行い、多糖類ナノファイバー1を得た。
・多糖類ナノファイバー2(酸素吸着抑制剤による処理有り)
スギノマシン社製のセルロースナノファイバー2質量%分散液であるBiNFi-s 1000gをスターラーで撹拌しながら、ヘキシルトリメトキシシラン(信越化学工業社製 KBM-3063)を0.3g添加した。その後、20分間撹拌を続け、エタノールで溶媒置換を行った後、乾燥を行い、多糖類ナノファイバー2を得た。
・多糖類ナノファイバー3(酸素吸着抑制剤による処理有り)
スギノマシン社製のセルロースナノファイバー2質量%分散液であるBiNFi-s 1000gにシクロヘキサンカルボン酸(東京化成工業社製)0.4gを加え、吉田機械興業社製の湿式高圧分散装置であるナノヴェイタを用い、180MPaの圧力で20回、解繊分散処理を繰り返した。その後エタノールで溶媒置換を行った後、乾燥を行い、多糖類ナノファイバー3を得た。
・多糖類ナノファイバー4(酸素吸着抑制剤による処理有り)
針葉樹クラフトパルプ100gを蒸留水5000g中に懸濁させ、蒸留水500gに、1gのTEMPO(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン 1-オキシル)および10gの臭化ナトリウムを溶解させた溶液をさらに加えた。続いて2mol/Lの次亜塩素酸ナトリウム水溶液600gを滴下により添加し、酸化反応を開始させた。反応中のpHは、水酸化ナトリウム水溶液を添加することにより、10に保ち続けた。水酸化ナトリウムの添加量が、原料セルロースの乾燥重量を基準として、4.5mmol/gに達した時点で、約200mLのエタノールを添加し、反応を停止させた。その後、孔径20μmのナイロンメッシュを用いて蒸留水によるろ過洗浄を繰り返し、酸化パルプを得た。得られた酸化パルプ50gを蒸留水で希釈することにより、5Lの混合溶液を得た。この混合液にドデシルアミン1gを加え、吉田機械興業社製の湿式高圧分散装置であるナノヴェイタを用いて100MPaの圧力で反応させながら解繊処理を行った。得られた分散液をエタノールで溶媒置換を行った後、乾燥を行い、多糖類ナノファイバー4を得た。
・セラミック粒子1(酸素吸着抑制剤による処理有り)
900gの水に、イーエムジャパン社製酸化鉄(III)ナノ粒子NP-FE2O3(平均粒径100nm)を100g加え、スターラーで撹拌した。当該分散液にフェニルトリメトキシシラン(信越化学工業社製KBM-103)3gを添加し、20分間撹拌を続けてから濾過した。そして、120℃で1時間乾燥させることによりセラミック粒子1を得た。
・セラミック繊維1(酸素吸着抑制剤による処理有り)
900gの水に、イーエムジャパン社製酸化チタンナノワイヤー NW-TIO-A(平均繊維径100nm、平均繊維長20μm)を100g加え、スターラーで撹拌した。当該分散液にフェニルトリメトキシシラン(信越化学工業社製KBM-103)3gを添加し、20分間撹拌を続けてから濾過した。そして、120℃で1時間乾燥させることによりセラミック繊維1を得た。
・金属粒子1(酸素吸着抑制剤による処理有り)
900gの水に、イーエムジャパン社製銅ナノ粒子NP-CU-4-100(平均粒径100nm)を100g加え、スターラーで撹拌した。当該分散液にヘキサメチルジシラザン(信越化学工業社製SZ-31)を3g添加し、20分間撹拌を続け、濾過した。そして、120℃で1時間乾燥させることにより金属粒子1を得た。
・金属繊維1(酸素吸着抑制剤による処理有り)
900gの水に、イーエムジャパン社製銀ナノワイヤー NW-AG-20(平均繊維径20nm、平均繊維長20μm)を100g加え、スターラーで撹拌した。当該分散液に、これにシクロヘキシルトリメトキシシラン(東京化成工業社製C2280)を1.5g添加し、20分間撹拌を続け、濾過した。そして、120℃で1時間乾燥させることにより金属繊維1を得た。
・粘土鉱物1(酸素吸着抑制剤による処理有り)
900gの水に、日本タルク社製ナノタルクD-600(平均粒径0.6μm)を100g加え、スターラーで撹拌した。当該分散液にヘキサメチルジシラザン(信越化学工業社製SZ-31)2gを添加した。20分間撹拌を続け、濾過した後、120℃で1時間乾燥させることにより粘土鉱物1を得た。
2.樹脂組成物の調製
・サンプル1
ウレタンアクリレート(新中村化学社製UA-4200)300gと、ウレタンアクリレート(新中村化学社製U-6LPA)140gと、プロポキシ化エトシキ化ビスフェノールAジアクリレート(新中村化学社製A-B1206PE)100gと、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート(新中村化学社製A-HD-N)200gと、N-アクリロイルモルホリン(東京化成工業社製)200gと、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(BASF社製Irgacure184)10gと、を遊星方式混練機(プライミクス社製ハイビスミックス2P-1)により、公転速度60rpm、自転速度180rpmで5分間混練し、樹脂組成物(サンプル1)を得た。
・サンプル2
サンプル1にポリエチレン繊維1を、全体の5質量%となるように添加し、公転速度60rpm、自転速度180rpmでさらに5分間混練し、樹脂組成物(サンプル2)を得た。
・サンプル3
サンプル1にポリエチレン繊維1を、全体の30質量%となるように添加し、公転速度60rpm、自転速度180rpmでさらに5分間混練し、樹脂組成物(サンプル3)を得た。
・サンプル4
サンプル1に硫酸マグネシウムウィスカー1を、全体の10質量%となるように添加し、公転速度60rpm、自転速度180rpmでさらに5分間混練し、樹脂組成物(サンプル4)を得た。
・サンプル5
サンプル1に硫酸マグネシウムウィスカー2を、全体の10質量%となるように添加し、公転速度60rpm、自転速度180rpmでさらに5分間混練し、樹脂組成物(サンプル5)を得た。
・サンプル6
サンプル1に硫酸マグネシウムウィスカー2を、全体の30質量%となるように添加し、公転速度60rpm、自転速度180rpmでさらに5分間混練し、樹脂組成物(サンプル6)を得た。
・サンプル7
サンプル1に硫酸マグネシウムウィスカー3を全体の10質量%となるように添加し、公転速度60rpm、自転速度180rpmでさらに5分間混練し、樹脂組成物(サンプル7)を得た。
・サンプル8
サンプル1に硫酸マグネシウムウィスカー4を全体の10質量%となるように添加し、公転速度60rpm、自転速度180rpmでさらに5分間混練し、樹脂組成物(サンプル8)を得た。
・サンプル9
500mlの三口フラスコに、平均分子量約2,000のポリテトラメチレンオキシド(和光純薬製ポリテトラメチレンオキシド2,000)を200gとり、窒素充填化で撹拌しながら、45gのイソホロンジイソシアネート(東京化成工業社製)を添加し、10分間撹拌した。続いてオクタン酸第一スズ(東京化成工業社製)140μLを加えた後、70℃まで加熱し、3時間反応させた。これを40℃まで冷却した後、37.5gのt-ブチルアミノエチルメタクリレート(ハイケム社製)を20分かけて徐々に添加し、50℃に昇温した後に、ヒドロキノン(東京化成工業社製)を100ppm添加し、15時間反応させることにより、ブロックイソシアネート1が得られた。
ブロックイソシアネート1700gと、4,4'-メチレンビス(2-メチルシクロヘキシルアミン)(東京化成工業社製)80gと、ポリ(プロピレングリコール)ジアミン(メルク社製)80gと、イソボロニルメタクリレート(東京化成工業社製)100g、トリメチロールプロパントリメタクリレート(東京化成工業社製)20gと
2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイド(BASF社製Irgacure TPO)10gと、を遊星方式混練機(プライミクス社製ハイビスミックス2P-1)により、公転速度60rpm、自転速度180rpmで5分間混練し、樹脂組成物(サンプル9)を得た。
・サンプル10
サンプル9に多糖類ナノファイバー1を全体の10質量%となるように添加し、公転速度60rpm、自転速度180rpmでさらに5分間混練し、樹脂組成物(サンプル10)を得た。
・サンプル11
サンプル9に多糖類ナノファイバー2を全体の10質量%となるように添加し、公転速度60rpm、自転速度180rpmでさらに5分間混練し、樹脂組成物(サンプル11)を得た。
・サンプル12
サンプル9に多糖類ナノファイバー3を全体の10質量%となるように添加し、公転速度60rpm、自転速度180rpmでさらに5分間混練し、樹脂組成物(サンプル12)を得た。
・サンプル13
サンプル9に多糖類ナノファイバー4を全体の3質量%となるように添加し、公転速度60rpm、自転速度180rpmでさらに5分間混練し、樹脂組成物(サンプル13)を得た。
・サンプル14
サンプル9に多糖類ナノファイバー4を全体の10質量%となるように添加し、公転速度60rpm、自転速度180rpmでさらに5分間混練し、樹脂組成物(サンプル13)を得た。
・サンプル15
1,1-ビス(4-シアナトフェニル)エタン480gと、アセチルアセトナート亜鉛水和物(1500ppm)のイソボロニルアクリレート溶液25gと、ウレタンジアクリレート(Sartomer社CN983)53gと、トリメチロールプロパントリアクリレート348gと、ジアクリレート(Sartomer社CN120Z)87.3gと、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1(BASF社製Irgacure369)9gと、イソプロピルチオキサントン1gと、を遊星方式混練機(プライミクス社製ハイビスミックス2P-1)により、公転速度60rpm、自転速度180rpmで5分間混練し、樹脂組成物(サンプル15)を得た。
・サンプル16
サンプル15にガラス粒子1を全体の10質量%となるように添加し、公転速度60rpm、自転速度180rpmさらに5分間混練し、樹脂組成物(サンプル17)を得た。
・サンプル17
サンプル15にガラス粒子2を全体の10質量%となるように添加し、公転速度60rpm、自転速度180rpmでさらに5分間混練し、樹脂組成物(サンプル17)を得た。
・サンプル18
サンプル15にガラス繊維1を全体の10質量%となるように添加し、公転速度60rpm、自転速度180rpmでさらに5分間混練し、樹脂組成物(サンプル18)を得た。
・サンプル19
サンプル15にガラス繊維2を全体の10質量%となるように添加し、公転速度60rpm、自転速度180rpmでさらに5分間混練し、樹脂組成物(サンプル19)を得た。
・サンプル20
サンプル15にカーボン粒子1を全体の10質量%となるように添加し、公転速度60rpm、自転速度180rpmでさらに5分間混練し、樹脂組成物(サンプル20)を得た。
・サンプル21
サンプル15にカーボン繊維1を全体の10質量%となるように添加し、公転速度60rpm、自転速度180rpmでさらに5分間混練し、樹脂組成物(サンプル21)を得た。
・サンプル22
多官能グリシジルエーテルエポキシ樹脂(Huntsman Petrochemical社製Aralcite GY6010)75gと、ポリエーテルアミン(Huntsman Petrochemical社製Jeffamine D230)42gと、ウレタンアクリレート(Sartomer社製CN983)240gと、ジエチレングリコールジメタクリレート(Sartomer社製SR231)180gと、ビスフェノールA型エポキシアクリレート(Sartomer社CN153)60gと、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイド(BASF社製Irgacure TPO)3gと、を遊星方式混練機(プライミクス社製ハイビスミックス2P-1)により、公転速度60rpm、自転速度180rpmで5分間混練し、樹脂組成物(サンプル22)を得た。
・サンプル23
サンプル22にセラミック粒子1を全体の10質量%となるように添加し、公転速度60rpm、自転速度180rpmでさらに5分間混練し、樹脂組成物(サンプル23)を得た。
・サンプル24
サンプル22にセラミック繊維1を全体の10質量%となるように添加し、公転速度60rpm、自転速度180rpmでさらに5分間混練し、樹脂組成物(サンプル24)を得た。
・サンプ25
シリコーンアクリレート(Bluestar Silicones社製UV RCA170)300gと、シリコーン(Siltech社製CR9-136)300gと、N,N-ジメチル-n-オクチルアミン10gと、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン(BASF社製Irgacure 907)3gと、イソプロピルチオキサントン0.3gと、を遊星方式混練機(プライミクス社製ハイビスミックス2P-1)により、公転速度60rpm、自転速度180rpmで5分間混練し、樹脂組成物(サンプル25)を得た。
・サンプル26
サンプル25に金属粒子1を全体の10質量%となるように添加し、公転速度60rpm、自転速度180rpmでさらに5分間混練し、樹脂組成物(サンプル26)を得た。
・サンプル27
サンプル25に金属繊維1を全体の10質量%となるように添加し、公転速度60rpm、自転速度180rpmでさらに5分間混練し、樹脂組成物(サンプル27)を得た。
・サンプル28
サンプル25に粘土鉱物1を全体の10質量%となるように添加し、公転速度60rpm、自転速度180rpmでさらに5分間混練し、樹脂組成物(サンプル28)を得た。
3.立体造形物の作製
立体造形物の作製には、図1に示す製造装置600の造形槽610に樹脂組成物650を投入した。当該造形槽610の底部には、重合阻害剤である酸素の透過が可能なBiogeneral社製の0.0025インチ厚のTeflon(登録商標)AF2400フィルム(窓部615)が配置されている。そして、造形槽610の外側の雰囲気を酸素雰囲気としたうえで、適度に加圧を行った。これにより、造形槽610の底部側に、樹脂組成物650および酸素を含むバッファ領域642が形成され、バッファ領域642より上部は、バッファ領域より酸素濃度が低い硬化用領域644となった。
そして、紫外線源:LEDプロジェクタ(Texas Instruments社製のDLP(VISITECH LE4910H UV-388))から光を面状に照射しながらステージ620を上昇させた。このとき、紫外線の照射強度は5mW/cmとした。また、ステージの引き上げ速度は、50mm/hrとした。そして、JIS K7161-2(ISO 527-2) 1A形の試験片形状となるように、立体造形物を作製した。なお、作製の際には、引張試験片の長手方向が造形方向(ステージ620の引き上げ方向)となるようにした。得られた立体造形物をイソプロピルアルコールで洗浄した後、各サンプルについて、以下の加熱処理を行った。
サンプル1~8:加熱処理なし
サンプル9、10~14:120℃で8時間
サンプル15~21:150℃で4時間
サンプル22~24:90℃(1時間)/120℃(1時間)/150℃(1時間)/180℃(1時間)/220℃(1時間)
サンプル25~28:125℃で4時間
4.立体造形物の強度測定
得られた立体造形物の強度を、JIS K7161-1に準拠して引張試験にて評価した。このとき、掴み具間の距離は115mm、試験速度は5mm/分とした。そして、破断時の応力を試験片の断面積で割った値を引張強度として算出した。
そして、以下の基準で評価した。
◎:フィラーなしで造形したものに対して、強度向上率が10%以上
○:フィラーなしで造形したものに対して、強度向上率が、0%超10%未満
×:フィラーなしで造形したものに対して、強度が向上しなかったまたは低下した
Figure 0007309315000001
上記表1に示されるように、ラジカル重合性化合物と、非酸素吸着性フィラーと、を含む場合(サンプル2および3)には、硬化用領域において重合阻害が生じ難く、得られた立体造形物の強度が、フィラーなしで作製した立体造形物(サンプル1)の強度と比較して十分に高くなった。
一方、ラジカル重合性化合物と酸素吸着性フィラーとを含む場合、酸素吸着性フィラーを酸素吸着抑制剤によって処理しなかった場合(サンプル4、10、16、および18)、得られた立体造形物の強度が、フィラーなしで作製した立体造形物(サンプル1や9、15)の強度と比較して高まらなかった、もしくは強度が低下した。樹脂組成物に酸素吸着性フィラーがそのまま含まれると、バッファ領域に導入される酸素(重合阻害剤)を酸素吸着性フィラーが吸着してしまい、当該酸素が、硬化用領域における樹脂の重合を阻害したと推察される。
これに対し、酸素吸着性フィラーを含む場合であっても、酸素吸着性フィラーが酸素吸着抑制剤で処理されている場合(サンプル5~8、11~14、17、19~21、23、24、および26~28)には、いずれも硬化用領域において重合阻害が生じ難く、得られた立体造形物の強度が、フィラーなしで作製した立体造形物(サンプル1、9、15、22、および25)の強度と比較して十分に高くなった。
本発明の樹脂組成物によれば、樹脂とフィラーとの界面での硬化阻害が生じ難く、フィラー添加による強度向上効果が十分に発現しやすい。したがって、強度が非常に高い立体造形物を製造することができる。そのため、本発明は、樹脂組成物を用いた立体造形物の適用の幅を広げ、同分野の技術の進展および普及に貢献することが期待される。
600 製造装置
610 造形槽
615 窓部
620 ステージ
630 光源
642 バッファ領域
644 硬化領域
650 樹脂組成物
651 硬化物

Claims (8)

  1. 樹脂組成物および酸素を含み、酸素により前記樹脂組成物の硬化が阻害されるバッファ領域と、
    前記樹脂組成物を少なくとも含み、前記バッファ領域より酸素濃度が低く、前記樹脂組成物の硬化が可能な硬化用領域と、
    が隣接して配置された造形物槽に、
    前記バッファ領域側から活性エネルギー線を照射して、前記硬化用領域で前記樹脂組成物を硬化させる方法に使用される樹脂組成物であって、
    (メタ)アクリロイル基を有するラジカル重合性化合物と、
    分子構造中に酸素原子を含まない樹脂からなる非酸素吸着性フィラーおよび/もしくは酸素吸着抑制剤により処理された、無機物または分子構造中に酸素原子を含む樹脂からなる酸素吸着性フィラーと、
    を含み、
    前記酸素吸着抑制剤は、Si原子、Ti原子、カルボキシル基、およびアミノ基からなる群から選ばれる、酸素吸着性フィラーに結合または吸着するための基と、前記酸素吸着性フィラーに結合または吸着するための基に直接結合する、1価の脂肪族炭化水素基および/または芳香族炭化水素基と、を有する、樹脂組成物。
  2. 前記酸素吸着抑制剤が、炭素数が3以上の脂肪族炭化水素基および/または芳香族炭化水素基を有する、請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 前記酸素吸着抑制剤が、シラン系化合物またはカルボン酸系化合物である、
    請求項1または2に記載の樹脂組成物。
  4. 前記酸素吸着性フィラーが、有機高分子繊維、ウィスカー状無機化合物、粘土化合物、ガラス、セラミック、金属、およびカーボンからなる群から選ばれる少なくとも一種である、
    請求項1~3のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
  5. 前記酸素吸着性フィラーが繊維状である、
    請求項4に記載の樹脂組成物。
  6. 前記有機高分子繊維が多糖類ナノファイバーである、
    請求項4に記載の樹脂組成物。
  7. 請求項1~6のいずれか一項に記載の樹脂組成物および酸素を含み、酸素により樹脂組成物の硬化が阻害されるバッファ領域、ならびに前記樹脂組成物を少なくとも含み、前記バッファ領域より酸素濃度が低く、前記樹脂組成物の硬化が可能な硬化用領域を、造形物槽内に隣接して形成する工程と、
    前記バッファ領域側から活性エネルギー線を選択的に照射して、前記硬化用領域で前記樹脂組成物の硬化物を形成する工程と、
    を含み、
    前記硬化物の形成工程が、形成された前記硬化物を連続的に前記バッファ領域とは反対側に移動させながら、前記硬化用領域に連続的に活性エネルギー線を照射する工程である、
    立体造形物の製造方法。
  8. 請求項1~6のいずれか一項に記載の樹脂組成物の硬化物であって、積層構造を有さない、
    立体造形物。
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