JP7308437B2 - スクロール圧縮機 - Google Patents

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Description

本発明は、空気調和機、冷凍機、ブロワ、給湯機等に使用されるスクロール圧縮機に関するものである。
従来の空気調和機等の冷凍サイクルに使用されるスクロール圧縮機は、例えば図10に示すように構成されている。すなわち、両端が閉鎖された筒状の密閉容器101の内側に、電動機102と圧縮機構部103とが内蔵されている。圧縮機構部103は、主にクランク軸104、主軸受105および圧縮要素106で構成されている。電動機102は、密閉容器101の内壁面側に固定された固定子102aと、固定子102aの内側に回転自在に支持された回転子102bとからなり、回転子102bには、前記クランク軸104が貫通状態に結合されている。密閉容器101下部に収容されたオイルは、圧縮機構部103の各摺動部に供給された後、圧縮要素106にて圧縮されたガスの流れに乗り、密閉容器101上部に設けられた吐出管107より圧縮機外部へ流出するまでの間に気液分離されて、下部のオイル溜まりへと再循環される。
圧縮機構部103は、渦巻きラップ108a、109aを形成した固定スクロール108と旋回スクロール109をかみ合わせ複数の圧縮室110を形成し、旋回スクロール109にクランク軸104の偏心部を連結させ、オルダムリング111を用いて自転を防止し旋回運動をさせることで、中心に向かって圧縮室110の容積を減少させながらガスを圧縮する。圧縮されたガスは、固定スクロール108の中心部に設けられた主吐出ポート112と圧縮途中の圧縮室110に開口するバイパス吐出ポート113を通って圧縮機構部103の外へ吐出される。
オイルは、ポンプ装置104aによりオイル溜りからクランク軸104の内部通路104aを経由して旋回スクロール109背面に形成された背圧室114へ供給され、背圧調整弁115を通って圧縮室110へと導かれる。背圧調整弁115は、吸入圧力よりも高めの中間圧力を維持して旋回スクロール109を固定スクロール108に押さえつける機能を持ち、旋回スクロール109と固定スクロール108の離反、いわゆる転覆現象によって生じる圧縮漏れを防止している。一方、背圧室114の圧力が高くなりすぎると、旋回スクロール109を固定スクロール108に押さえつけるスラスト力が過剰になり、旋回スクロール109と固定スクロール108とで形成されるスラスト軸受116での摺動損失が増大するため、背圧室114の圧力は適正に維持されている。
旋回スクロール109の背面側空間は樹脂製の環状シール部材117によって外側と内側とが仕切られ、外側の背圧室114を中間圧力、内側の背面室118を吐出圧力に維持している。
圧縮運転中、固定スクロール108と旋回スクロール109が互いに接触するラップ108a、109aの壁面やスラスト軸受116の摺動面は大きな荷重によって潤滑状態が悪化し、焼き付きやカジリ、摩耗が発生しやすい。
そのため、この種の容積式流体圧縮装置では、固定スクロール108および旋回スクロール109の少なくとも一方の摺動面に表面硬化処理を施し、摩耗を減少させるとともに、摩擦係数を減少させることが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開昭55-81295号公報
しかしながら、表面処理は、表面処理方法によっては、表面処理をしない場合よりも表面粗さが大きくなることがある。よって、前記従来の特許文献1の構成では、固定スクロールと摺動する旋回スクロール鏡板のラップ側摺動面に表面処理を施すと、摩耗は低減できるものの、以下のような課題が生じる。すなわち、特許文献1のように表面処理を施すと、環状シール部材と摺動する旋回スクロール背面側摺動面にも表面処理が施され、表面処理による表面粗さが大きいことが原因で環状シール部材と旋回スクロール背面との密着性が失われたり、高い摩擦係数に起因する温度上昇に伴い環状シール部材に変形や荒れが生じたり、合口が溶着したりする。これにより、環状シール部材本来のシール機能が低下し、背圧室の圧力が上昇して圧縮機の効率低下を招く。特に比較的低粘度のオイルを使用すると、潤滑性とシール性が低下するため、上記の課題が発生しやすい。
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、旋回スクロール背面と環状シール部材とのシール性を改善して高い効率を実現できるスクロール圧縮機を提供することを目的とする。
本発明のスクロール圧縮機は、上記目的を達成するため、固定スクロールと、旋回スクロールと、旋回スクロールの背面側に位置し、旋回スクロールを収容する本体フレームに装着され、旋回スクロールの背面側の空間を吐出圧力雰囲気の背面室と中間圧力雰囲気の背圧室とに仕切る環状シール部材と、を有し、環状シール部材は合口を有し、合口の面の少なくとも一部は、旋回スクロールの背面側摺動面と密着摺動する環状シール部材の摺動平面に対して直角でなく、環状シール部材と摺動する旋回スクロールの背面側摺動面の表面粗さは、固定スクロールと摺動する旋回スクロールのラップ側摺動面の表面粗さより小さい構成としてある。
これにより、旋回スクロール背面と環状シール部材とのシール性を改善して環状シール部材のシール機能を十分に発揮させそのシール性を向上させることができ、背面室から背圧室へのオイルや作動流体の漏れを防止できる。したがって、シール性が悪い場合に生じる、背圧増大に伴うスラスト軸受での摺動損失増加、圧縮室内への給油量増大に伴う粘性損失増加および作動流体の加熱、背圧室内のガス過多に伴う潤滑状態の悪化および圧縮室のシール性低下等を防ぐことができ、高効率で信頼性の高いスクロール圧縮機とすることができる。
本発明は、上記した構成により、旋回スクロール背面と環状シール部材とのシール性を改善して背圧室の圧力上昇を防止し、高い効率のスクロール圧縮機とすることができる。
本発明の実施の形態1におけるスクロール圧縮機の縦断面図 本発明の実施の形態1における圧縮機構の拡大断面図 本発明の実施の形態1における別の圧縮機構の拡大断面図 本発明の実施の形態2における圧縮機構の拡大断面図 本発明の実施の形態2における別の圧縮機構の拡大断面図 本発明の実施の形態2におけるさらに別の圧縮機構の拡大断面図 本発明の実施の形態3における圧縮機構の拡大断面図 本発明の実施の形態4における環状シール部材の合口部の拡大斜視図 本発明の実施の形態4における環状シール部材の合口部の断面図 従来のスクロール圧縮機の縦断面図 従来の環状シール部材の合口部の拡大斜視図 従来の環状シール部材の合口部の断面図
第1の発明は、固定スクロールと、旋回スクロールと、旋回スクロールの背面側に位置し、旋回スクロールを収容する本体フレームに装着され、旋回スクロールの背面側の空間を吐出圧力雰囲気の背面室と中間圧力雰囲気の背圧室とに仕切る環状シール部材と、を有し、環状シール部材は合口を有し、合口の面の少なくとも一部は、旋回スクロールの背面側摺動面と密着摺動する環状シール部材の摺動平面に対して直角でなく、環状シール部材と摺動する旋回スクロールの背面側摺動面の表面粗さは、固定スクロールと摺動する旋回スクロールのラップ側摺動面の表面粗さより小さい構成としてある。
これにより、比較的低粘度のオイルを使用した場合でも、旋回スクロール背面側摺動面と環状シール部材との密着性が上がることでシール性を向上させることができるとともに、摩擦係数を低減して摩擦による温度上昇を抑え、環状シール部材の変形や荒れ、合口の溶着を防止することができる。つまり、環状シール部材のシール機能を十分に発揮させてシール性を向上させることができ、背面室から背圧室へのオイルや作動流体の漏れを防止できる。したがって、シール性が悪い場合に生じる、背圧増大に伴うスラスト軸受での摺動損失増加、圧縮室内への給油量増大に伴う粘性損失増加および作動流体の加熱、背圧室内のガス過多に伴う潤滑状態の悪化および圧縮室のシール性低下等を防ぐことができ、高効率で信頼性の高いスクロール圧縮機とすることができる。また、環状シール部材は、軸方向の圧力差によって合口が密着し合口での漏れも抑えてより高いシール性を発揮させ、さらなる高効率化を実現することができる。
第2の発明は、特に、第1の発明のスクロール圧縮機において、旋回スクロールの背面側摺動面は、旋回スクロールのラップ側摺動面より表面粗さの小さい表面処理皮膜を有する構成としてある。この場合の表面処理は、例えば、多種ある表面処理のなかでも、表面粗さを低減させることができる封孔処理やエッチング、コーティング、DLC等による表面処理を指す。
これにより、確実に旋回スクロールの背面側摺動面の表面粗さを低減して高効率化を実現できるとともに、表面処理によって耐摩耗性や耐焼き付き性を向上させて背面側摺動面の信頼性をより向上させることが可能となる。
第3の発明は、特に、第1の発明のスクロール圧縮機において、表面処理が施された旋回スクロールのラップ側摺動面と、表面処理が施されていない旋回スクロールの背面側摺動面と、を備える構成としてある。
これにより、旋回スクロールのラップ側摺動面の信頼性を向上させつつ、背面側摺動面の表面粗さを低減して高効率化を実現でき、高効率と高信頼性を両立することができる。すなわち、表面処理方法によっては、表面処理をしない場合よりも表面粗さが大きくなることがあり、そのような表面処理方法を用いた場合、旋回スクロール全体に表面処理を施すと、旋回スクロールのラップ側摺動面の耐摩耗性を向上させることができるものの、旋回スクロールの背面側摺動面の表面粗さが大きくなってシール性が悪化し、効率の低下を招く。しかしながら、本発明では、旋回スクロールの背面側摺動面は表面処理を施さない非表面処理面としているため、ラップ側摺動面の信頼性を向上させても、背面側摺動面の表面粗さが大きくならず、効率の低下を防止して、高効率と高信頼性を両立することができる。また、ラップ側摺動面の信頼性を向上させる表面処理と、背面側摺動面のシール性を向上させる別の表面処理の二つの表面処理を施すというような必要がないため、コストアップを抑制することも可能である。
第4の発明は、特に、第1の発明のスクロール圧縮機において、表面処理が施された旋回スクロールのラップ側摺動面と、表面処理が施された旋回スクロールの背面側摺動面と、を備え、旋回スクロールの背面側摺動面の表面処理皮膜の厚みが、旋回スクロールのラップ側摺動面の表面処理皮膜の厚みよりも小さい構成としてある。
それを実現する手段としては、背面側摺動面の表面処理皮膜が完全に除去されない程度にラッピング等の機械加工を施す方法や、ラップ側摺動面と背面側摺動面とで異なる表面処理条件を用いる方法等があり、いずれの方法でも背面側摺動面の表面粗さをラップ側摺動面よりも小さくすることができ、環状シール部材のシール機能を十分に発揮することが可能である。
また、旋回スクロール母材と環状シール部材との摺動性が悪く、旋回スクロール母材側の摩耗が顕著となる場合でも、旋回スクロールの背面側摺動面に少なからず表面処理皮膜があり、環状シール部材に対する耐摩耗性が向上するため、背面側摺動面の異常摩耗や焼付き等を防止し、高い信頼性を実現することが可能である。
第5の発明は、特に、第1~第4のいずれか1つの発明のスクロール圧縮機において、旋回スクロールの材質はアルミ合金とし、旋回スクロールのラップ側摺動面と旋回スクロールの背面側摺動面の少なくともいずれか一方に陽極酸化皮膜を有する構成としてある。
これにより、旋回スクロールの軽量化を図って慣性モーメントを低減し効率を向上させると同時に、陽極酸化処理によってラップ側摺動面や背面側摺動面の信頼性を向上させ、更なる高効率と高信頼性を両立することが可能である。
第6の発明は、特に、第1~第4のいずれか1つの発明のスクロール圧縮機において、旋回スクロールの材質は鉄とし、旋回スクロールのラップ側摺動面と旋回スクロールの背面側摺動面の少なくともいずれか一方に酸化皮膜を有する構成としてある。
これにより、鉄系材料を用いることが一般的な固定スクロールとの組合せにおいて、旋回スクロールと固定スクロールの熱膨張率が概ね同一であり、圧縮機構の各隙間が熱時と冷時とで大きく変化することがないため、冷時の隙間設定を極小化することで効率を向上させると同時に、酸化皮膜によってラップ側摺動面や背面側摺動面の信頼性を向上させ、更なる高効率と高信頼性を両立することが可能である。
第7の発明は、特に、第1~第6のいずれか1つの発明のスクロール圧縮機において、切削加工、研削加工または研磨加工で表面仕上げした旋回スクロールの背面側摺動面を備える構成としてある。
これにより、比較的安価な工程で旋回スクロール背面側摺動面の表面粗さを低減することが可能である。すなわち、旋回スクロールラップはエンドミルで仕上げ加工を行い、背面は旋盤で仕上げ加工を行うのが一般的であり、ラップ側摺動面と背面側摺動面のいずれも切削加工であるため、表面粗さの低減には限界があるが、旋回スクロール背面を研削加工や超仕上げ、ラッピング等の研磨加工によって仕上げることにより、同じく表面粗さを低減できるバレル処理や電解研磨等に対して比較的安価な工程で背面側摺動面の表面粗さを低減することが実現できる。
また、背面側摺動面に非表面処理面よりも表面粗さが大きくなる表面処理を施す場合、切削加工や研削加工、研磨加工によって表面処理皮膜を完全に除去または表面粗さを小さくする程度まで除去することで、マスキング等の特殊な工程を追加することなく、比較的安価な工程で表面処理が施されて表面粗さの大きいラップ側摺動面に対して背面側摺動面の表面粗さを低減することが可能である。
さらに、背面側摺動面にラップ側摺動面より表面粗さの小さい表面処理を施す場合、研削加工や研磨加工によって表面処理前の母材の表面粗さを小さくしておくことによって、表面処理後の表面粗さを極限まで小さくすることができ、環状シール部材が本来のシール機能を発揮できるだけでなく、環状シール部材と背面側摺動面との摺動摩擦抵抗を減少させて摺動損失を低減することも可能である。
第8の発明は、特に、第1~第7のいずれか1つの発明のスクロール圧縮機において、旋回スクロールの背面側摺動面の表面粗さがRa0.01~1.6であり、旋回スクロールのラップ側摺動面の表面粗さがRa0.05~3.2である構成としてある。
上記のような表面粗さは、特別な工法を用いることなく容易に実現できるため、コストアップを抑制することが可能である。
以下、図面を参照しながら実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明、または、実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。
なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図していない。
(実施の形態1)
以下、図1~図3を用いて、実施の形態1を説明する。
なお、本明細書では、スクロール圧縮機100における上下方向を、図における上下方向とする。
図1は、本発明の実施の形態1におけるスクロール圧縮機の縦断面図である。
図1において、スクロール圧縮機100は、密閉容器1と、圧縮機構2と、電動機3とを備える。密閉容器1は、内部全体が吐出管1aに連通する吐出圧力雰囲気である。圧縮機構2は、密閉容器1の上部に配置されている。電動機3は、密閉容器1の中央部に配置されている。
圧縮機構2は、固定鏡板6aから渦巻き状の固定スクロールラップ6bが立ち上がる固定スクロール6と、旋回鏡板9bから渦巻き状の旋回スクロールラップ9aが立ち上がる旋回スクロール9と、本体フレーム5などを備える。固定スクロールラップ6bと旋回スクロールラップ9aを噛み合わせて圧縮室11が形成される。
電動機3は、固定子3cと、回転軸を中心に回転自在に配置された回転子3aとから構成される。回転子3aに固定されたクランク軸4の上端部は、本体フレーム5に支承されており、本体フレーム5に固定スクロール6が取り付けられている。
クランク軸4に設けられた主軸方向の油通路7は、下端部が給油ポンプ装置8に通じ、他端が最終的に旋回スクロール9の偏心軸受10に通じている。旋回スクロール9は、渦巻き状の旋回スクロールラップ9aと偏心軸受10とを直立させた旋回鏡板9bとからなり、固定スクロール6と本体フレーム5との間に配置されている。
固定スクロール6は、主吐出ポート12、複数の穴からなるバイパス吐出ポート13、吸入ポート14、吸入室15を備える。主吐出ポート12は、固定スクロールラップ6bの中央部に位置する。主吐出ポート12の出口側には、主吐出ポート12を開閉する逆止弁装置26が固定スクロール6の固定鏡板6aの反ラップ側平面上に取り付けられており、逆止弁装置26は薄鋼板製のリード弁26aと弁押さえ26bとから構成される。
バイパス吐出ポート13は、圧縮途中に必要吐出圧力に到達した場合に圧縮室11のガスを吐出させる。吸入ポート14は、固定スクロール6の外周部に位置する。吸入室15は、圧縮が開始されるまでの流体通路である。
偏心軸17は、旋回スクロール9の偏心軸受10と係合摺動するように構成されている。偏心軸17は、クランク軸4の主軸16から偏心して、クランク軸4の上端部に配置されている。
主軸16は、本体フレーム5の主軸受18と係合摺動し、本体フレーム5には、主軸受18と同心で樹脂製の環状シール部材19が遊合状態で装着されている。環状シール部材19は、内側の概ね吐出圧力雰囲気の背面室20と外側の中間圧力雰囲気の背圧室21とを仕切っている。
クランク軸4の下端は密閉容器1内に溶接や焼き嵌めして固定された副軸受27により軸受けされ、安定に回転できる。副軸受27はジャーナル軸受構成となっており、給油ポンプ装置8によって吸い上げられたオイルの一部が副軸受27へと供給される。
給油ポンプ装置8によって吸い上げられたオイルは、クランク軸4の油通路7を通り旋回スクロール9と偏心軸17との間に形成された内部空間22へ導かれ、一方は旋回スクロール9の旋回鏡板9bの背面に設けられた絞り部23を経由して固定スクロール6と本体フレーム5とによって囲まれて形成される背圧室21へと通じ、背圧調整弁24、オイル供給通路24aを通って圧縮室11へと導かれる。また、もう一方のオイルは偏心軸受10、背面室20、主軸受18を通り圧縮機構外部へ排出される。
背圧調整弁24は、吸入圧力よりも高めの中間圧力を維持して旋回スクロール9を固定スクロール6に所定のスラスト力で押さえつける機能を持ち、旋回鏡板9bと固定スクロールラップ6b端面および固定鏡板6aとでスラスト軸受25を形成する。
圧縮機構2にて圧縮されて主吐出ポート12から吐出された直後のガスと、吐出管1aから密閉容器1外へ吐出される直前のガスは、マフラー28によって仕切られる。マフラー28内部の吐出室29のガスは、圧縮機構外周部付近に設けられた下向きガス流路30を通り、図示された点線矢印のごとく回転子3a上部へと導かれる。回転子3a上部で主軸受18などを潤滑後排出されたオイルと合流し、回転子3a内部に設けられた回転子通路3bを通って回転子3a下部へと到達後、ガスとオイルの混合流が遠心力によって固定子3cの下部コイルエンドに衝突し、気液分離される。気液分離後のガスは固定子3c外周に設けられた固定子通路3dを通って、仕切り部材31で回転子3a上部の空間と仕切られた固定子3c上部の空間へと導かれ、圧縮機構に設けられた図示されていない上向きガス流路を通って圧縮機構上側空間へ到達後、吐出管1aから密閉容器1外部へと吐出される。
図2は、本発明の実施の形態1における圧縮機構の拡大断面図である。ラップ側摺動面32は固定スクロールラップ6bの壁面と摺動する旋回スクロールラップ9aの壁面9cと、固定スクロールラップ6bの底面6cと摺動する旋回スクロールラップ9aの上面9dと、および旋回スクロールラップ9aの底面9eを含むスラスト軸受25の、三つの摺動面からなる。ラップ側摺動面32には表面処理が施されず、環状シール部材19が摺動する背面側摺動面33には、ラップ側摺動面32の表面粗さRa0.05~3.2よりも小さくなる表面処理、ここでは表面粗さRa0.01~1.6となるように表面処理皮膜34が形成されている。
なお、スクロール圧縮機100では、オイルは、40℃での動粘度が45mm2/s以下、すなわち粘度グレード45以下の比較的低粘度オイルが使用されている。
以上のように構成されたスクロール圧縮機100について、以下に図2を示しながら動作、作用を説明する。
圧縮機構2は、固定スクロール6に対する旋回スクロール9の旋回運動により圧縮室11が容積を変えながら中心に向かって移動することにより、吸入、圧縮、吐出の一連の動作を行う。
そして、旋回スクロール9の背面側摺動面33は環状シール部材19の平面部と密着して摺動することで、概ね吐出圧力雰囲気の背面室20と中間圧力雰囲気の背圧室21とを仕切り、背面室20から背圧室21へのオイルやガスの侵入を防いでいる。
また、低粘度オイルを使用することで、各摺動部でのオイルのせん断力に起因する摺動損失が低減され、高効率な圧縮機を実現している。この観点では、オイルはより低粘度である必要があり、圧縮機の信頼性が確保できるのであれば粘度グレード32以下が好ましい。
各摺動部での摺動損失低減を目的とした比較的低粘度のオイルを使用していると、既述したようにシール部の油膜保持力低下によって環状シール部材19のシール性が悪化して背圧室21へオイルやガスが侵入しやすくなる。また、低粘度オイルによって、環状シール部材19と背面側摺動面33との摺動面の摩擦係数が増加して温度が上昇することで、樹脂製の環状シール部材19が軟化や溶融し、変形やクリープ、表面荒れ、合口の溶着が生じた結果、同様に環状シール部材19のシール性が悪化して背圧室21へオイルやガスが侵入しやすくなる。その結果、背圧室21の圧力が上昇し、旋回スクロール9を固定スクロール6に押し付けるスラスト力が増加して、スラスト軸受25の信頼性悪化や摺動損失増加を招く。また、背圧が上昇することで、背圧調整弁24を経由した圧縮室11への給油量が増加し、オイル過多による粘性損失や冷媒加熱等の損失増大を招く。さらに、背面室20から背圧室21へガスが侵入した場合には、背圧室21がオイル不足になり、スラスト軸受25や圧縮室11の各摺動部での潤滑状態悪化に伴う摺動損失の増加や信頼性の悪化を招くだけでなく、圧縮室11でのシール性低下に伴う漏れ損失の増加も招く。
しかしながら、本実施の形態のスクロール圧縮機100は、旋回スクロール9の背面側摺動面33に表面処理皮膜34を形成し、その表面粗さをラップ側摺動面32の表面粗さRa0.05~3.2より小さい表面粗さRa0.01~1.6としているため、環状シール部材19と背面側摺動面33との密着性が向上し、低粘度オイルでもシール性が損なわれない。また、摩擦係数が低減されて温度上昇を抑制でき、環状シール部材19の機能低下を防止してシール性を維持することが可能である。その結果、圧縮機の高効率と高信頼性を実現することができる。
図3は、本発明の実施の形態1における別の圧縮機構の拡大断面図である。図2では、旋回鏡板9bの反ラップ側面、すなわち背面側摺動面33の全面に表面処理皮膜34を形成しているが、図3に示すように、少なくとも環状シール部材19が摺動する部分のみの背面側摺動面33に表面処理皮膜34を形成しておけば同様の効果が得られる。
なお、上記実施の形態では旋回スクロール9の背面側摺動面33の表面粗さをラップ側摺動面32の表面粗さより小さくするために、背面側摺動面33に表面処理皮膜34を形成しているが、これに限られるものではない。
例えば、旋回スクロールラップ9aはエンドミルで切削加工を行うことが一般的であるから、背面側摺動面33にコーティングやショットピーニング等の表面処理を施す代わりに、切削加工よりも表面粗さが小さくなる研削加工によって背面側摺動面33を仕上げることによって背面側摺動面33の表面粗さをラップ側摺動面32の表面粗さより小さくしてもよい。または、背面側摺動面33を切削加工または研削加工した後にラッピングやバフ等の機械研磨加工を施したり、あるいは、やや高価ではあるが、化学研磨加工や電解研磨加工を施したりして背面側摺動面33の表面粗さをラップ側摺動面32の表面粗さより小さくしてもよい。また、バニシング加工によって表面粗さを改善してもよく、いずれの場合も同様の効果が得られる。
また、背面側及びラップ側の各摺動面の粗さは、背面側摺動面33をRa0.01からRa1.6の範囲に相当する表面粗さに仕上げ、ラップ側摺動面32をRa0.05からRa3.2の範囲に相当する表面粗さに仕上げて、ラップ側摺動面32の表面粗さよりも背面側摺動面33の表面粗さの方を小さくしている。そのため、特別な加工法を用いることなく、安価に上記効果を発揮することができる。好ましくは、背面側摺動面33の表面粗さをRa0.01から0.2の範囲で仕上げることで、安価に、しかも確実に上記効果を発揮できる。
(実施の形態2)
以下、図4~図6を用いて、実施の形態2を説明する。
図4は、本発明の実施の形態2におけるスクロール圧縮機の圧縮機構拡大断面図である。
本実施の形態では、旋回スクロール9のラップ側摺動面32にのみ表面処理皮膜34を形成することで、背面側摺動面33の表面粗さがラップ側摺動面32の表面粗さよりも小さくしている。
上記の構成は、母材よりも表面粗さが大きくなる類の表面処理の場合に適用可能な構成であり、ラップ側摺動面32での耐摩耗性や耐焼き付き性を向上させるとともに、環状シール部材19の機能低下を防止してシール性を維持することができ、高い信頼性と高い効率を両立することが可能である。
すなわち、表面処理の方法によっては、表面処理をしない場合よりも表面粗さが大きくなることがあり、そのような表面処理方法を用いた場合、旋回スクロール9のラップ側摺動面32の耐摩耗性を向上させるべく旋回スクロール全体に表面処理を施すと、旋回スクロール9のラップ側摺動面32の耐摩耗性や耐焼き付き性を向上させることができるものの、旋回スクロール9の背面側摺動面33の表面粗さが大きくなって環状シール部材19のシール性が悪化し、効率の低下を招く。
しかしながら、本実施の形態の構成によれば、旋回スクロール9の背面側摺動面33は
表面処理を施さない非表面処理面としているため、ラップ側摺動面32の耐摩耗性や耐焼き付き性を向上、つまり信頼性を向上させても、背面側摺動面33の表面粗さが大きくならず、効率の低下を防止して、高効率と高信頼性を両立することができる。また、ラップ側摺動面32の信頼性を向上させる表面処理と、背面側摺動面33のシール性を向上させる別の表面処理の二つの表面処理を施すというような必要がないため、コストアップを抑制することが可能となる利点もある。
なお、母材よりも表面粗さが大きくなる表面処理としては、アルミ系材に施す陽極酸化皮膜処理や鉄系材に施すリューブライト処理等がある。
背面側摺動面33は、マスキング等によって表面処理を施さないことで小さい表面粗さを確保してもよいし、背面側摺動面33も表面処理した後、切削加工や研削加工、研磨加工によって処理皮膜を除去して小さい表面粗さを確保してもよい。
図5は、本発明の実施の形態2における別の圧縮機構の拡大断面図である。図4では、旋回鏡板9bの反ラップ側面に表面処理皮膜34は形成していないが、図5のように、環状シール部材19が摺動する部分の背面側摺動面33以外に表面処理皮膜34を形成している構成でも同様の効果が得られる。
図6は、本発明の実施の形態2におけるさらに別の圧縮機構の拡大断面図である。図6のように、ラップ側摺動面32に施した表面処理とは異なる別の表面処理を背面側摺動面33に施して、実施の形態1と略同様の表面処理皮膜341を形成することで、表面粗さを小さくしてもよい。上記の別の表面処理は、ラップ側摺動面32に施した表面処理皮膜34の上に重ねて施してもよい。
(実施の形態3)
以下、図7を用いて、実施の形態3を説明する。
図7は、本発明の実施の形態3におけるスクロール圧縮機の圧縮機構拡大断面図である。
本実施の形態では、旋回スクロール9のラップ側摺動面32と背面側摺動面33に表面処理皮膜34を形成し、背面側摺動面33の表面処理皮膜34が完全に除去されない程度にラッピング等の機械加工を施すことによって、背面側摺動面33の表面処理皮膜34の厚みをラップ側摺動面32よりも小さくしている。そのため、背面側摺動面33の表面粗さが、ラップ側摺動面32の表面粗さよりも小さくなる。
実施の形態2と同様、母材よりも表面粗さが大きくなる類の表面処理の場合に適用可能な構成で、ラップ側摺動面32での耐摩耗性や耐焼き付き性を向上させるとともに、環状シール部材19の機能低下を防止してシール性を維持することができ、高い信頼性と高い効率を両立することが可能である。
加えて、特に粘度グレードが45以下の低粘度オイルを用いた場合、背面側摺動面33に表面処理皮膜34が無ければ、環状シール部材19との摺動性が悪化して摩耗が顕著となることがあるが、本実施の形態では、背面側摺動面33に少なからず表面処理皮膜35があり、環状シール部材19に対する耐摩耗性が向上するため、背面側摺動面33や環状シール部材19の異常摩耗や焼付き等を防止し、高い信頼性を実現できる。また、低粘度オイルを使用することで、摺動損失を低減し、高効率も実現できる。
背面側摺動面33の表面処理皮膜34の厚みは、ラップ側摺動面32に対して1/5か
ら4/5の比率の範囲が適正であるが、背面側摺動面33と環状シール部材19との摺動が良好であったり、過渡運転時の旋回鏡板9bと本体フレーム5との衝突等による異常摺動を十分回避できるのであれば、上記比率が1/5を下回っても何ら問題なく、比率が0の場合は実施の形態2の構成と同等である。
背面側摺動面33の表面処理皮膜34の厚みをラップ側摺動面32よりも小さくする方法として、前述のラッピングの他に、バフやショットピーニング、平面研削等の研削、研磨加工や、旋盤による切削加工等も用いることができるが、数μmから数十μmの厚みの非常に薄い表面処理皮膜34を少なからず残すようにコントロールするとともに、安価に実現できるラッピングやバフがより好ましい。
また、別の方法として、表面処理皮膜34の厚みが大きくなるにしたがって表面粗さも大きくなるという特性を利用することもできる。すなわち、ラップ側摺動面32と背面側摺動面33とで異なる表面処理条件、例えば処理時間や処理温度、薬液濃度、電流密度等、を用いたりすることで背面側摺動面33の表面処理皮膜34の厚みを比較的小さくし、その結果、背面側摺動面33の表面粗さをラップ側摺動面32よりも小さくできる。
なお、表面処理皮膜34の厚みの測定方法は、簡易に実施できる渦電流式膜厚計や、詳細に分析できる金属顕微鏡を用いることが一般的である。
(実施の形態4)
以下、図8~図12を用いて、実施の形態4を説明する。
図8は、本発明の実施の形態4における環状シール部材19の合口部を拡大した斜視図である。図9は、実施の形態4における環状シール部材の合口部の断面図である。図8において、二点鎖線で示した面における断面は、図9で示す通り、旋回スクロール9の背面側摺動面33と摺接する摺動平面36に対して合口面37が直角ではない形状、例えば傾斜形状となっている。
環状シール部材19は、主軸受18に設けられた溝に挿入され、圧力差によって軸方向の旋回スクロール背面側および径方向の溝外周側壁面に押し付けられて密着することで、軸方向と径方向をシールしているが、特に、上記のように構成した環状シール部材19は、軸方向の圧力差によって合口が密着することで、合口での漏れも抑えてより高いシール性を発揮する。
図10は、従来の環状シール部材の合口部の拡大斜視図であり、図11は、従来の環状シール部材の合口部の断面図である。
詳述すると、図11および図12に示す従来の環状シール部材117では、合口面119が直角であり、紙面左右方向、すなわち径方向の圧力差による圧縮力が加わることによって二つの合口面119が接して環状シール部材117の内外をシールしているのに対し、本発明の実施の形態4で用いる環状シール部材19は、紙面上下方向、すなわち軸方向の圧力差による圧縮力によって合口面37を密着させてシールしている。したがって、環状シール部材19を本体フレーム5の主軸受18に設けた溝へ組付けた状態に生じる合口部の隙間δが比較的大きくなった場合でも、本実施の形態4の環状シール部材19の合口面37は必ず密着し、確実なシール性を発揮し、圧縮機の高効率と高信頼性を実現できる。
一方で、合口面37が常に密着しているため、高差圧運転時のような軸方向の圧縮力が大きい場合、かつ、環状シール部材19の摺動平面36と背面側摺動面33との摩擦係数
が特に大きい場合は、温度が上昇して合口面37が溶着し、径方向への動きを阻害されて溝外周側壁面に密着せず、本来のシール性能を発揮できなくなることが懸念される。
しかしながら、本発明の各実施の形態で示したスクロール圧縮機は、既述した通り、背面側摺動面33の表面粗さを小さくすることで、合口面37の溶着を防止できるため、環状シール部材19の持つ本来のシール性能を確実に発揮して圧縮機の高効率と高信頼性を実現できる。
本発明は、高信頼性と高効率を確保できるスクロール圧縮機に適用可能である。具体的には、HFC系冷媒やHCFC系冷媒、HC系冷媒、HFO系冷媒を用いたエアーコンディショナーやヒートポンプ式給湯機、自然冷媒の二酸化炭素を用いたエアーコンディショナーやヒートポンプ式給湯機、冷凍機、ブロワなど、幅広い冷凍機器に用いられスクロール圧縮機などに本開示は適用可能である。
1 密閉容器
1a 吐出管
2 圧縮機構
3 電動機
3a 回転子
3b 回転子通路
3c 固定子
3d 固定子通路
4 クランク軸
5 本体フレーム
6 固定スクロール
6a 固定鏡板
6b 固定スクロールラップ
6c 底面
7 油通路
8 給油ポンプ装置
9 旋回スクロール
9a 旋回スクロールラップ
9b 旋回鏡板
9c 壁面
9d 上面
9e 底面
10 偏心軸受
11 圧縮室
12 主吐出ポート
13 バイパス吐出ポート
14 吸入ポート
15 吸入室
16 主軸
17 偏心軸
18 主軸受
19 環状シール部材
20 背面室
21 背圧室
22 内部空間
23 絞り部
24 背圧調整弁
24a オイル供給通路
25 スラスト軸受
26 逆止弁装置
26a リード弁
26b 弁押さえ
27 副軸受
28 マフラー
29 吐出室
30 下向きガス流路
31 仕切り部材
32 ラップ側摺動面
33 背面側摺動面
34,341 表面処理皮膜
36 摺動平面
37 合口面
100 スクロール圧縮機
101 密閉容器
102 電動機
102a 固定子
102b 回転子
103 圧縮機構部
104 クランク軸
104a ポンプ装置
105 主軸受
106 圧縮要素
107 吐出管
108 固定スクロール
108a 渦巻きラップ
109 旋回スクロール
110 圧縮室
111 オルダムリング
112 主吐出ポート
113 バイパス吐出ポート
114 背圧室
115 背圧調整弁
116 スラスト軸受
117 環状シール部材
118 背面室

Claims (8)

  1. 固定スクロールと、
    旋回スクロールと、
    前記旋回スクロールの背面側に位置し、前記旋回スクロールを収容する本体フレームに装着され、前記旋回スクロールの前記背面側の空間を吐出圧力雰囲気の背面室と中間圧力雰囲気の背圧室とに仕切る環状シール部材と、
    を有し、
    前記環状シール部材は合口を有し、前記合口の面の少なくとも一部は、前記旋回スクロールの背面側摺動面と密着摺動する前記環状シール部材の摺動平面に対して直角でなく、
    前記環状シール部材と摺動する前記旋回スクロールの前記背面側摺動面の表面粗さは、前記固定スクロールと摺動する前記旋回スクロールのラップ側摺動面の表面粗さより小さいスクロール圧縮機。
  2. 前記旋回スクロールの前記背面側摺動面は、前記旋回スクロールの前記ラップ側摺動面より前記表面粗さの小さい表面処理皮膜を有する請求項1に記載のスクロール圧縮機。
  3. 表面処理が施された前記旋回スクロールの前記ラップ側摺動面と、
    表面処理が施されていない前記旋回スクロールの前記背面側摺動面と、
    を備える請求項1に記載のスクロール圧縮機。
  4. 表面処理が施された前記旋回スクロールの前記ラップ側摺動面と、
    表面処理が施された前記旋回スクロールの前記背面側摺動面と、
    を備え、
    前記旋回スクロールの前記背面側摺動面の表面処理皮膜の厚みが、前記旋回スクロールの前記ラップ側摺動面の表面処理皮膜の厚みよりも小さい請求項1に記載のスクロール圧縮機。
  5. 前記旋回スクロールの材質はアルミ合金とし、前記旋回スクロールの前記ラップ側摺動面と前記旋回スクロールの前記背面側摺動面の少なくともいずれか一方に陽極酸化皮膜を有する請求項1~4のいずれか1項に記載のスクロール圧縮機。
  6. 前記旋回スクロールの材質は鉄とし、前記旋回スクロールの前記ラップ側摺動面と前記旋回スクロールの前記背面側摺動面の少なくともいずれか一方に酸化皮膜を有する請求項1~4のいずれか1項に記載のスクロール圧縮機。
  7. 切削加工、研削加工または研磨加工で表面仕上げした前記旋回スクロールの前記背面側摺動面を備える請求項1~6のいずれか1項に記載のスクロール圧縮機。
  8. 前記旋回スクロールの前記背面側摺動面の前記表面粗さがRa0.01~1.6であり、前記旋回スクロールの前記ラップ側摺動面の前記表面粗さがRa0.05~3.2である請求項1~7のいずれか1項に記載のスクロール圧縮機。
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