JP7306135B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Description

本発明は、未舗装路走行用タイヤとして好適な空気入りタイヤに関し、更に詳しくは、騒音性能を悪化させることなく未舗装路での走行性能を向上することを可能にした空気入りタイヤに関する。
未舗装路(例えば泥濘地)の走行を意図した空気入りタイヤでは、一般的に、エッジ成分の多いラグ溝やブロックを主体とするトレッドパターンであって、溝面積が大きいものが採用される。また、トレッド部のタイヤ幅方向最外側に位置するショルダーブロックの更にタイヤ幅方向外側のサイド領域にサイドブロックを設けることが行われている(例えば、特許文献1を参照)。このようなタイヤでは、トレッド部やサイド領域に設けられた溝やブロックからなる凹凸によって路面上の泥等を噛み込んでトラクション性能を得ると共に、大きい溝面積によって溝内に泥等が詰まることを防いで、未舗装路での走行性能を向上している。特に、サイドブロックは、泥濘地を走行中にタイヤが泥等に埋もれた際に、路面上の泥等を効果的に噛み込むため、泥濘地での走行性能(マッド性能)を向上することに有効である。
一方で、このようにブロックを主体としたタイヤでは、パターンノイズが生じやすく、騒音性能を良好に維持することが難しい傾向がある。特に、前述のマッド性能を向上するために、サイドブロックを大きくしたり、形状を複雑化すると、サイドブロックに起因して風切音が生じやすくなり、騒音性能を悪化させる虞がある。そのため、騒音性能への影響を抑えながら、未舗装路での走行性能(特に、マッド性能)を向上する対策が求められている。
特開2013‐119277号公報
本発明の目的は、騒音性能を悪化させることなく未舗装路での走行性能を向上することを可能にした空気入りタイヤを提供することにある。
上記目的を達成するための本発明の空気入りタイヤは、タイヤ周方向に延在して環状をなすトレッド部と、該トレッド部の両側に配置された一対のサイドウォール部と、これらサイドウォール部のタイヤ径方向内側に配置された一対のビード部とを備え、車両に対する装着方向が指定された空気入りタイヤにおいて、前記トレッド部のタイヤ幅方向最外側端部のタイヤ幅方向外側に隣接するサイド領域のうち、車両装着時に車両に対して内側となる側を内側サイド領域とし、車両装着時に車両に対して外側となる側を外側サイド領域としたとき、前記内側サイド領域には前記サイドウォール部の外表面から隆起した複数の内側サイドブロックが設けられ、前記外側サイド領域には前記サイドウォール部の外表面から隆起した複数の外側サイドブロックが設けられ、前記内側サイドブロックの隆起高さHinが前記外側サイドブロックの隆起高さHout よりも大きいことを特徴とする。
本発明の発明者は、車両が泥濘地を走行する際のタイヤ周辺の泥等の挙動について鋭意研究した結果、車両装着時に車両に対して内側となる側では、泥等は車体に押されて圧縮されて、内側サイド領域に押し付けられる傾向があるのに対して、車両装着時に車両に対して外側となる側では、泥等はタイヤに押し退けられて、外側サイド領域に接触してもタイヤから離れるように移動することを知見した。本発明は、この知見に基づき、泥等が押し付けられる傾向があり、マッド性能への寄与が大きい内側サイド領域については、サイドブロックの隆起高さHinを相対的に大きくして、マッド性能を向上している。一方、泥等が離間するためマッド性能に寄与しにくい外側サイド領域については、サイドブロックの隆起高さHout を相対的に小さくして、風切音への影響を抑制している。このように、泥等の挙動を考慮して車両内外でサイドブロックの構造を異ならせることで、騒音性能を悪化させることなく未舗装路での走行性能(マッド性能)を向上することができる。
本発明では、内側サイド領域に存在する前記内側サイドブロックのタイヤ径方向に沿った長さLinが外側サイド領域に存在する前記外側サイドブロックのタイヤ径方向に沿った長さLout よりも大きいことが好ましい。これにより、マッド性能への寄与が大きい内側サイド領域では、内側サイドブロックを設ける範囲がタイヤ径方向に広くなり、マッド性能を効果的に高めることができる。一方、マッド性能に寄与しにくい外側サイド領域では、外側サイドブロックを設ける範囲がタイヤ径方向に狭くなるので、風切音への影響を抑制し、騒音性能を高めるには有利になる。
本発明では、内側サイド領域において内側サイドブロックを除いた非隆起部分を内側サイド溝とし、外側サイド領域において外側サイドブロックを除いた非隆起部分を外側サイド溝としたとき、内側サイド領域の面積に対する内側サイド溝の溝面積比率Rinが外側サイド領域の面積に対する外側サイド溝の溝面積比率Rout よりも大きいことが好ましい。これにより、マッド性能への寄与が大きい内側サイド領域では、溝面積比率が相対的に大きくなり、泥等を噛み込みやすくなるので、マッド性能を効果的に高めることができる。一方、マッド性能に寄与しにくい外側サイド領域では、溝面積比率が相対的に小さくなり、風切音への影響が抑制されるので、騒音性能を高めるには有利になる。
本発明では、内側サイドブロックのそれぞれの頂面内および/または複数の内側サイドブロックの頂面どうしの間に、隆起高さの差が0.5mm以上の段差を有することが好ましい。これにより、マッド性能への寄与が大きい内側サイド領域では、内側サイドブロックの凹凸形状を複雑化することができ、マッド性能を向上するには有利になる。
本発明では、内側サイドブロックの頂面にセレーション加工が施されていることが好ましい。これにより、マッド性能への寄与が大きい内側サイド領域では、内側サイドブロックの凹凸形状を複雑化することができ、マッド性能を向上するには有利になる。
本発明では、タイヤ周方向に隣り合う内側サイドブロックどうしの間に位置する非隆起部分およびタイヤ周方向に隣り合う外側サイドブロックどうしの間に位置する非隆起部分にそれぞれ摩耗限度を示すインジケータが設けられていることが好ましい。これにより、サイドブロックの摩滅に伴うマッド性能の低下を確認することが可能になる。
本発明では、内側サイドブロックの頂面に、該頂面からの突出高さが0.5mm未満である複数の突起を設けたことが好ましい。これにより、マッド性能への寄与が大きい内側サイド領域では、内側サイドブロックの凹凸形状を複雑化することができ、マッド性能を向上するには有利になる。
本発明では、外側サイドブロックの頂面に、該頂面からの凹み量が1mm以下である複数のディンプルを設けたことが好ましい。これにより、マッド性能への寄与が小さい外側サイド領域では、ディンプルによって空気抵抗を低減する効果や放熱性を向上する効果を付与することができ、サイドブロックによって影響を受ける可能性があるタイヤ性能を補うことができる。
本発明において、「接地端」とは、タイヤを正規リムにリム組みして正規内圧を充填した状態で平面上に垂直に置いて正規荷重を加えたときに形成される接地領域のタイヤ軸方向の両端部である。「正規リム」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定めるリムであり、例えば、JATMAであれば標準リム、TRAであれば“Design Rim”、或いはETRTOであれば“Measuring Rim”とする。「正規内圧」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている空気圧であり、JATMAであれば最高空気圧、TRAであれば表“TIRE ROAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES”に記載の最大値、ETRTOであれば“INFLATION PRESSURE”であるが、タイヤが乗用車用である場合には180kPaとする。「正規荷重」は、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている荷重であり、JATMAであれば最大負荷能力、TRAであれば表“TIRE ROAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES”に記載の最大値、ETRTOであれば“LOAD CAPACITY”であるが、タイヤが乗用車用である場合には前記荷重の88%に相当する荷重とする。
本発明の実施形態からなる空気入りタイヤの子午線断面図である。 本発明の実施形態からなる空気入りタイヤのトレッド面を示す正面図である。 車両が泥濘地を走行する際のタイヤ周辺の泥等の挙動を模式的に示す説明図である。 本発明のサイド領域の一部を拡大して示す説明図である。 本発明のサイド領域の一部を拡大して示す説明図である。
以下、本発明の構成について添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
図1に示すように、本発明の空気入りタイヤは、トレッド部1と、このトレッド部1の両側に配置された一対のサイドウォール部2と、サイドウォール部2のタイヤ径方向内側に配置された一対のビード部3とを備えている。図1において、符号CLはタイヤ赤道を示し、符号Eは接地端を示す。尚、図1は子午線断面図であるため描写されないが、トレッド部1、サイドウォール部2、ビード部3は、それぞれタイヤ周方向に延在して環状を成しており、これにより空気入りタイヤのトロイダル状の基本構造が構成される。以下、図1を用いた説明は基本的に図示の子午線断面形状に基づくが、各タイヤ構成部材はいずれもタイヤ周方向に延在して環状を成すものである。
本発明の空気入りタイヤは、車両に対する装着方向が指定されている。具体的には、図のIN側が車両に装着する際に車両に対して内側にするように指定された側(以下、車両内側という)であり、図のOUT側が車両に装着する際に車両に対して外側にするように指定された側(以下、車両外側という)である。このような装着方向は、例えばタイヤ外表面の任意の部位に設けられた表示を見ることで判別することができる。
左右一対のビード部3間にはカーカス層4が装架されている。このカーカス層4は、タイヤ径方向に延びる複数本の補強コードを含み、各ビード部3に配置されたビードコア5の廻りに車両内側から外側に折り返されている。また、ビードコア5の外周上にはビードフィラー6が配置され、このビードフィラー6がカーカス層4の本体部と折り返し部とにより包み込まれている。一方、トレッド部1におけるカーカス層4の外周側には複数層(図1では2層)のベルト層7が埋設されている。各ベルト層7は、タイヤ周方向に対して傾斜する複数本の補強コードを含み、かつ層間で補強コードが互いに交差するように配置されている。これらベルト層7において、補強コードのタイヤ周方向に対する傾斜角度は例えば10°~40°の範囲に設定されている。更に、ベルト層7の外周側にはベルト補強層8が設けられている。ベルト補強層8は、タイヤ周方向に配向する有機繊維コードを含む。ベルト補強層8において、有機繊維コードはタイヤ周方向に対する角度が例えば0°~5°に設定されている。
本発明は、このような一般的な断面構造の空気入りタイヤに適用されるが、その基本構造は上述のものに限定されない。また、本発明は、後述のサイド領域に関するものであるので、トレッド部1の詳細な形状は、未舗装路に好適なブロックを主体としたトレッドパターンであれば、図2の例に限定されない。
図2に示す空気入りタイヤのトレッド部1の表面には、タイヤ赤道CLの両側でタイヤ周方向に沿って延在する一対の主溝10が形成される。これら主溝10は、最大幅が例えば9mm~20mm、溝深さが10mm~18mmである。
これら主溝10によって区画された3列の陸部は、様々な溝によって更にブロックに区画され、トレッドパターン全体がブロックを基調としたブロックパターンになっている。図示の例では、複数のブロックのうち一対の主溝のタイヤ幅方向外側にショルダーブロック21が区画され、一対の主溝の間にはセンターブロック22が区画されている。
ショルダーブロック21は、主溝10から接地端Eを超えて延在するショルダーラグ溝31によって区画されて、タイヤ周方向に複数個のショルダーブロック21が配列されている。センターブロック22は、一対の主溝10どうしを連結してタイヤ幅方向に延在するセンターラグ溝32aと、タイヤ周方向に隣り合うセンターラグ溝32aどうしを連結する補助溝32bとによって区画されて、補助溝32bの両側に配置された2列のセンターブロック22がタイヤ周方向に繰り返し配列されている。これらブロック(ショルダーブロック21およびセンターブロック22)の踏面には任意でサイプや細溝を設けることができる。
尚、主溝10によって区画された陸部を更にブロックに分割するラグ溝のうち、ショルダーラグ溝31は、溝幅が例えば9mm~20mm、溝深さが例えば12mm~17mmであるとよく、センターラグ溝32aは、溝幅が例えば7mm~13mm、溝深さが例えば11mm~14mmであるとよい。特に、ショルダーラグ溝31は主溝10と同一の溝深さを有するとよい。また、補助溝32bは、溝幅が例えば7mm~10mm、溝深さが例えば9mm~12mmであるとよい。更に、任意で形成されるサイプ41とは、溝幅が例えば0.5mm~2.0mm、溝深さが例えば2mm~15mmである微細な溝であり、任意で形成される細溝42とは、主溝10やラグ溝に対して溝幅および溝深さが充分に小さい溝であり、溝幅が例えば0.5mm~4.0mm、溝深さが例えば2mm~15mmである。
ショルダーブロック21が設けられたショルダー領域のタイヤ幅方向外側に隣接するサイド領域には、サイドウォール部2の外表面から隆起したサイド陸部が設けられる。このサイド陸部は、サイド溝33によって更に複数のサイドブロック23に区画されている。本発明は、後述のように、車両内側のサイド領域(内側サイド領域)に設けられたサイドブロック23(内側サイドブロック23i)と車両外側のサイド領域(外側サイド領域)に設けられたサイドブロック23(外側サイドブロック23o)の関係を規定するものであるので、個々のサイドブロック23の形状や配置は特に限定されない。尚、図示の例では、サイド溝33がショルダーラグ溝31の延長線上に位置し、実質的に連続的に延在していることで、各ショルダーブロック21のタイヤ幅方向外側の延長位置にサイドブロック23が配置されている。また、図示の例では、ショルダーブロック21のタイヤ幅方向外側の側面とサイドブロック23の頂面との境界位置に、タイヤ全周に亘って延在する突条24が存在している。
本発明は、車両が泥濘地を走行する際のタイヤ周辺の泥等の挙動、特に、車両内側と車両外側での泥等の挙動の違いに着目して、内側サイドブロック23iと外側サイドブロック23oの関係を規定するものである。即ち、本発明の発明者は、車両が泥濘地を走行する際のタイヤ周辺の泥等の挙動について鋭意研究した結果、図3に示すように、空気入りタイヤTの車両装着時に車両に対して内側となる側(図中のIN側)は、車体CBの下側となるので、路面上の泥等Mは車体CBに押されて圧縮されて、車両内側IN(特に、内側サイド領域)に押し付けられる傾向があるのに対して、空気入りタイヤTの車両装着時に車両に対して外側となる側(図中のOUT側)では、泥等MはタイヤTに押し退けられて、車両外側OUT(特に、外側サイド領域)に接触してもタイヤTから離れるように(図中の矢印方向に)移動することを知見した。本発明は、この知見に基づき、泥等が押し付けられる傾向がある内側サイド領域についてはマッド性能に有利な構造を付与し、泥等が離間する傾向がある外側サイド領域についてはサイドブロックを設けることで低下する虞のある性能(例えば騒音性能)を補う構造を付与するものである。
具体的には、本発明は、図1に示すように、内側サイドブロック23iの隆起高さHinを外側サイドブロック23oの隆起高さHout よりも大きくしている。尚、隆起高さHin,Hout は、サイドウォール2の表面を起点としタイヤ外側へ向けた法線方向の各ブロックの最大高さである。このように隆起高さHin,Hout を設定することで、内側サイドブロック23iでは相対的に大きい隆起高さHinによってマッド性能を効果的に高めることができる。一方、外側サイドブロック23oでは隆起高さHout が相対的に小さいことで風切音への影響を抑制し、騒音性能を向上している。これにより、騒音性能を悪化させることなく未舗装路での走行性能(マッド性能)を向上することができる。
このとき、隆起高さHin,Hout の大小関係が逆転すると、マッド性能への寄与が大きい内側サイド領域の凹凸が減少するため、マッド性を効果的に高めることができない。また、マッド性能への寄与が小さい外側サイド領域の凹凸が増加するため、マッド性能を向上する効果よりも風切音への影響が大きくなり、マッド性能と騒音性能のバランスが悪化する。マッド性能の向上効果と騒音(風切音)の抑制効果のバランスを考慮すると、隆起高さHin,Hout の差は、好ましくは3mm以上であるとよい。尚、隆起高さHin,Hout が著しく小さいと実質的にサイドブロック23が存在しないことになり、隆起高さHin,Hout が著しく大きいとタイヤ重量への影響が懸念されるため、隆起高さHin,Hout は共に0.5mm以上10mm以下であることが好ましい。
更に、本発明では、サイドブロック23を設ける範囲を、車両外側よりも車両内側で大きくすることが好ましい。具体的には、図1に示すように、内側サイド領域のタイヤ径方向に沿った長さLinを外側サイド領域のタイヤ径方向に沿った長さLout よりも大きくすることが好ましい。尚、長さLin,Lout とは、図1に示すように、各サイド領域に存在するサイドブロックのタイヤ径方向最外側の点(ショルダーブロックとサイドブロックの境界、図示の例では突条24)からタイヤ径方向最内側の点までのタイヤ径方向に沿った長さである。このように長さLin,Lout を設定することで、マッド性能への寄与が大きい内側サイド領域では、内側サイドブロック23iを設ける範囲がタイヤ径方向に広くなり、マッド性能を効果的に高めることができる。その一方で、マッド性能に寄与しにくい外側サイド領域では、外側サイドブロック23oを設ける範囲がタイヤ径方向に狭くなるので、風切音への影響を抑制し、騒音性能を高めるには有利になる。
このとき、長さLin,Lout の大小関係が逆転すると、マッド性能への寄与が大きい内側サイド領域が狭くなるため、マッド性を効果的に高めることができない。また、マッド性能への寄与が小さい外側サイド領域が広くなるため、マッド性能を向上する効果よりも風切音への影響が大きくなり、マッド性能と騒音性能のバランスが悪化する。マッド性能の向上効果と騒音(風切音)の抑制効果のバランスを考慮すると、タイヤ断面高さSHに対する長さLinの比(%)とタイヤ断面高さSHに対する長さLout の比(%)との差が、好ましくは10%以上であるとよい。尚、長さLin,Lout が著しく小さいと実質的にサイドブロックが存在しないことになり、長さLin,Lout が著しく大きいとタイヤ重量への影響が懸念されるため、タイヤ断面高さSHに対する長さLinの比およびタイヤ断面高さSHに対する長さLout の比は共に7%以上37%以下であることが好ましい。
本発明では、上述のように、サイドブロック23(内側サイドブロック23i、外側サイドブロック23o)はサイド溝33(内側サイド溝33i、外側サイド溝33o)によって区画されている。言い換えると、内側サイド領域において内側サイドブロック23iを除いた非隆起部分が内側サイド溝33iであり、外側サイド領域において外側サイドブロック23oを除いた非隆起部分が外側サイド溝33oである。このとき、内側サイド領域の面積に対する内側サイド溝33iの溝面積比率Rinが外側サイド領域の面積に対する外側サイド溝33oの溝面積比率Rout よりも大きいことが好ましい。尚、内側サイド領域や外側サイド領域の面積とは、各領域のサイドブロック23のタイヤ径方向最外側の点を結んだ円(ショルダーブロック21とサイドブロック23の境界、図示の例では突条24)とサイドブロック23のタイヤ径方向最内側の点を結んだ円との間の領域の面積である。このように溝面積比率Rin,Rout を設定することで、マッド性能への寄与が大きい内側サイド領域には充分な量のサイド溝33が形成されて、泥等を噛み込みやすくなるので、マッド性能を効果的に高めることができる。一方、マッド性能に寄与しにくい外側サイド領域では、サイド溝33が少ないことで凹凸が単純化されて風切音への影響が抑制されるので、騒音性能を高めるには有利になる。
このとき、溝面積比率Rin,Rout の大小関係が逆転すると、マッド性能への寄与が大きい内側サイド領域でサイド溝33が少なくなって凹凸が単純になるため、マッド性を効果的に高めることができない。また、マッド性能への寄与が小さい外側サイド領域でサイド溝33が多くなり凹凸が複雑化するので、マッド性能を向上する効果よりも風切音への影響が大きくなり、マッド性能と騒音性能のバランスが悪化する。マッド性能の向上効果と騒音(風切音)の抑制効果のバランスを考慮すると、溝面積比率Rin,Rout の差が、好ましくは15%以上であるとよい。尚、溝面積比率Rin,Rout が著しく小さいと実質的にサイド溝33が存在しないことになり、溝面積比率Rin,Rout が著しく大きいとサイドブロック23の剛性が確保しにくくなるため、溝面積比率Rin,Rout は共に20%以上55%以下であることが好ましい。
上述のように内側サイド領域はマッド性能への寄与が大きいので、内側サイドブロック23iの凹凸形状を複雑化することが好ましい。例えば、内側サイドブロック23iのそれぞれの頂面内および/または複数の内側サイドブロック23iの頂面どうしの間に、隆起高さの差ΔHが0.5mm以上の段差を設けることが好ましい。具体的には、個々の内側サイドブロック23iの頂面の全体を平滑にせずに、隆起高さの異なる2つ以上の部分で構成し、これら部分の隆起高さの差を0.5mm以上にすることが好ましい。或いは、複数の内側サイドブロック23iの隆起高さを均一にせずに、内側サイドブロックどうしの間で隆起高さを異ならせて、隆起高さが0.5mm以上異なる2種類以上の内側サイドブロック23iが内側サイド領域内に含まれるようにすることが好ましい。このように内側サイドブロック23iを構成することで、マッド性能への寄与が大きい内側サイド領域では、内側サイドブロック23iの凹凸形状を複雑化することができ、マッド性能を向上するには有利になる。このとき隆起高さの差ΔHが0.5mm未満であると、実質的に隆起高さに違いが生じないため、内側サイドブロック23iの凹凸形状を複雑化することができない。尚、この構造であっても、内側サイドブロック23i内で最も隆起高さが低い部分は外側サイドブロック23oよりも隆起高さが大きくなっている。
内側サイドブロック23iの凹凸形状を複雑化する目的で、図4(a)に示すように、内側サイドブロック23iの頂面にセレーション加工41を施すこともできる。セレーション加工41とは、断面視で鋸歯状となるように平行に並んだ微細な溝(深さ1mm以下、ピッチ1mm以下)を設ける表面加工である。これにより内側サイドブロック23iの頂面にセレーション加工41に起因するエッジ効果を付与することができ、マッド性能への寄与が大きい内側サイド領域においてマッド性能を向上するには有利になる。
内側サイドブロック23iの凹凸形状を複雑化する目的で、図4(b)に示すように、内側サイドブロック23iの頂面に、この頂面からの突出高さが0.5mm未満である複数の突起42を設けることもできる。これにより、泥濘地を走行する際に複数の突起42が泥等に喰い込むので、マッド性能への寄与が大きい内側サイド領域においてマッド性能を向上するには有利になる。
逆に、外側サイドブロック23oの頂面には、図4(c)に示すように、この頂面からの凹み量が1mm以下である複数のディンプル43を設けることもできる。これにより、マッド性能への寄与が小さい外側サイド領域では、ディンプル43によって空気抵抗を低減する効果や放熱性を向上する効果を付与することができる。即ち、サイドブロックによって影響を受ける可能性があるタイヤ性能を補うことができる。
内側サイド領域および外側サイド領域のいずれにおいても、サイドブロック23が摩滅すると所望の性能(例えばマッド性能)が得られなくなる。そこで、トレッド部1の溝内に設けられるウェアインジケータやスリップサインに相当する要素を内側サイド領域および外側サイド領域に設けることが好ましい。具体的には、図5に示すように、タイヤ周方向に隣り合うサイドブロック23(内側サイドブロック23iまたは外側サイドブロック23o)どうしの間に位置する非隆起部分(サイド溝33)にそれぞれ摩耗限度を示すインジケータ44を設けることもできる。このインジケータ44のサイドウォール表面(非隆起部分の表面)からの突出高さは、対象となるタイヤに応じて適宜設定することができるが、隆起高さHin,Hout の例えば15%~30%にするとよい。
上述の様々な構造は、泥等が押し付けられる傾向がある内側サイド領域についてはマッド性能に有利な構造を付与し、泥等が離間する傾向がある外側サイド領域についてはサイドブロックを設けることで低下する虞のある性能(例えば騒音性能)を補う構造を付与するという本発明の技術思想から外れない限りは、組み合わせて採用することができる。
タイヤサイズがLT265/70R17 121Qであり、図1に例示する基本構造を有し、内側サイドブロックの隆起高さHin、外側サイドブロックの隆起高さHout 、タイヤ断面高さSHに対する内側サイド領域の長さLinの割合(Lin/SH×100%)、タイヤ断面高さSHに対する外側サイド領域の長さLout の割合(Lout /SH×100%)、内側サイド領域における内側サイド溝の溝面積比率Rin、外側サイド領域における外側サイド溝の溝面積比率Rout 、サイドブロック頂面の段差の有無、サイドブロック頂面のセレーション加工の有無を、それぞれ表1のように設定した比較例1~2、実施例1~11の13種類の空気入りタイヤを作製した。
これら空気入りタイヤについて、下記の評価方法により、騒音性能と未舗装路(泥濘地)における発進性(オフロード発進性)を評価し、その結果を表1に併せて示した。
騒音性能
各試験タイヤをリムサイズ17×8Jのホイールに組み付けて、空気圧を350kPaとして試験車両(四輪駆動のSUV)に装着し、舗装路からなるテストコースにてパターンノイズや風切音についてテストドライバーによる官能評価を行った。評価結果は、比較例1の値を100とする指数にて示した。この指数値が大きいほどパターンノイズや風切音が小さく、騒音性能が優れることを意味する。尚、指数値が「90」以上であれば充分な騒音性能が得られたことを意味する。
オフロード発進性
各試験タイヤをリムサイズ17×8Jのホイールに組み付けて、空気圧を350kPaとして試験車両(四輪駆動のSUV)に装着し、未舗装路(泥濘地)からなるテストコースにて発進性についてテストドライバーによる官能評価を行った。評価結果は、比較例2の値を100とする指数にて示した。この指数値が大きいほどオフロード発進性が優れることを意味する。尚、指数値が「85」以上であれば充分なオフロード性能が得られたことを意味する。
Figure 0007306135000001
表1~2から明らかなように、サイドブロックの隆起高さが車両内外で等しく低い比較例1と、サイドブロックの隆起高さが車両内外で等しく高い比較例2とは、騒音性能については比較例1が優れて比較例2が劣り、オフロード発進性については比較例2が優れて比較例1が劣るという関係を有している。これに対して、タイヤ周辺の泥等の挙動を考慮して車両内外でサイドブロックの隆起高さを異ならせた実施例1~11はいずれも、比較例1,2と比較して、騒音性能とオフロード発進性をバランスよく両立した。
1 トレッド部
2 サイドウォール部
3 ビード部
4 カーカス層
5 ビードコア
6 ビードフィラー
7 ベルト層
8 ベルト補強層
10 主溝
20 ブロック
21 ショルダーブロック
22 センターブロック
23 サイドブロック
23i 内側サイドブロック
23o 外側サイドブロック
24 突条
31 ショルダーラグ溝
32a センターラグ溝
32b 補助溝
33 サイド溝
33i 内側サイド溝
33o 外側サイド溝
CL タイヤ赤道
E 接地端

Claims (8)

  1. タイヤ周方向に延在して環状をなすトレッド部と、該トレッド部の両側に配置された一対のサイドウォール部と、これらサイドウォール部のタイヤ径方向内側に配置された一対のビード部とを備え、車両に対する装着方向が指定された空気入りタイヤにおいて、
    前記トレッド部のタイヤ幅方向最外側端部のタイヤ幅方向外側に隣接するサイド領域のうち、車両装着時に車両に対して内側となる側を内側サイド領域とし、車両装着時に車両に対して外側となる側を外側サイド領域としたとき、
    前記内側サイド領域には前記サイドウォール部の外表面から隆起した複数の内側サイドブロックが設けられ、前記外側サイド領域には前記サイドウォール部の外表面から隆起した複数の外側サイドブロックが設けられ、前記内側サイドブロックの隆起高さHinが前記外側サイドブロックの隆起高さHout よりも大きいことを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. 前記内側サイド領域に存在する前記内側サイドブロックのタイヤ径方向に沿った長さLinが前記外側サイド領域に存在する前記外側サイドブロックのタイヤ径方向に沿った長さLout よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記内側サイド領域において前記内側サイドブロックを除いた非隆起部分を内側サイド溝とし、前記外側サイド領域において前記外側サイドブロックを除いた非隆起部分を外側サイド溝としたとき、
    前記内側サイド領域の面積に対する前記内側サイド溝の溝面積比率Rinが前記外側サイド領域の面積に対する前記外側サイド溝の溝面積比率Rout よりも大きいことを特徴とする請求項1または2に記載の空気入りタイヤ。
  4. 前記内側サイドブロックのそれぞれの頂面内および/または複数の前記内側サイドブロックの頂面どうしの間に、隆起高さの差が0.5mm以上の段差を有することを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  5. 前記内側サイドブロックの頂面にセレーション加工が施されていることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  6. タイヤ周方向に隣り合う前記内側サイドブロックどうしの間に位置する非隆起部分およびタイヤ周方向に隣り合う前記外側サイドブロックどうしの間に位置する非隆起部分にそれぞれ摩耗限度を示すインジケータが設けられていることを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  7. 前記内側サイドブロックの頂面に、該頂面からの突出高さが0.5mm未満である複数の突起を設けたことを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  8. 前記外側サイドブロックの頂面に、該頂面からの凹み量が1mm以下である複数のディンプルを設けたことを特徴とする請求項1~7のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
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