JP7306132B2 - 車両用運転支援システム - Google Patents

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Description

本発明は車両用運転支援システムに関する。
例えばT字路のように幹線道路に対して支線道路が交差する場面において、支線道路で停止した車両が幹線道路の奥方側車線に合流する場合に、幹線道路の手前側車線が渋滞していることがある。このような場合、渋滞により幹線道路の手前側車線に位置している車両により奥方側車線に死角を生じることがある。
このような状況では、幹線道路の手前側車線を走行している車両が親切で徐行や停止するにしても、支線道路で停止している車両が幹線道路の奥方側車線に生じた死角に位置する車両を十分に確認できないため、躊躇して奥方側車線に進入する機会を逃す場合がある。
特開2017-120473号公報
特許文献1には、交差点で右折する際、死角に位置する車両の情報を提供する技術が開示されている。つまり、車両に搭載された車載レーダは、交差点で右折する際の渋滞情報を出力する場合に、受信電波が不安定な場合は不安定な検知物体という情報を付加して出力する。運転支援判断部は、対向車の影になる死角エリアを算出し、不安定な検知物体の中から死角に位置する車両を対向車候補として検出し、この検出した対向車候補についても予想経路を算出して、車両の右折時の対向車候補との衝突可能性を判断することが記載されている。
しかしながら、死角エリアに位置する対向車候補をどのように検知するかは不明確である。つまり、死角エリアに位置する対向車候補をレーダで検知することは可能であるが、車載レーダの場合は、死角エリアとレーダ検知エリアとはほぼ同等の検知エリアであるため、車両の車載レーダでは死角エリアに位置する対向車候補を迅速に検知することは困難である。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、車両が交差する道路の奥方側車線に合流する際に死角に位置する他の車両を確実に確認することができる車両用運転支援システムを提供することにある。
請求項1の発明によれば、交差する道路の奥方側車線に合流しようとする第1車両(A)が前方を横切るのを待機している第2車両(B)に設けられ、カメラの映像により前記第1車両が右折を希望することを検知すると、前記カメラにより対向車線の安全をチェックし、対向車線の安全を確認できた場合に、前記第1車両に道を譲ることを示す譲渡意思通知を当該第1車両へ送信する制御部(6)と、前記第1車両(A)に設けられ、前記第2車両から前記譲渡意思通知を受信すると、自車の処理能力や通信速度を考慮して譲渡意思を受諾するかを判断し、譲渡意思を受ける場合に、死角情報リクエストを当該第2車両へ送信する制御部(6)と、を備える。前記第2車両の前記制御部は、前記第1車両から死角情報リクエストを受信すると、リクエストを受諾するかを判断し、リクエストを受諾する場合に、受信準備リクエストを前記第1車両へ送信する。前記第1車両の前記制御部は、前記第2車両から受信準備リクエストを受信すると、撮影情報送信リクエストを前記第2車両へ送信する。前記第2車両の前記制御部は、前記第1車両から撮影情報送信リクエストを受信すると、撮影情報の送信を開始する。前記第1車両の前記制御部は、前記第2車両から受信した撮影情報の受信処理を行い、受信したデータを必要に応じ加工し、死角情報を特定する処理を実行し、右折が安全であると判断した場合に、安全判断の結果に応じて走行制御を行う。これにより、第1車両(A)は、交差する道路の奥方側車線に安全に合流できるかを判断することができる。
第1実施形態におけるシステムの構成を示す機能ブロック図 車両の位置関係を示す平面図 車両の斜視図(その1) 車両の斜視図(その2) 電波の到達範囲を示す図 電波の走査角度に対する通信電界強度と応答信号電界強度との関係を示す図 自車Aの動作を示すフローチャート 他車B1の動作を示すフローチャート 第2実施形態におけるシステムの構成を示す機能ブロック図 自車Aの動作を示すフローチャート 他車B1の動作を示すフローチャート 第3実施形態におけるシステムの構成を示す機能ブロック図 他車B1の動作を示すフローチャート 他車C1の動作を示すフローチャート
以下、複数の実施形態について図面を参照して説明する。複数の実施形態において、機能的または構造的に対応する部分には同一の参照符号を付与する。
(第1実施形態)
第1実施形態について図1から図8を参照して説明する。この第1実施形態は、T字路の支線道路から幹線道路の奥方側車線に合流するために停止した自動運転の車両が、幹線道路への合流を安全に行えるかを判断できる情報を外部から取得することを特徴とする。以下の説明では、左側通行を想定して説明するが、右側通行であっても基本的な動作は同一である。
図2に示すようにT字路の支線道路に停止している車両(第1車両に相当。以下、自車Aと称する)が幹線道路の奥方側車線へ右折して合流する場合を想定する。幹線道路の手前側車線が渋滞している場合、手前側車線を自車Aに向かって走行している車両(第2車両に相当。以下、他車B1と称する)や奥方側車線を自車Aに向かって走行している車両(第3車両に相当。以下、他車C1と称する)までの車間距離が十分でないと、自車Aが幹線道路の奥方側車線に安全に右折して合流することは難しい。
以下、自車Aの構成について説明するが、基本構成は自車Bも同一である。また、少なくとも自車Aと他車B1とは自動運転車であり、自車Aの右折を支援する運転支援システムが搭載されているものとする。
図1に示すように運転支援システムは、車外撮影カメラ(撮影部に相当。以下、カメラと称する)1、走行経路決定部2、記憶部3、報知部4、通信部5、制御部6とから構成されている。
カメラ1は自車Aの前方を撮影するように設けられている。走行経路決定部2は、位置計測部7と道路情報データベース8とから構成されている。位置計測部7は自車走行位置を計測し、道路情報データベース8は自動運転用の走行経路情報を提供する。
制御部6は、カメラ1が撮影した映像データを処理し、位置計測部7から得られた自車走行位置や道路情報データベース8から提供された走行経路情報に基づいて走行の安全性を判断する。自車走行位置や走行経路情報は従来のナビゲーション機器やナビゲーション機器に種々の情報を付加して走行安全性を向上させる情報でもよい。
制御部6は、自動運転を制御する車両制御システム9から走行制御情報を取得し、自車Aの制御情報である走行速度、加速度、進行方向などや映像情報に基づいて安全性を向上するためのデータを作成する。この安全性を向上するためのデータは通信部5により外部に送信可能である。
通信部5は、他の車両と映像や情報を高速で車車間通信したり、インフラに備えられた路上通信部と路車間通信したりする。車車間通信や路車間通信には指向性の高い電磁波を用い、特定領域に位置する通信器以外とは通信を行わないように制御が行われる。
自車Aの制御部6は、非遷移的実体的記録媒体に記録されたプログラムを実行することにより実現される検知部6a、安全判断部6b、提供部6c、要求部6d、ポイント付与部6eとしての機能を備えている。一方、他車B1の制御部6は、取得部6fの機能を備えている。
さて、近年、運転者のマナーが向上しているので、他車B1が渋滞により徐行や停止している場合、他車B1の運転者は、支線道路で停止している自車Aに道を譲りたいと思うことが多くなっており、自動運転車でも同様のマナーが求められている。
しかし、図2に示すように渋滞により自車Aの左前方に停止している車両(以下、他車B2と称する)により、他車B2の奥方側に死角が生じるため、自車Aから幹線道路の奥方側車線に生じた死角に位置する車両(以下、他車C1と称する)が見づらくなる。このような場合、自車Aに搭載されているセンシング機器のみでは他車C1を検出することができないことから、安全確認を十分に行えないことが想定される。
具体的には、図3に示すように自車Aから左方向を見た場合、車高の高い他車C2は確認可能であるものの他車B2の存在により他車C2の前方に位置する車高の低い他車C1(図3では図示せず)を確認しづらくなる。この場合、自車Aは、幹線道路を右方向に進む車両がどの位置でどの程度の速度で走行してきているかが分れば安全を確認可能となるので、幹線道路へ安全に右折して合流することができる。
このような状況の場合、自車Aは、幹線道路の奥方側車線へ右折可能か否かの判断をできず停止状態を維持するので、後続車両が渋滞する要因となる。また、他車B1が自車Aに道を譲ろうとしている場合は、他車B1の親切を反故することにもなる。
このような事情から、本実施形態では、自車Aが幹線道路へ安全に右折可能な状況であるかを確認するために、自車Aから死角となる範囲の映像(以下、死角映像と称する)を受信することで、幹線道路の奥方側車線に生じた死角に位置する他車C1の存在を短時間で確実に確認できるようにした。
この場合、他車B2による死角映像を自車Aのカメラ1では撮影できないことから、他車B1に搭載されたカメラ1により死角映像を撮影し、その死角映像を自車Aが受信することで、自車Aの安全を確実に確認できるようにする。
そこで、自車Aと他車B1とが車車間通信を行い、他車B1のカメラ1が撮影した死角映像を自車Aが受信することで、幹線道路の奥方側車線に生じた死角に位置する他車C1の存在を確実に把握できるようにする。つまり、道を譲りたい他車B1が右折したい自車Aに死角映像を提供することで、従来よりも正確に道路を譲りたいという意志を伝達できる。尚、自車Aに死角映像を提供する他車B1としては、自車Aの右側において先頭で位置する車両に限定されるものではなく後続の車両を含んでいる。
他車B1に搭載されているカメラ1は、図4に示すように対向車線を走行する他車C1を撮影するので、その映像を死角映像として送信することができる。また、他車B1に搭載されている図示しないミリ波レーダやLIDAR(Light Detection and Ranging)を使用すれば、他車C1の位置や速度も検知できる。それらの検知情報を他車B1から死角映像とともに死角情報として自車Aに送信する。
自車Aの通信部5は、他車B1からの死角情報を受信して制御部6に提供する。制御部6は、死角情報に基づいて死角の状況を把握し、死角の安全が確認された場合は安全に走行制御を行うことができる。走行制御は車両制御システム9により自動運転で行われるが、運転者による手動運転でもよい。
他車C1の位置や速度に応じて、加速度や速度を設定して自動運転が行われる。搭乗者が不安を感じないように速度や加速度を制御した運転が行うことが理想であり、他車B1や他車C1が完全に停止している場合や、他車B1は停止しているが他車C1は徐行している場合など、他車B1,C1の状況に応じた適切な走行制御が行われる。
尚、自車Aや他車B1の運転支援システムとしてカメラが搭載されていない場合は、通信部5を使用して自車Aが「道を譲ってほしい」と要求するのに応じて、他車B1,C1が「道を譲りたい」と応答することで情報交換し、応答に応じて走行制御を行うようにしてもよい。このような簡単な応答だけでも幹線道路に右折したい車両の運転者の「道を譲ってくれるか分からない」という不安は低減される。右折したい車両に対し、関係する車両の「道を譲りたい」という意志がわかれば、落ち着いて安心して自動運転や手動運転を行うことができる。
また、死角映像を撮影した他車B1に対し、貨幣と同等の価値をもつ応答ポイントを謝礼として送信可能とする。この場合、他車B1が自発的に自車Aに道を譲った場合は、依頼して譲ってもらった場合よりも高い応答ポイントを提供するのが望ましい。
以下、上記の運転支援システムの動作について、自車Aが自動運転により予め設定された走行経路を走行していることを前提として説明する。運転支援システムの搭載率が低い場合を想定し、車車間通信の初期段階で通信対象の車両が運転支援システムを搭載しているか否かを予め短時間で判断し、搭載している場合は車車間通信を行い、搭載されていない場合は自動運転から手動運転に切り替える。
運転支援システムの具体的な動作としては、図7に示すように自車Aは、現在位置を計測し(S101)、現在位置が右折可能なT字路かを判断している(S102:NO)。右折可能なT字路の場合は(S102:YES)、右折を希望しているかを判断する(S103)。この判断は、自動運転開始時に特定した走行経路情報から判断する。
次に、幹線道路へ右折したいことを示す右折リクエストを自車Aの周囲に位置する車両に送信する(S104)。
一方、図8に示すように他車B1は、右折リクエストを受信したかを判断しており(S201:NO)、自車Aから右折リクエストを受信した場合は(S201:YES)、リクエストに応答する(S202)。
自車Aは、リクエスト応答が有った場合は(S105:YES)、渋滞による死角(以下、渋滞死角と称する)が有るかを判断する(S106)。つまり、自車Aが撮影により認識した車両と右折リクエストに応答した車両とが不一致の場合は渋滞死角が有ると判断する。このように両者の不一致に基づいて渋滞死角が有るかを判断する場合は、右折リクエストを送信する電波の到達距離が重要となる。これは、日本では左側通行であるため、自車Aの前方から右方向に位置する車両までの距離は小さく、前方から左方向に位置する車両までの距離は大きくなるからである。そこで、車両までの距離を考慮して右折リクエストを送信する電波の到達距離に角度依存性を持たせる。
即ち、通信部5は、図5に示すように送信領域が狭い狭帯域電波を左右方向に走査可能に構成されている。電波の走査角度は、自車Aの右側方向を0、前方方向をθ1、左前方向をθ1+θ2とした場合、0~θ1+θ2の範囲で走査可能であり、走査角度に応じて通信強度を変更する。具体的には、図6に示すように走査角度が0、θ1、θ1+θ2と増加するにしたがって通信電界強度を増大するように構成されており、走査角度にしたがって送信領域が増大する。この場合、応答する車両までの距離が増大するにしたがって応答信号の電界強度は低下する。
上述したように右折リクエストの送信領域に位置する車両は、右折リクエストを受信すると即座に右折リクエストを受信したことを示すリクエスト応答を車両のIDを付加して返信する。このようにリクエスト応答には応答した車両のIDが含まれることから、応答した車両を識別することができる。
自車Aは、θ1よりも走査角度が小さい場合にリクエスト応答を受信したときは、自車Aの右前方に車両が位置していることを特定できる。また、θ1より大きい走査角度の場合に応答信号を受信したときは、自車Aの左側に車両が位置していることを特定できる。これにより、自車Aは、リクエスト応答の受信タイミングに基づいて自車Aの周辺に位置する車両の概略的な位置を特定することができる。
一方、自車Aは、カメラ1が撮影した映像から自車Aの周辺に位置する車両の位置を特定しているので、車両の映像による車両位置と応答信号の受信タイミングから得られた車両位置とをマッチングさせることで渋滞死角があるかを判断することができる。つまり、すべての車両の対応関係が整合すれば、自車Aは周辺の車両をすべて認識できていると判断されるので(S106:NO)、渋滞死角が無いとして処理を終了する。
しかしながら、図2に示すように幹線道路が渋滞している場合、他車B2が通信の障害物となり、幹線道路の奥方側車線を右方向に走行する他車C1に右折リクエストが到達しない場合がある。このような場合、自車Aのカメラ1の映像には他車C1が存在しないのに死角映像には他車C1が存在することになる。
そこで、すべての車両の対応関係が整合しない場合は、自車Aは周辺の車両をすべて認識できておらず渋滞死角が有ると判断できるので(S106:YES)、死角情報リクエストを他車B1に送信する(S107)。
ここで、他車B1が死角情報リクエストを受信した場合に受諾することが望ましいことから、死角情報リクエストの送信時に応答ポイントを付加する。この応答ポイントとは、本システムと提携するクレジットカードやショップで金銭の代わりに使えるものでもよいし、交通安全度向上の貢献度として一般に公開されるようなものが想定される。
他車B1は、死角情報リクエストを受信した場合は(S203:YES)、応答ポイントを確認し(S204)、リクエストを受諾するかを判断する(S205)。つまり、他車B1の処理能力や通信速度などを考慮してリクエストを受諾するかを判断し、受諾可能な場合は応答処理を選択し(S206)、自車Aに情報送信可能であることを示す確認リクエストを送信する(S207)。これにより、自車Aに対して受信準備を依頼することができる。
自車Aは、確認リクエストを受信した場合は(S108:YES)、どの応答車両から受信したのかを確認し(S109)、その車両に撮影情報送信リクエストを送信する(S110)。
他車B1は、自車Aより撮影情報送信リクエストを受信した場合は(S208:YES)、撮影情報の送信を開始してから(S209)、送信完了リクエストを受信したかを判断する(S210:NO)。
自車Aは、他車B1より受信した撮影情報の受信処理を行い(S111)、受信したデータを必要に応じ加工し(S112)、死角情報を特定する処理を実行してから(S113)、右折が安全であるかを判断する(S114)。安全であると判断した場合は(S114:YES)、他車B1へ送信完了リクエストを送信する(S115)。
他車B1は、送信完了リクエストを受信した場合は(S210:YES)、撮影情報の送信を停止し(S211)、送信停止を応答する(S212)。
自車Aは、送信停止応答が有った場合は(S116:YES)、応答ポイントを送信してから(S117)、安全判断の結果に応じて走行制御を行う(S118)。走行制御の判断において、急激な加速度等が必要と判断された場合、停止状態を継続し、図7に示す制御を再実行する。あるいは、次に道を譲ってくれそうな他車B1に対し、死角情報のリクエストを再送信する。
他車B1は、応答ポイントを受信した場合は(S213:YES)、その応答ポイントを記憶する(S214)。
図7及び図8の動作は、他車B1が自車Aの右前方で徐行や停止している車線を譲る意志があることと、死角情報を送信できる位置にいることが前提である。他車B1の前方車両に続けて他車B1が自車Aの前方を通過する場合に、他車B1の撮影情報の受信を自車Aが継続できるようにしてもよい。
このような実施形態によれば、次のような効果を奏することができる。
自車Aが右折させてほしいというリクエストを送信した場合は、そのリクエストに答えて徐行や停止してくれた他車B1は、道を譲るタイミングに合わせて死角情報を提供するので、自車Aは、死角情報に基づいて死角の状況を確認ができるため安全に幹線道路の奥方側車線へ右折することができる。
他車B1には自車Aに安全な情報を提供することで応答ポイント付与されるため、車両が他の車両に道を譲譲り合う安全行為が活発化して、右左折事故や出会いがしら事故を減らすことができる。
(第2実施形態)
第2実施形態について図9から図11を参照して説明する。この第2実施形態は、他車B1が起点として車車間通信が開始することを特徴とする。
図9に示すように自車Aの制御部6は要求部6dとしての機能を備え、他車B1の制御部6は検知部6a、取得部6f、安全判断部6b、提供部6c、通知部6gとしての機能を備えている。
図11に示すように他車B1は、カメラ1の映像により右折を希望する自車Aを検知するかを判断している(S401:NO)。自車Aが右折を希望しているかは例えば右ウィンカーの点滅で判断するが、自車Aから右折の意思を受信するようにしてもよい。右折を希望する自車Aを検知した場合は(S401:YES)、カメラ1により対向車線は安全かをチェックする(S402)。対向車線の安全を確認できた場合は(S402:YES)、自車Aに道を譲ることを示す譲渡意思通知を送信する(S403)。
図10に示すように自車Aは、他車B1から譲渡意思通知を受信するかを判断しており(S301:NO)、譲渡意思通知を受信した場合は(S301:YES)、自車Aの処理能力や通信速度などを考慮して譲渡意思を受諾するかを判断する(S302)。譲渡意思を受ける場合は(S302:YES)、死角情報リクエストを送信する(S303)。この死角情報リクエストには応答ポイントが付加されている。
他車B1は、自車Aから死角情報リクエストを受信した場合は(S404:YES)、応答ポイントを確認し(S405)、リクエストを受諾するかを判断する(S406)。受諾する場合は(S406:YES)、応答処理を選択し(S407)、受信準備リクエストを送信する(S408)。
自車Aは、受信準備リクエストを受信した場合は(S304:YES)、撮影情報受信処理を実行する。以下の動作は第1実施形態と同一であるので、説明を省略する。
このような実施形態によれば、道を譲ってほしい自車Aと、道を譲りたい他車B1との意志の疎通が他車B1を起点として行われるため、他車B1の道を譲りたいと意思を優先させることが可能となる。
(第3実施形態)
第3実施形態について図12から図14を参照して説明する。この第3実施形態は、他車C1が自車Aを検知するセンシング機器を搭載していない場合、センシング機器を搭載する他車B1から情報を提供することを特徴とする。この第3実施形態では、他車C1は自動運転車とする。
図2に示す状況において、幹線道路の奥方側車線を右方向に走行する他車C1は、自車Aの方向に他車B2が位置していることから、自車Aを確認することは難しい。そのため、他車C1がT字路の存在を把握しており、右折したい車両があれば減速して道を譲りたい意思があっても、他車B2が死角になり道を譲る機会を逃す場面が想定される。このような場合、自車Aが他車C1も減速して道を譲りたいという意思があることを確認できれば、自車Aは、より安全に余裕をもって幹線道路へ右折することができる。
図12に示すように自車Aの制御部6は要求部6dとしての機能を備え、他車B1の制御部6は検知部6a、取得部6f、安全判断部6b、提供部6c、通知部6g、確認部6hとしての機能を備え、他車C1の制御部6は減速部6iとして機能を備えている。
図13に示すように他車B1は、第2実施形態と同様に動作するが、応答処理を選択した場合は(S507)、減速意思通知を他車C1に送信する(S509)
図14に示すように他車C1は、減速意思通知を受信した場合は(S601:YES)、減速するかを判断する(S602)。つまり、他車C1の処理能力や通信速度などを考慮して減速するかを判断し、減速する場合は(S602:YES)、車両制御システム9に対して減速制御を行う(S603)。この場合、他車B2の存在により他車C1からの電波が自車Aに到達しない可能性があることから、他車B1は、他車C1の意志を中継して自車Aに送信する。
自車Aは、他車B1と他車C1の道を譲る意志と、撮影情報の受信処理を行う。その結果、右折をどのように行うかを他車B1と他車C1に送信すると同時に、ポイントを他車B1に加えて他車C1に送信する。
他車C1は、ポイントを受信した場合は(S604:YES)、ポイントを記録する(S606)。
自車Aの走行意志を確認して、他車B1と他車C1は、減速または停止して道を譲り、右折したことを確認することで(S606:YES)、終了する。
このような実施形態によれば、他車C1とも通信することで、道を譲ってほしい自車Aと、道を譲りたい他車B1及び他車C1との意志を確認することができるので、自車Aが幹線道路へ右折する場合に関わる全ての車両の意思を確認して安全に右折することができる。
(他の実施形態)
右折を急いで行いたい車両では応答ポイントを高く設定して、道を譲ってもらうようにしても良い。例えば交通事故は急いでいる場合、不注意で起きる場合が多いが、応答ポイントにより周辺車両の協力を得て、安全性を確保できるという効果を期待できる。
標準的な応答ポイントの値はあらかじめ決めておくが、応答ポイントの設定は、車両ユーザの意志で変更できるようにしてもよい。例えば応答ポイントの設定は、急いでいる場合に大きい値に変更できるようにする。また、ユーザの感謝の気持ちの大小を、顔の表情や脳活動による感情センシングで、自動的に変更できるようにしてもよい。
上記各実施形態では、各車両の道を譲る意志、道を譲ってほしいという意志を、車車間通信により情報交換したが、路上カメラと路車間通信器などの路側機器を用い、どの車両が道を譲ってほしい、あるいはどの車両が道を譲りたいという意志を把握して、路側機器周辺の各車両に伝達するようにしてもよい。この場合でも、死角位置の車両を認識して、安全に道を譲りあえるようにするための情報を提供する。
他車B1に搭載された他の検知デバイス、例えば路上に固定されたカメラ、ヘリコプタや所謂ドローンと称される飛行装置や気球等に空中移動体に搭載されたカメラ等の映像を受信して、自車Aの安全を確実に確認できるようにしてもよい。検知デバイス等から受信する場合は路車間通信や携帯電話通信網等にて受信する。この場合、検知デバイスの管理者に応答ポイントを提供する。
上記各実施形態では、T字路の支線道路から幹線道路に進行する場合について説明したが、例えばコンビニから幹線道路の奥方側車線に進行する場合に適用するようにしてもよい。
自車Aのフロントウィンドウに仮想信号を投影し、右折不可の場合は仮想信号を赤色、右折可能な場合は青色としてもよい。また、仮想カーブミラーを投影し、仮想カーブミラーに受信した映像を投影するようにしてもよい。
本開示は、実施形態に準拠して記述されたが、本開示は当該実施形態や構造に限定されるものではないと理解される。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態、さらには、それらに一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範疇や思想範囲に入るものである。
図面中、1はカメラ(撮影部)、5は通信部、6aは検知部、6bは安全判断部、6cは提供部、6dは提供部、6eはポイント付与部、6fは取得部、6gは通知部、6hは確認部、6iは減速部、Aは自車(第1車両)、B1は他車(第2車両)、C1は車両(第3車両)である。

Claims (2)

  1. 交差する道路の奥方側車線に合流しようとする第1車両(A)が前方を横切るのを待機している第2車両(B)に設けられ、カメラの映像により前記第1車両が右折を希望することを検知すると、前記カメラにより対向車線の安全をチェックし、対向車線の安全を確認できた場合に、前記第1車両に道を譲ることを示す譲渡意思通知を当該第1車両へ送信する制御部(6)と、
    前記第1車両(A)に設けられ、前記第2車両から前記譲渡意思通知を受信すると、自車の処理能力や通信速度を考慮して譲渡意思を受諾するかを判断し、譲渡意思を受ける場合に、死角情報リクエストを当該第2車両へ送信する制御部(6)と、を備え、
    前記第2車両の前記制御部は、前記第1車両から死角情報リクエストを受信すると、リクエストを受諾するかを判断し、リクエストを受諾する場合に、受信準備リクエストを前記第1車両へ送信し、
    前記第1車両の前記制御部は、前記第2車両から受信準備リクエストを受信すると、撮影情報送信リクエストを前記第2車両へ送信し、
    前記第2車両の前記制御部は、前記第1車両から撮影情報送信リクエストを受信すると、撮影情報の送信を開始し、
    前記第1車両の前記制御部は、前記第2車両から受信した撮影情報の受信処理を行い、受信したデータを必要に応じ加工し、死角情報を特定する処理を実行し、右折が安全であると判断した場合に、安全判断の結果に応じて走行制御を行う車両用運転支援システム。
  2. 前記第1車両の前記制御部は、前記第2車両から受信した撮影情報の受信処理を行い、受信したデータを必要に応じ加工し、死角情報を特定する処理を実行し、右折が安全であると判断した場合に、送信完了リクエストを前記第2車両へ送信し、
    前記第2車両の前記制御部は、前記第1車両から送信完了リクエストを受信すると、撮影情報の送信を停止し、送信停止を前記第1車両へ送信し、
    前記第1車両の前記制御部は、前記第2車両から前記送信停止を受信すると、応答ポイントを送信してから、安全判断の結果に応じて走行制御を行い、
    前記第2車両の前記制御部は、前記第1車両から前記応答ポイントを受信すると、その応答ポイントを記憶する請求項1に記載の車両用運転支援システム。
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