以下、図面を参照して本開示の典型的な実施形態を例示する。各図面に示される要素のサイズ及び縮尺は、図示及び理解の便宜上、必ずしも実物と一致せず、また図面間でも一致していない。ただし、通常の知識を有する当業者であれば、本明細書及び特許請求の範囲の記載を考慮し、各図に示されている要素の構成及び作用効果を明確に把握することが可能である。
以下に例示される食品製造システムは食材成形システムを構成するが、「ペースト状食材の成形」以外の用途で使われるシステムに対しても応用可能であり、その適用対象は限定されない。例えば、具材が皮で包まれた食品(例えば餃子や饅頭等)の製造のために、個々の食品(製品)で使用される分量の具材を分離するためのシステムに対しても、下述の食品製造システムを応用することが可能である。
[食品製造システムの全体構成]
図1及び図2は、食品製造システム1の一例の全体構成を示す図であり、図1は第1成形型21及び第2成形型22が第1水平領域Rh1に配置されている状態を示し、図2は第1成形型21及び第2成形型22が第2水平領域Rh2に配置されている状態を示す。図1及び図2の各々において、分離装置4以外の要素は、基本的に側方から見た場合の概略構成が示されているが、分離装置4を構成する要素のうちの一部(例えば第1成形型21及び第2成形型22等)については断面構成が示されている。
本明細書において、高さ方向D1は、重力が作用する鉛直方向と平行を成す方向であり、水平方向D2は、高さ方向D1と直角を成す方向である。また上方及び下方の表現は、特に断りがない限り、高さ方向D1を基準としている。
図1及び図2に示される食品製造システム1は、供給装置2、送出装置3、分離装置4、導入装置5及び搬送装置6を備える。
供給装置2は、第1中継案内部7を介して送出装置3の第1ポート15に接続されている。図示の供給装置2はホッパー11を具備する。食材が手動的に又は機械的にホッパー11に投入されることによって、供給装置2に食材が供給される。供給装置2の具体的な構成は限定されない。例えば、ペースト状食材自体がホッパー11に投入されてもよいし、ペースト状食材を構成する1又は複数の原材料がホッパー11に投入されてもよい。ホッパー11に投入された原材料が供給装置2の混合装置(図示省略)によって切断されたり練られたりすることによって、ペースト状食材が作られてもよい。例えば、供給装置2は、ペースト状食材を、第1中継案内部7を介して送出装置3の第1ポート15に送り出すベーンポンプ、ピストンポンプ、スクリューポンプ或いは他のポンプを具備していてもよい。供給装置2が具備しうるベーンポンプ、ピストンポンプ、スクリューポンプ及び他のポンプの具体的な構成は限定されず、任意の構成を有しうる。
供給装置2は、ペースト状食材を、第1中継案内部7を介して送出装置3の第1ポート15に送る。供給装置2は、食品製造システム1(特に供給装置2及び送出装置3)が置かれている環境の気圧(通常は大気圧)よりも大きな圧力(例えば0.05MPa~1.0MPa程度の圧力(ゲージ圧)、具体的には0.1MPa~0.8MPaの圧力、より具体的には0.2MPa~0.6Mpa圧力(第1ゲージ圧))をペースト状食材に加えながら、当該ペースト状食材を第1中継案内部7及び送出装置3(特に第1ポート15)に向けて送り出す。なお、本明細書で言うゲージ圧は、絶対圧と食品製造システム1が置かれている環境の気圧(すなわち環境圧)との差である。
図1及び図2に示される例では、第1中継案内部7は水平方向D2に延在し、供給装置2はペースト状食材に対して水平方向D2に圧力を加え、当該ペースト状食材を第1中継案内部7に沿って水平方向D2に送り出す。ただし、第1中継案内部7の延在方向及び供給装置2からのペースト状食材の送り出し方向は水平方向D2には限定されず、高さ方向D1や他の方向であってもよい。
送出装置3は第1ポート15及び第2ポート16を有する。第1ポート15は第1中継案内部7を介して供給装置2に接続され、第2ポート16は第2中継案内部8を介して分離装置4(特に、後述の第1型ガイド部28の充填孔31)に接続されている。送出装置3は、第1ポート15を介して供給装置2から供給されるペースト状食材を、決められた分量だけ、第2ポート16を介して分離装置4に向けて送り出す。第2ポート16から送り出されるペースト状食材は、第2中継案内部8を通って分離装置4に送られる。すなわち第2中継案内部8に充填されているペースト状食材が、第2ポート16を介して送出装置3から第2中継案内部8に新たに送り出されるペースト状食材によって押され、第2中継案内部8から押し出されたペースト状食材が分離装置4に供給される。典型的には、第2中継案内部8から分離装置4に供給されるペースト状食材の量を、第2ポート16から第2中継案内部8に送り出されるペースト状食材の量と一致させることができる。この場合、送出装置3から一度に送り出されるペースト状食材の分量は、分離装置4に対して一度に供給されるべきペースト状食材の量に応じて決められる。ただし、分離装置4(例えば後述の成形スペースSm)に供給されるべきペースト状食材のトータルの量と、送出装置3から第2中継案内部8に1回当たりに送り出されるペースト状食材の量とは、必ずしも一致していなくてもよい。送出装置3から第2中継案内部8にペースト状食材を複数回送り出すことにより分離装置4に対して複数回にわたり供給されるペースト状食材の合計量が、分離装置4の収容スペース(例えば後述の成形スペースSm)おいて1回の処理で供給されるべきペースト状食材のトータルの量に対応していてもよい。
送出装置3の具体的な構成については後述するが(図6~図19参照)、第1ポート15を介して送出装置3に供給されるペースト状食材に作用する圧力は、基本的に、第2ポート16から送り出されるペースト状食材に作用する圧力に影響を及ぼさない。本実施形態の第2ポート16から送り出されるペースト状食材には、第1中継案内部7から第1ポート15を介して送出装置3に供給されるペースト状食材に作用する圧力(第1ゲージ圧)よりも低い圧力(第2ゲージ圧)が作用し、例えば環境圧と同程度の圧力が作用する。すなわち、ペースト状食材を送出装置3から分離装置4に向けて送り出すために必要なペースト状食材に加えるべき圧力(絶対圧)は環境圧より多少高ければよく、例えば0.01MPa~0.1MPa程度の比較的低い圧力(ゲージ圧)によってペースト状食材を送出装置3から第2中継案内部8を介して分離装置4に送ることが可能である。これは、後述の成形スペースSm(分離装置4)が外部に連通して環境圧を有し、この成形スペースSmに充填孔31、第2中継案内部8及び第2ポート16がつながっているからである。これにより、第2中継案内部8及び分離装置4におけるペースト状食材の密度が過度に大きくなることを効果的に防ぐことができ、適度な密度のペースト状食材を分離装置4に供給することが可能である。なお分離装置4のうち充填孔31、第2中継案内部8及び第2ポート16がつながっている部分(本実施形態では成形スペースSm)は、環境圧以下の圧力を有していればよく、例えば負圧を有していてもよい。
第2中継案内部8は、送出装置3の第2ポート16と分離装置4とを連結し、送出装置3の第2ポート16から送り出されたペースト状食材を分離装置4に供給する。図示の第2中継案内部8は、中空の管形状を有し、分離装置4との接続部分の断面径が局所的に大きくなっている。ただし第2中継案内部8の形状、大きさ(例えば断面径)及び構造は限定されず、送出装置3及び分離装置4の設置位置や送出装置3及び分離装置4に対する接続構造に応じて、第2中継案内部8の形状、大きさ(例えば断面径)及び構造を決めることが可能である。
分離装置4は、送出装置3から送り出された後のペースト状食材を分離する。図1及び図2に示される分離装置4は、第2中継案内部8を介して送出装置3に接続されているので、第2中継案内部8を介して供給されるペースト状食材を分離する。本実施形態の食品製造システム1はペースト状食材を所望形状に成形するためのシステムとして構成されており、分離装置4は成形型21、22を有する。図1及び図2に示される分離装置4は、成形型として、相対的に下方に配置される第1成形型21及び相対的に上方に配置される第2成形型22を具備する。第1成形型21及び第2成形型22はペアを構成し、集合的に成形型21、22とも呼ばれる。
第1成形型21は第1収容スペースSm1を有し、第2成形型22は第2収容スペースSm2を有し、第1収容スペースSm1及び第2収容スペースSm2によって成形スペースSmが構成される。図1及び図2に示される第1収容スペースSm1及び第2収容スペースSm2は、水平方向D2の断面形状が実質的に楕円である楕円柱状スペースによって構成されており、お互いに同じ形状及び同じサイズを有する。第1成形型21及び第2成形型22は、水平方向D2に関する第1収容スペースSm1の位置と第2収容スペースSm2の位置とが基本的に常に一致するように配置される。したがって成形スペースSmは、水平方向D2の断面形状が実質的に楕円である楕円柱状スペースによって構成されており、高さ方向D1に関しては第1収容スペースSm1及び第2収容スペースSm2の各々の2倍の大きさを有し、水平方向D2に関しては第1収容スペースSm1及び第2収容スペースSm2の各々と同じ断面形状及び断面径を有する。ただし、第1収容スペースSm1及び第2収容スペースSm2の形状及びサイズは、お互いに必ずしも一致していなくてもよい。例えば、高さ方向D1に関する第1収容スペースSm1のサイズ及び第2収容スペースSm2のサイズは、お互いに一致していなくてもよい。この場合、成形スペースSmの高さ方向のサイズは、第1収容スペースSm1及び第2収容スペースSm2の高さ方向のサイズの合計には一致するが、第1収容スペースSm1又は第2収容スペースSm2の高さ方向のサイズの2倍には一致しない。
なお第1収容スペースSm1及び第2収容スペースSm2の形状及び大きさは図1及び図2に示される形状及び大きさには限定されない。例えば、第1収容スペースSm1を区画する第1成形型21の第1スペース区画面及び第2収容スペースSm2を区画する第2成形型22の第2スペース区画面のうちの少なくともいずれか一方は、平面のみを有していてもよいし、曲面(例えばテーパー面)のみを有していてもよいし、複数の平面及び/又は曲面が組み合わされた面を有していてもよい(後述の図20~23参照)。
図1及び図2に示される分離装置4は、水平方向D2に延在する第1型ガイド部28及び第2型ガイド部29を具備する。第1型ガイド部28は、成形型21、22よりも下方に配置され、第1成形型21を水平方向D2に案内する。第2型ガイド部29は、成形型21、22よりも上方に配置され、第2成形型22を水平方向D2に案内する。第1型ガイド部28は充填孔31及びリリース孔32を有する。第2型ガイド部29は打抜孔33を有する。充填孔31は、第1成形型21及び第2成形型22が第1水平領域Rh1に配置された状態(図1参照)で成形スペースSmと連通する位置に設けられており、第2中継案内部8及び成形スペースSmをつなぐ中継路として機能する。リリース孔32及び打抜孔33は、第1成形型21及び第2成形型22が第2水平領域Rh2に配置された状態(図2参照)で成形スペースSmと連通する位置に設けられている。リリース孔32は、第2水平領域Rh2に配置された第1成形型21及び第2成形型22の成形スペースSmからリリースされたペースト状食材が通過するための孔である。打抜孔33は、打抜装置9の打抜ロッド9aが成形スペースSmに進入する際に、打抜ロッド9aが通過する。
また図1及び図2に示される例では、後述のように導入装置5の導入針5aが第2型ガイド部29を貫通可能に且つ高さ方向D1に移動可能に設けられているため、第2型ガイド部29は、導入針5aが移動可能に配置される導入孔34を有する。導入針5aの位置にかかわらず、導入孔34と導入針5aとの間にペースト状食材が侵入しないように、導入孔34と導入針5aとの間のスペースはシールされていることが好ましい。また第1型ガイド部28及び第2型ガイド部29の各々は、必要に応じて、図示しない他の孔が設けられていてもよい。
送出装置3から送り出された後のペースト状食材は成形スペースSmに充填され、分離装置4は、成形スペースSmに充填されたペースト状食材を分離する。具体的には、成形型21、22が第1水平領域Rh1に配置されている状態で成形スペースSmにペースト状食材が充填される(図1参照)。その後、成形型21、22が第1水平領域Rh1から第2水平領域Rh2に移動させられることによって、成形スペースSmに充填されたペースト状食材が、第2中継案内部8を介して分離装置4に供給される他のペースト状食材(例えば充填孔31に配置されたペースト状食材)から分離される(図2参照)。
図1及び図2に示される分離装置4において、第1成形型21は第2成形型22よりも下方に配置されている。第1成形型21及び第2成形型22は、水平方向D2に移動して第1水平領域Rh1(図1参照)及び第2水平領域Rh2(図2参照)の各々に配置可能に設けられている。特に本実施形態では、第1成形型21が水平方向D2に並べられる第1左分割型21a及び第1右分割型21bを含み、第2成形型22が水平方向D2に並べられる第2左分割型22a及び第2右分割型22bを含む。
第1左分割型21aは第1左型駆動装置24の伸縮ロッド24aに連結され、第1右分割型21bは第1右型駆動装置25の伸縮ロッド25aに連結されている。第2左分割型22aは第2左型駆動装置26の伸縮ロッド26aに連結され、第2右分割型22bは第2右型駆動装置27の伸縮ロッド27aに連結されている。第1左分割型21a、第1右分割型21b、第2左分割型22a及び第2右分割型22bの水平方向位置は、それぞれ対応の駆動装置の伸縮ロッド24a、25a、26a、27aの水平方向D2への突出量(すなわち対応の駆動装置の本体部からの水平方向D2への伸縮量)に応じて定められる。このように第1成形型21を水平方向D2へ移動させる第1型駆動部23aとして第1左型駆動装置24及び第1右型駆動装置25が設けられており、第2成形型22を水平方向D2へ移動させる第2型駆動部23bとして第2左型駆動装置26及び第2右型駆動装置27が設けられている。第1左型駆動装置24、第1右型駆動装置25、第2左型駆動装置26及び第2右型駆動装置27は、任意の装置によって構成可能であり、典型的にはエアーシリンダーやサーボモータを使って構成可能である。
これらの駆動装置24~27による第1左分割型21a、第1右分割型21b、第2左分割型22a及び第2右分割型22bの駆動は、第1水平領域Rh1及び第2水平領域Rh2において求められるそれぞれ型の挙動や型間の相対的配置関係に応じて制御される。本実施形態において成形スペースSm(すなわち第1収容スペースSm1及び第2収容スペースSm2)は、第1水平領域Rh1及び第2水平領域Rh2において同じ大きさ且つ同じ形状を有する。そのため第1左型駆動装置24及び第1右型駆動装置25はお互いに同期して第1左分割型21a及び第1右分割型21bを駆動し、第1左分割型21aと第1右分割型21bとの間の水平方向D2に関する距離を基本的に一定に保ちつつ、第1水平領域Rh1から第2水平領域Rh2に第1左分割型21a及び第1右分割型21bを移動させる。同様に、第2左型駆動装置26及び第2右型駆動装置27はお互いに同期して第2左分割型22a及び第2右分割型22bを駆動し、第2左分割型22aと第2右分割型22bとの間の水平方向D2に関する距離を基本的に一定に保ちつつ、第1水平領域Rh1から第2水平領域Rh2に第2左分割型22a及び第2右分割型22bを移動させる。また第1左型駆動装置24、第1右型駆動装置25第2左型駆動装置26及び第2右型駆動装置27は、第1左分割型21a、第1右分割型21b、第2左分割型22a及び第2右分割型22bを、第1水平領域Rh1から第2水平領域Rh2に実質的に同時に移動及び停止させるように駆動する。
なお第1成形型21及び第2成形型22は図1及び図2に示される例には限定されない。例えば、第2水平領域Rh2における第1左分割型21a及び第1右分割型21bの水平方向D2に関する相互間距離を、第1水平領域Rh1における第1左分割型21a及び第1右分割型21bの水平方向D2に関する相互間距離よりも大きくしてもよい。同様に、第2水平領域Rh2における第2左分割型22a及び第2右分割型22bの水平方向D2に関する相互間距離を、第1水平領域Rh1における第2左分割型22a及び第2右分割型22bの水平方向D2に関する相互間距離よりも大きくしてもよい。これらの場合、第2水平領域Rh2においてペースト状食材を第1成形型21及び第2成形型22から簡単に離間させることができ、打抜装置9を用いることなく、成形後のペースト状食材を第1成形型21及び第2成形型22からリリースすることも可能である。
また本実施形態のように、第1左分割型21a及び第1右分割型21bを第1水平領域Rh1から第2水平領域Rh2へ一体的に移動させる場合、単一部材(すなわち単一の型)によって第1成形型21が構成されていてもよい。また単一の駆動装置によって、単一の第1成形型21、或いは、第1左分割型21a及び第1右分割型21bを、水平方向D2に移動させて、第1水平領域Rh1及び第2水平領域Rh2の各々に配置してもよい。同様に、第2左分割型22a及び第2右分割型22bを第1水平領域Rh1から第2水平領域Rh2へ一体的に移動させる場合、単一部材(すなわち単一の型)によって第2成形型22が構成されていてもよい。また単一の駆動装置によって、単一の第2成形型22、或いは、第2左分割型22a及び第2右分割型22bを、水平方向D2に移動させて、第1水平領域Rh1及び第2水平領域Rh2の各々に配置してもよい。
また本実施形態のように、第1成形型21及び第2成形型22を水平方向D2へ一体的に移動させる場合、第1成形型21及び第2成形型22の代わりに、単一部材(すなわち単一の型)によって成形型が構成されていてもよい。この場合、単一の駆動装置によって、単一の成形型を水平方向D2に移動させて、第1水平領域Rh1及び第2水平領域Rh2の各々に配置してもよい。なおここで言う単一部材とは、一体的構造を有する部材を指し、単一の構成部品及び単一の組成を有していてもよいし、2以上の構成部品が一体的に結合されて構成されていてもよい。
導入装置5は、送出装置3から送り出された後のペースト状食材の内部に注入物質を導入する。注入物質の具体例は後述するが、必要に応じた任意の物質を注入物質として用いることが可能である。導入装置5は、成形スペースSmに配置されたペースト状食材(すなわち分離装置4によって分離されたペースト状食材)のうちの1箇所にのみ或いは複数箇所に注入物質が局在するよう、注入物質をペースト状食材に導入してもよい。成形スペースSmに配置されたペースト状食材の内部の複数箇所に注入物質を局在させる場合、当該ペースト状食材の内部において規則的な位置(例えば等間隔位置)に注入物質が配置されてもよいし、規則性を持たないランダムな位置に注入物質が配置されてもよい。また成形スペースSmに配置されたペースト状食材の内部の複数箇所に注入物質を局在させる場合、それぞれの箇所に局在させる注入物質の量はお互いに同じであってもよいし、同じでなくてもよい。
図1及び図2に示される導入装置5は、第1成形型21及び第2成形型22が第1水平領域Rh1に配置されている状態で、成形スペースSmにおいてペースト状食材の内部に注入物質を導入する。
ただし導入装置5の設置位置は図1及び図2に示される設置位置に限定されず、分離装置4よりも前段において注入物質がペースト状食材の内部に導入されるような位置に導入装置5が設置されてもよい。例えば、導入装置5は、第2中継案内部8においてペースト状食材の内部に注入物質を導入してもよい(図1及び図2において符号「5」が付された点線部参照)。すなわちペースト状食材は、第2中継案内部8において導入装置5により注入物質が導入された後に、成形型21、22の成形スペースSmに充填されてもよい。
この場合、後述のように(図5参照)、成形型21、22にペースト状食材を充填する工程~ペースト状食材を成形型21、22からリリースする工程と並行して、ペースト状食材に対して注入物質を導入する工程を行うことができる。また注入物質の導入のためにペースト状食材に形成される跡(導入針5aが挿入される穴等)が、注入物質の導入後にペースト状食材が成形スペースSmに移動する間に目立たなくなる。また分離装置4の周辺構成を簡素化することができる。なお第2中継案内部8においてペースト状食材の内部に注入物質を導入する場合、成形後のペースト状食材のうちの狙った位置に注入物質を精度良く配置する観点からは、導入装置5は、第2中継案内部8のうちの分離装置4に近い箇所に位置しているペースト状食材に対し、注入物質を導入することが好ましい。
導入装置5によって行われるペースト状食材への注入物質の具体的な導入方法は限定されない。図1及び図2に示される導入装置5は中空の1又は複数の導入針5a(すなわち導入管)を具備し、導入針5aがペースト状食材に挿入されている状態で、導入針5aを介して注入物質をペースト状食材の内部に注入及び配置することが可能である。図1及び図2に示される導入針5aは高さ方向D1に移動可能に設けられており、導入装置5の本体からの導入針5aの突出量は可変である。具体的には、導入針5aは、第1成形型21及び第2成形型22が第1水平領域Rh1に配置されている場合に導入針5aの先端部が成形スペースSmに配置されている状態(図1参照)と、導入針5aの全体が成形スペースSmから退避している状態(図2参照)とに置かれることができる。なお導入針5aを移動させる導入装置移動機構(図示省略)は任意の構成によって実現可能であり、例えばサーボモータやエアーシリンダーを導入装置移動機構は具備していてもよい。導入針5aの数は限定されず、導入装置5は導入針5aを1つのみ具備していてもよいし、複数の導入針5aを具備していてもよい。
打抜装置9は、第1成形型21及び第2成形型22が第2水平領域Rh2に配置された場合の成形スペースSmに対応する位置に設けられており、当該成形スペースSmからペースト状食材を打ち抜く。図1及び図2に示される打抜装置9は、高さ方向D1に伸縮する打抜ロッド9a(すなわち打抜装置9の本体部からの突出量が可変の打抜ロッド9a)を具備する。打抜ロッド9aの先端部は、打抜孔33を通過して成形スペースSmに進入し、成形スペースSm内のペースト状食材を下方に向けて物理的に押し出す。
なお打抜装置9は図示の構成に限定されない。例えば打抜装置9は、第2水平領域Rh2に配置された第1成形型21及び第2成形型22の成形スペースSmに向けて圧縮エアーを噴出させるエアー噴出部(図示省略)を有していてもよい。エアー噴出部からの圧縮エアーを成形スペースSmのペースト状食材に吹き付けることによって、成形スペースSm内のペースト状食材を下方に押し出すことができる。
第2水平領域Rh2に配置されている成形型21、22の成形スペースSmからリリースされたペースト状食材(すなわち成形後のペースト状食材)は、搬送装置6に載せられて後段に送られる。図示の搬送装置6は、無端状のベルトを具備するベルトコンベアにより構成されている。成形スペースSmからリリースされた成形後のペースト状食材は、搬送装置6のベルト上に着地し、後段に向かって走行するベルトともに、後段に向けて送られる。ただし搬送装置6は図示の構成に限定されず、ベルトコンベア以外の装置によって搬送装置6が構成されてもよい。
[食品製造システムの制御構成]
図3は、食品製造システム1の制御構成の一例を示す機能ブロック図である。
制御部40は単一の装置によって構成されていてもよいし、複数の装置が組み合わされて構成されていてもよい。制御部40が複数の装置によって構成される場合、それらの装置がお互いに離れた位置に設置されていてもよく、ネットワークを介して装置間で各種情報の送受信を行って、装置間で各種情報が共有されてもよい。
送出装置3、分離装置4、導入装置5及び打抜装置9は、制御部40に接続されており、制御部40の制御下で駆動する。
制御部40による送出装置3の制御例は後述される(図7及び図8参照)。
制御部40は、分離装置4の第1型駆動部23a(すなわち第1左型駆動装置24及び第1右型駆動装置25)及び第2型駆動部23b(すなわち第2左型駆動装置26及び第2右型駆動装置27)を制御し、第1成形型21(すなわち第1左分割型21a及び第1右分割型21b)及び第2成形型22(すなわち第2左分割型22a及び第2右分割型22b)を水平方向D2に移動させる。なお成形型を移動させる駆動部が1つのみ設けられる場合には、その1つの駆動部が制御部40によって制御される。
制御部40は導入装置5を制御して、ペースト状食材に対する注入物質の導入を適切なタイミングで行う。図1及び図2に示されるように成形スペースSmに配置されているペースト状食材に対して導入針5aを介して注入物質を導入する場合、制御部40は、第1成形型21及び第2成形型22が第1水平領域Rh1に配置されている状態で導入針5aの先端が成形スペースSmに配置されるように、導入装置5を制御する。また制御部40は、成形スペースSmにペースト状食材が充填された後に導入針5aから注入物質が吐出されるように、導入装置5を制御する。
制御部40は打抜装置9を制御し、第1成形型21及び第2成形型22からのペースト状食材のリリースを適切なタイミングで行う。図1及び図2に示されるように成形スペースSmに配置されているペースト状食材を打抜ロッド9aによって打ち抜く場合、制御部40は、第1成形型21及び第2成形型22が第2水平領域Rh2に配置されている状態で打抜ロッド9aが成形スペースSmに進入するように、打抜装置9を制御する。
図示は省略するが、食品製造システム1を構成する他の装置(例えば供給装置2及び搬送装置6)も、制御部40の制御下で駆動されてもよい。例えば、供給装置2が制御部40によって制御される場合、供給装置2から第1中継案内部7へのペースト状食材の送り出し量、送り出し圧及び/又は送り出しタイミングが、制御部40の制御下で決められてもよい。また搬送装置6が制御部40によって制御される場合、搬送装置6に載せられたペースト状食材の搬送速度及び/又は搬送タイミングが制御部40の制御下で決められてもよい。
また制御部40は、図示しないセンサ類が接続されていてもよい。例えば、成形型21、22の水平方向D2の位置を検出するセンサが制御部40に接続されていてもよい。この場合、制御部40は、このセンサの検出結果に基づいて、第1型駆動部23a及び第2型駆動部23bを制御し、第1成形型21及び第2成形型22を所望位置に配置してもよい。
[食品製造方法]
図4は、図1及び図2に示される食品製造システム1によって行われる食品製造方法(食品成形処理)の一例を示すフローチャートである。以下に説明するそれぞれの工程は、食品製造システム1を構成する各装置が制御部40の制御下で駆動されて行われる。
上述のように本実施形態の食品製造方法は、送出装置3からペースト状食材を送り出す工程と、送出装置3から送り出された後のペースト状食材を分離装置4によって分離及び成形する工程と、送出装置3から送り出された後のペースト状食材の内部に注入物質を導入装置5によって導入する工程と、を含む。
まず送出装置3から第2中継案内部8にペースト状食材を送り出し、第2中継案内部8及び充填孔31をペースト状食材によって満たした状態を作り出す。なお、ここでいう「第2中継案内部8及び充填孔31がペースト状食材で満たされた状態」とは、必ずしも、第2中継案内部8及び充填孔31において厳密な意味で隙間がない状態を指すとは限らない。特に、導入装置5からペースト状食材内への注入物質の導入が第2中継案内部8及び/又は充填孔31において行われる場合、注入物質の導入スペースに相当する隙間が第2中継案内部8及び/又は充填孔31に存在する状態で、第2中継案内部8及び充填孔31がペースト状食材で満たされていてもよい。供給装置2は、第1中継案内部7を介して送出装置3にペースト状食材を供給し続ける。供給装置2は、食品製造システム1が作動している間、送出装置3の作動状態にかかわらず継続的に第1中継案内部7内のペースト状食材に圧力を加え続けていてもよいし、送出装置3の作動状態に応じて断続的に第1中継案内部7内のペースト状食材に圧力を加えてもよい。
そして分離装置4(特に第1型駆動部23a及び第2型駆動部23b)が駆動され、成形型21、22が第1水平領域Rh1に配置されて、成形スペースSmが充填孔31と連通した状態に置かれる(図4のS11)。
そして導入装置5が駆動され、導入装置5の導入針5aが成形スペースSmに配置される(S12)。この際、導入針5aから吐出される注入物質が、成形スペースSmに充填されるペースト状食材の所望位置に導入及び配置することができるように、導入針5a(特に注入物質を吐出する部分)が成形スペースSmの所望位置に配置される。
そして送出装置3が駆動され、決められた分量のペースト状食材が送出装置3の第2ポート16から第2中継案内部8に送り出され、第2中継案内部8及び充填孔31の内側のペースト状食材が押し出され、その結果、成形スペースSmにペースト状食材が充填される(S13)。この際、送出装置3から送り出されるペースト状食材の分量は、成形スペースSmに充填されるペースト状食材が所望の密度を持つように決められる。なお本例では、成形スペースSmに導入針5aの先端部が位置する状態で成形スペースSmにペースト状食材が充填されるので、成形スペースSmに充填されたペースト状食材には当初から導入針5aが挿入されている。
成形スペースSmにペースト状食材が充填された後、導入装置5が駆動され、導入針5aを介してペースト状食材の内部に注入物質が導入される(S14)。これにより、成形スペースSm内のペースト状食材の所望位置に、注入物質が配置される。ペースト状食材に注入物質が導入された後、導入装置5が駆動され、導入針5aは成形スペースSmから退避する(S15)。
導入針5aが成形スペースSmから退避した後、分離装置4(特に第1型駆動部23a及び第2型駆動部23b)が駆動され、成形型21、22が第1水平領域Rh1から第2水平領域Rh2に移動させられる(S16)。これにより、成形スペースSmがリリース孔32及び打抜孔33と連通した状態に置かれる。
そして成形型21、22が第2水平領域Rh2に配置されている状態で、打抜装置9が駆動され、打抜ロッド9aによって成形スペースSmのペースト状食材が成形型21、22からリリースされる(S17)。成形型21、22からリリースされた成形後のペースト状食材は、搬送装置6に載せられて後段に送られる。
そして制御部40において、ペースト状食材の成形処理を続行するか否かが判定される(S18)。成形処理が続行される場合(S18のY)、食品製造システム1を構成する各装置が駆動され、上述の工程(S11~S17)が繰り返される。一方、成形処理が続行されない場合(S18のN)、ペースト状食材の成形処理は終了する。
図5は、食品製造方法(食品成形処理)の一変形例を示すフローチャートである。
上述のように、導入装置5は、分離装置4よりも前段において、ペースト状食材の内部に注入物質を導入してもよい。この場合、注入物質が導入された後のペースト状食材が、成形型21、22の成形スペースSmに充填される。そのため導入装置5によってペースト状食材に注入物質を導入する工程を、分離装置4においてペースト状食材を分離する工程と並行して行うことが可能である。
したがって例えば図5に示されるように、分離装置4は、成形型21、22を第1水平領域Rh1に配置する工程(図5のS21)、注入物質が内部に配置されたペースト状食材を成形スペースSmに充填する工程(S22)、成形型21、22を第1水平領域Rh1から第2水平領域Rh2に移動させる工程(S23)、及び成形型21、22からペースト状食材をリリースする工程(S24)を連続的に行うことができる。一方、導入装置5は、分離装置4によってこれらの工程(S21~S24)が行われている間に、第2中継案内部8に保持されているペースト状食材に注入物質を導入する工程を行うことができる。
このように、導入装置5が分離装置4よりも前段においてペースト状食材の内部に注入物質を導入する場合、成形スペースSmに導入針5aを配置する工程(図4のS12)、ペースト状食材に注入物質を導入する工程(図4のS14)及び成形スペースSmから導入針5aを退避させる工程(図4のS15)を、分離装置4によって行われるペースト状食材の分離及び成形の処理に含ませる必要がなくなる。そのため本変形例によれば、分離装置4における処理を、ひいては食品製造システム1全体における処理を、効率的且つ高速に行うことが可能である。
[送出装置の基本構成]
次に、送出装置3の構成例について説明する。
図6は、送出装置3の基本構成の一例を示す断面図である。ペースト状食材100を決められた分量だけ送り出す送出装置3は、周壁部50、第1プランジャ51及び第2プランジャ52を備える。
周壁部50は、中空形状を有し、第1方向(本実施形態では高さ方向D1)に延在する内部空間53と、外部(本実施形態では第1中継案内部7)と内部空間53とを連通する第1ポート15と、外部(本実施形態では第2中継案内部8)と内部空間53とを連通し且つ第1方向(高さ方向D1)に関して第1ポート15とは異なる位置に設けられる第2ポート16と、を有する。第1ポート15は、周壁部50の内部空間53にペースト状食材100を導入するための入口ポートとして機能し、第2ポート16は、定量分割されたペースト状食材100を周壁部50の内部空間53から放出するための出口ポートとして機能する。
本実施形態の第1ポート15及び第2ポート16は、お互いに反対方向に向けられており、第1中継案内部7から第1ポート15へのペースト状食材の供給方向と、第2ポート16から第2中継案内部8へのペースト状食材の供給方向とは一致している。なお第1ポート15及び第2ポート16の向きは限定されず、第1ポート15及び第2ポート16は、互いに同じ方向に延在していてもよいし、互いに異なる方向に延在していてもよい。また、内部空間53に対する第1ポート15及び第2ポート16の開口の向きも限定されない。また第1ポート15及び第2ポート16は、水平方向D2以外の方向に向けられていてもよい。なお第1ポート15を内部空間53よりも上方に配置することで、重力を利用して第1ポート15から内部空間53にペースト状食材100を導入することが可能である。また第2ポート16を内部空間53よりも下方に配置することで、重力を利用して内部空間53から第2ポート16にペースト状食材100を放出することが可能である。このように第1ポート15が第2ポート16よりも上方に位置することによって、ペースト状食材100の送り出しに重力を利用することができる。なお、第1ポート15は第2ポート16よりも下方に位置していてもよい。
本明細書及び特許請求の範囲において「空間」及び「スペース」の用語は3次元的な領域全般を指し、その領域に物体が存在していてもよいし、存在していなくてもよい。例えば、内部空間53は、周壁部50の内側に形成された領域であり、その領域は、第1プランジャ51、第2プランジャ52及びペースト状食材100が配置されていても配置されていなくても、内部空間53と呼ばれる。
第1ポート15には第1中継案内部7を介して供給装置2が接続されており、供給装置2から第1中継案内部7を介して供給されるペースト状食材100は、第1ポート15を介して内部空間53に導入される。例えば供給装置2は、第1中継案内部7に向けて継続的にペースト状食材100を送り出して、第1中継案内部7に保持されているペースト状食材100に対して環境圧よりも大きな圧力が作用させてもよい。この場合、空の内部空間53と第1ポート15との間の状態を遮断状態から連通状態に切り替えることによって(例えば第1プランジャ51及び/又は第2プランジャ52を退避させて空の内部空間53を第1ポート15に連通させることによって)、内部空間53に新たなペースト状食材100を導入することができる。第2ポート16には第2中継案内部8を介して分離装置4が接続されており、内部空間53から第2ポート16を介して放出されたペースト状食材100は第2中継案内部8を介して分離装置4に送られる。
ペースト状食材100は、後述のように、流動性を有する不定形の粘性食材を含む。本実施形態のペースト状食材100は、複数の食材が混ぜ合わせられて作られた粘性食材101と、粘性食材101に混ぜられた線状食材102と、を含む。線状食材102は細長い形状を有しており、損傷することなく折れ曲がることが可能な柔らかい食材であってもよいし、基本的に損傷することなく折れ曲がることができない固い食材であってもよい。典型的には、食品に対して独特の食感をもたらす特有の剛性及び弾力性を有する食材(例えばタケノコや肉等)を、線状食材102として用いることができる。
第1プランジャ51及び第2プランジャ52は、周壁部50の内部空間53において、第1方向(高さ方向D1)に関して互いに対向した状態で配置され、周壁部50の内壁面50aに密着しつつ第1方向(高さ方向D1)へ移動可能に設けられている。このように第1プランジャ51及び第2プランジャ52は、内部空間53において往復移動可能に設けられたピストン構造を有する。図6に示される第1プランジャ51及び第2プランジャ52は、内壁面50aに対して隙間無く接触した状態を維持しつつ、第1方向(高さ方向D1)へ移動することが可能である。したがって第1プランジャ51と第2プランジャ52との間に導入されたペースト状食材100は、基本的に、周壁部50の内壁面50aと第1プランジャ51との間や周壁部50の内壁面50aと第2プランジャ52との間から漏れ出さない。なお、周壁部50の内壁面50aにシール部材が設けられてもよい。そのようなシール部材を設けることによって、周壁部50の内壁面50aと第1プランジャ51との間や周壁部50の内壁面50aと第2プランジャ52との間からのペースト状食材100の漏れ出しを、より効果的に防ぐことができる。またそのようなシール部材を用いる場合には、第1プランジャ51及び第2プランジャ52は周壁部50の内壁面50aに対して必ずしも密着していなくてもよく、第1プランジャ51及び第2プランジャ52の各々と内壁面50aとの間に多少の隙間が存在していてもよい。
第1プランジャ51及び第2プランジャ52は、駆動ユニットによって第1方向(高さ方向D1)に移動させられる。この駆動ユニットの具体的な構成は限定されず、様々な形態でそのような駆動ユニットを実現することが可能である。
[駆動ユニット]
図7は、駆動ユニット60の構成の一例を示すブロック図である。
図7に示される駆動ユニット60は第1プランジャ駆動部61及び第2プランジャ駆動部62を含み、第1プランジャ駆動部61及び第2プランジャ駆動部62の各々は制御部40に接続されている。第1プランジャ駆動部61は第1プランジャ51に接続され、第2プランジャ駆動部62は第2プランジャ52に接続されている。第1プランジャ駆動部61及び第2プランジャ駆動部62は、それぞれ制御部40の制御下で、第1プランジャ51及び第2プランジャ52を第1方向(高さ方向D1)に移動させて、周壁部50の内部空間53における所望位置に配置することができる。
図7に示される機能構成を有する送出装置3において、制御部40は、第1プランジャ51を移動させる場合には第1プランジャ駆動部61を制御し、第2プランジャ52を移動させる場合には第2プランジャ駆動部62を制御し、第1プランジャ51及び第2プランジャ52を同時に移動させる場合には第1プランジャ駆動部61及び第2プランジャ駆動部62を同時に制御する。
図8は、駆動ユニット60の構成の他の例を示すブロック図である。
図8に示されるように、第1プランジャ駆動部61及び第2プランジャ駆動部62は、それぞれ、第1プランジャ51及び第2プランジャ52に接続されるとともに、第1連結駆動部63及び第2連結駆動部64に接続されていてもよい。すなわち駆動ユニット60は、第1プランジャ51に連結される第1プランジャ駆動部61、第1プランジャ駆動部61に連結される第1連結駆動部63、第2プランジャ52に連結される第2プランジャ駆動部62、第2プランジャ駆動部62に連結される第2連結駆動部64を含んでいてもよい。この場合、第1連結駆動部63は、制御部40の制御下で、第1プランジャ51及び第1プランジャ駆動部61を一体的に第1方向(高さ方向D1)へ移動させることができる。同様に、第2連結駆動部64は、制御部40の制御下で、第2プランジャ52及び第2プランジャ駆動部62を一体的に第1方向(高さ方向D1)へ移動させることができる。
なお第1連結駆動部63及び第2連結駆動部64の両者は、単一の共通連結駆動部65によって構成されてもよい(後述の図19参照)。この場合、共通連結駆動部65は、制御部40の制御下で、第1プランジャ51、第1プランジャ駆動部61、第2プランジャ52及び第2プランジャ駆動部62を一体的に第1方向(高さ方向D1)に移動させることができる。
上述のように駆動ユニット60は、様々な形態で設けられることができ、駆動ユニット60を構成する具体的なデバイスは限定されない。典型的には、サーボモータやエアーシリンダーを駆動ユニット60において使用することができ、第1プランジャ駆動部61、第2プランジャ駆動部62、第1連結駆動部63、第2連結駆動部64及び共通連結駆動部65の各々を、サーボモータ又はエアーシリンダーによって構成することが可能である。また第1プランジャ駆動部61及び第2プランジャ駆動部62の各々を、互いに直列的に連結された複数のエアーシリンダーによって構成することも可能である。
送出装置3は、更に、第1プランジャ51の位置及び第2プランジャ52の位置を検出するセンサ類45を具備する。第1プランジャ51の位置及び第2プランジャ52の位置を直接的又は間接的に示すセンサ類45の検出結果は制御部40に送信され、制御部40はそのセンサ類45の検出結果に基づいて駆動ユニット60を制御する。例えば、発光素子及び受光素子を具備する光学センサ(図示省略)をセンサ類45として使用し、第1プランジャ51の位置及び第2プランジャ52の位置を直接的に検出することが可能である。また第1プランジャ51及び第2プランジャ52をサーボモータによって構成する場合、サーボモータの駆動状態及び/又はサーボモータに対する制御部40からの制御信号に基づいて、第1プランジャ51の位置及び第2プランジャ52の位置を間接的に検出することも可能である。
[定量送出方法]
次に、上述の送出装置3を使って、ペースト状食材100を決められた分量だけ送り出す定量送出方法の一例について説明する。
図9は、定量送出方法の一例を示すフローチャートである。図10は、第1駆動状態を説明するための送出装置3の拡大断面図である。図11は、第2駆動状態を説明するための送出装置3の拡大断面図である。図12は、第3駆動状態を説明するための送出装置3の拡大断面図である。図13は、第4駆動状態を説明するための送出装置3の拡大断面図である。
駆動ユニット60は、制御部40の制御下で、第1プランジャ51及び第2プランジャ52を、第1駆動状態、第2駆動状態、第3駆動状態及び第4駆動状態(第1プランジャ駆動状態~第4プランジャ駆動状態)に順次置くことで、ペースト状食材100の定量分割及び後段への放出を行う。
駆動ユニット60は、まず、第1プランジャ51と第2プランジャ52との間の空間又は接触面54が第1ポート15と向かい合う位置に存在するように、第1プランジャ51及び第2プランジャ52を周壁部50の内部空間53において互いに近接して配置する(第1駆動状態;図9の「S31」参照)。図10に示される例では、第1駆動状態に置かれた第1プランジャ51と第2プランジャ52とが接触して接触面54を形成しているが、第1駆動状態に置かれた第1プランジャ51と第2プランジャ52とが接触せずに両者間に空間が形成されていてもよい。この場合、第1駆動状態に置かれた第1プランジャ51と第2プランジャ52との間の第1方向(高さ方向D1)に関する距離は、例えば数mm~数cm程度としうる。
図10に示される例では、接触面54が第1ポート15の開口エッジ(図10の上側開口エッジ)に対応する位置に配置されており、第1ポート15は第2プランジャ52のみによって覆われて閉じられている。ただし、第1駆動状態に置かれている第1プランジャ51及び第2プランジャ52の位置は限定されない。第1プランジャ51及び第2プランジャ52が第1駆動状態に置かれている間、第1ポート15は、第1プランジャ51及び第2プランジャ52の両者によって覆われていてもよいし、第1プランジャ51のみによって覆われていてもよい。このように第1ポート15は、第1駆動状態に置かれた第1プランジャ51及び/又は第2プランジャ52によって、部分的又は全体的に覆われる。
なお第1駆動状態に置かれている第1プランジャ51及び第2プランジャ52は、停止していてもよいし、第1方向(高さ方向D1)に移動していてもよい。例えば、第1プランジャ51と第2プランジャ52との間の空間又は接触面54が第1ポート15と向かい合わない状態から第1プランジャ51及び/又は第2プランジャ52が移動している過程で、第1プランジャ51及び第2プランジャ52が上述のような第1駆動状態に置かれてもよい。
そして駆動ユニット60は、第1プランジャ51及び第2プランジャ52のうちの少なくともいずれか一方を移動させて、第1駆動状態から、第1プランジャ51及び第2プランジャ52が互いから遠ざけられた第2駆動状態に、第1プランジャ51及び第2プランジャ52を移行する(図9の「S32」;図11参照)。これにより、内部空間53のうち第1プランジャ51と第2プランジャ52との間の領域には短時間ではあるが真空空間が形成され、その領域で生じる負圧によって、第1ポート15を介して第1プランジャ51と第2プランジャ52との間にペースト状食材100が導入される。なお、ここで言う真空とは、広義に解釈され、周壁部50の外部よりも圧力が低い空間状態を意味し、特に送出装置3が大気圧下に置かれる場合には、圧力が大気圧よりも低い空間状態を意味する。
本実施形態では、第1プランジャ51及び第2プランジャ52が第1駆動状態から第2駆動状態に移行する際に、供給装置2によって第1中継案内部7及び第1ポート15の内側のペースト状食材100に加えられる圧力は、比較的小さくてもよい。第1中継案内部7内及び第1ポート15内のペースト状食材100は、第1プランジャ51と第2プランジャ52との間の領域における負圧の影響を受けて、第1ポート15を介して第1プランジャ51と第2プランジャ52との間に導入される。したがって本実施形態の送出装置3及び定量送出方法によれば、供給装置2は出力の大きい高価な圧送ポンプを具備していなくてもよい。
なお駆動ユニット60は、制御部40の制御下で、第1プランジャ51及び第2プランジャ52を第1駆動状態から第2駆動状態に移行する際に、第1プランジャ51及び第2プランジャ52のうちの一方の移動量よりも他方の移動量を大きくしてもよい。この場合、第1プランジャ51及び第2プランジャ52のうちのより移動量の大きい方のプランジャ側に、より多量のペースト状食材100が吸引される。これにより、周壁部50の内部空間53においてペースト状食材100に含まれる線状食材102の姿勢(すなわち配向方向)を揃えることが可能になる。すなわち、全体的な傾向として、移動量の大きい方のプランジャ側にペースト状食材100がより強く吸引されるため、周壁部50の内部空間における線状食材102の長手方向が第1方向(高さ方向D1)に揃いやすくなる。このように線状食材102の姿勢(配向方向)を揃えることによって、線状食材102によりもたらされる食感の向上を期待することができる。
図11に示される例では、図10に示される第1駆動状態から、第2プランジャ52のみが移動しており、第1プランジャ51は第1駆動状態から移動していない。このように駆動ユニット60は、第1プランジャ51及び第2プランジャ52を第1駆動状態から第2駆動状態に移行する際に、第1プランジャ51及び第2プランジャ52のうちの一方(図10及び図11では第1プランジャ51)を実質的に移動させることなく、他方(図10及び図11では第2プランジャ52)のみを移動させてもよい。この場合、他方のプランジャ側(図10及び図11では第2プランジャ52側)にペースト状食材100を強く吸引することができ、精度良く、線状食材102の姿勢(配向方向)を第1方向(高さ方向D1)に揃えることができる。
そして駆動ユニット60は、第1プランジャ51及び第2プランジャ52を移動させて、第2駆動状態から、第1プランジャ51が第2プランジャ52から離れている状態を維持しつつ、第1プランジャ51と第2プランジャ52との間のペースト状食材100の少なくとも一部が第2ポート16に向かい合うように配置される第3駆動状態に、第1プランジャ51及び第2プランジャ52を移行する(図9の「S33」;図12参照)。
図12に示される例では、第2プランジャ52のうちの第1プランジャ51側の端部52aが第2ポート16の開口エッジ(すなわち図12の下側開口エッジ)に対応する位置に配置されており、第2ポート16が第1プランジャ51及び第2プランジャ52のいずれにも覆われていない状態で、第1プランジャ51及び第2プランジャ52が第3駆動状態に置かれている。ただし第1プランジャ51及び第2プランジャ52が第3駆動状態に置かれている状態で、第1プランジャ51及び/又は第2プランジャ52によって第2ポート16が部分的に覆われてもよい。また第1プランジャ51のうちの第2プランジャ52側の端部51aが、第2ポート16の開口エッジ(すなわち図12の上側開口エッジ)に対応する位置に配置されてもよい。なお、図12に示される第3駆動状態に置かれた第1プランジャ51と第2プランジャ52との間の第1方向(高さ方向D1)に関する距離は、図11に示される第2駆動状態に置かれた第1プランジャ51と第2プランジャ52との間の第1方向(高さ方向D1)に関する距離と基本的に同じである。
そして駆動ユニット60は、第1プランジャ51及び第2プランジャ52のうちの少なくともいずれか一方を移動させて、第1プランジャ51及び第2プランジャ52を互いに近づける。すなわち駆動ユニット60は、上述の第3駆動状態から、第1プランジャ51と第2プランジャ52との間の空間又は接触面54が第2ポート16と向かい合う位置に存在するように第1プランジャ51及び第2プランジャ52が配置される第4駆動状態に、第1プランジャ51及び第2プランジャ52を移行する(図9の「S34」;図13参照)。これにより、第1プランジャ51と第2プランジャ52との間のペースト状食材100を、低圧で、第2ポート16を介して外部に送り出すことができる。
図13に示される例では、図12に示される第3駆動状態から、第2プランジャ52を停止させた状態を維持しつつ、第1プランジャ51が第2プランジャ52に近づく方向(図13の下方向)に移動し、周壁部50の内部空間53のペースト状食材100が第1プランジャ51によって第2ポート16に押し出され、最終的には第1プランジャ51は第2プランジャ52と接触する。これにより、第1プランジャ51と第2プランジャ52との間の接触面54が第2ポート16の開口エッジ(すなわち図13の下側開口エッジ)に対応する位置に配置され、基本的に第1プランジャ51と第2プランジャ52との間のペースト状食材100の全てが第2ポート16に押し出される。なお、第4駆動状態に置かれた第1プランジャ51と第2プランジャ52とが互いに接触せずに、両者間に空間が形成されていてもよい。この場合、第4駆動状態に置かれた第1プランジャ51と第2プランジャ52との間の第1方向(高さ方向D1)に関する距離は、例えば数mm~数cm程度としうる。
上述のステップS31~S34に従って送出装置3を動作させることによって、供給装置2から第1中継案内部7を介して送出装置3(特に第1ポート15)に送られるペースト状食材100の定量分割を行って、分割後のペースト状食材100を、第2ポート16を介して第2中継案内部8及び分離装置4に送ることができる。そして、上述のペースト状食材100の定量分割を繰り返し行う場合(図9の「S35」の「Y」)、駆動ユニット60は、制御部40の制御下で、第1プランジャ51及び第2プランジャ52を上述の第1駆動状態(図10参照)に戻し、再び、上述のステップS31~S34を行う。一方、ペースト状食材100の定量分割を繰り返さない場合(図9の「S35」の「N」)、定量送出方法の実施は終了する。
[プランジャの構成]
本実施形態では、第1プランジャ51及び第2プランジャ52が第2駆動状態(図11参照)から第3駆動状態(図12参照)に移行する場合、第1プランジャ51のうちの第2プランジャ52側の端部51aは、内部空間53のうちの第1ポート15に向かい合う領域の少なくとも一部を通過する。その際、第1プランジャ51の当該端部51aは、内部空間53と第1ポート15との間の境界においてペースト状食材100を切断する。そして第3駆動状態(図12参照)では、第1ポート15の全体が第1プランジャ51によって覆われる。
また第1プランジャ51及び第2プランジャ52が第3駆動状態(図12参照)から第4駆動状態(図13参照)に移行する場合、第1プランジャ51のうちの第2プランジャ52側の端部51a及び/又は第2プランジャ52のうちの第1プランジャ51側の端部52aは、内部空間53のうちの第2ポート16に向かい合う領域の少なくとも一部を通過する。
このように、第1プランジャ51及び第2プランジャ52のうち少なくとも第1プランジャ51は、ペースト状食材100を切断する役割を有する。したがって第1プランジャ51及び第2プランジャ52のうち少なくとも第1プランジャ51(特に第2プランジャ52側の端部51a)は、ペースト状食材100の切断に適した形状を有することが好ましい。
図14A~図14Jは、第1プランジャ51及び第2プランジャ52の断面の概略形状を例示する図である。
第1プランジャ51の端部51a及び第2プランジャ52の端部52aの各々の外周部分は、図14Aに示されるように丸みを帯びていてもよい。ただし、ペースト状食材100を適切に切断する観点からは、例えば図14Bに示されるように、第1プランジャ51の端部51a及び第2プランジャ52の端部52aの各々の外周部分が丸みを帯びておらず、角張って尖っていることが好ましい。
特に、第1プランジャ51は、第2プランジャ52側の端部51aの外周部分の少なくとも一部において、第2プランジャ52に向かって突出するカッター部55を有することが好ましい。この場合、第2プランジャ52は、第1プランジャ51側の端部52aにおいて、カッター部55の形状に適合する凹状の受け部56を有することが好ましい。これにより、第1駆動状態(図10参照)及び第4駆動状態(図13参照)の各々において、カッター部55が受け部56に係合し、第1プランジャ51(すなわちカッター部55)が第2プランジャ52(すなわち受け部56)に嵌合することが可能である。なお、カッター部55が受け部56に係合している状態は、カッター部55が受け部56に接触している状態だけではなく、カッター部55が受け部56に接触せず、受け部56によって形成される凹部にカッター部55によって形成される凸部の少なくとも一部が配置されている状態も含みうる。このように互いに適合する形状を有するカッター部55及び受け部56は、様々な形態を想定することができる。
例えば図14C~図14Eに示されるように、第1プランジャ51の端部51aが円錐形状の切欠部を有し、当該端部51aの外周部分の全域にわたって、カッター部55が形成されていてもよい。図14C~図14Eに示されるカッター部55は、第2プランジャ52に向かって先細になっており、カッター部55の先端は尖っている。なおカッター部55の傾斜角度は限定されず、カッター部55は、図14Dに示されるように比較的鋭い傾斜角度を有していてもよいし、図14Eに示されるように比較的緩やかな傾斜角度を有していてもよい。またカッター部55の傾斜角度が連続的又は不連続的に変化していてもよい。なお図14C~図14Eに示される第2プランジャ52の第1プランジャ51側の端部52aは円錐形状を有し、受け部56はカッター部55と隙間無く密着することが可能である。
なお、第1プランジャ51の端部51aの切欠部及び第2プランジャ52の端部52aの形状は、円錐形状には限定されず、様々な形状を有しうる。例えば図14Fに示されるように、第1プランジャ51の端部51aの外周部分が先細のカッター部55を形成し、第1プランジャ51の端部51aの中央部が平坦面を形成していてもよい。また図14Gに示されるように、第1プランジャ51の端部51aの外周部分が先細のカッター部55を形成し、第1プランジャ51の端部51aの面が、全体にわたって球体又は楕円体の一部の面を形成してもよい。また図14Hに示されるように、第1プランジャ51の端部51aの外周部分は、厚みがほぼ一定の薄い突出部によって構成されるカッター部55を形成してもよい。なお図14F~図14Hに示される第2プランジャ52の端部52aには、対応の第1プランジャ51のカッター部55と隙間無く密着可能な受け部56が形成されている。
またカッター部55は、第1プランジャ51の端部51aの外周部分の全域に設けられていなくてもよく、外周部分の一部にのみ設けられていてもよい(図14I参照)。このように第1プランジャ51の端部51aの外周部分の一部にのみカッター部55が設けられる場合、周壁部50の内部空間53を第1プランジャ51が移動する際に、第1ポート15及び/又は第2ポート16に向かい合う領域をカッター部55が通過するように、カッター部55の位置が決められる。
また上述の図14C~図14Iは、第1プランジャ51がカッター部55を有する場合を例示しているが、第2プランジャ52がカッター部55を有していてもよい。例えば、図14C~図14Iに示されるカッター部55と同様のカッター部55が第2プランジャ52に形成されてもよい。そのような場合、第1プランジャ51には、第2プランジャ52に形成されたカッター部55に適合する受け部56が形成されることが好ましい。
また第1プランジャ51及び第2プランジャ52の両者がカッター部55を有していてもよい。この場合、第1プランジャ51には第2プランジャ52のカッター部55に適合する受け部56が形成されていてもよく、また第2プランジャ52には第1プランジャ51のカッター部55に適合する受け部56が形成されていてもよい。例えば図14Jに示されるように、第1プランジャ51の端部51a及び第2プランジャ52の端部52aの各々に、カッター部55及び受け部56を形成し、第1プランジャ51のカッター部55が第2プランジャ52の受け部56に係合し、第2プランジャ52のカッター部55が第1プランジャ51の受け部56に係合してもよい。このように第1プランジャ51及び第2プランジャ52の双方にカッター部55及び受け部56を形成する場合、第1プランジャ51及び第2プランジャ52の形状を同一にすることも可能である。この場合、単一種類のプランジャを第1プランジャ51及び第2プランジャ52として使用することが可能である。
上述のように第1プランジャ51の端部51a及び第2プランジャ52の端部52aは様々な形状を有することができ、上述の定量送出方法(第1駆動状態~第4駆動状態)で求められる第1プランジャ51及び第2プランジャ52の挙動に応じて、第1プランジャ51及び第2プランジャ52の端部51a、52aの形状(すなわちカッター部55及び受け部56の位置及び形状)が適宜決められる。特に、第1ポート15及び第2ポート16の形状、サイズ及び配置に応じて、カッター部55の形状、サイズ及び配置が定められることが好ましい。例えば、第1ポート15と内部空間53との間の境界に対応する位置でペースト状食材100を切断するためのカッター部55は、第2駆動状態から第3駆動状態への移行の際に、第1ポート15と向かい合う領域を通過するように配置される。また、第2ポート16と内部空間53との間の境界に対応する位置でペースト状食材100を切断するためのカッター部55は、第3駆動状態から第4駆動状態への移行の際に、第2ポート16と向かい合う領域を通過するように配置される。
一例として図14Jに示されるように、第1プランジャ51の端部51a及び第2プランジャ52の端部52aの各々がカッター部55及び受け部56を有する場合における、第1プランジャ51及び第2プランジャ52の挙動例を、以下に説明する。
図15A~図15Dは、第1プランジャ51及び第2プランジャ52の挙動の一例を示す図である。図15A~図15Dに示される送出装置3の基本構造は、図6に示される送出装置3と共通するが、いわゆるO-リングによって構成されるシール部材47が周壁部50の内壁面50aに複数設けられている。具体的には、第1方向(高さ方向D1)に関して第1ポート15及び第2ポート16の各々がシール部材47間に存在するように複数のシール部材47が設けられており、図15A~図15Dに示される例では合計3箇所にシール部材47が配置されている。なお第1ポート15と第2ポート16との間における厳密なシールが必要とされない場合には、第1ポート15と第2ポート16との間にはシール部材47が設けられていなくてもよい(図15E参照)。また上述のように、第1プランジャ51及び第2プランジャ52の各々が周壁部50の内壁面50aに対して密着しつつ第1方向(高さ方向D1)に移動可能に設けられ、ペースト状食材100が第1プランジャ51及び第2プランジャ52の各々と周壁部50との間から基本的に漏れ出さないのであれば、シール部材47は設けられなくてもよい(図15F参照)。
まず第1駆動状態では、図15Aに示されるように、第1プランジャ51と第2プランジャ52との間の接触面54が第1ポート15と向かい合う位置に存在するように、第1プランジャ51及び第2プランジャ52が配置される。図15Aに示される例では、第1ポート15の全域が、第1駆動状態に置かれた第1プランジャ51によって覆われる。
そして第2駆動状態では、図15Bに示されるように、第1プランジャ51及び第2プランジャ52が互いから遠ざけられて配置される。図15Bに示される例では、第1プランジャ51及び第2プランジャ52の両者が互いに逆向きに移動させられている。ただし第1プランジャ51のみが移動させられてもよい。これにより、第1プランジャ51と第2プランジャ52との間の内部空間53にペースト状食材100(図示省略)が充填される。
そして第3駆動状態では、図15Cに示されるように、第1プランジャ51が第2プランジャ52から離れている状態を維持しつつ、第1プランジャ51と第2プランジャ52との間のペースト状食材100(図示省略)の少なくとも一部が第2ポート16に向かい合うように配置される。図15Cに示される例では、第2ポート16の全域が、第1プランジャ51と第2プランジャ52との間に充填されたペースト状食材100に面している。
そして第4駆動状態では、図15Dに示されるように、第1プランジャ51及び第2プランジャ52が互いに近づけられ、第1プランジャ51と第2プランジャ52との間の接触面54が第2ポート16と向かい合う位置に存在するように、第1プランジャ51及び第2プランジャ52が配置される。図15Dに示される例では、第1プランジャ51及び第2プランジャ52の両方が移動させられ、第2ポート16の全域が、第4駆動状態に置かれた第2プランジャ52によって覆われる。ただし、第1プランジャ51及び第2プランジャ52のうちの一方のみ(図15Dに示される例において例えば第2プランジャ52のみ)が、移動させられてもよい。また第2ポート16の全域が、第4駆動状態に置かれた第1プランジャ51によって覆われてもよいし、第4駆動状態に置かれた第1プランジャ51及び第2プランジャ52の両者によって覆われてもよい。これにより、ペースト状食材100が内部空間53から第2ポート16に押し出される。
なお第1プランジャ51及び/又は第2プランジャ52にカッター部55が形成される場合、カッター部55の先端が、第1方向(高さ方向D1)と直角を成す方向に関し、対応の第1プランジャ51又は第2プランジャ52の最外周位置よりも内側に位置してもよい。すなわち周壁部50の内部空間53に第1プランジャ51及び第2プランジャ52を配置した状態で、第1プランジャ51の端部51a及び/又は第2プランジャ52の端部52aに形成されたカッター部55の先端が、周壁部50の内壁面50a及びシール部材47と接触しない位置に配置されてもよい。この場合、カッター部55が周壁部50の内壁面50aやシール部材47に対して引っかかることなく、第1プランジャ51及び第2プランジャ52を周壁部50の内部空間53においてスムーズに移動させることが可能である。
図16A及び図16Bは、図14Jに示される第1プランジャ51及び第2プランジャ52の一変形例を示す図であり、図16Aは第2駆動状態を示し、図16Bは第2駆動状態から第3駆動状態への移行途中の状態を示す。図16A及び図16Bに示される第1プランジャ51及び第2プランジャ52の各々は、カッター部55及び受け部56を有しており、カッター部55(特に先端部)が周壁部50の内壁面50a及びシール部材47と接触しない位置に配置されている。
図17Aは、図14Gに示される第1プランジャ51及び第2プランジャ52を示す図であり、第2駆動状態から第3駆動状態への移行途中の状態を示す。図17Bは、図14Gに示される第1プランジャ51及び第2プランジャ52の一変形例を示す図であり、第2駆動状態から第3駆動状態への移行途中の状態を示す。図17Cは、図14Gに示される第1プランジャ51及び第2プランジャ52の他の変形例を示す図であり、第2駆動状態から第3駆動状態への移行途中の状態を示す。図17Aに示されるカッター部55は、周壁部50の内壁面50a及びシール部材47と接触する位置に配置されているが、図17B及び図17Cに示されるカッター部55は、周壁部50の内壁面50a及びシール部材47と接触しない位置に配置されている。なお、周壁部50の内壁面50a及びシール部材47と接触しない位置に配置されるカッター部55の構造は特に限定されず、例えば図17Bに示されるようにカッター部55の外周面(すなわち周壁部50の内壁面50aに対向する外周面)が第1方向(高さ方向D1)と平行に延在していてもよいし、図17Cに示されるようにカッター部55の外周面が、傾斜面を形成して第1方向(高さ方向D1)と非平行に形成されていてもよい。
図18A~図18Dは、図17Bに示される第1プランジャ51及び第2プランジャ52の挙動の一例を示す図である。図17Bに示される送出装置3において、まず第1駆動状態では、図18Aに示されるように、第1プランジャ51と第2プランジャ52との間の接触面54が第1ポート15と向かい合う位置に存在するように、第1プランジャ51及び第2プランジャ52が配置される。図18Aに示される例では、第1ポート15の全域が、第1駆動状態に置かれた第1プランジャ51及び第2プランジャ52の両者によって覆われている。
そして第2駆動状態では、図18Bに示されるように、第1プランジャ51及び第2プランジャ52が互いから遠ざけられた位置に配置される。図18Bに示される例では、第1プランジャ51及び第2プランジャ52の両者が互いに逆向きに移動させられている。これにより、第1プランジャ51と第2プランジャ52との間の内部空間53にペースト状食材100(図示省略)が充填される。
そして第3駆動状態では、図18Cに示されるように、第1プランジャ51が第2プランジャ52から離れている状態を維持しつつ、第1プランジャ51と第2プランジャ52との間のペースト状食材100(図示省略)の少なくとも一部が第2ポート16に向かい合うように配置される。図18Cに示される例では、第2ポート16の全域が、第1プランジャ51と第2プランジャ52との間のペースト状食材100に面している。
そして第4駆動状態では、図18Dに示されるように、第1プランジャ51及び第2プランジャ52が互いに近づけられ、第1プランジャ51と第2プランジャ52との間の接触面54が第2ポート16と向かい合う位置に存在するように、第1プランジャ51及び第2プランジャ52が配置される。図18Dに示される例では、第1プランジャ51及び第2プランジャ52の両方が移動させられ、第2ポート16の全域が、第4駆動状態に置かれた第1プランジャ51及び第2プランジャ52の両者によって覆われる。これにより、ペースト状食材100が内部空間53から第2ポート16に押し出される。
[送出装置の具体例]
次に、送出装置3の具体例について説明する。以下に説明する送出装置3は一例に過ぎず、任意のデバイスを組み合わせて上述の送出装置3を構成することが可能である。
図19は、送出装置3の一例を示す図である。図19に示される送出装置3は、図8に示される構成(特に共通連結駆動部65を具備する構成)を有する。なお図6等に基づいて上述された要素と同一又は類似の要素には、同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
図19に示される送出装置3は、周壁部50、第1プランジャ51及び第2プランジャ52を備える。周壁部50は、内部空間53、第1ポート15及び第2ポート16を有する。第1ポート15及び第2ポート16は水平方向D2(図19の紙面と直角を成す方向)に延在し、第1ポート15は図19の紙面の手前側に開口し、第2ポート16は図19の紙面の奥側に開口する。第1プランジャ51には、エアーシリンダーによって構成される第1プランジャ駆動部61(特に第1エアーシリンダーロッド61b)が連結されている。第2プランジャ52には、エアーシリンダーによって構成される第2プランジャ駆動部62(特に第2エアーシリンダーロッド62b)が連結されている。第1プランジャ駆動部61及び第2プランジャ駆動部62の各々には、図示しない吐出量調整ゲージが設けられている。吐出量調整ゲージは、対応の第1エアーシリンダーロッド61b及び第2エアーシリンダーロッド62bの基本位置を調整することができ、対応の第1エアーシリンダーロッド61b及び第2エアーシリンダーロッド62bの最大突出量を変えられる。
第1プランジャ駆動部61に連結される第1連結駆動部63及び第2プランジャ駆動部62に連結される第2連結駆動部64は、共通の共通連結駆動部65によって構成されている。図示の共通連結駆動部65はエアーシリンダーによって構成されており、共通エアーシリンダーチューブ65a及び共通エアーシリンダーロッド65bを有する。共通エアーシリンダーチューブ65aは、第1連結駆動部63の第1連結駆動チューブ63a及び第2連結駆動部64の第2連結駆動チューブ64aとして機能する。共通エアーシリンダーロッド65bは、共通エアーシリンダーチューブ65aから水平方向に突出し、共通エアーシリンダーチューブ65aからの突出量が可変である。図示の共通エアーシリンダーロッド65bは、共通エアーシリンダーチューブ65aから互いに逆方向に突出する第1連結駆動ロッド63b及び第2連結駆動ロッド64bによって構成されている。第1連結駆動ロッド63b及び第2連結駆動ロッド64bは一体的に設けられている。第1連結駆動ロッド63b及び第2連結駆動ロッド64bのうちの一方が共通エアーシリンダーチューブ65aから突出移動すると、他方は共通エアーシリンダーチューブ65aに向かって引っ込む。
第1連結駆動ロッド63bは第1連結部63cを介して第1エアーシリンダーチューブ61aに固定され、第2連結駆動ロッド64bは第2連結部64cを介して第2エアーシリンダーチューブ62aに固定されている。したがって、第1連結部63cと第2連結部64cとの間の第1方向(高さ方向D1)に関する距離は、共通連結駆動部65の駆動状態にかかわらず一定である。また第1エアーシリンダーチューブ61aと第2エアーシリンダーチューブ62aとの間の第1方向(高さ方向D1)に関する距離は、共通連結駆動部65の駆動状態にかかわらず一定である。
上述の構成を有する送出装置3において、第1プランジャ51及び第2プランジャ52を第1駆動状態から第2駆動状態に移行する場合には、制御部40の制御下で、第1プランジャ駆動部61及び/又は第2プランジャ駆動部62が第1プランジャ51及び/又は第2プランジャ52を移動させる。具体的には、第1エアーシリンダーチューブ61aからの第1エアーシリンダーロッド61bの突出量、及び/又は、第2エアーシリンダーチューブ62aからの第2エアーシリンダーロッド62bの突出量が、調整される。なお共通連結駆動部65は、第1プランジャ51及び第2プランジャ52を第1駆動状態から第2駆動状態に移行する間は状態が維持され、共通エアーシリンダーチューブ65aからの第1連結駆動ロッド63b及び第2連結駆動ロッド64bの各々の突出量は変わらない。
一方、第1プランジャ51及び第2プランジャ52を第2駆動状態から第3駆動状態に移行する場合には、制御部40の制御下で、共通連結駆動部65が、第1プランジャ駆動部61、第1プランジャ51、第2プランジャ駆動部62及び第2プランジャ52を一体的に移動させる。図19に示される例では、第2ポート16が第1ポート15よりも右側に設けられているので、共通エアーシリンダーチューブ65aに対し、第1連結駆動ロッド63bが引っ込められるとともに第2連結駆動ロッド64bの突出量が増大させられる。なお第1プランジャ駆動部61及び第2プランジャ駆動部62は、第1プランジャ51及び第2プランジャ52を第2駆動状態から第3駆動状態に移行する間は状態が維持され、第1エアーシリンダーロッド61bの突出量及び第2エアーシリンダーロッド62bの突出量は変わらない。これにより、第2駆動状態における第1プランジャ51と第2プランジャ52との間の間隔を維持しつつ、第1プランジャ51及び第2プランジャ52を第3駆動状態に置くことができる。
そして第1プランジャ51及び第2プランジャ52を第3駆動状態から第4駆動状態に移行する場合には、制御部40の制御下で、第1プランジャ駆動部61及び/又は第2プランジャ駆動部62が第1プランジャ51及び/又は第2プランジャ52を移動させる。具体的には、第1エアーシリンダーチューブ61aからの第1エアーシリンダーロッド61bの突出量、及び/又は、第2エアーシリンダーチューブ62aからの第2エアーシリンダーロッド62bの突出量が、調整される。なお共通連結駆動部65は、第1プランジャ51及び第2プランジャ52を第3駆動状態から第4駆動状態に移行する間は状態が維持され、第1連結駆動ロッド63b及び第2連結駆動ロッド64bの共通エアーシリンダーチューブ65aからの突出量は変わらない。
なお第1プランジャ51及び第2プランジャ52を第4駆動状態から第1駆動状態に移行する場合には、制御部40の制御下で、共通連結駆動部65が、第1プランジャ駆動部61、第1プランジャ51、第2プランジャ駆動部62及び第2プランジャ52を一体的に移動させる。図19に示される例では、第1ポート15が第2ポート16よりも左側に設けられているので、共通エアーシリンダーチューブ65aに対し、第1連結駆動ロッド63bの突出量が増大させられるとともに第2連結駆動ロッド64bが引っ込められる。なお第1プランジャ駆動部61及び第2プランジャ駆動部62は、第1プランジャ51及び第2プランジャ52を第4駆動状態から第1駆動状態に移行する間は状態が維持され、第1エアーシリンダーロッド61bの突出量及び第2エアーシリンダーロッド62bの突出量は変わらない。これにより、第4駆動状態における第1プランジャ51と第2プランジャ52との間の間隔又は接触を維持しつつ、第1プランジャ51及び第2プランジャ52を第1駆動状態に置くことができる。したがって、第4駆動状態において第1プランジャ51と第2プランジャ52とが密着している場合には、第1駆動状態においても第1プランジャ51と第2プランジャ52とを密着させることができる。
上述のように図19に示される構成によれば、サーボモータのような高価なデバイスを使用することなく、エアーシリンダーのみによって駆動ユニット60を構成することができる。また駆動ユニット60を駆動するための制御も比較的簡単な方法で実現可能であり、比較的簡素なデバイスによって制御部40を構成することが可能である。
以上説明したように上述の食品製造システム1及び食品製造方法によれば、供給装置2と分離装置4との間に送出装置3を介在させることによって、ペースト状食材に過度な圧力がかかることを防ぐことができる。したがって、ペースト状食材に対する注入物質の導入をスムーズに行うことができ、ペースト状食材の所望箇所に所望量の注入物質を精度良く配置することができる。
また成形スペースSmに充填されるペースト状食材に過度の圧力がかかると、ペースト状食材が圧縮され、例えばペースト状食材の一部(例えば肉汁等の液体成分)が成形型21、22の隙間から流出してしまうことがある。したがって成形スペースSmに充填されるペースト状食材に過度の圧力がかかると、所望の味や食感を持った成形後のペースト状食材を安定的に供給することができなくなってしまったり、成形後のペースト状食材の重量がばらついてしまったりする懸念がある。一方、上述の本実施形態の送出装置3を用いることによって、成形スペースSmに充填されるペースト状食材に過度の圧力がかかることを防ぎ、所望の重量を持ち且つ所望の味や食感を持った成形後のペースト状食材を安定的に供給することができる。
また1つの食品製造システム1によって、ペースト状食材の立体成形と注入物質の注入とを行うことができる。また小さい送り出し圧によってペースト状食材を供給装置2から送出装置3を介して分離装置4に送ることができ、食材ダメージを軽減することができる。また複数の食品製造システム1が設置される場合、成形されたペースト状食材の食品製造システム1間でのばらつきを抑えることができる。また導入装置5を調整することによって、ペースト状食材に対する注入物質の導入位置を自由に変えることが可能である。
[成形型の変形例]
上述の実施形態において、成形スペースSmの水平方向D2の断面形状は高さ方向D1に関して基本的に一定であるが、成形スペースSmは他の形状を有していてもよい。例えば、第1収容スペースSm1を区画する第1成形型21の第1スペース区画面及び第2収容スペースSm2を区画する第2成形型22の第2スペース区画面のうちの少なくともいずれか一方は、少なくとも部分的にテーパー面を有していてもよい。
また上述の実施形態の成形型21、22において、第1左分割型21aと第1右分割型21bとの間の間隔、及び、第1左分割型21aと第1右分割型21bとの間の間隔は、基本的に一定であるが、これらの間隔は可変であってもよい。すなわち第1左分割型21a及び第1右分割型21bは、制御部40の制御下で、水平方向D2に関するお互いの距離が可変であってもよい。同様に、第2左分割型22a及び第2右分割型22bは、制御部40の制御下で、水平方向D2に関するお互いの距離が可変であってもよい。第1水平領域Rh1に配置された第1左分割型21aと第1右分割型21bとの間の距離は、第2水平領域Rh2に配置された第1左分割型21aと第1右分割型21bとの間の距離と異なっていてもよい。第1水平領域Rh1に配置された第2左分割型22aと第2右分割型22bとの間の距離は、第2水平領域Rh2に配置された第2左分割型22aと第2右分割型22bとの間の距離と異なっていてもよい。
例えば、第1成形型21及び第2成形型22が第1水平領域Rh1に配置された状態で、且つ、水平方向D2に関する第1左分割型21aと第1右分割型21bとの間の距離が第1離間距離である状態で、成形スペースSmにペースト状食材を充填することができる。この場合、第1成形型21及び第2成形型22が第2水平領域Rh2に配置された状態で、且つ、水平方向D2に関する第1左分割型21aと第1右分割型21bとの間の距離が第1離間距離よりも大きい状態で、ペースト状食材が成形スペースSmからリリースされてもよい。
また例えば、水平方向D2に関する第2左分割型22aと第2右分割型22bとの間の距離が第2離間距離である状態で、成形スペースSmにペースト状食材を充填することができる。この場合、第1成形型21及び第2成形型22が第2水平領域Rh2に配置された状態で、第2左分割型22aと第2右分割型22bとの間の水平方向D2の距離が第2離間距離よりも大きくされてもよい。
第1成形型21及び第2成形型22が第2水平領域Rh2に配置された状態で、第1左分割型21a及び第1右分割型21bのペアと第2左分割型22a及び第2右分割型22bのペアとのうちの両方が又は一方のみが、相互間距離を大きくされてもよい。また第1左分割型21a及び第1右分割型21bのペアと第2左分割型22a及び第2右分割型22bのペアとのうちの両方の相互間距離が実質的に同時に大きくされてもよいし、これらのペアのうちの一方の相互間距離が大きくされた後に他方の相互間距離が大きくされてもよい。
図20及び図21は、第1成形型21及び第2成形型22の一変形例を示す断面図であり、ペースト状食材の図示が省略されている。図20は、成形スペースSmにペースト状食材が保有されている状態の第1成形型21及び第2成形型22を示す。図21は、ペースト状食材をリリースする際の第1成形型21及び第2成形型22を示す。
図20及び図21に示される第2成形型22(すなわち第2左分割型22a及び第2右分割型22b)は、上述の実施形態の第2成形型22(図1及び図2参照)と同様に、楕円柱状の第2収容スペースSm2を有する。一方、図20及び図21に示される第1成形型21は、テーパー面によって構成される第1スペース区画面Sd1を有し、第1スペース区画面Sd1によって区画される第1収容スペースSm1はテーパー形状を有し、第1収容スペースSm1の水平方向D2の断面径は下方に向かうほど小さくなる。ここで言うテーパーは、先細りになる状態全般を含みうる概念であり、例えば線形テーパー及び指数関数テーパーだけではなく放物線テーパーも含みうる。
図20及び図21に示される第1成形型21及び第2成形型22に関し、成形スペースSmにペースト状食材が充填され且つ当該ペースト状食材をリリースする直前の第1左分割型21aと第1右分割型21bとの間の水平方向D2の距離を「dta1」で表し、第2左分割型22aと第2右分割型22bとの間の水平方向D2の距離を「dta2」で表す。また成形スペースSmに充填されたペースト状食材をリリースする際の第1左分割型21aと第1右分割型21bとの間の水平方向D2の距離を「dtb1」で表し、第2左分割型22aと第2右分割型22bとの間の水平方向D2の距離を「dtb2」で表す。この場合、「dta1<dtb1」の関係が満たされてもよい。また「dta2<dtb2」の関係が満たされてもよい。
すなわちペースト状食材をリリースする際に第1左分割型21aと第1右分割型21bとの間の距離を大きくすることによって、ペースト状食材を第1成形型21(特に第1スペース区画面Sd1)から離すことができる。またペースト状食材をリリースする際に第2左分割型22aと第2右分割型22bとの間の距離を大きくすることによって、ペースト状食材を第2成形型22(特に第2スペース区画面Sd2)から離すことができる。このように第1成形型21及び第2成形型22を成形スペースSmに配置されたペースト状食材から引き離すことによって、ペースト状食材を成形型21、22からスムーズにリリースすることができる。特にこの場合、第1成形型21及び第2成形型22の構成材料、第1スペース区画面Sd1及び第2スペース区画面Sd2の形状(すなわち成形スペースSmの形状)及びペースト状食材の特性(例えば粘着性)等によっては、打抜装置9を用いることなく、ペースト状食材を成形型21、22からリリースすることも可能である。
図22及び図23は、第1成形型21及び第2成形型22の他の変形例を示す断面図であり、ペースト状食材の図示が省略されている。図22は、成形スペースSmにペースト状食材が保有されている状態の第1成形型21及び第2成形型22を示す。図23は、ペースト状食材をリリースする際の第1成形型21及び第2成形型22を示す。
図22及び図23に示される成形型21、22において、第1スペース区画面Sd1によって区画される第1収容スペースSm1だけではなく、第2スペース区画面Sd2によって区画される第2収容スペースSm2もテーパー形状を有する。すなわち第2成形型22は、テーパー面によって構成される第2スペース区画面Sd2を有し、第2スペース区画面Sd2によって区画される第2収容スペースSm2はテーパー形状を有し、第2収容スペースSm2の水平方向D2の断面は上方に向かうほど小さくなる。この場合にも、「dta1<dtb1」の関係が満たされてもよい。また「dta2<dtb2」の関係が満たされてもよい。これらの場合、ペースト状食材を成形型21、22からスムーズにリリースすることができる。
このように成形スペースSmを区画する成形型21、22のスペース区画面Sd1、Sd2が高さ方向D1と非平行に延在する面を含む場合であっても、上述の食品製造システム1及び食品製造方法を適用することができる。特に、成形型21、22のスペース区画面Sd1、Sd2が高さ方向D1と非平行な面を含むことによって、ペースト状食材の成形形状に丸みや傾斜を持たせることができる。このようにペースト状食材の成形形状の自由度が大幅に高められ、例えばペースト状食材を球状に成形することも可能である。
なお、上述のように第2水平領域Rh2に配置された成形型21、22からペースト状食材をリリースする際に、第1左分割型21aと第1右分割型21bとの間の距離及び/又は第2左分割型22aと第2右分割型22bとの間の距離を大きくする場合であって、成形スペースSmにペースト状食材を充填する前に離型剤を付与する場合には、離型剤付与装置は、第1成形型21及び第2成形型22が第1水平領域Rh1に配置されている状態で、少なくとも第1スペース区画面Sd1に離型剤を付与することが好ましい。また第1成形型21及び第2成形型22が第1水平領域Rh1から第2水平領域Rh2に移動する際に、進行方向側にペースト状食材が存在する第1成形型21及び第2成形型22の面(例えば第1左分割型21aの第1スペース区画面Sd1及び第2左分割型22aの第2スペース区画面Sd2)に対し、離型剤が付与されることが好ましい。もちろん、第1成形型21及び第2成形型22からのペースト状食材の向上の観点からは、第1成形型21及び第2成形型22のうちペースト状食材と接触しうる面の全体(すなわち第1スペース区画面Sd1及び第2スペース区画面Sd2の全体)に対し、離型剤が付与されることが好ましい。
図24は、離型剤付与装置41の一例を示す図である。離型剤付与装置41は、制御部40の制御下で、成形スペースSmと外部(特に成形型21、22よりも外側)との間で付与部41aを移動させることができ、必要に応じて付与部41aから離型剤70を吐出させることができる。
成形型21、22からのペースト状食材のスムーズなリリースを促すため、離型剤付与装置41は、成形スペースSmからペースト状食材をリリースした後であって次のペースト状食材が成形スペースSmに充填される前に、成形スペースSmを区画するスペース区画面Sd1、Sd2(すなわち第1スペース区画面Sd1、第2スペース区画面Sd2、或いは第1スペース区画面Sd1及び第2スペース区画面Sd2の両方)に離型剤70を付与してもよい。離型剤70の具体的な組成は限定されない。離型剤70は、スペース区画面Sd1、Sd2にペースト状食材が過度に粘着することを抑えることができる物質であればよく、例えば水(例えば常温の水(5~35℃)、常温よりも低い温度の水、或いは常温よりも高い温度の水)、であってもよい。
第2水平領域Rh2に配置された成形型21、22からペースト状食材をリリースする際に、第1左分割型21aと第1右分割型21bとの間の距離及び/又は第2左分割型22aと第2右分割型22bとの間の距離を大きくする場合、スペース区画面Sd1、Sd2に対する離型剤70の付与を必ずしも効率的且つ精度良く行うことができない。一方、第1水平領域Rh1に成形型21、22を配置しつつ新たなペースト状食材を成形スペースSmに充填する際には、第1左分割型21aと第1右分割型21bとの間の距離及び第2左分割型22aと第2右分割型22bとの間の距離は小さい。したがって、スペース区画面Sd1、Sd2に対する離型剤70の付与を効率的且つ精度良く行う観点からは、成形型21、22が第1水平領域Rh1に配置されている状態で(特に、「第1左分割型21aと第1右分割型21bとの間の距離=dta1」及び「第2左分割型22aと第2右分割型22bとの間の距離=dta2」の状態で)、離型剤付与装置41の付与部41aを成形スペースSmに配置し、付与部41aによって第1スペース区画面Sd1及び/又は第2スペース区画面Sd2に離型剤70を付与することが好ましい。特に、成形スペースSmにペースト状食材が充填される直前に、第1スペース区画面Sd1及び/又は第2スペース区画面Sd2に離型剤70を付与することが好ましい。
ただし成形型に対する離型剤70の付与が実行される際の成形型の配置場所は限定されず、成形型が第2水平領域Rh2に配置されている状態で、成形型に離型剤70が付与されてもよい。例えば、単一部材によって第1成形型21及び第2成形型22の両者が構成される場合、第1成形型21及び第2成形型22の各々が単一部材によって構成される場合、或いは第1成形型21及び第2成形型22のうちの一方のみが単一部材によって構成される場合、第1成形型21及び第2成形型22の一方又は両方は、水平方向D2のサイズが一定であるシリンダー形状の孔を有するため、基本的には第1成形型21及び第2成形型22の配置場所にかかわらず、離型剤70の付与を効率的且つ精度良く行うことが可能である。
[食品製造システム及び食品製造方法の変形例]
上述の食品製造システム1及び食品製造方法は、2つのプランジャ(すなわち第1プランジャ51及び第2プランジャ52)を具備するダブルプランジャタイプの送出装置3が用いられているが、他のタイプの送出装置3が用いられてもよい。すなわち送出装置3は、第1ゲージ圧で送られてくるペースト状食材を受け取って、第1ゲージ圧よりも低い第2ゲージ圧でペースト状食材を送り出すことができる任意の構成を有しうる。
典型的には、食品製造システム1は、送出装置3に接続される供給管(上述の第1中継案内部7参照)及び放出管(上述の第2中継案内部8参照)を備え、送出装置3は、供給管からペースト状食材を受け取って、放出管にペースト状食材を送り出すことができる。この場合、送出装置3は、供給管から送出装置3へのペースト状食材の流入を遮断した状態で、放出管にペースト状食材を送り出すことで、供給管から送出装置3に流入するペースト状食材に作用する圧力(第1ゲージ圧)よりも、放出管におけるペースト状食材に作用する圧力(第2ゲージ圧)を低くすることが可能である。この場合、供給管から送出装置3へのペースト状食材の流入の遮断は、供給管と送出装置3との間の連通を完全に遮断し、ペースト状食材及び気体が基本的に供給管と送出装置3との間で流出入できないように行われることが好ましい。ただし必ずしもそのような完全な遮断は必要とされず、供給管内のペースト状食材から放出管内のペースト状食材に対する圧力の影響が少なくとも部分的に低減され、供給管内のペースト状食材の圧力よりも放出管内のペースト状食材の圧力が低くなるように、供給管から送出装置3へのペースト状食材の流入が遮断されればよい。
そのような送出装置3は上述のように様々な構成を有しうるが、プランジャタイプの送出装置3は安価且つ簡素に構成可能である。プランジャタイプの送出装置3は、典型的には、案内管(上述の周壁部50参照)と、案内管に沿って移動可能に設けられる1又は複数のプランジャと、を有する。プランジャタイプの送出装置3では、1又は複数のプランジャの案内管に沿った移動に応じて、所望量のペースト状食材を送出装置3に供給することができ、また所望量のペースト状食材を送出装置3(例えば案内管)から放出することができる。
以下、1つのプランジャを具備するシングルプランジャタイプの送出装置3の一例を説明する。
図25及び図26は、シングルプランジャタイプの送出装置3の一例を示す概略図である。図25は、三方弁85を介して供給管81と案内管83とが連通されている状態を示す。図26は、三方弁85を介して案内管83と放出管82とが連通されている状態を示す。図25及び図26において、実線の矢印はプランジャ84の移動方向を示し、点線の矢印はペースト状食材100の移動方向を示す。図25及び図26において、三方弁85以外の要素は断面状態が示されており、三方弁85は外観状態が示されている。また図25及び図26では、図示の煩雑さを回避するために、三方弁85の具体的な構成の図示は省略し、三方弁85におけるペースト状食材100の概念的な流路が点線によって示されている。三方弁85は、連通方向を変えることが可能な任意の構成を有することができ、例えばロータリー型電動三方弁を三方弁85として好適に用いることができる。また連通方向を適切に変えることができる他のデバイスを、三方弁85の代わりに用いることもできる。
図25及び図26に示す食品製造システム1において、ペースト状食材100を供給管81から送出装置3の案内管83に供給する場合、三方弁85は、供給管81及び案内管83を互いに接続するとともに、放出管82を供給管81及び案内管83から遮断する(図25参照)。この状態で、プランジャ84が案内管83に沿って移動し、案内管83のうち三方弁85を介して供給管81と連通する内部空間の体積を増大させることによって、当該内部空間は供給管81からのペースト状食材100によって満たされる。この際、プランジャ84は案内管83の内面と密着しつつ案内管83に沿って移動し、案内管83のうち三方弁85を介して供給管81と連通する内部空間は、プランジャ84の移動によって負圧を有し、供給管81からのペースト状食材100による充填が促される。その一方で、供給管81内のペースト状食材100は、供給装置2から比較的高い圧力を受けており、環境圧よりも高い圧力を有する。そのため通常は、案内管83のうち三方弁85を介して供給管81と連通する内部空間は、プランジャ84の移動とともにペースト状食材100が素早く且つ隙間無く充填される。
案内管83内に十分量のペースト状食材100が充填された後、制御部40(図3参照)の制御下で、三方弁85は、放出管82及び案内管83を互いに接続するとともに、供給管81を放出管82及び案内管83から遮断する(図26参照)。この状態で、プランジャ84が案内管83に沿って移動し、案内管83のうち三方弁85を介して放出管82と連通する内部空間の体積を低減させることによって、当該内部空間から三方弁85を介して放出管82にペースト状食材100が送り出される。この際、放出管82は、環境圧又は真空圧に置かれている分離装置4に接続されており、また供給管81とはつながっていない。そのため、プランジャ84は、比較的低い圧力を案内管83内のペースト状食材100に加えつつ移動することができ、放出管82内のペースト状食材100に作用する圧力(ゲージ圧)を非常に小さくすることができる。
なおシングルプランジャタイプの送出装置3は、図25及び図26に示す例には限定されない。例えば、図示は省略するが、供給管81と案内管83との間おけるペースト状食材100の移動を制限しうる第1チェック弁と、放出管82と案内管83との間おけるペースト状食材100の移動を制限しうる第2チェック弁とを具備する弁構造体が、上述の三方弁85の代わりに設けられてもよい。例えば、案内管83内の圧力(案内管83内のペースト状食材100の圧力を含む)が供給管81内のペースト状食材100の圧力よりも低い場合、第1チェック弁は、供給管81から案内管83へのペースト状食材100の流入を許容することができる。一方、案内管83内の圧力(案内管83内のペースト状食材100の圧力を含む)が供給管81内のペースト状食材100の圧力よりも高い場合、第1チェック弁は、供給管81と案内管83との間のペースト状食材100の流路を遮断し、案内管83から供給管81にペースト状食材100が流出することを防ぐことができる。また案内管83内の圧力(案内管83内のペースト状食材100の圧力を含む)が放出管82内のペースト状食材100の圧力よりも低い場合、第2チェック弁は、放出管82と案内管83との間のペースト状食材100の流路を遮断し、放出管82から案内管83にペースト状食材100が流入することを防ぐことができる。一方、案内管83内の圧力(案内管83内のペースト状食材100の圧力を含む)が放出管82内のペースト状食材100の圧力よりも高い場合、第2チェック弁は、案内管83から供給管81へのペースト状食材100の流入を許容することができる。
チェック弁は、典型的には、球状の移動体、移動体に弾性力を作用させるスプリング等の弾性体、及び移動体の移動を制限するストッパーを有するが、移動体とストッパーとの間に固形物が挟まるとチェック弁の機能が阻害される。したがってペースト状食材100が固形物を含む場合、上述のチェック弁を具備する弁構造体よりも、そのような移動体及びストッパーを含まない弁構造体(例えばロータリー型電動三方弁)の方が、送出装置3が有する弁構造体として好ましい。
上述のようにシングルプランジャタイプの送出装置3は、ペースト状食材を送り出すためのプランジャ84と、供給管81、放出管82及び案内管83の間の流路を開閉するための弁(上述の三方弁85及びチェック弁参照)とが別個に設けられる。またシングルプランジャタイプの送出装置3は、1つのプランジャによってペースト状食材を送り出すため、ペースト状食材の送り出し量が1つのプランジャの移動量によって制限される。一方、上述の図6~図19に示すダブルプランジャタイプの送出装置3は、第1プランジャ51及び第2プランジャ52が、ペースト状食材を送り出す機能を果たすとともに、第1ポート15、第2ポート16、及び周壁部50の間の流路を開閉する機能を果たす。そのため上述のダブルプランジャタイプの送出装置3は、流路を開閉するための弁を別個に設ける必要がなく、比較的簡素な構成を有することができ、比較的軽い負荷で洗浄等のメンテナンスを行うことが可能である。またダブルプランジャタイプの送出装置3は、ペースト状食材の送り出し量が2つのプランジャの移動量に応じて決まるため、短時間で多量のペースト状食材を送り出すことが可能である。
[他の変形例]
本開示は、上述の実施形態及び変形例には限定されない。
例えば、送出装置3の周壁部50(特に内部空間53)が延びる方向は高さ方向D1に限定されず、水平方向D2に延びていてもよいし、他の方向に延びていてもよい。
また上述の実施形態では、ペースト状食材が成形スペースSmに充填される前から導入装置5の導入針5aが成形スペースSmに配置されているが、成形スペースSmに対してペースト状食材が充填されている間又は成形スペースSmに対してペースト状食材が充填された後に、導入針5aを移動させて成形スペースSmに配置してもよい。
また上述の実施形態の導入装置5は、導入針5aを使ったインジェクション法を利用しているが、他の方法によって、ペースト状食材100に注入物質を導入してもよい。導入装置5は、例えば5℃以上の温度範囲の少なくとも一部においてゲル状を呈する物質を食肉含有原料に局在させ且つ定量的に注入することが可能な任意のデバイスを具備していてもよい。導入装置5は、そのようなデバイスとして、例えばシリンジ等の注射器や、食肉加工分野においてピックル液や調味液等の液状物を食肉に注入するのに汎用されているインジェクター等を、具備していてもよい。
また上述の実施形態の導入装置5は、第1水平領域Rh1に配置された成形型21、22の成形スペースSmに配置されたペースト状食材或いは第2中継案内部8に配置されたペースト状食材に対して注入物質を導入するが、他の箇所に存在するペースト状食材に注入物質を導入してもよい。例えば、充填孔31に位置するペースト状食材、或いは、第2水平領域Rh2に配置された成形型21、22の成形スペースSmに位置するペースト状食材に対して、注入物質が導入されてもよい。
また導入装置5は設けられていなくてもよく、注入物質がペースト状食材100に導入されなくてもよい。例えば、上述の注入物質に相当する物質を、分離装置4によって分離された後のペースト状食材100(上述の実施形態では搬送装置6によって搬送されているペースト状食材100及び/又は搬送装置6よりも後段に送られたペースト状食材100)に対して付与してもよい。また、注入物質に相当する物質をペースト状食材100の表面に対して付与したり、注入物質に相当する物質の上にペースト状食材100を載せることによって当該物質をペースト状食材100に付与したりしてもよい。
また成形スペースSmにペースト状食材100を充填する際に、真空ポンプ等の装置を使って、成形スペースSmを、分離装置4の周囲の環境圧よりも低い圧力状態(例えば大気圧よりも低い真空状態)にしてもよい。この場合、成形スペースSmへのペースト状食材100の充填を素早く且つ適切に行うことができる。
また上述の実施形態及び変形例の第2成形型22は、第1水平領域Rh1に配置されている期間(成形スペースSmにペースト状食材100が充填される期間を含む)、第1水平領域Rh1から第2水平領域Rh2に移動する期間、及び第2水平領域Rh2に配置されている期間(ペースト状食材100をリリースする処理が行われている期間を含む)、成形スペースSmの上方を外部に露出しているが、これらの期間の少なくともいずれかにおいて成形スペースSmの上方を外部から遮断してもよい。例えば第2収容スペースSm2が、水平方向D2の断面が上方に向かうほど小さくなるようなテーパー形状を有する場合(例えば図22及び図23参照)、第2左分割型22aと第2右分割型22bとを水平方向D2に関して接触させることで、成形スペースSmが上方において外部に露出されることを防ぐことができる。
また上述の実施形態及び変形例の第1成形型21は、第1水平領域Rh1から第2水平領域Rh2に移動する期間、成形スペースSmの下方を外部から遮断してもよい。例えば第1収容スペースSm1が、水平方向D2の断面が下方に向かうほど小さくなるようなテーパー形状を有する場合(例えば図21~図23参照)、第1左分割型21aと第1右分割型21bとを水平方向D2に関して接触させることで、成形スペースSmが下方において外部に露出されることを防ぐことができる。
また送出装置3及び分離装置4に対するペースト状食材の供給方向及び放出方向は限定されない。例えば、第2ポート16から延びる第2中継案内部8を、上方から成形スペースSmに接続してもよい。この場合、成形スペースSmにはペースト状食材が上方から供給される。この場合、成形スペースSmにペースト状食材が供給されている間、ペースト状食材が成形スペースSmから落下しないように、成形スペースSmの下方が塞がれている必要がある。この場合、成形スペースSmの下方は任意の部材によって塞がれることが可能であり、成形型以外の部材(例えば第1型ガイド部28)が成形スペースSmの下方を塞いでもよいし、成形型自体(例えばテーパー形状を有し且つ下方部分がお互いに接触した第1左分割型21a及び第1右分割型21b)が成形スペースSmの下方を塞いでもよい。
また分離装置4は、成形型(第1成形型21及び第2成形型22)を含んでいなくてもよい。分離装置4は、成形以外の方法によって、送出装置3から送り出された後のペースト状食材100を分離してもよく、食品製造システム1はペースト状食材100の成形処理を実施しなくてもよい。
図27は、分離装置4の一変形例を説明するための食品製造システム1の概略図である。図27に示す分離装置4は、開閉可能な複数のシャッター部材4aを有し、ペースト状食材100を切断するカッターとして構成されている。図27に示す食品製造システム1の他の構成要素は、基本的に、上述の図1に示す食品製造システム1と同様の構成を有するとともに同様に作動する。
図27に示す食品製造システム1において、ペースト状食材100は、供給装置2から第1中継案内部7を介して送出装置3に送られ、送出装置3から第2中継案内部8に送り出される。本変形例の導入装置5は、第2中継案内部8内のペースト状食材100に注入物質を導入する。ペースト状食材100は、注入物質が注入された後に第2中継案内部8から放出されるが、第2中継案内部8の放出出口付近に設けられた分離装置4の複数のシャッター部材4aが閉鎖動作を行うによって切断される。シャッター部材4aによって切断されたペースト状食材100は、落下して送出コンベア89上に載せられ、分離食材103として送出コンベア89によって後段に送られる。
また上述の実施形態及び変形例の各要素に各種の変形が加えられてもよい。また上述の構成要素及び/又は方法以外の構成要素及び/又は方法を含む形態も、本開示の実施形態に含まれる。また、上述の構成要素及び/又は方法のうちの一部の要素が含まれない形態も、本開示の実施形態に含まれる。また、本開示のある実施形態に含まれる一部の構成要素及び/又は方法と、本開示の他の実施形態に含まれる一部の構成要素及び/又は方法とを含む形態も、本開示の実施形態に含まれる。したがって、上述の実施形態及び変形例、及び上述以外の本開示の実施形態の各々に含まれる構成要素及び/又は方法同士が組み合わされてもよく、そのような組み合わせに係る形態も本開示の実施形態に含まれる。また、本開示によって奏される効果も上述の効果に限定されず、各実施形態の具体的な構成に応じた特有の効果も発揮されうる。このように、本開示の技術的思想及び趣旨を逸脱しない範囲で、特許請求の範囲、明細書、要約書及び図面に記載される各要素に対して種々の追加、変更及び部分的削除が可能である。
[ペースト状食材]
ペースト状食材は、流動性を有する不定形の粘性食材を含み、その具体的な構成成分は限定されず、単一種類の食材で構成されていてもよいし、複数種類の食材を含んでいてもよい。例えば肉、魚介、野菜、キノコ、穀物、果物、海藻、豆、チョコレート、クッキー、クラッカー、パフ(puff)、キャンデー、グミ(gummies)及びその他の固形食材だけではなく、卵、乳汁、水分、油、調味料、香辛料、糖類、穀物粉、澱粉類、ゲル化剤、増粘剤及びその他の液体食材や粉体食材も、ペースト状食材に含まれうる。このようにペースト状食材は、固体、液体及び/又は気体を含んでいてもよく、状態の異なる複数の原材料(例えば固体状の原材料及び液体状の原材料)を含んでいてもよい。例えば、春巻き、ハンバーグ、コロッケ、から揚げ、すり身加工食品(例えばさつま揚げ)、豆腐加工食品(例えばがんもどき)、和菓子(例えば今川焼き等)、ワッフル(例えば原宿ドッグ(登録商標)等)、各種のバッター(batter)、シュウマイ及び餃子等の食品で使用する具材を、ペースト状食材として扱いうる。
[注入物質]
導入装置5によってペースト状食材の内部に注入物質は限定されない。すなわち注入物質は、固体、液体及び/又は気体を含んでいてもよく、状態の異なる複数の原材料(例えば固体状の原材料及び液体状の原材料)を含んでいてもよく、ペースト状食材と共通の原材料を含んでいてもよく、注入物質は流動性を有していてもよいし有していなくてもよい。例えば加熱調理されることが予定されているペースト状食材(例えば冷凍食材、チルド食材或いは常温食材)に対し、調理時の加熱によって(例えば調理時に推奨される温度範囲にペースト状食材を加熱することによって)状態が変化する物質を注入物質として使用してもよい。そのような注入物質として、例えばペースト状食材の調理時の加熱によって固体から液体に変わる物質、液体から気体に変わる物質、或いは固体から気体に昇華する物質を使用しうる。
例えば、食肉加工食品として利用されるペースト状食材に、ゲル状物を注入物質として導入することで、食品のジューシー感を増大させることができる。
食肉加工食品は、食肉を主原料とした食品であり、必要に応じて副原料(例えば玉ねぎ等の野菜)を含み、必要に応じて加熱調理され、例えば加熱調理された後に冷凍されてもよい。食肉の種類としては、畜肉(例えば牛肉、豚肉、羊肉、馬肉、鹿肉、山羊肉及び家兎肉等)及び家禽肉(例えば鶏肉、七面鳥肉、アヒル肉及びガチョウ肉等)などが挙げられる。食肉加工食品は、これらの食肉のうちの1種類の食肉を単独で用いてもよく、2種以上の食肉を混合して用いてもよい。食肉含有原料は、食肉を主原料として含有していればよく、食肉が100%であってもよい。食肉は、挽肉の形状に加工されたものであっても、塊肉を適当な大きさと厚みに切断したものであってもよい。挽肉の形状への加工は、常法により行うことができ、ブロック状やフレーク状のものを、例えばカッター、チョッパー等を用いて細かく挽いてもよい。挽肉の粒径は、食肉加工食品の種類に応じて適宜選択することができる。例えば、ハンバーグやミートボール等の場合には、平均粒径1~12mmとなるように均一に加工することが望ましい。
そのような食肉加工食品として、例えば、ハンバーグ、ミートボール、メンチカツ、つくね、ミートローフ、ソーセージ、ハム、ロールキャベツ、サラダチキン、照り焼きチキン、肉まん、肉餃子、肉シュウマイ、チキンステーキ、コロッケ、から揚げ、ポークソテー、及びとんかつ等が挙げられる。
ゲル状物はゲル状の物質であり、例えばゼリー(例えば寒天やゼラチン)などのゲル自体や、比較的大量の水分を含み且つゲルが分散状態をとる物質(例えばジュレ等)を、ゲル状の注入物質として用いうる。なお広義には、標準大気圧(1atm)下で、常温(5~35℃)では固形状を呈するが、加熱されることで柔らかくなって流動性を呈する物質も、ゲル状物質に分類される。またゲル化剤を液体(水等)に加えて加熱溶解してゲル化剤溶液を作り、当該ゲル化剤溶液を冷却することによって得られる物質を注入物質として用いてもよい。なお、ゲル化剤は、ゲル化剤溶液を冷却することによって得られる物質を、流動性を持つゲルとして作り出すことも可能である。そのようなゲル化剤として、例えば、脱アシル型ジェランガム、寒天、カラギーナン、ペクチン、ローカストビーンガム、キサンタンガム、グアーガム、タラガム、グルコマンナン、アラビアガム、カラヤガム、トラガントガム、サイリウムシードガム、ファーセルラン、及びプルラン等の増粘多糖類が挙げられる。例えば、これらの物質から選択される1又は2以上の物質が、ゲル化剤として使用されてもよい。またゲル化剤は、市販品であってもよいし、複数の市販品が組み合わせた物質であってもよい。
なお注入物質は、上記ゲル化剤溶液を主原料として調製されるものに限られない。例えば、食肉をチョッパー等で3mm以下に細かく挽いた挽肉を主原料とした食材、細かくすり潰されたマッシュポテトを主原料とした食材、或いはこれらの食材に対して更に調味料等の副原料が混合されたもの、等を注入物質として用いうる。
食肉加工食品中のゲル状物の含有量は、1~15重量%が好ましく、2~8重量%がより好ましい。ゲル状物の含有量が1重量%より少ない場合、食品のジューシー感が乏しくなり、ゲル状物の含有量が15重量%より多い場合、食品の形状の保持性や食感が悪くなる。