JP7305106B2 - 過給機付きエンジンの制御装置 - Google Patents
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Description
このようなターボラグに起因した加速応答性低下を改善する有効な技術の1つとして、タービン効率を連続的に変更可能とした可動ベーン付きターボ過給機(Variable Geometry Turbocharger: VGT)が存在している。
特許文献1の内燃機関システム制御装置は、エンジンと、可動ベーンを有する可動ベーン付きターボ過給機と、エンジンの出力トルクを制御するトルク制御手段とを備え、トルク制御手段が、過給圧の制御状態に基づきターボ過給機の個体差に相当するトルク制御初期値を学習する学習手段を有している。これにより、過給圧のフィードバック制御において、ターボ過給機製造時の個体差、所謂構造上の寸法公差(全閉開度の初期ばらつき)の影響を低減している。
圧力比マップMは、横軸が吸気体積流量Qa(m3/sec)、縦軸が圧力比p/poで表され、両者の関係が、コンプレッサ回転数毎に曲線で示されている。圧力比は、コンプレッサの下流側圧力pをコンプレッサの上流側圧力poで除算した値を用いる。
同じ吸気体積流量Qaの場合、ターボ過給機製造時の寸法公差が大きい下限品の過給機特性F2は、寸法公差が小さい上限品やセンタ値を有する中間品の過給機特性F1よりも圧力比が低い特性を示し、可動ベーンの開度については、開きぎみの開弁傾向になっている。
しかし、特許文献1の技術は、エンジン運転中にターボ過給機製造時の個体差を学習しているため、フィードバック制御中、可動ベーンが製造時の寸法公差や経年劣化以外、具体的には、外気温度や排気ガス温度等の外的要因の影響を受ける虞があり、ターボ過給機製造時の可動ベーンの個体差を精度よく良く検出することが困難である。それ故、過給圧フィードバック制御の初期値にばらつきが生じることから、制御上の収束期間が長期化して応答遅れが生じる虞がある。
即ち、ターボ過給機の応答性の観点において、改善の余地が残されている。
制御ユニットは、前記第1クラッチ締結時、前記エンジンに吸入される空気量と吸気圧力に基づいて検出された過給機特性を用いて前記可動ベーンの開度を補正するため、寸法公差以外の外的要因の影響を排除した過給機特性を検出することができ、外的要因の影響を排除した過給機特性を用いて可動ベーンの開度を高精度に制御することができる。
この構成によれば、動力源から車輪に伝達される駆動力を確実に切断した状態でエンジンを駆動することができる。
この構成によれば、走行性に影響を与えない検査条件が成立したとき、外的要因の影響を排除した過給機特性を検出することができる。
この構成によれば、過給機特性を検出するタイミングを車両の走行距離で管理することができ、不要な過給機特性の検出を制限することができる。
この構成によれば、過給機特性を検出するタイミングをディーラーへの入庫時で管理することができ、不要な過給機特性の検出を制限することができる。
この構成によれば、過給機特性を短期間で検出することができる。
以下の説明は、本発明をハイブリッド車両に適用したものを例示したものであり、本発明、その適用物、或いは、その用途を制限するものではない。
まず、実施例1に係るハイブリッド車両のパワートレインPTの概略について説明する。
図1に示すように、このハイブリッド車両のパワートレインPTは、第1動力源として直列4気筒ディーゼルエンジン1と、このエンジン1の下流側位置に配設された第2動力源としてのモータジェネレータ(以下、モータと略す。)2と、このモータ2の下流側位置に配設された自動変速機(以下、ATと略す。)3と、駆動力を左右1対の車輪5に対して分配するデファレンシャルギヤ機構(以下、デフ機構と略す。)4等を備えている。デフ機構4は、AT3の出力軸8を介して駆動力が入力され、操舵状態に応じて左右の車輪5に夫々対応した駆動軸9(ドライブシャフト)への駆動力分配率を変更可能に構成されている。
更に、低負荷・低速運転、具体的には、始動、減速(減速回生を含む)、定常運転時に実行される電気走行モード(以下、EVモードと表す。)が要求された場合、第1クラッチ10aが開放され、第2クラッチ10bが締結される。この状態でモータ2を駆動した場合、モータ2の回転出力がAT3側に伝達される。AT3は、伝達された回転出力を選択された変速段に変速してAT3の出力軸8から出力する。AT3の出力軸8からの駆動力は、デフ機構4を介して左右の車輪5に至り、EVモードによる走行が実行される。
図2に示すように、エンジンシステムSは、エンジン1と、エンジン1に吸気を供給する吸気系20と、エンジン1から排出される排気ガスを車両の外部に排出するための排気系30と、エンジン1に燃料を供給するための燃料供給系40と、可変容量のターボ過給機50と、エンジンシステムSの制御を行う制御ユニット60等を有している。
排気通路32における排気マニホールドよりも排気下流側には、排気上流側から順に、高圧EGR装置33の高圧EGR通路34と排気通路32との接続部と、排気通路32を通過する排気ガスによって回転されると共にこの回転によってコンプレッサ50aを回転駆動するターボ過給機50のタービン50bとが設けられている。
図3,図4に示すように、タービン50bは、タービンケーシング51内に形成されたタービン室51aの略中央部に配置されており、このタービン50bの周囲を取り囲むように複数の可動ベーン50cが設けられている。各可動ベーン50cは、タービン室51aの一方側の壁部を貫通する支軸50dによって回動可能に支持されている。
制御ユニット60は、検査モード実行時、第1クラッチ10aを締結してモータ2によりエンジン1を燃料供給、点火、爆発行程を伴わない擬似駆動させると共に、擬似駆動されたエンジン1に吸入される吸気量(空気量)と吸気圧力に基づいて検出された過給機特性F(例えば、図8のF2に相当する。)を用いて可動ベーン50cの開度を補正している。この制御ユニット60は、各種プログラムを実行する中央演算処理部、メモリ(RAM、ROM)、及び入出力バス等によって構成されている。
走行制御部61は、車速と負荷とをパラメータとして設定されたマップ(図示略)に基づき運転モードを判定すると共に、運転モードの1つである検査モードにおいて、ターボ過給機50の過給機特性Fを検出している。そして、この走行制御部61は、検出された過給機特性Fに基づき可動ベーン50cの製造時における全閉開度の初期ばらつきを補正する初期補正量θbを検出している。
Θ=θ+θc …(1)
そして、目標過給圧が実過給圧よりも高い場合には、過給圧を増加するため、目標開度ΘからF/B補正項に相当する補正開度Δθを減算した値相当のデューティ率がデューティソレノイドバルブ57に印加される。また、目標過給圧が実過給圧よりも低い場合には、過給圧を減少するため、目標開度ΘにF/B補正項に相当する補正開度Δθを加算した値相当のデューティ率がデューティソレノイドバルブ57に印加される。
尚、Si(i=1、2…)は、各処理のためのステップを示している。
S2では、車両が加速運転以外で走行しているか否か判定する。
S2の判定の結果、車両が加速運転以外で走行している場合、EVモードと検査モードのうち何れかの運転モードが実行されているため、S3に移行する。
S3では、車両が停車しているか否か判定する。
S3の判定の結果、車両が停車している場合、エンジン1を擬似駆動するタイミングか否か判定するため、S4に移行する。
尚、累積走行距離は、初期補正量θbが設定されたタイミングで一旦リセットされる。
S4の判定の結果、車両の累積走行距離が所定の判定閾値以上の場合、ターボ過給機50(可動ベーン50c)が経年劣化している可能性があるため、S6に移行する。
S4の判定の結果、車両の累積走行距離が所定の判定閾値未満の場合、車両がディーラー入庫しているか否か判定する(S5)。S5の判定の結果、車両がディーラー入庫している場合、エンジン1が擬似駆動可能であるため、S6に移行する。
次に、所定のコンプレッサ回転数における吸気体積流量Qaと圧力比p/poとに基づき現時点のターボ過給機50の過給機特性Fを検出した後(S8)、S9に移行する。
S9では、S8で検出したターボ過給機50の過給機特性Fと予め保有する中間品の過給機特性F0との比較により初期補正量θbを設定した後、モータ2の回転駆動を停止すると共に検査モードを終了して(S10)、リターンする。
S11では、第1クラッチ10aを開放すると共に第2クラッチ10bを締結してモータ2を回転駆動するEVモードを実行した後、リターンする。
S2の判定の結果、車両が加速運転している場合、高出力が要求されているため、S12に移行する。S12では、第1,第2クラッチ10a,10bを締結してHEVモードを実行した後、リターンする。
S22では、目標過給圧マップを用いて現時点における目標過給圧を設定する。
次に、可動ベーン50cの目標開度Θを設定して(S23)、S24に移行する。
目標開度Θは、可動ベーン50cの実開度θaを初期補正量θbで補正した基本開度θと、目標過給圧と実過給圧との偏差に対応した補正開度θcと、式(1)を用いて算出する。
S24の判定の結果、実過給圧が目標過給圧よりも大きい場合、F/B補正項として正の補正開度Δθを設定し(S25)、S27に移行する。S24の判定の結果、実過給圧が目標過給圧以下の場合、F/B補正項として負の補正開度Δθを設定し(S26)、S27に移行する。
S27では、目標開度Θに補正開度Δθを加算した値相当のデューティ率をデューティソレノイドバルブ57に印加して、リターンする。
この過給機付きエンジン1の制御装置では、制御ユニット60が、車両停車時、第1クラッチ10aを締結してモータ2によりエンジン1を駆動するため、排気ガス温度を上昇させることなく、エンジン1を駆動することができる。制御ユニット60は、第1クラッチ10a締結時、エンジン1に吸入される空気量と吸気圧力に基づいて検出された過給機特性Fを用いて可動ベーン50cの開度を補正するため、寸法公差以外の外的要因の影響を排除した過給機特性Fを検出することができ、外的要因の影響を排除した過給機特性Fを用いて可動ベーン50cの開度を高精度に制御することができる。
1〕前記実施形態においては、エンジン1を所定の一定回転数で駆動して所定のコンプレッサ回転数について曲線で示される過給機特性Fを検出した例を説明したが、過給機特性Fは円弧状の所定範囲を有する領域に限られず、単独の吸気体積流量Qaにおける圧力比p/poの比較に基づき初期補正量θbを設定しても良く、また、複数点の吸気体積流量Qaにおける圧力比p/poの比較の平均値に基づき初期補正量θbを設定しても良い。
2 モータ
3 AT
5 車輪
10a 第1クラッチ
10b 第2クラッチ
50 ターボ過給機
50b タービン
50c 可動ベーン
60 制御ユニット
Claims (6)
- エンジンとモータとからなる動力源と、前記エンジンとモータとの間に駆動力を断続可能な第1クラッチと、排気タービンに流入する排気ガスの流速を変更可能な可動ベーンを有する可変容量のターボ過給機と、車両の運転状態に応じて前記第1クラッチの締結開放状態を制御すると共に前記エンジンの運転状態に応じて前記可動ベーンの開度を制御する制御ユニットとを備えた過給機付きエンジンの制御装置において、
前記制御ユニットは、車両停車時、前記第1クラッチを締結して前記モータによりエンジンを駆動すると共に、前記第1クラッチ締結時、前記エンジンに吸入される空気量と吸気圧力に基づいて検出された過給機特性を用いて前記可動ベーンの開度を補正することを特徴とする過給機付きエンジンの制御装置。 - 前記モータの出力を変速するトランスミッションの駆動力を断続可能な第2クラッチを有し、
前記制御ユニットは、車両停車時、前記第2クラッチを開放して前記動力源から車輪に伝達される駆動力を制限することを特徴とする請求項1に記載の過給機付きエンジンの制御装置。 - 前記制御ユニットは、車両停車且つ検査条件成立時、前記モータで前記エンジンを駆動して前記過給機特性を検出することを特徴とする請求項1又は2に記載の過給機付きエンジンの制御装置。
- 前記検査条件は、車両の走行距離が所定の判定距離以上であることを特徴とする請求項3に記載の過給機付きエンジンの制御装置。
- 前記検査条件は、ディーラーへの入庫時であることを特徴とする請求項3に記載のターボ過給機付きエンジンの制御装置。
- 前記制御ユニットは、前記エンジンを一定回転数で駆動して前記過給機特性を検出することを特徴とする請求項1~5の何れか1項に記載の過給機付きエンジンの制御装置。
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