JP7304281B2 - ロール間距離制御装置及びシート製造装置 - Google Patents
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Description
特許文献2,3には、互いに対向配置された一対のロールの表面間距離をそれぞれ個別な光学的な計測装置で計測し、一対のロールに対する計測結果に基づき何れかのロールを移動してロール間距離を調整することが記載されている。
本発明のシート製造装置によれば、シートに延伸加工を施すのに用いる一対のロールのロール間距離を高精度に制御可能であり、例えば、均質なシートを安定して製造することができる。
本発明の好ましい一実施形態に係るシート製造装置は、図1及び図2に示すように、延伸加工部400と、該延伸加工部400に、延伸加工を施す対象のシート2を導入し、延伸加工後のシートを導出する搬送機構(図示せず)を備えている。また図1にその一部を示すロール間距離制御装置500を備えている。搬送機構としては、延伸加工部400の上流及び下流に配したベルトコンベア等の各種公知の機構を採用し得る。
ロール401は、軸長方向CDと直交する方向となる直径方向Rに移動可能であって、ロール402とのロール間距離Lが調整可能に構成されている。具体的には、ロール401は、ロールの側面408a,408bから軸長方向CDに突出した軸410を介して可動側板411,412に回転自在に支持されている。可動側板411,412は、軸長方向CDに配されていて、直径方向Rに移動可能に設けられている。直径方向Rとは、ロール401とロール402のロール間距離Lを拡縮させる方向である。
延伸加工部400は図3に示すように、大径凸部403aと小径凹部403bからなる凹凸状の歯部403が形成されたロール401と、大径凸部404aと小径凹部404bからなる凹凸状の歯部404が形成されたロール402とを備えている。これらロール401,402は、互いの歯部403,404が、直径方向Rにおいてオーバーラップした状態でその位置が保持されている。大径凸部403aと大径凸部404aの先端面は、ロールの表面401a、402aとなる。
延伸加工を施すシート2は、特に制限されず、例えば、各種公知の単層又は多層の不織布、樹脂フィルム、これらの積層体、又はこれらとネットや弾性体等との複合材等が挙げられる。好ましくは、延伸加工を施すことによって、伸縮性が向上するシートである。斯かる伸縮性が増大したシートとしては、例えば、特開2008-179128号公報等に記載のものが挙げられる。
図3は、歯部403,404の噛合状態を示す図であり、図3(a)は、歯部403,404の噛合状態が良好な場合を示し、図3(b)は歯部403,404の噛合状態が不良な状態を示す。凹凸による延伸加工では、小径凹部403b,404b内に大径凸部403a,404aによってシートが押し込まれる。このため、ロール間距離Lは、シートを押し込む歯部403,404に直接シートを挟まない噛合量D1となる距離が良好とされている。また、歯部403,404の噛合量D1は、シートの種類、シートに形成する凹凸の度合によってもその適正な値は異なるため、ロール間距離Lは調整できるのが望ましい。このため、ロール自体を交換したり、ロール位置を調整する場合に、ロール間距離Lが例えば図3(b)に示すように、図3(a)に示した良好な場合よりも狭くなってしまうと、歯部403,404の噛合量D1が深く(大きく)なるので、ロール回転時の回転抵抗が大きく、歯部403,404の破損や、歯部403,404の歯先でシートを直接挟み込むことによるシートの破損の要因と成り兼ねない。
ロール間距離制御装置500は、少なくとも一つのロール401を直径方向Rに移動させる位置調整装置510と、ロール間距離Lを計測する計測装置520と、計測装置520の計測結果に基づき位置調整装置510で移動されるロール401の位置を制御する制御部540を備えている。
検出部523は、レーザ光521を受光する受光センサで構成されている。一方の検出部523(a)は、側板405にブラケット527(a)を介して取り付けられ、他方の検出部523(b)は、側板406にブラケット527(b)を介して取り付けられている。検出部523は、レーザ光521を受光すると受光信号を出力する。
つまり、反射面531,533は、接頭円錐体としての反射部材532,534の傾斜した面としてそれぞれ形成されている。位置調整装置510で移動されるロール401(一方のロール)に設けられた各反射面531は、各照射部522から照射されたレーザ光521を他方のロール402に設けられた各反射面533に向けてそれぞれ反射する。他方のロール402に設けられた反射面533は、位置調整装置510で移動される一方のロール401の各反射面531でそれぞれ反射されたレーザ光521を各検出部523に向けてそれぞれ反射するように、その角度と向きが設定されている。反射面531,533は、レーザ光521を正反射する面として形成されている。すなわち、反射面531,533は、互い対向するようにロール401,402に配されていて、曲率を持たずに平滑な平面として形成されている。
本実施形態では、1つの照射部522から照射されたレーザ光521を一方の反射面531で反射面533に向かって反射し、他方の反射面533によって検出部523に向かって反射する構成が、軸長方向CDにそれぞれ配されている。これら構成は、少なくとも軸長方向CDの片側にだけある形態であってもよい。
制御部540は、その入力側に、照射部522と検出部523、加工異常を検査するための検査手段として検査カメラ543と検査センサ544が信号線を介してそれぞれ接続されている。制御部540は、その出力側に、駆動モータ420、ステッピングモータ511が信号線を介してそれぞれ接続されている。
制御部540は、演算部525とともにコントローラ542を備えている。コントローラ542は、照射部522の駆動を制御してレーザ光の照射タイミングを制御する。演算部525には、レーザ光521を受光すると検出部523から受光信号から入力されるようになっている。制御部540は、照射部522によるレーザ光521の照射開始時から検出部523がレーザ光521を検出するまでの時間tをタイマで計測する機能を備えている。
L=Lc-(ΔLa+ΔLb)・・・式2
制御部540は、ステップST1において初期調整を行う。ここでは、使用するシートの種類や加工する凹凸度合に応じた設定値L0が選択され、当該設定値L0とすべく、ステッピングモータ511を駆動してロール401の位置を調整する。
制御部540は、ステップST5においてロール位置調整を実行する。ここでは、各ロール間距離Lが設定値L0となるまでコントローラ542によって各ステッピングモータ511が作動される。そして、各ロール間距離Lが設定値L0となると、各ステッピングモータ511の作動が停止されてロール位置調整が終了する。つまり、このステップST5は、設定したロール間距離の値と実測によるロール間距離との差を補正する補正処理となる。
制御部540は、ステップST9において、ロール間距離計測を実行し、ステップST11において、ステップST3同様、ロール間距離の判定、すなわち計測した距離情報の正誤判定を実行する。ここで各ロール間距離Lが設定値L0であれば、制御部540はステップST13に進み、ロール間距離Lの位置調整はせず、且つシート製造装置100の動作を停止しないでこの制御を終える。
一方、ステップST11において、各ロール間距離Lが設定値L0でない場合、制御部540は、ステップST19に進んで、ステップST5同様、各ロール間距離Lの位置調整制御を、位置調整装置50(ステッピングモータ511)を作動して実行するとともに、シート製造装置100の作動を停止してこの制御を終了する。
反射面531はロール401の側面408a,408bに、反射面531はロール402の側面409a,409bにそれぞれ配されているので、ロール間距離Lの計測にロール401,402の表面状態の影響を受けることがなく、より精度よくロール間距離Lを調整することができる。
また、計測装置520の照射部522が、位置調整装置510で移動されるロール401の移動に追従するので、反射面531と照射部522との位置関係がずれることがなく、ロール401,402のロール間距離Lの調整を、計測結果のバラツキを抑えて行うことができる。
計測装置620は、照射部622と検出部623とともに、ロール間距離Lを演算する演算部625を備えている。演算部625は、中央演算部、記憶部を備えたコンピュータで構成されている。記憶部には、検出部623が音波621を検出する位相に応じたロール間距離Lが予め記憶されている。
また、図7に示す形態では、音波621を検査波とし、当該音波621の検出部623への反射角の位相の差からロール間距離Lを計測するようにしたが、検査波として電波を用いてもよい。この場合、電波の位相の差異に応じてロール間距離Lを計測するようにしても、より精度よく調整可能なロール間距離制御装置500を提供することができるので、好ましい。
図8に示すくさび機構610は、回転駆動源となるステッピングモータ611と、ステッピングモータ611により回転駆動されるねじ軸612と、ねじ軸612の回転駆動に伴い移動する移動部材となるくさび体613を備えている。くさび機構610は、位置調整装置510同様、軸長方向CDの両側にそれぞれ配されている。くさび体613は、固定側の側板405、406と可動側板411,412の間に介装されている。
この場合、反射面732aと反射面734aとは、互いに対向するように軸410,407に装着するとともに、少なくてもロール間距離Lの計測時や調整時において、反射面732aと反射面734aとが互いに正対するように駆動モータ420の駆動による回転位相を制御するのが好ましい。
100 シート製造装置
400 延伸加工部
401,402 一対のロール
401a,402a ロールの表面(周面)
408a,408b ロールの側面
409a,409b ロールの側面
407,410 ロールの軸
500 ロール間距離制御装置
510 位置調整装置
511,611 回転駆動源
512,612 ねじ軸
513,613 移動部材
520 計測装置
521 レーザ光(検査波)
522,622 照射部
523,623 検出部
531,533 反射面(切頭円錐体の傾斜した面)
540 制御部
621 音波(検査波)
732,733 切頭角錐体
732a,733a 反射面(切頭角錐体の傾斜した面)
CD 軸長方向
L0 設定値
R 交差する方向
a1,a2 軸の回転中心線
a3~a6 射面の中心線
Claims (11)
- 軸長方向を互いに平行にして配された一対のロールの、ロール間距離を制御するロール間距離制御装置であって、
少なくとも一つのロールを、前記ロール間距離を拡縮させる方向に移動させる位置調整装置と、
前記一対のロールにそれぞれ配された反射面のうちの一方の反射面に向かって検査波を照射する照射部と、前記照射部から照射された検査波を検出する検出部とを備え、前記検出部での検出結果に基づき前記ロール間距離を計測する計測装置と、
前記計測装置の計測結果に基づき、前記位置調整装置で移動するロールの位置を制御する制御部とを備え、
前記一方の反射面は、前記照射部から照射された検査波を他方の反射面に向けて反射し、前記他方の反射面は、前記一方の反射面で反射された検査光を前記検出部に向けて反射する、ロール間距離制御装置。 - 前記照射部が、前記ロール間距離を拡縮させる方向に移動する前記ロールと一体に同方向に移動する部材に支持されている、請求項1に記載のロール間距離制御装置。
- 前記一対のロールは、それぞれの周面に、周方向又は軸長方向に凸部と凹部とが交互に形成された凹凸部を有し、互いの凹凸が噛み合うように配されており、前記制御部は、前記ロールの位置の制御により、前記一対のロールの凹凸の噛合量を制御する、請求項1又は2に記載のロール間距離制御装置。
- 前記位置調整装置は、回転駆動源と、該回転駆動源により回転駆動されるねじ軸と、該ねじ軸と噛合し、同ねじ軸の回転駆動に伴い移動することで前記ロールを移動させる移動部材とを有する、請求項1ないし3の何れか一項に記載のロール間距離制御装置。
- 前記制御部は、前記計測装置による計測結果が設定値となるまでは前記回転駆動源を回転駆動し、前記計測結果が前記設定値となると前記回転駆動源の駆動を停止するように制御する、請求項4に記載のロール間距離制御装置。
- 前記計測装置は、前記検査波としてレーザ光を前記照射部から前記反射面に照射し、該反射面で反射されたレーザ光を前記検出部で検出するとともに、前記レーザ光の照射開始から前記検出部が該レーザ光を検出するまでの時間又は、前記検出部が前記レーザを検出する位相の差異に応じて、前記ロール間距離を計測する請求項1ないし5の何れか一項に記載のロール間距離制御装置。
- 前記計測装置は、前記検査波として音波又は電波を前記照射部から前記反射面に照射し、該反射面で反射された音波又は電波を前記検出部で検出するとともに、前記検出部が前記音波又は電波を検出する位相の差異に応じて、前記ロール間距離を計測する請求項1ないし5の何れか一項に記載のロール間距離制御装置。
- 前記計測装置と前記反射面は、前記ロールの側面側にそれぞれ配されている請求項1ないし7の何れか一項に記載のロール間距離制御装置。
- 前記各反射面は、前記ロールの軸と同軸上にそれぞれ配され、前記検査波を正反射する面である、請求項1ないし8の何れか一項に記載のロール間距離制御装置。
- 前記各反射面は、前記ロールの軸の回転中心線とその中心線が一致するように該軸の表面に設けられた切頭円錐体の傾斜した面又は前記軸の回転中心線と中心線とが一致するように該軸の表面に設けられた切頭角錐体の傾斜した面である請求項1ないし9何れか一項に記載のロール間距離制御装置。
- 軸長方向を互いに平行にして配され、それぞれの周面に周方向又は軸長方向に凸部と凹部とが交互に形成された凹凸部を有し、互いの凹凸が噛み合うように配された一対のロールを備え、これらロールの間にシートを供給して延伸加工を施すことによって、延伸されたシートを製造するシート製造装置であって、
前記一対のロールのロール間距離を制御する制御装置として、請求項1ないし10の何れか一項に記載のロール間距離制御装置を備えるシート製造装置。
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