JP7303498B2 - 上死点位置評価装置 - Google Patents

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Description

本発明は、直列多気筒エンジンにおける各気筒の上死点位置の評価装置に関する。
車両等に搭載されるエンジンには、出力性能や環境性能の向上のために、燃焼室内での燃焼を緻密に制御することが要求されている。そのためには、エンジンにおける制御の基準となるピストンの上死点位置を正確に割り出すことが重要である。
従来、複数気筒のエンジンの各ピストンの上死点位置の計測は、目視で上死点近傍に静止させたピストンに対して手作業でピストンのトップ面位置を計測する計測ツールを当て、クランクシャフトを軸回りに揺動させて行っていた。それ故、計測者間で計測値がばらつくことがあった。
また、静止状態のピストンは、ピストンとコネクティングロッドのピストンピンによる連結部分、コネクティングロッドとクランクシャフトのクランクピンとの連結部分、及びクランクシャフトのクランクジャーナルとクランクケースの軸受けとの連結部分におけるクリアランス相当分だけ、重力によって下がる。それ故、エンジン駆動時のピストンのトップ面位置に対して、静止状態における計測値は正確性に欠けていた。
そのため、例えば特許文献1のように、クランクシャフトをモータで回転させ、上下に移動するピストンのトップ面位置を、レーザ光を用いて計測する技術が知られている。上記クリアランス相当分だけ下がっていたピストンのトップ面が、上死点近傍ではピストンの慣性力によって上方に移動し、エンジン駆動時のピストンの状態を再現してピストンのトップ面位置を計測することができ、計測者間の計測値のばらつきを抑制することができる。
特開平8-121230号公報
しかし、クランクシャフトを回転させてピストンを上下に移動させたときに、シリンダとピストンの間のクリアランスによって、ピストンピンを軸としてピストンが傾くので、特許文献1の技術ではピストンのトップ面位置の計測誤差が大きくなる虞があった。また、クランクシャフトを回転させてピストンを上下に往復移動させるとエンジンが振動するので、この振動がピストンのトップ面位置の計測誤差の要因になり、正確な上死点位置を評価することができない虞があった。その上、シリンダ径やシリンダの間隔、ピストン形状等が異なる様々なエンジン機種に対応させることが容易ではなかった。
本発明の目的は、エンジン機種に対応して正確なピストンの上死点位置を評価することができる上死点位置評価方法及び上死点位置評価装置を提供することである。
請求項1の発明の上死点位置評価装置は、エンジンのクランクシャフトを所定速度で回転させる駆動装置と、前記クランクシャフトの回転角度を計測する回転角度計測装置を備え、前記クランクシャフトを所定速度で回転させながら、前記クランクシャフトに連結されたピストンの上死点に対応する前記回転角度を評価する上死点位置評価装置において、 シリンダブロックのデッキ面であって、前記クランクシャフトの軸に沿う第1方向のシリンダの中心線に沿ってシリンダの外側の複数のデッキ面位置を計測するために1列に配列された複数の第1計測センサと、前記シリンダ内で往復移動する前記ピストンのトップ面であって、前記ピストンの前記第1方向と直交する第2方向に離隔した複数のトップ面位置を計測するために前記第1方向と平行に2列に配列された複数の第2計測センサと、 エンジン機種を検出する機種検出装置と、前記エンジン機種に応じて前記複数の第1計測センサ及び前記複数の第2計測センサの前記第1方向の間隔を夫々調整する第1間隔調整装置と、前記エンジン機種に応じて前記複数の第2計測センサの前記第2方向の間隔を調整する第2間隔調整装置と、前記回転角度と、前記トップ面位置と、前記複数のデッキ面位置に基づいて前記ピストンの上死点位置を算出する演算装置を有することを特徴としている。
上記構成によれば、上死点位置評価装置は、計測するエンジン機種に応じて、複数の第1計測センサと複数の第2計測センサの第1方向の間隔及び第2方向の間隔を調整する。従って、上死点位置評価装置を様々なエンジン機種に対応させることができる。また、エンジンのクランクシャフトを駆動装置によって所定速度で回転させながら、クランクシャフトの回転角度とクランクシャフトに連結されたピストンのトップ面位置を計測して、ピストンの上死点に対応する回転角度、即ち上死点位置を評価する。従って、エンジンの駆動時のピストンのトップ面位置を再現して上死点位置を評価することができる。そして、計測時には、第1方向のシリンダの中心線に沿ってシリンダの外側の複数のデッキ面位置を複数の第1計測センサによって計測すると共に、ピストンのトップ面位置を複数の第2計測センサによって計測する。従って、クランクシャフトの回転及びピストンの往復移動によるエンジンの振動の影響を解消して、トップ面位置を正確に計測することができる。その上、評価時には、回転角度と、トップ面位置と、複数のデッキ面位置に基づいてピストンの上死点に対応する回転角度を演算装置によって算出するので、ピストンの正確な上死点位置を評価することができる。
請求項2の発明の上死点位置評価装置は、請求項1の発明において、前記第1間隔調整装置は、前記複数の第1計測センサの前記第1方向の間隔が等しくなるように且つ前記複数の第2計測センサの前記第1方向の間隔が等しくなるように、前記複数の第1計測センサの列中央及び前記複数の第2計測センサの列中央から前記第1方向に対称に夫々列中央から遠い第1、第2計測センサほど大きく移動させ、前記第2間隔調整装置は、2列に配列された前記複数の第2計測センサを前記中心線に対して前記第2方向に対称に等しく移動させることを特徴としている。
上記構成によれば、複数の第1計測センサ及び複数の第2計測センサの位置を個別に指定する必要がなく、様々なエンジン機種に容易に対応させることができる。
請求項3の発明の上死点位置評価装置は、請求項2の発明において、前記第1間隔調整装置は、前記複数の第1計測センサを前記第1方向に対称に移動させる第1直動機構と、前記複数の第2計測センサを前記第1方向に対称に移動させる第2直動機構を有し、前記第1方向と夫々平行に配設された前記第1直動機構と前記第2直動機構が、第1駆動装置を備えた第1連動機構によって連動駆動されることを特徴としている。
上記構成によれば、第1駆動装置の駆動によって複数の第1計測センサ及び複数の第2計測センサを同時に第1方向に対称に移動させることができるので、簡単な構成で様々なエンジン機種に対応させることができる。
請求項4の発明の上死点位置評価方法は、請求項3の発明において、前記第1直動機構と第2直動機構の各々は、リードが異なる複数のねじ軸が同軸状に連結された回転軸を備えた2つのボールねじ直動機構を有し、2つのボールねじ直動機構がギヤを介して互いに反対方向に駆動するように構成されたことを特徴としている。
上記構成によれば、第1駆動装置の駆動によって複数の第1計測センサ及び複数の第2計測センサを同時に第1方向に対称に移動させることができるので、簡単な構成で様々なエンジン機種に対応させることができる。
請求項5の発明の上死点位置評価装置は、請求項4の発明において、前記第1直動機構の回転軸は、前記ギヤに最も近いギヤ側部分のリードに対して、前記ギヤから離れる方向に段階的に整数倍になるようにリードが設定され、前記第2直動機構の回転軸は、前記ギヤに最も近いギヤ側部分のリードに対して、前記ギヤから離れる方向に段階的に奇数倍になるようにリードが設定されたことを特徴としている。
上記構成によれば、複数の第1計測センサの第1方向の各間隔が等しいまま間隔が調整され、複数の第2計測センサの第1方向の各間隔が等しいまま間隔が調整されるので、簡単な構成で様々なエンジン機種に対応させることができる。
請求項6の発明の上死点位置評価装置は、請求項2の発明において、前記第2間隔調整装置は、前記第2方向に平行に配設された1対の第3直動機構と、第2駆動装置を備えた第2連動機構を有し、2列に配列された前記複数の第2計測センサを前記中心線に対して前記第2方向に対称に移動させるように連動駆動されることを特徴としている。
上記構成によれば、第2駆動装置の駆動によって複数の第2計測センサを同時に第2方向に対称に移動させることができるので、簡単な構成で様々なエンジン機種に対応させることができる。
請求項7の発明の上死点位置評価装置は、請求項1~6の何れか1項の発明において、前記第1計測センサと前記第2計測センサは接触式のリニアセンサであり、計測前に前記第1計測センサと前記第2計測センサを上面に接触させることによってこれらの計測基準位置を学習させるためのマスタープレートを有することを特徴としている。
上記構成によれば、計測前に計測基準位置を学習させた接触式のリニアセンサを使用するので、各ピストンの傾きがあってもピストンのトップ面位置を正確に計測して、各ピストンの上死点位置を正確に評価することができる。
請求項8の発明の上死点位置評価装置は、請求項7の発明において、前記複数の第1計測センサ及び前記複数の第2計測センサは、前記第1間隔調整装置と前記第2間隔調整装置が配設されたベース部材から下方に突出した状態に装備され、前記ベース部材は、前記計測基準位置の学習時に前記マスタープレートに当接させるために下方に突出した複数の脚部を有し、計測時には前記複数の脚部を前記デッキ面に当接させることを特徴としている。
上記構成によれば、計測基準位置になった脚部の下端を、デッキ面に当接させて計測するので、計測誤差の発生を抑えることができる。
本発明の上死点位置評価方法及び上死点位置評価装置によれば、エンジン機種に対応して正確なピストンの上死点位置を評価することができる。
本発明の実施形態に係る上死点位置評価装置の正面図である。 上死点位置評価装置の制御部のブロック図である。 本発明の実施形態に係る計測箇所の説明図である。 図3のIV-IV線要部断面図である。 図3のV-V線要部断面図である。 本発明の実施形態に係る計測装置の要部平面図である。 計測装置の第1、第2間隔調整装置を示す要部平面図である。 計測装置の第1方向の間隔調整の説明図である。 計測装置の第2方向の間隔調整の説明図である。 第2計測センサペアの支持部材の要部分解平面図である。 第1、第2方向の間隔を拡大させた計測装置の要部平面図である。 本発明の実施形態に係る計測基準位置の学習の説明図である。 本発明の実施形態に係る上死点位置評価の工程を示すブロック図である。 ピストンにおける慣性力の作用の説明図である。 クランクシャフト回転速度に対するトップ面の上昇距離及びセンサ追従性の関係の説明図である。 本発明の実施形態に係る上死点位置評価結果の説明図である。
以下、本発明を実施するための形態を説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
最初に、上死点位置評価装置1について説明する。
図1に示すように上死点位置評価装置1は、評価対象のエンジン10を載置するステージ3と、エンジン10の所定の計測ポイントの高さを計測するためにステージ3の上方に配置された計測装置20と、計測装置20を上下、前後、左右の3方向に移動可能に支持する支持フレーム30と、エンジン10のクランクシャフト11を回転させる駆動装置5と、回転させたクランクシャフト11の回転角度を計測する回転角度計測装置6等を有する。
駆動装置5は、例えばクランクシャフト11を定速で回転させる電動モータである。また、回転角度計測装置6は、回転角度(クランク角度)を例えば0.1度刻みで検出する高分解能のクランク角度センサである。計測装置20には、複数の第1計測センサとして第1計測センサ21a~21gと、複数の第2計測センサとして複数の第2計測センサペア22a~22fが装備されている。第2計測センサペア22a~22fは夫々2つの第2計測センサで構成されている。
第1、第2計測センサは、例えば接触式のリニアセンサであり、先端の移動距離(変位量)を計測する。複数の第1計測センサ21a~21gは、エンジン10のシリンダブロック上面(デッキ面12)の位置を計測する。複数の第2計測センサペア22a~22fは、後述するエンジン10の各ピストンのトップ面位置を計測する。
ステージ3には、エンジン機種を検出するエンジン機種検出装置7(機種検出装置)が装備されている。駆動装置5と回転角度計測装置6は、エンジン機種に応じて定められた位置に移動可能に夫々構成されている。エンジン機種検出装置7は、例えばエンジン10の所定位置に取り付けられたコード(バーコード、2次元コード等)又はRFタグの情報を読み取って、エンジン機種等の情報を取得する。図示を省略するが、ステージ3は、載置したエンジン10の位置を上下、前後、左右に調整可能に構成されている。
支持フレーム30は、床に固定された固定フレーム31と、固定フレーム31に対して左右に移動可能に構成された左右移動フレーム32と、左右移動フレーム32に対して前後に移動可能に構成された前後移動フレーム33と、前後移動フレーム33に対して上下に移動可能に構成された上下移動フレーム34等を有する。
左右移動フレーム32は、固定フレーム31に配設された左右に延びるガイドレール31aに沿って図示外のアクチュエータによって移動される。前後移動フレーム33は、左右移動フレーム32に配設された前後に延びるガイドレール32aに沿って図示外のアクチュエータによって移動される。上下移動フレーム34は、複数の駆動シリンダ35によって上下に移動される。計測装置20は、上下移動フレーム34に下方に延びるように配設された複数の柱状部材36の下端部に固定されている。それ故、計測装置20を固定フレームに対して、上下、前後、左右の3方向に移動させて位置の調整を行うことができる。
また、上死点位置評価装置1は、図2に示すようにエンジン機種に応じて計測装置20等の位置制御や駆動装置5の駆動制御等を行う制御部90を有する。制御部90は、演算装置91、記憶装置92、入出力装置93等を備え、所定の制御プログラムを実行して上死点位置の評価を行う。
上死点位置の評価中には、駆動装置5によるクランクシャフト11の回転速度情報と、回転角度計測装置6によるクランクシャフトの回転角度情報と、複数の第1計測センサ21a~21gによるデッキ面位置の計測値と、複数の第2計測センサペア22a~22fによるトップ面位置の計測値等が、入出力装置93を介して記憶装置92に記憶される。そして、記憶された情報に基づいて、演算装置91が各ピストンの上死点位置に対応するクランクシャフト11の回転角度を算出する。
次に、評価対象のエンジン10における計測装置20による計測箇所について説明する。
図3は、エンジン10の1例として、シリンダヘッド装着前の直列6気筒エンジンのシリンダブロックをデッキ面12側から見た要部平面図である。6つのシリンダ13a~13fが、クランクシャフト11の軸が延びるA1方向(第1方向)に沿って1列に配設され、A1方向と平行に延びるシリンダ列の中心線C1が表示されている。また、A1方向に直交するA2方向(第2方向)と平行な各シリンダ13a~13fの中心線C2a~C2fが表示されている。
複数のシリンダ13a~13f内にはピストン14a~14fが夫々収容されている。尚、図示を省略するが、クランクシャフト11のクランク角度センサがエンジン10に装備されている。
図4は図3の中心線C1に沿ったシリンダ列の要部断面図であり、図5は図3の中心線C2aに沿ったシリンダ13aの断面図である。図3~図5に示すように、複数の第1計測センサ21a~21gは、シリンダ列に沿って、シリンダ13a~13fの外側の中心線C1上の対応するデッキ面位置の計測ポイントDa~Dgを計測する。
複数の第2計測センサペア22a~22fは、対応するピストン14a~14fにおいて、中心線C1に対称にトップ面外縁近傍部のA2方向に離隔した中心線C2a~C2f上の2箇所のトップ面位置の計測ポイントTa1,Ta2~Tf1,Tf2を計測する。尚、図示外のシリンダヘッドを載せたときに、計測ポイントTa1~Tf1はシリンダヘッドの吸気ポート側にあり、計測ポイントTa2~Tf2は排気ポート側にある。
各ピストン14a~14fのA2方向に離隔したトップ面外縁近傍部は、図示外のシリンダヘッドとの間で燃焼室内の混合気を圧縮するためのスキッシュエリアとして平坦に形成されているので、トップ面位置の計測に適している。一方、各ピストン14a~14fのトップ面の径方向内側には、焼室内の混合気制御のために、エンジン機種によって異なる図示外の凹凸が設けられている場合があるので、トップ面位置の計測は困難である。それ故、どのエンジン機種にも共通して形成されるスキッシュエリアに対応する2箇所をトップ面位置の計測ポイントにしている。尚、上死点近傍以外では、ピストン14a~14fから第2計測センサペア22a~22fの先端が離れる。
また、ピストン14aとシリンダ13aとの間にはクリアランスがあるので、ピストン14aがピストンピン15aを中心に揺動し、トップ面が傾いて2箇所の計測ポイントTa1,Ta2の計測値が最大で例えば数百μm程度異なる場合がある。それ故、中心線C1に対称にA2方向に離隔した2箇所の計測ポイントTa1,Ta2の計測値の平均値をピストン14aのトップ面位置として演算装置91が算出する。そして、シリンダ13aのデッキ面位置としてシリンダ13aの外側の計測ポイントDa,Dbの計測値の平均値を演算装置91が算出する。他のシリンダ13b~13f及びピストン14b~14fについてもシリンダ13a及びピストン14aと同様である。
次に計測装置20について説明する。
図6に示すように、計測装置20は、複数の第1計測センサとして例えば7つの第1計測センサ21a~21gと、複数の第2計測センサとして例えば6組の第2計測センサペア22a~22fが装備された矩形状且つ平板状のベース部材23を有する。ステージ3に載置された例えば直列6気筒のエンジン10について、第1計測センサ21a~21g及び第2計測センサペア22a~22fによって、対応するデッキ面位置の計測ポイントDa~Dgと、トップ面位置の計測ポイントTa1,Ta2~Tf1,Tf2を計測する。
ベース部材23は、厚さ方向(上下方向)に連通する1対の矩形状の開口部24を有する。ベース部材23の上面側には、A2方向と平行に1対の開口部24に架設するように一部が切り欠かれた細長い矩形板状の複数の支持部材25a~25c,25e~25g,26a~26fが配設されている。支持部材25a~25cは、対応する第1計測センサ21a~21cを支持する。支持部材25e~25gは、対応する第1計測センサ21e~21gを支持する。支持部材26a~26fは、対応する第2計測センサペア22a~22fを支持する。
1対の開口部24の間には、A2方向と平行に架け渡された架橋部23aが設けられている。この架橋部23aのA2方向中央部には、シリンダ列中央のデッキ面位置の計測ポイントDdを計測するための第1計測センサ21dが、ベース部材23の下方に突出した状態に装備されている。
架橋部23aの第1センサ21dも含めて、第1計測センサ21a~21gがA1方向に1列に並ぶように、複数の支持部材25a~25c,25e~25gが配設されている。そして、1列に並ぶ第1計測センサ21a~21gの間に1つの第2計測センサペア22a~22fが夫々配置されるように、複数の支持部材26a~26fが配設されている。複数の支持部材25a~25c,25e~25g,26a~26fに支持された複数の第1計測センサ21a~21c,21e~21g及び複数の第2計測センサペア22a~22fは、開口部24からベース部材23の下方に突出した状態に装備されている。
図6~図8に示すように、ベース部材23には、A1方向と平行に開口部24を挟むように1対の第1ガイドレール28が配設され、A2方向と平行に開口部24を挟むように1対の第2ガイドレール29が配設されている。1対の第1ガイドレール28は、複数の支持部材25a~25c,25e~25g,26a~26fのA2方向と平行な姿勢を維持しながらA1方向の移動を滑らかに案内するためのものである。複数の支持部材25a~25c,25e~25g,26a~26fのA1方向の移動は、第1間隔調整装置41によって行われる。
第1間隔調整装置41は、複数の支持部材25a~25c,25e~25gをA1方向に対称に移動させる第1直動機構42と、複数の支持部材26a~26fをA1方向に対称に移動させる第2直動機構52と、第1駆動装置61を備えた第1連動機構62を有する。第1直動機構42は、ベース部材23のA2方向一端側部分にA1方向と平行に配設され、第2直動機構52は、ベース部材23のA2方向他端側部分にA1方向と平行に配設されている。
第1直動機構42は、1対のボールねじ直動機構43a,43bを有する。1対のボールねじ直動機構43a,43bは、リードが異なる複数のねじ軸が連結部材44aを介して同軸状に連結された回転軸44と、回転軸44と共に回転するギヤ45を夫々有する。回転軸44は、ベース部材23に固定された複数の支軸部材46によって回転可能に支持されている。
回転軸44は、ギヤ45側部分のリードに対して、ギヤ45から離れる方向に段階的に整数倍になるようにリードが設定されている。例えば、支持部材25c,25eに対応するギヤ45側部分のリードLc1が夫々2mmに設定され、支持部材25b,25fに対応する部分のリードLb1が夫々4mm(リードLc1の2倍)に設定され、支持部材25a,25gに対応する部分のリードLa1が夫々6mm(リードLc1の3倍)に設定されている。こうして、計測ポイントDd-Dc間の距離を基準として、計測ポイントDd-Db間の距離、計測ポイントDd-Da間の距離が、シリンダの大きさによらず夫々2倍、3倍になることに対応させている。計測ポイントDd-De間,Dd-Df間,Dd-Dg間の距離についても同様である。
第1直動機構42は、1対のボールねじ直動機構43a,43bがギヤ45を介して互いに反対方向に駆動するように構成されている。1対のボールねじ直動機構43a,43bの各々の回転軸44の各リードLa1~Lc1部分に対応するナットユニット47a~47cには、対応する支持部材25a~25c、支持部材25e~25gがA2方向と平行な姿勢で夫々固定される。支持部材25a~25cと支持部材25e~25gは、1対の第1ガイドレール28と第1直動機構42によって、A2方向と平行な姿勢を維持しながらA1方向と平行に互いに逆向きに移動される。
第2直動機構52は、1対のボールねじ直動機構53a,53bを有する。1対のボールねじ直動機構53a,53bは、リードが異なる複数のねじ軸が連結部材54aを介して同軸状に連結された回転軸54と、回転軸54と共に回転するギヤ55を夫々有する。回転軸54は、ベース部材23に固定された複数の支軸部材56によって回転可能に支持されている。
回転軸54は、ギヤ55側部分のリードに対して、ギヤ55から離れる方向に段階的に奇数倍になるようにリードが設定されている。例えば、支持部材26c,26dに対応するギヤ55側部分のリードLc2が夫々1mmに設定され、支持部材26b,26eに対応する部分のリードLb2が夫々3mm(Lc2の3倍)に設定され、支持部材26a,26fに対応する部分のリードLa2が夫々5mm(Lc2の5倍)に設定されている。こうして、計測ポイントDdからシリンダ13cの中心までの距離を基準として、計測ポイントDdからシリンダ13bの中心までの距離、計測ポイントDdからシリンダ13aの中心までの距離が、シリンダの大きさによらず夫々3倍、5倍になることに対応させている。シリンダ13d,13e,13fについても同様である。
第2直動機構52は、1対のボールねじ直動機構53a,53bがギヤ55を介して互いに反対方向に駆動するように構成されている。1対のボールねじ直動機構53a,53bの各々の回転軸54の各リードLa2~Lc2部分に対応するナットユニット57a~57cには、対応する支持部材26a~26c、支持部材26d~26fがA2方向と平行な姿勢で夫々固定される。支持部材26a~26cと支持部材26d~26fは、1対の第1ガイドレール28と第2直動機構52によって、A2方向と平行な姿勢を維持しながらA1方向と平行に互いに逆向きに移動される。
第1連動機構62は、ボールねじ直動機構43aの回転軸44に同軸状に連結された駆動軸61aと、ボールねじ直動機構53aの回転軸54に同軸状に連結された駆動軸61bと、駆動軸61aに伝えた第1駆動装置61の駆動力を駆動軸61bに伝える伝達機構63を有する。伝達機構63は、例えばベルトドライブやチェーンドライブである。
第1連動機構62は、支持部材26c,26dを例えば距離Mだけ移動したときに支持部材25c,25eがその2倍の距離2Mだけ移動されるように、第1、第2直動機構42,52の回転軸44,54のリードLc1,Lc2と第1連動機構62の関係が設定されている。例えば、第1直動機構42のリードLc1が第2直動機構52のリードLc2の2倍に設定され、第1連動機構62によって第1、第2直動機構42,52が同じ回転速度で回転される。計測ポイントDd-Dc間の距離が、シリンダの大きさによらず計測ポイントDdからシリンダ13cの中心までの距離の2倍になることに対応させている。
図6、図7、図9に示すように、A2方向と平行な1対の第2ガイドレール29は、A1方向と平行に架け渡された1対の動力伝達板70a,70bのA2方向の移動を滑らかに案内するためのものである。1対の動力伝達板70a,70bのA2方向の移動は、第2間隔調整装置71によって行われる。
第2間隔調整装置71は、第2駆動装置72を備えた第2連動機構73と、1対の第3直動機構74,75を有する。1対の第3直動機構74,75は、1対のボールねじ直動機構76a,76bを夫々有する。1対のボールねじ直動機構76a,76bは、同じリードが設定された回転軸77と、回転軸77と共に回転するギヤ78を夫々有する。回転軸77は、ベース部材23に固定された複数の支軸部材79によって回転可能に支持されている。
1対の第3直動機構74,75は、1対のボールねじ直動機構76a,76bがギヤ77を介して互いに反対方向に駆動するように夫々構成されている。1対のボールねじ直動機構76a,76bの各々の回転軸77に対応するナットユニット80a,80bには、対応する動力伝達板70a,70bがA1方向と平行な姿勢で固定される。
第2連動機構73は、第3直動機構74のボールねじ直動機構76bの回転軸77に同軸状に連結された駆動軸81と、第3直動機構75のボールねじ直動機構76bの回転軸77に同軸状に連結された駆動軸82と、駆動軸81に伝えた第2駆動装置72の駆動力を駆動軸82に伝える伝達機構83を有する。伝達機構83は、例えばベルトドライブやチェーンドライブである。
1対の第3直動機構74,75は、動力伝達板70a,70bのA1方向と平行な姿勢を維持しながらA2方向と平行に互いに逆向きに同じ距離だけ移動されるように、第2連動機構73によって同じ回転速度で回転される。
複数の支持部材26a~26fは、第2計測センサペア22a~22fを構成する第2計測センサがA2方向に移動可能なように支持している。例えば、図10に示すように、支持部材26aは、A2方向中央部分にA2方向に並べて形成された矩形状の1対の貫通孔85a,85bと、1対の貫通孔85a,85bのA2方向外側にA2方向と平行に延びる1対のスライドガイド86a,86bを有する。1対のスライドガイド86a,86bには、矩形状の1対のスライド板87a,87bが1対のスライドガイド86a,86bに沿ってスライド移動可能に支持されている。
1対のスライド板87a,87bには、第2計測センサペア22aの2つの第2計測センサが夫々1対の貫通孔85a,85bに挿通された状態で固定されている。また、1対のスライド板87a,87bには、対応する動力伝達板70a,70bに対してA2方向に係合し且つA1方向には係合しない係合部材88a,88bが装備されている。他の支持部材26b~26fも支持部材26aと同様であり、説明を省略する。
第2駆動装置72によって第3直動機構74の各回転軸77が同じ回転速度で互いに反対方向に回転され、各々のナットユニットがA2方向に沿って対称に移動される。もう一方の第3直動機構75も第2連動機構73によって同様に駆動される。それ故、動力伝達板70a,70bがA1方向と平行な姿勢を維持しながら、A2方向と平行に互いに逆向きに対称に移動される。
スライド板87a,87bは、動力伝達板70a,70bに対してA2方向に夫々係合させているので、動力伝達板70a,70bと共にA2方向に沿って対称に移動される。従って、1対のスライド板87a,87bに固定された第2計測センサペア21aの第2計測センサ間のA2方向の間隔が調整される。他の第2計測センサペア21b~21fも第2計測センサペア21aと同じA2方向の間隔に調整される。一方、動力伝達板70a,70bに対してA1方向には係合させていないので、支持部材26a~26fのA1方向の移動は妨げられない。
エンジン機種に応じて複数の支持部材25a~25c,25e~25g,26a~26fを第1間隔調整装置41によって夫々移動させることにより、第1計測センサ21a~21gのA1方向の各間隔と、第2計測センサペア22a~22fのA1方向の間隔を同時に調整可能である。また、エンジン機種に応じて、第2間隔調整装置71によって各第2計測センサペア22a~22fのA2方向の間隔を調整可能である。図11は、図6よりもシリンダ径が大きいエンジンを計測するために、第1間隔調整装置41と第2間隔調整装置71によって大きい間隔に調整された状態を示している。
図1に示すように、ベース部材23には、下方に突出した複数の脚部27が、同じ高さに脚部27の下端を揃えて装備されている。複数の第1計測センサ21a~21g及び複数の第2計測センサペア22a~22fの下端(先端)は、複数の脚部27の下端とほぼ同じ高さではあるが、複数の脚部27の下端よりも下方まで延びている。
次に、複数の第1計測センサ21a~21g及び複数の第2計測センサペア22a~22fの計測基準位置の学習用のマスタープレート37について説明する。
マスタープレート37は平坦な矩形状の板である。図1に示すようにマスタープレート37は、上昇させた計測装置20とステージ3に載置されたエンジン10の間に進出可能なように、上死点位置評価装置1に装備されている。例えば、マスタープレート37を前後方向に案内するためのガイドレール38aを夫々備えた2つのアーム38が、固定フレーム31に固定されている。そして、これら2つのアーム38に架設されたマスタープレート37が、図示外のアクチュエータによってガイドレール38aに沿って進出、後退される。
図12に示すように、エンジン機種に応じて上記間隔調整を行った上死点位置評価装置1は、計測前に、複数の第1計測センサ21a~21gと複数の第2計測センサペア22a~22fの下端(先端)を、進出させたマスタープレート37の上面に同時に接触させることによって、計測基準位置を学習する。複数の第1計測センサ21a~21gと複数の第2計測センサペア22a~22fは、先端を計測対象に接触させたときの計測基準位置からの距離を計測するので、例えば温度変化や取付誤差等による影響が解消される。また、今回の学習時の計測基準位置における出力値が、前回の学習時の計測基準位置における出力値と比べて大きく異なる場合や、予め設定された範囲を超える場合には、異物の付着や故障等の不具合として検出できる。
計測基準位置の学習時には、ベース部材23の複数の脚部27の下端をマスタープレート37の上面に当接させる。また、計測時には、ベース部材23の複数の脚部27の下端をエンジン10のデッキ面12に当接させる。これにより、デッキ面12を計測基準位置に合わせることができ、クランクシャフト11を回転させたときの振動によるデッキ面12の位置の変動を複数の第1計測センサ21a~21gによって計測することができる。
次に、上死点位置計測方法について、図13に基づいて説明する。
評価対象のエンジン10がステージ3に載置されると、エンジン機種検出装置7がエンジン機種を検出し、エンジン機種情報を制御部90に出力する(機種検出工程)。制御部90は、エンジン機種情報に基づいて、駆動装置5と回転角度計測装置6の位置とステージ3の位置を所定の計測位置に調整すると共に、計測装置20の位置調整及び上記間隔調整を行う(計測準備工程)。
次に、マスタープレート37を進出させ、計測装置20に装備された複数の第1計測センサ21a~21g及び複数の第2計測センサペア22a~22fの計測基準位置を学習した後、マスタープレート37を所定の待機位置に後退させる(学習工程)。
次に、複数の脚部27がデッキ面11に当接するように計測装置20を移動させる。また、複数の第1計測センサ21a~21f及び複数の第2計測センサペア22a~22fを、デッキ面位置の計測ポイントDa~Dg、トップ面位置の計測ポイントTa1~Tf2に対応するように移動させる。そして、駆動装置5によって所定の回転速度(例えば40rpm)でクランクシャフト11を回転させた状態で、回転角度計測装置6によって計測されるクランクシャフト11の回転角度に対応する計測ポイントDa~Dgのデッキ面位置と、計測ポイントTa1~Tf2のトップ面位置を、複数の第1計測センサ21a~21gと複数の第2計測センサペア22a~22fによって計測する(計測工程)。
このとき、ピストン14aが上下に往復移動するので、上死点近傍では上方に慣性力IFが働く。図14に示すように慣性力IFによって、ピストン14aとコネクティングロッド16aがピストンピン15aによって連結された連結部分、コネクティングロッド16aとクランクシャフト11のクランクピン17aとの連結部分、及びクランクシャフト11の軸(クランクジャーナル18)とクランクケースの軸受け19との連結部分におけるクリアランス相当分CLだけピストン14aのトップ面が上昇する。他のピストン14b~14fも同様なので、エンジン駆動時のトップ面位置が再現される。
また、回転速度を増加させてゆくと慣性力IFによってトップ面位置が上昇するので、図15に線Lで示すようにトップ面上昇距離が大きくなってゆき、上記クリアランス相当分CLだけ上昇した後は回転速度を増加させてもトップ面上昇距離が一定になる。一方、回転速度を増加させてゆくと、曲線Trで示すように、上下に移動するピストン14aのトップ面に対しての第2計測センサ(接触式のリニアセンサ)の追従性が低下してゆく。回転速度が大き過ぎると、接触式のリニアセンサがピストン14aのトップ面に追従できず正しく計測できなくなる。それ故、上記クリアランス相当分CLだけ上昇させることができ且つ正しく計測することができる所定の回転速度として、例えば40rpmを設定している。
計測工程における各計測値を制御部90が受けて、演算装置91によって、各ピストン14a~14fの上死点とこの上死点に対応するクランクシャフト11の回転角度、即ち各ピストン14a~14fの上死点位置が算出(評価)される(評価工程)。例えばピストン14aのトップ面位置は、ピストン14aの計測ポイントT1a,T2aの2つの計測値の平均値から、このピストン14aが上下するシリンダ13aの外側の2つの計測ポイントDa,Dbの計測値の平均値を差し引いて算出する。これにより、ピストン14aのトップ面位置に含まれているエンジン10の振動による計測基準位置からのデッキ面位置のずれを解消することができる。
そして、図16に示すように、ピストン14aのトップ面位置が回転角度計測装置6による回転角度毎(0.1度毎)に算出され、機械的な上死点(TDC)の回転角度近傍において回転角度に対するトップ面位置の近似曲線TL(2次曲線)が求められる。求めた近似曲線TLの頂点がピストン14aの実際の上死点になるので、この上死点になるトップ面位置に対応する回転角度θmax が算出される。他のピストン14b~14fについてもピストン14aと同様にして、上死点に対応する回転角度θmax が算出される。
算出された上死点に対応する回転角度θmax が、例えば所定の基準角度範囲内にあるか否か判定して、不良検出をすることも可能である。評価工程で評価された各ピストン14a~14fの上死点に対応するクランクシャフト11の各回転角度θmax は、このエンジン10の固有の上死点位置の情報として記録される。評価された上死点位置とエンジン10に装備された図示外のクランク角度センサの出力値を対応させることもできる。
次に、上記実施形態に係る上死点位置評価装置1の作用、効果について説明する。
上死点位置評価装置1は、計測するエンジン機種に応じて、複数の第1計測センサ21a~21gと、複数の第2計測センサペア22a~22fのA1方向の間隔及びA2方向の間隔を調整する。従って、上死点位置評価装置1を様々なエンジン機種に対応させることができる。
また、エンジン10のクランクシャフト11を駆動装置5によって所定速度で回転させながら、クランクシャフト11の回転角度とクランクシャフト11に連結された複数のピストン13a~13fのトップ面位置を計測して、各ピストン13a~13fの上死点に対応する回転角度を評価する。従って、エンジン10の駆動時のピストン13a~13fのトップ面位置を再現して上死点位置を評価することができる。
そして、計測時には、シリンダ列に沿って各シリンダ14a~14fの外側の計測ポイントDa~Dgにおける複数のデッキ面位置を複数の第1計測センサ21a~21gによって計測すると共に、各ピストン13a~13fのトップ面位置を複数の第2計測センサペア22a~22fによって計測する。従って、クランクシャフト11の回転及びピストン13a~13fの往復移動によるエンジン10の振動の影響を解消して、トップ面位置を正確に計測することができる。
その上、評価時には、回転角度と、トップ面位置と、複数のデッキ面位置に基づいて正確な上死点に対応する回転角度を各ピストン13a~13fについて評価するので、正確な各ピストン13a~13fの上死点に対応する回転角度、即ち上死点位置を正確に評価することができる。
計測時には、シリンダ列に沿って各シリンダ14a~14fの外側の複数のデッキ面位置を複数の第1計測センサ21a~21gによって計測すると共に、各ピストン13a~13fのトップ面位置を複数の第2計測センサペア22a~22fによって計測するので、クランクシャフト11の回転及びピストン13a~13fの往復移動によるエンジン10の振動の影響を解消して、トップ面位置を正しく計測することができる。
評価時には、回転角度と、トップ面位置と、複数のデッキ面位置に基づいて上死点に対応する回転角度を各ピストン13a~13fについて評価するので、各ピストン13a~13fの上死点位置を正確に評価することができる。
第1間隔調整装置41は、複数の第1計測センサ21a~21gのA1方向の間隔が等しくなるように、複数の第1計測センサ21a~21gの列中央からA1方向に対称に夫々列中央から遠い第1計測センサほど大きく移動させる。これと同時に、複数の第2計測センサペア22a~22fのA1方向の間隔が等しくなるように第2間隔調整装置71は、複数の第2計測センサペア22a~22fを夫々中心線C1に対してA2方向に対称に等しく移動させる。従って、複数の第1計測センサ21a~21g及び複数の第2計測センサペア22a~22fの位置を個別に指定する必要がなく、様々なエンジン機種に容易に対応させることができる。
第1間隔調整装置41は、複数の第1計測センサ21a~21gをA1方向に対称に移動させる第1直動機構42と、複数の第2計測センサペア22a~22fをA1方向に対称に移動させる第2直動機構52を有する。A1方向と夫々平行に配設された第1直動機構42と第2直動機構52は、第1駆動装置61を備えた第1連動機構62によって連動駆動される。従って、第1駆動装置61の駆動によって複数の第1計測センサ21a~21g及び複数の第2計測センサペア22a~22fを同時にA1方向に対称に移動させることができ、簡単な構成で様々なエンジン機種に対応させることができる。
第1直動機構42は、リードが異なる複数のねじ軸が同軸状に連結された回転軸44を備えた2つのボールねじ直動機構43a,43bを有し、2つのボールねじ直動機構43a,43bがギヤ45を介して互いに反対方向に駆動するように構成されている。また、第2直動機構52は、リードが異なる複数のねじ軸が同軸状に連結された回転軸54を備えた2つのボールねじ直動機構53a,53bを有し、2つのボールねじ直動機構がギヤ55を介して互いに反対方向に駆動するように構成されている。従って、第1駆動装置42の駆動によって複数の第1計測センサ21a~21g及び複数の第2計測センサペア22a~22fを同時にA1方向に対称に移動させることができ、簡単な構成で様々なエンジン機種に対応させることができる。
第1直動機構42の回転軸44は、ギヤ45側部分のリードに対して、ギヤ44から離れる方向に段階的に整数倍になるようにリードが設定されている。また、第2直動機構52の回転軸54は、ギヤ55側部分のリードに対して、ギヤ55から離れる方向に段階的に奇数倍になるようにリードが設定されている。従って、複数の第1計測センサ21a~21gのA1方向の各間隔が等しいまま間隔が調整され、複数の第2計測センサペア22a~22fのA1方向の各間隔が等しいまま間隔が調整され、簡単な構成で様々なエンジン機種に対応させることができる。
第2間隔調整装置71は、A2方向に平行に配設された1対の第3直動機構74,75と、第2駆動装置72を備えた第2連動機構73を有する。そして、複数の第2計測センサペア22a~22fが並べられて2列に配列された複数の第2計測センサを、中心線C1に対してA2方向に対称に移動させるように連動駆動させる。従って、簡単な構成で第2駆動装置71の駆動によって複数の第2計測センサペア22a~22fを同時にA2方向に対称に移動させて、様々なエンジン機種に対応させることができる。
第1計測センサ21a~21gと第2計測センサペア22a~22fを構成する第2計測センサが接触式のリニアセンサである。接触式のリニアセンサを使用するので、各ピストン14a~14fの傾きがあっても各ピストン14a~14fのトップ面位置を正確に計測して、上死点位置を正確に評価することができる。
複数の第1計測センサ21a~21g及び複数の第2計測センサペア22a~22fは、第1間隔調整装置41と第2間隔調整装置71が配設されたベース部材23から下方に突出した状態に装備されている。ベース部材23は、計測基準位置の学習時にマスタープレート37に当接させるために下方に突出した複数の脚部27を有し、計測時には複数の脚部27をデッキ面12に当接させる。従って、計測基準位置になった脚部27の下端を、デッキ面12に当接させて計測するので、計測誤差の発生を抑えることができる。
尚、上記実施形態では、直列6気筒エンジンを例に説明したが、これより気筒数が少ない例えば直列4気筒エンジンや直列3気筒エンジン及び単気筒エンジンにおいても同様に上死点位置を評価することができる。この場合、対応する計測ポイントがない複数の第1、第2計測センサの出力値を使用せずに評価する。また、エンジンの気筒数に応じた数量の計測センサを装備させてもよい。その他、当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱することなく上記実施形態に種々の変更を付加した形態で実施可能であり、本発明はその種の変更形態をも包含するものである。
1 :上死点位置評価装置
3 :ステージ
5 :駆動装置
6 :回転角度計測装置
7 :エンジン機種検出装置
10 :エンジン
11 :クランクシャフト
12 :デッキ面
13a~13f :シリンダ
14a~14f :ピストン
15a :ピストンピン
16a :コネクティングロッド
17a :クランクピン
18a :クランクジャーナル
20 :計測装置
21a~21g :第1計測センサ
22a~22f :第2計測センサペア
23 :ベース部材
24 :開口部
25a~25c,25e~25f,26a~26f :支持部材
27 :脚部
30 :支持フレーム
31 :固定フレーム
32 :左右移動フレーム
33 :前後移動フレーム
34 :上下移動フレーム
37 :マスタープレート
41 :第1間隔調整装置
42 :第1直動機構
43a,43b :ボールねじ直動機構
44 :回転軸
44a :連結部材
45 :ギヤ
46 :支軸部材
47a~47c :ナットユニット
52 :第2直動機構
53a,53b :ボールねじ直動機構
54 :回転軸
54a :連結部材
55 :ギヤ
56 :支軸部材
57a~57c :ナットユニット
61 :第1駆動装置
61a,61b :駆動軸
62 :第1連動機構
63 :伝達機構
70a,70b :動力伝達板
71 :第2間隔調整装置
72 :第2駆動装置
73 :第2連動機構
74,75 :第3直動機構
76a,76b :ボールねじ直動機構
77 :回転軸
78 :ギヤ
79 :支軸部材
80a,80bナットユニット
81,82 :駆動軸
83 :伝達機構
85a,85b :貫通孔
86a,86b :スライドガイド
87a,87b :スライド板
88a,88b :係合部材
90 :制御部
91 :演算装置
C1 :中心線

Claims (8)

  1. エンジンのクランクシャフトを所定速度で回転させる駆動装置と、前記クランクシャフトの回転角度を計測する回転角度計測装置を備え、前記クランクシャフトを所定速度で回転させながら、前記クランクシャフトに連結されたピストンの上死点に対応する前記回転角度を評価する上死点位置評価装置において、
    シリンダブロックのデッキ面であって、前記クランクシャフトの軸に沿う第1方向のシリンダの中心線に沿ってシリンダの外側の複数のデッキ面位置を計測するために1列に配列された複数の第1計測センサと、
    前記シリンダ内で往復移動する前記ピストンのトップ面であって、前記ピストンの前記第1方向と直交する第2方向に離隔した複数のトップ面位置を計測するために前記第1方向と平行に2列に配列された複数の第2計測センサと、
    エンジン機種を検出する機種検出装置と、
    前記エンジン機種に応じて前記複数の第1計測センサ及び前記複数の第2計測センサの前記第1方向の間隔を夫々調整する第1間隔調整装置と、
    前記エンジン機種に応じて前記複数の第2計測センサの前記第2方向の間隔を調整する第2間隔調整装置と、
    前記回転角度と、前記トップ面位置と、前記複数のデッキ面位置に基づいて前記ピストンの上死点位置を算出する演算装置を有することを特徴とする上死点位置評価装置。
  2. 前記第1間隔調整装置は、前記複数の第1計測センサの前記第1方向の間隔が等しくなるように且つ前記複数の第2計測センサの前記第1方向の間隔が等しくなるように、前記複数の第1計測センサの列中央及び前記複数の第2計測センサの列中央から前記第1方向に対称に夫々列中央から遠い第1、第2計測センサほど大きく移動させ、
    前記第2間隔調整装置は、2列に配列された前記複数の第2計測センサを前記中心線に対して前記第2方向に対称に等しく移動させることを特徴とする請求項1に記載の上死点位置評価装置。
  3. 前記第1間隔調整装置は、前記複数の第1計測センサを前記第1方向に対称に移動させる第1直動機構と、前記複数の第2計測センサを前記第1方向に対称に移動させる第2直動機構を有し、前記第1方向と夫々平行に配設された前記第1直動機構と前記第2直動機構が、第1駆動装置を備えた第1連動機構によって連動駆動されることを特徴とする請求項2に記載の上死点位置評価装置。
  4. 前記第1直動機構と第2直動機構の各々は、リードが異なる複数のねじ軸が同軸状に連結された回転軸を備えた2つのボールねじ直動機構を有し、2つのボールねじ直動機構がギヤを介して互いに反対方向に駆動するように構成されたことを特徴とする請求項3に記載の上死点位置評価装置。
  5. 前記第1直動機構の回転軸は、前記ギヤに最も近いギヤ側部分のリードに対して、前記ギヤから離れる方向に段階的に整数倍になるようにリードが設定され、前記第2直動機構の回転軸は、前記ギヤに最も近いギヤ側部分のリードに対して、前記ギヤから離れる方向に段階的に奇数倍になるようにリードが設定されたことを特徴とする請求項4に記載の上死点位置評価装置。
  6. 前記第2間隔調整装置は、前記第2方向に平行に配設された1対の第3直動機構と、第2駆動装置を備えた第2連動機構を有し、2列に配列された前記複数の第2計測センサを前記中心線に対して前記第2方向に対称に移動させるように連動駆動されることを特徴とする請求項2に記載の上死点位置評価装置。
  7. 前記第1計測センサと前記第2計測センサは接触式のリニアセンサであり、計測前に前記第1計測センサと前記第2計測センサを上面に接触させることによってこれらの計測基準位置を学習させるためのマスタープレートを有することを特徴とする請求項1~6の何れか1項に記載の上死点位置評価装置。
  8. 前記複数の第1計測センサ及び前記複数の第2計測センサは、前記第1間隔調整装置と前記第2間隔調整装置が配設されたベース部材から下方に突出した状態に装備され、
    前記ベース部材は、前記計測基準位置の学習時に前記マスタープレートに当接させるために下方に突出した複数の脚部を有し、計測時には前記複数の脚部を前記デッキ面に当接させることを特徴とする請求項7に記載の上死点位置評価装置。
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