JP7302706B2 - セラミックシンチレータおよび放射線検出器 - Google Patents

セラミックシンチレータおよび放射線検出器 Download PDF

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本開示は、イットリウムおよびアルミニウムを含む組成を有するペロブスカイト型セラミック蛍光材料、セラミックシンチレータおよび放射線検出器、並びにセラミック蛍光材料の製造方法に関する。
放射線画像システムは、被写体にα線、β線、γ線、X線等の放射線を照射し、被写体を透過した放射線を画像化する。放射線画像システムは断層撮影などの医療分野、非破壊検査などの工業分野、手荷物検査などのセキュリティ分野、高エネルギー物理学などの学術分野等の多様な応用分野で利用されている。
現在、主として商業的に利用されている放射線画像システムは、放射線の強度を電気信号に変換する放射線検出器を用いる。放射線検出器は、放射線の強度を光に変換する為のシンチレータと、光を電気信号に変換する為のCCD等の光検出器とを含む。
種々の分野において、より高精細、かつ、より低放射線量で画像を取得できる放射線画像システムが求められている。このような放射線画像システムとして、例えば特許文献1に開示されているように、光子の数を計測することができるフォトンカウンターを用いて、放射線を検出するフォトンカウンティング型の放射線検出器が検討されている。
特開2012-34901号公報
特許文献1に開示されたX線CT装置は、放射線検出器としてCdTeシンチレータを用いる。CdTeシンチレータは比較的高価であり、毒性を有する。また、大型のCdTe単結晶を得ることが容易ではないため、放射線の検出面を大きくすることが難しい。
本開示は、この様な課題に鑑み、フォトンカウンティング型の放射線検出器に使用可能なセラミック蛍光材料、セラミックシンチレータおよび放射線検出器、並びにセラミック蛍光材料の製造方法を提供する。
本開示のセラミック蛍光材料は、Ce(Y1-yLu1-xAlOで表される組成を有する主成分を含み、前記x、yが0.001≦x<1、0≦y≦1を満足する。
前記主成分はペロブスカイト構造を有し、Ceを発光元素とする蛍光体であり、前記セラミック蛍光材料は、Ce、Y、LuおよびAlの合計量に対して、Ceを0.05原子%以上50原子%未満、Yを0原子%以上49.95原子%以下、Luを0原子%以上49.5原子%以下、かつ、Ce、YおよびLuの合計を50原子%、およびAlを50原子%の割合で含んでいてもよい。
前記セラミック蛍光材料は、95質量%以上の割合で、前記主成分を含んでいてもよい。
前記xは、0.006≦x<1を満足していてもよい。
前記xは、0.01≦x≦0.1を満足していてもよい。
前記yは、0<y<0.5を満足していてもよい。
前記yは、0.0003≦y≦0.01を満足していてもよい。
前記yは、0.4≦y≦0.6を満足していてもよい。
前記セラミック蛍光材料は、異相としてCeO相を含み、前記セラミック蛍光材料の断面のBSE像における前記CeO相の面積の割合は、0.5%以下であってもよい。
本開示のセラミックシンチレータは、上記いずれかに記載のセラミック蛍光材料を含み、相対密度が99%以上である。
本開示の放射線検知器は、上記セラミックシンチレータと、光を電気信号、電流値または電圧値のいずれかに変換する光電変換素子とを備える。
本開示のセラミック蛍光材料の製造方法は、焼成後の組成が、Ce(Y1-yLu1-xAlO(0.001≦x<1、0≦y≦1)となるように、Ceと、Alと、Yと、Luとをそれぞれ含む素原料を用意する工程と、前記素原料を混合及び粉砕し、原料粉末を得る工程と、前記原料粉末を成形し、成形体を得る工程と、前記成形体を還元雰囲気中、1600℃~1800℃の温度で焼結させる工程とを包含する。
本開示によれば、蛍光の減衰時定数が小さく、フォトンカウンティング型の放射線検出器に使用可能なセラミック蛍光材料、及びセラミック蛍光材料の製造方法が得られる。また、このような特性を備えたセラミック蛍光材料を含み、大面積化が可能なセラミックシンチレータおよび放射線検出器が得られる。
Ce1-yAlOで示される組成のセラミック蛍光材料の減衰時定数τ を求めた実験例であって、Ce量xと蛍光の減衰時定数τとの関係を示す図である。 Ce0.03(Y1-yLu)0.97AlOで示される組成のセラミック蛍光材料の減衰時定数τを求めた実験例であって、Lu量yと蛍光の減衰時定数τとの関係を示す図である。 (a)および(b)は、実験例のセラミック蛍光材料の粉末X線回折スペクトルを示す図である。 (a)、(b)および(c)は、酸素雰囲気下で焼成したセラミック蛍光材料、大気雰囲気下で焼成したセラミック材料および実験例のセラミック蛍光材料のBSE像である。 (a)、(b)および(c)は、図4(a)、(b)および(c)と同じ領域についてCeの元素マッピングを行った図である。 (a)、(b)および(c)は、図5(a)、(b)および(c)に示すBSE像を画像処理した図である。
本願発明者は、フォトンカウンティング型の放射線検出器に使用可能な蛍光材料、セラミックシンチレータに必要な物性を検討し、その物性を実現し得る蛍光材料の組成を詳細に検討した。
従来の強度積分型の放射線検出器は、マイクロ秒からミリ秒オーダーの所定の時間間隔(この時間間隔を1フレームとよぶ)で放射線を対象物に照射し、対象物を透過した放射線が入射することによってシンチレータが発する蛍光を光検出器で検出し、電気信号に変換する。放射線は、上述の所定の時間間隔よりも短い期間、対象物に照射される。
シンチレータの蛍光材料は、放射線の照射時に強い蛍光を発するが、放射線照射が停止した後、すぐに蛍光はゼロとはならず、弱い蛍光が持続する。これを残光と呼ぶ。残光は例えば、放射線照射中の発光強度Iと、放射線照射停止から一定時間経過後の発光強度Iとを用い、I/I(ppm)で定義される。一定時間とは、光検出器からの信号処理速度や、被対象物の被爆なども考慮してミリ秒(ms)のオーダーが選ばれる。
放射線画像システムは、ノイズ等による影響を低減するため、各フレームにおいて、放射線の照射時に放射線検知器から得られた電気信号から、放射線の照射停止時に放射線検知器から得られた電気信号を差し引いた信号を、検出した放射線の強度として処理する。このため、残光が大きいと、相対的に検出した放射線強度が小さくなる。このことから、従来の強度積分型の放射線検出器では、蛍光材料の残光は小さいことが好ましい。
これに対し、フォトンカウンティング型の放射線検出器は、蛍光材料の極めて短時間の発光によるフォトンの数を計測することが可能な光電子増倍管、マルチピクセルフォトンカウンター(シリコンフォトマルチプライヤー)などを備え、フォトンの数をパルス信号として読み出す。フォトンカウンティング型の放射線検出器では、発光強度に一定の閾値を設けて読み出しを行うため、蛍光材料の発光強度は上述した従来の強度積分型の放射線検出器に求められる蛍光材料ほど大きくなくてよい。また、残光が生じていても、残光の強度が上述した閾値以下であれば、残光が検出されることはないため、残光の有無は発光の検出に大きな影響を与えない。
一方、フォトンカウンティング型の放射線検出器を備えた放射線画像システムでは、発光の数が放射線の強度に比例するため、蛍光の減衰時間が長いと、発光が重複し、正確な発光の数が検出できない。このため、フォトンカウンティング型の放射線検出器に用いられるシンチレータおよび蛍光材料は、非常に短い時間で蛍光が減衰すること、具体的には、ナノ秒前後のオーダーの時間で発光強度が1/e程度まで減衰する特性が求められる。このように、フォトンカウンティング型の放射線検出器に好適に用いられる蛍光材料には、従来の放射線検出器用の蛍光材料とは全く異なる特性が求められる。
蛍光材料における蛍光の減衰時間は、主として発光元素に依存する。本願発明者は、蛍光の減衰時間が短い発光元素としてCeに注目し、Ceを発光元素として含有可能な蛍光材料を検討した。その結果、YAlO、すなわち、イットリウムアルミニウムペロブスカイト(以下、YAPと略す場合がある)を母材とし、Ceを高い濃度で含有させることによって、蛍光の減衰時間が短い蛍光材料を実現し得ることが分かった。
YAPは陽電子放射断層撮影(以下、PETと略す場合がある)用シンチレータとして知られている。しかし、PETでは、γ線を十分に減衰できることが重要である。このため、重い元素を用い、密度の高い単結晶のYAPが用いられる。本願発明者の詳細な検討によれば、単結晶に添加し得るCeの量は少なく、Ceの添加量を多くすると、Ceが遊離してしまい、単結晶を得ることが困難になる。このような知見に基づき、発明者は、新規なセラミック蛍光材料、セラミックシンチレータおよび放射線検出器、並びにセラミック蛍光材料の製造方法を想到した。以下、本開示のセラミック蛍光材料、セラミックシンチレータおよび放射線検出器、並びにセラミック蛍光材料の製造方法を詳細に説明する。
(蛍光材料の組成および物性)
本開示のセラミック蛍光材料は、一般式(以下、一般式(1)と呼ぶ):Ce(Y1-yLu1-xAlOで表される組成を有する主成分を含む。xおよびyは、それぞれ、以下の範囲を満たしている。
0.001≦x<1
0≦y≦1
つまり主成分は、Ce、Y、LuおよびAlの合計量に対して、Ceを0.05原子%以上50原子%未満、Yを0原子%以上49.95原子%以下、Luを0原子%以上49.5原子%以下、かつ、Ce、YおよびLuの合計を50原子%、およびAlを50原子%の割合で含んでいる。
上記一般式(1)において、Ceは発光イオンとして機能する。本開示のセラミック蛍光材料の特徴の1つは、上記一般式(1)で表される組成の材料を単結晶ではなく、多結晶体であるセラミックとしてシンチレータに用いる点にある。多結晶体であることにより、単結晶である場合に比べてより多くのCeをYAPに固溶させることができる。後述するようにCe濃度が高いほうが、蛍光の減衰時間が短くなる。本開示において、セラミック蛍光材料の蛍光の減衰時間は、蛍光の減衰時定数τで評価する。減衰時定数τは、励起光であるX線の照射停止時刻をゼロとして、X線照射停止後の蛍光の発光強度がX線照射中の蛍光の発光強度に対する強度比で1/e(=0.3679)になる時刻で定義される。より具体的には、例えば、パルスX線管を用い、30kVの管電圧でX線を発生させ、蛍光材料にX線を照射した場合において、X線の照射停止後、発光強度が1/eに減衰するまでの時間を減衰時定数τと定義する。減衰時定数の単位は時間であるため、残光のように強度比(ppm)ではなく、ナノ秒(ns)などとなる。
一般に蛍光材料における残光は蛍光材料の欠陥の多さに関係している。これに対し、減衰時定数τは、発光元素のエネルギー源による励起によって生じる電子の遷移に関係しており、X線、紫外線、ガンマ線等のエネルギー源の種類によっても、減衰時定数τは異なり得る。
一般式(1)におけるCe量を示すxは、0.001≦x<1を満たしている。xが0.001以上であることにより、減衰時定数τを35ns程度以下にすることができる。この減衰時定数τは、単結晶のYAPでは、Ceを添加しても達成することが困難な値である。Ce量が増えるにしたがって、減衰時定数τも短くなる。xは0.006以上であれば、減衰の時定数τは約20ns以下になるため、好ましい。また、xが0.01以上であれば、減衰の時定数τは約15ns以下になるため、さらに好ましい。
減衰の時定数τを短くするという観点では、Ceの量の上限に制限はなく、xは1未満であればよい。しかし、Ce量が多くなると均一なセラミック体であるセラミック蛍光材料を得ることが難しくなる。このため、製造のしやすさという観点では、xは、0.1以下であることが好ましい。
Lu量を示すyは、発光量に関連しており、0≦y≦1を満たしている。発光量を多くするためには、yは0.4≦y≦0.6を満たしていることが好ましい。ただし、フォトンカウンティング型の放射線検出器では、光子を高感度で検出することができるため、発光強度が高くなくてもフォトンカウンティング型の放射線検出器を実現できる場合がある。この場合、他の観点、例えば、製造のしやすさ、有効原子番号等の観点からLuの量を決定することができる。LuはYに比べて融点が高いため、Lu量が増えるほどYAPセラミックスの融点も上昇し、緻密なセラミックスを得ることは困難になる。光の透過する透明セラミックスを得るという観点から、Lu量は少ない方が好ましい。例えば、yは0<y<0.5であることが好ましい。
本開示のセラミック蛍光材料の密度は、以下に説明する相対密度の評価において99%以上であることが好ましい。相対密度の計算方法は以下の通りである。まず、一般式(1)において、x=0、y=0の場合(組成式:YAlO)の格子定数をICDD(International Centre for Diffraction Data)のデータより引用し、それを基準に体積を算出する。次に相対密度を算出しようとする試料の組成式から質量として式量を算出する。そして、体積と式量とから求めた密度を理論密度とする。次に、蛍光材料の実測密度を測定し、前記理論密度で割って相対密度を算出する。相対密度が小さい場合、光が透過しなくなるため、相対密度は99%以上が好ましい。
本開示のセラミック蛍光材料は上述した主成分を95質量%以上の割合で含んでいることが好ましい。セラミック蛍光材料は、主成分以外に未反応の原料、副生成物、不可避的不純物等を0.5質量%未満の割合で含んでいてもよい。例えば、セラミック蛍光材料は、原料である酸化セリウム(CeO)を異相として含んでいてもよい。セラミック蛍光材料が、酸化セリウムを異相として含む場合、主成分、つまり主相に固溶したCeと、異相に存在するCeとを、元素分析等で区別することは困難な場合ある。この場合、セラミック蛍光材料の断面を観察することによって、異相の割合を評価し得る。本開示のセラミック蛍光材料の断面のBSE像におけるCeO相の面積の割合は、0.5%以下であることが好ましい。ここで、断面の観察は、1000倍から5000倍の倍率で行う。
(蛍光材料の製造方法)
本開示による蛍光材料の製造方法の一例を説明する。まず、焼成後に一般式(1)で表される比率で、Ce、Al、YおよびLuを含む素原料を用意する。つまり、製造工程中、例えば素原料の粉砕工程において、メディア等からAlが混入する場合には、その混入量分だけ、一般式(1)で表される比率からAlを差し引いた量の素原料を用意する。具体的には、Ce、Al、YおよびLuの、酸化物、又は炭酸塩等の素原料を用意し、混入するAlを考慮した上で、一般式(1)で示す組成比となるように素原料を秤量する。次に、秤量した素原料に必要に応じて溶媒を加え、ボールミル等で混合及び粉砕する。混合物を乾燥させることによって原料粉末を得る。原料粉末を適当な篩で造粒し、プレス成形することによって成形体を得る。その後、成形体を還元雰囲気中、1600℃~1800℃の温度で、0.5~12時間保持することによって成形体を焼結させる。れにより、多結晶のセラミック蛍光材料が得られる。還元雰囲気とは、例えば、水素が添加された窒素ガス等をいう。
一般式(1)で示す組成のセラミック蛍光材料中、Ceは3価で存在すると考えられるが、Ceを含む素原料として、一般的に入手が容易であるのは、CeOであり、素原料中Ceは4価の状態で存在する。このため、YAPにCeを導入するために、Ceを還元する必要があり、還元雰囲気中で素原料を焼結させることが好ましい。これにより、高い濃度でCeをYAPに導入することが可能となる。
上記製造方法の他、本開示のセラミック蛍光材料は、無機塩法などによって製造することも可能である。
本開示のセラミック蛍光材料は、一般的なセラミックと同様の工程によって作製することが可能であるため、低コストで生産性に優れた蛍光材料であり、かつ、大面積のセラミックシンチレータを比較的容易に作製することが可能である。そのため、本開示のセラミックシンチレータを用いることにより、単結晶シンチレータと異なり、大量の蛍光材料を配列したり、大面積のセラミックシンチレータを加工することで、放射線の検出面が大きな放射線検出器を容易に得ることができる。
(蛍光材料を用いた実施形態)
[セラミックシンチレータ]
得られた多結晶のセラミック蛍光材料を、例えば、内周スライサーで適当な厚さの板として切断し、酸素雰囲気中、例えば1250℃~1350℃の温度で、0.5~12時間保持することによって熱処理を施す。その後、表面に光学研磨を施すことによって、セラミックシンチレータが得られる。焼結によって得られた蛍光材料が所望の形状を有している場合には、上述した熱処理および光学研磨を施すことによって、セラミックシンチレータを得ることが可能である。
[放射線検出器]
本開示のセラミックシンチレータと、高感度に光を計測可能な光電子増倍管や、マルチピクセルフォトンカウンター(シリコンフォトマルチプライヤー)などの光検出器とを組み合わせることによって、放射線検出器を構成することができる。例えば、放射線検出器は、受光面を備える光電子増倍管、マルチピクセルフォトンカウンター等の光検出器と、前記光検出器の受光面に配置されたセラミックシンチレータとを備える。セラミックシンチレータには、上述した本開示のセラミックシンチレータを用いることができる。光検出器は、好ましくは光に対して高感度であり、極めて短時間の発光を計測可能である。さらに好ましくは530nm程度以上600nm程度以下の波長範囲において、検出感度を有する。上述したように、本発明のシンチレータを構成している蛍光材料における蛍光の減衰時定数は小さい。このため、高時間分解能な光検出器と組み合わせて、放射線を検出することが可能であり、フォトンの数が計測可能な光電子増倍管、マルチピクセルフォトンカウンター等と好適に組わせることが可能である。
(実施例)
[実験例1]
種々の組成の蛍光材料を作製し、特性を調べた結果を説明する。
素原料として、Y(純度5N)、CeO(純度4N)、Al(純度5N)を用意し、総重量が200gとなるよう、下記表1の試料1から試料6に示す割合(元素比)で素原料を秤量した。ただし、粉砕工程においてメディアとして用いるアルミナのボールからAlが混入して、それが一般式(1)のセラミック蛍光材料を得るための原料Alに加わる。このため、一般式(1)において、CeとYとの合計とAlとの割合が1:1ではなく、1:0.98になるように、素原料を秤量した。
Figure 0007302706000001
1Lの容量のポリプロピレン製ポットに、秤量済みの各試料の素原料と、1250gの直径5mmのAlボールと、200mLのエタノールをそれぞれ投入し、ポットを分速100回転で40時間回転させ、原料を混合・粉砕した。原料をアルミナ製の容器に回収し、ホットプレートによって、容器ごと120℃で加熱して、エタノールを蒸発させ、原料を乾燥させた。その後、原料をアルミナ乳鉢で解砕し、目開き500μmの篩に通した。
原料を成型金型に入れ、一軸加圧成型機を用いて金型に30MPaの圧力を印加して、粉末の成型体を得た。この成型体をビニル袋に真空封止したのち、冷間等方加圧装置を用いて294MPaの圧力を印加して、さらに押し固めた。
成型体を、2%の水素を含む窒素雰囲気下にて1700℃で6時間熱処理し(焼成し)、試料1~試料6のセラミック蛍光材料を得た。
[実験例2]
素原料として、Lu(純度5N)、Y(純度5N)、CeO(純度4N)、Al(純度5N)を用意し、表2の組成で秤量し、実験例1と同様に試料7~試料11のセラミック蛍光材料を得た。
Figure 0007302706000002
[特性の測定]
作製した試料1~11の蛍光の減衰時定数τを求めた。パルスX線管を用い、30kVの管電圧でX線を発生させ、試料1~11にX線を照射し、X線の照射停止後、発光強度が1/eに減衰するまでの時間を減衰時定数τとして求めた。蛍光の測定には、浜松ホトニクス製蛍光寿命測定器のQuantaurus-τ(Quantaurus-Tau)を用いた。試料1~6のCeの組成xと減衰時定数τとの関係を図1に示す。また、試料7~11のLuの組成yと減衰時定数τとの関係を図2に示す。
試料3の粉末X線回折スペクトルを測定した。結果を図3(a)および(b)に示す。比較のため、焼成時の雰囲気が、大気又は酸素雰囲気であることを除いて実験例1の試料3と同じ条件で作成した試料の粉末X線回折スペクトルを合わせて示す。
酸素雰囲気で焼成した試料、大気雰囲気で焼成した試料および試料3について、組織のSEM(Scanning Electron Microscope)観察をJEOL製のJSM-7001Fを用いて行った。5000倍で観察したBSE(Backscattered electron)像を図4(a)~(c)に示す。図5(a)~(c)は、図4と同じ領域において、EDX法(Energy Dispersive X-ray Spectroscopy)によってCe元素を分析したCe元素マッピングの結果を示す。また、図6(a)~(c)は、図5(a)~(c)に二値化処理を行い、黒色で示したCeO相の領域を示す。断面におけるCeO相の領域割合を表3に示す。
Figure 0007302706000003
[考察]
図1に示すように、一般式(1)で示されるセラミック蛍光材料において、Ceの添加量が増えるに従い、減衰時定数τは短くなることが分かる。図1において、単結晶のCeープYAPの減衰時定数τを測定し、合わせて示した。Ceの量xが、0.001以上であれば、減衰時定数τを35ns程度以下にすることができることが分かった。また、Ceの量xが、0.006以上であれば、減衰時定数τは約20ns以下になり、xが0.01以上であれば、減衰時定数τは約15ns以下になることが分かった。
図2に示すように、一般式(1)で示されるセラミック蛍光材料において、Luの量yが増えるに従い、減衰時定数τはわずかに短くなる傾向にあるが、Luの量によって減衰時定数τは大きくは変化しないことが分かる。これは、上述したように、減衰時定数τは、Ceが添加される母材にはあまり影響されず、主として発光元素に依存することを示していると考えられる。
したがって、例えば、減衰時定数τをあまり変化させずに、Luの量を異ならせて、セラミック蛍光材料の有効原子番号を調節することができる。
図3(a)は、作製した試料3の粉末X線回折スペクトルを示し、(b)はその一部を拡大して示している。34.5°付近にCe0.030.97AlOに由来する大きなピークがみられる(ペロブスカイト構造を同定)。図3(a)および(b)に示すように、酸素雰囲気下又は大気雰囲気下で作成した試料には、28.2℃付近にCeOに由来するピークがみられるのに対し、還元雰囲気で作製した試料3には、このピークは見られない。これらの結果から、本開示のセラミック蛍光材料を作製する際には、還元雰囲気で焼結を行うことが重要であること、還元雰囲気で焼結を行うことによって、高い濃度でCeをYAPに固溶させることができることが分かる。
図4(a)~(c)において、白色で示される領域は、一般式(1)で示される組成の相の粒界に析出したCeO相と考えられる。この図に示すように、焼成時の雰囲気に酸素が含まれるほど、CeOが主相に固溶せず、大きな異相として存在していることが分かる。これに対し、還元性雰囲気で焼成した実施例の試料3では、CeO相は小さい。なお、図4(a)~(c)において、主相およびCeO相以外に、ガーネット相(主相より濃い領域)および気孔(黒)等が、示されていると考えられる。
表3に示すように、作成した試料3の観察した断面におけるCeO相の面積は、0.01%であり、主相に固溶しなかったCeOはごくわずかである。これに対し、酸素雰囲気で焼成した試料では、CeOの還元が十分には進まなかったため、主相に固溶しにくく、CeOとして残っていると考えられる。本開示のセラミック蛍光材料によれば、断面のBSE像におけるCeO相の領域の割合は、約0.5%以下である。
以上の結果から、本開示のセラミック蛍光材料によれば、一般式(1)の組成を有することにより、減衰時定数τが小さく、フォトンカウンティング型の放射線検出器に使用可能な蛍光材料を得ることが確認できた。
本開示のセラミック蛍光材料、セラミックシンチレータおよび放射線検出器、並びにセラミック蛍光材料の製造方法は、種々の用途の蛍光材料、シンチレータおよび放射線検出器に好適に用いられ、例えば、放射線画像システム用のフォトンカウンティング型の放射線検出器に好適に用いられる。


Claims (10)

  1. Ce(Y1-yLu1-xAlOで表される組成を有する主成分を含み、前記x、yが
    0.001≦x<1
    0≦y≦1
    を満足する蛍光材料を含む、減衰時定数τが35ns以下である、セラミックシンチレータ。
  2. 前記主成分はペロブスカイト構造を有し、Ceを発光元素とする蛍光体であり、
    前記蛍光材料は、Ce、Y、LuおよびAlの合計量に対して、
    Ceを0.05原子%以上50原子%未満、
    Yを0原子%以上49.95原子%以下、
    Luを0原子%以上49.5原子%以下、
    かつ、
    Ce、YおよびLuの合計を50原子%、および
    Alを50原子%、の割合で含む、請求項1に記載のセラミックシンチレータ。
  3. 前記セラミックシンチレータは、95質量%以上の割合で、前記主成分を含む、請求項1に記載のセラミックシンチレータ。
  4. 前記xは、
    0.006≦x<1
    を満足する請求項1から3のいずれかに記載のセラミックシンチレータ。
  5. 前記xは、
    0.01≦x≦0.1
    を満足する請求項1から3のいずれかに記載のセラミックシンチレータ。
  6. 前記yは、
    0<y<0.5
    を満足する請求項1から5のいずれかに記載のセラミックシンチレータ。
  7. 前記yは、
    0.0003≦y≦0.01
    を満足する請求項1から5のいずれかに記載のセラミックシンチレータ。
  8. 前記yは、
    0.4≦y≦0.6
    を満足する請求項1から5のいずれかに記載のセラミックシンチレータ。
  9. 請求項1から8のいずれかに記載のセラミックシンチレータであって、相対密度が99%以上であるセラミックシンチレータ。
  10. 請求項9に記載のセラミックシンチレータと、
    光を電気信号、電流値または電圧値のいずれかに変換する光電変換素子と
    を備えた放射線検出器。


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