JP7302591B2 - 液晶配向剤、液晶配向膜及び液晶表示素子 - Google Patents
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Description
また、本発明の目的は、上記目的に加えて、向上したチルト角特性を有するツイストネマチック型液晶表示素子及びOCB型液晶表示素子及び該素子のための液晶配向膜を提供することにある。
<1> (A):光配向性基とカルボキシル基とを有するアクリル重合体;及び
(B):分子内に1級アミノ基を1個と水酸基を少なくとも2個有し、かつ前記1級アミノ基と水酸基が脂肪族炭化水素基または非芳香族の環式炭化水素基に結合しているアミン化合物;を含有する液晶配向剤。
<2> (A):光配向性基とカルボキシル基とを有するアクリル重合体が、下記モノマー(A-1)、モノマー(A-2)及びモノマー(A-3)を含むモノマー混合物から得られる共重合体である液晶配向剤。
モノマー(A-1):シンナモイル部位を1つと、シンナモイル部位を構成しないベンゼン環を2~4つと、重合性基とを有するモノマー;
モノマー(A-2):シンナモイル部位を1つと、シンナモイル部位を構成しないベンゼン環を1つと、重合性基とを有するモノマー;
モノマー(A-3):カルボキシル基と、重合性基とを有するモノマー。
(上記シンナモイル部位とベンゼン環は、置換基を有していてもよい。)
<4> 上記<1>において、モノマー(A-1)及びモノマー(A-2)が、各々独立に、下記式(1)で表される基及び下記式(2)で表される基からなる群から選ばれるいずれか1種の基に重合性基が結合したモノマーであるのがよい。
Sは、炭素数1~12のアルキレン基であり、それに結合する水素原子はそれぞれ独立にハロゲン基に置き換えられていてもよい;
Tは、単結合または炭素数1~12のアルキレン基であり、それらに結合する水素原子はハロゲン基に置き換えられていてもよい;
Tが単結合であるときはBも単結合を表す;
Y1は、2価のベンゼン環である;
P1、Q1及びQ2は、それぞれ独立にベンゼン環及び炭素数5~8の脂環式炭化水素環からなる群から選ばれる基である;
R1は、水素原子、-CN、ハロゲン基、炭素数1~5のアルキル基、(炭素数1~5のアルキル)カルボニル基、炭素数3~7のシクロアルキル基又は炭素数1~5のアルキルオキシ基である。
X1及びX2は、それぞれ独立に単結合、-O-、-COO-又は-OCO-を表す;
n1及びn2はそれぞれ独立に0、1または2である、
X1の数が2となるときは、X1同士は同一でも異なっていてもよく、X2の数が2となるときは、X2同士は同一でも異なっていてもよい;
Q1の数が2となるときは、Q1同士は同一でも異なっていてもよく、Q2の数が2となるときは、Q2同士は同一でも異なっていてもよい;
モノマー(A-1)においては、Y1以外のベンゼン環の数の合計は2~4である;
モノマー(A-2)においては、Y1以外のベンゼン環の数の合計は1である;
破線は重合性基との結合手を表す。
<7> 上記<1>~<6>の何れかに記載の液晶配向剤を用いて得られる液晶配向膜。
<8> 上記<7>に記載の液晶配向膜を有する液晶表示素子。
本発明の液晶配向剤の使用により、何故に、白化現象や、基板上に異物を発生する現象を抑制し、さらには、得られる液晶配向膜のプレチルト角の低下を抑制し得るかについてのメカニズムは必ずしも明らかではないが、ほぼ次のように考えられる。
本発明の方法によって製造されたツイストネマチック型液晶表示素子及びOCB型液晶表示素子は、高効率に配向制御能が付与されているため長時間連続駆動しても表示特性が損なわれることがない。
<液晶配向剤>
本願は、
(A):光配向性基とカルボキシル基とを有するアクリル重合体;及び
(B):分子内に1級アミノ基を1個と水酸基を少なくとも2個有し、かつ前記1級アミノ基と水酸基が脂肪族炭化水素基または非芳香族の環式炭化水素基に結合しているアミン化合物;
を含有する液晶配向剤を提供する。以下、(A)成分(側鎖型高分子)、(B)成分(特定アミン化合物)について説明する。
(A)成分は、光配向性基とカルボキシル基とを有するアクリル重合体である。
より具体的には、(A)成分は、下記モノマー(A-1)、モノマー(A-2)及びモノマー(A-3)を含むモノマー混合物から得られる共重合体である。
モノマー(A-1):シンナモイル部位を1つと、シンナモイル部位を構成しないベンゼン環を2~4つと、重合性基とを有するモノマー。
モノマー(A-2):シンナモイル部位を1つと、シンナモイル部位を構成しないベンゼン環を1つと、重合性基とを有するモノマー。
モノマー(A-3):カルボキシル基と、重合性基とを有するモノマー。
上記シンナモイル部位とベンゼン環は、置換基を有していてもよい。
モノマー(A-1)においては、Y1以外のベンゼン環の数の合計は2~4である;
モノマー(A-2)においては、Y1以外のベンゼン環の数の合計は1である;
上記の液晶性を発現し得る感光性の側鎖型高分子は、上記のモノマー(A-1)及びモノマー(A-2)を少なくとも含むモノマー混合物を重合することによって得ることができる。
光反応性側鎖モノマーとは、高分子を形成した場合に、高分子の側鎖部位に感光性側鎖を有する高分子を形成することができるモノマーのことである。
側鎖の有する光反応性基としては下記の構造およびその誘導体が好ましい。
その他のモノマーの具体例としては、不飽和カルボン酸、アクリル酸エステル化合物、メタクリル酸エステル化合物、マレイミド化合物、アクリロニトリル、マレイン酸無水物、スチレン化合物及びビニル化合物等が挙げられる。
また、モノマー(A-3)に由来するカルボキシル基の含有量は、5モル%~90モル%が好ましく、10モル%~80モル%がより好ましく、20モル%~70モル%が更に好ましい。
ラジカル重合の重合開始剤、反応温度、溶媒等の条件は、国際特許出願公開WO2014/074785等に記載された公知の条件を用いることができる。
上述の反応により得られた、液晶性を発現し得る感光性の側鎖型高分子の反応溶液から、生成した高分子を回収する場合には、反応溶液を貧溶媒に投入して、それら重合体を沈殿させれば良い。沈殿に用いる貧溶媒としては、メタノール、アセトン、ヘキサン、ヘプタン、ブチルセルソルブ、ヘプタン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、エタノール、トルエン、ベンゼン、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、水等を挙げることができる。貧溶媒に投入して沈殿させた重合体は、濾過して回収した後、常圧あるいは減圧下で、常温あるいは加熱して乾燥することができる。また、沈殿回収した重合体を、有機溶媒に再溶解させ、再沈殿回収する操作を2回~10回繰り返すと、重合体中の不純物を少なくすることができる。この際の貧溶媒として、例えば、アルコール類、ケトン類、炭化水素等が挙げられ、これらの中から選ばれる3種類以上の貧溶媒を用いると、より一層精製の効率が上がるので好ましい。
本発明に用いられる(B)成分である特定アミン化合物は、分子内に1級アミノ基を1個と水酸基を少なくとも2個有し、かつ前記1級アミノ基と水酸基が脂肪族炭化水素基または非芳香族の環式炭化水素基に結合しているアミン化合物である。言い換えれば、本発明の(B)特定アミン化合物は、分子内に1級アミノ基を1個と水酸基を少なくとも2個有し、かつ前記水酸基が、脂肪族炭化水素基または非芳香族の環式炭化水素基を介して前記1級アミノ基と結合しているアミン化合物である。
より具体的には、下記式[1]で表される化合物である。式[1]中、X1及びX2はそれぞれ独立にヒドロキシアルキル基であり、X3は水素原子、アルキル基またはヒドロキシアルキル基である。
上記式[1]で表される化合物としては、例えば、下記式で表される化合物が好ましい。
本発明の液晶配向剤に用いる有機溶媒は、樹脂成分を溶解させる有機溶媒であれば特に限定されない。その具体例を以下に挙げる。
N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン、N-メチルカプロラクタム、2-ピロリドン、N-エチルピロリドン、N-ビニルピロリドン、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、ピリジン、ジメチルスルホン、ヘキサメチルスルホキシド、γ-ブチロラクトン、3-メトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミド、3-エトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミド、3-ブトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミド、1,3-ジメチル-イミダゾリジノン、エチルアミルケトン、メチルノニルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソアミルケトン、メチルイソプロピルケトン、シクロヘキサノン、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジグライム、4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン、プロピレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコール-tert-ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノアセテートモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノアセテートモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノアセテートモノプロピルエーテル、3-メチル-3-メトキシブチルアセテート、トリプロピレングリコールメチルエーテル等が挙げられる。これらは単独で使用しても、混合して使用してもよい。
本発明の液晶配向剤は、液晶配向膜の形成に好適となるように塗布液として調製されることが好ましい。すなわち、本発明の液晶配向剤は、樹脂被膜を形成するための樹脂成分が有機溶媒に溶解した溶液として調製されることが好ましい。ここで、その樹脂成分とは、既に説明した(A)成分である側鎖型高分子を含む樹脂成分である。その際、樹脂成分の含有量は、1質量%~20質量%が好ましく、より好ましくは3質量%~15質量%、特に好ましくは3質量%~10質量%である。
そのような他の重合体は、例えば、ポリ(メタ)アクリレートやポリアミック酸やポリイミド等からなり、(A)成分である側鎖型高分子以外の重合体等が挙げられる。
例えば、イソプロピルアルコール、メトキシメチルペンタノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルカルビトール、エチルカルビトール、エチルカルビトールアセテート、エチレングリコール、エチレングリコールモノアセテート、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコール-tert-ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノアセテートモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノアセテートモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノアセテートモノプロピルエーテル、3-メチル-3-メトキシブチルアセテート、トリプロピレングリコールメチルエーテル、3-メチル-3-メトキシブタノール、ジイソプロピルエーテル、エチルイソブチルエーテル、ジイソブチレン、アミルアセテート、ブチルブチレート、ブチルエーテル、ジイソブチルケトン、メチルシクロへキセン、プロピルエーテル、ジヘキシルエーテル、1-ヘキサノール、n-へキサン、n-ペンタン、n-オクタン、ジエチルエーテル、乳酸メチル、乳酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n-ブチル、酢酸プロピレングリコールモノエチルエーテル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸メチルエチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸、3-メトキシプロピオン酸、3-メトキシプロピオン酸プロピル、3-メトキシプロピオン酸ブチル、1-メトキシ-2-プロパノール、1-エトキシ-2-プロパノール、1-ブトキシ-2-プロパノール、1-フェノキシ-2-プロパノール、プロピレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコール-1-モノメチルエーテル-2-アセテート、プロピレングリコール-1-モノエチルエーテル-2-アセテート、ジプロピレングリコール、2-(2-エトキシプロポキシ)プロパノール、乳酸メチルエステル、乳酸エチルエステル、乳酸n-プロピルエステル、乳酸n-ブチルエステル、乳酸イソアミルエステル等の低表面張力を有する溶媒等が挙げられる。
より具体的には、例えば、エフトップ(登録商標)301、EF303、EF352(トーケムプロダクツ社製)、メガファック(登録商標)F171、F173、R-30(DIC社製)、フロラードFC430、FC431(住友スリーエム社製)、アサヒガード(登録商標)AG710(旭硝子社製)、サーフロン(登録商標)S-382、SC101、SC102、SC103、SC104、SC105、SC106(AGCセイミケミカル社製)等が挙げられる。これらの界面活性剤の使用割合は、重合体組成物に含有される樹脂成分の100質量部に対して、好ましくは0.01質量部~2質量部、より好ましくは0.01質量部~1質量部である。
例えば、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、2-アミノプロピルトリメトキシシラン、2-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3-ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3-ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N-エトキシカルボニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-エトキシカルボニル-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-トリエトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、N-トリメトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、10-トリメトキシシリル-1,4,7-トリアザデカン、10-トリエトキシシリル-1,4,7-トリアザデカン、9-トリメトキシシリル-3,6-ジアザノニルアセテート、9-トリエトキシシリル-3,6-ジアザノニルアセテート、N-ベンジル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-ベンジル-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-ビス(オキシエチレン)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-ビス(オキシエチレン)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
光増感剤としては、芳香族ニトロ化合物、クマリン(7-ジエチルアミノ-4-メチルクマリン、7-ヒドロキシ4-メチルクマリン)、ケトクマリン、カルボニルビスクマリン、芳香族2-ヒドロキシケトン、およびアミノ置換された、芳香族2-ヒドロキシケトン(2-ヒドロキシベンゾフェノン、モノ-もしくはジ-p-(ジメチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾフェノン)、アセトフェノン、アントラキノン、キサントン、チオキサントン、ベンズアントロン、チアゾリン(2-ベンゾイルメチレン-3-メチル-β-ナフトチアゾリン、2-(β-ナフトイルメチレン)-3-メチルベンゾチアゾリン、2-(α-ナフトイルメチレン)-3-メチルベンゾチアゾリン、2-(4-ビフェノイルメチレン)-3-メチルベンゾチアゾリン、2-(β-ナフトイルメチレン)-3-メチル-β-ナフトチアゾリン、2-(4-ビフェノイルメチレン)-3-メチル-β-ナフトチアゾリン、2-(p-フルオロベンゾイルメチレン)-3-メチル-β-ナフトチアゾリン)、オキサゾリン(2-ベンゾイルメチレン-3-メチル-β-ナフトオキサゾリン、2-(β-ナフトイルメチレン)-3-メチルベンゾオキサゾリン、2-(α-ナフトイルメチレン)-3-メチルベンゾオキサゾリン、2-(4-ビフェノイルメチレン)-3-メチルベンゾオキサゾリン、2-(β-ナフトイルメチレン)-3-メチル-β-ナフトオキサゾリン、2-(4-ビフェノイルメチレン)-3-メチル-β-ナフトオキサゾリン、2-(p-フルオロベンゾイルメチレン)-3-メチル-β-ナフトオキサゾリン)、ベンゾチアゾール、ニトロアニリン(m-もしくはp-ニトロアニリン、2,4,6-トリニトロアニリン)またはニトロアセナフテン(5-ニトロアセナフテン)、(2-[(m-ヒドロキシ-p-メトキシ)スチリル]ベンゾチアゾール、ベンゾインアルキルエーテル、N-アルキル化フタロン、アセトフェノンケタール(2,2-ジメトキシフェニルエタノン)、ナフタレン、アントラセン(2-ナフタレンメタノール、2-ナフタレンカルボン酸、9-アントラセンメタノール、および9-アントラセンカルボン酸)、ベンゾピラン、アゾインドリジン、メロクマリン等がある。
好ましくは、芳香族2-ヒドロキシケトン(ベンゾフェノン)、クマリン、ケトクマリン、カルボニルビスクマリン、アセトフェノン、アントラキノン、キサントン、チオキサントン、およびアセトフェノンケタールである。
本発明の液晶配向膜を有する基板の製造方法は、
[I] (A)側鎖型高分子、(B)成分である特定アミン化合物及び有機溶媒を含有する液晶配向剤を、透明電極を有する基板上に塗布して塗膜を形成する工程;
[II] [I]で得られた塗膜に偏光した紫外線を照射する工程;及び
[III] [II]で得られた塗膜を加熱する工程;
を有する。
上記工程により、配向制御能が付与された液晶表示素子用液晶配向膜を得ることができ、該液晶配向膜を有する基板を得ることができる。
第2の基板は、透明電極を有する第二の基板に、上記工程[I]~[III]を用いることにより、配向制御能が付与された液晶配向膜を有する第2の基板を得ることができる。
[IV] 上記で得られた第1及び第2の基板を、液晶を介して第1及び第2の基板の液晶配向膜が相対するように、対向配置して液晶表示素子を得る工程;
を有する。これによりツイストネマチック型液晶表示素子を得ることができる。
以下、本発明の製造方法の有する[I]~[III]、および[IV]の各工程について説明する。
工程[I]では、液晶駆動用の電極を有する基板上に、(A)側鎖型高分子、(B)成分である特定アミン化合物及び有機溶媒を含有する液晶配向剤を塗布して塗膜を形成する。
基板については、特に限定はされないが、製造される液晶表示素子が透過型である場合、透明性の高い基板が用いられることが好ましい。その場合、特に限定はされず、ガラス基板、またはアクリル基板やポリカーボネート基板等のプラスチック基板等を用いることができる。
液晶駆動のための電極としてはITO(Indium Tin Oxide:酸化インジウムスズ)、IZO(Indium Zinc Oxide:酸化インジウム亜鉛)などが好ましい。また、反射型の液晶表示素子では片側の基板のみにならばシリコンウエハー等の不透明な物でも使用でき、この場合の電極はアルミ等の光を反射する材料も使用できる。
基板に電極を形成する方法は、従来公知の手法を用いることができる。
塗布方法は、工業的には、スクリーン印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷またはインクジェット法などで行う方法が一般的である。その他の塗布方法としては、ディップ法、ロールコータ法、スリットコータ法、スピンナ法(回転塗布法)またはスプレー法などがあり、目的に応じてこれらを用いてもよい。
塗膜の厚みは、厚すぎると液晶表示素子の消費電力の面で不利となり、薄すぎると液晶表示素子の信頼性が低下する場合があるので、好ましくは5nm~300nm、より好ましくは10nm~150nmである。
尚、[I]工程の後、続く[II]工程の前に塗膜の形成された基板を室温にまで冷却する工程を設けることも可能である。
工程[II]では、工程[I]で得られた塗膜に、斜め方向から偏光した紫外線を照射する。塗膜の膜面に偏光した紫外線を照射する場合、基板に対して一定の方向から偏光板を介して偏光された紫外線を照射する。使用する紫外線としては、波長100nm~400nmの範囲の紫外線を使用することができる。好ましくは、使用する塗膜の種類によりフィルター等を介して最適な波長を選択する。そして、例えば、選択的に光架橋反応を誘起できるように、波長290nm~400nmの範囲の紫外線を選択して使用することができる。紫外線としては、例えば、高圧水銀灯から放射される光を用いることができる。
得られるプレチルト角としては、ツイストネマスチックモードに適したプレチルト角として1°~20°が好ましく、2°~15°がさらに好ましい。
工程[III]では、工程[II]で偏光した紫外線の照射された塗膜を加熱する。加熱により、塗膜に配向制御能を付与することができる。
加熱は、ホットプレート、熱循環型オーブンまたはIR(赤外線)型オーブンなどの加熱手段を用いることができる。加熱温度は、使用する塗膜の液晶性を発現させる温度を考慮して決めることができる。
なお、液晶発現温度は、側鎖型高分子または塗膜表面が固体相から液晶相に相転移がおきるガラス転移温度(Tg)以上であって、液晶相からアイソトロピック相(等方相)に相転移を起こすアイソトロピック相転移温度(Tiso)以下の温度をいう。
以上の工程を有することにより、本発明の製造方法では、高効率な、塗膜への異方性の導入を実現することができる。そして、高効率に液晶配向膜付基板を製造することができる。
[IV]工程は、基板の液晶配向膜が形成された側が対向するように配置された2枚の[III]で得られた基板と、基板間に設けられた液晶層と、基板と液晶層との間に設けられ本発明の液晶配向剤により形成された上記液晶配向膜とを有する液晶セルを具備する液晶表示素子である。このような本発明の液晶表示素子としては、ツイストネマティック(TN:Twisted Nematic)方式、垂直配向(VA:Vertical Alignment)方式や、水平配向(IPS:In-Plane Switching)方式、OCB配向(OCB:Optically Compensated Bend)等、種々のものが挙げられる。
本発明に用いる塗膜では、側鎖の光反応と液晶性に基づく自己組織化によって誘起される分子再配向の原理を利用して、塗膜への高効率な異方性の導入を実現する。本発明の製造方法では、側鎖型高分子に光反応性基として光架橋性基を有する構造の場合、側鎖型高分子を用いて基板上に塗膜を形成した後、偏光した紫外線を照射し、次いで、加熱を行った後、液晶表示素子を作成する。
<メタクリルモノマー>
MA-2は特許文献(英国特許GB2306470B)に記載の合成法にて合成した。
MA-3は特許文献(特開平9-118717)に記載の合成法にて合成した。
MA-4は特許文献(WO2014/054785)に記載の合成法にて合成した。
T-1は東京化成工業株式会社より購入して使用した。
T-2は東京化成工業株式会社より購入して使用した。
T-3は東京化成工業株式会社より購入して使用した。
T-4は東京化成工業株式会社より購入して使用した。
NMP:N-メチル-2-ピロリドン
BCS:ブチルセロソルブ
<重合開始剤>
AIBN:2,2’-アゾビスイソブチロニトリル
MA-1(34g:60mmol)、MA-2(9g:20mmol)、MA-3(6g:20mmol)をNMP(282g)中に溶解し、ダイアフラムポンプで脱気を行った後、AIBN(0.5g:3mmol)を加え再び脱気を行った。この後、60℃で6時間反応させメタクリレートのポリマー溶液を得た。このポリマー溶液をメタノール(2000ml)に滴下し、得られた沈殿物をろ過した。この沈澱物をメタノールで洗浄し、減圧乾燥しメタクリレートポリマー粉末P1を得た。
MA-1(34g:60mmol)、MA-2(9g:20mmol)、MA-4(9g:20mmol)をNMP(296g)中に溶解し、ダイアフラムポンプで脱気を行った後、AIBN(0.5g:3mmol)を加え再び脱気を行った。この後、60℃で6時間反応させメタクリレートのポリマー溶液を得た。このポリマー溶液をメタノール(2000ml)に滴下し、得られた沈殿物をろ過した。この沈澱物をメタノールで洗浄し、減圧乾燥しメタクリレートポリマー粉末P2を得た。
上記合成例1にて得られたメタクリレートポリマー粉末P1(0.6g)にNMP(8.4g)を加え、室温で1時間攪拌して溶解させた。この溶液に、BCS(6.0g)を加え、固形分濃度が4.0wt%、のポリマー溶液とした。このポリマー溶液にT―1(0.03g)を加え、室温で3時間攪拌して溶解させ、ポリマー溶液(A1)を得た。このポリマー溶液は、そのまま液晶配向膜を形成するための液晶配向剤となる。
表1に示す条件にて液晶配向剤A2、B1、B2、B3に関しても、液晶配向剤A1と同様の方法を用い液晶配向剤を作製した。
上記合成例1にて得られたメタクリレートポリマー粉末P1(0.6g)にNMP(8.4g)を加え、室温で1時間攪拌して溶解させた。この溶液に、BCS(6.0g)を加え、固形分濃度が4.0wt%、のポリマー溶液(B4)を得た。このポリマー溶液は、そのまま液晶配向膜を形成するための液晶配向剤となる。
表1に示す条件にて液晶配向剤B5に関しても、液晶配向剤B4と同様の方法を用い液晶配向剤を作製した。
上記の液晶配向剤を、Cr基板上にそれぞれ約0.1ml滴下し、温度23℃、湿度70%の環境に放置した。この液滴の端近傍及び中央付近を経時的に顕微鏡で観察した。なお、液滴の端近傍は100倍で、液滴の中央付近は50倍の倍率で観察を行った。30分以内に液滴の端及び中央付近に凝集物が見られた場合は×、1時間経過しても見られない場合を○と評価した。結果を表2に記載した。
液晶配向剤(A1)を0.45μmのフィルターで濾過した後、透明電極付きガラス基板上にスピンコートし、40℃のホットプレート上で5分間乾燥後、膜厚100nmの液晶配向膜を形成した。
塗膜面を60°傾けて、偏光板を介し313nmの紫外線を基板40mJ/cm2照射した後に120℃のホットプレートで10分間加熱し、液晶配向膜付き基板を得た。このような液晶配向膜付き基板を2枚用意し、一方の基板の液晶配向膜面に4μmのスペーサを設置した後、2枚の基板のラビング方向が平行になるようにして組み合わせ、液晶注入口を残して周囲をシールし、セルギャップが4μmの空セルを作製した。この空セルに減圧注入法によって、液晶MLC-3019(メルク株式会社製)を注入し、注入口を封止して、アンチパラレル液晶セルを得た。 温度120℃で30分間加熱した後、この液晶セルについてプレチルト角、及び電圧保持率(VHR)を測定した。
上記で作製した液晶セルを70℃温度下で1Vの電圧を60μs間印加し、16.67ms、及び1000ms後の電圧を測定し、電圧がどのくらい保持できているかを電圧保持率(VHR)として計算した。なお、電圧保持率の測定には、東陽テクニカ社製の電圧保持率測定装置VHR-1を使用した。
Claims (8)
- (A):光配向性基とカルボキシル基とを有するアクリル重合体;及び
(B):分子内に1級アミノ基を1個と水酸基を少なくとも2個有し、かつ前記1級アミノ基と水酸基が脂肪族炭化水素基または非芳香族の環式炭化水素基に結合しているアミン化合物;を含有する液晶配向剤。 - (A)光配向性基とカルボキシル基とを有するアクリル重合体が、下記モノマー(A-1)、モノマー(A-2)及びモノマー(A-3)を含むモノマー混合物から得られる共重合体である請求項1記載の液晶配向剤。
モノマー(A-1):シンナモイル部位を1つと、シンナモイル部位を構成しないベンゼン環を2~4つと、重合性基とを有するモノマー;
モノマー(A-2):シンナモイル部位を1つと、シンナモイル部位を構成しないベンゼン環を1つと、重合性基とを有するモノマー;
モノマー(A-3):カルボキシル基と、重合性基とを有するモノマー。
(上記シンナモイル部位とベンゼン環は、置換基を有していてもよい。) - 上記モノマー(A-1)、モノマー(A-2)及びモノマー(A-3)の重合性基が、アクリル基またはメタクリル基である請求項2記載の液晶配向剤。
- 上記モノマー(A-1)及びモノマー(A-2)が、各々独立に、下記式(1)で表される基及び下記式(2)で表される基
(式中、A、B、Dはそれぞれ独立に、単結合、-O-、-CH2-、-COO-、-OCO-、-CONH-又は-NH-CO-を表す;
Sは、炭素数1~12のアルキレン基であり、それに結合する水素原子はそれぞれ独立にハロゲン基に置き換えられていてもよい;
Tは、単結合または炭素数1~12のアルキレン基であり、それらに結合する水素原子はハロゲン基に置き換えられていてもよい;
Tが単結合であるときはBも単結合を表す;
Y1は、2価のベンゼン環である;
P1、Q1及びQ2は、それぞれ独立にベンゼン環及び炭素数5~8の脂環式炭化水素環からなる群から選ばれる基である;
R1は、水素原子、-CN、ハロゲン基、炭素数1~5のアルキル基、(炭素数1~5のアルキル)カルボニル基、炭素数3~7のシクロアルキル基又は炭素数1~5のアルキルオキシ基である。
Y1、P1、Q1及びQ2において、ベンゼン環に結合する水素原子はそれぞれ独立に-CN、ハロゲン基、炭素数1~5のアルキル基、(炭素数1~5のアルキル)カルボニル基、又は炭素数1~5のアルキルオキシ基で置換されてもよい;
X1及びX2は、それぞれ独立に単結合、-O-、-COO-又は-OCO-を表す;
n1及びn2はそれぞれ独立に0、1または2である、
X1の数が2となるときは、X1同士は同一でも異なっていてもよく、X2の数が2となるときは、X2同士は同一でも異なっていてもよい;
Q1の数が2となるときは、Q1同士は同一でも異なっていてもよく、Q2の数が2となるときは、Q2同士は同一でも異なっていてもよい;
モノマー(A-1)においては、Y1以外のベンゼン環の数の合計は2~4である;
モノマー(A-2)においては、Y1以外のベンゼン環の数の合計は1である;
破線は重合性基との結合手を表す。)
からなる群から選ばれるいずれか1種の基に重合性基が結合したモノマーである請求項2記載の液晶配向剤。
- 式[1]中、X1、X2及びX3はいずれもヒドロキシアルキル基である請求項5に記載の液晶配向剤。
- 請求項1~6の何れか一項に記載の液晶配向剤を用いて得られる液晶配向膜。
- 請求項7に記載の液晶配向膜を有する液晶表示素子。
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