JP7301910B2 - モータ制御装置、及びモータ制御方法 - Google Patents

モータ制御装置、及びモータ制御方法 Download PDF

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Description

本発明の実施形態は、モータ制御装置、及びモータ制御方法に関する。
一般に、同期電動機の制御装置では、回転角度センサを用いて回転角度を計測し、その回転角度に同期した電流を流すことによって同期電動機を駆動している。一方、コスト、設置スペース、信頼性等の問題により、回転角度センサを用いない「センサレス制御」の技術が開発されている。
この技術の一つに、特に同期電動機の停止又は低速時に、回転子の磁気的突極性を利用して同期電動機に高周波電圧を印加した時の高周波電流に基づいて磁極位置を推定する技術、および磁気飽和現象を利用して磁極の極性を判別する技術がある。
ここで、磁気的突極性と磁気飽和現象について簡単に説明する。
磁気的突極性のある/なしは、磁束が通りやすいか否かで決まる。磁石は磁束が通りにくい物質である。これに対し、磁石を囲む鉄心は磁束が通りやすい。磁束の通りやすさは、インダクタンスLの大きさで表れる。つまり、磁石のある方向は磁束が通りにくく、インダクタンスLの値が小さい。一方、鉄心のある方向は磁束が通りやすく、インダクタンスLの値が大きい。このように方向によって磁束の通りやすさに違いがあるものを「磁気的突極性あり」と呼んでいる。
「磁気的突極性あり」の場合、モータが回転している場合もしくは低速のときでも電気的特性があるので、dq軸のインダクタンスLd、Lqに基づいて磁極位置を推定することができる。
「磁気飽和現象」とは、磁性体の中で磁束が過密して、磁束が通りにくくなる現象である。磁石は、元々磁束を通しにくい物質である。したがって、埋め込み磁石型のモータの場合、固定子コイルに流す電流による磁束を、回転子に対して一周させて磁束の通りやすさをインダクタンスLから検出すれば、磁石が発する磁束と固定子コイルが発する磁束が同じ方向のときに磁束が通りやすく、すなわちインダクタンスLが最も少なくなる。これを利用して、センサレスで磁極位置を推定できる。なお、「磁極位置を推定(検出)する」とは、「回転角度を推定(検出)」と同じ意味である。
磁極位置推定により初期磁極位置を推定する場合、d軸に大きな電流(例えば、モータ定格電流の1.5倍程度)を流して磁気飽和させる必要がある。二重巻線型同期モータにおいては、2系統のインバータの並列運転を前提に個々のインバータ容量が決定される。このため、1系統のインバータでは磁気飽和に十分な電流を出力できない場合がある。そのため、1系統のインバータのみで初期磁極位置を推定する場合、電流が不足して磁極位置推定の精度が悪化することが懸念される。
また、2系統のインバータを使用して磁極位置を推定する場合、両系統で磁極位置を同時に推定することは、系統間の微小な差異による推定精度への影響が懸念される。
特許第6700954号公報
本発明が解決しようとする課題は、回転子の磁極位置をより正確に推定することが可能なモータ制御装置、及びモータ制御方法を提供することである。
実施形態に係るモータ制御装置は、二重巻線型同期モータを制御するモータ制御装置であって、前記同期モータの第1巻線群に接続された第1インバータと、前記同期モータの第2巻線群に接続された第2インバータと、前記第1インバータを用いて、電気角を変化させながら第1電流を前記第1巻線群に供給し、前記第2インバータを用いて、電気角を変化させながら第2電流を前記第2巻線群に供給する電流制御部と、前記第1電流に対応する電圧に高周波電圧を重畳する重畳部と、前記第1巻線群に流れる電流を検出する検出回路と、前記検出回路により検出された電流に基づいて、回転子の磁極位置を推定する推定部とを具備する。
図1は、第1実施形態に係るエレベータのブロック図である。 図2は、モータの一例を示す模式図である。 図3は、モータの回転座標系を説明する図である。 図4は、モータの構成を模式的に示した断面図である。 図5は、モータ制御装置における磁極位置推定動作を説明するフローチャートである。 図6は、第2実施形態に係るモータ制御装置における磁極位置推定動作を説明するフローチャートである。
以下、実施形態について図面を参照して説明する。以下に示す幾つかの実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための装置および方法を例示したものであって、構成部品の形状、構造、配置等によって、本発明の技術思想が特定されるものではない。各機能ブロックは、ハードウェア及びソフトウェアのいずれかまたは両者を組み合わせたものとして実現することができる。各機能ブロックが以下の例のように区別されていることは必須ではない。例えば、一部の機能が例示の機能ブロックとは別の機能ブロックによって実行されてもよい。さらに、例示の機能ブロックがさらに細かい機能サブブロックに分割されていてもよい。なお、以下の説明において、同一の機能及び構成を有する要素については同一符号を付し、重複する説明は省略する。
[1] 第1実施形態
[1-1] エレベータ1の構成
図1は、第1実施形態に係るエレベータ1のブロック図である。エレベータ1は、モータ10、メインシーブ11、そらせシーブ12、ワイヤーロープ13、乗りかご14、カウンタウェイト(C/W)15、及びモータ制御装置20を備える。
乗りかご14は、昇降路内を昇降する。乗りかご14とカウンタウェイト15とはワイヤーロープ13を介して繋がれる。ワイヤーロープ13は、メインシーブ11及びそらせシーブ12に掛けられる。モータ10が駆動することで、メインシーブ11が回転する。そのとき、メインシーブ11とワイヤーロープ13との間に生じる摩擦力によって、ワイヤーロープ13が巻き上げられる。
モータ10は、同期電動機(SM:Synchronous Motor)、又は永久磁石同期電動機(PMSM:Permanent Magnet Synchronous Motor)で構成される。本明細書では、モータ10を同期モータとも呼ぶ。本実施形態では、モータ10としてPMSMを例に挙げて説明する。
モータ10は、二重巻線型PMSMで構成される。二重巻線とは、第1巻線群と第2巻線群との2つの巻線群を有する構造である。第1巻線群及び第2巻線群は、モータ10の固定子(ステータ)に設けられる。第1巻線群及び第2巻線群の各々は、少なくともU相、V相、W相に対応した3個の巻線を含む。モータ10は、回転子(ロータ)の回転に同期して固定子に回転磁界を励磁する電動機である。モータ10のU相、V相、W相の励磁相に流れる3相交流電流によって回転磁界が発生し、回転子との磁気的相互作用により回転トルクが発生する。モータ10の具体的な構成については後述する。
モータ制御装置20は、第1及び第2インバータ21-1、21-2、第1及び第2スイッチ22-1、22-2、第1及び第2電流検出回路23-1、23-2、パルスジェネレータ(PG)24、及びインバータ制御装置30を備える。第1及び第2インバータ21-1、21-2を区別する必要がない場合は、インバータ21と表記する。第1及び第2スイッチ22-1、22-2を区別する必要がない場合は、スイッチ22と表記する。第1及び第2電流検出回路23-1、23-2を区別する必要がない場合は、電流検出回路23と表記する。
インバータ21は、直流電力を3相交流電力に変換する。インバータ21は、例えばNチャネルMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)をスイッチング素子として、6個のFETを3相ブリッジ接続して構成される。インバータ21は、後述するPWM信号生成部38により生成されたスイッチング信号に基づいて、モータ10を駆動する電力を生成する。2系統のインバータ(第1及び第2インバータ21-1、21-2)は、並列運転させることが可能である。2系統のインバータを並列運転させることを前提として、個々のインバータの容量が決定される。
第1スイッチ22-1は、第1インバータ21-1とモータ10との間に設けられる。第1スイッチ22-1は、第1インバータ21-1とモータ10との経路の開状態及び閉状態を切り替える。第2スイッチ22-2は、第2インバータ21-2とモータ10との間に設けられる。第2スイッチ22-2は、第2インバータ21-2とモータ10との間の経路の開状態及び閉状態を切り替える。第1及び第2スイッチ22-1、22-2の各々は、3相分のスイッチング素子を有する。
第1電流検出回路23-1は、第1インバータ21-1からモータ10に流れる3相交流電流のうち2相又は3相の電流値を検出する。第2電流検出回路23-2は、第2インバータ21-2からモータ10に流れる3相交流電流のうち2相又は3相の電流値を検出する。第1及び第2電流検出回路23-1、23-2により検出された電流値は、インバータ制御装置30に送られる。
パルスジェネレータ24は、モータ10の回転軸に取り付けられる。パルスジェネレータ24は、モータ10の回転子の回転に同期したパルス信号を発生する。パルスジェネレータ24は、モータ10の回転情報を検出する回路の一例であり、回転エンコーダとも呼ばれる。パルスジェネレータ24の検出信号は、インバータ制御装置30に送られる。インバータ制御装置30は、パルスジェネレータ24の検出信号に基づいて、モータ10の回転速度、及び回転角を算出することが可能である。
(インバータ制御装置30の構成)
インバータ制御装置30は、インバータ切替部31、速度設定部32、磁極位置推定部33、電流座標変換部34、電流制御部35、電圧座標変換部36、高周波電圧重畳部37、及びPWM信号生成部38を備える。
インバータ切替部31は、第1及び第2スイッチ22-1、22-2を用いて、第1及び第2インバータ21-1、21-2とモータ10との接続を切り替える。インバータ切替部31は、スイッチング信号を第1及び第2スイッチ22-1、22-2に送る。
速度設定部32は、外部から起動指令、停止指令、及び回転速度指令などの制御信号を受ける。速度設定部32は、パルスジェネレータ24から検出信号を受ける。速度設定部32は、制御信号及び検出信号に基づいて、電流指令を算出する。速度設定部32により算出された電流指令は、電流制御部35に送られる。
磁極位置推定部33は、第1及び第2電流検出回路23-1、23-2から電流値を受ける。磁極位置推定部33は、第1及び第2電流検出回路23-1、23-2により検出された電流値に基づいて、磁極位置を推定する。磁極位置とは、回転子に設けられた永久磁石のN極の向きである。磁極位置の推定動作の詳細については後述する。
電流座標変換部34は、第1及び第2電流検出回路23-1、23-2から電流値を受ける。電流座標変換部34は、磁極位置推定部33から磁極位置の情報を受ける。磁極位置は、d軸に対応する。回転子の回転座標系の詳細については後述する。電流座標変換部34は、磁極位置に基づいて、U相、V相、W相の相電流を、回転座標系のd軸電流、及びq軸電流に変換する。
電流制御部35は、速度設定部32から電流指令を受け、電流座標変換部34からd軸電流、及びq軸電流の情報を受ける。電流制御部35は、速度設定部32からの電流値と、電流座標変換部34からの電流値との偏差が小さくなるように、d軸電流、及びq軸電流を算出する。また、電流制御部35は、d軸電流、及びq軸電流にそれぞれ対応したd軸電圧指令、及びq軸電圧指令を算出する。磁極位置推定動作時には、電流制御部35は、磁極位置推定用のd軸電流及びd軸電圧指令を算出する。また、電流制御部35は、第1及び第2インバータ21-1、21-2のそれぞれに対して、電圧指令を算出する。
電圧座標変換部36は、電流制御部からd軸電圧指令及びq軸電圧指令を受け、磁極位置推定部33から磁極位置の情報を受ける。電圧座標変換部36は、磁極位置の情報に基づいて、d軸電圧指令及びq軸電圧指令を、U相、V相、W相の相電圧指令に変換する。磁極位置推定動作時には、電圧座標変換部36は、d軸電圧指令を、U相、V相、W相の相電圧指令に変換する。また、電圧座標変換部36は、第1及び第2インバータ21-1、21-2のそれぞれに対して、電圧指令を算出する。
高周波電圧重畳部37は、一定の振幅を有する高周波電圧を生成する。磁極位置推定動作時には、高周波電圧重畳部37は、電圧座標変換部36により生成された相電圧指令に高周波電圧を重畳する。高周波電圧の周波数は、相電圧の周波数より大きい。高周波電圧の振幅は、相電圧の振幅より小さい。また、高周波電圧重畳部37は、第1及び第2インバータ21-1、21-2のそれぞれに対して、高周波電圧を生成する。
PWM(Pulse Width Modulation)信号生成部38は、電圧座標変換部36から相電圧指令を受ける。PWM信号生成部38は、相電圧指令に基づいて、PWM信号を生成する。PWM信号は、第1及び第2インバータ21-1、21-2に供給される。具体的には、PWM信号は、インバータに含まれるスイッチング素子のゲートに供給される。スイッチング素子は、PWM信号に基づいてオン及びオフが制御される。また、PWM信号生成部38は、第1及び第2インバータ21-1、21-2のそれぞれに対して、PWM信号を生成する。
[1-2] モータ10の構成
次に、モータ10の構成の一例について説明する。図2は、モータ10の一例を示す模式図である。
モータ10は、回転子40、第1巻線群41、及び第2巻線群42を備える。第1巻線群41、及び第2巻線群42は、固定子に含まれる。第1巻線群41、及び第2巻線群42に対して回転子40が共通化されている。
回転子40は永久磁石40aを有する。永久磁石40aは、N極及びS極を有する。永久磁石40aのN極の向きが磁極位置である。
第1巻線群41、及び第2巻線群42はそれぞれ、異なる中性点を有する3相巻線を含む。
第1巻線群41は、U相巻線41a、V相巻線41b、及びW相巻線41cを有する。U相巻線41a、V相巻線41b、及びW相巻線41cは、電気角が順に120度ずれている。電気角とは、正弦波の電流の1周期を360度(2πラジアン)としたときの位相である。U相巻線41a、V相巻線41b、及びW相巻線41cにそれぞれ接続された端子U1、V1、W1は、スイッチ22-1を介して第1インバータ21-1に接続される。U相巻線41a、V相巻線41b、及びW相巻線41cはそれぞれ、鉄心に巻かれている。
第2巻線群42は、U相巻線42a、V相巻線42b、及びW相巻線42cを有する。U相巻線42a、V相巻線42b、及びW相巻線42cは、電気角が順に120度ずれている。U相巻線42a、V相巻線42b、及びW相巻線42cにそれぞれ接続された端子U2、V2、W2は、スイッチ22-2を介して第2インバータ21-2に接続される。U相巻線42a、V相巻線42b、及びW相巻線42cはそれぞれ、鉄心に巻かれている。
第1巻線群41と第2巻線群42とのなす角度が電気角で0°とされている。すなわち、第1巻線群41のU相巻線41aと第2巻線群42のU相巻線42aとのなす角度が電気角で0°とされている。
次に、モータ10の回転座標系について説明する。図3は、モータ10の回転座標系を説明する図である。
αβ軸静止座標系は、α軸及びβ軸を有する。α軸は、U相方向と一致し、β軸は、α軸から90度位相の進んだ方向である。
dq軸回転座標系は、d軸及びq軸を有する。d軸は、回転子40の磁極位置の方向と一致する。q軸は、dから90度位相の進んだ方向である。α軸とd軸との位相差が回転角θである。
モータ10は、磁気的突極性を有する。d軸は、モータ10の回転子40において静的インダクタンスが最も小さくなるベクトル軸である。q軸は、モータ10の回転子40において静的インダクタンスが最も大きくなるベクトル軸である。
[1-3] 動作
上記のように構成されたエレベータ1の動作について説明する。
まず、磁極位置推定動作について説明する。
磁極位置推定動作では、固定子巻線の電気角を順次変化させながら、固定子巻線に連続的または間欠的に定電圧を印加する。固定子巻線への通電を回転子に対して1周(電気角360度)行う。電気角ごとに固定子巻線に流れる電流は、電流検出回路23により検出される。固定子巻線への通電時間および印加電圧の大きさは、回転子が回転しないレベルに設定される。
磁極位置推定動作では、回転子が回転しないレベルの電圧を複数の電気角で固定子巻線に印加したとき、回転子の磁極位置と固定子巻線による電流磁界との位置関係に応じて、インダクタンスが変化する性質を利用している。
このインダクタンスの変化は、固定子鉄心の磁気飽和現象に基づいている。固定子巻線の電気角とd軸方向(回転子の磁極位置)とが揃った場合、回転子の永久磁石による磁束と電流による磁束とが加算される。これにより、磁気飽和が生じ、インダクタンスが低下する。このインダクタンスの低下を固定子電流の変化によって検出することができる。
具体的には、電気角ごとの通電時間および印加電圧の指令値を一定にして、通電時間内での電流のピークを検出し、ピークが得られた電気角(すなわち、インダクタンスが最小となる電気角)が磁極位置であると推定する。
図4は、モータ10の構成を模式的に示した断面図である。図4の例は、4極の表面磁石型PMSM(SPMSM)を示している。図4の40は回転子、43は固定子である。図4において、dq軸は、回転子の磁極に一致した回転座標系を示している。d軸正方向は、N極の方向であり、d軸負方向は、S極の方向である。q軸正方向は、d軸正方向とd軸負方向との間の磁極がない方向である。
バイアス電流による磁束は、図4の状態でバイアス電流の位相を変化させた時にバイアス電流が作る磁束を模式的に表したものである。図4において、磁石磁束の方向とバイアス電流による磁束とが同一方向となる(1)の状態のとき、磁気飽和が発生してバイアス電流の方向のインダクタンスは低下する。(2)および(3)の状態のときは、磁石磁束がないかバイアス電流の磁束と逆向きのため、磁気飽和が発生せず、インダクタンスの低下は起こらない。
磁気飽和によってインダクタンスが低下すると、固定子巻線に電流が流れやすくなる。この電流の変化を、電流検出回路で検出することで、磁極位置が推定できる。
また、バイアス電流が小さい場合では、どの位相角でも磁気飽和が発生せずにインダクタンスの差が現れない。よって、バイアス電流を所定値より大きくすることが必要である。
また、相電圧に高周波電圧を重畳すると、固定子巻線を流れる電流の変化がより顕著になる。よって、磁極位置をより正確に推定できる。
図5は、モータ制御装置20における磁極位置推定動作を説明するフローチャートである。d軸を推定するために巻線に電流を流す動作をd軸電流通電と呼ぶ。相電圧に高周波電圧を重畳する動作を高周波電圧重畳と呼ぶ。
まず、インバータ切替部31は、スイッチ22-1、22-2をオンさせる。そして、インバータ切替部31は、第1及び第2インバータ21-1、21-2とモータ10とを接続する(ステップS100)。
続いて、電流制御部35は、第1及び第2インバータ21-1、21-2を用いて、d軸電流通電を開始する(ステップS101)。具体的には、電流制御部35は、磁極位置推定に必要な電流値(d軸電流)を指示する電流指令に対応する電圧指令を電圧座標変換部36に送る。電圧座標変換部36は、電圧指令に基づいて、第1インバータ21-1用の電圧指令と、第2インバータ21-2用の電圧指令とを生成する。PWM信号生成部38は、電圧指令に基づいて、第1及び第2インバータ21-1、21-2を駆動する。
第1及び第2インバータ21-1、21-2用を合わせたd軸電流は、磁気飽和が発生する電流量に設定される。例えば、d軸電流は、モータ10の定格電流の1.5倍程度に設定される。これにより、d軸に磁気飽和を発生させることができる。
続いて、電流制御部35は、第1インバータ21-1を用いて、高周波電圧重畳を開始する(ステップS102)。具体的には、高周波電圧重畳部37は、第1インバータ21-1用の電圧に高周波電圧を重畳する。なお、本実施形態では、第1インバータ21-1を用いて高周波電圧重畳を行うようにしているが、第2インバータ21-2を用いて高周波電圧重畳を行ってもよい。
続いて、第1電流検出回路23-1は、第1インバータ21-1からモータ10に流れる電流を検出する(ステップS103)。第1電流検出回路23-1により検出された電流は、磁極位置推定部33に送られる。
続いて、電流制御部35は、d軸電流通電の電気角を順次変化させる(ステップS104)。具体的には、電流制御部35は、電流の位相を連続的に変化させる。電気角は、例えばU相の電気角を基準にしている。
続いて、電流制御部35は、d軸電流通電の電気角を1周させたか否かを判定する(ステップS105)。モータ制御装置20は、d軸電流通電の電気角を1周させるまで、ステップS103及びS104を繰り返す。
続いて、磁極位置推定部33は、第1電流検出回路23-1により検出された電流に基づいて、電流の変化量を判定する。そして、磁極位置推定部33は、電流の変化量に基づいて、磁極位置を推定する(ステップS105)。具体的には、磁極位置推定部33は、第1電流検出回路23-1により検出された電流のピークに対応する電気角を磁極位置と推定する。
その後、磁極位置推定部33により推定された磁極位置に基づいて、モータ10が駆動される。そして、モータ制御装置20は、乗りかご14を昇降させる。
[1-4] 第1実施形態の効果
第1実施形態では、2系統のインバータ(第1及び第2インバータ21-1、21-2)を用いて、d軸電流通電を行う。また、1系統のインバータを用いて、高周波電圧重畳を行う。そして、d軸電流通電及び高周波電圧重畳を行った1系統のインバータに流れる電流を用いて、磁極位置推定を行うようにしている。
よって、第1実施形態によれば、磁極位置推定動作に用いる電流値を大きくすることができる。これにより、磁気飽和を生じさせることができるため、磁極位置とそれ以外の電気角での電流の変化量を大きくすることができる。この結果、磁極位置をより正確に推定することができる。
また、d軸電流に高周波電圧を重畳するようにしている。これにより、電流の変化をより正確に検出することができる。ひいては、磁極位置をより正確に推定できる。
また、2系統のインバータのうち1系統を用いて、磁極位置を推定している。これにより、2系統のインバータ及び2系統の巻線群に構成上のバラツキがある場合でも、磁極位置の推定精度が劣化するのを抑制できる。
また、通常運転では、第1及び第2インバータ21-1、21-2を並列動作させることが可能である。これにより、第1及び第2インバータ21-1、21-2の各々の負荷を低減できるため、第1及び第2インバータ21-1、21-2の各々の容量を小さくできる。
[2] 第2実施形態
第2実施形態は、2系統のインバータのうち1系統でd軸電流通電を行い、他の1系統で高周波電圧重畳を行うようにしている。
[2-1] 動作
図6は、第2実施形態に係るモータ制御装置20における磁極位置推定動作を説明するフローチャートである。モータ制御装置20のブロック図は、第1実施形態と同じである。
インバータ切替部31は、スイッチ22-1、22-2をオンさせる。そして、インバータ切替部31は、第1及び第2インバータ21-1、21-2とモータ10とを接続する(ステップS200)。
続いて、電流制御部35は、第1インバータ21-1を用いて、d軸電流通電を開始する(ステップS201)。具体的には、電流制御部35は、磁極位置推定に必要な電流値(d軸電流)を指示する電流指令に対応する電圧指令を電圧座標変換部36に送る。電圧座標変換部36は、電圧指令に基づいて、第1インバータ21-1用の電圧指令を生成する。PWM信号生成部38は、電圧指令に基づいて、第1インバータ21-1を駆動する。
続いて、電流制御部35及び高周波電圧重畳部37は、第2インバータ21-2を用いて、高周波電圧重畳を開始する(ステップS202)。具体的には、電流制御部35は、高周波電圧重畳用のd軸電圧指令を生成する。高周波電圧重畳部37は、電流制御部35により生成されたd軸電圧指令に高周波電圧を重畳する。ステップS202における高周波電圧重畳で用いられる電流は、ステップS201におけるd軸電流通電で用いられる電流より小さい。ステップS202における高周波電圧重畳の電気角は、ステップS201におけるd軸電流通電の電気角と同じである。電圧座標変換部36は、高周波電圧が重畳された電圧指令に基づいて、第インバータ21-用の電圧指令を生成する。PWM信号生成部38は、電圧指令に基づいて、第2インバータ21-2を駆動する。
続いて、第2電流検出回路23-2は、第2インバータ21-2からモータ10に流れる電流を検出する(ステップS203)。第2電流検出回路23-2により検出された電流は、磁極位置推定部33に送られる。
続いて、電流制御部35は、d軸電流通電及び高周波電圧重畳の電気角を順次変化させる(ステップS204)。
続いて、電流制御部35は、d軸電流通電及び高周波電圧重畳の電気角を1周させたか否かを判定する(ステップS205)。モータ制御装置20は、d軸電流通電の電気角を1周させるまで、ステップS203及びS204を繰り返す。
続いて、磁極位置推定部33は、第2電流検出回路23-2により検出された電流に基づいて、電流の変化量を判定する。そして、磁極位置推定部33は、電流の変化量に基づいて、磁極位置を推定する(ステップS205)。
なお、第1インバータ21-1が高周波電圧重畳を行い、第2インバータ21-2がd軸電流通電を行うようにしてもよい。
第2実施形態では、1系統のインバータで磁気飽和を起こさせることが可能な小容量のモータを用いることを想定している。
[2-2] 第2実施形態の効果
第2実施形態によれば、高周波電圧重畳により検出される電流波形からd軸電流通電の影響を除去できる。これにより、磁極位置をより正確に推定することができる。その他の効果は、第1実施形態と同じである。
上記各実施形態では、モータを備えたエレベータを例に挙げて説明している。しかし、エレベータに限定されず、モータを制御するモータ制御装置を備えたエレベータ以外のシステムにも適用可能である。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1…エレベータ、10…モータ、11…メインシーブ、12…そらせシーブ、13…ワイヤーロープ、15…カウンタウェイト、20…モータ制御装置、21…インバータ、22…スイッチ、23…電流検出回路、24…パルスジェネレータ、30…インバータ制御装置、31…インバータ切替部、32…速度設定部、33…磁極位置推定部、34…電流座標変換部、35…電流制御部、36…電圧座標変換部、37…高周波電圧重畳部、38…PWM信号生成部、40…回転子、40a…永久磁石、41…第1巻線群、41a…U相巻線、41b…V相巻線、41c…W相巻線、42…第2巻線群、42a…U相巻線、42b…V相巻線、42c…W相巻線。

Claims (8)

  1. 二重巻線型同期モータを制御するモータ制御装置であって、
    前記二重巻線型同期モータの第1巻線群に接続された第1インバータと、
    前記二重巻線型同期モータの第2巻線群に接続された第2インバータと、
    回転子が回転しない範囲で、前記第1インバータを用いて、電気角を変化させながら第1電流を前記第1巻線群に供給し、前記第2インバータを用いて、電気角を変化させながら第2電流を前記第2巻線群に供給する電流制御部と、
    前記第1電流に対応する電圧のみに高周波電圧を重畳する重畳部と、
    前記第1巻線群に流れる電流を検出する検出回路と、
    前記検出回路により検出された電流に基づいて、前記回転子の磁極位置を推定する推定部と、
    を具備するモータ制御装置。
  2. 二重巻線型同期モータを制御するモータ制御装置であって、
    前記二重巻線型同期モータの第1巻線群に接続された第1インバータと、
    前記二重巻線型同期モータの第2巻線群に接続された第2インバータと、
    回転子が回転しない範囲で、前記第1インバータを用いて、電気角を変化させながら第1電流を前記第1巻線群に供給し、前記第2インバータを用いて、電気角を変化させながら前記第1電流より低い第2電流を前記第2巻線群に供給する電流制御部と、
    前記第2電流に対応する電圧のみに高周波電圧を重畳する重畳部と、
    前記第2巻線群に流れる電流を検出する検出回路と、
    前記検出回路により検出された電流に基づいて、前記回転子の磁極位置を推定する推定部と、
    を具備するモータ制御装置。
  3. 前記推定部は、前記検出回路により検出された電流のピークに対応する電気角を磁極位置と推定する
    請求項1又は2に記載のモータ制御装置。
  4. 前記電流制御部から出力されかつd軸及びq軸に関する第1電圧指令を、3相交流に関する第2電圧指令に変換する電圧座標変換部をさらに具備し、
    前記第1及び第2インバータは、前記第2電圧指令に基づいて動作する
    請求項1乃至3のいずれか1項に記載のモータ制御装置。
  5. 前記第2電圧指令に基づいてPWM(Pulse Width Modulation)信号を生成する生成部をさらに具備し、
    前記第1及び第2インバータは、前記PWM信号に基づいて動作する
    請求項4に記載のモータ制御装置。
  6. 前記二重巻線型同期モータは、PMSM(Permanent Magnet Synchronous Motor)で構成される
    請求項1乃至5のいずれか1項に記載のモータ制御装置。
  7. 二重巻線型同期モータを制御するモータ制御方法であって、
    回転子が回転しない範囲で、前記二重巻線型同期モータの第1巻線群に接続された第1インバータを用いて、電気角を変化させながら第1電流を前記第1巻線群に供給し、
    前記回転子が回転しない範囲で、前記二重巻線型同期モータの第2巻線群に接続された第2インバータを用いて、電気角を変化させながら第2電流を前記第2巻線群に供給し、
    前記第1電流に対応する電圧のみに高周波電圧を重畳し、
    前記第1巻線群に流れる電流を検出し、
    前記検出された電流に基づいて、前記回転子の磁極位置を推定する
    モータ制御方法。
  8. 二重巻線型同期モータを制御するモータ制御方法であって、
    回転子が回転しない範囲で、前記二重巻線型同期モータの第1巻線群に接続された第1インバータを用いて、電気角を変化させながら第1電流を前記第1巻線群に供給し、
    前記回転子が回転しない範囲で、前記二重巻線型同期モータの第2巻線群に接続された第2インバータを用いて、電気角を変化させながら前記第1電流より低い第2電流を前記第2巻線群に供給し、
    前記第2電流に対応する電圧のみに高周波電圧を重畳し、
    前記第2巻線群に流れる電流を検出し、
    前記検出された電流に基づいて、前記回転子の磁極位置を推定する
    モータ制御方法。
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