以下、適宜図面を参照しながら、本発明の一実施形態について説明する。なお、ここで説明される実施形態は、当然ながら特に本発明を限定することを意図したものではない。また、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は適宜省略または簡略化する。
図1は、一実施形態に係る箔転写装置10を示す斜視図である。以下の説明では、左、右、上、下とは、箔転写装置10の正面にいる利用者が箔転写装置10を見た場合の左、右、上、下をそれぞれ意味することとする。また、上記利用者が箔転写装置10に近づく方を後方、箔転写装置10から遠ざかる方を前方とする。図面中の符号F、Rr、L、R、U、Dは、それぞれ前、後、左、右、上、下を表す。本実施形態に係る箔転写装置10は、相互に直交する軸をX軸、Y軸およびZ軸としたときに、X軸とY軸とで構成される平面に置かれるものとする。ここで、X軸方向は、左右方向のことである。X軸方向は、第1方向の一例である。Y軸方向は、前後方向のことであり、平面視においてX軸方向と交差(ここでは直交)している。Y軸方向は、第2方向の一例である。X軸とY軸とで構成される平面は、ここでは水平面である。Z軸方向は、上下方向である。ただし、これらは説明の便宜上の方向に過ぎず、箔転写装置10の設置態様を何ら限定するものではない。
図1に示すように、本実施形態に係る箔転写装置10は、被転写物W1に箔を転写する装置である。箔転写装置10は、筐体11と、支持台15とを備えている。筐体11は、箱状に形成されており、内部に内部空間が形成されている。筐体11は、前方および上方に開口している。この筐体11の開口には、開閉式のカバー(図示せず)が設けられている。
支持台15は、筐体11の内部空間を形成する底面上に配置されている。支持台15は、少なくとも上面が平らな面になるように構成されている。支持台15は、ワークWを支持する。支持台15の上面に、ワークWが載置される。
ワークWは、被転写物W1と、熱転写箔W2と、光吸収フィルムW3とを有している。ただし、ワークWの構成は特に限定されず、ワークWは、更に表面に凹凸が形成された装飾フィルムなどを有していてもよい。本実施形態では、下から被転写物W1、熱転写箔W2、光吸収フィルムW3の順で重ねられている。なお、図示は省略するが、被転写物W1、熱転写箔W2および光吸収フィルムW3が箔転写中に動かないように、被転写物W1、熱転写箔W2および光吸収フィルムW3を支持台15に固定する治具などが設けられてもよい。
被転写物W1は、箔が転写されるものである。被転写物W1を構成する材料や形状は、特に限定されない。被転写物W1は、例えばアクリル、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)などの樹脂類であってもよいし、普通紙、画用紙、和紙などの紙類、ゴム類などであってもよい。被転写物W1は、上面が平らなものであってもよいし、上面が凹凸によって構成された立体物であってもよい。被転写物W1は、箔転写される部位に高低差が生じている立体物であってもよい。
熱転写箔W2は、被転写物W1の上に重ねて載置されている。熱転写箔W2は、被転写物W1に密着された状態で加熱されることにより、被転写物W1の表面に転写される。ここでは、熱転写箔W2は、後述する箔転写ツール120(図1参照)が照射する光のエネルギーによって被転写物W1に熱転写される。熱転写箔W2としては、例えば、熱転写用に一般に市販されている転写箔を特に限定なく用いることができる。熱転写箔W2は、一般的には、基材と、装飾層と、接着層とがこの順に積層されている。熱転写箔W2における装飾層は、例えば、金箔、銀箔などのメタリック箔や、ハーフメタリック箔、顔料箔、多色印刷箔、ホログラム箔、静電気破壊対策箔などを包含する。
光吸収フィルムW3は、熱転写箔W2の上に重ねて載置されている。光吸収フィルムW3は、箔転写ツール120から照射される光を受けて発熱するフィルムである。光吸収フィルムW3は、箔転写ツール120から照射される所定の波長帯の光(レーザ光)を効率よく吸収して、光エネルギーを熱エネルギーに変換する。光吸収フィルムW3は、例えばポリイミドのような樹脂で構成されている。
なお、本実施形態では、熱転写箔W2と光吸収フィルムW3は別体であるが、1つのシートによって構成されていてもよい。例えば光吸収フィルムW3と同じ機能を有する光吸収層が熱転写箔W2に形成されていてもよい。この場合、光吸収フィルムW3を省略することが可能である。
本実施形態では、箔転写装置10は、ヘッド70と、ヘッド移動装置18と、を備えている。ヘッド70は、箔転写ツール120を使用して、ワークWの熱転写箔W2を被転写物W1に転写するものである。ヘッド70は、支持台15よりも上方に配置されている。なお、ヘッド70の構成の詳しい説明は、後述する。
ヘッド移動装置18は、支持台15に対してヘッド70(詳しくは、後述の第1ヘッド80および第2ヘッド90)を相対的にX軸方向およびY軸方向(言い換えると、水平方向)に移動させるものである。本実施形態では、ヘッド移動装置18は、ヘッド70をX軸方向およびY軸方向に移動させる。なお、ヘッド移動装置18の構成は特に限定されない。本実施形態では、ヘッド移動装置18は、Y軸方向移動装置30と、第1移動ユニット20と、X軸方向移動装置50と、第2移動ユニット40とを有している。
Y軸方向移動装置30は、ヘッド70をY軸方向に移動させる装置である。図1に示すように、Y軸方向移動装置30は、左右一対のスライドシャフト31と、ワイヤ32と、前後一対のプーリ33と、Y軸方向駆動モータ34(図4参照)とを備えている。一対のスライドシャフト31は、それぞれ筐体11の左壁および右壁の内部に設けられている。一対のスライドシャフト31は、X軸方向に離れるように対向している。一対のスライドシャフト31は、Y軸方向に延びている。一対のプーリ33は、筐体11の右壁に設けられており、Y軸方向に離れるように対向している。ワイヤ32は例えば無端状であり、一対のプーリ33に巻き掛けられている。一対のプーリ33のうちの一方には、Y軸方向駆動モータ34が接続されている。
第1移動ユニット20は、Y軸方向移動装置30によってY軸方向に移動するものである。第1移動ユニット20は、一対のスライドシャフト31に沿って移動する。本実施形態では、第1移動ユニット20は、一対のスライドシャフト31にそれぞれ挿入された一対のブッシュ(図示せず)を有している。第1移動ユニット20は、Y軸方向に摺動可能に一対のスライドシャフト31に係合している。第1移動ユニット20には、ワイヤ32が固定されている。
本実施形態では、Y軸方向移動装置30のY軸方向駆動モータ34(図4参照)が駆動することでプーリ33が回転し、一対のプーリ33の間でワイヤ32が走行する。このことによって、第1移動ユニット20は、一対のスライドシャフト31に沿ってY軸方向に移動する。
X軸方向移動装置50は、ヘッド70をX軸方向に移動させる装置である。詳しい図示は省略するが、X軸方向移動装置50は、第1移動ユニット20に搭載されている。そのため、第1移動ユニット20がY軸方向に移動することで、X軸方向移動装置50もY軸方向に移動する。図1に示すように、X軸方向移動装置50は、上下一対のスライドシャフト51と、ワイヤ52と、左右一対のプーリ53と、X軸方向駆動モータ54(図4参照)とを備えている。
一対のスライドシャフト51は、Z軸方向に離れて対向している。一対のスライドシャフト51は、X軸方向に延びている。一対のプーリ53は、X軸方向に離れて対向している。なお、図1では、右のプーリ53が示されており、左のプーリ53の図示は省略されている。ワイヤ52は例えば無端状であり、一対のプーリ53に巻き掛けられている。一対のプーリ53のうちの一方には、X軸方向駆動モータ54が接続されている。
第2移動ユニット40は、X軸方向移動装置50によってX軸方向に移動するものである。第2移動ユニット40は、一対のスライドシャフト51に沿って移動する。第2移動ユニット40には、ヘッド70が搭載されている。詳しい図示は省略するが、第2移動ユニット40は、第1移動ユニット20に搭載されている。そのため、第1移動ユニット20がY軸方向に移動することで、第2移動ユニット40およびヘッド70は、第1移動ユニット20に搭載されたX軸方向移動装置50と共にY軸方向に移動する。本実施形態では、第2移動ユニット40は、一対のスライドシャフト51にそれぞれ挿入された一対のブッシュ41(図2参照)を備えている。第2移動ユニット40は、X軸方向に摺動可能に一対のスライドシャフト51に係合している。第2移動ユニット40には、ワイヤ52が固定されている。
本実施形態では、X軸方向移動装置50は、X軸方向駆動モータ54(図4参照)の駆動力をプーリ53およびワイヤ52を介して第2移動ユニット40に伝達する。X軸方向駆動モータ54が駆動するとプーリ53が回転し、一対のプーリ53の間でワイヤ52が走行する。このことにより、第2移動ユニット40、および、第2移動ユニット40に搭載されたヘッド70は、一対のスライドシャフト51に沿ってX軸方向に移動する。
本実施形態では、箔転写装置10は、ヘッド上下移動装置60を備えている。ヘッド上下移動装置60は、ヘッド70をZ軸方向に移動させるものである。ヘッド上下移動装置60は、第2移動ユニット40に搭載されている。そのため、ヘッド上下移動装置60は、Y軸方向移動装置30によって、ヘッド70と共にY軸方向に移動し、X軸方向移動装置50によって、ヘッド70と共にX軸方向に移動する。
ヘッド上下移動装置60の構成は特に限定されない。図2は、ヘッド70周辺の構成を示す斜視図である。図2では、ヘッド70およびヘッド上下移動装置60以外の部材は、基本的に図示を省略している。図2に示すように、ヘッド上下移動装置60は、左右一対のスライドシャフト61と、台形ネジ62と、Z軸方向駆動モータ63とを備えている。一対のスライドシャフト61は、Z軸方向に延びている。一対のスライドシャフト61は、X軸方向に並んで配置されており、X軸方向に離れて対向している。一対のスライドシャフト61には、ヘッド70がZ軸方向に摺動自在に係合している。
図2に示すように、台形ネジ62は、Z軸方向に延びている。台形ネジ62は、ヘッド70の後述するナット91と螺合している。台形ネジ62は、Z軸方向駆動モータ63によって回転される。本実施形態では、Z軸方向駆動モータ63は、第2移動ユニット40の上部に配置されている。Z軸方向駆動モータ63は、台形ネジ62の上端に接続されている。
本実施形態では、Z軸方向駆動モータ63が駆動することで、台形ネジ62が回転する。台形ネジ62が回転することで、台形ネジ62はナット91に対して回転し、ナット91は台形ネジ62に対して上方または下方に移動する。このことで、ヘッド70は、ナット91の上方または下方への移動にあわせて、一対のスライドシャフト61に沿ってZ軸方向に移動する。
次に、ヘッド70について詳しく説明する。図3は、ヘッド70周辺の構成を模式的に示す正面図である。図2では見えない部材などがあるため、ヘッド70の構成は、図2と図3とを使って説明する。なお、図3はヘッド70の構成を説明するための模式的な図であり、実際のヘッド70の形状やプロポーションなどを反映したものではない。
本実施形態では、図3に示すように、ヘッド70は、第1ヘッド80と、第2ヘッド90と、弾性部材100とを備えている。第1ヘッド80は、支持台15よりも上方に配置され、かつ、支持台15に支持されたワークWよりも上方に配置されている。第1ヘッド80は、ワークWにレーザ光を照射可能な箔転写ツール120を保持している。本実施形態では、第1ヘッド80は、一対のスライドシャフト61に係合している。第1ヘッド80は、一対のスライドシャフト61に挿入された一対のブッシュ81を備えている。第1ヘッド80は、一対のスライドシャフト61に沿ってZ軸方向に移動可能に構成されている。
また、第1ヘッド80は、ツール保持部82を備えている。ツール保持部82は、箔転写ツール120を保持するものである。なお、ツール保持部82の配置位置は特に限定されない。ここでは、ツール保持部82は、一対のブッシュ81よりも前方に配置されている。
箔転写ツール120は、ワークWにレーザ光を照射可能なものである。箔転写ツール120は、ワークWを上方から押圧すると共に、ワークWに対してレーザ光を照射する。箔転写ツール120は、レーザヘッド121と、光路(図示せず)とを有している。レーザヘッド121は、箔転写ツール120の下端に着脱可能に設けられている。レーザヘッド121は、レーザ光を透過する材料によって形成されている。レーザヘッド121は、例えば、硬質ガラスによって形成されている。レーザヘッド121は、ヘッド70よりも下方に配置されている。そのため、ヘッド上下移動装置60によってヘッド70が下方に移動されると、レーザヘッド121がワークWに当接する。
図4は、箔転写装置10のブロック図である。本実施形態では、図4に示すように、箔転写装置10は、レーザ発振器125を備えている。レーザ発振器125は、レーザ光を生成するものである。レーザ発振器125は、例えば筐体11に固定されている。レーザ発振器125は、箔転写ツール120に接続されている。レーザ発振器125によって生成されたレーザ光は、図示しない光ファイバを通って箔転写ツール120に到達する。レーザ光は、箔転写ツール120内の図示しない光路を通ってレーザヘッド121に到達する。
図3に示すように、第2ヘッド90は、第1ヘッド80をZ軸方向(言い換えると上下方向)に摺動自在に支持するものである。第2ヘッド90は、ヘッド上下移動装置60の台形ネジ62と螺合するナット91と、一対のスライドシャフト61に挿入された一対のブッシュ92とを備えている。本実施形態では、ナット91と、一対のブッシュ92とは、X軸方向に並んで配置されている。ナット91の上端には、ナット91よりも外側に延びたフランジ部91aが設けられている。第2ヘッド90は、更に、第1ヘッド80の第2ヘッド90に対する下方への移動を規制するストッパ93を備えている。第1ヘッド80は、ストッパ93に突き当たることで、第2ヘッド90から脱落することなく第2ヘッド90に係合している。
本実施形態では、ヘッド上下移動装置60のZ軸方向駆動モータ63が駆動することで、台形ネジ62が回転する。台形ネジ62が回転することで、台形ネジ62は第2ヘッド90のナット91に対して回転することになり、第2ヘッド90は台形ネジ62に対して上方または下方に移動する。このことで、第2ヘッド90は、一対のスライドシャフト61に沿ってZ軸方向に移動する。ここで、第2ヘッド90は、第1ヘッド80と弾性部材100を介して接続されている。そのため、第1ヘッド80が第2ヘッド90に対して最も低い位置に配置されている場合(言い換えると、弾性部材100が伸びた状態で、第1ヘッド80に対して弾性力が付与されていない場合)、第2ヘッド90のZ軸方向への移動に伴い、第1ヘッド80もZ軸方向へ移動する。
図3に示すように、弾性部材100は、第1ヘッド80と第2ヘッド90との間に介在している。弾性部材100は、第1ヘッド80および第2ヘッド90に接続され、第2ヘッド90に対して第1ヘッド80を押し下げるものである。弾性部材100の種類は特に限定されないが、例えば螺旋状に巻かれたコイルバネである。本実施形態では、弾性部材100には、第2ヘッド90のナット91が挿通されている。弾性部材100の上端は、第2ヘッド90に接続されている。詳しくは、弾性部材100の上端は、ナット91のフランジ部91aの下面に接している。なお、ここでの「第2ヘッド90と弾性部材100とが接続されている」とは、両者が互いに固定されていることを必要とせず、弾性部材100の弾性力によって両者が互いに接していることを含んでいる。以下、2つの部材が「接続されている」と言う場合、同様である。なお、第2ヘッド90と弾性部材100の上端とは、固定されていてもよい。弾性部材100の下端は、第1ヘッド80に接続されている。
本実施形態では、弾性部材100は、縮んだ状態で第1ヘッド80と第2ヘッド90との間に介在している。弾性部材100は、弾性力によって第1ヘッド80が下方に移動するように付勢する。その結果、第1ヘッド80は、弾性部材100によって第2ヘッド90に対してZ軸方向に移動可能となる。
図5~図7は、第1ヘッド80および第2ヘッド90を模式的に示した図であり、検出部材140が上限位置P11と下限位置P12との間に配置されている状態を示す図である。なお、図5~図9において、ワークWの熱転写箔W2および光吸収フィルムW3は省略されている。本実施形態では、図5に示すように、箔転写ツール120を保持する第1ヘッド80は、弾性部材100によって下方に向かって弾性力が付勢されている状態である。そのため、箔転写ツール120のレーザヘッド121がワークWに当接しているとき、箔転写ツール120はワークWに押し付けられる状態となる。以下の説明において、箔転写ツール120がワークWに当接するとは、レーザヘッド121がワークW(詳しくは、ワークWの光吸収フィルムW3)に当接すると同義である。
ここで、ワークWの被転写物W1の上面に凹凸が形成されており、図5および図6に示すように、ワークWに対する箔転写ツール120の当接位置が、被転写物W1の上面の高い位置から低い位置に移動する場合、弾性部材100の弾性力によって第1ヘッド80が下方に押し下げられるため、箔転写ツール120がワークWに当接した状態で追従しながら、第2ヘッド90に対する第1ヘッド80の位置が下方に移動する。そのため、箔転写ツール120のレーザヘッド121がワークWに当接した状態が維持される。
一方、図5および図7に示すように、ワークWに対する箔転写ツール120の当接位置が、被転写物W1の上面の低い位置から高い位置に移動する場合、弾性部材100の弾性力に抗して、ワークWによって箔転写ツール120が上方に押し上げられる。その結果、箔転写ツール120がワークWに当接した状態で追従しながら、第2ヘッド90に対する第1ヘッド80の位置が上方に移動する。この場合であっても、箔転写ツール120のレーザヘッド121がワークWに当接した状態が維持される。このように、本実施形態では、箔転写ツール120で箔転写をしているとき、弾性部材100の弾性力によってワークWの被転写物W1の上面の高さに、箔転写ツール120が追従しながら、第2ヘッド90に対する第1ヘッド80のZ軸方向の位置が移動する。
ところで、本実施形態では、弾性部材100によって第1ヘッド80が押し下げられることで、箔転写ツール120がワークWに対してある程度の大きさの圧力を掛けた状態で箔転写が行われる。このワークWに掛けられる圧力が小さいと、適切な箔転写が行われないことがあり得る。ここでは、図5および図6に示すように、第2ヘッド90に対して第1ヘッド80が下方に移動する程、第1ヘッド80に掛けられる弾性力が小さくなり、ワークWに掛けられる圧力が小さくなる。そのため、本実施形態では、ワークWに掛けられる圧力が十分であり、かつ、適切な箔転写が行われるように、第2ヘッド90に対する第1ヘッド80の下限位置P12が設定されている。
また、本実施形態では、弾性部材100が最も縮んでいる状態のとき、第2ヘッド90に対して第1ヘッド80は上方に移動することができない。この場合、ワークWに対して必要以上に大きい圧力が掛けられるおそれがあり、適切な箔転写が行われないことがあり得る。そのため、本実施形態では、ワークWに必要以上に大きな圧力が掛けられずに、適切な箔転写が行われるように、第2ヘッド90に対する第1ヘッド80の上限位置P11が設定されている。
そこで、本実施形態に係る箔転写装置10は、箔転写をしているときに、第1ヘッド80が上限位置P11に移動したか否かを検出するための上限検出センサ130と、第1ヘッド80が下限位置P12に移動したか否かを検出するための下限検出センサ131と、を備えている。箔転写装置10は、更に、上限検出センサ130および下限検出センサ131に検出される検出部材140を備えている。
検出部材140は、第1ヘッド80に設けられており、第1ヘッド80と共にZ軸方向に移動可能である。例えばヘッド上下移動装置60によって第2ヘッド90と共に第1ヘッド80がZ軸方向に移動したとき、検出部材140も第1ヘッド80と共にZ軸方向に移動する。弾性部材100の弾性力によって第2ヘッド90に対して第1ヘッド80がZ軸方向に移動したとき、検出部材140は、第1ヘッド80と共にZ軸方向に移動する。
なお、検出部材140の配置位置は特に限定されない。例えば検出部材140は、第1ヘッド80から上限検出センサ130および下限検出センサ131側に向かって延びている。検出部材140は、上限検出センサ130および下限検出センサ131が検出部材140の位置を検出可能な位置に配置されている。検出部材140の形状は、板状であってもよいし、単なる立体形状であってもよい。上限検出センサ130および下限検出センサ131によって位置が検出されるものであれば、検出部材140の形状は特に限定されない。
図8は、第1ヘッド80および第2ヘッド90を模式的に示した図であり、検出部材140が上限位置P11に移動した状態を示す図である。図8に示すように、上限検出センサ130は、検出部材140が上限位置P11に移動したことを検出可能なセンサである。上限検出センサ130は、第2ヘッド90に設けられている。そのため、ヘッド上下移動装置60によって第2ヘッド90がZ軸方向に移動したとき、上限検出センサ130は、第2ヘッド90と共にZ軸方向に移動する。弾性部材100によって第2ヘッド90に対して第1ヘッド80がZ軸方向に移動したとき、上限検出センサ130と検出部材140とのZ軸方向における相対的な位置が変更される。
図9は、第1ヘッド80および第2ヘッド90を模式的に示した図であり、検出部材140が下限位置P12に移動した状態を示す図である。図9に示すように、下限検出センサ131は、検出部材140が下限位置P12に移動したことを検出可能なセンサである。下限検出センサ131は、上限検出センサ130と同様に、第2ヘッド90に設けられている。そのため、ヘッド上下移動装置60によって第2ヘッド90がZ軸方向に移動したとき、下限検出センサ131は、第2ヘッド90および上限検出センサ130と共にZ軸方向に移動する。弾性部材100によって第2ヘッド90に対して第1ヘッド80がZ軸方向に移動したとき、下限検出センサ131と検出部材140とのZ軸方向における相対的な位置が変更される。ここでは、下限検出センサ131は、上限検出センサ130よりも下方に配置されている。上限検出センサ130と下限検出センサ131とは、Z軸方向に離れた位置に配置されている。
なお、上限検出センサ130および下限検出センサ131の種類は特に限定されず、検出部材140のZ軸方向の位置が検出されるものであるとよい。上限検出センサ130および下限検出センサ131は、検出部材140が所定の検出範囲を通過することで検出部材140の位置を検出するものであってもよいし、光学式のセンサであってもよいし、接触式または非接触式のセンサであってもよい。
本実施形態では、上限検出センサ130および下限検出センサ131は、検出部材140の位置に応じてONまたはOFFとなる。ここでは、上限検出センサ130および下限検出センサ131は、所定の検出範囲130a、131aに検出部材140が配置されたときにONとなり、所定の検出範囲130a、131aに検出部材140が配置されていないときにOFFとなる。
本実施形態では、検出部材140の上端の位置を基準にして、上限位置P11および下限位置P12が設定されている。図8に示すように、検出部材140の上端が上限位置P11の位置、または、上限位置P11よりも上方の位置に配置されているときに、検出部材140は上限位置P11に移動したことになる。また、図9に示すように、検出部材140の上端が下限位置P12の位置、または、下限位置P12よりも下方の位置に配置されているときに、検出部材140は下限位置P12に移動したことになる。
本実施形態では、上限検出センサ130の検出範囲130aの下端の位置が上限位置P11に設定されている。そのため、図5に示すように、上限検出センサ130の検出範囲130aの下方に検出部材140が配置されているとき、上限検出センサ130はOFFとなる。そして、図8に示すように、検出部材140が上方に移動して、検出部材140の上端が、上限位置P11または上限位置P11よりも上方の位置、言い換えると上限検出センサ130の検出範囲130a内に移動したとき、上限検出センサ130はONとなる。このように、上限検出センサ130がOFFからONに切り替わったときに、検出部材140が上限位置P11に移動してきたことを検出する。
本実施形態では、下限検出センサ131の検出範囲131aの下端の位置が下限位置P12に設定されている。ここで、図5に示すように、検出部材140の上端が下限位置P12よりも上方に配置され、検出部材140の何れかの部位が下限検出センサ131の検出範囲131a内に配置されているとき、下限検出センサ131はONとなる。そして、図9に示すように、検出部材140が下方に移動して、検出部材140の上端が、下限位置P12または下限位置P12よりも下方の位置、言い換えると下限検出センサ131の検出範囲131aよりも下方に移動したとき、下限検出センサ131はOFFとなる。このように、下限検出センサ131がONからOFFに切り替わったときに、検出部材140が下限位置P12に移動してきたことを検出する。
本実施形態では、図5~図7に示すように、検出部材140が上限位置P11と下限位置P12との間に配置されているとき、上限検出センサ130はOFFとなり、下限検出センサ131はONとなる。図8に示すように、検出部材140が上限位置P11に移動してきたとき、上限検出センサ130および下限検出センサ131は、共にONとなる。そして、図9に示すように、検出部材140が下限位置P12に移動してきたとき、上限検出センサ130および下限検出センサ131は、共にOFFとなる。このように、上限検出センサ130および下限検出センサ131がONかOFFかの状態を検出することで、検出部材140が上限位置P11に移動してきたのか、下限位置P12に移動してきたのか、または、上限位置P11と下限位置P12との間に配置されているのかを判断することができる。
本実施形態では、検出部材140が上限位置P11と下限位置P12との間に配置されているとき、第1ヘッド80のツール保持部82に保持された箔転写ツール120からワークWに十分な大きさの圧力が掛けられ、適切に熱転写箔W2を被転写物W1に転写することができる。言い換えると、検出部材140が上限位置P11と下限位置P12との間に配置されているとき、ツール保持部82に保持された箔転写ツール120はワークWに当接し、熱転写箔W2にレーザ光が照射されて熱転写箔W2を被転写物W1に転写することができる。すなわち、検出部材140が上限位置P11と下限位置P12との間に配置されているとき、適切な箔転写を行うことができる。
一方、検出部材140が上限位置P11または下限位置P12まで移動したとき、ツール保持部82に保持された箔転写ツール120からワークWに掛けられる圧力が適切ではなく、適切な箔転写を行うことができないおそれがある。このように、上限位置P11と下限位置P12との間の範囲は、箔転写ツール120によって箔転写を適切に行うことができる範囲であるといえる。
本実施形態では、図5に示すように、第2ヘッド90に対して第1ヘッド80がZ軸方向に移動可能な上限の位置に対応した検出部材140の上端の位置を第1ヘッド上限位置P21とする。また、第2ヘッド90に対して第1ヘッド80がZ軸方向に移動可能な下限の位置に対応した検出部材140の上端の位置を第1ヘッド下限位置P22とする。第1ヘッド80は、弾性部材100によって第1ヘッド上限位置P21と第1ヘッド下限位置P22との間を移動することが可能である。
ここでは、上限位置P11は、第1ヘッド上限位置P21よりも下方に位置し、かつ、第1ヘッド下限位置P22よりも上方に位置している。下限位置P12は、第1ヘッド下限位置P22よりも上方に位置し、かつ、第1ヘッド上限位置P21よりも下方に位置している。上限位置P11および下限位置P12は、第1ヘッド上限位置P21と第1ヘッド下限位置P22との間に位置している。ここで、第1ヘッド上限位置P21から第1ヘッド下限位置P22までのZ軸方向の距離D1は、上限位置P11から下限位置P12までのZ軸方向の距離D2よりも長い。
例えば距離D1と距離D2とが同じで、上限位置P11と第1ヘッド上限位置P21とが同じ位置で、かつ、下限位置P12と第1ヘッド下限位置P22とが同じ位置の場合、上限位置P11よりも上方に検出部材140が移動すると、レーザヘッド121とワークWとの間に空間が形成されるおそれがあり、下限位置P12よりも下方に検出部材140が移動すると、ワークWに掛かる圧力が大きくなり過ぎるおそれがある。しかしながら、本実施形態のように、距離D1を距離D2よりも長くすることで、被転写物W1の表面の凹凸の部分を箔転写ツール120が移動する際に、微小時間、上限位置P11よりも上方に移動したり、下限位置P12よりも下方に移動したりしても、ワークWに対して適切な圧力が掛けられるため、滑らかな制御を実現することができる。
本実施形態では、図4に示すように、箔転写装置10は、制御装置150を備えている。制御装置150は、ワークWの被転写物W1に熱転写箔W2を転写する箔転写に関する制御をする装置である。制御装置150の構成は特に限定されない。制御装置150は、例えばマイクロコンピュータである。マイクロコンピュータのハードウェアの構成は特に限定されないが、例えば制御装置150は、I/Fと、CPUと、ROMと、RAMと、記憶装置と、を備えている。制御装置150は、筐体11の内部に設けられている。ただし、制御装置150は筐体11の内部に設けられていなくてもよい。例えば、制御装置150は、筐体11の外部に設置されたコンピュータなどであってもよい。この場合、制御装置150は、有線または無線を介して箔転写装置10と通信可能に接続されている。
制御装置150は、ヘッド移動装置18およびヘッド上下移動装置60と通信可能に、かつ、電気的に接続されており、ヘッド移動装置18およびヘッド上下移動装置60を制御する。詳しくは、制御装置150は、ヘッド移動装置18のY軸方向移動装置30のY軸方向駆動モータ34、X軸方向移動装置50のX軸方向駆動モータ54、ヘッド上下移動装置60のZ軸方向駆動モータ63と通信可能、かつ、電気的に接続されており、Y軸方向駆動モータ34、X軸方向駆動モータ54、およびZ軸方向駆動モータ63の駆動を制御する。また、制御装置150は、レーザ発振器125に通信可能、かつ、電気的に接続されており、レーザ発振器125によるレーザ光の照射の制御を行う。
本実施形態では、制御装置150は、記憶部151と、開始位置移動部152と、箔転写制御部154と、上限検出部156と、下限検出部158と、調整制御部160とを備えている。制御装置150の各部は、ソフトウェアによって構成されていてもよいし、ハードウェアによって構成されていてもよい。また、制御装置150の各部は、プロセッサによって実現されてもよいし、回路によって実現されてもよい。また、制御装置150の各部がプロセッサによって実現されている場合、1つのプロセッサによって実現されてもよいし、複数のプロセッサによって実現されてもよい。
次に、熱転写箔W2が被転写物W1に転写される際の制御装置150の各部の制御について説明する。
本実施形態では、例えば記憶部151には、箔転写データが記憶されている。この箔転写データとは、被転写物W1のどの部分に熱転写箔W2を転写させるかが示されたデータである。開始位置移動部152は、箔転写データに基づいて被転写物W1のどの領域から箔転写を行うか、すなわち被転写物W1に対する箔転写ツール120の初期位置を決定する。
開始位置移動部152は、上記初期位置に箔転写ツール120が配置されるように、ヘッド移動装置18を制御する。その後、開始位置移動部152は、初期位置において箔転写ツール120がワークWに当接し、かつ、検出部材140が開始位置P13に配置されるようにヘッド上下移動装置60を制御する。ここで、開始位置P13は、上限位置P11と下限位置P12との間に位置している。詳しくは、開始位置P13は、上限位置P11と下限位置P12との間の中間位置であるが、当該中間位置に限定されない。
箔転写制御部154は、開始位置移動部152によって検出部材140が開始位置P13に配置された後、ヘッド移動装置18を制御して、被転写物W1に熱転写箔W2を転写させる箔転写制御を行う。ここでは、箔転写制御部154は、箔転写データに基づいて、被転写物W1の箔転写される部分に熱転写箔W2を転写させるように、ヘッド移動装置18およびレーザ発振器125を制御する。なお、図5~図7に示すように、被転写物W1の上面に凹凸が形成された被転写物W1に対して箔転写制御を行っている場合、弾性部材100が伸縮して被転写物W1の上面の高さに箔転写ツール120が追従しながら、第2ヘッド90に対する第1ヘッド80のZ軸方向の位置が移動する。箔転写制御の間において、検出部材140が上限位置P11と下限位置P12との間に配置されているとき、適切な箔転写を行うことができる。
しかしながら、箔転写制御の間において、図8および図9に示すように、検出部材140が上限位置P11または下限位置P12にまで移動した場合、箔転写ツール120からワークWに掛けられる圧力の大きさが適切ではないため、適切な箔転写が行われないことがあり得る。そこで、本実施形態では、箔転写制御の間に、上限検出部156および下限検出部158によって検出部材140が上限位置P11または下限位置P12まで移動したか否かを検出する。
上限検出部156は、図8に示すように、箔転写制御部154によって箔転写制御が行われている間、上限検出センサ130によって検出部材140が上限位置P11に移動したことを検出する。本実施形態では、図5に示すように、検出部材140の上端が上限位置P11よりも下方に配置されているとき、上限検出センサ130はOFFである。図8に示すように、検出部材140の上端が上限位置P11、または、上限位置P11よりも上方にまで移動して、上限検出センサ130の検出範囲130a内に検出部材140が配置されたとき、上限検出センサ130はONである。
よって、上限検出部156は、上限検出センサ130がONのときに、検出部材140が上限位置P11に移動したことを検出する。言い換えると、上限検出部156は、上限検出センサ130がOFFからONに切り替わったときに、検出部材140が上限位置P11に移動したことを検出する。
下限検出部158は、図9に示すように、箔転写制御部154によって箔転写制御が行われている間、下限検出センサ131によって検出部材140が下限位置P12に移動したことを検出する。本実施形態では、図5に示すように、検出部材140の上端が下限位置P12よりも上方に配置されているとき、下限検出センサ131はONである。図9に示すように、検出部材140の上端が下限位置P12、または、下限位置P12よりも下方にまで移動して、下限検出センサ131の検出範囲131a内に検出部材140が配置されていないとき、下限検出センサ131はOFFである。
よって、下限検出部158は、下限検出センサ131がOFFのときに、検出部材140が下限位置P12に移動したことを検出する。言い換えると、下限検出部158は、下限検出センサ131がONからOFFに切り替わったときに、検出部材140が下限位置P12に移動したことを検出する。
本実施形態では、箔転写制御によって箔転写が行われている間に、検出部材140が上限位置P11または下限位置P12に移動したとき、第2ヘッド90をZ軸方向に移動させる。このとき、第2ヘッド90に対する第1ヘッド80のZ軸方向における相対的な位置が変更される。よって、第2ヘッド90におけるZ軸方向の移動量を調整することで、検出部材140を上限位置P11と下限位置P12との間に配置させることができる。
本実施形態では、上記の第2ヘッド90におけるZ軸方向の移動量の調整に関する制御を調整制御部160が行う。調整制御部160は、図8に示すように、上限検出部156によって検出部材140が上限位置P11に移動したことを検出したとき、図5に示すように、検出部材140が上限位置P11と下限位置P12との間に配置されるようにヘッド上下移動装置60を制御する。本実施形態では、検出部材140が上限位置P11に移動したとき、調整制御部160は、第2ヘッド90が上方に移動するようにヘッド上下移動装置60を制御する。このとき、第2ヘッド90に対して第1ヘッド80が下方に移動することになる。そのため、第2ヘッド90に設けられた上限検出センサ130に対して、第1ヘッド80に設けられた検出部材140が下方に移動することになる。
調整制御部160は、第2ヘッド90が上方に移動している間、上限検出センサ130の状態(ONかOFFか)を受信する。そして、上限検出センサ130がONからOFFに切り替わったとき(例えば図8から図5の状態に切り替わったとき)、調整制御部160は、ヘッド上下移動装置60を停止し、第2ヘッド90の上方への移動を停止する。このことによって、検出部材140を上限位置P11と下限位置P12との間に配置することができる。
調整制御部160は、図9に示すように、下限検出部158によって検出部材140が下限位置P12に移動したことを検出したとき、図5に示すように、検出部材140が上限位置P11と下限位置P12との間に配置されるようにヘッド上下移動装置60を制御する。本実施形態では、検出部材140が下限位置P12に移動したとき、調整制御部160は、第2ヘッド90が下方に移動するようにヘッド上下移動装置60を制御する。このとき、ワークWによって箔転写ツール120が押し上げられるため、第2ヘッド90に対して第1ヘッド80は上方に移動する。そのため、第2ヘッド90に設けられた下限検出センサ131に対して、第1ヘッド80に設けられた検出部材140は上方に移動する。
調整制御部160は、第2ヘッド90が下方に移動している間、下限検出センサ131の状態(ONかOFFか)を受信する。そして、下限検出センサ131がOFFからONに切り替わったとき(例えば図9から図5の状態に切り替わったとき)、調整制御部160は、ヘッド上下移動装置60を停止し、第2ヘッド90の下方への移動を停止する。このことによって、検出部材140を上限位置P11と下限位置P12との間に配置することができる。
なお、調整制御部160が移動させる検出部材140の上限位置P11と下限位置P12との間の具体的な位置は特に限定されない。例えば、調整制御部160が検出部材140を上限位置P11と下限位置P12との間に移動させるとき、検出部材140が開始位置P13に配置されるようにヘッド上下移動装置60を制御してもよい。
以上、本実施形態では、箔転写時において、図8に示すように、検出部材140が上限位置P11に移動したことを検出したとき、図5に示すように、検出部材140が上限位置P11と下限位置P12との間に配置されるようにヘッド上下移動装置60が制御される。また、箔転写時において、図9に示すように、検出部材140が下限位置P12に移動したことを検出したとき、図5に示すように、検出部材140が上限位置P11と下限位置P12との間に配置されるようにヘッド上下移動装置60が制御される。よって、被転写物W1の表面に凹凸が形成され、最も凸の部分と最も凹の部分との差が、上限位置P11と下限位置P12との間の距離D2よりも大きいような被転写物W1に対して箔転写を行うことができる。したがって、従来と比較して、様々な立体形状を有する被転写物W1であっても熱転写箔W2を適切に転写することができる。
例えば被転写物W1に対する箔転写ツール120の初期位置が被転写物W1の最も凹の部分である場合、従来では、最も凸の部分と最も凹の部分との差が、開始位置P13と上限位置P11との間の距離よりも大きい被転写物W1に対して箔転写を適切に行うことができなかった。しかしながら、本実施形態では、被転写物W1に対する箔転写ツール120の初期位置が被転写物W1の最も凹の部分である場合であっても、必要に応じて上限検出センサ130および下限検出センサ131のZ軸方向の位置が変更される。そのため、最も凸の部分と最も凹の部分との差が、開始位置P13と上限位置P11との間の距離よりも大きい被転写物W1に対しても箔転写を適切に行うことができる。
本実施形態では、図8に示すように、上限検出センサ130は、検出部材140を検出したときにONとなるように構成されている。上限検出部156は、上限検出センサ130がONのとき、検出部材140が上限位置P11に移動したことを検出する。このことによって、上限検出センサ130がONであることを検出するという簡単な制御で、検出部材140が上限位置P11に移動して、適切な箔転写ができないと判断することができる。
本実施形態では、図9に示すように、下限検出センサ131は、検出部材140を検出していないときにOFFとなるように構成されている。下限検出部158は、下限検出センサ131がOFFのとき、検出部材140が前記下限位置P12に移動したことを検出する。このことによって、下限検出センサ131がOFFであることを検出するという簡単な制御で、検出部材140が下限位置P12に移動して、適切な箔転写ができないと判断することができる。
本実施形態では、図5に示すように、上限検出センサ130は、検出部材140が上限位置P11と下限位置P12との間に配置されているときにOFFとなるように構成されている。下限検出センサ131は、検出部材140が上限位置P11と下限位置P12との間に配置されているときにONとなるように構成されている。このことによって、図5および図8に示すように、上限検出センサ130がOFFからONに切り替わることを検出するという簡単な制御で、検出部材140が上限位置P11に移動して、適切な箔転写ができないと判断することができる。また、図5および図9に示すように、下限検出センサ131がONからOFFに切り替わることを検出するという簡単な制御で、検出部材140が下限位置P12に移動して、適切な箔転写ができないと判断することができる。
本実施形態では、第2ヘッド90に対して第1ヘッド80が移動可能な上限の位置を第1ヘッド上限位置P21とし、第2ヘッド90に対して第1ヘッド80が移動可能な下限の位置を第1ヘッド下限位置P22とする。このとき、第1ヘッド上限位置P21から第1ヘッド下限位置P22までのZ軸方向の距離D1は、上限位置P11から下限位置P12までのZ軸方向の距離D2よりも長い。第1ヘッド上限位置P21は、上限位置P11よりも上方に位置している。第1ヘッド下限位置P22は、下限位置P12よりも下方に位置している。このことによって、ツール保持部82に保持された箔転写ツール120が被転写物W1の凹凸の部分を移動するときに、ワークWに掛けられる圧力の大きさを、急激に変化させることなく、滑らかな変化となるように制御することができる。
本実施形態では、上限位置P11と下限位置P12との間に検出部材140が配置されているとき、ツール保持部82に保持された箔転写ツール120がワークWに当接し、かつ、熱転写箔W2が被転写物W1に転写可能に構成されている。このように、上限位置P11と下限位置P12との間に検出部材140が配置されている間において、被転写物W1に対して適切に箔転写を行うことができる。
本実施形態では、調整制御部160は、図8に示すように、上限検出部156によって検出部材140が上限位置P11に移動したことを検出したとき、または、図9に示すように、下限検出部158によって検出部材140が下限位置P12に移動したことを検出したとき、検出部材140が開始位置P13(図5参照)に配置されるようにヘッド上下移動装置60を制御する。このように、検出部材140が上限位置P11または下限位置P12に移動したときには、検出部材140が開始位置P13に戻るようにヘッド上下移動装置60が制御される。そのため、開始位置移動部152と同様の制御を行うとよいため、制御が容易である。