JP7299853B2 - 管継手及び管継手構造 - Google Patents
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特許文献2には、フランジ付きの樹脂短管を、樹脂管の端部に接合することが開示されている。
本発明は、かかる事情に鑑み、樹脂製のスタブエンド及び樹脂製のルーズフランジを含む管継手において、シール性を確保しながら、ルーズフランジに過剰な負荷が加えられるリスクを低減することを目的とする。
前記管端部が挿入される筒状の管挿入部、及び前記管挿入部における接合相手側の端部から外周側へ突出するように設けられた環状のフレア部を含む、樹脂からなるスタブエンドと、
前記スタブエンドを通す中心穴における接合相手側の部分に、接合相手側及び内周側へ開放されて前記フレア部を受け入れる環状凹部が形成された環状の樹脂からなるルーズフランジと、
を備え、前記環状凹部における接合相手側を向く段差面が、前記フレア部における管挿入部側を向く背面に突き当てられた状態で、前記スタブエンドにおける接合相手側を向くスタブ面が、前記ルーズフランジにおける接合相手側を向くフランジ面に対して、前記管軸に沿う所定の凹凸範囲内で非面一であり、
前記凹凸範囲の凹側の上限が0.5mmであり、凸側の上限が5.0mmであることを特徴とする。
スタブ面がフランジ面に対して凹むように設定すれば、フランジ面を、接合相手のフランジと直接又はパッキンを介して突き当てることができ、ルーズフランジの変形を確実に防止できる。凹側の上限(0.5mm)を設定することで、シール性が確保される。
スタブ面がフランジ面に対して凸となるように設定すれば、スタブ面をパッキンに確実に密着させることができ、シール性を十分に確保できる。凸側の上限(5.0mm)を設定することで、ルーズフランジの変形が過大になるのを防止でき、負荷が過剰になるのを防止できる。
前記パッキンにおける前記ボルトを通すボルト穴と中心穴との間の部分には、前記スタブ面と対向する環状凸部が形成されており、
前記環状凸部の突出高さが、0.5mmより大きいことを特徴とする。
スタブ面とフランジ面の凹凸量を調整することで、パッキンに加えられる圧縮力を調整でき、パッキンの損傷・劣化を抑制したり、シール性を高めたりできる。
パッキンにボルトを通すことで、パッキンの位置ずれを防止できる。
パッキンの外径をルーズフランジと同等にすることで、管継手どうしの間にパッキンが挟まれているか否かを目視で容易に確認できる。
図1(a)及び図1(b)は、工場配管における1の管10と相手管20(接合相手)との接合構造を示す。以下の説明では、特に断らない限り、管10,20どうしは接合状態であるものとする。
管10,20の材質は、例えばポリ塩化ビニル(PVC)、ポリオレフィン(ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)など)その他の樹脂である。
2つの管10,20の材質は、好ましくは同質であるが、互いに異なっていてもよい。
スタブエンド30の材質は、例えばポリ塩化ビニル(PVC)、ポリオレフィン(ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)など)その他の樹脂であり、管10との接着性などを考慮して、管10と同じ材質であることが好ましい。管10がPVC製である場合、スタブエンド30の材質は、好ましくはPVCである。さらに、スタブエンド30が、ガラス繊維やカーボン繊維などの強化繊維を含む繊維強化樹脂であってもよい。
図示は省略するが、管挿入部31の内周面33aと管端部12の外周面との間には、樹脂用接着剤が介在されている。該接着剤によってスタブエンド30と管10が接着されている。
フレア部32における外周面32aと背面32dとで作るスタブ出隅コーナー32cは、好ましくは数mm程度の比較的大きい曲率半径のR面となっている。
コーナー31c,32cの曲率半径は、好ましくは互いに等しいが、互いに異なっていてもよい。
ルーズフランジ40の材質は、好ましくはボルト締め、内圧、熱応力などに対する耐力が高い樹脂であり、例えばポリ塩化ビニル、ポリオレフィン(ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)など)の熱可塑性樹脂が挙げられる。ルーズフランジ40を構成する樹脂には、剛性を高めて、接合時などにおける割れを抑制するために、ガラス繊維、カーボン繊維などの強化繊維が含まれていることが好ましい。
ルーズフランジ40の中心穴41における前側部分(接合相手側の部分)には、環状凹部42が形成されている。環状凹部42は、前方(接合相手側)及び内周側へ開放されている。このため、中心穴41の内周面は、小径内周面41aと、大径内周面42aと、段差面42dとを有している。小径内周面41aは、環状凹部42より後方(接合相手側とは反対側)に配置されている。
小径内周面41aの周方向の一箇所には、前記抜け止め突起35と対応する半円形の断面の逃げ凹溝41gが形成されている。
段差面42dと小径内周面41aとで作るフランジ出隅コーナー41cは、好ましくは数mm程度の比較的大きい曲率半径のR面となっている。
コーナー41c,42cの曲率半径は、好ましくは互いに等しいが、互いに異なっていてもよい。さらにコーナー41c,42cの曲率半径は、スタブエンド30のコーナー31c,32cの曲率半径と等しいが、互いに異なっていてもよい。
図1~図2に示すように、ルーズフランジ40が、相手管20(接合相手)の端部に設けられた管継手23のフランジ24と対向され、各ボルト穴43が、フランジ24のボルト穴25と位置合わせされている。これらボルト穴43,25にボルト60が通されて、ナット61で締め付けられている。これによって、管継手13,23どうしがボルト接合され、ひいては管10,20どうしが接合されている。
ルーズフランジ40におけるリブ44とボルト穴43の配置角度が互いにずれている。90°離れた2つのリブ44の間に、2つのボルト穴43が配置されている。
なお、リブ44を省略してもよい。
肉抜き凹部45によって、ルーズフランジ40が軽量化されている。
なお、肉抜き凹部45は省略してもよい。
環状凹部42には、フレア部32が受け入れられる。大径内周面42aがフレア部32を囲んでいる。段差面42dが、フレア部32の背面32dと対面している。
ルーズフランジ40における、環状凹部42より外周側(径方向外側)の部分40fは、フレア部32より厚肉になっている。
スタブ面30aは、フランジ面40aに対して非面一であればよく、フランジ面40aより凹んでいてもよく(図1(a)、図2(a)、図4(a))、フランジ面40aより突出されていてもよい(図1(b)、図2(b)、図4(b))。
図4(b)において、スタブ面30aのフランジ面40aに対する突出量d2は、最大で5.0mmである。突出量d2の下限は、好ましくは0.01mm、より好ましくは0.03mm、さらに好ましくは0.05mm、一層好ましく0.1mmである。
相手管20と接合されていない状態の管継手13におけるフランジ面40aは、ルーズフランジ40の遊嵌度合いに応じて、管軸Lに対して若干傾斜され得る。
パッキン50の材質は、好ましくはエチレンプロピレンジエン(EPDM)ゴムである。
パッキン50の外径は、ルーズフランジ40及びフランジ24の外径とほぼ同じである。パッキン50の中心穴51の内径は、挿入穴33の内径とほぼ同じである。
パッキン50におけるルーズフランジ40と対面する部分には、複数のボルト穴53が周方向に間隔を置いて配置されている。これらボルト穴53は、フランジ40,24のボルト穴43,25と対応している。
ボルト穴43,25に通されたボルト60が、パッキン50のボルト穴53にも通されている。
なお、パッキン50の環状凸部の数は2つに限らず、3つ以上であってもよい。互いに径が異なる3つ以上の環状凸部が、好ましくは中心円51と同心の多重円をなすように配置されていてもよい。
最小径の環状凸部54の直径は、スタブ面30aの内直径より大きい。
最大径の環状凸部55の直径は、スタブ面30aの外直径より小さい。
環状凸部54,55の突出高さは、前記凹凸範囲の凹側の上限すなわち0.5mmより大きく、好ましくは0.5mm~2mm程度であり、より好ましくは1mm程度である。
ボルト60の締め付けによって、環状凸部54,55が全周にわたってスタブ面30aと密着されている。これによって、管継手13とパッキン50との間がシールされている。
まず、管継手13を組み立てておく。すなわち、ルーズフランジ40の逃げ凹溝41gとスタエンド30の抜け止め突起35を角度合わせしながら、ルーズフランジ40を管挿入部31の外周に嵌め、環状凹部42にフレア部32を収容する。その後、ルーズフランジ40を回して、逃げ凹溝41gと抜け止め突起35の角度をずらすと、ルーズフランジ40が抜け止め突起35によって抜け止めされる。
該管継手13の管挿入部31の挿入穴33に管端部12を差し込む。好ましくは、挿入孔33の内周面又は管端部12の外周面には接着剤を予め塗布しておく。
続いて、管継手13のボルト穴43が管継手23のボルト穴25と合わさるように、ルーズフランジ40を角度調整する。ルーズフランジ40が回転可能であるために、ボルト穴43,25どうしを容易に合わせることができる。
管継手13,23どうしの間にはパッキン50を挿し入れ、該パッキン50のボルト穴53をボルト穴43,25と合わせる。
そして、ボルト60をボルト穴43,53,25に通して、締め込む。これによって、管継手13,23どうしが接合され、ひいては管10,20どうしが接合される。
ルーズフランジ40を厚肉にすることによって、剛性が高まり、変形を抑制できる。
ルーズフランジ40を強化繊維入り樹脂製にすることで、ルーズフランジ40の剛性を一層高めることができる。
これによって、樹脂製のルーズフランジ40の破損を確実に防止できる。
パッキン50をフレア部32より大径にすることで、フランジ40,24どうしの間にパッキン50が挟まれているか否かを外部からの目視で容易に確認できる。
パッキン50をボルト60が貫通しているために、パッキン50が位置ずれするのを防止できる。
例えば、ボルトの締め付けによって、ルーズフランジ40が接合相手側へ撓むように弾性変形してもよく、それによって、フランジ面40aがパッキン40と当接されてもよい。
管10,20は、工場配管に限らず、土木配管、建築配管などであってもよい。
スタブエンド30は、管10と一体的に形成されていてもよい。
接合相手は、ルーズフランジ40と結合されるフランジを備える部材であって、管20の他、継手、タンクおよびポンプなどが挙げられる。
1 管継手構造
10 1の管
12 管端部
13 管継手
20 相手管(接合相手)
30 スタブエンド
30a スタブ面(第1接合面)
31 管挿入部
32 フレア部
32d 背面
33 挿入穴
33a 内周面
40 ルーズフランジ
40a フランジ面(第2接合面)
40b 背面
41 中心穴
42 環状凹部
42d 段差面
50 パッキン
60 ボルト
Claims (2)
- 1の管の管端部に設けられて接合相手と接合される管継手であって、
前記管端部が挿入される筒状の管挿入部、及び前記管挿入部における接合相手側の端部から外周側へ突出するように設けられた環状のフレア部を含む、樹脂からなるスタブエンドと、
前記スタブエンドを通す中心穴における接合相手側の部分に、接合相手側及び内周側へ開放されて前記フレア部を受け入れる環状凹部が形成された環状の樹脂からなるルーズフランジと、
を備え、前記環状凹部における接合相手側を向く段差面が、前記フレア部における管挿入部側を向く背面に突き当てられた状態で、前記スタブエンドにおける接合相手側を向くスタブ面が、前記ルーズフランジにおける接合相手側を向くフランジ面に対して、前記管継手の管軸に沿う所定の凹み範囲内で凹んでおり、
前記凹み範囲の上限が0.5mmであることを特徴とする管継手。 - 請求項1に記載のスタブエンド及びルーズフランジを含む管継手と、前記管継手と接合相手のフランジとの間に配置された環状のパッキンと、前記ルーズフランジ、パッキン及び接合相手のフランジを貫通して接合するボルトとを備え、
前記パッキンにおける前記ボルトを通すボルト穴と中心穴との間の部分には、前記スタブ面と対向する環状凸部が形成されており、
前記環状凸部の突出高さが、0.5mmより大きいことを特徴とする管継手構造。
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