JP7299853B2 - 管継手及び管継手構造 - Google Patents

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Description

本発明は、管継手及び管継手構造に関し、特にルーズフランジを有する管継手及び管継手構造に関する。
一般に、工場配管などの各種の管の端部には、他の管との接合用のフランジが設けられている。2つの管のフランジどうしがボルトなどで連結される。このとき、これらフランジのボルト穴どうしを一致させる必要があるところ、管全体を回すことでフランジを角度調節するのは容易でない。そこで、少なくとも一方の管のフランジとして、管端部(スタブエンド)の外周に回転可能に遊嵌されたルーズフランジが用いられる(特許文献1など参照)。
特許文献1のルーズフランジは、平らな円環板状に形成されている。該ルーズフランジが、スタエンドの鍔状のフレア部の背面(接合相手とは反対側を向く面)に突き当てられている。このため、ルーズフランジの前面(接合相手側を向くフランジ面)は、スタブエンドの前面(接合相手側を向くスタブ面)からフレア部の厚み分だけ後退して配置されている。
従前の工場配管の多くは金属製であり、スタブエンド及びルーズフランジを含む管継手においても金属製のものが多かった。一方、近年の樹脂合成技術の進歩によって、樹脂の機械強度、耐候性、耐薬品性、耐震性等が改良されたのに伴い、工場配管が金属管から、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン等の樹脂管に置き換わりつつある。これに応じて、樹脂製の管継手が要望されている。
特許文献2には、フランジ付きの樹脂短管を、樹脂管の端部に接合することが開示されている。
特開平5-280674号公報 特開2001-205707号公報
スタブエンド及びルーズフランジを樹脂製にした場合、所要強度を確保するために、ある程度の厚みが必要になる。フレア部についてもある程度の厚みが必要になる。しかし、例えば特許文献1のような管継手構造においては、フレア部を厚肉にすると、ルーズフランジがスタブエンドの前面(スタブ面)から大きく後退して配置されることになる。このため、ルーズフランジと接合相手のフランジとの間の隙間が空き過ぎ、これらフランジどうしをボルトで接合する際の締め付けトルクによっては、樹脂製のルーズフランジが大きく変形して過剰な応力負荷が加えられるおそれがある。一方、締め付けトルクを小さくし過ぎると、管間のシールを確保できない。
本発明は、かかる事情に鑑み、樹脂製のスタブエンド及び樹脂製のルーズフランジを含む管継手において、シール性を確保しながら、ルーズフランジに過剰な負荷が加えられるリスクを低減することを目的とする。
前記の課題を解決するために、本発明は、1の管の管端部に設けられて接合相手と接合される管継手であって、
前記管端部が挿入される筒状の管挿入部、及び前記管挿入部における接合相手側の端部から外周側へ突出するように設けられた環状のフレア部を含む、樹脂からなるスタブエンドと、
前記スタブエンドを通す中心穴における接合相手側の部分に、接合相手側及び内周側へ開放されて前記フレア部を受け入れる環状凹部が形成された環状の樹脂からなるルーズフランジと、
を備え、前記環状凹部における接合相手側を向く段差面が、前記フレア部における管挿入部側を向く背面に突き当てられた状態で、前記スタブエンドにおける接合相手側を向くスタブ面が、前記ルーズフランジにおける接合相手側を向くフランジ面に対して、前記管軸に沿う所定の凹凸範囲内で非面一であり、
前記凹凸範囲の凹側の上限が0.5mmであり、凸側の上限が5.0mmであることを特徴とする。
当該管継手によれば、樹脂製のスタブエンドのフレア部が厚肉であっても、ルーズフランジの環状凹部にフレア部を収容することによって、ルーズフランジのフランジ面をフレア部の背面よりも接合相手側へ前進させて配置できる。したがって、ルーズフランジと接合相手のフランジとの間の隙間が過大になるのを回避でき、樹脂製のルーズフランジに過剰な負荷が加えられるリスクを低減できる。
スタブ面がフランジ面に対して凹むように設定すれば、フランジ面を、接合相手のフランジと直接又はパッキンを介して突き当てることができ、ルーズフランジの変形を確実に防止できる。凹側の上限(0.5mm)を設定することで、シール性が確保される。
スタブ面がフランジ面に対して凸となるように設定すれば、スタブ面をパッキンに確実に密着させることができ、シール性を十分に確保できる。凸側の上限(5.0mm)を設定することで、ルーズフランジの変形が過大になるのを防止でき、負荷が過剰になるのを防止できる。
本発明に係る管継手構造は、前記スタブエンド及びルーズフランジを含む管継手と、前記管継手と接合相手のフランジとの間に配置された環状のパッキンと、前記ルーズフランジ、パッキン及び接合相手のフランジを貫通して接合するボルトとを備え、
前記パッキンにおける前記ボルトを通すボルト穴と中心穴との間の部分には、前記スタブ面と対向する環状凸部が形成されており、
前記環状凸部の突出高さが、0.5mmより大きいことを特徴とする。
当該管継手構造においては、スタブ面が前記フランジ面に対して凹んでいる場合でも、その凹みは、最大で0.5mmであり、環状凸部の突出高さ(0.5mm超)より小さい。したがって、スタブ面が環状凸部と確実に接し、シール性を確保できる。
スタブ面とフランジ面の凹凸量を調整することで、パッキンに加えられる圧縮力を調整でき、パッキンの損傷・劣化を抑制したり、シール性を高めたりできる。
パッキンにボルトを通すことで、パッキンの位置ずれを防止できる。
パッキンの外径をルーズフランジと同等にすることで、管継手どうしの間にパッキンが挟まれているか否かを目視で容易に確認できる。
本発明によれば、樹脂製のスタブエンド及び樹脂製のルーズフランジを含む管継手におけるシール性を確保しながら、ルーズフランジに過剰な負荷が加えられるリスクを低減できる。
図1は、本発明の一実施形態に係る管継手構造を組状態で示したものであり、同図(a)は、スタブ面がフランジ面に対して凹んでいる態様の側面断面図である。同図(b)は、スタブ面がフランジ面に対して突出している態様の側面断面図である。 図2(a)は、前記凹んでいる態様の管継手構造の分解断面図である。同図(b)は、前記突出している態様の管継手構造の分解断面図である。 図3(a)は、前記管継手構造における1の管継手のスタブエンドの平面図である。図3(b)は、前記スタブエンドの側面図である。 図4(a)は、前記凹んでいる態様の管継手の一部を拡大して示す断面図である。図4(b)は、前記突出している態様の管継手の一部を拡大して示す断面図である。 図5(a)は、前記管継手のルーズフランジの正面図である。図5(b)は、前記ルーズフランジの背面図である。 図6(a)は、図5(a)のVIa-VIa線に沿う断面図である。図6(b)は、図5(a)のVIb-VIb線に沿う断面図である。 図7は、図5(b)のVII-VII線に沿う断面図である。 図8は、前記管継手構造のパッキンの正面図である。
以下、本発明の一実施形態を図面にしたがって説明する。
図1(a)及び図1(b)は、工場配管における1の管10と相手管20(接合相手)との接合構造を示す。以下の説明では、特に断らない限り、管10,20どうしは接合状態であるものとする。
管10,20の材質は、例えばポリ塩化ビニル(PVC)、ポリオレフィン(ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)など)その他の樹脂である。
2つの管10,20の材質は、好ましくは同質であるが、互いに異なっていてもよい。
図1~図2に示すように、2つの管10,20が、管継手構造1を介して管軸L上に一列に並んで配置され、管継手構造1によって接合されている。管継手構造1は、管継手13,23と、ボルト60及びナット61と、パッキン50を含む。各管10,20における対向端部12,22に管継手13,23が設けられている。これら管継手13,23どうしが、パッキン50を挟んで突き当てられ、管継手13,23のフランジ40,24どうしが、ボルト60及びナット61からなる締結具によって連結されている。
図2(a)及び図2(b)に示すように、1の管10に設けられた管継手13は、筒状のスタブエンド30と、環状のルーズフランジ40を含む。
スタブエンド30の材質は、例えばポリ塩化ビニル(PVC)、ポリオレフィン(ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)など)その他の樹脂であり、管10との接着性などを考慮して、管10と同じ材質であることが好ましい。管10がPVC製である場合、スタブエンド30の材質は、好ましくはPVCである。さらに、スタブエンド30が、ガラス繊維やカーボン繊維などの強化繊維を含む繊維強化樹脂であってもよい。
図3(a)及び図3(b)に示すように、スタブエンド30は、管挿入部31と、フレア部32を一体に有している。管挿入部31は、管軸Lに沿う挿入穴33を有する筒状に形成されている。挿入穴33の後端33eは、スタブエンド30の後端面30e(接合相手側とは反対側を向く面)に開口されている。挿入穴33の前端33fは、スタブエンド30の前面すなわち接合相手側を向くスタブ面30aに開口されている。
図2(a)及び図2(b)に示すように、少なくとも管10が挿し込まれる前の挿入穴33の内周面33aは、後端開口33eから前方(接合相手側)へ向かって縮径するテーパ面となっている。図1(a)及び図1(b)に示すように、管10の端部12が開口33eから挿入穴33内に挿入(圧入)されることで、内周面33aが管端部12に倣うように変形され、管挿入部31が、管端部12の非挿入時よりも少し膨らんでいる。
図示は省略するが、管挿入部31の内周面33aと管端部12の外周面との間には、樹脂用接着剤が介在されている。該接着剤によってスタブエンド30と管10が接着されている。
図3(a)及び図3(b)に示すように、管挿入部31の外周面31aには、全周にわたる矩形波模様状の浅い凹溝36と、抜け止め突起35が形成されている。抜け止め突起35は、半円状の断面を有して、管軸Lに沿って延びている。抜け止め突起35における後端部35eは、半球状になっている。抜け止め突起35におけるフレア部32を向く前端面35dは、管軸Lと略直交している。
図2(a)及び図2(b)に示すように、スタブエンド30における前端部(接合相手側の端部)の内周には、環状の内鍔部34が径方向内側へ突出するように形成されている。内鍔部34の内周縁によって、開口33fが画成されている。
図2(a)及び図2(b)に示すように、スタブエンド30における前端部の外周には、フレア部32が設けられている。フレア部32は、管挿入部31より大径かつ厚肉の環状に形成され、管挿入部31から外周側へ突出されている。
図4(a)及び図4(b)に示すように、フレア部32における管挿入部側を向く背面32dと、管挿入部31の外周面31aとで作るスタブ入隅コーナー31cは、好ましくは数mm程度の比較的大きい曲率半径のR面となっている。
フレア部32における外周面32aと背面32dとで作るスタブ出隅コーナー32cは、好ましくは数mm程度の比較的大きい曲率半径のR面となっている。
コーナー31c,32cの曲率半径は、好ましくは互いに等しいが、互いに異なっていてもよい。
図2(a)及び図2(b)に示すように、スタブエンド30の外周にルーズフランジ40が設けられている。
ルーズフランジ40の材質は、好ましくはボルト締め、内圧、熱応力などに対する耐力が高い樹脂であり、例えばポリ塩化ビニル、ポリオレフィン(ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)など)の熱可塑性樹脂が挙げられる。ルーズフランジ40を構成する樹脂には、剛性を高めて、接合時などにおける割れを抑制するために、ガラス繊維、カーボン繊維などの強化繊維が含まれていることが好ましい。
図5(a)及び図5(b)に示すように、ルーズフランジ40は、フレア部32より大径の円環板状に形成されている。ルーズフランジ40の外径寸法などは、管10の径に応じて、JIS規格で決められている。
ルーズフランジ40の中心穴41における前側部分(接合相手側の部分)には、環状凹部42が形成されている。環状凹部42は、前方(接合相手側)及び内周側へ開放されている。このため、中心穴41の内周面は、小径内周面41aと、大径内周面42aと、段差面42dとを有している。小径内周面41aは、環状凹部42より後方(接合相手側とは反対側)に配置されている。
小径内周面41aの周方向の一箇所には、前記抜け止め突起35と対応する半円形の断面の逃げ凹溝41gが形成されている。
大径内周面42aは、小径内周面41aより大径である。段差面42dは、管軸Lに対して交差して、前方(接合相手側)へ向けられている。大径内周面42a及び段差面42dによって、環状凹部42の内面が画成されている。
図4(a)及び図4(b)に示すように、ルーズフランジ40における大径内周面42aと段差面42dとで作るフランジ入隅コーナー42cは、好ましくは数mm程度の比較的大きい曲率半径のR面となっている。
段差面42dと小径内周面41aとで作るフランジ出隅コーナー41cは、好ましくは数mm程度の比較的大きい曲率半径のR面となっている。
コーナー41c,42cの曲率半径は、好ましくは互いに等しいが、互いに異なっていてもよい。さらにコーナー41c,42cの曲率半径は、スタブエンド30のコーナー31c,32cの曲率半径と等しいが、互いに異なっていてもよい。
図5(a)及び図5(b)に示すように、ルーズフランジ40には、複数(例えば8つ)のボルト穴43が形成されている。これらボルト穴43は、ルーズフランジ40の周方向に間隔を置いて、好ましくは等間隔で配置されている。各ボルト穴43は、ルーズフランジ40の前面すなわち接合相手側を向くフランジ面40aから反対側の背面40bへ、厚み方向(管軸方向)に貫通している。
図1~図2に示すように、ルーズフランジ40が、相手管20(接合相手)の端部に設けられた管継手23のフランジ24と対向され、各ボルト穴43が、フランジ24のボルト穴25と位置合わせされている。これらボルト穴43,25にボルト60が通されて、ナット61で締め付けられている。これによって、管継手13,23どうしがボルト接合され、ひいては管10,20どうしが接合されている。
図5(b)、図6(a)、図7に示すように、ルーズフランジ40の背面40bには、複数(例えば4つ)のリブ44が形成されている。リブ44は、ルーズフランジ40の周方向に間隔を置いて、好ましくは等間隔(90°間隔)で配置されている。各リブ44は、背面40bから突出されるとともに、ルーズフランジ40の径方向へ延びている。好ましくは、リブ44の両端部は、ルーズフランジ40の外周縁及び内周縁に達している。
ルーズフランジ40におけるリブ44とボルト穴43の配置角度が互いにずれている。90°離れた2つのリブ44の間に、2つのボルト穴43が配置されている。
なお、リブ44を省略してもよい。
図5(b)及び図6(b)に示すように、さらに、ルーズフランジ40の背面40bには、複数の肉抜き凹部45が周方向に間隔を置いて形成されている。各肉抜き凹部45は、隣接する2つのボルト穴43の間に配置されている。一部の肉抜き凹部45の配置角度がリブ44の配置角度と重複している。該一部の肉抜き凹部45は、リブ44によって二つに分割されている。
肉抜き凹部45によって、ルーズフランジ40が軽量化されている。
なお、肉抜き凹部45は省略してもよい。
図2(a)及び図2(b)に示すように、ルーズフランジ40は、スタブエンド30の外周に遊嵌されている。管10,20どうしの非接合状態においては、ルーズフランジ40は、スタブエンド30に対して管軸方向へ移動可能かつ回転可能である。抜け止め突起35によって、後端面30e側へのルーズフランジ40の移動が規制されている。段差面42dとフレア部32の背面32dとの当たりによって、ルーズフランジ40の接合相手側への移動が規制されている。
ルーズフランジ40の中心穴41にスタブエンド30が通されている。ルーズフランジ40の小径内周面41aが管挿入部31を囲んでいる。
環状凹部42には、フレア部32が受け入れられる。大径内周面42aがフレア部32を囲んでいる。段差面42dが、フレア部32の背面32dと対面している。
ルーズフランジ40における、環状凹部42より外周側(径方向外側)の部分40fは、フレア部32より厚肉になっている。
図4(a)及び図4(b)に示すように、ルーズフランジ40の段差面42dがフレア部32の背面32dに突き当てられた状態で、スタブエンド30における接合相手側を向くスタブ面30aが、ルーズフランジ40における接合相手側を向くフランジ面40aに対して、管軸に沿う所定の凹凸範囲内で非面一になるよう設定されている。
スタブ面30aは、フランジ面40aに対して非面一であればよく、フランジ面40aより凹んでいてもよく(図1(a)、図2(a)、図4(a))、フランジ面40aより突出されていてもよい(図1(b)、図2(b)、図4(b))。
スタブ面30aの、フランジ面40aに対する前記凹凸範囲の凹側の上限は、0.5mmであり、凸側の上限は、5.0mmである。つまり、図4(a)において、スタブ面30aのフランジ面40aに対する凹み量d1は、最大で0.5mmである。
図4(b)において、スタブ面30aのフランジ面40aに対する突出量d2は、最大で5.0mmである。突出量d2の下限は、好ましくは0.01mm、より好ましくは0.03mm、さらに好ましくは0.05mm、一層好ましく0.1mmである。
スタブ面30aとフランジ面40aとは略平行である。スタブ面30aの平滑度及び管軸Lに対する直交精度は十分に高いことが好ましい。フランジ面40aの平滑度及び直交精度は、スタブ面30aと比べると低くてもよい。
相手管20と接合されていない状態の管継手13におけるフランジ面40aは、ルーズフランジ40の遊嵌度合いに応じて、管軸Lに対して若干傾斜され得る。
図2(a)及び図2(b)に示すように、さらに、管継手構造1における管継手13,23どうしの間に、パッキン50が配置されている。
パッキン50の材質は、好ましくはエチレンプロピレンジエン(EPDM)ゴムである。
図8に示すように、パッキン50は、環状の板状に形成されている。
パッキン50の外径は、ルーズフランジ40及びフランジ24の外径とほぼ同じである。パッキン50の中心穴51の内径は、挿入穴33の内径とほぼ同じである。
パッキン50におけるルーズフランジ40と対面する部分には、複数のボルト穴53が周方向に間隔を置いて配置されている。これらボルト穴53は、フランジ40,24のボルト穴43,25と対応している。
ボルト穴43,25に通されたボルト60が、パッキン50のボルト穴53にも通されている。
パッキン50の両側面における中心穴51とボルト穴53との間の部分には、それぞれ大小2つ(複数)の環状凸部54,55が形成されている。これら環状凸部54,55は、中心穴51を囲むとともに、該中心穴51と同心の二重円をなしている。
なお、パッキン50の環状凸部の数は2つに限らず、3つ以上であってもよい。互いに径が異なる3つ以上の環状凸部が、好ましくは中心円51と同心の多重円をなすように配置されていてもよい。
図2(a)及び図2(b)に示すように、パッキン50における管10側を向く面の環状凸部54,55は、スタブ面30aと対向している。
最小径の環状凸部54の直径は、スタブ面30aの内直径より大きい。
最大径の環状凸部55の直径は、スタブ面30aの外直径より小さい。
環状凸部54,55の突出高さは、前記凹凸範囲の凹側の上限すなわち0.5mmより大きく、好ましくは0.5mm~2mm程度であり、より好ましくは1mm程度である。
ボルト60の締め付けによって、環状凸部54,55が全周にわたってスタブ面30aと密着されている。これによって、管継手13とパッキン50との間がシールされている。
2つの管10,20は、次のようにして接合される。
まず、管継手13を組み立てておく。すなわち、ルーズフランジ40の逃げ凹溝41gとスタエンド30の抜け止め突起35を角度合わせしながら、ルーズフランジ40を管挿入部31の外周に嵌め、環状凹部42にフレア部32を収容する。その後、ルーズフランジ40を回して、逃げ凹溝41gと抜け止め突起35の角度をずらすと、ルーズフランジ40が抜け止め突起35によって抜け止めされる。
該管継手13の管挿入部31の挿入穴33に管端部12を差し込む。好ましくは、挿入孔33の内周面又は管端部12の外周面には接着剤を予め塗布しておく。
このようにして管継手13を取り付けた1の管10と、管継手23を別途取り付けた相手管20とを一列に並べ、管継手13,23どうしを互いに向き合わせる。
続いて、管継手13のボルト穴43が管継手23のボルト穴25と合わさるように、ルーズフランジ40を角度調整する。ルーズフランジ40が回転可能であるために、ボルト穴43,25どうしを容易に合わせることができる。
管継手13,23どうしの間にはパッキン50を挿し入れ、該パッキン50のボルト穴53をボルト穴43,25と合わせる。
そして、ボルト60をボルト穴43,53,25に通して、締め込む。これによって、管継手13,23どうしが接合され、ひいては管10,20どうしが接合される。
管継手13によれば、樹脂製のスタブエンド30のフレア部32が厚肉であっても、ルーズフランジ40の環状凹部42にフレア部32を収容することによって、ルーズフランジ40の端面40aをフレア部32の背面32dよりも接合相手側へ前進させて配置できる。したがって、ルーズフランジ40と接合相手のフランジ24との間の隙間が過大になるのを回避できる。このため、樹脂製のルーズフランジ40に、ボルト締め付け等によって過剰な負荷が加えられるリスクを低減できる。
ルーズフランジ40を厚肉にすることによって、剛性が高まり、変形を抑制できる。
ルーズフランジ40を強化繊維入り樹脂製にすることで、ルーズフランジ40の剛性を一層高めることができる。
これによって、樹脂製のルーズフランジ40の破損を確実に防止できる。
図1(b)及び図4(b)に示すように、スタブ面30aがフランジ面40aに対して凸となるように設定すれば、パッキン50とスタブ面30aとを確実に密着させることができる。特に環状凸部54,55とスタブ面30aとを強く密着させて、高いシール圧を得ることができる。これによって、シール性(密封性)を確実に高めることができる。凸側の上限(5.0mm)を設定することで、ルーズフランジ40の変形が過大になるのを防止でき、負荷が過剰になるのを抑制できる。
図1(a)及び図4(a)に示すように、スタブ面30aがフランジ面40aに対して凹むように設定すれば、ルーズフランジ40を、接合相手のフランジ24とパッキン50を介して突き当てることができ、ルーズフランジ40に過剰な負荷が加えられるのを確実に回避できる。凹側の上限(0.5mm)を設定することで、シール性が確保される。すなわち、スタブ面30aがフランジ面40aに対して凹んでいる場合でも、その凹みは、最大で0.5mmであり、パッキン50の環状凸部54,55の突出高さ(0.5mm超)より小さい。したがって、スタブエンド30が環状凸部54,55と確実に接し、シール性を確保できる。この結果、管10,20内を通る水、薬液などの流体の漏れを確実に防止できる。
パッキン50をフレア部32より大径にすることで、フランジ40,24どうしの間にパッキン50が挟まれているか否かを外部からの目視で容易に確認できる。
パッキン50をボルト60が貫通しているために、パッキン50が位置ずれするのを防止できる。
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の改変をなすことができる。
例えば、ボルトの締め付けによって、ルーズフランジ40が接合相手側へ撓むように弾性変形してもよく、それによって、フランジ面40aがパッキン40と当接されてもよい。
管10,20は、工場配管に限らず、土木配管、建築配管などであってもよい。
スタブエンド30は、管10と一体的に形成されていてもよい。
接合相手は、ルーズフランジ40と結合されるフランジを備える部材であって、管20の他、継手、タンクおよびポンプなどが挙げられる。
本発明は、例えば工場配管の継手に適用できる。
L 管軸
1 管継手構造
10 1の管
12 管端部
13 管継手
20 相手管(接合相手)
30 スタブエンド
30a スタブ面(第1接合面)
31 管挿入部
32 フレア部
32d 背面
33 挿入穴
33a 内周面
40 ルーズフランジ
40a フランジ面(第2接合面)
40b 背面
41 中心穴
42 環状凹部
42d 段差面
50 パッキン
60 ボルト

Claims (2)

  1. 1の管の管端部に設けられて接合相手と接合される管継手であって、
    前記管端部が挿入される筒状の管挿入部、及び前記管挿入部における接合相手側の端部から外周側へ突出するように設けられた環状のフレア部を含む、樹脂からなるスタブエンドと、
    前記スタブエンドを通す中心穴における接合相手側の部分に、接合相手側及び内周側へ開放されて前記フレア部を受け入れる環状凹部が形成された環状の樹脂からなるルーズフランジと、
    を備え、前記環状凹部における接合相手側を向く段差面が、前記フレア部における管挿入部側を向く背面に突き当てられた状態で、前記スタブエンドにおける接合相手側を向くスタブ面が、前記ルーズフランジにおける接合相手側を向くフランジ面に対して、前記管継手の管軸に沿う所定の凹範囲内で凹んでおり、
    前記凹範囲の上限が0.5mmであることを特徴とする管継手。
  2. 請求項1に記載のスタブエンド及びルーズフランジを含む管継手と、前記管継手と接合相手のフランジとの間に配置された環状のパッキンと、前記ルーズフランジ、パッキン及び接合相手のフランジを貫通して接合するボルトとを備え、
    前記パッキンにおける前記ボルトを通すボルト穴と中心穴との間の部分には、前記スタブ面と対向する環状凸部が形成されており、
    前記環状凸部の突出高さが、0.5mmより大きいことを特徴とする管継手構造。
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