JP7299353B2 - ヒートパイプ - Google Patents
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Description
本願は、2020年1月21日に日本に出願された特願2020-007584号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
前記構成によれば、第2ウイックの横断面の面積が小さいため、蒸気流路の横断面積を大きくできる。よって、熱輸送量を大きくすることができる。
図1は、第1実施形態に係るヒートパイプ1の横断面図であって、蒸発部4における横断面図である。図2は、ヒートパイプ1の横断面図であって、凝縮部5における横断面図である。図1は、図3のI-I断面矢視図である。図2は、図3のII-II断面矢視図である。図3は、ヒートパイプ1の縦断面図である。図3は、図1のIII-III断面矢視図である。
本実施形態では、XYZ直交座標系を設定して各構成の位置関係を説明する。図1~図3に示すように、X方向は、ヒートパイプ1およびコンテナ2の長手方向である。図3における右方向は、X方向の一方向であって、コンテナ2の第1端部2bから第2端部2cに向かう方向である。この方向を「+X方向」という。+X方向と反対の方向を「-X方向」という。
Y方向は、図1における左右方向である。Y方向は、X方向に直交する方向であって、コンテナ2の長径方向である。Z方向は、図1における上下方向である。Z方向は、X方向およびY方向に直交する方向であって、コンテナ2の短径方向である。
コンテナ2は、扁平形状、すなわち、幅(Y方向の寸法)が厚み(Z方向の寸法)より大きい形状である。コンテナ2の横断面は、概略、長円形状である。「長円形状」は、平行で向かい合う2つの直線と、これら2つの直線の端部どうしをそれぞれ結ぶ湾曲凸状(例えば半円状、楕円弧状など)の曲線とで構成される形状である。
2つの平坦部20,20のうち、図1において下に位置する平坦部20を第1平坦部21という。2つの平坦部20,20のうち、図1において上に位置する平坦部20を第2平坦部22という。平坦部20の幅は、長手方向で一定である。2つの平坦部20,20は、厚さ方向(Z方向)から見て同形であり、互いに重なる位置にある。
第2平坦部22の内面(下面)を第2対向面22aという。第2対向面22aは、XY平面に沿う平坦面である。第2対向面22aは、コンテナ2の内周面2aの一部である。第2対向面22aは、厚さ方向において第1対向面21aと向かい合う。そのため、内周面2aは、向かい合う2つの対向面21a,22aを有する。第2対向面22aは、2つの対向面のうち他方に相当する。
第1ウイック11としては、金属細線に限らず、金属メッシュ(網状体)、および金属粉末の焼結体なども使用できる。
第1ウイック11の長手方向(X方向)の一方の端部(第1端部11a)は、コンテナ2の内部空間24の長手方向(X方向)の一方の端部(第1端部24a)に近接している。第1端部11aは、第1端部24aに達していてもよい。第1ウイック11の一部(第1端部11aを含む部分)は、蒸発部4に位置する。
第1ウイック11の長手方向(X方向)の他方の端部(第2端部11b)は、コンテナ2の内部空間24の長手方向(X方向)の他方の端部(第2端部24b)に近接している。第2端部11bは、第2端部24bに達していてもよい。第1ウイック11の他の一部(第2端部11bを含む部分)は、凝縮部5に位置する。
金属繊維シートは、金属繊維が無配向に集合された構造であるため金属繊維どうしの隙間を大きくしやすい。そのため、空隙率を大きくすることができ、作動液の保持量を大きくできる。よって、作動液の蒸発量を大きくするうえで有利となる。
第2ウイック12を構成する金属としては、銅、アルミニウム、ステンレス、これらの合金などが挙げられる。第2ウイック12は、金属製に限らず、カーボン材などで構成されていてもよい。
第2ウイック12の第2端部12bは、凝縮部5よりも-X方向寄りに位置する。第2ウイック12は、凝縮部5に達していないため、凝縮部5には、第2ウイック12は設けられていない。凝縮部5では、ウイック構造体3は、第1ウイック11のみによって構成される(図2参照)。
なお、第2ウイック12は、一部のみではなく、全体が蒸発部4に配置されていてもよい。すなわち、第2ウイック12は、蒸発部4のみに配置されていてもよい。
図5は、ヒートパイプ1を備えた熱輸送装置の第1の例である熱輸送装置100の構成図である。
図5に示すように、熱輸送装置100は、ヒートパイプ1と、加熱部110と、冷却部120とを備える。
加熱部110は、ヒートパイプ1のコンテナ2(詳しくは、第1平坦部21の外面)のうち、蒸発部4に相当する領域に接触している。加熱部110は、蒸発部4に相当する部分のコンテナ2を加熱する。加熱部110は、例えば、ヒータである。加熱部110は、電子機器の電子部品、例えばCPUなどであってもよい。加熱部110とコンテナ2との間には、グリース層111が形成されていてもよい。
次に、ヒートパイプ1による熱輸送サイクルについて説明する。ヒートパイプ1が加熱部110で加熱されることによって、蒸発部4内の作動液は蒸発する。蒸発部4では、第1ウイック11の第一流路内および第2ウイック12の第二流路内に浸透している作動液が蒸発する。
第2ウイック12は、第1ウイック11よりも比表面積が大きく、第1ウイック11よりも微細な隙間を多数有する。このため、第2ウイック12では、第二流路内の作動液に作用する毛管力(ポンプ力)を、第1ウイック11の第一流路内の作動液に作用する毛管力よりも大きくしやすい。一般に、流路となる各隙間の断面積(毛細管の内径)が小さいほど、毛管力も大きくなる。このため、第二流路は、隙間(流路)1個あたりの平均断面積が第一流路よりも小さく、第一流路よりも毛管力を大きくしやすい、とも言える。
このように、ウイック構造体3では、第2ウイック12によってポンプ力が増大し、かつ第1ウイック11によって圧力損失が低減されるため、作動液の還流性能が向上する。
ヒートパイプ1では、第2ウイック12の横断面の面積が小さいため、蒸発部4を含む部分の内部空間24における蒸気流路の横断面積を大きく確保できる。そのため、ヒートパイプ1における熱輸送量を大きくすることができる。
(実施例1)
図1~図3に示すヒートパイプ1を作製した。コンテナ2は銅製である。コンテナ2の外形寸法は、長さ150mm、厚さ1.0mm、幅9.1mmである。内部空間24の厚さは0.6mmである。第1ウイック11を構成する銅細線11Aの平均外径は約0.05mmである。図3に示す蒸発部4の長さL1は15mmである。
第2ウイックの長さが32mmであること以外は実施例1と同じ構成のヒートパイプを作製した。第2ウイックの長さL2’は蒸発部の長さL1’の約2.13倍である。
第2ウイックが設けられていないこと以外は実施例1と同様のヒートパイプを作製した。
図6は、ヒートパイプ1を備えた熱輸送装置の第2の例である熱輸送装置200の構成図である。なお、図5に示す熱輸送装置100と共通の構成については、同じ符号を付して説明を省略する。
図6に示すように、熱輸送装置200は、ヒートパイプ1と、加熱部110と、受熱プレート112と、冷却部120とを備える。
受熱プレート112の上面は、ヒートパイプ1のコンテナ2の外面(詳しくは、第1平坦部21の外面)の一部に接触している。蒸発部34は、受熱プレート112が接触する部分に相当する。受熱プレート112の下面は、加熱部110に接触している。受熱プレート112と加熱部110との間には、グリース層111が形成されていてもよい。
図7は、第2実施形態に係るヒートパイプ51の横断面図であって、蒸発部54における横断面図である。図8は、ヒートパイプ51の横断面図であって、凝縮部55における横断面図である。なお、図1および図2に示すヒートパイプ1と共通の構成については、同じ符号を付して説明を省略する。
コンテナ52は、長手方向の両端部が封止された円筒状の中空容器である。
第1ウイック61は、コンテナ52の内周面52aのうち周方向の一部領域である形成領域52bに形成されている。第1ウイック61は、例えば、複数の銅細線11Aが内周面52aに堆積して形成される。第1ウイック61は、図1に示す第1実施形態の第1ウイック11と同様の構成を採用できる。
図7および図8に示すように、第1ウイック61は、蒸発部54から凝縮部55に至るように延在している。
第2ウイック62は、図1に示す第1実施形態の第2ウイック12と同様の構成を採用できる。第2ウイック62の横断面の面積は、第1ウイック61の横断面の面積より小さい。第2ウイック62の比表面積は、第1ウイック61の比表面積より大きい。
第2ウイック62は、少なくとも一部が蒸発部54に位置し(図7参照)、かつ凝縮部55に達しないように設けられる(図8参照)。
ヒートパイプ51では、第2ウイック62の横断面の面積が小さいため、蒸気流路の横断面積を大きくできる。よって、熱輸送量を大きくすることができる。
ヒートパイプ51は、第2ウイック62が、第1ウイック61の周方向の両端において第1ウイック61に接触する構成であるため、コンテナ52の内部空間に蒸気流路を確保しやすい。
図9は、第3実施形態に係るヒートパイプ71の横断面図であって、蒸発部74における横断面図である。図10は、ヒートパイプ71の横断面図であって、凝縮部75における横断面図である。なお、図1および図2に示すヒートパイプ1と共通の構成については、同じ符号を付して説明を省略する。
コンテナ52は、長手方向の両端部が封止された円筒状の中空容器である。
蒸発部74の少なくとも一部では、図9に示すように、第2ウイック82は、横断面視において、内周面52aに全周にわたって形成されている。
第1ウイック81は、第2ウイック82の内周面のうち周方向の一部領域に形成されている。第1ウイック81は、図1に示す第1実施形態の第1ウイック11と同様の構成を採用できる。
ヒートパイプ71では、第2ウイック82の横断面の面積が小さいため、蒸気流路の横断面積を大きくできる。よって、熱輸送量を大きくすることができる。
ヒートパイプ71は、第1ウイック81が、第2ウイック82の内周面に接触する構成であるため、第1ウイック81と第2ウイック82との接触面積を大きくできる。よって、還流した作動液は、第1ウイック81から第2ウイック82に流動しやすくなる。
例えば、第1実施形態および第2実施形態のヒートパイプ1,51のコンテナ2,52の横断面形状は、それぞれ長円形状、円形状であるが、コンテナの横断面形状は特に限定されない。コンテナの横断面形状は、例えば、矩形状などの多角形状、楕円形状などでもよい。
第1実施形態において、第1ウイックは、コンテナの内周面のうち、第1対向面だけでなく側壁部の内壁面に接触していてもよい。第2ウイックは、コンテナの内周面のうち、第2対向面だけでなく側壁部の内壁面に接触していてもよい。
Claims (5)
- 長手方向の両端部が封止された筒状のコンテナと、
前記コンテナの内部に設けられたウイック構造体と、を備え、
前記コンテナ内に、前記コンテナに封入された作動流体を蒸発させる蒸発部と、前記作動流体を凝縮させる凝縮部とが、前記コンテナの長手方向に位置を違えて形成され、
前記ウイック構造体は、
前記蒸発部から前記凝縮部に至るように延在する第1ウイックと、
少なくとも一部が前記蒸発部に位置し、かつ前記凝縮部に達しないように前記長手方向に延びる第2ウイックと、を備え、
前記コンテナの内周面は、向かい合う2つの平坦な第1対向面および第2対向面を有し、
前記第1ウイックは、前記第1対向面に設けられ、
前記第2ウイックは、前記第2対向面に設けられ、
前記第1ウイックの前記第2対向面を向く面と前記第2ウイックの前記第1対向面を向く面とは一部において互いに接触しており、
前記第2ウイックの前記長手方向に直交する断面の面積は、前記第1ウイックの前記長手方向に直交する断面の面積より小さく、
前記第2ウイックの比表面積は、前記第1ウイックの比表面積より大きい、ヒートパイプ。 - 前記第1ウイックと前記第2ウイックとは、少なくとも前記コンテナの幅方向の中間位置で互いに接触している、請求項1に記載のヒートパイプ。
- 前記第1ウイックは、前記コンテナの内周面に接している、請求項1または2に記載のヒートパイプ。
- 前記第2ウイックの前記長手方向の長さは、前記蒸発部の前記長手方向の長さの1.5倍以下である、請求項1~3のうちいずれか1項に記載のヒートパイプ。
- 前記第2ウイックは、金属繊維が無配向に集合されて構成された金属繊維シートである、請求項1~4のうちいずれか1項に記載のヒートパイプ。
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