JP7299207B2 - 制御装置及びプログラム - Google Patents
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Description
例えば特許文献1の成形金型においては、溶融樹脂が樹脂流路で冷却・固化しないように、樹脂流路の形成されたスプルーブシュ、マニホールド、ゲートノズルがそれぞれに設けられたヒータによって加熱温調されている。
しかし、バルブピンがゲートノズルに挿入された状態でマニホールドに保持される射出成形装置においては、休止状態への移行時に全てのヒータの電源を同時にオフにすると、ゲートノズルの樹脂流路に位置するバルブピンの一部がゲートノズル内の樹脂材料の固化により移動不能に拘束される一方、マニホールドに位置決めされたバルブピンの他の一部がマニホールドの熱収縮に合わせて移動されることにより、バルブピンに曲げ荷重が加わり、バルブピンが変形や折損する虞があった。
この制御を行うと、マニホールドが判定温度に降温するまで、ゲートノズルが第1の待機温度から降温されず、ゲートノズル内の樹脂材料の溶融状態が維持される。
この場合、マニホールドが金型温度に降温するまで、ゲートノズルが第1の待機温度から降温されず、ゲートノズル内の樹脂材料の溶融状態が維持される。
この場合、マニホールドが室温に降温するまで、ゲートノズルが第1の待機温度から降温されず、ゲートノズル内の樹脂材料の溶融状態が維持される。
この制御を行うと、ゲートノズルが第2の待機温度に昇温されてゲートノズル内の樹脂材料の溶融状態が維持されるまで、マニホールドが昇温されない。
また、本発明に係るプログラムは、上記した射出成形装置の休止状態からの移行時の昇温制御としての処理を制御装置に実行させるプログラムである。これにより、上記した昇温制御を行う制御装置を実現する。
以下、本発明に係る実施の形態について説明する。まず本発明の実施の形態となる射出成形装置1と制御装置2を含む制御システム100について説明する。
図1は制御システム100の構成概要を示した図である。図示するように、制御システム100は、射出成形装置1と制御装置2とを備えている。
固定側金型は、所定位置に配置される固定側型板10と、樹脂材料を射出充填するための機構を備えた射出部11と、を備えている。
固定側型板10の構造、種別については特に限定されずに各種のものが想定される。
なお、射出部11には注入過程の樹脂材料の温度を検出する温度センサや、圧力を検出する圧力センサ、注入速度を算出する位置センサなど各種センサがさらに設けられていてもよい。
本実施の形態では、後述するようにバルブピンがゲートノズル40に挿入された状態でマニホールド30に保持される構成であれば、射出部11のその他の構造、種別については特に限定されずに各種のものが想定される。
図2は、制御装置2の内部構成を示している。
制御装置2はPLC(Programmable Logic Controller)51、温度制御部52、ヒータ制御部53、タッチパネルディスプレイ54、駆動制御部55を有して構成されている。
温度制御部52は、ROM52aに記憶されているプログラムに従って温度調節の処理を実行する。温度制御部52、ROM52aは、入出力インタフェース52bと一枚の基板上に実装されている。
タッチパネルディスプレイ54と温度制御部52は、PLC51の通信ポート51fに接続され、PLC51からの通信によって制御されている。
出力部60は、温度制御部52からの電圧制御によりヒータ制御部53のコントロールされた電流をヒータへ出力する。
また温度制御部52は、射出成形装置1に設けられた他の各種ヒータの制御し、射出成形装置1の各部の温度制御を行うことが可能にされていてもよい。さらに温度制御部52は、金型内センサ20による検出値を用いることが可能にされていてもよい。
実施の形態の制御装置2において実行する、射出成形装置1の温度制御処理の概要を説明する。実施の形態の温度制御処理は、バルブピンがゲートノズル40に挿入された状態でマニホールド30に保持される射出成形装置1に対して制御装置2が行う処理である。
図3は、図1に示した射出成形装置1の一つの構成例を示している。図3では、図1の射出成形装置1における固定側型板10の構造を固定側型板10として示し、図1におけるマニホールド30の構造をバルブピン71、71を保持するマニホールド30として示し、図1におけるゲートノズル40の構造をゲートノズル40、40として示している。
また、図4は、図3と同様に図1に示した射出成形装置1の一つの構成例であり、後述するピン保持孔及びゲートの構成においてのみ図3の構成例と異なる例である。
以下の説明ではゲートを開閉するバルブピン71、71が移動する方向を上下方向として上下前後左右の方向を示すが、以下に示す方向は説明の便宜上のものであり、本発明の温度制御処理が実施される射出成形装置1はこれらの方向に限定して適用されることはない。
マニホールド30にはバルブピン71、71と同数のピン保持孔が設けられている。
図3の構成例では、ピン保持孔にはバルブピン71、71をガイドし且つ樹脂漏れを防止するピンブシング72、72が埋設されている。なお、図3の構成例ではピンブシング72、72の下端部が流動路30a内に位置されているが、ピンブシング72、72の下端部は流動路30a内に位置されていなくてもよい。
また、ピン保持孔にはピンブシング72、72が埋設されていなくてもよい。この場合には、例えば図4の構成例に示すように、ピン保持孔がバルブピン71、71と略同径に形成され、ピン保持孔がバルブピン71、71をガイドする摺動孔として機能する。
また、マニホールド30には図示しないマニホールド温度センサ32が埋設されている。
なお、ゲートの構成は上記に限られず、固定側型板10における開口部10b、10bのみがゲートとして機能するように形成されていてもよい。また、図4の構成例に示すように、ゲートノズル40、40の樹脂吐出口40b、40bが、固定側型板10におけるゲートノズル40、40の配置孔の下側開口に略一致して位置され、樹脂吐出口40b、40bがゲートとして機能するように構成されていてもよい。
また上記では、マニホールド30及びゲートノズル40、40が固定側型板10の各所に配置されている構成例(図3及び図4)を説明したが、例えば、固定側型板10に受板が取り付けられ、マニホールド30及びゲートノズル40、40が当該受板に配置されている構成例も考えられる。
射出成形装置1において成形中に溶融樹脂がゲートへ向けて流動されるときには、マニホールドヒータ31、31及びゲートノズルヒータ41、41の制御により、樹脂流路を構成するマニホールド30及びゲートノズル40、40が加熱され、樹脂流路における溶融樹脂Rの冷却による固化が防止されている。
ゲートノズル40、40はマニホールド30と比較して熱容量が小さく重量あたりの放熱面積が広いため、ゲートノズル40、40とその流路40a、40a内の樹脂材料はマニホールド30より先に降温する。ゲートノズル40、40が降温すると、流路40a、40a内の樹脂材料は固化し、流路40a、40aに位置するバルブピン71、71の下端部を拘束する。
流路40a、40a内の樹脂材料の固化以降も、マニホールド30は放熱に伴う熱収縮を続ける。マニホールド30に埋設されたピンブシング72、72は、マニホールド30の熱収縮に伴い射出成形装置1の中央側に寄せられる。ピンブシング72、72に位置決めされたバルブピン71、71の中間部も、マニホールド30の熱収縮に伴い射出成形装置1の中央側に移動する。他方、バルブピン71、71の下端部は、流路40a、40a内の固化した樹脂材料R’、R’に拘束されて中間部と共に移動することができない。このためバルブピン71、71に曲げ荷重が加わり、図5に示すようにバルブピン71、71が変形する場合がある。
先ず、実施の形態の射出成形装置1の休止状態へ移行時の降温制御を説明する。実施の形態の降温制御は、図3に示す昇温状態にある射出成形装置1を室温に降温させる制御である。
ゲート開放位置は、バルブピン71、71によりゲートが開放された状態におけるバルブピン71、71の位置を指す。バルブピン71、71をゲート開放位置に引き上げて保持することで、バルブピン71、71の下端部における先端部がゲートを構成する樹脂吐出口40b、40bや開口部10b、10bに拘束されることを防止することができる。
例えば樹脂材料が結晶性樹脂の場合は、第1の待機温度は樹脂材料の融点より高い温度から成形時の成形温度の間であることが相応しい。また、非結晶性樹脂の場合は、第1の待機温度は樹脂材料の性質がゴム状に変化するガラス転移温度より高温である任意の温度から成形温度の間であることが相応しい。
ゲートノズル40、40が第1の待機温度まで降温していない場合には、PLC51はステップS104でゲートノズル40、40が第1の待機温度に降温するまで待機する。
ゲートノズル40、40が第1の待機温度まで降温した場合には、PLC51はステップS105に進んでゲートノズル40、40を第1の待機温度で維持させる。
他方、マニホールド30は降温を続け、マニホールド30とピンブシング72、72とピンブシング72、72の下端部の周りの流動路30a内の樹脂材料の温度は、ゲートノズル40、40とその流路40a、40a内の樹脂材料の温度より先に低下する。
マニホールド30が判定温度まで降温していない場合には、PLC51はステップS106でマニホールド30が判定温度に降温するまで待機する。
マニホールド30が判定温度まで降温した場合には、PLC51はステップS107に進んでゲートノズルヒータ41、41の制御によりゲートノズル40、40を第1の待機温度から降温させる。ステップS107におけるゲートノズルヒータ41、41の制御は、例えばゲートノズルヒータ41、41の電源をオフとする制御である。ステップS107が実行されることにより、ゲートノズル40、40が第1の待機温度から降温され、流路40a、40a内の樹脂材料は降温に伴い固化する。
なお、射出成形装置1の以降の降温過程で、マニホールド30と固定側型板10に温度差が発生することはありうる。しかしマニホールド30と固定側型板10はそれぞれ熱容量が大きく位置も接近しているため、温度差は僅かに抑えられている。
上記した実施の形態の降温制御に用いられるゲートノズル40、40の第1の待機温度と、マニホールド30の判定温度は、図7に示す処理の開始前に例えば制御装置2のオペレータにより設定されているものとする。
同様に、上記ではステップS107のヒータ制御としてゲートノズルヒータ41、41の電源をオフとする例を挙げたが、例えばゲートノズルヒータ41、41の目標温度を段階的に低く設定してその温度に向けて徐々に降温させるなど、他の制御を行ってもよい。
続いて、実施の形態の射出成形装置1の休止状態からの移行時の昇温制御を説明する。実施の形態の昇温制御は、休止状態にある射出成形装置1を成形温度に昇温させる制御である。即ち、図6のようにバルブピン71、71が射出成形装置1の中央側へ移動した状態で内部の樹脂材料が固化した射出成形装置1を、図3に示す昇温状態に昇温させる制御である。
例えば樹脂材料が結晶性樹脂である場合は、第2の待機温度は樹脂の融点より高い温度から成形時の成形温度の間であることが相応しい。また、非結晶性樹脂の場合は、第2の待機温度は樹脂の性質がゴム状に変化するガラス転移温度より高温である任意の温度から成形温度の間であることが相応しい。
ゲートノズル40、40が第2の待機温度まで昇温していない場合には、PLC51はステップS202でゲートノズル40、40が第2の待機温度に昇温するまで待機する。
ゲートノズル40、40が第2の待機温度まで昇温した場合には、PLC51はステップS203に進んでゲートノズル40、40を第2の待機温度で維持させる。
マニホールド30が熱膨張する間、マニホールド30に固定されたピンブシング72、72は射出成形装置1の中央側から外周側へ移動する。バルブピン71、71の中間部も射出成形装置1の中央側から外周側へ移動するが、この間、第2の待機温度に保温されたゲートノズル40、40の流路40a、40a内では樹脂材料の溶融状態が維持されている。このため、バルブピン71、71の下端部は、マニホールドの熱膨張に応じて溶融樹脂R内を移動することができる。即ちバルブピン71、71の全体がマニホールド30の変寸に応じて移動されるため、マニホールド30が熱膨張する間にバルブピン71、71にかかる曲げ荷重を解消又は少なくとも低減することができる。
マニホールド30が成形温度まで昇温していない場合には、PLC51はステップS205でマニホールド30が成形温度に昇温するまで待機する。
マニホールド30が成形温度まで昇温した場合には、PLC51はステップS206に進んでマニホールド30を成形温度で保温する。
ゲートノズル40、40が成形温度まで昇温していない場合には、PLC51はステップS208でゲートノズル40、40が成形温度に昇温するまで待機する。
ゲートノズル40、40が成形温度まで昇温した場合には、PLC51はステップS209に進んで駆動機構の制御によりバルブピン71、71をゲート開放位置からゲート閉塞位置に移動させる。ゲート閉塞位置は、バルブピン71、71によりゲートが閉塞された状態におけるバルブピン71、71の位置を指す。バルブピン71、71をゲート閉塞位置に移動させて保持することで、ゲートが閉塞される。
上記した実施の形態の昇温制御に用いられるゲートノズル40、40の第2の待機温度と、ゲートノズル40、40及びマニホールド30の成形温度とは、図8に示す処理の開始前に例えば制御装置2のオペレータにより設定されているものとする。
第2の待機温度が成形温度より低い温度であることで、PLC51は、ゲートノズル40、40が成形温度まで昇温するのを待つことなくステップS204のマニホールド30の昇温を開始することができる。つまり、ゲートノズル40、40が成形温度に昇温するのを待ってマニホールド30の昇温を開始する場合と比較して、マニホールド30の昇温開始のタイミングを早めることができるため、射出成形装置1の昇温完了及び成形開始までの時間を短縮することが可能になる。これにより、昇温制御時の電力消費を低減すると共にゲートノズル40、40内の樹脂材料の熱劣化を抑制することができる。
なお、第2の待機温度を成形温度と等しい温度に設定することも考えられるが、この場合には、PLC51はステップS207からステップS210の処理を省略し、ステップS205でマニホールドが成形温度まで昇温したと判定したことに応じてバルブピン71、71をゲート開放位置からゲート閉塞位置に移動させ、ステップS206でマニホールド30を成形温度で保温した時点で射出成形装置1の昇温制御を終了する。
射出成形装置1の通常の制御では、昇温時に温度の制御装置の電源がオンにされるとバルブピン71、71をゲート閉塞位置に移動させる方向にバルブピン71、71の駆動機構の駆動制御が行われる。この場合、射出成形装置1における樹脂材料が固化した状態でバルブピン71、71が移動されると、バルブピン71、71の破損につながる虞がある。
そこで、実施の形態の制御装置2のPLC51は、制御装置2の電源がオンにされてもバルブピン71、71をゲート閉塞位置に移動させる方向への駆動制御を行わないことが可能にされている。即ち、PLC51はバルブピン71、71をゲート閉塞位置に移動させる駆動制御と制御装置2の電源制御とを独立して行うことが可能にされている。あるいは、PLC51は、制御装置2の電源がオンにされる際に、バルブピン71、71が破損しない程度の弱い駆動制御を行うことが可能にされていてもよい。
上記のように実施の形態の制御装置2は、バルブピン71、71がゲートノズル40、40に挿入された状態でマニホールド30に保持される射出成形装置1の制御装置であって、マニホールド30に対して設置されたマニホールドヒータ31、31とゲートノズル40、40に対して設置されたゲートノズルヒータ41、41の制御を行うPLC51(制御部)を備える。PLC51(制御部)は射出成形装置1の休止状態への移行時の降温制御として、マニホールドヒータ31、31の制御によりマニホールド30を降温させ、ゲートノズルヒータ41、41の制御によりゲートノズル40、40をゲートノズル40、40内の樹脂材料の溶融状態を維持可能な温度である第1の待機温度で維持させ、マニホールド30が判定温度まで降温したことを受けてゲートノズル40、40を第1の待機温度から降温させる制御を行う。即ち制御装置2は、図7に示す降温制御のための温度制御処理を行う。
上記した制御装置2が行う降温制御によると、マニホールド30が判定温度に降温するまでゲートノズル40、40は第1の待機温度から降温されず、ゲートノズル40、40内の樹脂材料の溶融状態が維持される。従って、マニホールド30が判定温度への降温に伴い熱収縮する間、バルブピン71、71の下端部はマニホールド30の変寸に応じて溶融樹脂R内を移動することができる。
これにより、マニホールド30が判定温度に降温する間にバルブピン71、71にかかる曲げ荷重が解消又は少なくとも低減される。またゲートノズル40、40内の樹脂材料が固化した休止状態において、バルブピン71、71にかかる曲げ荷重が解消又は少なくとも低減される。よって、バルブピン71、71の変形や折損の可能性を低減することができる。
さらに、バルブピン71、71にかかる曲げ荷重が低減されることで、バルブピン71、71とピンブシング72、72それぞれの摺動部の摩耗が低減される。さらに、バルブピン71、71の先端部並びにゲートを構成する樹脂吐出口40b、40bや開口部10b、10bにおける摺動部の摩耗が低減される。これにより、バルブピン71、71の長寿命化およびメンテナンスの頻度削減を図ることができる。これにより、射出成形装置1のメンテナンスのコスト及び作業負担を軽減することができる。さらにまた、ゲートにバリが発生しにくくなることにより、成形品の品質向上を図ることができる。
この場合には、マニホールド30が金型温度または金型温度に近似する温度に降温するまで、ゲートノズル40、40が第1の待機温度から降温されず、ゲートノズル40、40内の樹脂材料の溶融状態が維持される。即ち、マニホールド30と固定側型板10(金型)との変寸差がなくなるまで、ゲートノズル40、40内の樹脂材料の溶融状態が維持される。
従って、固定側型板10(金型)に対するマニホールド30の熱収縮並びにバルブピン71、71の中間部の移動が終息するまで、バルブピン71、71の下端部は溶融樹脂R内を移動することができる。よって、マニホールド30と固定側型板10(金型)に変寸差がある間に、バルブピン71、71にかかる曲げ荷重が解消又は少なくとも低減され、バルブピン71、71の変形や折損の可能性を低減することができる。
さらに、判定温度が室温より高い金型温度または金型温度に近似する温度に設定される場合には、判定温度が室温または室温に近似する温度に設定される場合と比較して、マニホールド30が判定温度まで降温する時間を短縮することができる。これによりゲートノズル40、40を第1の待機温度で維持させる保温時間を短くすることができるため、長時間の通電が不要になり、通電に伴う安全管理上の問題や電力消費、ゲートノズル40、40内の溶融樹脂の分解劣化の可能性を低減することができる。
この場合には、マニホールド30が室温または室温に近似する温度に降温するまで、ゲートノズル40、40が第1の待機温度から降温されず、ゲートノズル40、40内の樹脂材料の溶融状態が維持される。即ち、マニホールド30の変寸が最小になるまで、ゲートノズル40、40内の樹脂材料の溶融状態が維持される。
従って、マニホールド30の熱収縮に伴うバルブピン71、71の中間部の移動が終息するまで、バルブピン71、71の下端部は溶融樹脂R内を移動することができる。よって、マニホールド30が熱収縮する間に、バルブピン71、71にかかる曲げ荷重が解消又は少なくとも低減され、バルブピン71、71の変形や折損の可能性を低減することができる。
上記した制御装置2が行う昇温制御によると、ゲートノズル40、40が第2の待機温度に昇温されてゲートノズル40、40内の樹脂材料が溶融状態になるまで、マニホールド30は昇温されない。従って、マニホールド30が昇温に伴い熱膨張する間、バルブピン71、71の下端部はマニホールド30の変寸に応じて溶融樹脂R内を移動することができる。
これにより、マニホールド30が昇温する間にバルブピン71、71にかかる曲げ荷重が解消又は少なくとも低減され、バルブピン71、71の変形や折損の可能性を低減することができる。
さらに、バルブピン71、71にかかる曲げ荷重が低減されることで、バルブピン71、71とピンブシング72、72それぞれの摺動部の摩耗が低減される。さらに、バルブピン71、71の先端部並びにゲートを構成する樹脂吐出口40b、40bや開口部10b、10bにおける摺動部の摩耗が低減される。これにより、バルブピン71、71の長寿命化およびメンテナンスの頻度削減を図ることができる。これにより、射出成形装置1のメンテナンスのコスト及び作業負担を軽減することができる。さらにまた、ゲートにバリが発生しにくくなることにより、成形品の品質向上を図ることができる。
本発明の実施の形態のプログラムは、制御装置2におけるPLC51や、マイクロコンピュータ等の演算処理装置に上述の降温制御や昇温制御を実行させるプログラムである。
そしてこのようなプログラムは制御装置2等の機器に内蔵されている記憶媒体や、CPU(Central Processing Unit)を有するマイクロコンピュータ内のROM等に予め記憶しておくことができる。あるいはまた、半導体メモリ、メモリカード、ディスク状記憶媒体などのリムーバブル記憶媒体に、一時的あるいは永続的に格納(記憶)しておくことができる。またこのようなリムーバブル記憶媒体は、いわゆるパッケージソフトウェアとして提供することができる。
また、このようなプログラムは、リムーバブル記憶媒体からパーソナルコンピュータ等にインストールする他、ダウンロードサイトから、LAN(Local Area Network)、インターネットなどのネットワークを介してダウンロードすることもできる。
2…制御装置
10…固定側型板
20…金型内センサ
30…マニホールド
31…マニホールドヒータ
32…マニホールド温度センサ
40…ゲートノズル
41…ゲートノズルヒータ
42…ゲートノズル温度センサ
51…PLC
71…バルブピン
72…ピンブシング
R…溶融樹脂
R’…固化した樹脂材料
Claims (6)
- バルブピンがゲートノズルに挿入された状態でマニホールドに保持される射出成形装置の制御装置であって、
前記マニホールドに対して設置されたマニホールドヒータと前記ゲートノズルに対して設置されたゲートノズルヒータの制御を行う制御部を備え、
前記制御部は前記射出成形装置の休止状態への移行時の降温制御として、
前記マニホールドヒータの制御により前記マニホールドを降温させ、
前記ゲートノズルヒータの制御により前記ゲートノズルを前記ゲートノズル内の樹脂材料の溶融状態を維持可能な温度である第1の待機温度で維持させ、
前記マニホールドが判定温度まで降温したことを受けて前記ゲートノズルを前記第1の待機温度から降温させる制御を行う
制御装置。 - 前記判定温度は金型温度である
請求項1に記載の制御装置。 - 前記判定温度は前記射出成形装置が設置された室内の室温である
請求項1に記載の制御装置。 - バルブピンがゲートノズルに挿入された状態でマニホールドに保持される射出成形装置の制御装置であって、
前記マニホールドに対して設置されたマニホールドヒータの制御と前記ゲートノズルに対して設置されたゲートノズルヒータの制御を行う制御部を備え、
前記制御部は前記射出成形装置の休止状態からの移行時の昇温制御として、
前記ゲートノズルヒータの制御により前記ゲートノズルを前記ゲートノズル内の樹脂材料の溶融状態を維持可能な温度である第2の待機温度まで昇温させ、
前記ゲートノズルが前記第2の待機温度まで昇温したことを受けて前記マニホールドヒータの制御により前記マニホールドを昇温させ、
前記マニホールドが成形温度まで昇温したことを受けて前記ゲートノズルを成形温度まで昇温させる制御を行う
制御装置。 - バルブピンがゲートノズルに挿入された状態でマニホールドに保持される射出成形装置の制御装置に、前記マニホールドに対して設置されたマニホールドヒータと前記ゲートノズルに対して設置されたゲートノズルヒータの制御を行う処理を行わせるプログラムであって、
前記射出成形装置の休止状態への移行時の降温制御として、
前記マニホールドヒータの制御により前記マニホールドを降温させ、
前記ゲートノズルヒータの制御により前記ゲートノズルを前記ゲートノズル内の樹脂材料の溶融状態を維持可能な温度である第1の待機温度で維持させ、
前記マニホールドが判定温度まで降温したことを受けて前記ゲートノズルを前記第1の待機温度から降温させる制御を行う処理を実行させるプログラム。 - バルブピンがゲートノズルに挿入された状態でマニホールドに保持される射出成形装置の制御装置に、前記マニホールドに対して設置されたマニホールドヒータと前記ゲートノズルに対して設置されたゲートノズルヒータの制御を行う処理を行わせるプログラムであって、
前記射出成形装置の休止状態からの移行時の昇温制御として、
前記ゲートノズルヒータの制御により前記ゲートノズルを前記ゲートノズル内の樹脂材料の溶融状態を維持可能な温度である第2の待機温度まで昇温させ、
前記ゲートノズルが前記第2の待機温度まで昇温したことを受けて前記マニホールドヒータの制御により前記マニホールドを昇温させ、
前記マニホールドが成形温度まで昇温したことを受けて前記ゲートノズルを成形温度まで昇温させる制御を行う処理を実行させるプログラム。
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