JP7299101B2 - 紫外線照射装置 - Google Patents
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Description
この流体殺菌装置では、流路のレイノルズ数が層流状態の臨界レイノルズ数以下となるように、流体殺菌装置の内径及び平均流速を調整するようにしており、例えばレイノルズ数が3000以下(好ましくは2320以下)の層流で流体を導入し、ポワズイユ分布状の流れの流体の流速が大きい領域に高いLED強度の光が照射されるようにすることで、殺菌効率を向上させるようにしている。
ポワズイユ分布状の流れの流体は、レイノルズ数を小さくすることで形成することができるが、レイノルズ数を小さくするために流量を一定とすると、円管内を流れる流体の速度を遅くするために円管の径を大きくする必要がある。円管の径を大きくするということはすなわち装置の大型化につながる。
図1は、本発明に係る紫外線照射装置を、殺菌モジュールに適用したものであり、殺菌モジュールの概略構成の一例を示す正面図である。また、図2は図1の要部の縦断面図である。
殺菌モジュール1は、図1に示すように、流入部2と、円筒部(筒状部)3と、発光部4と、流出部5と、流体検知器7と、制御部8と、を備える。流入部2は円筒部3の一端に取り付けられ、円筒部3の他端に発光部4が取り付けられている。
流入部2は、端部21と、テーパ部22とを備え、端部21の一端には円筒部3の長手方向に沿って流体を流入させる流入口21aと、流入口21aを他の配管等に接続するためのフランジ21bと、が形成されている。
テーパ部22は、流入された流体の流れをポワズイユ分布状の流れにする目的で設けられている。ポワズイユ分布状の流れは、流体の流入口が狭く、その後広がるテーパ形状とすることで形成することができる。テーパ形状としては、テーパ比が0.2以上0.68以下であることが好ましい。テーパ比をこの範囲とすることで、より長い距離においてポワズイユ分布状の流れを実現することができる。
なお、テーパ比は図3に示すように、テーパ部22の内側の、小径側の直径をd、大径側の直径をD、テーパ部22の長さ、つまり小径側の端部から大径側の端部までの距離をLとしたとき、次式(1)で表される。
テーパ比=(D-d)/L ……(1)
円筒部3には、図2に示すように、その内部を、テーパ部22の大径側と同等程度の内径を有する内側流路35と、内側流路35の外側に形成された外側流路36とに分離する分離壁37が設けられている。分離壁37の発光部4側の端部寄りには、内側流路35と外側流路36とを連通する複数の連通孔38が形成されている。
これによって、流入口21aから流入された流体はテーパ部22、内側流路35、連通孔38、外側流路36を通って流出口51から流出される。
また、板6は、開口率を三段階に分ける場合に限るものではなく、任意の段階に分けてもよく、要は、レイノルズ数3000以上で導入される流体を、板6を通過させることで、ポワズイユ分布状の流れを形成することができればよく、同様に、開口孔6aの大きさや配置位置も任意に設定することができる。
図5は、開口率を三段階に分けたものであり、内側エリアAinと、中間エリアAmidと、外側エリアAoutとで、開口孔6aの配置数を異ならせることによって開口率を異ならせるようにしたものである。つまり、開口孔6aの大きさは同一であり、内側エリアAinにおける開口孔6aの配置数が最も多く、次に中間エリアAmidにおける開口孔6aの配置数が多く、外側エリアAoutにおける開口孔6aの配置数が最も少なくなるように配置すればよい。
このような構成を有する殺菌モジュール1において、流入口21aに流入される流体のレイノルズ数Reは3000以上とする。
流体検知器7と制御部8との間は、有線で接続されていてもよく無線で接続されていてもよい。なお、制御部8は、実際には、前述のように、図2に示す格納部42に、制御基板に搭載されて設けられているが、図1では説明のため制御部8を明示している。
次に、上記実施形態の動作を説明する。
流入配管61を介して内側流路35内に殺菌対象の流体である対象物が流入されていないときには、流入配管61に設けられた流体検知器7では、流体の流れを検知しない。制御部8では、流体検知器7からの検知信号を入力し、流入配管61を通過する流体の流れが検知されないときには、内側流路35内の対象物が静止していると判断して、光源41を動作させない。
この状態から、流体検知器7で流体の流れを検知しない状態となると、制御部8では光源41を停止させる。これにより、紫外線照射が停止する。
(1)本発明の一実施形態に係る流体殺菌モジュール1は、流入配管61を通過する流体の流れを検出する流体検知器7を設け、流体検知器7の検知信号に基づき、内側流路35内の対象物が流動しているとみなされる状態となったときに紫外線照射を行い、流入配管61を通る流体の流れを検知できない状態となると紫外線照射を停止するようにしている。そのため、内側流路35内の対象物が静止している状態で紫外線照射が行われることを回避することができ、その分、不要な紫外線照射を行うことを回避することができる。その結果、紫外線照射を効率よく行うことができ、流体殺菌モジュール1の寿命を伸ばすことができ、また、コスト削減を図ることができる。
(1)上記実施形態においては、流入配管61を流れる流体の有無を検知するセンサを用いているが、流体検知器7は、単位時間当たりに流入配管61を流れる流体量に応じた信号を出力するセンサであってもよい。
流体検知器7が、単位時間当たりに流入配管61を流れる流体量に応じた信号を出力するセンサである場合には、制御部8において、単位時間当たりの流体量に応じて、光源41の紫外線照射量、すなわち紫外光の強度を調整するようにしてもよい。つまり、単位時間当たりの流体量が多いときには紫外線照射量を増加させ、単位時間当たりの流体量が少ないときには紫外線照射量を減少させるようにしてもよい。このようにすることによって、内側流路35内に流入される対象物の量に応じた、より過不足のない紫外線照射量で照射することができる。そのため、不要な紫外線照射を行うことをより一層抑制することができる。また、流体検知器7によって、対象物の流速を検出するようにし、流速に応じて紫外線照射量を調整するように構成してもよい。
(1)本発明の一実施形態に係る流体殺菌モジュール1は、流入口21aに流入される流体のレイノルズ数Reを3000以上としている。
ここで、流路を流れる流体がポワズイユ分布状の流れを形成するためには、流路を流れる流体のレイノズル数を層流状態の臨界レイノルズ数以下とする必要があり、例えば、円管内の流れの臨界レイノズル数は約2300であることが知られている。そのため、レイノズル数が3000以上の流体を円管に流入したとしてもこの状態では、ポワズイユ分布状の流れとなりにくい。
ここで、テーパ部22は入り口側の管径が小さく、その後拡径するため、テーパ部22内では、流体の流れがテーパ部22の側壁方向に広がることになる。つまり、図2中に矢印で示すように、流体が流れる方向から見て、テーパ部22の中心部分に流れが集中することになり、すなわち、ポワズイユ分布状の流れが形成されることになる。そして、テーパ部22のテーパ比を、0.2以上0.68以下となるようにしているため、内側流路35の長い距離においてポワズイユ分布状の流れを維持することができる。
(1)上記実施形態では、図2に示すように、テーパ部22と、板6とによって、ポワズイユ分布状の流れを形成する場合について説明したが、これに限るものではない。前述のように、テーパ部22と板6との少なくともいずれか一方を設けることによって、ポワズイユ分布状の流れを形成することができるため、テーパ部22と板6の一方のみを設けた場合であっても、ポワズイユ分布状の流れを形成することができる。
本発明に係る殺菌モジュール1について、計算機上で光学シミュレーション及び流速シミュレーションを行った。
これら光学シミュレーション及び流速シミュレーションでは、内側流路35として、図11(a)に示す、断面が円となる直管の内側を想定して計算機上でシミュレーションを行った。
また、直管はポリテトラフルオロエチレン製であり、紫外線領域における反射率は96〔%〕、紫外線領域における拡散率は100〔%〕とした。
このような直管からなる流路において、直管の流入口側の端部から下流側の、200〔mm〕の地点における断面において対象物に対する光学的な評価を行った。なお、図11(a)において、図11(b)に示すように、直管が延びる方向をZ軸とした。また、断面における円中心つまり管中心を基準とする、Z軸に垂直な方向(図11(b)では上方向)をY軸とし、同じく管中心を基準とするZ軸及びY軸に垂直な方向をX軸方向とし、管中心におけるX軸及びY軸の座標をそれぞれX=0、Y=0とした。このXYZ座標系において、Z=200〔mm〕、X=0を通る、Y軸上で、Y=-20〔mm〕から+20〔mm〕までの範囲における、0.5〔mm〕毎の点を試算点とし、各試算点について、ドーズ量相当の値として、「紫外光強度×(1/流速)」(以後、紫外光強度の比率ともいう。)を演算した。
そこで、光学シミュレーションを行い、40の試算点における紫外光強度の比率の標準偏差を試算し、評価を行った。
図12(b)に示すように、Z=200〔mm〕、X=0を通る断面において、紫外光強度の比率は、管中心近傍が最も大きく、周縁部に近づくほど小さくなっていることがわかる。
図11(a)で想定した直管を用いて、板6として、板6-1~6-6を設けた場合について計算機上で流速シミュレーションを行った。なお、テーパ部22は設けていない。
板6として図13(a)~図13(f)に示す開口率の異なる6種類の板6-1~6-6を用いた。板6-1~6-6の仕様を表1に示す。なお、板6-1~6-6は、図4と同様に、同心円で面積が等しい3つのエリアに分割した。
光学シミュレーション時と同様の40の試算点について、紫外光強度の比率を演算した。その演算結果を図14(a)~(f)に示す。図14の各図において、横軸は、Z=200、X=0を通る断面における管中心(X=0、Y=0、Z=200)からのY軸方向の距離〔mm〕を表し、縦軸は、紫外光強度の比率を表す。
図15は、板6-1~6-6それぞれについて、紫外光強度の比率の標準偏差と、「内側エリアの開口率÷外側エリアの開口率」との対応を表したものである。
つまり、「内側エリアの開口率÷外側エリアの開口率」は、図15において、紫外光強度の比率の標準偏差が、標準偏差の基準値σs1を下回る、6.3以上8.6以下程度の範囲にあれば、効率のよい整流用の板であるとみなすことができる。
したがって、図4に示すように、整流用の板を同心円で面積が等しい3つのエリアに分割したとき、最も外側のエリアAoutの開口率に対して、最も内側のエリアAinの開口率が6倍以上10倍以下であることが好ましく、より好ましくは、6.3以上8.6以下であることが好ましいことがわかる。
次に、図16に示す開口率の異なる二つの板6-11、6-12を用いて流速シミュレーションを行った。この流速シミュレーションも、図11(a)に示す直管を用いて計算機上で行った。なお、テーパ部22は設けていない。
流速シミュレーション結果を表2に示す。
流速シミュレーションにより、図11(a)に示す直管の流入側端部と、出力側端部それぞれにおける圧力を演算し、圧力損失を演算した。
その結果、表2に示すように、板6-11の圧力損失は0.5〔kPa〕であり、板6-12の圧力損失は0.2〔kPa〕であった。圧力損失は、開口率9.4〔%〕の場合、開口率16.6〔%〕の2.5倍になる。
表2から、圧力損失を0.5〔kPa〕程度に抑えるためには、開口率を10〔%〕以上とすることが好ましいことがわかる。
各板6-21~6-24に対して、3〔MPa〕の圧力がかかった場合の応力として、ミーゼスの相当応力を演算した。そして、安全率を演算した(=引張強度÷ミーゼスの相当応力)。
図17に示すように開口率が大きくなるほど安全率は低下する。安全率が低下すると整流用の板が破断する可能性があることから、安全率は「1」以上であることが好ましく、開口率が55〔%〕程度で安全率が「1」より小さくなることから、開口率は50〔%〕以下であることが好ましい。
以上から、圧力損失と安全率との観点から、開口率は、10〔%〕以上50〔%〕以下が好ましいことがわかる。
次に、図11(a)に示す直管を用いて、テーパ部22を備える場合について計算機上で流体シミュレーションを行った。なお、板6は設けていない。
テーパ部22として、図18に示すように、テーパ部22-1~テーパ部22-5を用いた。テーパ部22-1のテーパ比は1/4、テーパ部22-2のテーパ比は3/8、テーパ部22-3のテーパ比は1/2、テーパ部22-4のテーパ比は3/4、テーパ部22-5のテーパ比は7/8である。流体シミュレーションにおいて、対象物を流す条件は、光学シミュレーション時と同様である。
図20は、テーパ部22-1~22-5それぞれについて、紫外光強度の比率の標準偏差と、テーパ比との対応を表したものである。
ここで、図11(a)に示す直管において、テーパ部を設けない場合について、流体シミュレーションを行い、前述の40の試算点について、紫外光強度の比率を演算し、この紫外光強度の比率の標準偏差を求めた。この標準偏差を標準偏差の基準値σs2とする。
つまり、テーパ比は、図20において、紫外光強度の比率の標準偏差が、標準偏差の基準値σs2を下回る、0.2以上0.68以下程度の範囲にあれば、効率のよいテーパ比であるとみなすことができる。
したがって、テーパ部22のテーパ比は、0.2以上0.68以下であることが好ましいことがわかる。
2 流入部
3 円筒部
4 発光部
5 流出部
6 板
6a 開口孔
7 流体検知器
8 制御部
21a 流入口
22 テーパ部
34 窓部
35 内側流路
41 光源
Claims (12)
- 長手方向に延びる流路を構成する筒状部と、
前記筒状部の一端に設けられ前記流路に対して前記長手方向に沿って対象物を流入させる流入口と、
前記流入口と前記流路との間に設けられ、平面視が円形であり、且つ表裏間を通じる開口孔を有し、開口率が中心ほど大きく、周辺に近いほど小さくなるように設定されている板と、
前記筒状部の他端に設けられ前記流路を流れる前記対象物に向けて前記長手方向に沿って紫外光を照射可能であり、且つ当該紫外光の強度分布が、前記長手方向と直交する前記流路の断面において、中央付近の紫外光強度がその周囲の紫外光強度よりも高い発光素子と、
前記対象物が前記流路にあることを検知する流体検知器と、
当該流体検知器の検知信号に基づき前記発光素子を駆動制御する制御部と、を備え、
前記板を同心円で面積が等しい3つのエリアに分割したとき、最も外側のエリアの前記開口率に対して、最も内側のエリアの前記開口率が6倍以上10倍以下である
紫外線照射装置。 - 前記最も外側のエリアの前記開口率に対して、前記最も内側のエリアの前記開口率が6.3倍以上8.6倍以下である
請求項1に記載の紫外線照射装置。 - 前記流体検知器は歯車式である、請求項1又は請求項2に記載の紫外線照射装置。
- 前記流体検知器は電磁式である、請求項1又は請求項2に記載の紫外線照射装置。
- 前記流体検知器は、超音波式である、請求項1又は請求項2に記載の紫外線照射装置。
- 前記流体検知器は、前記検知信号として、単位時間当たりに前記流路を通過する前記対象物の量に応じて変化する信号を出力する、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の紫外線照射装置。
- 前記制御部は、前記検知信号に基づき前記紫外光の強度を調整する、請求項6に記載の紫外線照射装置。
- 前記板の前記開口率が10%以上50%以下である請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の紫外線照射装置。
- 前記筒状部は前記一端に前記長手方向に沿って内径が次第に増加して前記流路に連通するテーパ部を含み、
前記テーパ部の小径側の端部に前記流入口が設けられている請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の紫外線照射装置。 - 前記テーパ部のテーパ形状において、テーパ比が0.2以上0.68以下である請求項9に記載の紫外線照射装置。
- 殺菌モジュールに適用される請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の紫外線照射装置。
- 前記対象物は液体である請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の紫外線照射装置。
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