[1]実施例
以下、本発明に係る映像配信システムの実施例について図面を参照して説明する。図面に表す同一要素には同一名称又は同一符号を付して重複する説明を省略する。
図1は実施例に係る映像配信システム1の全体構成を表す。映像配信システム1は、スポーツの映像を配信するシステムであり、特に、競技エリアの中又は近辺まで観客が近寄って観戦可能なスポーツの映像を配信する。
競技エリアとは、スポーツが行われるエリアのことであり、競技を行う選手達が動き回ったり通過したりするエリアである。また、道具を扱うスポーツでは、選手によって力を加えられた道具(例えばゴルフボール)が通過し到達する場所もスポーツが行われるエリアに含まれる。また、スポーツによっては、観戦エリアが設けられ、観戦エリアにいる観客が競技エリア内で行われる選手達のプレー(競技)を観戦することがある。
例えばゴルフであれば、ゴルフ場の内部に競技エリアと観戦エリアとを分けるロープが張られ、ロープの外から観客が観戦する。また、マラソン、駅伝及び自転車ロードレース等であれば、公道が競技エリアになるので、コース脇の歩道及び路側帯等が観戦エリアとなる。ただし、競技エリアと観戦エリアは完全に分かれているとは限らず、選手達が観戦エリアまで入ってきてプレーを行う場合もあるので、観戦エリアを競技エリアの一部として捉えてもよい。
本実施例では、映像配信システム1がゴルフの試合の映像を配信する例を説明する。映像配信システム1は、ネットワーク2と、サーバ装置10と、複数のカメラ20と、表示装置30と、複数のユーザ端末40とを備える。ネットワーク2は、移動体通信網及びインターネット等を含む通信システムであり、自システムにアクセスする装置同士のデータのやり取りを中継する。ネットワーク2には、サーバ装置10及び表示装置30が有線通信で(無線通信でもよい)アクセスし、カメラ20及びユーザ端末40が無線通信でアクセスしている。
カメラ20は、カメラマンによって操作され、上記スポーツ(本実施例ではゴルフ)に参加する複数の選手のうちの特定の選手を継続して撮影する。カメラ20は、無線通信で映像データを送信するため、カメラマンと共に選手に付いてゴルフ場内を自由に移動することができる。本実施例では、カメラ20の台数が十分に足りていて、プレー中の各選手にそれぞれ1台のカメラ20が付いて映像を撮影するものとする。
複数のカメラ20は、撮影した映像を示す映像データをサーバ装置10にそれぞれ送信する。サーバ装置10は、送信されてきた複数の映像データが示す複数の選手の映像のうちのいずれかの映像を表示装置30に配信する処理を行う。サーバ装置10は本発明の「情報処理装置」の一例である。表示装置30は、配信されてきた選手の映像を表示する。
ユーザ端末40は、ユーザによって持ち運ばれる端末であり、例えばスマートフォン又はタブレット端末等である。ユーザ端末40は、映像を撮影する機能を備え、自端末で撮影した映像を示す映像データをサーバ装置10に送信する。ユーザ端末40は本発明の「携帯端末」の一例である。本実施例では、ゴルフ場の観戦エリアからユーザがユーザ端末40を用いて撮影した選手等の映像がサーバ装置10に送信される。
サーバ装置10は、カメラ20が撮影した映像だけでなく、ユーザ端末40が撮影した映像も配信する。カメラ20は、ゴルフ中継を行う放送事業者又は放送事業者から委託されて撮影を請け負う事業者等が撮影を行うための装置であり、本発明の「撮影装置」の一例である。一方、ユーザ端末40は、スポーツを観戦する観戦者が携帯して競技エリア内を撮影するための装置であり、本発明の「携帯端末」の一例である。
例えば、本開示の一実施例におけるサーバ装置10、複数のカメラ20、表示装置30及びユーザ端末40の各装置は、本開示の情報処理を行うコンピュータとして機能してもよい。なお、以下の説明では、「装置」という文言は、回路、デバイス、ユニットなどに読み替えることができる。各装置のハードウェア構成は、図に示した各装置を1つ又は複数含むように構成されてもよいし、一部の装置を含まずに構成されてもよい。
図2はサーバ装置10のハードウェア構成の一例を表す。サーバ装置10は、物理的には、プロセッサ11と、メモリ12と、ストレージ13と、通信装置14と、バス15などを含むコンピュータ装置として構成されてもよい。プロセッサ11は、例えば、オペレーティングシステムを動作させてコンピュータ全体を制御する。プロセッサ11は、周辺装置とのインターフェース、制御装置、演算装置、レジスタなどを含む中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)によって構成されてもよい。
サーバ装置10における各機能は、 プロセッサ11、メモリ12などのハードウェア上に所定のソフトウェア(プログラム)を読み込ませることによって、プロセッサ11が演算を行い、通信装置14による通信を制御したり、メモリ12及びストレージ13におけるデータの読み出し及び書き込みの少なくとも一方を制御したりすることによって実現される。
プロセッサ11は、例えば、オペレーティングシステムを動作させてコンピュータ全体を制御する。プロセッサ11は、周辺装置とのインターフェース、制御装置、演算装置、レジスタなどを含む中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)によって構成されてもよい。例えば、ベースバンド信号処理部、呼処理部などは、プロセッサ11によって実現されてもよい。
また、プロセッサ11は、プログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュール、データなどを、ストレージ13及び通信装置14の少なくとも一方からメモリ12に読み出し、これらに従って各種の処理を実行する。プログラムとしては、上述の実施例において説明した動作の少なくとも一部をコンピュータに実行させるプログラムが用いられる。
例えば、サーバ装置10の各機能は、メモリ12に格納され、プロセッサ11において動作する制御プログラムによって実現されてもよく、他の機能ブロックについても同様に実現されてもよい。上述の各種処理は、1つのプロセッサ11によって実行される旨を説明してきたが、2以上のプロセッサ11により同時又は逐次に実行されてもよい。 プロセッサ11は、1以上のチップによって実装されてもよい。なお、プログラムは、電気通信回線を介してネットワークから送信されても良い。
メモリ12は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、ROM(Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)、RAM(Random Access Memory)などの少なくとも1つによって構成されてもよい。メモリ12は、レジスタ、キャッシュ、メインメモリ(主記憶装置)などと呼ばれてもよい。メモリ12は、本開示の一実施例に係る情報処理を実施するために実行可能なプログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュールなどを保存することができる。
ストレージ13は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、CD-ROM(Compact Disc ROM)などの光ディスク、ハードディスクドライブ、フレキシブルディスク、光磁気ディスク(例えば、コンパクトディスク、デジタル多用途ディスク、Blu-ray(登録商標)ディスク)、スマートカード、フラッシュメモリ(例えば、カード、スティック、キードライブ)、フロッピー(登録商標)ディスク、磁気ストリップなどの少なくとも1つによって構成されてもよい。ストレージ13は、補助記憶装置と呼ばれてもよい。上述の記憶媒体は、例えば、メモリ12及びストレージ13の少なくとも一方を含むデータベース、サーバその他の適切な媒体であってもよい。
通信装置14は、有線ネットワーク及び無線ネットワークの少なくとも一方を介してコンピュータ間の通信を行うためのハードウェア(送受信デバイス)であり、例えばネットワークデバイス、ネットワークコントローラ、ネットワークカード、通信モジュールなどともいう。また、プロセッサ11、メモリ12などの各装置は、情報を通信するためのバス15によって接続される。バス15は、単一のバスを用いて構成されてもよいし、装置間ごとに異なるバスを用いて構成されてもよい。
図3はカメラ20のハードウェア構成の一例を表す。カメラ20は、物理的には、プロセッサ21と、メモリ22と、ストレージ23と、通信装置24と、撮影装置25と、センサ装置26と、入力装置27と、バス28などの部品を含むコンピュータ装置として構成されてもよい。通信装置24は、映像データを無線通信でサーバ装置10に送信するため、十分に高速な無線通信性能を有することが望ましい。撮影装置25は、選手達の映像を撮影するためのハードウェアであり、例えば業務用デジタルビデオカメラと同等の性能を有するビデオカメラである。
センサ装置26は、撮影している選手の競技の状況(本実施例ではプレー状況)に関係する値を測定するセンサ群を有する装置である。センサ装置26は、例えば、カメラ位置(自カメラの位置を表す緯度及び経度)を測定する位置センサと、カメラ方向(自カメラの光軸が向く方位)を測定する方向センサとを備える。センサ装置26の測定値とプレー状況との関係については後述する。入力装置27は、外部からの入力を受け付ける入力デバイス(例えば、キーボード、マウス、マイクロフォン、スイッチ、ボタン、センサなど)であり、カメラマンによる入力操作を受け付ける。
図4は表示装置30のハードウェア構成の一例を表す。表示装置30は、物理的には、プロセッサ31と、メモリ32と、ストレージ33と、通信装置34と、表示装置35と、入力装置36と、バス37などの部品を含むコンピュータ装置として構成されてもよい。表示装置35は、表示面351を有し、サーバ装置10から配信される映像を表示面351に表示するハードウェアである。
入力装置36は、外部からの入力を受け付ける入力デバイス(例えば、キーボード、マウス、マイクロフォン、スイッチ、ボタン、センサなど)である。また、入力装置36は、リモコンの操作による入力も受け付ける。なお、表示装置35及び入力装置36が一体となったタッチスクリーンにより映像の表示及び入力の受け付けが行われてもよい。
図5はユーザ端末40のハードウェア構成の一例を表す。ユーザ端末40は、物理的には、プロセッサ41と、メモリ42と、ストレージ43と、通信装置44と、撮影装置45と、センサ装置46と、入力装置47と、表示装置48と、バス49などの部品を含むコンピュータ装置として構成されてもよい。撮影装置45は、選手達の映像を撮影するためのハードウェアであり、例えばスマートフォン等に搭載される水準の性能を有するビデオカメラである。
センサ装置46は、カメラ20のセンサ装置26と同様に、撮影している選手の競技の状況(本実施例ではプレー状況)に関係する値を測定するセンサ群を有する装置である。センサ装置26は、例えば、カメラ位置を測定する位置センサと、カメラ方向を測定する方向センサとを備える。ユーザ端末40の方向センサは、カメラ20の方向センサのように自カメラの光軸が向く方位だけでなく、水平方向に対する光軸の傾き(俯角及び仰角)もカメラ方向として測定する。
また、サーバ装置10、複数のカメラ20、表示装置30及びユーザ端末40は、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP:Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などのハードウェアを含んで構成されてもよく、当該ハードウェアにより、各機能ブロックの一部又は全てが実現されてもよい。例えば、プロセッサ11等は、これらのハードウェアの少なくとも1つを用いて実装されてもよい。
映像配信システム1が備える各装置における各機能は、各々のプロセッサ、メモリなどのハードウェア上に所定のソフトウェア(プログラム)を読み込ませることによって、プロセッサが演算を行い、各々の通信装置による通信を制御したり、メモリ及びストレージにおけるデータの読み出し及び書き込みの少なくとも一方を制御したりすることによって実現される。
図6は各装置が実現する機能構成を表す。サーバ装置10は、取得部101と、指示受付部102と、映像特定部103と、集計部104と、映像配信部105とを備える。カメラ20は、撮影部201と、測定部202と、入力受付部203と、送信部204とを備える。表示装置30は、操作受付部301と、測定部302と、映像表示部303とを備える。ユーザ端末40は、撮影部401と、測定部402と、送信部403とを備える。なお、図1に表す複数のカメラ20及び複数のユーザ端末40は、いずれも図6に表す各部を備える。
カメラ20の撮影部201は映像を撮影する機能である。本実施例では、カメラマンは、自分が撮影する対象の選手が決まっていて、撮影対象の選手を少なくとも1番ホールを開始してから18番ホールを終了するまで撮影し続けるよう指示されているものとする(練習場及びホールアウト後のインタビューを含んでもよい)。その結果、撮影部201は、ゴルフをプレー中の複数の選手のうちの特定の選手を継続して撮影することになる。撮影部201は、撮影した映像と撮影時刻とを示す映像データを送信部204に供給する供給処理を、撮影処理と並行して行う。
測定部202は、撮影部201により撮影される選手のプレー状況に関係する値を測定する。測定部202は、具体的には、上述したカメラ位置及びカメラ方向を、一定の時間間隔(例えば1秒毎)で繰り返し測定する。カメラマンは、上述したとおり撮影対象の選手と共に移動しながら撮影を行う。カメラマンは、移動の際には、自分と選手との距離(以下「撮影距離」と言う)が概ね一定となるように指示されているものとする。
撮影距離としては、選手がショットを打つときに邪魔にならず且つなるべく近い距離(5~10m程度)が定められる。撮影距離が一定になることで、カメラ位置及びカメラ方向から、選手のプレー位置(プレーしている位置)が算出可能となっている。また、カメラマンは、選手がボールを打つ際(ショット時)には、ボールを打とうとしている選手の後ろに立って映像を撮影するよう指示されているものとする。
図7はアドレス状態の選手P1の後ろからの映像の一例を表す。選手P1は、右打ちであり、飛球線方向A1に向けてボールを打つためのアドレスをしている。カメラマンは、選手P1の両肩を結んだ線、両足を結んだ線及びクラブフェースの向き等から飛球線方向A1を判断し、選手P1の飛球線方向A1とは反対方向側に立って映像を撮影する。
図8はカメラ20と選手P1との位置関係の一例を表す。図8の例では、ショット時の選手P1から撮影距離L1だけ離れたカメラ20が飛球線方向A1の映像を撮影している。選手P1の後ろからカメラ20を飛球線方向A1に向けることで、選手の打ちたい方向がカメラ方向によって表されることになる。測定部202は、カメラ位置及びカメラ方向の測定結果と測定時刻とを示す測定データを送信部204に供給する供給処理を、測定処理と並行して行う。
また、カメラマンは、カメラ20に対して、選手が特定の状態になったときに特定の操作を行うよう指示されているものとする。特定の状態とは、例えば、ボール位置に到着してボールのライ、打ち出す方向及びクラブの番手等を確認するショットの準備に入った状態(準備状態)、アドレスに入った状態(打球状態)、ショットが完了して歩き始めた状態(移動状態)等である。なお、他の選手のショットを待つ状態は準備状態に含まれるものとする。
入力受付部203は、撮影対象の選手が打球状態等の特定の状態になったことを表す操作を受け付ける。カメラ20の入力装置27は、各状態に対応するボタン(準備ボタン、打球ボタン、移動ボタン)を有している。入力受付部203は、例えば準備ボタンが押されると、撮影対象の選手がショットの準備をする状態になったことと、現在時刻とを示す状態データを送信部204に供給する。以上のとおり、送信部204には、映像データ、測定データ及び状態データが供給されてくる。
送信部204は、各部から供給されたデータに自カメラを識別するカメラID(Identification)を付加して、撮影対象の選手に関する選手データとしてサーバ装置10に送信する。映像配信システム1においては、各選手の選手IDが定められており、選手を撮影するカメラ20のカメラIDと、その選手の選手IDとを対応付けた撮影対象テーブルがサーバ装置10に記憶されている。
図9は撮影対象テーブルの一例を表す。図9に表す撮影対象テーブルでは、「A001」、「A002」及び「A003」という選手IDに、「C001」、「C002」及び「C003」というカメラIDがそれぞれ対応付けられている。なお、各IDはあくまで一例であり、同じ番号のIDを対応付ける必要はない。また、選手IDではなく例えば選手名をそのままカメラIDに対応付けてもよい。
サーバ装置10の取得部101は、複数のカメラ20からそれぞれ送信されてきた複数の選手データを取得することで、選手データが示す映像、すなわち、競技エリアでプレーする特定の選手をカメラ20が撮影した映像を取得する。ここでいう特定の選手とは、選手データが示すカメラIDに撮影対象テーブルにおいて対応付けられている選手IDの選手、すなわち、そのカメラIDのカメラ20が撮影対象としている選手である。
取得部101により取得された映像は、ユーザ端末40へのユーザの操作に基づいて配信される。ユーザ端末40の操作受付部301は、映像の配信に関する操作を受け付ける。操作受付部301は、例えば、映像の配信開始を指示する開始操作を受け付け、受け付けた操作及び自装置の装置IDを示す操作データをサーバ装置10に送信する。
サーバ装置10の指示受付部102は、送信されてきた操作データが示す操作に対応する指示を映像の配信に関する指示として受け付ける。指示受付部102は、例えば、操作データが配信の開始操作を示す場合は、開始操作に対応する指示として、配信の開始指示を受け付ける。指示受付部102は、配信の開始指示を受け付けると、開始指示をしてきた表示装置30の装置IDを映像特定部103に供給する。映像特定部103には、取得部101からも取得された選手データが供給される。
映像特定部103は、供給された選手データが映像を示す各選手の中から、表示装置30に対する配信対象の選手を特定する。映像特定部103は、映像の配信開始の際には、例えば、配信開始時に表示する選手を特定するために定められた開始時条件を満たす選手を配信対象の選手として特定する。映像特定部103は、例えば、プレー中の選手の中で最も順位の良い選手が開始時条件を満たすと判断する。
ゴルフは、競技中も各選手の順位の途中経過が表されるスポーツであり、各選手のスコア(打数)によって順位が表される。集計部104は、各選手のスコアを集計する。ゴルフ中継においては、各組の選手に同行して、ショットの度に各選手のスコアを数えて中継本部に連絡するスコアラーと呼ばれるボランティアが活動している。中継本部の担当者は、スコアの連絡を受けると、本部に用意されたスコア入力用の端末に各選手のスコアを入力する。
スコア入力用の端末は、入力されたスコア、プレーされたホール及び選手IDを示すスコアデータをサーバ装置10に送信する。集計部104は、送信されてきたスコアデータが示す各ホールのスコアを各選手について合計し、合計スコア、プレー中のホール、順位及び選手IDを各選手について示す集計データを生成する。
映像特定部103は、指示受付部102から装置IDが供給される、すなわち、表示装置30から映像の配信開始を指示されると、集計部104が生成した集計データを参照し、現時点で順位が最もよいスコアの選手、すなわち開始時条件を満たす選手を最初の配信対象の選手として特定する。なお、映像特定部103は、スコアが最もよい選手が複数いる場合は、例えば最もホール数を消化した選手を配信対象の選手として特定してもよい。
また、映像特定部103は、スコアが最もよい選手の消化ホール数も同じ場合は、例えば、最新のホールのスコアを比較して打数が少ない方を上位とし、同スコアの場合は1つ前、2つ前のホールと決着がつくまで遡って、残った選手を最初の配信対象の選手として特定してもよい。映像特定部103は、特定した配信対象の選手の選手IDと、映像の配信開始を指示してきた表示装置30の装置IDとを映像配信部105に供給する。
映像配信部105は、選手ID及び装置IDが供給されると、供給された選手IDを示す選手データを取得部101から取得し、供給された選手IDを示す集計データを集計部104から取得する。映像配信部105は、取得部101から供給された選手データが示す選手の映像データのうち、映像特定部103から供給された選手IDの選手の映像データを、同じく映像特定部103から供給された装置IDの表示装置30に送信する。
また、映像配信部105は、上記の選手の映像に、取得した集計データが示すその選手の選手名、プレー中のホールの情報、スコア及び順位を示す画像を付加してから映像データを送信する。映像配信部105は、以上のとおり映像データを送信することで、映像特定部103が複数の選手から特定した配信対象の選手の映像を、映像の配信開始を指示してきた表示装置30に対して配信する(選手の映像を表示装置30に表示させるということ)。
表示装置30の映像表示部303は、サーバ装置10から配信されてきた映像を自装置の表示面351に表示する。
図10は表示面351に表示された映像の一例を表す。図10の例では、映像表示部303は、選手Gのプレー中の映像E1を表示すると共に、プレー中のホールの情報(「7」=ホール数、「Par4」、「465yds」)、選手Gのスコア(「-2」)及び順位(「Leader」=トーナメントリーダー)を示すプレー画像H1を映像E1に重ねて表示している。
操作受付部301は、上記のとおり映像の配信が開始された後は、例えば配信の終了を指示するための終了操作等を受け付ける。配信の終了操作が受け付けられると、サーバ装置10の指示受付部102が配信の終了指示を受け付け、映像配信部105が配信を終了する。また、操作受付部301は、映像が表示されている映像を切り替える操作を受け付ける。
図11は映像の切替操作の一例を表す。図11では、左向きの操作C1と、右向きの操作C2と、上向きの操作C3と、下向きの操作C4と、2回連続の操作C5(ダブルタップ等)が切替操作の一例として表されている。操作受付部301は、例えばリモコンの操作であれば、リモコンに設けられた左右のボタンと上下のボタンに対する操作をそれぞれ操作C1(左ボタン)、C2(右ボタン)、C3(上ボタン)、C4(下ボタン)として受け付け、所定のボタンを2回連続で押す操作を操作C5として受け付ける。
また、操作受付部301は、タッチスクリーンに対する操作であれば、左向き、右向き、上向き、下向きのフリック操作をそれぞれ操作C1、C2、C3、C4として受け付け、ダブルタップを操作C5として受け付ける。操作受付部301は、受け付けた操作を示す操作データをサーバ装置10に送信する。サーバ装置10の指示受付部102は、本実施例では、送信されてきた操作データが操作C1~C5を表す場合、映像の切り替えの指示として受け付け、受け取った操作データを映像特定部103に供給する。
映像特定部103は、供給された操作データが示す操作に応じて、次に表示すべき対象の映像を特定する。本実施例では、映像特定部103は、操作C1、C2が行われた場合は、カメラ20が撮影した映像を次の表示対象の映像として特定する。映像特定部103は、例えば、操作C1の場合は表示中の選手よりも1つ順位が上の選手の映像を配信対象の映像として特定し、操作C2の場合は表示中の選手よりも1つ順位が下の選手の映像を配信対象の映像として特定する。
なお、映像特定部103は、順位が上又は下の選手が複数いる場合は、その中から最も消化ホール数が多い選手、ランキングが上位の選手又はランダムに選んだ選手等を、配信対象の映像として特定する。また、映像特定部103は、操作C3、C4、C5が行われた場合は、ユーザ端末40が撮影した映像を次の表示対象の映像として特定する。ここで、ユーザ端末40による映像の撮影について説明する。
ユーザ端末40には、映像配信システム1において配信される映像を撮影するためのアプリケーションプログラムが記憶されている。ユーザがそのプログラムを起動すると、ユーザ端末40は、映像撮影用の画面を表示する。
図12は映像撮影用の画面の一例を表す。図12の例では、ユーザ端末40は、「配信用の映像を撮影しますか?」という文字列と、はいボタンB1とを表示している。
はいボタンB1を押す操作が行われると、ユーザ端末40の撮影部401は、映像の撮影を開始して、撮影した映像と撮影時刻とを示す映像データを送信部403に供給する供給処理を、撮影処理と並行して行う。ユーザ端末40の測定部402は、撮影部401による撮影開始と共に、自端末のカメラ位置及びカメラ方向を、一定の時間間隔(例えば1秒毎)で繰り返し測定する。
測定部402は、カメラ位置及びカメラ方向の測定結果と測定時刻とを示す測定データを送信部403に供給する供給処理を、測定処理と並行して行う。以上のとおり、送信部403には、映像データ及び測定データが供給されてくる。送信部403は、各部から供給されたデータに自端末を識別する端末IDを付加して、ユーザが撮影した競技エリアを示すユーザ映像データとしてサーバ装置10に送信する。
サーバ装置10の取得部101は、複数のユーザ端末40からそれぞれ送信されてきた複数のユーザ映像データを取得する。取得部101は、ユーザ映像データが示す映像、すなわち、ユーザが撮影した競技エリアの映像を取得する。上記のとおり、取得部101は、カメラ20が撮影した映像と、ユーザ端末40が撮影した映像をそれぞれ取得する。
つまり、取得部101は、競技エリア内を放送事業者等の事業者のカメラ20が撮影した映像(以下「事業者映像」と言う)を取得する。この場合の取得部101は本発明の「第1取得部」の一例であり、事業者映像は本発明の「第1映像」の一例である。ここでいう「事業者」は、映像の配信を行う立場の事業者のことであり、カメラ20の所有者であってもよいし、カメラ20を所有せずに例えばレンタルしてカメラマンに撮影させている放送事業者等であってもよい。
また、取得部101は、スポーツの観戦者のユーザ端末40が競技エリア内を撮影した映像(以下「ユーザ映像」と言う)を取得する。この場合の取得部101は本発明の「第2取得部」の一例であり、ユーザ映像は本発明の「第2映像」の一例である。ここでいう「観戦者」は、映像が配信されるスポーツを現地にて観戦する者であり、映像配信システム1においては、観戦者であると共に映像の撮影者でもある。
映像特定部103は、上述したとおり、操作C1、C2が行われた場合は事業者映像を表示対象の映像として特定し、操作C3、C4、C5が行われた場合はユーザ映像を表示対象の映像として特定する。映像特定部103は、操作C3、C4が行われた場合、例えば、表示中の映像を撮影しているカメラ20との距離(以下「カメラ距離」と言う)に応じてユーザ映像を特定する。
映像特定部103は、例えば操作C3が1回行われるとカメラ距離が最も近いユーザ端末40の映像を表示対象の映像として特定し、操作C3がもう1回行われるとカメラ距離が2番目に近いユーザ端末40の映像を表示対象の映像として特定する。映像特定部103は、同様にして、操作C3が行われる度にカメラ距離が少しずつ長くなるようにユーザ映像を特定する。
映像特定部103は、反対に、操作C4が行われる度にカメラ距離が少しずつ短くなるようにユーザ映像を特定する。ただし、この方法では離れた場所の映像が特定されるまでに何回も操作しなければならないので、映像特定部103は、別の方法でもユーザ映像を特定する。具体的には、映像特定部103は、表示装置30を視聴する視聴者に視聴したい位置を指定させることで、指定された位置を撮影したユーザ映像を表示対象の映像として特定する。
ゴルフ場において視聴者が視聴したい位置は、例えば、ティーグラウンド周辺、2打目地点周辺、3打目地点周辺、グリーン周辺といように予め想定可能である。映像配信システム1においては、各ホールにおいて想定される視聴者が視聴したい位置を撮影可能な区域(以下「撮影区域」と言う)が予め定められ、定められた撮影区域を示す区域情報をサーバ装置10が記憶しているものとする。
図13は撮影区域の一例を表す。図13では、選手P1がプレーしているホールの競技エリアF1と、観戦エリアF2とが表されている。図13の例では、ティーグラウンドを含む撮影区域D1と、2打目地点を含む撮影区域D2と、グリーンを含む撮影区域D3とが表されている。なお、撮影区域としては、プレー中の選手だけでなく、例えばグリーン、橋及び花等の景色をきれいに撮影できる区域が定められてもよい。
映像配信部105は、図11で述べた操作C5が行われた場合、表示中の選手の映像のカメラ位置に最も近い撮影区域と、その前後の撮影区域とを選択する選択画像を表示装置30に表示させる。
図14は選択画像の一例を表す。図14の例では、表示装置30の表示面351に、図13に表すホールのティーグラウンドにいる選手Tを撮影する事業者映像E2及びプレー画像H2(ホールの情報等を示す画像)が表示されている。
映像配信部105は、事業者映像E2に重ねて、「前のホール」、「1打目地点」、「2打目地点」、「3打目地点」、「次のホール」という各撮影区域を選択する選択画像B10を表示させている。図14の状態では、「1打目地点」の撮影区域が仮に選択された状態になっている。上下方向の操作C3、C4によって仮の選択対象の撮影区域が切り替わり、操作C5を再度行った時点で仮の選択対象となっている撮影区域が正式に選択される。
視聴者が例えば「2打目地点」の選択画像を選択すると、映像特定部103は、図13に表す撮影区域D2にカメラ位置が含まれるユーザ端末40によって撮影された映像を、表示対象の映像として特定する。映像特定部103は、撮影区域D2の映像が複数ある場合は、例えばランダムに選択した映像を表示対象の映像として特定する。映像配信部105は、特定された映像を表示装置30に表示させる。
図15は表示されたユーザ映像の一例を表す。図15の例では、映像配信部105が、撮影区域D2からティーグラウンドの方向を撮影したユーザ映像E3と、「2打目地点」の撮影区域が仮に選択された状態の選択画像B10とを表示面351に表示させている。ユーザ映像E3を撮影するユーザ端末40は選手と対応付けられていないため、ユーザ映像E3にはホール画像が表示されていない。
なお、映像特定部103は、例えば上述したカメラ距離が最も短い(又は最も長い)ユーザ端末40によって撮影された映像を表示対象の映像として特定してもよい。また、競技エリアF1との距離が最も短い(又は最も長い)ユーザ端末40によって撮影された映像を表示対象の映像として特定してもよい。また、映像特定部103は、選択画像B10が表示された状態で左右方向の操作C1、C2が行われると、上述した事業者映像ではなく、選択された撮影区域のユーザ映像のうちの他のユーザ映像を表示対象の映像として特定する(つまり特定するユーザ映像を切り替える)。
ユーザ映像の切替方法は、ランダムでもよいし、カメラ距離又は競技エリアF1との距離が短い方(又は長い方)から順番でもよい。以上のとおりユーザ映像が特定されることで、映像配信部105は、競技エリア内の撮影区域を指定されると、指定された撮影区域のユーザ端末40が撮影した映像をユーザ映像として表示させる。なお、撮影区域の指定は別の方法で行われてもよい。
例えば、操作C5が行われると、映像配信部105が競技エリアの地図を表示させ、視聴者が地図上で観たい位置を指示する。映像特定部103は、指示された位置を含む撮影区域が指定されたと判断し、ユーザ映像を特定する。この場合も、映像配信部105は、指定された撮影区域のユーザ端末40が撮影した映像をユーザ映像として切り替える。
選択画像が表示されたままだとユーザ映像の切り替えしかできないので、映像配信部105は、所定の終了操作(例えばピンチイン等)が行われると、選択画像の表示を終了させる。以上のとおり、映像配信部105は、取得部101により取得された事業者映像及びユーザ映像を視聴者の操作に応じて切り替えながら同一の表示領域(本実施例では表示装置30の表示面351)に表示させる。映像配信部105は本発明の「表示制御部」の一例である。
映像配信システム1が備える各装置は、上記の構成に基づいて、スポーツ選手の映像を配信する配信処理を行う。
図16は配信処理における各装置の動作手順の一例を表す。図16では、カメラ20及びユーザ端末40が1台ずつだけ表されているが、他のカメラ20及びユーザ端末40も同じ動作を行うものとする。図16に表す動作手順は、例えば、スポーツ中継が始まったことを契機に開始される。
まず、カメラ20(撮影部201)は、選手の映像を撮影する(ステップS11)。次に、カメラ20(測定部202)は、カメラ位置等を測定する(ステップS12)。続いて、カメラ20(入力受付部203)は、撮影対象の選手が打球状態等の特定の状態になったことを表す操作を受け付ける(ステップS13)。そして、カメラ20(送信部204)は、ステップS21からS23までの動作で取得されるデータにカメラIDを付加した選手データをサーバ装置10に送信する(ステップS14)。
サーバ装置10(取得部101)は、複数のカメラ20からそれぞれ送信されてきた選手データが示す映像を事業者映像として取得する(ステップS15)。一方、ユーザ端末40(撮影部401)は、競技エリアの映像を撮影する(ステップS21)。次に、ユーザ端末40(測定部402)は、カメラ位置等を測定する(ステップS22)。続いて、ユーザ端末40(送信部403)は、ステップS11及びS12の動作で取得されるデータにカメラIDを付加したユーザ映像データをサーバ装置10に送信する(ステップS23)。
サーバ装置10(取得部101)は、複数のユーザ端末40からそれぞれ送信されてきたユーザ映像データが示す映像をユーザ映像として取得する(ステップS24)。ステップS11からS15までの動作と、ステップS21からS24までの動作は並行して且つ繰り返し行われる。また、ステップS11からS13までとステップS21及びS22の動作はそれぞれ順番が異なっていてもよい。
ここで、表示装置30から映像の配信開始の指示がされたものとする。まず、サーバ装置10(映像特定部103)は、取得された事業者映像の中から最初の配信対象の映像を特定する(ステップS31)。次に、サーバ装置10(映像配信部105)は、特定された事業者映像の映像データを、配信開始の指示をしてきた表示装置30に送信する(ステップS32)。表示装置30(映像表示部303)は、送信されてきた映像データが示す映像を自装置の表示面351に表示する(ステップS33)。
その後、表示装置30に対して映像の切替操作がされたものとする。表示装置30(操作受付部301)は、その切替操作を受け付け(ステップS41)、受け付けた切替操作を示す操作データをサーバ装置10に送信する(ステップS42)。サーバ装置10(映像特定部103)は、送信されてきた操作データが示す切替操作に応じて、事業者映像及びユーザ映像のいずれかの映像を表示対象の映像として特定する(ステップS43)。
次に、サーバ装置10(映像配信部105)は、特定された表示対象の映像を示す映像データを表示装置30に送信する(ステップS44)。表示装置30(映像表示部303)は、自装置の表示面351に表示している映像を、送信されてきた映像データが示す映像に切り替える(ステップS45)。ステップS41からS45までの動作は、視聴者が切替操作を行う度に行われる。
本実施例では、カメラ20が撮影した事業者映像だけでなく、観戦者がユーザ端末40で撮影したユーザ映像も配信される。これにより、事業者映像だけが配信される場合に比べて、スポーツが行われている現地で撮影されたより多くの映像を視聴可能にすることができる。また、図13に表すような撮影区域を指定させることで、視聴者が観たい場所又は観たい場所でのプレーを映すユーザ映像を表示させることができる。
[2]変形例
上述した実施例は本発明の実施の一例に過ぎず、以下のように変形させてもよい。また、実施例及び各変形例は必要に応じてそれぞれ組み合わせてもよい。その際は、各変形例について優先順位を付けて(各変形例を実施すると競合する事象が生じる場合にどちらを優先するかを決める順位付けをして)実施してもよい。
[2-1]スポーツ
映像配信システム1は、ゴルフ以外にも、例えば、マラソン、駅伝、自転車競技、自動車競技等を配信してもよい。映像配信システム1は、上記のとおり事業者映像に加えてユーザ映像を配信するので、競技エリアの中又は近辺まで観客が近寄って観戦可能なスポーツであれば、どのようなスポーツの映像を配信してもよい。
[2-2]飛球方向の映像
映像配信部105は、切替操作が行われた場合に、実施例とは異なる方法で映像を切り替えてもよい。映像配信部105は、例えば、表示装置30に表示中の選手がボールを打つ飛球方向に位置するユーザ端末40が撮影した映像をユーザ映像として表示させる。
図17は飛球方向の一例を表す。図17の例では、図13と同じホールが表されており、ティーグラウンドにいる選手P1の後ろからカメラ20が選手P1を撮影している。そのため、選手P1の飛球方向は、カメラ20のカメラ方向と重なっている。図17には、カメラ位置からカメラ方向(飛球方向)に向かう所定の長さの仮想の線分J1が表されている。
所定の長さは、例えば、カメラ位置がティーグラウンドであればドライバーの最大飛距離(350ヤード程度)が用いられ、カメラ位置がフェアウェイであればグリーンまでの距離が用いられる。本変形例では、映像特定部103が、仮想の線分J1が存在するとした場合に、線分J1との距離が閾値以内の領域を飛球方向の領域K1として、領域K1に位置するユーザ端末40を飛球方向に位置するユーザ端末40として特定する。
映像特定部103は、特定したユーザ端末40が撮影したユーザ映像のうちのいずれかを表示対象の映像として特定する。複数のユーザ端末40が特定された場合のユーザ映像の選び方は、実施例で述べた方法(ランダム等)でもよいし、線分J1との距離が短い(又は長い)方から順番でもよい。映像配信部105は、切替操作が行われた場合に、以上のとおり特定された映像を配信することで、表示中の飛球方向に位置するユーザ端末40のユーザ映像を表示させる。
飛球方向にいる観戦者は、ボールが飛んでくるとそのボール及びボールの周辺を撮影することになりやすい。本変形例によれば、飛球方向に関係なく映像を配信する場合に比べて、選手が打ったボールの映像及びそのボールの落下地点周辺の映像を視聴しやすくすることができる。なお、飛球方向の領域の形状は領域K1の形状に限らない。
図18は飛球方向の領域の例を表す。図18(a)では、カメラ位置の周辺を含まずに、カメラ位置から所定の距離L2だけカメラ方向に離れた地点を中心とした飛球方向の領域K2が表されている。領域K1では、選手P1とボールの落下地点の間に位置するユーザ端末40も特定されるが、領域K2の場合、ボールの落下地点の周辺のユーザ端末40だけが特定される。なお、領域K2は円形で表されているが、楕円形でもよいし、四角形等の多角形でもよい。
図18(b)では、カメラ位置から離れるほど(奥になるほど)幅が広くなる飛球方向の領域K3が表されている。領域K3は、所定の距離が長くなるほど幅も広くなる領域である。ゴルフでは、飛距離が長いほど曲がり幅も大きくなりやすいので、領域K3を用いることで、ボールが曲がったときでもボールの到達地点が領域内に収まりやすくなる。
一方、選手を観戦する観戦者は選手の近くに集まっている場合が多いので、選手に近い手前側の幅まで広くすると、選手を観ていない観戦者のユーザ端末40まで特定されやすくなる。領域K3では手前側の幅が狭いので、選手を観ていない観戦者のユーザ端末40が特定されにくくなっている。また、選手の球筋(ドロー又はフェード)によって領域を変えてもよい
図18(c)では、左側を広くした飛球方向の領域K4が表されており、図18(d)では、右側を広くした飛球方向の領域K5が表されている。映像特定部103は、表示中の選手がドローヒッターであれば領域K4を用いてユーザ端末40を特定し、表示中の選手がフェードヒッターであれば領域K5を用いてユーザ端末40を特定する。各選手の球筋は、選手ID等に対応付けて予めサーバ装置10に記憶されていればよい。
また、映像配信部105は、各選手のボールの飛距離に応じて飛球方向の領域を変化させてもよい。その場合、例えば、サーバ装置10が、各選手のボールの飛距離を表す飛距離情報を記憶しておき、映像特定部103が、表示中の選手の飛距離が長いほど図17に表す線分J1を長くしてユーザ端末40を特定する。飛距離情報は、例えばドライバーの飛距離だけを表してもよいし、クラブの番手毎の飛距離を表してもよい。
図19は飛距離情報の一例を表す。図19の例では、選手IDが「A001」の選手は、ドライバー(D)が310ヤード、3番ウッド(3W)が280ヤード、5番ウッド(5W)が260ヤード、3番アイアン(3I)が240ヤード、・・・、サンドウェッジ(SW)が110ヤードであることが表されている。番手毎の飛距離を用いる場合、例えば、カメラマンが、撮影対象の選手が用いるクラブの種類をカメラ20に入力する。
カメラ20の送信部204は、入力されたクラブの種類を示す選手データを送信する。操作受付部301は、送信されてきた選手データが示すクラブの種類を、表示中の選手が使用するクラブの種類として特定する。この場合の操作受付部301は本発明の「クラブ特定部」の一例である。
なお、クラブの種類の特定方法はこれに限らない。例えば、操作受付部301は、選手が持っているクラブの映像からフェースの開き角度及びシャフトの長さ等を解析してクラブの種類を特定してもよい。映像特定部103は、例えば、特定したクラブの種類について飛距離情報が示す飛距離が長いほど図18(a)に表す距離L2を長くした飛球方向の領域K2を用いてユーザ端末40を特定する。
映像配信部105は、切替操作が行われた場合に、以上のとおり特定された映像を配信することで、特定されたクラブの種類に応じた飛距離が長いほど表示中の選手から飛球方向に離れる領域K2に位置するユーザ端末40が撮影した映像をユーザ映像として表示させる。選手の番手毎の飛距離に応じて領域K2までの距離L2を変化させることで、距離L2が固定されている場合に比べて、ボールの落下地点周辺をより近くから撮影した映像を視聴させることができる。
なお、上記の説明では、飛球方向の起点がカメラ位置であった。これは、ゴルフのように広い競技エリアにおいて短い撮影距離を維持しながら撮影可能なスポーツでは、カメラ位置がそのまま選手の位置として用いられてもよいからである。しかし、より厳密にするため、プレー位置(選手の位置)を起点にして飛球方向が定められてもよい。プレー位置は、実施例で述べたようにカメラ位置及びカメラ方向から算出される。
[2-3]選手の位置
上記のプレー位置(選手の位置)は、撮影距離(カメラマンと選手との距離)が一定である前提で算出されたが、撮影距離を一定にするのが難しい場合がある。その場合、選手の映像から撮影距離が算出されてもよい。例えば、映像特定部103が、各選手の身長データを予め記憶しておき、取得された映像からパターン認識技術又は機械学習の技術を用いて選手の姿を認識する。そして、映像特定部103は、認識した選手の画像内の大きさと実際の身長とから選手までの距離、すなわち撮影距離を算出し、算出した撮影距離を用いて選手の位置を算出する。
[2-4]特定の状態の選手
実施例では、カメラ20に対して特定の操作が行われたときに選手が特定の状態(準備状態、打球状態及び移動状態)になったことが表されたが、代わりに、選手の映像から特定の状態になったことが判断されてもよい。例えば、映像特定部103が、特定の状態における人の動きを示すデータを予め記憶しておく。
そして、映像特定部103は、蓄積された映像からパターン認識技術等を用いて選手の姿を認識し、認識した姿が示す動きと特定の状態における人の動きとの類似度が閾値以上になった場合に、その選手が特定の状態であると判断する。なお、人の動きを示すデータがなくとも、映像特定部103は、機械学習の技術を用いて、特定の状態における選手の映像の特徴を学習することで、特定の状態にある選手を判断してもよい。
[2-5]人気の高い被写体
映像配信部105は、切替操作が行われた場合に、実施例とは異なる方法で映像を切り替えてもよい。映像配信部105は、例えば、競技エリアにおいて所定の台数以上のユーザ端末40によって撮影される被写体がある場合に、その被写体の映像をユーザ映像として表示させる。
被写体とは、例えば、競技エリア内の特定の場所である。サーバ装置10は、例えば、ゴルフ場において被写体の候補となる特定の場所の位置情報を記憶しておく。被写体の候補には、例えば、各ホールのティーグラウンド、2打目地点及びグリーン等のようにプレーが行われる場所の他、池、花、橋及びクラブハウス等の風景として撮影対象となる場所も含まれる。
映像特定部103は、ユーザ端末40のカメラ位置からカメラ方向の向きに一定の距離(撮影可能な距離)以内に存在する特定の場所を、そのユーザ端末40の被写体として特定する。映像特定部103は、各ユーザ端末40について被写体を特定し、特定されたユーザ端末40の台数を被写体毎に計数する。映像特定部103は、計数した台数が所定の台数以上である被写体がある場合、その被写体の映像を表示対象の映像として特定する。
映像特定部103は、複数の被写体の映像が特定された場合、例えば計数した台数が最も多い被写体の映像を表示対象の映像として特定する。映像特定部103は、計数した台数の分だけ特定した被写体の映像が撮影されているので、例えばランダムに選択した映像又は被写体との距離が近い方から順番に表示対象の映像として特定する。また、被写体の撮影に適した位置が決まっている場合は、映像特定部103は、撮影に適した位置に近いユーザ端末40が撮影した映像から順番に表示対象の映像として特定してもよい。
なお、被写体は、特定の場所の他にも、例えば、観戦対象のスポーツを行う選手であってもよい。映像特定部103は、各選手の位置を、カメラ20のカメラ位置及びカメラ方向から判断する。そして、映像特定部103は、ユーザ端末40のカメラ位置からカメラ方向の向きに一定の距離(撮影可能な距離)以内に存在する選手を、そのユーザ端末40の被写体として特定する。
なお、映像特定部103は、各選手の顔、体型又は服装等の特徴を示す情報を記憶しておき、ユーザ映像を解析して被写体となっている選手を特定してもよい。映像特定部103は、被写体の選手を特定した後は、特定の場所の場合と同様に表示対象の映像を特定する。なお、映像特定部103は、被写体として、特定の場所及び選手の両方を特定してもよい。
いずれの場合も、映像配信部105は、切替操作が行われた場合に、以上のとおり特定された映像を配信することで、競技エリアにおいて所定の台数以上のユーザ端末40によって撮影される被写体の映像をユーザ映像として表示させる。本変形例によれば、被写体の共通性に関係なく映像を配信する場合に比べて、より多くの観戦者が撮影する人気のある被写体(名物グリーン又は人気の選手等)のユーザ映像が視聴されやすいようにすることができる。
[2-6]SNSの活用
映像の切り替えにSNS(Social Networking Service)が活用されてもよい。SNSとは、インターネット上で社会的ネットワーク(ソーシャル・ネットワーク)を構築可能にするサービスのことであり、観戦者が観戦中のスポーツの状況をSNSで投稿することはよく行われている。
そこで、本変形例では、映像配信部105が、競技エリア内の撮影対象のうちSNSの投稿状況が所定の切替条件を満たす撮影対象の映像をユーザ映像として表示させる。撮影対象は、特定の場所でもよいし、特定の選手でもよい。切替条件としては、例えば、所定の期間の投稿数が閾値以上であるという条件が用いられる。所定の期間としては、トーナメントの初日から現在までの期間、当日朝から現在までの期間又は直近の1時間の期間等が用いられる。
映像特定部103は、撮影対象に関する投稿に含まれると想定される語句(ゴルフ場名、トーナメント名、ホール数及びホールの愛称等)を記憶しておき、記憶した語句を含む所定の期間の投稿数を計数する。映像特定部103は、計数した投稿数が閾値以上である場合、対応する語句が想定された撮影対象の映像を表示対象の映像として特定する。なお、映像特定部103は、撮影対象の画像(グリーンの写真等)を記憶しておき、記憶した画像と合致する画像を含む投稿を含めて計数してもよい。
映像配信部105は、切替操作が行われた場合に、以上のとおり特定された映像を配信することで、SNSの投稿状況が所定の切替条件を満たす撮影対象の映像をユーザ映像として表示させる。本変形例によれば、SNSを活用しない場合に比べて、SNSで話題になっている撮影対象(特定の場所又は選手等)のユーザ映像が視聴されやすいようにすることができる。
[2-7]選手映像に絞込み
観戦者は常に選手の近くにいるわけではないので、ユーザ映像には、選手が映っている映像もあれば、風景だけが映っている映像もある。一方、視聴者によっては、選手が映っている映像だけを観たい場合がある。そこで、本変形例では、映像配信部105が、取得部101により取得されたユーザ映像のうちの選手を撮影した映像を表示させる。
映像特定部103は、例えば上記の変形例で述べたように、選手の位置又は映像の解析によって各ユーザ映像の被写体を特定する。そして、映像特定部103は、例えば実施例で述べたように指定された撮影区域のユーザ端末40が撮影したユーザ映像が複数ある場合、被写体として選手が特定されたユーザ映像だけを表示対象の映像として特定する。
映像配信部105は、切替操作が行われた場合に、以上のとおり特定された映像を配信することで、選手を撮影した映像だけをユーザ映像として表示させる。本変形例によれば、選手が映っていないユーザ映像が表示されなくなるので、選手の有無に関係なく映像を配信する場合に比べて、選手のプレーをより多く視聴させることができる。
[2-8]映像の画質
ユーザが利用するユーザ端末40には様々な性能の端末が混在しているため、ユーザ映像も様々な画質の映像が混在している。そこで、本変形例では、映像配信部105が、取得部101により取得されたユーザ映像を、所定の画質に近いものほど優先して表示させる。
所定の画質とは、例えば、解像度が所定の値又は所定の値の範囲となっている映像の画質である。なお、解像度の代わりに画素数、色数又はフレームレート等が用いられてもよいし、それらの組み合わせが用いられてもよい。また、所定の画質を、ユーザ端末40の撮影装置45の性能に基づいて表してもよい。例えば光学ズーム機能を有する撮影装置45の映像の画質を所定の画質としてもよい。
ユーザ端末40の送信部403は、ユーザ映像の画質を示す情報を付加したユーザ映像データをサーバ装置10に送信する。映像特定部103は、例えば実施例で述べた撮影区域のユーザ映像が複数ある場合、各ユーザ映像を示すユーザ映像データによって示される画質が所定の画質に近いものから順番に優先順位を決定する。映像特定部103は、決定した優先順位が高いユーザ映像から順番に表示対象の映像として特定する。
映像配信部105は、切替操作が行われた場合に、以上のとおり特定された映像を配信することで、所定の画質に近いユーザ映像ほど優先して表示させる。本変形例によれば、画質に関係なく配信が行われた場合に比べて、例えば高解像度のユーザ映像をより多く視聴させることができる。また、例えば解像度が高すぎるとユーザ端末40からサーバ装置10に送信する際に遅延が生じやすい場合には、遅延が生じない程度の画質に抑えることで、ユーザ映像の表示に遅延が生じにくいようにすることができる。
[2-9]各機能を実現する装置
図6に表す各機能を実現する装置は、上述した装置に限らない。例えば、サーバ装置10が実現する機能の一部(映像特定部103及び集計部104等)を外部装置が実現してもよい。なお、サーバ装置10及び外部装置は、いずれも、クラウドサービスにより提供されるコンピュータ資源であってもよい。
また、例えば上記の変形例では、映像特定部103が表示対象の映像の特定と、クラブの種類の特定又は被写体の特定とを行っていたが、各動作を別々の機能が行ってもよい。また、映像特定部103による映像の特定と映像配信部105による映像の配信等を1つの機能が行ってもよい。要するに、映像配信システム1全体として図6に表された機能が実現され、選手の映像が配信されるようになっていれば、装置毎の機能分担及び各機能が行う動作の範囲は自由に定められてよい。
[2-10]発明のカテゴリ
本発明は、上述したサーバ装置10及び表示装置30という情報処理装置の他、それらの情報処理装置及びカメラ20及びユーザ端末40のような撮影手段を備える情報処理システム(映像配信システム1はその一例)としても捉えられる。また、本発明は、それらの情報処理装置が実施する処理を実現するための情報処理方法としても捉えられるし、それらの情報処理装置を制御するコンピュータを機能させるためのプログラムとしても捉えられる。このプログラムは、それを記憶させた光ディスク等の記録媒体の形態で提供されてもよいし、インターネット等のネットワークを介してコンピュータにダウンロードさせ、それをインストールして利用可能にするなどの形態で提供されてもよい。
[2-11]機能ブロック
なお、上記実施例の説明に用いたブロック図は、機能単位のブロックを示している。これらの機能ブロック(構成部)は、ハードウェア及びソフトウェアの少なくとも一方の任意の組み合わせによって実現される。また、各機能ブロックの実現方法は特に限定されない。
すなわち、各機能ブロックは、物理的又は論理的に結合した1つの装置を用いて実現されてもよいし、物理的又は論理的に分離した2つ以上の装置を直接的又は間接的に(例えば、有線、無線などを用いて)接続し、これら複数の装置を用いて実現されてもよい。機能ブロックは、上記1つの装置又は上記複数の装置にソフトウェアを組み合わせて実現されてもよい。
機能には、判断、決定、判定、計算、算出、処理、導出、調査、探索、確認、受信、送信、出力、アクセス、解決、選択、選定、確立、比較、想定、期待、見做し、報知(broadcasting)、通知(notifying)、通信(communicating)、転送(forwarding)、構成(configuring)、再構成(reconfiguring)、割り当て(allocating、mapping)、割り振り(assigning)などがあるが、これらに限られない。たとえば、送信を機能させる機能ブロック(構成部)は、送信部(transmitting unit)や送信機(transmitter)と呼称される。いずれも、上述したとおり、実現方法は特に限定されない。
[2-12]入出力の方向
情報等(※「情報、信号」の項目参照)は、上位レイヤ(又は下位レイヤ)から下位レイヤ(又は上位レイヤ)へ出力され得る。複数のネットワークノードを介して入出力されてもよい。
[2-13]入出力された情報等の扱い
入出力された情報等は特定の場所(例えば、メモリ)に保存されてもよいし、管理テーブルを用いて管理してもよい。入出力される情報等は、上書き、更新、又は追記され得る。出力された情報等は削除されてもよい。入力された情報等は他の装置へ送信されてもよい。
[2-14]判定方法
判定は、1ビットで表される値(0か1か)によって行われてもよいし、真偽値(Boolean:true又はfalse)によって行われてもよいし、数値の比較(例えば、所定の値との比較)によって行われてもよい。
[2-15]適用システム
本開示において説明した各態様/実施例は、LTE(Long Term Evolution)、LTE-A(LTE-Advanced)、SUPER 3G、IMT-Advanced、4G(4th generation mobile communication system)、5G(5th generation mobile communication system)、FRA(Future Radio Access)、NR(new Radio)、W-CDMA(登録商標)、GSM(登録商標)、CDMA2000、UMB(Ultra Mobile Broadband)、IEEE 802.11(Wi-Fi(登録商標))、IEEE 802.16(WiMAX(登録商標))、IEEE 802.20、UWB(Ultra-WideBand)、Bluetooth(登録商標)、その他の適切なシステムを利用するシステム及びこれらに基づいて拡張された次世代システムの少なくとも一つに適用されてもよい。また、複数のシステムが組み合わされて(例えば、LTE及びLTE-Aの少なくとも一方と5Gとの組み合わせ等)適用されてもよい。
[2-16]処理手順等
本開示において説明した各態様/実施例の処理手順、シーケンス、フローチャートなどは、矛盾の無い限り、順序を入れ替えてもよい。例えば、本開示において説明した方法については、例示的な順序を用いて様々なステップの要素を提示しており、提示した特定の順序に限定されない。
[2-17]入出力された情報等の扱い
入出力された情報等は特定の場所(例えばメモリ)に保存されてもよいし、管理テーブルで管理してもよい。入出力される情報等は、上書き、更新、又は追記され得る。出力された情報等は削除されてもよい。入力された情報等は他の装置へ送信されてもよい。
[2-18]ソフトウェア
ソフトウェアは、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコード、ハードウェア記述言語と呼ばれるか、他の名称で呼ばれるかを問わず、命令、命令セット、コード、コードセグメント、プログラムコード、プログラム、サブプログラム、ソフトウェアモジュール、アプリケーション、ソフトウェアアプリケーション、ソフトウェアパッケージ、ルーチン、サブルーチン、オブジェクト、実行可能ファイル、実行スレッド、手順、機能などを意味するよう広く解釈されるべきである。
また、ソフトウェア、命令、情報などは、伝送媒体を介して送受信されてもよい。例えば、ソフトウェアが、有線技術(同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア、デジタル加入者回線(DSL:Digital Subscriber Line)など)及び無線技術(赤外線、マイクロ波など)の少なくとも一方を使用してウェブサイト、サーバ、又は他のリモートソースから送信される場合、これらの有線技術及び無線技術の少なくとも一方は、伝送媒体の定義内に含まれる。
[2-19]システム等
本開示において使用する「システム」及び「ネットワーク」という用語は、互換的に使用される。
[2-20]パラメータ等
本開示において説明した情報、パラメータなどは、絶対値を用いて表されてもよいし、所定の値からの相対値を用いて表されてもよいし、対応する別の情報を用いて表されてもよい。
[2-21]サーバ/クライアント
サーバ及びクライアントの少なくとも一方は、送信装置、受信装置、通信装置などと呼ばれてもよい。なお、サーバ及びクライアントの少なくとも一方は、移動体に搭載されたデバイス、移動体自体などであってもよい。当該移動体は、乗り物(例えば、車、飛行機など)であってもよいし、無人で動く移動体(例えば、ドローン、自動運転車など)であってもよいし、ロボット(有人型又は無人型)であってもよい。
なお、サーバ及びクライアントの少なくとも一方は、必ずしも通信動作時に移動しない装置も含む。例えば、基地局及び移動局の少なくとも一方は、センサなどのIoT(Internet of Things)機器であってもよい。また、本開示におけるサーバは、クライアント端末で読み替えてもよい。
例えば、サーバ及びクライアント端末間の通信を、複数のユーザ端末間の通信(例えば、D2D(Device-to-Device)、V2X(Vehicle-to-Everything)などと呼ばれてもよい)に置き換えた構成について、本開示の各態様/実施例を適用してもよい。この場合、上述のサーバ装置10が有する機能をユーザ端末40が有する構成としてもよい。同様に、本開示におけるクライアント端末は、サーバで読み替えてもよい。この場合、上述のユーザ端末40が有する機能をサーバ装置10が有する構成としてもよい。
[2-22]情報、信号
本開示において説明した情報、信号などは、様々な異なる技術のいずれかを使用して表されてもよい。例えば、上記の説明全体に渡って言及され得るデータ、命令、コマンド、情報、信号、ビット、シンボル、チップなどは、電圧、電流、電磁波、磁界若しくは磁性粒子、光場若しくは光子、又はこれらの任意の組み合わせによって表されてもよい。
[2-23]「判断」、「決定」
本開示で使用する「判断(determining)」、「決定(determining)」という用語は、多種多様な動作を包含する場合がある。「判断」、「決定」は、例えば、判定(judging)、計算(calculating)、算出(computing)、処理(processing)、導出(deriving)、調査(investigating)、探索(looking up、search、inquiry)(例えば、テーブル、データベース又は別のデータ構造での探索)、確認(ascertaining)した事を「判断」「決定」したとみなす事などを含み得る。
また、「判断」、「決定」は、受信(receiving)(例えば、情報を受信すること)、送信(transmitting)(例えば、情報を送信すること)、入力(input)、出力(output)、アクセス(accessing)(例えば、メモリ中のデータにアクセスすること)した事を「判断」「決定」したとみなす事などを含み得る。また、「判断」、「決定」は、解決(resolving)、選択(selecting)、選定(choosing)、確立(establishing)、比較(comparing)などした事を「判断」「決定」したとみなす事を含み得る。つまり、「判断」「決定」は、何らかの動作を「判断」「決定」したとみなす事を含み得る。また、「判断(決定)」は、「想定する(assuming)」、「期待する(expecting)」、「みなす(considering)」などで読み替えられてもよい。
[2-24]「に基づいて」の意味
本開示において使用する「に基づいて」という記載は、別段に明記されていない限り、「のみに基づいて」を意味しない。言い換えれば、「に基づいて」という記載は、「のみに基づいて」と「に少なくとも基づいて」の両方を意味する。
[2-25]「第1の」、「第2の」
本開示において使用する「第1の」、「第2の」などの呼称を使用した要素へのいかなる参照も、それらの要素の量又は順序を全般的に限定しない。これらの呼称は、2つ以上の要素間を区別する便利な方法として本開示において使用され得る。したがって、第1及び第2の要素への参照は、2つの要素のみが採用され得ること、又は何らかの形で第1の要素が第2の要素に先行しなければならないことを意味しない。
[2-26]「手段」
上記の各装置の構成における「手段」を、「部」、「回路」、「デバイス」等に置き換えてもよい。
[2-27]「含む」等
本開示において、「含む(include)」、「含んでいる(including)」及びそれらの変形が使用されている場合、これらの用語は、用語「備える(comprising)」と同様に、包括的であることが意図される。さらに、本開示において使用されている用語「又は(or)」は、排他的論理和ではないことが意図される。
[2-28]冠詞
本開示において、例えば、英語でのa,an及びtheのように、翻訳により冠詞が追加された場合、本開示は、これらの冠詞の後に続く名詞が複数形であることを含んでもよい。
[2-29]「異なる」
本開示において、「AとBが異なる」という用語は、「AとBが互いに異なる」ことを意味してもよい。なお、当該用語は、「AとBがそれぞれCと異なる」ことを意味してもよい。「離れる」、「結合される」などの用語も、「異なる」と同様に解釈されてもよい。
[2-30]「及び」、「又は」
本開示において、「A及びB」でも「A又はB」でも実施可能な構成については、一方の表現で記載された構成を、他方の表現で記載された構成として用いてもよい。例えば「A及びB」と記載されている場合、他の記載との不整合が生じず実施可能であれば、「A又はB」として用いてもよい。
[2-31]態様のバリエーション等
本開示において説明した各態様/実施例は単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよいし、実行に伴って切り替えて用いてもよい。また、所定の情報の通知(例えば、「Xであること」の通知)は、明示的に行うものに限られず、暗黙的(例えば、当該所定の情報の通知を行わない)ことによって行われてもよい。
以上、本開示について詳細に説明したが、当業者にとっては、本開示が本開示中に説明した実施例に限定されるものではないということは明らかである。本開示は、請求の範囲の記載により定まる本開示の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本開示の記載は、例示説明を目的とするものであり、本開示に対して何ら制限的な意味を有するものではない。