JP7297201B2 - マグネシウム合金成形品の製造方法及びマグネシウム合金用添加剤 - Google Patents

マグネシウム合金成形品の製造方法及びマグネシウム合金用添加剤 Download PDF

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Description

本発明は、マグネシウム合金成形品の製造方法に関する。また、本発明は、マグネシウム合金用添加剤及びその製造方法に関する。
マグネシウム合金は、実用金属中で最も軽いため比強度が高く、放熱性が良好であり、なおかつ樹脂に比べてリサイクル性に優れる。そのため、マグネシウム合金成形品は、電気機器、自動車又はレジャー用品などをはじめとする、幅広い分野において用いられている。
近年、マグネシウム合金成形品の薄肉化や歩留まりの向上を実現するため、成形品の機械的特性のさらなる向上が求められている。マグネシウム合金成形品の機械的特性を向上させる手段として、合金中に炭素を含有させる方法が知られている。しかしながら、炭素粉末をマグネシウム合金の溶湯に添加すると当該粉末が凝集してしまう。そのため、従来、マグネシウム合金中に炭素を添加する方法として、マグネシウム合金の溶湯にCClを添加する方法が用いられていた。しかしながら、当該方法は、添加したCClが分解することにより、塩素ガス等の有害物質が発生するため環境面に問題があり、これに代わる方法が求められていた。
マグネシウム合金中に炭素を添加する別の方法として、炭化アルミニウム(Al)粒子をマグネシウム合金の溶湯に添加する方法が知られている。非特許文献1には、マグネシウム合金の溶湯に炭化アルミニウム粒子を添加してから超音波をかけた後、当該溶湯を金型にキャストする鋳造方法が記載されている。しかしながら、当該方法では、マグネシウム合金中に炭化アルミニウム粒子を均一に分散させることが困難であり、得られる成形品の機械的特性が不十分であった。
S. Nimityongskul et al. Materials Science and Engineering A 527 (2010) 2104-2111
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、マグネシウム合金中に炭素が均一に分散したマグネシウム合金成形品の製造方法を提供することを目的とする。また、マグネシウム合金中に炭素を均一に分散させることができるマグネシウム合金用添加剤及びその製造方法を提供することを目的とする。
上記課題は、溶融したマグネシウム合金に、炭化アルミニウム及び炭素を含有する複合体を含む粉末を添加する、マグネシウム合金成形品の製造方法であって、前記粉末における、炭素元素に対するアルミニウム元素の原子比(Al/C)が3.2/3~3.8/3であり、かつ前記粉末の真密度が1.5~2.2g/cmである、マグネシウム合金成形品の製造方法を提供することによって解決される。
このとき、前記マグネシウム合金がアルミニウムを含有することが好ましい。
また、前記マグネシウム合金成形品がインゴットであることが好ましい。このとき、前記インゴットを用いてダイキャスト成形することがより好ましい。
上記課題は、炭化アルミニウム及び炭素を含有する複合体を含む粉末からなるマグネシウム合金用添加剤であって、前記粉末における、炭素元素に対するアルミニウム元素の原子比(Al/C)が3.2/3~3.8/3であり、かつ前記粉末の真密度が1.5~2.2g/cmである、添加剤を提供することによっても解決される。
また、上記課題は、アルミニウム粉末と炭素粉末とを加熱することにより前記複合体を含む粉末を得るマグネシウム合金用添加剤の製造方法であって、前記アルミニウム粉末の平均粒径が0.1~150μmであり、かつ前記炭素粉末の平均粒径が0.005~300μmである、前記添加剤の製造方法を提供することによっても解決される。
本発明のマグネシウム合金成形品の製造方法によれば、マグネシウム合金中に炭素が均一に分散したマグネシウム合金成形品が製造される。また、本発明のマグネシウム合金用添加剤を用いることによっても、マグネシウム合金中に炭素が均一に分散したマグネシウム合金成形品が製造される。さらに、本発明のマグネシウム合金用添加剤の製造方法によれば、このような添加剤を簡便に製造できる。
実施例1における、複合体を含む粉末のX線回折パターンである。 実施例1及び比較例1における、引張試験により得られた、変位と荷重の関係を示す図である。 実施例1における、マグネシウム合金成形品断面の電子顕微鏡写真である。 比較例1における、マグネシウム合金成形品断面の電子顕微鏡写真である。 実施例1における、マグネシウム合金成形品中の結晶の粒径分布を示す図である。 比較例1における、マグネシウム合金成形品中の結晶の粒径分布を示す図である。
本発明のマグネシウム合金成形品の製造方法は、溶融したマグネシウム合金に、炭化アルミニウム及び炭素を含有する複合体を含む粉末を添加する、マグネシウム合金成形品の製造方法であって、前記粉末における、炭素元素に対するアルミニウム元素の原子比(Al/C)が3.2/3~3.8/3であり、かつ前記粉末の真密度が1.5~2.2g/cmである、方法である。
本発明のマグネシウム合金成形品の製造方法に用いられる原料のマグネシウム合金は、マグネシウムを主成分とするものであればよい。前記マグネシウム合金中のマグネシウム元素の含有量は、通常50質量%以上であり、好適には80質量%以上である。前記マグネシウム合金としては、Mg-Al系合金、Mg-Al-Zn系合金、Mg-Al-Mn系合金、Mg-Zn-Zr系合金、Mg-希土類元素系合金、Mg-Zn-希土類元素系合金などが挙げられる。本発明のインゴットをダイキャスト成形に用いる場合には、AM60B、AM50A、AZ91D等のマグネシウム合金が用いられる。
耐食性の観点から、前記マグネシウム合金がアルミニウム元素を含有することが好ましい。前記マグネシウム合金中のアルミニウム元素の含有量は、好適には1質量%以上であり、より好適には5質量%以上である。一方、前記含有量は、好適には20質量%以下であり、より好適には15質量%以下である。
前記マグネシウム合金が亜鉛元素を含有する場合、その含有量は、通常、0.1質量%以上であり、好適には0.3質量%以上である。一方、前記含有量は、通常3質量%以下であり、好適には2質量%以下である。
耐食性向上の観点から、前記マグネシウム合金がマンガン元素を含有することも好ましい。前記マグネシウム合金中のマンガン元素の含有量は、好適には0.01質量%以上であり、より好適には0.05質量%以上である。一方、前記含有量は、好適には1質量%以下であり、より好適には0.5質量%以下である。
本発明のマグネシウム合金成形品の製造方法において、溶融した前記マグネシウム合金に炭化アルミニウム及び炭素を含有する複合体を含む粉末(以下、当該粉末を複合体粉末と略記することがある)を添加する。当該複合体粉末は、炭化アルミニウム及び炭素を含有する複合体を含み、前記粉末における、炭素元素に対するアルミニウム元素の原子比(Al/C)が3.2/3~3.8/3であり、かつ前記粉末の真密度が1.5~2.2g/cmであるものである。このような粉末を用いることが本発明の製造方法の最大の特徴である。従来、炭化アルミニウム(Al)を添加することにより、マグネシウム合金中に炭素を含有させる方法が知られていたが、炭化アルミニウムが溶解炉の底に沈降して、マグネシウム合金中に炭素が十分に分散せず、機械的特性が十分に向上しない場合や効果にばらつきがある場合があった。本発明者らは、マグネシウム合金中における炭素の分散性を改善させるべく鋭意検討を重ねた結果、後述する製造方法を採用することにより、炭化アルミニウム及び炭素を含有する複合体を含有し、炭化アルミニウム(Al)と比較して、真密度が低い粉末を製造できることを見出した。そして、当該複合体粉末を用いることにより、マグネシウム合金中に炭素を均一に分散させることが可能となり、機械的特性に優れたマグネシウム合金成形品の製造に成功した。
前記複合体粉末の製造方法として、アルミニウム粉末と炭素粉末とを加熱することにより前記複合体を含む粉末を得る方法が好ましい。
前記複合体粉末の製造に用いられるアルミニウム粉末の平均粒径が0.1~150μmであることが好ましい。前記平均粒径が0.1μm未満の場合、取り扱い難くなるおそれがある。前記平均粒径は1μm以上がより好ましい。一方、前記平均粒径が150μmを超える場合、アルミニウム粉末と炭素粉末との反応性が低下するおそれや、アルミニウムの塊状物が析出して粉末中に混入することにより、得られる成形品の機械的特性が不十分になるおそれがある。前記平均粒径は、100μm以下がより好ましく、50μm以下がさらに好ましい。
前記アルミニウム粉末の純度は95質量%以上が好ましく、98質量%以上がより好ましい。
前記複合体粉末の製造に用いられる炭素粉末の平均粒径は0.005~300μmであることが好ましい。前記平均粒径が0.005μm未満の場合、取り扱い難くなるおそれがある。当該平均粒径は0.01μm以上がより好ましい。一方、前記平均粒径が300μmを超える場合、アルミニウム粉末と炭素粉末との反応性が低下するおそれがある。前記平均粒径は100μm以下がより好ましい。前記炭素粉末としてカーボンブラックを用いる場合、その平均一次粒子径が5~500nmであることが好ましい。前記平均一次粒子径は10nm以上がより好ましい。一方、前記平均一次粒子径は300nm以下がより好ましく、200nm以下がさらに好ましく、100nm以下が特に好ましい。
前記複合体粉末の製造に用いられる炭素粉末の種類は特に限定されないが、カーボンブラック、グラファイト、コークス及び活性炭などを使用することができる。なかでも、前記炭素粉末としてカーボンブラックが好ましい。
前記アルミニウム粉末と前記炭素粉末とを加熱することにより、炭化アルミニウム及び炭素を含有する複合体を含む粉末を得る。前記アルミニウム粉末と前記炭素粉末とを加熱することで、アルミニウムと炭素が反応して炭化アルミニウム(Al)が形成され、さらに当該炭化アルミニウムと、アルミニウムと反応しなかった炭素とが複合体を形成する。このような複合体を含む粉末は、マグネシウム合金と真密度が近いため、マグネシウム合金に均一に分散し易いものと考えられる。本発明の効果を阻害しない範囲であれば、前記粉末が、複合体を形成していない炭素粒子、アルミニウム粒子又は炭化アルミニウム粒子を含有していても構わない。前記複合体粉末中に前記複合体や炭化アルミニウム粒子として存在する炭化アルミニウムは、X線回折測定などにより確認することができる。
前記アルミニウム粉末と前記炭素粉末とを加熱するに際して、前記炭素粉末中の炭素元素に対する前記アルミニウム粉末中のアルミニウム元素の原子比(Al/C)が3.2/3~3.8/3であることが好ましい。前記原子比(Al/C)が3.2/3未満の場合には、得られる粉末の真密度が低くなり、当該粉末がマグネシウム合金の溶湯の表面に浮遊して分散性が低下するおそれがある。前記原子比(Al/C)は3.3/3以上がより好ましく、3.4/3以上がさらに好ましい。一方、前記原子比(Al/C)が3.8/3を超える場合にも、得られる粉末の真密度が高くなり、当該粉末が溶解炉の底に沈降して分散性が低下するおそれがある。前記原子比(Al/C)は3.7/3以下がより好ましく、3.6/3以下がさらに好ましい。
前記アルミニウム粉末と前記炭素粉末とを加熱する方法としては、誘導加熱法が好ましい。誘導加熱とは、時間的に変化する磁界が導体中に誘起する誘導電流によって物質を温度上昇させ、これによって加熱する方法である。誘導加熱の条件は特に限定されないが、前記アルミニウム粉末や前記炭素粉末の種類や量に応じて適宜調整すればよい。通常、印加する電流の周波数は50~50000Hzである。印加する電力は、充填する前記アルミニウム粉末と前記炭素粉末の量などによって適宜調整される。
加熱後の反応物を粉砕することが好ましい。前記反応物の粉砕には、ジョークラッシャー、ボールミル、ヘンシェルミキサー等を用いて行うことができる。これらを組み合わせて用いても構わない。
前記複合体粉末の平均粒径は1000μm以下が好ましい。前記平均粒径が1000μmを超える場合、得られるマグネシウム合金成形品の機械的特性が不十分になるおそれがある。前記平均粒径は、500μm以下がより好ましく、200μm以下がさらに好ましく、50μm以下が特に好ましい。一方、前記平均粒径は、通常0.1μm以上である。前記複合体粉末の平均粒径は、当該粉末の電子顕微鏡写真から求めることができる。
前記複合体粉末における、炭素元素に対するアルミニウム元素の原子比(Al/C)が3.2/3~3.8/3である必要がある。前記原子比(Al/C)が3.2/3未満の場合には、得られる粉末の真密度が低くなり、当該粉末がマグネシウム合金の溶湯の表面に浮遊して分散性が低下する。前記原子比(Al/C)は3.3/3以上が好ましく、3.4/3以上がより好ましい。一方、前記原子比(Al/C)が3.8/3を超える場合にも、得られる粉末の真密度が高くなり、当該粉末が溶解炉の底に沈降して分散性が低下する。前記原子比(Al/C)は3.7/3以下が好ましく、3.6/3以下がより好ましい。
前記複合体粉末の真密度が1.5~2.2g/cmである必要がある。前記真密度が1.5g/cm未満の場合、粉末が溶融したマグネシウム合金の湯面に浮遊して分散不良が生じる。前記真密度は1.6g/cm以上が好ましく、1.7g/cm以上がより好ましい。一方、前記真密度が2.2g/cmを超える場合、溶融したマグネシウム合金中で粉末が沈降して分散不良が生じる。前記真密度は2.0g/cm以下が好ましく、1.9g/cm以下がより好ましい。前記複合体粉末の真密度はピクノメーターを用いて後述する実施例に記載された方法によって測定することができる。
こうして得られる前記複合体粉末を、溶融した前記マグネシウム合金に添加する。前記複合体粉末は、マグネシウム合金と真密度が近いため、マグネシウム合金中に分散し易い。したがって、炭素が均一に分散したマグネシウム合金成形品が得られる。このようなマグネシウム合金成形品は、優れた機械的特性を有するため、電気機器、自動車、レジャー用品、航空機・宇宙用品などをはじめとする、幅広い分野において用いられる。さらに、前記マグネシウム合金成形品がインゴット、チップ又はマスターバッチであることも好ましい。これらを用いることにより、機械的特性に優れたマグネシウム合金成形品を簡便に製造することができる。
前記複合体粉末の添加量は、前記マグネシウム合金100質量部に対して、0.01~100質量部が好ましい。前記添加量が0.01質量部未満の場合には、得られるマグネシウム合金成形品の機械的特性を向上させる効果が得られないおそれがある。前記添加量は、0.02質量部以上がより好ましく、0.05質量部以上がさらに好ましく、0.1質量部以上が特に好ましい。前記マグネシウム合金成形品がマスターバッチである場合には、前記添加量は、3質量部以上が好ましく、5質量部以上がより好ましく、10質量部以上がさらに好ましい。一方、前記添加量が100質量部を超える場合には、前記複合体粉末が凝集して得られるマグネシウム合金成形品に悪影響が生じるおそれある。前記添加量は、50質量部以下がより好ましい。前記マグネシウム合金成形品がマスターバッチ以外の成形品である場合、前記添加量は10質量部以下が好ましく、5質量部以下がより好ましく、2質量部以下がさらに好ましく、1質量部以下が特に好ましい。
前記複合体粉末を溶融した前記マグネシウム合金に添加する際の溶湯の温度は、通常600~750℃である。また、本発明の効果を阻害しない範囲であれば、前記複合体粉末と他の添加剤との混合物を溶湯に添加しても構わない。
前記複合体粉末が溶融したマグネシウム合金に添加されると、前記複合体粉末中の炭化アルミニウムは分解して、アルミニウムはマグネシウムと反応してMg17Al12等の化合物を形成し、炭素はその少なくとも一部がグラファイト化するものと考えらえる。また、炭化アルミニウムと複合体を形成していた炭素がアモルファスである場合も、その少なくとも一部が溶融したマグネシウム合金中でグラファイト化するものと考えられる。そして、マグネシウム合金中の水素がこのようなグラファイトに取り込まれることにより、巣が生じ難くなり、機械的特性に優れたマグネシウム合金成形品が得られるものと考えられる。また、マグネシウム合金中にグラファイト等の炭素が含まれることにより、得られるマグネシウム合金成形品中のマグネシウム相の結晶粒径が小さくなる。この点も機械的特性の向上に寄与しているものと考えられる。
前記複合体粉末を、溶融した前記マグネシウム合金に添加した後、前記マグネシウム合金を成形する。成形方法は特に限定されず、例えば、ダイキャスト成形法、重力鋳造法、射出成形法(チクソモールド法等)が採用され、中でもダイキャスト成形法が好ましい。前記マグネシウム合金をダイキャスト成形する際の条件は特に限定されないが、通常、溶湯温度は660~700℃、金型温度は150~330℃、鋳造圧力は500~1000kN、射出速度は2.5~7.5m/sである。
前記マグネシウム合金成形品中の炭素原子の含有量が0.02~15質量%であることが好ましい。前記含有量が0.02質量%未満の場合には、マグネシウム合金成形品の機械的特性を向上させる効果が奏されないおそれがある。前記含有量は、0.03質量%以上がより好ましい。前記マグネシウム合金成形品がマスターバッチである場合、前記含有量は、1質量%以上が好ましく、2質量%以上がより好ましく、3質量%以上がさらに好ましい。一方、前記含有量が15質量%を超える場合には、前記複合体粉末が凝集して得られるマグネシウム合金成形品に悪影響が生じるおそれある。前記含有量は、8質量%以下がより好ましい。前記マグネシウム合金成形品がマスターバッチ以外の成形品である場合、前記含有量は、2質量%以下が好ましく、1質量%以下がより好ましく、0.5質量%以下がさらに好ましく、0.2質量%以下が特に好ましい。
前記マグネシウム合金成形品がインゴットであることが好ましい。以下、当該インゴットの製造方法について説明する。初めに、所望の合金組成となるように原料の金属を溶解炉に投入して、マグネシウム合金の溶湯を得る。フラックスの添加時期は特に限定されないが、溶解炉中の金属が溶解した後、添加することが好ましい。フラックスを添加した後、溶湯を撹拌して精錬することが好ましい。通常、精錬する際の温度は600~750℃であり、精錬時間は3~300分間である。
使用されるフラックスは特に限定されず、マグネシウム合金の精錬に通常使用されるものが用いられる。例えば、周期表第1族及び第2族に属する金属のハロゲン化物を主成分として含有するフラックスが挙げられる。ここで、「主成分」とは、通常、含有量が50質量%以上である成分であり、好適には80質量%以上である成分である。前記金属ハロゲン化物が、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化バリウム、塩化カリウム、塩化ナトリウム、フッ化カルシウムから選択される少なくとも一種であることが好適である。フラックスの添加量は、マグネシウム合金100質量部に対して、0.3~45質量部が好適である。
精錬後の溶湯を沈静することが好ましい。通常、沈静する際の温度は600~750℃であり、沈静時間は15~60分間である。精錬後の溶湯の下層のスラグを除去することが好ましい。
こうして得られた前記マグネシウム合金の溶湯に前記複合体粉末を添加する。このとき、溶湯を撹拌しながら、前記複合体を添加することが好ましい。また、前記複合体粉末と他の添加剤との混合物を溶湯に添加しても構わない。
分散性の観点から、前記複合体粉末を添加した後、前記溶湯を撹拌することが好ましい。前記複合体粉末を添加した後、溶湯を金型に鋳込み、冷却することによりインゴットが得られる。
こうして得られるインゴット中には、炭素元素が均一に分散しているため、マグネシウム合金成形品の材料として好適に用いられる。前記インゴットを用いる成形方法としては、ダイキャスト成形法、重力鋳造法等の鋳造法、射出成形法等が挙げられ、なかでもダイキャスト成形法が好ましい。前記インゴットを用いてダイキャスト成形するマグネシウム合金成形品の製造方法が前記インゴットの好適な実施態様である。前記インゴットをダイキャスト成形して得られるマグネシウム合金成形品は、優れた機械的特性を有する。
前記マグネシウム合金成形品がチップであることも好ましい。当該チップは前記インゴットを切削する方法等により得ることができる。このようなチップを用いる成形方法としては、チクソモールディング等の射出成形法が好ましい。前記チップを射出成形して得られるマグネシウム合金成形品は、優れた機械的特性を有する。
前記マグネシウム合金成形品がマスターバッチであることも好ましい。当該マスターバッチはインゴットであってもよいし、チップであってもよい。このようなマスターバッチは、例えば、マグネシウム合金の重力鋳造、ダイキャスト成形、射出成形(チクソモールディング等)時に添加剤として用いられる。
また、炭化アルミニウム及び炭素を含有する前記複合体粉末は、マグネシウム合金用添加剤として広く用いることができる。例えば、マグネシウム合金のダイキャスト成形、射出成形(チクソモールディング等)、重力鋳造、鍛造、プレス成形時に、前記複合体粉末が添加剤として用いられる。
以下、実施例を用いて本発明を更に具体的に説明する。
[X線回折測定]
株式会社リガク製X線回折装置「Multi Flex」を用いて複合体粉末のX線回折測定を行った。測定は、加速電圧40kV、試料照射電流40mA、2θ=20~65°の条件で行った。
[複合体粉末の粒径]
株式会社日立ハイテクノロジーズ製電界放射型走査電子顕微鏡「SU8220」を用いて複合体粉末の観察を行い、得られた電子顕微鏡写真から複合体の粒径を測定した。
[複合体粉末の真密度]
ピクノメーターを用いて、JIS R1620「ファインセラミックス粉末の粒子密度測定方法」に準じて複合体粉末の真密度を求めた。
[炭素含有量の測定]
堀場製作所製炭素・硫黄分析装置「EMIA-920V」を用いて、インゴット中の炭素含有量の測定を行った。測定は、JIS Z2615「金属材料の炭素定量方法通則」(赤外線吸収法(積分法))に準じて行った。
[引張試験]
引張試験には、インストロンジャパンカンパニイリミテッド製万能材料試験機「3382床置き型試験システム」を用いた。試験片には、中央に、幅20mm、長さ60mmの平行部を有し、両端につかみ部を有し、厚さが2mmである板状の成形品を用いた。当該試験片は、試験片の形状に対応する形状の試験片作製用金型を用いてダイキャスト成形することにより作製した。引張速度は5mm/minにて測定を行った。
[マグネシウム合金成形品の断面観察]
サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社製FIB/FE-SEM「QUANTA 3D FEG」を用いてマグネシウム合金成形品の断面観察を行った。上記引張試験と同様の試験片の平行部を、長さ方向に対して垂直方向に切断し、当該切断面を観察した。また、得られた断面の電子顕微鏡写真からマグネシウム相の結晶粒径の分布を求めた。
実施例1
東洋アルミニウム株式会社製アルミニウム粉末(平均粒径1~10μm)1883g及び三菱ケミカル株式会社製カーボンブラック「♯30」(平均一次粒径30nm)719gをヘンシェルミキサー(容量20L)を用いて1200rpmにて60秒間混合した。得られた混合物[原子比(Al/C)が3.5/3]900gを黒鉛製のルツボ(直径100mm、高さ185mm)に充填した。当該ルツボ内を真空にしてからアルゴンガス(純度99.9質量%)を充填した後、ルツボを誘導加熱炉にセットして、3000Hz、30kWにて6分間加熱した。加熱終了後、直ちに前記ルツボをアルゴンガスで置換された冷却缶に入れた。当該冷却缶にアルゴンガス(2L/min)を吹き込みながら2時間冷却を行った。こうして、黄茶色の塊状物900gを得た。当該塊状物をジョークラッシャーにて粒の直径が5mm以下となるように粗砕した後、得られた粗粒をボールミルで15分間粉砕した。得られた粉砕物を目開き500μmの篩を用いて篩分けし、篩を通過した粉末を回収した。こうして得られた複合体粉末の電子顕微鏡写真から粒子径(長径と短径の平均値)を測定したところ、ほとんどすべての粒子の粒子径が0.1~20μmであった。誘導加熱に供した混合物の質量と得られた塊状物の質量は実質的に同じであったことから、前記複合体粉末の原子比(Al/C)は前記混合物と実質的に同じであると考えられる。また、前記複合体粉末のX線回折パターンを図1に示す。図1に示されるとおり、炭化アルミニウム(Al)のピークが確認された。一方、アルミニウム及びグラファイトのピークは確認されなかった。
AM60Bのインゴット(Mg:残部、Al:5.99質量%、Mn:0.29質量%、Zn:0.02質量%、Si:0.03質量%、Fe:0.002質量%、Cu:0.001質量%、:Ni0.0006質量%、Be:9ppm)1500kgを予熱した溶解炉に投入した。溶湯が650~700℃になるように温度調整を行った。投入した金属が溶解した後、フラックス(Dow310:MgCl50質量部、KCl20質量部、CaF15質量部、MgO15質量部)2kgを溶湯に添加した。溶湯を30分間撹拌してから、30分間沈静した後、溶湯からスラグを除去した。引き続き、溶湯に前記複合体粉末6kgを添加して、15分間溶湯を撹拌した。その後、溶湯の上層の清浄な部分を金型に鋳込んだ後、冷却して直方体のインゴット(縦6.9cm、横6.2cm、長さ56cm)を得た。得られたインゴットにおける炭素含有量を測定した。結果を表1に示す。
得られたインゴット300kgを東洋機械製ダイカスト成形機「350tonダイカストマシン」に投入して、溶湯温度680℃、金型温度170℃、鋳造圧力500kg/cm、射出速度3.5m/sにて、引張試験用の試験片(マグネシウム合金成形品)を鋳造した。
得られた試験片の引張試験を行った。図2に、このときの試験片の変位と荷重の関係を示す。破断強度及び伸びの測定値を表1に示す。引張試験用の試験片と同様のマグネシウム合金成形品を切断して断面観察を行った。得られたマグネシウム合金成形品断面の電子顕微鏡写真を図3に示す。また、当該電子顕微鏡写真から求めたマグネシウム合金成形品中の結晶の粒径分布を図5に示す。
比較例1
複合体粉末を添加しなかった以外は、実施例1と同様にしてインゴット及び試験片(マグネシウム合金成形品)の製造及び評価を行った。その結果を表1及び図2、4及び6に示す。
比較例2
複合体粉末の代わりに炭化アルミニウム粉末(真密度2.36g/cm、粒径10~50μm)を用いた以外は実施例1と同様にしてインゴットの作製を試みたが、溶湯に添加した炭化アルミニウム粉末が分散せず、溶解炉の底に沈んだため、以降の実験を行わなかった。
Figure 0007297201000001

Claims (6)

  1. 溶融したマグネシウム合金に、炭化アルミニウム及び炭素を含有する複合体を含む粉末を添加する、マグネシウム合金成形品の製造方法であって、
    前記粉末における、炭素元素に対するアルミニウム元素の原子比(Al/C)が3.2/3~3.8/3であり、かつ
    前記粉末の真密度が1.5~2.2g/cmである、マグネシウム合金成形品の製造方法。
  2. 前記マグネシウム合金がアルミニウムを含有する、請求項1に記載のマグネシウム合金成形品の製造方法。
  3. 前記マグネシウム合金成形品がインゴットである、請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 請求項3に記載のインゴットを用いてダイキャスト成形する、マグネシウム合金成形品の製造方法。
  5. 炭化アルミニウム及び炭素を含有する複合体を含む粉末からなるマグネシウム合金用添加剤であって、
    前記粉末における、炭素元素に対するアルミニウム元素の原子比(Al/C)が3.2/3~3.8/3であり、かつ
    前記粉末の真密度が1.5~2.2g/cmである、添加剤。
  6. アルミニウム粉末と炭素粉末とを加熱することにより前記複合体を含む粉末を得るマグネシウム合金用添加剤の製造方法であって、
    前記アルミニウム粉末の平均粒径が0.1~150μmであり、かつ
    前記炭素粉末の平均粒径が0.005~300μmである、請求項5に記載の添加剤の製造方法。
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