JP7294711B1 - 強鱗片状タルク粉体 - Google Patents

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Abstract

【課題】キシミ感が少なく、薄く均一に伸びて、光沢感もある、化粧品用途に向いたタルク粉体を提供する。【解決手段】タルク鉱石を乾式粉砕によって予備粉砕したメディアン径(体積基準d50)が15.0μm以上30.0μm以下であるタルク粉体を、2質量%以上30質量%以下の固形分として含むスラリーを、圧縮空気により亜音速から超音速でアトマイズさせて湿式ジェット粉砕して、メディアン径(体積基準d50)が8.0μm以上12.0μm以下、メディアン径(個数基準d50)が3.0μm以上4.0μm以下である、強鱗片状タルク粉体を得る。【選択図】なし

Description

この発明は、高アスペクト比を有し表面平滑性に優れる強鱗片状タルク粉体に関する。
タルクは天然鉱石のなかで最も柔らかい、ファンデルワールス結合により層状に重なり合い一定の厚みを有した鱗片状結晶である。モース硬度は1である。タルク鉱石を微粉砕したタルク粉体は、発がん性などが確認されない安全な材料として、化粧品用途での需要がある。
従来の技術では、機械的な方法により粉砕するメカニカル法によりタルク粒子をサブミクロンまで微粒化、且つアスペクト比を高める事は達成できている。例えば、タルク粒子を数%含むスラリー溶液を超高圧水=200MPa以上に増圧し、そのスラリーを対向衝突させて分散させる超高圧水ジェット粉砕法、また、数10μmのセラミックスビーズを容器内で撹拌することで粉砕するビーズミル法、更には圧縮空気を利用したジェットミル法等によって、容易にメディアン径(d50)=1.0μm以下に粉砕することができる。
ただし、従来のメカニカル法で粉砕した場合、粒子同士の衝突、粉砕機内の内壁との衝突等による衝撃が支配的となる。長径と短径を有するタルクの場合、ほとんどは長径方向に割れていく。メカニカル法で与えられたエネルギーの殆どは、厚みを大きく変えることなく長径を小さくしながら、ミクロンまたはサブミクロンの”粒”に近づく。
化粧品用途に使用される一般的なタルク粉体の粒子径は、メディアン径(d50)が10μm前後である。肌に塗布すると適度に伸びて、柔らかい質感を与えられることから、ベビーパウダーの体質顔料やファンデーションの基剤として多用されている。人体の肌に直接触れるものであるため、その粉砕の仕方によって、肌への密着感などの感触が大きく変わる。このため、様々な粉砕方法が検討されている。
超高圧水ジェット技術を利用した湿式分散・湿式粉砕装置及び方法では、微粒子を含むスラリーを超高圧まで増圧させ、水中対向衝突させることで微粒子化する。このような装置は例えば特許文献1に記載されている。ただし、これを行う装置は、孔径が0.2~0.4mm程度の微細ノズル口径から超高圧で吐出させるため、特にアスペクト比を上げようとするとノズルの目詰まりが起きやすい。また、溶液の温度が上昇し続ける特徴があり、運用の際には冷却が不可欠である。また、高度なシール技術が必要であり、装置の製作コストは高い。
また、特許文献2には、高圧圧縮空気を利用したジェット粉砕でタルクをミクロンオーダーまで微粉砕した後、微小なセラミックスビーズを充填したビーズミルによりタルクをメディアン径(d50)1.0μm以下に微粉砕する方法が開発されている。
特開2018-119035号公報 特開2007-106658号公報
しかしながら、特許文献1に記載の手法では、微粒子としてサイズを小さくすることはできるが、材料であるタルクの構造を利用した層間剥離は成し遂げられず、アスペクト比の小さい微粒粉体となる。また、湿式のビーズミルを用いた場合は、乾燥させた後で再凝集を起こしやすく、せっかく微粉砕しても十分にその細かさを維持することが難しかった。また、ビーズの摩耗によりコンタミネーションを起こしてしまうこともあった。
また、メディアン径(d50)が数μm程度のタルク微粒粉体を肌に塗付すると、伸びが不均一になり、かつ引っ掛かりのような感触となる「キシミ感」も与えてしまい、化粧品用途としては適さないという報告がされていた。
さらに、高機能性を求める化粧品用途には、一般的なタルク粉体では与えられない、薄く均一な伸び、適度な光沢感、より柔らかな質感など、様々な機能が求められていた。
そこでこの発明は、化粧品用途で求められる様々な機能を満足するために、高アスペクト比を有した、表面平滑性に優れる強鱗片状タルク粉体を提供することを目的とする。
この発明は、メディアン径(体積基準d50)が8.0μm以上12.0μm以下であり、かつメディアン径(個数基準d50)が3.0μm以上4.0μm以下である強鱗片状タルク粉体である実施形態により、上記の課題を解決した。
この実施形態では、比表面積(BET)が5.0以上、10.0以下である形態が採用できる。また、アスペクト比が50以上である形態が採用できる。さらに、{メディアン径(体積基準d50)/メディアン径(個数基準d50)}との比が、2以上5以下である形態が採用できる。
またこの発明は、同様にメディアン径(体積基準d50)とメディアン径(個数基準d50)との両方を組み合わせた径の規定であって、メディアン径(体積基準d50)が2.0μm以上4.0μm以下であり、かつメディアン径(個数基準d50)が0.45μm以上0.65μm以下である強鱗片状タルク粉体により、同様に上記の課題を解決した。
この実施形態では、比表面積(BET)が10.0以上、20.0以下である形態が採用できる。また、アスペクト比が40以上である形態が採用できる。さらに、{メディアン径(体積基準d50)/メディアン径(個数基準d50)}との比が、2以上10以下である形態が採用できる。
上記の範囲の粉体が規定する範囲として好ましいのは、従来用いられている通常のメディアン径として体積基準が用いられていることに原因がある。体積基準でのメディアン径とは、観測する粒子を球形であると仮定して算出された値となっている。光学的に観測した最大径を基準にして、その最大径を有する球形粒子と仮定して、粒径分布ができているものとして計算する。ところがこの手法は、本発明のようにタルクの構造を利用した層間剥離を実現してアスペクト比が特に高い粉体では、実情を反映しなくなる。なぜなら、球形であると仮定するということは、測定される径の三乗で体積を考えることになる。そうなると、粒径の小さな粒子が多数あっても、その小ささが三乗することでさらに極端になり、体積上はほとんどカウントされなくなる。このため、体積基準の粒子量分布を測定しても、小さな粒子がどの程度の割合で含まれているかは実情を十分には反映しなくなってしまう。つまり、体積基準でのメディアン径が所定の値まで小さくなったことを確認していた従来の分布の判断手法は、大きな粒子が粉砕されて小さくなっていることまでは規定しているものの、粉砕された際に、小さい粒子がどの程度生じているかについては考慮されていなかった。
しかしながら、本発明者らの検討の結果、キシミ感を生じさせるのは、粒径の小さな粒子が占める数が大きい場合であることがわかった。粒径が大きくアスペクト比も大きい粒子が揃っていればその面にそって触感としても滑りやすくなるが、細かすぎる粒子が多いとその滑りの際に引っ掛かりとなってしまい、アスペクト比が大きく粒径が小さすぎない粒子によって生じる滑りを阻害してしまっていた。だが、体積基準のメディアン径で範囲を規定するだけでは、細かすぎる粒子がどの程度含まれているかは実態を反映しえない。そこで、粉体の体積基準でのメディアン径(d50)を規定するだけではなく、なおかつそのメディアン径(体積基準d50)に対して、メディアン径(個数基準d50)が小さくなりすぎない範囲の粉体にすることで、キシミ感が生じにくい化粧品に適した触感の粉体であることを見出し、メディアン径(体積基準d50)とメディアン径(個数基準d50)との両方での組み合わせで粉体を規定することが好適であることがわかった。その組み合わせとなる一つの実施形態が、メディアン径(体積基準d50)が8.0μm以上12.0μm以下であり、かつメディアン径(個数基準d50)が3.0μm以上4.0μm以下である、粒径が細かい方に偏らずに粒径分布が狭くなるようにサイズコントロールされた強鱗片状タルク粉体である。また、そのような粒径分布を有する実施形態の粉体を、本願発明の課題を解決する特性を維持しながらさらに全体の粒径を細かくした粉砕した第二の実施形態が、メディアン径(体積基準d50)が2.0μm以上4.0μm以下であり、かつメディアン径(個数基準d50)が0.45μm以上0.65μm以下である、粒径が細かい方に偏らずに粒径分布が狭くなるようにサイズコントロールされ、全体の粒径をさらに細かくした強鱗片状タルク粉体である。
タルクの粉体において、メディアン径(体積基準d50)を適度に小さくしつつ、メディアン径(個数基準d50)が小さくなりすぎないようにするには、タルクの性質を利用することで実現できる。タルクには層間剥離を起こす性質があり、劈開面に沿って薄く剥がしていくことで、大きさを維持した粉体ができ、特に粒径が細かい粒子の分布が小さく、キシミ感の少ない粉体が実現できる。
このような実施形態であるタルク粉体を製造する手順としては、タルク鉱石を乾式粉砕によって予備粉砕されたメディアン径(体積基準d50)が15.0μm以上30.0μm以下であるタルク粉体を、2質量%以上30質量%以下の固形分として含むスラリーを、圧縮空気により亜音速から超音速でアトマイズさせて湿式ジェット粉砕することで製造できる。この湿式ジェット粉砕で、層状に積層したタルク粒子を劈開面に沿って的確に剥がす事ができ、体積基準のメディアン径の小ささに対して、極端に細かい粒子の分布が少なくなり、上記のようなメディアン径(体積基準d50)とメディアン径(個数基準d50)との組み合わせである、好適なタルク粉体が得られる。
また、この発明にかかる製造方法ではアトマイズさせた後のスラリーを温度30℃以上50℃以下で乾燥させる実施形態を採用できる。
さらに、この発明にかかる製造方法では、乾燥させた強鱗片状タルク粉体をさらに乾式ジェット粉砕する実施形態を採用できる。
この発明にかかる強鱗片状タルク粉体は、全体の粒径に対して、細かさの割にはキシミ感が抑制され、化粧品として肌に接触させる粉体として特に好適な触感を与えることができる。
この発明にかかる強鱗片状タルク粉体は、メディアン径(体積基準d50)に対して、メディアン径(個数基準d50)が小さすぎることがなく、細分化された特に細かい粒子が占める割合が少なく、高アスペクト比を有したタルク粉体である。細かさの割にはキシミ感が抑制され、肌に塗付した際のすべり性、均一な伸び、及び適度な光沢感を実現する事が可能となり、高機能を要求される化粧品用途への活用が期待される。
この発明に掛かる強鱗片状タルク粉体の製造方法では、タルク鉱石が有する剥離性を活かして、薄く剥がれた鱗片状を保持した粉砕が可能となり、従来の同程度細かさのメディアン径(体積基準d50)を示すタルク粉体では除去しきれなかった、肌に塗付した際のキシミ感は抑えられ、且つ薄く均一な伸びを実現する事が可能になる。これにより、新たな化粧品向け基剤としての活用が期待できる。
この発明の第一の実施形態にかかる強鱗片状タルク粉体を得るためのフロー例図 この発明にかかる強鱗片状タルク粉体の湿式粉砕に用いる装置の例を示す構造図 この発明にかかる強鱗片状タルク粉体の湿式粉砕に用いる装置の循環構造の例を示す構造図 実施例1~4,比較例1,3における粒径のヒストグラム (a)実施例1の強鱗片状タルク粉体の2000倍電子顕微鏡写真、(b)(a)の5000倍電子顕微鏡写真 (a)実施例2の強鱗片状タルク粉体の2000倍電子顕微鏡写真、(b)(a)の5000倍電子顕微鏡写真 (a)実施例3の強鱗片状タルク粉体の2000倍電子顕微鏡写真、(b)(a)の5000倍電子顕微鏡写真 (a)実施例4の強鱗片状タルク粉体の2000倍電子顕微鏡写真、(b)(a)の5000倍電子顕微鏡写真 (a)比較例1のタルク粉体の2000倍電子顕微鏡写真、(b)(a)の5000倍電子顕微鏡写真 (a)比較例3のタルク粉体の2000倍電子顕微鏡写真、(b)(a)の5000倍電子顕微鏡写真 実施例5~7,参考例1,比較例4における粒径のヒストグラム (a)実施例5の強鱗片状タルク粉体の5000倍電子顕微鏡写真、(b)(a)の10000倍電子顕微鏡写真 (a)実施例6の強鱗片状タルク粉体の5000倍電子顕微鏡写真、(b)(a)の10000倍電子顕微鏡写真 (a)実施例7の強鱗片状タルク粉体の5000倍電子顕微鏡写真、(b)(a)の10000倍電子顕微鏡写真 (a)参考例1のタルク粉体の5000倍電子顕微鏡写真、(b)(a)の10000倍電子顕微鏡写真 (a)比較例4のタルク粉体の5000倍電子顕微鏡写真、(b)(a)の10000倍電子顕微鏡写真
以下、この発明の実施形態を図面に基づいて説明する。この発明は、メディアン径(体積基準d50)とメディアン径(個数基準d50)とが、所定の範囲である組み合わせとなる強鱗片状タルク粉体と、その製造方法である。
この発明にかかる強鱗片状タルク粉体の第一の実施形態は、メディアン径(体積基準d50)が8.0μm以上12.0μm以下であり、かつメディアン径(個数基準d50)が3.0μm以上4.0μm以下である強鱗片状タルク粉体である。この発明にかかる強鱗片状タルク粉体は、表面平滑性に優れるとともに、適度な光沢感を持ち化粧品に好適であり、肌に塗布した際に均一な伸びが実現される。このメディアン径(体積基準d50)の範囲を示す粉体において、メディアン径(個数基準d50)が3.0μm未満になると、細かすぎる粒子が多くなりすぎており、タルクが十分に剥離せずに細かく粉砕された粒子が多くなってしまい、表面平滑性や光沢感が低下し、肌に触れたときのキシミ感が強くなりすぎてしまう。一方、このメディアン径(体積基準d50)の範囲において、メディアン径(個数基準d50)が4.0μmを超えるように大きな形を維持して粉砕することは後述する製造方法をもってしても実現困難である。
この第一の実施形態では、BET法による比表面積が5.0以上、10.0以下である形態であると好ましい。比表面積が小さすぎると粉砕が不十分であり、アスペクト比が小さく形状が球形に近くなりタルク固有の板状粒子の特徴が失われ、肌に塗布した際の薄く均一な伸びが実現しにくくなってしまう。一方で、比表面積が大きすぎると平面に近い鱗片状ではなく凹凸が目立つ粒子となってしまい、この場合も表面平滑性や光沢性が低下し、肌に触れたときの触感が好ましくなくなってしまう。
また、この第一の実施形態では、{メディアン径(体積基準d50)/メディアン径(個数基準d50)}との比が、2以上5以下であると好ましい。2未満になるほど値が近づくことはタルク粉体では現実的には困難である。一方で、5を超えるとメディアン径(個数基準d50)が全体の粒径に対して小さくなりすぎ、すなわち、特に細かい粒子が増えすぎて触感を悪化させてしまう。
さらに、この第一の実施形態では、アスペクト比の数平均が45以上であると好ましく、50以上であるとより好ましい。この発明に掛かる強鱗片状タルク粉体として、鱗片状であることを利用した用途の用いるにあたり、アスペクト比の数平均が45未満であると輝きなどの見た目の点からも、また滑りの触感の点からも好適ではなくなりやすくなる。
さらにまた、この第一の実施形態では、数平均粒子の厚みが0.25μm以下であると好ましい。0.25μmを超えるとタルクが厚すぎて、上記の条件を有していても触感が悪化してしまうことがある。
この発明にかかる強鱗片状タルク粉体の第二の実施形態は、メディアン径(体積基準d50)が2.0μm以上4.0μm以下であり、かつメディアン径(個数基準d50)が0.45μm以上0.65μm以下である強鱗片状タルク粉体により、同様に上記の課題を解決した。すなわち、第一の実施形態よりも全体としては細かくなった粉体である。このメディアン径(体積基準d50)の範囲を示す粉体において、メディアン径(個数基準d50)が0.45μm未満になると、さらなる細分化の際に生じた特に細かい粒子が増えすぎており、肌に触れたときのキシミ感が強くなりすぎてしまう。一方、このメディアン径(体積基準d50)の範囲において、メディアン径(個数基準d50)が0.65μmを超えるように粉砕することは、現実には困難となる。
この第二の実施形態では、BET法による比表面積が10.0以上、20.0以下であると好ましい。比表面積が小さすぎると粉砕が不十分であり、アスペクト比が小さく形状が球形に近くなりタルク固有の板状粒子の特徴が失われ、肌に塗布した際の薄く均一な伸びが実現しにくくなってしまう。一方で、比表面積が大きすぎると平面に近い鱗片状ではなく凹凸が目立つ粒子となってしまい、肌に触れたときの触感が好ましくなくなってしまう。
また、この第二の実施形態では、{メディアン径(体積基準d50)/メディアン径(個数基準d50)}との比が、2以上10以下であると好ましく、3以上7以下であるとより好ましい。2未満になるほど値が近づくことはタルク粉体では現実的には困難である。3以上であると実際に製造しやすい値となる。一方で、10を超えるとメディアン径(個数基準d50)が全体の粒径に対して小さくなりすぎ、すなわち、特に細かい粒子が増えすぎて触感を悪化させてしまう。7以下であると触感を好適に維持する点からより好ましい。
さらに、この第二の実施形態では、アスペクト比の数平均が40以上であると好ましい。この発明に掛かる強鱗片状タルク粉体として、鱗片状であることを利用した用途に用いるにあたり、アスペクト比が40未満であると輝きなどの見た目の点からも、また滑りの触感の点からも好適ではなくなりやすくなる。
さらにまた、この第二の実施形態では、数平均粒子の厚みが0.10μm未満であると好ましく、0.09μm以下であるとより好ましい。0.10μm以上だとタルクが厚すぎて、上記の条件を有していても触感が悪化してしまうことがある。
このような実施形態にかかる強鱗片状タルク粉体の製造方法について、図1のフロー図とともに説明する。特に、第一段階として乾式粉砕(S102,S103)により予備粉砕を行った後に、第二段階として湿式粉砕(S113)を行う点が本発明において重要な剥離についての要素となる。
まず、粉砕するタルク鉱石を選鉱する(S101)。タルク鉱石は、日本国内では、兵庫県で産出される鉱石があるが、白色度や化学組成などにより用途は限定的で、化粧品用途向けには適さない。このため、日本で製造・販売されている化粧品用途や一般工業用途向けタルク粉体は、その殆どが輸入タルク鉱石を使用している。タルク鉱石の海外主要産地としては、中国、アメリカ、オーストラリア、欧州、インド、パキスタン及びブラジルなどが挙げられる。本発明においてタルク鉱石の産地を特に限定する必要はないが、中国、インド及びパキスタン産が好ましい。
次に、選鉱したタルク鉱石を乾式粉砕する。乾式粉砕を終えた段階での目標となるメディアン径(体積基準d50)は、15.0μm以上30.0μm以下である。タルク鉱石から上記の範囲になるまでの工程を一回の粉砕でおこなってもよいが、図1のフローのように粗粉砕(S102)と予備微粉砕(S103)の二段階に条件を変えて行うと、目標となるメディアン径(体積基準d50)まで効率的、且つ的確に粉砕が行えるため好ましい。また、一回の粉砕で細かくするよりも、微粉を生成することなくアスペクト比の高い粒子に粉砕することができるという点でも、このような多段乾式粉砕法が好ましい。予備粉砕の一段階目の粗粉砕としては、目視で確認できる大まかな粒径が10mm以下程度にまでタルク鉱石を粉砕すると好ましい。さらに、この粗粉砕自体も複数の装置により多段階に行ってもよい。次の二段階目の予備微粉砕において用いる装置に詰まることなく導入できる大きさにまで粉砕されていれば粗粉砕は完了したといえる。二段階目の予備微粉砕としては、メディアン径(体積基準d50)が目標となる15.0μm以上30.0μm以下程度にまで粉砕すると好ましく、15.0μm以上25.0μm以下であるとより好ましい。
これらの乾式粉砕を行う装置としては、一般的に販売されている様々な方式の粉砕機を採用する事が出来る。具体的には、一段階目の粗粉砕では、前後上下に動く動歯と固定歯とで破砕するジョークラッシャーやインパクトブレーカーが好適に用いることができる。二段階目の予備微粉砕では、ハンマーやピンなどが高速回転する事によって衝撃を加えて粉砕するハンマーミル及びピンミル、ローラがテーブル上やリングに押し付けられることにより圧縮粉砕するローラーミル、またセラミックボールなどの媒体を容器に入れて容器を回転、振動されることにより粉砕するボールミル及びチューブミルなどを用いることができる。これらのうち、本発明において用いる乾式粉砕機は、特に限定されないが、タルク鉱石の種類や目標とするメディアン径(体積基準d50)を考慮して最適な粉砕機を選択すれば良い。
第一段階である予備粉砕となる乾式粉砕後に第二段階である湿式粉砕を行うが、その事前段階として、乾式粉砕したタルク粒子を柔らかくするために、タルク固形分を含むスラリーを調製した後(S111)、湿式ジェット粉砕(S113)の前に加熱処理を行うと好ましい(S112)。加熱処理の温度としては105℃以上であると好ましく、135℃以下であると好ましい。105℃以上になることでスラリーを構成する水が常温のときよりも層間に入り込みやすくなり、個々のタルク粒子を層間剥離させやすくすることができる。一方で、135℃を超えても大きな効果の向上は見込めず、加熱が無駄になりやすい。
ここで、事前段階として調製するスラリーは、その後湿式粉砕に用いる際に好ましい含有量で、乾式粉砕したタルク粒子を含有していると、加熱後にそのまま湿式粉砕を行うことができるので好ましい。具体的には2質量%以上であると好ましく、3質量%以上であるとより好ましい。湿式粉砕後に乾燥させる必要があり、2質量%未満では乾燥にかかる時間とエネルギー量の負担が大きすぎて効率が悪い。一方で、30質量%以下であると好ましい。30質量%を超えるとスラリーとして粘度が高くなりすぎ、湿式粉砕の際に目詰まりを起こしやすくなってしまい、製造効率上かえって問題となってしまう。
また、湿式ジェット粉砕(S113)の開始前に加熱する(S112)だけでなく、湿式粉砕の工程においても、循環させるスラリーをミストが蒸発しない温度の範囲で昇温させることで、同様に層間剥離させやすくする効果をさらに得ることができる。また、湿式粉砕の工程で圧縮空気の断熱膨張を行うと、ミストが氷結してしまうおそれがあるが、常温以上にスラリーを加熱して循環させることで、凍結を防止し、冬季でも安定した運転を持続させることができる。また、後述するように(図3)圧縮空気を電熱ヒーターなどで20℃以上に昇温することでも氷結を防止することができる。
湿式ジェット粉砕(S113)では、上記のスラリーを圧縮ガスが亜音速から超音速で連続的に噴き出している箇所へ送り込むことで、スラリーを数十μm程度のミストにアトマイズして、スラリーに含まれるタルク粒子を層間剥離させる気液2流体ノイズ法を実行する。
この湿式粉砕に用いる具体的な装置としては、例えば湿式ジェットミルを用いることができる。湿式ジェットミルを用いて衝突板上を流れるスラリーを圧縮空気を用いた亜音速から超音速の流れでアトマイズさせることで、多層状粒子のタルクを柔らかく解し、効率的に層間剥離を行うものである。この湿式粉砕を行う湿式ジェットミル装置1aの粉砕を行う中心部分の構造例を図2に示す。圧縮空気Gを特殊ノズルにより噴出させて断熱膨張効果で高速化し低温流れを発生させる超音速ノズル3(上方から縮径部3a、スロート部3b、ダイバージェント部3cを有する。)、粉砕室4に設けられ圧縮空気の速度を落とすことなく流れる形状を有する衝突部材5(円錐状衝突部5aとその下の平板部5bとを有する。)、ならびスラリーSを衝突部材5の平板部5b上に全円周方向へ膜状に噴出させる隙間7を有する。ここで、亜音速から超音速としては、音速Mに対して「亜音速」:0.3≦M<0.8、「遷音速」:0.8≦M<1.2、「超音速」:M<1.2以上のいずれかである。超音速ノズル3からの噴出時には概ね音速であるため、アトマイズされる際の流れは遷音速程度であると運用しやすい。スラリーSは下方のスラリー供給路10から供給され、通過口12からスラリー溜部13(等高部13aと傾斜部13bとを有する)を介して、円錐状衝突部5aの下方外周となる裾部6の下の隙間7へ送り出される。
湿式ジェットミル装置1aでのアトマイズは、複数回繰り返すことが好ましい。このため図3のような循環機構を有することが好ましい。図2に示す構造を有する湿式ジェットミル装置1aに供給するガスGは、電熱ヒーター35により30~100℃に加熱されて、凍結防止に寄与する。このガスGによりアトマイズされたスラリーSの液滴は、下部貯蔵槽21にスラリーSとして貯蔵される。下部貯蔵槽21の周囲には温水が供給される保温部22が巡らされており、温水が循環されて凍結防止に寄与する。また、貯蔵されているスラリーは、攪拌翼24のついた撹拌機23で10~1000rpm程度で攪拌しておくとよい。このスラリーSを適宜、還流路26から抜き出し、ポンプ27で湿式ジェットミル装置1aへ送り込み、再度アトマイズさせるように循環させる。このポンプ27の圧力は圧力計29で確認しながら調整できる。また、生じるマイクロミストはコンデンサー37やサイクロン(図示せず)で凝縮し、又はフィルター(図示せず)で捕集して循環させる。これにより、貯蔵タンク内圧を上昇させることなくマイクロミストを捕集することができる。こうして叩解作用を繰り返すことによって薄片状で新生成粒子表面が滑らかな「強鱗片状タルク粉体」を得ることができる。さらに具体的には、特開2018-038998号公報に記載のような装置を用いることができる。
本アトマイズによる叩解回数は、スラリー仕込み量とポンプの吐出量から算出される。平均して1周することを1パスとし、例えば後述する実施例1~3の場合、スラリー仕込み量3Lを循環ポンプ吐出量1L/MINであり、1時間当たり20パスとなる。この速度で運転時間4時間であれば80パスとなる。叩解回数が約60パス未満の場合は、タルク粒子の層間を解し剥離はある程度は進行するものの、粒子表面の平滑性と併せて不十分な状態になりやすい。一方、叩解作用が80パスを超えてパス数を増加させた場合、顕著な層間剥離の進行は見られなくなるものの確実に層間剥離は進行している。一方で、100パスを超えると余分な粉砕の進行が無視できなくなりやすい。即ち、60パス以上100パス以下程度が、最も効率的に強鱗片状タルク粉体を得ることが出来ている。また、強鱗片状タルク粉体の厚みは、運転時間によって任意に調整することができる。
湿式ジェット粉砕(S113)で劈開面に沿って薄く剥がれたタルク粒子は、分散状態でボイドを含みスラリー中に浮遊している。このスラリーのままでは化粧品等の用途に用いることはできず、ほとんどの場合、乾燥した粉体にする必要がある。そこでまず、水分を除去する第一段階としてろ過による固液分離処理を行う(S114)。湿式ジェット粉砕の叩解により薄く剥がれたタルク粒子は、層間に微小なボイドを含むため、ろ紙上でバリア形成によるろ過障害を起こすことなく短時間で固液分離ができる。ただし、時間短縮のため、減圧濾過を行うことが好ましい。
ろ過による固液分離処理した後のケーキを、さらに粉体にするため乾燥処理(S115)を行う。乾燥前のケーキの状態ではこの粉体が凝集することはないが、ケーキが乾燥する過程でケーキ状体の粒子間に残る水分が失われていくとその過程で凝集を起こす。この凝集は、乾燥温度が上がるほどに進みやすくなり、得られる粉体のメディアン径(体積基準d50)が上昇する傾向にある。このため、乾燥する際の温度は、30℃以上50℃以下であると好ましい。この乾燥を行うには、「強制送風循環式低温恒温器」を用いるとよい。一般的な「自然対流式低温乾燥器」の場合、乾燥時間が長くなりすぎ完全な乾燥ができなくなる場合があり、且つ乾燥むらが発生しやすいという問題がある。長くとも30時間以内で乾燥工程を終えられるようにすることが好ましい。一方で、水分を素早く除去しようと100℃程度まで昇温し乾燥させた場合は、タルク粒子同士の凝集力が強くなり、強鱗片状に剥離したタルク粒子同士が再度凝集してしまう。そこまで高温でなくても、50℃を超えると、乾燥後にタルク粒子同士が凝集してしまう。このため、凝集を抑制しつつ、短時間で乾燥を終わらせようとすると、30℃以上50℃以下で行うのが好ましい。
具体的な乾燥(S115)の手順としては、次のような工程が挙げられる。減圧濾過後のケーキをステンレスバットへ移して、ヘラなどで厚さが2~3mm程度になるよう均一に伸ばす。厚みのあるケーキ状のままでは、所定時間を経過してもケーキが生乾き状態であり、完全に乾燥する事が難しいためである。乾燥器として用いる強制送風循環式低温恒温器は、メーカーや型式を限定する必要はなく一般的なものが使用できる。望ましくは、温度調整精度±0.3℃を維持でき、かつ内容積が143リットル以上あるものがよい。
なお、他の乾燥処理(S115)の手法としては、t-ブタノール凍結乾燥法を採用してもよい。
乾燥し終わった本発明にかかる強鱗片状タルク粉体は、指で押しつぶす程度の力を与えるだけで簡単に解れる。このため、解砕する装置やその方法は特に限定されない。ただし、効率的且つ均一に解砕するには、市販の高速ブレンダーや高速カッターなど粉砕刃が回転する方式の粉砕機を使用すると好ましい。例えばカッターミルで数秒間の粉砕を2~3回繰り返すことで、均一に解砕することができる。従来の一般的なタルク粉体ではろ過と乾燥により「会合」を起こして固い塊となってしまい、あとで一次粒子に解砕しようとしても、十分に均一な解砕が出来ず、未解砕物が発生するなどの問題を抱えていた。これに対して、本発明にかかる強鱗片状タルク粉体では湿式ジェットにより劈開面から剥がれた構成を有することで、容易に解砕することが出来る物性を有する。
ここまでの乾燥までの手順で、上記の第一の実施形態にかかる強鱗片状タルク粉体を得ることができる。また、この第一の実施形態にかかる強鱗片状タルク粉体をさらに追加で粉砕(S121)することで、上記の第二の実施形態にかかる強鱗片状タルク粉体を得ることができる。
この追加粉砕の方法としては、旋回気流式ジェット粉砕機による旋回気流式ジェット粉砕を行うのが好ましい。本方式のジェットミルは強力な旋回気流場で粒子同士の衝突により微粒子化されるため、粒子表面を傷つけることなく、長径方向に粉砕されることで容易に微粒子化することが出来、また粒子層間剥離を達成させることが可能である。これにより、第一の実施形態の、湿式ジェット粉砕で得られた強鱗片状タルク粒子の滑らかな粒子表面を壊すことなく微粒子化することができる。この追加粉砕では一旦得られた強鱗片状タルク粉体の粒子を、叩解作用で粒径2μm程度にまで微粒子化することになり、高いエネルギーを必要とする。旋回気流式ジェット粉砕機を用いるとこの叩解に必要なエネルギーを与えることができる。
次に、この発明にかかる強鱗片状タルク粉体を実際に製造した実施例を示す。
(実施例1)
インド産のタルク鉱石を原料として、ジョウクラッシャーとインパクトブレーカーとを順に用いて粗粉砕して一旦貯蔵した。次に高速ハンマーミルで予備微粉砕してメディアン径(体積基準d50)が16.4μmに粉砕されたタルク原料粉120gを得た。このタルク原料粉を、3Lの水道水に撹拌して4%濃度のスラリーを調製した。
上記のスラリーを、トミー工業(株)製オートクレーブ:型式:LSX-300を用いて、120℃で3時間かけて高圧加熱処理させた。この加熱により、層間結合力を柔らかくして、剥離作用を進行させやすくする。
加熱後のスラリーを10Lのステンレス製タンクに投入し、タンク内はプロペラ型撹拌機で600rpm.で撹拌させた。タンク下部からスラリーをコールパーマー社製チューブポンプで1L/minの送液量でスギヤマ美粒工房製、湿式ジェット粉砕機:マッハビーター型式:MB-Laboの2流体ノズルへ送り圧縮空気と衝突させてアトマイズさせた。圧縮空気は、配管途中に電熱ヒーターを取付けて40℃に温調コントロールさせた。この圧縮空気の圧力はレギュレーターで0.6MPaとした。この時の空気消費量は380L/minであった。アトマイズされる際の速度はマッハ1であった。衝突後のスラリーはステンレス製タンクに戻し、循環させた。これを4時間連続で運転した。なお、アトマイズされた微小ミストの一部は、圧縮空気ガスに同伴され大気へ放出されるため、タンク内のスラリー水量の補充のため、300ml/1時間の水分補給を3回行った。4時間経過後にタンク下部に設けた3方バルブを切り替えて、タンク内のスラリーを別の容器に回収した。
回収したスラリーをRocker社製減圧ろ過装置:Lafil 400-LF30(目開き3μm定性ろ紙)を用いてろ過しケーキを得た。ケーキをステンレスバットに薄く広げ、ヤマト科学(株)製強制送風循環式低温恒温器(IN604)を用いて、35℃で24時間乾燥させた。乾燥後、岩谷産業(株)製カッターミル(ミルサーIFM-700G)を用いて数秒間粉砕を2回繰返すことで解砕して、強鱗片状タルク粉体110gを得た。
(株)島津製作所製:レーザ回折式粒子径分布測定装置(SALD-2100)を用いて、得られた強鱗片状タルク粉体の粒子径を測定した結果、メディアン径(d50体積基準)が10.373μm、メディアン径(d50個数基準)が3.167μmの粒度分布を有した強鱗片状タルク粉体を得た。また、体積基準と個数基準のそれぞれでのヒストグラムを図4に示す。個数分布では粒径1μmの粒子がほぼ観測されていないにもかかわらず、1μmを超えると急激に相対量が増えており、粒径1μm未満のキシミ感を起こす粒子がほぼ無く、粒径の分布幅が小さい粉体となっており、タルクが細かく粉砕されずに層間剥離を好適に起こしていることが確認できた。
<BET法による比表面積の測定>
比表面積を、アントンパール社製高感度ガス吸着装置Autosorb iQを用いてBET法により測定した。吸着ガスには窒素ガスを使用し、脱気条件は300℃で、2時間加熱真空排気して行った。その結果を表1に示す。
Figure 0007294711000001
<アスペクト比の測定>
アスペクト比の算出方法として、日立ハイテク社製 走査電子顕微鏡SUS3800を用いてそれぞれの実施例、比較例にかかる粉体を撮影した。得られたSEM画像中に移る粒子の中からランダムに30~40個の直立した粒子及びやや直立した粒子を選び、長径と厚みの比を各々計算し、その数平均値をアスペクト比とした。
<厚みの算出>
粒子の厚みは、上記のメディアン径(d50体積基準)と上記のアスペクト比とから、{メディアン径(d50体積基準)/アスペクト比}を算出し、これを粒子の厚みとした。上記の長径がレーザ回折式粒度測定器から得られるメディアン径(d50体積基準)に相当すると仮定すると、アスペクト比が長径/短径であることから、短径に相当する粒子厚みは{メディアン径(d50体積基準)/アスペクト比}となる。
電子顕微鏡(日本電子(株)製 FE型走査電子顕微鏡EDX付(FE-SEM/EDX)型式 JSM-7001F)を用いて、得られた強鱗片状タルク粉体の2000倍写真と5000倍写真とを撮影した。それぞれ図5(a)、(b)として示す。5000倍写真に示すように、タルクの鱗片状の形状を残した形で剥離されていることが確認できた。
(実施例2)
実施例1において、用いるタルク鉱石を、鱗片状結晶が層間剥離し易そうな鉱石を目視選鉱したタルク鉱石に変更した以外は、実施例1と同様の手順で粉砕した。乾式粉砕時のメディアン径(体積基準d50)は16.4μmから19.7μmになり、粒径は全体的に大きくなった。最終的に得られた強鱗片状タルク粉体のメディアン径(体積基準d50)は10.188μmであり、メディアン径(個数基準d50)は3.192μmとなった。同様に比表面積、アスペクト比、粒子の厚みを測定した結果を表1に示す。選鉱により、実施例1よりも粒子の厚みは薄くなり、アスペクト比が向上することが確認できた。また、同倍率の電子顕微鏡写真を図6(a)(b)にそれぞれ示す。鱗片状の層間がはがれた形状となっていることが確認できた。ヒストグラムからも、1μm未満の粒子は観測されなかった。
(実施例3)
実施例1において、用いるタルク鉱石を鱗片状結晶が層間剥離し易そうな鉱石の中から、さらに選りすぐりの鉱石のみを目視選鉱したタルク鉱石に変更した以外は、実施例1と同様の手順で粉砕した。乾式粉砕時のメディアン径(体積基準d50)は16.4μmから18.7μmになり、粒径は全体的に大きくなったが、実施例2よりもやや小さくなった。最終的に得られた強鱗片状タルク粉体のメディアン径(体積基準d50)は9.761μmであり、メディアン径(個数基準d50)は3.255μmとなった。同様に比表面積、アスペクト比、粒子の厚みを測定した結果を表1に示す。選鉱により、実施例2よりもさらに粒子の厚みは薄くなり、アスペクト比もさらに向上することが確認できた。また、同倍率の電子顕微鏡写真を図7(a)(b)にそれぞれ示す。鱗片状の層間がはがれて実施例1,2よりも面が広い形状となっていることが確認できた。ヒストグラムからも、1μm未満の粒子は観測されなかった。
(実施例4)
実施例1において、湿式粉砕を行う運転時間を4時間から8時間に倍増した以外は実施例1と同様の手順で粉砕した。最終的に得られた強鱗片状タルク粉体のメディアン径(体積基準d50)は8.430μmであり、メディアン径(個数基準d50)は3.050μmとなった。体積基準でのメディアン径は実施例1よりも低下したが、個数基準でのメディアン径はほとんど下がらなかったので、湿式粉砕において剥離は進むものの細かい粒子を生じるような粉砕はほとんど起きていないことが確認された。同様に比表面積、アスペクト比、粒子の厚みを測定した結果を表1に示す。実施例1よりも粒子の厚みは薄くなり、アスペクト比が向上することから、層間剥離が進行していることが確認できた。また、同倍率の電子顕微鏡写真を図8(a)(b)にそれぞれ示す。長時間の粉砕でも鱗片状であることが維持されていることが確認できた。ヒストグラムからも、1μm未満の粒子は観測されなかった。
(比較例1:一般化粧品用途向けタルク粉体。湿式ジェット粉砕なし)
中国産のタルク鉱石を原料として、ジョークラッシャーとインパクトブレーカーとを順に用いて粗粉砕して一旦貯蔵した。次にローラーミルで予備微粉砕して、メディアン径(d50体積基準)が20.0μmに乾式粉砕されたタルク粉体を原料粉として、(株)セイシン企業製ジェットオーマイザー粉砕機(0808-3)で乾式粉砕し、タルク粉体を得た。(株)島津製作所製 レーザ回折式粒子径分布測定装置(SALD-2100)を用いて、得られたタルク粉体の粒子径を測定した結果、メディアン径(体積基準d50)が9.103μmであり、メディアン径(個数基準d50)が1.169μmとなった。実施例1に比べて、メディアン径(体積基準d50)は大きな差がないものの、メディアン径(個数基準d50)では1/3になっており、粒径が特に細かい粒子が多くなっていることがわかった。ヒストグラムを確認すると、体積基準では実施例1とほとんど差がないように見えるが、個数基準では粒径1μm未満の粒子が多数含まれていることがわかった。また、同倍率の電子顕微鏡写真を図9(a)(b)に示す。個々の粒子の形状は丸みを帯びていて、層間剥離がほとんど起きておらず、表面平滑性が低いことがわかった。
(比較例2:湿式ジェット粉砕無し:一般的湿式粉砕)
実施例1において、スラリーに対して湿式ジェット粉砕を行う代わりに、日本コークス工業(株)製、湿式ビーズミル粉砕機(SC50/16A-HC-ZZ)を用い、ビーズミルにより湿式粉砕した。粉砕条件は、ビーズの直径が0.2mm、ジルコニア製で40gのものを用いた。ロータ回転数:3600rpm、運転時間:4時間とした。それ以外は同様の手順によりタルク粉体を得ようとしたが、強制送風循環式低温恒温器による乾燥後の状態は何れの実施例とも全く違い、非常に硬く固まっていた。その後解砕した粉体も質感はザラザラとしており、明らかに乾燥時の凝集が著しいと確認された。
(比較例3:湿式ジェット粉砕無し、乾燥方法変更)
比較例2において、乾燥にあたってt-ブタノール凍結乾燥法を用いた。具体的には、粉体を一旦エタノールになじませてから、t-ブタノールに置換して乾燥した。それら以外は比較例2と同様の手順によりタルク粉体を得た。得られたタルク粉体の粒子径を測定した結果、メディアン径(体積基準d50)が10.317μm、メディアン径(個数基準d50)が2.814μmとなった。しかしながら、比表面積は47.1と実施例1に比べて極端に大きくなった。また、同倍率の電子顕微鏡写真を図10(a)(b)に示す。劈開面からの層間剥離がほとんど起こらずに細かい破片となって剥がれていることが確認され、表面が歪な凹凸となっており、これにより比表面積が極端に高くなっていることがわかった。また、ヒストグラムを確認すると、1μmよりやや大きい粒子が少なくなっているのに、1μm未満の細かく砕かれた破片と見られる小さな粒子が大量にあって表面平滑性が低いことが確認された。
(小括)
実施例1、2及び3で得られた強鱗片状タルク粉体は、比較例1で得られた化粧品用途向け一般的なタルク粉体と比較して、メディアン径(d50体積基準)においては、何れも10μm前後と同粒子径である。しかし、メディアン径(d50個数基準)においては、実施例1~3は3μm程度であるのに対して、比較例1は1μm程度と約1/3程度まで小さい結果である。これは、本発明品の方が、層状に積層したタルク粒子を過粉砕することなく、劈開面に沿って的確に剥がす事が出来た効果と考える。
一方、比較例3で得られた一般的な湿式粉砕のタルク粉体は、本発明品の実施例1、2及び3で得られた強鱗片状タルク粉体と比較して、メディアン径(d50体積基準)では同等でありながら、メディアン径(d50個数基準)では小さい。これは、過粉砕された1μm以下の微粒子量が多いためと考える。
比表面積について検討する。実施例1、2及び3で得られた強鱗片状タルク粉体は、比較例1で得られた化粧品用途向け一般的なタルク粉体と比較して、ほぼ同様のメディアン径(d50体積基準)でありながら、比表面積値は何れも大きい。これは、本発明にかかる実施例1~3の方が層状に積層したタルク粒子を過粉砕することなく、劈開面に沿って的確に剥がす事が出来たことにより、鱗片化が進行し表面積が増大した結果と考えられる。
続いて、アスペクト比ならびに粒子の厚みについて、実施例1、2及び3で得られた強鱗片状タルク粉体は、比較例1で得られた化粧品用途向け一般的なタルク粉体と比較して、アスペクト比は大きく、粒子の厚みは小さい。これは、比表面積と同様、本発明品の方が層状に積層したタルク粒子を過粉砕することなく、劈開面に沿って的確に剥がす事が出来たことにより、鱗片化が進行した結果と考える。
また、比較例3で得られた一般的な湿式粉砕のタルク粉体は、実施例1、2及び3で得られた強鱗片状タルク粉体と比較して、アスペクト比は小さく、粒子の厚みは大きい。これは、メディアン径(d50個数基準)の結果で明らかなとおり、層状に積層したタルク粒子を劈開面に沿って的確に剥がす事が出来ず、また、厚みを大きく変えることなく長径を小さくしながら過粉砕も進行し1μm以下の微粒子量が多くなった事が影響していると考える。
<追加粉砕したタルク粉体>
(実施例5)
実施例1で得られた強鱗片状タルク粉体を原料として、日本ニューマチック工業(株)製旋回気流式ジェット粉砕機(PJM-80SP:乾式)を用いて、粉砕圧力0.6Mpa、消費空気量400L/minで1時間当たり300gの供給速度で微粉砕して、さらに細かくした強鱗片状タルク粉体を得た。同様に粒子径を測定した結果、メディアン径(体積基準d50)が2.536μm、メディアン径(個数基準d50)が0.566μmとなった。また、同様に比表面積、アスペクト比、粒子の厚みを測定した。その結果を表2に示す。また、粒径のヒストグラムを図11に示す。粒径0.3μm未満の粒子が確認されないにもかかわらず、粒径0.5μm程度の粒子が多数を占めており、特に細かい破片が生じることなく粒径が揃っている粉体となっていることが確認できた。さらに、倍率を5000倍、10000倍にした電子顕微鏡写真を図12(a)(b)に示す。実施例1に比べて全体的に粒子は小さくなったものの、個々の粒子は薄く層間剥離されていることが確認できた。測定された粒子の厚みがさらに薄くなっていることからも、一旦強鱗片状タルク粉体となったものを追加粉砕することで、さらに鱗片状を維持したまま細かくできることが確認できた。またこのため、高アスペクト比が維持されていることがわかった。
Figure 0007294711000002
(実施例6)
実施例2で得られた強鱗片状タルク粉体を原料として、実施例5と同様の条件で旋回気流式ジェット粉砕機を用いてさらに細かくした強鱗片状タルク粉体を得た。同様に粒子径を測定した結果、メディアン径(体積基準d50)が2.486μm、メディアン径(個数基準d50)が0.584μmとなった。また、同様に比表面積、アスペクト比、粒子の厚みを測定した。その結果を表2に示す。またヒストグラムからは、粒径0.3μm未満の粒子が確認されないにもかかわらず、粒径0.5μm程度の粒子が多数を占めており、特に細かい破片が生じることなく粒径が揃っている粉体となっていることが確認できた。さらに、倍率を5000倍、10000倍にした電子顕微鏡写真を図13(a)(b)に示す。実施例2に比べて全体的に粒子は小さくなったものの、個々の粒子は薄く層間剥離されていることが確認できた。測定された粒子の厚みがさらに薄くなっていることからも、一旦強鱗片状タルク粉体となったものを追加粉砕することで、さらに鱗片状を維持したまま細かくできることが確認できた。またこのため、高アスペクト比が維持されていることがわかった。粒子の厚みは実施例5に比べるとさらに薄くなっており、選鉱によって最終的に得られる鱗片状タルク粉体の品質を向上できることがわかった。
(実施例7)
実施例3で得られた強鱗片状タルク粉体を原料として、実施例5と同様の条件で旋回気流式ジェット粉砕機を用いてさらに細かくした強鱗片状タルク粉体を得た。同様に粒子径を測定した結果、メディアン径(体積基準d50)が2.851μm、メディアン径(個数基準d50)が0.602μmとなった。また、同様に比表面積、アスペクト比、粒子の厚みを測定した。その結果を表2に示す。またヒストグラムからは、粒径0.3μm未満の粒子が確認されないにもかかわらず、粒径0.5μm程度の粒子が多数を占めており、特に細かい破片が生じることなく粒径が揃っている粉体となっていることが確認できた。さらに、倍率を5000倍、10000倍にした電子顕微鏡写真を図14(a)(b)に示す。実施例3に比べて全体的に粒子は小さくなったものの、個々の粒子は薄く層間剥離されていることが確認できた。測定された粒子の厚みがさらに薄くなっていることからも、一旦強鱗片状タルク粉体となったものを追加粉砕することで、さらに鱗片状を維持したまま細かくできることが確認できた。またこのため、高アスペクト比が維持されていることがわかった。実施例5に比べるとアスペクト比がさらに大きくなっており、実施例3を得る際の選鉱によって最終的に得られる鱗片状タルク粉体の品質を向上できることがわかった。
(参考例1)
中国産のタルク鉱石を原料として、実施例1と同様の乾式粗粉砕機でメディアン径(体積基準d50)が8.0μmに粉砕されたタルクを原料粉として、日本ニューマチック工業(株)製旋回気流式ジェット粉砕機(PJM-460SP)で実施例5と同様の条件で粉砕してタルク粉体を得た。すなわち、実施例5における乾式粉砕の後に行っていた湿式ジェット粉砕の手順を省き、そのままさらなる粉砕を行った。同様に得られたタルク粉体の粒子径を測定した結果、メディアン径(体積基準d50)が4.083μm、メディアン径(個数基準d50)が1.311μmとなった。この乾式粉砕と乾式ジェット粉砕との組み合わせでは、実施例5に比べて粒径が小さくならないにもかかわらず、アスペクト比は小さく、かつ粒子の厚みも薄くならなかった。これは、湿式ジェット粉砕による層間剥離が進行しなかった分、旋回気流式ジェット粉砕機での粉砕をその後に行っても、実施例5に比べて全体的に粒径が細かくしきれず、メディアン径(体積基準d50)が4μm未満の粉体を調製できないことがわかった。なお、倍率を5000倍、10000倍にした電子顕微鏡写真を図15(a)(b)に示す。
(比較例4)
比較例2で得た一般的な湿式粉砕(湿式ジェット粉砕を使用せず)のタルク粉体を原料として、日本ニューマチック工業(株)製旋回気流式ジェット粉砕機(PJM-80SP)を用いて、実施例5と同様の条件で微粉砕し、タルク粉体を得た。同様に、得られたタルク粉体の粒子径を測定した結果、メディアン径(体積基準d50)が2.262μmであり、メディアン径(個数基準d50)が0.150μmとなった。ヒストグラムからも、粒径が0.1μm前後の極めて細かい粒子が多数生じてしまっていた。倍率を5000倍、10000倍にした電子顕微鏡写真を図16(a)(b)に示す。層間剥離がほとんど見られず、形状のはっきりしない破片が大半となっており、このため比表面積が高く、表面平滑性が低くなっていることが確認できた。
(小括)
実施例5、6及び7で得られた追加粉砕された強鱗片状タルク粉体は、比較例4で得られた一般的な湿式粉砕のタルク粉体をジェット粉砕したタルク粉体と比較して、メディアン径(d50体積基準)は、何れも2μm前後と同粒子径である。これに対し、メディアン径(d50個数基準)においては、実施例5~7は何れも0.6μm前後であるのに対して、比較例4は0.15μmと1/4程度まで小さい。これは、実施例5~7及び比較例4は何れも乾式ジェット粉砕機によって所定の粒子径に粉砕されてはいるものの、比較例4の方が乾式ジェット粉砕される前のタルク粉体中に含まれる過粉砕された1μm以下の微粒子量が多かったため、乾式ジェット粉砕機によって更に粉砕が進行し、0.1μm以下の超微粒子量が増え、メディアン径(d50個数基準)も小さくなったと考えられる。
比表面積について検討する。実施例5、6及び7で得られた強鱗片状タルク粉体は、比較例4で得られた一般的な湿式粉砕のタルク粉体をジェット粉砕したタルク粉体と比較して、比表面積は何れも小さかった。これは、比較例4では、原料粉である過粉砕された微粒子量の多い比較例2のタルク粉体はジェット粉砕によって更に微粒化が進行したため、0.1μm以下の超微粒子量が多くなった事、且つFE-SEM画像と同様にタルク粒子の表面及び側面が荒れて凸凹状態(表面平滑性が低い)になっている事、とが重なり表面積が増大したことによる差が現れたものと考えられる。
また、アスペクト比及び粒子の厚みについて検討する。実施例5、6及び7で得られた強鱗片状タルク粉体は、参考例1で得られた一般的なジェット粉砕したタルク粉体と比較して、メディアン径(d50体積基準)は1/2程度でありながら、アスペクト比は小さく、粒子の厚みは大きい。これは、実施例5~7及び参考例1の何れも乾式ジェット粉砕機によって所定の粒子径に粉砕されてはいるものの、実施例5~7の場合は、鱗片化を保持、又は進行しながら粉砕出来ているが、参考例1の場合は、層状に積層したタルク粒子を劈開面に沿って的確に剥がす事が不十分であったとためと考える。一方、比較例4で得られた一般的な湿式粉砕のタルク粉体をジェット粉砕したタルク粉体と比較すると、実施例5~7はメディアン径(d50体積基準)は同等でありながら、アスペクト比は小さく、粒子の厚みは大きい。これは、比較例4の場合、乾式ジェット粉砕機によって所定の粒子径に粉砕され、且つ鱗片化もある程度までは進行はしたものの、乾式ジェット粉砕される前のタルク粉体中に含まれる過粉砕された1μm以下の微粒子量が多かったため、乾式ジェット粉砕機によって更に粉砕が進行し、0.1μm以下の超微粒子量が増えた事が影響していると考える。
<質感評価試験>
実施例1~3の強鱗片状タルク粉体と、化粧品として多用されている一般的なタルク粉体である比較例1とについて、それぞれ被験者が肌に塗布し、その質感の違いを比較評価してまとめた。
(評価方法)
女性16名(10代:1名、20代:2名、30代:5名、40代:4名、50代:1名、60代:2名、70代:1名)を被験者とし、室温15~25℃、湿度30~60 %の静かな部屋で質感評価試験を実施した。質感評価は、手の甲あるいは前腕内側部にタルク粉体をとり、指先で擦ることで、「すべり性」、「しっとり感」、及び「光沢感」の3つの感触項目ついて相対的に評価した。評価基準は5段階とし(非常に良い:5点、良い:4点、普通:3点、悪い:2点、非常に悪い:1点)、被験者各人が試料ごとに点数を付けた。
(判定方法)
被験者が付けた評価点を評価項目別に集計し、その合計点を被験者人数で割り、その点数を各項目の評価点(小数点第2桁を四捨五入)とした。この評価点の合計点数が高い順に化粧品用途向け粉体として優れていると判定した。その結果を表3に示す。
Figure 0007294711000003
上記の質感評価点から、実施例1、2及び3で得られた強鱗片状タルク粉体は、比較例1で得られた一般的なタルク粉体と比べて、何れも総合的に優れている。被験者からのコメントの多くに、強鱗片状タルク粉体の方が、しっとり感と光沢感に優れているとの意見が多く、表3のようなはっきりとした差が現れた。これは、本発明にかかる強鱗片状タルク粉体が、層状に積層したタルク粒子を長径方向に破壊することなく、劈開面に沿って的確に剥がす事が出来たことで粒子の鱗片化が進行し、且つ表面平滑性も高くなった効果と考えられる。
1a 湿式ジェットミル装置
2 ガス供給口
3 超音速ノズル
3a 縮径部
3b スロート部
3c ダイバージェント部
4 粉砕室
5 衝突部材
5a 円錐状衝突部
5b 平板部
6 裾部
7 隙間
9 内周壁面
10 スラリー供給路
11 円錐固定部
12 通過口
13 スラリー溜部
13a 等高部
13b 傾斜部
21 下部貯蔵槽
22 保温部
23 攪拌機
24 攪拌翼
26 環流路
27 ポンプ
29 圧力計
35 電熱ヒーター
37 コンデンサー

Claims (7)

  1. レーザ回折式で測定されるメディアン径(体積基準d50)が8.0μm以上12.0μm以下、レーザ回折式で測定されるメディアン径(個数基準d50)が3.0μm以上4.0μm以下であり、アスペクト比の数平均が45以上である、強鱗片状タルク粉体。
  2. 比表面積が5.0以上、10.0以下である請求項1に記載の強鱗片状タルク粉体。
  3. レーザ回折式で測定されるメディアン径(体積基準d50)が2.0μm以上4.0μm以下であり、かつレーザ回折式で測定されるメディアン径(個数基準d50)が0.45μm以上0.65μm以下であり、アスペクト比の数平均が40以上である強鱗片状タルク粉体。
  4. 比表面積が10.0以上、20.0以下である請求項3に記載の強鱗片状タルク粉体。
  5. タルク鉱石を乾式粉砕によって予備粉砕したメディアン径(体積基準d50)が15.0μm以上30.0μm以下であるタルク粉体を、2質量%以上30質量%以下の固形分として含むスラリーを、圧縮空気により亜音速から超音速でアトマイズさせて湿式ジェット粉砕する、強鱗片状タルク粉体の製造方法。
  6. 上記湿式ジェット粉砕を行った後に、温度30℃以上50℃以下で乾燥させる、請求項5に記載の強鱗片状タルク粉体の製造方法。
  7. 請求項6に記載の強鱗片状タルク粉体の製造方法を行った上記乾燥の後に、さらに乾式ジェット粉砕を行う、強鱗片状タルク粉体の製造方法。
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