以下、本開示の複数の実施形態を図面に基づいて説明する。尚、各実施形態において対応する構成要素には同一の符号を付すことにより、重複する説明を省略する場合がある。各実施形態において構成の一部分のみを説明している場合、当該構成の他の部分については、先行して説明した他の実施形態の構成を適用することができる。また、各実施形態の説明において明示している構成の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示していなくても複数の実施形態の構成同士を部分的に組み合わせることができる。そして、複数の実施形態及び変形例に記述された構成同士の明示されていない組み合わせも、以下の説明によって開示されているものとする。
(第一実施形態)
図1及び図2に示す本開示の第一実施形態によるエネルギマネージャ100は、車両Aに搭載されている。車両Aは、走行用のメインバッテリ22を搭載しており、メインバッテリ22の電力で走行するBEV(Battery Electric Vehicle)である。エネルギマネージャ100は、メインバッテリ22の状態を管理するバッテリ管理装置の機能を備えている。車両Aには、DCM93、ナビゲーション装置60、ユーザ入力部160、複数の消費ドメインDEc、給電ドメインDEs及び充電システム50等が、上述のエネルギマネージャ100と共に搭載されている。
DCM(Data Communication Module)93は、車両Aに搭載される通信モジュールである。DCM93は、LTE(Long Term Evolution)及び5G等の通信規格に沿った無線通信により、車両Aの周囲の基地局BSとの間で電波を送受信する。DCM93の搭載により、車両Aは、ネットワークNWに接続可能なコネクテッドカーとなる。DCM93は、ネットワークNWを通じて、クラウドサーバ190及びステーションマネージャ180等との間で情報を送受信できる。クラウドサーバ190は、クラウド上に設置された情報配信サーバであり、例えば気象情報及び渋滞情報等を配信する。
ステーションマネージャ180は、充電管理センタCTcに設置された演算システムである。ステーションマネージャ180は、特定の地域に設置された多数の充電ステーションCSと、ネットワークNWを通じて、通信可能に接続されている。ステーションマネージャ180は、各充電ステーションCSについてのステーション情報を把握している。ステーション情報には、充電ステーションCSの設置場所、使用中か否かを示す使用可否情報、及び充電器の充電能力情報等が含まれている。充電能力情報は、例えば、急速充電可能か否か、対応する充電の規格、及び急速充電の最大出力(kW)等である。
充電ステーションCSは、車両Aに搭載される走行用のメインバッテリ22を充電するインフラ施設である。各充電ステーションCSは、電力網を通じて供給される交流電力、又は太陽光発電システム等から供給される直流電力を用いて、メインバッテリ22を充電する。充電ステーションCSは、例えばショッピングモール、コンビニエンスストア及び公共施設等の各駐車場に設置されている。
ナビゲーション装置60は、ユーザによって設定された目的地までの経路案内を行う車載装置である。ナビゲーション装置60は、画面表示及び音声再生等により、交差点、分岐ポイント及び合流ポイント等にて、直進、右左折及び車線変更等の誘導を行う。ナビゲーション装置60は、ナビ情報として、目的地までの距離、各走行区間での車速、高低差等の情報を、エネルギマネージャ100に提供可能である。
ユーザ入力部160は、ドライバ等の車両Aのユーザによる入力操作を受け付ける操作デバイスである。ユーザ入力部160には、例えばナビゲーション装置60を操作するユーザ操作、温調制御(後述する)の起動及び停止の切り替えを行うユーザ操作、車両Aに関連する種々の設定値を変更するユーザ操作等が入力される。ユーザ入力部160は、ユーザ操作に基づく入力情報を、エネルギマネージャ100に提供可能である。
例えば、ステアリングホイールのスポーク部に設けられたステアスイッチ、センターコンソール等に設置されたスイッチ及びダイヤル、並びにドライバの発話を検出する音声入力装置等が、ユーザ入力部160として車両Aに搭載される。また、ナビゲーション装置60のタッチパネル等がユーザ入力部160として機能してもよい。さらに、スマートフォン及びタブレット端末等のユーザ端末が、有線又は無線(例えばブルートゥース,登録商標)等によってエネルギマネージャ100に接続されることで、ユーザ入力部160として機能してもよい。
消費ドメインDEcは、メインバッテリ22等の電力の使用により、種々の車両機能を実現する車載機器群である。少なくとも一つのドメインマネージャを含み、当該ドメインマネージャによって電力の消費を管理されるひと纏まりの車載機器群が、一つの消費ドメインDEcとされる。複数の消費ドメインDEcには、走行制御ドメイン及び空調制御ドメインが含まれている。
走行制御ドメインは、車両Aの走行を制御する消費ドメインDEcである。走行制御ドメインには、モータジェネレータ31、インバータ32、ステア制御システム33、ブレーキ制御システム34、及び運動マネージャ30が含まれている。
モータジェネレータ31は、車両Aを走行させるための駆動力を発生させる駆動源である。インバータ32は、モータジェネレータ31による力行及び回生を制御する。インバータ32は、モータジェネレータ31による力行時において、メインバッテリ22より供給される直流電力を三相交流電力に変換し、モータジェネレータ31に供給する。インバータ32は、交流電力の周波数、電流及び電圧を調節可能であり、モータジェネレータ31の発生駆動力を制御する。一方、モータジェネレータ31による回生時において、インバータ32は、交流電力を直流電力に変換し、メインバッテリ22に供給する。ステア制御システム33は、車両Aの操舵を制御する。ブレーキ制御システム34は、車両Aに生じさせる制動力を制御する。
運動マネージャ30は、インバータ32、ステア制御システム33、ブレーキ制御システム34を統合的に制御し、ドライバの運転操作に従った車両Aの走行を実現させる。運動マネージャ30は、走行制御ドメインのドメインマネージャとして機能し、モータジェネレータ31、インバータ32、ステア制御システム33及びブレーキ制御システム34のそれぞれによる電力の消費を総合的に管理する。
空調制御ドメインは、車両Aの居室空間の空気調和と、メインバッテリ22の温度調整とを実施する消費ドメインDEcである。空調制御ドメインには、HVAC(Heating, Ventilation, and Air Conditioning)41、温調システム42、及び熱マネージャ40が含まれている。尚、HVAC41は、一台の車両Aに対して、複数設置されていてもよい。
HVAC41は、メインバッテリ22からの供給電力を利用して、居室空間の暖房、冷房及び換気等を行う電動式の空調装置である。HVAC41は、冷凍サイクル装置、送風ファン、電気ヒータ及びエアミックスダンパ等を備えている。HVAC41は、冷凍サイクル装置のコンプレッサ、電気ヒータ及びエアミックスダンパ等を制御し、暖気及び冷気を生成可能である。HVAC41は、送風ファンの作動により、生成した暖気又は冷気を、空調風として、居室空間に供給する。
温調システム42は、メインバッテリ22の冷却又は昇温を行うシステムである。温調システム42は、メインバッテリ22と共に、モータジェネレータ31及びインバータ32等の冷却又は昇温を行ってもよい。温調システム42は、HVAC41によって昇温又は冷却させたクーラントの循環により、電動走行系の温度を所定の温度範囲内に維持させる。
一例として、温調システム42は、冷却回路、電動ポンプ、ラジエータ、チラー及び液温センサ等によって構成されている。冷却回路は、メインバッテリ22、モータジェネレータ31及びインバータ32等の電動走行系の各構成を巡るように設置された配管を主体として構成される。電動ポンプは、冷却回路の配管内に充填されたクーラントを循環させる。クーラントに移動したバッテリ熱は、ラジエータによって外気に放出されるか、又はチラーによってHVAC41の冷媒に放出される。液温センサは、クーラントの温度を計測する。
熱マネージャ40は、HVAC41及び温調システム42の作動を制御する車載コンピュータである。熱マネージャ40は、居室空間の空調設定温度と、居室空間に設置された温度センサの計測温度とを比較し、HVAC41の空調作動を制御する。熱マネージャ40は、液温センサによる計測結果を参照し、HVAC41及び温調システム42の温調作動を制御する。以上の熱マネージャ40は、熱ドメインのドメインマネージャとして機能し、HVAC41及び温調システム42のそれぞれによる電力の消費を総合的に管理する。
給電ドメインDEsは、消費ドメインDEcへの電力供給を可能にするための車載機器群である。給電ドメインDEsは、消費ドメインDEcと同様に、少なくとも一つのドメインマネージャを含んでいる。給電ドメインDEsは、充電回路21、メインバッテリ22、サブバッテリ23及びバッテリマネージャ20を備えている。
充電回路21は、バッテリマネージャ20との協働により、各消費ドメインDEc及び各バッテリ22,23間での電力の流れを統合的に制御するジャンクションボックスとして機能する。充電回路21は、メインバッテリ22及びサブバッテリ23からの電力供給と、メインバッテリ22及びサブバッテリ23への充電とを実施する。
メインバッテリ22は、電力を充放電可能な二次電池である。メインバッテリ22は、多数の電池セルを含む組電池を備えている。電池セルは、例えばニッケル水素電池、リチウムイオン電池、及び全固体電池等のいずれかである。メインバッテリ22に蓄えられた電力は、上述したように、主に車両Aの走行と居室空間の空調とに用いられる。
サブバッテリ23は、メインバッテリ22と同様に、電力を充放電可能な二次電池である。サブバッテリ23は、例えば鉛蓄電池である。サブバッテリ23のバッテリ容量は、メインバッテリ22のバッテリ容量よりも少ない。サブバッテリ23に蓄えられた電力は、主に車両Aの補機類等によって使用される。
バッテリマネージャ20は、給電ドメインDEsのドメインマネージャとして機能する車載コンピュータである。バッテリマネージャ20は、充電回路21から各消費ドメインDEcに供給される電力を管理する。バッテリマネージャ20は、メインバッテリ22及びサブバッテリ23についての残量情報を、エネルギマネージャ100に通知する。
充電システム50は、給電ドメインDEsに電力を供給し、メインバッテリ22の充電を可能にする。充電システム50には、充電ステーションCSにて、外部の充電器が電気的に接続される。充電システム50は、充電ケーブルを通じて供給される充電用の電力を、充電回路21に出力する。普通充電を行う場合、充電システム50は、普通充電用の充電器から供給される交流電力を直流電力に変換し、充電回路21に供給する。一方、急速充電を行う場合、充電システム50は、急速充電用の充電器から供給される直流電力を、充電回路21に出力する。充電システム50は、急速充電用の充電器と通信する機能を有しており、充電器の制御回路と連携して、充電回路21に供給する電圧を制御する。
エネルギマネージャ100は、各消費ドメインDEcによる電力の使用を統合的に管理する。エネルギマネージャ100は、処理部11、RAM12、記憶部13、入出力インターフェース14、及びこれらを接続するバス等を備えた車載コンピュータ100aによって実現されている。処理部11は、RAM12と結合された演算処理のためのハードウェアである。処理部11は、RAM12へのアクセスにより、後述する各機能部の機能を実現させる種々の処理を実行する。記憶部13は、不揮発性の記憶媒体を含む構成である。記憶部13には、処理部11によって実行される種々のプログラム(バッテリ管理プログラム等)が格納されている。
エネルギマネージャ100は、記憶部13に記憶されたバッテリ管理プログラムを処理部11によって実行し、メインバッテリ22の状態管理に関連する複数の機能部を備える。具体的に、エネルギマネージャ100は、バッテリ管理プログラムに基づく機能部として、外部情報取得部71、内部情報取得部72、温度シミュレーション部74及び温調制御部75を備える。尚、車載コンピュータ100aへの電力供給は、車両Aが非走行可能状態(例えば、イグニッションオフの状態)であっても継続されている。そのため、エネルギマネージャ100は、後述する放置期間においても、制御実行の必要があれば、各機能部を起動し、所定の処理を実行できる。
外部情報取得部71及び内部情報取得部72は、車両Aの到着地でのメインバッテリ22の状態に影響する車両利用情報を取得する。到着地は、車両Aが放置される駐車場又は待機場、或いは充電ステーションCS等である。メインバッテリ22の状態は、例えば残量及び温度等である。
外部情報取得部71は、メインバッテリ22の状態に影響する車両利用情報のうちで、車両Aの外部より提供される情報を取得する。外部情報取得部71は、例えばステーションマネージャ180及びクラウドサーバ190等より配信されるセンタ情報を、車両利用情報として取得できる。外部情報取得部71は、充電ステーションCSの充電器に関する使用可否情報及び充電能力情報を、ステーションマネージャ180から取得する。外部情報取得部71は、気象情報及び渋滞情報等をクラウドサーバ190から取得する。気象情報には、ナビゲーション装置60に設定された走行ルート上の外気温、日射量、路面からの輻射熱量、及び降雨や降雪の有無等を示す情報等が含まれている。
内部情報取得部72は、メインバッテリ22の状態に影響する車両利用情報のうちで、車両Aの内部にて生成される車両利用情報を取得する。内部情報取得部72は、例えばナビゲーション装置60、給電ドメインDEs及び消費ドメインDEc等より提供される車両利用情報を取得できる。内部情報取得部72は、上述のナビ情報をナビゲーション装置60から取得する。ナビ情報には、目的地(到着地)までの距離、各区間の車速及び高低差に加えて、例えば信号機の数(停車回数)等の情報が含まれている。
内部情報取得部72は、給電ドメインDEsの状態を示すステータス情報を、バッテリマネージャ20から取得する。ステータス情報には、メインバッテリ22及びサブバッテリ23の残量情報及び温度情報等が含まれている。残量情報は、例えばSOC(States Of Charge,単位は「%」)の値である。
内部情報取得部72は、車両Aを運転するドライバの運転傾向情報を、車両利用情報として運動マネージャ30より取得する。運転傾向情報は、例えばドライバの運転傾向を示す情報であり、走行負荷を予測するための情報である。運転傾向情報には、ドライバのアクセル開度及びブレーキ踏力の傾向を示す情報が少なくとも含まれている。
内部情報取得部72は、ドライバ等の車両Aを使用するユーザの入力情報を取得する。入力情報は、車両Aに搭乗中のユーザがユーザ入力部160に入力した情報であってもよく、車両Aの外部にいるユーザがユーザ入力部160として機能するユーザ端末に入力した情報であってもよい。さらに、入力情報は、エネルギマネージャ100等のシステム側からの問い合わせに対しユーザがリアルタイムに入力した情報であってもよく、ユーザの過去の操作によって記録された設定値を示す情報であってもよい。一例として、内部情報取得部72は、リアルタイムの入力情報をユーザ入力部160から取得し、過去の入力情報に基づくユーザ設定の値を、記憶部13等から取得する。
内部情報取得部72は、各消費ドメインDEcの状態を示すステータス情報を、各ドメインマネージャから取得する。ステータス情報には、各車載機器の作動状態を示す情報等が含まれている。一例として、内部情報取得部72は、居室空間の空調の設定温度(以下、「空調要求情報」)及び現在温度を示す空調情報を、ステータス情報として取得する。さらに内部情報取得部72は、冷却回路のクーラントの温度情報、モータジェネレータ31及びインバータ32等の状態(例えば、現在温度等)を示す情報等を、ステータス情報として取得してもよい。
ここで、外部情報取得部71及び内部情報取得部72は、現在の実測値である車両利用情報に加えて、将来の推定値である車両利用情報を取得する。詳記すると、車両Aには、将来的な使用スケジュールが設定可能である。使用スケジュールは、放置後の走行スケジュール、高負荷での走行スケジュール、充電スケジュール、メインバッテリ22が高温な状態での放置後の走行スケジュール、及び低温下での放置後の走行スケジュール等である。外部情報取得部71及び内部情報取得部72では、現在から上記の使用スケジュールが開始されるまでの期間、上記の使用スケジュール開始時、上記の使用スケジュールの開始後の期間のそれぞれについて、車両利用情報を取得する。
尚、車両利用情報のうちで、使用スケジュールの開始以前にメインバッテリ22の状態に影響する情報を事前影響情報とし、使用スケジュールの開始時にメインバッテリ22の状態に影響する情報を開始時影響情報とする。さらに、使用スケジュールの開始後にメインバッテリ22の状態に影響する車両利用情報を、事後影響情報とする。事前影響情報、開始時影響情報及び事後影響情報は、推定値又は予測値である。
事前影響情報は、例えば現在から到着地までの走行負荷、空調負荷、渋滞情報等の交通情報、外気温及び日射量等の環境情報の推定値である。開始時影響情報は、例えば充電ステーションCSにおける充電器の待ち時間等の使用可否情報である。事後影響情報は、例えば充電ステーションCSの充電器の充電能力情報、到着地から出発後の走行負荷情報、並びに、外気温及び日射量等の環境情報等である。以上のように、車両利用情報として取得される車両Aの周囲の環境情報は、事前影響情報及び事後影響情報の両方に含まれ得る。
温度シミュレーション部74は、外部情報取得部71及び内部情報取得部72にて取得される車両利用情報に基づき、メインバッテリ22に対し実施される温調制御の目標バッテリ温度Tb(図7等参照)を設定する。温度シミュレーション部74は、目標バッテリ温度Tbの初期値を設定したうえで、新たに取得される車両利用情報を反映させるように、目標バッテリ温度Tbの更新を繰り返す。温度シミュレーション部74は、例えば車両Aの走行が開始されるとき、又は車両Aの駐車(放置)が開始されるとき等に、設定初期値を算出する。
温度シミュレーション部74は、外気温及び日射量等の環境情報、メインバッテリ22の残量情報及び温度情報、並びにHVAC41の空調情報等を参照し、目標バッテリ温度Tbの設定初期値を算出する。温度シミュレーション部74は、事前影響情報、開始時影響情報及び事後影響情報のうちで、外部情報取得部71及び内部情報取得部72にて取得された新たな情報に基づき、目標電池温度を設定初期値から変更し、随時更新していく。
さらに、温度シミュレーション部74は、実施判定部74a及び行動学習部74bをサブ機能部として有している。
実施判定部74aは、メインバッテリ22の温調制御の実施及び不実施を決定する。実施判定部74aは、内部情報取得部72にて取得されるメインバッテリ22の残量情報を参照し、メインバッテリ22の残量低下に基づき、温調制御が不要であると判定する。例えば、上述の使用スケジュールの開始時又は終了時におけるバッテリ残量の予測値が所定の残量閾値を下回る場合、実施判定部74aは、温調制御を実施させない決定を行う。加えて、実施判定部74aは、入力情報取得処理(図6参照)により、内部情報取得部72にて取得されるユーザの入力情報に基づき、メインバッテリ22の温調制御の実施及び不実施を決定する。
行動学習部74bは、車両Aを使用するユーザの行動傾向を学習する。行動学習部74bにて学習されたユーザの行動傾向に基づき、温度シミュレーション部74は、車両Aの使用予測を行う。具体的に、温度シミュレーション部74は、行動傾向に基づく使用予測を反映し、次回の走行開始時刻等を設定可能である。次回の走行開始時刻は、ドライバ情報として、車両利用情報に含まれる情報である(図5参照)。
温調制御部75は、熱マネージャ40と連携し、温度シミュレーション部74にて決定されたメインバッテリ22の温調制御を実行する。温調制御部75は、温度シミュレーション部74より取得する制御コマンドに基づき、HVAC41の空調能力と、温調システム42に割り振る温調能力との配分を設定し、空調制御と温調制御とを両立させる。このように、温調制御部75は、温度シミュレーション部74と連携し、居室空間の空調に用いる空調能力と、メインバッテリ22の温調に用いる温調能力とを調停する。
詳記すると、温度シミュレーション部74は、HVAC41の冷凍サイクル装置について、冷凍サイクル能力量の上限を把握している。温度シミュレーション部74は、後述する空調要求量と冷却要求量CPとの合計が冷凍サイクル能力量を超えないように、温調制御のスケジュール、換言すれば、温調制御の制御パターンを設定する。
次に、エネルギマネージャ100にて実施される先読み制御処理の詳細を、図7~図18に示す複数のシーンに沿って、図1~図6を参照しつつ、以下説明する。図3及び図4には、先読み制御を実施する複数のシーンが一覧にて示されている。また、図5には、先読み制御を実施する各シーンにおいて、先読み制御に利用される車両利用情報が一覧にて示されている。さらに、図6には、先読み制御処理のサブ処理として実施される入力情報取得処理が示されている。
<入力情報取得処理>
入力情報取得処理のS21では、ナビゲーション装置60等の車載インターフェースを利用し、温調制御を実行するか又はキャンセルするかの問い合わせを、車両Aに搭乗するユーザ(ドライバ等)へ向けて実施する。こうした車内のユーザへ向けた問い合わせの後、ユーザ操作に基づきユーザ入力部160より提供される入力情報の取得が、所定時間待機される。
S22では、ユーザ入力部160から取得する入力情報の内容を判定する。所定時間内に入力情報が取得され、当該入力情報が温調制御の実行を指示する内容である場合、S22からS27に進む。S27では、温調制御の実施を決定する。一方で、取得した入力情報が温調制御のキャンセルを指示する内容である場合、S22からS28に進む。S28では、温調制御を実施しないことを決定する。また、車載インターフェースによる問い合わせに対し、ユーザの入力操作がない場合、S22からS23に進む。
S23では、ユーザ端末を利用し、温調制御を実行するか又はキャンセルするかの問い合わせをさらに実施する。問い合わせに利用されるユーザ端末を所持するユーザは、車両Aに搭乗していてもよく、又は車外に出ていてもよい。この場合も、ユーザへ向けた問い合わせの後、ユーザ操作に基づきユーザ端末より送信される入力情報の取得が、所定時間待機される。
S24では、ユーザ端末から取得する入力情報の内容を判定する。所定時間内に入力情報が取得され、当該入力情報が温調制御の実行を指示する内容である場合、S24からS27に進み、温調制御の実施を決定する。一方で、取得した入力情報が温調制御のキャンセルを指示する内容である場合、S24からS28に進み、温調制御を実施しないことを決定する。また、ユーザ端末よる問い合わせに対し、ユーザの入力操作がない場合、S24からS25に進む。
S25では、ユーザによって予め設定されたユーザ設定の情報を参照する。例えばユーザは、ナビゲーション装置60及びユーザ端末に表示されたメニュー画面への入力操作により、上述のようなユーザ設定を登録可能である。S26では、温調制御をキャンセルするユーザ設定があるか否かを判定する。温調制御をキャンセルするユーザ設定がない場合、S26からS27に進み、温調制御の実施を決定する。一方、温調制御をキャンセルするユーザU設定がある場合、S26からS28に進み、温調制御を実施しないことを決定する。
尚、車載インターフェースを利用した問い合わせは、車内にユーザが不在となる状況(例えば、後述のシーン1,5等)では、省略されてよい。また、ユーザ端末を利用した問い合わせは、エネルギマネージャ100に登録された特定のユーザ端末が存在しない場合、省略されてよい。さらに、ユーザ端末を利用した問い合わせを実施しないようなユーザ設定が可能であってもよい。
<シーン1:走行前(放置中)>
シーン1(図3のTC1参照)にて、車両Aは、走行前の放置中の状態である。エネルギマネージャ100は、シーン1において、図7~図9に詳細を示す先読み制御を実施し、走行前のメインバッテリ22を冷却する。シーン1での先読み制御に基づく冷却(以下、「先読み冷却」)は、走行後のドライバビリティの向上、電費の向上、回生電力の取りきり、メインバッテリ22の劣化抑制等の効果を発揮し得る。尚、先読み冷却に用いられる電力は、車両Aに接続された外部電源の供給電力であってもよい。この場合、メインバッテリ22に蓄えられた電力の消費を抑えることが可能になる。
温度シミュレーション部74は、行動学習部74bにて学習されたユーザの使用傾向の学習データに基づき、次に走行を開始する時刻を予測し、この走行開始時刻(図7 A点参照)を車両利用情報として取得する。以上により、温度シミュレーション部74は、使用スケジュールに関連して、走行開始時刻までの放置スケジュールと、走行開始時刻以降の走行スケジュールとを設定する(図7 中段参照)。この走行スケジュールにおける目的地が、到着地に相当する。
シーン1の先読み冷却には、ナビ情報、センタ情報及びドライバ情報等の車両利用情報が用いられる(図5 TC1欄参照)。車両利用情報のうちで、ナビ情報、渋滞情報、アクセル開度及びブレーキ踏力等の情報は、走行中の予測情報(事後影響情報)として用いられる。また、外気温、日射量及び輻射熱量等の環境情報は、現在以降の予測情報(事前影響情報及び事後影響情報)として用いられる。さらに、上述の走行開始時刻は、現在から走行開始までの予測情報(事前影響情報)として用いられる。これらの車両利用情報と、上記の使用スケジュールとに基づき、エネルギマネージャ100は、図8に示す先読み制御処理を繰り返し実施する。
シーン1における先読み制御処理のS101では、先読み予測処理の実行周期であるか否かを判定する。S101にて、先読み予測処理の実行周期に該当すると判定した場合、S102に進む。一方で、先読み予測の実行周期に該当しないと判定した場合、S112に進む。
S102では、先読み冷却を実施しない場合での、走行開始時刻(図7 A点参照)までの総使用電力量を予測し、S103に進む。S102では、走行開始時刻、外気温、日射量及び輻射熱量等の車両利用情報が、総使用電力量の算出に利用される。尚、走行開始時刻までのHVAC41及び補機類の電力負荷がゼロとなる場合、S102は、省略されてよい。
S103では、S102にて算出した総使用電力量に基づき、先読み冷却を実施しない場合での、走行開始時刻におけるメインバッテリ22の状態を予測し、S104に進む。S103では、メインバッテリ22の温度及び残量(SOC)の予測値が算出される(図7 現在~A点までの破線参照)。
S104では、先読み冷却を実施しない場合での、走行終了時刻(図7 O点参照)までの総使用電力量を予測し、S105に進む。S104では、シーン1にて利用対象とされる車両利用情報(図5 TC1欄参照)のうちで、走行開始時刻を除く全ての車両利用情報を用いて、総使用電力量を算出する。
S105では、S104にて算出した総使用電力量に基づき、先読み冷却を実施しない場合での、O点までの成行きでのメインバッテリ22の温度推移を予測する(図7 A点~O点までの破線参照)。S105では、バッテリ温度の上限に制約されることなく、メインバッテリ22の温度推移を予測し、S106に進む。
S106では、S105にて算出したメインバッテリ22の温度推移に基づき、走行開始時刻までに実施する先読み冷却での冷却要求量CP(単位は「J」)及び目標バッテリ温度Tb(単位は「℃」)を設定し、S107に進む。S106では、メインバッテリ22について、予め設定されたバッテリ温度と入出力上限との相関(図9参照)に、走行スケジュールにて使用予定の最大電力負荷LM(単位は「kW」)を適用し、メインバッテリ22の温度上限TMを設定する。そして、S106では、走行中のバッテリ温度が温度上限TMを超えなくなるように、冷却要求量CP(図7 下段の斜線範囲の面積参照)を算出する。
S107では、メインバッテリ22の残量に基づき、先読み冷却の要否を判定する。S107では、先読み冷却を実施した場合の走行終了時刻でのバッテリ残量を予測する。S107にて、予測した残量が予め規定された残量閾値以下である場合、バッテリ残量が不足すると判定し、S110に進む。一方、S107にて、予測した残量が残量閾値を超えている場合、バッテリ残量が不足しないと判定し、S108に進む。
S108では、空調要求情報に基づく居室空間の空調要求量(単位は「J」)と、S106にて設定した先読み冷却の冷却要求量CPとの合計が、HVAC41の冷凍サイクル能力量(単位は「J」)を超えているか否かを判定する。S108にて、空調要求量及び冷却要求量CPの和が冷凍サイクル能力量を超えている場合、冷却能力が不足すると判定し、S110に進む。一方、S108にて、空調要求量及び冷却要求量CPの和が冷凍サイクル能力量以下である場合、冷却能力が不足しないと判定し、S109に進む。
S109では、先読み冷却実施のタイムスケジュールを決定し、S112に進む。S109では、居室空間の冷房に用いる空調能力と先読み冷却に用いる温調能力との調停を実施し、先読み冷却の実施量(単位は「kW」)と温調開始時刻tcsとを設定する。一例として、先読み冷却の実施量は、冷凍サイクル装置におけるコンプレッサ効率の最大点と、居室空調に使用される冷却能力との差分に相当する値に設定される。そして、先読み冷却の実施量(kW)で冷却要求量CP(J)を割り算した時間(sec)だけ、走行開始時刻から先行する時刻が、温調開始時刻tcsとされる。
S110では、冷却要求量CPに1未満の所定値を乗算したうえで、S107及びS108と同様に、バッテリ残量及び冷却能力についての不足の有無を再判定する。S110にて、冷却要求量CPを低減させても、走行終了時刻におけるバッテリ残量が残量閾値以下となると判定した場合、先読み制御処理を終了する。同様に、S110にて、冷却要求量CPを低減させても、冷却能力の上限を超えていると判定した場合には、先読み制御処理を終了する。
一方で、S110にて、冷却要求量CPの低減により、バッテリ残量の不足も、冷却能力の不足も生じないと判定した場合、S111に進む。S111では、S110にて低減させた冷却要求量CPを満たすように、S109と同様の手法により、冷却実施のタイムスケジュールを決定し、S112に進む。尚、S108~S111は、広義の意味で空調能力と温調能力との調停を実施する処理となる。
S112では、S109又はS111にて設定した温調開始時刻tcsと現在時刻とを比較し、先読み冷却の実施期間となったか否かを判定する。S112にて、先読み冷却の実施期間ではないと判定した場合、先読み制御処理を終了する。一方で、先読み冷却の実施期間であると判定した場合、S113に進む。
S113では、上述の入力情報取得処理(図6参照)を実施し、ユーザの入力情報に基づく温調制御の実施又は不実施の決定を行い、S114に進む。シーン1での入力情報取得処理では、車内にユーザが居ない場合、車内のユーザ入力部160を用いた問い合わせ(図6 S21)が省略可能であってよい。
S114では、S113の入力情報取得処理による実施及び不実施の決定結果に基づき、S115に移行するか否かを判断する。入力情報取得処理にて、温調制御の不実施を決定した場合、先読み制御処理を終了する。一方、入力情報取得処理にて、温調制御の実施を決定した場合、S114からS115に進む。
S115では、居室空調の冷却(図7 下段のドット範囲参照)に加えて、メインバッテリ22の冷却が行われるように、アクチュエータの駆動指示を熱マネージャ40へ向けて出力し、先読み制御処理を終了する。S115により、熱マネージャ40は、目標バッテリ温度Tbへ向けたバッテリ冷却を開始する。
<シーン2:走行中(高負荷走行前)>
シーン2(図3及び図4のTC2参照)にて、車両Aは、走行中の状態である。エネルギマネージャ100は、シーン2において、図10及び図11に詳細を示す先読み制御を実施し、走行前のメインバッテリ22を冷却する。シーン2での先読み冷却は、高負荷走行中のドライバビリティの向上及びメインバッテリ22の劣化抑制等の効果を発揮し得る。
温度シミュレーション部74は、ナビ情報に基づき、高負荷走行区間の開始時刻(図10 A点参照)、高負荷走行区間の終了時刻(図10 B点参照)、及び目的地への到着時刻(図10 O点参照)を設定する。さらに温度シミュレーション部74は、使用スケジュールに関連して、通常の走行スケジュール及び高負荷での走行スケジュールを設定する(図10 中段参照)。これらの走行スケジュールにおける目的地が、到着地に相当する。
シーン2の先読み冷却には、ナビ情報、センタ情報及びドライバ情報等の車両利用情報が用いられる(図5 TC2欄参照)。シーン2では、利用対象とされる全ての車両利用情報が、現在以降の予測情報(事前影響情報及び事後影響情報)として、先読み制御に用いられる。これらの車両利用情報と、上記の使用スケジュールとに基づき、エネルギマネージャ100は、図11に示す先読み制御処理を繰り返し実施する。
シーン2における先読み制御処理のS121では、先読み予測処理の実行周期であるか否かを判定する。S121にて、先読み予測処理の実行周期に該当すると判定した場合、S122に進む。一方で、先読み予測の実行周期に該当しないと判定した場合、S132に進む。
S122では、先読み冷却を実施しない場合での、高負荷走行区間の開始時刻(図10 A点参照)までの総使用電力量を予測し、S123に進む。S122では、シーン2にて利用対象とされる全ての車両利用情報(図5 TC2欄参照)が、総使用電力量の算出に利用される。
S123では、S122にて算出した総使用電力量に基づき、先読み冷却を実施しない場合での、高負荷走行区間の開始時刻におけるメインバッテリ22の状態を予測し、S124に進む。S123では、メインバッテリ22の温度及び残量(SOC)の予測値が算出される(図10 現在~A点までの破線参照)。
S124では、先読み冷却を実施しない場合での、目的地の到着時刻終了時刻までの総使用電力量を予測し、S125に進む。S124でも、S122と同様に、シーン2にて利用対象とされる全ての車両利用情報(図5 TC2欄参照)が、総使用電力量の算出に利用される。
S125では、S124にて算出した総使用電力量に基づき、先読み冷却を実施しない場合での、高負荷走行区間が終了するまでの成行きでのメインバッテリ22の温度推移を予測し(図10 A点~B点までの破線参照)、S126に進む。
S126では、S125にて算出したメインバッテリ22の温度推移に基づき、高負荷走行の開始時刻までに実施する先読み冷却での冷却要求量CP(単位は「J」)及び目標バッテリ温度Tbを設定する。S126では、メインバッテリ22について、予め設定されたバッテリ温度と入出力上限との相関(図9参照)に、高負荷走行にて使用予定の最大電力負荷LM(単位は「kW」)を適用し、メインバッテリ22の温度上限TMを設定する。そして、S126では、高負荷走行中のバッテリ温度が温度上限TMを超えなくなるように、冷却要求量CP(図10 下段の斜線範囲の面積参照)を算出する。
S127では、メインバッテリ22の残量に基づき、先読み冷却の要否を判定する。S127では、先読み冷却を実施した場合の目的地への到着時のバッテリ残量を予測する。S127にて、予測した残量が残量閾値以下である場合、バッテリ残量が不足すると判定し、S130に進む。一方、S127にて、予測した残量が残量閾値を超えている場合、バッテリ残量が不足しないと判定し、S128に進む。
S128では、空調要求情報に基づく居室空間の空調要求量(単位は「J」)と、S126にて設定した先読み冷却の冷却要求量CPとの合計が、HVAC41の冷凍サイクル能力量(単位は「J」)を超えているか否かを判定する。S128にて、空調要求量及び冷却要求量CPの和が冷凍サイクル能力量を超えている場合、冷却能力が不足すると判定し、S130に進む。一方、S128にて、空調要求量及び冷却要求量CPの和が冷凍サイクル能力量以下であると判定した場合、冷却能力が不足しないと判定し、S129に進む。
S129では、先読み冷却実施のタイムスケジュールを決定し、S132に進む。S129では、居室空間の冷房に用いる空調能力と先読み冷却に用いる温調能力との調停を実施し、先読み冷却の実施量(単位は「kW」)と温調開始時刻tcsとを設定する。一例として、先読み冷却の実施量は、冷凍サイクル装置の能力上限と、居室空調に使用される冷却能力との差分に相当する値に設定される。そして、先読み冷却の実施量(kW)で冷却要求量CP(J)を割り算した時間(sec)だけ、高負荷走行区間の開始から先行させた時刻が、温調開始時刻tcsとされる。
S130では、冷却要求量CPに1未満の所定値を乗算したうえで、S127及びS128と同様に、バッテリ残量及び冷却能力についての不足の有無を再判定する。S130にて、冷却要求量CPを低減させても、目的地への到着時刻におけるバッテリ残量が残量閾値以下となると判定した場合、先読み制御処理を終了する。同様に、S130にて、冷却要求量CPを低減させても、空調要求量及び冷却要求量CPの和が冷凍サイクル能力量を超えると判定した場合、先読み制御処理を終了する。
一方で、S130にて、冷却要求量CPの低減により、バッテリ残量の不足も、冷却能力の不足も生じないと判定した場合、S131に進む。S131では、S130にて低減させた冷却要求量CPを満たすように、S129と同様の手法により、冷却実施のタイムスケジュールを決定し、S132に進む。尚、S128~S131は、広義の意味で空調能力と温調能力との調停を実施する処理となる。
S132では、S129又はS131にて設定した温調開始時刻tcsと現在時刻とを比較し、先読み冷却の実施期間となったか否かを判定する。S132にて、先読み冷却の実施期間ではないと判定した場合、先読み制御処理を終了する。一方で、先読み冷却の実施期間であると判定した場合、S133に進む。
S133では、上述の入力情報取得処理(図6参照)を実施し、ユーザの入力情報に基づく温調制御の実施又は不実施の決定を行い、S134に進む。シーン2での入力情報取得処理では、ユーザ(ドライバ)が運転中であることを考慮し、ユーザ端末を用いた問い合わせ(図6 S23)が省略されてもよい。さらに、運転負荷が高いと推定される場合には、ユーザ入力部160を用いた問い合わせ(図6 S21)も省略されてもよい。
S134では、S133の入力情報取得処理による実施及び不実施の決定結果に基づき、S135に移行するか否かを判断する。入力情報取得処理にて、温調制御の不実施を決定した場合、先読み制御処理を終了する。一方、入力情報取得処理にて、温調制御の実施を決定した場合、S134からS135に進む。
S135では、居室空調の冷却に加えて、メインバッテリ22の冷却が行われるように、アクチュエータの駆動指示を熱マネージャ40へ向けて出力し、先読み制御処理を終了する。S135により、熱マネージャ40は、目標バッテリ温度Tbへ向けたバッテリ冷却を開始する。
<シーン3:充電前(走行中)>
シーン3(図3及び図4のTC3参照)にて、車両Aは、走行中の状態であり、メインバッテリ22への充電前の状態である。エネルギマネージャ100は、シーン3において、図12及び図13に詳細を示す先読み制御を実施し、充電前のメインバッテリ22を冷却する。シーン3での先読み冷却は、入力制限(図9参照)の回避による充電時間の短縮、及びメインバッテリ22の劣化抑制等の効果を発揮し得る。尚、走行中の先読み冷却を行う場合、実施予定の充電は、急速充電であってもよく、又は普通充電であってもよい。急速充電又は普通充電の開始前に、各充電の態様に対応した目標電池温度が設定される。
温度シミュレーション部74は、ナビ情報、充電ステーションCSの使用可否情報及び充電能力情報に基づき、充電ステーションCSへの到着時刻(図12 A点参照)、充電開始時刻(図12 B点参照)、及び充電完了時刻(図12 C点参照)を設定する。さらに温度シミュレーション部74は、現在から充電ステーションCSへの到着時刻までの走行スケジュール、到着時刻から充電開始時刻までの待機スケジュール、及び充電開始時刻から充電完了時刻までの充電スケジュールを設定する(図12 中段参照)。この場合、充電ステーションCSが、到着地に相当する。
シーン3の先読み冷却には、ナビ情報、センタ情報及びドライバ情報等の車両利用情報が用いられる(図5 TC3欄参照)。車両利用情報のうちで、ナビ情報、渋滞情報、アクセル開度及びブレーキ踏力等の情報は、走行中の予測情報(事前影響情報)として用いられる。また、外気温、日射量及び輻射熱量等の環境情報は、現在以降の予測情報(事前影響情報、開始時影響情報及び事後影響情報)として用いられる。さらに、上述の充電能力情報は、充電中の予測情報(事後影響情報)として用いられる。そして、上述の使用可否情報は、充電ステーションCSへの到着時刻から充電開始時刻までの予測情報(開始時影響情報)として用いられる。これらの車両利用情報と、上記の使用スケジュールとに基づき、エネルギマネージャ100は、図13に示す先読み制御処理を繰り返し実施する。
シーン3における先読み制御処理のS141では、先読み予測処理の実行周期であるか否かを判定する。S141にて、先読み予測処理の実行周期に該当すると判定した場合、S142に進む。一方で、先読み予測の実行周期に該当しないと判定した場合、S152に進む。
S142では、充電ステーションCSでの待ち時間を示す充電可否情報(図5 TC3欄参照)に基づき、充電ステーションCSへの到着時刻から充電開始時刻までの充電待機時間を予測し、S143に進む。
S143では、先読み冷却を実施しない場合での、充電開始時刻(図12 B点参照)までの総使用電力量を予測し、S144に進む。S143では、シーン3にて利用対象とされる全ての車両利用情報(図5 TC3欄参照)のうちで、充電可否情報及び充電能力情報を除く全ての情報が、総使用電力量の算出に利用される。
S144では、S143にて算出した総使用電力量に基づき、先読み冷却を実施しない場合の充電開始時刻でのメインバッテリ22の状態を予測し、S145に進む。S145では、先読み冷却を実施しない場合での、充電終了時刻までの成行きでのメインバッテリ22の温度推移を予測し(図12 破線参照)、S146に進む。S145では、充電能力情報が、車両利用情報として用いられる。
S146では、S145にて算出したメインバッテリ22の温度推移に基づき、充電開始時刻までに実施する先読み冷却での冷却要求量CP(単位は「J」)及び目標バッテリ温度Tbを設定し、S147に進む。S146では、充電中のバッテリ温度が温度上限TMを超えなくなるように、冷却要求量CP(図12 下段の斜線範囲の面積参照)を算出する。
S147では、メインバッテリ22の残量に基づき、先読み冷却の要否を判定する。S147では、充電ステーションCSへの到着時刻でのメインバッテリ22の残量を予測する。S147にて、予測した残量が残量閾値以下である場合、バッテリ残量が不足すると判定し、S150に進む。一方、S147にて、予測した残量が残量閾値を超えている場合、バッテリ残量が不足しないと判定し、S148に進む。
S148では、空調要求情報に基づく居室空間の空調要求量(単位は「J」)と、S146にて設定した先読み冷却の冷却要求量CPとの合計が、HVAC41の冷凍サイクル能力量(単位は「J」)を超えているか否かを判定する。S148にて、空調要求量及び冷却要求量CPの和が冷凍サイクル能力量を超える場合、冷却能力が不足すると判定し、S150に進む。一方、S148にて、空調要求量及び冷却要求量CPの和が冷凍サイクル能力量以下である場合、冷却能力が不足しないと判定し、S149に進む。
S149では、先読み冷却実施のタイムスケジュールを決定し、S152に進む。S149では、居室空間の冷房に用いる空調能力と先読み冷却に用いる温調能力との調停を実施し、先読み冷却の実施量(単位は「kW」)と温調開始時刻tcsとを設定する。一例として、先読み冷却の実施量は、冷凍サイクル装置の能力上限と、居室空調に使用される冷却能力との差分に相当する値に設定される。そして、S149では、先読み冷却の実施量(kW)で冷却要求量CP(J)を割り算した時間(sec)だけ、充電ステーションCSへの到着時刻よりも先行する時刻が、温調開始時刻tcsとされる。
S150では、冷却要求量CPに1未満の所定値を乗算したうえで、S147及びS148と同様に、バッテリ残量及び冷却能力についての不足の有無を再判定する。S150にて、冷却要求量CPを低減させても、充電ステーションCSへの到着時刻におけるバッテリ残量が残量閾値以下となると判定した場合、先読み制御処理を終了する。同様に、S150にて、冷却要求量CPを低減させても、空調要求量及び冷却要求量CPの和が冷凍サイクル能力量を超えると判定した場合、先読み制御処理を終了する。
一方で、S150にて、冷却要求量CPの低減により、バッテリ残量の不足も、冷却能力の不足も生じないと判定した場合、S151に進む。S151では、S150にて補正された冷却要求量CPを満たすように、S149と同様の手法により、冷却実施のタイムスケジュールを決定し、S152に進む。尚、S148~S151は、広義の意味で空調能力と温調能力との調停を実施する処理となる。
S152では、S149又はS151にて設定した温調開始時刻tcsと現在時刻とを比較し、先読み冷却の実施期間となったか否かを判定する。S152にて、先読み冷却の実施期間ではないと判定した場合、先読み制御処理を終了する。一方で、先読み冷却の実施期間であると判定した場合、S153に進む。
S153では、上述の入力情報取得処理(図6参照)を実施し、ユーザの入力情報に基づく温調制御の実施又は不実施の決定を行い、S154に進む。シーン3での入力情報取得処理でも、ユーザ(ドライバ)が運転中であることを考慮し、ユーザ端末を用いた問い合わせ(図6 S23)が省略されてもよい。
S154では、S153の入力情報取得処理による実施及び不実施の決定結果に基づき、S155に移行するか否かを判断する。入力情報取得処理にて、温調制御の不実施を決定した場合、先読み制御処理を終了する。一方、入力情報取得処理にて、温調制御の実施を決定した場合、S154からS155に進む。
S155では、居室空調の冷却に加えて、メインバッテリ22の冷却が行われるように、アクチュエータの駆動指示を熱マネージャ40へ向けて出力し、先読み制御処理を終了する。S155により、熱マネージャ40は、目標バッテリ温度Tbへ向けたバッテリ冷却を開始する。
<シーン4:放置開始時(充電終了後又は走行後)>
シーン4(図3のTC4参照)にて、車両Aは、放置中の状態であり、充電終了後又は走行後の状態である。エネルギマネージャ100は、シーン4において、図14及び図15に詳細を示す先読み制御を実施し、放置前のメインバッテリ22を冷却する。シーン4での先読み冷却は、メインバッテリ22の劣化抑制等の効果を発揮し得る。尚、放置に並行して普通充電が実施される場合でも、普通充電の実施期間におけるメインバッテリ22の温度推移を予測し、普通充電の実施中にメインバッテリ22を冷却する目標バッテリ温度Tbが設定されてよい。さらに、メインバッテリ22への普通充電が実施される以前の走行中に、普通充電の開始後におけるメインバッテリ22の温度推移を予測し、普通充電の開始前にメインバッテリ22を冷却する目標バッテリ温度Tbが設定されてもよい。これらの場合も、メインバッテリ22の劣化抑制を目的とした冷却が可能になる。
温度シミュレーション部74は、行動学習部74bにて学習されたユーザの使用傾向の学習データに基づき、次に走行を開始する時刻を予測し、この走行開始時刻(図14 A点参照)を車両利用情報として取得する。以上により、温度シミュレーション部74は、使用スケジュールに関連して、走行開始時刻までの放置スケジュールと、走行開始時刻以降の走行スケジュールとを設定する(図14 中段参照)。
シーン4の先読み冷却には、外気温、日射量及び輻射熱量等のセンタ情報と、次回の走行開始時刻等の車両利用情報が用いられる(図5 TC4欄参照)。車両利用情報のうちで、気温、日射量及び輻射熱量等の環境情報は、現在以降の予測情報(事前影響情報及び事後影響情報)として用いられる。さらに、上述の走行開始時刻は、現在から走行開始までの予測情報(事前影響情報)として用いられる。これらの車両利用情報と、上記の使用スケジュールとに基づき、エネルギマネージャ100は、図15に示す先読み制御処理を繰り返し実施する。
シーン4における先読み制御処理のS161では、先読み予測処理の実行周期であるか否かを判定する。S161にて、先読み予測処理の実行周期に該当すると判定した場合、S162に進む。一方で、先読み予測の実行周期に該当しないと判定した場合、S172に進む。
S162では、先読み冷却を実施しない場合での、走行開始時刻(図14 A点参照)までの総使用電力量を予測し、S163に進む。S162では、次回の走行開始時刻、外気温、日射量及び輻射熱量等の車両利用情報が、総使用電力量の算出に利用される。尚、走行開始時刻までのHVAC41及び補機類の電力負荷がゼロとなる場合、S162は、省略されてよい。
S163では、S162にて算出した総使用電力量に基づき、先読み冷却を実施しない場合での、走行開始時刻におけるメインバッテリ22の状態を予測し、S164に進む。S163では、メインバッテリ22の温度及び残量の予測値が算出される(図14 現在~A点までの破線参照)。
S164では、先読み冷却を実施しない場合での、放置中の成行きでのバッテリ劣化量を予測し、S165に進む。S165では、S164にて算出したバッテリ劣化量を、所定の閾値(基準劣化量)と比較し、現在のメインバッテリ22の劣化進行度合いを評価する。基準劣化値は、例えば車両Aの使用期間と基準となるSOH(States Of Health,単位は「%」)との相関によって定義される。S164にて、現在のバッテリの劣化度合いを示すSOHの値が基準劣化量のSOHを超えている場合、劣化量が小さいと推定し、先読み制御処理を終了する。一方で、S164にて、現在のSOHの値が基準となるSOH以下である場合、劣化量が大きいと推定し、S166に進む。
S166では、走行開始時刻までに実施する先読み冷却での冷却要求量CP(単位は「J」)及び目標バッテリ温度Tbを設定し、S167に進む。S166では、放置中のバッテリ温度が例えば外気温よりも低くなるように冷却要求量CP(図14 下段の斜線範囲の面積参照)を算出する。
S167では、メインバッテリ22の残量に基づき、先読み冷却の要否を判定する。S167では、先読み冷却を実施した場合の走行開始時刻のSOCと、車両Aが次の目地に到達するのに必要なSOC(残量閾値)との比較が行われる。メインバッテリ22のSOCが目的地到達のために必要なSOC以下である場合、バッテリ残量が不足すると判定し、S170に進む。一方、S167にて、メインバッテリ22のSOCが必要なSOCを超えている場合、バッテリ残量が不足しないと判定し、S168に進む。
S168では、空調要求情報に基づく居室空間の空調要求量(単位は「J」)と、S166にて設定した先読み冷却の冷却要求量CPとの合計が、HVAC41の冷凍サイクル能力量(単位は「J」)を超えているか否かを判定する。S168にて、空調要求量及び冷却要求量CPの和が冷凍サイクル能力量を超える場合、冷却能力が不足すると判定し、S170に進む。一方、S168にて、空調要求量及び冷却要求量CPの和が冷凍サイクル能力量以下である場合、冷却能力が不足しないと判定し、S169に進む。
S169では、先読み冷却を実施するタイムスケジュールを決定し、S172に進む。S169では、居室空間の冷房に用いる空調能力と先読み冷却に用いる温調能力との調停を実施し、先読み冷却の実施量(単位は「kW」)と温調開始時刻tcsとを設定する。一例として、先読み冷却の実施量は、冷凍サイクル装置におけるコンプレッサ効率の最大点と、居室空調に使用される冷却能力との差分に相当する値に設定される。そして、S169では、先読み冷却の実施量(kW)で冷却要求量CP(J)を割り算した時間(sec)だけ、走行開始時刻よりも先行する時刻が、温調開始時刻tcsとされる。
S170では、冷却要求量CPに1未満の所定値を掛け算したうえで、S167及びS168と同様に、バッテリ残量及び冷却能力についての不足の有無を再判定する。S170にて、冷却要求量CPを低減させても、走行終了時刻におけるバッテリ残量が残量閾値以下となると判定した場合、先読み制御処理を終了する。同様に、S170にて、冷却要求量CPを低減させても、空調要求量及び冷却要求量CPの和が冷凍サイクル能力量を超えると判定した場合、先読み制御処理を終了する。
一方で、S170にて、冷却要求量CPの低減により、バッテリ残量の不足も、冷却能力の不足も生じないと判定した場合、S171に進む。S171では、S170にて補正した冷却要求量CPを満たすように、S169と同様の手法により、冷却実施のタイムスケジュールを決定し、S172に進む。尚、S168~S171は、広義の意味で空調能力と温調能力との調停を実施する処理となる。
S172では、S169又はS171にて設定した温調開始時刻tcsと現在時刻とを比較し、先読み冷却の実施期間となったか否かを判定する。S172にて、先読み冷却の実施期間ではないと判定した場合、先読み制御処理を終了する。一方で、先読み冷却の実施期間であると判定した場合、S173に進む。
S173では、上述の入力情報取得処理(図6参照)を実施し、ユーザの入力情報に基づく温調制御の実施又は不実施の決定を行い、S174に進む。S174では、S173の入力情報取得処理による実施及び不実施の決定結果に基づき、S175に移行するか否かを判断する。入力情報取得処理にて、温調制御の不実施を決定した場合、先読み制御処理を終了する。一方、入力情報取得処理にて、温調制御の実施を決定した場合、S174からS175に進む。
S175では、居室空調の冷却に加えて、メインバッテリ22の冷却が行われるように、アクチュエータの駆動指示を熱マネージャ40へ向けて出力し、先読み制御処理を終了する。S175により、熱マネージャ40は、目標バッテリ温度Tbへ向けたバッテリ冷却を開始する。
<シーン5:走行前(低温環境下に放置中)>
シーン5(図4のTC5参照)にて、車両Aは、低温環境下に放置中の状態である。エネルギマネージャ100は、シーン5において、図16~図18に詳細を示す先読み制御を実施し、走行前のメインバッテリ22を昇温させる。メインバッテリ22の昇温は、例えばヒートポンプ及び電気ヒータ(PTCヒータ)等によって実施される。詳記すると、HVAC41のコンプレッサ後の高温且つ高圧冷媒の熱が、熱交換器を介して温調システム42のクーラントに伝達される。さらに、電気ヒータも、通電に伴う発熱によってクーラントを昇温させる。こうして温水化されたクーラントにより、メインバッテリ22の加温が実施される。
シーン5での先読み制御に基づく暖機(以下、「先読み暖機」)は、走行開始後のドライバビリティの向上、電費の向上、及び回生電力の取りきり等の効果を発揮し得る。尚、先読み暖機には、車両Aに接続された外部電源の供給電力が用いられてもよい。この場合、メインバッテリ22に蓄えられた電力の消費を抑えることが可能になる。
温度シミュレーション部74は、行動学習部74bにて学習されたユーザの使用傾向の学習データに基づき、次に走行を開始する時刻を予測し、この走行開始時刻(図16 A点参照)を車両利用情報として取得する。以上により、温度シミュレーション部74は、使用スケジュールに関連して、走行開始時刻までの放置スケジュールと、走行開始時刻以降の走行スケジュールとを設定する(図16 中段参照)。この走行スケジュールにおける目的地が、到着地に相当する。
シーン5の先読み暖機には、ナビ情報、センタ情報及びドライバ情報等の車両利用情報が用いられる(図5 TC5欄参照)。車両利用情報のうちで、ナビ情報、渋滞情報、アクセル開度及びブレーキ踏力等の情報は、走行中の予測情報(事後影響情報)として用いられる。また、外気温、日射量及び輻射熱量等の環境情報は、現在以降の予測情報(事前影響情報及び事後影響情報)として用いられる。さらに、上述の走行開始時刻は、現在から走行開始までの予測情報(事前影響情報)として用いられる。これらの車両利用情報と、上記の使用スケジュールとに基づき、エネルギマネージャ100は、図17に示す先読み制御処理を繰り返し実施する。
シーン5における先読み制御処理のS181では、先読み予測処理の実行周期であるか否かを判定する。S181にて、先読み予測処理の実行周期に該当すると判定した場合、S182に進む。一方で、先読み予測の実行周期に該当しないと判定した場合、S192に進む。
S182では、先読み暖機を実施しない場合での、走行開始時刻(図16 A点参照)までの総使用電力量を予測し、S183に進む。S182では、走行開始時刻、外気温、日射量及び輻射熱量等の車両利用情報が、総使用電力量の算出に利用される。尚、走行開始時刻までのHVAC41及び補機類の電力負荷がゼロとなる場合、S182は、省略されてよい。
S183では、S182にて算出した総使用電力量に基づき、先読み暖機を実施しない場合での、走行開始時刻におけるメインバッテリ22の状態を予測し、S184に進む。S183では、メインバッテリ22の温度及び残量の予測値が算出される(図16 現在~A点までの破線参照)。
S184では、先読み暖機を実施しない場合での、走行終了時刻(図16 O点参照)までの総使用電力量を予測し、S185に進む。S184では、シーン5にて利用対象とされる車両利用情報(図5 TC5欄参照)のうちで、走行開始時刻を除く全ての車両利用情報を用いて、総使用電力量を算出する。
S185では、S184にて算出した総使用電力量に基づき、先読み暖機を実施しない場合での、O点までの成行きでのメインバッテリ22の温度推移を予測する(図16 A点~O点までの破線参照)。S185では、バッテリ温度の上限に制約されることなく、メインバッテリ22の温度推移を予測し、S186に進む。
S186では、S185にて算出したメインバッテリ22の温度推移に基づき、走行開始時刻までに実施する先読み暖機での暖機要求量HP(単位は「J」)及び目標バッテリ温度Tbを設定し、S187に進む。S186では、メインバッテリ22について、予め設定されたバッテリ温度と入出力上限との相関(図18参照)に、走行スケジュールにて使用予定の最大電力負荷LMを適用し、メインバッテリ22の温度上限TM及び温度下限TLを設定する。そして、S186では、走行中のバッテリ温度が温度上限TMから温度下限TLの間に維持されるように、暖機要求量HP(図16 下段の斜線範囲の面積参照)を算出する。
S187では、先読み暖機を実施した場合の走行終了時刻でのメインバッテリ22の残量を予測する。S187にて、予測した残量が予め規定された残量閾値以下である場合、バッテリ残量が不足すると判定し、S190に進む。一方、S187にて、予測した残量が残量閾値を超えている場合、バッテリ残量が不足しないと判定し、S188に進む。
S188では、空調要求情報に基づく居室空間の空調要求量(単位は「J」)と、S186にて設定した先読み暖機の暖機要求量HPとの合計が、HVAC41等の暖房能力量(単位は「J」)を超えているか否かを判定する。S188にて、空調要求量及び暖機要求量HPの和が暖房能力量を超える場合、暖房能力が不足すると判定し、S190に進む。一方、S188にて、空調要求量及び暖機要求量HPの和が暖房能力量以下である場合、暖房能力が不足しないと判定し、S189に進む。
S189では、先読み暖機を実施するタイムスケジュールを決定し、S192に進む。S189では、居室空間の暖房に用いる空調能力と先読み暖機に用いる温調能力との調停を実施し、先読み暖機の実施量(単位は「kW」)と温調開始時刻tcsとを設定する。S189では、先読み暖機の実施量(kW)で暖機要求量HP(J)を割り算した時間(sec)だけ、走行開始時刻よりも先行する時刻が、温調開始時刻tcsとされる。
S190では、暖機要求量HPに1未満の所定値を掛け算したうえで、S187及びS188と同様に、バッテリ残量及び暖房能力についての不足の有無を再判定する。S190にて、暖機要求量HPを低減させても、走行終了時刻におけるバッテリ残量が残量閾値以下となると判定した場合、先読み制御処理を終了する。同様に、S190にて、暖機要求量HPを低減させても、空調要求量及び暖機要求量HPの和が暖房能力量を超えると判定した場合、先読み制御処理を終了する。
一方、S190にて、暖機要求量HPの低減により、バッテリ残量の不足も、暖房能力の不足も生じないと判定した場合、S191に進む。S191では、S190にて補正した暖機要求量HPを満たすように、S189と同様の手法により、暖機実施のタイムスケジュールを決定し、S192に進む。尚、S188~S191は、広義の意味で空調能力と温調能力との調停を実施する処理となる。
S192では、S189又はS191にて設定した温調開始時刻thsと現在時刻とを比較し、先読み暖機の実施期間となったか否かを判定する。S192にて、先読み暖機の実施期間ではないと判定した場合、先読み制御処理を終了する。一方で、先読み暖機の実施期間であると判定した場合、S193に進む。
S193では、上述の入力情報取得処理(図6参照)を実施し、ユーザの入力情報に基づく温調制御の実施又は不実施の決定を行い、S194に進む。シーン5での入力情報取得処理では、車内にユーザが居ないことを考慮し、車内のユーザ入力部160を用いた問い合わせ(図6 S21)が省略されてよい。さらに、現在時刻を考慮し、深夜又は早朝等の時間帯では、ユーザ端末を用いた問い合わせ(図6 S23)が省略されてよい。
S194では、S193の入力情報取得処理による実施及び不実施の決定結果に基づき、S195に移行するか否かを判断する。入力情報取得処理にて、温調制御の不実施を決定した場合、先読み制御処理を終了する。一方、入力情報取得処理にて、温調制御の実施を決定した場合、S194からS195に進む。
S195では、居室空調の暖房(図16 下段のドット範囲参照)に加えて、メインバッテリ22の昇温が行われるように、アクチュエータの駆動指示を熱マネージャ40へ向けて出力し、先読み制御処理を終了する。S195により、熱マネージャ40は、目標バッテリ温度Tbへ向けたバッテリ暖機を開始する。
<マニュアル操作による温調制御>
ここまで説明したシーン1~5では、メインバッテリ22の温度推移の将来予測に基づき、エネルギマネージャ100が温調制御の要否を判断していた。こうしたシステム側の判断に基づく自動での温調制御に加えて、エネルギマネージャ100は、ユーザ判断に基づく温調制御を実施可能である。さらに、エネルギマネージャ100は、システム側の判断で開始した温調制御を、ユーザ判断に基づき停止できる。
以下、ユーザの入力操作に基づき、温調制御を実行及び停止するマニュアル操作処理の詳細を、図19に基づき、図2を参照しつつ、説明する。図19に示すマニュアル操作処理は、エネルギマネージャ100への電力供給の開始後、実施判定部74a及び温調制御部75等によって開始され、電力供給が停止されるまで、所定の周期で繰り返し実施される。
マニュアル操作処理のS31では、温調制御の実行を指示するユーザ操作の有無を判定する。ユーザは、温調制御の実行及び停止を指示するユーザ操作をユーザ入力部160に入力できる。より具体的には、温調制御の実行及び停止を入力する操作画面が、ユーザ入力部160として機能するナビゲーション装置60又はユーザ端末のディスプレイに表示される。こうした操作画面に表示された操作ボタン(アイコン)をタップする操作が、温調制御の実行を指示するユーザ操作となる。エネルギマネージャ100と無線通信可能なユーザ端末を用いてユーザ操作を受け付ければ、ユーザは、車外からも温調制御の実行を指示できる。
S31にて、温調制御の実行を指示するユーザ操作(以下、実行操作)の入力がないと判定した場合、S31の判定を繰り返す。一方、S31にて、実行操作の入力があったと判定した場合、S32に進む。S32では、居室空調の冷房又は暖房に加えて、メインバッテリ22の冷却又は昇温が行われるように、温調制御分を加えたアクチュエータの駆動指示を熱マネージャ40へ向けて出力し、S33に進む。
S33では、温調制御の停止を指示するユーザ操作(以下、停止操作)の有無を判定する。S33にて、停止操作の入力がないと判定した場合、S33の判定を繰り返す。これにより、実施判定部74aは、ユーザによる停止操作を待機した状態となる。このとき温調制御部75は、実行中の温調制御を継続させる。尚、システム側の判断で温調制御が開始された場合でも、マニュアル操作処理は、S33の判定の繰り返しにより停止操作を待機した状態に遷移可能である。
一方、S33にて停止操作の入力があったと判定した場合、S34に進む。S34では、実施中のメインバッテリ22の冷却又は昇温が終了されるように、温調制御分を除いたアクチュエータの駆動指示(駆動終了指示)を熱マネージャ40へ向けて出力し、S31に戻る。以上により、実施判定部74aは、ユーザによる実行操作を待機した状態となる。
<第一実施形態のまとめ>
ここまで説明した第一実施形態では、到着地でのメインバッテリ22の状態に影響する車両利用情報に基づき、メインバッテリ22に対して実施される温調制御の目標バッテリ温度Tbが設定初期値から変更される。以上によれば、目標バッテリ温度Tbは、新しい車両利用情報に基づいて、適切な値に随時更新され得る。したがって、メインバッテリ22の温度調整の過不足が低減可能となる。
加えて第一実施形態では、車両利用情報として、事前影響情報、開始時影響情報及び事後影響情報の少なくとも一つが取得される。以上によれば、将来のメインバッテリ22の状態を予測した推定値又は予測値の精度が確保され易くなる。したがって、メインバッテリ22の温度調整の過不足は、いっそう低減可能になる。
また第一実施形態の外部情報取得部71及び内部情報取得部72は、事前影響情報、開始時影響情報及び事後影響情報の全てを、車両用利用情報として取得可能である。そして、温度シミュレーション部74は、事前影響情報、開始時影響情報及び事後影響情報のうちで取得された情報に基づき、目標バッテリ温度Tbを随時更新する。以上によれば、目標バッテリ温度Tbが継続的に更新され続けるため、メインバッテリ22の温度調整の過不足は、されに低減され易くなる。
さらに第一実施形態では、車両Aの周囲の環境情報が車両利用情報として取得され、目標バッテリ温度Tbは、環境情報に基づいて変更される。以上によれば、車両Aの周囲の外気温、日射量及び輻射熱量等が変わっても、メインバッテリ22の状態を予測する精度が高く維持され得る。したがって、無駄及び不足の低減されたメインバッテリ22の温調制御が実現される。
加えて第一実施形態では、ドライバの運転傾向情報、具体的には、アクセル開度及びブレーキ踏力等が車両利用情報として取得され、目標バッテリ温度Tbは、運転傾向に基づく走行負荷のばらつきを考慮して、設定され得る。このように、ドライバの運転傾向の考慮によれば、手動運転車であっても、メインバッテリ22の状態を予測する精度は、さらに高く維持され得る。したがって、温調制御の過不足のない実施が、いっそう実現され易くなる。
また第一実施形態では、実施判定部74aによって温調制御の実施及び不実施が決定される。故に、エネルギマネージャ100は、メインバッテリ22の温調制御を、適切なタイミングに限って実施できる。換言すれば、不適切なタイミングでの温調制御の実施は、回避され得る。
さらに第一実施形態の実施判定部74aは、メインバッテリ22の残量低下に基づき、温調制御の不実施を決定する。具体的には、所定時刻でのメインバッテリ22の残量が予測され、予測された残量が残量閾値を下回ると、温調制御は中止される。以上によれば、温調制御に伴う電力消費に起因して、車両Aの電欠が引き起こされる事態は、適切に回避され得る。
またさらに、第一実施形態の実施判定部74aは、温調制御に関連するユーザの入力情報に基づき、温調制御の実施及び不実施を決定する。即ち、温調制御の実施及び不実施の決定には、システム側の判断よりもユーザの意思が優先される。以上によれば、今後の行動予定を急に変える場合等に、ユーザは、システム側から提案された温調制御の実施を、簡単な操作でキャンセルできる。その結果、温調制御に関連するユーザの利便性が確保され易くなる。
さらに加えて、第一実施形態の実施判定部74aは、ユーザの実行操作に基づき、メインバッテリ22の温調制御を、手動で強制的に開始できる。同様に、実施判定部74aは、ユーザの停止操作に基づき、実行中の温調制御を手動で停止できる。以上によれば、ユーザは、今後の行動予定が頻繁に変わっても、変更した行動予定に合わせて、温調制御の実施及び不実施を容易に管理できる。その結果、温調制御に関連するユーザの利便性は、さらに向上する。
加えて第一実施形態では、内部情報取得部72により、居室空間の空調に関する空調要求情報が取得される。そして、温調制御部75は、温度シミュレーション部74と連携し、居室空間の空調に用いる空調能力とバッテリの温調に用いる温調能力とを調停する。以上によれば、メインバッテリ22に対する先読み制御が実施されても、居住空間の快適性や窓曇りの抑制機能等は、損なわれ難い。その結果、乗員を含む移動中の車両A全体の中で、電力の最有効に利用することが可能になる。
また第一実施形態では、上記のシーン1にて説明したように、車両Aの走行開始後におけるメインバッテリ22の温度上昇が予測される(図7参照)。そして、温度シミュレーション部74は、車両Aが走行を開始する以前に、メインバッテリ22を冷却する目標バッテリ温度Tbを設定し、先読み冷却を実施させる。以上によれば、走行開始後のドライバビリティの確保、及び回生電力のメインバッテリ22への効率的な回収等が実現され得る。さらに、先読み冷却が外部電力によって実施されれば、走行中における電費の改善が実現され得る。
さらに第一実施形態では、上記のシーン4にて説明したように、車両Aの放置開始後におけるメインバッテリ22の温度推移が予測される(図14参照)。そして、温度シミュレーション部74は、車両Aの放置開始後に、メインバッテリ22を冷却する目標バッテリ温度Tbを設定し、先読み冷却を実施させる。それ以外でも、普通充電が開始される前の走行中、及び普通充電の実施中においても、温度シミュレーション部74は、メインバッテリ22を冷却する目標バッテリ温度Tbを設定し、先読み冷却を実施させる。以上によれば、高温に晒されることに起因するメインバッテリ22の累積的な劣化を抑制することが可能になる。
加えて第一実施形態の行動学習部74bは、車両Aを使用するユーザの行動傾向を学習する。そして、温度シミュレーション部74は、学習された行動傾向に基づく使用予測を反映して、放置の継続時間又は走行開始時刻、ひいては先読み冷却の温調開始時刻tcs及び先読み暖機の温調開始時刻thsを設定できる。以上によれば、次回の走行開始時刻がユーザの入力操作によって設定されなくても、ユーザが車両Aの使用を開始するタイミングに合わせて、エネルギマネージャ100は、メインバッテリ22の温調制御を過不足なく完了させることができる。尚、次回の走行開始時間は、ユーザの入力操作によって設定されてもよく、又はユーザのスケジュールデータを参照して設定されてもよい。
また第一実施形態では、上記のシーン2にて説明したように、走行負荷の上昇に起因するメインバッテリ22の今後の温度上昇が予測される(図10参照)。そして、温度シミュレーション部74は、高負走行区間での走行負荷の上昇に先行して、メインバッテリ22を冷却する目標バッテリ温度Tbを設定し、先読み冷却を実施させる。以上によれば、高温側の出力制限を回避できることによる高負荷走行時のドライバビリティの確保、及びメインバッテリ22の劣化抑制等の効果が獲得可能になる。
さらに第一実施形態では、上記のシーン3にて説明したように、到着地に設置された充電ステーションCSでのメインバッテリ22の充電に伴う温度上昇が予測される(図12参照)。そして、温度シミュレーション部74は、充電ステーションCSでの充電開始以前に、メインバッテリ22を冷却する目標バッテリ温度Tbを設定し、先読み冷却を実施させる。以上によれば、ユーザが車両Aの使用を開始するタイミングに合わせて、メインバッテリ22の温調制御を適切に完了させておくことが可能になる。その結果、入力制限の回避による充電時間の短縮、及びメインバッテリ22の劣化抑制等の効果が獲得可能になる。
加えて第一実施形態では、充電ステーションCSにおける充電器の使用可否情報が車両利用情報として取得される。そして、温度シミュレーション部74は、使用可否情報に基づき、到着直後に充電を開始できない場合には、充電ステーションCSでの待機時間を見越して、先読み冷却での目標バッテリ温度Tbを設定する。以上のように、温度シミュレーション部74は、到着地の充電器が使用できるか否かを認知したうえで、到着後に直ちに充電器を使用できない場合には、先読み冷却の中止又は抑制を決定する。故に、充電ステーションCSへの移動中にて、先読み冷却に投入される無駄な電力が低減され得る。
また第一実施形態では、充電ステーションCSにおける充電器の充電能力情報が車両利用情報として取得される。そして、温度シミュレーション部74は、充電能力情報に基づき、先読み冷却での目標バッテリ温度Tbを設定する。以上のように、充電器の充電能力(ワット数)が大きければ充電時の温度上昇が大きくなり、反対に、充電能力が小さければ温度上昇も小さくなる。故に、充電能力の把握によれば、先読み冷却によるメインバッテリ22の温度調整の過不足は、適切に低減され得る。加えて、充電ステーションCSに到着するまでの期間において、先読み冷却が走行及び空調に与える影響も、適切に低減され得る。尚、温度シミュレーション部74は、充電器の充電能力(例えば、3kW又は5kW等)を入力とし、目標バッテリ温度Tbを決定する計算式又はルックアップテーブル等を予め記憶している。
さらに第一実施形態では、上記のシーン5にて説明したように、低温環境下に放置中の車両Aにおけるメインバッテリ22の温度低下が把握される(図16参照)。そして、温度シミュレーション部74は、車両Aが走行を開始する前に、メインバッテリ22を昇温させる目標バッテリ温度Tbを設定し、先読み暖機を実施させる。以上によれば、低温側の出力制限を回避できることによる走行時のドライバビリティの確保、及び回生電力のメインバッテリ22への効率的な回収等の効果が獲得可能になる。さらに、先読み暖機が外部電力によって実施されれば、走行中における電費の改善が実現され得る。
尚、第一実施形態では、処理部11が「プロセッサ」に相当し、メインバッテリ22が「バッテリ」に相当し、充電ステーションCSが「充電施設」に相当する。また、車載コンピュータ100aが「コンピュータ」に相当し、エネルギマネージャ100又は車載コンピュータ100aが「バッテリ管理装置」に相当する。さらに、外部情報取得部71及び内部情報取得部72が「情報取得部」に相当し、温度シミュレーション部74が「目標設定部」に相当し、温調制御部75が「能力調停部」に相当し、目標バッテリ温度Tbが「目標電池温度」に相当する。
(第二実施形態)
図20~図26に示す本開示の第二実施形態は、第一実施形態の変形例である。第二実施形態において、エネルギマネージャ100を搭載する車両Aは、モビリティサービスシステムに用いられるサービスカーであり、且つ、運転者による運転操作が無い状態で自律走行可能な自動運転車である。
図20及び図21に示すように、モビリティサービスシステムは、複数の車両A及びステーションマネージャ180と、運行マネージャ110等とによって構築されている。モビリティサービスシステムは、複数の車両Aの運行を、運行マネージャ110によって管理し、車両AによるユーザUへの移動空間の提供を実現している。複数の車両A、ステーションマネージャ180及び運行マネージャ110は、それぞれネットワークNWに接続されており、相互に情報を送受信可能である。以下、第二実施形態の運行マネージャ110及び車両Aの詳細を、順に説明する。
運行マネージャ110は、例えば運行管理センタCTo等に設置されている。運行マネージャ110は、車両AのユーザUへの配車を管理する。運行マネージャ110は、配車管理のために、モビリティサービスの利用を希望するユーザUのユーザ情報を取得する。ユーザ情報には、モビリティサービスの利用に必要な情報として、ユーザUを識別するID情報、ユーザUの乗車場所、降車場所、及び乗車予定時刻(乗車予定時間帯)等が少なくとも含まれている。ユーザUは、例えばスマートフォン、タブレット端末、及びパーソナルコンピュータ等をユーザ端末UTとして、ユーザ情報を入力する。
運行マネージャ110は、取得したユーザ情報に基づいて、個々の車両Aの運行計画を策定する。運行計画には、走行ルート上のどの場所で、何人のユーザUが乗降するのかを示す情報が含まれている。運行マネージャ110は、策定した運行計画をユーザUへの配車指示として、各車両Aに送信する。運行計画は、第一実施形態のナビ情報に相当し、目的地までの距離、各走行区間での車速、高低差等の情報を含んでいる。
運行マネージャ110は、少なくとも一台のサーバ装置を主体とした演算システムである。サーバ装置は、処理部111、RAM112、記憶部113、入出力インターフェース114、及びこれらを接続するバス等を備えており、運行マネージャ110として動作する。処理部111は、RAM112と結合された演算処理のためのハードウェアである。処理部111は、RAM112へのアクセスにより、配車管理等に関連する種々の処理を実行する。記憶部113は、不揮発性の記憶媒体を含む構成である。記憶部113には、処理部111によって実行される種々のプログラムが格納されている。
車両Aには、自律走行を可能にするための構成として、外界センサ91、ロケータ92及びAD(Automated Driving)コンピュータ90等が搭載されている。外界センサ91には、例えばカメラユニット、ライダ、ミリ波レーダ、及びソナー等が含まれている。外界センサ91は、車両周囲の物体を検出した物体情報を生成する。ロケータ92は、衛星測位システムの複数の測位衛星から測位信号を受信し、受信した各測位信号に基づき、車両Aの位置情報を生成する。
ADコンピュータ90は、運行マネージャ110と連携し、運行計画に基づく車両Aの自律走行を実現する。ADコンピュータ90は、運行マネージャ110によって送信された運行計画を、DCM93を通じて取得する。ADコンピュータ90は、外界センサ91より取得する物体情報、及びロケータ92より取得する位置情報等に基づき、車両Aの周囲の走行環境を認識し、車両Aを運行計画に従って走行させるための予定走行経路を生成する。ADコンピュータ90は、予定走行経路に基づく制御コマンドを生成し、運動マネージャ30へ向けて逐次出力する。運動マネージャ30は、ADコンピュータ90より取得する制御コマンドに基づき、インバータ32、ステア制御システム33、ブレーキ制御システム34等を統合的に制御し、予定走行経路をトレースするように車両Aを自律走行させる。
ここで第二実施形態では、車両Aに搭載されたメインバッテリ22が、送配電網における系統電圧の安定を保つことに利用される。詳記すると、近年、送配電網には、太陽光発電及び風力発電等の自然エネルギ発電による電力が供給されている。こうした自然エネルギ発電の発電量は、気象条件の影響を受けて、大きく増減する。発電量の増減により、系統電力に余剰又は不足が発生すると、系統電圧が許容範囲を超えることに起因する停電が発生し得る。
こうした自然エネルギ発電の課題に対し、系統外部の電源システムが電力を受給又は供給することで、系統電圧の安定を保つ対策が考えられる。具体的には、系統電圧が許容範囲を超える懸念のある地域に車両Aを向かわせて、メインバッテリ22を系統用蓄電池として利用すれば、系統電圧の安定化への寄与が可能になる。以下、系統電圧の安定化にメインバッテリ22を利用する形態での、エネルギマネージャ100の詳細を説明する。
エネルギマネージャ100は、外部情報取得部271により、系統電力からメインバッテリ22への充電要請、又はメインバッテリ22から系統電力への給電要請を取得する。外部情報取得部271は、例えばクラウド上に設けられた電気事業者のクラウドサーバ190から充電要請及び給電要請を取得してもよく、運行マネージャ110から運行計画と共に充電要請及び給電要請を取得してもよい。
エネルギマネージャ100は、外部情報取得部271にて取得する充電要請又は給電要請に基づき、温度シミュレーション部74にて、メインバッテリ22に対して実施される温調制御の目標バッテリ温度Tbを設定する。以下、メインバッテリ22を系統用蓄電池として利用するため、エネルギマネージャ100にて実施されるメイン処理及び複数のサブ処理の詳細を、図22~図26に基づき、図20及び図21を参照しつつ説明する。図22~図26に示すメイン処理及び各サブ処理は、起動中のエネルギマネージャ100によって、継続的に実施される。
S21では、充電要請及び給電要請のいずれか(以下、「協力要請」)の有無を判定する。S21にて、協力要請があると判定した場合、この協力要請を取得して、S22に進む。一方で、協力要請がないと判定した場合、S25に進む。
S22では、S21にて取得した協力要請を受けるか否かの可否判断を取得する。協力要請に対する可否判断は、モビリティサービスの事業者又は車両Aのオーナー等によって実施される。可否判断は、予め設定された判断ロジックに従って実施されてもよい。又は、協力要請毎にオーナー等への問合せが実施され、オーナー等の入力に基づくかたちで、可否判断が実施されてもよい。S22にて、協力要請を受けると判定した場合、S23に進む。一方で、協力要請を受けないと判定した場合、S25に進む。
S23では、S21にて取得した協力要請に基づき、当該協力要請にて指定された指定地点を、車両Aを移動させる到着地に設定し、S24に進む。協力要請では、例えば系統電力への接続が可能な特定の充電ステーションCS等が、指定地点として指定される。S24では、到着地にて受け取る又は受け渡す目標電力量をクラウドサーバ190等からさらに取得し、S25に進む。
S25では、図23に示すサブ処理により、到着地までの走行に必要な電力量を算出する。図23に示すサブ処理のS251~S257では、各種の車両利用情報を取得する。S251では、現在時刻のバッテリ温度を取得し、S252に進む。S252では、現在時刻の外気温を取得し、S253に進む。S253では、現在時刻の温調システム42のクーラント温度(水温)を取得し、S254に進む。
S254では、運行マネージャ110より取得した走行計画に基づき、現在地から到着地までの走行距離を取得し、S255に進む。S255では、交通情報等を参照しつつ、現在の到着推定時刻を取得し、S256に進む。S256では、S252にて取得した外気温に基づき、現在時刻の外気温度係数を取得し、S257に進む。S257では、ドライバ情報に基づき、現在のドライバの運転不効率係数を取得し、S258に進む。尚、車両Aが到着地まで自律走行する場合、S257は省略される。S258では、走行距離、到着地までの残り時間、外気温度係数及び運転不効率係数を全て掛け算し、到着地までの走行に必要な電力量を算出し、図22に示すメイン処理のS26に進む。
S26では、図24に示すサブ処理により、到着地での充電能力を算出する。図24に示すサブ処理のS261では、到着地である充電ステーションCSの使用可否情報を取得し、充電器の空き状況(例えば、空き充電器の数等)を把握して、S262に進む。S262では、空き充電器の充電能力情報を取得し、この充電器の電力容量(単位は「kW」)を把握して、S263に進む。S263では、S262にて取得した空き充電器の電力容量を、到着地の充電能力として設定し、図22に示すメイン処理のS27に進む。
S27では、図25に示すサブ処理により、到着地で到達しているバッテリ温度(図12 目標バッテリ温度Tbに相当)を算出する。図25に示すサブ処理のS271では、到着地に到着した時のバッテリ残量の推定値を算出し、当該バッテリ残量を残存電力量として取得して、S272に進む。S272では、S262と同様に、空いている充電器の電力容量を、到着地の充電能力として取得し、S273に進む。S273では、現在時刻の外気温度係数を算出によって取得し、S274に進む。
S274では、到着地での充電時間を算出し、S275に進む。S274では、メインバッテリ22の電池容量から上述の残存電力量を引いた値を、到着地の充電器の充電能力で割り算し、さらにその値に到着地の外気温度係数を掛け算する演算処理にて、充電時間の推定値を算出する。
S275では、充電による温度上昇係数(単位は「℃/h」)を取得し、S276に進む。S276では、バッテリ温度と入出力上限との相関(図9参照)から、急速充電のリミッタ温度(温度上限TMに相当,図12参照)を取得し、S277に進む。S277では、充電時間に温度上昇係数を掛け算した値を、急速充電のリミッタ温度から引き算する演算処理にて、到着地で到達しているバッテリ温度を算出し、図22に示すメイン処理のS28に進む。
S28では、図26に示すサブ処理により、到着地までのバッテリ温度の制御パターンを算出する。図26に示すサブ処理のS281~S283では、S251~S253(図23参照)と同様に、現在時刻のバッテリ温度、外気温及びクーラント温度を順に取得し、S284に進む。
S284では、S258(図23参照)の演算結果の参照により、到着地までの走行に必要な電力量を取得し、S285に進む。S285では、S272(図25参照)と同様に、到着地の充電能力を取得し、S286に進む。S286では、S277(図25参照)の演算結果の参照により、到着地で到達しているバッテリ温度を取得し、S287に進む。
S287では、先読み温調制御の実施及び不実施の判定を行う。S287では、到着地にて使用予定の充電器の充電能力が所定値X(単位は「kWh」)よりも高いか否かを判定する。S287にて、充電能力が所定値Xよりも低いと判定した場合、充電時の発熱が小さく、先読み冷却が不要であると推定し、S288に進む。S288では、温調制御を休止する設定とし、S290に進む。一方、S287にて、充電能力が所定値Xよりも高いと判定した場合、充電時の発熱が大きく、先読み冷却が必要であると推定し、S289に進む。S289では、温調制御を実施する設定とし、S290に進む。
S290では、到着地までの走行に必要な電力量に、到着地までの空調に必要な電力量を足し算する演算処理により、到着地までの温調制御パターン(図12 実線参照)を設定し、図22に示すメイン処理のS29に進む。S29では、S28にて設定された温調制御の制御パターンに従い、温調制御部75及び熱マネージャ40の連携により、メインバッテリ22の先読み冷却が実施される。
ここまで説明した第二実施形態では、メインバッテリ22への充電要請又はメインバッテリ22からの給電要請に基づき、メインバッテリ22に対して実施される温調制御の目標バッテリ温度Tbが設定される。故に、メインバッテリ22が系統電力と接続された後、系統電力からメインバッテリ22への充電、又はメインバッテリ22から系統電力への給電が、制限を受けることなく実施され得る。以上によれば、系統電力の安定化のために、車両Aのメインバッテリ22を利用するシーンにおいても、メインバッテリ22の温度調整の過不足が低減可能となる。尚、第二実施形態では、外部情報取得部271が「要請取得部」に相当する。
(他の実施形態)
以上、本開示の複数の実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定して解釈されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲内において種々の実施形態及び組み合わせに適用することができる。
上記実施形態では、事前影響情報、開始時影響情報及び事後影響情報の全てが車両利用情報として取得されていた。しかし、エネルギマネージャ100は、これらの情報のうちで、少なくとも一つが取得できれば、目標バッテリ温度Tbの設定を行うことができる。さらに、目標バッテリ温度Tbの設定に用いられる車両利用情報の種類は、適宜変更されてよい。例えば、環境情報及び運転傾向情報は、取得されなくてもよい。加えて、充電ステーションCSの使用可否情報及び充電能力情報は、取得されなくてもよい。
さらに、ナビ情報、センタ情報及びドライバ情報等の車両利用情報は、上記実施形態に記載の情報源から取得されなくてもよく、サーバ側及びエッジ側を問わず、各時代において最も望ましい情報源から取得されてよい。一例として、充電器の充電能力情報が、ナビ情報の一部としてナビゲーション装置60に予め登録されている場合、ステーションマネージャ180又は/及びナビゲーション装置60が、充電能力情報の情報源とされてよい。
上記実施形態では、メインバッテリ22の残量低下に基づき、温調制御が中止されていた。こうした温調制御の要否判定は、実施されなくてもよい。さらに、バッテリ残量の低下以外の条件で、温調制御が中止されてもよい。また、空調能力と温調能力との調停は、実施されなくてもよい。例えば、居室空間の空調が常に優先されてもよく、又はメインバッテリ22の温調が常に優先されてもよい。
上記実施形態では、メインバッテリ22を冷却する独立した冷却回路が温調システム42によって形成されていた。しかし、メインバッテリ22の冷却を実現する具体的な温調構成は、上記のような水冷式の構成に限定されず、適宜変更されてよい。
上記実施形態の変形例1では、空冷式の温調構成が採用されている。メインバッテリ22は、車室内の空気、バッテリ専用エアコンで冷やした空気、及び車外から導入する空気等で冷却される。
上記実施形態の変形例2,3では、冷媒冷却方式の温調構成が採用されている。変形例2では、HVAC41の冷凍サイクル又はバッテリ冷却専用の冷凍サイクルにおいて、膨張弁の後の低温且つ低圧な冷媒が、メインバッテリ22の冷却に用いられる(冷媒直冷方式)。メインバッテリ22から冷凍サイクルの冷媒に移動した熱は、コンデンサから外気へと放熱される。また、変形例3では、温調システム42にバッテリ冷却のための独立した冷媒回路が形成されている。バッテリ熱は、HVAC41及び温調システム42間に設けられた熱交換器によってHVAC41の冷媒回路へと移動し、コンデンサから外気へと放出される(サーモサイフォン方式)。
さらに、メインバッテリ22を昇温させる構成も、適宜変更可能である。例えば、上記実施形態の変形例4では、メインバッテリ22を昇温させるシート状のヒータがメインバッテリ22の底面に設置されている。変形例4では、ヒータへの通電により、メインバッテリ22を直接的に加温する。
上記第一実施形態の変形例5,6の車両Aは、運行マネージャ110によって運行を管理されるサービスカーである。変形例5では、バッテリ管理装置の機能は、車載されたエネルギマネージャ100と、車両外部の運行マネージャ110とに分散実装されている。さらに、変形例6では、バッテリ管理装置の機能は、車両外部の運行マネージャ110に全て実装されている。
上記第二実施形態では、モビリティサービスの提供に使用されるサービスカーを前提として、クラウドからの協力要請に基づき、先読み温調制御を実施する例を説明した。しかし、クラウドからの協力要請に基づく先読み温調制御を適用可能な車両は、サービスカーに限定されない。個人所有されるPOV(Personally owned Vehicle)であっても、上述の先読み温調制御が適用されてよい。さらに、協力要請を受けることが可能な車両は、ADコンピュータ90等を搭載しない手動運転の車両であってよい。
上記第二実施形態では、系統電力からメインバッテリ22への充電要請及びメインバッテリ22から系統電力への給電要請の両方に、車両Aは対応可能であった。しかし、充電要請及び給電要請のいずれか一方のみに車両Aが対応可能であってもよい。
上記実施形態では、複数のシーンで先読み温調制御が実施されていた。しかし、先読み温調制御を実施するシーンは、適宜変更されてよい。さらに、各温調実施期間の開始タイミング及び終了タイミングは、適宜変更されてよい。また、先読み冷却及び先読み暖機の一方のみが実施されてもよい。
上記実施形態の変形例7では、メインバッテリ22の温度推移の予測に基づく先読み制御処理が省略されている。変形例7のエネルギマネージャ100は、内部情報取得部72にて取得されるメインバッテリ22の残量情報及び温度情報等のステータス情報に基づき、ユーザに温調制御の実施を提案する。
具体的に、変形例7のエネルギマネージャ100は、メインバッテリ22の現在のSOCに基づき、メインバッテリ22の冷却又は昇温を提案する。エネルギマネージャ100は、ユーザによる実行又はキャンセルの入力操作に基づき、温調制御の実施及び不実施を決定する。エネルギマネージャ100による温調制御の実施提案は、メインバッテリ22の現在のバッテリ温度に基づき、バッテリ温度が特定の閾値を超えたとき、又は特定の閾値未満となったときに、実施されてもよい。さらに、温調制御の実施提案は、メインバッテリ22のSOC及びバッテリ温度の両方に基づき、実施されてもよい。
上記第二実施形態の変形例8では、上記第一実施形態と同様に、エネルギマネージャ100による温調制御の実施判断を受けて、ユーザ又はオペレータ等が温調制御の実行及びキャンセルの最終判断を行う。また、上記実施形態の変形例9では、ユーザの判断を問い合わせる処理が省略され、エネルギマネージャ100の先読み制御に基づき、温調制御の実施及び不実施が最終決定される。
上記第一実施形態の変形例10において、ユーザは、温調制御の実行及びキャンセルの判断に加えて、温調制御の程度(強弱)を設定可能である。例えば、ユーザは、将来の行動予定が流動的な場合に、エネルギマネージャ100にて設定された内容よりも弱い温調制御を実施させることができる。
車両Aのサイズ及び乗車定員等の車両仕様は、適宜変更されてよい。例えば、車両Aは、メインバッテリ22の容量や乗車定員を増やすため、例えば八輪車及び六輪車等の大型車両であってよい。さらに、車両Aの仕様に応じて、メインバッテリ22の搭載容量やHVAC41の搭載数及び冷凍サイクル能力量も適宜変更されてよい。
さらに、車両Aは、上述のバッテリEVに限定されず、プラグインハイブリッドEV及びレンジエクステンダーEVであってもよい。これらの車両Aでは、発電用の内燃機関及びモータジェネレータが充電システム50に設けられている。そして、充電システム50は、例えば車両Aの走行中等、充電器と接続されていない状態においても、メインバッテリ22の残量減少に応じて、充電回路21に充電用の電力を供給できる。
上記実施形態にて、車載コンピュータ100a又は各サーバ装置等によって提供されていた各機能は、ソフトウェア及びそれを実行するハードウェア、ソフトウェアのみ、ハードウェアのみ、あるいはそれらの複合的な組合せによっても提供可能である。さらに、こうした機能がハードウェアとしての電子回路によって提供される場合、各機能は、多数の論理回路を含むデジタル回路、又はアナログ回路によっても提供可能である。
上記実施形態の各処理部11,111は、CPU(Central Processing Unit)及びGPU(Graphics Processing Unit)等の演算コアを少なくとも一つ含む構成であってよい。さらに、処理部11,111は、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、NPU(Neural network Processing Unit)及び他の専用機能を備えたIPコア等をさらに含む構成であってよい。
上記実施形態の各記憶部13,113として採用され、本開示のバッテリ管理方法を実現させるバッテリ管理プログラムを記憶する記憶媒体の形態は、適宜変更されてよい。例えば記憶媒体は、回路基板上に設けられた構成に限定されず、メモリカード等の形態で提供され、スロット部に挿入されて、コンピュータのバスに電気的に接続される構成であってよい。さらに、記憶媒体は、コンピュータへのプログラムのコピー基となる光学ディスク及びのハードディスクドライブ等であってもよい。
本開示に記載の制御部及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサを構成する専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の装置及びその手法は、専用ハードウェア論理回路により、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の装置及びその手法は、コンピュータプログラムを実行するプロセッサと一つ以上のハードウェア論理回路との組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。