JP7211277B2 - 充電マネージメント方法、及び充電マネージメント装置 - Google Patents

充電マネージメント方法、及び充電マネージメント装置 Download PDF

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Description

この明細書による開示は、バッテリの充電を管理する充電マネージメントの技術に関する。
特許文献1には、EV車の配車運行管理を行う配車運行管理方法が開示されている。特許文献1に開示の配車運行管理方法では、空車状態にあるEV車について、EV車のバッテリの充電率が所定の値を下回ると、使用可能な充電施設の位置等がセンタからEV車に通知される。
特開2012-73979号公報
近年では、モビリティサービスの運行計画に基づき、EV車であるサービス車両を走行させることが試みられている。しかし、こうしたサービス車両が増加した場合、相対的に充電施設が不足し得る。その結果、特許文献1の配車運行管理方法では、充電施設の確保が課題となる。
詳記すると、特許文献1では、バッテリ残量の低下したサービス車両に対し、空いている充電施設が、単に通知されるのみである。そのため、センタから通知された充電施設に到着したタイミングにて、他の車両による使用が既に開始されている場合が想定される。この場合、充電を開始できないため、サービス車両の運行に滞りが生じてしまう。
本開示は、サービス車両を用いたモビリティサービスの提供を円滑に実施可能な、充電マネージメント方法及び充電マネージメント装置の提供を目的とする。
上記目的を達成するため、開示された一つの態様は、コンピュータ(100a,110a)によって実施され、モビリティサービスの提供に用いられるサービス車両(SV)のバッテリ(22)の充電を管理する充電マネージメント方法であって、少なくとも一つのプロセッサ(11,111)にて実行される処理に、モビリティサービスにおけるサービス車両の運行計画であって、サービス車両に搭乗するユーザ(U)の乗降情報を含む運行計画を取得し(S13)、運行計画に基づき、サービス車両にて消費される電気エネルギを予測し(S14)、電気エネルギの消費予測に基づき、バッテリへの充電を行う充電施設(CS)を確保する(S19)、というステップを含み、消費予測を行うステップでは、運行計画に従う走行によって消費される走行消費エネルギに加えて、走行以外に消費される非走行消費エネルギであって、サービス車両の居室空間の空気調和に消費される空調消費エネルギを含む非走行消費エネルギを予測し、乗降情報に基づき、ユーザの乗降に伴う居室空間の温度変化を想定し、サービス車両にて消費される空調消費エネルギを予測する充電マネージメント方法とされる。
また開示された一つの態様は、モビリティサービスの提供に用いられるサービス車両(SV)のバッテリ(22)の充電を管理する充電マネージメント装置であって、モビリティサービスにおけるサービス車両の運行計画であって、サービス車両に搭乗するユーザ(U)の乗降情報を含む運行計画を取得する計画取得部(71)と、運行計画に基づき、サービス車両にて消費される電気エネルギを予測する消費予測部(74)と、消費予測部による電気エネルギの消費予測に基づき、バッテリへの充電を行う充電施設を確保する施設確保部(75)と、を備え、消費予測部は、運行計画に従う走行によって消費される走行消費エネルギに加えて、サービス車両の居室空間の空気調和に消費される空調消費エネルギを予測し、乗降情報に基づき、ユーザの乗降に伴う居室空間の温度変化を想定し、サービス車両にて消費される空調消費エネルギを予測する充電マネージメント装置とされる。
これらの態様では、運行計画から予測された電気エネルギの消費予測に基づき、バッテリへの充電を行う充電施設が予め確保される。故に、充電施設への移動、及び充電施設での充電が滞りなく行われ得る。その結果、サービス車両を用いたモビリティサービスの提供が円滑に実施可能となる。
尚、上記括弧内の参照番号は、後述する実施形態における具体的な構成との対応関係の一例を示すものにすぎず、技術的範囲を何ら制限するものではない。
本開示の一実施形態において、モビリティサービスの提供に関連するシステムの全体像を示す図である。 サービス車両に搭載される電気的な構成の全体像を示すブロック図である。 エネルギマネージャの概略的な構成を、関連する構成と共に示す図である。 エネルギマネージャが運行マネージャ及びステーションマネージャと連携し、充電ステーションを確保するスケジュール合意処理の詳細を示すシーケンス図である。
図1に示す本開示の一実施形態によるモビリティサービスシステムは、多数のサービス車両SVの走行を運行管理センタCToにおいて管理し、サービス車両SVによるユーザUへの移動空間の提供を実現している。モビリティサービスシステムには、運行管理センタCTo及びサービス車両SVに加えて、モビリティサービス提供の対価を徴収する決算システム、及び多数の充電ステーションCSを管理する充電管理センタCTc等が関連している。運行管理センタCTo、多数のサービス車両SV、決算システム、及び充電管理センタCTc等は、それぞれネットワークNWに接続されており、相互に通信可能である。
以下、運行管理センタCTo、充電管理センタCTc、及びサービス車両SVの各詳細を、図1及び図2に基づき、順に説明する。尚、運行管理センタCTo及びサービス車両SVを用いてモビリティサービスを提供する事業者は、充電管理センタCTcを管理し、充電サービスを提供する事業者と異なっていてもよい。
運行管理センタCToには、運行マネージャ110が設置されている。運行マネージャ110は、サービス車両SVのユーザUへの配車を管理する。運行マネージャ110は、配車管理のために、個々のサービス車両SVの運行計画を策定する。運行マネージャ110は、サービス車両SVのユーザUへの配車指示として、策定した運行計画を、ネットワークNWを通じて、各サービス車両SVに送信する。
運行マネージャ110は、少なくとも一台のサーバ装置110aを主体とした演算システムである。サーバ装置110aは、処理部111、RAM112、記憶部113、入出力インターフェース114、及びこれらを接続するバス等を備え、運行マネージャ110として動作する。処理部111は、RAM112と結合された演算処理のためのハードウェアである。処理部111は、RAM112へのアクセスにより、配車管理等に関連する種々の処理を実行する。記憶部113は、不揮発性の記憶媒体を含む構成である。記憶部113には、処理部111によって実行される種々のプログラム(運行管理プログラム等)が格納されている。
運行マネージャ110は、記憶部113に記憶された運行管理プログラムを処理部111によって実行することで、ユーザ情報の取得及び運行計画の生成等の処理を実施する。ユーザ情報は、モビリティサービスの利用を希望するユーザUにより、ユーザ端末UTに入力された情報である。ユーザ情報には、モビリティサービスの利用に必要な情報として、ユーザUを識別するID情報、ユーザUの乗車場所、降車場所、及び乗車予定時刻(乗車予定時間帯)等が少なくとも含まれている。ユーザ情報は、ネットワークNW及び基地局BSを通じて、運行マネージャ110に取得される。ユーザUは、例えばスマートフォン、タブレット端末、及びパーソナルコンピュータ等を、ユーザ端末UTとして、ユーザ情報の入力に使用できる。
尚、ユーザUは、特定の場所及び時刻に、ヒトではなく集配物Pを運ぶ目的で、サービス車両SVを利用できる。またユーザ情報には、乗車予定時刻に替えて、降車希望時刻(降車希望時間帯)が含まれていてもよい。さらに、一人のユーザUにより、複数人分の搭乗予約が実施されてもよい。この場合、ユーザ情報には、サービス車両SVに搭乗する搭乗者の人数を示す情報がさらに含まれる。
運行マネージャ110は、例えばネットワークNWに接続されたクラウドサーバ190を通じて、現在及び将来の交通情報等を取得する。交通情報には、道路の通行止め及び渋滞等の発生情報が含まれている。運行マネージャ110は、ユーザ情報及び交通情報等に基づき、ユーザUの希望する移動が実現されるように、各サービス車両SVの運行計画を生成する。
運行計画では、サービス車両SVの走行ルート、移動速度、停止位置、各停止位置にて乗降するユーザUの人数、及び各停止位置にて積み下ろしされる集配物P等が設定される。走行ルートは、ユーザ端末UTを通じて受け付けた利用予約の完遂を最優先に、安全性及び経済性を考慮して生成される。走行ルートは、例えば路線バスのように、予め認可を受けた路線に沿ってサービス車両SVを走行させる内容であってもよく、又はユーザUの希望する乗車位置及び降車位置を辿るようにサービス車両SVを走行させる内容であってもよい。
充電管理センタCTcには、ステーションマネージャ180が設置されている。ステーションマネージャ180は、運行マネージャ110と同様に、サーバ装置を主体とした演算システムである。ステーションマネージャ180は、特定の地域に設置された多数の充電ステーションCSと、ネットワークNWを通じて、通信可能に接続されている。充電ステーションCSは、サービス車両SVに搭載される走行用のメインバッテリ22を充電するインフラ施設である。各充電ステーションCSは、電力網を通じて供給される交流電力、又は太陽光発電システム等から供給される直流電力を用いて、メインバッテリ22を充電する。充電ステーションCSは、モビリティサービスの提供対象となる地域において、広範囲に点在するように分散設置されている。充電ステーションCSは、例えばショッピングモール、コンビニエンスストア及び公共施設等の各駐車場に設置されている。
ステーションマネージャ180は、各充電ステーションCSについてのステーション情報を把握している。ステーション情報には、充電ステーションCSの設置場所、使用予定の無い空き時間、及び充電器の仕様等の情報が含まれている。充電器の仕様情報は、急速充電可能か否か、対応する充電の規格、及び急速充電の最大出力(kW)等である。
ステーションマネージャ180は、充電ステーションCSの予約を管理する機能を有している。そのため原則的に、充電ステーションCSは、ステーションマネージャ180によって指定された車両に対してのみ、充電を行うことができる。尚、充電ステーションCSを予約して利用可能となる車両は、サービス車両SVに限定されず、個人所有される一般的な車両(以下、「POV,Personally owned Vehicle」)であってもよい。ステーションマネージャ180は、運行マネージャ110及び後述のエネルギマネージャ100からの要求に基づき、指定された充電ステーションCSについて、指定された時間帯の使用権限を、指定されたサービス車両SVに対して割り当てる。
サービス車両SVの少なくとも一部は、走行用のメインバッテリ22を搭載し、メインバッテリ22の電力で走行するBEV(Battery Electric Vehicle)である。サービス車両SVは、運転者による運転操作がない状態で自律走行可能な自動運転車である。サービス車両SVは、モビリティサービスに用いられる専用車両であり、事業者によって運用されるフリート車両であってよい。
サービス車両SVには、自律走行を可能にするための構成として、外界センサ91、ロケータ92、DCM93、及びADコンピュータ90が搭載されている。加えてサービス車両SVには、複数の消費ドメインDEc、給電ドメインDEs、充電システム60、及び各ドメインを統合管理するエネルギマネージャ100が搭載されている。
外界センサ91は、歩行者及び他の車両等の移動物体、並びに路上の縁石、道路標識、道路標示、及び区画線等の静止物体を検出する。サービス車両SVには、例えばカメラユニット、ライダ、ミリ波レーダ、及びソナー等が外界センサ91として搭載されている。
ロケータ92は、衛星測位システムの複数の測位衛星から、測位信号を受信可能なアンテナを有している。ロケータ92は、受信した測位信号に基づき、サービス車両SVの位置を計測する。
DCM(Data Communication Module)93は、サービス車両SVに搭載される通信モジュールである。DCM93は、LTE(Long Term Evolution)及び5G等の通信規格に沿った無線通信により、サービス車両SVの周囲の基地局BSとの間で電波を送受信する。DCM93の搭載により、サービス車両SVは、ネットワークNWに接続可能なコネクテッドカーとなる。
AD(Automated Driving)コンピュータ90は、運行マネージャ110と連携し、運行計画に基づくサービス車両SVの自律走行を実現する。ADコンピュータ90は、処理部、RAM、記憶部、入出力インターフェース、及びこれらを接続するバス等を備えた車載コンピュータである。ADコンピュータ90は、運行マネージャ110によって送信された運行計画を、DCM93を通じて取得する。ADコンピュータ90は、外界センサ91より取得する物体情報、及びロケータ92より取得する位置情報等に基づき、サービス車両SVの周囲の走行環境を認識し、サービス車両SVを運行計画に従って走行させるための予定走行経路を生成する。ADコンピュータ90は、予定走行経路に基づく走行を実現させる駆動、制動及び操舵の各制御量を演算し、各制御量を指示する制御コマンドを生成する。ADコンピュータ90は、生成した制御コマンドを、運動マネージャ30(後述する)へ向けて逐次出力する。
消費ドメインDEcは、メインバッテリ22等の電力の使用により、種々の車両機能を実現する車載機器群である。本実施形態では、少なくとも一つのドメインマネージャを含み、当該ドメインマネージャによって電力の消費を管理されるひと纏まりの車載機器群が、一つの消費ドメインDEcとされる。複数の消費ドメインDEcには、走行制御ドメイン、空調制御ドメイン、ユーザエクスペリエンス(以下、「UX」)ドメインが含まれている。
走行制御ドメインは、サービス車両SVの走行を制御する消費ドメインDEcである。走行制御ドメインには、モータジェネレータ31、インバータ32、ステア制御システム33、ブレーキ制御システム34、及び運動マネージャ30が含まれている。
モータジェネレータ31は、サービス車両SVを走行させるための駆動力を発生させる駆動源である。インバータ32は、モータジェネレータ31による力行及び回生を制御する。インバータ32は、モータジェネレータ31による力行時において、メインバッテリ22より供給される直流電力を三相交流電力に変換し、モータジェネレータ31に供給する。インバータ32は、交流電力の周波数、電流、及び電圧を調節可能であり、モータジェネレータ31の発生駆動力を制御する。一方、モータジェネレータ31による回生時において、インバータ32は、交流電力を直流電力に変換し、メインバッテリ22に供給する。ステア制御システム33は、サービス車両SVの操舵を制御する。ブレーキ制御システム34は、サービス車両SVに生じさせる制動力を制御する。
運動マネージャ30はADコンピュータ90と電気的に接続された車載コンピュータである。運動マネージャ30は、駆動、制動及び操舵等の各制御量を示した制御コマンドを、ADコンピュータ90より取得する。運動マネージャ30は、制御コマンドに基づき、インバータ32、ステア制御システム33、ブレーキ制御システム34を統合的に制御し、予定走行経路をトレースするようにサービス車両SVを自律走行させる。以上の運動マネージャ30は、走行制御ドメインのドメインマネージャとして機能し、モータジェネレータ31、インバータ32、ステア制御システム33及びブレーキ制御システム34のそれぞれによる電力の消費を総合的に管理する。
空調制御ドメインは、サービス車両SVの居室空間の空気調和と、メインバッテリ22の温度調整とを実施する消費ドメインDEcである。空調制御ドメインには、HVAC41、温調システム42、及び熱マネージャ40が含まれている。尚、HVAC41は、一台のサービス車両SVに対して、複数設置されていてもよい。
HVAC(Heating, Ventilation, and Air Conditioning)41は、メインバッテリ22からの供給電力を利用して、居室空間の暖房、冷房及び換気等を行う電動式の空調装置である。HVAC41は、冷凍サイクル装置、送風ファン、ヒータ及びエアミックスダンパ等を備えている。HVAC41は、冷凍サイクル装置のコンプレッサ、ヒータ及びエアミックスダンパ等を制御し、車両外部の空気又は居室空間内の空気を昇温してなる暖気、或いは冷却してなる冷気を生成する。HVAC41は、送風ファンの作動により、生成した暖気又は冷気を、空調風として、居室空間に供給する。
温調システム42は、メインバッテリ22、モータジェネレータ31及びインバータ32等の冷却又は昇温を行うシステムである。温調システム42は、冷却回路、電動ポンプ及び液温センサを備えている。冷却回路は、メインバッテリ22、モータジェネレータ31及びインバータ32等の電動走行系の各構成を巡るように設置された配管を主体として構成される。電動ポンプは、冷却回路の配管内に充填されたクーラントを循環させる。液温センサは、クーラントの温度を計測する。温調システム42は、HVAC41によって昇温又は冷却させたクーラントの循環により、高圧回路を含む電動走行系の温度を所定の温度範囲内に維持させる。
熱マネージャ40は、HVAC41及び温調システム42の作動を制御する車載コンピュータである。熱マネージャ40は、居室空間の空調設定温度と、居室空間に設置された温度センサの計測温度とを比較し、HVAC41の空調作動を制御する。熱マネージャ40は、液温センサによる計測結果を参照し、HVAC41及び温調システム42の温調作動を制御する。以上の熱マネージャ40は、熱ドメインのドメインマネージャとして機能し、HVAC41及び温調システム42のそれぞれによる電力の消費を総合的に管理する。
UXドメインは、ユーザUの搭乗する居室空間を快適な状態に保つことにより、モビリティサービスを使用するユーザUの満足度を向上させる消費ドメインDEcである。UXドメインは、主にHMI(Human Machine Interface)システムに関連した車載機器群を主体としている。UXドメインには、キャビン操作システム51、コネクトシステム52、及びUXマネージャ50が含まれている。キャビン操作システム51は、居室空間にて、ユーザUによる操作を受け付ける入力インターフェースである。コネクトシステム52は、ニュース情報、天候情報、交通情報、及び映像コンテンツ等をディスプレイパネルに表示させる。UXマネージャ50は、キャビン操作システム51及びキャビン操作システム51のそれぞれによる電力の消費を総合的に管理する車載コンピュータである。
給電ドメインDEsは、消費ドメインDEcへの電力供給を可能にするための車載機器群である。給電ドメインDEsは、消費ドメインDEcと同様に、少なくとも一つのドメインマネージャを含んでいる。サービス車両SVの給電ドメインDEsは、充電回路21、メインバッテリ22、サブバッテリ23、及びバッテリマネージャ20を備えている。
充電回路21は、バッテリマネージャ20との協働により、各消費ドメインDEc及び各バッテリ22,23間での電力の流れを統合的に制御するジャンクションボックスとして機能する。充電回路21は、メインバッテリ22及びサブバッテリ23からの電力供給と、メインバッテリ22及びサブバッテリ23への充電とを実施する。
メインバッテリ22は、電力を充放電可能な二次電池である。メインバッテリ22は、多数の電池セルを含む組電池を備えている。電池セルは、例えばニッケル水素電池、リチウムイオン電池、及び全固体電池等のいずれかである。メインバッテリ22に蓄えられた電力は、主にサービス車両SVの走行と居室空間の空調とに用いられる。
サブバッテリ23は、メインバッテリ22と同様に、電力を充放電可能な二次電池である。サブバッテリ23は、例えば鉛蓄電池である。サブバッテリ23のバッテリ容量は、メインバッテリ22のバッテリ容量よりも少ない。サブバッテリ23に蓄えられた電力は、主にサービス車両SVの補機類、具体的には、DCM93、キャビン操作システム51及びコネクトシステム52等によって使用される。
バッテリマネージャ20は、給電ドメインDEsのドメインマネージャとして機能する車載コンピュータである。バッテリマネージャ20は、充電回路21から各消費ドメインDEcに供給される電力を管理する。バッテリマネージャ20は、メインバッテリ22及びサブバッテリ23についての残量情報を、エネルギマネージャ100に通知する。
充電システム60は、給電ドメインDEsに電力を供給し、メインバッテリ22の充電を可能にする。充電システム60には、充電ステーションCSにて、外部の充電器が電気的に接続される。充電システム60は、充電ケーブルを通じて供給される充電用の電力を、充電回路21に出力する。普通充電を行う場合、充電システム60は、普通充電用の充電器から供給される交流電力を直流電力に変換し、充電回路21に供給する。一方、急速充電を行う場合、充電システム60は、急速充電用の充電器から供給される直流電力を、充電回路21に出力する。充電システム60は、急速充電用の充電器と通信する機能を有しており、充電器の制御回路と連携して、充電回路21に供給する電圧を制御する。
尚、充電システム60は、レンジエクステンダーとしての内燃機関と、発電用のモータジェネレータとを備えていてもよい。こうした充電システム60は、例えばサービス車両SVの走行中等、充電器と接続されていない状態においても、メインバッテリ22の残量減少に応じて、充電回路21に充電用の電力を供給できる。
エネルギマネージャ100は、図2及び図3に示すように、各消費ドメインDEcによる電力の使用を統合的に管理する。エネルギマネージャ100は、処理部11、RAM12、記憶部13、入出力インターフェース14、及びこれらを接続するバス等を備えた車載コンピュータ100aによって実現されている。処理部11は、RAM12と結合された演算処理のためのハードウェアである。処理部11は、RAM12へのアクセスにより、後述する各機能部の機能を実現させる種々の処理を実行する。記憶部13は、不揮発性の記憶媒体を含む構成である。記憶部13には、処理部11によって実行される種々のプログラム(充電管理プログラム等)が格納されている。
エネルギマネージャ100は、記憶部13に記憶された充電管理プログラムを処理部11によって実行することにより、メインバッテリ22の充電管理に関連する複数の機能部を備える。具体的に、エネルギマネージャ100は、充電管理プログラムに基づく機能部として、外部情報取得部71、バッテリ情報取得部72、消費ドメイン情報取得部73、消費シミュレーション部74及び充電予定合意部75を備える。
外部情報取得部71は、モビリティサービスにおけるサービス車両SV(自車両)の運行計画を運行マネージャ110より取得する。上述したように、運行計画には、走行ルート上のどの場所で、何人のユーザUが乗降するのかを示す配車指示の情報が含まれている。こうした情報を、外部情報取得部71は、ユーザUの乗降情報として把握する。加えて、運行情報には、走行ルート上のどの場所で、どのような集配物Pを積み下ろしするのかを示す情報が含まれている。こうした情報を、外部情報取得部71は、集配物Pの集荷情報として把握する。
外部情報取得部71は、クラウドサーバ190によって配信される天候情報等を取得する。天候情報には、走行ルートの外気温を示す情報が少なくとも含まれている。外部情報取得部71は、乗降情報及び集荷情報を含む運行計画と、外気温を含む天候情報等とを、消費シミュレーション部74に提供する。尚、サービス車両SVが貨客混載を行わない仕様である場合、外部情報取得部71から消費シミュレーション部74への集荷情報の提供は、省略されてよい。
バッテリ情報取得部72は、給電ドメインDEsの状態を示すステータス情報を、バッテリマネージャ20から取得する。ステータス情報には、メインバッテリ22及びサブバッテリ23の残量情報及び温度情報等が含まれている。一例として、バッテリ情報取得部72は、各バッテリ22,23のSOC(States Of Charge)の値を、残量情報として取得する。
消費ドメイン情報取得部73は、各消費ドメインDEcの状態を示すステータス情報を、各ドメインマネージャから取得する。ステータス情報には、各消費ドメインDEcの車載機器群の作動状態を示す情報、及び温度情報等が含まれている。一例として、消費ドメイン情報取得部73は、居室空間の温度情報及びクーラントの温度情報等を、ステータス情報として取得する。
消費シミュレーション部74は、外部情報取得部71の取得する運行計画及び天候情報と、消費ドメイン情報取得部73の取得するステータス情報等とに基づき、サービス車両SVにて消費される電気エネルギ(以下「消費エネルギ」,kWh)を予測する。消費エネルギには、運行計画に従う走行によって消費される走行消費エネルギと、サービス提供中にて走行以外に消費される非走行消費エネルギとが含まれている。
走行消費エネルギは、実質的に、走行制御ドメインにて消費される電気エネルギである。消費シミュレーション部74は、運行計画に基づき、走行ルートの総距離、走行ルートに存在する勾配、停止回数、及び各区間の走行速度を把握する。消費シミュレーション部74は、乗降情報及び集荷情報に基づき、サービス車両SVに想定される重量変動を把握する。消費シミュレーション部74は、空車状態でのサービス車両SVの重量と、ユーザUの基準体重に搭乗者の数を掛けた重量と、集配物Pの基準重量に集配物Pの積載数を掛けた重量とを足し合わせた値を、サービス車両SVの想定重量とする。消費シミュレーション部74は、上述の勾配、想定重量、及び加速抵抗を含んだサービス車両SVの走行負荷の変動を想定する。尚、加速抵抗を算出する場合に使用する駆動系の慣性相当重量は、記憶部13から読み出す固定値であってよい。また、走行負荷に、路面のころがり抵抗及び空気抵抗等が含まれていてもよい。
消費シミュレーション部74は、上述の走行負荷の変動に加えて、総距離、停止回数及び走行速度等をパラメータとして考慮し、走行に伴って逐次消費される電力(kW)を試算するシミュレーションを実施する。消費シミュレーション部74は、試算した消費電力を積算し、走行消費エネルギを推定する。走行消費エネルギは、勾配が多くなるほど、及び走行速度が高くなるほど、増加する。同様に、搭乗するユーザUの数が増えるほど、及び積載する集配物Pが多くなるほど、走行消費エネルギは増加する。尚、電動走行系の冷却に消費される電気エネルギ(後述の「温調消費エネルギ」を参照)は、走行消費エネルギ及びには含まれないものとする。
非走行消費エネルギは、走行制御ドメイン以外の消費ドメインDEcにて消費される電気エネルギである。本実施形態では、空調制御ドメイン及びUXドメインにて、サービス提供中に消費される電気エネルギの合計が、非走行消費エネルギとされる。非走行消費エネルギの大部分は、空調制御ドメインにて、HVAC41及び温調システム42により消費される空調消費エネルギ及び温調消費エネルギとなる。空調消費エネルギは、居室空間の温度調整に消費される電気エネルギである。温調消費エネルギは、メインバッテリ22、モータジェネレータ31、及びインバータ32等の電動走行系の冷却及び昇温に消費される電気エネルギである。
消費シミュレーション部74は、運行計画に基づき、サービス車両SVの走行時間を把握する。加えて消費シミュレーション部74は、乗降情報に基づき、ユーザUの乗降に伴い居室空間に想定される温度変化を把握する。同様に、消費シミュレーション部74は、集荷情報に基づき、集配物Pの積み下ろしに起因して居室空間に想定される温度変化を把握する。
消費シミュレーション部74は、上述の走行時間及び居室空間の想定温度変化と、走行ルートの外気温及び現在の居室空間の温度等を考慮し、サービス提供中に空調制御ドメインにて空調に消費される電力を試算する。また消費シミュレーション部74は、走行消費エネルギと、走行ルートの外気温等とに基づき、電動走行系の温調に消費される電力を試算する。消費シミュレーション部74は、試算した各消費電力を積算し、空調消費エネルギ及び温調消費エネルギを推定する。尚、UXドメインにて消費される電気エネルギは、例えば走行時間に所定値を乗算した値とされてよい。
空調制御エネルギは、例えば夏場においては外気温が高くなるほど、又は冬場においては外気温が低くなるほど、増加する。さらに、ユーザUの乗降や集配物Pの積み下ろしが頻繁に実施されるほど、乗降口を通じた空気の移動量が多くなるため、試算される空調制御エネルギは、増加する。また、走行負荷が増加するほど、又は走行距離が長くなるほど、走行消費エネルギが増加するため、温調消費エネルギも増加する。
充電予定合意部75は、運行マネージャ110及びステーションマネージャ180と連携し、メインバッテリ22への充電を行う充電ステーションCSを、計画的に確保する(図4 S19参照)。充電予定合意部75は、一つの運行計画の完遂後に使用する充電ステーションCSの確保を、充電ステーションCSへ向かう走行を開始する前であり、且つ、運行計画に従う走行を開始する前に完了させる。尚、充電ステーションCSを確保するタイミングは、サービス提供中、即ち、運行計画に従って走行する期間内に実施されてもよい。
充電予定合意部75は、確保した充電ステーションCSにて実施する充電のスケジュールを設定する(図4 S20参照)。充電予定合意部75は、急速充電用の充電器を使用するか否か、及び充電目標とするメインバッテリ22のSOCの値(以下、「目標SOC値」)等を、充電スケジュールとして設定する。充電予定合意部75は、充電ステーションCSの確保と、充電スケジュールの設定とを連続的に実施する。
充電予定合意部75は、充電ステーションCSの確保及び充電スケジュールの設定にあたり、まず運行計画を参照し、運行が完了する予定時刻(以下、「サービス終了時刻」)及び予定地点(以下、「サービス終了地点」)を把握する。加えて充電予定合意部75は、メインバッテリ22の残量情報と、消費シミュレーション部74による電気エネルギの消費予測とに基づき、運行完了時におけるメインバッテリ22の残量を推定する。充電予定合意部75は、サービス終了地点を基準とし、メインバッテリ22に残った電力量で到達可能な範囲(以下、「到達可能範囲」)を試算する。充電予定合意部75は、サービス終了時刻及び到達可能範囲を含む問い合わせ情報を生成し、ステーションマネージャ180へ向けて送信する。
充電予定合意部75は、問い合わせ情報への返信情報を、ステーションマネージャ180から取得する。返信情報では、到達可能範囲に設置された充電ステーションCSのうちで、サービス終了時刻にて空き状態にある充電ステーションCSがリストアップされている。充電予定合意部75は、返信情報に提示された充電ステーションCSの中から、自車両の充電に使用する一つを選択する。
ここで充電予定合意部75は、充電後の配車指示に相当する運行計画、換言すれば、次々回の運行計画(以下、「将来運行計画」)について、充電ステーションCSを確保するタイミングで、その一部を運行マネージャ110から取得可能である。このとき取得される将来運行計画の一部の情報は、具体的には、充電完了後における走行予定距離、運行再開時刻及び運行再開地点等である。充電予定合意部75は、取得した将来運行計画に基づき、予測される将来の運行を考慮して、充電ステーションCSの選択と、充電スケジュールの設定とを実施する。
具体的に、充電予定合意部75は、充電後の走行予定距離を取得できた場合、当該走行予定距離を走行可能なように、充電スケジュールにおける目標SOC値を設定する。加えて充電予定合意部75は、運行再開時刻を取得できた場合、サービス終了時刻から運行再開時刻までの時間を考慮し、急速充電の要否を判断する。充電予定合意部75は、普通充電による目標SOC値までの充電が難しく、急速充電を行う必要があると判断した場合、急速充電可能な充電ステーションCSを優先的に選択する。また充電予定合意部75は、運行再開地点を取得できた場合、サービス終了地点と運行再開地点との間に位置する充電ステーションCSを優先的に選択する。
一方で、将来運行計画が取得されない場合、充電予定合意部75は、サービス終了地点に近接する充電ステーションCS、又は電力料金の単価が安い充電ステーションCS等を選択する。加えて充電予定合意部75は、予め規定された目標SOC値を設定する。この場合の目標SOC値は、メインバッテリ22の劣化回避のため、満充電よりも低いSOC値とされる。
充電予定合意部75は、充電ステーションCSの選択結果と、充電スケジュールの設定内容とを、運行マネージャ110に通知し、これらの内容について運行マネージャ110と合意する。加えて充電予定合意部75は、選択した充電ステーションCSを利用し、設定した充電スケジュールでの充電が実施できるように、充電ステーションCSの使用権限の確保をステーションマネージャ180に要請する。このとき充電予定合意部75は、充電対象となるサービス車両SV(自車両)の識別IDを、ステーションマネージャ180に通知する。以上の処理により、充電予定合意部75は、充電ステーションCSの予約を完了する。
次に、エネルギマネージャ100、運行マネージャ110、及びステーションマネージャ180の連携によって実施される一連のスケジュール合意処理の詳細を、図4に基づき、図1~図3を参照しつつ、以下説明する。図4に示すスケジュール合意処理は、例えばサービス車両SVの運行開始条件が成立したタイミングで、運行マネージャ110により開始される。運行開始条件は、例えば所定の時刻になった、又は運行に必要な所定数のユーザUが確保された等である。
尚、図4に示すスケジュール合意処理においては、運行マネージャ110が、最も上位の存在とされる。エネルギマネージャ100は、運行マネージャ110よりも下位の存在となる。そして、ステーションマネージャ180は、エネルギマネージャ100よりも下位の存在となる。
S11では、運行マネージャ110が運行計画を生成し、S12に進む。S12では、運行計画をエネルギマネージャ100へ向けて送信する。
S13では、S12にて運行マネージャ110により送信された運行計画を、エネルギマネージャ100が取得する。S13では、運行計画に加えて、消費ドメインDEc及び給電ドメインDEsの各ステータス情報、並びに天候情報等をさらに取得し、S14に進む。S14では、S13にて取得した運行計画及び各種情報に基づき、電気エネルギの消費を予測するシミュレーションを実施し、S15に進む。
S15では、S14にて実施した消費予測シミュレーションに基づき、運行計画に基づくサービス提供後において、メインバッテリ22の充電が必要となるか否かを判定する。例えば、サービス提供後にメインバッテリ22のSOCが残量閾値以下となる場合、メインバッテリ22の充電が必要と判定する。この場合、充電ステーションCSについての問い合わせ情報を生成し、S16に進む。S16では、S15にて生成した問い合わせ情報を、ステーションマネージャ180へ向けて送信する。尚、メインバッテリ22の残量低下を判定する残量閾値は、予め規定された所定値であってもよく、又は運行マネージャ110よって指定される変動値であってもよい。
S17では、S16にてエネルギマネージャ100により送信された問い合わせ情報を、ステーションマネージャ180が取得する。S17では、取得した問い合わせ情報に応答する内容の返信情報を生成する。具体的に、ステーションマネージャ180は、管理下にある各充電ステーションCSのステーション情報を参照し、複数の充電ステーションCSの中から、問い合わせ情報にて指定された指定条件に合致する充電ステーションCSを抽出する。そして、使用候補となる少なくとも一つの充電ステーションCSについて、その位置情報及び充電器の仕様情報等を含ませてなる返信情報を生成する。こうして生成した返信情報を、ステーションマネージャ180は、S18にて、運行マネージャ110及びエネルギマネージャ100へ向けて送信する。
尚、ステーションマネージャ180は、問い合わせ情報の指定条件に合致する充電ステーションCSが存在しないと判断した場合、S17にて、充電ステーションCSが無いことを示す返信情報を生成する。こうした内容の返信情報を受信した場合、運行マネージャ110は、S11にて生成した運行計画を見直し、充電を行う地域又はタイミングを再設定する。
S19では、S18にて送信された返信情報をエネルギマネージャ100が取得する。S19では、返信情報にて提示された充電ステーションCSの候補の中から、サービス車両SVの充電を行う一つを選択する。エネルギマネージャ100は、選択した充電ステーションCSを、運行マネージャ110に通知する。さらにエネルギマネージャ100は、選択した充電ステーションCSの使用権限を確保するように、ステーションマネージャ180に要求する。
S20では、急速充電を実施するか否か、及び目標SOC値等の充電スケジュールを設定する。S20では、目標SOC値に替えて、当該目標SOC値まで残量が回復するような充足充電又は普通充電の継続時間(充電時間)を、充電スケジュールとして設定してもよい。エネルギマネージャ100は、設定した充電スケジュールを、運行マネージャ110及びステーションマネージャ180に通知する。
S21では、S13にて取得された運行計画に基づき、サービス車両SVの走行が開始される。またS22では、ステーションマネージャ180が、S19にて選択された充電ステーションCSについて、S20にて設定された充電スケジュールに基づく内容の予約を登録する。
ここで、S20にて設定される充電スケジュールは、仮の内容であってよい。エネルギマネージャ100は、将来運行計画について、より詳細な情報を運行マネージャ110より取得した場合、充電スケジュールを更新する。エネルギマネージャ100は、更新した充電スケジュールを、ステーションマネージャ180に送信する。このとき、ステーションマネージャ180は、S22にて登録した予約内容を、最新の充電スケジュールを反映した内容にアップデートする。
ここまで説明した本実施形態では、運行計画から予測された電気エネルギの消費予測に基づき、メインバッテリ22への充電を行う充電ステーションCSが予め確保される。故に、充電ステーションCSへの移動、及び充電ステーションCSでの充電が滞りなく行われ得る。その結果、サービス車両SVを用いたモビリティサービスの提供が円滑に実施可能となる。
換言すれば、本実施形態では、運行計画に基づく走行ルートと、予測される消費エネルギに応じて、電欠を回避しつつ、非稼働時間を最小限にするような充電ステーションCSが予め確保される。故に、稼働時間の減少を抑えつつ、メインバッテリ22への充電を行うことができる。このような計画的な充電実施によれば、多数のサービス車両SVを、最小限の充電ステーションCSを有効に利用し、稼働率を落とすことなく運行させることが可能になる。尚、非稼働時間は、充電ステーションCSへの移動時間と、充電時間との合計である。
ここで、サービス車両SVでは、個人所有されるPOVと比較して、乗員数が多く車室内空間(居室空間)が広い場合がある。そのためサービス車両SVでは、広い車室内空間を快適な空間に維持するため、走行消費エネルギに対する非走行消費エネルギの割合が、POVよりも高くなる傾向にある。
こうした背景から、本実施形態では、サービス提供に伴う消費エネルギとして、走行消費エネルギだけでなく、非走行消費エネルギも推定される。以上によれば、エネルギマネージャ100は、サービス提供によって消費される電気エネルギを精度良く予測し、サービス車両SVの電欠を回避できる。
加えて本実施形態では、非走行消費エネルギに空調消費エネルギが含まれている。サービス車両SVでは、POVと比較して、上述の如く居室空間が大きくなり、空調消費エネルギの増大が予測されるため、空調消費エネルギの推定を行うことによれば、サービス車両SVの電欠リスクは、いっそう低減され得る。
またサービス車両SVでは、POVと比較して、車体に対する乗降口のサイズが大きくなる。さらに、ユーザUの乗降頻度も、サービス車両SVでは、POVよりも高くなる。故に本実施形態では、ユーザUの乗降情報に基づき、ユーザUの乗降に伴う居室空間の温度変化を想定したうえで、空調消費エネルギが予測される。以上によれば、空調消費エネルギの予測精度は、いっそう向上し得る。
さらに本実施形態では、非走行消費エネルギに温調消費エネルギが含まれている。BEVであるサービス車両SVでは、内燃機関の動力で走行する車両と比較して、特にメインバッテリ22等の温調に多くの電力が消費され易くなると予測される。そのため、温調消費エネルギの推定を行うことによれば、サービス車両SVの電欠リスクは、さらに低減され得る。
さらに本実施形態では、サービス車両SVが充電ステーションCSへ向けた走行を開始する以前に、充電ステーションCSが確保される。以上によれば、到着した充電ステーションCSが使用できずに、別の充電ステーションCSへ向けてさらに走行するような事態は、実質的に生じない。その結果、想定外の非稼働時間の発生が回避される。さらに、空き状態にある別の充電ステーションCSに辿り着けずに、電欠に陥る事態も、回避される。
加えて本実施形態では、運行計画に基づく走行の開始前に、運行計画の完遂後に使用する充電ステーションCSが確保される。以上のように、今後の運行計画に合わせて早期に充電ステーションCSを確保しておけば、非稼働時間を最短にするような、サービス終了地点近傍の充電ステーションCSが、高い確実性をもって使用可能になる。
また本実施形態では、充電ステーションCSでの充電後の将来運行計画に基づき、充電ステーションCSにて実施する充電スケジュールが設定される。以上によれば、メインバッテリ22に充電する電力量を適正に抑制し、非稼働時間の短縮を図ることが可能になる。加えて、メインバッテリ22の劣化を伴う急速充電の実施が、適切に回避され得る。
さらに本実施形態では、サービス提供中におけるサービス車両SVの走行負荷の変動が想定される。そして、消費シミュレーション部74は、サービス車両SVの走行負荷の変動を考慮して、走行消費エネルギを予測する。以上によれば、エネルギマネージャ100は、サービス提供によって消費される走行消費エネルギを精度良く予測し、サービス車両SVの電欠を回避できる。
尚、上記実施形態では、処理部11が「プロセッサ」に相当し、車載コンピュータ100aが「コンピュータ」に相当し、車載コンピュータ100a及びエネルギマネージャ100が「充電マネージメント装置」に相当する。また、充電ステーションCSが「充電施設」に相当し、メインバッテリ22が「バッテリ」に相当する。さらに、外部情報取得部71が「計画取得部」に相当し、消費シミュレーション部74が「消費予測部」に相当し、充電予定合意部75が「施設確保部」に相当する。
(他の実施形態)
以上、本開示の一実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定して解釈されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲内において種々の実施形態及び組み合わせに適用することができる。
上記実施形態のエネルギマネージャ100は、サービス車両SVの車載コンピュータ100aによって実現されていた。しかし、エネルギマネージャ100の機能は、エッジ側の車載コンピュータ100aだけでなく、ネットワークNW側又はクラウド側に設けられたコンピュータによって実現されてもよい。
例えば上記実施形態の変形例1では、エネルギマネージャ100の機能は、車載コンピュータ100a及びサーバ装置110aに分散実装されている。こうした変形例1では、車載コンピュータ100a及びサーバ装置110aが「コンピュータ」及び「充電マネージメント装置」に相当し、これらの各処理部11,111が「プロセッサ」に相当する。また上記実施形態の変形例2では、エネルギマネージャ100の機能は、サーバ装置110aによって実現されている。以上のような変形例2では、サーバ装置110aが「コンピュータ」及び「充電マネージメント装置」に相当し、処理部111が「プロセッサ」に相当する。
上記実施形態では、空調消費エネルギ及び温調消費エネルギを共に含む非走行消費エネルギが予測されていた。しかし、サービス車両の種別、サービス提供地域の走行環境及び道路環境等に応じて、空調消費エネルギ及び温調消費エネルギの少なくとも一方の予測は、省略されてよい。加えて、非走行消費エネルギには、ADコンピュータ90等にて消費される演算消費エネルギが含まれていてもよい。さらに、乗降情報に基づく居室温度変化の想定、及び走行負荷の変動の想定も、省略されてよい。
上記実施形態の変形例3では、集配物P等のみを収容する貨物空間がサービス車両に設けられている。変形例3では、居室空間の空調に消費される空調消費エネルギだけでなく、貨物空間の空調に消費される空調消費エネルギも、非走行消費エネルギとして推定される。尚、サービス車両は、ユーザUを搭乗させる居室空間を備えない貨物専用車両であってもよい。この場合、居室空間の空調消費エネルギの推定は、省略される。
上記実施形態では、一つのステーションマネージャ180が、複数の充電ステーションCSを統括管理していた。しかし、上記実施形態の変形例4では、ステーションマネージャ180が設けられていない。変形例4では、運行マネージャ110又はエネルギマネージャ100が、多数の充電ステーションCSと個別に通信する。運行マネージャ110又はエネルギマネージャ100は、各充電ステーションCSからステーション情報を取得し、非稼働時間を最短にするような充電ステーションCSを選択する。尚、ステーションマネージャ180又は個別の充電ステーションCSへ向けて、充電器の確保を要求する構成は、運行マネージャ110及びエネルギマネージャ100のいずれであってもよい。
さらに、上記実施形態の変形例5では、運行管理センタCTo及び充電管理センタCTcが一つに集約されている。変形例5では、モビリティサービスと充電サービスとが同一の事業者によって提供されている。そのため、運行マネージャ110及びステーションマネージャ180は、一つのシステム内に構築されている。
上記実施形態では、充電ステーションCSが確保された後で、充電ステーションCSへの移動が開始されていた。しかし、例えば空き状態にある充電ステーションCSが複数存在する場合、これらの充電ステーションCSへ向かう走行を開始した後で、充電予定合意部75は、自車両の要求条件に最も合致する充電ステーションCSの選択及び確保を実施してもよい。
上記実施形態のサービス車両SVは、運転者が不要な自動運転車であった。こうしたサービス車両SVの態様は、適宜変更されてよい。例えばサービス車両SVは、上述のようなフリート車両ではなく、運行マネージャ110に登録された個人所有のPOVであってもよい。またサービス車両SVは、特定条件下において、運行管理センタCToに駐在するオペレータによって遠隔操作される半自動運転車であってよい。さらに、サービス車両SVは、運転者によって操作される手動運転者であってもよい。こうしたサービス車両では、運行マネージャ110によって送信される運行計画に基づき、ドライバが車両を走行させる。故に、消費シミュレーション部74は、運転者の運転特性をパラメータの一つとして考慮し、電気エネルギの消費予測を実施する。
サービス車両SVのサイズ及び乗車定員等の車両仕様は、適宜変更されてよい。また、異なる仕様のサービス車両SVが、一つの運行マネージャ110によって運用されてよい。さらに、サービス車両SVは、メインバッテリ22の容量や乗車定員を増やすため、例えば八輪車及び六輪車等の大型車両であってよい。
上記実施形態にて、車載コンピュータ100a又はサーバ装置110a等によって提供されていた各機能は、ソフトウェア及びそれを実行するハードウェア、ソフトウェアのみ、ハードウェアのみ、あるいはそれらの複合的な組合せによっても提供可能である。さらに、こうした機能がハードウェアとしての電子回路によって提供される場合、各機能は、多数の論理回路を含むデジタル回路、又はアナログ回路によっても提供可能である。
上記実施形態の各処理部11,111は、CPU(Central Processing Unit)及びGPU(Graphics Processing Unit)等の演算コアを少なくとも一つ含む構成であってよい。さらに、処理部11,111は、FPGA(Field-Programmable Gate Array)及び他の専用機能を備えたIPコア等をさらに含む構成であってよい。
上記実施形態の各記憶部13,113として採用され、本開示の充電マネージメント方法を実現させるプログラムを記憶する記憶媒体の形態は、適宜変更されてよい。例えば記憶媒体は、回路基板上に設けられた構成に限定されず、メモリカード等の形態で提供され、スロット部に挿入されて、コンピュータのバスに電気的に接続される構成であってよい。さらに、記憶媒体は、コンピュータへのプログラムのコピー基となる光学ディスク及びのハードディスクドライブ等であってもよい。
本開示に記載の制御部及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサを構成する専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の装置及びその手法は、専用ハードウェア論理回路により、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の装置及びその手法は、コンピュータプログラムを実行するプロセッサと一つ以上のハードウェア論理回路との組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
U ユーザ、SV サービス車両、CS 充電ステーション(充電施設)、11,111 処理部(プロセッサ)、22 メインバッテリ(バッテリ)、71 外部情報取得部(計画取得部)、74 消費シミュレーション部(消費予測部)、75 充電予定合意部(施設確保部)、100 エネルギマネージャ(充電マネージメント装置)、100a 車載コンピュータ(充電マネージメント装置,コンピュータ)、110a サーバ装置(充電マネージメント装置,コンピュータ)

Claims (6)

  1. コンピュータ(100a,110a)によって実施され、モビリティサービスの提供に用いられるサービス車両(SV)のバッテリ(22)の充電を管理する充電マネージメント方法であって、
    少なくとも一つのプロセッサ(11,111)にて実行される処理に、
    前記モビリティサービスにおける前記サービス車両の運行計画であって、前記サービス車両に搭乗するユーザ(U)の乗降情報を含む前記運行計画を取得し(S13)、
    前記運行計画に基づき、前記サービス車両にて消費される電気エネルギを予測し(S14)、
    前記電気エネルギの消費予測に基づき、前記バッテリへの充電を行う充電施設(CS)を確保する(S19)、というステップを含み、
    前記消費予測を行うステップでは、
    前記運行計画に従う走行によって消費される走行消費エネルギに加えて、前記サービス車両の居室空間の空気調和に消費される空調消費エネルギを予測し、
    前記乗降情報に基づき、前記ユーザの乗降に伴う前記居室空間の温度変化を想定し、前記サービス車両にて消費される前記空調消費エネルギを予測する充電マネージメント方法。
  2. 前記消費予測を行うステップでは、前記走行消費エネルギに加えて、前記バッテリを少なくとも含む前記サービス車両の電動走行系の温度調整に消費される温調消費エネルギを予測する請求項に記載の充電マネージメント方法。
  3. 前記充電施設を確保するステップを、前記サービス車両が前記充電施設へ向かう走行を開始する以前に実施する請求項1又は2に記載の充電マネージメント方法。
  4. 前記充電施設での充電後の前記運行計画に基づき、前記充電施設にて実施する充電のスケジュールを設定する(S20)、というステップをさらに含む請求項1~のいずれか一項に記載の充電マネージメント方法。
  5. 前記消費予測を行うステップでは、前記サービス車両の走行負荷の変動を想定し、前記サービス車両にて消費される前記電気エネルギを予測する請求項1~のいずれか一項に記載の充電マネージメント方法。
  6. モビリティサービスの提供に用いられるサービス車両(SV)のバッテリ(22)の充電を管理する充電マネージメント装置であって、
    前記モビリティサービスにおける前記サービス車両の運行計画であって、前記サービス車両に搭乗するユーザ(U)の乗降情報を含む前記運行計画を取得する計画取得部(71)と、
    前記運行計画に基づき、前記サービス車両にて消費される電気エネルギを予測する消費予測部(74)と、
    前記消費予測部による前記電気エネルギの消費予測に基づき、前記バッテリへの充電を行う充電施設を確保する施設確保部(75)と、を備え
    前記消費予測部は、
    前記運行計画に従う走行によって消費される走行消費エネルギに加えて、前記サービス車両の居室空間の空気調和に消費される空調消費エネルギを予測し、
    前記乗降情報に基づき、前記ユーザの乗降に伴う前記居室空間の温度変化を想定し、前記サービス車両にて消費される前記空調消費エネルギを予測する充電マネージメント装置。
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