JP7294107B2 - 粘着剤組成物、粘着フィルム - Google Patents
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Description
また本発明は、基材に上記粘着剤組成物からなる粘着層を形成することにより得られる、耐久性に優れた粘着フィルムに関する。
また、特許文献3には、上述する有機テルル化合物を重合開始剤として用いてリビングラジカル重合法によりモノマーを共重合して得られた共重合体を含有する粘着剤が記載されており、この粘着剤は、耐熱性に優れた効果を示すことが記載されている。但し、これらの方法に関しても、耐熱性の更なる向上が求められている。更に、反応操作や精製等が非常に複雑なことから、再現合成が難しいことに加え、生産設備的にも汎用性が高い方法とは言い難い。
[1]:架橋性官能基を有さないエチレン性不飽和単量体、及び架橋性官能基を有するエチレン性不飽和単量体を共重合してなる、下記一般式(1)~(3)いずれか記載の有機ヨウ素系リビングラジカル重合開始剤由来の残基を有する共重合体と、架橋剤とを含有する粘着剤組成物であって、
共重合体に対するヨウ素含有率が0.0001~10,000質量ppmである、粘着剤組成物。
一般式(1)
一般式(2)
一般式(3)
但し、Polymerization unitは、一般式(3)の場合にはYからの分岐毎にそれぞれ独立に、エチレン性不飽和単量体に由来する構造単位を主体とする重合体ユニットであり、
Z1は、Yからの分岐毎にそれぞれ独立に、エステル基、ケトン基およびアミド基からなる群より選択される2価の基、または直接結合であり、
Qは1価の分子末端基であり、Yからの分岐毎にそれぞれ独立に、前記分子末端基は、官能基、官能基を有していてもよい炭化水素基、またはヨード基であり、
Yはp価の、置換基を有していてもよい炭化水素基であり、
pは2~6の整数であり、
R2、R5およびR6はそれぞれ独立に、一般式(3)の場合にはYからの分岐毎にそれぞれ独立に、水素原子または置換基を有していてもよい1価の炭化水素基であり、
R3およびR7はそれぞれ独立に、一般式(3)の場合にはYからの分岐毎にそれぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよい1価の炭化水素基または-COR8であり、
R4は置換基を有していてもよい1価の炭化水素基、-COR8、シアノ基またはニトロ基であり、
R2とR3、R3とR4、R2とR4およびR6とR7はそれぞれ独立に、一般式(3)の場合にはYからの分岐毎にそれぞれ独立に、互いに結合して環を形成していてもよく、
R8は、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、アルコキシ基、アミノ基または置換基を有していてもよい1価の炭化水素基であり、
R11は置換基を有していてもよい2価の炭化水素基であり、
R12はアルキレン基、アリーレン基およびアルキレンオキシ基からなる群より選ばれる2価の炭化水素基、または直接結合であり、
前記炭化水素基は、複素環を有していてもよく、それぞれ独立に、鎖状炭化水素基、脂環式炭化水素基および芳香族炭化水素基の少なくともいずれかを有する。
[2]:共重合体の重量平均分子量(Mw)が、10万~120万である[1]に記載の粘着剤組成物。
[3]:共重合体の多分散度(Mw/Mn)が、2.5以下である[1]又は[2]記載の粘着剤組成物。
[4]:共重合体を構成するエチレン性不飽和単量体の全質量%中、
架橋性官能基を有するエチレン性不飽和単量体由来の構成単位の含有量が、
0.1~20質量%の範囲にあることを特徴とする[1]~[3]いずれかに記載の粘着剤組成物。
[5]:前記架橋性官能基が、水酸基および/またはカルボキシ基であることを特徴とする[1]~[4]いずれか記載の粘着剤組成物。
[6]:共重合体100質量部に対し、0.1~10質量部の架橋剤を含むことを特徴とする[1]~[5]いずれかに記載の粘着剤組成物。
[7]:架橋後のゲル分率が70%以上であることを特徴とする[1]~[6]いずれか記載の粘着剤組成物。
[8]: [1]~[7]のいずれかに記載の粘着剤組成物から形成された粘着層を有する粘着フィルム。
本発明に係る粘着剤組成物は、架橋性官能基を有さないエチレン性不飽和単量体、及び架橋性官能基を有するエチレン性不飽和単量体を共重合してなる有機ヨウ素系リビングラジカル重合開始剤由来の残基を有する共重合体と、架橋剤とを含有する粘着剤組成物であり、且つ、共重合体に対するヨウ素含有率が0.0001~10,000質量ppm(以下、ppm)である。
シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ターシャリブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等の環状アルキル(メタ)アクリレート類;
トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート等のフルオロアルキル(メタ)アクリレート類;
テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、3-メチル-3-オキセタニル(メタ)アクリレート等の複素環を有する(メタ)アクリレート類;
ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、パラクミルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、パラクミルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、またはノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等の芳香族環を有する(メタ)アクリレート類;
メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、オクトキシポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ラウロキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ステアロキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ラウロキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、n-ブトキシエチル(メタ)アクリレート、n-ブトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、2-エトキシエチル(メタ)アクリレート等のアルキルエーテル基を有する(メタ)アクリレート類;
3-(アクリロイルオキシメチル)3-メチルオキセタン、3-(メタクリロイルオキシメチル)3-メチルオキセタン、3-(アクリロイルオキシメチル)3-エチルオキセタン、3-(メタクリロイルオキシメチル)3-エチルオキセタン、3-(アクリロイルオキシメチル)3-ブチルオキセタン、3-(メタクリロイルオキシメチル)3-ブチルオキセタン、3-(アクリロイルオキシメチル)3-ヘキシルオキセタンおよび3-(メタクリロイルオキシメチル)3-ヘキシルオキセタン等のオキセタニル基を有する(メタ)アクリレート類;
スチレン、α-メチルスチレン、酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸ビニル、または(メタ)アクリル酸アリル等のビニル類;
エチルビニルエーテル、n-プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n-ブチルビニルエーテル、またはイソブチルビニルエーテル等のエーテル基を有するビニルエーテル類等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
以下、本実施形態の共重合体の製造方法の一例について説明するが、本発明の共重合体は以下の製造方法に限定されるものではない。
一般式(4)
一般式(5)
一般式(6)
但し、Z1は、Yからの分岐毎にそれぞれ独立に、エステル基、ケトン基およびアミド基からなる群より選択される2価の基、または直接結合であり、
Yはp価の置換基を有していてもよい炭化水素基であり、
pは2~6の整数であり、
R2、R5およびR6はそれぞれ独立に、一般式(6)の場合にはYからの分岐毎にそれぞれ独立に、水素原子または置換基を有していてもよい1価の炭化水素基であり、
R3およびR7はそれぞれ独立に、一般式(6)の場合にはYからの分岐毎にそれぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよい1価の炭化水素基または-COR8であり、
R4は置換基を有していてもよい1価の炭化水素基、-COR8、シアノ基またはニトロ基であり、
R2とR3、R3とR4、R2とR4およびR6とR7はそれぞれ独立に、一般式(6)の場合にはYからの分岐毎にそれぞれ独立に、互いに結合して環を形成していてもよく、
R8は、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、アルコキシ基、アミノ基または置換基を有していてもよい1価の炭化水素基であり、
R11は置換基を有していてもよい2価の炭化水素基であり、
R12はアルキレン基、アリーレン基およびアルキレンオキシ基からなる群より選ばれる2価の炭化水素基、または直接結合であり、
前記炭化水素基は、複素環を有していてもよく、それぞれ独立に、鎖状炭化水素基、脂環式炭化水素基および芳香族炭化水素基の少なくともいずれかを有する。一般式(4)、一般式(5)は、ヨウ素-炭素結合を1つ有する例であり、一般式(6)はヨウ素-炭素結合が2~6つ有する例である。所望とする共重合体の構造に応じて、適切な重合開始剤(XI)を選定すればよい。
また、特開2018-111806号公報に開示の有機ヨウ素化合物を好適に利用できる。重合開始剤のヨウ素に直結する炭素は、第3級炭素、第2級炭素または電子吸引基と直結している第1級炭素が好ましい。
例えば、ゲルマニウム、スズまたはアンチモンから選択される少なくとも1つの中心元
素と、当該中心元素に結合した少なくとも1つのヨウ素原子を含む化合物などが挙げられ、具体的にはヨウ化ゲルマニウム(II)、ヨウ化ゲルマニウム(IV)、ヨウ化スズ(II)、ヨウ化スズ(IV)が例示できる(特開2007-92014号公報参照)。これらの触媒は1種単独または2種類以上を併用してもよい。
とも1つの中心元素と、当該中心元素に結合した少なくとも1つのヨウ素原子とを含む化
合物が挙げられ、具体的には、ヨウ化リンなどのハロゲン化リン;ヨウ化ホスフィンなどのホスファイト系化合物;エトキシフェニルフォスフィネート、フェニルフェノキシフォ
スフィネートなどのホスフィネート系化合物;ヨウ化窒素、ヨウ化亜リン酸、ヨウ化アミ
ン、ヨードスクシンイミドなどのヨウ化イミド誘導体; ヒダントイン系化合物などが挙げ
られる(国際公開第2008/139980号参照)。これらの触媒は1種単独または2種類以上を併用できる。
1-ヨードベンゼン、2,4,6-トリメチルヨードベンゼン、3-シアノヨードベンゼ
ン、4-シアノヨードベンゼン、4-ヨードアニソール、テトラヨードメタン、トリフルオロヨードメタン、ジフルオロジヨードメタン、1,4-シクロヘキサジエン、ジフェニルメタン、ジメシチルメタン、キサンテン、チオキサンテン、マロン酸ジエチル、フルオレン;アセチルアセトンなどのアセトアセチル系化合物が例示できる。これらの触媒は1種単独または2種類以上を併用できる。
ドオキシフェニル化合物;ビタミンEなどのビタミン類や、N-コハク酸イミドなどが例示できる。これらの触媒は1種単独または2種以上を併用できる。
一般式(1)
一般式(2)
一般式(3)
但し、Polymerization unitは、一般式(3)の場合にはYからの分岐毎にそれぞれ独立に、エチレン性不飽和単量体に由来する単量体を主体とする重合体ユニットであり、
Qは1価の分子末端基であり、Yからの分岐毎にそれぞれ独立に、前記分子末端基は、官能基、官能基を有していてもよい炭化水素基またはヨード基であり、その他の記号は、一般式(4)~(6)で説明した通りである。共重合体は、一般式(1)~(3)で示される重合体の構造単位としてエチレン性不飽和単量体由来の構造単位に限定されず、その他のラジカル重合性単量体が含まれていてもよい。
金属塩としては、例えばアルミニウム、鉄、銅、亜鉛、スズ、チタン、ニッケル、アン
チモン、マグネシウム、バナジウム、クロム、ジルコニウム等の多価金属の塩化物、臭化
物、硝酸塩、硫酸塩、酢酸塩等の塩、例えば塩化第二銅、塩化アルミニウム、塩化第二鉄
、塩化第二スズ、塩化亜鉛、塩化ニッケル、塩化マグネシウム、硫酸アルミニウム、酢酸
銅、酢酸クロム等が挙げられる。
多官能アクリレート系モノマー化合物と共重合体のビニル基等の官能基とをエンチオール反応させることにより架橋させることができる。
架橋剤の配合量は、共重合体100質量部に対して、3~10質量部であることが好ましく、より好ましくは3~7質量部がよい。かかる配合量が3質量部未満では被着体表面を汚染する可能性があり、10質量部を越えると架橋密度が高くなりすぎ粘着力が低下することとなり好ましくない。また、光学フィルムのように基材の収縮による残留応力の緩和が目的の場合は架橋剤の配合量は、共重合体100質量部に対して、0.1~3質量部であることが好ましく、より好ましくは0.5~3質量部がよい。かかる配合量が0.1質量部未満では凝集力が不足し、3質量部を越えると架橋密度が高くなりすぎ応力緩和性が低下することとなり好ましくない。
なお、ここでいうゲル分率とは、乾燥質量W1(g)の硬化後の粘着剤を酢酸エチルでソックスレー抽出後、取り出して乾燥したときの質量をW2(g)としたとき、下記式により算出される値を意味する。
ゲル分率(%)=(W2/W1)×100
共重合体以外の樹脂として、本発明に該当しない、その他のアクリル樹脂が例示できる。共重合体とその他の樹脂を混合することにより、塗工粘度、粘着性および剥離性をより適切なものに調整することができる。
樹脂組成物(D)を粘着剤組成物として用いる場合は、溶剤含有タイプ、無溶剤タイプのいずれでもよい。
溶剤含有タイプの場合、液状またはペースト状とする態様がある。この場合、溶剤は、共重合体および他の成分への溶解性または分散性を考慮して選定する。また、加工性を改善するために可塑剤的機能として溶剤を用いる態様もある。この場合、加工性およびプロセス性等を考慮して溶剤を選定する。
フィラーとしては、ガラス繊維、カーボン繊維などの無機繊維及び有機繊維;炭酸カルシウム、タルク、カーボンブラック、酸化チタン、シリカ、クレー、硫酸バリウム、炭酸マグネシウムなどの無機充填剤、銀、銅、カーボンナノチューブなどの導電材が例示できる。
本発明で得られる粘着剤組成物は、必要に応じて他の成分を添加することもできる。添
加剤としては、例えば染料、顔料、色素、蛍光増白剤、湿潤剤、表面張力調製剤、増粘剤、防黴剤、防腐剤、酸素吸収剤、紫外線吸収剤、近赤外線吸収剤、水溶性消光剤、酸化防止剤、香料、金属不活性剤、造核剤、帯電防止剤、難燃剤、滑剤、加工助剤、シランカップリング剤、可塑剤、軟化剤、消泡剤、充填剤、粘度調整剤、分散剤、レベリング調整剤、反射防止剤、蛍光剤、光拡散剤、光安定剤、屈折率調整剤、艶消し剤、界面活性剤等が挙げられ、これらは、粘着剤の用途や使用目的に応じて、適宜選択して配合もしくは粘着剤層と積層して使用される。本発明では、接着力の調整を目的として、シランカップリング剤を添加することが好ましい。シランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β-メトキシエトキシ)シラン、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ - グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ-クロロプロピルメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-β(アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシランなどがあり、これらの1種を単独で又は2 種以上を混合して用いることができる。本発明におけるシランカップリング剤の添加量は、前記共重合体100質量部に対し通常0.01~5.0質量部添加することが好ましく、0.03~2.0質量部添加することがより好ましい。
また、凝集力向上以外の観点からも、共重合体中にヨウ素を0.0001~10,000ppm含有することで、抗菌性の向上効果がある。また、粘着剤として用いる場合には、耐熱・加湿耐久性を良好に保つ効果も期待できる。
層は基材の片面もしくは両面に形成される。本発明における粘着フィルムの粘着剤層形成方法としては特に限定されるものではなく、基材の片面または両面に粘着剤組成物(溶液) を塗布し、乾燥する方法、表面に離形処理が施された離型フィルムの離形面に粘着剤組成物を塗布し、乾燥もしくは乾燥および熟成後、基材の片面または両面に転写する方法等があげられる。またフィルム表面に粘着層が露出する場合は実用に供されるまで離形フィルムで保護される。
の光学用途、経皮投与用貼布剤等の医療用途向け粘着剤などとして非常に有効である。
GPC(商品名:GPC-8020、東ソー社製、カラム:TSKgelSuperHM-M(東ソー社製)、移動相:テトラヒドロフラン溶液)を用い、標準物質としてポリスチレン(分子量427,000、190,000、96,400、37,400、10,200、2,630、440、92)を使用して検量線を作製し、重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)を測定した。この測定値から多分散度(PDI=Mw/Mn)を算出した。
各実施例・比較例で得られた共重合体をメチルエチルケトンに溶解させて共重合体の濃度が2.5質量%の溶液を調製した。得られた溶液を蛍光X線分析装置(フィリップス社製、品番:PW2404)で測定し、各実施例・比較例で得られた共重合体の質量に対するヨウ素含有率(ppm)を求めた。
また、蛍光X線分析装置によりヨウ素が検出されなかったサンプルは、ICP-MS(誘導結合プラズマ質量分析)装置(アジレント・テクノロジー社製、Agilent 7900)で測定し、共重合体に対するヨウ素含有率(質量ppm)を求めた。
更に、ICP-MS装置によりヨウ素が検出されなかったサンプルは、ICP-MS/MS装置(アジレント・テクノロジー社製、Agilent 8900 ICP-QQQ を MS/MS モードで使用)で測定し、共重合体に対するヨウ素含有率(質量ppm)を求めた。
ICP-MS、ICP-MS/MSの測定条件としては、共重合体約0.25gを精秤し、マイクロウェーブ湿式分解装置を用いた酸分解法により処理後、蒸留水で50mL定溶とし、ICP測定を行った。
(単量体)
BA:ブチルアクリレート(日本触媒社製)
2EHA:2-エチルヘキシルアクリレート(日本触媒社製)
MAA:メタクリル酸(三菱ケミカル社製)
HEMA:メタクリル酸2-ヒドロキシエチル(日本触媒社製)
GMA:メタクリル酸グリシジル(三菱ガス化学社製)
合成1:エチル-2-メチル-2-n-ブチルテラニル-プロピオネート(TERP重合開始剤)
CP-I:2-ヨード-2-メチルプロピオニトリル(東京化成工業社製)
BM1448: 4-シアノ-4-[(ドデシルスルファニルチオカルボニル)スルファニル]ペンタンサンメチル(BORON MOLECULAR社製)
EMA-II:エチレンビス(2-ヨードイソブチレート)(合同資源社製)
EMA-III:グリセロールトリス(2-ヨードイソブチレート)(合同資源社製)
Ebib:2-ブロモイソ酪酸エチル(東京化成工業社製)
AIBN:2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)(和光純薬社製)
RCMP法により共重合体を合成した。具体的には、窒素ガス導入管、撹拌機を備えた2Lフラスコに、CP-Iを0.40g、ヨウ素を0.001g、テトラブチルアンモニウムヨージドを16.1gおよびBAを194.0g、HEMAを6.0g混合し、70℃で16時間反応させた。1H-NMRから算出したBA、HEMAの転化率は全て100%であった。その後、室温まで冷却し、アルミナ粉(Aldrich社製)を添加、1時間攪拌した後、濾過、洗浄および乾燥によって、ランダム構造を有する共重合体(C1)を得た。目的物の生成は、1H-NMRより確認した。
実施例S1と同様RCMP法により、表1、2に示す各条件で重合し共重合体を得た。リビングラジカル重合用の重合開始剤は、CP-I以外にも多分岐開始剤として、EMA-II、EMA-IIIを表1に示す条件で用いた。また、エチレン性不飽和単量の仕込み率に関しても同様である。表1、2に実施例S1と同様の特性値を示す(以下同様)。
RCMP法により共重合体を合成した。具体的には、窒素ガス導入管、撹拌機を備えた2Lフラスコに、CP-Iを0.10g、ヨウ素を0.01g、テトラブチルアンモニウムヨージドを4.1gおよびBAを194.0g混合し、70℃で15時間反応させた。1H-NMRから算出したBAの転化率は100%であった。次いで、ジブロック共重合体を合成するため、2段目モノマーとしてGMA6.0g、トルエン溶媒10gをプレポリマー溶液全量に加え、70℃で12時間反応させた。1H-NMRから算出した2段目モノマーGMAの転化率も100%であった。
その後、室温まで冷却し、アルミナ粉(Aldrich社製)を添加、1時間攪拌した後、濾過、洗浄および乾燥によって、ジブロック構造を有する共重合体(C7)を得た。目的物の生成は、1H-NMRより確認した。
実施例S7と同様RCMP法により、表1、2に示す各条件で重合し共重合体を得た。表1、2に実施例S7と同様の特性値を示す
フリーラジカル重合法により共重合体を合成した。具体的には、窒素ガス導入管、撹拌機を備えた2Lフラスコに、AIBNを0.5g、BAを194.0g、HEMAを6.0g混合し、75℃で10時間反応させた。1H-NMRから算出したBA、HEMAの転化率はどちらも99.5%以上であった。その後、室温まで冷却し、濾過、洗浄および乾燥によって、比較例用のランダム構造を有する共重合体(J1)を得た。目的物の生成は、1H-NMRより確認した。
合成1:(エチル-2-メチル-2-n-ブチルテラニル-プロピオネート)
国際公開2007/119884号に開示の方法の通りに合成した。具体的には、金属テルル〔Aldrich製、商品名:Tellurium(-40mesh)〕6.38g(50mmol)をTHF50mLに懸濁させ、これにn-ブチルリチウム(Aldrich製、1.6Mヘキサン溶液)34.4mL(55mmol)を、室温でゆっくり滴下した(10分間)。この反応溶液を金属テルルが完全に消失するまで撹拌した(20分間)。この反応溶液に、エチル-2-ブロモ-イソブチレート10.7g(55mmol)を室温で加え、2時間撹拌した。反応終了後、減圧下で溶媒を濃縮し、続いて減圧蒸留して、黄色油状物7.67g(収率46.5%)の合成1の化合物を得た。また、1H-NMR分析で目的物の生成を確認した。
TERP法により共重合体を合成した。具体的には、アルゴン置換したグローブボックス内で、合成1で製造したエチル-2-メチル-2-n-ブチルテラニル-プロピオネート0.038g、AIBN0.01g、BAを194.0g、HEMAを6.0g、メチルエチルケトン溶媒200gを系内に加え、反応容器にアルゴンガスを流入しながら密閉し、60℃で20時間反応させた。1H-NMRから算出したBA、HEMAの転化率はどちらも99.5%以上であった。その後、室温まで冷却し、濾過、洗浄および乾燥によって、比較例用のランダム構造を有する共重合体(S2)を得た。
RAFT法により共重合体を合成した。具体的には、窒素ガス導入管、撹拌機を備えた2Lフラスコに、BM1448(RAFT剤)0.18g、AIBN0.01g、BAを194.0g、MAA6.0gをメチルエチルケトン溶媒200g中で、75℃の環境下、12時間反応させた。1H-NMRから算出したBA、MAAの転化率はどちらも99.5%以上であった。その後、室温まで冷却し、濾過、洗浄および乾燥によって、比較例用のランダム構造を有する共重合体(S3)を得た。
ATRP法により共重合体を合成した。具体的には、窒素ガス導入管、撹拌機を備えた2Lフラスコに、臭化銅(I)0.6gとEbib(2-ブロモイソ酪酸エチル)1.6g、N,N,N’、N’’,N’’-ペンタメチルジエチレントリアミン0.8g、2EHAを194.0g、HEMA6.0を、メチルエチルケトン溶媒200g中、85℃で12時間反応させた。1H-NMRから算出したBA、HEMAの転化率は全て99.5%以上であった。その後、室温まで冷却し、濾過、洗浄および乾燥によって、比較例用のランダム構造を有する共重合体(S4)を得た。
実施例S8で得られた共重合体(C8)に対して、表2のヨウ素含量(ppm)になるようにヨウ素を添加することで、比較例用のランダム構造を有する共重合体(S6)を得た。
<粘着剤組成物および粘着フィルムの作製および特性評価>:
表3に示す各共重合体100部に、表3に示す配合量で架橋剤を加えることにより、実施例Y1~Y17および比較例Y1~Y6に係る粘着剤組成物を得た。また、これらの粘着剤組成物から粘着層を形成し、粘着物性、性状(着色、臭気匂い)及び粘着剤組成物の主成分である共重合体の合成操作性を評価した。評価結果を表3に示す。
各実施例および比較例に係る架橋剤としては、コロネートL-55E/イソシアネート系(日本ポリウレタン工業(株)製、固形分55%、表3・4では「コロネートL」と表記)、アルミキレートD/金属キレート系(川研ファインケミカル(株)製)、IPDA/アミン系(イソホロンジアミン、東京化成工業(株)製)を用いた。
各実施例および比較例に係る粘着組成物をそれぞれ厚さ38μmのポリエチレンテレフタレート製剥離性フィルム基材(製品名「SP-PET382050」、リンテック社製)の剥離処理面上に、ドクターブレードにて乾燥後の厚みが65μmになるように塗工したフィルムを準備した。そして、25℃で100時間乾燥することにより粘着層を有する積層体である粘着フィルムを得た。
ゲル分率は、ポリエチレンテレフタレート製剥離性フィルム基材を剥離した粘着層に対し、トルエン浸漬前、およびトルエンに室温下で24時間浸漬した後、80℃で5時間乾燥した後の質量をそれぞれ求め、下記の式から求めた。
ゲル分率(%)=[A/B]×100
A:粘着層のトルエン浸漬後における乾燥質量(トルエンの質量は含まない)
B:粘着層のトルエン浸漬前の質量
厚みが65μmの各実施例および比較例に係る積層体を、25mm×100mmのサイズにカットして試験片βを作製した。次いで、JIS G4305及びJIS B0601に準拠したステンレス板(SUS304、表面仕上げBA、表面粗さ50nm、サイズ50mm×125mm)上に、粘着層がステンレス板と対向した状態となるように載せた。次いで、試験片β上に300mm/分の速度で2kgのゴムローラーを一往復させることにより、試験片βとステンレス板とを貼り合わせた。更に、試験片βから剥離性フィルムを剥がし、JIS Z0237に準じて、樹脂フィルム上に厚さ25μmのJIS C2318に規定するポリエチレンテレフタレートフィルムを重ねた。その後、ポリエチレンテレフタレートフィルム上に300mm/分の速度で2kgのゴムローラーをもう一往復させることにより、180°剥離強度評価用サンプルγを得た。続いて、引張試験機(RTG1250A、AND社製)を用いて、温度23℃、湿度50%で24時間静置し、JIS Z0237に準じて、剥離速度300mm/分で180°方向の引張試験を行い、180°剥離強度(N/25mm)を測定した。
試験片βを、上述するJIS G4305及びJIS B0601に準拠したステンレス板に25mm×25mmで貼り付け、試験片β上に300mm/分の速度で2kgのゴムローラーを一往復させることにより、試験片βとステンレス板とを貼り合わせた。更に、試験片βから剥離性フィルムを剥がし、JIS Z0237に準じて、粘着層上に厚さ25μmのJIS C2318に規定するポリエチレンテレフタレートフィルムを重ねた。その後、ポリエチレンテレフタレートフィルム上に300mm/分の速度で2kgのゴムローラーをもう一往復させた。その後、温度23℃、湿度50%で24時間静置し、保持力評価用サンプルδを作製した。そして、保持力評価用サンプルδを各条件温度(80℃、100℃、120℃の3水準)、相対湿度50%の条件で、荷重1kgの重りを吊り下げ、おもりが落下するまでの時間から求めた。20時間後で重りが落下しない場合は、20時間後の試験片βとステンレス板のずれ距離を測長し、以下の基準により保持力を評価した。
+++:ずれ距離が1.0mm以下
++:ずれ距離が1.0mmを超えて、10.0mm以下
+:ずれ距離が10.0mmを超えて、20.0mm以下
NG:ずれ距離が20.0mmを超える、又は重りが落下
同様にして、保持力評価用サンプルδを120℃、相対湿度50%の条件で上記基準により保持力を評価した。
上記で得られた粘着フィルムの着色を目視で観察し、下記基準で評価した。
+++:着色がない(無色透明)
NG:明らかな着色や色むらが確認される
上記で得られた粘着フィルムの匂い・臭気を下記基準で評価した。
+++:無臭
NG:強烈な臭気を感じる
表4に示す各共重合体100部に、表4に示す配合量で架橋剤を加えることにより、実施例Y18~Y24および比較例Y7~12に係る粘着剤組成物を得た。また、これらの粘着剤組成物から粘着層を形成し、粘着物性及び耐久性(耐熱・耐湿熱)、糊残りを評価した。評価結果を表4に示す。
各実施例および比較例に係る粘着剤組成物をそれぞれ厚さ38μmのポリエチレンテレフタレート製剥離性フィルム基材(製品名「SP-PET382050」、リンテック社製)の剥離処理面上に、ドクターブレードにて乾燥後の厚みが65μmになるように塗工したフィルムを準備した。そして、25℃で100時間乾燥することにより粘着層を有する積層体である粘着フィルムを得た。
ゲル分率は、ポリエチレンテレフタレート製剥離性フィルム基材を剥離した粘着層に対し、トルエン浸漬前、およびトルエンに室温下で24時間浸漬した後、80℃で5時間乾燥した後の質量をそれぞれ求め、下記の式から求めた。
ゲル分率(%)=[A/B]×100
A:粘着層のトルエン浸漬後における乾燥質量(トルエンの質量は含まない)
B:粘着層のトルエン浸漬前の質量
粘着フィルムの粘着層に対し、被着体として無アルカリガラス(コーニングガラス#1737)を用意し、23℃、50℃RHにて上述した粘着フィルムを当該被着体に接着させてJIS Z 0237の粘着力の測定方法に準拠して90°剥離強度を測定した。
厚みが65μmの各実施例および比較例に係る積層体である粘着フィルムの保持力を評価した。温度条件を120℃1水準のみに変更した以外は、実施例Y1~Y17および比較例Y1~Y6と同様の方法で保持力評価用サンプルδを作製し、以下の基準により評価した。
+++:ずれ距離が1.0mm以下。
++:ずれ距離が1.0mmを超えて、10.0mm以下。
+:ずれ距離が10.0mmを超えて、20.0mm以下。
NG:ずれ距離が20.0mmを超える、又は重りが落下する。
粘着力測定後の被着体表面を目視で観察し、下記のごとく評価した。
+++:被着体表面の顕著な汚染なし
+:被着体表面にくもり
NG:被着体表面に明らかな糊残り(凝集破壊又は転写)
上記で得られた160×160mmサイズの粘着フィルム(光学フィルム)を195×195mmサイズの無アルカリガラスに(コーニングガラス#1737)に貼り付け、80℃(耐熱耐久性)、および60℃、90%RH(加湿耐久性)の雰囲気に500時間投入して、光学フィルムの気泡の発生・剥がれおよび色むらを目視で観察し、下記の基準で評価した。
<気泡・剥がれ>
+++:気泡の発生や浮き・剥がれがない
NG:気泡の発生や浮き・剥がれが確認される
+++:色むらがない
+:僅かな色むらが確認される
NG:色むらが確認される
Claims (8)
- 架橋性官能基を有さないエチレン性不飽和単量体、及び架橋性官能基を有するエチレン性不飽和単量体を共重合してなる、下記一般式(1)~(3)いずれか記載の有機ヨウ素系リビングラジカル重合開始剤由来の残基を有する共重合体と、架橋剤とを含有する粘着剤組成物であって、
共重合体に対するヨウ素含有率が0.0001~10,000質量ppmである、粘着剤組成物。
一般式(1)
一般式(2)
一般式(3)
但し、Polymerization unitは、一般式(3)の場合にはYからの分岐毎にそれぞれ独立に、エチレン性不飽和単量体に由来する構造単位を主体とする重合体ユニットであり、
Z1は、Yからの分岐毎にそれぞれ独立に、エステル基、ケトン基およびアミド基からなる群より選択される2価の基、または直接結合であり、
Qは1価の分子末端基であり、Yからの分岐毎にそれぞれ独立に、前記分子末端基は、官能基、官能基を有していてもよい炭化水素基、またはヨード基であり、
Yはp価の、置換基を有していてもよい炭化水素基であり、
pは2~6の整数であり、
R2、R5およびR6はそれぞれ独立に、一般式(3)の場合にはYからの分岐毎にそれぞれ独立に、水素原子または置換基を有していてもよい1価の炭化水素基であり、
R3およびR7はそれぞれ独立に、一般式(3)の場合にはYからの分岐毎にそれぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよい1価の炭化水素基または-COR8であり、
R4は置換基を有していてもよい1価の炭化水素基、-COR8、シアノ基またはニトロ基であり、
R2とR3、R3とR4、R2とR4およびR6とR7はそれぞれ独立に、一般式(3)の場合にはYからの分岐毎にそれぞれ独立に、互いに結合して環を形成していてもよく、
R8は、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、アルコキシ基、アミノ基または置換基を有していてもよい1価の炭化水素基であり、
R11は置換基を有していてもよい2価の炭化水素基であり、
R12はアルキレン基、アリーレン基およびアルキレンオキシ基からなる群より選ばれる2価の炭化水素基、または直接結合であり、
前記炭化水素基は、複素環を有していてもよく、それぞれ独立に、鎖状炭化水素基、脂環式炭化水素基および芳香族炭化水素基の少なくともいずれかを有する。 - 共重合体の重量平均分子量(Mw)が、10万~120万である請求項1記載の粘着剤組成物。
- 共重合体の多分散度(Mw/Mn)が、2.5以下である請求項1又は2記載の粘着剤組成物。
- 共重合体を構成するエチレン性不飽和単量体の全質量%中、
架橋性官能基を有するエチレン性不飽和単量体由来の構成単位の含有量が、
0.1~20質量%の範囲にあることを特徴とする請求項1~3いずれかに記載の粘着剤組成物。 - 前記架橋性官能基が、水酸基および/またはカルボキシ基であることを特徴とする請求項1~4いずれか記載の粘着剤組成物。
- 共重合体100質量部に対し、0.1~10質量部の架橋剤を含むことを特徴とする請求項1~5いずれかに記載の粘着剤組成物。
- 架橋後のゲル分率が70%以上であることを特徴とする請求項1~6いずれか記載の粘着剤組成物。
- 基材上に、請求項1~7のいずれかに記載の粘着剤組成物から形成された粘着層を有する粘着フィルム。
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