JP7293439B1 - 多層化粧料 - Google Patents

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Abstract

【課題】層の界面が明瞭な外観の審美性を有し、使用性がよく、第一層および第二層、第三層のそれぞれの使用感の良さを引き出した、べたつきやきしみのない、高い保湿感を得られる多層化粧料を提供する。【解決手段】静置時に、上から第一層、第二層、第三層の順になる少なくとも三層以上の多層化粧料であり、第一層に成分(A)液状油第一層に成分(B)親油性粉体第二層に成分(C)水第三層に成分(D)アクリレーツクロスポリマー-2-ナトリウムを含む多層化粧料である。【選択図】なし

Description

本発明は、静置時は、液状油及び親油性粉体を含有する第一層、水を含有する第二層、アクリレーツクロスポリマー-2-ナトリウムを含有する第三層の、少なくとも三層以上に分離し、使用時は振盪により容易に均一に混合される三層以上の多層化粧料に関するものである。
近年、市場には多種多様な化粧料があり、消費者の選択の幅が広がったことにより、化粧料にはより高い付加価値が求められるようになってきている。保湿効果などの化粧料が持つ基本的な機能に加えて、使用感の良さや外観の審美性など、より高い満足感を得られることが求められる傾向にある。特に外観の審美性については、消費者に与えるインパクトが大きく、他の化粧料との差別化を容易に図ることができるため、多くの検討がなされている。多層化粧料は、外観の審美性を狙った化粧料に用いられており、静置時に複数の層に分離しているという外観の特徴は、商品としての付加価値を高める上で重要な要素である。この場合、審美性とは各層の境界が明瞭であり、各層の存在を外観で簡単に判断できることを示す。一方使用感の面では、生活様式の多様化に伴って化粧料に対して様々な機能が求められており、その中でもきしみやべたつきの少ない軽いタッチで、使用感に優れた化粧料が求められている。
外観に優れた油層と水層が存在する多層化粧料を作成するためには、油層と水層の界面が明瞭であることが重要である。それをかなえるためには、特許文献1や特許文献2のような技術が知られている。これらは相分離はするが、油層の油が限定的であり、保湿感の少ない軽い使用感の揮発性のシリコーン油や炭化水素油の配合が主であった。保湿感のある肌なじみの良いエステル油等の極性油やオリーブ油等の植物油を配合すると、振盪を繰り返すうちに油層と水層の界面が白濁したり、乳化層が生じ、外観の審美性が損なわれる場合があった。様々なニーズに対応できるようにするためには、油の配合について制限がない方が望ましい。
粉末層を含む多層化粧料では、粉末が容器底部で固まり、振盪しても分散しないケーキングという現象があり、課題である。特許文献2では親水性粘土粉末を配合したり、特許文献3では水溶性高分子を配合することで粉末層のケーキングを抑制している。しかし、これらはあくまで短時間のケーキング抑制に留まり、長期間静置したものではケーキングが生じて再分散性が低下している場合があり、水溶性高分子や親水性粘土粉末だけではケーキング抑制効果としては不十分であった。そういった場合には、容器にステンレス球を入れるなどして、物理的な撹拌力を向上させる等の対策が取られてきたが、市場の保管条件によっては簡単には均一化しないことも多く、ケーキング防止は重要な課題であった。
特許文献2は、油層、水層に加えて、主に粉末で構成された第三層も存在する多層化粧料である。このような粉末で構成された第三層を含む多層化粧料については、分離を良好にし、界面を明瞭に保つためには油層の大部分を粘度の低い揮発性のシリコーン油や炭化水素油とする必要がある。そのため、比較的さっぱりとした使用感のものしか作成することができておらず、十分な保湿効果を発揮できていなかった。さらに第三層として、多量の球状シリカ等の不溶性粉末を配合しているため、化粧料中の水や揮発性成分が蒸発した後の肌には粉末が残り、粉っぽさやきしみ、乾燥感を感じてしまう。また、相分離促進のために無機塩が多量に配合されており、これによるべたつきも生じたり、きしみ感が増してしまう場合があった。このような、第三層の不溶性粉末による粉っぽさやきしみ水層の塩によるべたつきは、スキンケア化粧料としては少しでも抑えたいものである。
特許文献2は、相分離を良好にするために、エタノールを20質量%と高配合している。しかしながら、エタノールの高い揮発性(速乾性)によって皮膚の水分量がへってしまい、これにより乾燥間を与えてしまう。それだけでなく、高配合されたエタノールによって、化粧料を塗布した際に肌や目にしみるといった刺激も伴う。これに対して、例えばエタノールの配合量を10質量%以下とすることで刺激を減らすことは可能であるが、同文献によると、エタノールを高配合することでケーキングの抑制を図っていることから、エタノールの減量は困難であると考えられる。
上記のように、油の配合について制限がなく、エタノールや無機塩を高配合せずに相分離を良好としながら、べたつきやきしみがなく高い保湿感が得られる技術はこれまで知られていなかった。

特開2014-208634号公報 特開2020-26401号公報 特開2003-040733号公報
本発明は上記従来技術に鑑みなされたものであり、層の界面が明瞭な外観の審美性を有し、使用性がよく、第一層および第二層、第三層のそれぞれの使用感の良さを引き出した、べたつきやきしみのない、高い保湿感を得られる多層化粧料を提供することを課題とするものである。
本発明では、静置時に、上から第一層、第二層、第三層の順になる少なくとも三層以上の多層化粧料であり、
第一層に成分(A)液状油
第一層に成分(B)親油性粉体
第二層に成分(C)水
第三層に成分(D)アクリレーツクロスポリマー-2-ナトリウム
を含む多層化粧料とすることで課題を解決することができる。
本発明によると、層の界面が明瞭な外観の審美性を有し、使用性がよく、第一層および第二層、第三層のそれぞれの使用感の良さを引き出した、べたつきやきしみのない、高い保湿感を得られる多層化粧料を提供することができる。
<第一層>
(A)液状油
本発明における第一層には、成分(A)液状油が含まれる。本発明に用いる成分(A)液状油は、通常化粧料に使用される室温(20℃)で液状の油剤であればよく、揮発性、非揮発性や、合成油、植物油、動物油などは問わず、特に制限されない。例えば、炭化水素油としては、ミネラルオイル、スクワラン、ウンデカン、トリデカン、イソドデカン、イソデカン、イソヘキサデカン、ポリブテン、ポリイソブチレン、水添ポリイソブテン、ポリデセン、水添ポリデセン等、シリコーン油としては、ジメチコン、シクロペンタシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロペンタシロキサン、ヘプタメチルヘキシルトリシロキサン、ヘプタメチルオクチルトリシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ドデカメチルペンタシロキサン等、エステル油としては、エチルヘキサン酸セチル、トリエチルヘキサノイン、エチルヘキサン酸セテアリル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸エチル、パリミチン酸2-エチルヘキシル、ステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸イソプロピル、ステアリン酸エチルヘキシル、ラウリン酸ヘキシル、ネオペンタン酸イソデシル、ネオペンタン酸イソステアリル、ネオペンタン酸オクチルドデシル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、イソノナン酸エチルヘキシル等が挙げられる。また、シュガースクワラン、オリーブ果実油、ヒマワリ種子油、ホホバ種子油、アーモンド油、マカダミア種子油、ヒマシ油、ヘーゼルナッツ種子油、パーム油、キビ種子油、アルガニアスピノサ核油、アボカド油、ヤシ油、コーン油、カノラ油、ダイズ油等の植物由来の油剤であってもよい。成分(A)液状油は外的要因から肌を守るといったバリア機能やパックなどの保湿効果、肌のべたつきやテカリを抑制する効果等、目的に合わせて自由に選択することができる。
(B)親油性粉体
本発明における第一層には、成分(B)親油性粉体が含まれる。本発明に用いる成分(B)親油性粉体は、表面処理の種類や有無に関わらず、粉体表面が親油性で油に分散可能な粉体であればよく、板状、紡錘状、針状、球状等の形状や、多孔質、無孔質、中空等にも制限はない。例えば、メタクリル酸メチルクロスポリマー、(アクリレーツ/アクリル酸エチルヘキシル)クロスポリマー、(ビニルジメチコン/メチコンシルセスキオキサン)クロスポリマー、ポリエチレン、ポリスチレン、(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー、(ジフェニルジメチコン/ビニルジフェニルジメチコン/シルセスキオキサン)クロスポリマー、(ヘキサメチレンジイソシアネート/トリメチロールヘキシルラクトン)クロスポリマー、ポリメチルシルセスキオキサン等の有機粉体類が挙げられる。ハイドロゲンジメチコン、ジメチコン等のシリコーン類を用いた疎水化処理粉体や、パーフルオロアルキルトリメトキシシラン等のフッ素処理した疎水化処理粉体、シリル化シリカ、ジメチルシリル化シリカ等のシリル化処理粉体、親油性の高輝性粉体であっても良い。親油性の高輝性粉体は、例えば、親油性のラメ剤が挙げられる。ラメ剤とは、反射光沢あるいは干渉光沢の著しい、積層した高分子フィルムの小片、あるいは高分子フィルムに金属もしくは金属酸化物を蒸着させた小片などの、偏平粉体を意味する。例えば、ポリエチレンテレフタレートやエポキシ樹脂の薄膜を積層した小片、ポリエチレンテレフタレートやエポキシ樹脂の薄膜に金属酸化物被覆層をはさみ積層した小片、ポリエチレンテレフタレートやエポキシ樹脂の薄膜にアルミニウムなどの金属を蒸着した小片が挙げられる。親油性の高輝性粉体を配合することで、静置時は油水界面に高輝性粉体が存在するので、界面が明瞭なだけでなく非常に美しい化粧料を得ることができる。特に第一層の液状油に少量の親油性粉体を分散配合することで、第一層と第二層、第三層の相分離をより向上させることができる。したがって親油性粉体は多層化粧料の使用性をさらに良好なものにできるだけでなく、振盪を繰り返しても第一層と第二層の界面を明瞭な状態に保つことができる。
成分(B)親油性粉体の配合量は、多層化粧料全量に対して、好ましくは0.001~1質量%であることが望ましく、より好ましくは0.01~0.5質量%である。成分(B)親油性粉体が化粧料全量の0.001質量%以上であることで、第一層と第二層の相分離を明確にすることができる。
また、第一層において成分(B)親油性粉体の配合量を増やすと、第一層中の下方に親油性粉体の層を形成することができ、これを新たな層として追加することも可能である。特に、親油性のラメ剤を配合することで、界面が明瞭なだけでなく外観が非常に美しい化粧料を得ることができる。
<第二層>
(C)水
第二層には成分(C)水を含む。水はイオン交換水や精製水であってもよい。水溶性の保湿成分やエキスを配合することができる。
さらに、第二層にはエタノールを配合することができる。エタノールを配合することで相分離を良好にすることができる。肌への安全性を考慮し、例えば、エタノールの配合量を10質量%以下とすることで刺激を減らすことは可能である。
<第三層>
(D)アクリレーツクロスポリマー-2-ナトリウム
本発明に用いる成分(D)アクリレーツクロスポリマー-2-ナトリウムは水分を吸収し膨潤することで水層である第二層の下部に第三層を形成する。成分(D)アクリレーツクロスポリマー-2-ナトリウムは膨潤することで静置時における第三層の高さ(沈降積)を出すことができる。膨潤した成分(D)アクリレーツクロスポリマー-2-ナトリウムが完全に沈降し、第二層と第三層の境目が明瞭となったとき、審美性が高く美しい外観を得られる。さらに、第三層に成分(D)アクリレーツクロスポリマー-2-ナトリウムが存在することで、第三層に配合した他の親水性粉体同士の密着が少なくなるため、第三層のケーキング(凝集)を抑制することができる。
成分(D)アクリレーツクロスポリマー-2-ナトリウムは、市販品を用いることができる。例えば、ARON NT-Z(東亜合成株式会社製)、アクアキープ 10SH-NFC(住友精化株式会社製)などが挙げられる。
成分(D)アクリレーツクロスポリマー-2-ナトリウムは、多層化粧料全量に対して、好ましくは0.01~4質量%、さらに好ましくは0.1~3質量%である。アクリレーツクロスポリマー-2-ナトリウムを化粧料全量の0.01~4質量%配合することで、沈降積を確保して審美性を担保することができるとともに、吸水した粉体が肌上を覆うことによって肌の凹凸補正効果や保湿効果が高まる。
第三層には、親水性の高輝性粉体を配合することもできる。例えば、平板上のマイカに酸化チタンや酸化鉄を被覆した粉体が挙げられる。基盤のマイカの代わりに合成マイカやガラスフレーク、アルミナフレークなどを用いたものもある。親水性の高輝性粉体を配合することで、振盪した時の外観の審美性がさらに向上し、使用者の積極性や高揚感の向上にもつながる。
本発明の多層化粧料には、本願発明の効果が損なわれない範囲で一般的に化粧料に使用される薬効剤、保湿成分、増粘剤、高分子、抗炎症剤、殺菌剤、防腐剤、酸化防止剤、その他香料や、審美性を高めるための着色料を配合することもできる。
本発明の多層化粧料は、例えば美容液、ボディローション、ハンドトリートメント、化粧下地、ヘアミスト等に用いることができる。その使用方法は、手や指、コットンで使用する、不織布に含侵させて使用する、スプレー容器でミスト状に吐出して使用する等の方法が挙げられる。
表1、表2に示す処方により、多層化粧料を次のように調製した。配合量については質量%を示す。まず、(A)液状油を室温で混合し、そこに(B)親油性粉体もしくは(B‘)を加えてディスパーで十分に分散させ、油相を調製した。(C)水にその他の成分を加えて均一にした。ヒアルロン酸ナトリウムは、あらかじめ一部の1,3-BGと水に混合し膨潤させたものを使用した。ここに、(D)アクリレーツクロスポリマー-2-ナトリウムもしくは(D’)を一部の1,3-BGに分散させてから添加し、十分に撹拌して水相を調整した。容器に、撹拌して均一な状態の水相と油相を充填し、多層化粧料を得た。
上記の通り調製した多層化粧料を、上下に50回振盪して化粧料全体を完全に均一にした後、室温で8時間静置して三層分離の可否、審美性について、以下の基準で評価した。
<第一層-第二層界面の明瞭さ>
○:界面に乳化層がなく非常に明瞭である。
△:界面に乳化層があり層分離が不明瞭である。
×:全体的に乳化しており層分離しない。
<第二層-第三層界面の明瞭さ>
○:第三層が完全に沈降しており、界面が明瞭である。
×:第三層が完全に沈降しておらず、界面が不明瞭である。
上記の通り調製した多層化粧料を、遠心分離機で3000rpmで10分遠心した。その後、天面と底面を反転してもとに戻す操作(以下、反転操作)を40回繰り返し、底部のケーキングの有無を確認した。
<ケーキング>
○:ケーキングはない。
×:底部に沈殿が見られ、ケーキングしている。
使用感については、べたつきのなさを官能によって評価した。詳細な方法は次の通りである。20代~40代の女性で官能評価の訓練を受けた、専門パネラー10名にて評価を行った。各試料について、専門パネラーが皮膚に塗布してなじんだ後のべたつきのなさを、下記の絶対評価にて5段階評価を行った。その平均値を算出し、各試料のべたつきのなさを4段階で判定した。
<べたつきのなさの5段階評価>
点数:評価
5点:ベタツキを感じない
4点:ほとんどベタツキを感じない
3点:ややベタツキを感じる
2点:ベタツキを感じる
1点:非常にベタツキを感じる
<4段階判定基準>
◎:4点以上
○:3点以上~4点未満
△:2点以上~3点未満
×:2点未満
Figure 0007293439000001
Figure 0007293439000002
[界面の明瞭さ]
第一層に親油性粉体を配合していない比較例1~3について、比較例1は揮発性の炭化水素油を配合しているため各層界面が明瞭な多層化粧料を得ることができた。しかし、スクワランやエチルヘキサン酸セチルを配合した比較例2、3の場合は、乳化層が生じ、各層界面が明瞭な多層化粧料は得られなかった。一方、本発明の多層化粧料の系であれば、実施例1~13に示すように、第一層の液状油の種類や量に関わらず、各層界面の明瞭さは良好で高い審美性を有していた。
実施例14~16に示すように、第一層に配合する親油性粉体の種類が異なる系においても、各層界面の明瞭さは良好であった。一方、成分(B)親油性粉体を配合しない比較例4~6、あるいは親水性粉体のタルクを油相に分散した比較例7の場合、各層界面は不明瞭であった。
また、比較例8、9では、アクリレーツクロスポリマー-2-ナトリウムと同様に水で膨潤するデンプン・アクリル酸ナトリウムグラフト重合体を配合したが、水性相全体がペースト状になってしまうか、ペースト状にならない十分に少ない量を配合しても水性相全体に分散したままで第二層の下方に沈降せず、第三層を得ることはできなかった。
[ケーキング抑制効果]
比較例1~3に示すような、親水性粉体と親水性粘土粉末を組み合わせた系では、遠心分離機で3000rpmで10分遠心すると底部にケーキングが見られ、粉末層が再分散して均一になるまでに時間を要した。一方、実施例1~15、比較例3~6に示すように、アクリレーツクロスポリマー-2-ナトリウムを用いた場合は、同様の条件で遠心しても、40回以下という少ない反転操作の回数で第三層が再分散し、全体が均一な状態になった。このことから、親水性粉体と親水性粘土粉末を組み合わせて粉末層とするのではケーキングの対策としては不十分であり、アクリレーツクロスポリマー-2-ナトリウムを第三層として用いる方がケーキングしないことが認められた。
[べたつきのなさ]
実施例1~16は、べたつきを感じない、あるいはほとんどべたつきを感じなかった。さらに、塗布中も非常になめらかな使用感だった。一方、比較例1~3の方は塩や粘土粉末を配合している場合、化粧料が肌になじんだ後にべたつきを感じると評価された。また、シリカのような親水性粉体を配合しているので、化粧料が肌になじんだ後にきしみや粉っぽさを感じ、使用感に劣るものであった。
下記に本発明における多層化粧料の処方例を示す。配合量については質量%を示す。いずれの処方例についても、べたつきやきしみがなく、保湿感と外観の審美性に優れた組成物であった。
下記に示す化粧料は、次のようにして調製した。まず、(1)(2)を室温で混合し、そこに(3)を加えてディスパーで十分に分散させ、油相を調製した。(4)に(5)を加えて溶解させ、あらかじめ溶解させておいた(6)(7)を加えた後、(8)を加えた。さらに、あらかじめ均一に混合しておいた(9)~(11)、(12)~(14)を加えた。最後に、(15)に(16)を分散させたものを加え、(16)が完全に吸水するまで十分に撹拌し、水相を調製した。容器に、撹拌して均一な状態の水相と油相を充填し、多層化粧料を得た。
処方例:ボディローション (質量%)
(1)スクワラン 15
(2)オリーブ果実油 5
(3)(ビニルジメチコン/メチコンシルセスキオキサン)クロスポリマー 0.01
(4)水 To 100%
(5)ブチルカルバミン酸ヨウ化プロピニル・水
・ヒドロキシプロピルシクロデキストリン 0.04
(6)水 0.8
(7)アラントイン 0.04
(8)グリセリン 4
(9)1,3-BG 1.6
(10)ペンチレングリコール 0.8
(11)フェノキシエタノール 0.16
(12)水 1
(13)加水分解エラスチン・ 1,3-BG・水 0.5
(14)リン酸アスコルビルマグネシウム 0.0001
(15)1,3-BG 2.4
(16)アクリレーツクロスポリマー-2-ナトリウム 1.2
下記に示す化粧料は、次のようにして調製した。まず、(1)(2)を室温で混合し、そこに(3)を加えてディスパーで十分に分散させ、油相を調製した。(4)に(5)を加えて溶解させ、あらかじめ溶解させておいた(6)(7)を加えた後、(8)を加えた。さらに、あらかじめ均一に混合しておいた(9)~(11)、(12)~(14)を加えた。最後に、(15)に(16)を分散させたものを加え、(16)が完全に吸水するまで十分に撹拌し、水相を調製した。容器に、撹拌して均一な状態の水相と油相を充填し、多層化粧料を得た。
処方例:ラメ配合ボディローション (質量%)
(1)スクワラン 9
(2)エチルヘキサン酸セチル 1
(3)ポリエチレンイソテレフタレート・PET 0.05
(4)水 To 100%
(5)ブチルカルバミン酸ヨウ化プロピニル・水
・ヒドロキシプロピルシクロデキストリン 0.04
(6)水 0.8
(7)アラントイン 0.04
(8)グリセリン 4
(9)1,3-BG 1.6
(10)ペンチレングリコール 0.8
(11)フェノキシエタノール 0.16
(12)水 2.536
(13)1,3-BG 0.016
(14)ヒアルロン酸ナトリウム 0.008
(15)1,3-BG 2.4
(16)アクリレーツクロスポリマー-2-ナトリウム 1.2
下記に示す化粧料は、次のようにして調製した。まず、(1)(2)を室温で混合し、そこに(3)を加えてディスパーで十分に分散させ、油相を調製した。(4)に(5)を加えて溶解させ、あらかじめ溶解させておいた(6)(7)を加えた後、(8)を加えた。さらに、あらかじめ均一に混合しておいた(9)~(11)、あらかじめ溶解させておいた(12)~(14)を加えた。最後に、(15)に(16)を分散させたものを加え、(16)が完全に吸水するまで十分に撹拌し、水相を調製した。容器に、撹拌して均一な状態の水相と油相を充填し、多層化粧料を得た。
処方例:ハンドトリートメント (質量%)
(1)エチルヘキサン酸セチル 10
(2)ジメチコン 10
(3)ジメチルシリル化シリカ 0.01
(4)水 To 100%
(5)ブチルカルバミン酸ヨウ化プロピニル・水
・ヒドロキシプロピルシクロデキストリン 0.04
(6)水 0.8
(7)アラントイン 0.04
(8)ナイアシンアミド 3
(9)1,3-BG 1.6
(10)ペンチレングリコール 0.8
(11)フェノキシエタノール 0.16
(12)水 1
(13)ハトムギ種子エキス・ 1,3-BG・水 1
(14)赤色201号 0.0001
(15)1,3-BG 2.4
(16)アクリレーツクロスポリマー-2-ナトリウム 1.2
下記に示す化粧料は、次のようにして調製した。まず、(1)(2)を室温で混合し、そこに(3)を加えてディスパーで十分に分散させ、油相を調製した。(4)に(5)を加えて溶解させ、あらかじめ溶解させておいた(6)(7)を加えた後、(8)を加えた。さらに、あらかじめ均一に混合しておいた(9)~(11)、(12)~(14)を加えた。最後に、(15)に(16)を分散させたものを加え、(16)が完全に吸水するまで十分に撹拌し、水相を調製した。容器に、撹拌して均一な状態の水相と油相を充填し、多層化粧料を得た。この化粧料については、静置時には油相中に分散した親油性粉体のジメチルシリル化シリカが第一層中で下方に沈降することで新たな層が得られ、審美性の高い四層の多層化粧料となった。
処方例:四層ハンドトリートメント (質量%)
(1)シクロペンタシロキサン 10
(2)ジメチコン 10
(3)ジメチルシリル化シリカ 0.4
(4)水 To 100%
(5)ブチルカルバミン酸ヨウ化プロピニル・水
・ヒドロキシプロピルシクロデキストリン 0.04
(6)水 0.8
(7)アラントイン 0.04
(8)グリセリン 2
(9)1,3-BG 1.6
(10)ペンチレングリコール 0.8
(11)フェノキシエタノール 0.16
(12)水 2.536
(13)1,3-BG 0.016
(14)ヒアルロン酸ナトリウム 0.008
(15)1,3-BG 2.4
(16)アクリレーツクロスポリマー-2-ナトリウム 1.2
下記に示す化粧料は、次のようにして調製した。まず、(1)(2)を室温で混合し、そこに(3)を加えてディスパーで十分に分散させ、油相を調製した。(4)に(5)を加えて溶解させ、あらかじめ溶解させておいた(6)(7)を加えた後、(8)を加えた。さらに、あらかじめ均一に混合しておいた(9)~(11)、(12)~(14)を加えた。最後に、(15)に(16)、(17)を分散させたものを加え、(16)が完全に吸水するまで十分に撹拌し、水相を調製した。容器に、撹拌して均一な状態の水相と油相を充填し、多層化粧料を得た。
処方例:ヘアミスト (質量%)
(1)シクロペンタシロキサン 10
(2)ジメチコン 10
(3)(ビニルジメチコン/メチコンシルセスキオキサン)クロスポリマー 0.01
(4)水 To 100%
(5)ブチルカルバミン酸ヨウ化プロピニル・水
・ヒドロキシプロピルシクロデキストリン 0.04
(6)水 0.8
(7)アラントイン 0.04
(8)エタノール 20
(9)1,3-BG 1.6
(10)グリセリン 2
(11)フェノキシエタノール 0.16
(12)水 2
(13)塩化ナトリウム 0.001
(14)セリン 0.001
(15)1,3-BG 2.4
(16)アクリレーツクロスポリマー-2-ナトリウム 0.5
(17)合成フルオロフロゴパイト・酸化チタン・酸化スズ 0.1

Claims (4)

  1. 静置時に、上から第一層、第二層、第三層の順になる少なくとも三層以上の多層化粧料であり、
    第一層に成分(A)液状油
    第一層に成分(B)親油性粉体を0.001~1質量%
    第二層に成分(C)水
    第三層に成分(D)アクリレーツクロスポリマー-2-ナトリウムを0.01~4質量%
    を含む多層化粧料。
  2. 成分(B)親油性粉体が、有機粉体および/または疎水化処理粉体である請求項1に記載の多層化粧料。
  3. 成分(B)親油性粉体が、メタクリル酸メチルクロスポリマー、(アクリレーツ/アクリル酸エチルヘキシル)クロスポリマー、(ビニルジメチコン/メチコンシルセスキオキサン)クロスポリマー、(ジフェニルジメチコン/ビニルジフェニルジメチコン/シルセスキオキサン)クロスポリマー、ジメチルシリル化シリカ、(ヘキサメチレンジイソシアネート/トリメチロールヘキシルラクトン)クロスポリマー、合成フルオロフロゴパイト・ハイドロゲンジメチコン、ポリエチレンイソテレフタレート・PET
    から選ばれる少なくとも1種以上である請求項1または請求項2いずれかに記載の多層化粧料。
  4. 成分(A)液状油が、イソドデカン、水添ポリイソブテン、水添ポリデセン、ミネラルオイル、スクワラン、シクロペンタシロキサン、ジメチコン、エチルヘキサン酸セチル、トリエチルヘキサノイン、イソノナン酸イソトリデシル、オリーブ果実油、ホホバ種子油の中から選ばれる少なくとも1種以上である請求項1~3いずれか1項に記載の多層化粧料。
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