以下、図面を参照して、実施形態に係る画像再構成方法及び再構成装置を説明する。なお、実施形態は、以下の実施形態に限られるものではない。また、一つの実施形態に記載した内容は、原則として他の実施形態にも同様に適用可能である。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係るMRI装置100を示すブロック図である。図1に示すように、MRI装置100は、静磁場磁石101と、傾斜磁場コイル102と、傾斜磁場電源103と、寝台104と、寝台制御回路105と、送信コイル106と、送信回路107と、受信コイルアレイ108と、受信回路109と、シーケンス制御回路110と、ECG(Electrocardiogram)回路111と、計算機システム120とを備える。なお、MRI装置100に被検体P(例えば、人体)は含まれない。また、MRI装置100は、再構成装置の一例である。
静磁場磁石101は、中空の円筒形状(円筒の軸に直交する断面が楕円状となるものを含む)に形成された磁石であり、内部の空間に一様な静磁場を発生する。静磁場磁石101は、例えば、永久磁石、超伝導磁石などである。
傾斜磁場コイル102は、中空の円筒形状(円筒の軸に直交する断面が楕円状となるものを含む)に形成されたコイルであり、静磁場磁石101の内側に配置される。傾斜磁場コイル102は、互いに直交するX,Y,Zの各軸に対応する3つのコイルが組み合わされて形成されており、これら3つのコイルは、傾斜磁場電源103から個別に電流の供給を受けて、X、Y、Zの各軸に沿って磁場強度が変化する傾斜磁場を発生する。ここで、傾斜磁場コイル102によって発生するX,Y,Z各軸の傾斜磁場は、例えば、スライス選択用傾斜磁場Gs、位相エンコード用傾斜磁場Ge及びリードアウト用傾斜磁場Grにそれぞれ対応する。スライス選択用傾斜磁場Gsは、任意に撮像断面を決めるために利用される。位相エンコード用傾斜磁場Geは、空間的位置に応じてMR信号の位相を変化させるために利用される。リードアウト用傾斜磁場Grは、空間的位置に応じてMR信号の周波数を変化させるために利用される。
傾斜磁場電源103は、傾斜磁場コイル102に電流を供給する。例えば、傾斜磁場電源103は、傾斜磁場コイル102を形成する3つのコイルのそれぞれに、個別に電流を供給する。
寝台104は、被検体Pが載置される天板104aを備え、寝台制御回路105による制御のもと、天板104aを、被検体Pが載置された状態で傾斜磁場コイル102の空洞(撮像口)内へ挿入する。通常、寝台104は、長手方向が静磁場磁石101の中心軸と平行になるように設置される。
寝台制御回路105は、計算機システム120による制御のもと、寝台104を駆動して天板104aを長手方向及び上下方向へ移動するプロセッサである。
送信コイル106は、傾斜磁場コイル102の内側に配置され、送信回路107からRFパルスの供給を受けて、高周波磁場を発生する。
送信回路107は、対象とする原子の種類及び磁場の強度で決まるラーモア周波数に対応するRFパルスを送信コイル106に供給する。
受信コイルアレイ108は、傾斜磁場コイル102の内側に配置され、高周波磁場の影響によって被検体Pから発せられる磁気共鳴信号(以下、MR信号と称する)を受信する。受信コイルアレイ108は、MR信号を受信すると、受信したMR信号を受信回路109へ出力する。なお、第1の実施形態において、受信コイルアレイ108は、1以上、典型的には複数の受信コイルを有するコイルアレイである。
受信回路109は、受信コイルアレイ108から出力されるMR信号に基づいてMRデータを生成する。例えば、受信回路109は、受信コイルアレイ108から出力されるMR信号をデジタル変換することによってMRデータを生成する。また、受信回路109は、生成したMRデータをシーケンス制御回路110へ送信する。
なお、受信回路109は、静磁場磁石101や傾斜磁場コイル102などを備える架台装置側に備えられていてもよい。ここで、第1の実施形態において、受信コイルアレイ108の各コイルエレメント(各受信コイル)から出力されるMR信号は、適宜分配・合成されることで、チャネルなどと呼ばれる単位で受信回路109に出力される。このため、MRデータは、受信回路109以降の後段の処理においてチャネル毎に取り扱われる。コイルエレメントの総数とチャネルの総数との関係は、同一の場合もあれば、コイルエレメントの総数に対してチャネルの総数が少ない場合、あるいは反対に、コイルエレメントの総数に対してチャネルの総数が多い場合もある。以下において、「チャネル毎」のように表記する場合、その処理が、コイルエレメント毎に行われてもよいし、あるいは、コイルエレメントが分配・合成されたチャネル毎に行われてもよいことを示す。なお、分配・合成のタイミングは、上述したタイミングに限られるものではない。MR信号若しくはMRデータは、後述する再構成処理の前までに、チャネル単位に分配・合成されればよい。
シーケンス制御回路110は、計算機システム120から送信されるシーケンス情報に基づいて、傾斜磁場電源103、送信回路107及び受信回路109を駆動することによって、被検体Pの撮像を行う。例えば、シーケンス制御回路110は、プロセッサにより実現される。ここで、シーケンス情報は、撮像を行うための手順を定義した情報である。シーケンス情報には、傾斜磁場電源103が傾斜磁場コイル102に供給する電源の強さや電源を供給するタイミング、送信回路107が送信コイル106に送信するRFパルスの強さやRFパルスを印加するタイミング、受信回路109がMR信号を検出するタイミングなどが定義される。
なお、シーケンス制御回路110は、傾斜磁場電源103、送信回路107及び受信回路109を駆動して被検体Pを撮像した結果、受信回路109からMRデータを受信すると、受信したMRデータを計算機システム120へ転送する。
ECG回路111は、ECGセンサ111aから出力される心電信号に基づいて、所定の心電波形を検出する。ECGセンサ111aは、被検体Pの体表に装着され、被検体Pの心電信号を検出するセンサである。ECGセンサ111aは、検出した心電信号をECG回路111に出力する。
例えば、ECG回路111は、所定の心電波形として、R波を検出する。そして、ECG回路111は、R波を検出したタイミングでトリガー信号を生成し、生成したトリガー信号をインタフェース回路121に出力する。トリガー信号は、インタフェース回路121により記憶回路122に格納される。ここで、トリガー信号は、無線通信によって、ECG回路111からインタフェース回路121へ送信されてもよい。なお、本実施形態では、心電信号をECGセンサ111aにより検出する場合を説明するが、これに限らず、例えば、脈波計により検出されてもよい。また、図1において、ECGセンサ111aおよびECG回路111がMRI装置100の一部となる例を説明したが、これに限らない。つまり、MRI装置100とは別に設けられたECGセンサ111aおよびECG回路111から得られる心電信号をMRI装置100が取得するようにしてもよい。
計算機システム120は、MRI装置100の全体制御や、データ収集、画像再構成などを行う。計算機システム120は、インタフェース回路121、記憶回路122、入力インタフェース123、ディスプレイ124、及び処理回路130を有する。
インタフェース回路121は、シーケンス情報をシーケンス制御回路110へ送信し、シーケンス制御回路110からMRデータを受信する。また、インタフェース回路121は、MRデータを受信すると、受信したMRデータを記憶回路122に格納する。記憶回路122に格納されたMRデータは、処理回路130によってk空間に配置される。この結果、記憶回路122は、複数チャネル分のk空間データを記憶する。このようにして、k空間データが収集される。インタフェース回路121は、例えば、ネットワークインタフェースカードにより実現される。
記憶回路122は、インタフェース回路121によって受信されたMRデータや、後述の取得機能131によってk空間に配置された時系列データ(k-t空間データ)、後述の第2再構成機能137によって生成されたMR画像データなどを記憶する。また、記憶回路122は、各種のプログラムを記憶する。記憶回路122は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスク等により実現される。
入力インタフェース123は、医師や診療放射線技師等の操作者からの各種指示や情報入力を受け付ける。入力インタフェース123は、例えば、トラックボール、スイッチボタン、マウス、キーボード等によって実現される。入力インタフェース123は、処理回路130に接続されており、操作者から受け取った入力操作を電気信号に変換して処理回路130へと出力する。
ディスプレイ124は、処理回路130による制御のもと、各種GUI(Graphical User Interface)や、第2再構成機能137によって生成されたMR画像データ等を表示する。
処理回路130は、MRI装置100の全体制御を行う。具体的には、処理回路130は、入力インタフェース123を介して操作者から入力される撮像条件に基づいてシーケンス情報を生成し、生成したシーケンス情報をシーケンス制御回路110に送信することによって撮像を制御する。また、処理回路130は、撮像の結果としてシーケンス制御回路110から送られるMRデータに基づいて行われる画像の再構成を制御したり、ディスプレイ124による表示を制御したりする。処理回路130は、プロセッサにより実現される。
処理回路130は、収集機能131、生成機能132、再構成機能133、及び出力制御機能134を備える。なお、収集機能131は、収集部の一例である。また、生成機能132は、生成部の一例である。また、再構成機能133は、再構成部の一例である。また、出力制御機能134は、出力制御部の一例である。
ここで、例えば、処理回路130の構成要素である収集機能131、生成機能132、再構成機能133、及び出力制御機能134の各処理機能は、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態で記憶回路122に記憶されている。処理回路130は、各プログラムを記憶回路122から読み出し、読み出した各プログラムを実行することで、各プログラムに対応する機能を実現する。換言すると、各プログラムを読み出した状態の処理回路130は、図1の処理回路130内に示された各機能を有することとなる。なお、図1においては、単一の処理回路130にて、収集機能131、生成機能132、再構成機能133、及び出力制御機能134の各処理機能が実現されるものとして説明したが、複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路130を構成し、各プロセッサが各プログラムを実行することにより各処理機能を実現するものとしても構わない。
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(central preprocess unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。なお、記憶回路122にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むように構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。
ここで、一般的に、MRI装置100は、被検体から放出された電磁波をコイルにより測定する。この測定された電磁波をデジタル化することで得られた信号をk空間データと呼ぶ。
k空間データは、例えば、1次元の撮像を繰り返すことで得られる2次元あるいは3次元のデータである。そして、被検体内部の原子分布画像は、k空間データに対して、フーリエ変換(以後、フーリエ変換といえばフーリエ逆変換も含む場合がある)を施すことにより得られる。得られた原子分布画像をMR画像と呼び、k空間データからMR画像を算出する過程を、再構成あるいは画像再構成、画像生成などと呼ぶ。k空間データの中心部は、MR画像にフーリエ変換を施した際の低周波成分に対応する。k空間データの辺縁部は、MR画像にフーリエ変換を施した際の高周波成分に対応する。
MRI装置100では、1次元の撮像を繰り返し行うことで再構成に必要なk空間データを得るが、この撮像は一般に時間がかかることが知られている。さらに、被検体の状態が時間とともに変化する場合には、再構成されたMR画像の画質が劣化することも知られている。したがって、被検体の状態が変化し且つデータ量の多い時系列データを取得する場合、例えば心臓を撮像する場合では、撮像時間を短縮したいとの要求が強い。そこで、より高速な撮像を行うために、例えば、コイルの配置によって感度が異なることを利用して、k空間データを複数のコイルで同時に間引き撮像し、得られた複数のk空間データから、アーティファクトを抑えつつMR画像を再構成する、パラレルイメージング(Parallel Imaging:PI)の研究開発が行われている。
一般に、PIでは、位相エンコード方向にk空間データを間引いて収集することで、撮像時間の短縮を図る。間引いて収集されたk空間データからは、折り返し画像が生成されるため、PIでは、感度が異なる複数のチャネルで収集されたk空間データに対し、チャネル間の感度の違いを利用して折り返しの無い画像を再構成する。つまり、PIでは、間引き率に応じた高速化が可能となる。なお、間引き率は倍速率と呼ばれる場合もある。例えば間引き率が4であれば、撮像時間はおよそ4分の1に短縮される。
PIをレトロスペクティブゲート法と組み合わせることにより、心電同期撮像の高速化が期待される。つまり、位相エンコード方向に間引かれたk空間データ群の収集を複数時相にわたって実行しつつ、心電信号を取得する。そして、取得された心電信号を用いて、一連のk空間データの心時相が揃うように事後的に並べ替えを行う。例えば、PIの一つであるSENSE(Sensitivity Encoding)を用いて、位相エンコード方向に間引かれたk空間データを複数時相において収集し、心時相が揃うように事後的に並び替える。そして、並べ替えたk空間データ群に対し、チャネル間の感度の違いを利用した再構成を行う。
ところで、更なる高速化(撮像時間の短縮化)を図るためには、位相エンコード方向に加えて、時相方向(時間方向)にもk空間データを間引いて取得することが有効である。時相方向にk空間データを間引いて収集する手法として、例えば、k-t BLAST(k-space time Broad-use Linear Acquisition Speed-up Technique)やk-t SENSEと呼ばれる技術が知られている。ところが、これらの技術は、レトロスペクティブゲート法と組み合わせてもうまくいかない場合がある。なぜならば、これらの手法は、時系列に沿ったk空間の間引きパターンが規則的に変化することが前提となっているからである。つまり、レトロスペクティブゲート法を用いて再構成を行なう際に必要な、心時相を用いた並び替えの際に、時系列に沿ったk空間の間引きパターンが不規則になり、k-t BLASTやk-t SENSEといった技術が利用できなくなる。なお、コイルの数が間引いたサンプルの割合に対して少ない場合はk-t BLAST、そうでない場合をk-t SENSEと呼ぶが、以後の説明では明示的に区別しない限り、k-t BLASTも含めてk-t SENSEと呼ぶことにする。以後、主にコイルが複数の場合について説明するが、k-t BLASTの特別な場合として、コイルの数が1つである場合も許容される。コイルが1つの場合でも便宜上、k-t SENSEと呼ぶことにする。
k-t SENSEでは、収集されたk空間データ群を、フーリエ変換により画像空間と時間スペクトルとから成るx-f空間データに変換する。そして、このx-f空間データにおいて、x-f空間上の感度マップを用いて折り返し信号が除去されたx-f空間データが生成される。そして、生成されたx-f空間データを逆フーリエ変換によりx-t空間データに変換することにより、時系列に並ぶ複数のMR画像が生成される。
図2を用いて、k-t空間を時相方向に間引いてサンプリングする例を説明する。図2は、k-t空間におけるサンプリング位置の一例を示す図である。図2において、縦軸に示した「k」は、位相エンコード方向に対応し、横軸に示した「t」は、時相方向に対応する。図2では、説明の都合上、位相エンコード方向に8個、時相方向に20個の位置(枠)に収集データが配置されるk-t空間データを例示する。また、黒丸印は、1ラインのデータが収集される位置を示す。言い換えると、黒丸印が配置されない枠は、データが収集されない位置である。また、時相P’1~時相P’20までの間に、1心拍以上の期間が含まれるものとする。なお、k-t BLASTやk-t SENSEにおいては、本撮像前あるいは本撮像途中において、時相方向に間引かずにx-f空間に関する情報を取得するキャリブレーション撮像と、時相方向に間引いてk-t空間をサンプリングする本撮像とが存在するが、図2に示すサンプリング位置の例は、本撮像におけるサンプリング位置の一例と考えることができる。簡略化のため、図2においては、本撮像におけるサンプリング位置は図示しない。また、特許第6073627号に開示されているような、キャリブレーション撮像を必ずしも必要としない技術においては、図2を本撮像におけるサンプリング位置の一例と考えることができる。
図2に示す例では、1単位時相ごとに、位相エンコード方向に1サンプルずつサンプリング位置を1つずつずらす。例えば、時相P’2のk空間データは、時相P’1のk空間データと比較して、位相エンコード方向(図中の上方向)に1サンプルずれた位置でサンプリングされる。また、時相P’3のk空間データは、時相P’2のk空間データと比較して、位相エンコード方向に1サンプルずれた位置でサンプリングされる。また、時相P’4のk空間データは、時相P’3のk空間データと比較して、位相エンコード方向に1サンプルずれた位置でサンプリングされる。つまり、図2の例では、4分の1に間引かれたk空間データが、4単位時相ごとに周期的にサンプリングされる。なお、このサンプリング周期の単位となる時相数(図2では4時相)を一纏めにしたグループを「ブロック」と記載する。
このように、k-t空間を時相方向に沿って、位相エンコード方向のサンプリングパターンを変化させる場合では、同一の位相エンコード量を有するk空間データが、4時相につき1時相の割合でしか存在しない。このため、心時相のみに注目してk空間データを並び替えてしまうと、再構成に必要な各位相エンコード量のデータが収集できない場合がある。例えば、時相P’1、P’20、P’3、P’4の順でk空間データを並べても、再構成することはできない。なぜならば、時相P’1、P’3、P’4と組み合わせて再構成するのに必要なk空間データのサンプリングパターンは時相P’2と同じものであり、時相P’2と時相P’20とではサンプリングパターンが異なるからである。
そこで、第1の実施形態に係るMRI装置100は、以下に説明する処理機能により、心臓シネ撮像の高速化を実現することができる。
なお、以下では、本実施形態がk-t SENSEに適用される場合を説明するが、これに限定されるものではない。例えば、本実施形態は、k-t BLASTや圧縮センシング(Compressed Sensing:CS)にも適用可能である。圧縮センシングとは、位相エンコード方向に不規則的に間引いてサンプリングを行い、信号のスパース性を利用することで少数のk空間データから画像を再構成する高速撮像法である。なお、k-t SENSE、k-t BLAST、及び圧縮センシングにおけるサンプリングは、連続する時相間において互いに異なるサンプリングパターンで複数のk空間データを収集するものであり、以下の説明においては、単純な間引きサンプリングを行う通常のPIと対比して「非単純間引きサンプリング」と呼ぶことにする。
また、本実施形態では、セグメント収集が適用される。セグメント収集とは、k-t空間データを、位相エンコード量が互いに異なる複数のセグメントに分けて収集する収集方法である。
図3を用いて、第1の実施形態に係るMRI装置100による処理手順を説明する。図3は、第1の実施形態に係るMRI装置100による処理手順を示すフローチャートである。図3に示す処理手順は、例えば、操作者により入力された撮像開始要求を契機として開始される。
また、図3では、図4から図9を参照しつつ説明する。図4から図9は、第1の実施形態に係るMRI装置100の処理を説明するための図である。なお、以下の実施形態にて例示する数値はあくまで一例であり、操作者の任意に変更可能である。
ステップS101において、収集機能131は、撮像条件を設定する。例えば、収集機能131は、入力インタフェース123を介して操作者から入力される各種情報に基づいて、撮像条件を設定する。具体的には、収集機能131は、操作者から入力される1心周期に対応する期間と、1心周期当たりのMR画像の取得枚数と、辺縁セグメントの収集頻度とに基づいて、撮像条件を設定する。そして、収集機能131は、設定した撮像条件を用いてシーケンス情報を生成する。
例えば、操作者は、被検体に見合った1心周期の期間を定義する。この1心周期の期間は、例えばRR間隔(トリガー間隔)である。操作者は、ECGやPPGなどの生体情報を参照して、被検体の1心周期の期間を例えばmsec単位で定義する。また、健常者であってもRR間隔は揺らぐことがあるので、許容するRR間隔の変動量をさらに指定してもよい。例えば、RR間隔を800msecに設定し、RR間隔の変動量を10%と定義すれば、MRI装置100は、720msecから880msecまでの範囲を正常な心拍と判定する。一方、極端にRR間隔が短かったり、長かったりする場合は不整脈と考えられる。そこで、MRI装置100は、操作者が定義した1心周期の期間、あるいは1心周期の期間に許容する変動量を考慮した期間の範囲から外れるRR間隔を不整脈と判定する。本実施形態では、基準として用いる1心周期の期間として「800msec」が定義される場合を説明するが、任意の時間に設定可能である。また、設定を受け付ける単位も任意に変更可能である。
また、操作者は、1心周期当たりの画像データの「取得枚数」を設定する。例えば、操作者は、取得枚数を「24枚」に設定する。これにより、MRI装置100は、1心周期の中で等間隔に並んだ24枚のMR画像を撮像する。なお、この取得枚数は、1心周期をいくつの時相に分けて画像化するかを表すものでもあるため、画像化される「時相数(フェーズ数)」に相当する。本実施形態では、1心周期当たりに「24枚(24フェーズ)」のMR画像を取得する場合を説明するが、任意の枚数(フェーズ数)に設定可能である。
操作者は、辺縁セグメントの「収集頻度」を設定する。収集頻度とは、操作者により指定された取得枚数に応じた時相数(k空間データの数)のうち、実際に収集される時相数(k空間データの数)が占める割合(短縮割合)に対応する。なお、本実施形態では、収集頻度を設定する場合を説明するが、例えば、収集頻度ではなく、実際に収集される「時相数」や「k空間データの数」を設定することとしても良い。
図4を用いて、辺縁セグメントの収集頻度について説明する。図4には、k-t空間データに配置される複数のk空間データを示す。図4において、縦軸に示した「k」は、位相エンコード方向に対応し、横軸に示した「t」は、時相方向に対応する。また、図4において、セグメントAは、中心セグメントに対応し、セグメントBは、辺縁セグメントに対応する。なお、k-t空間データは、操作者により設定された1心周期の期間及び取得枚数を120%程度充足するように設定される。例えば、取得枚数が「24枚」に設定される場合には、28枚(28時相)分のk-t空間データが設定される。図4に示す例では、セグメントA及びセグメントBそれぞれには、112ラインのk空間データが配置される。
図4に示すように、操作者は、セグメントBのうち、領域R11(4時相)に含まれる8ラインのk空間データと、領域R12(4時相)に含まれる8ラインのk空間データとを収集することを指定する。この場合、k-t空間データの「28時相」のうち、実際に収集される時相数は「4時相」であるので、セグメントBの収集頻度は「1/7」となる。なお、セグメントAについては、28時相に含まれる112ラインのk空間データが収集される。
つまり、収集機能131は、1心周期に対応する期間と、1心周期当たりのMR画像の取得枚数と、辺縁セグメントの収集頻度とを含む各種情報の入力に基づいて、撮像条件を設定する。そして、収集機能131は、設定した撮像条件を用いてシーケンス情報を生成する。
なお、図4の説明はあくまで一例であり、図示の内容に限定されるものではない。例えば、セグメントBの収集頻度としては、任意の数値が設定可能である。ただし、収集頻度は、ブロック単位で設定されるのが好適である。また、中心セグメントの収集頻度を「1(100%)」とした場合、辺縁セグメントの収集頻度は「1」より低い値が設定されるのが好適である。
また、図4では、収集頻度が操作者により手動で設定される場合を説明したが、収集機能131は、収集頻度を自動的に設定することも可能である。例えば、収集機能131は、プリセットされた収集頻度を自動的に設定しても良い。また、例えば、収集機能131は、操作者により設定された時相数(取得枚数)に基づいて、辺縁セグメントの収集頻度を決定することも可能である。一例としては、収集機能131は、時相数が多いほど、辺縁セグメントの収集頻度を上げる(又は下げる)といった処理を行うことができる。
ステップS102において、収集機能131は、中心セグメントのk空間データを収集する。また、ステップS103において、収集機能131は、辺縁セグメントのk空間データを、中心セグメントより低頻度で収集する。例えば、収集機能131は、生成したシーケンス情報をシーケンス制御回路110に送信することによって撮像を実行する。そして、収集機能131は、撮像により得られる中心セグメントの複数のk空間データを収集する。
図5及び図6を用いて、収集機能131によるk空間データの収集について説明する。図5には、収集機能131により実行される撮像シーケンスを例示する。図5において、横軸に示した「t」は、時相方向に対応する。図6には、収集機能131により実際に収集される複数のk空間データのサンプリング位置を例示する。図6において、縦軸に示した「k」は、位相エンコード方向に対応し、横軸に示した「t」は、時相方向に対応する。また、図6において、黒丸印は、収集されたk空間データの位置を示す。なお、図5及び図6では、辺縁セグメント(セグメントB)の収集頻度として「1/7」が設定された場合を説明する。
図5及び図6に示すように、収集機能131は、セグメントA及びセグメントBを連続的に収集する。ここで、収集機能131は、セグメントAについては、時相PA1、時相PA2、時相PA3・・・及び時相PA28の28時相分のk空間データを収集する。また、収集機能131は、セグメントBについては、セグメントBの収集頻度に基づいて、時相PB1、時相PB2、時相PB3、及び時相PB4の4時相分のk空間データを収集する。これにより、収集機能131は、セグメントAについては112ラインのk空間データを収集し、セグメントBについては16ラインのk空間データを収集する(図6参照)。
このように、収集機能131は、非単純間引きサンプリングにおいて、位相エンコード量が互いに異なる複数のセグメントのうち、辺縁部に対応する辺縁セグメントの収集頻度を、中心部に対応する中心セグメントより低頻度で収集する。
なお、図5及び図6の説明はあくまで一例であり、図示の内容に限定されるものではない。例えば、図5では、セグメントA及びセグメントBのうち、セグメントAを先に収集する場合を例示したが、セグメントBを先に収集しても良い。
また、図5及び図6では、図示の都合上、各時相に含まれる複数のk空間データは、時間方向において同一位置に図示されているため、同一時刻に収集されているように見えるが、実際には互いに異なる時刻に収集されたものである。例えば、時相PA1に含まれる4つのk空間データは、位相エンコード量が小さいものから順に収集される。各k空間データの収集時刻は、各k空間データに対応づけられている。つまり、収集機能131は、複数のk空間データとともに、各k空間データの収集時刻を収集する。
また、収集機能131は、非単純間引きサンプリングとともに、被検体Pの心電情報を取得する。例えば、ECG回路111は、非単純間引きサンプリングが開始されると、心電信号の検出を開始する。ECG回路111は、ECGセンサ111aにより検出される心電信号からR波を検出する。そして、ECG回路111は、R波を検出したタイミングでトリガー信号を生成する。そして、ECG回路111は、生成したトリガー信号を、インタフェース回路121を経て記憶回路122に格納する。トリガー信号の検出時刻は、k空間データの収集時刻と対応づけ可能である。収集機能131は、被検体Pの心電情報として、記憶回路122に格納されたトリガー信号の検出時刻を取得する。
ステップS104において、生成機能132は、辺縁セグメントのk空間データを複製して、k-t空間データを生成する。例えば、生成機能132は、セグメントAのk空間データに対して、セグメントAの心時相に近い心時相を有する辺縁セグメントのk空間データを結合させる。そして、生成機能132は、辺縁セグメントのうち、中心セグメントに対応する時相のk空間データが存在しない時相については、位相エンコード量が一致する他の時相のk空間データを複製することで、複数時相のk空間データを生成する。
図7及び図8を用いて、生成機能132によるk-t空間データの生成について説明する。図7及び図8において、縦軸に示した「k」は、位相エンコード方向に対応し、横軸に示した「t」は、時相方向に対応する。また、図7及び図8において、黒丸印は、収集されたk空間データの位置を示し、白丸印は、複製されたk空間データの位置を示す。
図7に示すように、生成機能132は、心時相情報に基づいて、中心セグメントのk空間データ及び辺縁セグメントのk空間データをブロック単位で結合させる。ここで、「心時相情報」とは、1心周期における時相方向の位置を示す情報である。例えば、心時相情報は、RR間隔を100%とした場合に、収集されたk空間データがRR間隔の起点から何%の位置で収集されたかを示す。心時相情報は、各k空間データの収集時刻と、当該k空間データの前後のトリガー信号の検出時刻とに基づいて算出可能である。
例えば、生成機能132は、セグメントBの時相PB1~時相PB4を含むブロックの心時相情報を算出する。具体的には、生成機能132は、時相PB1~時相PB4に含まれる16ラインのk空間データのうち8番目に収集されたラインのk空間データの心時相情報を、セグメントBの時相PB1~時相PB4を含むブロックの心時相情報として算出する。
また、生成機能132は、セグメントAの各ブロックの心時相情報を算出する。具体的には、生成機能132は、時相PA1~時相PA4に含まれる16ラインのk空間データのうち8番目に収集されたラインのk空間データの心時相情報を、セグメントAの時相PA1~時相PA4を含むブロックの心時相情報として算出する。また、生成機能132は、時相PA5~時相PA8に含まれる16ラインのk空間データのうち8番目に収集されたラインのk空間データの心時相情報を、セグメントAの時相PA5~時相PA8を含むブロックの心時相情報として算出する。同様に、生成機能132は、時相PA25~時相PA28を含むブロックまで、各ブロックの心時相情報を算出する。
そして、生成機能132は、セグメントBの時相PB1~時相PB4を含むブロックの心時相情報と、セグメントAの各ブロックの心時相情報とを比較する。ここで、セグメントBの時相PB1~時相PB4を含むブロックの心時相情報と、セグメントAの時相PA1~時相PA4を含むブロックの心時相情報とが最も近い場合には、生成機能132は、領域R21及び領域R22にセグメントBのk空間データを結合させる(配置する)。
そして、図8に示すように、生成機能132は、領域R21に含まれるk空間データを、領域R31にブロック単位で複製する。この領域R31は、セグメントBのうち、セグメントAに対応する時相のk空間データが存在しない時相を含む領域である。このため、生成機能132は、領域R21に含まれる8ラインのk空間データを領域R31にブロック単位(4時相単位)で複製する。また、生成機能132は、領域R22に含まれる8ラインのk空間データについても同様に、領域R32にブロック単位で複製する。
このように、生成機能132は、セグメントAのk空間データに対して、セグメントAの心時相に近い心時相を有する辺縁セグメントのk空間データを結合させる。そして、生成機能132は、辺縁セグメントのうち、中心セグメントに対応する時相のk空間データが存在しない時相については、位相エンコード量が一致する他の時相のk空間データを複製することで、28時相分のk空間データを生成する。
なお、図7及び図8の説明はあくまで一例であり、図示の内容に限定されるものではない。例えば、辺縁セグメントが1ブロック分しか収集されていない場合には、いずれのブロックにも同一のk空間データが配置されることとなる。このため、生成機能132は、セグメントAのk空間データとセグメントBのk空間データとを結合させる際に、必ずしも心時相の近いものを結合させなくても良い。
また、生成機能132がブロック単位で処理(結合及び複製)を行ったのは、セグメント間のサンプリングパターンを揃えるためである。つまり、生成機能132は、セグメント間のサンプリングパターンが一致するように結合及び複製を行う場合には、必ずしもブロック単位で処理を実行しなくても良い。
ステップS105において、再構成機能133は、再構成処理を実行する。例えば、再構成機能133は、非単純間引きサンプリング(例えばk-t SENSE)に対応する再構成処理により、生成された複数時相のk空間データから、複数時相の画像データを再構成する。
ステップS106において、出力制御機能134は、複数の画像データを出力する。例えば、出力制御機能134は、再構成機能133により生成された複数時相の画像データのなかから、予め設定された各時相に近い心時相情報を有する画像データを選択する。そして、出力制御機能134は、選択した複数時相の画像データをシネ再生する。
図9を用いて、再構成機能133及び出力制御機能134の処理について説明する。図9の1段目(最上段)には、生成機能132により生成された複数時相のk空間データ、つまり、図8のk-t空間データを例示する。なお、図9には、図示の都合上、k-t空間データの一部を例示する。また、図9の2段目には、再構成処理により生成される画像データを例示する。また、図9の3段目には、時相PA1から時相PA28に対応するトリガー信号の検出タイミングを例示する。また、図9の4段目(最下段)には、取得枚数に応じて選択(並べ替え)された画像データを例示する。
例えば、再構成機能133は、複数時相のk空間データを、フーリエ変換により画像空間と時間スペクトルとから成るx-f空間データに変換する。また、k-t SENSEを用いる場合には、再構成機能133は、x-f空間上の感度マップを用いて、x-f空間データにおける折り返し信号が除去されたx-f空間データを生成する。そして、再構成機能133は、生成したx-f空間データを逆フーリエ変換によりx-t空間データに変換することにより、時系列順に並ぶ複数時相の画像データ(MR画像データ)を生成する。
すなわち、図9に示すようには、再構成機能133は、予め設定されたサンプリングパターンに応じて再構成処理を実行することで、28時相分のk空間データから28時相分(28枚分)の画像データを生成する(図9の2段目)。なお、ここで生成される各画像データの時相は、セグメントA(中心セグメント)の時相PA1から時相PA28にそれぞれ対応する。
そして、出力制御機能134は、相PA1から時相PA28までの28枚分の画像データのなかから、時相P1~時相P24の心時相情報に最も近い心時相情報を有する画像データを選択する。これにより、出力制御機能134は、予め設定された取得枚数「24枚」に対応する枚数の画像データを選択する。そして、出力制御機能134は、選択した24枚の画像データを用いて、シネ再生する。
なお、図9の説明はあくまで一例であり、図示の内容に限定されるものではない。例えば、出力制御機能138による出力形態は、シネ再生に限定されるものではない。例えば、出力制御機能134は、時系列に並ぶ複数時相の画像データを並べて表示させることもできる。また、出力制御機能134は、複数時相の画像データを記憶回路122に格納したり、ネットワークは記憶媒体を介してMRI装置100の外部の装置へ送ったりすることもできる。
このように、本実施形態に係るMRI装置100は、操作者により設定された取得枚数の画像データを撮像し、提供する。なお、図3に示した処理手順はあくまで一例であり、実施形態はこれに限定されるものではなく、処理内容に矛盾しない範囲で任意に変更可能である。例えば、ステップS102の処理は、ステップS103の処理の後に実行されても良い。
上述してきたように、第1の実施形態に係るMRI装置100は、非単純間引きサンプリングにおいて、位相エンコード量が互いに異なる複数のセグメントのうち、辺縁部に対応する辺縁セグメントの収集頻度を、中心部に対応する中心セグメントより低頻度で収集する。そして、MRI装置100は、辺縁セグメントのうち、中心セグメントに対応する時相のk空間データが存在しない時相については、位相エンコード量が一致する他の時相のk空間データを複製することで、複数時相のk空間データを生成する。そして、MRI装置100は、非単純間引きサンプリングに対応する再構成処理により、生成された複数時相のk空間データから複数時相の画像データを再構成する。これにより、MRI装置100は、心臓シネ撮像の高速化を実現することができる。
すなわち、MRI装置100は、画像データにフーリエ変換を施した際の低周波成分に対応する中心セグメントについては全時相にわたってk空間データを収集し、高周波成分に対応する辺縁セグメントについては一部の時相(例えば、1ブロック相当の時相分)についてのみk空間データを収集する。そして、MRI装置100は、辺縁セグメントのうち不足している時相のk空間データについては、収集されている時相のk空間データを複製してk-t空間を埋める。これにより、MRI装置100は、心臓シネ撮像の高速化を実現することができる。
例えば、画像データにフーリエ変換を施した際の高周波成分は、画像データにおける微細な構造の描出に寄与すると言われている。ここで、再構成画像のうち「動きの大きい領域」は、主に心臓壁の輪郭であり、微細な構造をほとんど含まず、元々鮮明に描出され易い。このため、動きの大きい領域は、高周波成分に対応するk空間データとして他の時相のk空間データが利用されたとしても、画質がほとんど低下しない。
また、再構成画像のうち「動きの小さい領域」は、肺、脊椎、胸骨など、様々な構造物を含むため、微細な構造を含み得る。しかしながら、動きの小さい領域は、時相方向における変化が小さい領域であるため、高周波成分に対応するk空間データとして他の時相のk空間データが利用されたとしても、画質がほとんど低下しない。
したがって、本実施形態に係るMRI装置100は、辺縁セグメントのうち一部のk空間データを収集しないにもかかわらず、再構成画像の画質をほとんど低下させずに、心臓シネ撮像の高速化を実現することができる。
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、2つのセグメントに分けてk空間データが収集される場合を説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、収集機能131は、3つ以上のセグメントに分けてk空間データを収集することが可能である。そこで、第2の実施形態では、収集機能131が3つ以上のセグメントに分けてk空間データを収集する場合を説明する。
第2の実施形態に係る収集機能131は、位相エンコード方向において中心セグメントから遠いセグメントほど低頻度で収集する。そして、第2の実施形態に係る生成機能132は、辺縁セグメントの中に、同一位相エンコード量のk空間データが複数存在する場合には、心時相が近い方のk空間データを選択して複製する。
図10、図11、及び図12は、第2の実施形態に係るMRI装置100の処理を説明するための図である。図10、図11、及び図12において、縦軸に示した「k」は、位相エンコード方向に対応し、横軸に示した「t」は、時相方向に対応する。また、図10、図11、及び図12において、セグメントAは、中心セグメントに対応し、セグメントB及びセグメントCは、辺縁セグメントに対応する。
図10に示す例では、操作者は、セグメントBのうち、領域R41、領域R42、領域R43、及び領域R44に含まれる32ラインのk空間データを収集することを指定する。この場合、k-t空間データの「28時相」のうち、実際に収集される時相数は「8時相」であるので、セグメントBの収集頻度は「2/7」となる。
また、操作者は、セグメントCのうち、領域R45及び領域R46に含まれる8ラインのk空間データを収集することを指定する。この場合、k-t空間データの「28時相」のうち、実際に収集される時相数は「4時相」であるので、セグメントCの収集頻度は「1/7」となる。
そして、収集機能131は、図10に示した収集頻度に基づいてシーケンス情報を生成し、シーケンス制御回路110に撮像を実行させる。これにより、収集機能131は、セグメントAについては56ラインのk空間データを収集し、セグメントBについては32ラインのk空間データを収集し、セグメントCについては8ラインのk空間データを収集する。
そして、図11に示すように、生成機能132は、心時相情報に基づいて、中心セグメントのk空間データ及び辺縁セグメントのk空間データをブロック単位で結合させる。例えば、生成機能132は、領域R41に含まれるk空間データを、領域R51に配置する(結合させる)。また、生成機能132は、領域R42に含まれるk空間データを、領域R52に配置する。また、生成機能132は、領域R43に含まれるk空間データを、領域R53に配置する。また、生成機能132は、領域R44に含まれるk空間データを、領域R54に配置する。なお、心時相情報に基づく結合処理については、第1の実施形態にて説明した内容と同様である。
そして、図12に示すように、生成機能132は、領域R51に含まれる8ラインのk空間データを、領域R61にブロック単位で複製する。また、生成機能132は、領域R52に含まれる8ラインのk空間データを、領域R62にブロック単位で複製する。また、生成機能132は、領域R53に含まれる8ラインのk空間データを、領域R63にブロック単位で複製する。また、生成機能132は、領域R54に含まれる8ラインのk空間データを、領域R64にブロック単位で複製する。
なお、図示しないが、セグメントCについては、上述した処理と同様に結合及び複製することで、k-t空間を埋めることができる。
このように、第2の実施形態に係る収集機能131は、位相エンコード方向において中心セグメントから遠いセグメントほど低頻度で収集する。これにより、収集機能131は、中心セグメントに近いほど多くのk空間データを収集することができる。また、第2の実施形態に係る生成機能132は、辺縁セグメントの中に、同一位相エンコード量のk空間データが複数存在する場合には、心時相が近い方のk空間データを選択して複製する。これにより、生成機能132は、心時相の誤差を低減させることができる。
(その他の実施形態)
上述した実施形態以外にも、種々の異なる形態にて実施されてもよい。
(被検体による撮像開始指示の入力)
例えば、上記の実施形態は、RMC(realtime motion correction)法を併用可能である。これは、操作者により息止めの指示が聞こえにくい被検体や、息止めが困難な被検体において有用である。
例えば、被検体Pは、手持ちの入力装置を用いて、息止めを開始するタイミングで撮像開始指示を入力する。この撮像開始指示は、収集機能131に送信される。収集機能131は、被検体による撮像開始指示の入力を契機として、k空間データの収集を開始する。
(ネットワーク上の再構成装置)
また、例えば、上述した実施形態に係る処理機能は、ネットワーク上の再構成装置として提供可能である。この再構成装置は、例えば、ネットワークを介した情報処理サービス(クラウドサービス)を提供可能である。
図13は、その他の実施形態に係る再構成装置の構成例を示すブロック図である。図13に示すように、例えば、情報処理サービスを提供するサービスセンタには、再構成装置200が設置される。再構成装置200は、操作端末201に接続される。また、再構成装置200は、ネットワーク202を介して複数のクライアント端末203A,203B,・・・,203Nに接続される。なお、再構成装置200及び操作端末201は、ネットワーク202を介して接続されてもよい。また、複数のクライアント端末203A,203B,・・・,203Nを区別無く総称する場合、「クライアント端末203」と記載する。
操作端末201は、再構成装置200を操作する者(操作者)が利用する情報処理端末である。例えば、操作端末201は、マウス、キーボード、タッチパネル等、操作者からの各種の指示や設定要求を受け付けるための入力装置を備える。また、操作端末201は、画像を表示したり、操作者が入力装置を用いて各種設定要求を入力するためのGUIを表示したりする表示装置を備える。操作者は、操作端末201を操作することで、各種の指示や設定要求を再構成装置200に送信したり、再構成装置200内部の情報を閲覧したりすることができる。また、ネットワーク202は、インターネット、WAN(Wide Area Network)、LAN(Local Area Network)等、任意の通信網である。
クライアント端末203は、情報処理サービスを利用する利用者が操作する情報処理端末である。ここで、利用者は、例えば、医療機関に従事する医師や技師などの医療従事者である。例えば、クライアント端末203は、パーソナルコンピュータやワークステーション等の情報処理装置、又は、MRI装置に含まれるコンソール装置等の医用画像診断装置の操作端末に対応する。クライアント端末203は、再構成装置200により提供される情報処理サービスを利用可能なクライアント機能を有する。なお、このクライアント機能は、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態でクライアント端末203に予め記録されている。
再構成装置200は、通信インタフェース210、記憶回路220、及び処理回路230を備える。通信インタフェース210、記憶回路220、及び処理回路230は、相互に通信可能に接続される。
通信インタフェース210は、例えば、ネットワークカードやネットワークアダプタである。通信インタフェース210は、ネットワーク202に接続することで、再構成装置200と外部装置との間での情報通信を行う。
記憶回路220は、例えば、NAND(Not AND)型フラッシュメモリやHDD(Hard Disk Drive)であり、医用画像データやGUIを表示するための各種のプログラムや、当該プログラムによって用いられる情報を記憶する。
処理回路230は、再構成装置200における処理全体を制御する電子機器(プロセッサ)である。処理回路230は、収集機能231、生成機能232、再構成機能233、及び出力制御機能234を有する。処理回路230が実行する各処理機能は、例えば、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態で記憶回路220内に記録されている。処理回路230は、各プログラムを読み出し、実行することで読み出した各プログラムに対応する機能を実現する。
収集機能231、生成機能232、再構成機能233、及び出力制御機能234は、図1に示した収集機能131、生成機能132、再構成機能133、及び出力制御機能134と基本的に同様の処理を実行可能である。
例えば、利用者は、クライアント端末203を操作して、サービスセンタにある再構成装置200へ複数のk空間データを送信する(アップロードする)旨の指示を入力する。複数のk空間データを送信する指示が入力されると、クライアント端末203は、再構成装置200へ複数のk空間データを送信する。ここで、複数のk空間データは、シーケンス制御回路110により収集されたセグメント単位に分割された複数のk空間データである。
そして、再構成装置200は、クライアント端末203から送信された複数のk空間データを受信する。これにより、再構成装置200において、収集機能231は、非単純間引きサンプリングにおいて、位相エンコード量が互いに異なる複数のセグメントのうち、辺縁部に対応する辺縁セグメントの収集頻度を、中心部に対応する中心セグメントより低頻度で収集する。そして、生成機能232は、辺縁セグメントのうち、中心セグメントに対応する時相のk空間データが存在しない時相については、位相エンコード量が一致する他の時相のk空間データを複製することで、複数時相のk空間データを生成する。そして、再構成機能233は、非単純間引きサンプリングに対応する再構成処理により、生成された複数時相のk空間データから複数時相の画像データを再構成する。そして、出力制御機能134は、再構成された画像データをクライアント端末203に送信する(ダウンロードさせる)。これにより、再構成装置200は、心臓シネ撮像の高速化を実現することができる。
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況等に応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。更に、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部又は任意の一部が、CPU及び当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、或いは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
また、上述した実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行なわれるものとして説明した処理の全部又は一部を手動的に行なうこともでき、或いは、手動的に行なわれるものとして説明した処理の全部又は一部を公知の方法で自動的に行なうこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
また、上述した実施形態で説明した画像再構成方法は、予め用意された画像再構成プログラムをパーソナルコンピュータやワークステーション等のコンピュータで実行することによって実現することができる。この画像再構成プログラムは、インターネット等のネットワークを介して配布することができる。また、この超音波イメージング方法は、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD-ROM、MO、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行することもできる。
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、心臓シネ撮像の高速化を実現することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。