以下、図面を参照して、実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置を説明する。なお、実施形態は、以下の実施形態に限られるものではない。また、一つの実施形態に記載した内容は、原則として他の実施形態にも同様に適用可能である。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係るMRI装置100を示すブロック図である。図1に示すように、MRI装置100は、静磁場磁石101と、傾斜磁場コイル102と、傾斜磁場電源103と、寝台104と、寝台制御回路105と、送信コイル106と、送信回路107と、受信コイルアレイ108と、受信回路109と、シーケンス制御回路110と、ECG(Electrocardiogram)回路111と、計算機システム120とを備える。なお、MRI装置100に被検体P(例えば、人体)は含まれない。
静磁場磁石101は、中空の円筒形状(円筒の軸に直交する断面が楕円状となるものを含む)に形成された磁石であり、内部の空間に一様な静磁場を発生する。静磁場磁石101は、例えば、永久磁石、超伝導磁石などである。
傾斜磁場コイル102は、中空の円筒形状(円筒の軸に直交する断面が楕円状となるものを含む)に形成されたコイルであり、静磁場磁石101の内側に配置される。傾斜磁場コイル102は、互いに直交するX,Y,Zの各軸に対応する3つのコイルが組み合わされて形成されており、これら3つのコイルは、傾斜磁場電源103から個別に電流の供給を受けて、X、Y、Zの各軸に沿って磁場強度が変化する傾斜磁場を発生する。ここで、傾斜磁場コイル102によって発生するX,Y,Z各軸の傾斜磁場は、例えば、スライス選択用傾斜磁場Gs、位相エンコード用傾斜磁場Ge及びリードアウト用傾斜磁場Grにそれぞれ対応する。スライス選択用傾斜磁場Gsは、任意に撮像断面を決めるために利用される。位相エンコード用傾斜磁場Geは、空間的位置に応じてMR信号の位相を変化させるために利用される。リードアウト用傾斜磁場Grは、空間的位置に応じてMR信号の周波数を変化させるために利用される。
傾斜磁場電源103は、傾斜磁場コイル102に電流を供給する。例えば、傾斜磁場電源103は、傾斜磁場コイル102を形成する3つのコイルのそれぞれに、個別に電流を供給する。
寝台104は、被検体Pが載置される天板104aを備え、寝台制御回路105による制御のもと、天板104aを、被検体Pが載置された状態で傾斜磁場コイル102の空洞(撮像口)内へ挿入する。通常、寝台104は、長手方向が静磁場磁石101の中心軸と平行になるように設置される。
寝台制御回路105は、計算機システム120による制御のもと、寝台104を駆動して天板104aを長手方向及び上下方向へ移動するプロセッサである。
送信コイル106は、傾斜磁場コイル102の内側に配置され、送信回路107からRFパルスの供給を受けて、高周波磁場を発生する。
送信回路107は、対象とする原子の種類及び磁場の強度で決まるラーモア周波数に対応するRFパルスを送信コイル106に供給する。
受信コイルアレイ108は、傾斜磁場コイル102の内側に配置され、高周波磁場の影響によって被検体Pから発せられる磁気共鳴信号(以下、MR信号又はエコー信号と称する)を受信する。受信コイルアレイ108は、MR信号を受信すると、受信したMR信号を受信回路109へ出力する。なお、第1の実施形態において、受信コイルアレイ108は、1以上、典型的には複数の受信コイルを有するコイルアレイである。
受信回路109は、受信コイルアレイ108から出力されるMR信号に基づいてMRデータを生成する。例えば、受信回路109は、受信コイルアレイ108から出力されるMR信号をデジタル変換することによってMRデータ(エコーデータとも称する)を生成する。また、受信回路109は、生成したMRデータをシーケンス制御回路110へ送信する。なお、受信回路109は、静磁場磁石101や傾斜磁場コイル102などを備える架台装置側に備えられていてもよい。
シーケンス制御回路110は、計算機システム120から送信されるシーケンス情報に基づいて、傾斜磁場電源103、送信回路107及び受信回路109を駆動することによって、被検体Pの撮像を行う。例えば、シーケンス制御回路110は、プロセッサにより実現される。ここで、シーケンス情報は、撮像を行うための手順を定義した情報である。シーケンス情報には、傾斜磁場電源103が傾斜磁場コイル102に供給する電源の強さや電源を供給するタイミング、送信回路107が送信コイル106に送信するRFパルスの強さやRFパルスを印加するタイミング、受信回路109がMR信号を検出するタイミングなどが定義される。
なお、シーケンス制御回路110は、傾斜磁場電源103、送信回路107及び受信回路109を駆動して被検体Pを撮像した結果、受信回路109からMRデータを受信すると、受信したMRデータを計算機システム120へ転送する。
ECG回路111は、ECGセンサ111aから出力される心電信号に基づいて、所定の心電波形を検出する。ECGセンサ111aは、被検体Pの体表に装着され、被検体Pの心電信号を検出するセンサである。ECGセンサ111aは、検出した心電信号をECG回路111に出力する。
例えば、ECG回路111は、所定の心電波形として、R波を検出する。そして、ECG回路111は、R波を検出したタイミングでトリガー信号を生成し、生成したトリガー信号をインタフェース回路121に出力する。トリガー信号は、インタフェース回路121により記憶回路122に格納される。ここで、トリガー信号は、無線通信によって、ECG回路111からインタフェース回路121へ送信されてもよい。なお、本実施形態では、心電信号をECGセンサ111aにより検出する場合を説明するが、これに限らず、例えば、脈波計により検出されてもよい。また、図1において、ECGセンサ111aおよびECG回路111がMRI装置100の一部となる例を説明したが、これに限らない。つまり、MRI装置100とは別に設けられたECGセンサ111aおよびECG回路111から得られる心電信号をMRI装置100が取得するようにしてもよい。
計算機システム120は、MRI装置100の全体制御や、データ収集、画像再構成などを行う。計算機システム120は、インタフェース回路121、記憶回路122、処理回路123、入力インタフェース124、及びディスプレイ125を有する。
インタフェース回路121は、シーケンス情報をシーケンス制御回路110へ送信し、シーケンス制御回路110からMRデータを受信する。また、インタフェース回路121は、MRデータを受信すると、受信したMRデータを記憶回路122に格納する。記憶回路122に格納されたMRデータは、処理回路123によってk空間に配置される。この結果、記憶回路122は、複数チャネル分のk空間データを記憶する。このようにして、k空間データが収集される。インタフェース回路121は、例えば、ネットワークインタフェースカードにより実現される。
記憶回路122は、インタフェース回路121によって受信されたMRデータや、後述の取得機能123aによってk空間に配置された時系列データ(k-t空間データ)、後述する再構成機能123dによって生成された画像データなどを記憶する。また、記憶回路122は、各種のプログラムを記憶する。記憶回路122は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスク等により実現される。
入力インタフェース124は、医師や診療放射線技師等の操作者からの各種指示や情報入力を受け付ける。入力インタフェース124は、例えば、トラックボール、スイッチボタン、マウス、キーボード等によって実現される。入力インタフェース124は、処理回路123に接続されており、操作者から受け取った入力操作を電気信号に変換して処理回路123へと出力する。
ディスプレイ125は、処理回路123による制御のもと、各種GUI(Graphical User Interface)や、再構成機能123dによって生成されたMR(Magnetic Resonance)画像等を表示する。
処理回路123は、MRI装置100の全体制御を行う。具体的には、処理回路123は、入力インタフェース124を介して操作者から入力される撮像条件に基づいてシーケンス情報を生成し、生成したシーケンス情報をシーケンス制御回路110に送信することによって撮像を制御する。また、処理回路123は、撮像の結果としてシーケンス制御回路110から送られるMRデータに基づいて行われる画像の再構成を制御したり、ディスプレイ125による表示を制御したりする。処理回路123は、プロセッサにより実現される。
処理回路123は、取得機能123aと、算出機能123bと、生成機能123cと、再構成機能123dとを有する。なお、取得機能123aは、取得部の一例である。また、算出機能123bは、算出部の一例である。また、生成機能123cは、生成部の一例である。また、再構成機能123dは、再構成部の一例である。
ここで、例えば、処理回路123の構成要素である取得機能123a、算出機能123b、生成機能123c、及び再構成機能123dの各処理機能は、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態で記憶回路122に記憶されている。処理回路123は、各プログラムを記憶回路122から読み出し、読み出した各プログラムを実行することで、各プログラムに対応する機能を実現する。換言すると、各プログラムを読み出した状態の処理回路123は、図1の処理回路123内に示された各機能を有することとなる。なお、取得機能123a、算出機能123b、生成機能123c、及び再構成機能123dによる各処理については、後述する。
以上、本実施形態に係るMRI装置100の全体的な構成について説明した。このような構成のもと、本実施形態に係るMRI装置100は、アーチファクトを低減するために、以下に説明する各処理機能を備える。
すなわち、第1の実施形態に係るMRI装置100は、取得機能123a、算出機能123b、生成機能123c、及び再構成機能123dを有する。取得機能123aは、時系列に沿って被検体の心電信号を取得するとともに、時系列に沿って複数の第1エコーデータを取得する。算出機能123bは、心電信号に基づいて、複数の第1エコーデータそれぞれの心時相情報を算出する。生成機能123cは、複数の第1エコーデータのうち予め設定された期間内に含まれる複数の第1エコーデータに対して、複素加算を用いた処理を実行することで、各位相エンコード量に対応する第2エコーデータを生成する。再構成機能123dは、第2エコーデータを用いて画像データを再構成する。
図2を用いて、第1の実施形態に係るMRI装置100による処理手順を説明する。図2は、第1の実施形態に係るMRI装置100による処理手順を示すフローチャートである。図2に示す処理手順は、例えば、操作者により入力された撮像開始要求を契機として開始される。
ステップS101において、取得機能123aは、複数のエコーデータ及び心電信号を取得する。なお、取得機能123aにより取得されるエコーデータは、第1エコーデータの一例である。
例えば、取得機能123aは、入力インタフェース124を介して操作者から入力される撮像条件に基づいてシーケンス情報を生成する。例えば、操作者は、各種の撮像条件を入力する。レトロスペクティブゲート法においては、操作者は、1心拍期間の定義情報と、1心拍期間において撮像する画像の取得枚数とを入力する。
ここで、1心拍期間の定義情報とは、1心周期に対応する期間(RR間隔)を定義した時間情報である。例えば、操作者は、1心周期を「960msec」と定義する。ここで、1心周期に対応する期間を定義するのは、心拍には揺らぎが存在するからである。例えば、健常者においても、各心拍のRR間隔は900msec~1100msec程度の範囲で揺らぐことが知られている。そこで、MRI装置100は、操作者が定義した期間に合わせて各心拍のRR間隔を時間的に伸縮させることで、所望の心周期を有する時系列の画像を撮像する。なお、本実施形態では、1心周期が「960msec」に定義される場合を説明するが、任意の時間に設定可能である。
また、画像の取得枚数とは、1心拍期間において画像化される画像の枚数(時相数)に対応する。例えば、操作者は、取得枚数として「8枚」を指定する。これにより、MRI装置100は、1心周期の中で等間隔に並んだ8枚の画像を撮像する。定義情報により1心周期が「960msec」に定義される場合には、「60msec」、「180msec」、「300msec」、「420msec」、「540msec」、「660msec」、「780msec」、及び「900msec」の8つの心時相に対応する8枚の画像が撮像される。なお、本実施形態では、取得枚数が「8枚」である場合を説明するが、任意の枚数に設定可能である。また、1心周期の中で撮像される各画像は、必ずしも等間隔に並んでいなくても良い。
そして、取得機能123aは、操作者により入力された定義情報と、画像の枚数とに基づいて、シーケンス情報を生成する。そして、取得機能123aは、生成したシーケンス情報をシーケンス制御回路110に送信する。シーケンス制御回路110は、取得機能123aから受信したシーケンス情報に基づいて、サンプリングを行う。
図3、図4、及び図5を用いて、第1の実施形態に係るサンプリングについて説明する。図3、図4、及び図5は、第1の実施形態に係るサンプリングについて説明するための図である。図3及び図4において、横方向は撮像時間に対応する。図5において、縦方向は位相エンコード(PE:Phase Encode)方向に対応し、横方向はリードアウト(RO:Read Out)方向に対応する。
図3の上段に示すように、ECG回路111は、サンプリングが開始されると、心電信号の検出を開始する。ECG回路111は、ECGセンサ111aにより検出される心電信号からR波を検出する。そして、ECG回路111は、R波を検出したタイミングでトリガー信号を生成する。そして、ECG回路111は、生成したトリガー信号を、インタフェース回路121を経て記憶回路122に格納する。トリガー信号の検出時刻は、エコーデータのサンプリング時刻と対応づけ可能である。
図3では、シーケンス制御回路110がセグメント分割を用いてサンプリングを行う場合を説明する。例えば、シーケンス制御回路110は、位相エンコード数が「128」のエコーデータを、16セグメントに分けてサンプリングを行う。なお、各セグメントのサンプリング期間は、心拍の揺らぎの影響によりデータが不足しないように、定義された1心周期(RR間隔)を120%程度充足するように設定される。例えば、1心周期が「960msec」に定義される場合には、各セグメントのサンプリング期間は、「1152msec」に設定される。
なお、以下の説明では、128の位相エンコードのうち位相エンコード量の違いに応じて区別される位置を、PE「1」,PE「2」,PE「3」,・・・PE「128」と表記する。この表記において、括弧内の数字は位相エンコード量の違いに対応し、サンプリング順序とは必ずしも対応しないものである。
図3の下段に示すように、シーケンス制御回路110は、位相エンコード量を変えながら、各セグメントのエコー信号のサンプリングを行う。例えば、図3の実線枠内に示すように、セグメントS1では、シーケンス制御回路110は、位相エンコード量をPE「1」からPE「8」に上げる制御を繰り返しながら、サンプリングを行う。具体的には、シーケンス制御回路110は、PE「1」からPE「8」までは位相エンコード量を一定の勾配で上げ、次の時相でPE「1」に戻し、再びPE「8」まで一定の勾配で上げるという制御を繰り返す。なお、図3の実線枠内は、図3の下段の破線枠内の図の拡大図に対応する。
そして、シーケンス制御回路110は、位相エンコード量を変えながら励起パルスを印加することで、エコー信号を収集する。例えば、図3の実線枠内に示すように、シーケンス制御回路110は、位相エンコード量をPE「1」からPE「8」に上げながら、各位相エンコード量に対応するタイミングで励起パルス11~18を印加する。この結果、シーケンス制御回路110は、各励起パルス11~18が印加されるごとに、各エコー信号21~28を順次収集する。
セグメントS2~S16についても同様に、シーケンス制御回路110は、位相エンコード量を変えながら励起パルスを印加することで、エコー信号を収集する。セグメントS2では、シーケンス制御回路110は、位相エンコード量をPE「9」からPE「16」に上げる制御を繰り返しながら、サンプリングを行う。また、セグメントS3では、シーケンス制御回路110は、位相エンコード量をPE「17」からPE「24」に上げる制御を繰り返しながら、サンプリングを行う。
このように、シーケンス制御回路110は、位相エンコード量を変えながらサンプリングを行うことで、PE「128」までの全ての位相エンコードに対応するエコー信号をサンプリングする。
サンプリングされた各エコー信号は、デジタル変換により各エコーデータに変換され、シーケンス制御回路110に収集される。各エコーデータは、サンプリング時刻と位相エンコード量とを有する情報である。
例えば、図4に示すように、各エコー信号21~28がデジタル変換された各エコーデータ31~38は、各励起パルス11~18が印加された時点の位相エンコード量を有する。つまり、各エコーデータ31~38は、PE「1」~PR「8」をそれぞれ有する。このため、図4に示すように、横軸を時間とし、縦軸を位相エンコード量とした空間(k-t空間)においては、各エコーデータ31~38は、図3の勾配に沿って配置される。
また、図5に示すように、各エコーデータは、k空間の1ラインに相当するk空間データである。つまり、各エコーデータは、一定の位相エンコード量を有し、リードアウト方向に延在する1ラインのk空間データに対応する。例えば、図4の各エコーデータ31~38は、図5のセグメントS1に含まれる8本のラインに対応する。なお、セグメントS2~S16にもそれぞれ8ラインのエコーデータが含まれる。セグメントS1~S16のサンプリングにより収集される合計128ラインのエコーデータが、画像1枚分に相当する。
このように、取得機能123aは、セグメント分割によりサンプリングされた複数のエコーデータをシーケンス制御回路110から取得する。また、取得機能123aは、サンプリングの際に記録されたトリガー信号の検出タイミングを記憶回路122から取得する。
なお、図3~図5に図示した内容はあくまで一例であり、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、撮像時間を短縮化するためにはセグメント分割を行うのが好適であるが、シーケンス制御回路110は、必ずしもセグメント分割を行わなくても良い。この場合、シーケンス制御回路110は、一定の位相エンコード量に対応する傾斜磁場が印加された状態で、複数時相のエコーデータを収集する。また、サンプリング順序はシーケンシャルに限らず、セントリックやインターリーブ等の任意の順序でサンプリング可能である。
図2の説明に戻る。ステップS102において、算出機能123bは、各エコーデータの心時相情報を算出する。ここで、心時相情報は、1心拍における時相方向の位置を示す情報である。例えば、心時相情報は、RR間隔を100%とした場合に、収集されたk空間データがRR間隔の起点(トリガー信号)から何%の位置で収集されたかを示す。
一例としては、まず、算出機能123bは、算出対象であるエコーデータが含まれる心拍の実際のRR間隔を算出する。次に、算出機能123bは、算出対象であるエコーデータのサンプリング時刻と、直前に検出されたトリガー信号の検出時刻との差分値を算出する。そして、算出機能123bは、算出した差分値を実際のRR間隔で除算することで、心時相情報[%]を算出する。
このように、算出機能123bは、各エコーデータについて、心時相情報を算出する。なお、上記の算出方法はあくまで一例であり、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、算出機能123bは、実際のRR間隔に代えて定義情報のRR間隔を利用することで、算出処理を簡易化しても良い。
ステップS103において、生成機能123cは、各位相エンコード量について、複数のエコーデータのうち所定期間内に含まれる複数のエコーデータを特定する。
図6、図7、図8、及び図9を用いて、第1の実施形態に係る生成機能123cの処理を説明する。図6、図7、図8、及び図9は、第1の実施形態に係る生成機能123cの処理を説明するための図である。なお、図6、図7、図8、及び図9では、定義情報の1心周期が「960msec」であり、各セグメントのサンプリング期間が「1152msec」である場合を説明する。
まず、生成機能123cは、複数のエコーデータを、横軸を心時相情報[%]とするk-t空間に配置する。k-t空間とは、横軸を時間とし、縦軸を位相エンコード量とした空間であり、時系列のk空間に相当する。ここでは、操作者により定義された1心周期のシネ撮像を行うために、横軸を心時相情報[%]としたk-t空間が利用される。
例えば、生成機能123cは、各エコーデータの心時相情報及び位相エンコード量に基づいて、各エコーデータをk-t空間に配置する。つまり、生成機能123cは、k-t空間において各エコーデータの心時相情報及び位相エンコード量に対応する位置に、各エコーデータを配置する。なお、各セグメントのサンプリング期間は、定義情報の1心周期(RR間隔)を120%程度充足するように設定されているため、時間方向(心時相方向)の一部において重なりが生じる。
図6では、セグメントS1に含まれる複数のエコーデータをk-t空間に配置する場合を説明する。セグメントS1に含まれる各エコーデータは、図4に示したように、PE「1」からPE「8」のいずれかに対応する。このため、生成機能123cは、k-t空間のうちPE「1」からPE「8」までのいずれかに対応する位置に、セグメントS1に含まれる複数のエコーデータを配置する。
ここで、セグメントS1のサンプリングは、1つ目のトリガー信号と同時に開始され、2つ目のトリガー信号が検出された後に終了する。この場合、セグメントS1は、1つ目のトリガー信号と2つ目のトリガー信号との間に収集された小セグメントS1-1と、2つ目のトリガー信号の後に収集された小セグメントS1-2とに分けられる。
小セグメントS1-1は、心時相情報が「0%」から「100%」までに対応する複数のエコーデータを含む。このため、生成機能123cは、k-t空間のうち心時相情報が「0%」から「100%」までに対応する位置に、小セグメントS1-1に含まれる複数のエコーデータを配置する。ここで、小セグメントS1-1のサンプリング期間は、実際のRR間隔に依存するため、「960msec」に一致するとは限らない。このため、生成機能123cは、各エコーデータの心時相情報に基づいて、各エコーデータをk-t空間に配置する。つまり、生成機能123cは、小セグメントS1-1に含まれる複数のエコーデータを時間方向に伸縮させてk-t空間に配置する。
また、小セグメントS1-2は、心時相情報が「0%」から「20%」までに対応する複数のエコーデータを含む。このため、生成機能123cは、k-t空間のうち心時相情報が「0%」から「20%」までに対応する位置に、小セグメントS1-2に含まれる複数のエコーデータを配置する。
この結果、k-t空間のうち心時相情報が「0%」から「20%」までに対応する範囲には、小セグメントS1-1及び小セグメントS1-2のエコーデータが二重に含まれることとなる。
図7では、セグメントS2に含まれる複数のエコーデータをk-t空間に配置する場合を説明する。セグメントS2に含まれる各エコーデータは、PE「9」からPE「16」のいずれかに対応する。このため、生成機能123cは、k-t空間のうちPE「9」からPE「16」までのいずれかに対応する位置に、セグメントS1に含まれる複数のエコーデータを配置する。
ここで、セグメントS2は、トリガー信号の前に収集された小セグメントS2-1と、トリガー信号の後に収集された小セグメントS2-2とに分けられる。
小セグメントS2-1は、心時相情報が「50%」から「100%」までの複数のエコーデータを含む。このため、生成機能123cは、k-t空間のうち心時相情報が「50%」から「100%」までに対応する位置に、小セグメントS2-1に含まれる複数のエコーデータを配置する。
また、小セグメントS2-2は、心時相情報が「0%」から「70%」までの複数のエコーデータを含む。このため、生成機能123cは、k-t空間のうち心時相情報が「0%」から「70%」までに対応する位置に、小セグメントS2-2に含まれる複数のエコーデータを配置する。
この結果、k-t空間のうち心時相情報が「50%」から「70%」までに対応する範囲には、小セグメントS2-1及び小セグメントS2-2のエコーデータが二重に含まれることとなる。
セグメントS3~S16までに含まれる複数のエコーデータについても同様に、生成機能123cは、各エコーデータをk-t空間に配置する。
そして、生成機能123cは、k-t空間における各位相エンコード量について、所定期間に含まれる複数のエコーデータを特定する。例えば、生成機能123cは、k-t空間に対して、複数の領域を設定することで、各領域に含まれる複数のエコーデータを特定する。
図8に示すように、取得枚数として「8枚」が指定される場合には、生成機能123cは、8つの領域R1~R8を設定する。つまり、領域R1は「60msec」を略中心として、領域R2は「180msec」を略中心として、領域R3は「300msec」を略中心として、領域R4は「420msec」を略中心として、領域R5は「540msec」を略中心として、領域R6は「660msec」を略中心として、領域R7は「780msec」を略中心として、領域R8は「900msec」を略中心としてそれぞれ設定される。なお、ここで「略中心」と記載したのは、必ずしも中心に限定されるものではなく、処理内容に影響しない範囲で所望の心時相からずれた位置に各領域が設定されても構わないからである。
また、各領域R1~R8は、所定期間の長さ(時間幅)を有する。所定期間の長さは、基準期間と、ユーザにより指定された比率とに基づいて設定される。基準期間は、例えば、下記の式(1)により算出される。
式(1)において、「TR(Repetition Time)」は、繰り返し時間に対応する。また、「PE」は、位相エンコード数に対応する。「numSeg」は、セグメント数に対応する。つまり、生成機能123cは、TRと、位相エンコード数と、セグメント数とに基づいて基準期間を算出する。図8に示す例では、TRが「8」、PEが「128」、numSegが「16」である。このため、生成機能123cは、基準期間「64msec」を算出する。
そして、生成機能123cは、基準期間「64msec」に対して、Ratio(比率)を乗算することで、各領域R1~R8の期間を設定する。図8に示す例では、Ratioが「100%」である場合、つまり基準期間「64msec」を各領域R1~R8の期間としてそのまま適用する場合を示す。
ここで、基準期間は、図4に示した位相エンコード量の勾配1つ分に相当する時間である。1つの勾配には、各セグメントでサンプリング可能な8ラインのエコーデータが含まれる。このため、基準期間に含まれるエコーデータを各セグメントS1~S16から抽出すると、理論上、1枚の画像を再構成するのに必要な128ラインのエコーデータが揃うこととなる。すなわち、Ratioが「100%」である場合、各領域R1~R8には、理論上、1枚の画像を再構成するのに必要な128ラインのエコーデータが揃う。
図9に示す例では、操作者によりRatioが「200%」に設定された場合を示す。Ratioが「200%」である場合、各領域R1’~R8’の期間は「128msec」に設定される。生成機能123cは、Ratioに応じて各領域R1’~R8’の期間を調整することで、各領域R1’~R8’に含まれるエコーデータの数を調整する。
このように、生成機能123cは、所定期間を有する各領域を設定することで、各領域に含まれる複数のエコーデータを特定する。なお、図6~図9では、説明の都合上、複数のエコーデータをk-t空間に配置してから複数の領域を設定することで、複数のエコーデータを特定する場合を説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、生成機能123cは、互いに同一の位相エンコード量を有する複数のエコーデータであって、心時相情報が所定期間内に含まれる複数の第1エコーデータを直接的に特定することも可能である。
また、Ratioは、必ずしも操作者により設定されなくても良い。例えば、Ratioは、プリセットされた値を生成機能123cが適宜読み出して所定期間の設定に利用しても良い。この場合、生成機能123cは、基準期間と、プリセットされた比率とに基づいて所定期間の長さを設定する。
図2の説明に戻る。ステップS104において、生成機能123cは、所定期間内に含まれる複数のエコーデータに対する加算平均により、各位相エンコード量に対応する平均エコーデータを生成する。なお、生成機能123cにより生成される平均エコーデータは、第2エコーデータの一例である。
図10を用いて、第1の実施形態に係る生成機能123cの処理を説明する。図10は、第1の実施形態に係る生成機能123cの処理を説明するための図である。なお、図10は、図9に示したk-t空間の一部の拡大図に対応する。
図10に示す例では、領域R1’のうち、位相エンコード量がPE「12」に対応するエコーデータが2つ存在する。そこで、生成機能123cは、この2つのエコーデータの加算平均により平均エコーデータを生成する。
ここで、ゴーストアーチファクトの要因となる血流の位相の乱れは、正負の値となって、複素数としてのエコーデータに包含されている。エコーデータの絶対値又は二乗和により正側に反転すると、正の値同士の加算平均となるため残存する可能性がある。そこで、生成機能123cは、正負の値が互いに打ち消し合うように、複素数としてのエコーデータに対して複素加算を用いた平均処理を行うことで、平均エコーデータを生成する。
例えば、生成機能123cは、PE「12」に対応する2つのエコーデータを複素加算する。そして、生成機能123cは、複素加算により得られた値をデータ数「2」で除算することにより、PE「12」に対応する平均エコーデータを生成する。
また、例えば、領域R1’のうち、位相エンコード量がPE「4」に対応するエコーデータが4つ存在する。これは、セグメントS1では、心時相情報が「0%」から「20%」までに対応する位置には時間的な重複が存在するからである。そこで、生成機能123cは、この4つのエコーデータの加算平均により平均エコーデータを生成する。
例えば、生成機能123cは、PE「4」に対応する4つのエコーデータを複素加算する。そして、生成機能123cは、複素加算により得られた値をデータ数「4」で除算することにより、PE「4」に対応する平均エコーデータを生成する。
他の位相エンコード量についても同様に、生成機能123cは、複素加算を用いた処理により、各位相エンコード量に対応する平均エコーデータを生成する。また、他の領域R2’~R8’についても同様に、生成機能123cは、複素加算を用いた処理により、各位相エンコード量に対応する平均エコーデータを生成する。
このように、生成機能123cは、互いに同一の位相エンコード量を有する複数のエコーデータであって、心時相情報が所定期間内に含まれる複数のエコーデータを複素加算して平均処理を実行することで、平均エコーデータを生成する。また、生成機能123cは、所定期間として、所望の心時相を含む期間に含まれる複数のエコーデータを用いて、所望の心時相に対応する平均エコーデータを生成する。
なお、図10では、操作者によりRatioが「200%」に設定された場合を説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、Ratioは、「100%」、「150%」、「300%」等、任意の値が設定可能である。ただし、理論上、各画像を再構成するのに必要なライン数のエコーデータを揃えるために、Ratioは「100%」以上に設定されるのが好適である。また、全ての位相エンコード量において2つ以上のエコーデータの加算平均を行うために、Ratioは「200%」以上に設定されるのがより好適である。
また、図10では、同一の位相エンコード量に対応するエコーデータが所定期間内に2つ以上存在する場合を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、所定期間内に含まれるエコーデータが1つである場合には、生成機能123cは、平均処理を行わずに、1つのエコーデータを後述の再構成処理にて利用する。また、所定期間内にエコーデータが1つも存在しない場合には、生成機能123cは、同一の位相エンコード量を有するエコーデータのうち、所望の心時相(各領域の略中心の心時相)に最も近い心時相情報を有するエコーデータを選択して、選択したエコーデータを後述の再構成処理にて利用する。
ステップS105において、再構成機能123dは、平均エコーデータを用いて画像データを再構成する。例えば、再構成機能123dは、生成機能123cにより生成された各領域R1’~R8’に含まれる平均エコーデータを用いて、フーリエ変換(例えば、離散フーリエ変換)を含む再構成処理を行う。これにより、再構成機能123dは、「60msec」、「180msec」、「300msec」、「420msec」、「540msec」、「660msec」、「780msec」、及び「900msec」の8つの心時相に対応する8枚の画像データを再構成する。
このように、再構成機能123dは、所望の心時相に対応する平均エコーデータを用いて、所望の心時相に対応する画像データを再構成する。なお、再構成機能123dは、生成機能123cにより平均処理が行われなかったエコーデータについても、平均エコーデータと同様に再構成処理に適用することが出来る。
ステップS106において、処理回路123は、画像データを表示する。例えば、処理回路123は、再構成機能123dにより生成された8枚の画像データをシネ再生する。なお、処理回路123は、シネ再生に限らず、例えば、8枚の画像データをディスプレイ125上に並べて表示することもできる。
上述してきたように、第1の実施形態に係るMRI装置100において、取得機能123aは、時系列に沿って被検体の心電信号を取得するとともに、時系列に沿って複数のエコーデータを取得する。算出機能123bは、心電信号に基づいて、複数のエコーデータそれぞれの心時相情報を算出する。生成機能123cは、複数のエコーデータのうち予め設定された期間内に含まれる複数のエコーデータに対して、複素加算を用いた処理を実行することで、各位相エンコード量に対応する平均エコーデータを生成する。再構成機能123dは、平均エコーデータを用いて画像データを再構成する。これにより、第1の実施形態に係るMRI装置100は、アーチファクトを低減することができる。例えば、MRI装置100は、異なる心時相間のエコーデータを平均化(Averaging)するので、瞬間的な血流速度の上昇に起因する位相の乱れを緩和することで、ゴーストアーチファクトを低減することができる。
また、第1の実施形態に係るMRI装置100は、これまで原理上困難であったレトロスペクティブゲート法における平均化を実現するものである。このため、例えば、MRI装置100は、呼吸性体動に起因する体動アーチファクトも緩和することが可能となる。これにより、MRI装置100は、息止めが困難な患者(被検体)に対しても有用な撮像方法を提供することができる。
比較例として、時間的フィルタ(Temporal filter)が挙げられる。時間的フィルタは、時間方向に隣接するデータの加算平均を行うものである。このため、時間的フィルタの加算対象となるデータが、必ずしも所望の心時相に近いとは限らない。また、時間的フィルタは、閾値以下の信号をノイズとみなして除去するため、アーチファクトの信号が閾値より大きい場合にはフィルタされずに残存してしまう。
これに対して、第1の実施形態に係るMRI装置100は、所望の心時相を略中心とする所定期間に含まれるエコーデータを特定し、特定したエコーデータを用いて複素加算による平均処理を行う。つまり、MRI装置100は、所定期間内に含まれるエコーデータの数が多ければ、その数のエコーデータを加算平均するので、その数に応じたアーチファクト低減効果が期待される。また、MRI装置100は、所定期間内に含まれるエコーデータの数が少なく、例えば1つである場合には、心時相情報が離れたエコーデータを用いてまで加算平均を行わない。言い換えると、MRI装置100は、所望の心時相からのずれを所定期間内に抑えつつ、心時相間の平均化を行うことができる。また、MRI装置100は、時間的フィルタを併用することができる。
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、1心拍分のサンプリングを行う場合を説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、MRI装置100は、2心拍分以上のサンプリングを行う場合にも適用可能である。
第2の実施形態に係るMRI装置100は、図1に例示したMRI装置100と同様の構成を備え、取得機能123a及び生成機能123cの処理の一部が相違する。そこで、第2の実施形態では、第1の実施形態と相違する点を中心に説明することとし、第1の実施形態において説明した構成と同様の機能を有する点については、説明を省略する。
第2の実施形態に係る取得機能123aは、各位相エンコードに対応するエコーデータを、少なくとも2心拍分取得する。
図11を用いて、第2の実施形態に係るサンプリングについて説明する。図11は、第2の実施形態に係るサンプリングについて説明するための図である。図11において、横方向は撮像時間に対応する。
図11に示すように、シーケンス制御回路110は、2心拍分のエコーデータを含むように、各セグメントのサンプリング期間を設定する。例えば、シーケンス制御回路110は、1心周期が「960msec」に定義される場合には、「960×2×120%=2304msec」に設定する。そして、シーケンス制御回路110は、各セグメントS1~S16のサンプリングを行う。この結果、シーケンス制御回路110は、各セグメントS1~S16には、2心拍分の複数のエコーデータが含まれることとなる。これにより、取得機能123aは、各位相エンコードに対応する複数のエコーデータを、2心拍分取得する。
第2の実施形態に係る生成機能123cは、少なくとも2心拍分のエコーデータを用いて、各位相エンコード量に対応する平均エコーデータを生成する。
図12を用いて、第2の実施形態に係る生成機能123cの処理を説明する。図12は、第2の実施形態に係る生成機能123cの処理を説明するための図である。なお、図12では、定義情報の1心周期が「960msec」であり、各セグメントのサンプリング期間が「2304msec」である場合を説明する。また、図12において、TRが「8」、PEが「128」、numSegが「16」である。このため、図12において、基準期間は「64msec」である。
図12に示すように、生成機能123cは、2心拍分のエコーデータをk-t空間に配置する。この結果、k-t空間の時間方向(心時相方向)に1心拍目と2心拍目のエコーデータが含まれる。このため、Ratioが「100%」に設定されたとしても、各領域R1~R8には少なくとも2ラインのエコーデータが含まれる。
これにより、生成機能123cは、Ratioが「100%」であっても十分は平均化を行うことができる。なお、図11では、連続する2心拍を対象として、2心拍分のエコーデータをサンプリングする場合を説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、1心拍分のセグメント収集を2回行うことにより、連続しない2心拍からエコーデータをサンプリングすることも可能である。
また、上記の説明では、2心拍分のエコーデータをサンプリングする場合を説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、3心拍以上に相当するサンプリング期間が設定されても良いし、1.5心拍分のサンプリング期間が設定されても良い。
(第3の実施形態)
上記の実施形態では、エコーデータ間で複素加算を行う場合を説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、MRI装置100は、再構成後の画像データ間で複素加算を行うこともできる。
第3の実施形態に係るMRI装置100は、図1に例示したMRI装置100と同様の構成を備え、生成機能123c及び再構成機能123dの処理の一部が相違する。そこで、第3の実施形態では、第1の実施形態と相違する点を中心に説明することとし、第1の実施形態において説明した構成と同様の機能を有する点については、説明を省略する。
図13を用いて、第3の実施形態に係るMRI装置100による処理手順を説明する。図13は、第3の実施形態に係るMRI装置100による処理手順を示すフローチャートである。図13に示す処理手順は、例えば、操作者により入力された撮像開始要求を契機として開始される。なお、図13に示すステップS201及びステップS202の処理は、図2に示したステップS101及びステップS102の処理と同様であるので、説明を省略する。
ステップS203において、再構成機能123dは、複数時相の画像データを、各時相に最も近い心時相情報を有するエコーデータを用いて再構成する。なお、再構成機能123dにより再構成される画像データは、第1画像データの一例である。
ステップS204において、生成機能123cは、複数時相の画像データのうち、所定期間内に含まれる複数の画像データを加算平均することで、平均画像データを生成する。なお、生成機能123cにより生成される平均画像データは、第2画像データの一例である。
ステップS205において、処理回路123は、平均画像データを表示する。例えば、処理回路123は、生成機能123cにより生成された平均画像データをシネ再生する。なお、処理回路123は、シネ再生に限らず、例えば、複数の平均画像データをディスプレイ125上に並べて表示することもできる。
図14を用いて、第3の実施形態に係る生成機能123c及び再構成機能123dの処理を説明する。図14は、第3の実施形態に係る生成機能123c及び再構成機能123dの処理を説明するための図である。
図14に示すように、再構成機能123dは、各領域R1~R4に含まれるエコーデータを用いて再構成を行うことで、各領域R1~R4に対応する各画像I1~I4を生成する。ここで、同一の位相エンコード量に複数のエコーデータが存在する場合には、再構成機能123dは、各領域の略中心の心時相に最も近い心時相情報を有するエコーデータを選択して再構成に利用する。
ここで、再構成機能123dにより再構成される各画像I1~I4は、実数部と虚数部とを有する複素画像(位相画像)である。複素画像では、例えば、各画素の位相値が輝度の濃淡で表され、位相差は±180度の範囲で表される。
そこで、生成機能123cは、各画像I1~I4に対して、複素加算を用いた平均処理を行うことで、各平均画像I1’~I2’を生成する。例えば、生成機能123cは、画像I1と画像I2とを複素加算する。そして、生成機能123cは、複素加算により得られた画像をデータ数「2」で除算することにより、平均画像I1’を生成する。
また、生成機能123cは、画像I3と画像I4とを複素加算する。そして、生成機能123cは、複素加算により得られた画像をデータ数「2」で除算することにより、平均画像I2’を生成する。
このように、生成機能123cは、再構成後の画像データ間で複素加算を行うことにより、各平均画像I1’~I2’を生成する。なお、平均画像I1’は、図9の領域R1’に含まれるエコーデータから生成される画像に概ね対応する。また、平均画像I2’は、図9の領域R2’に含まれるエコーデータから生成される画像に概ね対応する。
(その他の実施形態)
上述した実施形態以外にも、種々の異なる形態にて実施されてもよい。
図1においては、単一の処理回路123にて、取得機能123a、算出機能123b、生成機能123c、及び再構成機能123dの各処理機能が実現されるものとして説明したが、複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路123を構成し、各プロセッサが各プログラムを実行することにより各処理機能を実現するものとしても構わない。
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(central preprocess unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。なお、記憶回路122にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むように構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。更に、各図における複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合してその機能を実現するようにしてもよい。
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況等に応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。更に、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部又は任意の一部が、CPU及び当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、或いは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
また、上記の実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行なわれるものとして説明した処理の全部又は一部を手動的に行なうこともでき、或いは、手動的に行なわれるものとして説明した処理の全部又は一部を公知の方法で自動的に行なうこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
また、上記の実施形態で説明した画像再構成方法は、予め用意された画像再構成プログラムをパーソナルコンピュータやワークステーション等のコンピュータで実行することによって実現することができる。この画像再構成プログラムは、インターネット等のネットワークを介して配布することができる。また、この画像再構成プログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD-ROM、MO、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行することもできる。
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、アーチファクトを低減することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。