以下に本発明の好ましい実施形態を、添付図面に基づいて詳細に説明する。撮像システムの適用例として、撮像装置が所定の軌道に沿って移動する巡回監視システム、車体やドローン、ロボット等の装着対象物に搭載される撮像システム等がある。各実施形態では、身体に装着可能なカメラ付きウェアラブル装置(以下、ウェアラブル端末という)の例を説明する。
[第1実施形態]
図1および図2を参照して、本実施形態に係る装置の基本形について説明する。図1はウェアラブル端末11の外観斜視図である。ウェアラブル端末11は、撮像装置100と、中空部材200と、端部材300a,300bと、首紐部材301を備える。端部材300aと端部材300bは同一構造の部材である。電源部500は電源ケーブル501a,501bによって撮像装置100への給電を行う。
撮像装置100は、中空部材200と端部材300a,300bで形成される閉空間に収容されており、閉空間を移動可能である。その詳細および各構成部については後述する。
図2はウェアラブル端末11をユーザ10の身体に取り付けた状態を示す説明図である。以下では、ユーザ10を基準とする前後方向、上下左右方向を定義して各部の位置関係を説明する。図2(A)はユーザ10の斜め前側から見た場合の装着状態を示し、図2(B)はユーザ10の斜め後側から見た場合の装着状態を示す。
ユーザ10は、ウェアラブル端末11用の衣服400を着用したのち、さらに首の周りにウェアラブル端末11を装備する。本実施形態では、ウェアラブル端末11の中空部材200がユーザ10の前側となるように取り付けられているが、ウェアラブル端末11の取り付けの向きは任意に選択可能である。
図2(B)に示すように、衣服400の背面側には電源収納部401が設けられている。電源収納部401にはウェアラブル端末11の電源部500が収納される。ユーザ10はウェアラブル端末11をネックレスのように首周りに装着することができる。
図3から図5を参照して、本実施形態の撮像装置100の構成について説明する。図3は撮像装置100の斜視図である。図3では、互いに直交するX軸、Y軸、Z軸を設定し、撮像装置100の移動方向(軌道の接線方向)に対して平行な方向をX軸方向と定義する。図4は、撮像装置100をX軸方向から見た場合の、中央部におけるYZ断面図である。図5は撮像装置100の回転機構部を示す斜視図である。
撮像装置100はカバー部材101を備える。カバー部材101は、ほぼ球形状をした第1の形状部122と、ほぼ直方体形状をした第2の形状部124と、形状部122と形状部124とを連結する連結部123から構成される。第1の形状部122は無色透明な材料で形成されている。第2の形状部124はカバー部材101の基台部である。
第2の形状部124において、第1の形状部122とは反対側の面の四隅にはガイドローラー102a,102b,102c,102dがそれぞれ配置されている。図5には、カバー部材101を取り外した状態で内部構成を示している。4つの軸127a,127b,127c,127dは、図5中に示すY軸方向と平行に延在し、第2の形状部124に保持されている。ガイドローラー102a~dは、軸127a~dにそれぞれ軸支されており、軸127a~dを中心軸として回動可能である。
ガイドローラー102a~dは、撮像装置100の走行の際に中空部材200および端部材300a,300bの内周部に当接しながら回転する。これにより、撮像装置100の安定した走行が可能である。
給電ローラー103a,103b,103c,103dは導電性を有する回転部材であり、例えば導電率の高い金属材料によって形成される。給電ローラー103a~dはそれぞれ、第2の形状部124において、第1の形状部122とは反対側の位置からZ軸方向に突出しており、軸部材110a,110bに対して回転可能に軸支されている。給電ローラー103aと103b、103cと103dは撮像装置100の長手方向(X軸方向)に沿ってそれぞれ配置されている。つまり、給電ローラー103aと103bが1組であり、給電ローラー103cと103dがもう1組である。給電ローラー103aと103bはガイドローラー102aと102bとの間に配置され、給電ローラー103cと103dはガイドローラー102cと102dとの間に配置されている。給電ローラー103a~dは、図1の電源部500から撮像装置100に電力を伝達する役割を果たすが、その機構の詳細については後述する。
付勢部材104a,104bはねじりコイルバネであり、X軸に平行な方向に配置された軸部材110a,110b(図3参照)にそれぞれ取り付けられている。給電ローラー103a~dは付勢部材104a,104bの付勢力により、後述する給電ラインに当接される。
図4および図5に示すように、撮像装置100は撮像部126、ベース部107、基板108、電池109、振動子116を備える。撮像部126はレンズユニット106、撮像素子105、レンズ枠125を備える。本実施形態ではレンズユニット106が3つのレンズL1,L2,L3を備える例を示す。
カバー部材101の第1の形状部122(図4)は、点Oを中心とする球形状であって、無色透明な材料で形成されている。撮像装置100の外部からの光は、第1の形状部122、レンズL1,L2,L3をそれぞれ通過して撮像素子105の撮像面に集光する。
振動子116は、点Oを通ってY軸に平行な軸線上に設けられており、後述する中空部材200のレール212、および、端部材300のレール316に当接する。電池109は撮像装置100の各部(振動子等)に電力を供給するために設けられる。
図4において給電ローラー103b,103dの位置を、2点鎖線および実線で示す。2点鎖線により、撮像装置100単体での給電ローラーの位置を示す。また実線により、各給電ローラーが後述する給電ライン209a,209bに当接された状態での給電ローラーの位置を示す。
撮像部126は撮影可能範囲を拡大するために、パンニング方向およびチルティング方向に回転可能である。以下、パンニング方向をP方向と略記し、チルティング方向をT方向と略記する。撮像部126に係るP方向の駆動動作をパン駆動動作といい、T方向の駆動動作をチルト駆動動作という。図5に示すように、撮像装置100は、振動子111、回転部材112、振動子113、回転部材114、枠部材115を備える。図5(A)および(B)において、点O(図4参照)を通ってX軸に平行な軸AXはチルト駆動動作の回転軸である。点Oを通ってY軸に平行な軸AYはパン駆動動作の回転軸である。本実施形態では圧電素子等を利用した振動型アクチュエータによってパン駆動動作とチルト駆動動作が行われる例を説明する。
図5(A)を参照して、撮像装置100のパン駆動動作について説明する。ベース部107には振動子111が取り付けられている。回転部材112には振動子111が圧接しており、軸AYを中心軸として回転可能に軸支されている。不図示の駆動部により、振動子111には回転部材112との接触面に垂直な方向の突き上げ振動と、接触面に平行な方向の送り振動が励起される。これら2種類の振動の合成により、振動子111は楕円運動を行う。振動子111と回転部材112とは加圧接触しているので、振動子111と回転部材112との接触面には、振動子111に励起された楕円運動によって摩擦駆動力が発生する。そのため、回転部材112は軸AYを中心軸としてP方向に回転する。回転部材112の回転に伴い、枠部材115と回転部材114と撮像部126は一体的にP方向に回転する。
次に図5(B)を参照して、撮像装置100のチルト駆動動作について説明する。枠部材115には振動子113が取り付けられている。回転部材114は振動子113に圧接しており、軸AXを中心軸として回転可能に軸支されている。不図示の駆動部により、振動子113には回転部材114との接触面に垂直な方向の突き上げ振動と、接触面に平行な方向の送り振動が励起される。これら2種類の振動の合成により、振動子113は楕円運動を行う。振動子113と回転部材114とは加圧接触しているため、振動子113と回転部材114との接触面には、振動子113に励起された楕円運動によって摩擦駆動力が発生する。そのため、回転部材114は軸AXを中心軸としてT方向に回転する。回転部材114の回転に伴い、撮像部126はT方向に回転する。
本実施形態の撮像装置100は、撮像部126が軸AYを回転軸とするパン駆動動作、および軸AXを回転軸とするチルト駆動動作が可能である。このような実施形態に限らず、撮像部126のパン駆動動作またはチルト駆動動作の一方のみが可能な構成でもよい。
図6を参照して、本実施形態の中空部材200について説明する。図6(A)は中空部材200を第1の方向から見た場合の斜視図であり、図6(B)は中空部材200を第2の方向から見た場合の斜視図である。中空部材200は無色透明の材料で形成された部材である。例えば中空部材200が可撓性を有する合成樹脂材料で形成される場合、ユーザは使用目的に応じて中空部材200を所望の形状に変形させることが可能である。
図6(A)に示すように、中空部材200は矢印Aで示す方向から見たときに、略半円形状をしている。この半円形状の内側を内周側とし、外側を外周側と定義して各部の位置関係を説明する。
中空部材200の両側の端部である終端部216a,216bは開口している。中空部材200は略円筒状をした軌道形成用部材である。中空部材200は断面形状が略円形状である無色透明な筒状部205を有する。筒状部205は、立ち壁部214a,214bを有するチャネル形状部208と連続して形成され、チャネル形状部208に繋がる括れた部分が凹部206a,206bとなっている。つまり、凹部206aは立ち壁部214aに連続する内周側に形成され、凹部206bは立ち壁部214bに連続する外周側に形成されている。言い換えると、中空部材200は、円形状の部分と矩形状の部分とが合体した断面形状を有しており、内部に中空部が形成されている。
図6(B)に示すように、立ち壁部214a,214bは底面部207と繋がっている。略半円形状をした底面部207には3つの位置情報部201a,201b,201cと、姿勢検知部204が取り付けられる。位置情報部201bと201cはそれぞれ、終端部216a,216b寄りに配置され、位置情報部201aは底面部207の延在方向(円周方向)において、位置情報部201bと201cとの中間位置に配置されている。
筒状部205は無色透明な材料で形成され、その内部に撮像装置100が収容される。撮像装置100が筒状部205に収容されている状態では、筒状部205はその略円形状の断面において中心が点O(図4参照)と一致するように形成されている。このように構成することで、中空部材200の外部からの光は筒状部205、撮像装置100のカバー部材101をそれぞれ通過したのち、レンズL1,L2,L3を介して撮像素子105の撮像面に集光する。
一方、中空部材200の内部にはレール212(図6(A)参照)と、給電ライン209a,209b(図6(B)参照)が取り付けられている。レール212は、立ち壁部214a,214bを有するチャネル形状部208の内底面に配置された略半円形状の部材であり、所定の摩擦係数を有する摩擦部材である。レール212は中空部材200の内側(中空部側)にて底面部207の延在方向に沿う中央部に配置され、撮像装置100の振動子116が当接する。給電ライン209a,209bは凹部206a,206bの裏側(中空部側)に設けられている。
図7を参照して、本実施形態の端部材300a,300bについて説明する。端部材300a,300bは同じ構造であるため、符号300を付した端部材として説明する。図7(A)は端部材300を第1の方向から見た場合の斜視図である。図7(B)は端部材300を第2の方向から見た場合の斜視図である。図7に示すように、端部材300は一端部が開口し、他端部が閉じた形状である。
端部材300は円筒部303を備え、半球状の球状部302が円筒部303と繋がって閉鎖された構成である。円筒部303にて球状部302とは反対側の部分は着脱部304であり、開口している。円筒部303は、立ち壁部306a,306bを有するチャネル形状部317と繋がっており、チャネル形状部317に繋がる括れた部分が凹部305a,305bとなっている。凹部305aは立ち壁部306aに連続し、凹部305bは立ち壁部306bに連続している。
図7(B)に示すように、底面部313は立ち壁部306a,306bと繋がっている。底面部313は円筒部303、凹部305aと305b、立ち壁部306aと306bとともに、中空部材200と同様の断面形状を形成する。つまり、端部材300は円形状の部分と矩形状の部分とが合体した断面形状を有する中空の軌道形成用部材である。
底面部313の外面には位置情報部310、衣服400への取り付け部311、姿勢検知部312が取り付けられる。また、端部材300に形成された斜面部308には電源接続部307、および、首紐部材301との接続部309が形成されている。
円筒部303と球状部302は無色透明な材料で一体的に形成されており、それらの内部に撮像装置100を収容可能である。撮像装置100が円筒部303に収容されている状態では、円筒部303はその略円形状の断面において中心が点O(図4参照)と一致するように形成されている。一方、球状部302は、撮像装置100が端部材300の内部の移動端に収容されている状態にて、その中心が点Oと一致するように形成されている。このように構成することで、端部材300の外部からの光は、円筒部303または球状部302と、撮像装置100のカバー部材101をそれぞれ通過したのち、レンズL1,L2,L3を介して撮像素子105の撮像面に集光する。
端部材300は、その内部にレール316、および、給電ライン314a,314bを備える。レール316はチャネル形状部317の内側(中空部側)にて底面部313の延在方向に沿う中央部に配置され、撮像装置100の振動子116が当接する。給電ライン314a,314bは凹部305a,305bの裏側(中空部側)に設けられ、中空部材200の給電ライン209a,209bとそれぞれ電気的に接続される。中空部材200の給電ライン209aと端部材300の給電ライン314aとが接続され、中空部材200の給電ライン209bと端部材300の給電ライン314bとが接続される。これにより、中空部材200と端部材300とが電気的に接続される。
電源接続部307は電源ケーブル501が接続可能である。電源ケーブル501が電源接続部307に接続されることで、電源ケーブル501を介して電源部500と端部材300が電気的に接続される。
接続部309には、図1の首紐部材301の先端部を取り付けることが可能である。ユーザ10は端部材300a,300bにそれぞれ設けられた接続部309に対して、首紐部材301の先端部を取り付けることができる。これにより、ウェアラブル端末11は図2のように、ユーザ10の首の周囲に取り付けられる。
端部材300の一端には着脱部304が形成されており、他端には球状部302が形成されている。着脱部304は開口しており、その外形が図6に示す中空部材200の終端部216a,216bの外形より大きく形成されている。端部材300は、着脱部304が中空部材200の終端部216a,216bに取り付けられて固定される。中空部材200と端部材300が接続されることで、レール212とレール316が連結されるとともに、給電ライン209a,209bと給電ライン314a,314bがそれぞれ電気的に接続される。給電ライン314a,314bは電源接続部307と電気的に接続されているので、電源ケーブル501と端部材300と中空部材200との電気的な接続が行われる。
図8を参照して、撮像装置100、中空部材200、および端部材300a,300bの関係について説明する。図8は中空部材200、および端部材300a,300bによって形成される閉空間を撮像装置100が移動可能に収容された状態を示す図である。
中空部材200の終端部216aに対して、端部材300aの一端に形成された着脱部304が装着され、中空部材200の終端部216bに対して、端部材300bの一端に形成された着脱部304が装着される。すなわち、端部材300a,300bが中空部材200の蓋部材として機能することにより、中空部材200、および端部材300a,300bの内部には閉空間が形成される。
撮像装置100が中空部材200の終端部216aまたは216bから挿入された後、端部材300a,300bが中空部材200の終端部216a,216bにそれぞれ取り付けられる。撮像装置100を収容可能な構成とすることで、防塵性や防水性が高まる。また、外部からの衝撃が加わった場合に撮像装置100への影響を抑制することが可能である。端部材300a,300bにそれぞれ設けられた接続部309に首紐部材301を取り付けることにより、ウェアラブル端末11をユーザ10の首部にかけることができる。
撮像装置100は、中空部材200および端部材300a,300bの各レールが繋がったレール部によって決定される軌道に沿って移動可能である。図8には、端部材300a内の走行領域28aと、中空部材200内の走行領域27と、端部材300b内の走行領域28bを示す。例えば点線の矢印26に示すように、撮像装置100は端部材300aの移動端40aから出発して、走行領域28a、27、28bを経由し、端部材300bの移動端40bまで走行可能である。撮像装置100の自走構造について、図9を用いて説明する。
図9は、撮像装置100が中空部材200の内部にあるときの状態を示し、撮像装置100の走行方向に対して直交する方向において点Oを通る平面で切断した場合の断面図である。図9(A)はチルト駆動動作前の撮像装置100の状態を示し、図9(B)はチルト駆動動作後の撮像装置100の状態を示している。なお、撮像装置100が中空部材200の内部にある場合を説明するが、撮像装置100が端部材300a,300bの内部にある場合についても同様である。
撮像装置100は振動子116が中空部材200のレール212に当接した状態である。不図示の駆動部により、振動子116にはレール212との接触面に垂直な方向(Y軸方向)の突き上げ振動と、接触面に平行な方向(X軸方向)の送り振動が励起される。この2種類の振動の合成により、振動子116は楕円運動を行う。振動子116とレール212との接触面には、振動子116に励起された楕円運動によって摩擦駆動力が発生するので、撮像装置100がレール212に沿って走行する。
撮像装置100の摩擦駆動においては、振動子116をレール212に対して、十分に強い力で圧接させる必要がある。撮像装置100には、振動子116を挟んでZ軸方向に配置された2つの軸部材110a,110b(図3,図5参照)に、付勢部材104a,104bが取り付けられている。付勢部材104a,104bはねじりコイルバネであり、給電ローラー103b,103dに付勢力を与える。すなわち、給電ローラー103bには、図9に矢印21で示すように、付勢部材104aによってX軸方向の軸を中心として反時計回り方向の付勢力が作用し、矢印23の方向に付勢力が働く。そのため、給電ローラー103bが給電ライン209aに当接する。同様に、給電ローラー103dには、図9に矢印20で示すように、付勢部材104bによる時計回り方向の付勢力が作用し、矢印24の方向に付勢力が働く。そのため、給電ローラー103dが給電ライン209bに当接する。
このように、給電ローラー103b,103dが付勢部材104a,104bの付勢力により、給電ライン209a,209bにそれぞれ当接することで、撮像装置100には、矢印22に示す下方向の付勢力が働く。この付勢力はY軸方向に平行であって、点Oから離れる向きに作用する力である。すなわち、付勢部材104a,104bは、振動子116に対して下方向(矢印22の方向)に付勢力を与えるように取り付けられているので、振動子116をレール212に対して、十分に強い力で圧接させることができる。なお、付勢部材104a,104bと振動子116との配置の仕方によっては、付勢部材104a,104bの付勢力により、下方向の力だけではなく、左右方向(Z軸方向)にも力が加わる可能性がある。この場合、撮像装置100が傾くと、撮像装置100の走行への影響が懸念される。そこで本実施形態では、点Oを通ってY軸に平行な軸線に振動子116の中心を合わせ、振動子116に対して、付勢部材104a,104bをZ軸方向において対称的な位置に配置している。これにより、振動子116に対する左右方向の付勢力が打ち消されるため、撮像装置100の傾きを抑制し、撮像装置100の安定走行を実現できる。
次に、撮像装置100に給電を行うための構成について説明する。ウェアラブル端末11では電源部500から電源ケーブル501a,501bを介して、端部材300a,300bおよび中空部材200により給電用の閉回路が形成される。電源部500は電源ケーブル501a(図1)と電気的に接続されており、電源ケーブル501aは端部材300aにてその電源接続部307で電気的に接続される。端部材300aにて電源接続部307と給電ライン314a,314bが電気的に接続されている。端部材300aと中空部材200とが接続されることにより、端部材300aの給電ライン314a,314bと中空部材200の給電ライン209a,209bとがそれぞれ電気的に接続される。中空部材200と端部材300bとが接続されることにより、給電ライン209a,209bと端部材300bの給電ライン314a,314bとがそれぞれ電気的に接続される。端部材300bにて電源接続部307と給電ライン314a,314bが電気的に接続されている。端部材300bの電源接続部307は電源ケーブル501bを介して電源部500と電気的に接続される。給電ラインと給電ローラーとが接触することにより、撮像装置100内の各部への給電が行われる。
前述したように、軸部材110a(図3参照)に取り付けられた付勢部材104aによって、給電ローラー103a,103bには、図9に矢印21で示す反時計回り方向の付勢力が作用する。また軸部材110bに取り付けられた付勢部材104bによって、給電ローラー103c(図5参照),103dには、図9に矢印20で示す時計回り方向の付勢力が作用する。すなわち、付勢部材104a,104bにより、給電ローラー103a~dが上方向(矢印23,24の方向)に付勢される。給電ローラー103a,103bがこれらに対向する給電ライン209aに圧接し、給電ローラー103c,103dがこれらに対向する給電ライン209bに圧接することで撮像装置100への給電が確実に行われる。
また、撮像装置100の走行時には、給電ローラー103a~dが回転しながら、撮像装置100への給電が行われる。給電ローラー103a~dを安定に走行させるためには、付勢部材104a,104bによる付勢力を各給電ローラーに対して均等に加えることが必要である。そこで本実施形態では、給電ローラー103a,103bと給電ローラー103c,103dが振動子116に対して対称的に配置されている。つまり、振動子116の位置を基準として、Z軸方向にて給電ローラー103aと103cとが対称的な位置関係にあり、給電ローラー103bと103dとが対称的な位置関係にある。
電源部500から撮像装置100への給電が行われることで、撮像装置100が内蔵する電池109を小型にすることができる。電池109の小型化はウェアラブル端末11の小型化に有効である。また、小型電池を用いた撮像装置100の軽量化によって、撮像装置100の駆動力を低減できるという効果を奏する。
本実施形態のウェアラブル端末11は付勢部材104a,104bにより、以下の2つの作用が得られる。
・振動子116を、レール212,316に対して圧接させる第1の作用。
・給電ローラー103a~dを、給電ライン209a,209b,314a,314bに対して圧接させる第2の作用。
本実施形態は第1および第2の作用を同時に得ることができる。換言すると、付勢部材104a,104bの付勢力によって、給電ローラー103a~dを給電ライン209a,209bへ圧接させる力が発生し、その反力によって振動子116がレール212に対して圧接される。第1の作用と第2の作用に関して、それぞれ別の付勢部材を用いて圧接構造を実現する構成の場合には部品点数が増加する。本実施形態によれば、部品点数の増加を抑えつつ、第1および第2の作用による圧接構造を実現できるという利点がある。
次に図8および図9を参照して、ウェアラブル端末11の撮影可能範囲について説明する。図8に示すように撮像装置100は、端部材300aの移動端40aから走行領域28a、中空部材200内の走行領域27、端部材300b内の走行領域28b、端部材300bの移動端40bまでの範囲に亘って走行可能である。位置Qは撮像装置100が端部材300aの移動端40aにあるときの位置であり、位置Rは撮像装置100が端部材300bの移動端40bにあるときの位置である。位置Pは位置Qと位置Rとの中間位置、つまり撮像装置100が中空部材200内にあるときの位置である。撮像装置100は位置Qから位置P、位置Rへと移動し、逆に位置Rから位置P、位置Qへと移動することで往復走行が可能である。
図2で示したように、ウェアラブル端末11はユーザ10の首周りに取り付け可能であり、例えば中空部材200の位置がユーザ10の前方となるように取り付け可能である。撮像装置100は端部材300aまたは300bから中空部材200を経由し、端部材300bまたは300aまでの範囲に亘って走行可能であるので、ユーザ10の前方から側方までの広い範囲での撮影が可能である。
撮像装置100は中空部材200と端部材300aおよび300bによってそれらの内部に形成される閉空間の全領域においてチルト駆動動作を行うことで、上方から下方までの広い範囲での撮影が可能である。図9を参照して、下方の撮影可能範囲について説明する。なお、図9のYZ平面内での点Oを中心とする回転方向がT方向である。
図9(B)は、撮像部126が図9(A)に示す状態から、最も下方向にチルト駆動された状態を示す図である。中空部材200の立ち壁部214a,214bの内側には給電ライン209a,209bが設けられており、立ち壁部214a,214bと筒状部205との間には凹部206a,206bが形成されている。つまり、筒状部205は撮像部126等を収容する撮像光学系部品の収容部である。立ち壁部214a,214bが形成されたチャネル形状部208は給電ローラー103等を収容する駆動系部品の収容部である。凹部206a,206bは、撮像光学系部品の収容部と駆動系部品の収容部との間に形成されている。図9(B)に示す状態での撮像装置100の画角は、点線の矢印で示す範囲25であり、画角の下端で中空部材200によるケラレが発生しない領域までチルト駆動動作が可能である。中空部材200に凹部206a,206bを形成して、筒状部205から立ち壁部214a,214bを有するチャネル形状部208を延長させた構成により、下方の撮影可能範囲を拡大することができる。
また、撮像装置100が端部材300aまたは300bの終端位置にあるときには、パン駆動動作により、ユーザの後方を撮影することができる。撮像装置100の移動端40a,40bに相当する位置では、端部材300a,300bの球状部302の中心と、撮像装置100のパン駆動の回転中心とが一致している。そのため、移動端40a,40bにて撮像装置100をP方向に駆動させて撮影方向を変更することにより、ユーザの側方から後方まで撮影可能範囲を拡大することができる。また、球状部302の中心と撮像装置100のチルト駆動の回転中心とが一致しているので、P方向に加えてT方向への駆動が可能であり、撮影可能範囲をより拡大することができる。
本実施形態では、中空部材200、および端部材300a,300bにより内部に形成される閉空間にて撮像装置100がガイドローラー102a~dに案内されて、レール部により決定される曲線軌道に沿って走行する。撮像装置100をP方向またはT方向に駆動させながら撮影を行うことができる。よって、ウェアラブル端末11を装着したユーザ10の前方や後方、左右方向、上下方向を含む広い範囲での撮影が可能である。
撮像装置100によって取得される撮像データについては、撮像装置100の内部または外部装置内の画像処理部が表示処理や記録処理等を実行する。外部装置はコンピュータや他の携帯端末装置等である。例えば、画像処理部は撮像時刻データ、撮像装置100の軌道上の位置データ、およびP方向もしくはT方向またはP方向およびT方向の姿勢データを、撮像画像データと関連付けて所定の記録媒体に記録する処理を行う。外部装置はウェアラブル端末11に対して、撮像装置100の軌道上の位置およびP方向またはT方向の姿勢に関する制御信号を無線送信する。ウェアラブル端末11は制御信号を受信して、撮像装置100の位置および姿勢制御が行われる。
本実施形態では立ち壁部214a,214bが形成されたチャネル形状部208内においてレール212を下側(図9参照)に配置し、給電ライン209a,209bを上側に配置した例を説明したが、必ずしもこの限りではない。例えば、レール212と給電ライン209a,209bをチャネル形状部208内の下側に配置し、撮像装置100全体を圧縮バネにより下方向に付勢する構成としてもよい。
[第2実施形態]
次に本発明の第2実施形態を説明する。本実施形態では第1実施形態との相違点を主に説明し、第1実施形態と同様な事項についての説明を省略し、既に使用した符号を流用することで記載を簡潔にする。このような説明の省略の仕方は後述の実施形態でも同じである。
本実施形態と第1実施形態との相違点は以下の通りである。
・首紐部材301を用いる必要がないこと。
・ウェアラブル端末11の端部材300a,300bが、衣服400に設けられた保持部403に取り付けられて固定されること。
ユーザは専用の衣服400を着用し、ユーザの首周りにウェアラブル端末11を装備する。本実施形態では衣服400にウェアラブル端末11を装着する方法について説明する。
図10および図11を参照して、ウェアラブル端末11が装着される専用の衣服400について説明する。図10はユーザ10が着用した衣服400にウェアラブル端末11を取り付けた状態を示し、図10(A)は斜め前側から見た場合の斜視図であり、図10(B)は斜め後側から見た場合の斜視図である。図11はユーザ10が衣服400を着用した状態を示し、図11(A)は斜め前側から見た場合の斜視図であり、図11(B)は斜め後側から見た場合の斜視図である。図11(C)は、図11(A)に示すB部の拡大図である。
衣服400は、第1の保持部403aおよび第2の保持部403bと、支持部402と、電源収納部401を備える。第1の保持部403aと第2の保持部403bは、ウェアラブル端末11が備える2つの端部材300a,300bをそれぞれ保持する。また支持部402はウェアラブル端末11が備える中空部材200を支持する。
衣服400を着用したユーザ10を基準として、第1の保持部403aは衣服400の右肩部に配置され、第2の保持部403bは衣服400の左肩部に配置される。第1の保持部403aと第2の保持部403bは左右方向に対称的な形状である。第2の保持部403bは、その底面部404が衣服400の左肩部に接着されている。図11(C)に示すように保持部403bは、底面部404が側面部405と連続して形成されるとともに、側面部405が上面部406と連続して形成された形状となっている。底面部404には逃げ部409が設けられている。
第1の保持部403aは、その底面部404が衣服400の右肩部に接着されている。保持部403aの形状は保持部403bと左右対称な形状であるため、その詳細な説明を割愛する。支持部402は衣服400の前側の所定位置に配置される。所定位置とは、ウェアラブル端末11が装着された状態で支持部402と中空部材200とが当接する位置である。
続いて、図12および図13を参照して、ウェアラブル端末11を衣服400に装着する順序について説明する。図12(A)は、端部材300a,300bと、電源部500が衣服400に装着された状態にてユーザ10を斜め前側から見た場合の斜視図である。図12(B)は、端部材300a,300bと、電源部500が衣服400に装着された状態にてユーザ10を斜め後側から見た場合の斜視図である。図12(C)は、図12(B)に示すC部の拡大図である。図13は、ウェアラブル端末11を衣服400に装着した状態で端部材300bとその周辺部を示す断面図である。
ウェアラブル端末11を衣服400に装着する際には、まず図12(A)に示すように、端部材300a,300bを各々、ユーザ10の前方(矢印Eの方向)から保持部403a,403bに挿入して取り付ける作業が行われる。図12(C)に示すように、保持部403a,403bにて、それらの底面部404から上面部406までの距離をdと表記する。また端部材300a,300bにて、それらの底面部313から凹部305a,305bまでの距離をddと表記する。距離dと距離ddは同一の値に設定されているので、保持部403a,403bに対する端部材300a,300bの上下方向の位置決めが行われることとなる。
図11(C)に示す逃げ部409は、端部材300a,300bの底面部313より突出している位置情報部310、取り付け部311、姿勢検知部312が底面部404と接触することを回避するための部分である。
図13に示すように、端部材300bは、着脱部304が保持部403bの前側面部407と当接するまで挿入されることで取り付けが完了する。衣服400への取り付け部311は可撓性を有する板ばねである。そのため、取り付け部311はその形状が逃げ部409の形状に沿って撓みながら取り付けられ、取り付け完了のタイミングで、逃げ部409と当接しなくなり元の形状に戻る。この状態で端部材300bを抜こうとしても、取り付け部311が保持部403bの後側面部408に引っかかるので、端部材300bが保持部403bに係止される。こうして端部材300bは保持部403bに対して、前後方向における位置決めと抜け止めが行われる。同様に、端部材300aは保持部403aに対して、前後方向における位置決めと抜け止めが行われる。
端部材300a,300bを保持部403a,403bからそれぞれ取り外す際には、後側面部408に引っかからないように取り付け部311を変形させながら、端部材300a,300bを前方に押し出せばよい。電源部500は、端部材300a,300bが保持部403a,403bにそれぞれ取り付けられた後に、図12(B)に示す電源収納部401に収納される。
端部材300a,300bが衣服400に取り付けられて保持された状態において、撮像装置100が内部に収容された中空部材200を端部材300a,300bに取り付ける作業が行われて、ウェアラブル端末11の装着が完了する。中空部材200が取り付けられると、端部材300aと端部材300bは、ユーザ10の横方向における位置関係が中空部材200に沿った位置として定まる。この時、端部材300a,300bの立ち壁部306が、保持部403a,403bの側面部405と当接する。これにより、ウェアラブル端末11の、衣服400に対する左右方向の位置が規制される。また、図10(A)に示すように、ウェアラブル端末11を衣服400に装着する作業が完了した状態では、支持部402によって中空部材200が下側から支持される。これにより、ウェアラブル端末11がユーザ10の身体に対して傾きにくくなるという効果を奏する。
本実施形態によれば、中空部材200の端部に接続される端部材300を衣服400に設けられた保持部403に取り付けることで、ウェアラブル端末11の位置決めおよび保持をより確実に行うことができる。ウェアラブル端末11の身体に対する相対的な動きを抑制し、画像ブレを低減することができる。
[第3実施形態]
次に本発明の第3実施形態を説明する。本実施形態ではループ状の軌道に沿って撮像装置100が移動する構成例を示す。図14はウェアラブル端末12の外観斜視図である。図15はウェアラブル端末12を衣服700に装着した状態を示す図である。
ウェアラブル端末12は、2つの中空部材200aおよび200bと、接続部材600aおよび600bを備える。これらの部材によって内部に撮像装置100を収容する閉空間が形成される。撮像装置100は閉空間を移動可能である。撮像装置100への給電は電源部500から電源ケーブル501a,501bを介して行われる。なお、中空部材200aと200bは同一構造の部材であり、接続部材600aと600bは同一構造の部材である。
図15(A)はユーザ10の斜め前側から見た場合の装着状態を示し、図15(B)はユーザ10の斜め後側から見た場合の装着状態を示す。ユーザ10は専用の衣服700を着用し、ウェアラブル端末12を、ユーザ10の首の周りに配置して衣服700に装着する。衣服700に対するウェアラブル端末12の装着方法については後述する。図15(B)に示すように、衣服700の背面側には電源収納部701が設けられている。電源収納部701にはウェアラブル端末12の電源部500が収納される。本実施形態の撮像装置100の構成は前記実施形態と同じである。
本実施形態では端部材300が無く、代わりに接続部材600a,600bが使用される。撮像装置100の走行時に、ガイドローラー102a~102dは中空部材200a,200bと接続部材600a,600bの内周部に当接しながら回転する。これにより、撮像装置100の安定な走行が可能である。
レール部によって決定される撮像装置100の無端軌道は、中空部材200aと200bとを、接続部材600a,600bによって接続することによって形成される。中空部材200a,200bの内部にはそれぞれ、レール212および給電ライン209a,209bが取り付けられている。レール212には撮像装置100の振動子116が当接する。給電ライン209a,209bは接続部材600a,600bにそれぞれ設けられた給電ライン608a,608bと電気的に接続される。
図16を参照して、接続部材600a,600bを説明する。接続部材600a,600bは同じ構造であるため、符号600を付した接続部材として説明する。図16(A)は接続部材600を第1の方向から見た場合の斜視図である。図16(B)は接続部材600を第2の方向から見た場合の斜視図である。接続部材600は中空部材200(200aまたは200b)と同様に両端部が開口した形状である。
接続部材600は円筒部601と、着脱部602a,602bを備える。着脱部602a,602bはその内周側に中空部材200が挿入される部分である。立ち壁部607a,607bを有するチャネル形状部611は円筒部601から連続する部分である。円筒部601がチャネル形状部611に繋がる部分に凹部603a,603bが形成されている。凹部603a,603bは立ち壁部607a,607bにそれぞれ繋がり、立ち壁部607a,607bは底面部610に繋がっている。底面部610は円筒部601、凹部603および603b、立ち壁部607aおよび607bとともに、円形状の部分と矩形状の部分とが合体した断面形状をなしている。底面部610の外面には位置情報部605、姿勢検知部606が取り付けられる。また、接続部材600の着脱部602aの外面には電源接続部604が設けられている。
円筒部601は無色透明な材料で形成され、断面形状が略円形状である。撮像装置100が円筒部601の内部に収容されている状態において、円筒部601の中心は点O(図4参照)と一致するように形成されている。このように構成することで、接続部材600の外部からの光は、円筒部601と撮像装置100のカバー部材101をそれぞれ通過し、各レンズL1,L2,L3を介して撮像素子105の撮像面に集光する。
接続部材600は内部にレール609、および給電ライン608a,608bを備える。レール609はチャネル形状部611の内底面の中央部に配置され、撮像装置100の振動子116が当接する。給電ライン608a,608bは凹部603a,603bの裏側に配置されており、中空部材200の給電ライン209a,209bと電気的に接続される。これにより中空部材200と接続部材600とが電気的に接続される。
電源接続部604には電源ケーブル501が接続される。つまり、電源ケーブル501が電源接続部604に接続されることで、電源ケーブル501と接続部材600が電気的に接続される。
接続部材600の両端に形成された着脱部602a,602bは開口しており、それらの外形は、中空部材200の終端部216a,216bの外形より大きい。着脱部602a,602bには中空部材200の終端部216a,216bがそれぞれ挿入されて固定される。中空部材200と接続部材600とが接続されることで、レール212とレール609が連結されるとともに、給電ライン209a,209bと給電ライン608a,608bがそれぞれ電気的に接続される。給電ライン608a,608bは電源接続部604と電気的に接続されているので、電源ケーブル501と接続部材600と中空部材200との電気的な接続が行われる。
図17および図18を参照して撮像装置100、中空部材200、接続部材600の関係について説明する。図17は、接続部材600a,600bによって中空部材200a,200bを連結して無端軌道が形成された状態を示す斜視図である。撮像装置100は、これらの部材によって形成される閉空間を、点線の矢印133で示す軌道に沿って移動する。
中空部材200a,200bのそれぞれの終端部216a、216bは開口している。第1の接続部材600aは、第1の中空部材200aの終端部216aと第2の中空部材200bの終端部216bとを接続する。第2の接続部材600bは、第1の中空部材200aの終端部216bと第2の中空部材200bの終端部216aとを接続する。こうして中空部材200a,200b、および、接続部材600a,600bの内部が繋がって閉空間が形成される。
撮像装置100を閉空間に配置する作業は、中空部材200a,200bと接続部材600a,600bとを接続する前に行われる。つまり撮像装置100は、中空部材200aまたは200bの終端部216a,216bの一方の開口から挿入される。撮像装置100を収容することは、防塵性や防水性を高める上で有効であり、外部からの衝撃による撮像装置100への影響を低減可能である。ウェアラブル端末12は中空部材200a,200bと接続部材600a,600bによってリング状に形成されて、図15のようにユーザ10の首の周囲に取り付けることができる。
図18は、撮像装置100が接続部材600b内で停止した際の状態を示す図である。間隔30は着脱部602aと602bとの間隔を表す。撮像装置100をその軌道に直交するY軸方向から見た場合、撮影画角31を2本の点線DL1とDL2との間になす角度で表す。着脱部602aと602bを結ぶ線分32と点線DL1との交点をP1と表記し、線分32と点線DL2との交点をP2と表記する。間隔33は点P1と点P2との距離を表す。
撮像装置100は、矢印133(図17)に示すように時計回り方向または反時計回りに走行可能である。例えば、撮像装置100が所定方向に走行している最中に接続部材600b内で停止して撮影を行う場合を想定する。撮像装置100の撮影画角31内に着脱部602a,602bが写りこまないように、着脱部602aと602bはそれらの間隔30が間隔33よりも大きい。換言すれば、撮影方向がZ軸方向に平行であって所定の撮影画角31で撮影が行われる場合に着脱部602aと602bが撮影画角内に入らないように間隔30と間隔33との大小関係が決定されている。
次に、ウェアラブル端末12による撮影可能範囲について説明する。ウェアラブル端末12はユーザ10の首の周囲に取り付けられ、撮像装置100がユーザ10の首の周囲を360°の範囲に亘って走行することで広範囲の撮影が可能である。また撮影可能範囲において撮像装置100がチルト駆動動作を行うことにより、上方から下方まで広範囲の撮影が可能である。
図19を参照して、ウェアラブル端末12用の衣服700について説明する。図19は、ユーザ10が衣服700を着用した状態を示す図である。図19(A)は、衣服700を着用したユーザ10を斜め前側から見た場合の斜視図であり、図19(B)は斜め後側から見た場合の斜視図である。図19(C)は、図19(A)に示すB部の拡大図である。図19(A)および(B)に示すように、衣服700は、保持部703a,703bと支持部702を備える。第1の保持部703aと第2の保持部703bは衣服700の肩部にそれぞれ配置され、支持部702は衣服700の前側に配置されている。電源収納部701は衣服700の後側に配置されている。
衣服700を着用したユーザ10を基準として、第1の保持部703aは衣服700の右肩部に配置され、第2の保持部703bは衣服700の左肩部に配置される。第1の保持部703aと第2の保持部703bとは左右方向に対称的な形状である。第2の保持部703bは、図19(C)に示すように底面部704を備え、底面部704は衣服700の左肩部に接着されている。底面部704には、ユーザ10の首から離れる方向に側面部705が設けられている。側面部705は軸部707を中心として矢印Fの方向への回転が可能な状態で底面部704に取り付けられている。側面部705は上面部706と連続した形状となっており、側面部705および上面部706は不図示のロック機構によって図19(C)の位置に保持されている。
第1の保持部703aは、その底面部704が衣服700の右肩部に接着されている。保持部703aの形状は保持部703bと左右対称な形状であるため、その詳細な説明を割愛する。支持部702は衣服700の前側の所定位置に配置され、ウェアラブル端末12が装着された状態で支持部702と中空部材200とが当接する。
続いて、図20を参照して、ウェアラブル端末12を衣服700に取り付ける順序について説明する。図20(A)は、中空部材200b、接続部材600aおよび600b、電源部500を衣服700に取り付けた状態にてユーザ10を斜め前側から見た場合の斜視図である。図20(B)は、図20(A)の状態でさらに中空部材200aを取り付ける様子をユーザ10の斜め前側から見た場合の斜視図である。
ウェアラブル端末12を衣服700に装着する際には、まず図20(A)に示すように中空部材200bおよび接続部材600a,600bの取り付け作業が行われる。中空部材200bに接続部材600a,600bが接続された状態で、ユーザ10の上方(矢印Gの方向)から接続部材600a,600bがそれぞれに対応する保持部703a,703bに挿入される。この場合、側面部705および上面部706を、図19(C)に示すF方向に回転させることで、それらのロックが事前に解除されているものとする。接続部材600a,600bを保持部703a,703bに対してそれぞれ挿入した後に、側面部705および上面部706を、F方向とは反対方向に回転させてロック状態とする作業が行われる。このとき、保持部703a,703bの底面部704と、側面部705と、上面部706とで構成される部分に接続部材600a,600bの立ち壁部607a,607bが嵌合する。これによって、保持部703a,703bに対する接続部材600a,600bの上下方向の位置決めが行われる。また、保持部703aの側面部705から保持部703bの側面部705までの幅は、接続部材600aの立ち壁部607bから接続部材600bの立ち壁部607aまでの幅と略同一となっている。よって、保持部703a,703bに対する接続部材600a,600bの左右方向の位置決めが行われる。
さらには、保持部703a,703bの前面部708から後面部709までの幅(図19参照)は、接続部材600a,600bにおける着脱部602aと602bとの間隔30(図18参照)と略同一である。よって、保持部703a,703bに対する接続部材600a,600bの前後方向の位置決めが行われる。
図20(B)に示すように、中空部材200bと接続部材600a,600bが衣服700に装着された状態で、接続部材600a,600bに対して中空部材200aが前方(矢印Hの方向)から接続される。こうして、ウェアラブル端末12を衣服700へ装着する作業が完了する。装着作業が完了した状態で、支持部702は中空部材200を下側から支持するので、ウェアラブル端末12がユーザ10の身体に対して傾きにくくなるという効果を奏する。
本実施形態では2つの中空部材200a,200bを接続する接続部材600a,600bを、衣服700に設けられた保持部703a,703bにそれぞれ取り付けることで、ウェアラブル端末12の位置決めおよび保持をより確実に行うことができる。ウェアラブル端末12の身体に対する相対的な動きを抑制し、画像ブレを低減することができる。なお、本実施形態では無端軌道を形成するための2分割された中空部材の例、つまり2つの中空部材を接続部材によって繋いだトーラス形状の部材を説明した。これに限定されることなく、3分割以上に分割された中空部材と、それらを接続する接続部材を使用した構成に適用可能である。あるいは所定の形状を有する複数の中空部材を接続部材によって繋いで任意の曲線軌道をもつ軌道形成用部材として構成してもよい。
前記実施形態によれば、身体に装着された状態で使用されるウェアラブル装置への適用において、より広い範囲の撮像が可能な撮像システムを提供することができる。前記実施形態では撮像位置および撮影方向を変更可能な撮像システムにて、曲線軌道または無端軌道に沿って撮像装置を移動させる駆動源として振動子が用いられている。撮像装置内または外部装置内の駆動制御部によって制御される振動子の使用によって撮像装置の小型化を実現できるが、これに限らず、小型リニアモータ等を使用した実施形態も可能である。以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形および変更が可能である。例えば、上記の実施形態において無色透明な材料で形成された部材は、有色や半透明を含む広義な透明である材料でよい。