本発明は、本発明の実施形態および本明細書に含まれる実施例からなる以下の詳細な説明を参照することで、より容易に理解することができる。本明細書で使用する用語は、詳細な実施形態について述べる目的のものに過ぎず、限定する意図はないと理解される。さらに、本明細書において詳細に定義しない限り、本明細書で使用する用語には、関連業界で知られているとおりのその伝統的な意味が当てられると理解される。
本明細書に記載の本発明は、本明細書で特に開示しない要素なしで適切に実施することができる。したがって、たとえば、本明細書における各場合において、用語「comprising(含む)」、「consisting essentially of(本質的に~からなる)」、および「consisting of(からなる)」はいずれも、他の2つの用語のいずれかで置き換えることができる。
本明細書で使用するとき、単数形「a」、「an」、および「the」は、別段指摘しない限り、複数の言及を包含する。たとえば、「“a”substituent」は、1つまたは複数の置換基を含む。
本明細書に記載する本発明は、本明細書において詳細に開示しない要素なしで実施することができるのが適切である。したがって、たとえば、本明細書における各場合において、用語「comprising(含む)」、「consisting essentially of(本質的に~からなる)」、および「consisting of(からなる)」はいずれも、他の2つの用語のいずれかで置き換えることができる。
用語「約」は、別段指摘しない限り、典型的にはプラスマイナス(±)10%などの、当業者が考えて、容認される、標本平均の標準誤差内にある値を有することを意味する。
本明細書で使用するとき、用語「本質的に同じ」とは、特定の方法に典型的な変動性が考慮に入れられていることを意味する。たとえば、粉末X線回折(PXRD)ピーク位置に関して、用語「本質的に同じ」とは、ピーク位置および強度の典型的な変動性が考慮に入れられていることを意味する。当業者なら、ピーク位置(2θ)が、典型的には、結晶性形態については±0.2°(2θ)、または非晶性形態については±0.5°(2θ)程度の、多少の変動性を示すことは理解されよう。さらに、当業者なら、相対ピーク強度は、装置間の変動性、ならびに結晶化度の程度、好ましい配向、調製試料表面、および当業者に知られている他の要素による変動性を示し、定性的な測定値とみなすにとどめるべきであることも理解されよう。同様に、ラマンスペクトル波数(cm-1)値も、典型的には±2cm-1程度の変動性を示し、13Cおよび19F固体NMRスペクトル(ppm)も、典型的には、結晶性形態については±0.2ppm、または非晶性形態については0.5ppm程度の変動性を示す。
本明細書で使用する用語「非晶性」とは、(1)三次元の秩序を欠いている、または(2)三次元未満の秩序、短い距離(たとえば、10Å未満)にしか及ばない秩序、もしくは両方を示す、固体物質を指す。非晶性固体は、典型的には1つまたは2つの幅の広いピークを含む、広がったPXRDパターンを示す。
本明細書で使用する用語「結晶性」とは、分子または外表面(external face plane)の配置が規則的に繰り返されていることを意味する。結晶性形態は、熱力学的安定性、物理的パラメーター、X線構造、および調製方法が相違することがある。
用語「多形」または「多形性」とは、空間格子配置が、同じ化合物の他の結晶性形態とは別個のものである、化合物の結晶性形態を指す。
用語「溶媒和物」とは、化合物(たとえば、薬物製品の医薬品有効成分(API))と、化学量論量または非化学量論量の1種または複数の溶媒分子(たとえば、水やエタノール)とを含む分子錯体をいう。溶媒が化合物にしっかりと結合すると、結果として生じる錯体は、湿度と無関係である明確な化学量論性を有する。しかし、チャネル溶媒和物や吸湿性化合物のように、溶媒の結合が弱いと、溶媒含有量は、湿度および乾燥条件に左右される。そのような場合、錯体は、往々にして非化学量論的になる。
用語「水和物」とは、化合物と、化学量論量または非化学量論量の水とを含む溶媒和物をいう。「一水和物」とは、化合物1分子あたり1個の水分子を含む水和物である(すなわち、水対化合物が1:1の化学量論性)。
「実質的に純粋」という表現は、実質的に純粋であると記載された結晶性または非晶性形態が、化合物の他の物理学的形態を含めての不純物を、5重量%未満、好ましくは、3重量%未満、より好ましくは、1重量%未満しか含まないことを意味する。別法として、実質的に純粋であると記載された結晶性または非晶性形態は、各場合において、化合物の他の物理学的形態を含めての不純物について、重量で、純度95%超、好ましくは、純度97%超、より好ましくは、純度99%超と表現される場合もある。
本明細書に記載のPF-07220060の結晶性および非晶性形態は、次の方法:(1)粉末X線回折(PXRD)(2θ)、(2)ラマン分光法(cm-1)、(3)13C固体NMR分光法(ppm)、(4)19F固体NMR分光法(ppm)、または(5)示差走査熱量測定(DSC)スキャン(Tg℃)、または方法(1)、(2)、(3)、(4)、および(5)の2つ以上のいずれかの組合せによって特徴付けることができる。
PXRDによって特徴付けられている、本明細書における態様および実施形態のそれぞれにおいて、PXRDピークは、1.5418λのCuKα放射線を使用して収集した。
フーリエ変換赤外分光法(FTIR)、熱重量分析(TGA)、示差熱分析(DTA)などの追加の技術によって、このような固体形態をさらに特徴付けてもよい。
好ましい一態様において、本発明は、PF-07220060一水和物の結晶性形態(形態2)を提供する。一部の実施形態では、PF-07220060一水和物の結晶性形態(形態2)は、その粉末X線回折(PXRD)パターンによって特徴付けられる。他の実施形態では、PF-07220060一水和物の結晶性形態(形態2)は、そのラマンスペクトルによって特徴付けられる。他の実施形態では、PF-07220060一水和物の結晶性形態(形態2)は、その13C固体NMRスペクトルによって特徴付けられる。さらに他の実施形態では、PF-07220060一水和物の結晶性形態(形態2)は、その19F固体NMRスペクトルによって特徴付けられる。
さらなる実施形態では、結晶性のPF-07220060一水和物(形態2)は、これらの方法の2つ以上のいずれかの組合せによって特徴付けられる。粉末X線回折(PXRD)パターン(2θ)、ラマンスペクトル波数値(cm-1)、13C固体NMRスペクトル(ppm)、または19F固体NMRスペクトル(ppm)の2つ以上を含む例示的な組合せが、本明細書において提供される。一部の実施形態では、結晶性のPF-07220060一水和物(形態2)は、PXRDおよびラマンによって特徴付けられる。他の実施形態では、結晶性のPF-07220060一水和物(形態2)は、PXRDおよび13C固体NMRによって特徴付けられる。他の実施形態では、結晶性のPF-07220060一水和物(形態2)は、PXRDおよび19F固体NMRによって特徴付けられる。他の実施形態では、結晶性のPF-07220060一水和物(形態2)は、19F固体NMRおよびラマンによって特徴付けられる。他の実施形態では、結晶性のPF-07220060一水和物(形態2)は、19F固体NMRおよび13C固体NMRによって特徴付けられる。他の実施形態では、結晶性のPF-07220060一水和物(形態2)は、PXRD、ラマン、および13C固体NMRによって特徴付けられる。他の実施形態では、結晶性のPF-07220060一水和物(形態2)は、PXRD、ラマン、および19F固体NMRによって特徴付けられる。
一態様において、本発明は、粉末X線回折(PXRD)パターンによって特徴付けられたPF-07220060一水和物の結晶性形態(形態2)を提供する。
一実施形態では、本発明は、9.6、11.8、および14.7°2θ±0.2°2θの2θ値におけるピークを含む粉末X線回折(PXRD)パターンを有するPF-07220060一水和物の結晶性形態(形態2)を提供する。
一実施形態では、本発明は、9.6、11.8、12.4、および14.7°2θ±0.2°2θの2θ値におけるピークを含む粉末X線回折(PXRD)パターンを有するPF-07220060一水和物の結晶性形態(形態2)を提供する。
一実施形態では、本発明は、9.6、11.8、14.7、および21.0°2θ±0.2°2θの2θ値におけるピークを含む粉末X線回折(PXRD)パターンを有するPF-07220060一水和物の結晶性形態(形態2)を提供する。
別の一実施形態では、本発明は、9.6、11.8、12.4、14.7、および21.0°2θ±0.2°2θの2θ値におけるピークを含む粉末X線回折(PXRD)パターンを有するPF-07220060一水和物の結晶性形態(形態2)を提供する。
一実施形態では、本発明は、9.6、11.8、および14.7°2θ±0.2°2θの2θ値におけるピークと、12.4および21.0°2θ±0.2°2θからなる群から選択される1つまたは2つのピークとを含む粉末X線回折(PXRD)パターンを有するPF-07220060一水和物の結晶性形態(形態2)を提供する。
別の一実施形態では、本発明は、9.6、11.8、12.4、14.7、および21.0°2θ±0.2°2θからなる群から選択される2θ値における3つ以上のピークを含むPXRDパターンを有するPF-07220060一水和物の結晶性形態(形態2)を提供する。
別の一実施形態では、本発明は、(a)表1にある°2θ±0.2°2θのピークからなる群から選択される1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、もしくは5つを超えるピーク、または(b)図1におけるのと本質的に同じ2θ値におけるピークを含むPXRDパターンを有するPF-07220060一水和物の結晶性形態(形態2)を提供する。
別の一態様において、本発明は、ラマンスペクトルによって特徴付けられたPF-07220060一水和物の結晶性形態(形態2)を提供する。
一実施形態では、本発明は、1484、1555、および1587cm-1±2cm-1の波数(cm-1)値を含むラマンスペクトルを有するPF-07220060一水和物の結晶性形態(形態2)を提供する。
一実施形態では、本発明は、1387、1484、1555、および1587cm-1±2cm-1の波数(cm-1)値を含むラマンスペクトルを有するPF-07220060一水和物の結晶性形態(形態2)を提供する。
別の一実施形態では、本発明は、1395、1484、1555、および1587cm-1±2cm-1の波数(cm-1)値を含むラマンスペクトルを有するPF-07220060一水和物の結晶性形態(形態2)を提供する。
別の一実施形態では、本発明は、1387、1395、1484、1555、および1587cm-1±2cm-1の波数(cm-1)値を含むラマンスペクトルを有するPF-07220060一水和物の結晶性形態(形態2)を提供する。
一実施形態では、本発明は、1484、1555、および1587cm-1±2cm-1の波数(cm-1)値と、1387および1395cm-1±2cm-1からなる群から選択される1つまたは2つのピークとを含むラマンスペクトルを有するPF-07220060一水和物の結晶性形態(形態2)を提供する。
一実施形態では、本発明は、(a)表2にあるcm-1±2cm-1の値からなる群から選択される1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、もしくは5つを超える波数(cm-1)値、または(b)図2におけるのと本質的に同じ波数(cm-1)値を含むラマンスペクトルを有するPF-07220060一水和物の結晶性形態(形態2)を提供する。
別の一態様において、本発明は、13C固体NMRスペクトルによって特徴付けられたPF-07220060一水和物の結晶性形態(形態2)を提供する。
一実施形態では、本発明は、22.8および163.0ppm±0.2ppmの共鳴(ppm)値を含む13C固体NMRスペクトルを有するPF-07220060一水和物の結晶性形態(形態2)を提供する。
一実施形態では、本発明は、22.8、50.3、および163.0ppm±0.2ppmの共鳴(ppm)値を含む13C固体NMRスペクトルを有するPF-07220060一水和物の結晶性形態(形態2)を提供する。
一実施形態では、本発明は、22.8、109.8、および163.0ppm±0.2ppmの共鳴(ppm)値を含む13C固体NMRスペクトルを有するPF-07220060一水和物の結晶性形態(形態2)を提供する。
別の一実施形態では、本発明は、22.8、129.1、および163.0ppm±0.2ppmの共鳴(ppm)値を含む13C固体NMRスペクトルを有するPF-07220060一水和物の結晶性形態(形態2)を提供する。
一実施形態では、本発明は、22.8および163.0ppm±0.2ppmの共鳴(ppm)値と、50.3、109.8、および129.1ppm±0.2ppmからなる群から選択される1つ、2つ、または3つの共鳴(ppm)値とを含む13C固体NMRスペクトルを有するPF-07220060一水和物の結晶性形態(形態2)を提供する。
別の一実施形態では、本発明は、(a)表3にあるppm±0.2ppmの値からなる群から選択される1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、もしくは5つを超える共鳴(ppm)値、または(b)図3におけるのと本質的に同じ共鳴(ppm)値を含む13C固体NMRスペクトル(ppm)を有するPF-07220060一水和物の結晶性形態(形態2)を提供する。
別の一態様において、本発明は、19F固体NMRスペクトルによって特徴付けられたPF-07220060一水和物の結晶性形態(形態2)を提供する。
一実施形態では、本発明は、-126.1ppm±0.2ppmの共鳴(ppm)値を含む19F固体NMRスペクトルを有するPF-07220060一水和物の結晶性形態(形態2)を提供する。
別の一実施形態では、本発明は、-125.6ppm±0.2ppmの共鳴(ppm)値を含む19F固体NMRスペクトルを有するPF-07220060一水和物の結晶性形態(形態2)を提供する。
好ましい一実施形態では、本発明は、-126.1および-125.6ppm±0.2ppmの共鳴(ppm)値を含む19F固体NMRスペクトルを有するPF-07220060一水和物の結晶性形態(形態2)を提供する。
別の一実施形態では、本発明は、(a)表4にあるppm±0.2ppmの値からなる群から選択される1つまたは2つの共鳴(ppm)値、または(b)図4に示されるのと本質的に同じ共鳴(ppm)値を含む19F固体NMRスペクトル(ppm)を有するPF-07220060一水和物の結晶性形態(形態2)を提供する。
別の一態様では、本発明は、
(a)9.6、11.8、および14.7°2θ±0.2°2θの2θ値におけるピークを含む粉末X線回折(PXRD)パターン、
(b)1484、1555、および1587cm-1±2cm-1の波数(cm-1)値を含むラマンスペクトル、
(c)22.8および163.0ppm±0.2ppmの共鳴(ppm)値を含む13C固体NMRスペクトル、もしくは
(d)-126.1および-125.6ppm±0.2ppmの共鳴(ppm)値を含む19F固体NMRスペクトル、
または(a)、(b)、(c)、および(d)の2つ以上のいずれかの組合せ
を有するPF-07220060一水和物の結晶性形態(形態2)を提供する。
別の一態様では、本発明は、
(1)
(a)9.6、11.8、および14.7°2θ±0.2°2θ、
(b)9.6、11.8、12.4、および14.7°2θ±0.2°2θ、
(c)9.6、11.8、14.7、および21.0°2θ±0.2°2θ、もしくは
(d)9.6、11.8、12.4、14.7、および21.0°2θ±0.2°2θ
の2θ値におけるピークを含む粉末X線回折(PXRD)パターン、
(2)
(a)1484、1555、および1587cm-1±2cm-1、
(b)1387、1484、1555、および1587cm-1±2cm-1、
(c)1395、1484、1555、および1587cm-1±2cm-1、もしくは
(d)1387、1395、1484、1555、および1587cm-1±2cm-1
の波数(cm-1)値を含むラマンスペクトル、
(3)
(a)22.8および163.0ppm±0.2ppm、
(b)22.8、50.3、および163.0ppm±0.2ppm、
(c)22.8、109.8、および163.0ppm±0.2ppm、
(d)22.8、129.1、および163.0ppm±0.2ppm、
(e)22.8、50.3、109.8、および163.0ppm±0.2ppm、
(f)22.8、50.3、129.1、および163.0ppm±0.2ppm、
(g)22.8、109.8、129.1、および163.0ppm±0.2ppm、もしくは
(h)22.8、50.3、109.8、129.1、および163.0ppm±0.2ppm
の共鳴(ppm)値を含む13C固体NMRスペクトル、
または
(4)
(a)-126.1ppm±0.2ppm、
(b)-125.6ppm±0.2ppm、もしくは
(c)-125.6および-126.1ppm±0.2ppm
の共鳴(ppm)値を含む19F固体NMRスペクトル
または(1)(a)~(d)、(2)(a)~(d)、(3)(a)~(h)、および(4)(a)~(c)の2つ以上のいずれかの組合せ
を有するPF-07220060一水和物の結晶性形態(形態2)を提供する。
別の一態様では、本発明は、本明細書に記載の態様または実施形態に従うPF-07220060一水和物の結晶性形態(形態2)と、薬学的に許容できる担体または賦形剤とを含む医薬組成物を提供する。
別の一態様では、本発明は、がん処置を必要とする対象においてがん処置を行う方法であって、対象に、本明細書に記載の態様または実施形態に従う、PF-07220060一水和物の結晶性形態(形態2)またはPF-07220060一水和物の結晶性形態(形態2)を含む医薬組成物を治療有効量投与することを含む方法を提供する。
別の一態様では、本発明は、がん処置を必要とする対象においてがん処置を行う方法であって、対象に、ある量の、本明細書に記載の態様または実施形態に従うPF-07220060一水和物の結晶性形態(形態2)またはPF-07220060一水和物の結晶性形態(形態2)を含む医薬組成物と、ある量の追加の抗がん薬とを投与することを含み、PF-07220060一水和物(形態2)と追加の抗がん薬の量は、合わせて、がん処置において有効である、方法を提供する。
別の一態様では、本発明は、本明細書に記載の態様または実施形態に従うPF-07220060一水和物の結晶性形態(形態2)またはPF-07220060一水和物の結晶性形態(形態2)を含む医薬組成物の、がん処置のための使用を提供する。
さらに別の一態様では、本発明は、本明細書に記載の態様または実施形態に従うPF-07220060一水和物の結晶性形態(形態2)の、がん処置のための医薬の製造における使用を提供する。
別の一態様では、本発明は、がん処置において使用するための、本明細書に記載の態様または実施形態に従う、PF-07220060一水和物の結晶性形態(形態2)またはPF-07220060一水和物の結晶性形態(形態2)を含む医薬組成物を提供する。
本明細書に記載の結晶性のPF-07220060一水和物(形態2)の態様および実施形態それぞれにおいて、結晶性形態は、実質的に純粋なPF-07220060一水和物の結晶性形態(形態2)でよい。
結晶性のPF-07220060一水和物(形態2)についての本明細書に記載の実施形態はそれぞれ、実施形態同士が互いに相反さないという前提で、他のそのような実施形態と組み合わせてもよい。
別の一態様では、本発明は、PF-07220060の非晶性形態(形態8)を提供する。一部の実施形態では、PF-07220060の非晶性形態(形態8)は、その粉末X線回折(PXRD)パターンによって特徴付けられる。一部の実施形態では、PF-07220060の非晶性形態(形態8)は、示差走査熱量測定(DSC)スキャンによって特徴付けられる。さらなる実施形態では、PF-07220060の非晶性形態(形態8)は、PXRDとDSCの組合せによって特徴付けられる。他の実施形態では、PF-07220060の非晶性形態(形態8)は、そのラマンスペクトルによって特徴付けられる。他の実施形態では、PF-07220060の非晶性形態(形態8)は、その13C固体NMRスペクトルによって特徴付けられる。さらに他の実施形態では、PF-07220060の非晶性形態(形態8)は、その19F固体NMRスペクトルによって特徴付けられる。さらなる実施形態では、PF-07220060の非晶性形態(形態8)は、これらの方法の2つ以上のいずれかの組合せによって特徴付けられる。こうした実施形態の一部において、PF-07220060の非晶性形態(形態8)は、19F固体NMRおよび13C固体NMRによって特徴付けられる。
一実施形態では、本発明は、PF-07220060の非晶性形態(形態8)を提供する。別の一実施形態では、本発明は、その粉末X線回折(PXRD)パターンによって特徴付けられたPF-07220060の非晶性形態(形態8)を提供する。こうした実施形態の一部において、本発明は、(a)約4~約40°2θ±0.5°2θの回折角(2θ)における幅の広いピーク、または(b)図8におけるのと本質的に同じ2θ値におけるピークを含む粉末X線回折(PXRD)パターン(2θ)を有するPF-07220060の非晶性形態(形態8)を提供する。
別の一実施形態では、本発明は、DSCによって特徴付けられたPF-07220060の非晶性形態(形態8)を提供する。こうした実施形態の一部において、本発明は、(a)DSCによって2℃/分のランプ速度で測定される約102℃のガラス転移温度(Tg)、または(b)図9におけるのと本質的に同じDSCサーモグラムを有するPF-07220060の非晶性形態(形態8)を提供する。
別の一態様では、本発明は、ラマンスペクトルによって特徴付けられたPF-07220060の非晶性形態(形態8)を提供する。
一実施形態では、本発明は、1430および1453cm-1±2cm-1の波数(cm-1)値を含むラマンスペクトルを有するPF-07220060の非晶性形態(形態8)を提供する。一実施形態では、本発明は、1430および1574cm-1±2cm-1の波数(cm-1)値を含むラマンスペクトルを有するPF-07220060の非晶性形態(形態8)を提供する。一実施形態では、本発明は、1430、1453、および1574cm-1±2cm-1の波数(cm-1)値を含むラマンスペクトルを有するPF-07220060の非晶性形態(形態8)を提供する。
一実施形態では、本発明は、(a)表7にあるcm-1±2cm-1の値からなる群から選択される1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、もしくは5つを超える波数(cm-1)値、または(b)図10におけるのと本質的に同じ波数(cm-1)値を含むラマンスペクトルを有するPF-07220060の非晶性形態(形態8)を提供する。
別の一態様では、本発明は、13C固体NMRスペクトルによって特徴付けられたPF-07220060の非晶性形態(形態8)を提供する。
一実施形態では、本発明は、20.9、49.3、および116.6ppm±0.5ppmの共鳴(ppm)値を含む13C固体NMRスペクトルを有するPF-07220060の非晶性形態(形態8)を提供する。一実施形態では、本発明は、20.9および49.3ppm±0.5ppmの共鳴(ppm)値を含む13C固体NMRスペクトルを有するPF-07220060の非晶性形態(形態8)を提供する。一実施形態では、本発明は、20.9および116.6ppm±0.5ppmの共鳴(ppm)値を含む13C固体NMRスペクトルを有するPF-07220060の非晶性形態(形態8)を提供する。一実施形態では、本発明は、49.3および116.6ppm±0.5ppmの共鳴(ppm)値を含む13C固体NMRスペクトルを有するPF-07220060の非晶性形態(形態8)を提供する。
別の一実施形態では、本発明は、(a)表8にあるppm±0.5ppmの値からなる群から選択される1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、もしくは5つを超える共鳴(ppm)値、または(b)図11におけるのと本質的に同じ共鳴(ppm)値を含む13C固体NMRスペクトル(ppm)を有するPF-07220060の非晶性形態(形態8)を提供する。
別の一態様では、本発明は、19F固体NMRスペクトルによって特徴付けられたPF-07220060の非晶性形態(形態8)を提供する。一実施形態では、本発明は、-127.5ppm±0.5ppmの共鳴(ppm)値を含む19F固体NMRスペクトルを有するPF-07220060の非晶性形態(形態8)を提供する。別の一実施形態では、本発明は、(a)表9にあるppm±0.5ppmの共鳴(ppm)値、または(b)図12に示されるのと本質的に同じ共鳴(ppm)値を含む19F固体NMRスペクトル(ppm)を有するPF-07220060の非晶性形態(形態8)を提供する。
一実施形態では、本発明は、-127.5ppm±0.5ppmの共鳴(ppm)値を含む19F固体NMRスペクトルと、(a)20.9、49.3、および116.6ppm±0.5ppm、(b)20.9および49.3ppm±0.5ppm、(c)20.9および116.6ppm±0.5ppm、または(d)49.3および116.6ppm±0.5ppmの共鳴(ppm)値を含む13C固体NMRスペクトルとを有するPF-07220060の非晶性形態(形態8)を提供する。
別の一実施形態では、本発明は、
(1)
(a)約4~約40°2θ±0.5°2θの回折角(2θ)における幅の広いピーク、もしくは
(b)図8におけるのと本質的に同じ2θ値におけるピーク
を含む粉末X線回折(PXRD)パターン(2θ)、または
(2)
(a)DSCによって2℃/分のランプ速度で測定される約102℃のガラス転移温度(Tg)、もしくは
(b)図9におけるのと本質的に同じDSCサーモグラム
を含むDSCサーモグラム、または
(3)
(a)-127.5ppm±0.5ppmの共鳴(ppm)値、もしくは
(b)図12に示されるのと本質的に同じ共鳴(ppm)値
を含む19F固体NMRスペクトル、または
(4)
(a)20.9、49.3、および116.6ppm±0.5ppm、
(b)20.9および49.3ppm±0.5ppm、
(c)20.9および116.6ppm±0.5ppm、もしくは
(d)49.3および116.6ppm±0.5ppm
の共鳴(ppm)値を含む13C固体NMRスペクトル、
または(1)(a)~(b)、(2)(a)~(b)、(3)(a)~(b)、および(4)(a)~(d)の2つ以上のいずれかの組合せ
を有するPF-07220060の非晶性形態(形態8)を提供する。
別の一態様では、本発明は、本明細書に記載の態様または実施形態に従うPF-07220060の非晶性形態(形態8)と、薬学的に許容できる担体または賦形剤とを含む医薬組成物を提供する。
別の一態様では、本発明は、がん処置を必要とする対象においてがん処置を行う方法であって、対象に、本明細書に記載の態様または実施形態に従う、PF-07220060の非晶性形態(形態8)またはPF-07220060の非晶性形態(形態8)を含む医薬組成物を治療有効量投与することを含む方法を提供する。
別の一態様では、本発明は、がん処置を必要とする対象においてがん処置を行う方法であって、対象に、ある量の、本明細書に記載の態様または実施形態に従うPF-07220060の非晶性形態(形態8)またはPF-07220060の非晶性形態(形態8)を含む医薬組成物と、ある量の追加の抗がん薬とを投与することを含み、PF-07220060と追加の抗がん薬の量は、合わせて、がん処置において有効である、方法を提供する。
別の一態様では、本発明は、本明細書に記載の態様または実施形態に従うPF-07220060の非晶性形態(形態8)またはPF-07220060の非晶性形態(形態8)を含む医薬組成物の、がん処置のための使用を提供する。
さらに別の一態様では、本発明は、本明細書に記載の態様または実施形態に従うPF-07220060の非晶性形態(形態8)またはPF-07220060の非晶性形態(形態8)を含む医薬組成物の、がん処置のための医薬の製造における使用を提供する。
別の一態様では、本発明は、がん処置において使用するための、本明細書に記載の態様または実施形態に従うPF-07220060の非晶性形態(形態8)またはPF-07220060の非晶性形態(形態8)を含む医薬組成物を提供する。
本明細書に記載の非晶性のPF-07220060(形態8)の態様および実施形態のそれぞれにおいて、非晶性形態は、実質的に純粋なPF-07220060の非晶性形態(形態8)でよい。
非晶性のPF-07220060(形態8)についての本明細書に記載の実施形態はそれぞれ、実施形態同士が互いに相反さないという前提で、他のそのような実施形態と組み合わせてもよい。
一態様において、本発明は、PF-07220060の無水結晶性形態(形態6)を提供する。一部の実施形態では、PF-07220060の無水結晶性形態(形態6)は、その粉末X線回折(PXRD)パターンによって特徴付けられる。他の実施形態では、PF-07220060の無水結晶性形態(形態6)は、そのラマンスペクトルによって特徴付けられる。他の実施形態では、PF-07220060の無水結晶性形態(形態6)は、その13C固体NMRスペクトルによって特徴付けられる。さらに他の実施形態では、PF-07220060の無水結晶性形態(形態6)は、その19F固体NMRスペクトルによって特徴付けられる。
さらなる実施形態では、無水結晶性のPF-07220060(形態6)は、これらの方法の2つ以上のいずれかの組合せによって特徴付けられる。粉末X線回折(PXRD)パターン(2θ)、ラマンスペクトル波数値(cm-1)、13C固体NMRスペクトル(ppm)、または19F固体NMRスペクトル(ppm)の2つ以上を含む例示的な組合せが、本明細書において提供される。一部の実施形態では、無水結晶性のPF-07220060(形態6)は、PXRDおよびラマンによって特徴付けられる。他の実施形態では、無水結晶性のPF-07220060(形態6)は、PXRDおよび13C固体NMRによって特徴付けられる。他の実施形態では、無水結晶性のPF-07220060(形態6)は、PXRDおよび19F固体NMRによって特徴付けられる。他の実施形態では、無水結晶性のPF-07220060(形態6)は、19F固体NMRおよびラマンによって特徴付けられる。他の実施形態では、無水結晶性のPF-07220060(形態6)は、19F固体NMRおよび13C固体NMRによって特徴付けられる。他の実施形態では、無水結晶性のPF-07220060一水和物(形態6)は、PXRD、19F固体NMRおよび13C固体NMRによって特徴付けられる。他の実施形態では、無水結晶性のPF-07220060(形態6)は、PXRD、ラマン、および19F固体NMRによって特徴付けられる。
一態様において、本発明は、粉末X線回折(PXRD)パターンによって特徴付けられたPF-07220060の無水結晶性形態(形態6)を提供する。
一実施形態では、本発明は、6.8、および10.1°2θ±0.2°2θの2θ値におけるピークを含む粉末X線回折(PXRD)パターンを有するPF-07220060の無水結晶性形態(形態6)を提供する。
一実施形態では、本発明は、6.8、10.1、および12.2°2θ±0.2°2θの2θ値におけるピークを含む粉末X線回折(PXRD)パターンを有するPF-07220060の無水結晶性形態(形態6)を提供する。
一実施形態では、本発明は、6.8、10.1、および17.8°2θ±0.2°2θの2θ値におけるピークを含む粉末X線回折(PXRD)パターンを有するPF-07220060の無水結晶性形態(形態6)を提供する。
一実施形態では、本発明は、6.8、10.1、12.2、および17.8°2θ±0.2°2θの2θ値におけるピークを含む粉末X線回折(PXRD)パターンを有するPF-07220060の無水結晶性形態(形態6)を提供する。
別の一実施形態では、本発明は、8.5、10.1、および13.8°2θ±0.2°2θの2θ値におけるピークを含む粉末X線回折(PXRD)パターンを有するPF-07220060の無水結晶性形態(形態6)を提供する。
別の一実施形態では、本発明は、6.8、8.5、および13.8°2θ±0.2°2θの2θ値におけるピークを含む粉末X線回折(PXRD)パターンを有するPF-07220060の無水結晶性形態(形態6)を提供する。
別の一実施形態では、本発明は、6.8、8.5、10.1、および13.8°2θ±0.2°2θの2θ値におけるピークを含む粉末X線回折(PXRD)パターンを有するPF-07220060の無水結晶性形態(形態6)を提供する。
別の一実施形態では、本発明は、6.8、8.5、10.1、12.2、および13.8°2θ±0.2°2θの2θ値におけるピークを含む粉末X線回折(PXRD)パターンを有するPF-07220060の無水結晶性形態(形態6)を提供する。
一実施形態では、本発明は、6.8および10.1°2θ±0.2°2θの2θ値におけるピークと、8.5、12.2、13.8、および17.8°2θ±0.2°2θからなる群から選択される1つ、2つ、3つ、または4つのピークとを含む粉末X線回折(PXRD)パターンを有するPF-07220060の無水結晶性形態(形態6)を提供する。
別の一実施形態では、本発明は、6.8、8.5、10.1、12.2、13.8、および17.8°2θ±0.2°2θからなる群から選択される2θ値における3つ以上のピークを含むPXRDパターンを有するPF-07220060の無水結晶性形態(形態6)を提供する。
別の一実施形態では、本発明は、(a)表10にある°2θ±0.2°2θのピークからなる群から選択される1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、もしくは5つを超えるピーク、または(b)図13におけるのと本質的に同じ2θ値におけるピークを含むPXRDパターンを有するPF-07220060の無水結晶性形態(形態6)を提供する。
別の一態様では、本発明は、ラマンスペクトルによって特徴付けられたPF-07220060の無水結晶性形態(形態6)を提供する。
一実施形態では、本発明は、1436cm-1±2cm-1の波数(cm-1)値を含むラマンスペクトルを有するPF-07220060の無水結晶性形態(形態6)を提供する。
一実施形態では、本発明は、1436および1566cm-1±2cm-1の波数(cm-1)値を含むラマンスペクトルを有するPF-07220060の無水結晶性形態(形態6)を提供する。
一実施形態では、本発明は、1436および1465cm-1±2cm-1の波数(cm-1)値を含むラマンスペクトルを有するPF-07220060の無水結晶性形態(形態6)を提供する。
一実施形態では、本発明は、1436、1465、および1566cm-1±2cm-1の波数(cm-1)値を含むラマンスペクトルを有するPF-07220060の無水結晶性形態(形態6)を提供する。
一実施形態では、本発明は、(a)表11にあるcm-1±2cm-1の値からなる群から選択される1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、もしくは5つを超える波数(cm-1)値、または(b)図14におけるのと本質的に同じ波数(cm-1)値を含むラマンスペクトルを有するPF-07220060の無水結晶性形態(形態6)を提供する。
別の一態様では、本発明は、13C固体NMRスペクトルによって特徴付けられたPF-07220060の無水結晶性形態(形態6)を提供する。
一実施形態では、本発明は、54.7および112.6ppm±0.2ppmの共鳴(ppm)値を含む13C固体NMRスペクトルを有するPF-07220060の無水結晶性形態(形態6)を提供する。
一実施形態では、本発明は、54.7および132.8ppm±0.2ppmの共鳴(ppm)値を含む13C固体NMRスペクトルを有するPF-07220060の無水結晶性形態(形態6)を提供する。
一実施形態では、本発明は、112.6および132.8ppm±0.2ppmの共鳴(ppm)値を含む13C固体NMRスペクトルを有するPF-07220060の無水結晶性形態(形態6)を提供する。
一実施形態では、本発明は、54.7、112.6、および132.8ppm±0.2ppmの共鳴(ppm)値を含む13C固体NMRスペクトルを有するPF-07220060の無水結晶性形態(形態6)を提供する。
別の一実施形態では、本発明は、49.2、54.7、および112.6ppm±0.2ppmの共鳴(ppm)値を含む13C固体NMRスペクトルを有するPF-07220060の無水結晶性形態(形態6)を提供する。
一実施形態では、本発明は、49.2、54.7、および132.8ppm±0.2ppmの共鳴(ppm)値を含む13C固体NMRスペクトルを有するPF-07220060の無水結晶性形態(形態6)を提供する。
別の一実施形態では、本発明は、49.2、54.7、112.6、および132.8ppm±0.2ppmの共鳴(ppm)値を含む13C固体NMRスペクトルを有するPF-07220060の無水結晶性形態(形態6)を提供する。
一実施形態では、本発明は、54.7および112.6ppm±0.2ppmの共鳴(ppm)値と、49.2および132.8ppm±0.2ppmからなる群から選択される1つまたは2つの共鳴(ppm)値とを含む13C固体NMRスペクトルを有するPF-07220060の無水結晶性形態(形態6)を提供する。
一実施形態では、本発明は、54.7ppm±0.2ppmの共鳴(ppm)値と、49.2、112.6、および132.8ppm±0.2ppmからなる群から選択される1つ、2つ、または3つの共鳴(ppm)値とを含む13C固体NMRスペクトルを有するPF-07220060の無水結晶性形態(形態6)を提供する。
別の一実施形態では、本発明は、(a)表12にあるppm±0.2ppmの値からなる群から選択される1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、もしくは5つを超える共鳴(ppm)値、または(b)図15におけるのと本質的に同じ共鳴(ppm)値を含む13C固体NMRスペクトル(ppm)を有するPF-07220060の無水結晶性形態(形態6)を提供する。
別の一態様では、本発明は、19F固体NMRスペクトルによって特徴付けられたPF-07220060の無水結晶性形態(形態6)を提供する。
一実施形態では、本発明は、-132.4ppm±0.2ppmの共鳴(ppm)値を含む19F固体NMRスペクトルを有するPF-07220060の無水結晶性形態(形態6)を提供する。
別の一実施形態では、本発明は、-131.1ppm±0.2ppmの共鳴(ppm)値を含む19F固体NMRスペクトルを有するPF-07220060の無水結晶性形態(形態6)を提供する。
別の一実施形態では、本発明は、-131.1および-132.4ppm±0.2ppmの共鳴(ppm)値を含む19F固体NMRスペクトルを有するPF-07220060の無水結晶性形態(形態6)を提供する。
別の一実施形態では、本発明は、(a)表13にあるppm±0.2ppmの値からなる群から選択される1つまたは2つの共鳴(ppm)値、または(b)図16に示されるのと本質的に同じ共鳴(ppm)値を含む19F固体NMRスペクトル(ppm)を有するPF-07220060の無水結晶性形態(形態6)を提供する。
別の一態様では、本発明は、
(1)
(a)6.8および10.1°2θ±0.2°2θ、
(b)6.8、10.1、および12.2°2θ±0.2°2θ、
(c)6.8、10.1、および17.8°2θ±0.2°2θ、
(d)6.8、10.1、12.2、および17.8°2θ±0.2°2θ、
(e)8.5、10.1、および13.8°2θ±0.2°2θ、
(f)6.8、8.5、および13.8°2θ±0.2°2θ、
(g)6.8、8.5、10.1、および13.8°2θ±0.2°2θ、もしくは
(h)6.8、8.5、10.1、12.2、および13.8°2θ±0.2°2θ
の2θ値におけるピークを含む粉末X線回折(PXRD)パターン、
(2)
(a)1436および1566cm-1±2cm-1、
(b)1436および1465cm-1±2cm-1、もしくは
(c)1436、1465、および1566cm-1±2cm-1
の波数(cm-1)値を含むラマンスペクトル、
(3)
(a)54.7および112.6ppm±0.2ppm、
(b)54.7および132.8ppm±0.2ppm、
(c)112.6および132.8ppm±0.2ppm、
(d)54.7、112.6、および132.8ppm±0.2ppm、
(e)49.2、54.7、および112.6ppm±0.2ppm、
(f)49.2、54.7、および132.8ppm±0.2ppm、もしくは
(g)49.2、54.7、112.6、および132.8ppm±0.2ppm
の共鳴(ppm)値を含む13C固体NMRスペクトル、
または
(4)
(a)-132.4ppm±0.2ppm、
(b)-131.1ppm±0.2ppm、もしくは
(c)-131.1および-132.4ppm±0.2ppm
の共鳴(ppm)値を含む19F固体NMRスペクトル
または(1)(a)~(h)、(2)(a)~(c)、(3)(a)~(g)、および(4)(a)~(c)の2つ以上のいずれかの組合せ
を有するPF-07220060の無水結晶性形態(形態6)を提供する。
別の一態様では、本発明は、本明細書に記載の態様または実施形態に従うPF-07220060の無水結晶性形態(形態6)と、薬学的に許容できる担体または賦形剤とを含む医薬組成物を提供する。
別の一態様では、本発明は、がん処置を必要とする対象においてがん処置を行う方法であって、対象に、本明細書に記載の態様または実施形態に従う、PF-07220060の無水結晶性形態(形態6)またはPF-07220060の無水結晶性形態(形態6)を含む医薬組成物を治療有効量投与することを含む方法を提供する。
別の一態様では、本発明は、がん処置を必要とする対象においてがん処置を行う方法であって、対象に、ある量の、本明細書に記載の態様または実施形態に従うPF-07220060の無水結晶性形態(形態6)またはPF-07220060の無水結晶性形態(形態6)を含む医薬組成物と、ある量の追加の抗がん薬とを投与することを含み、PF-07220060の無水結晶性形態(形態6)と追加の抗がん薬の量は、合わせて、がん処置において有効である、方法を提供する。
別の一態様では、本発明は、本明細書に記載の態様または実施形態に従うPF-07220060の無水結晶性形態(形態6)またはPF-07220060の無水結晶性形態(形態6)を含む医薬組成物の、がん処置のための使用を提供する。
さらに別の一態様では、本発明は、本明細書に記載の態様または実施形態に従うPF-07220060の無水結晶性形態(形態6)の、がん処置のための医薬の製造における使用を提供する。
別の一態様では、本発明は、がん処置において使用するための、本明細書に記載の態様または実施形態に従うPF-07220060の無水結晶性形態(形態6)またはPF-07220060の無水結晶性形態(形態6)を含む医薬組成物を提供する。
本明細書に記載の無水結晶性のPF-07220060(形態6)の態様および実施形態のそれぞれにおいて、結晶性形態は、実質的に純粋なPF-07220060の無水結晶性形態(形態6)でよい。
無水結晶性のPF-07220060(形態6)についての本明細書に記載の実施形態はそれぞれ、実施形態同士が互いに相反さないという前提で、他のそのような実施形態と組み合わせてもよい。
一態様において、本発明は、PF-07220060の無水結晶性形態(形態11)を提供する。一部の実施形態では、PF-07220060の無水結晶性形態(形態11)は、その粉末X線回折(PXRD)パターンによって特徴付けられる。一実施形態では、本発明は、図17に示されるのと本質的に同じ2θ値におけるピークを含むPXRDパターンを有するPF-07220060の無水結晶性形態(形態11)を提供する。
別の一態様では、本発明は、本明細書に記載の態様または実施形態に従うPF-07220060の無水結晶性形態(形態11)と、薬学的に許容できる担体または賦形剤とを含む医薬組成物を提供する。
別の一態様では、本発明は、がん処置を必要とする対象においてがん処置を行う方法であって、対象に、本明細書に記載の態様または実施形態に従う、PF-07220060の無水結晶性形態(形態11)またはPF-07220060の無水結晶性形態(形態11)を含む医薬組成物を治療有効量投与することを含む方法を提供する。
別の一態様では、本発明は、がん処置を必要とする対象においてがん処置を行う方法であって、対象に、ある量の、本明細書に記載の態様または実施形態に従うPF-07220060の無水結晶性形態(形態11)またはPF-07220060の無水結晶性形態(形態11)を含む医薬組成物と、ある量の追加の抗がん薬とを投与することを含み、PF-07220060の無水結晶性形態(形態11)と追加の抗がん薬の量は、合わせて、がん処置において有効である、方法を提供する。
別の一態様では、本発明は、本明細書に記載の態様または実施形態に従うPF-07220060の無水結晶性形態(形態11)またはPF-07220060の無水結晶性形態(形態11)を含む医薬組成物の、がん処置のための使用を提供する。
さらに別の一態様では、本発明は、本明細書に記載の態様または実施形態に従うPF-07220060の無水結晶性形態(形態11)の、がん処置のための医薬の製造における使用を提供する。
別の一態様では、本発明は、がん処置において使用するための、本明細書に記載の態様または実施形態に従うPF-07220060の無水結晶性形態(形態11)またはPF-07220060の無水結晶性形態(形態11)を含む医薬組成物を提供する。
本明細書に記載の無水結晶性のPF-07220060(形態11)の態様および実施形態のそれぞれにおいて、結晶性形態は、実質的に純粋なPF-07220060の無水結晶性形態(形態11)でよい。
無水結晶性のPF-07220060(形態11)についての本明細書に記載の実施形態はそれぞれ、実施形態同士が互いに相反さないという前提で、他のそのような実施形態と組み合わせてもよい。
本明細書に記載の方法および使用それぞれの一部の実施形態において、がんは、乳がん、前立腺がん、肺がん(非小細胞肺がん(NSCLC)および小細胞肺がん(SCLC)を含む)、肝臓がん(肝細胞癌(HCC)を含む)、腎臓がん(腎細胞癌(RCC)を含む)、膀胱がん(上部尿路尿路上皮癌(UUTUC)などの尿路上皮癌を含む)、卵巣がん(卵巣上皮がん(EOC)を含む)、腹膜がん(原発性腹膜がん(PPC)を含む)、卵管がん、子宮頚がん、子宮がん(子宮内膜がんを含む)、膵臓がん、胃がん、結腸直腸がん、食道がん、頭頚部がん(頭頚部扁平上皮癌(SCCHN)、甲状腺がん、および唾液腺がんを含む)、精巣がん、副腎がん、皮膚がん(基底細胞癌および黒色腫を含む)、脳腫瘍(星状細胞腫、髄膜腫、および膠芽腫を含む)、肉腫(骨肉腫および脂肪肉腫を含む)、およびリンパ腫(マントル細胞リンパ腫(MCL)を含む)からなる群から選択される。
本明細書に記載の方法および使用の一部の実施形態において、がんは、進行または転移がんである。本明細書に記載の方法および使用の一部の実施形態において、がんは、早期または非転移がんである。
本明細書に記載の方法および使用の一部の実施形態において、がんは、CDK4、CDK6、および/またはサイクリンD1(CCND1)の増幅または過剰発現を特徴とする。一部の実施形態では、がんは、RB陽性またはRBプロフィシェントである。
本明細書に記載の方法および使用それぞれの一部の実施形態において、がんは、治療薬または薬剤クラス、たとえば、特定のがんのための標準治療薬またはクラスに抵抗性である。本明細書に記載の方法および使用それぞれの一部の実施形態において、がんは、治療薬または薬剤クラスに対する生得または獲得抵抗性を特徴とする。こうした実施形態の一部において、がんは、抗アンドロゲン薬、タキサン、白金薬、アロマターゼ阻害薬、選択的エストロゲン受容体分解薬(SERD)、選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)、またはCDK4/6阻害薬による処置に対して抵抗性である。
本明細書に記載の方法および使用それぞれの一部の実施形態において、がんは、乳がんである。こうした実施形態の一部において、乳がんは、アンドロゲン依存性乳がんである。一部の実施形態では、乳がんは、AR+乳がんである。
本明細書に記載の方法および使用の一部の実施形態において、乳がんは、進行または転移乳がんである。本明細書に記載の方法および使用の一部の実施形態において、乳がんは、早期または非転移乳がんである。
本明細書に記載の方法および使用の一部の実施形態において、乳がんは、CDK4、CDK6、および/またはサイクリンD1(CCND1)の増幅または過剰発現を特徴とする。一部の実施形態では、乳がんは、RB陽性、RBプロフィシェント、またはRB野生型として特徴付けられる。
本明細書に記載の方法および使用の一部の実施形態において、乳がんは、BRCA1またはBRCA2変異乳がんである。
本明細書に記載の方法および使用の一部の実施形態において、乳がんは、PIK3CA変異乳がんである。
本明細書に記載の方法および使用の一部の実施形態において、乳がんは、1種または複数の標準治療薬による処置に対して抗療性もしくは抵抗性であり、または1種または複数の標準治療薬を使用しても進行している。こうした実施形態の一部において、乳がんは、アロマターゼ阻害薬、SERD、SERMなどの抗エストロゲン薬による処置に対して抗療性もしくは抵抗性であり、または抗エストロゲン薬を使用しても進行している。こうした実施形態の一部において、乳がんは、パルボシクリブもしくは薬学的に許容できるその塩などのCDK4/6阻害薬による処置に対して抗療性もしくは抵抗性であり、またはCDK4/6阻害薬を使用しても進行している。他の実施形態では、乳がんは、タキサン、白金薬、アントラサイクリン、代謝拮抗薬などの抗悪性腫瘍化学療法薬による処置に対して抗療性もしくは抵抗性であり、または抗悪性腫瘍化学療法薬による処置を行っても進行している。
本明細書に記載の方法および使用それぞれの一部の実施形態において、乳がんは、ホルモン受容体(HR)陽性(HR+)乳がんである、すなわち、乳がんは、エストロゲン受容体(ER)陽性(ER+)および/またはプロゲステロン受容体(PR)陽性(PR+)である。
一部の実施形態では、乳がんは、ホルモン受容体(HR)陰性(HR-)である、すなわち、乳がんは、エストロゲン受容体(ER)陰性(ER-)およびプロゲステロン受容体(PR)陰性(PR-)である。
一部の実施形態では、乳がんは、ヒト上皮成長因子受容体2(HER2)陽性(HER2+)である。
一部の実施形態では、乳がんは、ヒト上皮成長因子受容体2(HER2)陰性(HER2-)である。こうした実施形態の一部において、乳がんは、エストロゲン受容体アルファ(ERα)陰性である。
一部の実施形態では、乳がんは、三種陰性乳がん(TNBC)である、すなわち、乳がんは、ER-、PR-、およびHER2-である。
一部の実施形態では、乳がんは、HR+/HER2-乳がん、HR+/HER2+乳がん、HR-/HER2+乳がん、および三種陰性乳がん(TNBC)からなる群から選択される。こうした実施形態の一部において、乳がんは、アンドロゲン依存性またはAR+乳がんである。こうした実施形態の一部において、乳がんは、BRCA1またはBRCA2変異乳がんである。
一部の実施形態では、乳がんは、HR+/HER2-乳がんである。こうした実施形態の一部において、HR+/HER2-乳がんは、進行または転移HR+/HER2-乳がんである。一部の実施形態では、HR+/HER2-乳がんは、早期または非転移HR+/HER2-乳がんである。
一部の実施形態では、HR+/HER2-乳がんは、CDK4、CDK6、および/またはサイクリンD1(CCND1)の増幅または過剰発現を特徴とする。一部の実施形態では、HR+/HER2-乳がんは、RB陽性、RBプロフィシェント、またはRB野生型として特徴付けられる。
一部の実施形態では、HR+/HER2-乳がんは、BRCA1またはBRCA2変異乳がんである。
一部の実施形態では、HR+/HER2-乳がんは、PIK3CA変異乳がんである。
こうした実施形態の一部において、HR+/HER2-乳がんは、標準治療薬、たとえば、アロマターゼ阻害薬、SERD、SERMなどの抗エストロゲン薬による処置に対して抗療性もしくは抵抗性であり、または標準治療薬を使用しても進行している。こうした実施形態の一部において、HR+/HER2-乳がんは、パルボシクリブもしくは薬学的に許容できるその塩などのCDK4/6阻害薬による処置に対して抗療性もしくは抵抗性であり、またはCDK4/6阻害薬を使用しても進行している。
こうした実施形態の一部において、HR+/HER2-乳がんは、アロマターゼ阻害薬、SERD、SERMなどの抗エストロゲン薬による処置に対して抗療性または抵抗性である。こうした実施形態の一部において、HR+/HER2-乳がんは、パルボシクリブもしくは薬学的に許容できるその塩などのCDK4/6阻害薬による処置に対して抗療性または抵抗性である。こうした実施形態の一部において、HR+/HER2-乳がんは、抗エストロゲン薬、たとえば、レトロゾールやフルベストラントとさらに組み合わせられた、パルボシクリブもしくは薬学的に許容できるその塩などのCDK4/6阻害薬による処置に対して抗療性または抵抗性である。
こうした実施形態の一部において、HR+/HER2-乳がんは、アロマターゼ阻害薬、SERD、SERMなどの抗エストロゲン薬による処置に抵抗性である。こうした実施形態の一部において、HR+/HER2-乳がんは、パルボシクリブまたは薬学的に許容できるその塩などのCDK4/6阻害薬による処置に抵抗性である。こうした実施形態の一部において、HR+/HER2-乳がんは、抗エストロゲン薬、たとえば、レトロゾールやフルベストラントとさらに組み合わせられた、パルボシクリブまたは薬学的に許容できるその塩などのCDK4/6阻害薬による処置に抵抗性である。
一部の実施形態では、乳がんは、HR+/HER2+乳がんである。一部の実施形態では、乳がんは、HR-/HER2+乳がんである。
乳がんがHR+である一部の実施形態において、本明細書に記載の方法および使用は、追加の抗がん薬をさらに含む。こうした実施形態の一部において、追加の抗がん薬は、アロマターゼ阻害薬、SERD、SERMなどの抗エストロゲン薬である。こうした実施形態の一部において、抗エストロゲン薬は、レトロゾールまたはフルベストラントである。こうした実施形態の一部において、追加の抗がん薬は、パルボシクリブまたは薬学的に許容できるその塩などのCDK4/6阻害薬である。こうした実施形態の一部において、追加の抗がん薬は、パルボシクリブまたは薬学的に許容できるその塩などのCDK4/6阻害薬が、抗エストロゲン薬、たとえば、レトロゾールやフルベストラントとさらに組み合わせられたものである。こうした実施形態の一部において、追加の抗がん薬は、PI3K阻害薬、たとえば、アルペリシブである。
乳がんがHER2+である一部の実施形態において、本明細書に記載の方法および使用は、追加の抗がん薬をさらに含む。こうした実施形態の一部において、追加の抗がん薬は、HER2標的化薬、たとえば、トラスツズマブエムタンシン、fam-トラスツズマブデルクステカン、ペルツズマブ、ラパチニブ、ネラチニブ、ツカチニブ、またはPI3K/AKT/mTOR分子経路を標的とする薬剤、たとえば、イパタセルチブである。
一部の実施形態では、乳がんは、三種陰性乳がん(TNBC)である。一部の実施形態では、TNBCは、アンドロゲン依存性またはAR+TNBCである。こうした実施形態の一部において、TNBCは、RN+またはRBプロフィシェントである。こうした実施形態の一部において、TNBCは、AR+、RB+、またはAR+、RBプロフィシェントTNBCである。
こうした実施形態の一部において、TNBCは、局所再発/進行または転移TNBCである。こうした実施形態の一部において、TNBCは、進行または転移TNBCである。こうした実施形態の一部において、TNBCは、早期または非転移TNBCである。
一部の実施形態では、TNBCは、CDK4、CDK6、および/またはサイクリンD1(CCND1)の増幅または過剰発現を特徴とする。
一部の実施形態では、TNBCは、BRCA1またはBRCA2変異TNBCである。
一部の実施形態では、TNBCは、標準治療薬、たとえば、タキサン、白金薬、アントラサイクリン、代謝拮抗薬などの抗悪性腫瘍化学療法薬による処置に対して抗療性もしくは抵抗性であり、または抗悪性腫瘍化学療法薬を使用しても進行している。
本明細書に記載の方法および使用それぞれの一部の実施形態において、がんは、前立腺がんである。こうした実施形態の一部において、前立腺がんは、アンドロゲン依存性である。こうした実施形態の一部において、前立腺がんは、AR+前立腺がんである。
本明細書に記載の方法および使用の一部の実施形態において、前立腺がんは、進行または転移前立腺がんである。本明細書に記載の方法および使用の一部の実施形態において、前立腺がん、早期または非転移前立腺がんである。本明細書に記載の方法および使用の一部の実施形態において、前立腺がんは、BRCA1またはBRCA2変異前立腺がんである。
一部の実施形態では、前立腺がんは、去勢抵抗性前立腺がんである。他の実施形態では、前立腺がんは、去勢感受性前立腺がんである。本明細書に記載の方法および使用それぞれの一部の実施形態において、前立腺がんは、転移前立腺がん(mPC)である。こうした実施形態の一部において、mPCは、転移去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)である。他のこうした実施形態では、mPCは、転移去勢感受性前立腺がん(mCSPC)である。本明細書に記載の方法および使用それぞれの一部の実施形態において、前立腺がんは、非転移前立腺がん(nmPC)である。こうした実施形態の一部において、nmPCは、非転移去勢抵抗性前立腺がん(nmCRPC)である。こうした実施形態の一部において、nmPCは、非転移去勢感受性前立腺がん(nmCSPC)である。
本明細書に記載の方法および使用の一部の実施形態において、前立腺がんは、1種または複数の標準治療薬による処置に対して抗療性もしくは抵抗性であり、または1種または複数の標準治療薬を使用しても進行している。こうした実施形態の一部において、前立腺がんは、抗アンドロゲン療法による処置に対して抗療性もしくは抵抗性であり、または抗アンドロゲン療法を行っても進行している。他の実施形態では、前立腺がんは、タキサン、白金薬、アントラサイクリン、代謝拮抗薬などの抗悪性腫瘍化学療法薬による処置に対して抗療性もしくは抵抗性であり、または抗悪性腫瘍化学療法薬を使用しても進行している。
こうした実施形態の一部において、前立腺がんは、抗アンドロゲン薬による処置に対して抗療性または抵抗性である。
本明細書に記載の方法および使用それぞれの一部の実施形態において、がんは、肺がんである。一部の実施形態では、肺がんは、非小細胞肺がん(NSCLC)である。一部の実施形態では、肺がんは、小細胞肺がん(SCLC)である。こうした実施形態の一部において、肺がんは、進行または転移肺がんである。
本明細書に記載の方法および使用それぞれの一部の実施形態において、がんは、肝臓がんである。こうした実施形態の一部において、肝臓がんは、肝細胞癌(HCC)である。こうした実施形態の一部において、肝臓がんは、進行または転移肝臓がんである。
本明細書に記載の方法および使用それぞれの一部の実施形態において、がんは、腎臓がんである。こうした実施形態の一部において、腎臓がんは、腎細胞癌(RCC)である。こうした実施形態の一部において、腎臓がんは、進行または転移腎臓がんである。
本明細書に記載の方法および使用それぞれの一部の実施形態において、がんは、膀胱がんである。こうした実施形態の一部において、膀胱がんは、上部尿路尿路上皮癌(UUTUC)を含む尿路上皮癌である。こうした実施形態の一部において、膀胱がんは、進行または転移膀胱がんである。
本明細書に記載の方法および使用それぞれの一部の実施形態において、がんは、卵巣上皮がん(EOC)を含む卵巣がんである。こうした実施形態の一部において、卵巣がんは、進行または転移卵巣がんである。
本明細書に記載の方法および使用それぞれの一部の実施形態において、がんは、原発性腹膜がん(PPC)を含む腹膜がんである。こうした実施形態の一部において、腹膜がんは、進行または転移腹膜がんである。
本明細書に記載の方法および使用それぞれの一部の実施形態において、がんは、卵管がんである。こうした実施形態の一部において、卵管がんは、進行または転移卵管がんである。
本明細書に記載の方法および使用それぞれの一部の実施形態において、がんは、子宮頚がんである。こうした実施形態の一部において、子宮頚がんは、進行または転移子宮頚がんである。
本明細書に記載の方法および使用それぞれの一部の実施形態において、がんは、子宮内膜がんを含む子宮がんである。こうした実施形態の一部において、子宮がんは、進行または転移子宮がんである。
本明細書に記載の方法および使用それぞれの一部の実施形態において、がんは、膵臓がんである。こうした実施形態の一部において、膵臓がんは、進行または転移膵臓がんである。こうした実施形態の一部において、膵臓がんは、タキサン、白金薬、アントラサイクリン、代謝拮抗薬などの抗悪性腫瘍化学療法薬に抵抗性である。こうした実施形態の一部において、膵臓がんは、ゲムシタビンまたはnab-パクリタキセルに抵抗性である。
本明細書に記載の方法および使用それぞれの一部の実施形態において、がんは、胃がんである。こうした実施形態の一部において、胃がんは、進行または転移胃がんである。
本明細書に記載の方法および使用それぞれの一部の実施形態において、がんは、結腸直腸がんである。こうした実施形態の一部において、結腸直腸がんは、進行または転移結腸直腸がんである。
本明細書に記載の方法および使用それぞれの一部の実施形態において、がんは、食道がんである。こうした実施形態の一部において、食道がんは、進行または転移食道がんである。
本明細書に記載の方法および使用それぞれの一部の実施形態において、がんは、頭頚部がんである。こうした実施形態の一部において、頭頚部がんは、進行または転移頭頚部がんである。こうした実施形態の一部において、頭頸部がんは、頭頚部扁平上皮癌(SCCHN)、甲状腺がん、または唾液腺がんである。こうした実施形態の一部において、頭頚部がんは、唾液腺がんである。
本明細書に記載の方法および使用それぞれの一部の実施形態において、がんは、精巣がんである。こうした実施形態の一部において、精巣がんは、進行または転移精巣がんである。
本明細書に記載の方法および使用それぞれの一部の実施形態において、がんは、副腎がんである。こうした実施形態の一部において、副腎がんは、進行または転移副腎がんである。
本明細書に記載の方法および使用それぞれの一部の実施形態において、がんは、皮膚がんである。こうした実施形態の一部において、皮膚がんは、基底細胞癌または黒色腫である。こうした実施形態の一部において、皮膚がんは、進行または転移皮膚がんである。
本明細書に記載の方法および使用それぞれの一部の実施形態において、がんは、脳腫瘍である。こうした実施形態の一部において、脳腫瘍は、星状細胞腫、髄膜腫、または膠芽腫である。こうした実施形態の一部において、脳腫瘍は、進行または転移脳腫瘍である。
本明細書に記載の方法および使用それぞれの一部の実施形態において、がんは、肉腫である。こうした実施形態の一部において、肉腫は、骨肉腫または脂肪肉腫である。
本明細書に記載の方法および使用それぞれの一部の実施形態において、がんは、リンパ腫である。こうした実施形態の一部において、リンパ腫は、マントル細胞リンパ腫(MCL)である。
一部の実施形態では、本発明の化合物は、第一選択治療として投与される。他の実施形態では、本発明の化合物は、第二(またはより後)の選択治療として投与される。
一部の実施形態では、本発明の化合物は、内分泌治療薬および/またはCDK4/CDK6阻害薬による処置に続いて、第二(またはより下位の)選択治療として投与される。一部の実施形態では、本発明の化合物は、内分泌治療薬、たとえば、アロマターゼ阻害薬、SERM、SERDによる処置に続いて、第二(またはより下位の)選択治療として投与される。一部の実施形態では、本発明の化合物は、CDK4/6阻害薬による処置に続いて、第二(またはより下位の)選択治療として投与される。一部の実施形態では、本発明の化合物は、たとえば、タキサンまたは白金薬を含む1つまたは複数の化学療法レジメンによる処置に続いて、第二(またはより下位の)選択治療として投与される。一部の実施形態では、本発明の化合物は、抗HER2標的化薬、たとえば、トラスツズマブによる処置に続いて、第二(またはより下位の)選択治療として投与される。
本明細書で使用するとき、化合物または医薬組成物の「有効投与量」、「有効量」、または「治療有効量」は、指示どおりに使用されたとき(単一薬剤として使用される場合は単独、または組み合わせて使用される場合は他の薬剤と一緒となる場合がある)、疾患の生化学的、組織学的、または行動的症状、その合併症、および疾患が進展する間に現れる中間の病理学的表現型の予防、寛解、または処置を始めとする、1つまたは複数の有益または所望の成果を得るのに十分である量である。予防的な使用について、有益または所望の成果には、疾患のリスクを排除もしくは軽減する、疾患の重症度を下げる、または疾患の発症を遅らせることが含まれうる。治療的な使用について、有益または所望の成果には、疾患の出現率を低下させること、疾患の1つまたは複数の症状を寛解させること、疾患の処置に使用される別の薬物療法の用量を減らすこと、疾患の処置に使用される別の薬物療法の有効性もしくは安全性を高めること、または疾患進行までの時間を遅らせることが含まれうる。
がん処置に関して、治療有効量とは、患者において、(1)腫瘍の大きさを縮小する、(2)腫瘍転移を阻害する(すなわち、ある程度緩慢にする、好ましくは阻止する)、(3)腫瘍成長または腫瘍浸潤性をある程度抑制する(すなわち、ある程度緩慢にする、好ましくは阻止する)、(4)がんと関連する1つもしくは複数の徴候または症状をある程度解消する(または、好ましくは除去する)、(5)疾患処置に必要な他の薬物療法の用量を減らす、(6)別の薬物療法の効果を高める、および/または(7)疾患の進行を遅らせるという効果を有する量を指す。
有効投与量は、1回または複数の投与で投与することができる。本発明の目的では、薬物、化合物、または医薬組成物の有効投与量は、予防的または治療的処置を直接または間接的に実現するのに十分な量である。臨床的な状況で理解されるとおり、薬物、化合物、または医薬組成物の有効投与量は、別の薬物、化合物、または医薬組成物と併せて実現される場合もあり、そうでない場合もある。
「非標準投薬レジメン」とは、ある量の物質、薬剤、化合物、または医薬組成物を投与するための、臨床または治療の現場においてその物質、薬剤、化合物、または医薬組成物に典型的に使用される量、用量、またはスケジュールとは異なるレジメンを指す。「非標準投薬レジメン」は、「非標準用量」または「非標準投薬スケジュール」を包含する。
「低用量レジメン」とは、レジメンにおける物質、薬剤、化合物、または医薬組成物の1種または複数の量が、臨床または治療の現場においてその薬剤に典型的に使用されるより、たとえば、その薬剤が単独療法として投与されるときより、少ない量または用量で投与される投薬レジメンを指す。
網膜芽細胞腫感受性遺伝子(RB1)は、分子的に定義されることになる最初の腫瘍抑制遺伝子であった。網膜芽細胞腫遺伝子産物RBは、網膜芽細胞腫および骨肉腫において頻繁に突然変異または欠失しており、前立腺がん(神経内分泌前立腺がんを含む)、乳がん(三種陰性乳がん(TNBC)を含む)、肺がん(小細胞肺がん(SCLC)および非小細胞肺がん(NSCLC)を含む)、肝臓がん、膀胱がん、卵巣がん、子宮がん、子宮頚がん、胃がん、食道がん、頭頚部がん、膠芽腫、リンパ腫などの他の腫瘍タイプでは、不定の頻度で変異または欠失している。ヒトがんにおいて、RBの機能は、結合タンパク質(たとえば、子宮頚癌におけるヒトパピローマウイルスE7タンパク質;Ishiji,T、2000、J Dermatol.、27:73~86)による中和、または最終的にそのリン酸化を担う経路の調節解除によって妨害される場合がある。
「RB経路」とは、網膜芽細胞腫タンパク質(RB)、ならびに、限定はしないが、CDK、E2f、非定型プロテインキナーゼC、およびSkp2を始めとする、経路における他のタンパク質/タンパク質ファミリーを含む、分子シグナル伝達の経路全体を意味する。RB経路の不活性化は、多くの場合、p16INK4a、サイクリンD1、およびCDK4の混乱をもたらす。
用語「RB+」、「RBプラス」、「RBプロフィシェント」、または「RB陽性」は、検出可能な量の機能するRBタンパク質を発現する細胞をいうのに使用される場合がある。RB陽性は、野生型および非変異RBタンパク質を包含する。野生型RB(RB-WT)は、対応する集団に普通に存在し、このタンパク質に現在割り当てられている機能を有するRBタンパク質の型を意味すると一般に理解される。RB陽性は、機能するRB遺伝子を含んでいる細胞である場合もある。RB陽性である細胞は、検出可能なRBタンパク質機能をコードしうる細胞である場合もある。
用語「RB-」、「RBマイナス」、「RB欠損」、または「RB陰性」とは、検出可能な量の機能するRBタンパク質を産生しない細胞を始めとする、RBの機能が妨害されているいくつかのタイプの細胞をいう。RB陰性である細胞は、機能するRB遺伝子を含んでいない細胞である場合がある。RB陰性である細胞は、RBタンパク質をコードしうるが、タンパク質が適正に機能しない細胞である場合もある。
本明細書に記載の方法および使用それぞれの一部の実施形態において、がんは、網膜芽細胞腫野生型(RB-WT)として特徴付けられる。本明細書に記載の方法および使用それぞれの一部の実施形態において、がんは、RB陽性またはRBプロフィシェントとして特徴付けられる。このようなRB陽性またはRBプロフィシェントがんは、少なくとも多少の、機能する網膜芽細胞腫遺伝子を含んでいる。一部の実施形態では、このようなRB-WT、RB陽性、またはRBプロフィシェントがんは、RB1-WT、RB1陽性、またはRB1プロフィシェントがんとして特徴付けられる。
本明細書に記載の方法および使用それぞれの一部の実施形態において、がんは、RB陰性またはRB欠損として特徴付けられる。このようなRB陰性またはRB欠損がんは、ミスセンス突然変異(すなわち、誤ったアミノ酸をコードする)またはナンセンス突然変異(すなわち、終止コドンをコードする)をコードしうる機能喪失突然変異を特徴とする場合がある。別法として、このようなRB陰性がんは、網膜芽細胞腫遺伝子の全部または一部の欠失を特徴とする場合もある。一部の実施形態では、このようなRB陰性またはRB欠損がんは、RB1陰性またはRB1欠損として特徴付けられる。
がんと診断された、またはがんを有する疑いのある対象に適用される「腫瘍」とは、悪性または悪性の可能性のある、いずれかの大きさの新生物または組織腫瘤を指し、原発腫瘍および続発性新生物を包含する。固形腫瘍は、通常は嚢胞または液体領域を含んでいない、組織の異常な成長または腫瘤である。固形腫瘍の例は、肉腫、癌腫、およびリンパ腫である。白血病(血液のがん)は、一般に固形腫瘍を形成しない(National Cancer Institute、Dictionary of Cancer Terms)。
「腫瘍負荷」または「腫瘍量」とは、身体全域に分布した腫瘍材料の総量をいう。腫瘍負荷は、リンパ節および骨髄を含めた、身体全域にわたる、がん細胞の合計数または腫瘍の合計サイズを指す。腫瘍負荷は、たとえば、キャリパスを使用する、または一方、身体内では、画像技術、たとえば、超音波、骨スキャン、コンピュータ断層撮影(CT)、もしくは磁気共鳴画像(MRI)スキャンを使用するなどの、当業界で知られている様々な方法によって求めることができる。
用語「腫瘍サイズ」とは、腫瘍の長さおよび幅として測定することのできる腫瘍の合計サイズを指す。腫瘍サイズは、たとえば、腫瘍の寸法を、対象から取り出した後で、たとえばキャリパスを使用して測定する、または一方、身体内では、画像技術、たとえば、骨スキャン、超音波、CRもしくはMRIスキャンを使用するなどの、当業界で知られている様々な方法によって求めることができる。
用語「患者」または「対象」とは、治療が望まれる、または臨床試験、疫学調査に参加している、もしくは対照として使用される、いずれかの単独対象を指し、ヒト、およびウシ、ウマ、イヌ、ネコなどの哺乳動物獣医学患者を包含する。一部の実施形態では、対象は、ヒトである。
本明細書に記載の方法および使用それぞれの一部の実施形態において、患者または対象は、成人である。一部の実施形態では、対象は、いずれかの閉経状況の女性、または男性である。一部の実施形態では、対象は、閉経後の女性、または男性である。一部の実施形態では、対象は、閉経後の女性である。一部の実施形態では、対象は、閉経前または閉経前後の女性である。一部の実施形態では、対象は、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)作動薬による処置を受けている閉経前または閉経前後の女性である。こうした実施形態の一部において、対象は、男性である。一部の実施形態では、対象は、LHRHまたはゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)作動薬による処置を受けている男性である。
本明細書で使用する、がんを「処置する(treatまたはtreating)」という用語は、がんを有する、またはがんと診断された対象に、本発明の化合物を投与して、少なくとも1つのプラスの治療効果、たとえば、がん細胞数の減少、腫瘍サイズの縮小、がん細胞の周囲臓器への浸潤速度の減速、または腫瘍転移もしくは腫瘍成長速度の減速を実現して、こうした用語が適用される障害もしくは状態またはそうした障害もしくは状態の1つもしくは複数の症状を後退させる、緩和する、その進行を阻止する、またはその再発を予防するもしくは遅らせることを意味する。本明細書で使用する用語「処置(treatment)」とは、別段指摘しない限り、処置する行為を指し、「処置する」は、直前で定義している。用語「処置する」は、たとえば、手術または放射線療法に続いての、対象の術後補助および術前補助処置も包含する。
本発明の目的では、有益なまたは所望の臨床結果には、限定はしないが、腫瘍性もしくはがん性細胞の増殖を減らす(もしくはそれを破壊する)こと、転移もしくは腫瘍性細胞を抑制すること、腫瘍サイズを収縮させるもしくは縮小すること、がんを寛解させること、がんの結果として生じる症状を軽減すること、がんに罹患している者の生活の質を向上させること、がん処置に必要な他の薬物療法の用量を減らすこと、がんの進行を遅らせること、がんを治癒させること、がんの1つまたは複数の抵抗性機序を克服すること、および/またはがんの患者の生存を長引かせることの1つまたは複数が含まれる。がんにおけるプラスの治療効果は、いくつかの手段によって測定することができる(たとえば、W.A.Weber、Assessing tumor response to therapy、J.Nucl.Med.50増刊1:1S~10S(2009)を参照されたい)。たとえば、腫瘍成長阻害(T/C)に関して、National Cancer Institute(NCI)規格によれば、42%以下のT/Cが、最小レベルの抗腫瘍活性である。10%未満のT/Cは、高い抗腫瘍活性レベルとみなされ、T/C(%)=処置の腫瘍体積中央値/対照の腫瘍体積中央値×100である。
一部の実施形態では、本発明の化合物によって実現される処置は、部分応答(PR)、完全奏効(CR)、全奏効(OR)、客観的奏効率(ORR)、無進行生存期間(PFS)、画像診断によるPFS、無転移生存期間(MFS)、無病生存期間(DFS)、および全生存期間(OS)のいずれかへの言及によって定義される。
本明細書で使用するとき、用語「完全奏効」または「CR」とは、処置に応答した、がんのすべての徴候の消失(たとえば、すべての標的病変の消失)を意味する。この用語は、がんが治癒したことを必ずしも意味しない。
本明細書で使用するとき、用語「無病生存期間」(DFS)とは、がんの一次処置が終了後、患者がそのがんの徴候または症状なく生存する時間の長さを意味する。
本明細書で使用するとき、用語「奏効期間」(DoR)とは、がん成長または拡散なしに腫瘍が応答し続ける時間の長さを意味する。DoRの向上を示す処置によって、疾患進行に、耐久性のある有意義な遅延を生じさせることができる。
本明細書で使用するとき、用語「客観的奏効」および「全奏効」とは、完全奏効(CR)または部分奏効(PR)を含む測定可能な奏効を指す。用語「全奏効率」(ORR)とは、完全奏効(CR)率と部分奏効(PR)率の合計を指す。
本明細書で使用するとき、用語「全生存期間」(OS)とは、がんなどの疾患についての診断または処置開始のいずれかの日付から、その疾患と診断された患者が依然として生存する時間の長さを意味する。OSは、ある特定の処置を受ける患者における、対照群における(すなわち、別の薬物または偽薬が与えられる)患者と比較される、余命の延長として典型的には測定される。
本明細書で使用するとき、用語「部分奏効」または「PR」とは、処置に応答した、1つもしくは複数の腫瘍もしくは病変のサイズ、または身体におけるがんの程度の縮小を指す。たとえば、一部の実施形態において、PRは、標的病変の最長直径の合計(SLD)の、ベースラインSLDを基準として少なくとも30%の減少を指す。
本明細書で使用するとき、用語「無進行生存期間」または「PFS」とは、治療の最中および後の、処置がなされる疾患(たとえば、がん)が悪化しない時間の長さを指す。「腫瘍無進行期間」とも呼ばれるPFSは、患者がCRまたはPRを経験した時間量、ならびに患者がSDを経験した時間量を含みうる。
本明細書で使用するとき、用語「進行性疾患(progressive disease)」または「PD」とは、成長する、拡散する、または悪化するがんを指す。一部の実施形態では、PRは、標的病変のSLDの、処置が始まって以降記録された最少のSLDを基準として少なくとも20%の増加、または1つまたは複数の新たな病変の存在を指す。
本明細書で使用するとき、用語「安定疾患(stable disease)」(SD)とは、程度または重症度が増減しないがんを指す。
本明細書で使用するとき、用語「奏効の持続」とは、処置を休止した後、腫瘍成長を低減することに関しての効果の持続を指す。たとえば、腫瘍サイズが、医薬投与段階の始めにおけるサイズに比べて、同じサイズである、またはより小さい場合がある。一部の実施形態では、奏効の持続は、処置継続期間と少なくとも同じ、処置継続期間の少なくとも1.5、2、2.5、もしくは3倍の長さ、またはより長い持続期間を有する。
本明細書で使用する「客観的奏効」、「完全奏効」、「部分奏効」、「進行性疾患」、「安定疾患」、「無進行生存期間」、「奏効持続期間」を含む、がん処置の方法の抗がん効果は、調査者が、RECIST v1.1(Eisenhauerら、New response evaluation criteria in solid tumours:Revised RECIST guideline(version 1.1)、Eur J of Cancer、2009;45(2):228~47)を使用して規定および評価することができる。
本明細書に記載の方法および使用それぞれの一部の実施形態において、本発明は、術前補助療法、術後補助療法、第一選択治療、第二選択治療、第二もしくはより下位の選択治療、または第3もしくはより下位の選択治療に関する。本明細書においてさらに記載する各場合において、がんは、限局、進行、または転移である場合があり、介入は、疾患連続体に沿った点で(すなわち、がんのいずれかの段階で)行うことができる。
がん患者の処置に有効である本発明の化合物の処置レジメンは、患者の病態、年齢、および体重、ならびに療法が対象において抗がん応答を誘発しうる能力などの要素に応じて様々となりうる。本発明のいずれの態様の実施形態もが、あらゆる対象におけるプラスの治療効果の実現に有効とはなりえないとしても、スチューデントt検定、カイ2検定、マン・ホイットニーのU検定、クラスカル・ワリス検定(H検定)、ヨンクヒール・タプストラ検定、ウィルコクソン検定などの、当業界で知られているいずれかの統計的検定によって判定される、統計的に有意な数の対象において有効となるはずである。
用語「処置レジメン」、「投薬プロトコール」、および「投薬レジメン」は、本明細書に記載するとおりのPF-07220060の結晶性もしくは非晶性形態またはPF-07220060の結晶性もしくは非晶性形態を含む医薬組成物の、単独での、または追加の抗がん薬と組み合わせての、用量および投与のタイミングを指すのに、区別なく使用される場合がある。好ましい実施形態では、処置レジメンは、結晶性のPF-07220060一水和物(形態2)に関する。一部の実施形態では、処置レジメンは、無水結晶性のPF-07220060(形態6)、無水結晶性のPF-07220060(形態11)、または非晶性のPF-07220060(形態8)に関する。「寛解させる」とは、化合物または薬物、たとえば、本明細書に記載するとおりのPF-07220060の結晶性もしくは非晶性形態またはPF-07220060の結晶性もしくは非晶性形態を含む医薬組成物で処置して、1つまたは複数の症状を、化合物を投与しない場合に比べて、ある程度軽減するまたは改善することを意味する。「寛解させる」は、症状の持続期間を短期化または短縮する、すなわち、症状をある程度軽減する、好ましくは、除去することも包含する。
本明細書で使用するとき、「異常細胞増殖」とは、別段指摘しない限り、正常な調節機序に依存しない細胞増殖を指す(たとえば、接触阻害の喪失)。異常細胞増殖は、良性である(がん性でない)、または悪性である(がん性である)場合がある。本明細書において提供する方法の頻出する実施形態では、異常細胞増殖は、がんである。
異常細胞増殖は、(1)CDK4、CDK6、および/またはサイクリンD1(CCND1)の増幅または過剰発現を特徴とする腫瘍、(2)異所性のCDK4活性によって増殖する腫瘍、および(3)内分泌療法、CDK4、および/もしくはCDK6阻害、HER2拮抗薬、タキサン、白金薬、または他の標準治療薬に抵抗性である腫瘍の異常な成長を包含する。
一部の実施形態では、本発明の方法および使用は、1種または複数の追加の抗がん薬をさらに含む場合がある。一部の実施形態では、追加の抗がん薬は、抗腫瘍薬、抗血管新生薬、シグナル伝達阻害薬、および抗増殖薬からなる群から選択される。一部の実施形態では、追加の抗がん薬は、有糸分裂阻害薬、アルキル化薬、代謝拮抗薬、挿入抗生物質(intercalating antibiotic)、成長因子阻害薬、放射線、細胞周期阻害薬、酵素、トポイソメラーゼ阻害薬、生体応答修飾物質、抗体、細胞傷害性物質、および内分泌療法薬、たとえば、抗アンドロゲン薬、アンドロゲン遮断療法(ADT)、抗エストロゲン薬からなる群から選択される。追加の抗がん薬には、低分子治療薬および薬学的に許容できるその塩もしくは溶媒和物、治療用抗体、抗体-薬物コンジュゲート(ADC)、タンパク質分解標的化キメラ、またはアンチセンス分子も含まれうる。
一部の実施形態では、追加の抗がん薬は、抗エストロゲン薬であり、抗エストロゲン薬は、アロマターゼ阻害薬、SERD、またはSERMである。一部の実施形態では、抗エストロゲン薬は、アロマターゼ阻害薬である。こうした実施形態の一部において、アロマターゼ阻害薬は、レトロゾール、アナストロゾール、およびエキセメスタンからなる群から選択される。こうした実施形態の一部において、アロマターゼ阻害薬は、レトロゾールである。一部の実施形態では、抗エストロゲン薬は、SERDである。こうした実施形態の一部において、SERDは、フルベストラント、エラセストラント(elacestrant)(RAD-1901、Radius Health)、SAR439859(Sanofi)、RG6171(Roche)、AZD9833(AstraZeneca)、AZD9496(AstraZeneca)、リントデストラント(G1 Therapeutics)、ZN-c5(Zentalis)、LSZ102(Novartis)、D-0502(Inventisbio)、LY3484356(Lilly)、およびSHR9549(Jiansu Hengrui Medicine)からなる群から選択される。こうした実施形態の一部において、SERDは、フルベストラントである。一部の実施形態では、抗エストロゲン薬は、SERMである。こうした実施形態の一部において、SERMは、タモキシフェン、ラロキシフェン、トレミフェン、ラソフォキシフェン、バゼドキシフェン、およびアフィモキシフェンからなる群から選択される。こうした実施形態の一部において、SERMは、タモキシフェンまたはラロキシフェンである。
一部の実施形態では、追加の抗がん薬は、アビラテロン、アパルタミド、ビカルタミド、シプロテロン、エンザルタミド、フルタミド、ニルタミドなどの抗アンドロゲン薬である。一部の実施形態では、方法または使用は、アンドロゲン遮断療法(ADT)、たとえば、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)作動薬、LHRH拮抗薬、ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)作動薬、またはGnRH拮抗薬をさらに含む。
一部の実施形態では、本発明の方法および使用は、以下のものから選択される1種または複数の追加の抗がん薬をさらに含む。
抗血管新生薬には、たとえば、VEGF阻害薬、VEGFR阻害薬、TIE-2阻害薬、PDGFR阻害薬、アンジオポエチン阻害薬、PKCβ阻害薬、COX-2(シクロオキシゲナーゼII)阻害薬、インテグリン(アルファ-v/ベータ-3)、MMP-2(マトリックスメタロプロテイナーゼ2)阻害薬、およびMMP-9(マトリックスメタロプロテイナーゼ9)阻害薬が含まれる。
シグナル伝達阻害薬には、たとえば、キナーゼ阻害薬(たとえば、チロシンキナーゼ、セリン/スレオニンキナーゼ、またはサイクリン依存性キナーゼの阻害薬)、プロテアソーム阻害薬、PI3K/AKT/mTOR経路阻害薬、ホスホイノシチド3-キナーゼ(PI3K)阻害薬、イソクエン酸デヒドロゲナーゼ1および2(IDH1およびIDH2)阻害薬、B細胞リンパ腫2(BCL2)阻害薬、ニューロトロフィン受容体キナーゼ(NTRK)阻害剤、トランスフェクション中再構成(Rearranged during Transfection)(RET)阻害薬、Notch阻害薬、PARP阻害薬、ヘッジホッグ経路阻害薬、および核外輸送の選択的阻害薬(SINE)が含まれる。
シグナル伝達阻害薬の例には、限定はしないが、アカラブルチニブ、アファチニブ、アレクチニブ、アルペリシブ、アキシチニブ、ビニメチニブ、ボルテゾミブ、ボスチニブ、ブリガチニブ、カボザンチニブ、カルフィルゾミブ、セリチニブ、コビメチニブ、コパンリシブ、クリゾチニブ、ダブラフェニブ、ダコミチニブ、ダサチニブ、デュベリシブ、エナシデニブ、エンコラフェニブ、エントレクチニブ、エルロチニブ、ゲフィチニブ、ギルテリチニブ、グラスデギブ、イブルチニブ、イデラリシブ、イマチニブ、イパタセルチブ(ipatasertib)、イボシデニブ、イキサゾミブ、ラパチニブ、ラトロレクチニブ、レンバチニブ、ロルラチニブ、ミドスタウリン、ネラチニブ、ニロチニブ、ニラパリブ、オラパリブ、オシメルチニブ、パゾパニブ、ポナチニブ、レゴラフェニブ、ルカパリブ、ルキソリチニブ、ソニデギブ、ソラフェニブ、スニチニブ、タラゾパリブ、トラメチニブ、バンデタニブ、ベムラフェニブ、ベネトクラクス、およびビスモデギブ、またはこれらの薬学的に許容できる塩および溶媒和物が含まれる。
抗悪性腫瘍薬には、たとえば、アルキル化薬、白金配位錯体、細胞傷害性抗生物質、代謝拮抗薬、生体応答修飾物質、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害薬、ホルモン薬、モノクローナル抗体、成長因子阻害薬、タキサン、トポイソメラーゼ阻害薬、ビンカアルカロイド、および多岐にわたる薬剤が含まれる。
アルキル化薬には、アルトレタミン、ベンダムスチン、ブスルファン、カルムスチン、クロラムブシル、シクロホスファミド、ダカルバジン、イホスファミド、ロムスチン、メクロレタミン、メルファラン、プロカルバジン、ストレプトゾシン、テモゾロミド、チオテパ、およびトラベクテジンが含まれる。
白金配位錯体(本明細書では「白金薬」とも呼ぶ)には、カルボプラチン、シスプラチン、およびオキサリプラチンが含まれる。
細胞傷害性抗生物質には、ブレオマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、マイトマイシン、ミトキサントロン、プリカマイシン、およびバルルビシンが含まれる。
代謝拮抗薬には、メトトレキセート、ペメトレキセド、プララトレキセート、トリメトレキセートなどの葉酸代謝拮抗薬;アザチオプリン、クラドリビン、フルダラビン、メルカプトプリン、チオグアニンなどのプリン類似体;およびアザシチジン、カペシタビン、シタラビン、デシタビン、フロクスウリジン、フルオロウラシル、ゲムシタビン、トリフルリジン/チピラシルなどのピリミジン類似体が含まれる。
生体応答修飾物質には、アルデスロイキン(IL-2)、デニロイキンジフチトクス、およびインターフェロンガンマが含まれる。
ヒストンデアセチラーゼ阻害薬には、ベリノスタット、パノビノスタット、ロミデプシン、およびボリノスタットが含まれる。
ホルモン薬には、抗アンドロゲン薬、抗エストロゲン薬、ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)類似体、およびペプチドホルモンが含まれる。抗エストロゲン薬の例には、レトロゾール、アナストロゾール、エキセメスタンなどのアロマターゼ阻害薬;フルベストラント、エラセストラント(RAD-1901、Radius Health)、SAR439859(Sanofi)、RG6171(Roche)、AZD9833(AstraZeneca)、AZD9496(AstraZeneca)、リントデストラント(G1 Therapeutics)、ZN-c5(Zentalis)、LSZ102(Novartis)、D-0502(Inventisbio)、LY3484356(Lilly)、SHR9549(Jiansu Hengrui Medicine)などのSERD;およびタモキシフェン、ラロキシフェン、トレミフェン、ラソフォキシフェン、バゼドキシフェン、アフィモキシフェンなどのSERMが含まれる。GnRH類似体の例には、デガレリクス、ゴセレリン、ヒストレリン、ロイプロリド、およびトリプトレリンが含まれる。ペプチドホルモンの例には、ランレオチド、オクトレオチド、およびパシレオチドが含まれる。抗アンドロゲン薬の例には、アビラテロン、アパルタミド、ビカルタミド、シプロテロン、エンザルタミド、フルタミド、およびニルタミド、ならびにこれらの薬学的に許容できる塩および溶媒和物が含まれる。
モノクローナル抗体には、アレムツズマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、ベバシズマブ、ブリナツモマブ、ブレンツキシマブ、セミプリマブ、セツキシマブ、ダラツムマブ、ジヌツキシマブ、デュルバルマブ、エロツズマブ、ゲムツズマブ、イノツズマブオゾガマイシン、イピリムマブ、モガムリズマブ、モキセツモマブパスードトクス、ネシツムマブ、ニボルマブ、オファツムマブ、オララツマブ、パニツムマブ、ペンブロリズマブ、ペルツズマブ、ラムシルマブ、リツキシマブ、トシツモマブ、およびトラスツズマブが含まれる。
タキサンには、カバジタキセル、ドセタキセル、パクリタキセル、およびパクリタキセルアルブミン安定化ナノ粒子製剤(Nab-パクリタキセル)が含まれる。
トポイソメラーゼ阻害薬には、エトポシド、イリノテカン、テニポシド、およびトポテカンが含まれる。
ビンカアルカロイドには、ビンブラスチン、ビンクリスチン、およびビノレルビン、ならびにこれらの薬学的に許容できる塩が含まれる。
多岐にわたる抗悪性腫瘍薬には、アスパラギナーゼ(ペグアスパラガーゼ)、ベキサロテン、エリブリン、エベロリムス、ヒドロキシ尿素、イクサベピロン、レナリドミド、ミトタン、オマセタキシン、ポマリドミド、タグラクソフスプ、テロトリスタット、テムシロリムス、サリドマイド、およびベネトクラクスが含まれる。
一部の実施形態では、追加の抗がん薬は、酢酸アビラテロン、アカラブルチニブ、ado-トラスツズマブエムタンシン、ジマレイン酸アファチニブ、アフィモキシフェン、アルデスロイキン、アレクチニブ、アレムツズマブ、アルペリシブ、アミフォスチン、アナストロゾール、アパルタミド、アプレピタント、三酸化ヒ素、アスパラギナーゼ黒脚病菌、アテゾリズマブ、アバプリチニブ、アベルマブ、アキシカブタゲンシロロイセル、アキシチニブ、アザシチジン、AZD9833(AstraZeneca)、AZD9496(AstraZeneca)、バゼドキシフェン、ベリノスタット、ベンダムスチン塩酸塩、ベバシズマブ、ベキサロテン、ビカルタミド、ビニメチニブ、硫酸ブレオマイシン、ブリナツモマブ、ボルテゾミブ、ボスチニブ、ブレンツキシマブベドチン、ブリガチニブ、カバジタキセル、カボザンチニブ-s-マレエート、カラスパーゼペゴル-mknl、カペシタビン、カプラシズマブ-yhdp、カプマチニブ塩酸塩、カルボプラチン、カルフィルゾミブ、カルムスチン、セミプリマブ-rwlc、セリチニブ、セツキシマブ、クロラムブシル、シスプラチン、クラドリビン、クロファラビン、コビメチニブ、コパンリシブ塩酸塩、クリゾチニブ、シクロホスファミド、シタラビン、D-0502(Inventisbio)、メシル酸ダブラフェニブ、ダカルバジン、ダコミチニブ、ダクチノマイシン、ダラツムマブ、ダラツムマブおよびヒアルロニダーゼ-fihj、ダルベポエチンアルファ、ダロルタミド、ダサチニブ、ダウノルビシン塩酸塩、デシタビン、デフィブロチドナトリウム、デガレリクス、デニロイキンジフチトクス、デノスマブ、デキサメタゾン、デクスラゾキサン塩酸塩、ジヌツキシマブ、ドセタキセル、ドキソルビシン塩酸塩、デュルバルマブ、デュベリシブ、エラセストラント、エロツズマブ、エルトロンボパグオラミン、エマパルマブ-lzsg、メシル酸エナシデニブ、エンコラフェニブ、エンホルツマブベドチン-ejfv、エヌトレクチニブ、エンザルタミド、エピルビシン塩酸塩、エポエチンアルファ、エルダフィチニブ、メシル酸エリブリン、エルロチニブ塩酸塩、エトポシド、リン酸エトポシド、エベロリムス、エキセメスタン、fam-トラスツズマブデルクステカン-nxki、フェドラチニブ塩酸塩、フィルグラスチム、リン酸フルダラビン、フルオロウラシル、フルタミド、ホスタマチニブナトリウム、フルベストラント、ゲフィチニブ、ゲムシタビン塩酸塩、ゲムツズマブオゾガマイシン、フマル酸ギルテリチニブ、マレイン酸グラスデギブ、グルカルピダーゼ、酢酸ゴセレリン、グラニセトロン、グラニセトロン塩酸塩、ヒドロキシ尿素、イブリツモマブチウキセタン、イブルチニブ、イダルビシン塩酸塩、イデラリシブ、イホスファミド、メシル酸イマチニブ、イミキモド、イノツズマブオゾガマイシン、インターフェロンアルファ2b遺伝子組換え、イオベングアンI-131、イパタセルチブ、イピリムマブ、イリノテカン塩酸塩、イサツキシマブ-irfc、イボシデニブ、イクサベピロン、クエン酸イキサゾミブ、酢酸ランレオチド、二トシル酸ラパチニブ、硫酸ラトロレクチニブ、ラソフォキシフェン、レナリドミド、メシル酸レンバチニブ、レトロゾール、ロイコボリンカルシウム、酢酸ロイプロリド、ロムスチン、ロルラチニブ、LSZ102(Novartis)、ルルビネクテジン、LY3484356(Lilly)、酢酸メゲストロール、メルファラン、メルファラン塩酸塩、メルカプトプリン、メトトレキセート、ミドスタウリン、マイトマイシン、ミトキサントロン塩酸塩、モガムリズマブ-kpkc、モキセツモマブパスードトクス-tdfk、ネシツムマブ、ネララビン、マレイン酸ネラチニブ、ニロチニブ、ニルタミド、トシル酸ニラパリブ一水和物、ニボルマブ、オビヌツズマブ、オファツムマブ、オラパリブ、オマセタキシンメペサクシネート、オンダンセトロン塩酸塩、メシル酸オシメルチニブ、オキサリプラチン、パクリタキセル、パクリタキセルアルブミン安定化ナノ粒子製剤、パリフェルミン、パロノセトロン塩酸塩、パミドロネート二ナトリウム、パニツムマブ、パノビノスタット、パゾパニブ塩酸塩、ペグアスパラガーゼ、ペグフィルグラスチム、ペグインターフェロンアルファ2b、ペンブロリズマブ、ペメトレキセド二ナトリウム、ペミガチニブ、ペルツズマブ、ペキシダルチニブ塩酸塩、プレリキサホル、ポラツズマブベドチン-piiq、ポマリドミド、ポナチニブ塩酸塩、プララトレキセート、プレドニゾン、プロカルバジン塩酸塩、プロプラノロール塩酸塩、二塩化ラジウム223、ラロキシフェン塩酸塩、ラムシルマブ、ラスブリカーゼ、ラブリズマブ-cwvz、遺伝子組換えインターフェロンアルファ2b、レゴラフェニブ、RG6171(Roche)、リントデストラント、リプレチニブ、リツキシマブ、ロラピタント塩酸塩、ロミデプシン、ロミプロスチム、カムシル酸ルカパリブ、リン酸ルキソリチニブ、サシツズマブゴビテカン-hziy、SAR439859(Sanofi)、セリネクサー、セルペルカチニブ、硫酸セルメチニブ、SHR9549(Jiansu Hengrui Medicine)、シルツキシマブ、シプロイセルt、ソニデギブ、トシル酸ソラフェニブ、タグラクソフスプ-erzs、トシル酸タラゾパリブ、タリモジーンラハーパレプベック、クエン酸タモキシフェン、タゼメトスタット臭化水素酸塩、テモゾロミド、テムシロリムス、サリドマイド、チオグアニン、チオテパ、チサゲンレクルユーセル、トシリズマブ、トポテカン塩酸塩、トレミフェン、トラベクテジン、トラメチニブ、トラスツズマブ、トラスツズマブおよびヒアルロニダーゼ-oysk、トリフルリジンおよびチピラシル塩酸塩、ツカチニブ、三酢酸ウリジン、バルルビシン、バンデタニブ、ベムラフェニブ、ベネトクラクス、硫酸ビンブラスチン、硫酸ビンクリスチン、酒石酸ビノレルビン、ビスモデギブ、ボリノスタット、ザヌブルチニブ、ziv-アフリベルセプト、ZN-c5(Zentalis)、およびゾレドロン酸、または前述のものの遊離塩基、薬学的に許容できる塩(上で挙げた塩に代わる塩形態を含める)、もしくは溶媒和形態、またはこれらの組合せからなる群から選択される。
用語「がん」または「がん性」とは、異常細胞増殖によって引き起こされた、腫瘍の悪性および/または浸潤性の成長を指す、または形容する。本明細書で使用するとき、「がん」とは、それをなす細胞のタイプにちなんで名付けられる固形腫瘍、ならびに血液、骨髄、またはリンパ系のがんを指す。固形腫瘍の例としては、限定はしないが、肉腫および癌腫が挙げられる。血液のがんの例としては、限定はしないが、白血病、リンパ腫、および骨髄腫が挙げられる。用語「がん」は、限定はしないが、身体の特定の部位に端を発する原発がん、がんが生じた場所から身体の他の部分に広がった転移がん、寛解後の元の原発がんからの再発、および以前のがんが後のがんとは異なるタイプであるという病歴を有する者における新たな原発がんである、第2の原発がんを包含する。
ある特定の腫瘍における本明細書に記載の方法および使用の有効性は、他の承認されたまたは実験的ながん療法、たとえば、放射線、手術、化学療法薬、標的化療法、腫瘍において調節不全になっている他のシグナル伝達経路を阻害する薬剤、および他の免疫増強薬、たとえば、PD-1またはPD-L1拮抗薬などと組み合わせることにより向上させることができる。本発明の方法および使用は、1種または複数の追加の抗がん薬をさらに含んでよい。
本発明の結晶性または非晶性形態の投与は、化合物の作用部位への送達を可能にするいずれの方法によって実現されてもよい。そうした方法には、経口経路、十二指腸内経路、非経口注射(静脈内、皮下、筋肉内、血管内、または注入を含める)、局所、および直腸投与が含まれる。
投与量レジメンは、所望される最適な応答が得られるように調整してよい。たとえば、本発明の結晶性または非晶性形態は、単一のボーラスとして投与しても、経時的に投与される数回に分けられた用量として投与してもよく、または治療状況の緊急性による必要に応じて用量を増減してもよい。治療薬を投薬単位剤形として製剤することは、投与しやすく、投与量が均一になるため、特に有利となりうる。本明細書で使用する投与量単位剤形とは、処置を受ける哺乳動物対象のための単位式投与量として適した、物理的に別個の単位を指し、各単位が、必要な医薬担体と共同で所望の治療効果を生じるように算出された、予め決められた量の活性化合物を含有する。本発明の投薬単位剤形についての明細は、(a)固体形態特有の特徴、および実現しようとする特定の治療または予防効果、ならびに(b)個体における感受性の処置のためにこのような活性化合物を調合する分野に固有の制約によって必然的に決まり、これらに直接左右される場合がある。
したがって、用量および投薬レジメンは、本明細書において提供する開示をもとに、治療学分野でよく知られている方法に従って調整されるものと当業者には理解される。すなわち、最大耐用量(maximum tolerable dose)を容易に定めることができ、検出可能な利益を対象にもたらす有効量も求めることができ、各薬剤を投与して検出可能な治療利益を対象にもたらす時間的要件も明らかにすることができる。したがって、本明細書では、ある特定の用量および投与レジメンを例示するが、そうした例によって、本発明を実施する際に対象に提供することのできる用量および投与レジメンが限定されることは一切ない。
投与量の値は、緩和しようとする状態の種類および重症度によって様々となる場合があり、1回または複数回の用量を含む場合があることを留意されたい。さらに、特定のいずれかの対象について、詳細な投与量レジメンは、障害または状態の重症度、投与の速度、化合物の性質、処方医の裁量などの要素を考慮しながら、個々の必要、および化合物または医薬組成物の投与を管理または監督する者の専門的な判断に従って、時間と共に調整すべきであると理解される。本明細書で明記する投与量範囲は、例示的なものにすぎず、請求項に係る固体形態または医薬組成物の範囲または実用を限定するものでない。たとえば、毒作用および/または臨床検査値などの臨床的影響を含みうる薬動学的または薬力学的パラメーターに基づき、用量が調整されてもよい。したがって、本発明は、当業者によって決定される、患者内での用量漸増を包含する。化学療法薬の投与についての適切な投与量およびレジメンの決定は、関連業界でよく知られており、本明細書で開示する教示を得れば当業者によって遂行されると理解される。
本発明の結晶性または非晶性形態の投与量は、典型的には、単一または分割用量として、体重1kgあたり1日当たり約0.001~約100mg、好ましくは、約1~約35mg/kg/日の範囲にある。これは、70kgのヒトでは、約0.01~約7g/日、好ましくは、約0.02~約2.5g/日の量となる。ある場合では、前述の範囲の下限を下回る投与量レベルで十分すぎることもあり、他の場合では、いっそう多い用量が、そうしたより多い用量を最初にいくつかの少ない用量に分けて1日を通して投与するという条件で、有害な副作用を引き起こすことなく用いられることもある。投与量は、単一用量(QD)として投与してもよいし、または、場合により、BID(1日2回)、TID(1日3回)、またはQID(1日4回)投与に適する、より少ない用量に細分してもよい。投与量レジメンは、最適な治療応答が得られるように調整してよい。たとえば、副作用の改善または予防に必要ならば一時的または永久的な用量減を含め、治療状況の緊急性による必要に応じて、用量が比例的に増減される場合がある。
必要に応じて、投与もしくは投薬レジメンを繰り返すか、または投与もしくは投薬レジメンを調整して、所望の処置を実現することができる。本明細書で使用する「継続的な投薬スケジュール」とは、投与の中断がない、たとえば、処置休止の日がない、投与または投薬レジメンである。21日または28日の処置サイクルを、処置サイクルの間に投与の中断を挟まずに繰り返すものが、継続的な投薬スケジュールの一例である。
一部の実施形態では、本発明の結晶性または非晶性形態は、1日当たり約1mg~約1000mgの1日投与量で投与される。一部の実施形態では、本発明の結晶性または非晶性形態は、1日当たり約10mg~約500mgの1日投与量で投与され、一部の実施形態では、1日当たり約25mg~約300mgの投与量で投与される。一部の実施形態では、QD、BID、TID、またはQIDスケジュールにおいて、約1、2、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、205、210、215、220、225、230、235、240、245、250、260、270、275、280、290、300、325、350、375、400、425、450、475、または500mgの投与量で投与される。
必要に応じて、投与もしくは投薬レジメンを繰り返すか、または投与もしくは投薬レジメンを調整して、所望の処置を実現することができる。「断続的な投薬スケジュール」とは、投与の中断期間、たとえば、処置なしの日を含む投与または投薬レジメンを指す。14または21日の処置サイクルを、処置サイクルの間に7日の処置の中断を挟んで繰り返すものが、断続的な投薬スケジュールの一例である。2または3週間の処置実施および1週週間の処置休止が組まれたこのようなスケジュールは、時として、それぞれ、2/1週または3/1週処置サイクルと呼ばれる。別法として、断続的な投薬は、5日の処置実施および2日の処置休止が組まれた7日の処置サイクルを含むものでもよい。
本明細書で使用する「継続的な投薬スケジュール」とは、投与の中断がない、たとえば、処置休止の日がない、投与または投薬レジメンである。21または28日の処置サイクルを、処置サイクルの間に投与の中断を挟まずに繰り返すものが、継続的な投薬スケジュールの一例である。
一部の実施形態では、本発明の結晶性または非晶性形態は、断続的な投薬スケジュールで投与される。他の実施形態では、本発明の結晶性または非晶性形態は、継続的な投薬スケジュールで投与される。
「医薬組成物」とは、活性成分としての1種または複数の本明細書に記載の治療薬または薬学的に許容できるその塩、溶媒和物、水和物、もしくはプロドラッグと、少なくとも1種の薬学的に許容できる担体または賦形剤とからなる混合物を指す。一部の実施形態では、医薬組成物は、2種以上の薬学的に許容できる担体および/または賦形剤を含む。
本明細書で使用するとき、「薬学的に許容できる担体」とは、生物に、影響のある刺激を引き起こさず、活性化合物または治療薬の生物活性および特性を排除しない担体または希釈剤を指す。
薬学的に許容できる担体は、従来のいずれかの医薬担体または賦形剤を含むものでよい。担体および/または賦形剤の選択は、特定の投与方式、賦形剤が溶解性および安定性に及ぼす影響、剤形の性質などの要素に応じて決まるところが大きい。
一実施形態では、本発明は、結晶性のPF-07220060一水和物(形態2)と、薬学的に許容できる担体または賦形剤とを含む医薬組成物に関する。
一実施形態では、本発明は、非晶性のPF-07220060と、薬学的に許容できる担体または賦形剤とを含む医薬組成物に関する。
適切な医薬担体としては、不活性希釈剤または充填剤、水および種々の有機溶媒(たとえば、水和物や溶媒和物)が挙げられる。医薬組成物は、所望であれば、着香剤、結合剤、賦形剤などの追加の成分を含有してもよい。したがって、経口投与については、クエン酸などの種々の賦形剤を含有する錠剤が、デンプン、アルギン酸、ある特定の複合シリケートなどの種々の崩壊剤、およびスクロース、ゼラチン、アカシアなどの結合剤と一緒に用いられる場合がある。賦形剤の例としては、限定はせず、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、種々のタイプの糖およびデンプン、セルロース誘導体、ゼラチン、植物油、およびポリエチレングリコールが挙げられる。加えて、ステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、タルクなどの滑沢剤が、多くの場合、打錠する用途に有用である。同様のタイプの固体医薬組成物を、軟および硬充填ゼラチンカプセル中に用いることもできる。したがって、材料の非限定的な例として、ラクトースまたは乳糖、および高分子量ポリエチレングリコールが挙げられる。経口投与に水性懸濁液またはエリキシルが所望されるとき、その中の活性化合物は、種々の甘味剤または着香剤、着色物質または色素、および、所望であれば、乳化剤または懸濁化剤、ならびに水、エタノール、プロピレングリコール、グリセリン、またはこれらの組合せなどの希釈剤と組み合わせることができる。
本発明の医薬組成物は、たとえば、錠剤、カプセル剤、丸剤、粉末、持効性製剤、溶液、懸濁液として経口投与に、滅菌溶液、懸濁液、もしくは乳濁液として非経口注射に、軟膏もしくはクリームとして局所投与に、または坐剤として直腸投与に適する形態にすることができる。医薬組成物は、正確な投与量の単独投与に適する単位剤形にしてもよい。医薬組成物は、従来の医薬担体または賦形剤と、活性成分としての本発明による化合物とを含むことになる。加えて、医薬組成物は、他の薬用品または医薬品、担体、佐剤などを含んでもよい。
例示的な非経口投与形態としては、滅菌水溶液、たとえば、水性プロピレングリコールまたはデキストロース水溶液中の活性化合物の溶液または懸濁液が挙げられる。このような剤形は、所望であれば、適切に緩衝処理されていてもよい。
特定の量の活性化合物を用いて種々の医薬組成物を調製する方法は、当業者に知られており、または明白となる。たとえば、Remington’s Pharmaceutical Sciences、Mack Publishing Company、ペンシルヴェニア州イーストン、第19版(1995)を参照されたい。
本発明の結晶性または非晶性形態は、経口投与することができる。経口投与は、治療薬が消化管に入るように嚥下するものでもよいし、または治療薬が口から直接血流に入る頬側もしくは舌下投与を用いてもよい。
経口投与に適する製剤には、固体製剤、たとえば、錠剤;微粒子、液体、または粉末を含有するカプセル剤、口中錠(液体充填型を含める)、チュアブル剤(chew)、多重粒子およびナノ粒子、ゲル、固溶体、リポソーム、フィルム(粘膜付着性を含める)、腔坐剤、スプレー、ならびに液体製剤が含まれる。
液体製剤には、懸濁液、溶液、シロップ、およびエリキシルが含まれる。このような製剤は、軟または硬カプセルの中に充填剤として使用される場合もあり、典型的には、担体、たとえば、水、エタノール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、メチルセルロース、または適切な油と、1種または複数の乳化剤および/または懸濁化剤とを含む。液体製剤は、たとえばサシェ剤から、固体の復元によって調製される場合もある。
本発明の結晶性または非晶性形態は、LiangおよびChenによるExpert Opinion in Therapeutic Patents、11(6)、981~986(2001)に記載のものなどの急速溶解急速崩壊型剤形にして使用してもよく、この文献の開示全体を参照により本文書に組み込む。
錠剤剤形については、PF-07220060の結晶性または非晶性形態が、剤形の1wt%~80wt%、より典型的には、剤形の5wt%~60wt%を占めてよい。錠剤は、活性薬剤に加えて、一般に崩壊剤を含有する。崩壊剤の例としては、デンプングリコール酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、微結晶性セルロース、低級アルキル置換されたヒドロキシプロピルセルロース、デンプン、アルファ化デンプン、およびアルギン酸ナトリウムが挙げられる。一般に、崩壊剤は、剤形の1wt%~25wt%、好ましくは、5wt%~20wt%を占める場合がある。
錠剤製剤に粘着性の特質を付与するのに、結合剤が一般に使用される。適切な結合剤としては、微結晶性セルロース、ゼラチン、糖、ポリエチレングリコール、天然および合成のゴム、ポリビニルピロリドン、アルファ化デンプン、ヒドロキシプロピルセルロース、およびヒドロキシプロピルメチルセルロースが挙げられる。錠剤は、ラクトース(一水和物、噴霧乾燥一水和物、無水など)、マンニトール、キシリトール、デキストロース、スクロース、ソルビトール、微結晶性セルロース、デンプン、リン酸水素カルシウム二水和物などの希釈剤を含有する場合もある。
錠剤は、ラウリル硫酸ナトリウムやポリソルベート80などの界面活性剤、および二酸化ケイ素やタルクなどの流動促進剤も場合により含んでよい。存在するとき、界面活性剤は、典型的には錠剤の0.2wt%~5wt%、流動促進剤は、典型的には錠剤の0.2wt%~1wt%の量になる。
錠剤は、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、フマル酸ステアリルナトリウム、ステアリン酸マグネシウムのラウリル硫酸ナトリウムとの混合物などの滑沢剤も一般に含有する。滑沢剤は、一般に、錠剤の0.25wt%~10wt%、好ましくは、0.5wt%~3wt%の量で存在する。
他の常套的な成分として、酸化防止剤、着色剤、着香剤、保存剤、および矯味剤が挙げられる。
例示的な錠剤は、約1wt%~約80wt%の活性薬剤、約10wt%~約90wt%の結合剤、約0wt%~約85wt%の希釈剤、約2wt%~約10wt%の崩壊剤、および約0.25wt%~約10wt%の滑沢剤を含有する場合がある。
錠剤ブレンドを直接またはローラーによって圧縮すると、錠剤を生成することができる。別法として、錠剤ブレンドまたはブレンドの割当て分を、湿式、乾式、もしくは溶融造粒、溶融凝固、または押出しにかけた後で打錠してもよい。最終製剤は、1または複数の層を含む場合があり、コーティングされていてもされていなくてもよく、またはカプセル化されていてもよい。
錠剤の製剤は、H.LiebermanおよびL.Lachmanによる「Pharmaceutical Dosage Forms:Tablets,Vol.1」、Marcel Dekker、ニューヨーク州ニューヨーク、1980(ISBN 0-8247-6918-X)で詳細に論じられており、この文献の開示全体を参照により本文書に組み込む。
吸入器または注入器に入れて使用するカプセル(たとえば、ゼラチンまたはHPMC製)、ブリスター、およびカートリッジは、治療薬と、ラクトースやデンプンなどの適切な粉末基剤と、l-ロイシン、マンニトール、ステアリン酸マグネシウムなどの性能改良剤とからなる粉末混合物を含有するように製剤することができる。ラクトースは、無水、または一水和物の形態である場合があり、後者が好ましい。他の適切な賦形剤としては、デキストラン、グルコース、マルトース、ソルビトール、キシリトール、フルクトース、スクロース、およびトレハロースが挙げられる。
経口投与用の固体製剤は、即時および/または放出調節がなされるように製剤してもよい。放出調節製剤には、遅延、持続、パルス、制御、標的化、およびプログラム放出が含まれる。
適切な放出調節製剤は、米国特許第6,106,864号に記載されている。高エネルギー分散体、浸透圧粒子、被覆粒子などの適切な他の放出技術の詳細は、Vermaら、Current Status of Drug Delivery Technologies and Future Directions、Pharmaceutical Technology On-line(2001)25:1~14において見ることができる。制御放出を実現するためのチューインガムの使用は、WO00/35298に記載されている。こうした参考文献の開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
本発明の結晶性または非晶性形態は、血流中、筋肉、または内臓に直接投与される場合もある。非経口投与に適する手段には、静脈内、動脈内、腹腔内、くも膜下腔内、脳室内、尿道内、胸骨内、頭蓋内、筋肉内、および皮下が含まれる。非経口投与に適する装置には、(微細針を含めた)有針注射器、無針注射器、および注入技術が含まれる。
非経口製剤は、典型的には、塩、炭水化物、緩衝剤(好ましくはpH3~9とする)などの賦形剤を含有しうる水溶液であるが、一部の適用例については、非水性滅菌溶液として、または滅菌無パイロジェン水などの適切な媒体と共に使用される乾燥形態として、より適切に製剤される場合もある。
たとえば凍結乾燥法による、滅菌条件下での非経口製剤の調製は、当業者によく知られている標準の製薬技術を使用して容易に実現することができる。
非経口溶液の調製において使用される治療薬の溶解性は、溶解性改善剤を取り込むなどの適切な製剤技術の使用によって、増大しうる可能性がある。
本発明の結晶性および非晶性形態は、医薬組成物の投与に適するキットの形にすることができる。そのようなキットは、活性薬剤または薬学的に許容できるその塩もしくは溶媒和物と薬学的に許容できる担体とを含む医薬組成物の形態で、活性薬剤を含む場合がある。キットは、容器、分割ボトル、分割されたホイル小包装などの、医薬組成物を別々に保持する手段を収容する場合がある。そのようなキットの一例は、錠剤、カプセル剤などの包装に使用される、馴染みあるブリスターパックである。服薬遵守を支援するために、キットは、典型的には、投与に関する指示を含み、メモリーエイドを添えて提供される場合がある。キットは、希釈剤、フィルター、静注バッグおよびライン、針および注射器などの、医薬の投与において有用となりうる他の材料をさらに含む場合もある。
好ましい実施形態の一部において、実施形態は、実施形態E1~E52からなる群から選択される。
E1. -126.1および-125.6ppm±0.2ppmの共鳴(ppm)値を含む19F固体NMRスペクトルを有する、1,5-アンヒドロ-3-({5-クロロ-4-[4-フルオロ-2-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)-1-(プロパン-2-イル)-1H-ベンゾイミダゾール-6-イル]ピリミジン-2-イル}アミノ)-2,3-ジデオキシ-D-threo-ペンチトール(PF-07220060)一水和物の結晶性形態(形態2)。
E2. 9.6、11.8、および14.7°2θ±0.2°2θの2θ値におけるピークを含む粉末X線回折(PXRD)パターンを有する、PF-07220060一水和物の結晶性形態(形態2)。
E3. 12.4°2θ±0.2°2θの2θ値におけるピークをさらに含むPXRDパターンを有する、実施形態E2の結晶性形態。
E4. 21.0°2θ±0.2°2θの2θ値におけるピークをさらに含むPXRDパターンを有する、実施形態E2またはE3の結晶性形態。
E5. 1484、1555、および1587cm-1±2cm-1の波数(cm-1)値を含むラマンスペクトルを有する、実施形態E2、E3、またはE4の結晶性形態。
E6. 1387cm-1±2cm-1の波数(cm-1)値をさらに含むラマンスペクトルを有する、実施形態E5の結晶性形態。
E7. 1395cm-1±2cm-1の波数(cm-1)値をさらに含むラマンスペクトルを有する、実施形態E5またはE6の結晶性形態。
E8. 22.8および163.0ppm±0.2ppmの共鳴(ppm)値を含む13C固体NMRスペクトルを有する、実施形態E2~E7のいずれか1つの結晶性形態。
E9. 50.3、109.8、および129.1ppm±0.2ppmからなる群から選択される1つ、2つ、または3つの共鳴(ppm)値をさらに含む13C固体NMRスペクトルを有する、実施形態E8の結晶性形態。
E10. -126.1ppm±0.2ppmの共鳴(ppm)値を含む19F固体NMRスペクトルを有する、実施形態E2~E9のいずれか1つの結晶性形態。
E11. -125.6ppm±0.2ppmの共鳴(ppm)値をさらに含む19F固体NMRスペクトルを有する、実施形態E2~E10のいずれか1つの結晶性形態。
E12. 22.8および163.0ppm±0.2ppmの共鳴(ppm)値を含む13C固体NMRスペクトルを有する、PF-07220060一水和物の結晶性形態(形態2)。
E13. 50.3、109.8、および129.1ppm±0.2ppmからなる群から選択される1つ、2つ、または3つの共鳴(ppm)値をさらに含む13C固体NMRスペクトルを有する、実施形態E12の結晶性形態。
E14. 1484、1555、および1587cm-1±2cm-1の波数(cm-1)値を含むラマンスペクトルを有する、PF-07220060一水和物の結晶性形態(形態2)。
E15. 1387cm-1±2cm-1の波数(cm-1)値をさらに含むラマンスペクトルを有する、実施形態E14の結晶性形態。
E16. 1395cm-1±2cm-1の波数(cm-1)値をさらに含むラマンスペクトルを有する、実施形態E13またはE14の結晶性形態。
E17. (a)9.6、11.8、および14.7°2θ±0.2°2θの2θ値におけるピークを含む粉末X線回折(PXRD)パターン、(b)1484、1555、および1587cm-1±2cm-1の波数(cm-1)値を含むラマンスペクトル、(c)22.8および163.0ppm±0.2ppmの共鳴(ppm)値を含む13C固体NMRスペクトル、もしくは(d)-126.1および-125.6ppm±0.2ppmの共鳴(ppm)値を含む19F固体NMRスペクトル、または(a)、(b)、(c)、および(d)のいずれかの組合せを有する、PF-07220060の結晶性形態(形態2)。
E18. -132.4および-131.1ppm±0.2ppmの共鳴(ppm)値を含む19F固体NMRスペクトルを有する、PF-07220060の無水結晶性形態(形態6)。
E19. -132.4ppm±0.2ppmの共鳴(ppm)値を含む19F固体NMRスペクトルを有する、PF-07220060の無水結晶性形態(形態6)。
E20. -131.1ppm±0.2ppmの共鳴(ppm)値を含む19F固体NMRスペクトルを有する、PF-07220060の無水結晶性形態(形態6)。
E21. (a)6.8および10.1°2θ±0.2°2θ、
(b)6.8、10.1、および12.2°2θ±0.2°2θ、
(c)6.8、10.1、および17.8°2θ±0.2°2θ、
(d)6.8、10.1、12.2、および17.8°2θ±0.2°2θ、
(e)8.5、10.1、および13.8°2θ±0.2°2θ、
(f)6.8、8.5、および13.8°2θ±0.2°2θ、
(g)6.8、8.5、10.1、および13.8°2θ±0.2°2θ、または
(h)6.8、8.5、10.1、12.2、および13.8°2θ±0.2°2θ
の2θ値におけるピークを含む粉末X線回折(PXRD)パターンを有する、PF-07220060の無水結晶性形態(形態6)。
E22. 1436、1465、および1566cm-1±2cm-1の波数(cm-1)値を含むラマンスペクトルを有する、実施形態E18~E21のいずれか1つの結晶性形態。
E23. 54.7、112.6、および132.8ppm±0.2ppmの共鳴(ppm)値を含む13C固体NMRスペクトルを有する、実施形態E18~E22のいずれか1つの結晶性形態。
E24. 49.2ppm±0.2ppmの共鳴(ppm)値をさらに含む13C固体NMRスペクトルを有する、実施形態E23の結晶性形態。
E25. 49.2、54.7、112.6、および132.8ppm±0.2ppmからなる群から選択される2つ、3つ、または4つの共鳴(ppm)値を含む13C固体NMRスペクトルを有する、実施形態E18~E22のいずれか1つの結晶性形態。
E26. -132.4ppm±0.2ppmの共鳴(ppm)値を含む19F固体NMRスペクトルを有する、実施形態E18~E25のいずれか1つの結晶性形態。
E27. -131.1ppm±0.2ppmの共鳴(ppm)値をさらに含む19F固体NMRスペクトルを有する、実施形態E18~E26のいずれか1つの結晶性形態。
E28. 54.7、112.6、および132.8ppm±0.2ppmの共鳴(ppm)値を含む13C固体NMRスペクトルを有する、PF-07220060の無水結晶性形態(形態6)。
E29. 49.2ppm±0.2ppmの共鳴(ppm)値をさらに含む13C固体NMRスペクトルを有する、実施形態E28の結晶性形態。
E30. 1436および1566cm-1±2cm-1の波数(cm-1)値を含むラマンスペクトルを有する、PF-07220060の無水結晶性形態(形態6)。
E31. 1465cm-1±2cm-1の波数(cm-1)値をさらに含むラマンスペクトルを有する、実施形態E30の結晶性形態。
E32. (a)
(i)6.8および10.1°2θ±0.2°2θ、
(ii)6.8、10.1、および12.2°2θ±0.2°2θ、
(iii)6.8、10.1、および17.8°2θ±0.2°2θ、
(iv)6.8、10.1、12.2、および17.8°2θ±0.2°2θ、
(v)8.5、10.1、および13.8°2θ±0.2°2θ、
(vi)6.8、8.5、および13.8°2θ±0.2°2θ、
(vii)6.8、8.5、10.1、および13.8°2θ±0.2°2θ、もしくは
(viii)6.8、8.5、10.1、12.2、および13.8°2θ±0.2°2θ
の2θ値におけるピークを含む粉末X線回折(PXRD)パターン、
(b)1436、1465、および1566cm-1±2cm-1の波数(cm-1)値を含むラマンスペクトル、
(c)54.7、112.6、および132.8ppm±0.2ppmの共鳴(ppm)値を含む13C固体NMRスペクトル、または
(d)-132.4および-131.1ppm±0.2ppmの共鳴(ppm)値を含む19F固体NMRスペクトル、
または(a)、(b)、(c)、および(d)の2つ以上のいずれかの組合せ
を有する、PF-07220060の無水結晶性形態(形態6)。
E33.図17におけるのと本質的に同じ粉末X線回折(PXRD)パターンを有する、PF-07220060の無水結晶性形態(形態11)。
E34.実質的に純粋な結晶性のPF-07220060一水和物(形態2)である、実施形態E1~E17のいずれか1つの結晶性形態。
E35.実質的に純粋な無水結晶性のPF-07220060(形態6)である、実施形態E18~E32のいずれか1つの結晶性形態。
E36.実質的に純粋な無水結晶性のPF-07220060(形態11)である、実施形態E33の結晶性形態。
E37.実施形態E1~E17およびE34のいずれか1つの結晶性形態と、薬学的に許容できる担体または賦形剤とを含む医薬組成物。
E38.実施形態E18~E32およびE35のいずれか1つの結晶性形態と、薬学的に許容できる担体または賦形剤とを含む医薬組成物。
E39.PF-07220060の非晶性形態(形態8)。
E40.約4~約40°2θ±0.5°2θの回折角(2θ)における幅の広いピークを含む粉末X線回折(PXRD)パターンを有する、実施形態E39の非晶性形態。
E41.図8におけるのと本質的に同じ粉末X線回折(PXRD)パターンを有する、実施形態E39またはE40の非晶性形態。
E42. -127.5ppm±0.5ppmの共鳴(ppm)値を含む19F固体NMRスペクトルを有する、実施形態E39~E41のいずれか1つの非晶性形態。
E43. 20.9、49.3、および116.6ppm±0.5ppmの共鳴(ppm)値を含む13C固体NMRスペクトルを有する、実施形態E42の非晶性形態。
E44.実質的に純粋な非晶性のPF-07220060(形態8)である、実施形態E39~E43のいずれか1つの非晶性形態。
E45.実施形態E39~E44のいずれか1つの非晶性形態と、薬学的に許容できる担体または賦形剤とを含む医薬組成物。
E46.がん処置を必要とする対象においてがん処置を行う方法であって、対象に、実施形態E1~E36のいずれか1つの結晶性形態または実施形態E39からE45のいずれか1つの非晶性形態を治療有効量投与することを含む方法。
E47.がん処置を必要とする対象においてがん処置を行う方法であって、対象に、実施形態E37、E38、またはE45の医薬組成物を治療有効量投与することを含む方法。
E48.がんが、乳がん、前立腺がん、肺がん、肝臓がん、腎臓がん、膀胱がん、卵巣がん、腹膜がん、卵管がん、子宮頚がん、子宮がん、膵臓がん、胃がん、結腸直腸がん、食道がん、頭頚部がん、精巣がん、副腎がん、皮膚がん、脳腫瘍、肉腫、およびリンパ腫からなる群から選択される、実施形態E46またはE47の方法。
E49.がん処置において使用するための、実施形態E1~E36のいずれか1つの結晶性形態または実施形態E39からE45のいずれか1つの非晶性形態。
E50.がん処置において使用するための、実施形態E37、E38、またはE45の医薬組成物。
E51.がんが、乳がん、前立腺がん、肺がん、肝臓がん、腎臓がん、膀胱がん、卵巣がん、腹膜がん、卵管がん、子宮頚がん、子宮がん、膵臓がん、胃がん、結腸直腸がん、食道がん、頭頚部がん、精巣がん、副腎がん、皮膚がん、脳腫瘍、肉腫、およびリンパ腫からなる群から選択される、実施形態E49の結晶性形態またはE50の医薬組成物。
E52.がん処置のための医薬を製造するための、実施形態E1~E36のいずれか1つの結晶性形態または実施形態E39からE45のいずれか1つの非晶性形態の使用。
以下に示す実施例および調製例によって、本発明の態様および実施形態をさらに説明し、例示する。本発明の範囲は、以下の実施例の範囲によって限定されないと理解される。
一般法1A.粉末X線回折(PXRD)
計測方法:
粉末X線回折分析を、銅放射線源を備えたBruker AXS D8 Endeavor回折計を使用して行った。発散スリットを15mmの連続照明に設定した。回折された放射線を、PSD-Lynx Eye検出器によって、検出器PSD開口を2.99度に設定して検出した。X線管電圧およびアンペア数は、それぞれ40kVおよび40mAに設定した。データは、シータ-シータゴニオメーターにおいて、3.0から40.0度2シータまでを、銅(Cu)波長(CuKα=1.5418λ)で収集した。形態2、形態6、および形態8については、0.01度のステップサイズおよび1.0秒のステップ時間を使用した。形態11については、0.02度のステップサイズおよび0.3秒のステップ時間を使用した。散乱防止スクリーンを、1.5mmの一定距離に設置した。データ収集の間、試料を回転させた。試料を低バックグラウンドケイ素試料ホルダーに入れて準備し、収集の間回転させた。Bruker DIFFRAC Plusソフトウェアを使用してデータを収集し、EVA diffract plusソフトウェアによって解析を行った。
ピーク選出方法:
PXRDデータファイルは、ピーク検索より前には加工しなかった。EVAソフトウェアにおいてピーク検索アルゴリズムを使用し、閾値を1として選択されたピークを使用して、予備的なピーク割当てを行った。確実性を確かなものにするために、調整は手作業で行っており、自動割当ての出力を目視によってチェックし、ピーク位置をピーク最大値に合わせた。一般に、相対強度が3%以上であるピークを選択した。典型的には、分解されなかった、またはノイズと一致したピークは選択しなかった。PXRDからのピーク位置にまつわる典型的な誤差は、USPに、結晶性形態についてはプラスマイナス(±)0.2°2シータまで(USP-941)、非晶性形態についてはプラスマイナス(±)0.5°2シータまでと明記されている。
一般法1B.粉末X線回折(PXRD)
計測方法:
粉末X線回折分析を、銅放射線源を備えたBruker AXS D8 Endeavor回折計を使用して行った。発散スリットを10mmの連続照明に設定した。回折された放射線を、5.50mmに設定された二次スリットを備えたLYNXEYE_EX検出器によって検出した。X線管電圧およびアンペア数は、それぞれ40kVおよび40mAに設定した。データは、シータ-シータゴニオメーターにおいて、形態1のための0.02度のステップサイズおよび0.5秒のステップ時間を使用して、3.0から40.0度2シータまでを、Cu波長(CuKα=1.5418λ)で収集した。散乱防止スクリーンを定位置に置いた。試料を低バックグラウンドケイ素試料ホルダーに入れて準備し、収集の間回転させた。Bruker DIFFRAC Plusソフトウェアを使用してデータを収集し、EVA diffract plusソフトウェアによって解析を行った。
ピーク選択:
PXRDデータファイルは、ピーク検索より前には加工しなかった。EVAソフトウェアにおいてピーク検索アルゴリズムを使用し、閾値を1として選択されたピークを使用して、予備的なピーク割当てを行った。確実性を確かなものにするために、調整は手作業で行っており、自動割当ての出力を目視によってチェックし、ピーク位置をピーク最大値に合わせた。一般に、相対強度が3%以上であるピークを選択した。典型的には、分解されなかった、またはノイズと一致したピークは選択しなかった。PXRDからのピーク位置にまつわる典型的な誤差は、USPに、結晶性形態についてはプラスマイナス(±)0.2°2シータまで(USP-941)、非晶性形態についてはプラスマイナス(±)0.5°2シータまでと明記されている。
一般法2.ラマン分光法
計測方法:
FT-IRベンチに取り付けられたThermo Scientific iS50 FT-ラマン付属品を使用して、ラマンスペクトルを収集した。FT-ラマン配置において、CaF2ビームスプリッターを利用する。分光計は、1064nmのダイオードレーザーと、室温のInGaAs検出器とを備えている。データ取得の前に、ポリスチレンを使用して、計器性能および較正検証を行った。試料は、ガラスNMR管に入れて、錠剤として、またはデータ収集の間静止状態に保たれた適切な試料ホルダーに入れて分析した。0.1~0.5Wの間のレーザー出力および512回の同時付加(co-added)スキャンを使用して、スペクトルを収集した。収集範囲は、3700~100cm-1とした。APIスペクトルを、2cm-1の分解能を使用して記録し、スペクトルすべてについてHapp-Genzelアポダイゼーションを利用した。複数のスペクトルを記録しており、報告するスペクトルは、2つのスポットを代表するものである。
ピーク選出方法:
ピーク選出の前に、強度スケールを1に対して正規化した。Thermo Nicolet Omnic 9.7.46ソフトウェアを使用して、ピークを手作業で確認した。ピーク位置をピーク最大値において選出し、各側に傾斜があった場合にだけ、ピークをそれとして確認し、ピーク上の肩は含めなかった。無希釈のPF-07220060形態2については、ピーク選出の際、感度を75とした0.06の絶対閾値を利用した。ピーク位置は、標準的手法(0.5は切り上げ、0.4は切り下げ)を使用して、最も近い整数に丸めている。正規化ピーク強度が(1~0.75)、(0.74~0.30)、(0.29~0)の間にあるピークを、それぞれ、強、中、および弱として標識化した。
一般法3.13C固体NMR(ssNMR)分光法
計測方法:
Bruker-BioSpin Avance III 500MHz(1H振動数)NMR分光計の中に配置されたCPMASプローブを用いて、固体NMR(ssNMR)分析を行った。材料を4mmの回転子に詰めた。15.0kHzのマジック角回転速度を使用した。周囲温度(温度非制御)でスペクトルを収集した。
13CssNMRスペクトルは、プロトン分離交差分極マジック角回転(CPMAS)実験を使用して収集した。スペクトルを取得する際、80~100kHzの位相変調されたプロトンデカップリング場を適用した。交差分極接触時間を2msに設定した。形態1についてはリサイクルディレイを3.25秒として、形態2、形態6、および形態8については3.5秒として、スペクトルを収集した。走査数は、妥当なシグナル対ノイズ比が得られるように調整した。結晶性アダマンタン外部標準での13C CPMAS実験を、その高磁場共鳴を29.5ppmに設定して使用した13C化学シフト尺度を参考にした。
19FssNMRスペクトルは、プロトン分離マジック角回転(MAS)実験を使用して収集した。スペクトルを取得する際、80~100kHzの位相変調されたプロトンデカップリング場を適用した。形態1のスペクトルには、5.25秒のリサイクルディレイを使用した。形態2のスペクトルには、45秒のリサイクルディレイを使用した。形態6については29秒、形態8については5秒のリサイクルディレイでスペクトルを収集した。走査数は、妥当なシグナル対ノイズ比が得られるように調整した。トリフルオロ酢酸および水(50/50v/v)外部標準での19F MAS実験を、その共鳴を-76.54ppmに設定して使用した、19F化学シフト尺度を参考にした。
ピーク選出方法:
Bruker-BioSpin TopSpinバージョン3.6ソフトウェアを使用して、自動ピーク選出を行った。一般に、予備ピーク選択には、相対強度5%という閾値を使用した。自動化されたピーク選出の出力を目視によってチェックして確実性を確かなものにし、必要ならば、調整を手作業で行った。本明細書において詳細な固体NMRピーク値が報告されるが、そうしたピーク値には、計器、試料、および試料調製の違いによる幅が存在する。ピーク位置が固有である変動のため、これは、固体NMRの分野で一般的な技法である。13Cおよび19F化学シフトx軸値の典型的な変動性は、結晶性固体についてはプラスマイナス(±)0.2ppm、非晶性固体についてはプラスマイナス(±)0.5ppm程度である。本明細書で報告する固体NMRピーク高さは、相対強度である。固体NMR強度は、実験パラメーターの実際の設定および試料の熱履歴次第で、一様でないことがある。
一般法4.熱重量分析(TGA)
Discovery TGA(TA instruments)熱重量分析装置を使用して、熱重量分析を行った。窒素パージ(試料チャンバーと秤の両方について10mL/分)下で、およそ10mgの試料をアルミ皿に量り入れ、10℃/分の加熱速度で、周囲(約20℃)から250℃に加熱した。
一般法5A.示差走査熱量測定(DSC)
冷蔵冷却用付属品を備え付けたDiscovery DSC(TA instruments)を用い、変調示差走査熱量測定(DSC)による測定を行った。実験はすべて、標準/Tzeroアルミ皿で行った。インジウムを使用してセル定数を求め、インジウムおよびスズを標準物質として使用して温度較正を行った。測定はすべて、継続的な乾燥窒素パージ(50mL/下)下で行った。およそ1~5mgの固体試料をTzeroアルミ皿に量り入れ、非気密封止し、10℃/分の加熱速度で-40℃から220℃に加熱した。実験データを、市販品として入手可能なソフトウェア(TA Universal Analysis2000/Triosソフトウェア、TA Instruments)を使用して解析した。
一般法5B.示差走査熱量測定(DSC)
冷蔵冷却用付属品を備え付けたDiscovery DSC(TA instruments)を用い、DSC測定を行った。実験はすべて、標準/Tzeroアルミ皿で行った。インジウムを使用してセル定数を求め、インジウムおよびスズを標準物質として使用して温度較正を行った。測定はすべて、継続的な乾燥窒素パージ(50mL/下)下で行った。およそ7mgの固体試料をTzeroアルミ皿に量り入れ、非気密封止し、±1℃の変調温度振幅、100秒の変調期間、および2℃/分のランプ速度を使用して、-40℃から165℃に加熱した。実験データを、市販品として入手可能なソフトウェア(TA Universal Analysis2000/Triosソフトウェア、TA Instruments)を使用して解析した。
一般法6.水分収着(吸湿性)
自動化蒸気収着分析装置(TA instruments Q5000 SA)において、水分収着および脱着研究を行った。微量天秤を、100mgの標準重量を使用して較正した。相対湿度(RH)センサーを、飽和塩溶液を使用して、5.0、11.3、32.8、52.8、75.3、および84.3%RH(25℃)で較正した。およそ10~20mgの粉末試料を石英試料ホルダーに入れ、60℃、3%RH以下で乾燥させた。試料の重量変化が5分で0.001wt%未満になったとき、または300分の最大平衡化時間によって、平衡に到達したものとみなした。次いで、RHを10%の増加率で次第に90%に増大させた後、10%のRH減少率で10%の最終RHに低下させた。ここでもやはり、試料の重量変化が5分で0.001wt%未満になったとき、または300分の最大平衡化時間によって、平衡に到達したものとみなした。60%RHでの重量増加は、初期乾燥ステップ後の重量を基準としている。
(実施例1)
PF-07220060一水和物(形態2)の調製
2つの反応を、(バイアルAおよびバイアルBと名前を付けた)クリンプ対応バイアルにおいて並行して実施した。反応は、同じ条件およびスケールで実施したが、バイアルAとバイアルBについての単離および再結晶手順は、以下に示すとおりに異なっていた。
各20mLクリンプ対応バイアルに、撹拌子を備え付け、2-[6-(2,5-ジクロロピリミジン-4-イル)-4-フルオロ-1-(プロパン-2-イル)-1H-ベンゾイミダゾール-2-イル]プロパン-2-オール(中間体1、米国特許第10,233,188号のExampleA94に記載されているとおりに調製)(1.48g、3.865mmol)、3-アミノ-1,5-アンヒドロ-2,3-ジデオキシ-D-threo-ペンチトール塩酸塩(中間体2A)(0.68g、4.44mmol)、およびアセトニトリル(MeCN)(15mL)を装入した。ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)(1.745g、2.35mL、13.5mmol)を加え、バイアルをクリンプし、加熱マントルにおいて85℃に加熱し、17時間撹拌した。
少しばかり冷却した後、沈殿が認められた。一定分量のLCMS分析によって、生成物対出発材料が80:20である混合物であることが示された。内部温度は、76℃と測定された。バイアルを内部温度85℃に加熱し、濁った混合物を、その温度でさらに21時間加熱した。一定分量のLCMS分析によって、生成物対出発材料が92:8である混合物であることが示された。
各バイアルについての反応混合物を丸底フラスコに移し、体積を3分の1に減らし、次いで、室温で1時間撹拌した。混合物を濾過して、沈殿した無機固体を除去した。
濾液に、米国特許第10,233,188号のExampleA94に記載のとおりに調製したPF-07220060水和物(形態1)の種晶約1mgをシード添加した。数分後、濁った懸濁液が生成した。混合物を室温で2日間ゆっくりと撹拌した。濃厚なスラリーを濾過し、フラスコを少ない体積のアセトニトリルですすいで移動を容易にし、固体を10%MeCN/ジイソプロピルエーテル(DIPE)ですすいだ。
バイアルA:PF-07220060水和物(形態1)
MeCN/DIPE濾液を最小限の体積に減らした。残渣を酢酸エチル(EtOAc)と水とに分配し、層を分離した。水層をEtOAcでもう1回抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濾過した。濾液を最小限の体積に減らして、琥珀色の残渣1.75gを得た。
残渣を18mLのMeCNに溶解させ、室温で撹拌した。数分後、シード添加なしで、固体が溶液から析出し始めた。懸濁液をkimwipeで覆い、終夜撹拌した。MeCN懸濁液を濾過し、固体を10%MeCN/DIPEですすぎ、次いで、真空オーブン(熱なし)で終夜乾燥させて、834mgの白色の固体を得た。固体は、米国特許第10,233,188号のExampleA94に記載のとおりに調製されたPF-07220060水和物(形態1)の標準品と一致したPXRDパターン(図5)を示した。
バイアルB:PF-07220060一水和物(形態2)
MeCN/DIPE濾液を濃縮乾燥し、固体を真空オーブンにおいて55℃で約1時間乾燥させて、わずかに粘着性のオフホワイト色の固体1.8gを得た。LCMSおよび1H NMR分析によって、固体にDIPEA塩酸塩が混入していたことが示された。固体を18mLの10%MeCN/水に再懸濁させて濃厚なスラリーを得、これを、追加の18mL分の10%MeCN/水でさらに希釈した。濃厚な混合物を室温で20分間撹拌し、次いで、濾過し、130mLの10%MeCN/水ですすいだ。
固体を真空オーブンにおいて55℃で終夜乾燥させて、1.75gの結晶性材料を得た。さらなる特徴付けの後、材料は、新たなPXRDパターン(図1)を有することが確認され、PF-07220060一水和物(形態2)と同定された。元素分析は、1.0当量の水と共に実施された。C22H27N5O3FCl.1.0 H2Oについての分析計算値:C:54.82、H:6.07、N:14.53、Cl:7.36;実測値:C:54.73、54.81;H:6.08、6.12;N:14.42、14.45;Cl:7.19。
(実施例2)
PF-07220060一水和物(形態2)の代替調製例
ステップ1: 1,5-アンヒドロ-3-({5-クロロ-4-[4-フルオロ-2-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)-1-(プロパン-2-イル)-1H-ベンゾイミダゾール-6-イル]ピリミジン-2-イル}アミノ)-2,3-ジデオキシ-D-threo-ペンチトール(PF-07220060)
窒素パージした200Lの反応器に、アセトニトリル(45L、5体積)を装入した。反応器を、ジャケット温度(Tj)25℃±5℃に設定し、2-[6-(2,5-ジクロロピリミジン-4-イル)-4-フルオロ-1-(プロパン-2-イル)-1H-ベンゾイミダゾール-2-イル]プロパン-2-オール(中間体1、9kg、23.34mol)および3-アミノ-1,5-アンヒドロ-2,3-ジデオキシ-D-threo-ペンチトール(中間体2B、3.867kg、32.68mol、1.4当量)を装入した。混合物を中程度のスピードで最低10分間撹拌した後、DIPEA(8.132L、46.68mol、2当量)を装入した。反応器をTj80℃±5℃に設定し、反応液を窒素雰囲気中で36時間加熱した。80℃±5℃のTjでもう6時間加熱した後、反応の完遂度を97%に押し上げるのに、DIPEA(2L、11.67mol、0.5当量)の2回目の装入が必要となった。温度を75℃±10℃に保ちながら、プロセス用水(45.00L、5体積)を20分かけて装入し、反応液を60分かけて25℃±5℃に冷却し、18時間この温度に保った。
溶媒を弱真空下でおよそ35体積に減らし、得られる溶液に、反応器の外側に生じた結晶性材料を、30mLの一定分量を冷却する/かき取ることにより、シード添加した。結晶化が起こった後、得られる混合物を室温で18時間かけて粒状化した。
Nutscheフィルターでの濾過によって、粗生成物PF-07220060を収集し、ケークをMeCN/水(45L、10体積、1:1混合物)ですすぎ、窒素中で乾燥させて、粗1,5-アンヒドロ-3-({5-クロロ-4-[4-フルオロ-2-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)-1-(プロパン-2-イル)-1H-ベンゾイミダゾール-6-イル]ピリミジン-2-イル}アミノ)-2,3-ジデオキシ-D-threo-ペンチトール(PF-07220060)を淡褐色の固体(10kg、収率94.38%、UPLCによる純度97%)として得た。
ステップ1R: 1,5-アンヒドロ-3-({5-クロロ-4-[4-フルオロ-2-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)-1-(プロパン-2-イル)-1H-ベンゾイミダゾール-6-イル]ピリミジン-2-イル}アミノ)-2,3-ジデオキシ-D-threo-ペンチトール(PF-07220060)(形態2)
200Lの反応器に、イソプロパノール(100L、10体積)および粗1,5-アンヒドロ-3-({5-クロロ-4-[4-フルオロ-2-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)-1-(プロパン-2-イル)-1H-ベンゾイミダゾール-6-イル]ピリミジン-2-イル}アミノ)-2,3-ジデオキシ-D-threo-ペンチトール(PF-07220060、10kg、21.56mol)を装入した。反応器を40℃±15℃のTjに設定し、混合物を、窒素中で、完全な溶解が実現されるまで(60分)撹拌した。溶液を25℃±5℃に冷却し、これを保持ドラム(holding drum)に移した。
200Lの反応器に、微粒子フィルタープロセス用水(135L、13.5体積)を装入した。反応器を40℃±5℃のTjに設定し、反応器に、生成物を含有するイソプロパノール溶液を、真空下で蒸留しながら、ポリプロピレン微粒子フィルターに通して加えた。移動速度および反応器圧力は、200Lの容器中に約135Lという一定体積、および水対イソプロパノールが85/15というおおよその比率を維持しながらイソプロパノールが蒸留されるように、必要に応じて調整した。加え終えたら、生成物を48時間粒状化し、高せん断湿式粉砕を使用して粒径を小さくした。
生成物をNutscheフィルターで濾過し、ケークを27Lのプロセス用水で洗浄し、真空下で乾燥させた。生成物をオーブントレーに移し、30℃±10℃で4時間かけてさらに真空乾燥して、1,5-アンヒドロ-3-({5-クロロ-4-[4-フルオロ-2-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)-1-(プロパン-2-イル)-1H-ベンゾイミダゾール-6-イル]ピリミジン-2-イル}アミノ)-2,3-ジデオキシ-D-threo-ペンチトール(PF-07220060)一水和物(形態2)を白色の固体(9.2kg、収率81%、UPLCによる純度98.6%)として得た。
(実施例3)
PF-07220060一水和物(形態2)の特徴付け
実施例2に従って調製したPF-07220060一水和物(形態2)は、次のように特徴付けられた。
PXRDデータ
図1に、一般法1Aに従って収集した、PF-07220060一水和物(形態2)のPXRDデータを示す。回折角2シータ°(°2θ)±0.2°2θにおけるPXRDピークおよびその相対強度の一覧を表1に示す。
FT-ラマンデータ
図2に、一般法2に従って収集した、PF-07220060一水和物(形態2)のFT-ラマンスペクトルを示す。FT-ラマンピーク(cm-1)および定性的な強度の完全な一覧を、表2にcm-1±2cm-1で示す。正規化したピーク強度を、w=弱、m=中、s=強のように示す。
ssNMRデータ
図3に、一般法3に従って収集した、PF-07220060一水和物(形態2)の炭素CPMASスペクトルを示す。化学シフトは、百万分率(ppm)で示し、29.5ppmとした固相アダマンタン外部試料を基準としている。形態2についてのssNMR13C化学シフト(ppm)の一覧を、表3にppm±0.2ppmで示す。
図4に、一般法3に従って収集した、PF-07220060一水和物(形態2)の19FssNMRスペクトルを示す。化学シフトは、百万分率(ppm)で示し、トリフルオロ酢酸および水(50/50 体積/体積)外部標準を、その共鳴を(無希釈TMSから求められる)-76.54ppmに設定し、基準としている。
(実施例4)
比較実施例:PF-07220060水和物(形態1)の調製
米国特許第10,233,188号のExampleA94に記載の手順に従い、PF-07220060水和物(形態1)を白色の結晶性固体として調製した。結晶性固体は、化学量論性が明確でない水和物であると判定され、PF-07220060水和物(形態1)と同定された。
(実施例5)
比較実施例:PF-07220060水和物(形態1)の代替調製例
実施例5A:実施例2に記載したとおりに調製した結晶性PF-07220060一水和物(形態2)(348mg)およびアセトニトリル(3.00mL)を、室温で撹拌した。およそ24時間撹拌した後、PXRDによる分析のために、混合物から、少しの一定分量(約0.1mL)を取り出した。残りの材料は、もう1日撹拌した。合計2日間撹拌した後、真空濾過によって白色の固体を収集し、アセトニトリル(2×0.500mL)で洗浄した。282mg、81%。固体は、PXRDによって、PF-07220060水和物(形態1)に変換されたことが確認された。
実施例5B:実施例2に記載したとおりに調製したPF-07220060一水和物(形態2)(1.01529g)をアセトニトリル(10.0mL)と合わせた。3日間撹拌した後、真空濾過によって固体を収集し、フィルターフリット上で乾燥させた。結晶性固体は、PF-07220060水和物(形態1)であると判定された。
(実施例6)
PF-07220060水和物(形態1)の特徴付け
実施例5Bに記載したとおりに調製したPF-07220060水和物(形態1)は、次のように特徴付けられた。
PXRDデータ
図5に、一般法1Bに従って収集した、PF-07220060水和物(形態1)のPXRDデータを示す。
ssNMRデータ
図6に、一般法3に従って収集した、PF-07220060水和物(形態1)の炭素CPMASスペクトルを示す。化学シフトは、百万分率(ppm)で示し、29.5ppmとした固相アダマンタン外部試料を基準としている。形態1についてのssNMR13C化学シフト(ppm)の一覧を、表5にppm±0.2ppmで示す。
図7に、一般法3に従って収集した、PF-07220060水和物(形態1)の19FssNMRスペクトルを示す。化学シフトは、百万分率(ppm)で示し、トリフルオロ酢酸および水(50/50 体積/体積)外部標準を、その共鳴を(無希釈TMSから求められる)-76.54ppmに設定し、基準としている。形態1についてのssNMR19F化学シフト(ppm)の一覧を、表6にppm±0.2ppmで示す。
(実施例7)
PF-07220060水和物(形態1)のPF-07220060一水和物(形態2)への変換
実施例1バイアルAに記載したとおりに調製した結晶性のPF-07220060水和物(形態1)(25mg)を、10%MeCN/水(0.5mL)に懸濁させ、室温で約30分間スラリー化した。一定分量の懸濁液のPXRDによって、PF-07220060一水和物(形態2)に変換されたと確認された。
(実施例8)
非晶性のPF-07220060(形態8)の調製
実施例2に記載したとおりに調製したPF-07220060一水和物(形態2)(331.7mg)を、小さいアルミ皿において、およそ165℃で融解させた。得られる淡黄色の液体を氷水中に置き、速やかに冷却した。液体が、淡黄色の透明な固体になった。固体をバイアルに移し、スパチュラで砕いて淡黄色の粉末とし、これが、PXRDによって、非晶性のPF-07220060(形態8)であると判定された(294.2mg、89%)。
(実施例9)
非晶性のPF-07220060(形態8)の代替調製例
実施例2に記載したとおりに調製したPF-07220060一水和物(形態2)(約2g)とアセトニトリル(100mL)を合わせ、15分間音波処理した。次いで、固体が完全に溶解するまで、試料を50℃の水浴に15分間浸した。水(5.0mL)を加えた後、試料をもう5分間音波処理した。得られる溶液を、0.20mmのPTFEフィルターで濾過した。濾液をドライアイス/アセトン浴で凍結させ、Labconco FreezeZone -105℃凍結乾燥機に入れた。試料は、すべての溶媒が除去されるまで、凍結乾燥機に入れたままにした。
(実施例10)
非晶性のPF-07220060(形態8)の特徴付け
実施例9に記載したとおりに調製した非晶性のPF-07220060(形態8)は、次のように特徴付けられた。
PXRDデータ
図8に、一般法1Aに従って収集した、非晶性のPF-07220060(形態8)のPXRDデータを示す。
変調示差走査熱量測定(DSC)
図9に、一般法5Bに従って収集した、102℃±5℃のガラス転移温度(Tg)を示す、非晶性のPF-07220060(形態8)の変調DSCスキャンを示す。
FT-ラマンデータ
図10に、一般法2に従って収集した、非晶性のPF-07220060(形態8)のFT-ラマンスペクトルを示す。FT-ラマンピーク(cm-1)および定性的な強度の完全な一覧を、表7にcm-1±2cm-1で示す。正規化したピーク強度を、w=弱、m=中、s=強のように示す。
ssNMRデータ
図11に、一般法3に従って収集した、非晶性のPF-07220060(形態8)の炭素CPMASスペクトルを示す。化学シフトは、百万分率(ppm)で示し、29.5ppmとした固相アダマンタン外部試料を基準としている。形態8についてのssNMR13C化学シフト(ppm)の一覧を、表8にppm±0.2ppmで示す。
図12に、一般法3に従って収集した、非晶性のPF-07220060(形態8)の19FssNMRスペクトルを示す。化学シフトは、百万分率(ppm)で示し、トリフルオロ酢酸および水(50/50 体積/体積)外部標準を、その共鳴を(無希釈TMSから求められる)-76.54ppmに設定し、基準としている。
(実施例11)
無水結晶性のPF-07220060(形態6)の調製
実施例9に記載したとおりに調製した非晶性のPF-07220060(形態8)(991.94mg)を、撹拌子を備えた20mLのバイアルに加えた。トルエン(7.50mL)を加え、混合物を100℃に加温した。100℃で1時間撹拌した後、(まだ熱いうちに)真空濾過によって固体を収集し、50℃で真空乾燥して、無水結晶性のPF-07220060(形態6)を得た。614mg、62%。
(実施例12)
無水結晶性のPF-07220060(形態6)の特徴付け
実施例11に記載したとおりに調製した無水結晶性のPF-07220060(形態6)は、次のように特徴付けられた。
PXRDデータ
図13に、一般法1Aに従って収集したPXRDデータを示す。回折角2シータ°(°2θ)±0.2°2θにおけるPXRDピークおよびその相対強度の一覧を表10に示す。
FT-ラマンデータ
図14に、一般法2に従って収集した、無水結晶性のPF-07220060(形態6)のFT-ラマンスペクトルを示す。FT-ラマンピーク(cm-1)および定性的な強度の完全な一覧を、表11にcm-1±2cm-1で示す。正規化したピーク強度を、w=弱、m=中、s=強のように示す。
ssNMRデータ
図15に、一般法3に従って収集した、無水結晶性のPF-07220060(形態6)の炭素CPMASスペクトルを示す。化学シフトは、百万分率(ppm)で示し、29.5ppmとした固相アダマンタン外部試料を基準としている。形態6についてのssNMR13C化学シフト(ppm)の一覧を、表12にppm±0.2ppmで示す。
図16に、一般法3に従って収集した、無水結晶性のPF-07220060(形態6)の19FssNMRスペクトルを示す。化学シフトは、百万分率(ppm)で示し、トリフルオロ酢酸および水(50/50 体積/体積)外部標準を、その共鳴を(無希釈TMSから求められる)-76.54ppmに設定し、基準としている。形態6についてのssNMR19F化学シフト(ppm)の一覧を、表13にppm±0.2ppmで示す。
(実施例13)
無水結晶性のPF-07220060(形態11)の調製
実施例2に記載したとおりに調製したPF-07220060一水和物(形態2)(1.8g)を、真空下において75℃で4日間脱水して、無水結晶性のPF-07220060(形態11)を得た。
PXRDによる形態11の特徴付け:
図17に、一般法1Aに従って収集した、無水結晶性のPF-07220060(形態11)のPXRDデータを示す。
(実施例14)
PF-07220060一水和物(形態2)の固体状態安定性分析
PF-07220060一水和物(形態2)の加速固体状態化学安定性および光安定性を調査した。PF-07220060一水和物(形態2)の固体状態化学/湿度安定性を、70℃/5%RHおよび70℃/75%RHで1週間、40℃/5%RHおよび40℃/75%RHで6週間貯蔵後、UPLC(超高速液体クロマトグラフィー)分析によって評価した。示したRRT(相対保持時間)値にある、負荷条件下で確認された不純物のピークの百分率を、周囲温度で貯蔵した対照試料に対して求めた。RRTは、不純物の保持時間(RT)を形態2のRTで割ることにより算出される。70℃/5%RHおよび70℃/75%RHでの1週間のデータを、それぞれ、表14および表15に提供する。
ストレス負荷試料(すなわち、70℃/75%RHおよび70℃/5%RHで1週間、または40℃/75%RHおよび40℃/5%RHで6週間)のいずれにおいても、対照試料と比較して、外観に顕著な変化は認められなかった。ストレス負荷試料において、0.2%より多く増加した個々の不純物はなく、総不純物は、2.0%を超えなかった。
粉末X線回折を使用して、対照およびストレス負荷試料の固体形態を評価した。PF-07220060一水和物(形態2)を70℃/75%RHで1週間または40℃/75%RHで6週間貯蔵しても、形態変化は検出されなかった。温度上昇および低湿度の条件下では、PF-07220060一水和物(形態2)の70℃/5%RHで1週間の貯蔵でわずかな無秩序が認められ、40℃/5%RHで6週間の貯蔵で無秩序が認められた。
PF-07220060一水和物(形態2)の固体状態光安定性を、医薬品規制調和国際会議(ICH)ガイドラインの2倍に等しい光曝露後に評価した。ホイルに包んだ暗所対照試料と比較して、2倍ICH光安定性試料に、外観の顕著な変化は認められなかった。2倍ICH光安定性試料において、0.2%より多く増加した個々の不純物はなく、総不純物は、2.0%を超えなかった。対照およびストレス負荷試料の粉末X線回折評価によって、2倍ICH条件での形態変化はなかったことが確認された。光安定性データを表16に提供する。
(実施例15)
PF-07220060一水和物(形態2)の水分収着
実施例2に記載したとおりに調製したPF-07220060一水和物(形態2)の水分収着および脱着研究を、一般法6に従って行った。データを表17に提供する。
(実施例16)
PF-07220060水和物(形態1)の水分収着
実施例5Bに記載したとおりに調製したPF-07220060水和物(形態1)の水分収着および脱着研究を、一般法6に従って行った。データを表18に提供する。
(実施例17)
比較吸湿性実験
一般法6に従う水分収着分析を使用して、比較吸湿性実験を実施した。データを表19に要約する。PF-07220060形態1、2、6、および8を、25℃、60%RHでの水分収着を使用して評価した。形態のいずれについても、PXRDによって、実施完了時の形態変化は検出されなかった。形態2および形態6は、形態8および重量増加が最も高度であった形態1に比べて、吸湿性の低減および有意に少ない重量増加を示した。
(実施例18)
競合スラリー実験
競合スラリー実験を、2-プロパノール/1%水中において、形態1と形態2(登録1)、ならびに形態6と形態2(登録2)で実施した。データを表20に要約する。
登録1:PF-07220060水和物(形態1)(64.3mg)、PF-07220060一水和物(形態2)(67.7mg)、2-プロパノール(0.990mL)、および水(0.010mL)を、室温で15時間撹拌した。真空濾過によって固体を収集し、PXRDによって分析した。PXRDデータは、PF-07220060一水和物(形態2)と一致した。
登録2:無水PF-07220060(形態6)(56.5mg)、PF-07220060一水和物(形態2)(59.4mg)、2-プロパノール(0.990mL)、および水(0.010mL)を、室温で15時間撹拌した。真空濾過によって固体を収集し、PXRDによって分析した。PXRDデータは、PF-07220060一水和物(形態2)と一致した。
競合的な2-プロパノール/1%水スラリーにおいて、形態1および形態6は、形態2へと変換した。競合スラリー実験を根拠として、形態2は、15%RHを上回っても熱力学的に安定していた。
(実施例19)
比較熱安定性実験
一般法4に従う熱重量分析(TGA)、および一般法5Aに従う示差走査熱量測定(DSC)スキャンによって、熱安定性データを取得した。データを表21に示す。形態6および形態2が、形態1および形態8に比べて、熱安定性の向上を示した。
前記事項には、本発明の基本的な態様から逸脱することなく、変更を加えてもよい。本発明について、1つまたは複数の特定の実施形態に関連してかなり詳細に述べてきたが、当業者なら、本出願において詳細に開示した実施形態には変化を添えることができ、そうした変更形態および改良形態も、本発明の範囲および真意の範囲内にあると認識されよう。