以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態が詳細に説明される。図面の説明において、同一又は同等の要素には同一符号が用いられ、重複する説明は省略される。図中には、必要に応じてXYZ直交座標系が示される。
図1は、本実施形態に係る蓄電モジュールを備える蓄電装置の一例を示す概略断面図である。図1に示される蓄電装置1は、例えばフォークリフト、ハイブリッド自動車、電気自動車等の各種車両のバッテリとして用いられる。蓄電装置1は、積層された複数の蓄電モジュール2を含むモジュール積層体4と、モジュール積層体4に対してモジュール積層体4の積層方向Dに拘束荷重を付加する拘束部材3とを備えている。
モジュール積層体4は、複数(ここでは4つ)の蓄電モジュール2と、複数(ここでは3つ)の導電板5とを含む。蓄電モジュール2は、バイポーラ電池であり、積層方向Dから見て矩形状をなしている。蓄電モジュール2は、例えばニッケル水素二次電池、リチウムイオン二次電池等の二次電池、又は電気二重層キャパシタである。以下の説明では、ニッケル水素二次電池を例示する。
積層方向Dに互いに隣り合う蓄電モジュール2同士は、導電板5を介して電気的に直列に接続されている。モジュール積層体4の積層方向Dの積層端には、蓄電モジュール2に電気的に接続された導電板Pと、絶縁板Fとが順に積層されている。一方の導電板Pには正極端子6が接続され、他方の導電板Pには負極端子7が接続されている。正極端子6及び負極端子7は、例えば導電板Pの縁部から積層方向Dに交差する方向に引き出されている。正極端子6及び負極端子7により、蓄電装置1の充放電が実施される。
蓄電モジュール2間に配置された導電板5の内部には、空気等の冷却用媒体を流通させる複数の流路5aが設けられている。流路5aは、例えば積層方向Dと、正極端子6及び負極端子7の引き出し方向とにそれぞれ交差(直交)する方向に沿って延在している。導電板5は、蓄電モジュール2同士を電気的に接続する接続部材としての機能を有している。また、導電板5は、これらの流路5aに冷却用媒体を流通させることにより、蓄電モジュール2で発生した熱を放熱する放熱板としての機能を併せ持っている。図1の例では、積層方向Dから見た導電板5の面積は、蓄電モジュール2の面積よりも小さくなっているが、放熱性の向上の観点から、導電板5の面積は、蓄電モジュール2の面積と同じであってもよく、蓄電モジュール2の面積よりも大きくなっていてもよい。
拘束部材3は、モジュール積層体4を積層方向Dに挟む一対のエンドプレート8と、エンドプレート8同士を締結する締結ボルト9及びナット10とによって構成されている。エンドプレート8は、積層方向Dから見た蓄電モジュール2、導電板5、及び導電板Pの面積よりも一回り大きい面積を有する矩形の金属板である。各エンドプレート8と導電板Pとの間には、電気絶縁性を有する絶縁板Fが設けられているため、この絶縁板Fにより、エンドプレート8と導電板Pとの間が絶縁されている。
エンドプレート8の縁部には、モジュール積層体4よりも外側となる位置に挿通孔8aが設けられている。締結ボルト9は、一方のエンドプレート8の挿通孔8aから他方のエンドプレート8の挿通孔8aに向かって通されている。他方のエンドプレート8の挿通孔8aから突出した締結ボルト9の先端部分には、ナット10が螺合されている。これにより、蓄電モジュール2、導電板5、及び導電板Pがエンドプレート8によって挟持され、モジュール積層体4としてユニット化されている。また、モジュール積層体4に対し、積層方向Dに拘束荷重が付加されている。
次に、蓄電モジュール2の構成について詳細に説明する。図2は、蓄電モジュールの内部構成を示す概略断面図である。図3は、蓄電モジュールの概略斜視図である。図2及び図3において、蓄電モジュール2は、積層方向Dにおいて複数のセル(例えば24セル)が積層された構造(複数セル構造)を有している。蓄電モジュール2は、モジュール本体11と、モジュール本体11に取り付けられた複数(ここでは4つ)の圧力調整弁12とを備える。モジュール本体11は、電極積層体15と、電極積層体15を取り囲むように配置された枠体16とを備える。電極積層体15は、セパレータ14を介して蓄電モジュール2の積層方向Dに沿って積層された複数の電極を備える。複数の電極は、複数のバイポーラ電極13と、負極終端電極21と、正極終端電極20とを含む。
バイポーラ電極13は、一方面17a及び一方面17aの反対側の他方面17bを含む電極板17と、一方面17aに設けられた正極活物質層18と、他方面17bに設けられた負極活物質層19とを有している。正極活物質層18は、正極活物質を含む正極スラリーが電極板17に塗工されることにより形成されている。正極活物質としては、例えば水酸化ニッケルが挙げられる。負極活物質層19は、負極活物質を含む負極スラリーが電極板17に塗工されることにより形成されている。負極活物質としては、例えば水素吸蔵合金が挙げられる。
本実施形態では、電極板17の他方面17bにおける負極活物質層19の形成領域は、電極板17の一方面17aにおける正極活物質層18の形成領域に対して一回り大きくなっている。電極積層体15において、1つのバイポーラ電極13の正極活物質層18は、セパレータ14を挟んで積層方向Dの一方に隣り合う別のバイポーラ電極13の負極活物質層19と対向している。電極積層体15において、1つのバイポーラ電極13の負極活物質層19は、セパレータ14を挟んで積層方向Dの他方に隣り合う別のバイポーラ電極13の正極活物質層18と対向している。
負極終端電極21は、電極板17と、電極板17の他方面17bに設けられた負極活物質層19とを有している。負極終端電極21は、他方面17bが電極積層体15における積層方向Dの中央側を向くように、積層方向Dの一端に配置されている。負極終端電極21の電極板17の一方面17aは、電極積層体15の積層方向Dにおける一方の外側面を構成し、蓄電モジュール2に隣接する一方の導電板5又は導電板P(図1参照)と電気的に接続されている。負極終端電極21の電極板17の他方面17bに設けられた負極活物質層19は、セパレータ14を介して、積層方向Dの一端のバイポーラ電極13の正極活物質層18と対向している。
正極終端電極20は、電極板17と、電極板17の一方面17aに設けられた正極活物質層18とを有している。正極終端電極20は、一方面17aが電極積層体15における積層方向Dの中央側を向くように、積層方向Dの他端に配置されている。正極終端電極20の電極板17の他方面17bは、電極積層体15の積層方向Dにおける他方の外側面を構成し、蓄電モジュール2に隣接する他方の導電板5又は導電板P(図1参照)と電気的に接続されている。正極終端電極20の一方面17aに設けられた正極活物質層18は、セパレータ14を介して、積層方向Dの他端のバイポーラ電極13の負極活物質層19と対向している。
電極板17は、水平方向に延在する板形状を有する導電体であり、可撓性を示す。このため水平方向は、電極板17の延在方向とも言える。電極板17は、例えばニッケル箔、メッキ処理が施された鋼板、またはメッキ処理が施されたステンレス鋼板である。鋼板としては、例えばJIS G 3141:2005にて規定される冷間圧延鋼板(SPCC等)が挙げられる。ステンレス鋼板としては、例えばJIS G 4305:2015にて規定されるSUS304等が挙げられる。電極板17の厚さは、例えば0.1μm以上1000μm以下である。なお、電極板17がニッケル箔である場合、当該ニッケル箔にメッキ処理が施されてもよい。電極板17の縁部17c(バイポーラ電極13の縁部)は、矩形枠状をなし、正極スラリー及び負極スラリーが塗工されない未塗工領域となっている。
セパレータ14は、例えばシート状に形成されている。セパレータ14としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系樹脂からなる多孔質フィルム、ポリプロピレン、メチルセルロース等からなる織布又は不織布等が例示される。セパレータ14は、フッ化ビニリデン樹脂化合物で補強されたものであってもよい。
枠体16は、例えば絶縁性の樹脂によって、全体として矩形の筒状に形成されている。枠体16は、電極板17の縁部17cを包囲するように電極積層体15の側面15aに設けられている。枠体16は、側面15aにおいて縁部17cを保持している。枠体16は、電極板17の縁部17cに結合された複数の第1封止部22と、積層方向Dに沿って側面15aに延び、第1封止部22のそれぞれに結合された第2封止部23とを有している。第1封止部22及び第2封止部23は、耐アルカリ性を有する絶縁性の樹脂によって構成されている。第1封止部22及び第2封止部23の構成材料としては、例えばポリプロピレン(PP)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、変性ポリフェニレンエーテル(変性PPE)などが挙げられる。
第1封止部22は、電極板17の一方面17aにおいて縁部17cの全周にわたって連続的に設けられ、積層方向Dから見て矩形枠状をなしている。本実施形態では、バイポーラ電極13の電極板17のみならず、負極終端電極21の電極板17及び正極終端電極20の電極板17に対しても第1封止部22が設けられている。負極終端電極21では、電極板17の一方面17aの縁部17cに第1封止部22が設けられ、正極終端電極20では、電極板17の一方面17a及び他方面17bの双方の縁部17cに第1封止部22が設けられている。
第1封止部22は、電極板17の縁部17cに重ねられ、重なり部分Kが形成されている。重なり部分Kにおいて、第1封止部22は、例えば超音波又は熱圧着によって電極板17に気密に溶着されている。第1封止部22は、例えば積層方向Dに所定の厚さを有するフィルムを用いて形成されている。第1封止部22の内側は、積層方向Dに互いに隣り合う電極板17の縁部17c同士の間に位置している。第1封止部22の外側は、電極板17の縁よりも外側に張り出しており、その先端部分は、第2封止部23によって保持されている。積層方向Dに沿って互いに隣り合う第1封止部22同士は、互いに離間していてもよく、接していてもよい。また、第1封止部22の外縁部分同士は、例えば熱板溶着などによって互いに結合していてもよい。
電極積層体15において、積層方向Dについて内層に位置する第1封止部22の内縁側には、セパレータ14の縁部を載置するための段部22sが設けられている。段部22sは、第1封止部22を構成するフィルムの外縁部分を内側に折り返すことによって形成されていてもよい。段部22sは、下段を構成するフィルムに上段を構成するフィルムを重ね合わせることによって形成されていてもよい。
第2封止部23は、電極積層体15及び第1封止部22の外側に設けられ、蓄電モジュール2の外壁(筐体)を構成している。第2封止部23は、例えば樹脂の射出成型によって形成され、積層方向Dに沿って電極積層体15の全長にわたって延在している。第2封止部23は、積層方向Dを軸方向として延在する矩形の枠状である。第2封止部23は、例えば射出成型時の熱によって第1封止部22の外縁部分に溶着されている。
第2封止部23は、積層方向Dにおける両端部にオーバーハング部23aをそれぞれ有している。一方のオーバーハング部23aは、積層方向Dの一端部において第1封止部22の内縁側に張り出し、負極終端電極21を構成する電極板17の一方面17aに溶着された第1封止部22に結合している。他方のオーバーハング部23aは、積層方向Dの他端部において第1封止部22の内縁側に張り出し、正極終端電極20を構成する電極板17の他方面17bに溶着された第1封止部22に結合している。一方及び他方のオーバーハング部23aの張り出し長さは、互いに等しくなっており、これらのオーバーハング部23aの先端24aは、積層方向Dから見て電極板17と第1封止部22との重なり部分Kに重なるように位置している。
第1封止部22及び第2封止部23は、隣り合う電極の間に内部空間Vを形成すると共に、内部空間Vを封止する。より具体的には、第2封止部23は、第1封止部22と共に、積層方向Dに沿って互いに隣り合うバイポーラ電極13の間、積層方向Dに沿って互いに隣り合う負極終端電極21とバイポーラ電極13との間、及び積層方向Dに沿って互いに隣り合う正極終端電極20とバイポーラ電極13との間をそれぞれ封止している。これにより、隣り合うバイポーラ電極13の間、負極終端電極21とバイポーラ電極13との間、及び正極終端電極20とバイポーラ電極13との間には、それぞれ気密に仕切られた内部空間Vが形成されている。本実施形態では、電極板17の一方面17aと、当該電極板17と隣り合う一の電極板17の他方面17bと、第1封止部22とによって囲われた空間が内部空間Vとなっている。この内部空間Vには、電解液が収容される。電解液は、例えば水酸化カリウム水溶液等のアルカリ溶液を含む水系の電解液である。電解液は、セパレータ14、正極活物質層18、及び負極活物質層19内に含浸されている。
内部空間Vは、積層方向Dに順に配列された複数(ここでは24個)の内部空間V1~V24を含む。内部空間V1は、積層方向Dに沿って互いに隣り合う負極終端電極21とバイポーラ電極13との間に形成される。内部空間V2~V23のそれぞれは、隣り合うバイポーラ電極13の間に形成される。内部空間V24は、積層方向Dに沿って互いに隣り合う正極終端電極20とバイポーラ電極13との間に形成される。電極積層体15は、積層方向Dにおいて、一端E1と、中心Mと、他端E2とを有する。一端E1は、積層方向Dにおいて、負極終端電極21における電極板17の一方面17aに位置する。他端E2は、積層方向Dにおいて、正極終端電極20における電極板17の他方面17bに位置する。中心Mは、積層方向Dにおいて、一端E1と他端E2との中点に位置する。図2の蓄電モジュール2では、電極の数が奇数であるため、中心Mは、積層方向Dにおける電極板17の中心と一致する。電極の数が偶数の場合、中心Mは、積層方向Dにおいて隣り合う電極板17間の中心と一致する。図2の蓄電モジュール2では、内部空間V1~V24のうち内部空間V12及びV13が、積層方向Dにおいて中心Mに最も近い。内部空間V1及びV24は、積層方向Dにおいて最も外側に位置する。
次に、図3~図9を参照して、圧力調整弁12の構成について詳細に説明する。図4は、蓄電モジュールの一部を示す分解斜視図(一部断面図を含む)である。図5は、圧力調整弁の底面図である。図6は、圧力調整弁の分解斜視図である。図7は、ケースの平面図である。図8は、図6のVIII-VIII線に沿った圧力調整弁の断面図である。図9は、図6のIX-IX線に沿った圧力調整弁の断面図である。
図3及び図4に示されるように、枠体16を構成する1つの壁部16aには、圧力調整弁12を取り付けるための複数(ここでは4つ)の取付領域24が設けられている。各取付領域24において、枠体16は、内部空間V(図2参照)に連通された連通孔16bを有する。各取付領域24には、複数(ここでは6つ)の連通孔16bが設けられている。連通孔16bは、各取付領域24において3列2段(Y軸方向に3列、Z軸方向に2段)に配列されている。したがって、連通孔16bは、壁部16aにおいて12列2段に配列されている。各連通孔16bは、異なるセルの内部空間Vとそれぞれ連通されている。
具体的には、各取付領域24には、複数(ここでは2つ)の連通孔16b1(第1連通孔)と、複数(ここでは2つ)の連通孔16b2(第2連通孔)と、複数(ここでは2つ)の連通孔16b3とが設けられている(図4参照)。各連通孔16b1は、積層方向Dの外側から1~4番目(第1群)の内部空間V1~V4,V21~V24(第1内部空間)のうちのいずれか1つに連通されている。各連通孔16b2は、積層方向Dの外側から5~8番目(第2群)の内部空間V5~V8,V17~V20(第2内部空間)のうちのいずれか1つに連通されている。各連通孔16b3は、積層方向Dの外側から9~12番目(第3群)の内部空間V9~V16のうちのいずれか1つに連通されている。第2群の内部空間V5~V8,V17~V20は、積層方向Dにおいて第1群の内部空間V1~V4,V21~V24よりも中心Mの近くに位置している。第3群の内部空間V9~V16は、積層方向Dにおいて第2群の内部空間V5~V8,V17~V20よりも中心Mの近くに位置している。
各連通孔16bは、第1封止部22に設けられた連通孔25と、第2封止部23に設けられた連通孔26とを含む。連通孔16bは、内部空間Vに電解液を注入するための注液孔として機能する。また、連通孔16bは、電解液が注入された後は、内部空間Vで発生したガス(例えば水素ガス)が流れる流路となる。
各取付領域24において、第2封止部23は、略枠状の突起27を有している。突起27は、モジュール本体11と圧力調整弁12とを熱溶着により接合すると共に、各内部空間Vからのガスがそれぞれ流れる複数(ここでは6つ)の流路28を形成する。流路28は、連通孔26の一部である。流路28は、X軸方向に垂直な面に沿った断面において矩形状を有している。突起27は、X軸方向から見て、格子状に形成されている。
図4~図6に示されるように、各圧力調整弁12は、ケース29と、複数(ここでは6つ)の弁体30(弾性部材)と、カバー31とを有している。ケース29は、例えばPP、PPSまたは変性PPE等の樹脂で形成されている。ケース29は、ケース29とカバー31とが対向する対向方向(X軸方向)から見て略矩形状に形成されている。対向方向は、モジュール本体11(壁部16a)に対する圧力調整弁12の取付方向でもある。
ケース29は、底壁部32を有している。底壁部32は、モジュール本体11の複数の連通孔16bとそれぞれ連通された複数(ここでは6つ)の連通孔32hを有している。連通孔32hは、孔部33及び孔部35を有する。孔部33は、X軸方向において弁体30と孔部35との間に配置される。孔部35は、X軸方向において連通孔16bと孔部33との間に配置される。
複数の連通孔32hは、複数(ここでは2つ)の連通孔32h1(第3連通孔)と、複数(ここでは2つ)の連通孔32h2(第4連通孔)と、複数(ここでは2つ)の連通孔32h3とを含む。各連通孔32h1は連通孔16b1に連通される。各連通孔32h2は連通孔16b2に連通される。各連通孔32h3は連通孔16b3に連通される。
孔部33は、X軸方向に垂直な面(YZ平面)に沿った断面で円形状を有している(図5参照)。孔部33は、底壁部32を貫通している。底壁部32は、複数の孔部33の第1端33aが開口した外壁面32aと、複数の孔部33の第2端33bが開口した内壁面32bと、を有している(図8参照)。外壁面32aは、モジュール本体11と対向している。内壁面32bは、外壁面32aとは反対側に位置し、後述する弁体30の第1端面30a(シール面)と対向している。
孔部35は、底壁部32に設けられた突起34によって形成される。突起34は、モジュール本体11に向かって外壁面32aから突出している。突起34は、略枠状を有し、孔部33の第1端33aを囲むように外壁面32aに設けられている。突起34は、モジュール本体11と圧力調整弁12とを熱溶着により接合すると共に、複数の内部空間Vからのガスがそれぞれ流れる複数(ここでは6つ)の流路を形成する。突起34は、モジュール本体11の突起27と熱溶着により接合されている。突起34は、突起27に対応する形状及び寸法を有している。
ケース29は、それぞれ底壁部32からカバー31に向かって突出した側壁部36及び隔壁部37を有している。本実施形態では、側壁部36及び隔壁部37は、底壁部32と一体的に形成されている。側壁部36は、複数(ここでは6つ)の弁体30を包囲するように、底壁部32の縁部に立設されている。
隔壁部37は、各弁体30の側面30cを覆うように底壁部32に立設されている。すなわち、隔壁部37は、各弁体30が収容される円柱状の収容空間S1を形成している。本実施形態では、隔壁部37と側壁部36の一部とが弁体30の側面30cを包囲することによって、収容空間S1が形成されている。また、本実施形態では、一の弁体30を収容する隔壁部37と当該一の弁体30に隣接する位置に配置された他の弁体30を収容する隔壁部37とは、一体的に形成されている。このように、互いに異なる弁体30を収容する隔壁部37同士は、共有する部分を有していてもよい。
本実施形態では、底壁部32の内壁面32bを基準として、側壁部36のカバー31側の端部36aは、隔壁部37のカバー31側の端部37aよりも高い位置にある。したがって、ケース29にカバー31が取り付けられた状態において、カバー31が側壁部36の端部36aに接する一方で、カバー31と隔壁部37の端部37aとは互いに離間している。すなわち、カバー31と隔壁部37の端部37aとの間には空間S2が形成されている。当該空間S2は、内部空間Vから圧力調整弁12の内部に流入したガスの流路として機能する。
弁体30は、連通孔32hを塞ぐように、収容空間S1に収容されている。弁体30は、例えば円柱状のゴム部材である。ゴム部材は、例えば、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)等のゴムを含む。弁体30の全質量を基準としてゴムの組成比は例えば90質量%以上である。弁体30は、例えば熱可塑性エラストマー等からなる樹脂部材であってもよい。
弁体30は、連通孔32hを塞ぐ第1端面30aと、第1端面30aとは反対側に位置する第2端面30bと、第1端面30a及び第2端面30bを接続する側面30cとを有している。第1端面30aは、底壁部32と対向している。第2端面30bは、カバー31と対向し、カバー31によって押圧される被押圧面である。第1端面30aが底壁部32に対して押し付けられた状態で配置されることで、弁体30は連通孔32hを塞いでいる。弁体30は、内部空間Vの圧力に応じて、連通孔32hを開閉させる。弁体30の側面30cと隔壁部37の内壁面又は側壁部36の内壁面との間には、隙間Gが設けられている。
複数の弁体30は、複数(ここでは2つ)の弁体30r1(第1弾性部材)と、複数(ここでは2つ)の弁体30r2(第2弾性部材)と、複数(ここでは2つ)の弁体30r3とを含む。各弁体30r1は、連通孔32h1を塞ぐ。各弁体30r2は、連通孔32h2を塞ぐ。各弁体30r3は、連通孔32h3を塞ぐ。
本実施形態では、単位時間に各連通孔32hを透過するガスのガス透過量は互いに同じである。換言すれば、全ての連通孔32hの内面の面積は互いに同じである。一方、単位時間に弁体30r1、弁体30r2及び弁体30r3を透過するガスのガス透過量は、互いに異なる。例えば、弁体30r1を透過するガスのガス透過量は、単位時間に弁体30r2を透過するガスのガス透過量よりも小さい。単位時間に弁体30r2を透過するガスのガス透過量は、単位時間に弁体30r3を透過するガスのガス透過量よりも小さい。すなわち、弁体30r1、弁体30r2、弁体30r3の順でガス透過量が大きくなる。
本実施形態では、弁体30r1、弁体30r2及び弁体30r3の形状は互いに同じであるが、弁体30r1、弁体30r2及び弁体30r3の材料は互いに異なる。弁体30r1は、第1ガス透過度を有する第1材料を含む。弁体30r2は、第1ガス透過度よりも大きい第2ガス透過度を有する第2材料を含む。弁体30r3は、第2ガス透過度よりも大きい第3ガス透過度を有する第3材料を含む。第2ガス透過度及び第3ガス透過度は、例えば、常温(25℃)において水素ガスに対して1×10-12~2×10-11[mol/(m2・s・Pa)]である。ガス透過度は、JIS K 6275-1における圧力センサ法に従って測定される。本実施形態では、第1材料はブチルゴムであり、第2材料はエチレンプロピレンゴムであり、第3材料はシリコーンゴムである。
弁体30r1、弁体30r2及び弁体30r3の材料は、ゴムと、添加剤とを含む。弁体30r1、弁体30r2及び弁体30r3の全質量を基準としてゴムの組成比は例えば90質量%以上である。添加剤の添加量を調整することによって、ゴム部材を構成する材料のガス透過度を調整することができる。
図6及び図7に示されるように、隔壁部37の内壁面には、弁体30を位置決めするための突出部38が形成されている。突出部38は、隔壁部37の内壁面から内周側へ突出している。突出部38は、弁体30の中心位置が孔部33の中心軸線からずれて配置された場合に、弁体30の側面30cと接触するように形成されている。このような突出部38により、弁体30の位置ずれを一定の範囲内に抑えることができる。本実施形態では、複数(ここでは6つ)の突出部38が、孔部33の中心軸線回りに等ピッチで形成されている。
図7~図9に示されるように、底壁部32は、内壁面32bに形成されたシール部39を含んでいる。シール部39は、内壁面32bからカバー31側に突出し、弁体30に押し付けられる。シール部39は、当該シール部39に対して押し付けられた弁体30の第1端面30aと接触することで、孔部33と隙間Gとの間を開閉可能に封止している。シール部39は、内壁面32bに開口した孔部33の第2端33bを囲むように形成されている。シール部39は、第2端33bの縁部に沿って、孔部33の中心軸線を中心とする円環状に形成されている。シール部39は、孔部33の全周を隙間無く囲むように形成されている。これにより、シール部39は、弁体30の第1端面30aと隙間無く接触しており、気密性が確保されている。
カバー31は、ケース29の開口を塞ぐ部材である。カバー31は、例えばPP、PPSまたは変性PPE等の樹脂で形成されている。カバー31は、ケース29の開口端面に溶着により接合されている。カバー31は、複数の弁体30をケース29の底壁部32に押し付ける押圧部材としても機能する。カバー31は、弁体30をケースの底壁部32に押し付けた状態を維持しつつ、ケース29の開口端面に接合されている。具体的には、カバー31の内面31aの縁部は、側壁部36の端部36aに例えば超音波溶着によって接合されている。
図6に示されるように、カバー31には、圧力調整弁12の内部のガスを圧力調整弁12の外部に排気するための排気口41が設けられている。本実施形態では一例として、矩形板状を有するカバー31の一対の対角部のそれぞれに、X軸方向に延びる断面円形状の排気口41が設けられている。排気口41は、対向方向から見て弁体30と重ならないように配置されている。なお、排気口41が設けられる位置及び形状、並びに排気口41の個数は、この例に限られない。
続いて、圧力調整弁12の動作について説明する。圧力調整弁12において、ケース29の各連通孔32hは、枠体16の各連通孔16bを介してモジュール本体11の各内部空間Vと連通されている。内部空間Vの圧力が設定圧よりも低いときは、連通孔32hが弁体30によって塞がれた閉弁状態に維持される。内部空間Vの圧力が上昇して設定圧以上になると、弁体30が底壁部32から離間するように弾性変形し、連通孔32hの閉塞が解除された開弁状態となる。その結果、内部空間Vからのガスは、弁体30の側面30cと隔壁部37の内壁面との隙間G(収容空間S1)を介して、排気口41から圧力調整弁12の外部へと排出される。
蓄電モジュール2では、圧力調整弁12が閉じた状態で、内部空間Vにおいて発生したガス(例えば水素ガス)の一部が、モジュール本体11及び圧力調整弁12を透過して蓄電モジュール2の外部空間に漏れ出る場合がある。この場合、例えば第1群の内部空間V1~V4,V21~V24において発生したガスの一部は、連通孔32h1の内面及び弁体30r1を透過して蓄電モジュール2の外部空間に漏れ出る。また、第1群の内部空間V1~V4,V21~V24において発生したガスの一部は、積層方向Dにおいて枠体16を透過して蓄電モジュール2の外部空間に漏れ出る。第2群の内部空間V5~V8,V17~V20において発生したガスの一部は、連通孔32h2の内面及び弁体30r2を透過して蓄電モジュール2の外部空間に漏れ出る。また、第2群の内部空間V5~V8,V17~V20において発生したガスの一部は、積層方向Dにおいて枠体16を透過して蓄電モジュール2の外部空間に漏れ出る。第3群の内部空間V9~V16において発生したガスの一部は、連通孔32h3の内面及び弁体30r3を透過して蓄電モジュール2の外部空間に漏れ出る。また、第3群の内部空間V9~V16において発生したガスの一部は、積層方向Dにおいて枠体16を透過して蓄電モジュール2の外部空間に漏れ出る。
本実施形態では、連通孔32h1の内面及び弁体30r1を単位時間に透過するガスのガス透過量が、連通孔32h2の内面及び弁体30r2を単位時間に透過するガスのガス透過量よりも小さい。一方、第1群の内部空間V1~V4,V21~V24において発生したガスのうち積層方向Dにおいて枠体16を透過するガスのガス透過量は、第2群の内部空間V5~V8,V17~V20において発生したガスのうち積層方向Dにおいて枠体16を透過するガスのガス透過量よりも大きい。さらに、連通孔32h2の内面及び弁体30r2を単位時間に透過するガスのガス透過量が、連通孔32h3の内面及び弁体30r3を単位時間に透過するガスのガス透過量よりも小さい。一方、第2群の内部空間V5~V8,V17~V20において発生したガスのうち積層方向Dにおいて枠体16を透過するガスのガス透過量は、第3群の内部空間V9~V16において発生したガスのうち積層方向Dにおいて枠体16を透過するガスのガス透過量よりも大きい。よって、圧力調整弁12が閉じた状態で、第1群の内部空間V1~V4,V21~V24から蓄電モジュール2の外部空間に漏れ出るガス透過量と、第2群の内部空間V5~V8,V17~V20から蓄電モジュール2の外部空間に漏れ出るガス透過量との差を小さくできる。同様に、第2群の内部空間V5~V8,V17~V20から蓄電モジュール2の外部空間に漏れ出るガス透過量と、第3群の内部空間V9~V16から蓄電モジュール2の外部空間に漏れ出るガス透過量との差を小さくできる。したがって、蓄電モジュール2によれば、圧力調整弁12が閉じた状態で各内部空間Vから蓄電モジュール2の外部空間に漏れ出るガス透過量のバラツキを低減できる。その結果、各内部空間Vに閉じ込められるガスの量のバラツキも小さくなる。
例えばニッケル水素二次電池では、電池の劣化により電解液が分解して水素ガスが発生することがある。その場合、予め負極活物質層19の容量(単位:Ah)を正極活物質層18の容量よりも大きくしておくことによって、負極活物質層19の一部の活物質を、水素ガスを受け止める充電リザーブとして機能させることができる。各内部空間Vに閉じ込められるガスの量のバラツキが小さいと、各内部空間Vに対応するセルにおいて充電リザーブとして機能する負極活物質層19の容量のバラツキも小さくなる。その結果、各セルの容量のバラツキも小さくなる。
蓄電モジュール2では、単位時間に弁体30r1を透過するガスのガス透過量が、単位時間に弁体30r2を透過するガスのガス透過量よりも小さい。さらに、単位時間に弁体30r2を透過するガスのガス透過量が、単位時間に弁体30r3を透過するガスのガス透過量よりも小さい。よって、単位時間に各連通孔32hの内面を透過するガスのガス透過量が互いに同じであったとしても、単位時間に連通孔32h1の内面及び弁体30r1を透過するガスのガス透過量を、単位時間に連通孔32h2の内面及び弁体30r2を透過するガスのガス透過量よりも小さくできる。同様に、単位時間に連通孔32h2の内面及び弁体30r2を透過するガスのガス透過量を、単位時間に連通孔32h3の内面及び弁体30r3を透過するガスのガス透過量よりも小さくできる。
上記実施形態において、弁体30r2は弁体30r1よりも高いガス透過度を有する材料を含むので、弁体30r1に比べて弁体30r2のガス透過量を大きくできる。さらに、弁体30r3は弁体30r2よりも高いガス透過度を有する材料を含むので、弁体30r2に比べて弁体30r3のガス透過量を大きくできる。
図10は、第1変形例に係る圧力調整弁の断面図である。図10に示されるように、第1変形例に係る圧力調整弁112は、弁体30r2,30r3として弁体30ではなく弁体130を備えること以外は圧力調整弁12と同じ構成を備える。圧力調整弁112の弁体30r1は、圧力調整弁12の弁体30r1と同じである。
弁体130は、連通孔32h2,32h3にそれぞれ対向した凹部130dが第1端面30aに形成されていること以外は弁体30と同じ構成を備える。凹部130d内の空間は、連通孔32h2,32h3とそれぞれ空間的に繋がる。弁体30r3における凹部130dの内面の面積は、弁体30r2における凹部130dの内面の面積よりも大きくなっている。例えば、弁体30r3における凹部130dの深さは、弁体30r2における凹部130dの深さよりも大きくなっている。
弁体130の軸方向における凹部130dの深さは、例えば弁体130の軸方向の長さの1/4以上である。凹部130dの開口面は例えば円形であり、連通孔32h2,32h3の開口端(第2端33b)の内側に位置する。凹部130dの内面は、柱状の弁体130の軸方向に延在する円筒形状を有する。凹部130dの底面は例えば半球形状を有している。凹部130dの開口面の大きさは非常に小さくてもよいし、当該開口面の形状は例えば矩形状であってもよい。すなわち、凹部130dは、切り欠き、スリット又はピンホールであってもよい。また、複数の凹部130dが第1端面30aに形成されてもよい。
本変形例では、圧力調整弁12が閉じた状態で、第2群の内部空間V5~V8,V17~V20及び第3群の内部空間V9~V16において発生したガスの一部が、弁体130の第1端面30aに形成された凹部130dから弁体130を透過して蓄電モジュール2の外部空間に漏れ出る。第1端面30aには凹部130dが形成されているので、凹部130dが形成されていない弁体30に比べて、ガスが入射する領域の面積は大きくなる。そのため、弁体130のガス透過量を大きくできる。
図11は、第2変形例に係る圧力調整弁の断面図である。図11に示されるように、第2変形例に係る圧力調整弁212は、弁体30r2,30r3として弁体30ではなく弁体230を備えること以外は圧力調整弁12と同じ構成を備える。圧力調整弁212の弁体30r1は、圧力調整弁12の弁体30r1と同じである。
弁体230は、圧力調整弁12の凹部230dが側面30c(外側面)に形成されていること以外は弁体30と同じ構成を備える。凹部230d内の空間は、弁体230の側面30cと隔壁部37の内壁面との隙間G(収容空間S1)及び、排気口41を介して、圧力調整弁212の外部空間と空間的に繋がっている。弁体30r3における凹部230dの内面の面積(合計面積)は、弁体30r2における凹部230dの内面の面積(合計面積)よりも大きくなっている。例えば、弁体30r3における凹部230dの数は、弁体30r2における凹部230dの数よりも多くなっている。
凹部230dは、柱状の弁体230の軸の周りに全周又は一部にわたって形成されている。弁体230の軸を含む断面において、凹部230dの底面は例えば半球形状を有している。凹部230dの開口面の大きさは非常に小さくてもよいし、当該開口面の形状は例えば円形状であってもよいし、矩形状であってもよい。すなわち、凹部230dは、切り欠き、スリット又はピンホールであってもよい。この場合、凹部230dが存在していても、第1端面30aの全体にわたって面圧を所望の範囲内に制御し易い。凹部230d内には粉末が収容されてもよい。この場合、弁体230が圧縮されることによって凹部230dが潰れても、粉末によって凹部230dが消失することが防止される。そのため、ガスが粉末間の空隙を通ることができる。粉末としては、例えばセラミック多孔体を用いることができるが、他にも電気的な短絡の要因とならない絶縁物の粒子であれば用いることができる。凹部230dは、深さ方向(弁体230の軸に交差する方向)において弁体230を貫通してもよい。例えば、弁体230は、積層された複数の円盤状部材からなる。また、単一の凹部230dが側面30cに形成されてもよい。
本変形例では、圧力調整弁12が閉じた状態で、第2群の内部空間V5~V8,V17~V20第3群の内部空間V9~V16において発生したガスの一部が、第1端面30aから弁体230を透過して、側面30cの凹部230dから蓄電モジュール2の外部空間に漏れ出る。側面30cには凹部230dが形成されているので、凹部230dが形成されていない場合に比べて、ガスが放出される領域の面積は大きくなる。そのため、弁体230のガス透過量を大きくできる。
図12は、第3変形例に係る圧力調整弁の断面図である。図12に示されるように、第3変形例に係る圧力調整弁312は、弁体30r2,30r3として弁体30ではなく弁体330を備えること以外は圧力調整弁12と同じ構成を備える。圧力調整弁312の弁体30r1は、圧力調整弁12の弁体30r1と同じである。
弁体330は、第1部分330aと第2部分330bとを有する。第1部分330aと第2部分330bとは互いに別体である。第1部分330aは、連通孔32h2,32h3を塞ぐ第1端面30aを有する。第1部分330aは、第1端面30aに直交する軸を有する柱状部材(例えば円柱状部材)である。第2部分330bは、カバー31によって押圧される第2端面30bを有する。第2部分330bは、第2端面30bに直交する軸を有する柱状部材(例えば円柱状部材)である。
第1部分330aは第1ガス透過度を有する第1材料を含む。第1材料は、例えば圧力調整弁12の弁体30r1の材料と同じであり、高い耐アルカリ性を有し、高いシール性を有する。弁体30r2としての弁体330の第2部分330bは、第1ガス透過度よりも大きい第2ガス透過度を有する第2材料を含む。第2材料は、例えば圧力調整弁12の弁体30r2の材料と同じであり、高いガス透過度を有する。弁体30r3としての弁体330の第2部分330bは、第2ガス透過度よりも大きい第3ガス透過度を有する第3材料を含む。第3材料は、例えば圧力調整弁12の弁体30r3の材料と同じであり、更に高いガス透過度を有する。
弁体330は、複数の第1部分330aと複数の第2部分330bとを備え、柱状の弁体330の軸方向に沿って第1部分330aと第2部分330bとが交互に配列されてもよい。
本変形例では、圧力調整弁12が閉じた状態で、第2群の内部空間V5~V8,V17~V20及び第3群の内部空間V9~V16において発生したガスの一部が、弁体330を透過して蓄電モジュール2の外部空間に漏れ出る。弁体30r2としての弁体330の第2部分330bは高いガス透過度を有する第2材料を含むので、弁体330のガス透過量を大きくできる。弁体30r3としての弁体330の第2部分330bは更に高いガス透過度を有する第3材料を含むので、弁体330のガス透過量を更に大きくできる。
図13は、第4変形例に係る圧力調整弁の断面図である。図13に示されるように、第4変形例に係る圧力調整弁412は、弁体30r1,30r2として弁体30ではなく弁体430を備えること以外は圧力調整弁12と同じ構成を備える。圧力調整弁412の弁体30r3は、圧力調整弁12の弁体30r1と同じである。
弁体430は、第1部分430aと第2部分430bとを有する。第1部分430aと第2部分430bとは互いに別体である。第1部分430aは、連通孔32h1,32h2を塞ぐ第1端面30aを有する。第1部分430aは、第1端面30aに直交する軸を有する柱状部材(例えば円柱状部材)である。第2部分430bは、カバー31によって押圧される第2端面30bを有する。第2部分430bは、第2端面30bに直交する軸を有する柱状部材(例えば円柱状部材)である。
第1部分430aは第1ガス透過度を有する第1材料を含む。第1材料は、例えば圧力調整弁12の弁体30r1の材料と同じであり、高い耐アルカリ性を有し、高いシール性を有する。弁体30r2としての弁体430の第2部分430bは、第1ガス透過度よりも小さい第4ガス透過度を有する第4材料を含む。弁体30r1としての弁体430の第2部分430bは、第4ガス透過度よりも小さい第5ガス透過度を有する第5材料を含む。
弁体430は、複数の第1部分430aと複数の第2部分430bとを備え、柱状の弁体430の軸方向に沿って第1部分430aと第2部分430bとが交互に配列されてもよい。
本変形例では、圧力調整弁12が閉じた状態で、第1群の内部空間V1~V4,V21~V24及び第2群の内部空間V5~V8,V17~V20において発生したガスの一部が、弁体430を透過して蓄電モジュール2の外部空間に漏れ出る。弁体30r2としての弁体430の第2部分430bは低いガス透過度を有する第4材料を含むので、弁体430のガス透過量を小さくできる。弁体30r1としての弁体430の第2部分430bは更に低いガス透過度を有する第5材料を含むので、弁体430のガス透過量を更に小さくできる。
図14は、第5変形例に係る圧力調整弁の断面図である。図14に示されるように、第5変形例に係る圧力調整弁512は、弁体30r1,30r2として弁体30ではなく弁体530を備えること以外は圧力調整弁12と同じ構成を備える。圧力調整弁512の弁体30r3は、圧力調整弁12の弁体30r1と同じである。
弁体530は、本体部530aと、本体部530aに設けられた凸部530bとを有する。本体部530aは、圧力調整弁12の弁体30r1と同じ構成を備える。凸部530bは、第1端面30aに設けられ、連通孔32h1,32h2内に突出する。凸部530bは、第1端面30aに直交する軸を有する柱状部材(例えば円柱状部材)である。弁体30r1における凸部530bの体積は、弁体30r2における凸部530bの体積よりも大きくなっている。例えば、弁体30r1における凸部530bの高さは、弁体30r2における凸部530bの高さよりも高くなっている。
本変形例では、圧力調整弁12が閉じた状態で、第1群の内部空間V1~V4,V21~V24及び第2群の内部空間V5~V8,V17~V20において発生したガスの一部が、弁体530を透過して蓄電モジュール2の外部空間に漏れ出る。連通孔32h1,32h2内には凸部530bが形成されているので、凸部530bが形成されていない場合に比べて、弁体530のガス透過量を小さくできる。
図15は、第6変形例に係る圧力調整弁の底面図である。図15に示されるように、第6変形例に係る圧力調整弁612は、複数の弁体30が互いに同じ構成を備える一方、複数の孔部33に代えて複数の孔部33h1,33h2,33h3を備えること以外は圧力調整弁12と同じ構成を備える。
圧力調整弁612は、複数(ここでは2つ)の孔部33h1(第1孔部)と、複数(ここでは2つ)の孔部33h2(第3孔部)と、複数(ここでは2つ)の孔部33h3とを備える。孔部33h1の内面の面積は、孔部33h2の内面の面積よりも小さい。孔部33h2の内面の面積は、孔部33h3の内面の面積よりも小さい。例えば、孔部33h1の径は、孔部33h2の径よりも小さい。孔部33h2の径は、孔部33h3の径よりも小さい。一方、複数の孔部35の内面の面積は互いに同じである。よって、連通孔32h1の内面の面積は、連通孔32h2の内面の面積よりも小さい。連通孔32h2の内面の面積は、連通孔32h3の内面の面積よりも小さい。
本変形例では、圧力調整弁12が閉じた状態で、第1群の内部空間V1~V4,V21~V24において発生したガスの一部が、孔部35の内面及び孔部33h1の内面を透過して蓄電モジュール2の外部空間に漏れ出る。第2群の内部空間V5~V8,V17~V20において発生したガスの一部は、孔部35の内面及び孔部33h2の内面を透過して蓄電モジュール2の外部空間に漏れ出る。第3群の内部空間V9~V16において発生したガスの一部は、孔部35の内面及び孔部33h3の内面を透過して蓄電モジュール2の外部空間に漏れ出る。
本変形例では、単位時間に孔部33h1の内面を透過するガスのガス透過量は、単位時間に孔部33h2の内面を透過するガスのガス透過量よりも小さくなる。よって、単位時間に連通孔32h1の内面を透過するガスのガス透過量は、単位時間に連通孔32h2の内面を透過するガスのガス透過量よりも小さくなる。同様に、単位時間に孔部33h2の内面を透過するガスのガス透過量は、単位時間に孔部33h3の内面を透過するガスのガス透過量よりも小さくなる。よって、単位時間に連通孔32h2の内面を透過するガスのガス透過量は、単位時間に連通孔32h3の内面を透過するガスのガス透過量よりも小さくなる。したがって、単位時間に弁体30を透過するガスのガス透過量が同じであったとしても、圧力調整弁12が閉じた状態で各内部空間Vから蓄電モジュール2の外部空間に漏れ出るガス透過量のバラツキを低減できる。
図16は、第7変形例に係る圧力調整弁の底面図である。図16に示されるように、第7変形例に係る圧力調整弁712は、複数の弁体30が互いに同じ構成を備える一方、複数の孔部35に代えて複数の孔部35h1,35h2,35h3を備えること以外は圧力調整弁12と同じ構成を備える。
圧力調整弁712は、複数(ここでは2つ)の孔部35h1(第2孔部)と、複数(ここでは2つ)の孔部35h2(第4孔部)と、複数(ここでは2つ)の孔部35h3とを備える。孔部35h1の内面の面積は、孔部35h2の内面の面積よりも小さい。孔部35h2の内面の面積は、孔部35h3の内面の面積よりも小さい。例えば、孔部35h1の径(対角線)は、孔部35h2の径(対角線)よりも小さい。孔部35h2の径(対角線)は、孔部35h3の径(対角線)よりも小さい。一方、複数の孔部33の内面の面積は互いに同じである。よって、連通孔32h1の内面の面積は、連通孔32h2の内面の面積よりも小さい。連通孔32h2の内面の面積は、連通孔32h3の内面の面積よりも小さい。
本変形例では、圧力調整弁12が閉じた状態で、第1群の内部空間V1~V4,V21~V24において発生したガスの一部が、孔部35h1の内面及び孔部33の内面を透過して蓄電モジュール2の外部空間に漏れ出る。第2群の内部空間V5~V8,V17~V20において発生したガスの一部は、孔部35h2の内面及び孔部33の内面を透過して蓄電モジュール2の外部空間に漏れ出る。第3群の内部空間V9~V16において発生したガスの一部は、孔部35h3の内面及び孔部33の内面を透過して蓄電モジュール2の外部空間に漏れ出る。
本変形例では、単位時間に孔部35h1の内面を透過するガスのガス透過量は、単位時間に孔部35h2の内面を透過するガスのガス透過量よりも小さくなる。よって、単位時間に連通孔32h1の内面を透過するガスのガス透過量は、単位時間に連通孔32h2の内面を透過するガスのガス透過量よりも小さくなる。同様に、単位時間に孔部35h2の内面を透過するガスのガス透過量は、単位時間に孔部35h3の内面を透過するガスのガス透過量よりも小さくなる。よって、単位時間に連通孔32h2の内面を透過するガスのガス透過量は、単位時間に連通孔32h3の内面を透過するガスのガス透過量よりも小さくなる。したがって、単位時間に弁体30を透過するガスのガス透過量が同じであったとしても、圧力調整弁12が閉じた状態で各内部空間Vから蓄電モジュール2の外部空間に漏れ出るガス透過量のバラツキを低減できる。
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明されたが、本発明は上記実施形態に限定されない。上記実施形態及び各変形例の構成要素は互いに組み合わされ得る。
例えば、上記実施形態及び各変形例では内部空間Vが第1群~第3群の内部空間V1~V24を含んでいるが、第2群の内部空間V5~V8,V17~V20を含まなくてもよい。内部空間Vは、第4群以上の内部空間を更に含んでもよい。この場合、積層方向Dにおいて外側から中心Mに向かうに連れて、連通孔32hの内面及び弁体30を単位時間に透過するガスのガス透過量が大きくなってもよい。
第2群の内部空間V5~V8,V17~V20のいずれか1つが第1内部空間に相当してもよいし、第3群の内部空間V9~V16のいずれか1つが第2内部空間に相当してもよい。
上記実施形態及び各変形例では第1群~第3群の内部空間V1~V24の各群が複数(ここでは8つ)の内部空間Vを含んでいるが、各群が単一の内部空間Vを含んでもよい。